JP2014124871A - 撥液膜の形成方法、撥液膜、ノズルプレート、液滴吐出ヘッドおよび液滴吐出装置 - Google Patents

撥液膜の形成方法、撥液膜、ノズルプレート、液滴吐出ヘッドおよび液滴吐出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】各種液体に対して優れた撥液性を有する撥液膜を製造することができる撥液膜の形成方法、各種液体に対して優れた撥液性を有する撥液膜、かかる撥液膜を備えるノズルプレート、液滴吐出ヘッドおよび液滴吐出装置を提供すること。
【解決手段】撥液膜の形成方法は、金属Mを有するカップリング剤を用いて、基材に撥液膜を形成する方法であり、下記一般式(4)で表わされるカップリング剤または下記一般式(5)で表わされるカップリング剤を、気相成膜法を用いて前記基材に供給する第1供給工程と、前記基材に供給された前記カップリング剤が有する基Rbを水酸基に置換する置換工程とを有し、前記第1供給工程と、前記置換工程とを2回以上繰り返して行うことを特徴とする。
Figure 2014124871

【選択図】なし

Description

本発明は、撥液膜の形成方法、撥液膜、ノズルプレート、液滴吐出ヘッドおよび液滴吐出装置に関するものである。
例えば、インクジェットプリンタのような液滴吐出装置には、液滴を吐出するための液滴吐出ヘッドが備えられている。このような液滴吐出ヘッドとしては、例えば、インクを液滴として吐出するノズルに連通し、インクを収容するインク室(キャビティー)と、このインク室の壁面を変形させる駆動用の圧電素子とを備えるものが知られている。
このような液滴吐出ヘッドにあっては、駆動用の圧電素子を伸縮させることにより、インク室の一部(弾性膜)を変位させる。これにより、インク室の容積を変化させて、ノズルからインク液滴が吐出される。
ところで、この液滴吐出ヘッドにおいて、ノズルを備えるノズルプレートの表面にインクが付着すると、その後に噴出されたインクが、付着インクの表面張力や粘性等の影響を受けて噴出軌道が曲げられてしまう。その結果、所定の位置にインクを塗布することができなくなるという問題がある。このため、ノズルプレートとして、その表面にインクの付着を防止する撥液膜を備えるものが知られている。
この撥液膜を形成する方法としては、例えば、特許文献1に記載のような方法が提案されている。
すなわち、ノズルプレートの表面に存在する水酸基に、フッ素系シランカップリング剤を結合させることにより、ノズルプレート表面に撥液性を有する単分子膜(撥液膜)を形成する方法が提案されている。
しかしながら、特許文献1に記載されたような方法では、フッ素系シランカップリング剤の単分子膜しか成膜することができず、かかる単分子膜(撥液膜)では、液滴吐出装置が吐出するインクに対する撥液性を十分に発揮させることができないことに起因して、ノズルプレートの表面に対するインクの付着を十分には抑制することができないという問題がある。
また、このような液滴吐出ヘッドが備えるノズルプレートの表面におけるインクに対する撥液性に限らず、アルカリ溶液や酸溶液等の各種液体に対する耐性を各種部材に対して付与することができる撥液膜の開発が求められている。
特開2008−42129号公報
本発明の目的は、各種液体に対して優れた撥液性を有する撥液膜を製造することができる撥液膜の形成方法、各種液体に対して優れた撥液性を有する撥液膜、かかる撥液膜を備えるノズルプレート、液滴吐出ヘッドおよび液滴吐出装置を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本適用例の撥液膜の形成方法は、金属Mを有するカップリング剤を用いて、基材に撥液膜を形成する撥液膜の形成方法であって、
下記一般式(4)で表わされるカップリング剤または下記一般式(5)で表わされるカップリング剤を、気相成膜法を用いて前記基材に供給する第1供給工程と、
前記基材に供給された前記カップリング剤が有する基Rbを水酸基に置換する置換工程とを有し、
前記第1供給工程と、前記置換工程とを2回以上繰り返して行うことを特徴とする。
Figure 2014124871
[一般式(4)中、Mは3価の金属を表し、Rfはフッ素原子を含む基を表し、Rbはハロゲン基、アルコキシル基またはシラザン基を表す。]
[一般式(5)中、Mは4価の金属を表し、Rはアルキル基を表し、Rfはフッ素原子を含む基を表し、Rbはハロゲン基、アルコキシル基またはシラザン基を表し、m2は1または2を表す。]
これにより、各種液体に対して優れた撥液性を有する撥液膜を形成することができる。
本適用例の撥液膜の形成方法では、前記一般式(4)で表わされるカップリング剤および前記一般式(5)で表わされるカップリング剤は、その分子量が1000以下のものであることが好ましい。
これにより、膜材料である前記カップリング剤を気化した状態で、基材上に確実に供給することができる。さらに、かかるカップリング剤に由来する化合物で構成される撥液膜を、その密度を2.0g/cm以上のものと確実にすることができる。
本適用例の撥液膜の形成方法では、最後の前記置換工程の後に、前記金属Mが3価の金属であるとき、下記一般式(6)で表わされるカップリング剤を、前記金属Mが4価の金属であるとき、下記一般式(7)で表わされるカップリング剤を前記基材に供給する第2供給工程を有することが好ましい。
Figure 2014124871
[一般式(6)中、Mは3価の金属を表し、Rはアルキル基を表し、Rfはフッ素原子を含む基を表し、Rbはハロゲン基、アルコキシル基またはシラザン基を表し、mは1または2を表す。]
[一般式(7)中、Mは4価の金属を表し、Rはアルキル基を表し、Rfはフッ素原子を含む基を表し、Rbはハロゲン基、アルコキシル基またはシラザン基を表し、m1は1〜3の整数を表す。]
これにより、形成される撥液膜の撥液性をより向上させることができる。
本適用例の撥液膜の形成方法では、基Rfは、フルオロアルキル基であることが好ましい。
これにより、基Rfを容易にフッ素原子を含むものとすることができる。さらに、フルオロアルキル基が有する炭素数を適宜設定することにより、基Rfが発揮する撥液性の程度を容易に設定することができるとともに、形成される撥液膜の密度を2.0g/cm以上のものとすることができる。
本適用例の撥液膜は、基材に撥液性を付与するために形成する撥液膜であって、
金属Mを有するカップリング剤に由来する化合物を含み、
該化合物は、前記基材に連結しており、前記金属Mが3価の金属であるとき、下記一般式(1)で表され、前記金属Mが4価の金属であるとき、下記一般式(2)で表わされ、
その密度が2.0g/cm以上であることを特徴とする。
Figure 2014124871
[一般式(1)中、Mは3価の金属を表し、Rはアルキル基を表し、Rfはフッ素原子を含む基を表し、mは1または2であり、nは1以上の整数を表す。また、*で示した結合手において前記基材に連結する。]
Figure 2014124871
[一般式(2)中、Mは4価の金属を表し、Rはアルキル基を表し、Rfはフッ素原子を含む基を表し、m1は1〜3の整数を表し、m2は1または2であり、nは1以上の整数を表す。また、*で示した結合手において前記基材に連結する。]
前記化合物は、2個以上のカップリング剤が連結したものであり、かかる化合物を含む撥液膜は、2個以上のカップリング剤が連結した多分子膜と言うことができるため、各種液体に対して優れた撥液性を発揮するものとなる。
また、この撥液膜の密度は、2.0g/cm以上となっている。このような密度を有する撥液膜は、例えば、ポリテトラフルオロエチレンで構成される撥液膜と同等またはそれ以上の密度を有しており、かかる点からも、優れた撥液性を有するものと言うことができる。また、このような密度を有している撥液膜は、優れた強度を有しており、耐久性にも優れたものとなる。
本適用例の撥液膜では、前記金属Mは、4価の金属であるシリコンであり、
前記化合物は、下記一般式(3)で表わされる化合物であることが好ましい。
Figure 2014124871
[一般式(3)中、Rはアルキル基を表し、Rfはフッ素原子を含む基を表し、m1は1〜3の整数を表し、m2は1または2であり、nは1以上の整数を表す。また、*で示した結合手において前記基材に連結する。]
金属Mがシリコンであるカップリング剤すなわちシラン系カップリング剤は、反応性に優れたものであるため、上記一般式(3)で表わされる化合物は、基材に連結した状態で確実に形成されることとなる。
本適用例の撥液膜では、前記nは、4以上の整数であることが好ましい。
これにより、カップリング剤の単分子膜で構成される撥液膜と比較して、本適用例の撥液膜をより確実に撥液性に優れたものとすることができる。
本適用例のノズルプレートは、撥液膜を備えることを特徴とする。
これにより、撥液性に優れたノズルプレートを得ることができる。
本適用例の液滴吐出ヘッドは、ノズルプレートを備えることを特徴とする。
これにより、撥液性に優れた液滴吐出ヘッドを得ることができる。
本適用例の液滴吐出装置は、液滴吐出ヘッドを備えることを特徴とする。
これにより、信頼性に優れた液滴吐出装置を得ることができる。
本適用例の液滴吐出ヘッドをインクジェット式記録ヘッドに適用した実施形態を示す分解斜視図である。 図1に示すインクジェット式記録ヘッドの平面図および縦断面図である。 図1に示すインクジェット式記録ヘッドを搭載するインクジェット式記録装置の実施形態を示す斜視図である。 本適用例の撥液膜の形成に用いられる成膜装置を模式的に示す縦断面図である。
以下、本適用例の撥液膜の形成方法、撥液膜、ノズルプレート、液滴吐出ヘッドおよび液滴吐出装置を、添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
<インクジェット式記録ヘッド>
まず、本適用例の撥液膜の形成方法および撥液膜を説明するのに先立って、本適用例の撥液膜が適用された液滴吐出ヘッド(本適用例の液滴吐出ヘッド)について説明する。
なお、以下では、本適用例の液滴吐出ヘッドを、インクジェット式記録ヘッドに適用した場合を一例に説明する。
図1は、本適用例の液滴吐出ヘッドをインクジェット式記録ヘッドに適用した実施形態を示す分解斜視図、図2は、図1に示すインクジェット式記録ヘッドの平面図および縦断面図である。
図1および図2に示すように、インクジェット式記録ヘッド1(以下、「ヘッド1」と省略して記載することもある。)は、吐出液を貯留する圧力発生室12が形成された流路形成基板(基板)10と、圧力発生室12を覆うように流路形成基板10の一方の面に設けられ、インクを液滴として吐出するノズル孔21を備えるノズルプレート20と、圧力発生室12を覆うように流路形成基板10の他方の面に設けられた弾性膜50と、歪みにより弾性膜50を振動させる圧電素子(振動手段)300と、弾性膜50と圧電素子300とを覆うように流路形成基板10の他方の面に設けられた封止板30とを有する。
本実施形態では、流路形成基板(基板)10の一方面には弾性膜50が形成されている。流路形成基板10は、例えば、シリコン単結晶基板からなる。流路形成基板10には、複数の圧力発生室12がその幅方向に並設されている。
また、流路形成基板10の圧力発生室12の長手方向外側の領域には連通部13が形成され、連通部13と各圧力発生室12とが、圧力発生室12毎に設けられたインク供給路14および連通路15を介して連通されている。
なお、連通部13は、後述する封止板30のリザーバー部31と連通して各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバー100の一部を構成する。
インク供給路14は、圧力発生室12よりも狭い幅で形成されており、連通部13から圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。
なお、本実施形態では、流路の幅を片側から絞ることでインク供給路14を形成したが、流路の幅を両側から絞ることでインク供給路を形成してもよい。また、流路の幅を絞るのではなく、厚さ方向から絞ることでインク供給路を形成してもよい。
また、流路形成基板10の開口面(一方の面)側には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側の端部近傍に連通するノズル孔21が穿設されたノズルプレート20が固着されている。
このノズルプレート20は、ガラスセラミックス、シリコン単結晶基板、ステンレス鋼等で構成される基材25と、この基材25の圧力発生室12と反対側の表面に設けられた撥液膜26とを有する。
この撥液膜26に、本適用例の撥液膜が適用されるが、詳細な説明は後に行うこととする。
なお、ノズルプレート20の固着には、例えば、接着剤や熱溶着フィルム等が用いられる。
さらに、このような流路形成基板10の開口面とは反対(他方の面)側には、上述したように弾性膜50が形成されている。
弾性膜50としては、例えば、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜等が挙げられる。
この弾性膜50上には、第1電極60と、圧電体層70と、第2電極80とが、積層形成され、これにより、圧電素子300が構成される。
なお、圧電体層70の厚さは、10μm以下、好ましくは0.3〜1.5μm程度に設定される。
また、第1電極60は、本実施形態では、圧電体層70との界面が蒸着法により形成された蒸着膜からなる。
さらに、第1電極60と弾性膜50との間には、密着層61が形成されている。
密着層61としては、第1電極60と弾性膜50との密着力を向上させるものであれば、特に限定されず、例えば、厚さが10〜50nmのチタン(Ti)、クロム(Cr)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)およびタングステン(W)からなる群から選択される少なくとも一つの元素を主成分とするものが挙げられる。このように第1電極60と弾性膜50との間に密着層61を設けることによって、弾性膜50と第1電極60との密着力を高めることができる。
ここで、圧電素子300は、第1電極60、圧電体層70および第2電極80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極および圧電体層70を圧力発生室12毎にパターニングして構成する。本実施形態では、第1電極60を圧電素子300の共通電極とし、第2電極80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。
また、第1電極60上に形成される圧電体層70は、ペロブスカイト型構造のニオブ酸ナトリウムカリウム(例えば(Ka,Na)NbO、以下、「KNN」と称す)を有する複合酸化物であり、固溶体である。本実施形態では、このように鉛を有さない圧電セラミックスを有している。
また、圧電体層70は厚さ0.5〜1.5μmの薄膜であり、本実施形態では後述するようにゾル−ゲル法により複数の圧電体前駆体膜を積層し加熱して形成されている。
第1電極60は、第1電極層63と、第1電極層63上にすなわち圧電体層70との界面に蒸着法により形成され、電極としても機能する拡散抑制層62とで構成される。
このような第1電極層63の厚さは、30〜80nm、好ましくは40〜80nmであり、かつ、拡散抑制層62の厚さが20〜150nm、好ましくは40〜150nmであることが挙げられる。
このような圧電素子300の個別電極である各第2電極80には、インク供給路14側の端部近傍から引き出され、弾性膜50上にまで延設される、例えば、金(Au)等からなるリード電極90が接続されている。
このような圧電素子300が形成された流路形成基板10上、すなわち、第1電極60、弾性膜50およびリード電極90上には、リザーバー100の少なくとも一部を構成するリザーバー部(貫通孔)31を有する封止板30が接着層35を介して接合されている。
この接着層35は、特に限定されないが、例えば、ビスフェノール系、ノボラック系のようなエポキシ系接着剤や、ウレタン系接着剤等の各種接着剤を用いて形成される。
このリザーバー部31は、本実施形態では、封止板30を厚さ方向に貫通して圧力発生室12の幅方向に亘って形成されており、上述のように流路形成基板10の連通部13と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバー100を構成している。
また、上記の構成に限らず、流路形成基板10の連通部13を圧力発生室12毎に複数に分割して、リザーバー部31のみをリザーバー100としてもよい。
さらに、例えば、流路形成基板10に圧力発生室12のみを設け、流路形成基板10と封止板30との間に介在する部材(例えば、弾性膜50)にリザーバー100と各圧力発生室12とを連通するインク供給路14を設けるようにしてもよい。
また、封止板30の圧電素子300に対向する領域には、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有する圧電素子保持部32が設けられている。
圧電素子保持部32は、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有していればよく、当該空間は密封されていても、密封されていなくてもよい。
このような封止板30としては、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料、例えば、ガラス、セラミック材料等を用いることが好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板で構成される。
また、封止板30には、封止板30を厚さ方向に貫通する貫通孔33が設けられている。そして、各圧電素子300から引き出されたリード電極90の端部近傍は、貫通孔33内に露出するように設けられている。
さらに、封止板30上には、並設された圧電素子300を駆動するための駆動回路120が固定されている。
この駆動回路120としては、例えば、回路基板や半導体集積回路(IC)等を用いることができる。そして、駆動回路120とリード電極90とは、ボンディングワイヤー等の導電性ワイヤーからなる接続配線121を介して電気的に接続されている。
また、このような封止板30上には、封止膜41および固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。ここで、封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料からなり、この封止膜41によってリザーバー部31の一方面が封止されている。
また、固定板42は、比較的硬質の材料で形成されている。この固定板42のリザーバー100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、リザーバー100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
このような本実施形態のインクジェット式記録ヘッドでは、図示しない外部のインク供給手段と接続したインク導入口からインクを取り込み、リザーバー100からノズル孔21に至るまで内部をインクで満たした後、駆動回路120からの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの第1電極60と第2電極80との間に電圧を印加し、弾性膜50、第1電極60および圧電体層70をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル孔21からインク滴が吐出する。
インクジェット式記録ヘッド1は、本実施形態の構成に限定されず、例えば、弾性膜50上に絶縁膜としての酸化イリジウム膜等が形成されていてもよい。
また、本実施形態では、第1電極層63と拡散抑制層62とを別々に形成したが、圧電体層70からのアルカリ金属の第1電極60への拡散を抑制するためには、少なくとも圧電体層70との界面に拡散抑制層62が形成されていればよく、例えば、第1電極60が拡散抑制層62から構成されていてもよい。
さらに、本実施形態では、流路形成基板(基板)10上に第1電極60、圧電体層70および第2電極80を順次積層した圧電素子300を示したが、特にこれに限定されず、例えば、圧電材料と電極形成材料とを交互に積層させて軸方向に伸縮させる縦振動型の圧電素子であってもよい。
以上のようなヘッド1は、ノズルプレート20が備えるノズル孔21からインクを液滴として吐出するが、このインクとしては、特に限定されず、例えば、水性分散媒または非極性分散媒中に、染料、顔料またはこれらの混合物を着色剤として分散したものが挙げられる。
なお、このインク中には、着色剤の分散性等を考慮して、浸透剤、保湿剤、界面活性剤、pH調整剤、有機バインダー等が含まれていてもよい。
また、インクの粘度は、特に限定されないが、5.0mPa・s以下であることが好ましく、2.0mPa・s以上5.0mPa・s以下であることがより好ましい。これにより、液滴の吐出安定性を優れたものとすることができる。さらに、ノズルプレート20を、撥液膜26を備える構成とすることで、このような粘度範囲を有するインクが、ノズルプレート20に付着してしまうのを的確に抑制または防止することができる。
なお、本明細書中において、「粘度」とは、振動式粘度計を用いて、JIS Z8809に準拠して測定された25℃における粘度のことを言う。
<インクジェット式記録装置>
上述したようなインクジェット式記録ヘッド1は、インクジェット式記録装置(本適用例の液滴吐出装置)200に搭載される。
図3は、図1に示すインクジェット式記録ヘッドを搭載するインクジェット式記録装置の実施形態を示す斜視図である。
図3に示すインクジェット式記録装置200において、インクジェット式記録ヘッド1を有する記録ヘッドユニット1Aおよび1Bは、インク供給手段を構成するカートリッジ2Aおよび2Bが着脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1Aおよび1Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。この記録ヘッドユニット1Aおよび1Bは、例えば、それぞれ、ブラックインク組成物およびカラーインク組成物を吐出するものとしている。
そして、駆動モータ6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1Aおよび1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。
一方、装置本体4にはキャリッジ軸5に沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ローラなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シートSがプラテン8に巻き掛けられて搬送されるようになっている。
<撥液膜>
さて、上述のとおり、インクジェット式記録ヘッド1が備えるノズルプレート20は、基材25と、基材25の圧力発生室12と反対側の表面に設けられた撥液膜26とを有しており、この撥液膜26に、本適用例の撥液膜が適用される。
以下、この撥液膜26について説明する。
撥液膜26は、基材25に撥液性を付与するために形成され、金属Mを有するカップリング剤に由来する化合物を含んでおり、この化合物は、基材25に連結しており、金属Mが3価の金属であるとき、下記一般式(1)で表され、金属Mが4価の金属であるとき、下記一般式(2)で表わされる。
Figure 2014124871
[一般式(1)中、Mは3価の金属を表し、Rはアルキル基を表し、Rfはフッ素原子を含む基を表し、mは1または2であり、nは1以上の整数を表す。また、*で示した結合手において前記基材に連結する。]
Figure 2014124871
[一般式(2)中、Mは4価の金属を表し、Rはアルキル基を表し、Rfはフッ素原子を含む基を表し、m1は1〜3の整数を表し、m2は1または2であり、nは1以上の整数を表す。また、*で示した結合手において前記基材に連結する。]
このように撥液膜26において、これら上記一般式(1)または上記一般式(2)で表わされる化合物が基材25に連結した化合物は、(n+1)個すなわち2個以上の金属Mを有するカップリング剤が連結したものであるため、撥液膜26は、2個以上のカップリング剤が連結した多分子膜と言うことができる。したがって、この多分子膜(撥液膜26)は、フッ素原子を有するRf基を少なくとも2個以上含むものとなるため、従来のカップリング剤で構成される単分子膜と比較して、優れた撥液性を示すものとなる。その結果、ノズルプレート20の表面に対するインクの付着を的確に抑制または防止することができるため、その後に噴出されたインクが、付着インクの表面張力や粘性等の影響を受けて噴出軌道が曲げられてしまうことなく、所定の位置にインクを塗布することが可能となる。
そして、この撥液膜26は、後述する本適用例の撥液膜の形成方法を用いて形成されることで、その密度が2.0g/cm以上となっている。このような密度を有する撥液膜26は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で構成される撥液膜と同等またはそれ以上の密度を有しており、かかる点からも、優れた強度を有しており、耐久性にも優れたものとなる。
なお、この密度は、2.0g/cm以上であればよいが、2.3g/cm以上であるのが好ましく、2.5g/cm以上であるのがより好ましい。これにより、前記効果をより顕著に発揮させることができる。
なお、本明細書中において、「金属Mを有するカップリング剤に由来する化合物」とは、2つ以上の金属Mを有するカップリング剤同士が反応して互いに連結することで形成された化合物のことを言う。
さらに、「化合物が基材に連結している」とは、*で示した結合手が基材が備える原子に結合していることを言う。
カップリング剤が有する金属Mは、3価または4価の金属であり、例えば、Ti、Al、Si、Fe、Cu、Y、Zr、Ta、Ga、In、GeおよびBi等が挙げられ、上述のとおり、金属Mが3価の金属であるとき、上記一般式(1)で表わされる化合物が基材25に連結し、金属Mが4価の金属であるとき、上記一般式(2)で表わされる化合物が基材25に連結する。
これらの化合物の中でも、金属Mが4価の金属であるシリコンとなっている、下記一般式(3)で表わされる化合物であるのが好ましい。金属Mがシリコンであるカップリング剤すなわちシラン系カップリング剤は、反応性に優れたものであるため、下記一般式(3)で表わされる化合物を基材25に連結した状態で確実に形成することができる。
Figure 2014124871
[一般式(3)中、Rはアルキル基を表し、Rfはフッ素原子を含む基を表し、m1は1〜3の整数を表し、m2は1または2であり、nは1以上の整数を表す。また、*で示した結合手において前記基材に連結する。]
基Rfは、フッ素原子を含む基であればよく、特に限定されないが、フルオロアルキル基であるのが好ましい。基Rfをフルオロアルキル基とすることにより、基Rfを容易にフッ素原子を含むものとすることができる。
さらに、フルオロアルキル基が有する炭素数を適宜設定すること、具体的には、好ましくは3以上、50以下、より好ましくは5以上、20以下に設定することにより、基Rfが発揮する撥液性の程度を容易に設定することができる。また、上述したような範囲内の密度を有する撥液膜を形成することができるとともに、後述する撥液膜の形成方法において、膜材料として用いられる下記一般式(4)〜(7)で表わされる化合物を、気相成膜法を用いて基材上に、より確実に供給することができるようになる。
基Rは、アルキル基を表す。基Rがアルキル基を表すことで、上記一般式(1)または上記一般式(2)で表わされる化合物は、優れた撥液性を発揮するものとなる。さらに、この場合、このアルキル基の炭素数は、1以上、10以下であるのが好ましく、1以上、5以下であるのがより好ましい。これにより、隣接する上記化合物同士の間で立体障害が生じるのを確実に防止することができる。
また、各一般式中におけるnは、1以上の整数、すなわち2個以上のカップリング剤が連結したものであればよいが、4以上の整数であるのが好ましく、9以上、24以下の整数であるのがより好ましい。すなわち、5以上のカップリング剤が連結したものであるのが好ましく、10以上、25以下のカップリング剤が連結したものであるのがより好ましい。これにより、カップリング剤の単分子膜で構成される撥液膜と比較して、撥液膜26をより確実に撥液性に優れた撥液膜とすることができる。
また、上記一般式(1)で表わされる化合物において、mは、1または2であればよいが、通常、1に設定される。さらに、上記一般式(2)および(3)で表わされる化合物において、m1は、1〜3の整数であればよいが、通常、2に設定され、m2は、1または2であればよいが、通常、1に設定される。これにより、隣接する上記化合物同士の間で立体障害が生じるのを確実に防止しつつ、これら化合物を優れた撥液性を備えるものとすることができる。
また、かかる構成の撥液膜26における表面自由エネルギーは、その無極性溶媒(油成分)に対する撥液性の指標となるd成分が15mJ/m以下であるのが好ましく、1mJ/m以上、10mJ/m以下であるのがより好ましい。また、その極性溶媒(水成分)に対する撥液性の指標となるp成分が5mJ/m以下であるのが好ましく、0.5mJ/m以上、2.5mJ/m以下であるのがより好ましい。
撥液膜26の表面自由エネルギーの各成分が前記範囲内であれば、この撥液膜26は、優れた撥液性を有するものと言うことができる。
なお、本明細書において、「表面自由エネルギーのd成分」とは、分散成分のことを言い、さらに、「表面自由エネルギーのp成分」とは、極性成分のことを言うこととする。また、これらの各成分は、例えば、接触角計により測定した接触角を表面自由エネルギー解析することにより測定することができる。
以上のような撥液膜(本適用例の撥液膜)26は、本適用例の撥液膜の形成方法を用いて形成することができるが、以下では、本適用例の撥液膜の形成方法を説明するのに先立って、本適用例の撥液膜の形成方法に用いられる成膜装置(気相成膜装置)について説明する。
<成膜装置>
図4は、本適用例の撥液膜の形成に用いられる成膜装置を模式的に示す縦断面図である。なお、以下の説明では、図4中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
図4に示す成膜装置210は、チャンバー(真空チャンバー)211と、このチャンバー211内に設置され、基材25(成膜対象物)を保持する基材ホルダー(成膜対象物保持部)212と、チャンバー211内に、気化した膜材料を供給する材料供給手段260と、チャンバー211内の排気をして圧力を制御する排気手段230とを有している。
また、成膜装置210は、チャンバー211内を加熱する加熱手段(図示せず)を有している。
材料供給手段260は、膜材料を貯留するとともに、この膜材料を気化させる気化部264と、気化部264から気化した膜材料をチャンバー211に導くガス供給ライン261と、ガス供給ライン261の途中に設けられたポンプ262およびバルブ263とで構成されており、気化(ガス化)した膜材料をチャンバー211内に供給し得るようになっている。
また、排気手段230は、ポンプ232と、ポンプ232とチャンバー211とを連通する排気ライン231と、排気ライン231の途中に設けられたバルブ233とで構成されており、チャンバー211内を所望の圧力に減圧し得るようになっている。
以上のような構成の成膜装置210を用いた本適用例の撥液膜の形成方法により、基材25上に撥液膜26が形成されたノズルプレート20を得ることができる。
<撥液膜の形成方法>
本適用例の撥液膜の形成方法は、金属Mを有するカップリング剤を用いて、基材25に撥液膜26を形成する方法であり、下記一般式(4)で表わされるカップリング剤または下記一般式(5)で表わされるカップリング剤を、気相成膜法を用いて前記基材に供給する第1供給工程と、前記基材に供給された前記カップリング剤が有する基Rbを水酸基に置換する置換工程とを有し、前記第1供給工程と、置換工程とを2回以上繰り返して行う方法である。
Figure 2014124871
[一般式(4)中、Mは3価の金属を表し、Rfはフッ素原子を含む基を表し、Rbはハロゲン基、アルコキシル基またはシラザン基を表す。]
[一般式(5)中、Mは4価の金属を表し、Rはアルキル基を表し、Rfはフッ素原子を含む基を表し、Rbはハロゲン基、アルコキシル基またはシラザン基を表し、m2は1または2を表す。]
以下、本適用例の撥液膜の形成方法の各工程について、詳述する。
[1] まず、基材25を用意する。そして、この基材25を成膜装置210のチャンバー211内に搬入し、基材ホルダー212に装着(セット)する。
なお、基材25には、予め、酸素プラズマ処理のような表面処理を施しておくのが好ましい。これにより、基材25の表面に形成される撥液膜26との密着性を向上させることができる。すなわち、上記一般式(1)または上記一般式(2)で表わされる化合物の*で示した結合手における基材25の表面に対する結合度を向上させることができる。
[2] 次に、排気手段230を動作させ、すなわちポンプ232を作動させた状態でバルブ233を開くことにより、チャンバー211内を減圧状態にする。
この減圧の程度(真空度)は、特に限定されないが、1×10−4〜1×10Torr程度であるのが好ましく、1×10−2〜1×10−1Torr程度であるのがより好ましい。
また、このとき、加熱手段を動作させ、チャンバー211内を加熱する。チャンバー211内の温度は、25℃以上であればよいが、25〜100℃程度であるのが好ましい。かかる範囲内に設定することにより、次工程[3]において、上記一般式(4)または上記一般式(5)で表わされるカップリング剤を基材25の表面に確実に連結させることができる。
[3] 次に、材料供給手段260を動作させ、すなわちポンプ262を作動させた状態でバルブ263を開くことにより、チャンバー211内に気化した膜材料を供給する(第1供給工程)。
ここで、本工程では、金属Mが3価の金属である上記一般式(1)で表わされる化合物を含む撥液膜26を形成する場合、気化部264には、膜材料として、下記一般式(4)で表わされるカップリング剤が収納され、また、金属Mが4価の金属である上記一般式(2)で表わされる化合物を含む撥液膜26を形成する場合、気化部264には、膜材料として、下記一般式(5)で表わされるカップリング剤が収納される。
Figure 2014124871
[一般式(4)中、Mは3価の金属を表し、Rfはフッ素原子を含む基を表し、Rbはハロゲン基、アルコキシル基またはシラザン基を表す。]
[一般式(5)中、Mは4価の金属を表し、Rはアルキル基を表し、Rfはフッ素原子を含む基を表し、Rbはハロゲン基、アルコキシル基またはシラザン基を表し、m2は1または2を表す。]
なお、上記一般式(4)および上記一般式(5)で表わされるカップリング剤(以下、これらのカップリング剤を統一して、「カップリング剤」と言うこともある。)において、基Rbはハロゲン基;メトキシ基、エトキシ基のようなアルコキシル基;またはN(CH−のようなシラザン基を表す。そして、この基Rbが水酸基に対する反応性を有し、カップリング剤と基材25の表面との反応、およびカップリング剤同士の反応に関与する。
したがって、このような上記一般式(4)または上記一般式(5)で表わされるカップリング剤を膜材料として気化した状態で供給すると、チャンバー211内が、気化した膜材料(カップリング剤)を含む雰囲気下となる。その結果、基材25の表面に露出する水酸基と基Rbとが反応し、上記一般式(4)または上記一般式(5)で表わされるカップリング剤が基材25の表面に連結する。
この際、上記一般式(4)および上記一般式(5)で表わされるカップリング剤は、2つの基Rbを有しているため、1つの水酸基と1つの基Rbとが反応することで、複数ではなく、1つの基Rbが残存した状態で、基材25の表面に連結している。
また、上記一般式(4)で表わされるカップリング剤および上記一般式(5)で表わされるカップリング剤の分子量は、1000以下であるのが好ましく、100以上、500以下であるのがより好ましい。カップリング剤の分子量をかかる範囲内に設定することにより、膜材料であるカップリング剤を気化した状態で、チャンバー211内、ひいては基材25上に確実に供給することができる。さらに、かかるカップリング剤に由来する化合物で構成される撥液膜26を、その密度を2.0g/cm以上のものと確実にすることができる。
なお、基材25と前記カップリング剤とを反応させる時間は、10秒以上、1000秒以下であるのが好ましく、300秒以上、800秒以下であるのがより好ましい。これにより、前記カップリング剤をより確実に基材25の表面に連結させることができる。
[4] 次に、再度、排気手段230を動作させ、すなわちポンプ232を作動させた状態でバルブ233を開く。
これにより、チャンバー211内に残存する上記一般式(4)または上記一般式(5)で表わされるカップリング剤をチャンバー211外に排気するとともに、チャンバー211内を減圧状態にする。
また、この減圧の際には、材料供給手段260を介して、窒素ガス、アルゴンガスのような不活性ガスをチャンバー211内に供給するのが好ましい。これにより、前記カップリング剤のチャンバー211外への排気をより高精度に行うことができる。
本工程における減圧の程度(真空度)は、特に限定されないが、1×10−2〜1×10Torr程度であるのが好ましく、1×10−2〜1×10−1Torr程度であるのがより好ましい。
また、このとき、加熱手段を動作させ、チャンバー211内を加熱する。チャンバー211内の温度は、25℃以上であればよいが、25〜100℃程度であるのが好ましい。かかる範囲内に設定することにより、次工程[5]において、基材25に連結したカップリング剤に残存する基Rb(2つの基Rbのうち基材25との結合に関与しなかった基Rb)を確実に水酸基に置換することができる。
[5] 次に、材料供給手段260を動作させ、すなわちポンプ262を作動させた状態でバルブ263を開くことにより、チャンバー211内に気化した膜材料を供給する。
ここで、本工程では、気化部264には、膜材料として、水が収納されており、これにより、気化した水(水蒸気)がチャンバー内に供給され、チャンバー211内が、気化した膜材料(水)を含む雰囲気下となる。その結果、基材25の表面に連結したカップリング剤に残存する基Rbが水酸基に置換される(置換工程)。
この際、上述した通り、基材25の表面に連結したカップリング剤は、それぞれ、複数ではなく1つの基Rbが残存した状態となっているため、この置換工程により、基材25に連結した各カップリング剤は、1つの水酸基を備えることとなる。
なお、基材25に連結するカップリング剤と気化した水とを反応させる時間は、1秒以上、100秒以下であるのが好ましく、30秒以上、80秒以下であるのがより好ましい。これにより、カップリング剤に残存する基Rbを確実に水酸基に置換させることができる。
[6] 次に、前記工程[2]と同様にして、排気手段230を動作させることにより、チャンバー211内を減圧状態にする。
このようにチャンバー211内を減圧状態にすることにより、次工程[7]において、基材25に連結するカップリング剤と、雰囲気中に含まれるカップリング剤とを確実に連結させることができる。
[7] 次に、前記工程[3]と同様にして、材料供給手段260を動作させることにより、チャンバー211内に気化した膜材料を供給する(第1供給工程)。
ここで、前記工程[3]と同様に、本工程では、金属Mが3価の金属である上記一般式(1)で表わされる化合物を含む撥液膜26を形成する場合、気化部264には、膜材料として、前記一般式(4)で表わされるカップリング剤が収納され、また、金属Mが4価の金属である上記一般式(2)で表わされる化合物を含む撥液膜26を形成する場合、気化部264には、膜材料として、前記一般式(5)で表わされるカップリング剤が収納される。
したがって、このようなカップリング剤を膜材料として気化した状態で供給すると、チャンバー211内が、気化した膜材料(カップリング剤)を含む雰囲気下となり、その結果、雰囲気中に含まれるカップリング剤が有する基Rbと、基材25の表面に連結するカップリング剤が有する水酸基とが反応し、これらカップリング剤同士が連結する。
この際、上述した通り、基材25の表面に連結したカップリング剤は、それぞれ、1つの水酸基を露出させた状態で基材25に連結しているため、雰囲気中に含まれるカップリング剤が有する2つの基Rbのうち1つの基Rbが、1つの水酸基と連結する。その結果、基材25上に、2つのカップリング剤が直線状に連結したようなカップリング剤に由来する化合物が形成される。すなわち、前記一般式(1)または前記一般式(2)で表わされる化合物が基材25上に形成される。
また、前記一般式(1)または前記一般式(2)で表わされる化合物が規則性をもって隙間なく基材25上に形成することができるため、かかる観点からも、撥液膜の撥液性を向上させることができ、その結果、インクに対する耐久性が向上する。
さらに、例えば、1つのカップリンク剤が3つの基Rbを有していると、これら同士を連結させることにより形成される化合物は、2つの基Rbを有している場合と異なり、隣接する化合物同士が3次元的に連結した網目構造を有するものとなる。このような網目構造が形成されると、かかる化合物が有する−O−M−の結合において、酸素原子と金属原子Mとの結合は、イオン結合に近いものとなる。これに対して、1つのカップリンク剤が2つの基Rbを有している場合、形成される化合物は、上述したとおり直線状をなすものとなり、この化合物が有する−O−M−の結合において、酸素原子と金属原子Mとの結合は、共有結合に近いものとなる。そのため、カップリンク剤が3つの基Rbを有している場合と比較して、酸素原子と金属原子Mとの間における結合力は、優れたものとなり、その結果、インクに対する耐久性が向上する。
このようにして、本発明では、基材25に連結するカップリング剤に対して、他のカップリング剤が連結してカップリング剤の結合体が形成され、その結果、カップリング剤の結合体(多分子膜)を備える撥液膜26が形成される。
よって、前記工程[4]〜[7]を繰り返して行うこと、すなわち第1供給工程と、置換工程とを2回以上繰り返して行うことにより、カップリング剤の結合体を備える撥液膜(本適用例の撥液膜)26を成膜することができる。
また、前記工程[4]〜[7]を繰り返して行う回数を適宜設定することにより、多分子膜において連結するカップリング剤の数を所望のものに設定することが可能となる。すなわち、前記一般式(1)で表わされる化合物または前記一般式(2)で表わされる化合物におけるnの数を所望の大きさに設定することが可能となる。
したがって、前記工程[4]〜[7]で用いる、前記一般式(1)で表わされる化合物または前記一般式(2)で表わされる化合物の種類(特に、これら化合物が有する基Rfの種類)および前記nの数を適宜設定することにより、形成される撥液膜26を、優れた撥液性を発揮するものとすることができる。
また、前記工程[4]〜[7]を繰り返して行う回数を適宜設定することで、前記一般式(1)で表わされる化合物または前記一般式(2)で表わされる化合物におけるnの数が所望の大きさに設定され、この化合物で構成される撥液膜26の膜厚の大きさが設定される。そのため、形成される撥液膜26の膜厚を均一なものとすることができる。すなわち、上記のような気相成膜法を用いて撥液膜26を形成することで、この撥液膜26の膜厚を均一なものとすることができる。
[8] 次に、材料供給手段260を動作させ、すなわちポンプ262を作動させた状態でバルブ263を開くことにより、チャンバー211内に気化した膜材料を供給する。
ここで、本工程では、前記工程[5]と同様に、気化部264には、膜材料として、水が収納されており、これにより、気化した水(水蒸気)がチャンバー内に供給され、チャンバー211内が、気化した膜材料(水)を含む雰囲気下となる。その結果、基材25の表面に連結したカップリング剤の結合体において、その基材25と反対側の端部に残存する基Rbが水酸基に置換される(置換工程)。
なお、基材25に連結するカップリング剤の結合体と気化した水とを反応させる時間は、1秒以上、100秒以下であるのが好ましく、30秒以上、80秒以下であるのがより好ましい。これにより、カップリング剤の結合体に残存する基Rbを確実に水酸基に置換させることができる。
[9] 次に、材料供給手段260を動作させ、すなわちポンプ262を作動させた状態でバルブ263を開くことにより、チャンバー211内に気化した膜材料を供給する。
ここで、本工程では、金属Mが3価の金属である上記一般式(1)で表わされる化合物を含む撥液膜26を形成する場合、気化部264には、膜材料として、下記一般式(6)で表わされるカップリング剤が収納され、また、金属Mが4価の金属である上記一般式(2)で表わされる化合物を含む撥液膜26を形成する場合、気化部264には、膜材料として、下記一般式(7)で表わされるカップリング剤が収納される。
Figure 2014124871
[一般式(6)中、Mは3価の金属を表し、Rはアルキル基を表し、Rfはフッ素原子を含む基を表し、Rbはハロゲン基、アルコキシル基またはシラザン基を表し、mは1または2を表す。]
[一般式(7)中、Mは4価の金属を表し、Rはアルキル基を表し、Rfはフッ素原子を含む基を表し、Rbはハロゲン基、アルコキシル基またはシラザン基を表し、m1は1〜3の整数を表す。]
なお、上記一般式(6)および上記一般式(7)で表わされるカップリング剤において、基Rbは、上記一般式(4)および上記一般式(5)で表わされるカップリング剤と同様に、ハロゲン基;メトキシ基、エトキシ基のようなアルコキシル基;またはN(CH−のようなシラザン基を表すが、その数が2つではなく1つになっている。
したがって、このような上記一般式(6)または上記一般式(7)で表わされるカップリング剤を膜材料として気化した状態で供給する(第2供給工程)と、チャンバー211内が、気化した膜材料(カップリング剤)を含む雰囲気下となる。その結果、基材25の表面に連結するカップリング剤の結合体が備える水酸基と基Rbとが反応し、上記一般式(6)または上記一般式(7)で表わされるカップリング剤がカップリング剤の結合体に連結する。これにより、カップリング剤の結合体の端部(末端)が上記一般式(6)または上記一般式(7)で表わされるカップリング剤で終端化される。
なお、上記一般式(6)または上記一般式(7)で表わされるカップリング剤と、カップリング剤の結合体とを反応させる時間は、10秒以上、1000秒以下であるのが好ましく、300秒以上、800秒以下であるのがより好ましい。これにより、前記カップリング剤をより確実に基材25の表面に連結させることができる。
以上のようにして、前記金属Mが3価の金属であるとき上記一般式(1)で表される化合物が、また、前記金属Mが4価の金属であるとき、上記一般式(2)で表わされる化合物が、基材25の表面に連結して形成される。すなわち、基材25の表面に撥液膜26が形成される。
なお、上記一般式(6)または上記一般式(7)で表わされるカップリング剤で終端化させる必要がない場合には、本工程[9]を省略することができる。ただし、本工程[9]により、前記カップリング剤により終端化することで、カップリング剤の結合体の末端には、基Rbや水酸基等が露出(残存)せず、これらが関与する反応の進行を確実に防止することができるため、カップリング剤の結合体すなわち撥液膜26の撥液性をより向上させることができる。
以上、撥液膜の形成方法、撥液膜、ノズルプレート、液滴吐出ヘッドおよび液滴吐出装置を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、本適用例の撥液膜の形成方法では、前記実施形態の構成に限定されず、工程の順序が前後してもよい。また、任意の目的の工程が1または2以上追加されていてもよく、不要な工程を削除してもよい。
また、本適用例の撥液膜は、前記実施形態で説明したインクジェット式記録ヘッドが備えるノズルプレートに適用した場合に限定されず、各種部材に付与する撥液膜に適用することができ、例えば、メガネレンズ、カメラレンズ、フルネルレンズのようなレンズ等の光学部材、車載用のフロントガラス等のガラス部材、ホットスタンプ法、インプリント法(ナノインプリント法)等に用いられる離型、タッチパネルに用いられるパネル、エンジンのような駆動部が備えるピストン等が備える撥液膜・潤滑膜に適用することができる。
これらの各種部材は、アルカリ溶液や酸溶液等の各種液体に対して接触することとなるが、各種部材が備える本適用例の撥液膜が優れた撥液性を発揮するため、このような接触によっても、光学部材およびガラス部材ではその防曇効果、離型では離型性、パネルでは防曇効果および指紋付着防止効果、ピストンでは潤滑効果を長期に亘って確実に発揮させることができる。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.撥液膜の形成
(実施例1)
<1> まず、基材として、縦20mm×横20mm×平均厚さ1mmの単結晶シリコン基板を用意し、この基材の表面に酸素プラズマ処理を施すことにより、その表面に酸化シリコン膜(SiO膜)を形成した。
その後、この基材を、成膜装置210のチャンバー211内の基材ホルダー212にセットした。
<2> 次に、排気手段230を動作させることにより、チャンバー211内を減圧状態とした。
なお、この際のチャンバー内の条件は以下に示す通りであった。
<チャンバー内の条件>
・チャンバー内の圧力 :0.0075Torr
・チャンバー内の温度 :80℃
<3> 次に、気化部264に、膜材料として、前記一般式(5)で表わされるカップリング剤1である((ヘプタデカフロロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)−メチルジクロロシラン、C11Cl17Si、分子量476)を収納した状態で、材料供給手段260を動作させることによりチャンバー211内に気化した膜材料を供給した。
なお、この際のチャンバー内の条件は以下に示す通りであり、この状態を2分間維持した。
<チャンバー内の条件>
・チャンバー内の圧力 :7.5Torr
・チャンバー内の温度 :80℃
<4> 次に、チャンバー211内に窒素ガスを供給することで、チャンバー211内に残存する膜材料を除去した。
<5> 次に、排気手段230を動作させることにより、チャンバー211内を減圧状態とした。
なお、この際のチャンバー内の条件は、前記工程<2>と同様の条件とした。
<6> 次に、気化部264に、膜材料として、水を収納した状態で、材料供給手段260を動作させることによりチャンバー211内に気化した膜材料を供給した。
なお、この際のチャンバー内の条件は、前記工程<3>と同様の条件とし、この状態を10秒間維持した。
<7> 次に、チャンバー211内に窒素ガスを供給することで、チャンバー211内に残存する膜材料を除去した。
以上のような前記工程<2>〜<7>を、5回繰り返して行うことにより、2個の前記一般式(5)で表わされるカップリング剤が連結した、前記一般式(2)で表わされる化合物を備える実施例1の撥液膜を、基材上に形成した。
(実施例2)
前記工程<2>〜<7>を、20回繰り返して行うこと以外は、前記実施例1と同様とすることにより、5個の前記一般式(5)で表わされるカップリング剤が連結した、前記一般式(2)で表わされる化合物を備える実施例2の撥液膜を、基材上に形成した。
(比較例1)
前記工程<2>〜<7>を、1回のみ行うこと以外は、前記実施例1と同様とすることにより、1個の前記一般式(5)で表わされるカップリング剤が連結した比較例1の撥液膜を、基材上に形成した。
(比較例2)
前記工程<3>で用いるカップリング剤として、ジクロロシランに代えて、モノシランである((ヘプタデカフロロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)−メチル(ジメチルアミノ)シラン)を用いたこと以外は、前記実施例1と同様にして、モノシランが連結した比較例2の撥液膜を、基材上に形成した。
(比較例3)
前記工程<3>で用いるカップリング剤として、ジクロロシランに代えて、トリクロロシランである((ヘプタデカフロロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)−トリクロロシラン)を用いたこと以外は、前記実施例1と同様にして、トリクロロシランが連結した比較例3の撥液膜を、基材上に形成した。
(比較例4)
前記工程<2>〜<7>を省略して、下記のような工程<2’>を経ることにより、1つの撥液性を有するカップリング剤が連結した比較例4の撥液膜を、基材上に形成した。
<2’> 次に、膜材料として、撥液性を有するカップリング剤(信越シリコーン社製、「KY−130」、分子量:300〜4000程度)を用意し、これを0.15wt%となるようにFRシンナー(信越シリコーン社製)に溶解して処理溶液を調製した。
そして、表面に酸化シリコン膜が形成された基材を、この処理溶液中に浸漬した後、一定の速度で引きあげることにより、1個の撥液性を有するカップリング剤が連結したもので構成される比較例4の撥液膜を、基材上に形成した。
<浸漬時の条件>
・処理溶液の温度 :25℃
・浸漬時間 :60秒間
・引き上げ速度 :60mm/sec
2.評価
2−1.接触角の評価
実施例1および比較例2〜4の撥液膜について、それぞれ、pH10、pH12、pH14に調製したKOH水溶液を、その表面に滴下し、15分間保持した後、流水により洗浄を行なった。
このKOH水溶液による加速劣化の前後において、各実施例および各比較例の撥液膜について、それぞれ、接触角計(協和界面科学社製、「DM−501」)を用いて純水接触角を測定し、測定された前後の純水接触角の差を求めた。
これらの結果を、表1に示す。
Figure 2014124871
表1から明らかなように、各実施例の撥液膜は、KOH水溶液の接触によっても、優れた撥液性を示す結果となった。
これに対して、比較例2の撥液膜は、カップリング剤の単分子膜で構成されることに起因して、KOH水溶液に対して十分な撥液性を有しているとは言えない結果となった。また、比較例3の撥液膜は、その膜中においてカップリング剤がネットワーク状に連結することに起因して、シロキサン結合がイオン結合に近い状態になっていることにより、十分な撥液性が得られなかったと推察された。
2−2.密度の評価
実施例1、2および比較例1、4の撥液膜について、それぞれ、エックス線回折装置(パナリティカル社製、「X’PERT」)を用いて、密度を測定した。
この結果を、表2に示す。
Figure 2014124871
表2から明らかなように、各実施例の撥液膜は、その密度が高く、優れた硬度を有するものとなり、そのため、優れた耐久性を有しているものと推察される結果となった。
これに対して、各比較例の撥液膜は、その密度が低いため、硬度が低いものとなり、耐摩擦性、対薬品性の点で優れた耐久性を有しているとは言えない結果となった。
1……インクジェット式記録ヘッド 200……インクジェット式記録装置 1A、1B……記録ヘッドユニット 2A、2B……カートリッジ 3……キャリッジ 4……装置本体 5……キャリッジ軸 6……駆動モータ 7……タイミングベルト 8……プラテン 10……流路形成基板 12……圧力発生室 13……連通部 14……インク供給路 15……連通路 20……ノズルプレート 21……ノズル孔 25……基材 26……撥液膜 30……封止板 31……リザーバー部 32……圧電素子保持部 33……貫通孔 35……接着層 40……コンプライアンス基板 41……封止膜 42……固定板 43……開口部 50……弾性膜 60……第1電極 61……密着層 62……拡散抑制層 63……第1電極層 70……圧電体層 80……第2電極 90……リード電極 100……リザーバー 120……駆動回路 121……接続配線 200……インクジェット式記録装置 210……成膜装置 211……チャンバー 212……基材ホルダー 230……排気手段 231……排気ライン 232、262……ポンプ 233、263……バルブ 260……材料供給手段 261……ガス供給ライン 264……気化部 300……圧電素子 S……記録シート

Claims (10)

  1. 金属Mを有するカップリング剤を用いて、基材に撥液膜を形成する撥液膜の形成方法であって、
    下記一般式(4)で表わされるカップリング剤または下記一般式(5)で表わされるカップリング剤を、気相成膜法を用いて前記基材に供給する第1供給工程と、
    前記基材に供給された前記カップリング剤が有する基Rbを水酸基に置換する置換工程とを有し、
    前記第1供給工程と、前記置換工程とを2回以上繰り返して行うことを特徴とする撥液膜の形成方法。
    Figure 2014124871
    [一般式(4)中、Mは3価の金属を表し、Rfはフッ素原子を含む基を表し、Rbはハロゲン基、アルコキシル基またはシラザン基を表す。]
    [一般式(5)中、Mは4価の金属を表し、Rはアルキル基を表し、Rfはフッ素原子を含む基を表し、Rbはハロゲン基、アルコキシル基またはシラザン基を表し、m2は1または2を表す。]
  2. 前記一般式(4)で表わされるカップリング剤および前記一般式(5)で表わされるカップリング剤は、その分子量が1000以下のものである請求項1に記載の撥液膜の形成方法。
  3. 最後の前記置換工程の後に、前記金属Mが3価の金属であるとき、下記一般式(6)で表わされるカップリング剤を、前記金属Mが4価の金属であるとき、下記一般式(7)で表わされるカップリング剤を前記基材に供給する第2供給工程を有する請求項1または2に記載の撥液膜の形成方法。
    Figure 2014124871
    [一般式(6)中、Mは3価の金属を表し、Rはアルキル基を表し、Rfはフッ素原子を含む基を表し、Rbはハロゲン基、アルコキシル基またはシラザン基を表し、mは1または2を表す。]
    [一般式(7)中、Mは4価の金属を表し、Rはアルキル基を表し、Rfはフッ素原子を含む基を表し、Rbはハロゲン基、アルコキシル基またはシラザン基を表し、m1は1〜3の整数を表す。]
  4. 前記基Rfは、フルオロアルキル基である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の撥液膜の形成方法。
  5. 基材に撥液性を付与するために形成する撥液膜であって、
    金属Mを有するカップリング剤に由来する化合物を含み、
    該化合物は、前記基材に連結しており、前記金属Mが3価の金属であるとき、下記一般式(1)で表され、前記金属Mが4価の金属であるとき、下記一般式(2)で表わされ、
    その密度が2.0g/cm以上であることを特徴とする撥液膜。
    Figure 2014124871
    [一般式(1)中、Mは3価の金属を表し、Rはアルキル基を表し、Rfはフッ素原子を含む基を表し、mは1または2であり、nは1以上の整数を表す。また、*で示した結合手において前記基材に連結する。]
    Figure 2014124871
    [一般式(2)中、Mは4価の金属を表し、Rはアルキル基を表し、Rfはフッ素原子を含む基を表し、m1は1〜3の整数を表し、m2は1または2であり、nは1以上の整数を表す。また、*で示した結合手において前記基材に連結する。]
  6. 前記金属Mは、4価の金属であるシリコンであり、
    前記化合物は、下記一般式(3)で表わされる請求項5に記載の撥液膜。
    Figure 2014124871
    [一般式(3)中、Rはアルキル基を表し、Rfはフッ素原子を含む基を表し、m1は1〜3の整数を表し、m2は1または2であり、nは1以上の整数を表す。また、*で示した結合手において前記基材に連結する。]
  7. 前記nは、4以上の整数である請求項6に記載の撥液膜。
  8. 請求項5ないし7のいずれか1項に記載の撥液膜を備えることを特徴とするノズルプレート。
  9. 請求項8に記載のノズルプレートを備えることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  10. 請求項9に記載の液滴吐出ヘッドを備えることを特徴とする液滴吐出装置。
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