以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態を説明するための撮像装置としてのデジタルカメラの概略構成を示す図である。
図1に示すデジタルカメラは、焦点調節のためのフォーカスレンズ及びズーム倍率変更のためのズームレンズ等を含む撮像レンズ1と、絞り2と、レンズ制御部4と、レンズ駆動部8と、絞り駆動部9と、を有するレンズ装置40を備える。
本実施形態において、レンズ装置40はデジタルカメラ本体に着脱可能なものとして説明するが、デジタルカメラ本体に固定されるものであってもよい。
撮像レンズ1と絞り2は撮像光学系を構成し、撮像光学系はフォーカスレンズを少なくとも含む。このフォーカスレンズは、撮像光学系の焦点を調節するためのレンズであり、単一のレンズ又は複数のレンズで構成される。
フォーカスレンズが、MOD(Minimum Object Distance)端からINF(infinity)端の範囲(すなわち、機械的な駆動限界)で撮像光学系の光軸方向に移動することで焦点調節が行われる。フォーカスレンズが駆動されるMOD端(撮像光学系に近い側)からINF端(撮像光学系から遠い側)の範囲は第一の範囲を構成する。
レンズ装置40のレンズ制御部4は、デジタルカメラ本体のシステム制御部11と有線又は無線によって通信可能に構成される。レンズ制御部4は、システム制御部11からの指令にしたがい、レンズ駆動部8を介して撮像レンズ1に含まれるフォーカスレンズやズームレンズを駆動したり、絞り駆動部9を介して絞り2を駆動したりする。
デジタルカメラ本体は、撮像光学系を通して被写体を撮像するCCD型又はCMOS型イメージセンサ等の撮像素子5と、撮像素子5の出力に接続された相関二重サンプリング処理等のアナログ信号処理を行うアナログ信号処理部6と、アナログ信号処理部6から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログデジタル変換回路7とを備える。アナログ信号処理部6及びアナログデジタル変換回路7は、システム制御部11によって制御される。アナログ信号処理部6及びアナログデジタル変換回路7は撮像素子5に内蔵されることもある。
デジタルカメラの電気制御系全体を統括制御するシステム制御部11は、撮像素子駆動部10を介して撮像素子5を駆動し、レンズ装置40を通して撮像した被写体像を撮像画像信号として出力させる。システム制御部11には、操作部14を通してユーザからの指示信号が入力される。
システム制御部11は、プロセッサとRAM(Ramdom Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等のメモリとにより構成される。システム制御部11は、このROMに記憶された合焦制御プログラムを実行することで、後述する各機能を実現する。
更に、このデジタルカメラの電気制御系は、メインメモリ16と、メインメモリ16に接続されたメモリ制御部15と、アナログデジタル変換回路7から出力される撮像画像信号に対し、補間演算、ガンマ補正演算、及びRGB/YC変換処理等を行って撮像画像データを生成するデジタル信号処理部17と、着脱自在の記録媒体21が接続される外部メモリ制御部20と、カメラ背面等に搭載された表示部23が接続される表示制御部22と、を備える。
メモリ制御部15、デジタル信号処理部17、外部メモリ制御部20、及び表示制御部22は、制御バス24及びデータバス25によって相互に接続され、システム制御部11からの指令によって制御される。
図2は、図1に示すデジタルカメラに搭載される撮像素子5の全体構成を示す平面模式図である。
撮像素子5は、一方向である行方向Xと行方向Xに直交する列方向Yに二次元状に配列された多数の画素が配置される受光面50を有する。この受光面50には、焦点を合わせる対象となるエリアである焦点検出エリア53が図2の例では9つ設けられている。
焦点検出エリア53は、画素として撮像用画素と位相差検出用画素とを含むエリアである。
受光面50のうち焦点検出エリア53を除く部分には、撮像用画素だけが配置される。なお、焦点検出エリア53は、受光面50に隙間無く設けてあってもよい。
図3は、図2に示す1つの焦点検出エリア53の部分拡大図である。
焦点検出エリア53には、画素51が二次元状に配列されている。各画素51は、フォトダイオード等の光電変換部と、この光電変換部上方に形成されたカラーフィルタとを含む。
図3では、赤色光を透過するカラーフィルタ(Rフィルタ)を含む画素51(R画素51ともいう)には“R”の文字を付し、緑色光を透過するカラーフィルタ(Gフィルタ)を含む画素51(G画素51ともいう)には“G”の文字を付し、青色光を透過するカラーフィルタ(Bフィルタ)を含む画素51(B画素51ともいう)には“B”の文字を付している。カラーフィルタの配列は受光面50全体でベイヤ配列となっている。
焦点検出エリア53では、G画素51の一部(図3中の網掛けを付した画素51)が位相差検出用画素52となっている。図3の例では、R画素51とG画素51を含む画素行のうちの任意の画素行における各G画素51と、この各G画素51に対して列方向Yに最も近い同色のG画素51とが、位相差検出用画素52となっている。
図4は、図3に示す位相差検出用画素52のみを示した図である。
図4に示すように、位相差検出用画素52は、位相差検出用画素52Aと位相差検出用画素52Bの2種類の画素を含む。
位相差検出用画素52Aは、撮像レンズ1の瞳領域の一方向に並ぶ異なる部分を通過した一対の光束の一方を受光し受光量に応じた信号を検出する第一の信号検出部である。
位相差検出用画素52Bは、上記一対の光束の他方を受光し受光量に応じた信号を検出する第二の信号検出部である。
なお、焦点検出エリア53において、位相差検出用画素52A,52B以外の複数の画素51は撮像用画素であり、撮像用画素は、撮像レンズ1を通過した上記一対の光束を受光し受光量に応じた信号を検出する。
各画素51の光電変換部上方には遮光膜が設けられ、この遮光膜には、光電変換部の受光面積を規定する開口が形成されている。
撮像用画素51の開口の中心は、撮像用画素51の光電変換部の中心と一致している。これに対し、位相差検出用画素52Aの開口(図4の白抜き部分)の中心は、位相差検出用画素52Aの光電変換部の中心に対し右側に偏心している。また、位相差検出用画素52Bの開口(図4の白抜き部分)の中心は、位相差検出用画素52Bの光電変換部の中心に対して左側に偏心している。ここでいう右方向は、図3で示す行方向Xの一方の方向であり、左方向は行方向Xのもう一方の方向である。
図5は、位相差検出用画素52Aの断面構成を示す図である。図5に示すように、位相差検出用画素52Aは、開口cが光電変換部(PD)に対して右に偏心している。図5に示すように、光電変換部の片側を遮光膜によって覆うことにより、遮光膜で覆った方向と逆の方向から入射した光を選択的に遮光することができる。
この構成により、任意の行にある位相差検出用画素52Aからなる画素群と、この画素群の各位相差検出用画素52Aに対して一方向に同一距離で配置された位相差検出用画素52Bからなる画素群とによって、これら2つの画素群の各々によって撮像される像における行方向Xの位相差量を検出することができる。
なお、撮像素子5は、撮像レンズ1の瞳領域の異なる部分を通過した一対の光束の一方を受光し受光量に応じた信号を検出する第一の信号検出部と、上記一対の光束の他方を受光し受光量に応じた信号を検出する第二の信号検出部とのペアを複数有する構成であればよく、図2〜図5に示した構成に限らない。
例えば、撮像素子5に含まれる全ての画素を撮像用画素51とし、各撮像用画素51を2つに分割して、一方の分割エリアを位相差検出用画素52Aとし、他方の分割エリアを位相差検出用画素52Bとした構成であってもよい。
図6は、撮像素子5に含まれる全ての画素を撮像用画素51とし、各撮像用画素51を2つに分割した構成を示す図である。
図6の構成では、撮像素子5においてRフィルタを搭載する撮像用画素51を2つに分割し、分割した2つをそれぞれ位相差検出用画素R1と位相差検出用画素R2としている。また、撮像素子5においてGフィルタを搭載する撮像用画素51を2つに分割し、分割した2つをそれぞれ位相差検出用画素G1と位相差検出用画素G2としている。更に、撮像素子5においてBフィルタを搭載する撮像用画素51を2つに分割し、分割した2つをそれぞれ位相差検出用画素B1と位相差検出用画素B2としている。
この構成では、位相差検出用画素R1,G1,B1がそれぞれ第一の信号検出部となり、位相差検出用画素R2,G2,B2がそれぞれ第二の信号検出部となる。
第一の信号検出部と第二の信号検出部からは独立に信号を読み出すことができる。そして、第一の信号検出部と第二の信号検出部の信号を加算すると、位相差量のない通常の撮像用信号を得られる。つまり、図6の構成では、全ての画素を、位相差検出用画素と撮像用画素との両方として用いることができる。
図7は、図1に示すシステム制御部11が合焦制御プログラムを実行することで形成される機能ブロックを示す図である。システム制御部11は、ROMに記憶されている合焦制御プログラムを実行することで、位相差検出部11aと、移動許可範囲制御部11bと、レンズ駆動制御部11cと、して機能する。
位相差検出部11aは、9つの焦点検出エリア53の中からユーザ操作等により選択された1つの焦点検出エリア53にある複数の位相差検出用画素52Aから出力された第一の信号群と、この位相差検出用画素52Aとペアを組む位相差検出用画素52Bから出力された第二の信号群とを用いて上記一対の光束によって形成される2つの像の相対的な位置ずれ量である位相差量を検出する。
具体的には、複数の位相差検出用画素52Aから出力される第一の信号群のデータをA[1]…A[k]とし、この位相差検出用画素52Aとペアを構成する位相差検出用画素52Bから出力される第二の信号群のデータをB[1]…B[k]とし、これら2つのデータを“d”ずらしたときの以下の式(1)によって求まる2つのデータ波形によって囲まれる面積S[d]を求める。
位相差検出部11aは、面積S[d]の値が最小となるときのdの値を、第一の信号群と第二の信号群との位相差量として検出する。
移動許可範囲制御部11bは、MOD端からINF端の第一の範囲に設定されるフォーカスレンズの移動を許可する移動許可範囲を制御する。
移動許可範囲制御部11bは、フォーカスレンズが移動される前のフォーカスレンズの第一の位置と、位相差検出部11aにより検出された位相差量に基づくフォーカスレンズの目標合焦位置との差分が大きいほど、移動許可範囲を広くする。
図8は、図1に示すシステム制御部11によるフォーカスレンズの移動許可範囲の制御方法を説明する模式図である。図8において、横軸は時間を示し、縦軸はフォーカス位置(フォーカスレンズの位置)を示す。
図8には、目標合焦位置x(1)〜x(10)と、目標被写体とは別の被写体のフォーカスレンズ位置に換算した位置の軌跡と、目標合焦位置x(1)〜x(10)が決定された時刻において設定される移動許可範囲(双方向矢印で示す)と、が図示されている。
移動許可範囲制御部11bは、フォーカスレンズが目標合焦位置x(1)に移動された状態で、位相差検出部11aにより検出された位相差量に基づいて、フォーカスレンズの移動を許可する移動許可範囲M1を設定する。
具体的には、移動許可範囲制御部11bは、フォーカスレンズが移動される前の現在のフォーカスレンズの位置(目標合焦位置x(1))と、算出した位相差量に基づくフォーカスレンズの目標合焦位置x(2)との差分から、フォーカスレンズの移動を許可する移動許可範囲M1を設定する。
この移動許可範囲M1は、現在のフォーカス位置を起点にしてMOD端側(撮像光学系に近い側)とINF端側(撮像光学系から遠い側)に均等の幅で設定される。
フォーカスレンズが移動される前のフォーカスレンズの位置と、位相差量に基づくフォーカスレンズの目標合焦位置との差分に対する移動許可範囲を示す情報は、デジタルカメラの製造時に予め求められており、システム制御部11のROMに記憶されている。
移動許可範囲制御部11bは、この差分に対応する移動許可範囲を示す情報をROMから読み出し、読み出した移動許可範囲を示す情報を、レンズ駆動部8に伝達することで、上記の差分に基づいて移動許可範囲を設定する。
移動許可範囲は、フォーカスレンズが移動される前のフォーカスレンズの位置と、この位置にフォーカスレンズがある状態で検出された位相差量に基づくフォーカスレンズの目標合焦位置との差分が大きいほど、広い範囲に設定される。
現在のフォーカスレンズの位置と目標合焦位置との差分が大きいということは、合焦させようとしている目標被写体が短時間で撮像光学系の光軸方向に大きく移動している(目標被写体の光軸方向への移動速度が速い)ことを意味する。
したがって、目標被写体が光軸方向に速く移動している場合には、この目標被写体に合焦させることを可能にするため、移動許可範囲が広く設定される。一方、目標被写体が光軸方向にゆっくり移動している場合又は目標被写体が停止している場合には、この目標被写体以外の他の被写体に合焦されるのを防ぐために、移動許可範囲が狭く設定される。
図8では、例えば、フォーカスレンズが目標合焦位置x(3)にある状態で決定された目標合焦位置x(4)と、フォーカスレンズの現在位置(目標合焦位置x(3))との差は、フォーカスレンズが目標合焦位置x(2)にある状態で決定された目標合焦位置x(3)と目標合焦位置x(2)との差よりも大きくなっている。
このため、目標合焦位置x(3)が決定された時刻において設定される移動許可範囲は、目標合焦位置x(2)が決定された時刻において設定される移動許可範囲よりも広くなっている。
このように移動許可範囲が設定されることで、例えば図8の時刻taにおいて、別の被写体位置が目標合焦位置として誤検出されてしまっても、移動許可範囲内でしかフォーカスレンズが移動できないため、合焦位置が目標被写体から大きく外れるのを防ぐことができる。また、目標被写体が別の被写体に高速で近づいている場合には移動許可範囲が広く設定されることで、目標被写体に合焦させることができる。
図7の説明に戻る。レンズ駆動制御部11cは、レンズ制御部4を介してレンズ駆動部8に指令を送り、位相差検出部11aにより検出された位相差量に基づいて、移動許可範囲制御部11bにより制御された移動許可範囲内でフォーカスレンズを駆動させる。
レンズ駆動制御部11cは、位相差検出部11aにより検出された位相差量に基づく目標合焦位置が、移動許可範囲制御部11bにより制御された移動許可範囲内にある場合は、この目標合焦位置にフォーカスレンズを移動させる。
レンズ駆動制御部11cは、位相差検出部11aにより検出された位相差量に基づく目標合焦位置が、移動許可範囲制御部11bにより制御された移動許可範囲外にある場合は、移動許可範囲におけるこの目標合焦位置に近い側の端にフォーカスレンズを移動させる。
図9は、図1に示すシステム制御部11の動作を説明するためのフローチャートである。図9の動作は、例えば動画撮像中に位相差AF方式による合焦制御を継続して行う例を示している。
動画撮像モードに設定されると、位相差検出部11aは、時刻t(n)(nの初期値は0)において撮像素子5の選択された焦点検出エリア53から出力された第一の信号群と第二の信号群とを用いて、時刻t(n)における位相差量p(n)を算出する(ステップS1)。ステップS1は、位相差検出ステップを構成する。
ここで、t(n)の意味は、演算するときの時系列の順番が“n”であり、t(n)はn番目の時間を表すものとする。例えば、ある時間をt(0)=0として、次に位相差量の算出を行なう信号を取得したときの時間が0.5秒後であるなら、t(1)=0.5となる。
移動許可範囲制御部11bは、位相差検出部11aによって算出された位相差量p(n)に基づいて目標合焦位置を決定し、決定した目標合焦位置と、時刻t(n)におけるフォーカスレンズの位置との差分を算出する。移動許可範囲制御部11bは、算出した差分に対応する移動許可範囲をROMから読み出し、読み出した移動許可範囲を設定する(ステップS2)。ステップS2は、移動許可範囲制御ステップを構成する。
次に、レンズ駆動制御部11cは、移動許可範囲制御部11bによって決定された目標合焦位置に基づいて、ステップS2で設定された移動許可範囲内で、フォーカスレンズを移動させる(ステップS3)。ステップS3は、レンズ駆動制御ステップを構成する。
時刻t(n+1)になると、位相差検出部11aは、撮像素子5の選択された焦点検出エリア53から出力された第一の信号群と第二の信号群とを用いて、時刻t(n+1)における位相差量p(n+1)を算出する(ステップS4)。ステップS4は、位相差検出ステップを構成する。
ステップS4で位相差量p(n+1)が算出されると、nが(n+1)に更新され(ステップS5)、その後、ステップS2以降の処理が再び行われる。
以上のように、図1に示すデジタルカメラによれば、図9で説明した動作により、現在のフォーカスレンズの位置と位相差量に基づく目標合焦位置との差分に応じて、フォーカスレンズの移動を許可する範囲を制御することができる。
これにより、高速で動く目標被写体に精度よく合焦させることができると共に、目標被写体以外の別の被写体に合焦してしまうことを防止することができる。
以上の説明では、移動許可範囲制御部11bが、移動許可範囲として、現在のフォーカスレンズの位置を起点として光軸方向の前後に均等の幅となる範囲を設定するものとした。
この変形例として、移動許可範囲制御部11bは、移動許可範囲のうち、現在のフォーカスレンズの位置よりも前の範囲と後ろの範囲との広さを個別に制御してもよい。
図10は、図1に示すシステム制御部11の動作の変形例を説明するためのフローチャートである。図10において図9に示した処理と同じものには同一符号を付して説明を省略する。
以下では、フォーカスレンズの移動範囲において、MOD端側からINF端側に向かう方向をプラス方向と定義し、INF端側からMOD端側に向かう方向をマイナス方向と定義する。
MOD端側からINF端側に向かう方向は、撮像光学系の光軸方向の一方の方向であり、INF端側からMOD端側に向かう方向は、撮像光学系の光軸方向の他方の方向である。
ステップS1の後、移動許可範囲制御部11bは、ステップS1で算出された位相差量p(n)に基づいて目標合焦位置G(n)を算出する(ステップS201)。
次に、移動許可範囲制御部11bは、目標合焦位置G(n)が時刻t(n)におけるフォーカスレンズの位置よりもプラス方向側(INF端側)にあるか否かを判定する(ステップS202)。
移動許可範囲制御部11bは、目標合焦位置G(n)が時刻t(n)におけるフォーカスレンズの位置よりもプラス方向側にあると判定した場合(ステップS202:YES)は、マイナス方向カウント値をリセットし(ステップS203)、目標合焦位置が時刻t(n)におけるフォーカスレンズの位置よりもプラス方向側にある状態を示すプラス方向カウント値を1つ増やす(ステップS204)。
移動許可範囲制御部11bは、目標合焦位置G(n)が時刻t(n)におけるフォーカスレンズの位置よりもマイナス方向側にあると判定した場合(ステップS202:NO)は、プラス方向カウント値をリセットし(ステップS205)、目標合焦位置が時刻t(n)におけるフォーカスレンズの位置よりもマイナス方向側にある状態を示すマイナス方向カウント値を1つ増やす(ステップS206)。
ステップS204又はステップS206の後、移動許可範囲制御部11bは、プラス方向カウント値が閾値th1を超えるか否かを判定する(ステップS207)。閾値th1は2以上の自然数の任意の値に設定される。
ステップS207の判定がYESの場合、移動許可範囲制御部11bは、目標合焦位置G(n)と、時刻t(n)におけるフォーカスレンズの位置との差分を算出し、算出した差分に対応する移動許可範囲をROMから読み出す。
更に、移動許可範囲制御部11bは、読み出した移動許可範囲において、時刻t(n)におけるフォーカスレンズの位置よりもプラス方向側の範囲と、時刻t(n)におけるフォーカスレンズの位置よりもマイナス方向側の範囲との比率を、1:1から、プラス方向側の範囲を相対的に大きくした比率に変更し、変更後の移動許可範囲を設定する(ステップS208)。
ステップS207の判定がNOの場合、移動許可範囲制御部11bは、マイナス方向カウント値が閾値th1を超えるか否かを判定する(ステップS209)。
ステップS209の判定がYESの場合、目標合焦位置G(n)と、時刻t(n)におけるフォーカスレンズの位置との差分を算出し、算出した差分に対応する移動許可範囲をROMから読み出す。
更に、移動許可範囲制御部11bは、読み出した移動許可範囲において、時刻t(n)におけるフォーカスレンズの位置よりもプラス方向側の範囲と、時刻t(n)におけるフォーカスレンズの位置よりもマイナス方向側の範囲との比率を、1:1から、マイナス方向側の範囲を相対的に大きくした比率に変更し、変更後の移動許可範囲を設定する(ステップS210)。
ステップS209の判定がNOの場合、移動許可範囲制御部11bは、目標合焦位置G(n)と、時刻t(n)におけるフォーカスレンズの位置との差分を算出し、算出した差分に対応する移動許可範囲をROMから読み出し、読み出した移動許可範囲を設定する(ステップS211)。
ステップS208、ステップS210、又はステップS211の後は、ステップS3〜ステップS5の処理が行われ、ステップS5の後はステップS201に処理が戻る。ステップS201〜ステップS211は、移動許可範囲制御ステップを構成する。
図11は、図10に示すフローチャートで示されるフォーカスレンズの移動許可範囲の制御方法を説明する模式図である。図11において、横軸は時間を示し、縦軸はフォーカス位置を示す。
図11には、目標合焦位置x(1)〜x(10)と、目標合焦位置x(1)〜x(10)が決定された時刻において設定される移動許可範囲(双方向矢印で示す)と、が図示されている。
図11に示す例では、フォーカスレンズが目標合焦位置x(3)にある状態で目標合焦位置x(4)が決定されると、プラス方向カウント値が“3”となる。
図11の例では、閾値thが“2”に設定されており、目標合焦位置x(4)が決定された時点では、移動許可範囲は、プラス方向側の範囲がマイナス方向側の範囲よりも広く設定される。
また、フォーカスレンズが目標合焦位置x(7)にある状態で目標合焦位置x(8)が決定されると、マイナス方向カウント値が“3”となる。このため、目標合焦位置x(8)が決定された時点では、移動許可範囲は、マイナス方向側の範囲がプラス方向側の範囲よりも広く設定される。
また、フォーカスレンズが目標合焦位置x(5)にある状態で目標合焦位置x(6)が決定されると、プラス方向カウント値がリセットされてマイナス方向カウント値が“1”となる。このため、目標合焦位置x(5)が決定された時点では、移動許可範囲は、マイナス方向側の範囲とプラス方向側の範囲とが同じ比率となるよう設定される。
なお、各時刻で設定される移動許可範囲の大きさは、前述してきたように、フォーカスレンズの現在位置と目標合焦位置との差分によって決められる。
以上のように、目標被写体が一定方向に移動していると判断される場合には、この移動方向側の範囲を広くした移動許可範囲を設定することで、移動している目標被写体への追従性を向上させることができ、合焦精度を向上させることができる。
図12は、図1に示すシステム制御部11の変形例であるシステム制御部11Aの機能ブロックを示す図である。
図12に示すシステム制御部11Aは、移動許可範囲制御部11bが移動許可範囲制御部11bAに変更され、被写界深度情報取得部11dが追加された点を除いては、図7と同じ構成である。
移動許可範囲制御部11bAと被写界深度情報取得部11dは、ROMに記憶された合焦制御プログラムをプロセッサが実行することで形成される機能ブロックである。
図12に示すシステム制御部11Aの被写界深度情報取得部11dは、位相差検出部11aにより検出された位相差量に基づいて、撮像素子5の受光面から目標被写体までの距離である被写体距離を算出する。
被写体距離は、被写界深度を決定するパラメータの1つである。被写体距離が近いと被写界深度は浅くなり、被写体距離が遠いと被写界深度は深くなる。
このように、被写体距離は被写界深度と相関のある情報であるため、被写界深度の情報ということができる。被写界深度情報取得部11dは、被写体距離を算出することで、撮像光学系の被写界深度の情報を取得する。
システム制御部11Aの移動許可範囲制御部11bAは、被写界深度情報取得部11dにより取得された被写体距離が近いほど、つまり、被写体距離に基づく被写界深度が浅いほど、移動許可範囲を広くする。
被写体距離と移動許可範囲とを対応付けたデータは、デジタルカメラの製造時に予め求められており、システム制御部11のROMに記憶されている。
システム制御部11Aの移動許可範囲制御部11bAは、被写界深度情報取得部11dにより取得された被写体距離に対応する移動許可範囲を示す情報をROMから読み出し、読み出した移動許可範囲を設定する。
図13は、図12に示すシステム制御部11Aの動作を説明するためのフローチャートである。図13において図9と同じ処理には同一符号を付して説明を省略する。
ステップS1の後、システム制御部11Aの被写界深度情報取得部11dが、ステップS1で算出された位相差量p(n)に基づいて被写体距離を算出する(ステップS11)。ステップS11は、被写界深度情報取得ステップを構成する。
次に、移動許可範囲制御部11bAは、被写界深度情報取得部11dによって取得された被写体距離に対応する移動許可範囲をROMから読み出して設定する(ステップS12)。ステップS11は、移動許可範囲制御ステップを構成する。
ステップS12の後は、ステップS3〜ステップS5の処理が行われ、ステップS5の後はステップS11以降の処理が再び行われる。
以上のように、システム制御部11Aは、被写体距離に応じて移動許可範囲を制御する。この構成によれば、被写体距離が近く、被写界深度が浅くなる状況では、移動許可範囲が広くなって、目標被写体への追従性を向上させることができる。このため、目標被写体に対して高い精度で合焦させることができる。
また、この構成によれば、被写体距離が遠く、被写界深度が深くなる状況では、移動許可範囲が狭くなって、目標被写体への追従性が低下するものの、被写体深度が深くなっていることから、目標被写体におおよそ合焦した撮像画像を得ることができる。
このように、システム制御部11Aによれば、デジタルカメラとの距離が変化する目標被写体に精度よく合焦させることができると共に、目標被写体以外の別の被写体に合焦してしまうことを防止することができる。
システム制御部11Aの被写界深度情報取得部11dは、被写体距離の代わりに、撮像光学系に含まれる絞り2の絞り値の情報を被写体深度の情報として取得してもよい。
絞り値は、被写界深度を決定するパラメータの1つである。絞り値が小さいと被写界深度は浅くなり、絞り値が大きいと被写界深度は深くなる。このように、絞り値は被写界深度と相関のある情報であるため、被写界深度の情報として扱うことができる。
図14は、図12に示すシステム制御部11Aの動作の第一の変形例を説明するためのフローチャートである。図14において図9と同じ処理には同一符号を付して説明を省略する。
ステップS1の後、システム制御部11Aの被写界深度情報取得部11dが、レンズ装置40のレンズ制御部4から絞り値の情報を取得する(ステップS13)。ステップS13は、被写界深度情報取得ステップを構成する。
次に、移動許可範囲制御部11bAは、被写界深度情報取得部11dによって取得された絞り値に対応する移動許可範囲をROMから読み出して設定する(ステップS14)。ステップS14は、移動許可範囲制御ステップを構成する。
ステップS14の後は、ステップS3〜ステップS5の処理が行われ、ステップS5の後はステップS13以降の処理が再び行われる。
以上のように、この第一の変形例では、絞り値に応じて移動許可範囲が制御される。この構成によれば、絞り値が小さく、被写界深度が浅くなる状況では、移動許可範囲が広くなって、目標被写体への追従性を向上させることができる。このため、目標被写体に対して高い精度で合焦させることができる。
また、この構成によれば、絞り値が小さく、被写界深度が深くなる状況では、移動許可範囲が狭くなって、目標被写体への追従性が低下するものの、被写体深度が深くなっていることから、目標被写体におおよそ合焦した撮像画像を得ることができる。
このように、第一の変形例によれば、デジタルカメラとの距離が変化する目標被写体に精度よく合焦させることができると共に、目標被写体以外の別の被写体に合焦してしまうことを防止することができる。
システム制御部11Aの被写界深度情報取得部11dは、被写体距離又は絞り値の代わりに、撮像光学系に含まれるズームレンズの位置で決まる撮像光学系の焦点距離の情報を被写体深度の情報として取得してもよい。
焦点距離は、被写界深度を決定するパラメータの1つである。焦点距離が短いと被写界深度は浅くなり、焦点距離が長いと被写界深度は深くなる。このように、焦点距離は被写界深度と相関のある情報であるため、被写界深度の情報として扱うことができる。
図15は、図12に示すシステム制御部11Aの動作の第二の変形例を説明するためのフローチャートである。図15において図9と同じ処理には同一符号を付して説明を省略する。
ステップS1の後、システム制御部11Aの被写界深度情報取得部11dが、レンズ装置40のレンズ制御部4から、撮像光学系の焦点距離の情報を取得する(ステップS15)。ステップS15は、被写界深度情報取得ステップを構成する。
次に、移動許可範囲制御部11bAは、被写界深度情報取得部11dによって取得された焦点距離に対応する移動許可範囲をROMから読み出して設定する(ステップS16)。ステップS16は、移動許可範囲制御ステップを構成する。
ステップS16の後は、ステップS3〜ステップS5の処理が行われ、ステップS5の後はステップS15以降の処理が再び行われる。
以上のように、この第二の変形例では、焦点距離に応じて移動許可範囲が制御される。この構成によれば、焦点距離が短く、被写界深度が浅くなる状況では、移動許可範囲が広くなって、目標被写体への追従性を向上させることができる。このため、目標被写体に対して高い精度で合焦させることができる。
また、この構成によれば、焦点距離が長く、被写界深度が深くなる状況では、移動許可範囲が狭くなって、目標被写体への追従性が低下するものの、被写体深度が深くなっていることから、目標被写体におおよそ合焦した撮像画像を得ることができる。
このように、第二の変形例によれば、デジタルカメラに近づいてくる目標被写体に精度よく合焦させることができると共に、目標被写体以外の別の被写体に合焦してしまうことを防止することができる。
なお、システム制御部11Aの被写界深度情報取得部11dは、被写体距離、絞り値、及び、焦点距離のうちの2つ以上を被写界深度の情報として取得してもよい。
この場合、システム制御部11Aの移動許可範囲制御部11bAは、取得した全ての情報に基づいて被写界深度を算出する。システム制御部11AのROMには、被写界深度と移動許可範囲とを対応付けたデータを記憶しておく。そして、システム制御部11Aの移動許可範囲制御部11bAは、算出した被写界深度に対応する移動許可範囲を読み出して設定すればよい。
図16は、図1に示すシステム制御部11の変形例であるシステム制御部11Bの機能ブロックを示す図である。
図12に示すシステム制御部11Bは、移動許可範囲制御部11bが移動許可範囲制御部11bBに変更された点を除いては、図7と同じ構成である。移動許可範囲制御部11bBは、ROMに記憶された合焦制御プログラムをプロセッサが実行することで形成される機能ブロックである。
システム制御部11Bの移動許可範囲制御部11bBは、撮像素子5で撮像して得られる撮像画像データから、焦点検出エリア53により撮像されている被写体の認識を行う。
具体的には、移動許可範囲制御部11bBは、デジタルカメラの起動後に最初に合焦させた被写体の画像を目標被写体の画像としてROMに記憶し、以降は、焦点検出エリア53により撮像されている被写体から目標被写体を認識する処理を繰り返し行う。また、移動許可範囲制御部11bBは、焦点検出エリア53により撮像されている被写体から目標被写体以外の動体を認識する処理も行う。
システム制御部11Bの移動許可範囲制御部11bBは、被写体認識結果に基づいて、フォーカスレンズの移動許可範囲を制御する。移動許可範囲制御部11bBは、目標被写体とは別の被写体(動体)を認識した場合には、目標被写体のみが認識された場合よりも、移動許可範囲を狭くする。
目標被写体とは別の被写体が認識されたときの移動許可範囲と、目標被写体のみが認識されたときの移動許可範囲とを示す情報は、デジタルカメラの製造時に予め求められており、システム制御部11BのROMに記憶されている。
システム制御部11Bの移動許可範囲制御部11bBは、被写体認識結果に対応する移動許可範囲を示す情報をROMから読み出し、読み出した移動許可範囲を設定する。
図17は、図16に示すシステム制御部11Bの動作を説明するためのフローチャートである。図17において図9と同じ処理には同一符号を付して説明を省略する。
ステップS1の後、移動許可範囲制御部11bBは、撮像素子5から撮像画像データを取得し、焦点検出エリア53により撮像されている被写体を認識する(ステップS21)。
次に、移動許可範囲制御部11bBは、被写体認識結果に対応する移動許可範囲をROMから読み出して設定する(ステップS22)。ステップS21とステップS22は、移動許可範囲制御ステップを構成する。
ステップS22の後は、ステップS3〜ステップS5の処理が行われ、ステップS5の後はステップS21以降の処理が再び行われる。
以上のように、システム制御部11Bによれば、目標被写体とは別の被写体が認識された場合には、目標被写体のみが認識された場合よりも移動許可範囲を狭く制御する。このため、フォーカスレンズの移動できる範囲が狭くなることにより、目標被写体以外の別の被写体に合焦するのを防止することができる。この結果、目標被写体に対し高精度で合焦させることができる。
例えば、目標被写体として人物を撮影している状況で、人物の前又は後ろを車が横切るなどして意図しない物体が入り込むと、移動許可範囲が狭くなる。
意図しない物体は、目標被写体の後方又は前方にある場合が多いが、このような場合には、移動許可範囲が狭くなるため、この物体に合焦される可能性は低くなる。一方、目標被写体のみが認識されている状況では移動許可範囲が広くなるため、目標被写体の動きに追従して合焦させることができる。
このように、焦点検出エリア53により撮像している被写体に基づいて移動許可範囲を制御することで、目標被写体に精度よく合焦させることができると共に、目標被写体以外の別の被写体に合焦してしまうことを防止することができる。
図18は、図1に示すシステム制御部11の変形例であるシステム制御部11Cの機能ブロックを示す図である。
図18に示すシステム制御部11Cは、移動許可範囲制御部11bが移動許可範囲制御部11bCに変更され、撮像範囲変化検出部11gが追加された点を除いては、図7と同じ構成である。
移動許可範囲制御部11bCと撮像範囲変化検出部11gは、ROMに記憶された合焦制御プログラムをプロセッサが実行することで形成される機能ブロックである。
システム制御部11Cの撮像範囲変化検出部11gは、撮像素子5で撮像された時系列で並ぶ2つの撮像画像データを比較することで、撮像範囲の変化(撮像範囲の変化量又は撮像範囲の変化速度)を検出する。
撮像範囲とは、レンズ装置40を通して撮像素子5により撮像されている空間の範囲を示す。撮像範囲の変化量と撮像範囲の変化速度は、撮像範囲の変化の状態を示す情報である。
撮像範囲変化検出部11gは、画像処理によって撮像範囲の変化を検出する代わりに、加速度センサをデジタルカメラに搭載しておき、加速度センサからの加速度情報に基づいて、撮像範囲の変化を検出するようにしてもよい。
移動許可範囲制御部11bBは、撮像範囲変化検出部11gにより検出された撮像範囲の変化を示す情報に基づいて、移動許可範囲を制御する。
具体的には、移動許可範囲制御部11bBは、撮像範囲の変化量が予め決められた範囲閾値以上の場合には第一の移動許可範囲を設定し、撮像範囲の変化量が上記の範囲閾値未満の場合には第二の移動許可範囲を設定する。第一の移動許可範囲は、第二の移動許可範囲よりも広い範囲である。
図19は、図18に示すシステム制御部11Cの動作を説明するためのフローチャートである。図19において図9と同じ処理には同一符号を付して説明を省略する。
ステップS1の後、撮像範囲変化検出部11gは、撮像範囲の変化量を検出する(ステップS31)。ステップS31は、撮像範囲変化検出ステップを構成する。
次に、移動許可範囲制御部11bCは、撮像範囲変化検出部11gにより検出された撮像範囲の変化量が範囲閾値以上であるか否かを判定し(ステップS32)、撮像範囲の変化量が閾値以上であると判定した場合(ステップS32:YES)は、移動許可範囲を第一の移動許可範囲に制御する(ステップS33)。
一方、移動許可範囲制御部11bCは、撮像範囲の変化量が範囲閾値未満であると判定した場合(ステップS32:NO)、移動許可範囲を第二の移動許可範囲に制御する(ステップS34)。
ステップS32、ステップS33、及び、ステップS34は、移動許可範囲制御ステップを構成する。
ステップS34の後は、ステップS3〜ステップS5が行われ、ステップS5の後はステップS31以降の処理が繰り返される。
以上のように、システム制御部11Cは、撮像範囲の変化量が範囲閾値以上の場合には、移動許可範囲を広くする。撮像範囲が大きく変わっている場合には、目標被写体の位置が大きく変わっている可能性が高い。このため、この場合には移動許可範囲が広くなることで、目標被写体への追従性を高めて合焦精度を上げることができる。
なお、上記の第一の移動許可範囲は、フォーカスレンズの移動可能な範囲である第一の範囲と同じに設定しておくのがよい。
このようにすることで、撮像範囲が大きく変化したときには、フォーカスレンズが最大限に移動可能な状態となるため、目標被写体への追従性を向上させることができる。
また、図19では、撮像範囲の変化量に応じて2段階で移動許可範囲の広さを変更するものとしたが、移動許可範囲を3段階以上で変化させるようにしてもよい。
また、図19のステップS33において移動許可範囲が広く制御された後、一定時間経過後に、移動許可範囲を第二の移動許可範囲に戻してもよい。
撮像範囲の大きな変化は頻繁には起こらないため、大きな変化があった後は一定時間後に移動許可範囲を元に戻すことで、目標被写体以外の被写体に合焦してしまう可能性を低くすることができる。
図20は、システム制御部11Cの動作の変形例を説明するためのフローチャートである。図20において図19と同じ処理には同一符号を付して説明を省略する。
この変形例では、撮像範囲変化検出部11gが、撮像範囲の変化速度を検出する。撮像範囲の変化速度は、撮像範囲の変化の状態を示す情報である。
ステップS31の後、移動許可範囲制御部11bCは、撮像範囲変化検出部11gにより検出された撮像範囲の変化速度が予め決められた速度閾値以上であるか否かを判定し(ステップS32A)、撮像範囲の変化速度が速度閾値以上であると判定した場合(ステップS32A:YES)は、ステップS33の処理を行う。
一方、移動許可範囲制御部11bCは、撮像範囲の変化速度が速度閾値未満であると判定した場合(ステップS32A:NO)、ステップS34の処理を行う。
ステップS32A、ステップS33、及び、ステップS34は、移動許可範囲制御ステップを構成する。
以上のように、この変形例のシステム制御部11Cは、撮像範囲の変化速度が速度閾値以上の場合には、移動許可範囲を広くする。撮像範囲が速く変化している場合には、目標被写体の位置が大きく変わっている可能性が高い。
このため、この場合には移動許可範囲が広くなることで、目標被写体への追従性を高めて合焦精度を上げることができる。
なお、この変形例における第一の移動許可範囲は、フォーカスレンズの移動可能な範囲である第一の範囲と同じに設定しておくのがよい。
このようにすることで、撮像範囲が速く変化したときには、フォーカスレンズが最大限に移動可能な状態となるため、目標被写体への追従性を向上させることができる。
また、図20では、撮像範囲の変化速度に応じて2段階で移動許可範囲の広さを変更するものとしたが、移動許可範囲を3段階以上で変化させるようにしてもよい。
また、図20のステップS33において移動許可範囲が広く制御された後、一定時間経過後に、移動許可範囲を第二の移動許可範囲に戻してもよい。撮像範囲の速い変化は頻繁には起こらないため、このような変化があった後は一定時間後に移動許可範囲を元に戻すことで、目標被写体以外の被写体に合焦してしまう可能性を低くすることができる。
なお、図12〜図20で説明した動作は、AF方式としてコントラストAF方式を用いた場合にも適用可能である。この場合は、位相差検出部11aの代わりに、コントラスト評価値を算出する機能ブロックを設け、レンズ駆動制御部1cが、コントラスト評価値に基づいてフォーカスレンズを移動させる構成とすればよい。
また以上の説明では、レンズ駆動制御部11cが、制御された移動許可範囲内でフォーカスレンズを駆動させるようにした。ここで、移動許可範囲は、デフォーカス量の数値範囲と対応する。そして、デフォーカス量は位相差量に基づいて決定される。したがって、移動許可範囲は、位相差量の範囲として規定してもよい。
つまり、レンズ駆動制御部11cは、位相差検出部11aにより検出された位相差量と、移動許可範囲制御部11b,11bA,11bB,11bCにより制御された移動許可範囲(位相差量の範囲)とに基づいて、位相差量が移動許可範囲内であれば、この位相差量に基づくデフォーカス量にしたがってフォーカスレンズを移動させ、位相差量が移動許可範囲外であれば、この移動許可範囲の上限又は下限に基づくデフォーカス量にしたがってフォーカスレンズを移動させるようにしてもよい。
このように、位相差量によってフォーカスレンズの移動を許可する範囲を制御することで、フォーカスレンズを駆動するまでの反応を速くすることができ、AF動作を高速に行うことができる。
以上説明したデジタルカメラにおいて、システム制御部11、システム制御部11A、システム制御部11B、及びシステム制御部11Cが、合焦制御装置として機能する。ここまではデジタルカメラを例にしたが、例えば放送用のカメラシステムにおいても本発明を適用可能である。
図21は、本発明の一実施形態を説明するためのカメラシステムの概略構成を示す図である。このカメラシステムは、放送用又は映画用等の業務用のカメラシステムに好適である。
図21に示すカメラシステムは、レンズ装置100と、レンズ装置100が装着される撮像装置としてのカメラ装置300とを備える。
レンズ装置100は、フォーカスレンズ111と、ズームレンズ112,113と、絞り114と、マスターレンズ群115と、を備え、これらが被写体側から順に並べて配置されている。
フォーカスレンズ111、ズームレンズ112,113、絞り114、及びマスターレンズ群115は、撮像光学系を構成する。撮像光学系は、少なくともフォーカスレンズ111を含む。
レンズ装置100は、更に、反射面116aを含むビームスプリッタ116と、ミラー117と、集光レンズ118、セパレータレンズ119、及び撮像素子120を含むAFユニット121と、を備える。撮像素子120は、二次元状に配置された複数の画素を有するCCD型イメージセンサ又はCMOS型イメージセンサ等のイメージセンサである。
ビームスプリッタ116は、光軸K上で絞り114とマスターレンズ群115との間に配置されている。ビームスプリッタ116は、撮像光学系に入射し絞り114を通過した被写体光の一部(例えば被写体光の80%)をそのまま透過させ、この被写体光の一部を除いた残り(例えば被写体光の20%)を光軸Kに対して直交する方向に反射面116aにて反射させる。ビームスプリッタ116の位置は図19に示したものに限らず、光軸K上で撮像光学系の最も被写体側にあるレンズよりも後ろに配置されていればよい。
ミラー117は、ビームスプリッタ116の反射面116aで反射された光の光路上に配置されており、この光を反射させてAFユニット121の集光レンズ118に入射させる。
集光レンズ118は、ミラー117で反射した光を集光する。
セパレータレンズ119は、図21中の破線内に拡大正面図を示すように、撮像光学系の光軸を挟んで一方向(図21の例では水平方向)に並べた配置された2つのレンズ19R及びレンズ19Lから構成される。
集光レンズ118によって集光された被写体光は、これら2つのレンズ19R,19Lの各々を通過して、撮像素子120の受光面(複数の画素が配置された面)の異なる位置に結像する。つまり、撮像素子120の受光面には、一方向にずれた一対の被写体光像と、一方向に直交する方向にずれた一対の被写体光像とが結像する。
ビームスプリッタ116、ミラー117、集光レンズ118、及びセパレータレンズ19は、撮像光学系を通して被写体光像を撮像するカメラ装置300の撮像素子310に、撮像光学系に入射する被写体光の一部を入射させ、この被写体光の一部を除いた残りを撮像素子120に入射させる光学素子として機能する。なお、ミラー117を削除し、ビームスプリッタ116で反射された光を集光レンズ118に直接入射させる構成であってもよい。
撮像素子120は、受光面に複数の画素が二次元状に配置されたエリアセンサであり、受光面に結像した2つの被写体光像の各々に応じた画像信号を出力する。つまり、撮像素子120は、撮像光学系によって結像される1つの被写体光像に対し、水平方向にずれた一対の画像信号を出力する。撮像素子120としてエリアセンサを使うことで、ラインセンサを用いる構成と比較して、ラインセンサ同士の位置を精密に合わせる難しさを回避することができる。
撮像素子120に含まれる画素のうち、水平方向にずれた一対の画像信号の一方を出力する各画素は、撮像光学系の瞳領域の水平方向に並ぶ異なる2つの部分を通過した一対の光束のうち一方の光束を受光し受光量に応じた信号を検出する第一の信号検出部を構成している。
撮像素子120に含まれる画素のうち、水平方向にずれた一対の画像信号の他方を出力する各画素は、撮像光学系の瞳領域の水平方向に並ぶ異なる2つの部分を通過した一対の光束のうち他方の光束を受光し受光量に応じた信号を検出する第二の信号検出部を構成している。
ここでは撮像素子120をエリアセンサとしているが、撮像素子120の代わりに、第一の信号検出部を構成する画素が水平方向に複数配列されたラインセンサをレンズ19Rと対向する位置に配置し、第二の信号検出部を構成する画素が水平方向に複数配列されたラインセンサをレンズ19Lと対向する位置に配置した構成であってもよい。
カメラ装置300は、レンズ装置100の光軸K上に配置されたCCD型イメージセンサ又はCMOS型イメージセンサ等の撮像素子310と、撮像素子310により被写体光像を撮像して得られる画像信号を処理して撮像画像データを生成する画像処理部320と、を備える。
レンズ装置100のブロック構成は、図1のレンズ装置と同様であり、フォーカスレンズを駆動する駆動部と、この駆動部を制御する制御部と、を備える。そして、この制御部が、システム制御部11A、11B、11Cのいずれかとして機能する。
ただし、この制御部に入力される第一の信号群と第二の信号群は、撮像素子120の第一の信号検出部及び第二の信号検出部から出力される信号である。このカメラシステムでは、レンズ装置100の制御部が合焦制御装置として機能する。
業務用のカメラシステムは、動画撮像が基本の使い方となる。このため、図1〜図20で説明したデジタルカメラのシステム制御部11,11A,11B,11Cによる合焦制御が特に有効となる。
ここまではデジタルカメラの放送用のカメラシステムを例にしたが、以下では、撮像装置としてカメラ付のスマートフォンの実施形態について説明する。
図22は、本発明の撮影装置の一実施形態であるスマートフォン200の外観を示すものである。図22に示すスマートフォン200は、平板状の筐体201を有し、筐体201の一方の面に表示部としての表示パネル202と、入力部としての操作パネル203とが一体となった表示入力部204を備えている。また、この様な筐体201は、スピーカ205と、マイクロホン206と、操作部207と、カメラ部208とを備えている。
なお、筐体201の構成はこれに限定されず、例えば、表示部と入力部とが独立した構成を採用したり、折り畳み構造又はスライド機構を有する構成を採用したりすることもできる。
図23は、図22に示すスマートフォン200の構成を示すブロック図である。図23に示すように、スマートフォンの主たる構成要素として、無線通信部210と、表示入力部204と、通話部211と、操作部207と、カメラ部208と、記憶部212と、外部入出力部213と、GPS(Global Positioning System)受信部214と、モーションセンサ部215と、電源部216と、主制御部220とを備える。また、スマートフォン200の主たる機能として、図示省略の基地局装置BSと図示省略の移動通信網NWとを介した移動無線通信を行う無線通信機能を備える。
無線通信部210は、主制御部220の指示にしたがって、移動通信網NWに収容された基地局装置BSに対し無線通信を行うものである。この無線通信を使用して、音声データ、画像データ等の各種ファイルデータ、電子メールデータなどの送受信又は、Webデータやストリーミングデータなどの受信を行う。
表示入力部204は、主制御部220の制御により、画像(静止画像及び動画像)又は文字情報などを表示して視覚的にユーザに情報を伝達するとともに、表示した情報に対するユーザ操作を検出する、いわゆるタッチパネルであって、表示パネル202と、操作パネル203とを備える。
表示パネル202は、LCD(Liquid Crystal Display)、OELD(Organic Electro−Luminescence Display)などを表示デバイスとして用いたものである。
操作パネル203は、表示パネル202の表示面上に表示される画像を視認可能に載置され、ユーザの指又は尖筆によって操作される一又は複数の座標を検出するデバイスである。このデバイスをユーザの指又は尖筆によって操作すると、操作に起因して発生する検出信号を主制御部220に出力する。次いで、主制御部220は、受信した検出信号に基づいて、表示パネル202上の操作位置(座標)を検出する。
図22に示すように、本発明の撮影装置の一実施形態として例示しているスマートフォン200の表示パネル202と操作パネル203とは一体となって表示入力部204を構成しているが、操作パネル203が表示パネル202を完全に覆うような配置となっている。
係る配置を採用した場合、操作パネル203は、表示パネル202外の領域についても、ユーザ操作を検出する機能を備えてもよい。換言すると、操作パネル203は、表示パネル202に重なる重畳部分についての検出領域(以下、表示領域と称する)と、それ以外の表示パネル202に重ならない外縁部分についての検出領域(以下、非表示領域と称する)とを備えていてもよい。
なお、表示領域の大きさと表示パネル202の大きさとを完全に一致させても良いが、両者を必ずしも一致させる必要は無い。また、操作パネル203が、外縁部分と、それ以外の内側部分の2つの感応領域を備えていてもよい。更に、外縁部分の幅は、筐体201の大きさなどに応じて適宜設計されるものである。更にまた、操作パネル203で採用される位置検出方式としては、マトリクススイッチ方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式、静電容量方式などが挙げられ、いずれの方式を採用することもできる。
通話部211は、スピーカ205又はマイクロホン206を備え、マイクロホン206を通じて入力されたユーザの音声を主制御部220にて処理可能な音声データに変換して主制御部220に出力したり、無線通信部210あるいは外部入出力部213により受信された音声データを復号してスピーカ205から出力させたりするものである。また、図22に示すように、例えば、スピーカ205を表示入力部204が設けられた面と同じ面に搭載し、マイクロホン206を筐体201の側面に搭載することができる。
操作部207は、キースイッチなどを用いたハードウェアキーであって、ユーザからの指示を受け付けるものである。例えば、図22に示すように、操作部207は、スマートフォン200の筐体201の側面に搭載され、指などで押下されるとオンとなり、指を離すとバネなどの復元力によってオフ状態となる押しボタン式のスイッチである。
記憶部212は、主制御部220の制御プログラム又は制御データ、アプリケーションソフトウェア、通信相手の名称又は電話番号などを対応づけたアドレスデータ、送受信した電子メールのデータ、WebブラウジングによりダウンロードしたWebデータ又はダウンロードしたコンテンツデータを記憶し、またストリーミングデータなどを一時的に記憶するものである。また、記憶部212は、スマートフォン内蔵の内部記憶部217と着脱自在な外部メモリスロットを有する外部記憶部218により構成される。
なお、記憶部212を構成するそれぞれの内部記憶部217と外部記憶部218は、フラッシュメモリタイプ(flash memory type)、ハードディスクタイプ(hard disk type)、マルチメディアカードマイクロタイプ(multimedia card micro type)、カードタイプのメモリ(例えば、MicroSD(登録商標)メモリ等)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などの格納媒体を用いて実現される。
外部入出力部213は、スマートフォン200に連結される全ての外部機器とのインターフェースの役割を果たすものであり、他の外部機器に通信等(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)、IEEE1394など)又はネットワーク(例えば、インターネット、無線LAN、トゥース(etooth)(登録商標)、RFID(Radio Frequency Identification)、赤外線通信(Infrared Data Association:IrDA)(登録商標)、UWB(Ultra Wideband)(登録商標)、ジグビー(ZigBee)(登録商標)など)により直接的又は間接的に接続するためのものである。
スマートフォン200に連結される外部機器としては、例えば、有/無線ヘッドセット、有/無線外部充電器、有/無線データポート、カードソケットを介して接続されるメモリカード(Memory card)又はSIM(Subscriber Identity Module Card)/UIM(User Identity Module Card)カード、オーディオ・ビデオI/O(Input/Output)端子を介して接続される外部オーディオ・ビデオ機器、無線接続される外部オーディオ・ビデオ機器、有/無線接続されるスマートフォン、有/無線接続されるパーソナルコンピュータ、有/無線接続されるPDA、有/無線接続されるパーソナルコンピュータ、イヤホンなどがある。
外部入出力部213は、このような外部機器から伝送を受けたデータをスマートフォン200の内部の各構成要素に伝達することや、スマートフォン200の内部のデータが外部機器に伝送されるようにすることができる。
GPS受信部214は、主制御部220の指示にしたがって、GPS衛星ST1〜STnから送信されるGPS信号を受信し、受信した複数のGPS信号に基づく測位演算処理を実行し、スマートフォン200の緯度、経度、高度からなる位置を検出する。GPS受信部214は、無線通信部210又は外部入出力部213(例えば、無線LAN)から位置情報を取得できる時には、その位置情報を用いて位置を検出することもできる。
モーションセンサ部215は、例えば、3軸の加速度センサなどを備え、主制御部220の指示にしたがって、スマートフォン200の物理的な動きを検出する。スマートフォン200の物理的な動きを検出することにより、スマートフォン200の動く方向又は加速度が検出される。係る検出結果は、主制御部220に出力されるものである。
電源部216は、主制御部220の指示にしたがって、スマートフォン200の各部に、バッテリ(図示しない)に蓄えられる電力を供給するものである。
主制御部220は、マイクロプロセッサを備え、記憶部212が記憶する制御プログラム又は制御データにしたがって動作し、スマートフォン200の各部を統括して制御するものである。また、主制御部220は、無線通信部210を通じて、音声通信又はデータ通信を行うために、通信系の各部を制御する移動通信制御機能と、アプリケーション処理機能を備える。
アプリケーション処理機能は、記憶部212が記憶するアプリケーションソフトウェアにしたがって主制御部220が動作することにより実現するものである。アプリケーション処理機能としては、例えば、外部入出力部213を制御して対向機器とデータ通信を行う赤外線通信機能や、電子メールの送受信を行う電子メール機能、Webページを閲覧するWebブラウジング機能などがある。
また、主制御部220は、受信データ又はダウンロードしたストリーミングデータなどの画像データ(静止画像又は動画像のデータ)に基づいて、映像を表示入力部204に表示する等の画像処理機能を備える。画像処理機能とは、主制御部220が、上記画像データを復号し、この復号結果に画像処理を施して、画像を表示入力部204に表示する機能のことをいう。
更に、主制御部220は、表示パネル202に対する表示制御と、操作部207、操作パネル203を通じたユーザ操作を検出する操作検出制御を実行する。表示制御の実行により、主制御部220は、アプリケーションソフトウェアを起動するためのアイコン又は、スクロールバーなどのソフトウェアキーを表示したり、あるいは電子メールを作成したりするためのウィンドウを表示する。なお、スクロールバーとは、表示パネル202の表示領域に収まりきれない大きな画像などについて、画像の表示部分を移動する指示を受け付けるためのソフトウェアキーのことをいう。
また、操作検出制御の実行により、主制御部220は、操作部207を通じたユーザ操作を検出したり、操作パネル203を通じて、上記アイコンに対する操作又は、上記ウィンドウの入力欄に対する文字列の入力を受け付けたり、あるいは、スクロールバーを通じた表示画像のスクロール要求を受け付ける。
更に、操作検出制御の実行により主制御部220は、操作パネル203に対する操作位置が、表示パネル202に重なる重畳部分(表示領域)か、それ以外の表示パネル202に重ならない外縁部分(非表示領域)かを判定し、操作パネル203の感応領域又は、ソフトウェアキーの表示位置を制御するタッチパネル制御機能を備える。
また、主制御部220は、操作パネル203に対するジェスチャ操作を検出し、検出したジェスチャ操作に応じて、予め設定された機能を実行することもできる。ジェスチャ操作とは、従来の単純なタッチ操作ではなく、指などによって軌跡を描いたり、複数の位置を同時に指定したり、あるいはこれらを組み合わせて、複数の位置から少なくとも1つについて軌跡を描く操作を意味する。
カメラ部208は、図1に示したデジタルカメラにおける外部メモリ制御部20、記録媒体21、表示制御部22、表示部23、及び操作部14以外の構成を含む。
カメラ部208によって生成された撮像画像データは、記憶部212に記録したり、外部入出力部213又は無線通信部210を通じて出力したりすることができる。
図22に示すスマートフォン200において、カメラ部208は表示入力部204と同じ面に搭載されているが、カメラ部208の搭載位置はこれに限らず、表示入力部204の背面に搭載されてもよい。
また、カメラ部208はスマートフォン200の各種機能に利用することができる。例えば、表示パネル202にカメラ部208で取得した画像を表示することや、操作パネル203の操作入力のひとつとして、カメラ部208の画像を利用することができる。
また、GPS受信部214が位置を検出する際に、カメラ部208からの画像を参照して位置を検出することもできる。更には、カメラ部208からの画像を参照して、3軸の加速度センサを用いずに、或いは、3軸の加速度センサと併用して、スマートフォン200のカメラ部208の光軸方向を判断することや、現在の使用環境を判断することもできる。勿論、カメラ部208からの画像をアプリケーションソフトウェア内で利用することもできる。
その他、静止画又は動画の画像データにGPS受信部214により取得した位置情報、マイクロホン206により取得した音声情報(主制御部等により、音声テキスト変換を行ってテキスト情報となっていてもよい)、モーションセンサ部215により取得した姿勢情報等などを付加して記憶部212に記録したり、外部入出力部213又は無線通信部210を通じて出力したりすることもできる。
以上のような構成のスマートフォン200においても、レンズ装置40を装着可能なアクセサリを提供し、カメラ部208の撮像素子として撮像素子5を用い、図9、図10、図13、図14、図15、図17、図19、又は、図20に例示した処理を行うことで、高精度な合焦制御を行うことができる。
以上説明したように、本明細書には以下の事項が開示されている。
開示された合焦制御装置は、第一の範囲で光軸方向に移動可能なフォーカスレンズを含む撮像光学系を通過した光束を受光し受光量に応じた信号を検出する複数の信号検出部と、上記第一の範囲に設定される上記フォーカスレンズの移動を許可する移動許可範囲を制御する移動許可範囲制御部と、上記複数の信号検出部から出力された信号群に基づいて、上記移動許可範囲制御部により制御された移動許可範囲内で上記フォーカスレンズを移動させるレンズ駆動制御部と、を備える合焦制御装置。
開示された合焦制御装置は、上記複数の信号検出部は、上記撮像光学系の瞳領域の一方向に並ぶ異なる部分を通過した一対の光束の一方を受光し受光量に応じた信号を検出する複数の第一の信号検出部と、上記一対の光束の他方を受光し受光量に応じた信号を検出する複数の第二の信号検出部と、を含み、上記複数の第一の信号検出部から出力された第一の信号群と、上記複数の第二の信号検出部から出力された第二の信号群との位相差量を検出する位相差検出部を更に備え、上記レンズ駆動制御部は、上記位相差量に基づいて上記移動許可範囲内で上記フォーカスレンズを移動させ、上記移動許可範囲制御部は、上記位相差量に基づいてフォーカスレンズが移動される前の上記フォーカスレンズの第一の位置と、上記位相差量に基づくフォーカスレンズの目標合焦位置との差分が大きいほど、上記移動許可範囲を広くする合焦制御装置。
開示された合焦制御装置は、上記移動許可範囲制御部は、上記第一の位置を起点とする光軸方向の前後の範囲を上記移動許可範囲として設定し、更に、上記目標合焦位置が上記第一の位置よりも上記撮像光学系の光軸方向の一方の方向側にある状態が閾値回以上連続する場合には、上記移動許可範囲のうち上記第一の位置よりも上記一方の方向側の範囲を、上記第一の位置よりも上記光軸方向の他方の方向側の範囲よりも大きくする合焦制御装置。
開示された合焦制御装置は、上記撮像光学系の被写界深度の情報を取得する被写界深度情報取得部を更に備え、上記移動許可範囲制御部は、上記情報に基づく被写界深度が浅いほど、上記移動許可範囲を広くする合焦制御装置。
開示された合焦制御装置は、上記撮像光学系は絞りを含み、上記被写界深度情報取得部は、上記絞りの絞り値を上記被写界深度の情報として取得する合焦制御装置。
開示された合焦制御装置は、上記撮像光学系は焦点距離を変更するためのズームレンズを含み、上記被写界深度情報取得部は、上記撮像光学系の焦点距離を上記被写界深度の情報として取得する合焦制御装置。
開示された合焦制御装置は、上記複数の信号検出部は、上記撮像光学系の瞳領域の一方向に並ぶ異なる部分を通過した一対の光束の一方を受光し受光量に応じた信号を検出する複数の第一の信号検出部と、上記一対の光束の他方を受光し受光量に応じた信号を検出する複数の第二の信号検出部と、を含み、上記複数の第一の信号検出部から出力された第一の信号群と、上記複数の第二の信号検出部から出力された第二の信号群との位相差量を検出する位相差検出部を更に備え、上記レンズ駆動制御部は、上記位相差量に基づいて上記移動許可範囲内で上記フォーカスレンズを移動させ、上記被写界深度情報取得部は、上記位相差量に基づいて被写体距離を算出し、算出した被写体距離を上記被写界深度の情報として取得する合焦制御装置。
開示された合焦制御装置は、上記移動許可範囲制御部は、上記撮像光学系を通して被写体を撮像する撮像素子により撮像して得られる撮像画像データを取得し、上記撮像画像データに基づいて、上記複数の信号検出部により撮像されている被写体の認識を行い、目標被写体とは別の被写体が認識された場合には、上記目標被写体のみが認識された場合よりも上記移動許可範囲を狭くする合焦制御装置。
開示された合焦制御装置は、上記撮像光学系による撮像範囲の変化を検出する撮像範囲変化検出部を更に備え、上記移動許可範囲制御部は、上記撮像範囲変化検出部により検出された撮像範囲の変化の状態に基づいて、上記移動許可範囲を制御する合焦制御装置。
開示された合焦制御装置は、上記移動許可範囲制御部は、上記撮像範囲変化検出部により検出された撮像範囲の変化量が範囲閾値以上の場合に、上記撮像範囲の変化量が上記範囲閾値未満の場合よりも上記移動許可範囲を広くする合焦制御装置。
開示された合焦制御装置は、上記移動許可範囲制御部は、上記撮像範囲の変化量が上記範囲閾値以上の場合には、上記移動許可範囲を上記第一の範囲にする合焦制御装置。
開示された合焦制御装置は、上記移動許可範囲制御部は、上記撮像範囲変化検出部により検出された撮像範囲の変化速度が速度閾値以上の場合に、上記撮像範囲の変化速度が上記速度閾値未満の場合よりも上記移動許可範囲を広くする合焦制御装置。
開示された合焦制御装置は、上記移動許可範囲制御部は、上記撮像範囲の変化速度が上記速度閾値以上の場合には、上記移動許可範囲を上記第一の範囲にする合焦制御装置。
開示されたレンズ装置は、上記合焦制御装置と、上記複数の信号検出部に光を入射するためのフォーカスレンズを含む撮像光学系と、を備えるレンズ装置。
開示された撮像装置は、上記合焦制御装置を備える撮像装置。
開示された合焦制御方法は、第一の範囲で光軸方向に移動可能なフォーカスレンズを含む撮像光学系を通過した光束を受光し受光量に応じた信号を検出する複数の信号検出部を用いて上記フォーカスレンズの位置を制御する合焦制御方法であって、上記第一の範囲に設定される上記フォーカスレンズの移動を許可する移動許可範囲を制御する移動許可範囲制御ステップと、上記複数の信号検出部から出力された信号群に基づいて、上記移動許可範囲制御ステップにより制御された移動許可範囲内で上記フォーカスレンズを移動させるレンズ駆動制御ステップと、を備える合焦制御方法。
開示された合焦制御方法は、上記複数の信号検出部は、上記撮像光学系の瞳領域の一方向に並ぶ異なる部分を通過した一対の光束の一方を受光し受光量に応じた信号を検出する複数の第一の信号検出部と、上記一対の光束の他方を受光し受光量に応じた信号を検出する複数の第二の信号検出部と、を含み、上記複数の第一の信号検出部から出力された第一の信号群と、上記複数の第二の信号検出部から出力された第二の信号群との位相差量を検出する位相差検出ステップを更に備え、上記レンズ駆動制御ステップは、上記位相差量に基づいて上記移動許可範囲内で上記フォーカスレンズを移動させ、上記移動許可範囲制御ステップは、上記位相差量に基づいてフォーカスレンズが移動される前の上記フォーカスレンズの第一の位置と、上記位相差量に基づくフォーカスレンズの目標合焦位置との差分が大きいほど、上記移動許可範囲を広くする合焦制御方法。
開示された合焦制御方法は、上記移動許可範囲制御ステップは、上記第一の位置を起点とする光軸方向の前後の範囲を上記移動許可範囲として設定し、更に、上記目標合焦位置が上記第一の位置よりも上記撮像光学系の光軸方向の一方の方向側にある状態が閾値回以上連続する場合には、上記移動許可範囲のうち上記第一の位置よりも上記一方の方向側の範囲を、上記第一の位置よりも上記光軸方向の他方の方向側の範囲よりも大きくする合焦制御方法。
開示された合焦制御方法は、上記撮像光学系の被写界深度の情報を取得する被写界深度情報取得ステップを更に備え、上記移動許可範囲制御ステップは、上記情報に基づく被写界深度が浅いほど、上記移動許可範囲を広くする合焦制御方法。
開示された合焦制御方法は、上記撮像光学系は絞りを含み、上記被写界深度情報取得ステップは、上記絞りの絞り値を上記被写界深度の情報として取得する合焦制御方法。
開示された合焦制御方法は、上記撮像光学系は焦点距離を変更するためのズームレンズを含み、上記被写界深度情報取得ステップは、上記撮像光学系の焦点距離を上記被写界深度の情報として取得する合焦制御方法。
開示された合焦制御方法は、上記複数の信号検出部は、上記撮像光学系の瞳領域の一方向に並ぶ異なる部分を通過した一対の光束の一方を受光し受光量に応じた信号を検出する複数の第一の信号検出部と、上記一対の光束の他方を受光し受光量に応じた信号を検出する複数の第二の信号検出部と、を含み、上記複数の第一の信号検出部から出力された第一の信号群と、上記複数の第二の信号検出部から出力された第二の信号群との位相差量を検出する位相差検出ステップと、上記位相差量に基づいて被写体距離を算出する被写体距離算出ステップと、を更に備え、上記レンズ駆動制御ステップは、上記位相差量に基づいて上記移動許可範囲内で上記フォーカスレンズを移動させ、上記被写界深度情報取得ステップは、上記被写体距離算出ステップにより算出された被写体距離を上記被写界深度の情報として取得する合焦制御方法。
開示された合焦制御方法は、上記移動許可範囲制御ステップは、上記撮像光学系を通して被写体を撮像する撮像素子により撮像して得られる撮像画像データを取得し、上記撮像画像データに基づいて、上記複数の信号検出部により撮像されている被写体の認識を行い、目標被写体とは別の被写体が認識された場合には、上記目標被写体のみが認識された場合よりも上記移動許可範囲を狭くする合焦制御方法。
開示された合焦制御方法は、上記撮像光学系による撮像範囲の変化を検出する撮像範囲変化検出ステップを更に備え、上記移動許可範囲制御ステップは、上記撮像範囲変化検出ステップにより検出された撮像範囲の変化の状態に基づいて、上記移動許可範囲を制御する合焦制御方法。
開示された合焦制御方法は、上記移動許可範囲制御ステップは、上記撮像範囲変化検出ステップにより検出された撮像範囲の変化量が範囲閾値以上の場合に、上記撮像範囲の変化量が上記範囲閾値未満の場合よりも上記移動許可範囲を広くする合焦制御方法。
開示された合焦制御方法は、上記移動許可範囲制御ステップは、上記撮像範囲の変化量が上記範囲閾値以上の場合には、上記移動許可範囲を上記第一の範囲にする合焦制御方法。
開示された合焦制御方法は、上記移動許可範囲制御ステップは、上記撮像範囲変化検出ステップにより検出された撮像範囲の変化速度が速度閾値以上の場合に、上記撮像範囲の変化速度が上記速度閾値未満の場合よりも上記移動許可範囲を広くする合焦制御方法。
開示された合焦制御方法は、上記移動許可範囲制御ステップは、上記撮像範囲の変化速度が上記速度閾値以上の場合には、上記移動許可範囲を上記第一の範囲にする合焦制御方法。
開示された合焦制御プログラムは、第一の範囲で光軸方向に移動可能なフォーカスレンズを含む撮像光学系を通過した光束を受光し受光量に応じた信号を検出する複数の信号検出部を用いて上記フォーカスレンズの位置を制御する合焦制御方法をコンピュータに実行させるための合焦制御プログラムであって、上記合焦制御方法は、上記第一の範囲に設定される上記フォーカスレンズの移動を許可する移動許可範囲を制御する移動許可範囲制御ステップと、上記複数の信号検出部から出力された信号群に基づいて、上記移動許可範囲制御ステップにより制御された移動許可範囲内で上記フォーカスレンズを移動させるレンズ駆動制御ステップと、を備える合焦制御プログラム。