JP2014125501A - 樹脂粒子分散体の製造方法、インクジェット用インク、及びインクセット - Google Patents
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Abstract
【課題】反応性を有するとともに吐出安定性に優れたインクジェット用インクを調製することが可能な樹脂粒子分散体の製造方法を提供する。
【解決手段】インクジェット用インクに用いる樹脂粒子分散体の製造方法である。酸価が100mgKOH/g以上700mgKOH/g以下のポリマーA及び水を含有する混合液に、中和量が0.2以上0.5以下となるように塩基を添加して、未中和酸量が50mgKOH/g以上150mgKOH/g以下のポリマーA’を含有するポリマーA’水溶液を得る中和工程と、ポリマーA’水溶液及びα,β−不飽和疎水性化合物を混合してモノマー分散液を得る分散工程と、α,β−不飽和疎水性化合物を重合してポリマーBを形成し、ポリマーA’及びポリマーBを含む樹脂粒子を含有する樹脂粒子分散体を得る重合工程と、樹脂粒子分散体のpHを7以上とするpH調整工程とを有する。
【選択図】なし
【解決手段】インクジェット用インクに用いる樹脂粒子分散体の製造方法である。酸価が100mgKOH/g以上700mgKOH/g以下のポリマーA及び水を含有する混合液に、中和量が0.2以上0.5以下となるように塩基を添加して、未中和酸量が50mgKOH/g以上150mgKOH/g以下のポリマーA’を含有するポリマーA’水溶液を得る中和工程と、ポリマーA’水溶液及びα,β−不飽和疎水性化合物を混合してモノマー分散液を得る分散工程と、α,β−不飽和疎水性化合物を重合してポリマーBを形成し、ポリマーA’及びポリマーBを含む樹脂粒子を含有する樹脂粒子分散体を得る重合工程と、樹脂粒子分散体のpHを7以上とするpH調整工程とを有する。
【選択図】なし
Description
本発明は、インクジェット用インクに用いる樹脂粒子分散体の製造方法、その製造方法によって製造された樹脂粒子分散体を含有するインクジェット用インク、及びそのインクジェット用インクを含むインクセットに関する。
近年、インクジェット印刷によって非吸収性媒体や難吸収性媒体に印字する機会が多くある。このようなインクジェット印刷においては、インク中の色材を反応液と作用させて凝集させることにより、媒体上に着色画像を形成する方法が知られている。さらに、耐擦過性等の機能を画像に付与するため、不溶性樹脂からなる反応性を有する樹脂粒子を添加したインクジェット用インクを用いることが知られている。
このような反応性を有する樹脂粒子として、その表面にアニオン性基を有する樹脂微粒子が知られている。その表面にアニオン性基を有する樹脂微粒子の製造方法として、アニオン性基を有する重合体をシェル部とし、シェル部を構成する重合体とは異なる重合体をコア部とした、コアシェル構造を有する樹脂微粒子を製造する方法が特許文献1に記載されている。
特許文献1に記載された樹脂微粒子を製造する方法では、まず、モノマーの分散に用いる重合体を水溶性になるまで中和する。次いで、水溶化された重合体を用いて樹脂微粒子を調製する。モノマーの分散に用いる重合体の水溶性を向上させると、界面活性能も同時に向上するため、微小粒子径の樹脂微粒子を調製することが可能となる。しかしながら、得られる樹脂微粒子の粒子径は100nmよりも小さくなるとともに、表面酸価も小さくなる。このため、特許文献1に記載の方法で得られた樹脂微粒子をインクジェット用インクに用いた場合、インクの吐出安定性が低下してしまうといった課題があった。なお、近年のさらなる画像の高画質化に伴い、より高い吐出安定性を有するインクが求められている。
したがって、本発明の目的は、反応性を有するとともに吐出安定性に優れたインクジェット用インクを調製することが可能な樹脂粒子分散体の製造方法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、前記製造方法によって製造された樹脂粒子分散体を含有するインクジェット用インク、及び前記インクジェット用インクを含むインクセットを提供することにある。
上記の目的は以下の発明によって達成される。すなわち、本発明によれば、インクジェット用インクに用いる樹脂粒子分散体の製造方法であって、酸価が100mgKOH/g以上700mgKOH/g以下のポリマーA及び水を含有する混合液に、下記式(1)で表される中和量が0.2以上0.5以下となるように第1の塩基を添加して前記ポリマーAを中和して、未中和酸量が50mgKOH/g以上150mgKOH/g以下のポリマーA’を含有するポリマーA’水溶液を得る中和工程と、前記ポリマーA’水溶液及びα,β−不飽和疎水性化合物を混合してモノマー分散液を得る分散工程と、前記モノマー分散液中の前記α,β−不飽和疎水性化合物を重合してポリマーBを形成し、前記ポリマーA’及び前記ポリマーBを含む樹脂粒子を含有する樹脂粒子分散体を得る重合工程と、前記樹脂粒子分散体に第2の塩基を添加して、前記樹脂粒子分散体のpHを7以上とするpH調整工程とを有することを特徴とする樹脂粒子分散体の製造方法が提供される。
中和量=X/{(Y×Z)/56.11} ・・・(1)
X:添加した第1の塩基の量(mol)
Y:ポリマーA(固形分)の量(g)
Z:ポリマーAの酸価(mgKOH/g)
中和量=X/{(Y×Z)/56.11} ・・・(1)
X:添加した第1の塩基の量(mol)
Y:ポリマーA(固形分)の量(g)
Z:ポリマーAの酸価(mgKOH/g)
本発明によれば、反応性を有するとともに吐出安定性に優れたインクジェット用インクを調製することが可能な樹脂粒子分散体の製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、前記製造方法によって製造された樹脂粒子分散体を含有するインクジェット用インク、及び前記インクジェット用インクを含むインクセットを提供することができる。
以下、好適な実施の形態を挙げて本発明を詳細に説明する。
<樹脂粒子分散体の製造方法>
樹脂粒子分散体の一般的な製造方法としては、乳化重合やミニエマルション重合などを挙げることができる。乳化重合は、油性モノマーを界面活性剤の遊離ミセル内で重合することによって樹脂粒子分散体を得る方法である。一方、ミニエマルション重合は、疎水化合物であるハイドロホーブを添加した油性モノマーを、界面活性剤を用いて機械的に予め水中に分散させた後に重合して樹脂粒子分散体を得る方法である。ミニエマルション重合の特徴として、乳化重合に比べて、(i)界面活性剤の使用量を低減できること、及び(ii)粒径分布の狭い樹脂微粒子を調製可能であることなどを挙げることができる。すなわち、ミニエマルション重合によって調製した樹脂粒子を含有する樹脂粒子分散体を用いれば、界面活性剤の量を低減することができるので、印字物の物性への影響が小さいインクジェット用インクを得ることができる。また、粒子径が小さく均一な樹脂粒子を含有する樹脂粒子分散体を用いることで、インクジェットヘッドの微小ノズルに詰まることなく吐出可能なインクジェット用インクを得ることができる。このため、インクジェット用インクに用いる樹脂粒子としてはミニエマルション重合を用いて得られた樹脂粒子が好ましい。
樹脂粒子分散体の一般的な製造方法としては、乳化重合やミニエマルション重合などを挙げることができる。乳化重合は、油性モノマーを界面活性剤の遊離ミセル内で重合することによって樹脂粒子分散体を得る方法である。一方、ミニエマルション重合は、疎水化合物であるハイドロホーブを添加した油性モノマーを、界面活性剤を用いて機械的に予め水中に分散させた後に重合して樹脂粒子分散体を得る方法である。ミニエマルション重合の特徴として、乳化重合に比べて、(i)界面活性剤の使用量を低減できること、及び(ii)粒径分布の狭い樹脂微粒子を調製可能であることなどを挙げることができる。すなわち、ミニエマルション重合によって調製した樹脂粒子を含有する樹脂粒子分散体を用いれば、界面活性剤の量を低減することができるので、印字物の物性への影響が小さいインクジェット用インクを得ることができる。また、粒子径が小さく均一な樹脂粒子を含有する樹脂粒子分散体を用いることで、インクジェットヘッドの微小ノズルに詰まることなく吐出可能なインクジェット用インクを得ることができる。このため、インクジェット用インクに用いる樹脂粒子としてはミニエマルション重合を用いて得られた樹脂粒子が好ましい。
上記の観点から、本発明の樹脂粒子分散体の製造方法においてはミニエマルション重合を適用している。すなわち、本発明の樹脂粒子分散体の製造方法は、中和工程、分散工程、重合工程、及びpH調整工程を有する。以下、各工程の詳細について説明する。
[中和工程]
中和工程では、ポリマーA及び水を含有する混合液に、所定の中和量となるように第1の塩基を添加してポリマーAを中和して、所定の未中和酸量のポリマーA’を含有するポリマーA’水溶液を得る。ポリマーAを所定の中和量となるように中和することにより、界面活性能が一定の範囲に制御されたポリマーA’を得ることができる。そして、界面活性能が制御された状態のポリマーA’を用いて以降の分散工程と重合工程を経ることで、目的とする平均粒子径及び表面酸価の樹脂粒子を得ることが可能となる。
中和工程では、ポリマーA及び水を含有する混合液に、所定の中和量となるように第1の塩基を添加してポリマーAを中和して、所定の未中和酸量のポリマーA’を含有するポリマーA’水溶液を得る。ポリマーAを所定の中和量となるように中和することにより、界面活性能が一定の範囲に制御されたポリマーA’を得ることができる。そして、界面活性能が制御された状態のポリマーA’を用いて以降の分散工程と重合工程を経ることで、目的とする平均粒子径及び表面酸価の樹脂粒子を得ることが可能となる。
(ポリマーA)
ポリマーAは、例えば、α,β−不飽和疎水性化合物とアニオン性基を含むモノマーとを重合することによって得られる共重合体である。重合は加熱などの公知の方法で行われる。重合反応速度や重合収率を改善するために、重合開始剤を適宜使用することも可能である。また、得られるポリマーAの分子量を制御するために、公知の連鎖移動剤などを使用することも可能である。さらに、重合に伴う粘度変化が問題になる場合は、重合溶媒を併用することもできる。なお、重合溶媒を併用すると、得られるポリマーAの分子量も制御することができる。重合時の反応温度は50℃以上85℃以下であることが好ましい。また、反応時間は6時間以上24時間以下であることが好ましい。
ポリマーAは、例えば、α,β−不飽和疎水性化合物とアニオン性基を含むモノマーとを重合することによって得られる共重合体である。重合は加熱などの公知の方法で行われる。重合反応速度や重合収率を改善するために、重合開始剤を適宜使用することも可能である。また、得られるポリマーAの分子量を制御するために、公知の連鎖移動剤などを使用することも可能である。さらに、重合に伴う粘度変化が問題になる場合は、重合溶媒を併用することもできる。なお、重合溶媒を併用すると、得られるポリマーAの分子量も制御することができる。重合時の反応温度は50℃以上85℃以下であることが好ましい。また、反応時間は6時間以上24時間以下であることが好ましい。
ポリマーAは溶液重合により調製することが好ましい。溶液重合に用いる溶媒の具体例としては、酢酸ブチル、キシレン、トルエン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトンなどを挙げることができる。減圧蒸留などにより溶媒を除去すれば、ポリマーAを得ることができる。
(α,β−不飽和疎水性化合物)
本発明における「α,β−不飽和疎水性化合物」とは、α,β−不飽和化合物であり、かつ、疎水性化合物であるものを意味する。また、「α,β−不飽和化合物」とは、α位の炭素とβ位の炭素との間に不飽和結合(C=Cなど)を有する化合物を意味する。さらに、「疎水性化合物」とは、親水性基(例えば、酸性基、塩基性基、ヒドロキシ基、アルキレンオキサイド基など)を有しない化合物を意味する。α,β−不飽和疎水性化合物の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物;メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリロニトリル;酢酸ビニル;アルキルビニルエーテル;ビニルイミダゾール;エチレンなどを挙げることができる。これらのα,β−不飽和疎水性化合物は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのα,β−不飽和疎水性化合物の中でも、芳香族ビニル化合物及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルから選択される少なくとも1種が好ましい。さらには、スチレン、ラウリル(メタ)アクリレート、及びステアリル(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
本発明における「α,β−不飽和疎水性化合物」とは、α,β−不飽和化合物であり、かつ、疎水性化合物であるものを意味する。また、「α,β−不飽和化合物」とは、α位の炭素とβ位の炭素との間に不飽和結合(C=Cなど)を有する化合物を意味する。さらに、「疎水性化合物」とは、親水性基(例えば、酸性基、塩基性基、ヒドロキシ基、アルキレンオキサイド基など)を有しない化合物を意味する。α,β−不飽和疎水性化合物の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物;メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリロニトリル;酢酸ビニル;アルキルビニルエーテル;ビニルイミダゾール;エチレンなどを挙げることができる。これらのα,β−不飽和疎水性化合物は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのα,β−不飽和疎水性化合物の中でも、芳香族ビニル化合物及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルから選択される少なくとも1種が好ましい。さらには、スチレン、ラウリル(メタ)アクリレート、及びステアリル(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
(アニオン性基を含むモノマー)
アニオン性基を含むモノマーとしては、アニオン性基を有していればいずれのモノマーを用いてもよい。アニオン性基としては、例えば、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基などを挙げることができる。中でも、カルボキシ基、リン酸基が好ましく、カルボキシ基がさらに好ましい。アニオン性基を含むモノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸などを挙げることができる。
アニオン性基を含むモノマーとしては、アニオン性基を有していればいずれのモノマーを用いてもよい。アニオン性基としては、例えば、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基などを挙げることができる。中でも、カルボキシ基、リン酸基が好ましく、カルボキシ基がさらに好ましい。アニオン性基を含むモノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸などを挙げることができる。
(重合開始剤)
α,β−不飽和疎水性化合物とアニオン性基を含むモノマーとを重合する際に用いることのできる重合開始剤の種類は特に限定されず、公知の水溶性及び油溶性の重合開始剤を用いることができる。重合開始剤の具体例としては、過硫酸カリウム、2,2’−アゾビス(2−イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)などを挙げることができる。重合開始剤の使用量は、モノマー全質量を基準として、1質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
α,β−不飽和疎水性化合物とアニオン性基を含むモノマーとを重合する際に用いることのできる重合開始剤の種類は特に限定されず、公知の水溶性及び油溶性の重合開始剤を用いることができる。重合開始剤の具体例としては、過硫酸カリウム、2,2’−アゾビス(2−イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)などを挙げることができる。重合開始剤の使用量は、モノマー全質量を基準として、1質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
(ポリマーAの酸価)
ポリマーAの酸価は100mgKOH/g以上700mgKOH/g以下であり、好ましくは100mgKOH/g以上500mgKOH/g以下である。ポリマーAの酸価は以下に示す方法にしたがって測定及び算出することができる。テトラヒドロフラン200mLとエタノール100mLの混合液に2gのポリマーAを溶解させた試料を調製する。規定度を測定済みの水酸化カリウム−エタノール溶液を使用し、調製した試料について、JIS K 0070:1992に準拠して中和滴定すれば、ポリマーAの酸価を測定及び算出することができる。
ポリマーAの酸価は100mgKOH/g以上700mgKOH/g以下であり、好ましくは100mgKOH/g以上500mgKOH/g以下である。ポリマーAの酸価は以下に示す方法にしたがって測定及び算出することができる。テトラヒドロフラン200mLとエタノール100mLの混合液に2gのポリマーAを溶解させた試料を調製する。規定度を測定済みの水酸化カリウム−エタノール溶液を使用し、調製した試料について、JIS K 0070:1992に準拠して中和滴定すれば、ポリマーAの酸価を測定及び算出することができる。
(ポリマーAの重量平均分子量)
ポリマーAの重量平均分子量は、5,000以上50,000以下であることが好ましく、10,000以上30,000以下であることがさらに好ましい。ポリマーAの重量平均分子量は以下に示す方法にしたがって測定及び算出することができる。ポリマーAをTHFに溶解させた後にろ過し、得られたろ液をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(カラム:商品名「Shodex GPC KF−806」及び商品名「Shodex GPC K−806L」(昭和電工製))により分析する。これにより、ポリスチレン換算のポリマーAの重量平均分子量を測定及び算出することができる。
ポリマーAの重量平均分子量は、5,000以上50,000以下であることが好ましく、10,000以上30,000以下であることがさらに好ましい。ポリマーAの重量平均分子量は以下に示す方法にしたがって測定及び算出することができる。ポリマーAをTHFに溶解させた後にろ過し、得られたろ液をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(カラム:商品名「Shodex GPC KF−806」及び商品名「Shodex GPC K−806L」(昭和電工製))により分析する。これにより、ポリスチレン換算のポリマーAの重量平均分子量を測定及び算出することができる。
(ポリマーAの中和)
所定の中和量となるようにポリマーAを中和するには、まず、ポリマーAと水(例えばイオン交換水)を混合して十分に撹拌して混合液を得る。この混合液は、ポリマーAの一部が溶解していない白濁した混合液(エマルション溶液)である。次いで、この混合液に、中和量が0.2以上0.5以下となるように第1の塩基をゆっくりと滴下するとともに撹拌する。これにより、ポリマーAを部分的に中和して、未中和酸量が50mgKOH/g以上150mgKOH/g以下のポリマーA’を形成し、このポリマーA’を含有するポリマーA’水溶液を得ることができる。なお、得られるポリマーA’水溶液は、通常、ポリマーA’が溶解した透明な水溶液である。
所定の中和量となるようにポリマーAを中和するには、まず、ポリマーAと水(例えばイオン交換水)を混合して十分に撹拌して混合液を得る。この混合液は、ポリマーAの一部が溶解していない白濁した混合液(エマルション溶液)である。次いで、この混合液に、中和量が0.2以上0.5以下となるように第1の塩基をゆっくりと滴下するとともに撹拌する。これにより、ポリマーAを部分的に中和して、未中和酸量が50mgKOH/g以上150mgKOH/g以下のポリマーA’を形成し、このポリマーA’を含有するポリマーA’水溶液を得ることができる。なお、得られるポリマーA’水溶液は、通常、ポリマーA’が溶解した透明な水溶液である。
第1の塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物;アンモニア、アルキルアミンなどのアミン類などを挙げることができる。なお、インクジェット用インクの吐出安定性は、樹脂の中和に用いる塩基の影響を受けるため、インクジェット用インクの吐出安定性を向上させうる塩基を第1の塩基として用いることが好ましい。このため、第1の塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましく、水酸化カリウムがさらに好ましい。
(中和量)
中和量は、樹脂中の酸基の中和割合の指標となる、下記式(1)で表される値をいう。
中和量=X/{(Y×Z)/56.11} ・・・(1)
X:添加した第1の塩基の量(mol)
Y:ポリマーA(固形分)の量(g)
Z:ポリマーAの酸価(mgKOH/g)
なお、上記式(1)中の数値「56.11」は、水酸化カリウム(KOH)の分子量である。上記式(1)の分子(X)は、ポリマーA中の酸性基のうち、中和された酸性基のモル数に相当する。また、上記式(1)の分母((Y×Z)/56.11)は、ポリマーA中の酸性基の全てのモル数に相当する。すなわち、上記式(1)によって、ポリマーA中のどの程度の酸性基が中和されたかを導き出すことができる。
中和量は、樹脂中の酸基の中和割合の指標となる、下記式(1)で表される値をいう。
中和量=X/{(Y×Z)/56.11} ・・・(1)
X:添加した第1の塩基の量(mol)
Y:ポリマーA(固形分)の量(g)
Z:ポリマーAの酸価(mgKOH/g)
なお、上記式(1)中の数値「56.11」は、水酸化カリウム(KOH)の分子量である。上記式(1)の分子(X)は、ポリマーA中の酸性基のうち、中和された酸性基のモル数に相当する。また、上記式(1)の分母((Y×Z)/56.11)は、ポリマーA中の酸性基の全てのモル数に相当する。すなわち、上記式(1)によって、ポリマーA中のどの程度の酸性基が中和されたかを導き出すことができる。
(ポリマーA’の未中和酸量)
ポリマーA’の未中和酸量とは、ポリマーA’中の中和されていない酸基の量を意味する。ポリマーA’水溶液を脱水して得られたポリマーA’を用いて、前述のポリマーAの酸価を測定した方法と同様の方法によりポリマーA’の未中和酸量を算出することができる。
ポリマーA’の未中和酸量とは、ポリマーA’中の中和されていない酸基の量を意味する。ポリマーA’水溶液を脱水して得られたポリマーA’を用いて、前述のポリマーAの酸価を測定した方法と同様の方法によりポリマーA’の未中和酸量を算出することができる。
[分散工程]
分散工程では、ポリマーA’水溶液及びα,β−不飽和疎水性化合物を混合して、α,β−不飽和疎水性化合物が分散されたモノマー分散液を得る。なお、モノマー分散液にはハイドロホーブを含有させてもよい。モノマー分散液を調製するには、各成分を混合した後に、超音波照射や高速撹拌を行うことが好ましい。また、分散工程において用いるポリマーA’の量は、α,β−不飽和疎水性化合物の総量を基準として、0.5質量%以上20質量%以下とすることが好ましい。なお、α,β−不飽和疎水性化合物としては、前述のポリマーAを製造する際に用いることができるα,β−不飽和疎水性化合物と、好ましいものを含めて同様のものを挙げることができる。
分散工程では、ポリマーA’水溶液及びα,β−不飽和疎水性化合物を混合して、α,β−不飽和疎水性化合物が分散されたモノマー分散液を得る。なお、モノマー分散液にはハイドロホーブを含有させてもよい。モノマー分散液を調製するには、各成分を混合した後に、超音波照射や高速撹拌を行うことが好ましい。また、分散工程において用いるポリマーA’の量は、α,β−不飽和疎水性化合物の総量を基準として、0.5質量%以上20質量%以下とすることが好ましい。なお、α,β−不飽和疎水性化合物としては、前述のポリマーAを製造する際に用いることができるα,β−不飽和疎水性化合物と、好ましいものを含めて同様のものを挙げることができる。
(ハイドロホーブ)
モノマー分散液にハイドロホーブを含有させることで、以降の重合工程におけるα,β−不飽和疎水性化合物の重合を安定的に行うことができる。なお、本発明における「ハイドロホーブ」とは、水に対する溶解度(常温、常圧環境下)が、水100gに対して1g以下である油性の化合物、及びα,β−不飽和疎水性化合物に対する溶解性を示す重量平均分子量が1000以上の樹脂をいう。ハイドロホーブの具体例としては、ヘキサデカン、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)メタクリレート、クロロベンゼン、ドデシルメルカプタン、オリーブ油、青色染料(Blue70)、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリル酸などを挙げることができる。なお、重合性を有するハイドロホーブについては、α,β−不飽和疎水性化合物として用いることも可能である。また、ポリマーAをハイドロホーブとして用いることも可能である。分散工程において用いるハイドロホーブの量は、α,β−不飽和疎水性化合物の総量を基準として、1質量%以上20質量%以下とすることが好ましい。
モノマー分散液にハイドロホーブを含有させることで、以降の重合工程におけるα,β−不飽和疎水性化合物の重合を安定的に行うことができる。なお、本発明における「ハイドロホーブ」とは、水に対する溶解度(常温、常圧環境下)が、水100gに対して1g以下である油性の化合物、及びα,β−不飽和疎水性化合物に対する溶解性を示す重量平均分子量が1000以上の樹脂をいう。ハイドロホーブの具体例としては、ヘキサデカン、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)メタクリレート、クロロベンゼン、ドデシルメルカプタン、オリーブ油、青色染料(Blue70)、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリル酸などを挙げることができる。なお、重合性を有するハイドロホーブについては、α,β−不飽和疎水性化合物として用いることも可能である。また、ポリマーAをハイドロホーブとして用いることも可能である。分散工程において用いるハイドロホーブの量は、α,β−不飽和疎水性化合物の総量を基準として、1質量%以上20質量%以下とすることが好ましい。
[重合工程]
重合工程では、モノマー分散液中のα,β−不飽和疎水性化合物を重合してポリマーBを形成し、ポリマーA’及びポリマーBを含む樹脂粒子を含有する樹脂粒子分散体を得る。なお、樹脂粒子は、例えば、ポリマーBからなるコアと、コアの表面を被覆するように配置された、ポリマーA’の一部又は全部からなるシェルとを備えたコアシェル構造を有する。
重合工程では、モノマー分散液中のα,β−不飽和疎水性化合物を重合してポリマーBを形成し、ポリマーA’及びポリマーBを含む樹脂粒子を含有する樹脂粒子分散体を得る。なお、樹脂粒子は、例えば、ポリマーBからなるコアと、コアの表面を被覆するように配置された、ポリマーA’の一部又は全部からなるシェルとを備えたコアシェル構造を有する。
樹脂粒子を構成するポリマーA’は、ポリマーA中の酸性基の一部を中和(部分中和)したものである。このため、ポリマーA’は、ポリマーA中の酸性基の全部又はほとんどを中和したポリマーに比べて界面活性能が低く抑えられている。すなわち、界面活性能が低く抑えられたポリマーA’を用いることにより、形成される樹脂粒子の小粒子径化を抑制することができる。このため、平均粒子径が100nm以上300nm以下の樹脂粒子が分散した樹脂粒子分散体を得ることができる。さらには、ポリマーA’は、ポリマーA中の酸性基の全部又はほとんどを中和したポリマーに比べて、目的の平均粒子径を有する樹脂粒子を調製しようとする際に、ポリマーAをより多く使用できるために好ましい。なお、詳細については後述する。
[pH調整工程]
pH調整工程では、樹脂粒子分散体に第2の塩基を添加して、樹脂粒子分散体のpHを7以上とする。樹脂粒子分散体のpHを7以上にすることで、樹脂粒子の表面に残存する酸性基から水素を脱離させ、表面の酸性基の半数以上が電荷を持った樹脂粒子を含有する樹脂粒子分散体を得ることができる。このようにして得られた樹脂粒子分散体は、pHの変動により表面電荷が大幅に変化する。このため、調製された樹脂粒子の表面をpHの調整によって高電荷にすることができる。これにより、得られた樹脂粒子分散体をインクジェット用インクに用いた場合、高電荷の樹脂粒子同士の強い電荷反発により、樹脂粒子同士の分散による不安定化を防止し、吐出安定性を向上させることができる。以上より、本発明の製造方法によって製造された樹脂粒子分散体は、pH7以上の条件下で使用されることが好ましい。
pH調整工程では、樹脂粒子分散体に第2の塩基を添加して、樹脂粒子分散体のpHを7以上とする。樹脂粒子分散体のpHを7以上にすることで、樹脂粒子の表面に残存する酸性基から水素を脱離させ、表面の酸性基の半数以上が電荷を持った樹脂粒子を含有する樹脂粒子分散体を得ることができる。このようにして得られた樹脂粒子分散体は、pHの変動により表面電荷が大幅に変化する。このため、調製された樹脂粒子の表面をpHの調整によって高電荷にすることができる。これにより、得られた樹脂粒子分散体をインクジェット用インクに用いた場合、高電荷の樹脂粒子同士の強い電荷反発により、樹脂粒子同士の分散による不安定化を防止し、吐出安定性を向上させることができる。以上より、本発明の製造方法によって製造された樹脂粒子分散体は、pH7以上の条件下で使用されることが好ましい。
第2の塩基としては、前述の第1の塩基と、好ましいものを含めて同様のものを挙げることができる。なお、第1の塩基と第2の塩基は、同一であっても異なっていてもよい。
pH調整工程においては、ポリマーBのTg以上の温度で、樹脂粒子分散体に第2の塩基を添加することが好ましい。これにより、樹脂粒子を構成するコアの流動性を上げ、コア中に埋没していたポリマーAに含まれる水素が付加した酸性基を樹脂粒子の表面へと移動させることができる。この状態で第2の塩基と作用させることにより、酸性基からの水素の脱離をさらに促進させ、得られる樹脂粒子の表面酸価をさらに高めることができる。第2の塩基を添加する際の温度を上げるには、容器内に樹脂粒子分散体を入れ、外部から熱を付与すればよい。ただし、樹脂粒子分散体の温度が一定以上に保たれればよいので、マイクロ波によって加熱してもよい。また、ポリマーBのTg(ガラス転移温度)が水の沸点である100℃を超える場合には、密閉容器を用いればよい。
樹脂粒子を構成するポリマーBのTgは、下記式(2)により算出される。
1/Tg=Σ(Xk/Tgk) ・・・(2)
ポリマーBが、k=1〜nのn個のモノマー成分が共重合したものである場合、上記式(2)中の「Xk」はk番目のモノマーの重量分率(ΣXk=1)を表す。そして、「Tgk」はk番目のモノマーの単独重合体のTg(絶対温度)を表す。ただし、Σはkが1からnまでの和である。なお、各モノマーの単独重合体のTg(Tgk)は、Polymer Handbook (3rd Edition) [J.Brandrup, E.H.Immergut著 (Wiley-Interscience, 1989)]などに記載されている。
1/Tg=Σ(Xk/Tgk) ・・・(2)
ポリマーBが、k=1〜nのn個のモノマー成分が共重合したものである場合、上記式(2)中の「Xk」はk番目のモノマーの重量分率(ΣXk=1)を表す。そして、「Tgk」はk番目のモノマーの単独重合体のTg(絶対温度)を表す。ただし、Σはkが1からnまでの和である。なお、各モノマーの単独重合体のTg(Tgk)は、Polymer Handbook (3rd Edition) [J.Brandrup, E.H.Immergut著 (Wiley-Interscience, 1989)]などに記載されている。
上記の各工程を経て得られた樹脂粒子分散体に含有される樹脂粒子は、表面酸価が高いとともに、平均粒子径が、通常100nm以上300nm以下となる。このようにして調製された樹脂粒子は、電荷による樹脂粒子同士の静電反発が強い。このため、インクジェット方式でノズルから吐出する際に樹脂粒子に加わる剪断力によって生ずる樹脂粒子の分散不安定化を低減することができ、優れた吐出安定性を得ることができる。
さらに、このような樹脂粒子分散体を用いて得たインクをインクジェット方式でノズルから吐出すると、詳細な原因は不明であるが、平均粒子径によって吐出安定性に大きな違いが生ずる。具体的には、樹脂粒子の平均粒子径が100nm未満である場合、吐出安定性が著しく低下する傾向にある。一方、樹脂粒子の平均粒子径が300nmを超える場合には、1μm以上の樹脂粒子が発生してしまい、インクジェットヘッドのノズル(吐出口)やインク供給流路内に詰まりが発生する場合がある。このため、樹脂粒子分散体に含有される樹脂粒子の平均粒子径は、100nm以上300nm以下であることが好ましく、150nm以上250nm以下であることがさらに好ましい。ここで、本発明における「樹脂粒子の平均粒子径」とは、粒度分布測定機(商品名「マイクロトラック UPA EX−150」、日機装製)を使用して測定した、体積平均のメジアン径であるD50粒径を意味する。
樹脂粒子を構成するポリマーBの重量平均分子量は、通常100,000以上2,500,000、好ましくは200,000以上700,000以下である。ポリマーBの重量平均分子量は、以下に示す方法にしたがって測定及び算出することができる。遠心分離により樹脂粒子分散体から分離した樹脂粒子をTHFに溶解させた後、再度遠心分離して上澄み液を得る。得られた上澄み液をろ過して得たろ液を、ポリスチレン換算のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で分析することにより、ポリマーA’とポリマーBの重量平均分子量を測定及び算出することができる。なお、カラムには、例えば商品名「Shodex GPC KF−806」及び「Shodex GPC K−806L」(いずれも昭和電工製)などを使用することができる。
樹脂粒子分散体に含有される樹脂粒子の表面酸価は、以下に示す方法にしたがって測定及び算出することができる。遠心分離等により樹脂粒子分散体から分離した樹脂粒子を水に分散させ、全質量に対する樹脂粒子の含有量を0.3質量%に調整した分散液を得る。得られた分散液7gを純水238gで希釈した後、pHが10となるように水酸化カリウム水溶液を添加して調製液を得る。電位差滴定装置(商品名「AT−510」、京都電子製)を使用して得られた調製液の電位差を測定しながら、メチルグリコールキトサンN/200を滴下する。滴下開始直後の電位差と滴定量をプロットして電位差−滴定量のプロットを作成する。作成した電位差−滴定量のプロットより変曲点を求め、等電点とした。メチルグリコールキトサンN/200の滴定量から樹脂粒子の表面酸価を算出することができる。なお、上記した表面酸価の測定方法を、以下「コロイド滴定法」とも記す。
上記コロイド滴定法によって測定及び算出される樹脂粒子の表面酸価は、50μmol/g以上1,000μmol/g以下であることが好ましい。樹脂粒子の表面酸価が50μmol/g未満であると、表面の電荷を十分に得ることができず、インクの吐出安定性を向上させることができない場合がある。一方、樹脂粒子の表面酸価が1,000μmol/g超であると、反応液を使用した画像形成時に、反応液中のインクを増粘させる成分の量が多く必要となる場合がある。
樹脂粒子を構成するポリマーA’とポリマーBの質量比は、0.5/99.5以上20/80以下であることが好ましく、3/97以上10/90以下であることがさらに好ましい。上記の質量比が0.5/99.5未満であると、乳化工程時に分散が不安定になる傾向にある。一方、上記の質量比が20/80超であると、平均粒子径が小さくなる傾向にある。
<インクジェット用インク>
本発明のインクジェット用インクは、上述の製造方法により製造された樹脂粒子分散体を含有することを特徴とする。本発明のインクジェット用インクは、後述する水溶性有機溶剤等の各成分を樹脂粒子分散体に添加することによって調製することができる。以下、本発明のインクジェット用インクに用いることのできる各成分について詳細に説明する。
本発明のインクジェット用インクは、上述の製造方法により製造された樹脂粒子分散体を含有することを特徴とする。本発明のインクジェット用インクは、後述する水溶性有機溶剤等の各成分を樹脂粒子分散体に添加することによって調製することができる。以下、本発明のインクジェット用インクに用いることのできる各成分について詳細に説明する。
[色材]
インクジェット用インクには色材を含有させることができる。色材の種類には特に制限はなく、一般に用いられる水溶性色材や水不溶性色材を用いることができる。
インクジェット用インクには色材を含有させることができる。色材の種類には特に制限はなく、一般に用いられる水溶性色材や水不溶性色材を用いることができる。
水溶性色材としては、公知の染料を用いることができる。インクジェット用インクに含まれる水溶性色材の量は、インク全質量を基準として0.5質量%以上5質量%以下であることが好ましい。また、水不溶性色材としては、公知の顔料や油性染料を用いることができる。インクジェット用インクに含まれる水不溶性色材の量は、インク全質量を基準として0.5質量%以上5質量%以下であることが好ましい。
[水性媒体]
前述の本発明の製造方法によって製造される樹脂粒子分散体には水が含有されている。このため、本発明のインクジェット用インクには、通常、水が含まれている。さらに、水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒を水性媒体として用いることが好ましい。水溶性有機溶剤の種類は特に限定されず、公知の水溶性の有機溶剤をいずれも用いることができる。水溶性有機溶剤の具体例としては、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、2−ピロリドン、グリセリンなどを挙げることができる。インクジェット用インクに含まれる水溶性有機溶剤の量は、インク全質量を基準として5質量%以上40質量%以下であることが好ましい。また、水は脱イオン水であることが好ましい。インクジェット用インクに含まれる水の量は、インク全質量を基準として40質量%以上90質量%以下であることが好ましい。
前述の本発明の製造方法によって製造される樹脂粒子分散体には水が含有されている。このため、本発明のインクジェット用インクには、通常、水が含まれている。さらに、水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒を水性媒体として用いることが好ましい。水溶性有機溶剤の種類は特に限定されず、公知の水溶性の有機溶剤をいずれも用いることができる。水溶性有機溶剤の具体例としては、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、2−ピロリドン、グリセリンなどを挙げることができる。インクジェット用インクに含まれる水溶性有機溶剤の量は、インク全質量を基準として5質量%以上40質量%以下であることが好ましい。また、水は脱イオン水であることが好ましい。インクジェット用インクに含まれる水の量は、インク全質量を基準として40質量%以上90質量%以下であることが好ましい。
[界面活性剤]
本発明のインクジェット用インクには界面活性剤を含有させることができる。界面活性剤の具体例としては、商品名「アセチレノールEH」(川研ファインケミカル社製)などを挙げることができる。インクジェット用インクに含まれる界面活性剤の量は、インク全質量を基準として0.01質量%以上5.0質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上3.0質量%以下であることがさらに好ましい。
本発明のインクジェット用インクには界面活性剤を含有させることができる。界面活性剤の具体例としては、商品名「アセチレノールEH」(川研ファインケミカル社製)などを挙げることができる。インクジェット用インクに含まれる界面活性剤の量は、インク全質量を基準として0.01質量%以上5.0質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上3.0質量%以下であることがさらに好ましい。
また、本発明のインクジェット用インクには、本発明の効果が得られる範囲内でその他の添加剤を含有させてもよい。その他の添加剤の具体例としては、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、及びキレート剤などの公知の添加剤を挙げることができる。
<インクセット>
本発明のインクセットは、上記したインクジェット用インクと、このインクジェット用インクを凝集させる反応液とを含むことを特徴とする。この反応液は、インクジェット用インク中の不溶性成分の分散性を不安定化させて凝集させるものである。反応液としては例えば、(i)インクジェット用インクのpHを変化させる反応液、(ii)不溶性成分と難溶性の塩を形成しうる多価金属塩を含有する反応液、並びに(iii)これら(i)及び(ii)の機能を併せ持つ反応液などが好ましい。
本発明のインクセットは、上記したインクジェット用インクと、このインクジェット用インクを凝集させる反応液とを含むことを特徴とする。この反応液は、インクジェット用インク中の不溶性成分の分散性を不安定化させて凝集させるものである。反応液としては例えば、(i)インクジェット用インクのpHを変化させる反応液、(ii)不溶性成分と難溶性の塩を形成しうる多価金属塩を含有する反応液、並びに(iii)これら(i)及び(ii)の機能を併せ持つ反応液などが好ましい。
本発明のインクセットに含まれるインクジェット用インクと反応液とを接触させることで、インクジェット用インク中の樹脂粒子の分散安定性が変化して、樹脂粒子を迅速に凝集させることができる。樹脂粒子が凝集することで、着色凝集物として着色画像を形成することができる。着色画像は記録媒体上に直接形成してもよく、中間転写体上に着色画像を形成した後、形成された着色画像を記録媒体上に転写することで記録媒体上に形成してもよい。
[反応液]
本発明における反応液は、インク高粘度化成分を含有する。ここで、インクの高粘度化とは、インクを構成している組成物の一部である色材や樹脂等がインク高粘度化成分と接触することによって化学的に反応し、あるいは物理的に吸着し、これによってインク全体の粘度上昇が認められる場合のみならず、色材などインク組成物の一部が凝集する事により局所的に粘度上昇を生じる場合をも含む意である。この成分は紙面上でのインクおよび/又はインク組成物の一部の流動性を低下せしめて、画像形成時のブリーディング、ビーディングを抑制する効果がある。本発明の態様においてはインク高粘度化成分として、多価の金属イオン、有機酸、カチオンポリマー、多孔質性微粒子など、旧来公知の物を特に制限無く用いることができる。中でも特に多価の金属イオンおよび有機酸が好適である。また複数の種類のインク高粘度化成分を含有させることも好適である。なお、反応液中のインク高粘度化成分の含有量は、反応液全質量に対して5質量%以上であることが好ましい。
本発明における反応液は、インク高粘度化成分を含有する。ここで、インクの高粘度化とは、インクを構成している組成物の一部である色材や樹脂等がインク高粘度化成分と接触することによって化学的に反応し、あるいは物理的に吸着し、これによってインク全体の粘度上昇が認められる場合のみならず、色材などインク組成物の一部が凝集する事により局所的に粘度上昇を生じる場合をも含む意である。この成分は紙面上でのインクおよび/又はインク組成物の一部の流動性を低下せしめて、画像形成時のブリーディング、ビーディングを抑制する効果がある。本発明の態様においてはインク高粘度化成分として、多価の金属イオン、有機酸、カチオンポリマー、多孔質性微粒子など、旧来公知の物を特に制限無く用いることができる。中でも特に多価の金属イオンおよび有機酸が好適である。また複数の種類のインク高粘度化成分を含有させることも好適である。なお、反応液中のインク高粘度化成分の含有量は、反応液全質量に対して5質量%以上であることが好ましい。
具体的にインク高粘度化成分として使用できる金属イオンとしては、例えば、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Sr2+、Ba2+およびZn2+等の二価の金属イオンや、Fe3+、Cr3+、Y3+およびAl3+等の三価の金属イオンが挙げられる。
また具体的にインク高粘度化成分として使用できる有機酸としては、例えば、シュウ酸、ポリアクリル酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、レブリン酸、コハク酸、グルタル酸、グルタミン酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ビリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、オキシコハク酸、ジオキシコハク酸等が挙げられる。
また、反応液には、本発明の効果が得られる範囲内でその他の添加剤を含有してもよい。その他の添加剤の具体例としては、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、及びキレート剤などの公知の添加剤を挙げることができる。
次に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、下記実施例によって限定されるものではない。尚、文中「部」及び「%」とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。
<ポリマーAの調製>
(ポリマーA−1)
撹拌装置、窒素導入管、還流管、円筒滴下ロート、及び温度計を備えた500mLフラスコにメチルエチルケトン100gを入れ、75℃の油浴に浸した。このフラスコ内に、スチレン78g、アクリル酸18g、及び2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)1gをメチルエチルケトン100gに溶解させて得た溶液を2時間かけて滴下した。6時間加熱撹拌した後に室温まで冷却し、次いで、得られた反応液をメタノール1L中に少しずつ注いで析出した白色固体を分取した。分取した白色結晶を、1mmHg、20℃、及び12時間の条件で2回減圧乾燥してポリマーA−1を得た。得られたポリマーA−1の酸価は131mgKOH/gであった。
(ポリマーA−1)
撹拌装置、窒素導入管、還流管、円筒滴下ロート、及び温度計を備えた500mLフラスコにメチルエチルケトン100gを入れ、75℃の油浴に浸した。このフラスコ内に、スチレン78g、アクリル酸18g、及び2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)1gをメチルエチルケトン100gに溶解させて得た溶液を2時間かけて滴下した。6時間加熱撹拌した後に室温まで冷却し、次いで、得られた反応液をメタノール1L中に少しずつ注いで析出した白色固体を分取した。分取した白色結晶を、1mmHg、20℃、及び12時間の条件で2回減圧乾燥してポリマーA−1を得た。得られたポリマーA−1の酸価は131mgKOH/gであった。
(ポリマーA−2)
撹拌装置、窒素導入管、還流管、円筒滴下ロート、及び温度計を備えた500mLフラスコにメチルエチルケトン100gを入れ、75℃の油浴に浸した。このフラスコ内に、スチレン52g、アクリル酸36g、及び2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)1gをメチルエチルケトン100gに溶解させて得た溶液を2時間かけて滴下した。6時間加熱撹拌した後に室温まで冷却し、次いで、得られた反応液をメタノール1L中に少しずつ注いで析出した白色固体を分取した。分取した白色結晶を、1mmHg、20℃、及び12時間の条件で2回減圧乾燥してポリマーA−2を得た。得られたポリマーA−2の酸価は298mgKOH/gであった。
撹拌装置、窒素導入管、還流管、円筒滴下ロート、及び温度計を備えた500mLフラスコにメチルエチルケトン100gを入れ、75℃の油浴に浸した。このフラスコ内に、スチレン52g、アクリル酸36g、及び2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)1gをメチルエチルケトン100gに溶解させて得た溶液を2時間かけて滴下した。6時間加熱撹拌した後に室温まで冷却し、次いで、得られた反応液をメタノール1L中に少しずつ注いで析出した白色固体を分取した。分取した白色結晶を、1mmHg、20℃、及び12時間の条件で2回減圧乾燥してポリマーA−2を得た。得られたポリマーA−2の酸価は298mgKOH/gであった。
(ポリマーA−3)
撹拌装置、窒素導入管、還流管、円筒滴下ロート、及び温度計を備えた500mLフラスコにメチルエチルケトン100gを入れ、75℃の油浴に浸した。このフラスコ内に、スチレン26g、アクリル酸54g、及び2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)1gをメチルエチルケトン100gに溶解させて得た溶液を2時間かけて滴下した。6時間加熱撹拌した後に室温まで冷却し、次いで、得られた反応液をメタノール1L中に少しずつ注いで析出した白色固体を分取した。分取した白色結晶を、1mmHg、20℃、及び12時間の条件で2回減圧乾燥してポリマーA−3を得た。得られたポリマーA−3の酸価は488mgKOH/gであった。
撹拌装置、窒素導入管、還流管、円筒滴下ロート、及び温度計を備えた500mLフラスコにメチルエチルケトン100gを入れ、75℃の油浴に浸した。このフラスコ内に、スチレン26g、アクリル酸54g、及び2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)1gをメチルエチルケトン100gに溶解させて得た溶液を2時間かけて滴下した。6時間加熱撹拌した後に室温まで冷却し、次いで、得られた反応液をメタノール1L中に少しずつ注いで析出した白色固体を分取した。分取した白色結晶を、1mmHg、20℃、及び12時間の条件で2回減圧乾燥してポリマーA−3を得た。得られたポリマーA−3の酸価は488mgKOH/gであった。
(ポリマーA−4)
撹拌装置、窒素導入管、還流管、円筒滴下ロート、及び温度計を備えた500mLフラスコにメチルエチルケトン100gを入れ、75℃の油浴に浸した。このフラスコ内に、スチレン94g、アクリル酸6g、及び2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)1gをメチルエチルケトン100gに溶解させて得た溶液を2時間かけて滴下した。6時間加熱撹拌した後に室温まで冷却し、次いで、得られた反応液をメタノール1L中に少しずつ注いで析出した白色固体を分取した。分取した白色結晶を、1mmHg、20℃、及び12時間を2回減圧乾燥してポリマーA−4を得た。得られたポリマーA−4の酸価は48mgKOH/gであった。
撹拌装置、窒素導入管、還流管、円筒滴下ロート、及び温度計を備えた500mLフラスコにメチルエチルケトン100gを入れ、75℃の油浴に浸した。このフラスコ内に、スチレン94g、アクリル酸6g、及び2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)1gをメチルエチルケトン100gに溶解させて得た溶液を2時間かけて滴下した。6時間加熱撹拌した後に室温まで冷却し、次いで、得られた反応液をメタノール1L中に少しずつ注いで析出した白色固体を分取した。分取した白色結晶を、1mmHg、20℃、及び12時間を2回減圧乾燥してポリマーA−4を得た。得られたポリマーA−4の酸価は48mgKOH/gであった。
<ポリマーAの物性>
(重量平均分子量)
ポリマーAをTHFに溶解させた後にろ過し、得られたろ液をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(カラム:商品名「Shodex GPC KF−806」及び商品名「Shodex GPC K−806L」(昭和電工製))により分析する。そして、ポリスチレン換算のポリマーAの重量平均分子量を算出した。結果を表1に示す。
(重量平均分子量)
ポリマーAをTHFに溶解させた後にろ過し、得られたろ液をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(カラム:商品名「Shodex GPC KF−806」及び商品名「Shodex GPC K−806L」(昭和電工製))により分析する。そして、ポリスチレン換算のポリマーAの重量平均分子量を算出した。結果を表1に示す。
(ポリマーAの酸価)
テトラヒドロフラン200mLとエタノール100mLの混合液に2gのポリマーAを溶解させた試料を調製した。規定度を測定済みの水酸化カリウム−エタノール溶液を使用し、調製した試料について、JIS K 0070:1992に準拠して中和滴定することによりポリマーAの酸価を測定及び算出した。結果を表1に示す。
テトラヒドロフラン200mLとエタノール100mLの混合液に2gのポリマーAを溶解させた試料を調製した。規定度を測定済みの水酸化カリウム−エタノール溶液を使用し、調製した試料について、JIS K 0070:1992に準拠して中和滴定することによりポリマーAの酸価を測定及び算出した。結果を表1に示す。
<樹脂粒子分散体の調製>
(実施例1:樹脂粒子分散体A)
ポリマーA−2 0.3gと水100gの混合液に、1Nの水酸化カリウム水溶液を中和量が0.2となるまでゆっくりと滴下して撹拌し、ポリマーA’−2の水溶液を得た。得られた水溶液70gに、エチルメタクリレート9g、ステアリルメタクリレート1g、及び2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.5gを加えた後、1分間超音波照射して乳化させ、モノマー分散液を得た。得られたモノマー分散液を用いて、窒素雰囲気下、70℃で8時間重合し、樹脂粒子分散体Aを得た。得られた樹脂粒子分散体Aに1Nの水酸化カリウム水溶液を滴下してpHを8.5に調整した。
(実施例1:樹脂粒子分散体A)
ポリマーA−2 0.3gと水100gの混合液に、1Nの水酸化カリウム水溶液を中和量が0.2となるまでゆっくりと滴下して撹拌し、ポリマーA’−2の水溶液を得た。得られた水溶液70gに、エチルメタクリレート9g、ステアリルメタクリレート1g、及び2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.5gを加えた後、1分間超音波照射して乳化させ、モノマー分散液を得た。得られたモノマー分散液を用いて、窒素雰囲気下、70℃で8時間重合し、樹脂粒子分散体Aを得た。得られた樹脂粒子分散体Aに1Nの水酸化カリウム水溶液を滴下してpHを8.5に調整した。
(実施例2〜6、比較例1〜5:樹脂粒子分散体B〜K)
ポリマーAの種類及び量、イオン交換水の量、第1及び第2の塩基の種類、並びに中和量を表2に示すようにしたこと以外は、前述の樹脂粒子分散体Aの場合と同様の操作により樹脂粒子分散体B〜Kを得た。
ポリマーAの種類及び量、イオン交換水の量、第1及び第2の塩基の種類、並びに中和量を表2に示すようにしたこと以外は、前述の樹脂粒子分散体Aの場合と同様の操作により樹脂粒子分散体B〜Kを得た。
<樹脂粒子分散体の物性>
(ポリマーA’とポリマーBの質量比)
遠心分離により樹脂粒子分散体から樹脂粒子を分離した。分離した樹脂粒子をTHFに溶解させた後、遠心分離により上澄み液を得た。この上澄み液をろ過して得たろ液を、ポリスチレン換算のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で分析することにより、ポリマーA’とポリマーBの重量平均分子量を測定し、「ポリマーA’/ポリマーB(質量比)」を算出した。なお、カラムには商品名「Shodex GPC KF−806」及び「Shodex GPC K−806L」(いずれも昭和電工製)を使用した。結果を表3に示す。
(ポリマーA’とポリマーBの質量比)
遠心分離により樹脂粒子分散体から樹脂粒子を分離した。分離した樹脂粒子をTHFに溶解させた後、遠心分離により上澄み液を得た。この上澄み液をろ過して得たろ液を、ポリスチレン換算のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で分析することにより、ポリマーA’とポリマーBの重量平均分子量を測定し、「ポリマーA’/ポリマーB(質量比)」を算出した。なお、カラムには商品名「Shodex GPC KF−806」及び「Shodex GPC K−806L」(いずれも昭和電工製)を使用した。結果を表3に示す。
(中和量)
下記式(1)に従って中和量を算出した。結果を表2に示す。
中和量=X/{(Y×Z)/56.11} ・・・(1)
X:添加した第1の塩基の量(mol)
Y:ポリマーA(固形分)の量(g)
Z:ポリマーAの酸価(mgKOH/g)
下記式(1)に従って中和量を算出した。結果を表2に示す。
中和量=X/{(Y×Z)/56.11} ・・・(1)
X:添加した第1の塩基の量(mol)
Y:ポリマーA(固形分)の量(g)
Z:ポリマーAの酸価(mgKOH/g)
(ポリマーA’の未中和酸量)
ポリマーA’の水溶液を脱水して得られたポリマーA’を用いて、前述のポリマーAの酸価を測定した方法と同様の方法によりポリマーA’の未中和酸量を算出した。結果を表3に示す。
ポリマーA’の水溶液を脱水して得られたポリマーA’を用いて、前述のポリマーAの酸価を測定した方法と同様の方法によりポリマーA’の未中和酸量を算出した。結果を表3に示す。
(樹脂粒子の平均粒子径)
粒度分布測定機(商品名「マイクロトラック UPA EX−150」、日機装製)を使用し、樹脂粒子分散体に含まれる樹脂粒子の平均粒子径(メジアン径(D50粒径))を測定した。結果を表3に示す。
粒度分布測定機(商品名「マイクロトラック UPA EX−150」、日機装製)を使用し、樹脂粒子分散体に含まれる樹脂粒子の平均粒子径(メジアン径(D50粒径))を測定した。結果を表3に示す。
(樹脂粒子の表面酸価)
遠心分離等により樹脂粒子分散体から分離した樹脂粒子を水に分散させ、全質量に対する樹脂粒子の含有量を0.3質量%に調整した分散液を得た。得られた分散液7gを純水238gで希釈した後、pHが10となるように水酸化カリウム水溶液を添加して調製液を得た。電位差滴定装置(商品名「AT−510」、京都電子製)を使用して得られた調製液の電位差を測定しながら、メチルグリコールキトサンN/200を滴下した。滴下開始直後の電位差と滴定量をプロットして電位差−滴定量のプロットを作成した。作成した電位差−滴定量のプロットより変曲点を求め、等電点とした。メチルグリコールキトサンN/200の滴定量から樹脂粒子の表面酸価を算出した。結果を表3に示す。
遠心分離等により樹脂粒子分散体から分離した樹脂粒子を水に分散させ、全質量に対する樹脂粒子の含有量を0.3質量%に調整した分散液を得た。得られた分散液7gを純水238gで希釈した後、pHが10となるように水酸化カリウム水溶液を添加して調製液を得た。電位差滴定装置(商品名「AT−510」、京都電子製)を使用して得られた調製液の電位差を測定しながら、メチルグリコールキトサンN/200を滴下した。滴下開始直後の電位差と滴定量をプロットして電位差−滴定量のプロットを作成した。作成した電位差−滴定量のプロットより変曲点を求め、等電点とした。メチルグリコールキトサンN/200の滴定量から樹脂粒子の表面酸価を算出した。結果を表3に示す。
<顔料分散体の調製>
(自己分散顔料分散体の調製)
1Lフラスコにイオン交換水243gとカーボンブラック(商品名「Printex85」、Evonik製)25gを入れて撹拌した。次いで、有効塩素濃度5%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液161gを加えて撹拌した後、フラスコにジムロート冷却器を取り付け、オイルバスを用いて105℃で8時間加熱しながら反応液を撹拌した。反応液を分別後、水酸化カリウム水溶液で中和し、次いで、限外ろ過装置を使用して電導度が1.5mS/cmになるまで脱塩した。自己分散カーボンブラックの濃度が10%となるように調整後、プレフィルター及び孔径1μmのフィルターの併用系で濾過して自己分散顔料分散体を得た。
(自己分散顔料分散体の調製)
1Lフラスコにイオン交換水243gとカーボンブラック(商品名「Printex85」、Evonik製)25gを入れて撹拌した。次いで、有効塩素濃度5%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液161gを加えて撹拌した後、フラスコにジムロート冷却器を取り付け、オイルバスを用いて105℃で8時間加熱しながら反応液を撹拌した。反応液を分別後、水酸化カリウム水溶液で中和し、次いで、限外ろ過装置を使用して電導度が1.5mS/cmになるまで脱塩した。自己分散カーボンブラックの濃度が10%となるように調整後、プレフィルター及び孔径1μmのフィルターの併用系で濾過して自己分散顔料分散体を得た。
<インクの調製>
(実施例7〜12、比較例6〜10)
以下に示す配合比で各成分を混合して30分撹拌した後、水酸化カリウム水溶液を用いてpHを8.5に調整した。次いで、孔径5μmのメンブレンフィルターで濾過してインクジェット用のインクを得た。
樹脂粒子分散体A〜K:45部
自己分散顔料分散体:20部
グリセリン:5部
2−ピロリドン:5部
ポリエチレングリコール(分子量1000):5部
アセチレノールEH(川研ファインケミカル製):0.1部
イオン交換水:残部(19.9部)
(実施例7〜12、比較例6〜10)
以下に示す配合比で各成分を混合して30分撹拌した後、水酸化カリウム水溶液を用いてpHを8.5に調整した。次いで、孔径5μmのメンブレンフィルターで濾過してインクジェット用のインクを得た。
樹脂粒子分散体A〜K:45部
自己分散顔料分散体:20部
グリセリン:5部
2−ピロリドン:5部
ポリエチレングリコール(分子量1000):5部
アセチレノールEH(川研ファインケミカル製):0.1部
イオン交換水:残部(19.9部)
<インクの評価>
(吐出安定性)
インクジェットプリンタ(商品名「PIXUS iP4300」、キヤノン製)のインクカートリッジにインクを搭載し、1ドットの縦線を光沢紙(商品名「PR−101」、キヤノン製)に印字した。その後、インクカートリッジ中のインクをノズルから吐出し、インクがなくなる直前に、先に印字した光沢紙とは別の光沢紙(商品名「PR−101」、キヤノン製)に1ドットの縦線を印字した。1枚目の光沢紙と2枚目の光沢紙を並べ、25cm離れた距離から目視観察し、以下に示す評価基準にしたがってインクの吐出安定性を評価した。なお、評価が「A」又は「B」であれば十分な吐出安定性を有すると判断した。結果を表4に示す。
A:両者にほとんど差異がない。
B:2枚目の光沢紙に印字した縦線の一部にドット着弾ズレが認められるものの、縦線を直線として認識することができる。
C:2枚目の光沢紙に印字した縦線にドット着弾ズレがはっきりと認められるとともに、縦線がずれて認識される。
D:1枚目の光沢紙に印字した縦線と2枚目の光沢紙に印字した縦線のいずれかが掠れている。
(吐出安定性)
インクジェットプリンタ(商品名「PIXUS iP4300」、キヤノン製)のインクカートリッジにインクを搭載し、1ドットの縦線を光沢紙(商品名「PR−101」、キヤノン製)に印字した。その後、インクカートリッジ中のインクをノズルから吐出し、インクがなくなる直前に、先に印字した光沢紙とは別の光沢紙(商品名「PR−101」、キヤノン製)に1ドットの縦線を印字した。1枚目の光沢紙と2枚目の光沢紙を並べ、25cm離れた距離から目視観察し、以下に示す評価基準にしたがってインクの吐出安定性を評価した。なお、評価が「A」又は「B」であれば十分な吐出安定性を有すると判断した。結果を表4に示す。
A:両者にほとんど差異がない。
B:2枚目の光沢紙に印字した縦線の一部にドット着弾ズレが認められるものの、縦線を直線として認識することができる。
C:2枚目の光沢紙に印字した縦線にドット着弾ズレがはっきりと認められるとともに、縦線がずれて認識される。
D:1枚目の光沢紙に印字した縦線と2枚目の光沢紙に印字した縦線のいずれかが掠れている。
(反応性)
以下に示す配合比で各成分を混合して得た反応液を用いてインクの反応性を評価した。
[反応液の組成]
硝酸カルシウム・4水和物:30g
グリセリン:10g
アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物(商品名「アセチレノールEH」):1g
脱イオン水:53g
以下に示す配合比で各成分を混合して得た反応液を用いてインクの反応性を評価した。
[反応液の組成]
硝酸カルシウム・4水和物:30g
グリセリン:10g
アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物(商品名「アセチレノールEH」):1g
脱イオン水:53g
インクジェットプリンタ(商品名「PIXUS iP4300」、キヤノン製)のインクカートリッジにインク及び反応液をそれぞれ搭載し、
所望画像の塗りつぶし面積の15%が埋まるように反応液を吐出しながらインクを吐出し、記録媒体(PETフィルム)の縁から20mmを除いた領域にベタ画像を形成した。ベタ画像の形成状態を目視観察し、以下に示す評価基準にしたがってインクの反応性を評価した。なお、評価が「A」であれば十分な反応性を有すると判断した。結果を表4に示す。
A:PET上でのインクのはじきや色ムラなく、所望の画像が形成できている。
B:PET上でのインクのはじきはないが、色ムラがある。
C:PET上の一部でインクのはじきがあり、PETが露出している。
D:PET上でインクがはじかれ、画像が形成されない。
所望画像の塗りつぶし面積の15%が埋まるように反応液を吐出しながらインクを吐出し、記録媒体(PETフィルム)の縁から20mmを除いた領域にベタ画像を形成した。ベタ画像の形成状態を目視観察し、以下に示す評価基準にしたがってインクの反応性を評価した。なお、評価が「A」であれば十分な反応性を有すると判断した。結果を表4に示す。
A:PET上でのインクのはじきや色ムラなく、所望の画像が形成できている。
B:PET上でのインクのはじきはないが、色ムラがある。
C:PET上の一部でインクのはじきがあり、PETが露出している。
D:PET上でインクがはじかれ、画像が形成されない。
Claims (7)
- インクジェット用インクに用いる樹脂粒子分散体の製造方法であって、
酸価が100mgKOH/g以上700mgKOH/g以下のポリマーA及び水を含有する混合液に、下記式(1)で表される中和量が0.2以上0.5以下となるように第1の塩基を添加して前記ポリマーAを中和して、未中和酸量が50mgKOH/g以上150mgKOH/g以下のポリマーA’を含有するポリマーA’水溶液を得る中和工程と、
前記ポリマーA’水溶液及びα,β−不飽和疎水性化合物を混合してモノマー分散液を得る分散工程と、
前記モノマー分散液中の前記α,β−不飽和疎水性化合物を重合してポリマーBを形成し、前記ポリマーA’及び前記ポリマーBを含む樹脂粒子を含有する樹脂粒子分散体を得る重合工程と、
前記樹脂粒子分散体に第2の塩基を添加して、前記樹脂粒子分散体のpHを7以上とするpH調整工程とを有することを特徴とする樹脂粒子分散体の製造方法。
中和量=X/{(Y×Z)/56.11} ・・・(1)
X:添加した第1の塩基の量(mol)
Y:ポリマーA(固形分)の量(g)
Z:ポリマーAの酸価(mgKOH/g) - 前記第1の塩基及び前記第2の塩基が、それぞれ水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムである請求項1に記載の樹脂粒子分散体の製造方法。
- 前記pH調整工程において、前記ポリマーBのTg以上の温度で、前記樹脂粒子分散体に前記第2の塩基を添加する請求項1又は2に記載の樹脂粒子分散体の製造方法。
- 前記樹脂粒子の平均粒子径が100nm以上300nm以下であり、
前記樹脂粒子の表面酸価が50μmol/g以上1,000μmol/g以下であり、
前記ポリマーA’と前記ポリマーBの質量比が、0.5/99.5以上20/80以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂粒子分散体の製造方法。 - 前記ポリマーA’の重量平均分子量が5,000以上50,000以下であり、
前記ポリマーBの重量平均分子量が100,000以上2,500,000以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂粒子分散体の製造方法。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂粒子分散体の製造方法により製造された樹脂粒子分散体を含有することを特徴とするインクジェット用インク。
- 請求項6に記載のインクジェット用インクと、前記インクジェット用インクを凝集させる反応液とを含むことを特徴とするインクセット。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012281479A JP2014125501A (ja) | 2012-12-25 | 2012-12-25 | 樹脂粒子分散体の製造方法、インクジェット用インク、及びインクセット |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012281479A JP2014125501A (ja) | 2012-12-25 | 2012-12-25 | 樹脂粒子分散体の製造方法、インクジェット用インク、及びインクセット |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2014125501A true JP2014125501A (ja) | 2014-07-07 |
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ID=51405273
Family Applications (1)
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JP2012281479A Pending JP2014125501A (ja) | 2012-12-25 | 2012-12-25 | 樹脂粒子分散体の製造方法、インクジェット用インク、及びインクセット |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2014125501A (ja) |
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2012
- 2012-12-25 JP JP2012281479A patent/JP2014125501A/ja active Pending
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