JP2014128095A - 動力線固定部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】三相回転電機の動力線端に設けられた締結部について、一度合わせた位置を容易に保持することができる動力線固定部材を提供する。
【解決手段】動力線固定部材20は、三相回転電機10のコイル端子17を端子台40へ電気的に接続する動力線18を保持するものであり、各動力線18が嵌合して固定される3つの拘束孔22を有し、各動力線18を含んで配置される固定基板21と、固定基板21に設けられ、三相回転電機側に設けられた2つの位置決め基準部に対応する2つの端子位置出し穴23と、を備え、動力線18が動力線固定部材20と端子台40に締結される締結部19との間で自身の可撓性によって変形しない範囲で、動力線18の一端の近くに配置されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、三相回転電機のコイル端子を端子台へ電気的に接続する動力線を保持する動力線固定部材に関する。
モータなどの回転電機には、電源から電力を供給するための動力線が接続されている。動力線は、一端がステータコアに巻回された巻線コイルから引き出されるコイル端子に溶接によって接続され、他端に設けられた締結部がモータケースに取り付けられた端子台にボルトで締結されている。なお、ハイブリッド車両などの電動車両に搭載されるモータは、通常、三相モータであり、この三相モータでは、各相の巻線コイルからそれぞれ引き出される3つのコイル端子に、3本の対応する動力線がそれぞれ接続されている。
締結部を端子台にボルトで締結する場合、ボルトが時計回りに回されることにより、動力線には締結部を中心に時計回りの回転力が作用する。この回転力が動力線の一端であるコイル端子の溶接部に作用し、溶接部が破断するおそれがある。
各動力線の中間部で各動力線を拘束することにより、締結部を端子台にボルトで締結するときの回転力を3つのコイル端子の溶接部に分散する動力線の固定部材が用いられている(特許文献1)。
特開2011−259654号公報
一般に、動力線の締結部を端子台に締結する場合、締結部を1つずつ端子台へ移動して位置決めをする。特許文献1に記載の固定部材を用い、各締結部の位置を端子台に締結する場合の位置関係に合わせたとしても、固定部材と締結部とは離れており、動力線が可撓性を有することから、締結時には各締結部と端子台との位置関係が変化してしまう。したがって、特許文献1に記載の固定部材を用いたとしても、端子台への締結時には締結部ごとに位置決めが必要となる。
本発明は、三相回転電機の動力線端に設けられた締結部について、一度合わせた位置を容易に保持することを目的とする。
本発明の動力線固定部材は、三相回転電機のコイル端子を端子台へ電気的に接続する動力線を保持するものであり、動力線は各相に対応した3本が設けられ、各動力線の一端には端子台に締結される締結部が設けられ、動力線固定部材は、各動力線が嵌合して固定される3つの拘束孔を有し、各動力線を含んで配置される固定基板と、固定基板に設けられ、三相回転電機側に設けられた2つの位置決め基準部に対応する2つの端子位置出し穴と、を備え、動力線が動力線固定部材と締結部との間で自身の可撓性によって変形しない範囲で、動力線の一端の近くに配置されていること、を特徴とする。
本発明は、三相回転電機の動力線端に設けられた締結部について、一度合わせた位置を容易に保持することができ、端子台に締結する場合に締結部と端子台との位置決めを容易にするという効果を奏する。
本発明の第1実施形態における回転電機のステータコイル端を端子台に接続する構成を示す図である。 本発明の第2実施形態の動力線固定部材を示す図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の第1実施形態における回転電機のステータコイル端を端子台に接続する構成を示している。図1に示すように、回転電機10は、図示しないモータケース内に円筒状のステータ11と、ステータ11の内側に設けられたロータ13と、を備えている。また、回転電機10は、図示しない軸受に回転可能に支持され、ロータ13を回転可能にするシャフト14を備えている。
ステータ11は、複数の電磁鋼板を積層して構成されたステータコア15と、ステータコア15に巻回されたU相、V相、W相に対応するステータコイル(巻線コイル)16と、を備える。巻線コイル16のコイルエンドには、各相の巻線コイル16に対応するコイル端子17U、17V、17Wが引き出されている。コイル端子17U、17V、17Wには、対応する動力線18U、18V、18Wの一端がそれぞれ溶接されている。なお、以下では、U相、V相、W相に対応する各構成要素の説明において、相ごとに区別する必要がない場合には、U、V、Wの記載を省略する。
動力線18の他端には、モータケースに設置された端子台40に締結される締結部19が設けられている。締結部19は、端子台40の対応する締結位置に図示しないボルトによって締結される。このような構成により、動力線18は、回転電機10のコイル端子17を端子台40へ電気的に接続している。なお、本実施形態の動力線18は、断面が矩形状の導体単線である。
図1に示すように、三本の動力線18は、動力線固定部材20により固定保持されている。動力線固定部材20は、絶縁性の樹脂で形成されており、固定基板21と、2つの端子位置出し穴23と、を備えている。固定基板21は、動力線18U、18V、18Wが嵌合して固定される3つの拘束孔22を有し、動力線18U、18V、18Wを含んで配置されている。端子位置出し穴23は、固定基板21に設けられ、回転電機10側、たとえばモータケースに設けられた図示しない2つの位置決め基準部に対応して設けられている。図1に示すように、端子位置出し穴23は、1つが動力線18Wに隣接して設けられ、もう1つが動力線18Vと18Uとの間に設けられている。動力線固定部材20は、動力線18が動力線固定部材20と締結部19との間で、動力線18自身の可撓性によって変形しないように、締結部19側の動力線端の近くに配置されている。すなわち、動力線18の幅に対して動力線18の動力線固定部材20と締結部19との間の長さが比較的短いため、当該区間での動力線18の変形が抑制され、一度合わせた締結部19の位置を容易に保持することができる。本実施形態では、動力線18の幅に対する動力線固定部材20と締結部19との間の長さは、2〜4倍が適しており、より好ましくは2〜3倍である。
次に、本実施形態の動力線固定部材20の製造方法および取り付け方法について説明する。動力線固定部材20は、形状に合わせた型枠に絶縁性の樹脂を流し込むことによって形成される。動力線固定部材20の形成後、各動力線18を、締結部19とは反対側の端部から、それぞれ対応する拘束孔22に挿し込む。動力線18は、固定基板21内を通過させられ、締結部19が所定の位置に来るまで拘束孔22を通過させられる。締結部19の所定の位置は、上述したように、動力線18が動力線固定部材20と締結部19との間で動力線18自身の可撓性によって変形しない範囲で設定されている。その後、拘束孔22の両端を熱かしめすることによって、動力線18は動力線固定部材20により固定保持される。
動力線固定部材20は、次のように製造および取り付けされてもよい。ここでは、動力線固定部材20は、回転電機10と対面しない側(図1の手前側)の第1分割体と、回転電機10と対面する側(図1の奥側)の第2分割体と、に分けられた2つの部品から構成されている。動力線固定部材20の第1分割体と第2分割体とは、それぞれの形状に合わせた型枠に絶縁性の樹脂を流し込むことによって、それぞれ形成される。第1分割体には、端子位置出し穴23を構成する2つの貫通孔が形成されている。第2分割体には、端子位置出し穴23を構成する2つの貫通孔と、拘束孔22を構成する3つの凹部と、が形成されている。このように形成された動力線固定部材20の各分割体を、動力線18に取り付ける。まず、第2分割体に形成された拘束孔22を構成する凹部に対応する動力線18を嵌め込む。次に、第1分割体の2つの貫通孔と第2分割体の2つの貫通孔とが一致するように第1分割体と第2分割体とを合わせ、熱溶着によりこれらを結合して動力線固定部材20を形成する。このようにして、動力線18は動力線固定部材20により固定保持される。なお、本実施形態では第2分割体のみに拘束孔22を構成する凹部を形成したが、第1分割体のみ、または第1分割体と第2分割体の両方に拘束孔22を構成する凹部を形成してもよい。
動力線固定部材20は、次のように製造および取り付けされてもよい。動力線固定部材20の形状に合わせた型枠に動力線18を所定の位置に配置し、型枠に絶縁性の樹脂を流し込む。このようにして、動力線固定部材20の製造と動力線18への取り付けを同時に行うことができ、動力線18は動力線固定部材20により固定保持される。
次に、上述のように動力線固定部材20が取り付けられた動力線18の一端を、対応するコイル端子17へ移動して溶接する。次に、動力線固定部材20の端子位置出し穴23に図示しない端子位置出し用ピンをそれぞれ挿入する。各端子位置出し用ピンをモータケースに設けられた対応する位置決め基準部へ移動し、位置決め基準部に設けられた凹部に端子位置出し用ピンの先端を挿し込む。このようにして動力線固定部材20を移動すると締結部19が端子台40の対応する締結位置に位置合わせされるので、締結部19を端子台40にボルトによって締結する。
なお、動力線固定部材20を2つの部品から構成する場合、および動力線固定部材20の製造と動力線18への取り付けとを同時に行う動力線固定部材20の製造方法の場合は、動力線18の一端をコイル端子17への溶接を動力線固定部材20の製造より前に行ってもよい。
以上のように、本実施形態に係る動力線固定部材20によれば、動力線固定部材20と締結部19との間に配置される動力線18が極力短くされており、この動力線18の変形を抑制することができる。その結果、動力線固定部材20との関係において一度合わせた締結部19の位置を容易に保持することができ、締結部19を端子台40に締結する場合に、締結部19と端子台40との位置合わせを容易にすることができる。また、端子部17と端子台40との位置決めが、動力線18に接触することなく、動力線固定部材20を移動することによってできるため、動力線18を覆うエナメル皮膜などの被覆材が損傷することを抑制することができる。また、拘束孔22によって動力線18間の距離を一定以上に保つことができ、動力線18の各相間の絶縁距離を適切に保つことができる。また、締結部19を端子台40にボルトで締結する場合に生ずる締結部19を中心とした時計回りの回転力を動力線18U、18V、18Wに分散することができ、動力線18とコイル端子17との各溶接箇所へ加わる回転力を抑制することができる。
また、締結部19を端子台40に締結した後、端子位置出し用ピンを取り外し、端子位置出し穴23に動力線18を冷却するための冷却パイプを挿入してもよい。このような構成にすることによって、通電時に発熱する動力線18を適切に冷却することができる。また、本実施形態では、動力線固定部材20の位置合わせを行う場合に端子位置出し用ピンを端子位置出し穴23に挿入したが、端子位置出し穴23から対応する位置決め基準部が見えるように動力線固定部材20を移動して位置合わせを行ってもよい。
次に、図2を参照して、本発明の第2実施形態の動力線固定部材について説明する。図2に示すように、動力線51は、第1の動力線固定部材60と第2の動力線固定部材65とにより保持されている。動力線51は、断面が矩形状の導体単線である。
まず、第1の動力線固定部材60について説明する。第1の動力線固定部材60は、第1実施形態の動力線固定部材20と同様に、絶縁性の樹脂で形成されており、固定基板61と、端子位置出し穴63とを備えている。第1の動力線固定部材60は、第1実施形態の動力線固定部材20と同様の製造方法および取り付け方法により、動力線51に取り付けられる。また、第1の動力線固定部材60は、動力線51が第1の動力線固定部材60と締結部52との間で動力線51自身の可撓性によって変形しないように、締結部52が設けられる動力線51の一端の近くに配置されている。すなわち、動力線51の幅に対して動力線51の第1の動力線固定部材60と締結部52との間の長さが比較的短いため、当該区間での動力線51の変形が抑制され、一度合わせた締結部52の位置を容易に保持することができる。本実施形態では、動力線51の幅に対する動力線固定部材60と締結部52との間の長さは、2〜4倍が適しており、より好ましくは2〜3倍である。
図2に示すように、動力線51Uの動力線固定部材60と締結部52Uとの間は、他の動力線51W、51Vの動力線固定部材60と締結部52V、52Wと比較して大きくなっている。このようにしても、動力線51Uを動力線固定部材60と締結部52Uとの間を曲げているため、動力線51Uの当該区間における可撓性を抑制し、締結部52Uの位置合わせ後の変形が抑制されている。なお、第1の動力線固定部材60と締結部52との位置関係は、締結部52を端子台に締結することを考慮し、第1の動力線固定部材60の長手方向への移動を抑制することの方が端子位置出し穴63の軸方向への移動を抑制することよりも重要である。図2に示すように、動力線52は、第1の動力線固定部材60の長手方向が端子位置軸出し穴63の軸方向よりも長い断面矩形状に形成されている。
次に、第2の動力線固定部材65について説明する。図2に示すように、第2の動力線固定部材65は、締結部52が設けられる側と反対側の動力線の他端近くに配置されている。第2の動力線固定部材65は、動力線51が嵌合して固定される3つの拘束孔66を有し、動力線51を含んで配置されている。
第2の動力線固定部材65の製造方法と取り付け方法について説明する。第1実施形態の動力線固定部材20と同様に、3つの製造方法と取り付け方法を採ることができる。第1に、型枠に絶縁性の樹脂を流し込んで第2の動力線固定部材65を形成し、その後、動力線51を対応する拘束孔66に挿し込み、所定位置まで通過させることによって動力線51を第2の動力線固定部材65に固定保持する。第2に、第2の動力線固定部材65を2分割して形成し、一方の分割体に形成された拘束孔66を構成する凹部に対応する動力線51を嵌め込み、分割体を合わせて結合することによって、第2の動力線固定部材65を形成し、動力線51を第2の動力線固定部材65に固定保持する。第3に、第2の動力線固定部材65の形状に合わせた型枠に動力線51を所定位置に配置し、型枠に絶縁性の樹脂を流し込むことで、第2の動力線固定部材65の製造と動力線51への取り付けを同時に行う。第2の動力線固定部材65を形成後、動力線51を拘束孔66に挿し込む場合は、動力線51の一端をステータコイルのコイル端子に溶接する前に第2の動力線固定部材65を取り付ける。第2の動力線固定部材65を2分割する場合と動力線51への取り付けと一体的に行う場合は、動力線51の一端をコイル端子に溶接する前後のいずれで第2の動力線固定部材65を取り付けてもよい。
本実施形態に係る第1の動力線固定部材60によれば、第1実施形態の動力線固定部材20と同様の効果を奏することができる。また、第2の動力線固定部材65によれば、動力線51をコイル端子の溶接後に第1の動力線固定部材60を移動する場合、第2の動力線固定部材65によって第1の動力線固定部材60の移動により生ずる力がコイル端子と動力線51との溶接箇所の1相だけに集中することを抑制できる。
第2の動力線固定部材65をモータケースやステータコアに固定してもよく、この場合は、第1の動力線固定部材60の移動より生ずる力を第2の動力線固定部材65と動力線51によって分散し、コイル端子と動力線51との溶接箇所に力が加わることを抑止することができ、より適切に溶接箇所を保護することができる。
なお、本発明の各実施形態の動力線の断面形状は矩形状として説明したが、断面が円形状であってもよい。また、各動力線固定部材は、上述した以外の方法によって固定されてもよく、たとえば、動力線を拘束孔に通した後、拘束孔端に近い位置で動力線を曲げ加工することによって、各動力線固定部材が移動することを防止することもできる。また、各動力線固定部材は、熱溶着以外によって結合されてもよく、たとえば接着剤を用いて結合されてもよい。
10 回転電機、11 ステータ、13 ロータ、14 シャフト、15 ステータコア、16 巻線コイル、17 コイル端子、18 動力線、19 締結部、20 動力線固定部材、21 固定基板、22 拘束孔、23 端子位置出し穴、40 端子台、51 動力線、52 締結部、60 第1の動力線固定部材、61 固定基板、63 端子位置出し穴、65 第2の動力線固定部材、66 拘束孔

Claims (1)

  1. 三相回転電機のコイル端子を端子台へ電気的に接続する動力線を保持する動力線固定部材であって、
    動力線は各相に対応した3本が設けられ、各動力線の一端には端子台に締結される締結部が設けられ、
    動力線固定部材は、
    各動力線が嵌合して固定される3つの拘束孔を有し、各動力線を含んで配置される固定基板と、
    固定基板に設けられ、三相回転電機側に設けられた2つの位置決め基準部に対応する2つの端子位置出し穴と、
    を備え、
    動力線が動力線固定部材と締結部との間で自身の可撓性によって変形しない範囲で、動力線の一端の近くに配置されていること、
    を特徴とする動力線固定部材。
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