JP2014126084A - ターボチャージャ用玉軸受ユニット - Google Patents

Abstract

【課題】回転軸を玉軸受ユニットの内輪内径に圧入する際、回転軸の圧入が容易であるターボチャージャ用玉軸受ユニットを提供する。
【解決手段】単一円筒からなる複列の外輪軌道面を有する外輪と、複列の前記外輪軌道面にそれぞれ対向する内輪軌道面を有する二つの内輪と、前記外輪軌道面と前記内輪軌道面との間を転動自在な２列の玉と、前記玉を周方向等間隔に保持する保持器とを備え、前記内輪の内径に、段差を持たせることにより、回転軸の圧入作業を容易に実現する。
【選択図】図３

Description

この発明は、エンジンの過給器として利用するターボチャージャを構成するインペラとタービンとを両端部に設けた回転軸を、ハウジングに対し回転自在に支持するために利用する玉軸受ユニットに関する。

エンジンの出力を排気量を変えずに増大させる為、エンジンに送り込む空気を排気のエネルギにより圧縮するターボチャージャが、広く使用されている。このターボチャージャは、排気のエネルギを、排気通路の途中に設けたタービンにより回収し、このタービンをその端部に固定した回転軸により、給気通路の途中に設けたコンプレッサのインペラを回転させる。このインペラは、エンジンの運転に伴って数万乃至は十数万min^-1の速度で回転し、上記給気通路を通じてエンジンに送り込まれる空気を圧縮する。

図１は、この様なターボチャージャの一例として、特許文献１に記載されたものを示している。なお、図２は、図１に記載の回転軸２が圧入された玉軸受けユニット７の断面図である。このターボチャージャは、排気流路１を流通する排気により、回転軸２の一端に固定したタービン３を回転させる。この回転軸２の回転は、この回転軸２の他端に固定したインペラ４に伝わり、このインペラ４が給気流路５内で回転する。この結果、この給気流路５の上流端開口から吸引された空気が圧縮されて、ガソリン、軽油等の燃料と共にエンジンのシリンダ室内に送り込まれる。この様なターボチャージャの回転軸２は、数万乃至十数万min^-1もの高速で回転し、しかも、エンジンの運転状況に応じてその回転速度が頻繁に変化する。従って、上記回転軸２は、本体ハウジング６に対し、小さな回転抵抗で支持する必要がある。

この為に従来から、ハウジング６に対し、回転軸２を回転自在に支持するための玉軸受ユニット７が用いられている。図１〜２に示す玉軸受ユニット７は、単一円筒からなる軸受ハウジング８の両端に設けられ、背面あわせとなる様に配置された左右一対のアンギュラ玉軸受９、９により、上記回転軸２を回転自在に支持している。これら各アンギュラ玉軸受９、９は、軸受ハウジング８に取り付けられた、外輪軌道面を持つ外輪１１と、回転軸２に取り付けられた、外輪軌道面に対向する内輪軌道面を持つ内輪１２と、外輪軌道面と内輪軌道面の間を転動自在な転動体である複数の玉１３と、玉１３を周方向に等間隔に保持する保持器１４とからなる。

軸受ハウジング８の左右端部内径には、外輪１１、１１の外径に等しい外径の環状の位置決め段部が設けられており、外輪１１は、その軸方向内側の端面がこの位置決め段部端面に当接するように、圧入されており、これにより、左右外輪１１、１１間の距離が所定の値とされている。

左右内輪１２、１２間には、間座１５が設けられており、各内輪１２、１２の軸方向内側の端面をこの間座１５の左右端面に当接させることにより、左右内輪１２、１２間の距離が所定の値とされている。

特開２００８−２９８２８４号公報

ところで、上述のような先行技術の構成は、２つの単列アンギュラ玉軸受９、９と間座１５を組付けてあり、２つの軸受の内輪寸法が同一であるため、回転軸２を圧入する時に２つの軸受内輪の嵌め合い面から抵抗が発生し、組み付けが困難という問題があった。

本発明は、上述の様な事情に鑑みて、回転軸の圧入が容易であるターボチャージャ用玉軸受けユニットを実現すべく発明したものである。

上記目的を達成するために、本発明の玉軸受ユニットは、単一円筒からなる複列の外輪軌道面を両端近傍に有する外輪と、複列の前記外輪軌道面にそれぞれ対向する内輪軌道面を有する二つの内輪と、前記外輪軌道面と前記内輪軌道面との間を転動自在な２列の玉と、前記２列の玉をそれぞれ円周方向等間隔に保持する保持器とを備え、前記内輪の内径には、内径差があり、段差構造が形成されていることを特徴とする。

本発明によれば、一体構造である外輪と２つの内輪との間に２列の玉から形成される玉軸受ユニットにおいて、２つの内輪の内径を段差構造とし、この段差構造の内輪内径に回転軸を圧入する際、嵌め合い面の余分な圧入抵抗が軽減され、回転軸の圧入が容易になる効果が得られる。

従来構造の１例を示す、玉軸受ユニット備えたターボチャージャの断面図である。 従来構造の１例を示す、回転軸が圧入されている玉軸受ユニットの断面図である。 本発明の実施の形態の一例を示す、玉軸受ユニットの断面図である。 本発明の実施の形態の一例を示す、回転軸が圧入されている玉軸受ユニットの断面図である。

以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図３は、本発明の実施形態の一例を示す玉軸受ユニットの断面図であって、図４は、回転軸が圧入された図である。
本発明の特徴は、両端部にタービン３とインペラ４（図１参照）とを支持固定した回転軸２を本体ハウジング６の内側に回転自在に支持する為の玉軸受ユニット１６と回転軸２６（図３〜４参照）の構造にある。その他の部分の構造及び作用は、前述の図１〜２に示した従来構造と同様であるから、同等部分に関する図示並びに説明は、省略若しくは簡略にし、以下、本発明の特徴部分を中心に説明する。

玉軸受ユニット１６は、単一円筒からなる複列の外輪軌道面２０ａ、２０ｂを両端近傍に有する外輪１７と、複列の前記外輪軌道面２０ａ、２０ｂにそれぞれ対向する内輪軌道面２１ａ、２１ｂを有する２つの内輪１８、１９と、外輪軌道面２０ａ、２０ｂと内輪軌道面２１ａ、２１ｂの間を転動自在な複数の玉２２ａ、２２ｂと、前記複数の玉２２ａ、２２ｂを円周方向等間隔に保持する保持器２３ａ、２３ｂとを備えている。
玉軸受ユニット１６は、単列アンギュラ玉軸受を背面組合せとし、外輪を一体にし、内輪を二つにしたような構造である。

内輪１８は、両端部内径に回転軸２６を圧入する圧入部２４ａ、２４ｂと、両圧入部２４ａ、２４ｂの間にあって、両圧入部２４ａ，２４ｂよりも大径の逃げ部２５ａが設けられている。同様に内輪１９には、両端部内径に回転軸２６を圧入する圧入部２４ｃ、２４ｄと、両圧入部２４ｃ、２４ｄの間にあって、両圧入部２４ｃ，２４ｄよりも大径の逃げ部２５ｂが設けられている。
各圧入部２４ａ、２４ｂ、２４ｃ、２４ｄの内径φＤａ、φＤｂ、φＤｃ、φＤｅは、小径順、あるいは大径順になっている。但し、隣り合う圧入部２４ｂと２４ｃの内径φＤｂ、φＤｃは、同径でもかまわない。
すなわち各圧入部２４ａ、２４ｂ、２４ｃ，２４ｄの内径φＤａ、φＤｂ、φＤｃ、φＤｅは、下記式の関係にある。
φＤａ＜φＤｂ≦φＤｃ＜φＤｅ
もしくは、
φＤａ＞φＤｂ≧φＤｃ＞φＤｅ
であり、図３〜４は、φＤａが最も小径で、φＤｂとφＤｃが同径の例を示している。
ここで、内径φＤａとφＤｂ、および、φＤｃとφＤｅの直径差は、０．１〜２．０ｍｍが好ましい。また、逃げ部２５ａ、２５ｂは回転軸２６と接触しないので、研削する必要がなく、製造コストの低減が図れる。
回転軸２６は、圧入部２４ａに圧入される外径φｄａの研削部２６ａ、圧入部２４ｂ、２４ｃに圧入される外径φｄｃの研削部２６ｃ、圧入部２４ｄに圧入される外径φｄｅの研削部２６ｅを持つ。各圧入部は、研削範囲を狭くしたいので、必要最小限の長さとし、研削部２６ａと２６ｃの間には、表面仕上げ精度の低い外径φｄｂの切削部２６ｂを、研削部２６ｃと２６ｅの間には、外径φｄｄの切削部２６ｄを設けている。
そして、回転軸２６の各外径は、下記式の関係にある。
φｄａ＜φｄｂ＜φｄｃ＜φｄｄ＜φｄｅ
但し、これは、φＤａが最小径であり、φＤｂ＝φＤｃの場合であり、φＤａが最大径の場合、各外径の大小関係は上記式の不等号の向きが逆になる。
また、φＤｂとφＤｃが異なる内径の場合、各々に圧入される圧入部が更に設けられる。
また、切削部２６ｂ、２６ｄは、必要なければ設けなくても良い。

以上説明したように、本発明によれば、単一円筒からなる一つの外輪と２つの内輪で構成されている玉軸受ユニットにおいて、その内輪の内径に段差を持たせている為、回転軸を圧入する際、嵌め合い面の余分な抵抗を低減することができ、圧入が容易になることから、エンジンの過給器として利用するターボチャージャの玉軸受ユニットとして好適に使用できる。

１ 排気流路
２ 回転軸
３ タービン
４ インペラ
５ 給気流路
６ 本体ハウジング
７ 玉軸受ユニット
８ 軸受ハウジング
９ 単列アンギュラ玉軸受
１１ 外輪
１２ 内輪
１３ 玉
１４ 保持器
１５ 内輪間座
１６ 玉軸受ユニット
１７ 外輪
１８、１９ 内輪
２０ａ、２０ｂ 外輪軌道面
２１ａ、２１ｂ 内輪軌道面
２２ａ、２２ｂ 玉
２３ａ、２３ｂ 保持器
２４ａ、２４ｂ、２４ｃ、２４ｄ 各内輪段差部の内径
２５ａ、２５ｂ 内輪と回転軸との非接触部
２６ 回転軸
２６ａ、２６ｃ、２６ｅ 研削部
２６ｂ、２６ｄ 切削部

Claims (1)

1. 単一円筒からなる複列の外輪軌道面を両端近傍に有する外輪と、
   複列の前記外輪軌道面にそれぞれ対向する内輪軌道面を有する二つの内輪と、
   前記外輪軌道面と前記内輪軌道面との間を転動自在な２列の玉と、前記２列の玉をそれぞれ円周方向等間隔に保持する保持器とを備え、
   前記二つの内輪は、各々両端部内径に前記回転軸を圧入する圧入部と、両圧入部の間にあって、両圧入部よりも大径の逃げ部が設けられており、
   前記圧入部の内径は、一端側からφＤａ、φＤｂ、φＤｃ、φＤｅとしたとき、φＤａ＜φＤｂ≦φＤｃ＜φＤｅの関係にあることを特徴とする玉軸受ユニット。

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