以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施形態を説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る空気調和機11の構成を概略的に示す。空気調和機11は室内機12および室外機13を備える。室内機12は例えば建物内の室内空間に設置される。その他、室内機12は室内空間に相当する環境空間に設置されればよい。また、室内機12は、室内空間の天井付近に設置される。室内機12には室内熱交換器14が組み込まれる。室外機13には圧縮機15、室外熱交換器16、膨張弁17および四方弁18が組み込まれる。室内熱交換器14、圧縮機15、室外熱交換器16、膨張弁17および四方弁18は冷凍回路19を形成する。
冷凍回路19は第1循環経路21を備える。第1循環経路21は四方弁18の第1口18aおよび第2口18bを相互に結ぶ。圧縮機15の吸入管15aは四方弁18の第1口18aに冷媒配管を介して接続される。第1口18aからガス冷媒は圧縮機15の吸入管15aに供給される。圧縮機15は低圧のガス冷媒を所定の圧力まで圧縮する。圧縮機15の吐出管15bは四方弁18の第2口18bに冷媒配管を介して接続される。圧縮機15の吐出管15bからガス冷媒は四方弁18の第2口18bに供給される。第1循環経路21は例えば銅管などの冷媒配管で形成される。
冷凍回路19は第2循環経路22をさらに備える。第2循環経路22は四方弁18の第3口18cおよび第4口18dを相互に結ぶ。第2循環経路22には、第3口18c側から順番に室外熱交換器16、膨張弁17および室内熱交換器14が組み込まれる。室外熱交換器16は、通過する冷媒と周囲の空気との間で熱エネルギーの交換を実現する。室内熱交換器14は、通過する冷媒と周囲の空気との間で熱エネルギーの交換を実現する。第2循環経路22は例えば銅管などの冷媒配管で形成されればよい。
室外機13には送風ファン23が組み込まれる。送風ファン23は室外熱交換器16に関連づけられる。送風ファン23は例えば羽根車の回転に応じて気流を生成する。気流は室外熱交換器16を通り抜ける。通り抜ける気流の流量は羽根車の毎分回転数に応じて調整される。気流の流量に応じて室外熱交換器16では冷媒と空気との間で交換される熱エネルギー量が調整される。
室内機12は本体ユニット25および1対のファンユニット26を備える。本体ユニット25には室内熱交換器14および第1送風ファン27が組み込まれる。第1送風ファン27は室内熱交換器14に関連づけられる。第1送風ファン27は羽根車の回転に応じて気流を生成する。第1送風ファン27の働きで本体ユニット25には室内空気が吸い込まれる。室内空気は室内熱交換器14を通り抜ける。熱交換による冷気または暖気の気流は本体ユニット25から吹き出される。通り抜ける気流の流量は羽根車の毎分回転数に応じて調整される。気流の流量に応じて室内熱交換器14では冷媒と空気との間で交換される熱エネルギー量が調整されることができる。ファンユニット26は室内空気を吸い込んで当該室内空気を吹き出す。
冷凍回路19で冷房運転が設定されると、四方弁18は第2口18bおよび第3口18cを相互に接続し第1口18aおよび第4口18dを相互に接続する。したがって、圧縮機15の吐出管15bから高温高圧の冷媒が室外熱交換器16に供給される。冷媒は室外熱交換器16、膨張弁17および室内熱交換器14を順番に流通する。室外熱交換器16では冷媒の熱エネルギーが外気に放出される。膨張弁17で冷媒は低圧まで減圧される。減圧された冷媒は室内熱交換器14で周囲の空気から吸熱する。冷気が生成される。冷気は第1送風ファン27の働きで室内空間に流される。
冷凍回路19で暖房運転が設定されると、四方弁18は第2口18bおよび第4口18dを相互に接続し第1口18aおよび第3口18cを相互に接続する。圧縮機15から高温高圧の冷媒が室内熱交換器14に供給される。冷媒は室内熱交換器14、膨張弁17および室外熱交換器16を順番に流通する。室内熱交換器14では冷媒の熱エネルギーが周囲の空気に放出される。暖気が生成される。暖気は第1送風ファン27の働きで室内空間に流される。膨張弁17で冷媒は低圧まで減圧される。減圧された冷媒は室外熱交換器16で周囲の空気から吸熱する。その後、冷媒は圧縮機15に戻される。
図2は第1実施形態に係る室内機12の外観を概略的に示す。室内機12の本体ユニット25は主筐体28を備える。主筐体28では筐体本体29にアウターパネル31が覆い被さる。筐体本体29には第1吹出口32が形成される。アウターパネル31には第1吸込口(図示されず)が形成される。第1吹出口32は下向きに開口する。筐体本体29は例えば室内の壁面に固定されることができる。第1吹出口32では前端32aは後端32bに比べて床面から高い位置に配置される。その結果、第1吹出口32は所定の傾斜角αで前上がりの姿勢に形成される。こうした傾斜角αの働きで気流は第1吹出口32から床面に向かって下向きに吹き出されることができるだけでなく床面に平行に水平方向に吹き出されることができる。
第1吹出口32には前後1対の上下風向板33a、33bが配置される。上下風向板33a、33bはそれぞれ水平軸線34a、34b回りで回転することができる。これら水平軸線34a、34bは上下風向板33a、33bの後端に設定されればよい。回転に応じて上下風向板33a、33bは第1吹出口32を開閉することができる。
また、図3に示すように、第1吹出口32には複数枚の左右風向板43が併せて配置される。左右風向板43は水平方向に等間隔で配列される。個々の左右風向板43は回転軸線44回りで回転することができる。回転軸線44は鉛直平面内で延びる。
左右風向板43には回転軸線44に同軸に突軸45が形成される。突軸45は、例えば、左右風向板43の上下(またはいずれか一方)から突出する。突軸45は回転軸線44回りで回転自在に筐体本体29に連結される。連結にあたって突軸45は例えば筐体本体29に固定の軸受け部材に受け止められればよい。
突軸45には左右風向板駆動源46が接続される。左右風向板駆動源46は例えば電動モータで構成されることができる。接続にあたって例えば個々の左右風向板43には連結軸47が形成される。連結軸47は回転軸線44からずれた位置で回転軸線44に平行に延びる。連結軸47には連結軸47の軸心回りに回転自在にラック部材48が連結される。電動モータの駆動軸には駆動ギア49が取り付けられる。駆動ギア49はラック部材48のギア51に噛み合う。こうして電動モータの回転はラック部材48の直線運動に変換される。ラック部材48は回転軸線44回りで連結軸47の揺動を引き起こす。こうして左右風向板43の回転は引き起こされる。
筐体本体29の両側面には個別にファンユニット26が設置される。ファンユニット26は筐体本体29の側壁の外側に配置される。ファンユニット26はそれぞれ筐体35を備える。ファンユニット26の筐体35には第2吹出口36が形成される。後述されるように、第2吹出口36は水平軸線37回りで移動することができる。水平軸線34a、34b、37は相互に平行に延びる。筐体35の側面にはアウターパネル31のサイドパネル31aが覆い被さる。サイドパネル31aには第2吸込口38が形成される。第2吸込口38は例えば小開口の集合体で形成されることができる。
第2吹出口36には左右風向板64が配置される。第2吹出口36は、第2吸込口36からファンユニット26の筐体35に取り込まれた室内空気を吹出す。第2吹出口36から気流は室内空間へ吹出す。筐体35が水平軸線37回りで回転駆動すると、第2吹出口36は重力方向に上下に変位することが出来る。第2吹出口36から吹出される気流の向きは変更されることができる。第2吹出口36には、左右風向板64が取り付けられる。ここでは、図2に示すように、3枚の左右風向板64が筐体35に上下両方向から支持される。左右風向板64は、第2吹出口36に対して水平方向に等間隔で配列される。左右風向板64は、第2吹出口36に繋がる気流の通路に上下方向で直交する回転軸回りで回転することができる。この構造で、第2吹出口36から吹出される気流を左右方向に偏向させることが出来る。
図4は空気調和機11の制御系を概略的に示す。制御ユニット79は冷暖房確立部81を備える。冷暖房確立部81は冷凍回路19の動作を制御する。冷暖房確立部81の制御に応じて冷凍回路19では冷房運転の動作または暖房運転の動作が選択的に確立される。冷房運転または暖房運転の確立にあたって冷暖房確立部81には室外機13が接続される。冷暖房確立部81は圧縮機15や膨張弁17、四方弁18の動作を制御する。こうした制御にあたって冷暖房確立部81は圧縮機15や膨張弁17、四方弁18に制御信号を供給する。例えば四方弁18では制御信号の働きで弁の位置は切り替えられる。
制御ユニット79は本体ユニット制御ブロック82を備える。本体ユニット制御ブロック82は本体ユニット25の動作を制御する。本体ユニット制御ブロック82は第1送風ファン制御部83、上下風向板制御部84および左右風向板制御部85を有する。第1送風ファン制御部83には第1ファン駆動源73が電気的に接続される。第1送風ファン制御部83は第1ファン駆動源73の動作を制御する。この制御にあたって第1送風ファン制御部83は第1ファン駆動源73に第1駆動信号を供給する。第1駆動信号の供給に応じて第1ファン駆動源73は第1送風ファン27の始動や停止、毎分回転数の制御を実行する。上下風向板制御部84には本体ユニット25の上下風向板駆動源40が電気的に接続される。上下風向板制御部84は上下風向板駆動源40の動作を制御する。この制御にあたって上下風向板制御部84は上下風向板駆動源40に制御信号を供給する。制御信号の供給に応じて上下風向板駆動源40は上下風向板33a、33bの向きの制御を実現する。左右風向板制御部85には左右風向板駆動源46が電気的に接続される。左右風向板制御部85は左右風向板駆動源46の動作を制御する。この制御にあたって左右風向板制御部85は左右風向板駆動源46に制御信号を供給する。制御信号の供給に応じて左右風向板駆動源46は左右風向板43の向きの制御を実現する。
制御ユニット79はファンユニット制御ブロック86を備える。ファンユニット制御ブロック86はファンユニット26の動作を制御する。ファンユニット制御ブロック86は第2送風ファン制御部87、筐体姿勢制御部88および左右風向板制御部89を有する。第2送風ファン制御部87には第2ファン駆動源74が個々に電気的に接続される。第2送風ファン制御部87は2つの第2ファン駆動源74の動作を個別に制御する。この制御にあたって第2送風ファン制御部87は第2ファン駆動源74に第2駆動信号を供給する。第2駆動信号の供給に応じて第2ファン駆動源74は第2送風ファン57の始動や停止、毎分回転数の制御を実行する。筐体姿勢制御部88にはファンユニット26のファン筐体駆動源77が個々に電気的に接続される。筐体姿勢制御部88はファン筐体駆動源77の動作を制御する。この制御にあたって筐体姿勢制御部88はファン筐体駆動源77に個別に第3駆動信号を供給する。第3駆動信号の供給に応じてファン筐体駆動源77は筐体35の向きの制御を実現する。左右風向板制御部89には左右風向板駆動源67が個々に電気的に接続される。左右風向板制御部89は左右風向板駆動源67の動作を制御する。この制御にあたって左右風向板制御部89は左右風向板駆動源67に制御信号を供給する。制御信号の供給に応じて左右風向板駆動源67は左右風向板64の向きの制御を実現する。
制御ユニット79には例えば受光センサ91が接続される。受光センサ91には例えばリモコンユニットから無線で指令信号が供給される。指令信号は例えば空気調和機11の動作モードや設定室温を特定する。指令信号にはリモコンユニットの操作に応じて動作モードや設定室温が記述される。動作モードには例えば「冷房運転」「暖房運転」「除湿運転」「送風運転」などが挙げられる。受光センサ91は受信した指令信号を出力する。指令信号は冷暖房確立部81、本体ユニット制御ブロック82およびファンユニット制御ブロック86にそれぞれ供給される。冷暖房確立部81、本体ユニット制御ブロック82およびファンユニット制御ブロック83は、指令信号で特定される動作モードや設定室温に応じて動作する。
制御ユニット79には室温センサ92が接続される。室温センサ92は例えば室内機12に取り付けられる。室温センサ92は室内機12の周囲の温度を検出する。検出結果に応じて室温センサ92は温度信号を出力する。温度信号で室温は特定される。温度信号は例えば本体ユニット制御ブロック82およびファンユニット制御ブロック86に供給される。本体ユニット制御ブロック82およびファンユニット制御ブロック86は、制御の実行にあたって、温度信号で特定される温度を参照することができる。
制御ユニット79には人感センサ93が接続される。人感センサ93は例えば室内機12に取り付けられる。人感センサ93は在室者の存在や在室者の位置を検知する。検知結果に応じて人感センサ93は検知信号を出力する。検知信号で在室者の有無や位置は特定される。検知信号は例えば冷暖房確立部、本体ユニット制御ブロック82およびファンユニット制御ブロック86に供給される。冷暖房確立部81、本体ユニット制御ブロック82およびファンユニット制御ブロック86は、制御の実行にあたって、検知信号で特定される在室者の有無や位置を参照することができる。
なお、制御ユニット79は例えばマイクロプロセッサユニット(MPU)といった演算処理回路で構成されることができる。演算処理回路には例えば不揮発性の記憶装置が内蔵されることもでき外付けされることもできる。記憶装置には所定の制御プログラムが格納されることができる。演算処理回路は制御プログラムを実行することで制御ユニット79として機能することができる。
次に空気調和機11の動作を説明する。例えば冷房運転の第1モードが設定されると、冷暖房確立部81は、冷房運転の動作を確立する制御信号を出力する。制御信号は圧縮機15や膨張弁17、四方弁18に供給される。四方弁18は第2口18bおよび第3口18cを相互に接続し第1口18aおよび第4口18dを相互に接続する。圧縮機15の動作に応じて冷媒が冷凍回路19を循環する。その結果、室内熱交換器14で冷気が生成される。冷気の温度は少なくとも室内空気の温度よりも低い。室温センサ92で検出される室温に応じて圧縮機15の動作は制御される。その他、例えば人感センサ93で在室者の不存在が所定の期間にわたって検出されると、圧縮機15は停止されてもよい。
本体ユニット制御ブロック82の第1送風ファン制御部83は、第1送風ファン27を駆動する第1駆動信号を出力する。第1駆動信号は第1ファン駆動源73に供給される。第1送風ファン27は回転する。冷気の気流が第1吹出口32から吹き出る。このとき、本体ユニット制御ブロック82の上下風向板制御部84は、本体ユニット25の上下風向板33a、33bを駆動する制御信号を出力する。その制御信号は上下風向板駆動源40に供給される。図8(a)に示されるように、上下風向板33a、33bの水平姿勢が確立される。上下風向板33a、33bは水平方向に第1吹出口32からの気流94の吹き出しを誘導する。冷気の気流94は第1吹出口32から水平方向に吹き出す。
ファンユニット制御ブロック86の第2送風ファン制御部87は、個々の第2送風ファン57を駆動する第2駆動信号を出力する。第2駆動信号は個々の第2ファン駆動源74に個別に供給される。第2送風ファン57は回転する。ファンユニット26では筐体35内の空間に第2吸込口38および開口61から室内空気が吸い込まれる。室内空気の温度は室温に等しい。吸い込まれた室内空気の気流はファンユニット26の第2吹出口36から吹き出す。このとき、ファンユニット制御ブロック86の筐体姿勢制御部88は第1および第2ブラケット63、76に対して環状壁62、75を駆動する第3駆動信号を出力する。第3駆動信号は個々のファンユニット26ごとにファン筐体駆動源77に供給される。筐体35の姿勢は水平姿勢から前下がりに変化することができる。筐体35は水平方向よりも下向きに第2吹出口36からの気流95の吹き出しを誘導する。室内空気の気流95は第2吹出口36から下向きに吹き出す。
図9に示されるように、一般に、室内機12は室内で比較的に高い位置に設置される。冷気の気流94が水平方向に誘導されれば、冷気は高い位置から床面に向かって下降していく。室内では徐々に冷気が蓄積されていく。このとき、ファンユニット26は在室者Mに直接に室内空気の気流95を向けることができる。ファンユニット26は冷房運転時にいわゆる扇風機の代わりとして機能することができる。室内空気の気流95には冷気の混入は防止されることができ、その結果、在室者Mは心地よい涼感を得ることができる。在室者Mは、室内の温度低下に基づく涼感に加え、気流95の冷却効果に基づく涼感を得ることができる。
しかも、筐体姿勢制御部88は、人感センサ93から出力される検知信号に基づきファンユニット26の筐体35の姿勢を決定することができる。同時に、ファンユニット26の左右風向板制御部89は、人感センサ93から出力される検知信号に基づき左右風向板64の向きを決定することができる。こうして人感センサ93の働きで第2吹出口36の気流95は高い精度で在室者Mに向けられることができる。人感センサ93の働きによれば、室内空気の気流95は在室者Mの移動に追従することもできる。在室者Mが移動しても、室内空気の気流95は的確に在室者Mに到達することができる。在室者Mは確実に気流95の冷却効果に基づく涼感を得ることができる。筐体姿勢制御部88は2つの筐体35の姿勢を個別に独立に制御することができ、その結果、在室者Mの人数や配置に応じて2つの筐体35の姿勢は的確に制御されることができる。個々のファンユニット26ごとに室内空気の気流95は確実に在室者Mに向けられることができる。
次に、冷房運転におけるファンユニット26の気流95を左右方向に一端から他端までスイングさせる動作について説明する。ファンユニット26の第2吹出口36には、図2に示すように、左右風向板64が配置される。この左右風向板64によって、気流95は左右の任意の方向に偏向できる。なお、第1吹出口32からの気流94は据付位置に応じて左右方向の任意の位置に固定されている。本実施例では正面方向に固定されている。
本体の気流94とファンユニット26の気流95の左右方向へのスイング動作は図5で示すように全部で5段階(図5(d)に示される「右方向」、図5(b)に示される「やや右方向」、図5(a)に示される「正面方向」、図5(c)に示される「やや左方向」、図5(e)に示される「左方向」)ある。図5(a)に示すように、「正面方向」では、本体の第1吹出口32および左右の第2吹出口(36a、36b)は正面方向に向けられる。図5(b)に示すように、「やや右方向」では、本体の第1吹出口32は正面方向に固定され、左右の第2吹出口(36a、36b)は正面方向に向けた状態から右側に少し傾けている。図5(c)に示される「やや左方向」と図5(d)に示される「右方向」と図5(e)に示される「左方向」も同様に、本体の第1吹出口32は正面方向に向けられ、左右の第2吹出口(36a、36b)を正面方向に向けた状態から左右それぞれに任意の角度だけ傾けられる。なお、図5(b)に示される「やや右方向」の気流95は、図5(d)に示される「右方向」の気流95よりも正面方向に寄っている。また、図5(c)に示される「やや左方向」の気流95も同様に、図5(e)に示される「左方向」の気流95よりも正面方向に寄っている。また、第1吹出口32から吹出される気流94は水平方向に向かって天井付近に吹出され、左右の第2吹出口から吹出される気流95は気流94よりもやや下向きに向かって吹出される。このため、調和空気である気流94を室内にいる人に直接当てず、室内空気である気流95を室内にいる人に直接当てることで、人が寒すぎると感じることを防いでいる。
本体内の制御ユニット79内には、本体の室内空間での配置位置が記憶されている。この配置位置に応じて、制御ユニット79が左右風向板64を動作させて、気流95の方向を図5に示す5段階の中から任意の3段階を選択する。例えば、本体が室内空間の中央に設置されている場合は図5(a)に示される「正面方向」を中央方向に設定し、気流95を図5(b)に示される「やや右方向」と図5(a)に示される「正面方向」と図5(c)に示される「やや左方向」の3段階に順次変更する。この時、「やや右方向」と「やや左方向」が一端と他端になる。
次に、スイング動作手順について図7のフローチャートを基に説明する。図7のフローチャートに示すように、制御ユニット79は、スイング動作を開始する(ST101)と、第1吹出口32から吹出される気流94を「正面方向」に向ける(ST102)。
気流94を「正面方向」に向けた後、制御ユニット79は左右の第2吹出口から吹出される気流95を「正面方向」に向ける(ST103)。気流95を「正面方向」に向けた後、制御ユニット79はスイング動作を第1の所定時間(30秒)停止する(ST104)。第1の所定時間停止した後、制御ユニット79はスイング動作を停止する信号を受信していないか確認する(ST105)。もし、停止信号を受信している場合(ST105−No)、制御ユニット79はスイング動作を停止する(END)。もし、停止信号を受信していない場合(ST105−Yes)、制御ユニット79はスイング動作を続ける。ST106に進む。
次に、制御ユニット79は気流95を「やや右方向」に向ける(ST106)。気流95を「やや右方向」に向けた後、制御ユニット79はスイング動作を第2の所定時間(20秒)停止する(ST107)。第2の所定時間停止した後、制御ユニット79はスイング動作を停止する信号を受信していないか確認する(ST108)。もし、停止信号を受信している場合(ST108−No)、制御ユニット79はスイング動作を停止する(END)。もし、停止信号を受信していない場合(ST108−Yes)、制御ユニット79はスイング動作を続ける。ST109に進む。
次に、制御ユニット79は気流95を「正面方向」に向ける(ST109)。気流95を「正面方向」に向けた後、制御ユニット79はスイング動作を第1の所定時間(30秒)停止する(ST110)。第1の所定時間停止した後、制御ユニット79はスイング動作を停止する信号を受信していないか確認する(ST111)。もし、停止信号を受信している場合(ST111−No)、制御ユニット79はスイング動作を停止する(END)。もし、停止信号を受信していない場合(ST111−Yes)、制御ユニット79はスイング動作を続ける。ST112に進む。
次に、制御ユニット79は気流95を「やや左方向」に向ける(ST112)。気流95を「やや左方向」に向けた後、制御ユニット79はスイング動作を第2の所定時間(20秒)停止する(ST113)。第2の所定時間停止した後、制御ユニット79はスイング動作を停止する信号を受信していないか確認する(ST114)。もし、停止信号を受信している場合(ST114−No)、制御ユニット79はスイング動作を停止する(END)。もし、停止信号を受信していない場合(ST114−Yes)、制御ユニット79はスイング動作を続ける。ST103に戻る。
以上の流れを、制御ユニット79は、スイング動作の停止信号を受信するまで、図5(b)に示される「やや右方向」と図5(a)に示される「正面方向」と図5(c)に示される「やや左方向」の3段階を順次繰り返す。なお、第1の所定時間は第2の所定時間よりも長く設定されている。
本体が室内空間の左端に設置されている場合は、図5(b)に示される「やや右方向」を中央方向に設定し、吹出す方向を図5(a)に示される「正面方向」と図5(b)に示される「やや右方向」と図5(d)に示される「右方向」の3段階で順次変更する。本体が室内空間の右端に設置されている場合は、図5(c)に示される「やや左方向」を中央方向に設定し、吹出す方向を図5(a)に示される「正面方向」と図5(c)に示される「やや左方向」と図5(e)に示される「左方向」の3段階で順次変更する。
気流95の吹出す方向を所定の方向まで回動した後に停止する所定時間として、本実施例では第1の所定時間が30秒間、第2の所定時間が20秒間停止している。これは、気流95を吹出し方向の遠くまでに送風するためである。所定時間が経過した後は、気流95の吹出す方向にまで回動し、また、所定時間だけ停止する。この動作を順次繰り返す。
次に、冷房運転における本体の気流94とファンユニット26の気流95を上下方向に一端から他端までスイングさせる動作について説明する。ファンユニット26の筐体35が水平軸線37回りで回転駆動することで、ファンユニット26の気流95を上下方向にスイングさせることが出来る。
ファンユニット26の気流95の上下方向へのスイング動作は、図8(a)に示すようにファンユニット26の第2吹出口36を水平方向に向けた時が「上方向」となり、図8(b)に示すようにファンユニット26の第2吹出口36を斜め下方向に向けた時が「下方向」となる。ファンユニット26の第2吹出口36を「上方向」と「下方向」の真ん中の高さ方向に向けた時が「中心方向」となる。気流95を上下方向へスイングしている間は、本体の気流94は、常に水平方向に向かって天井付近に吹出される。「上方向」と「下方向」が一端と他端になる。
ファンユニット26の気流95の上下方向へのスイング動作は、左右方向へのスイング動作と同様に、「上方向」と「中心方向」と「下方向」の3段階を順次繰り返す。この時、「上方向」と「下方向」の状態までファンユニット26を回動した後は、第1の所定時間だけファンユニット26の回動を停止する。一方、「中心方向」の状態までファンユニット26を回動した後では、第2の所定時間だけファンユニット26の回動を停止する。左右方向へのスイング動作と同様に、第1の所定時間は第2の所定時間よりも長く設定している。
なお、本実施例では第1の所定時間は第2の所定時間よりも長く設定されているが、本発明ではこれに限定したものではなく、各方向での本体から室内の壁までの距離に比例して所定時間を変更しても良い。
また、本実施例では各段階に変更した後に所定時間、左右風向板64の回動およびファンユニット26の回動を停止しているが、本発明はこれに限定したものではなく、各段階に変更するまでに掛かる時間を所定時間として設定しても良い。特に、左右方向にスイング動作する際に、スイング動作を図5(a)に示される「正面方向」までに回動するのに掛かる時間を、他の方向までに回動するのに掛かる時間よりも短くしても良く、また、本体から室内の壁までの距離に比例して、回動に掛かる時間を長くするなど適宜設定を変更しても良い。なお、回動に掛かる時間を変えるために、左右風向板64を動かす速さ(スイング速度)またはファンユニット26を回動する速さ(スイング速度)を変えても良い。例えば、「正面方向」を含む予め定めた第1の範囲内でのスイング速度と、「正面方向」を含まない予め定めた第2の範囲内でのスイング速度とを異ならせても良い。以上より、気流95を予め定めた方向に対して送風する時間が他の方向に対して送風する時間よりも長いため、予め定めた方向に気流95を十分に送風することが出来る。
次に、暖房運転が設定されると、冷暖房確立部81は、暖房運転の動作を確立する制御信号を出力する。制御信号は圧縮機15や膨張弁17、四方弁18に供給される。四方弁18は第2口18bおよび第4口18dを相互に接続し第1口18aおよび第3口18cを相互に接続する。圧縮機15の動作に応じて冷媒が冷凍回路19を循環する。その結果、室内熱交換器14で暖気が生成される。暖気の温度は少なくとも室内空気の温度よりも高い。室温センサ92で検出される室温に応じて圧縮機15の動作は制御される。例えば人感センサ93で在室者の不存在が所定の期間にわたって検出されると、圧縮機15は停止されてもよい。
暖房運転では第1送風ファン27の回転に応じて暖気の気流が第1吹出口32から吹き出す。このとき、本体ユニット制御ブロック82の上下風向板制御部84は、上下風向板駆動源40に制御信号を供給し、図8(b)に示されるように、下向きに上下風向板33a、33bの姿勢を確立する。上下風向板33a、33bは下向きに床面に向かって第1吹出口32からの気流94の吹き出しを誘導する。暖気の気流94は第1吹出口32から下向きに吹き出す。
暖房運転が開始されると、制御ユニット79は暖房運転の第1モードを実行する。ファンユニット制御ブロック86の筐体姿勢制御部88は、ファン筐体駆動源77に制御信号を供給し、水平姿勢に筐体35の姿勢を変化させる。筐体35は水平方向に第2吹出口36からの気流95の吹き出しを誘導する。室内空気の気流95は第2吹出口36から水平方向に吹き出す。例えば設定温度よりも低い特定の温度に室温が達するまで、ファンユニット26の水平方向の吹き出しは維持されることができる。室温は室温センサ92で検出されることができる。
設定温度よりも低い特定の温度に室温が達すると、制御ユニット79は、図8(b)に示されるように、ファンユニット26の筐体35の姿勢を水平方向よりも下向きに変化させる。ファンユニット26の筐体35は、第1吹出口32よりも高い位置から、上下風向板33a、33bと同様な下向きに室内空気の気流95を吹き出す姿勢を確立する。こうすると、ファンユニット26の気流95は暖気の気流94よりも上側から吹き下ろすことが出来る。
暖気の気流94が下向きに誘導されれば、暖気は床面に向かって吹き出されることができる。室内の温度が低いと、例えば図10に示されるように、暖気はすぐさま床面から天井に向かって上昇しやすい。このとき、ファンユニット26は、上昇してくる暖気を巻き込みながら室内に空気の流れを生起することができる。空気の流れに沿って暖気は再び床面に向かって下降することができる。こうして室内の下方には十分に暖気が送り込まれる。室内全体が暖まらなくとも、在室者Mは暖を感じることができる。
こうした空気調和機11では本体ユニット25の第1吹出口32から冷気または暖気の気流94が吹き出される。ファンユニット26の第2吹出口36から室内空気の気流95が吹き出される。室内空気の気流95は冷気や暖気の気流94の向きや動きを制御することができる。冷気や暖気は室内で望まれる場所に送り込まれることができる。こうして室内の温度環境は効率的に整えられることができる。このとき、ファンユニット26の第2吹出口36は本体ユニット25の第1吹出口32に対して相対的に移動することができる。したがって、室内空気の気流95は所望の向きに設定されることができる。こうした向きの設定によれば、冷気や暖気の気流94の向きや動きは的確に制御されることができる。
空気調和機11ではファンユニット26の第2吹出口36は本体ユニット25の第1吹出口32よりも前方に配置される。第2吹出口36は上下風向板33a、33bの剥離点よりも気流94の下流側に配置される。その結果、ファンユニット26の気流95は筐体本体29やアウターパネル31に邪魔されずにファンユニット26の第2吹出口36から吹き出されることができる。
加えて、空気調和機11では室内熱交換器14の前側部55aに比べて後側部55bは大きい幅を有する。ファンユニット26の背後の空間が有効に活用されて、室内熱交換器14の後側部55bが配置される。したがって、ファンユニット26の配置に拘わらず室内熱交換器14の縮小はできる限り抑制されることができる。
次に、暖房運転におけるファンユニット26の気流95を左右方向にスイングさせる動作について説明する。なお、第1吹出口32からの気流94は、図6に示すように、ファンユニット26の第2吹出口36からの気流95と連動して変更される。また、図8に示すように、第1吹出口32から吹出される気流94よりも、左右の第2吹出口から吹出される気流95の方が上方から吹出されているため、気流95が気流94を上から抑えることが出来る。気流95が気流94を常に抑えるために、気流94が両側にある気流95の左右方向の真ん中に常に位置するように、連動して左右方向にスイングされる。
本体の気流94とファンユニット26の気流95の左右方向へのスイング動作は冷房運転時と同様、図6に示すように、全部で5段階(「右方向」、「やや右方向」、「正面方向」、「やや左方向」、「左方向」)ある。図6(a)に示すように、「正面方向」では、本体の第1吹出口32および左右の第2吹出口(36a、36b)は正面方向に向けられる。図6(b)に示すように、「やや右方向」では、本体の第1吹出口32および左右の第2吹出口(36a、36b)は正面方向に向けた状態から右側に少し傾けている。図6(c)に示される「やや左方向」と図6(d)に示される「右方向」と図6(e)に示される「左方向」も同様に、第1吹出口32と左右の第2吹出口(36a、36b)を正面方向に向けた状態から左右それぞれに任意の角度だけ傾けられる。なお、図6(b)に示すように、「やや右方向」の気流94と気流95は、図6(d)に示される「右方向」の気流94と気流95よりも正面方向に寄っている。また、図6(c)に示される「やや左方向」の気流94と気流95は、図6(e)に示される「左方向」の気流94と気流95よりも正面方向に寄っている。なお、本体の第1吹出口32の気流94の向きおよび左右の第2吹出口(36a、36b)の気流95の向きが正面方向に対して同じ角度だけ傾いているが本発明はこれに限定したものではなく、左右の第2吹出口(36a、36b)が内側にある本体の第1吹出口32寄りに傾いても良い。
暖房運転時のスイング動作は、冷房運転時と同様に、本体内の制御ユニット79内に記憶されている配置位置に応じて、制御ユニット79がスイング動作を5段階の中から任意の3段階を選択する。冷房運転時と同様に、暖房運転時は、本体が室内の左端に設置されている場合は図6(b)に示される「やや右方向」を中央方向に設定し、吹出す方向を図6(a)に示される「正面方向」と図6(b)に示される「やや右方向」と図6(d)に示される「右方向」の3段階で順次変更する。本体が室内の中央に設置されている場合は図6(a)に示される「正面方向」を中央方向に設定し、吹出す方向を図6(b)に示される「やや右方向」と図6(a)に示される「正面方向」と図6(c)に示される「やや左方向」の3段階で順次変更する。本体が室内の右端に設置されている場合は図6(c)に示される「やや左方向」を中央方向に設定し、吹出す方向を図6(a)に示される「正面方向」と図6(c)に示される「やや左方向」と図6(e)に示される「左方向」の3段階で順次変更する。
本体の気流94とファンユニット26の気流95を回動した後に停止する所定時間は、冷房運転時と同様である。
次に、暖房運転における本体の気流94とファンユニット26の気流95を上下方向にスイングさせる動作について説明する。ファンユニット26の筐体35は冷房運転時と同様に上下方向にスイングさせることが出来る。ファンユニット26の気流95の上下方向へのスイング動作は、冷房運転時の上下スイング動作と同様に「上方向」と「中心方向」と「下方向」の3段階である。また、図8に示すように、第1吹出口32から吹出される気流94よりも、左右の第2吹出口から吹出される気流95の方が上方から吹出されているため、気流95が気流94を上から抑えることが出来る。気流95が気流94を常に抑えるために、気流94が両側にある気流95の左右方向の真ん中に常に位置するように、連動して上下方向にスイングする。
ファンユニット26の気流95の上下方向へのスイング動作は、冷房運転時の上下スイング動作と同様に、「上方向」と「中心方向」と「下方向」の3段階を順次繰り返す。この時、「上方向」と「下方向」の状態までファンユニット26を回動した後は、第1の所定時間だけファンユニット26の回動を停止する。一方、「中心方向」の状態までファンユニット26を回動した後では、第2の所定時間だけファンユニット26の回動を停止する。左右方向へのスイング動作と同様に、第1の所定時間は第2の所定時間よりも長く設定している。
なお、本実施例では第1の所定時間は第2の所定時間よりも長く設定されているが、本発明ではこれに限定したものではなく、各方向での本体から室内の壁までの距離に比例して所定時間を変更しても良い。
また、本実施例では各段階に変更した後に所定時間待っているが、本発明はこれに限定したものではなく、各段階に変更するまでに掛かる時間を所定時間として設定しても良い。特に、左右方向にスイング動作をする際に、スイング動作を図6(a)に示される「正面方向」までに回動するのに掛かる時間を、他の方向までに回動するのに掛かる時間よりも短くしても良く、また、本体から室内の壁までの距離に比例して、回動に掛かる時間を長くするなど適宜設定を変更しても良い。これにより、暖気を予め定めた方向に対して送風する時間が他の方向に対して送風する時間よりも長いため、予め定めた方向に気流を発生させることが出来る。
こうした空気調和機11では本体ユニット25の第1吹出口32から冷気または暖気の気流94が吹き出される。ファンユニット26の第2吹出口36から室内空気の気流95が吹き出される。室内空気の気流95は冷気や暖気の気流94の向きや動きを制御することができる。冷気や暖気は室内で望まれる場所に送り込まれることができる。こうして室内の温度環境は効率的に整えられることができる。このとき、ファンユニット26の第2吹出口36は本体ユニット25の第1吹出口32に対して相対的に移動することができる。したがって、室内空気の気流95は所望の向きに設定されることができる。こうした向きの設定によれば、冷気や暖気の気流94の向きや動きは的確に制御されることができる。
空気調和機11ではファンユニット26の第2吹出口36は本体ユニット25の第1吹出口32よりも前方に配置される。第2吹出口36は上下風向板33a、33bの剥離点よりも気流94の下流側に配置される。その結果、ファンユニット26の気流95は筐体本体29やアウターパネル31に邪魔されずにファンユニット26の第2吹出口36から吹き出されることができる。
加えて、空気調和機11では室内熱交換器14の前側部55aに比べて後側部55bは大きい幅を有する。ファンユニット26の背後の空間が有効に活用されて、室内熱交換器14の後側部55bが配置される。したがって、ファンユニット26の配置に拘わらず室内熱交換器14の縮小はできる限り抑制されることができる。
また、ファンユニット26の気流95を上下左右方向に断続的に動かすことで、ファンユニット26の筐体35を回転させる駆動源であるモータや、第2吹出口36に設けられている左右風向板64を回転させる駆動源であるモータの負担が少なくなり、モータの故障のリスクが抑えられる。