JP2014129760A - スクロール圧縮機及びスクロール圧縮機の固定部材製造方法 - Google Patents

スクロール圧縮機及びスクロール圧縮機の固定部材製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2014129760A
JP2014129760A JP2012288011A JP2012288011A JP2014129760A JP 2014129760 A JP2014129760 A JP 2014129760A JP 2012288011 A JP2012288011 A JP 2012288011A JP 2012288011 A JP2012288011 A JP 2012288011A JP 2014129760 A JP2014129760 A JP 2014129760A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sliding
sliding surface
bearing housing
fixing member
upper bearing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2012288011A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasuo Mizushima
康夫 水嶋
Yoshikazu Sato
義和 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daikin Industries Ltd
Original Assignee
Daikin Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daikin Industries Ltd filed Critical Daikin Industries Ltd
Priority to JP2012288011A priority Critical patent/JP2014129760A/ja
Publication of JP2014129760A publication Critical patent/JP2014129760A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Rotary Pumps (AREA)

Abstract

【課題】コストの増大を抑制できるスクロール圧縮機及びスクロール圧縮機の固定部材製造方法を提供する。
【解決手段】ケーシングと、圧縮機構と、キー溝80が形成されており圧縮機構の下方に配置されるようにケーシングの内面に固定される上部軸受ハウジングと、キー溝80に摺動自在に嵌められる第1オルダムキーを有し圧縮機構と上部軸受ハウジングとの間に配置されるオルダム部材とを備える。キー溝80を形成するキー溝形成面81は、第1オルダムキーと摺動し互いに対向する1対の摺動面82と、摺動面82を除く非摺動面83とを有する。摺動面82は、機械加工がされており、非摺動面83の少なくとも一部は、非加工の鋳肌面である。
【選択図】図6

Description

本発明は、スクロール圧縮機及びスクロール圧縮機の固定部材製造方法に関する。
従来、空気調和装置等の冷凍装置において、圧縮機構と圧縮機構を駆動するための駆動モータとが設けられている圧縮機が用いられることがある。このような圧縮機の一つとして、例えば、特許文献1(特開2012−36833号公報)に開示のように、ケーシングの内面に固定されるハウジングと、ハウジングに載置される固定スクロール及び可動スクロールと、可動スクロールの自転を規制するためにハウジングと可動スクロールとの間に配置されるオルダム継手とを有する、スクロール圧縮機が存在する。この圧縮機では、オルダム継手は、2つの固定側キー部を有している。また、この圧縮機では、ハウジングに、2つの固定側キー溝が形成されている。そして、各固定側キー部が各固定側キー溝に摺動自在に嵌められている。
一般に、上記のハウジング等は金型を用いて成形されている。また、上記のキー溝は、金型を用いて成形された部材に機械加工を行うことにより形成されている。ここで、上記キー部と上記キー溝との摺動面は、キー溝の全内周面の一部である。しかし、従来のキー溝は、全内周面に加工がされている。このように、従来では、金型を用いて成形された部材に機械加工を行うことによってキー溝全体を形成し、加工の必要がない部分まで加工を行っているので、コストが増大してしまうことが懸念される。
そこで、本発明の課題は、コストを抑制できるスクロール圧縮機及びスクロール圧縮機の固定部材製造方法を提供することにある。
本発明の第1観点に係るスクロール圧縮機は、円筒形状のケーシングと、圧縮機構と、固定部材と、オルダム部材と、を備える。圧縮機構は、ケーシングの内部に収容され、クランクシャフトによって駆動される可動スクロール及び可動スクロールに噛み合う固定スクロールを有する。固定部材は、圧縮機構の下方に配置されるようにケーシングの内面に固定される。また、固定部材には、クランクシャフトの軸方向に凹むキー溝が形成されている。オルダム部材は、キー溝に摺動自在に嵌められるオルダムキーを有し、圧縮機構と固定部材との間に配置される。キー溝を形成するキー溝形成面は、1対の摺動面と、摺動面を除く非摺動面とを有する。1対の摺動面は、オルダムキーと摺動し互いに対向する。そして、摺動面は、機械加工がされており、非摺動面の少なくとも一部は、非加工の鋳肌面である。
本発明では、機械加工する必要がない非摺動面の少なくとも一部が非加工である。このように、本発明では、無駄な加工を省いているので、コストを抑制できる。
本発明の第2観点に係るスクロール圧縮機は、本発明の第1観点に係るスクロール圧縮機であって、摺動面は、キー溝形成面の軸方向における下方領域を除く部分に位置している。
ここで、構成によっては、キー溝形成面において、オルダムキーと摺動するのが、軸方向における下方領域を除く部分のみの場合がある。この場合、言い換えれば、キー溝形成面において、軸方向における下方領域は、オルダムキーと摺動しないことになる。よって、本発明では、摺動面としての軸方向における下方領域を除く部分のみを機械加工している。これにより、加工コストをより抑制でき、さらに、加工効率を向上できる。
本発明の第3観点に係るスクロール圧縮機は、本発明の第1観点に係るスクロール圧縮機であって、非摺動面は、摺動面の径方向両側にそれぞれ形成される第1面及び第2面を有する。第1面及び第2面は、その摺動面に直交する方向の最大距離が、摺動面同士を、摺動面に直交する方向に結んだ距離よりも長い。
本発明では、キー溝がこのような形状を有していることにより、摺動面が機械加工によって形成される際に、非摺動面に機械が接触しないようにすることができる。よって、無駄な加工を省くことができる。
本発明の第4観点に係るスクロール圧縮機の固定部材製造方法は、本発明の第1観点に係るスクロール圧縮機の固定部材を製造する固定部材製造方法であって、鋳造工程と、固定部材形成工程と、を備える。鋳造工程では、金型を用いることによって、固定部材の元の部材である固定部材基体を鋳造する。固定部材形成工程では、固定部材基体を機械加工することにより固定部材を形成する。鋳造工程では、厚み方向に凹む基溝が形成され、基溝を形成する基溝形成面が、1対の突出面と突出面を除く非摺動面とを有する、固定部材基体を鋳造する。1対の突出面は、厚み方向視における摺動面の仮想位置よりも内側に突出する。固定部材形成工程では、基溝の突出面を機械加工により切削して摺動面を形成することによって、基溝からキー溝を形成する。
本発明では、固定部材基体に形成される基溝の基溝形成面が、突出面を有していることにより、その部分のみを切削することにより摺動面を形成することができる。これにより、非摺動面を非加工の鋳肌面とすることができる。よって、コストを抑制できる。
本発明に係る圧縮機では、コストを抑制できる。
本発明の一実施形態に係るスクロール圧縮機の縦断面図。 圧縮機構の可動スクロールの下面図。 上部軸受ハウジングの上面図。 オルダム部材の下面図。 オルダム部材の側面図。 上部軸受ハウジングのキー溝の上面図。 上部軸受ハウジングの製造工程のフローチャート。 上部軸受ハウジング基体の基溝の上面図。 エンドミルによって突出面を切削しているときの概略の状態図。 変形例Bに係る上部軸受ハウジングのキー溝の概略斜視図。 変形例Bに係る上部軸受ハウジングの1対の軸方向延伸面を径方向から視た図。 変形例Bに係る基溝の上面図。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係るスクロール圧縮機1について説明する。
(1)スクロール圧縮機1の構成
図1は、本実施形態に係るスクロール圧縮機1の縦断面図である。図2は、圧縮機構15の可動スクロール26の下面図である。図3は、上部軸受ハウジング23の上面図である。尚、以下の説明においては、図1に示す駆動モータ16の中心軸線O−Oに沿った方向を軸方向又は上下(縦)方向とする。また、軸方向に直交する方向を径方向とし、軸方向周りの方向を周方向とする。
スクロール圧縮機1は、冷媒を循環させることによって冷凍サイクルを行う冷媒回路において、冷媒を圧縮するために用いられる。スクロール圧縮機1は、高低圧ドーム型の圧縮機であって、互いに噛合する2つのスクロールの一方のスクロールが自転することなく他方のスクロールに対して公転することにより、冷媒を圧縮する。
スクロール圧縮機1は、図1に示されるように、主として、ケーシング10と、吸入管18と、吐出管19と、圧縮機構15と、上部軸受ハウジング23と、上部軸受メタル33と、オルダム部材70と、駆動モータ16と、下部軸受ハウジング60と、下部軸受メタル34と、クランクシャフト17と、ガスガイド58とを有している。スクロール圧縮機1は、ケーシング10の内部空間に、吸入管18及び吐出管19の一部、及び、各部品が収容された密閉型構造を有している。以下、スクロール圧縮機1の構成要素について説明する。
(1−1)ケーシング10、吸入管18及び吐出管19
ケーシング10は、軸方向に延びる縦型の円筒形状の容器であり、主として、略円筒状の筒状部11と、筒状部11の上端に気密状に溶接される椀状の上壁部12と、筒状部11の下端に気密状に溶接される椀状の底壁部13とから構成される。
ケーシング10の内部空間は、圧縮機構15の下方空間である高圧空間S1と、圧縮機構15の上方空間である低圧空間S2とに区画されている。
また、ケーシング10には、吸入管18及び吐出管19が接続されている。吸入管18は、上壁部12に貫通する管状部材であり、ケーシング10の外部から圧縮機構15における圧縮室40(後述する)へ、冷媒回路内を循環する冷媒を吸入させるための部材である。吸入管18は、下端部が固定スクロール24(後述する)に嵌入されている。吐出管19は、筒状部11に貫通する管状部材であり、高圧空間S1からケーシング10の外部へ、圧縮した冷媒を吐出するための部材である。
ケーシング10の内部空間の底部には、潤滑油を貯留するための空間である油溜まり空間Pが形成されている。潤滑油は、スクロール圧縮機1の運転中において、圧縮機構15等の摺動部の潤滑性を良好に保つために使用される。
(1−2)圧縮機構15
圧縮機構15は、低温低圧の冷媒を吸入し、低温低圧の冷媒を圧縮して高温高圧の冷媒とした後に吐出する。圧縮機構15は、クランクシャフト17の上端に連結されている。圧縮機構15は、主として、可動スクロール26と、可動スクロール26に噛み合う固定スクロール24とを有している。
(1−2−1)固定スクロール24
固定スクロール24は、円板形状の第1鏡板24aと、第1鏡板24aの下面から延び第1鏡板24aの下面に対して直交する渦巻形状(インボリュート状)の第1ラップ24bとを有している。
固定スクロール24には、吸入孔(図示せず)が形成されている。吸入孔は、吸入管18の内部空間と圧縮室40(後述する)とを連通する孔である。
また、第1鏡板24aの中央部には、吐出孔41が形成されている。吐出孔41は、圧縮室40で圧縮された冷媒を吐出するための孔である。また、第1鏡板24aの上面には、吐出孔41と連通する拡大凹部42が形成されている。拡大凹部42は、第1鏡板24aの上面に凹設された水平方向に広がる空間である。固定スクロール24の上面には、この拡大凹部42を塞ぐように蓋体44がボルト等により締結固定されている。そして、拡大凹部42に蓋体44が覆い被せられることにより圧縮機構15の運転音を消音させる膨張室からなるマフラー空間45が形成されている。固定スクロール24と蓋体44とは、ガスケット(図示せず)を介して密着させることによりシールされている。また、固定スクロール24には、マフラー空間45と連通し、固定スクロール24の下面に開口する第1連絡通路46が形成されている。
(1−2−2)可動スクロール26
可動スクロール26は、第2鏡板26aと、第2鏡板26aの上面から延び第2鏡板26aの上面に対して直交する渦巻形状(インボリュート状)の第2ラップ26bとを有している。第2鏡板26aの下面中央部には、シャフト17の上端部(すなわち、後述する偏芯部17b)を軸支するピン軸受35を内側に備えたボス部26cが形成されている。第2鏡板26aには、給油細孔63が形成されている。給油細孔63は、第2鏡板26aの上面外周部と、ボス部26cの内側の空間とを連通している。また、第2鏡板26aの下面には、軸方向上方に凹むキー溝26dが形成されている。キー溝26dは、図2に示すように、ボス部26cの径方向外側において、複数(本実施形態では、2つ)形成されている。複数のキー溝26dは、各々が互いに中心軸線O−Oを挟んで逆側に位置するように形成されている。
以上のような構成を有する圧縮機構15では、固定スクロール24の第1ラップ24bと可動スクロール26の第2ラップ26bとが噛み合うことにより、第1鏡板24a、第1ラップ24b、第2鏡板26a及び第2ラップ26bによって囲まれる空間である圧縮室40が形成される。圧縮室40では、可動スクロール26の公転運動によって容積が減少されることにより、冷媒が圧縮される。
(1−3)上部軸受ハウジング23
上部軸受ハウジング23は、圧入によってケーシング10の筒状部11の内周面11aに固定される固定部材であり、図1に示すように、圧縮機構15の下端に接続されるように圧縮機構15の下方に配置されている。このように上部軸受ハウジング23の外周面とケーシング10の筒状部11の内周面11aとが密着されていることにより、上述した高圧空間S1と低圧空間S2とが区画されている。
上部軸受ハウジング23には、上面中央部に凹設されたハウジング凹部31と、軸方向中央部から下方に延びる軸受保持部32と、が形成されている。ハウジング凹部31の内側空間には、可動スクロール26のボス部26cが位置している。軸受保持部32には、上部軸受メタル33が圧入されている。
また、上部軸受ハウジング23には、固定スクロール24が載置され、ボルト等で固定されている。そして、上部軸受ハウジング23は、固定スクロール24と共に、オルダム部材70を介して、可動スクロール26を自転させることなく挟持している。また、上部軸受ハウジング23の外周部には、軸方向に貫通する孔が形成されており、この孔が、第2連絡通路48を形成している。第2連絡通路48は、固定スクロール24の第1連絡通路46及び高圧空間S1と連通している。
また、上部軸受ハウジング23の上面には、図3に示すように、ハウジング凹部31の径方向外側において、複数(本実施形態では、2つ)のキー溝80が形成されている。キー溝80は、軸方向下方に凹むように形成されている。また、キー溝80は、径方向に延びるように形成されている。複数のキー溝80は、各々が互いに中心軸線O−Oを挟んで逆側に位置するように形成されている。このキー溝80の形状については、後に詳述する。
(1−4)上部軸受メタル33
上部軸受メタル33は、上部軸受ハウジング23の軸受保持部32に嵌合されるすべり軸受であり、クランクシャフト17(後述する主軸部17a)の上部を回転自在に軸支している。
(1−5)オルダム部材70
図4は、オルダム部材70の下面図である。図5は、オルダム部材70の側面図である。
オルダム部材70は、上部軸受ハウジング23と圧縮機構15(具体的には、可動スクロール26)との間に配置されており、可動スクロール26の自転運動を防止するための環状の部材である。
オルダム部材70は、図4や図5に示すように、環状且つ平板状のリング部71と、直方体状の複数(本実施形態では、2つ)の第1オルダムキー72と、直方体状の複数(本実施形態では、2つ)の第2オルダムキー73とを有している。ここで、軸方向視において複数の第2オルダムキー73同士を結ぶ線L2と、軸方向視において複数の第1オルダムキー72同士を結ぶ線L1とは、垂直の関係にある。すなわち、第1オルダムキー72と第2オルダムキー73とは、周方向に90度間隔で交互に配置されている。
リング部71は、環形状を有する本体部71aと、本体部71aの外周面から径方向外側に突出する複数(本実施形態では、4つ)の突出部71bと、を有している。突出部71bは、周方向に90度間隔で配置されている。
第1オルダムキー72は、リング部71の、対向する2つの突出部71bの下面71cから下方向に突出している(図5を参照)。複数の第1オルダムキー72は、中心軸線O−Oを挟んで逆側に位置するように、形成されている。複数の第1オルダムキー72は、各々が、対向する上部軸受ハウジング23のキー溝80に嵌められている。そして、これにより、オルダム部材70が上部軸受ハウジング23に支持されている。尚、第1オルダムキー72は、キー溝80において、径方向(図3及び図4の横方向)に摺動自在となるように、嵌められている。
第2オルダムキー73は、リング部71の、対向する2つの突出部71bの上面71dから上方向に突出している(図5を参照)。複数の第2オルダムキー73は、中心軸線O―Oを挟んで逆側に位置するように、形成されている。複数の第2オルダムキー73は、各々が、対向する可動スクロール26のキー溝26dに嵌められている。これにより、可動スクロール26が、オルダム部材70を介して上部軸受ハウジング23に支持されている。尚、第2オルダムキー73は、キー溝26dにおいて、径方向(図2及び図4の上下方向)に摺動自在となるように、嵌められている。
(1−6)駆動モータ16
駆動モータ16は、圧縮機構15に連結されるクランクシャフト17に連結されており、クランクシャフト17を介して圧縮機構15を駆動する。駆動モータ16は、圧縮機構15の下方に配置されている。
駆動モータ16は、主として、ケーシング10の筒状部11の内壁に固定されるステータ51と、このステータ51の径方向内側に回転自在に配置されるロータ52とを有している。ステータ51の内周面とロータ52の外周面との間には、僅かな間隙であるエアギャップが形成されている。
ステータ51は、銅線が巻き付けられているコイル部(図示せず)と、コイル部の上方及び下方に形成されているコイルエンド53とを有している。また、ステータ51の外周面には、ステータ51の上端面から下端面に亘り、且つ、周方向に所定間隔をおいて、切欠形成されている複数のコアカット部(図示せず)が形成されている。このコアカット部は、筒状部11とステータ51との間に軸方向に延びるモータ冷却通路55を形成する。ロータ52の中央部には、クランクシャフト17(主軸部17a)が嵌めこまれている。
(1−7)下部軸受ハウジング60
下部軸受ハウジング60は、駆動モータ16の下方に配設され、クランクシャフト17(主軸部17a)の下部を軸支する下部軸受メタル34(後述する)を支持している。下部軸受ハウジング60は、その外周端が、ケーシング10の筒状部11の内壁に接合されている。
(1−8)クランクシャフト17
クランクシャフト17は、内部に、軸方向に延びる縦給油孔61aが形成される中空形状を有している。縦給油孔61aは、クランクシャフト17の上端面から下端面にかけて延びるように形成されている。クランクシャフト17は、その下端が、油溜まり空間Pに貯留された潤滑油に浸かっている。
また、縦給油孔61aは、油室89に連通している。油室89は、クランクシャフト17の上端面と第2鏡板26aの下面とによって形成される空間である。油室89は、第2鏡板26aの給油細孔63を介して、固定スクロール24と可動スクロール26との摺動部(本実施形態では、適宜、圧縮機構15の摺動部という)に連通している。また、油室89は、圧縮室40を介して低圧空間S2に連通する。
スクロール圧縮機1では、このような構成を有することによって、クランクシャフト17が、縦給油孔61aを介して油溜まり空間Pに貯留された潤滑油を内部に吸入し、吸入した潤滑油を、圧縮機構15の摺動部に供給できるようになっている。
さらに、クランクシャフト17には、その内部に、軸方向に延びる縦給油孔61aから水平方向に分岐する第1給油横孔61b、第2給油横孔61c及び第3給油横孔61dが形成されている。第1給油横孔61bは、ピン軸受35とクランクシャフト17との摺動部に潤滑油を供給できるように形成されている。第2給油横孔61cは、上部軸受メタル33とクランクシャフト17との摺動部に潤滑油を供給できるように形成されている。第3給油横孔61dは、下部軸受メタル34とクランクシャフト17との摺動部に潤滑油を供給できるように形成されている。
このように、クランクシャフト17は、縦給油孔61a、第1給油横孔61b、第2給油横孔61c及び第3給油横孔61dを介して油溜まり空間Pに貯留された潤滑油を、各摺動部(圧縮機構15の摺動部、ピン軸受35、上部軸受メタル33及び下部軸受メタル34とクランクシャフト17との摺動部)に供給している。
また、より具体的な構成について説明すると、クランクシャフト17は、その軸芯がロータ52の回転中心と一致する主軸部17aと、クランクシャフト17の上端部を構成する偏芯部17bと、を有している。
(1−8−1)主軸部17a
主軸部17aは、円筒形状を有しており、中心軸線O−O周りに回転する部分である。主軸部17aは、その上部が、上部軸受メタル33によって軸支され、その下部が、下部軸受メタル34によって軸支されている。
(1−8−2)偏芯部17b
偏芯部17bは、主軸部17aの上に位置し、主軸部17aの軸芯に対して偏芯している。偏芯部17bは、可動スクロール26のボス部26cの内側のピン軸受35に嵌め込まれ、ピン軸受35に軸支されている。
以上のように、クランクシャフト17を介して、圧縮機構15(具体的には、可動スクロール26)と、駆動モータ16(具体的には、ロータ52)とが連結されていることによって、駆動モータ16からクランクシャフト17に伝達された回転駆動力が、圧縮機構15に伝達される。具体的には、駆動モータ16に電流が流されると、まず、中心軸線O−Oを中心として上から視て反時計回りにロータ52が回転し、この回転駆動力がクランクシャフト17に伝達されて、クランクシャフト17が上から視て反時計回りに回転する。そして、クランクシャフト17が回転することにより、クランクシャフト17に連結される可動スクロール26(圧縮機構15)にロータ52(駆動モータ16)の回転駆動力が伝達されて、可動スクロール26が公転する。
(1−9)下部軸受メタル34
下部軸受メタル34は、下部軸受ハウジング60の内周面に嵌合されるすべり軸受であり、シャフト17(主軸部17a)の下部を回転自在に軸支している。
(1−10)ガスガイド58
ガスガイド58は、第2連絡通路48を下方に流れる高圧冷媒を油ミスト飛散を抑制しながら高圧空間S1に導くための部材である。ガスガイド58は、ケーシング10の筒状部11に固定されており、筒状部11の内周面11aと共に、冷媒を高圧空間S1に導くための空間(冷媒通路)を形成する。
(2)上部軸受ハウジング23のキー溝80の形状
図6は、上部軸受ハウジング23のキー溝80の上面図である。
キー溝80は、キー溝形成面81によって形成されている。キー溝形成面81は、第1オルダムキー72の周方向の端面と摺動する1対の摺動面82と、摺動面82を除く非摺動面83と、を有している。尚、便宜上、1対の摺動面82のうち、図6において上側に位置する摺動面を82aとし、図6において下側に位置する摺動面を82bとして適宜説明する。
摺動面82は、軸方向に平坦な平坦面であり上面から後述する底面形成面86まで延びている。また、摺動面82は、軸方向視において直線状に形成されている。摺動面82aと摺動面82bとは、それらの内側に嵌められる第1オルダムキー72を挟んで周方向に逆側に位置するように形成されており、互いに対向している。摺動面82aと摺動面82bとは、それぞれ、径方向に延びており、互いに略平行となっている。
非摺動面83は、キー溝形成面81の底面を形成する底面形成面86と、1対の摺動面82の外側に位置する1対の摺動面外側形成面87と、を有している。摺動面外側形成面87は、仮想の上面から底面形成面86まで延びている。また、1対の摺動面外側形成面87は、摺動面82aの径方向一端(径方向内端)84aと摺動面82bの径方向一端(径方向内端)84bとを結ぶ第1面87aと、摺動面82aの径方向他端(径方向外端)85aと摺動面82bの径方向他端(径方向外端)85bとを結ぶ第2面87bと、を有している。第1面87aと第2面87bとは、互いに対向しており、摺動面82を挟んで径方向に略対称となるように形成されている。第1面87aは、軸方向視において、円弧状に形成されており、摺動面82と連結する端及び径方向内端から、径方向において略中央部に向かうにつれて方向Aに外側に膨らんでいる。また、第2面87bは、軸方向視において、円弧状に形成されており、摺動面82と連結する端及び径方向外端から、径方向において略中央部に向かうにつれて方向Aに外側に膨らんでいる。尚、方向Aとは、摺動面82に直交する方向を意味する。そして、第1面87a及び第2面87bにおいて、方向Aに結んだ最大距離D1は、摺動面82同士を方向Aに結んだ距離(すなわち、摺動面82aと摺動面82bとを方向Aに結んだ距離)D2よりも長くなっている。
このように、第1面87a及び第2面87bにおいて、摺動面82に連結する端から、径方向において略中央部に向かう部分までは、方向Aに結んだ距離が距離D2よりも長くなっている。
(3)上部軸受ハウジング23の製造方法
以下、上部軸受ハウジング23の製造方法について説明する。ここで、図7は、上部軸受ハウジング23の製造工程のフローチャートである。図8は、上部軸受ハウジング23のキー溝80を形成する前の基溝90の上面図である。
上部軸受ハウジング23は、鋳造工程ST1と、上部軸受ハウジング形成工程ST2(固定部材形成工程に相当)とを経て製造される。
(3−1)鋳造工程ST1
鋳造工程ST1では、金型を用いることによって、上部軸受ハウジング23の元の部材である上部軸受ハウジング基体(図示せず)を鋳造する。
具体的には、熱して液体にした材料を鋳型に流し込むことにより、上部軸受ハウジング基体を鋳造する。尚、この工程では、上部軸受ハウジング基体は、最終的に得られる上部軸受ハウジング23よりも若干大きく作製され、後の上部軸受ハウジング形成工程ST2において、加工代が取り除かれることにより、最終的な上部軸受ハウジング23となる。
ここで、鋳造工程ST1で得られる上部軸受ハウジング基体は、キー溝80の元となる基溝90が形成されている。すなわち、本実施形態では、上部軸受ハウジング基体に基溝90が形成されるように金型を作製している。
基溝90は、上部軸受ハウジング基体の厚み方向に凹んでいる。尚、ここでの厚み方向とは、上部軸受ハウジング基体の最終的な完成品である上部軸受ハウジング23のケーシング10に固定されている状態における軸方向と一致する。基溝90は、基溝90を形成する基溝形成面91が、1対の突出面92を有するように、形成されている。尚、便宜上、1対の突出面92のうち、図8において上側に位置する突出面を92aとし、図8において下側に位置する突出面を92bとして適宜説明する。
突出面92は、厚み方向視において、最終的に形成される摺動面82の仮想位置P1(図8の点線部分を参照)よりも内側に突出する湾曲面である。突出面92は、厚み方向視において、円弧状に形成されている。よって、突出面92aの長手方向両端を除く部分と突出面92bの長手方向両端を除く部分とを方向Aに結んだ距離は、摺動面82同士を方向Aに結んだ距離D2よりも短くなっている。突出面92aと突出面92bとは、周方向に互いに対向しており、軸面を中心として略対称となるように形成されている。尚、軸面とは、基溝90の中心を通るI-I線を厚み方向に延ばした面である。
(3−2)上部軸受ハウジング形成工程ST2
上部軸受ハウジング形成工程ST2では、上部軸受ハウジング基体を機械加工することにより、最終的な完成品である上部軸受ハウジング23を形成する。
具体的には、上部軸受ハウジング基体の基溝形成面91の1対の突出面92を機械加工(本実施形態では、エンドミル加工)することにより、仮想位置P1まで切削する。尚、エンドミル加工では、エンドミル94(図9を参照)を基溝90の長手方向に移動させることにより、突出面92を切削している。これにより、摺動面82と突出面92との間の部分(図8の斜線のハッチング部分)が上部軸受ハウジング形成工程ST2で切削される。そして、これにより、突出面92から摺動面82が形成される。具体的には、突出面92aを機械加工することにより、摺動面82aが形成され、突出面92bを機械加工することにより、摺動面82bが形成される。
このように、本実施形態では、突出面92のみをエンドミル94によって切削することで摺動面82を形成している。そして、これにより、基溝形成面91の内側の空間を広げ、基溝90から最終的なキー溝80を形成している。よって、上部軸受ハウジング基体の基溝90についてだけで言えば、突出面92だけが機械加工されており、その他の面については、機械加工がされていない。言い換えれば、基溝形成面91の突出面92以外の面(突出面92の外側に位置する面や底面)は、そのまま、上部軸受ハウジング23における非摺動面83(摺動面外側形成面87(第1面87a及び第2面87b)や底面形成面86)となっている。よって、基溝形成面91は、突出面92と、突出面92を除く非摺動面83と、を有していることになる。
ここで、図9は、エンドミル94によって突出面92を切削しているときの概略の状態図を示している。尚、図9では、突出面92aの切削のみを示しているが、突出面92bについても同様である。
エンドミル94は、突出面92を徐々に切削していくことにより、一点鎖線で示す軌跡から、最終的には、点線で示す軌跡を描いていくことになる。このとき、図9に示すように、エンドミル94は、基溝90の非摺動面83(具体的には、突出面92の外側に位置する摺動面外側形成面87(第1面87a及び第2面87b))には接しないように、移動する。これは、非摺動面83が、突出面92(後の摺動面82)に連結する端から基溝90の長手方向において略中央部まで向かうにつれて、方向A(図6や図8を参照)に外側に拡がる面だからである。
(4)動作
以下、以上のような構成を有するスクロール圧縮機1内における冷媒及び潤滑油の流れについて説明する。
(4−1)冷媒の流れ
まず、駆動モータ16が駆動されることによって、ロータ52が回転する。これにより、ロータ52に固定されているクランクシャフト17が、軸回転運動を行う。クランクシャフト17の回転駆動力は、ピン軸受35を介して可動スクロール26に伝達される。尚、クランクシャフト17の可動スクロール26に接続される偏芯部17bは、中心軸線O−Oに対して偏心している。また、可動スクロール26は、オルダム部材70によって自転が防止されている。これにより、可動スクロール26は公転運動を行う。
圧縮前の低温低圧の冷媒は、吸入管18から圧縮機構15の圧縮室40に吸入される。可動スクロール26の公転運動により、圧縮室40は固定スクロール24の外周部から中心部へ向かって移動しながら、その容積が徐々に減少される。その結果、圧縮室40内の冷媒は圧縮されて高圧冷媒となる。高圧冷媒は、吐出孔41からマフラー空間45へ吐出された後、第1連絡通路46及び第2連絡通路48を経由して、高圧空間S1(具体的には、圧縮機構15と駆動モータ16との軸方向における間の空間)へ排出される。尚、ガスガイド58とケーシング10の筒状部11との間の空間から、高圧冷媒の一部は筒状部11の内周面に沿って水平方向に流れ、高圧冷媒の一部はそのまま下方に向かって流れる。そして、モータの上方空間からこの下方に向かった高圧冷媒は、モータ冷却通路55を通ってさらに下降し、駆動モータ16の下方の空間に到達する。その後、この高圧冷媒は、流れの向きを反転させて、ステータ51の内周面とロータ52の外周面との間のエアギャップなどを上昇し、圧縮機構15と駆動モータ16との軸方向における間の空間に再度流入する。そして、最終的に、高圧冷媒は、吐出管19からケーシング10の外部に吐出される。
(4−2)潤滑油の流れ
まず、駆動モータ16が駆動されることによって、ロータ52が回転する。これにより、ロータ52に固定されているクランクシャフト17が、軸回転運動を行う。クランクシャフト17の軸回転によって圧縮機構15が駆動し、高圧空間S1に高圧冷媒が吐出されると、高圧空間S1の圧力が上昇する。ここで、クランクシャフト17に形成される縦給油孔61aは、油室89及び給油細孔63を介して、固定スクロール24の下面と可動スクロール26の第2鏡板26aの上面との摺動隙間のうち圧縮室40の外側部分に連通している。これにより、縦給油孔61aの上端部分と下端部分との間において、圧力差が発生する。その結果、縦給油孔61a自体が差圧ポンプとして作用し、油貯留部Pに貯留される潤滑油が縦給油孔61aに吸引されて縦給油孔61aを上昇する。
縦給油孔61aを上昇して油室89まで達した潤滑油は、給油細孔63を経由して、圧縮機構15の摺動部に供給される。圧縮機構15の摺動部を潤滑した潤滑油は、冷媒とともに、低圧空間S2及び圧縮室40、吐出孔41、マフラー空間45、第1連絡通路46、第2連絡通路48及び高圧空間S1を経て、油溜まり空間Pに戻る。このとき、潤滑油は、油滴の状態で冷媒に含有される。
一方、油貯留部Pから吸引されて縦給油孔61aを上昇する潤滑油の多くは、第1給油横孔61b、第2給油横孔61c及び第3給油横孔61dにも分流される。第1給油横孔61bに分流される潤滑油及び油室89の潤滑油の一部は、クランクシャフト17の偏芯部17bとピン軸受35との摺動部を潤滑する。また、第2給油横孔61cに分流される潤滑油は、クランクシャフト17(主軸部17a)の上部と上部軸受メタル33との摺動部を潤滑する。また、第3給油横孔61dに分流される潤滑油は、クランクシャフト17(主軸部17a)の下部と下部軸受メタル34との摺動部を潤滑する。そして、縦給油孔61aから各給油横孔61b〜61dに分流されて各摺動部を潤滑した潤滑油は、高圧空間S1から油貯留空間Pに戻されることになる。
(5)特徴
(5−1)
一般に、上部軸受ハウジング等は金型を用いて成形されている。また、上部軸受ハウジングに形成されるキー溝は、金型を用いて成形された部材に機械加工を行うことにより形成されている。しかし、金型を用いて成形された部材から機械加工を行うことによってキー溝全体を形成するのは、不必要な材料の増大や作業工数の増大を招いてしまう。
そこで、本実施形態では、まず、上部軸受ハウジング基体を鋳造するときに(鋳造工程ST1において)、上部軸受ハウジング基体に、予め基溝90が形成されるようにしている。これにより、金型を用いて成形された、溝が形成されていない部材から、機械加工により溝を形成する必要がなくなるので、不必要な材料の増大や作業工数の増大を抑制できる。
また、従来では、キー溝に嵌まるキー部(オルダムキー)とキー溝を形成するキー溝形成面との摺動面は、キー溝形成面の一部である。それにも関わらず、従来のキー溝形成面は、その形状(略楕円形状)上、全面に加工がされている。よって、加工の必要がない摺動面以外の部分まで加工を行っているので、コストが増大してしまうことが懸念される。
そこで、本実施形態では、鋳造工程ST1において、上部軸受ハウジング基体に形成される基溝90が、突出面92と、非摺動面83と、を有するようにしている。これにより、上述したように、エンドミル94は、基溝90の非摺動面83(具体的には、突出面92の外側に位置する面)には接しないように、移動することになる。よって、上部軸受ハウジング23において、摺動面82のみを機械加工がされた状態にすることができ、摺動面82を除く非摺動面83については、機械加工を行わない非加工の鋳肌面とすることができる。よって、無駄な加工(すなわち、コスト)を抑制でき、作業効率を向上できる。
(5−2)
上記実施形態では、非摺動面83は、摺動面82(突出面92)の径方向両側にそれぞれ形成される第1面87a及び第2面87b、を有している。
これにより、摺動面82を機械加工によって形成する際に、エンドミル94が突出面92の径方向両端の機械加工を行う場合であっても、エンドミル94が、非摺動面83(第1面87a及び第2面87b)に接触しない構成となっている。よって、無駄な加工を省くことができる。
(6)変形例
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、上記実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
(6−1)変形例A
上記実施形態では、摺動面82を除く面(非摺動面83)の全面を非加工の鋳肌面とする、と説明したが、これに限られるものではなく、摺動面82を除く面(非摺動面83)の少なくとも一部を、非加工の鋳肌面とすることができればよい。すなわち、非摺動面83の一部は、摺動面82のように機械加工がされた面であってもよい。
この場合であっても、従来と比べると、コストの抑制及び作業効率の向上を達成できる。
(6−2)変形例B
上記実施形態では、摺動面82は、仮想の上面から底面形成面86まで延びていると説明した。しかし、スクロール圧縮機の構成によっては、第1オルダムキー72の周方向の端面と摺動するのが、キー溝形成面81のうち軸方向の下方領域を除く部分のみである場合がある。
よって、本変形例Bでは、キー溝形成面81のうち摺動面外側形成面87及び底面形成面86を除く1対の軸方向延伸面182(図10及び図11を参照)において、軸方向の下方領域を除く部分を摺動面188a,188bとし、この部分のみに機械加工を行っている。ここで、図10は、本変形例に係る上部軸受ハウジング(図示せず)のキー溝80の概略斜視図である。また、図11は、本変形例に係る上部軸受ハウジングの1対の軸方向延伸面182を径方向から視た図である。尚、機能を省いて形状だけに着目して言えば、本変形例の1対の軸方向延伸面182は、上記実施形態の1対の摺動面82に相当する。以下、本変形例に係る1対の軸方向延伸面182について説明する。尚、本変形例では、1対の軸方向延伸面182において加工面と非加工面とが存在するところが上記実施形態と異なるだけなので、その他の構成部分については、同番号を付して説明を省略する。
<構成>
1対の軸方向延伸面182は、一部(後述する摺動面188a,188b)が、第1オルダムキー72の周方向の端面と摺動する。尚、便宜上、1対の軸方向延伸面182のうち、図10において上側に位置する軸方向延伸面を182aとし、図10において下側に位置する軸方向延伸面を182bとして適宜説明する。
軸方向延伸面182は、軸方向に平坦な平坦面であり上面から底面形成面86まで延びている。軸方向延伸面182aと軸方向延伸面182bとは、それらの内側に嵌められる第1オルダムキー72を挟んで周方向に逆側に位置するように形成されており、互いに対向している。軸方向延伸面182aと軸方向延伸面182bとは、それぞれ、径方向に延びており、互いに略平行となっている。
1対の軸方向延伸面182は、第1オルダムキー72の周方向の端面と摺動する1対の摺動面188と、摺動面188を除き第1オルダムキー72と摺動しない非接触面189(図11のドットのハッチング部分を参照)と、を有している。尚、軸方向延伸面182aに位置する摺動面を188aとし、軸方向延伸面182bに位置する摺動面を188bとする。また、軸方向延伸面182aに位置する非摺動面を189aとし、軸方向延伸面182bに位置する摺動面を189bとする。非接触面189は、軸方向延伸面182の軸方向の下方領域に位置している。そして、摺動面188は、軸方向延伸面182の軸方向の下方領域の上方に位置している。すなわち、摺動面188は、非接触面189が位置する下方領域を除く部分に位置していると言える。
<製造方法>
次に、本変形例に係る上部軸受ハウジングの製造方法について説明する。尚、本変形例の上部軸受ハウジングも、上記実施形態と同様に、鋳造工程(図示せず)と、上部軸受ハウジング形成工程(図示せず)とを経て製造される。
(鋳造工程)
図12は、上部軸受ハウジングのキー溝80を形成する前の基溝190の上面図である。
鋳造工程では、金型を用いることによって、上部軸受ハウジングの元の部材である上部軸受ハウジング基体(図示せず)を鋳造する。
具体的には、熱して液体にした材料を鋳型に流し込むことにより、上部軸受ハウジング基体を鋳造する。尚、この工程では、上部軸受ハウジング基体は、最終的に得られる上部軸受ハウジングよりも若干大きく作製され、後の上部軸受ハウジング形成工程において、加工代が取り除かれることにより、最終的な上部軸受ハウジングとなる。
ここで、鋳造工程で得られる上部軸受ハウジング基体は、キー溝80の元となる基溝190が形成されている。すなわち、本変形例では、上部軸受ハウジング基体に基溝190が形成されるように金型を作製している。
基溝190は、上部軸受ハウジング基体の厚み方向に凹んでいる。尚、ここでの厚み方向とは、上部軸受ハウジング基体の最終的な完成品である上部軸受ハウジングのケーシング(図示せず)に固定されている状態における軸方向と一致する。基溝190は、基溝190を形成する基溝形成面191が、1対の突出面192を有するように、形成されている。尚、便宜上、1対の突出面192のうち、図12において上側に位置する突出面を192aとし、図12において下側に位置する突出面を192bとして適宜説明する。
1対の突出面192は、後(機械加工後)の軸方向延伸面182となる面において、軸方向における下方領域を除く部分に形成されている。また、突出面192は、厚み方向視において、最終的に形成される摺動面188の仮想位置P11(図12の点線部分を参照)よりも内側に突出する湾曲面である。突出面192は、厚み方向視において、円弧状に形成されている。よって、突出面192aの長手方向両端を除く部分と突出面192bの長手方向両端を除く部分とを方向Aに結んだ距離は、摺動面188同士を方向Aに結んだ距離よりも短くなっている。突出面192aと突出面192bとは、周方向に互いに対向しており、軸面を中心として略対称となるように形成されている。尚、軸面とは、基溝190の中心を通るI-I線を厚み方向に延ばした面である。
(上部軸受ハウジング形成工程)
上部軸受ハウジング形成工程では、上部軸受ハウジング基体を機械加工することにより、最終的な完成品である上部軸受ハウジングを形成する。
具体的には、上部軸受ハウジング基体の基溝形成面191の1対の突出面192を機械加工(本実施形態では、エンドミル加工)することにより、仮想位置P1まで切削する。尚、エンドミル加工では、エンドミル94を基溝190の長手方向に移動させることにより、突出面192を切削している。これにより、摺動面188と突出面192との間の部分(図12の斜線のハッチング部分)が上部軸受ハウジング形成工程で切削される。そして、これにより、突出面192から摺動面188が形成される。具体的には、突出面192aを機械加工することにより、摺動面188aが形成され、突出面192bを機械加工することにより、摺動面188bが形成される。
このように、本変形例では、突出面192のみをエンドミル94によって切削することで摺動面188を形成している。そして、これにより、基溝形成面191の内側の空間を広げ、基溝190から最終的なキー溝80を形成している。よって、上部軸受ハウジング基体の基溝190についてだけで言えば、突出面192だけが機械加工されており、その他の面については、機械加工がされていない。言い換えれば、基溝形成面191の突出面192以外の面(突出面192の外側に位置する面、突出面92の下方領域及び底面)は、そのまま、上部軸受ハウジングにおける非摺動面(具体的には、摺動面外側形成面87(第1面87a及び第2面87b)、非接触面189及び底面形成面86)となっている。よって、基溝形成面191は、突出面192と、突出面192を除く非摺動面と、を有していることになる。
尚、エンドミル94の突出面192の切削加工については、上記実施形態と同様である。
<特徴>
本変形例では、軸方向延伸面182において軸方向においても第1オルダムキー72と摺動する面と摺動しない面とがあることに鑑みて、まず、上部軸受ハウジング基体を鋳造するときに(鋳造工程において)、後の軸方向延伸面182となる面において、軸方向における下方領域を除く部分にのみ、突出面192が形成されるようにしている。そして、上部軸受ハウジング形成工程において、突出面192のみを機械加工(エンドミル加工)し、突出面192の下方領域には、機械加工(エンドミル加工)をしていない。
このように、本変形例では、更なる無駄な加工(すなわち、コスト)を抑制でき、加工効率をあげることができる。
本発明は、溝が形成されてその溝の溝形成面が溝に嵌まるキーと摺動する、固定部材、を有するスクロール圧縮機、及び、その固定部材の製造方法に適用できる。
10 ケーシング
15 圧縮機構
17 クランクシャフト
23 上部軸受ハウジング(固定部材)
70 オルダム部材
72 第1オルダムキー(オルダムキー)
80 キー溝
81 キー溝形成面
82 摺動面
83 非摺動面
87a 第1面
87b 第2面
90 基溝
91 基溝形成面
92 突出面
D1 第1面及び第2面の摺動面に直交する方向に結んだ 最大距離
D2 摺動面同士を結んだ距離
ST1 鋳造工程
ST3 上部軸受ハウジング形成工程(固定部材形成工程)
特開2012−36833号公報

Claims (4)

  1. 円筒形状のケーシング(10)と、
    前記ケーシングの内部に収容され、クランクシャフト(17)によって駆動される可動スクロール(26)及び前記可動スクロールに噛み合う固定スクロール(24)を有する圧縮機構(15)と、
    前記圧縮機構の下方に配置されるように前記ケーシングの内面に固定されており、前記クランクシャフトの軸方向に凹むキー溝(80)が形成された、固定部材(23)と、
    前記キー溝に摺動自在に嵌められるオルダムキー(72)を有し、前記圧縮機構と前記固定部材との間に配置される、オルダム部材(70)と、
    を備え、
    前記キー溝を形成するキー溝形成面(81)は、前記オルダムキーと摺動し互いに対向する1対の摺動面(82)と、前記摺動面を除く非摺動面(83)とを有し、
    前記摺動面は、機械加工がされており、前記非摺動面の少なくとも一部は、非加工の鋳肌面である、
    スクロール圧縮機(1)。
  2. 前記摺動面は、前記キー溝形成面の前記軸方向における下方領域を除く部分に位置する、
    請求項1に記載のスクロール圧縮機。
  3. 前記非摺動面は、前記摺動面の径方向両側にそれぞれ形成される第1面(87a)及び第2面(87b)を有し、
    前記第1面及び前記第2面は、その前記摺動面に直交する方向の最大距離(D1)が、前記摺動面同士を前記方向に結んだ距離(D2)よりも長い、
    請求項1に記載のスクロール圧縮機。
  4. 請求項1に記載のスクロール圧縮機(1)の固定部材(23)を製造する固定部材製造方法であって、
    金型を用いることによって、前記固定部材の元の部材である固定部材基体を鋳造する鋳造工程(ST1)と、
    前記固定部材基体を機械加工することにより前記固定部材を形成する固定部材形成工程(ST2)と、
    を備え、
    前記鋳造工程では、
    厚み方向に凹む基溝(90)が形成され、前記基溝を形成する基溝形成面(91)が、前記厚み方向視における前記摺動面の仮想位置(P1)よりも内側に突出する1対の突出面(92)と前記突出面を除く前記非摺動面とを有する前記固定部材基体、を鋳造し、
    前記固定部材形成工程では、前記基溝の突出面を機械加工により切削して前記摺動面を形成することによって、前記基溝から前記キー溝を形成する、
    スクロール圧縮機の固定部材製造方法。
JP2012288011A 2012-12-28 2012-12-28 スクロール圧縮機及びスクロール圧縮機の固定部材製造方法 Pending JP2014129760A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012288011A JP2014129760A (ja) 2012-12-28 2012-12-28 スクロール圧縮機及びスクロール圧縮機の固定部材製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012288011A JP2014129760A (ja) 2012-12-28 2012-12-28 スクロール圧縮機及びスクロール圧縮機の固定部材製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2014129760A true JP2014129760A (ja) 2014-07-10

Family

ID=51408338

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012288011A Pending JP2014129760A (ja) 2012-12-28 2012-12-28 スクロール圧縮機及びスクロール圧縮機の固定部材製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2014129760A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017213124A (ja) * 2016-05-31 2017-12-07 株式会社トプコン 眼科装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017213124A (ja) * 2016-05-31 2017-12-07 株式会社トプコン 眼科装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2012147239A1 (ja) スクロール型圧縮機
JP2018141444A (ja) オルダム継手構造、スクロール圧縮機、冷凍回路システム
JP6172411B1 (ja) スクロール圧縮機
JP2012036825A (ja) スクロール圧縮機
JP5754919B2 (ja) 圧縮機
EP2726743B1 (en) Scroll compressor
JP7343774B2 (ja) スクロール圧縮機
JP2014129760A (ja) スクロール圧縮機及びスクロール圧縮機の固定部材製造方法
JP6332518B2 (ja) スクロール圧縮機
JP3089140B2 (ja) 密閉型圧縮機の油ポンプ
WO2017002967A1 (ja) スクロール型流体機械
JP2014136985A (ja) スクロール型圧縮機
JP2021080903A (ja) スクロール圧縮機
JP2013241883A (ja) 圧縮機
JP2013221485A (ja) 圧縮機
JP6747109B2 (ja) スクロール圧縮機
JP2014070588A (ja) スクロール圧縮機
JP2011052576A (ja) 圧縮機
JP2004100660A (ja) スクロール圧縮機
WO2018008495A1 (ja) スクロール圧縮機
JP2007170254A (ja) 低圧ドーム型圧縮機
JP2017014993A (ja) スクロール圧縮機
JP2020033908A (ja) スクロール圧縮機
JPH07189961A (ja) スクロール圧縮機
JP2014125959A (ja) 圧縮機