JP2014126858A - 撮像装置およびその制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 距離情報の精度を向上させることにより、距離情報に基づく画像処理や撮影処理を適切に実施可能とする。
【解決手段】 AFスキャンにより得られる焦点評価値に基づいて、撮影シーンに含まれる被写体距離の分布を求める際に、焦点検出領域ごとに、焦点評価値がピークとなるフォーカスレンズ位置を検出したのち、検出した前記焦点評価値がピークとなるフォーカスレンズ位置を焦点検出領域の位置に応じて補正してから被写体距離の分布を求める。
【選択図】 図3

Description

本発明は撮像装置およびその制御方法に関する。
従来、電子スチルカメラやビデオカメラなどでは、CCD(電荷結合素子)などを用いた撮像素子から得られる輝度信号の高域周波数成分が最大となるフォーカスレンズ位置を合焦位置とする自動焦点調節(オートフォーカスまたはAF)方式が用いられている。この方式はコントラスト検出方式とも呼ばれる。
合焦位置を探索(スキャン)する際には、焦点検出範囲(例えば至近端から無限遠)でフォーカスレンズを駆動しながら撮影を行う。そして、撮像素子から得られる輝度信号の高域周波数成分に基づく評価値(焦点評価値とも記す)を求め、フォーカスレンズの位置と対応付けて記憶していく。
焦点評価値は画像全体ではなく、画面の中央付近や被写体検出領域付近に設定された焦点検出領域(以下、AF枠と記す)について求める。そして、AF枠における焦点評価値の最大値に対応するフォーカスレンズ位置(以下、ピーク位置とも記す)を合焦位置として決定する。
こうして得られるAF時の合焦結果を、撮影時の合焦位置決定のために使用するだけではなく、複数のAF枠を設定して画面内の距離の分布を取得して撮影時処理や画像処理時の判断に使用する場合がある。
特許文献1には、各被写体の距離情報を取得し、前景側に位置する被写体が存在する領域と、背景側に位置する被写体が存在する領域に画像を分割し、分割領域ごとにシーン判定ならびにシーン判定結果に基づく画像処理を行うことが開示されている。また、フォーカスレンズを移動させながら取得した画像の高域周波数成分に基づいて撮影画面内に含まれる被写体の距離情報(距離画像)を生成することが開示されている。
また、特許文献2には、複数のAF枠のそれぞれで被写体までの距離を測定し、被写体距離が予め定めたフォーカスブラケットの開始条件に該当する場合に、満たされる条件に対応づけられた撮影動作を実行することが開示されている。
特開2012−4716号公報 特開2006−162724号公報
撮影光学系が設計上持つ光学特性や、製造上の誤差により、像面湾曲や像面倒れが発生し、光学像面が理想的な傾きのない平面ではなくなるため、像高に応じた誤差がピーク位置に発生する。そのため、同じ距離に存在する被写体に対する焦点評価値のピーク位置が一致しなかったり、異なる距離の被写体に対する焦点評価値のピーク位置が等しくなってしまうといったことが起こりうる。
その結果、実際には距離に差のない平面被写体について、実際には距離による領域分割ができないにも関わらず、取得した被写体距離のばらつきによって誤った領域分割をしてしまったり、異なる被写体を同じ被写体と見なしてしまったりする可能性がある。
しかしながら、特許文献1、2では、光学像面の傾きによるピーク位置のずれについて何ら考慮していない。
本発明は、距離情報の精度を向上させることにより、距離情報に基づく画像処理や撮影処理を適切に実施可能とすることを目的とする。
上述の目的は、撮像装置であって、設定された焦点検出領域の合焦位置を、撮影画像から得られる焦点評価値に基づいて検出するAFスキャンを実行する焦点検出手段と、AFスキャンにより得られる焦点評価値に基づいて、撮影シーンに含まれる被写体距離の分布を求める距離検出手段と、距離検出手段によって求められた被写体距離の分布に基づいて、撮像装置の動作を制御する制御手段と、を有し、距離検出手段は、焦点検出領域ごとに、焦点評価値がピークとなるフォーカスレンズ位置を検出したのち、検出した前記焦点評価値がピークとなるフォーカスレンズ位置を焦点検出領域の位置に応じて補正して、被写体距離の分布を求めることを特徴とする撮像装置によって達成される。
このような構成により本発明によれば距離情報の精度を向上させることができ、距離情報に基づく画像処理や撮影処理の適切な実施が可能となる。
実施形態に係る撮像装置の一例であるデジタルスチルカメラの機能的な構成例を示すブロック図 実施形態のデジタルカメラの全体的な動作について説明するフローチャート 実施形態のAFスキャン処理を説明するフローチャート 実施形態のAFスキャン処理におけるAF枠設定例を示す図 実施形態のゾーンAFスキャン処理を説明するフローチャート 実施形態のゾーン更新判定処理を説明するフローチャート 実施形態のゾーン更新判定処理の例を説明する図 実施形態における被写体検出時のAF枠選択処理を説明するフローチャート 実施形態における被写体未検出時のAF枠選択処理を説明するフローチャート 実施形態における被写体未検出時のAF枠選択の例を説明するための模式図 実施形態の等距離判定処理を説明するフローチャート 実施形態のコンティニュアスAF動作を説明するフローチャート 実施形態のブラケット判定処理を説明するフローチャート 実施形態の本露光用AF動作を説明するフローチャート (a)は本露光用AF動作におけるAF枠設定例を示す図、(b)は各AF枠で得られたピーク位置を模式的に示す図 実施形態の撮影処理を説明するフローチャート 実施形態の距離マップ取得用スキャン実施時における合焦枠表示の例を示す図 実施形態のシーン不安定判定の動作を説明するフローチャート 実施形態のシーン変化フラグ設定処理を説明するフローチャート 実施形態の前回参照判定の動作を説明するフローチャート 実施形態の像面値補正動作を説明するフローチャート 実施形態の像面値補正量算出式の係数の補間方法の例を示す図 実施形態の像面値補正量算出式で用いるAF枠の座標の例を示す図 実施形態における、補正量算出式の係数を製造時に算出して記憶する動作を説明するフローチャート 実施形態における、補正量算出式の係数を製造時に算出して記憶する際の測定点の配置例を示す図
以下、図面を参照しながら本発明の例示的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は実施形態で説明する具体的な構成に限定されない。
<デジタルカメラのブロック図>
図1は本発明の実施形態に係る撮像装置の一例であるデジタル(スチル)カメラの構成を示すブロック図である。
撮影レンズ101は例えばズーム機構を含む。AE処理部103は、被写体の輝度を測定し、露出条件(シャッタースピード、絞り値、撮影感度など)を決定する。フォーカスレンズ104はAF処理部105の制御により光軸方向に移動可能であり、撮影レンズ101が撮像素子108の撮像面に合焦する被写体距離を調節する。AF処理部105は、撮影レンズ101のズーム機構の駆動も行う。
撮像素子108はCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサなどの光電変換素子であり、撮影レンズ101およびフォーカスレンズ104によって撮像面に結像された被写体からの反射光である被写体像を画素ごとに電気信号に変換する。A/D変換部109は、撮像素子108の出力信号をデジタル信号に変換する。なお、A/D変換部109には、信号ノイズを除去するCDS回路やA/D変換前に行う非線形増幅回路も含まれている。画像処理部110はA/D変換されたデジタル画像信号に対し、色補間処理、ガンマ変換処理、リサイズ処理、符号化処理など、さまざまな画像処理を適用する。また、画像処理部110は、画像記録部114から読み出された符号化画像データの復号なども行う。
フォーマット変換部112は、RGB形式からYUV形式への変換など、信号形式の変換を行う。DRAM113は内蔵メモリであり、一時的な画像記憶手段としての高速バッファとして、あるいは画像の圧縮伸張における作業用メモリなどに使用される。画像記録部114は半導体メモリカードなどの記録媒体と、記録媒体に読み書きするためのインターフェースを有する。
システム制御部115は、例えばCPUやMPUのようなプログラマブルプロセッサであり、ROMなどの不揮発性記憶装置に予め記憶されたプログラムを実行して各部を制御することにより、後述するAF処理を含む、デジタルカメラの動作を実現する。VRAM116は表示用メモリであり、表示部117はVRAM116に記憶された表示用データを表示する。表示部117は例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイのようなフラットパネルディスプレイであってよい。表示部117は、撮像素子108で撮影された画像や、画像記録部114から読み出された画像のほか、ユーザ操作を補助する表示、カメラ状態の表示、撮影時には撮影画面と焦点検出領域を示すマークなどを表示する。
操作部118はデジタルカメラにユーザが指示や設定を与える入力デバイス群の総称である。例えば、シャッターボタン、撮影機能や画像再生時の設定などの各種設定を行うためのボタン(メニューボタン、方向ボタン、決定ボタンなど)、撮影レンズ101のズーム動作を指示するズームレバー、撮影モードと再生モードの切換えスイッチなどが含まれる。また操作部118には、表示部117に設けられたタッチパネルや、音声認識や視線検出のような技術を用いたボタンやスイッチを用いない入力デバイスが含まれてもよい。
スイッチ121(以下SW1と記す)は、自動焦点調節(AF)処理や自動露出制御(AE)等の撮影スタンバイ動作の開始を指示するスイッチである。スイッチ122(以下SW2と記す)は、記録用の撮影を指示するスイッチである。本実施形態において、SW2はSW1がONの状態でONする。例えば、SW1はシャッターボタンの半押しでONし、SW2はシャッターボタンの全押しでONする。
被写体検出部123は画像処理部110で処理された画像信号を用いて予め定められた特徴を有する被写体の領域を検出する。代表的な被写体は人物の顔であるが、画像信号から検出可能な任意の被写体であってよい。被写体検出の方法に特に制限は無く、パターンマッチング利用した方法など、公知の方法を適宜用いることができる。被写体検出部123は、検出結果として、個々の被写体領域の情報(位置・大きさ・信頼度など)をシステム制御部115に出力する。
動体検出部124は、画面内の被写体及び背景が動いているかどうかを検出し、検出結果(動体情報)をシステム制御部115に出力する。動体検出部124は例えば、異なる時間に撮影された複数の画像の差分情報から、被写体や背景の動体情報(動体領域の位置、範囲、移動の量および方向)を検出する。角速度センサ125はデジタルカメラ自体の動きを検出し、カメラ動き情報をシステム制御部115に出力する。
<デジタルカメラの動作>
次に、図2のフローチャートを参照して本実施形態のデジタルカメラの全体的な動作について説明する。
まずS201でシステム制御部115はシステム制御部115が、撮影準備を指示するSW1の状態(ON/OFF)を判定し、SW1がON(オン)状態ならばS208へ、OFF(オフ)状態の場合にはS202へ処理を進める。
S202でシステム制御部115は撮影シーンが安定した状態かどうかを判定する(シーン安定判定)。ここで、撮影シーンが安定した状態とは、撮影する被写体の動きや、デジタルカメラの状態(姿勢)の変化が閾値未満に維持された状態であり、撮影に適した状態である。たとえば、角速度センサ125で検出したデジタルカメラの動き量や、AE処理部103で検出した被写体輝度の変化の量に基づいて、システム制御部115は撮影シーンが安定した状態かどうかを判定することができる。
S203でシステム制御部115は、S202において撮影シーンが安定した状態と判定したかどうかを調べ、安定した状態と判定していればS204へ、安定した状態と判断していなければS201へ戻る。
S204で距離検出手段としてのシステム制御部115は、後述する手順に従ってAFスキャン処理を行い、撮影シーンに含まれる被写体の焦点検出および距離情報の検出を行う。次いでS205でシステム制御部115は、後述する手順に従ってコンティニュアスAF処理を行う。
S206でシーン変化検出手段としてのシステム制御部115は撮影シーンが不安定な状態かどうか判定する(シーン不安定判定)。ここで、撮影シーンが不安定な状態とは、撮影する被写体の状態、デジタルカメラの状態が不安定となり、撮影に適していない状態である。たとえば、角速度センサ125で検出したデジタルカメラの動き量や、AE処理部103で検出した被写体輝度の変化の量に基づいて、システム制御部115は撮影シーンが不安定な状態かどうかを判定することができる。詳細は図18を用いて後述する。
S207でシステム制御部115は、S206において撮影シーンが不安定な状態と判定したかどうかを調べ、不安定な状態と判定していればS201へ、不安定な状態と判定していなければS205へ処理を進める。
S201でSW1がオンの場合、S208でシステム制御部115は、後述する手順に従って、記録用画像の撮影時に実行する最適な制御(AFブラケット、AEブラケット、連写)を判定する(ブラケット判定)。
S209でシステム制御部115は、AE処理部103を用いて本露光(記録用画像の撮影)用のAE(自動露出制御)処理を行う。
S210でシステム制御部115は、後述する手順に従って本露光用のAF(自動焦点検出または自動焦点調節)処理を行う。
S211でシステム制御部115はSW2の状態(ON/OFF)を判定し、ONならばS212へ進むが、OFF状態の場合にはS211で待機する。
S212でシステム制御部115は後述する手順に従って撮影処理を行う。
<AFスキャン>
図3は図2のS204で実行するAFスキャン処理を説明するフローチャートである。ここでは、撮影シーンが距離に差のある被写体を含んでいるかどうかの判定(以下、等距離判定という)を行うための距離情報の取得と、合焦位置を探索するためのAFスキャン処理を行う。
まずS301でシステム制御部115は、画面内に垂直方向N×水平方向M個の焦点検出領域(AF枠)を設定する。図4に、N=7、M=9とした場合のAF枠設定例を示す。なお、AF枠の設定範囲は図4に示すものに限定されない。例えば、被写体検出部123が検出した被写体領域を考慮して設定してもよい。
S302でシステム制御部115は、前回判定時から撮影シーンがあまり変化していないかどうかを判定する(前回参照判定)。システム制御部115は、前回判定時から撮影シーンがあまり変化していないと判定される場合にはTURE、そうでない場合にはFAUSEを判定結果として得る。また、システム制御部115は、前回参照判定処理の結果に応じたAFスキャン範囲を設定する。前回参照判定の詳細については図20を用いて後述する。
S303でシステム制御部115は、S302における前回参照判定の判定結果がTRUEの場合はS304へ、FALSEの場合はS307へ処理を進める。S304でシステム制御部115はスキャン可能範囲の全域ではなく、前回参照判定で設定された特定の測距範囲内をスキャンする前回参照AFスキャンを行う。
S305でシステム制御部115は、図11を用いて後述する手順に従って等距離判定を行う。等距離判定は、各AF枠のピーク位置の分布から、画面内の被写体に距離差がないと見なせる等距離シーンであるかどうかを判定する処理である。等距離判定の結果は、(1)等距離判定を実施でき、等距離シーンと判定された、(2)等距離判定を実施できたが、等距離シーンと判定されなかった、(3)等距離判定を実施できなかった、のいずれかである。
S306でシステム制御部115は、S304の前回参照AFスキャンにおいて合焦位置を検出でき、かつS305で等距離判定が実施できたと判定された場合はS309へ、そうでなければS307へ処理を進める。
S307でシステム制御部115は、後述する手順に従ってゾーンAFスキャンを行う。ゾーンAFスキャンは、至近端から無限遠までの範囲を複数の範囲(ゾーン)に分割した際に、ゾーン単位でAFスキャンを行う処理である。
S308でシステム制御部115は、S305と同様の等距離判定を行う。
S309でシステム制御部115は、S305またはS308の等距離判定において等距離シーンと判定された場合はS310で等距離判定フラグをTRUEに設定し、そうでなければS311で等距離判定フラグをFALSEに設定する。
S312でシステム制御部115は、被写体検出部123で被写体領域が検出されていれば被写体検出領域へAF枠を設定する。またシステム制御部115は、被写体検出部123で被写体領域が検出されていないが、S307のゾーンAFスキャンにおいて被写体領域が特定できた場合は、ゾーンAFスキャンで特定した被写体領域にAF枠を設定する。被写体検出部123で被写体領域が検出されておらず、S307のゾーンAFスキャンにおいても被写体領域が特定できなかった場合、システム制御部115は予め定められた所定領域にAF枠を設定する。ここで所定領域は、例えば画面の中央領域など、被写体が存在しそうな領域とする。
S313でシステム制御部115は、S307のゾーンAFスキャンにおいて合焦位置が見つかった場合はAF処理部105を用いて合焦位置へフォーカスレンズ104を駆動する。一方、ゾーンAFスキャンで合焦位置が見つからなかった場合は、予め決められた定点(被写体存在確率の高い位置)にフォーカスレンズ104を駆動する。
<ゾーンAFスキャン>
図5は図3のS307で実施するゾーンAFスキャン処理を説明するフローチャートである。ここでゾーンとは、合焦可能距離範囲(至近端から無限遠)を複数の範囲(ゾーン)に分割した際の、各範囲のことを意味する。
まずS501でシステム制御部115は、フォーカスレンズ104をスキャン開始位置へと移動させる。ここで、スキャン開始位置は、例えば、無限遠端に対応する位置とする。
S502では、撮像素子108から読み出されたアナログ映像信号をA/D変換部109がデジタル信号に変換し、その出力から画像処理部110が輝度信号の高域周波数成分を焦点評価値として抽出し、システム制御部115は焦点評価値を記憶する。
S503でシステム制御部115は、フォーカスレンズ104の現在位置をAF処理部105から取得し、焦点評価値と対応付けて記憶する。
S504でシステム制御部115は、撮影準備を指示するSW1の状態(ON/OFF)を判定し、ON(オン)状態なら本処理を終了して図2のS208へ、OFF(オフ)状態の場合にはS505へ処理を進める。
S505でシステム制御部115は、スキャン開始時と露出設定が変化しているかを判定し、変化している場合は図2のS201へ、変化していなければS506へ処理を進める。
S506でシステム制御部115は、フォーカスレンズ104が予め設定したゾーンの境界位置にあるかどうかを調べ、そうであればS507へ、そうでなければS509へ処理を進める。
S507でシステム制御部115は、図6を用いて後述する手順に従ってゾーン更新判定を行う。ここでゾーン更新判定とは、あるゾーンのAFスキャンが完了した際に、引き続き隣接するゾーンでAFスキャンを実行するかどうかの判定である。
S508でシステム制御部115は、S507でのゾーン更新判定により、ゾーン更新する、すなわちスキャン終了位置方向に隣接するゾーンでAFスキャンを継続すると判定されていればS509へ処理を進める。一方、ゾーン更新しないと判定されていれば、システム制御部115は、処理をS511へ進める。
S509でシステム制御部115は、AF処理部105を通じてフォーカスレンズ104の現在位置がスキャン終了位置(ここでは至近端に対応する位置)に等しいかを調べ、両者が等しい場合にはS511へ、そうでなければS511へそれぞれ処理を進める。
S510でシステム制御部115は、AF処理部105を通じてフォーカスレンズ104をスキャン終了方向へ向かって所定量だけ移動させた後、処理をS502に戻す。
S511でシステム制御部115は、各AF枠でのスキャン結果を、以下の3つのいずれに該当するか判定する。
○判定(合焦判定):被写体のコントラストが十分、かつスキャンした距離範囲内に被写体が存在する。
×判定:被写体のコントラストが不十分、もしくはスキャンした距離範囲外に被写体が存在する。
△判定:スキャンした距離範囲よりもスキャン終了方向(ここでは至近側方向)に被写体が位置する。
なお、合焦判定は例えば特許第4235422号公報や特許第4185740号公報などに記載されているような、公知の方法を用いて行うことができるため、説明は割愛する。
S512でシステム制御部115は、被写体検出部123により被写体領域が検出されているかどうかを調べ、被写体領域が検出されている場合はS513へ、被写体領域が検出されていない場合はS514へ、それぞれ処理を進める。
S513でシステム制御部115は、図8を用いて後述する処理に従って被写体検出時のAF枠選択を行う。
S514でシステム制御部115は、図9を用いて後述する処理に従って被写体未検出時のAF枠選択を行う。
<ゾーン更新判定>
図6は、図5のS507で実施するゾーン更新判定を説明するフローチャートである。ここではスキャン方向の先に被写体が存在していそうかどうか、つまりAFスキャンを続けるかどうかを判定する。図7は図6におけるゾーン更新判定の例を説明する図であり、図4と同様、この例では、N=7、M=9(水平方向に9、垂直方向に7のAF枠を設定したものとする。
まずS601でシステム制御部115は、設定した各AF枠すべてにおいてS511と同様の合焦判定を行う。ここでは、各AF枠において図7(a)に示すような合焦判定結果が得られたものとする。
S602でシステム制御部115は最終ゾーンまでAFスキャンを行ったかどうか調べ、最終ゾーンまでスキャン済みであればS614へ、そうでなければS603へ、それぞれ処理を進める。
S603でシステム制御部115は○判定されたAF枠(○判定枠)があるかどうかを調べ、○判定枠があればS604へ、そうでなければS613へ処理を進める。
S604でシステム制御部115は被写体検出部123が被写体領域を検出しているかどうかを調べ、被写体領域を検出していればS606へ、そうでなければS605へ処理を進める。
S605でシステム制御部115は画面中央部のM1×M2枠の中で△判定されたAF枠(△判定枠)が所定数以上「かたまって」いるかどうかを調べ、そうであればS613へ、そうでなければS607へ処理を進める。ここで例としてM1=3、M2=5、所定数を5とすると、図7(b)に太枠で示す中央部の枠の中で隣接する△判定枠の数は2のため、所定枠数以上のかたまりは存在しない。なお、「かたまり」は判定結果が同じAF枠のみで構成された領域である。
S606でシステム制御部115は、検出された被写体領域を含むAF枠の中に△判定枠が所定数以上あるかどうかを調べ、所定数以上ある場合はS613へ、所定数以上ない場合はS607へ処理を進める。ここでは、被写体領域を含むAF枠とは、被写体領域がAF枠の所定割合以上を占めるAF枠とする。図7(c)は、被写体領域として人物の顔領域が検出されている例を示し、所定数を5とすると、顔領域を含むAF枠(太枠内のAF枠)には3つの△判定枠からなるかたまりが存在するが、所定枠数以上からなるかたまりは存在しない。
S607でシステム制御部115は中央L1×L2枠の1枠以上を含むようなN×MのAF枠の配置の中に、△判定枠が所定枠数以上「かたまって」存在する場合があるかどうかを調べる。そして、システム制御部115は、そのような位置があればS613へ、なければS608へ処理を進める。図7(d)では、例としてL1=5、L1=7(内側の太枠)、所定数を10とする。N×Mの枠を内側の太枠内のAF枠を1つ以上含むように移動させた際、N×Mの枠に含まれる△判定枠のかたまりを構成する△判定枠は最大でも6つであるため、所定枠数以上のかたまりは存在しない。
S608でシステム制御部115は予め決められた所定ゾーンまでスキャンを完了したかどうかを調べ、完了した場合はS614へ、完了していない場合はS609へ処理を進める。ここで、所定ゾーンとは、AFスキャン方向のスキャン可能範囲の端(本実施形態では至近端)に被写体が存在した場合に、被写体の画面内位置に対応するAF枠について△判定されることが想定されるゾーンである。このゾーンに到達しても△判定のかたまり(被写体領域)が検出されない場合、これからスキャンする方向のゾーンには被写体が存在しないと考えられる。
S609でシステム制御部115は、N×M枠中に△判定枠または×判定枠が所定数以上かたまって存在するかどうかを調べ、そうであればS613へ、そうでなければS614へ処理を進める。図7(e)では、例として所定数を20とすると、△判定または×判定は最大で18個かたまっているため、所定数以上からなるかたまりは存在しない。
S610でシステム制御部115は、被写体検出部123で被写体領域が検出されているかどうかを調べ、検出されていればS612へ、検出されていなければS611へ処理を進める。
S611でシステム制御部115は中央のM1×M2枠中に○判定枠が所定数以上かたまって存在しているかどうかを調べ、そうであればS613へ、そうでなければS614へ処理を進める。例として所定数を10とすると、図7(f)では太枠で示す中央のM1×M2枠中に○判定枠が10個かたまっているため、所定枠数以上のかたまりが存在する。
S612でシステム制御部115は被写体領域を含むAF枠のうち○判定枠が所定数以上あるかどうかを調べ、そうであればS613へ、そうでなければS614へ処理を進める。例として所定数を5とすると、図7(g)では被写体領域を含むAF枠(太枠内)に○判定枠が5個かたまって存在するため、所定枠数以上のかたまりが存在する。
S613でシステム制御部115は「ゾーン更新する」と判定して処理を終了する。S614でシステム制御部115は「ゾーン更新しない」と判定して処理を終了する。
なお、S605、S606、S607、S609、S611、S612における所定数を固定値とした場合を説明したが、ゾーン範囲やフォーカス位置に応じて変えてもいい。例えば、被写体距離が至近側になるほど、所定数を大きくしてもよい。
このように、スキャンした距離範囲内に被写体が存在せず、これからスキャンするゾーンに被写体が存在する可能性があると思われる場合にはゾーンを更新すると判定する。また、スキャンした距離範囲内に被写体が存在し、距離情報が判明していると思われる場合や、これからスキャンするゾーンに被写体が存在しないと考えられる場合にはゾーンを更新しないと判断する。
<被写体検出時のAF枠選択>
図8は図5のS513で実行する被写体検出時のAF枠選択処理を説明するフローチャートである。ここでは、被写体領域を含むAF枠の中から選択する。
まず、S801でシステム制御部115は、被写体検出部123で検出された被写体領域を含むAF枠の中から、図5のS511において○判定されているAF枠(合焦AF枠)を、候補枠として決定する。
S802でシステム制御部115は、候補枠における焦点評価値のピーク位置(以下PeakPosと記す)を算出して記憶しておく。焦点評価値を求めたフォーカスレンズ位置が離散的であるため、システム制御部115は、ピーク位置を補間等によって算出する。
S803でシステム制御部115は各候補枠のPeakPosを至近側からソートし、ソートされた数(=候補枠の総数)をSとする。
S804でシステム制御部115はソート数Sが1以上であるかを調べ、1以上の場合はS805へ、1未満の場合(候補枠なしの場合)はS821へ処理を進める。S821でシステム制御部115は合焦枠が選択できなかったため非合焦として本処理を終了する。
S805でシステム制御部115は、S802で算出した候補枠のピーク位置の至近側からの順番を示すカウンタPを1に設定する。
S806でシステム制御部115は、ソート順でP番目のPeakPosとP+1番目のPeakPosの差が焦点深度内で、かつ画面内の枠位置が近接しているかどうかを調べる。ここで、枠位置の「近接」範囲は、枠の大きさなどに応じて予め規定しておく。必ずしも隣接している必要は無い。システム制御部115は、条件に合致していればS820へ処理を進め、P番目のPeakPosに対応するAF枠を合焦枠として選択して処理を終了する。また、システム制御部115は、条件に合致していなければS807へ処理を進める。
S807でシステム制御部115はカウンタPに1を加える。
S808でシステム制御部115はカウンタPがソート数Sよりも大きい(P>S)かどうかを調べ、カウンタPがソート数Sよりも大きければS809へ処理を進め、そうでなければ処理をS806に戻す。
S809でシステム制御部115は1番目のPeakPosとS番目のPeakPosの差を算出して変数MaxMinに記憶する。MaxMinの値は、合焦判定の結果が○判定の枠におけるピーク位置の差の最大値である。
S810でシステム制御部115はS809で算出したMaxMinが焦点深度内であるかを調べ、焦点深度内であればS819で1番目のAF枠(合焦判定の結果が○判定の枠のうちピーク位置が最も至近端であるAF枠)を合焦枠として選択して処理を終了する。なお、S806およびS810における焦点深度とは許容錯乱円径をε、撮影レンズ101の解放絞り値をFとすると、±εFで表され、解放深度とも呼ばれる。
一方、MaxMinが焦点深度内でなければS811でシステム制御部115は、1番目からS番目のPeakPosの範囲(=MaxMin)を深度ごとに区切ってグループ化する。
S812でシステム制御部115はグループの至近側からの順番を示すカウンタNを1に設定する。
S813でシステム制御部115はN番目のグループに含まれるAF枠数をカウントする。
S814でシステム制御部115はS813でカウントしたカウント数がN−1(N≧2)番目のグループのカウント数よりも多いかどうかを調べ、多い場合はS815へ、少ない場合はS816へ処理を進める。
S815でシステム制御部115は、N番目のグループに含まれるAF枠のうち、PeakPosが最も至近側のAF枠を、候補枠の代表枠とする。
S816でシステム制御部115はカウンタNに1を加える。
S817でシステム制御部115は全てのグループについて確認したかを調べ、全てのグループについて確認した場合はS818へ処理を進め、全てのグループについて確認していない場合はS813へ戻る。
S818でシステム制御部115は代表枠を合焦枠として選択して処理を終了する。
<被写体未検出時のAF枠選択>
図9は図5におけるS514の被写体未検出時のAF枠選択を説明するフローチャートである。ここでは画面内の主被写体領域を特定して、その領域内で枠選択を行う。
図10は本実施形態における被写体未検出時のAF枠選択の例を説明するための模式図である。ここではN=7、M=9におけるN×N枠のAF枠設定で、スキャン範囲を0〜300、所定深度範囲を±10とする。また、図5のS511における合焦判定では、各AF枠について図10(a)に示すような結果が得られているものとする。なおスキャン範囲及び所定深度範囲の数値はフォーカスレンズ104の位置を表す数値である。AF処理部105が備えるフォーカスレンズ104の駆動用モータにステッピングモータを使用する場合の駆動パルス数に相当し、値が大きい方が至近側とする。
まずS901でシステム制御部115は各AF枠における焦点評価値のピーク位置(以下PeakPosと記す)を算出して記憶しておく。ここで例えば、各AF枠において図(b)に示すようなピーク位置算出結果が得られたものとする。ピーク位置は上述した駆動パルス数によって表されている
S902でシステム制御部115は中央の横M1×縦M2枠(図10(b)に太枠で示す)の各AF枠のPeakPosを至近順にソートし、ソートされた数をSとする。以下の説明ではM1=3、M2=5とする。この15のAF枠の内、図5のS511の合焦判定で×判定のAF枠ではピーク位置が算出できないのでソートの対象としない。例えば、図10(b)の場合は、至近順に202、202、201、201、201、200、200、200、103、103、102、102、101とソートされ、ソート数S=13となる。
S903でシステム制御部115はS902で算出したM1×M2枠内のピーク位置の至近側からの順番を示すカウンタPを1に設定する。
S904でシステム制御部115はソート順でP番目のPeakPosをPeakPosPとする。例えば、図10(b)の場合はP=1の場合、PeakPosP=202となる。
S905でシステム制御部115は、中央のM1×M2個のAF枠中において○判定、かつPeakPosPに対して所定深度範囲内のAF枠の「かたまり」を検出し、「かたまり」を構成するAF枠の数と各AF枠の位置を記憶しておく。ここで、「かたまり」とは、例えば、条件を満たすAF枠が隣接した状態である。また、「かたまり」が複数存在する場合には、「かたまり」を構成するAF枠の数や「かたまり」の位置に基づいて、複数の「かたまり」のうちの1つを選択してもよい。
S906でシステム制御部115はN×M個のAF枠中において、中央のM1×M2個のAF枠中を1枠以上含むように、○判定かつPeakPosPに対して所定深度内の「かたまり」を検出し、「かたまり」を構成するAF枠の数と位置を記憶しておく。例えば、図10(a),(b)のような判定結果に対して、図10(c)に灰色で示すような「かたまり」が検出される。
S907でシステム制御部115はS905またはS906で検出した「かたまり」が画面の中央枠(N=M=4)を含む「かたまり」であるかどうかを調べ、中央枠を含む「かたまり」であればS913へ、そうでなければS908へ処理を進める。
S908でシステム制御部115はS905またはS906で検出した「かたまり」が、M1×M2枠内のAF枠を所定数以上含む「かたまり」であるかどうかを調べ、そうであればS913へ、そうでなければS909へ処理を進める。
S909でシステム制御部115はS905またはS906で検出した「かたまり」が、中央M1×M2枠の1枠以上を含み、かつN×M枠内のAF枠を所定数以上含む「かたまり」であるかどうかを調べる。システム制御部115は、中央M1×M2枠の1枠以上を含みN×M枠内のAF枠を所定数以上含む「かたまり」であればS913へ、そうでなければS910へ処理を進める。
S910でシステム制御部115はカウンタPに1を加える。
S911でシステム制御部115はカウンタPがソート数Sよりも大きい(P>S)かどうかを調べ、カウンタPがソート数Sよりも大きければS912へ処理を進め、主被写体領域の特定ができなかったと判定して本判定処理を終了する。カウンタPがソート数S以下ならS904に処理を戻す。
S913でシステム制御部115は主被写体領域が特定できたと判定する。
S914でシステム制御部115は、S907,S908,S909のいずれかで検出されたかたまりを構成する各AF枠を主被写体領域と判断して選択して本判定処理を終了する。
なお、S908、S909における所定数はフォーカス位置によらず一律で決めてもよいし、フォーカス位置に応じて変えてもいい。例えば、被写体距離が至近側になるほど、所定数を大きくしてもよい。
<等距離判定>
図11は、図3のS305およびS308における等距離判定を説明するフローチャートである。ここでは、各AF枠のピーク位置の分布から、撮影シーンが画面内での距離差が小さい等距離シーンであるかどうかを判定する。
S1101でシステム制御部115は予め用意した像高ごとの誤差量を基に、各AF枠のピーク位置を補正する。これは、像面湾曲や、撮像素子の取り付け誤差による像倒れの影響により、ピーク位置の分布に誤差を持つ場合があるためである。
S1102でシステム制御部115は、図6のS601において○判定されたAF枠(合焦AF枠)をピーク位置が近側な順に並び変える。
S1103でシステム制御部115は○判定枠数が全てのAF枠数に対して所定割合以上あるかどうかを調べ、所定割合以上ない場合はS1113で、等距離判定は実施できなかったとして等距離判定の処理を終了する。本実施形態では、○判定枠数が全体の所定割合以上ない場合は、○判定枠数が少ないため等距離判定が正しく行えないものとしている。AF枠全体の所定割合以上が○判定枠数であれば、システム制御部115は処理をS1104へ進める。
S1104でシステム制御部115は、等距離とみなす範囲(EqualRange)として○判定枠数の所定割合を設定する。
S1105でシステム制御部115は、○判定枠数をカウントする変数iを0に初期化する。
S1106でシステム制御部115は、i番目のAF枠のピーク位置と(i+EqualRange)番目のAF枠のピーク位置の差が所定深度内であるかを調べる、所定深度内であればS1107へ、所定深度内でなければS1109へ処理を進める。
S1107でシステム制御部115は、直前のスキャン(図3のS304またはS307)において合焦したかどうかを調べ、合焦した場合はS1108へ、合焦していない場合はS1111へ処理を進める。
S1108でシステム制御部115は、直前のスキャンで検出された合焦位置がi番目のAF枠のピーク位置とi+EqualRange番目のAF枠のピーク位置の範囲内に含まれるかどうかを調べ、含まれる場合はS1111へ処理を進める。
S1111でシステム制御部115は、等距離判定を実施でき、かつ等距離シーンと判定し、処理を終了する。
直前のスキャンで検出された合焦位置がi番目のAF枠のピーク位置とi+EqualRange番目のAF枠のピーク位置の範囲内に含まれない場合、S1109でシステム制御部115はiに1を足してS1110へ処理を進める。
S1110でシステム制御部115はiが○判定枠の総数未満であれば処理をS1106へ戻して判定を続ける。一方、iが○判定枠の総数以上であれば全ての○判定枠に対して判定を行ったと判断し、S1112で、等距離判定を実施でき、かつ距離差のあるシーンと判定して処理を終了する。
<コンティニュアスAF>
図12は図2のS205で実施するコンティニュアスAF動作を説明するフローチャートである。
S1201でシステム制御部115は、コンティニュアスAFでの合焦制御のために設定した各AF枠で焦点評価値を取得する。ここで、コンティニュアスAFでの合焦制御のために設定したAF枠とは、被写体領域が検出されていれば被写体領域に設定したAF枠であり、被写体領域が検出されていない場合は図5のS513において合焦枠として選択されたAF枠である。
S1202でシステム制御部115は、撮影準備を指示するSW1の状態(ON/OFF)を判定し、ON(オン)状態ならば本処理を終了して図2のS208へ、OFF(オフ)状態の場合にはS1203へ処理を進める。
S1203でシステム制御部115は、ピーク検出フラグがTRUEであるかどうかを調べ、TRUEであればS1220へ、FALSEであればS1204へ処理を進める。ここで、ピーク検出フラグは、初期値としてあらかじめFALSEが設定されているものとする。
S1204でシステム制御部115は、フォーカスレンズ104の現在位置を取得する。
S1205でシステム制御部115は、焦点評価値の取得及びフォーカスレンズ104の現在位置の取得をカウントするための取得カウンタに1を加える。この取得カウンタは、初期化動作において予め0に設定されているものとする。
S1206でシステム制御部115は、取得カウンタの値が1かどうかを調べ、取得カウンタの値が1ならばS1209へ、取得カウンタの値が1でなければS1207へ処理を進める。
S1207でシステム制御部115は、「今回の焦点評価値」が「前回の焦点評価値」よりも大きいかどうかを調べ、そうであればS1208へ、そうでなければS1215へ処理を進める。
S1208でシステム制御部115は増加カウンタに1を加える。
S1209でシステム制御部115は、今回の焦点評価値を焦点評価値の最大値としてシステム制御部115内の演算メモリに記憶する。
S1210でシステム制御部115は、フォーカスレンズ104の現在の位置を焦点評価値のピーク位置として演算メモリに記憶する。
S1211でシステム制御部115は、今回の焦点評価値を前回の焦点評価値として演算メモリに記憶する。
S1212でシステム制御部115は、フォーカスレンズ104の現在位置が駆動範囲の端にあるかどうかを調べ、そうであればS1213へ、そうでなければS1214へ処理を進める。
S1213でシステム制御部115は、フォーカスレンズ104の移動方向を反転する。
S1214でシステム制御部115は、フォーカスレンズ104を所定量移動する。
S1215でシステム制御部115は、「焦点評価値の最大値−今回の焦点評価値」が所定量より大きければステップS1216へ、所定量以下ならステップS1211へ処理を進める。ここで「焦点評価値の最大値−今回の焦点評価値」が所定量より大きい、即ち焦点評価値が最大値から所定量減少していれば、その最大値をピーク位置での焦点評価値とみなす。
S1216でシステム制御部115は増加カウンタが0より大きいかどうかを調べ、0より大きければS1217へ、0以下ならS1211へ処理を進める。
S1217でシステム制御部115は、フォーカスレンズ104をS1210で記憶したピーク位置へ移動させる。
S1218でシステム制御部115は、ピーク検出フラグをTRUEとする。
S1219でシステム制御部115は、取得カウンタを0とする。
S1220でシステム制御部115は、今回の焦点評価値が焦点評価値の最大値に対して所定割合以上変動したかどうかを調べ、所定割合以上の大きな変動をしていればS1222へ、所定割合未満の小さな変動であればS1221へ処理を進める。
S1221でシステム制御部115はフォーカスレンズ104の位置をそのまま保持する。
S1222でシステム制御部115は、焦点評価値が最大となるフォーカスレンズ位置を再び求め直すため、ピーク検出フラグをFALSEとし、焦点評価値の最大値およびピーク位置をリセットする。
S1223でシステム制御部115は増加カウンタリセットをリセットする。
以上のようにして、コンティニュアスAF動作では常に主被写体が合焦状態となるようにフォーカスレンズを駆動する。
<ブラケット判定>
図13は、図2のS208におけるブラケット判定の処理を説明するフローチャートである。ここでは、SW1をONする前に得られた情報から撮影時に最適な処理を判定する。
S1301でシステム制御部115は、SW1がONする直前の角速度センサ125や動体検出部124での出力結果を参照し、デジタルカメラまたは被写体が動いているかどうかを判断する。カメラまたは被写体が動いている場合、動きシーンであると判定し、システム制御部115はS1303へ、動きシーンでない場合はS1302へ処理を進める。
S1302でシステム制御部115は、SW1がONする直前での図3のS305またはS308における等距離判定において等距離シーンであると判定されている場合はS1305へ、等距離シーンと判定されていなければS1304へ処理を進める。
S1304でシステム制御部115は、撮影時の処理としてAFブラケットを行うと決定して本処理を終了する。
S1303でシステム制御部115は、SW1がONする直前の画面内の露出分布をAE処理部103から取得し、画面内に露出差があるシーンと判定された場合はS1305へ、画面内に露出差がないと判定されればS1306へ処理を進める。
S1305でシステム制御部115は、撮影時の処理としてAEブラケットを行うと決定して本処理を終了する。
S1306でシステム制御部115は、撮影時の処理として連写を行うと決定して本処理を終了する。
<本露光用AF>
図14は、図2のS210で実施する本露光用AFの動作を説明するフローチャートである。この処理では、距離情報の取得と、合焦位置を決めるためのAFスキャンを行う。距離情報は、画面内の距離分布に応じたグルーピング結果(以下、距離マップと記す)の生成や、上述した等距離判定処理に用いられる。
まずS1401でシステム制御部115はフォーカスレンズ104をスキャン開始位置へと移動させる。ここでスキャン開始位置とは、たとえば無限遠などのAFスキャン可能な範囲の遠端の位置とする。
S1402でシステム制御部115は図2のS208におけるブラケット判定の結果、撮影時に連写を行うと判定した場合はS1409へ、AFブラケットまたはAEブラケットを行うと判定した場合はS1403へ処理を進める。
S1403でシステム制御部115は距離マップを取得するためにN×M枠のAF枠を設定する(図15(a))。ここでも図4と同様にN=7、M=9として設定したものとする。
S1404でシステム制御部115は距離マップ取得のために、S1403で設定した全てのAF枠についてピーク位置を探索するAFスキャンを行う。
S1405でシステム制御部115はS1404でのスキャンの結果得られた各AF枠のピーク位置に基づき合焦位置を決定する。
S1407でシステム制御部115は図11で説明した等距離判定を行う。
S1408でシステム制御部115は、等距離判定のS1101で補正した各AF枠でのピーク位置の分布から距離マップを作成する。図15(b)は、前方の花と背景の山を撮影した際の各AF枠でのピーク位置を模式的に示している。×はピーク位置が見つからなかったことを示す。ここで、ピーク位置は図10(b)と同様、ステッピングモータのパルス数で示したものである。前方の花はピーク位置が199〜202の範囲に分布しており、背景の山はピーク位置が100〜103の範囲に分布している。
ピーク位置が近く、かつ近接するAF枠をグループ化することで、図15(b)に示すように、ピーク位置が得られているAF枠から3つのフォーカスエリアを抽出することができる。ここで、フォーカスエリア1と2はピーク位置が近いため、1つのフォーカスエリアに統合することによって、フォーカスエリア1、2による背景のグループと、フォーカスエリア3による前方被写体グループに画面内を分割することができる。以上のようにして画面内を距離によって複数のグループに分割する。さらに、画像処理部110において色によって画面内を分割した結果と、距離による分割結果を合わせてグルーピングの精度を高めてもよい。
S1409でシステム制御部115は、被写体検出部123により被写体を検出した場合は被写体位置へAF枠を設定し、被写体未検出時は多枠のAF枠を設定する。ここで、ブラケット判定処理において連写処理を行うと判定した場合は、被写体またはカメラが動いている場合であるため、焦点評価値が動きの影響を受けて各AF枠での合焦精度も悪くなる。そのため、距離による領域の分割は行わず、合焦位置を決めるためだけのAFスキャンを行う。
S1410でシステム制御部115は、合焦位置を決定するためのAFスキャンを行う。ここで、被写体検出時は被写体検出位置に設定したAF枠でピーク位置が見つかるまでスキャンを行い、被写体未検出時は多枠のAF枠の中からピーク位置が近いAF枠のかたまりが得られるまでスキャンを行う。
S1411でシステム制御部115は、S1410でスキャンした結果得られた各AF枠でのピーク位置から合焦位置を決定する。ここで、被写体検出時は被写体検出位置に設定したAF枠でピーク位置が合焦位置となり、被写体検出位置に設定したAF枠でピーク位置が検出できなかった場合は非合焦となる。被写体未検出時はピーク位置が近いAF枠のかたまりが得られた場合は、AF枠のかたまりの中から合焦位置を決めるためのAF枠を決定し、AF枠のかたまりが得られなかった場合は非合焦となる。
S1412でシステム制御部115は、S1407またはS1410において合焦位置が決められた場合はAF処理部105を通じて合焦位置へフォーカスレンズ104を駆動する。非合焦の場合、システム制御部115は予め決められた定点と呼ばれる被写体存在確率の高い位置へフォーカスレンズ104を駆動する。
S1413でシステム制御部115は表示部117に合焦枠および/または非合焦枠を表示する。システム制御部115は、合焦時は合焦位置とその深度内にあるAF枠を合焦枠として表示し、非合焦時は中央など予め決められた位置に非合焦枠を表示する。
ここで、S1404の距離マップ取得用スキャン実施時においては、AF枠の設定数が多いため合焦枠と深度内のAF枠を全て表示するのは見栄えが煩雑になる。そこで図17(a)で示す、合焦位置と深度内のAF枠(実線で示す領域)を含む領域に対して、図17(b)で示すように合焦表示用の枠(点線で示す領域)を再設定して表示する。
<撮影処理>
図16は、図2のS212で実施する撮影処理の動作を説明するフローチャートである。ここでは、図2のS208におけるブラケット判定の結果および図14のS1607の本露光用AF処理における等距離判定による判定結果に応じて適切な撮影処理や画像処理を実施する。
S1601でシステム制御部115は、図2のS208におけるブラケット判定の結果、撮影時にどの処理を実施するように判定されたかを調べる。そして、システム制御部115は、AFブラケットを行うと判定された場合はS1602へ、AEブラケットを行うと判定された場合はS1605へ、連写を行うと判定された場合はS1607へ処理を進める。
S1602でシステム制御部115は、図14のS1407の本露光用AF時の等距離判定において等距離シーンと判定された場合はS1605へ、等距離シーンでないと判定された場合はS1603へ処理を進める。
S1603でシステム制御部115は、図14のS1408において分割した各グループの距離に基づき、AFブラケットを行うフォーカス位置を決定する。
S1604でシステム制御部115はS1603で決定したフォーカス位置においてAFブラケット撮影を行う。ここでは、等距離判定の結果距離、等距離シーンでない、すなわち画面内の被写体距離に差があるシーンと判定されているため、AFブラケットが効果的なシーンである。
S1605でシステム制御部115は、AE処理部103において取得した、SW1がONする直前での画面内の露出差の結果により、AEブラケット時の露出設定を決定してS1606へ処理を進める。
S1606でシステム制御部115は、S1605で決定した露出設定に基づきAEブラケット撮影を行う。
S1607でシステム制御部115はSW1がONする直前の、角速度センサ125や動体検出部124での出力結果に基づき、例えばカメラや被写体の動きが大きいほど速い連写の速度を決定してS1608へ処理を進める。
S1608でシステム制御部115は、S1607で決めた速度に基づいて各部を制御し、連写撮影を行う。
S1609でシステム制御部115は、S1604におけるフォーカスブラケット撮影で得られた各撮影画像について、画面内の主要被写体領域以外の領域に対して距離分布に応じたぼかし処理を施した画像を、画像処理部110を用いて作成する。この際、図14のS1408におけるグルーピング結果や画面内の距離や色の分布を用いることができる。ここでは、等距離判定の結果、被写体距離に差があるシーンと判定した場合においてのみぼかし関連処理を行っているため、距離分布に応じたぼかし処理を精度よく行うことができる。
S1610でシステム制御部115は、検出された被写体領域や図14のS1408におけるグループ分け結果、画面内の距離や色の分布に基づいて画面内の一部を切りだす処理を施した画像を作成する。
<シーン不安定判定>
図18は、図2のS206におけるシーン不安定判定の動作を説明するフローチャートである。S1801でシステム制御部115はシーン変化フラグの設定を行う。詳細については図19を用いて後述する。
S1802でシステム制御部115は、シーン変化フラグがTRUEであればS1803へ、そうでなければシーン不安定判定結果としてFALSEを返す。
S1803でシステム制御部115はAE処理部103で取得した被写体輝度Bvが所定値以上であればS1804へ処理を進める。一方、被写体輝度Bvが所定値未満ならばシーン変化していてもAFスキャン精度が低下するため、システム制御部115はコンティニュアスAFを実行し続けるために判定結果FALSEを返す。
S1804でシステム制御部115は主被写体が図3のS301で設定したAF枠領域の外へ移動したかを判断し、被写体がAF枠領域内であればTRUEを返す。主被写体がAF枠領域内になければAFスキャン実行不可であるため、コンティニュアスAFを実行し続けるために判定結果FALSEを返す。
<シーン変化フラグ設定>
図19は、図18のS1801におけるシーン変化フラグ設定処理を説明するフローチャートである。S1901でシステム制御部115はユーザが撮影シーンを決定する前かどうかを判断するために、角速度センサ125からの出力を参照する。角速度センサ125からの出力が所定値以上であれば、システム制御部115は、まだシーンが決定されておらず、シーン変化ありと判断し、S1910でシーン変化フラグをTRUEとして処理を終了する。
角速度センサ125からの出力が所定値未満ならS1902でシステム制御部115は、前回スキャンした時からカメラの縦横位置が変化したかを角速度センサ125の出力から検出する。縦横位置が変化していればシーン変化ありと判定し、システム制御部115はS1910でシーン変化フラグをTRUEとして処理を終了する。
前回スキャンした時からカメラの縦横位置が変化していなければ、S1903でシステム制御部115は、前回スキャンした時から被写体輝度が所定値以上変化したかをAE処理部103の出力から判定する。被写体輝度が所定値以上変化していればシーン変化ありと判定し、システム制御部115はS1910でシーン変化フラグをTRUEとして処理を終了する。
前回スキャンしたときから被写体輝度が所定値以上変化していなければ、S1904でシステム制御部115は、前回のスキャン実行時と検出有無に変化があった被写体が存在するかどうかを、被写体検出部123の出力から判定する。例えば、前回スキャンしたシーンにて検出された被写体が検出されなくなったり、前回スキャンしたシーンで検出されなかった被写体が検出されたと判定される場合、システム制御部115はシーン変化ありと判定する。そして、システム制御部115はS1910でシーン変化フラグをTRUEとして処理を終了する。
前回のスキャン実行時と検出有無に変化があった被写体が存在しない場合、システム制御部115は処理をS1905に進める。S1905でシステム制御部115は、S205のコンティニュアスAFによって被写体に合焦させ続けた結果、前回スキャン時に求めたピーク位置からフォーカスレンズ104が所定量以上動いたか判別する。フォーカスレンズ104の位置が所定量以上変化した場合、システム制御部115はシーン変化ありと判定し、S1910でシーン変化フラグをTRUEとして処理を終了する。フォーカスレンズ104の位置が所定値以上変化していなければ、システム制御部115は処理をS1906に進める。
S1906でシステム制御部115は、被写体検出部123によって被写体領域が検出されているか判別する。被写体領域が検出されていなければシーン変化なしと判定し、システム制御部115はS1909でシーン変化フラグをFALSEとして処理を終了する。被写体領域が検出されている場合、システム制御部115はS1907で、検出されている被写体領域の位置が前回スキャンした時から所定量以上移動しているかを判定する。被写体領域が所定量以上移動していればシステム制御部115はシーン変化ありと判定し、S1910でシーン変化フラグをTUREとして処理を終了し、そうでなければシーン変化なしとしてS1909でシーン変化フラグをFALSEとして処理を終了する。
<前回参照判定>
図20は、図3のS302における前回参照判定の動作を説明するフローチャートである。
S2001でシステム制御部115は前述したS305の等距離判定の結果、等距離シーンと判定されていればS2004へ、等距離シーンと判定されていなければS2002へ処理を進める。
S2002でシステム制御部115は距離マップが生成できているかを判定し、生成できていればS2005へ、生成できていなければS2003へ処理を進める。ここで、距離マップが生成できているとは図14のS1404にて複数のピークが得られている状態であり、ピークが一つも得られていない場合は距離マップが生成できていないと判定する。
S2005でシステム制御部115は、検出された被写体、つまり、ピークを含むように測距範囲(2)を設定する。また、S2003はスキャン範囲を全域(3)に設定する。S2004でシステム制御部115は、S2001にて画面内の被写体がほぼ等距離に存在していると判定されたので、現在のフォーカスレンズ位置を中心に(2)よりも狭い範囲(1)を設定する。
システム制御部115は、スキャン範囲(1)または(2)を設定した場合(S2004,S2005)に、前回参照判定=TRUE、すなわちシーン変化がないか、少ないと判定する。一方、スキャン範囲(3)、すなわち全域スキャンを設定した場合(S2003)は、前回参照判定=FALSE、すなわちシーン変化が大きく、距離マップの生成が必要と判定する。
以上説明したように、本実施形態によれば、シーン変化があると判定された場合には、被写体の距離情報を再度取得するようにしたため、被写体の距離情報の精度を向上することができ、距離情報を利用した撮影処理や画像処理の精度向上を実現できる。また、撮影シーンに含まれる被写体の距離範囲に応じてAFスキャンの範囲を変更することで、高速な焦点検出動作の実施が可能である。
<像面値補正>
次に、図11のS1101でおこなう像面値補正の詳細について説明する。像面値補正は、像面湾曲や、レンズ・撮像素子の位置関係による像倒れによる、AF枠のピーク位置の誤差を、予め取得した像高ごとの誤差量を基に補正する処理である。
図21は、図11のS1101で実施する像面値補正処理の動作を説明するフローチャートである。ここでは、撮影レンズ101、フォーカスレンズ104、および撮像素子108によって構成される撮影光学系の光学特性に基づき、ピーク位置に生じる誤差を補正する。
撮影光学系が設計上持つ光学特性や、製造上の誤差により、像面湾曲や像面倒れが発生し、光学像面が理想的な傾きのない平面ではなくなるため、像高に応じた誤差がピーク位置に発生する。そのため、同じ距離に存在する被写体に対する焦点評価値のピーク位置が一致しなかったり、異なる距離の被写体に対する焦点評価値のピーク位置が等しくなってしまうといったことが起こりうる。
このような誤差が生じた場合、図14のS1407で行う等距離判定や、S1408で行う距離マップの作成の精度を低下させる原因となる。像面値補正処理では、撮影光学系の光学特性に基づき、像面湾曲や像面倒れを補正し、像面を理想的な傾きのない平面に近い状態で求めたAF評価値のピーク位置に補正することで、ピーク位置の分布に生じる誤差を低減する。
ここで行う光学特性による補正は、像面を、理想的な傾きのない平面に近づける補正である。像面の傾きは像面湾曲と像面倒れによって生じるものと仮定し、傾きの量は中心位置との差分で現わされるものとすると、
像面湾曲は中心からの距離に比例して大きくなり、その形状は二次関数で表現できる
像面倒れは水平方向と垂直方向に各々一次元の関数で表現できる
と規定することができる。
その結果、撮像素子の中心を原点とする直交座標系において、座標(x,y)における像面値の中心との差分Zは
Z=a・r^2 + b・r + c・x + d・y (式1)
と表すことができる。ただし、r^2 = X^2 + y^2、a〜dは係数である。
そこで図14のS1404の距離マップ取得用スキャンで得られた各AF枠に対するピーク位置から式1で求まる値を減じることで像面値を補正することができる。
式1の各係数(a,b,c,d)は、予め多数の個体の像面を撮影時に設定されるズームポジションごと測定して、その平均値を用いることにする。また距離による像面値の差が大きいズームポジションでは、複数の距離において測定を行いその平均値を補正値とする。この距離方向についての補正値に関しては代表的な距離でのみ測定を行い、他の距離については設計値に基づいて計算で求めても良い。
ズームポジションが広角端にある際、図25に示すような、中心(測定点0)と測定点1〜8の合計9点で像面値を測定し、その座標と測定結果(複数個体の平均値)が
x座標 y座標 像面値
xi yi zi
x0’ y0’ z0’
x1’ y1’ z1’
x2’ y2’ z2’
x3’ y3’ z3’
x4’ y4’ z4’
x5’ y5’ z5’
x6’ y6’ z6’
x7’ y7’ z7’
x8’ y8’ z8’
であったとする。
この場合、各測定点と像面値の中心(測定点0)のについて、座標と像面値についての差分(xi=xi’-x0’,yi=yi’-y0’,zi=zi’-z0’(i=0,...,8)を求めると、以下のようになる。
x座標 y座標 像面値差分
xi yi zi
0 0 0
x1 y1 z1
x2 y2 z2
x3 y3 z3
x4 y4 z4
x5 y5 z5
x6 y6 z6
x7 y7 z7
x8 y8 z8
この値を用いると、式1の係数a〜dは、
a = [AveZh・r2 − AveZm・r1] ÷ [r1・r2・(r1 − r2)]
b = [AveZm・r1・r1 − AveZh・r2・r2] ÷ [r1・r2・(r1 − r2)]
AveZh = average (z1, z4, z5, z8)
AveZm = average (z2, z3, z6, z7)
r1 = √(x1・x1 + y1・y1)
r2 = √(x2・x2 + y2・y2)
c = [n・Σ(xi・zi) − Σzi・Σxi] ÷ [n・Σ(xi・xi) − (Σxi)・(Σxi )]
d = [n・Σ(yi・zi) − Σzi・Σyi] ÷ [n・Σ(yi・yi) − (Σyi)・(Σyi )]
と求められる(nは測定点の総数)。
また補正値の係数は、複数の距離および複数のズームポジションのそれぞれについて用意しておく。距離別の補正値は、距離のそれぞれにおいて測定して求めるか、代表的な離散的な距離でのみ測定を行い、他の距離に対応する補正値は測定値と設計値とに基づいて計算で求めても良い。ズームホジションに対応する補正値は、ズームポジションごとに測定して求める。
例えば、ズームポジションが広角端Wおよび望遠端Tとその間の5点(M1〜M5)の7つであり、それぞれについて4つの離散的な距離(L0〜L3)について補正式の係数aを予め用意する場合、
距離L3 L2 L1 L0
W a30 a20 a10 a00
M1 a31 a21 a11 a01
M2 a32 a22 a12 a02
M3 a33 a23 a13 a03
M4 a34 a24 a14 a04
M5 a35 a25 a15 a05
T a36 a26 a16 a06
のようなテーブルとして保存しておくことができる。また補正式の係数b,c,dも同様に保存しておく。
像面値補正の手順を図21のフローチャートを用いて説明する。
S2101において、システム制御部115は、撮影者によって設定された、現在の撮影レンズ101のズームポジションをAF処理部105を通じて読み込む。
次いでS2102にて、現在のズームポジションに対応する補正式の各係数を読み込む。例えば、ズームポジションがWide,M1〜M5,Teleの7つである場合は、設定されているズームポジションの補正係数を読み込めばよい。一方、多数のズームポジションがある場合は、ズームポジションをグループ化して補正式の係数を持ち、設定されたズームポジションが属するグループの値を読み出すようにすることができる。
例えば、ズームポジションがWide,M1〜M99,Teleの101個である場合は補正式の係数aは、
距離L3 L2 L1 L0
W,M1〜M5 a30 a20 a10 a00
M6〜M15 a31 a21 a11 a01
M16〜M25 a32 a22 a12 a02
M26〜M35 a33 a23 a13 a03
M36〜M45 a34 a24 a14 a04
M46〜M55 a35 a25 a15 a05
M56〜M65 a36 a26 a16 a06
M66〜M75 a37 a27 a17 a07
M76〜M85 a38 a28 a18 a08
M86〜M95 a39 a29 a19 a09
M96〜M99,T a310 a210 a110 a010
のように保存しておくことができる。各グループの代表値としては、W,M1〜M5はWideの値、M96〜M99,TはTeleの値、他のグループはその中心のズームポジションの値を用いることにする。これは広角端(Wide)および望遠端(Tele)での撮影頻度が他のズームポジションに比べて高いからである。また補正式の係数b,c,dについても同様である。
そして、S2103でシステム制御部115は、S1405で決定した合焦位置を参照し、S2102で読み込んだ補正式の係数のうち、どの距離の値を使用するかを決定する。合焦位置を距離に換算した値Lが、係数を保持している距離L0〜L3と異なる場合は、換算された距離を挟む距離の係数を使用する。距離L3を無限遠に設定すれば、距離L3より遠側の合焦位置は存在しないので、L3より遠側の距離に関しては考慮する必要はない。しかし、距離L0は撮影頻度を考慮して50cm程度に設定する場合がある。この場合は、距離L0より近側の合焦位置の場合は、距離L0の値を使用する。
よって式に表わすと
L=L3の場合、 a = a3、b = b3、c = c3、d = d3、
L=L2の場合、 a = a2、b = b2、c = c2、d = d2、
L=L1の場合、 a = a1、b = b1、c = c1、d = d1、
L≦L0の場合、 a = a0、b = b0、c = c0、d = d0、
となる。
S2104においてシステム制御部115は、合焦位置の距離Lが、係数を記憶してある特定の距離L0〜L3もしくは距離L0より近距離以外の場合は、記憶された係数を補間して距離Lに対応する係数を求める。
この補間は、例えば係数aに関して図22に示すように、記憶されていない距離に対応する計数値を、隣接する2つの記憶されている値からの直線補間であってよい。具体的には、以下の式に従って補間を行う。
L3>L>L2の場合
a = a2 + (a3 - a2) × ( 1 - L2/L)
b = b2 + (b3 - b2) × ( 1 - L2/L)
c = c2 + (c3 - c2) × ( 1 - L2/L)
d = d2 + (d3 - d2) × ( 1 - L2/L)
L2>L>L1の場合
a = a1 + (a2 - a1) × ( 1/L1 - 1/L ) / ( 1/L1 - 1/L2 )
b = b1 + (b2 - b1) × ( 1/L1 - 1/L ) / ( 1/L1 - 1/L2 )
c = c1 + (c2 - c1) × ( 1/L1 - 1/L ) / ( 1/L1 - 1/L2 )
d = d1 + (d2 - d1) × ( 1/L1 - 1/L ) / ( 1/L1 - 1/L2 )
L1>L>L0の場合
a = a0 + (a1 - a0) × ( 1/L0 - 1/L ) / ( 1/L0 - 1/L1 )
b = b0 + (b1 - b0) × ( 1/L0 - 1/L ) / ( 1/L0 - 1/L1 )
c = c0 + (c1 - c0) × ( 1/L0 - 1/L ) / ( 1/L0 - 1/L1 )
d = d0 + (d1 - d0) × ( 1/L0 - 1/L ) / ( 1/L0 - 1/L1 )
そしてS2105においてシステム制御部115は、各AF枠について、S1404の距離マップ取得用スキャンで得られたピーク位置に対応する合焦距離に応じた係数を用いて式1から求めた像面値補正量Zをピーク位置から減じることにより、像面値を補正する。
この際の式1で用いるx座標、y座標は、例えば図23に示すものを用いる。
距離マップ取得用スキャンは図4等に示すように7×9=63個のAF枠を有しており、その座標は図23に示すようになっている。例えば、00枠の像面を補正する場合は、S1404の距離マップ取得用スキャンで得られた00枠のAF評価値のピーク位置から、x=−1.5、y=0.996として式1で求めた補正値を減じて、00枠の補正された像面値(ピーク位置)を得る。
システム制御部115はこのようにして、各AF枠のx座標・y座標を式1に代入し、00枠〜86枠の63個のAF枠に対する補正値Zを求め、像面値(ピーク位置)を補正する。
本実施形態では、図25に示すような測定点0〜8の9点で像面値を用いて、式1の係数を決定した。しかし、測定された像面値と設計値から求まる像面値との差が閾値未満の場合は、測定値の代わりに設計値を用いてもよく、この場合測定誤差の影響を排除することができる。
このように、光学特性によって生じるピーク位置の誤差を補正することにより、同一距離の被写体について等しいピーク位置を得ることができる。そのため、被写体距離に応じた領域分割や、等距離判定、被写体距離に応じた画像処理など、被写体距離を用いた処理の精度を向上することができる。
(変形例)
なお、図21のS2102で読み込む補正量算出式の係数は、デジタルカメラの個体ごとに実測した値であってもよい。製造工程において、複数の所定の距離、複数の所定のズームポジションで像面値の測定を行い、測定されていない距離とズームポジションについては測定点の結果から補間して求めればよい。
デジタルカメラ100において、補正量算出式の係数を算出して記憶する動作について、図24に示すフローチャートを用いて説明する。この処理は、製造工程で実行するだけでなく、ユーザの指示に応じて実行可能としてもよい。
S2401でシステム制御部115は、使用する変数のリセットなど初期化処理を行う。
S2402でシステム制御部115は、AF処理部105を通じて撮影レンズ101のズームポジションを、測定を開始するズームポジションに設定する。例えば、Wide・M40・M60・M80・Teleのズームポジションで測定するのであれば、ズームポジションをWideに設定する。どのズームポジションで測定するかは予め設定しておく。
S2403でシステム制御部115は、AF処理部105を通じて、フォーカスレンズ104をAF評価値の取得を開始する位置、例えば合焦距離が無限遠に相当するフォーカスレンズ位置へ移動させる。
S2404でシステム制御部115は、撮像素子の中心と、像高の異なる周辺位置8点の計9点のAF評価値を取得する。ここで、AF評価値を取得する位置は、例えば図25に示すように、中心、中心から撮像素子の4角に向かう方向における像高2割の4点および像高7割の4点とする。
9点についてのAF評価値を取得すると、S2405でシステム制御部115は、フォーカスレンズ104が測定の終了位置に到達したか否かを判定する。到達していなければ、S2406でシステム制御部115は、AF処理部105を通じ、次の測定を行う位置へフォーカスレンズ104を移動させ、S2404でAF評価値を取得する処理を繰り返す。測定を無限遠側から行った場合、例えば、フォーカスレンズ104の測定終了位置は50cmなど通常撮影で想定される至近に相当する位置とする。
フォーカスレンズ104が測定の終了位置に到達したならば、S2407でシステム制御部115は、各測定点で取得したAF評価値のピーク位置を求める。
そしてS2408でシステム制御部115は、周辺の8つの測定点のAF評価値のピーク位置x1’,..., x8’と中心のAF評価値のピーク位置x0’の差分を求める。これにより、ある1つの被写体距離について、中心と周辺位置とのピーク位置の差が得られる。
S2409でシステム制御部115は、ズームポジションが測定終了位置に到達したか否かを判定する。到達していなければS2410で、AF処理部105を通じて撮影レンズ101を次の測定を行うズームポジションへ移動させ、S2403からの処理を繰り返す。例えば、Wide・M40・M60・M80・Teleのズームポジションで測定する場合、ズームポジションの測定終了位置はTeleになる。
ズームポジションが測定終了位置に到達していれば、S2411でシステム制御部115は、中心と測定点1〜8とのピーク位置の差が測定されていない距離における、中心と測定点1〜8とのピーク位置の差を求める。この処理を距離補間と称する。
中心におけるピーク位置と、測定点1〜8でのピーク位置の差は、像面値の差に相当するが、この値は光学系の焦点距離が短い(画角が広い)場合は距離依存性が小さい。そこで、Wide側のズームポジションでは、測定した距離における値をそのまま用いる。上述したように、距離L3、L2、L1、L0での係数が保存され、距離L0で測定したならば、距離L0での測定値を、距離L3、L2、L1にそのまま適用する。
Tele側のようにピーク位置の差における距離依存性が大きいズームポジションについては、設計値を基準に所定のオフセット量を加算もしくは減算することで距離補間を行うことができる。例えば、Wide・M40・M60・M80・Teleのズームポジションで測定する場合で、M80からTele側のズームポジションでピーク位置の差の距離依存性が大きいとする。この場合、距離L0の値から、距離L3、L2、L1に対応する異なる値の所定のオフセット量を減算することで、距離L3、L2、L1の値を計算することができる。
S2412でシステム制御部115は、中心と測定点1〜8とのピーク位置の差が測定されていないズームポジションにおける、中心と測定点1〜8とのピーク位置の差を求める。この処理をズーム補間と称する。
ズーム補間は、実測値の直線補間によって実施することができる。例えば、Wide・M40・M60・M80・Teleのズームポジションで測定を行っているとすると、M90の値は広角側および望遠側に隣接するズームポジションでの測定値、すなわちM80とTeleでの測定値を直線補間して求めることができる。
ズームポジションzoom(i)における、中心と周辺位置におけるAF評価値のピーク位置の差分値S(zoom(i))は、以下のように計算することができる。
S(zoom(i)) =S(i-1) + [S(i+1) - S(i-1)] × [zoom(i) - zoom(i-1)] ÷ [zoom(i+1) × zoom(i-1)]
ここで、ズームポジションzoom(i-1)およびzoom(i+1)は、広角側および望遠側でズームポジションzoom(i)に隣接するズームポジションである。また、S(zoom(i-1))およびS(zoom(i+1))はこれらズームポジションにおける中心と周辺位置におけるAF評価値のピーク位置の差分値である。
このズーム補間処理を、記録するズームポジションのぞれぞれにおいて、記録する距離(例えば距離L3、L2、L1、L0)全てについて行う。
このように全ての記録するズームポジション・距離において、周辺8つの測定点におけるAF評価値のピーク位置の、中心におけるピーク位置との差分を算出すると、S2113でシステム制御部115は、式1における係数a〜dを上述の通り求める。
この処理を全ての記録するズームポジション・距離において行ったならば、S2414でシステム制御部115は、求めた値を、所定の不揮発性の記録領域に保存する。
ここでは、1つの距離について、中心におけるAF評価値のピーク値と周辺位置におけるAF評価値のピーク位置との差分値を測定したが、複数の距離について測定してもよい。この場合の測定されない距離の値は、ズーム補間と同様に、直線補間によって求めればよい。もちろん、記録する全ての距離において測定を行えば、補間は不要である。

Claims (8)

  1. 撮像装置であって、
    設定された焦点検出領域の合焦位置を、撮影画像から得られる焦点評価値に基づいて検出するAFスキャンを実行する焦点検出手段と、
    前記AFスキャンにより得られる前記焦点評価値に基づいて、撮影シーンに含まれる被写体距離の分布を求める距離検出手段と、
    前記距離検出手段によって求められた前記被写体距離の分布に基づいて、前記撮像装置の動作を制御する制御手段と、を有し、
    前記距離検出手段は、前記焦点検出領域ごとに、前記焦点評価値がピークとなるフォーカスレンズ位置を検出したのち、検出した前記焦点評価値がピークとなるフォーカスレンズ位置を焦点検出領域の位置に応じて補正して、前記被写体距離の分布を求めることを特徴とする撮像装置。
  2. 前記距離検出手段は、前記撮像装置が有する撮像素子の中央と周辺とで生じる前記焦点評価値がピークとなるフォーカスレンズ位置のずれを補正することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
  3. 前記距離検出手段は、複数の被写体距離について予め保存した、前記焦点評価値がピークとなるフォーカスレンズ位置のずれを求めるための情報を用いて前記フォーカスレンズ位置のずれを補正することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
  4. 前記距離検出手段は、撮影レンズの複数のズームポジションと、複数の被写体距離との組み合わせについて予め保存した、前記焦点評価値がピークとなるフォーカスレンズ位置のずれを求めるための情報を用いて前記焦点評価値がピークとなるフォーカスレンズ位置のずれを補正することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
  5. 前記焦点評価値がピークとなるフォーカスレンズ位置のずれを求めるための情報が、前記撮像装置の個体ごとに実測された値に基づくものであることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の撮像装置。
  6. 前記制御手段は、前記撮影シーンに含まれる被写体距離の分布が予め定めた範囲内であれば、前記撮影シーンを等距離シーンと判定することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の撮像装置。
  7. 前記制御手段は、前記被写体距離の分布に応じて、距離が異なる被写体領域を撮影画像から検出し、前記被写体領域に対し、距離に応じた画像処理を適用することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の撮像装置。
  8. 設定された焦点検出領域の合焦位置を、撮影画像から得られる焦点評価値に基づいて検出するAFスキャンを実行する焦点検出手段を有する撮像装置の制御方法であって、
    距離検出手段が、前記AFスキャンにより得られる前記焦点評価値に基づいて、撮影シーンに含まれる被写体距離の分布を求める距離検出工程と、
    制御手段が、前記距離検出工程によって求められた前記被写体距離の分布に基づいて、前記撮像装置の動作を制御する制御工程と、を有し、
    前記距離検出工程において前記距離検出手段は、前記焦点検出領域ごとに、前記焦点評価値がピークとなるフォーカスレンズ位置を検出したのち、検出した前記焦点評価値がピークとなるフォーカスレンズ位置を焦点検出領域の位置に応じて補正して、前記被写体距離の分布を求めることを特徴とする撮像装置の制御方法。
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