JP2014124660A - 自動ろう付け装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】母材とろう材との接触状態がより確実に得られる自動ろう付け装置、を提供する。
【解決手段】自動ろう付け装置10は、棒状のろう材としてのろうワイヤ110をその長手方向にガイドする、ろう材ガイド機構部33と、ろう材ガイド機構部33を移動可能なように支持し、ろう材ガイド機構部33から送り出されたろうワイヤ110を母材に向けて移動させる移動機構部26とを備える。ろう材ガイド機構部33によるろうワイヤ110のガイド方向と、移動機構部26によるろうワイヤ110の移動方向とが異なる。
【選択図】図1

Description

この発明は、一般的には、自動ろう付け装置に関し、より特定的には、差しろう動作を自動的に実行する自動ろう付け装置に関する。
従来の自動ろう付け装置に関して、たとえば、特開2004−298951号公報には、品質管理を不要としたろう材を定量的に供給配置することを目的とした、ろう材の供給装置が開示されている(特許文献1)。特許文献1に開示されたろう材の供給装置は、ろう材としての糸はんだを外部に排出する供給部と、供給部から排出された糸はんだを挟持したり切断したりするピックアンドカッタとを備える。
また、特開2004−167538号公報には、ろう材をブレードに確実にしかも効率よく係止することを目的とした、ろう付け用ろう材の供給装置が開示されている(特許文献2)。特許文献2に開示されたろう付け用ろう材の供給装置は、概略U形をしたろう材を次々と押し出すノズルを有する。
また、特開2002−292463号公報には、被ろう付部品の導電性の有無にかかわらず適用でき、かつ自動化に適した汎用性の高いことを目的とした、ろう付け装置が開示されている(特許文献3)。特許文献3に開示されたろう付け装置は、被ろう付け部品に対してワイヤを供給するろう材供給部と、ろう材供給部に対してワイヤを送り出すためのワイヤ送出部と、被ろう付け部品のろう付け箇所を所定温度に加熱するためのバーナと、バーナにより加熱された箇所の温度を測定するための温度センサと、ワイヤの供給量を設定するための入力部とから構成されている。
また、特開平9−66358号公報には、どのような箇所にも精度よくろう付けすることを目的とした、自動ろう付け装置が開示されている(特許文献4)。特許文献4に開示された自動ろう付け装置は、ろう付け作業を行なうろう付けユニットと、ろう付けユニットをあらゆる方向に移動可能に指示する6軸マニピュレータと、ろう付けユニットに線状のろう材を供給するろう材供給部とを備える。
また、特開平7−51842号公報には、トーチろう付け、高周波ろう付けなど金属部材のろう付けにおいて、簡単な治具で精度の高い教示作業を実現することを目的とした、自動ろう付け装置が開示されている(特許文献5)。特許文献5に開示された自動ろう付け装置では、ガストーチおよびこれを保持する加熱ロボットにおいて、加熱中心または加熱基準点を示す加熱用位置決め治具が、ガストーチの替わりに取り付けられる。
特開2004−298951号公報 特開2004−167538号公報 特開2002−292463号公報 特開平9−66358号公報 特開平7−51842号公報
上述の特許文献に開示されるように、2つの金属を接合する手法として、ろう付けが知られている。たとえば、冷蔵庫の冷媒配管のろう付け工程を想定した場合に、次のような課題がある。
ろう付け工程には、先にろう付け箇所を加熱しておき、そのあとろう材を差す「差しろう」という方法がある。手作業の場合、加熱した配管に棒状のろう材(ろう棒)の先端部を溶かしながら手で送り出す。この際、配管の温度が最適となるタイミングでろう材を供給することと、配管接続部の最適な位置にろう材を接触させることとが、この作業の主なポイントとなる。しかしながら、いずれのポイントにも熟練を要する。
一方、差しろうを自動化する手法として、棒状のろう材をその長手方向に沿って順送りする方法が考えられる。しかしながら、特に配管を治具等により固定しない場合、ろう材を差す位置を高い精度で繰返し得ることは困難である。湾曲状の配管面に対してろう材の先端(点)を所定位置に接触させようとすると、配管面の湾曲方向に対しては点と点との接触となるため、僅かなずれが生じてもろう材の先端が配管面の湾曲方向に滑ってしまう。また、リールに巻かれたろう材を自動供給する場合、ろう材に巻き癖が生じ易いため、ろう材の先端と配管面との接触位置を精度よく制御することがさらに困難となる。
このように差しろう位置の精度が十分に確保されなければ、ろう材の定量供給はもとより、自動供給自体が困難になるため、自動ろう付け装置は成立しない。
なお、差しろう自体が不要となる方法として、ろう付け箇所に先にろう材を置いておき、そのあと加熱する「置きろう」という方法がある。しかしながら、置きろう(リングろう)におけるろう材の供給は、部材コストが高くなる。また、ろう材の設置作業により工数が増えてしまうため、省人化目的ではメリットがない。
そこでこの発明の目的は、上記の課題を解決することであり、母材とろう材との接触状態がより確実に得られる、自動ろう付け装置を提供することである。
この発明に従った自動ろう付け装置は、棒状のろう材をその長手方向にガイドする、ろう材ガイド機構部と、ろう材ガイド機構部を移動可能なように支持し、ろう材ガイド機構部から送り出されたろう材を母材に向けて移動させる移動機構部とを備える。ろう材ガイド機構部によるろう材のガイド方向と、移動機構部によるろう材の移動方向とが異なる。
このように構成された自動ろう付け装置によれば、ろう材ガイド機構部によるろう材のガイド方向と、移動機構部によるろう材の移動方向とが異なるため、母材とろう材との接触状態を維持するためのろう材の位置決めマージンを大きく設定することができる。これにより、母材とろう材との接触状態をより確実に得ることができる。
また好ましくは、移動機構部は、ろう材ガイド機構部を直動させる。このように構成された自動ろう付け装置によれば、母材とろう材との接触状態を維持するためのろう材の位置決めマージンを大きく設定することができる。
また好ましくは、ろう材ガイド機構部によるろう材のガイド方向と、移動機構部によるろう材の移動方向とが、90°異なる。このように構成された自動ろう付け装置によれば、母材とろう材との接触状態を維持するためのろう材の位置決めマージンを大きく設定することができる。
また好ましくは、自動ろう付け装置は、母材を加熱する加熱部と、移動機構部および加熱部を搭載し、移動可能に設けられるヘッド部とをさらに備える。加熱部から発せられる炎の延長上に、ろう材ガイド機構部から送り出されたろう材が位置決めされる。移動機構部は、加熱部から発せられる炎と、ろう材ガイド機構部から送り出されたろう材との間の距離が変化するように、ろう材ガイド機構部を移動させる。
このように構成された自動ろう付け装置によれば、母材に対して、加熱部による母材の加熱箇所の反対側からろう材を接触させることが可能となる。これにより、溶融したろう材を母材の広範囲に行き渡らせることができる。
また好ましくは、自動ろう付け装置は、移動機構部の駆動を制御する制御部をさらに備える。制御部は、ろう材ガイド機構部からろう材が送り出された後に、移動機構部によりろう材を母材に接触する位置まで移動させるように、移動機構部の駆動を制御する。
また好ましくは、自動ろう付け装置は、ろう材をその長手方向に送り出すろう材送り機構部と、ろう材ガイド機構部によるろう材のガイド方向とは異なる方向にろう材を曲げ加工するろう材曲げ機構部と、移動機構部、ろう材送り機構部およびろう材曲げ加工部の駆動を制御する制御部とをさらに備える。制御部は、ろう材送り機構部により、ろう材ガイド機構部からろう材を送り出すステップと、ろう材ガイド機構部から送り出されたろう材を、ろう材曲げ加工部により曲げ加工するとともに、移動機構部により母材に向けて移動させるステップと、曲げ加工されたろう材を、ろう材送り機構部により母材に接触する位置まで移動させるステップとを実行するように、移動機構部、ろう材送り機構部およびろう材曲げ加工部の駆動を制御する。
このように構成された自動ろう付け装置によれば、ろう材の腹を母材の接触させることによって、母材とろう材との接触状態を維持するためのろう材の位置決めマージンを大きく設定することができる。
また好ましくは、ろう材ガイド機構部は、互いに間隔を隔てて複数本のろう材を保持し、各ろう材をその長手方向にガイドする。このように構成された自動ろう付け装置によれば、複数本のろう材を用いたろう付け工程において、母材と各ろう材との接触状態を維持するためのろう材の位置決めマージンを大きく設定することができる。
また好ましくは、自動ろう付け装置は、ろう材を送り出すろう材送り機構部をさらに備える。ろう材送り機構部は、複数本のろう材の各々についてろう材の送り量が設定可能なように設けられる。このように構成された自動ろう付け装置によれば、複数本のろう材を用いたろう付け工程において、母材に対する各ろう材の供給量を自在に設定することができる。
以上に説明したように、この発明に従えば、母材とろう材との接触状態がより確実に得られる、自動ろう付け装置を提供することができる。
この発明の実施の形態1における自動ろう付け装置を示す図である。 図1中の自動ろう付け装置の制御系を示すブロック図である。 図1中の自動ろう付け装置を用いたろう付け工程の流れを示すフローチャートである。 図1中の自動ろう付け装置を用いたろう付け工程を示す図である。 図1中の自動ろう付け装置によりろう付け工程される母材の一例を示す図である。 比較のための母材のろう付け工程を示す図である。 この発明の実施の形態2における自動ろう付け装置を示す図である。 この発明の実施の形態3における自動ろう付け装置を示す図である。 図8中の自動ろう付け装置の変形例を示す図である。 図9中の自動ろう付け装置を用いたろう付け第1工程を示す図である。 図9中の自動ろう付け装置を用いたろう付け第2工程を示す図である。 図9中の自動ろう付け装置を用いたろう付け第3工程を示す図である。 図9中の自動ろう付け装置を用いたろう付け第4工程を示す図である。 図9中の自動ろう付け装置を用いたろう付け第5工程を示す図である。
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1における自動ろう付け装置を示す図である。図2は、図1中の自動ろう付け装置の制御系を示すブロック図である。
図1および図2を参照して、本実施の形態における自動ろう付け装置10は、先にろう付け箇所を加熱しておき、そのあとろう材を差す「差しろう」によって、ろう付け工程を行なう装置である。自動ろう付け装置10は、母材(ワーク)の加熱と、棒状のろう材の送り出し動作と、母材に対してろう材を接触状態まで移動させる接触動作とを自動的に行なう装置である。
自動ろう付け装置10は、ろう付けヘッド21および図示しないロボットを有する。ろう付けヘッド21は、可動式に設けられている。ろう付けヘッド21は、図示しないロボットにより操作されることによって、所定の位置に位置決め可能なように設けられている。ろう付け工程時、ろう付けヘッド21は、母材に近接して位置決めされる。
自動ろう付け装置10は、移動機構部26と、ろう材ガイド機構部33と、ろう材送り機構部31と、加熱部としてのトーチ(バーナ)41とをさらに有する。移動機構部26、ろう材ガイド機構部33、ろう材送り機構部31およびトーチ41は、ろう付けヘッド21に搭載されている。移動機構部26、ろう材ガイド機構部33、ろう材送り機構部31およびトーチ41は、図示しないロボットによるろう付けヘッド21の操作に伴って、互いに一体となって移動するように設けられている。
トーチ41は、ろう付けヘッド21から一方向に延出するように設けられている。トーチ41は、可燃性の混合ガスが供給されることにより、母材に向けて炎を照射する。トーチ41は、ろう付けヘッド21からの延出方向に沿って炎を照射するように設けられている。トーチ41は、配管を通じてマスフローコントローラ43に接続されている。マスフローコントローラ43は、トーチ41に供給される混合ガスの流量を調整する流量調整部として設けられている。
自動ろう付け装置10は、制御部61をさらに有する。制御部61は、図示しない位置補正用カメラによる情報や図示しない温度計による情報に基づいて、ろう付けヘッド21の位置補正およびマスフローコントローラ43の流量補正を行なう。制御部61は、そのほか、後述するろう材送り機構部31および移動機構部26の駆動を制御する。
ろう材ガイド機構部33は、ろう材としてのろうワイヤ110を、その長手方向(図1中の矢印101に示す方向)にガイドする(以下、矢印101に示す方向を「ろうワイヤ110のガイド方向」ともいう)。ろうワイヤ110は、棒状(線状)の形態を有する。ろう材ガイド機構部33へと供給されるろうワイヤ110は、図示しないリールに巻回されている。
ろう材送り機構部31は、送りローラ32を有する。送りローラ32は、図示しないモータに接続されており、そのモータから回転力が伝達されることによって回転する。送りローラ32が回転することによって、ろう材送り機構部31により、ろうワイヤ110がろう材ガイド機構部33から送り出される。
移動機構部26は、ろう材ガイド機構部33から送り出されたろうワイヤ110を矢印103に示す方向に移動させる(以下、矢印103に示す方向を「ろうワイヤ110の移動方向」ともいう)。特に本実施の形態では、移動機構部26は、ろう材送り機構部31によりろう材ガイド機構部33から送り出されたろうワイヤ110を母材に向けて移動させ、母材に接触させる接触動作を実行する。
移動機構部26の構造について説明すると、移動機構部26は、ろう付けヘッド21から一方向に延出するように設けられている。移動機構部26は、トーチ41と同じ方向に延出している。移動機構部26は、トーチ41から距離を隔てた位置に設けられている。
移動機構部26は、ろう付けヘッド21から距離を隔てた位置でろう材ガイド機構部33を支持している。移動機構部26は、ろう材ガイド機構部33を移動可能なように支持している。移動機構部26は、ろう材ガイド機構部33を直線移動可能なように支持している。移動機構部26は、ろう付けヘッド21とろう材ガイド機構部33との間の距離が変化するように、ろう材ガイド機構部33を移動可能に支持している。移動機構部26は、ろう材ガイド機構部33を矢印102に示す方向に往復移動可能なように支持している。矢印102に示す方向に沿った一方向が、矢印103に示すろうワイヤ110の移動方向であり、矢印102に示す方向に沿った逆方向が、ろうワイヤ110の退避方向である。
なお、本実施の形態では、ろう材送り機構部31がろう材ガイド機構部33とともに、移動機構部26により移動可能に支持されているが、ろう材送り機構部31は、必ずしも移動機構部26により支持されなくてもよい。ろう材送り機構部31は、ろう付けヘッド21に搭載されない形態、たとえば、ろうワイヤ110が巻回される図示しないリールに隣り合って設けられてもよい。
トーチ41から発せられる炎の延長上に(図1中の一点鎖線106の延長上に)、ろう材送り機構部31によりろう材ガイド機構部33から送り出されたろうワイヤ110が位置決めされる。移動機構部26は、トーチ41から発せられる炎と、ろう材ガイド機構部33から送り出されたろうワイヤ110との間の距離が変化するように、ろう材ガイド機構部33を移動可能なように支持している。
移動機構部26は、ろう材ガイド機構部33を移動可能とする機構であれば特に限定されず、たとえば、油圧シリンダまたは空気圧シリンダであってもよいし、ボールねじおよびモータを用いた機構であってもよい。
本実施の形態における自動ろう付け装置10においては、ろう材ガイド機構部33によるろうワイヤ110のガイド方向(矢印101に示す方向)と、移動機構部26によるろうワイヤ110の移動方向(矢印103に示す方向)とが異なる。ろう材ガイド機構部33によるろうワイヤ110のガイド方向と、移動機構部26によるろうワイヤ110の移動方向とは、90°異なる。
続いて、本実施の形態における自動ろう付け装置10を用いたろう付け工程の流れについて説明する。図3は、図1中の自動ろう付け装置を用いたろう付け工程の流れを示すフローチャートである。図4は、図1中の自動ろう付け装置を用いたろう付け工程を示す図である。
なお、以下に説明するろう付け工程は、制御部61から自動ろう付け装置10の各機構に出される信号に基づいて自動的に実行される。
図1および図3を参照して、ろう材送り機構部31により、予めろう材ガイド機構部33からろうワイヤ110を所定量(図1中の矢印105に示す送り量)だけ送り出す(S101)。
次に、ろう付けヘッド21を母材に対して近接移動させる(S102)。トーチ41による炎の照射によって、母材の加熱を開始する(S103、予熱工程)。この際、ろう材送り機構部31によってろう材ガイド機構部33から送り出されたろうワイヤ110は、母材に対してトーチ41から発せられる炎の反対側に位置決めされる。ろう材ガイド機構部33から送り出されたろうワイヤ110は、母材から離れて位置決めされる。ろう材ガイド機構部33から送り出されたろうワイヤ110は、トーチ41から発せられる炎によって溶融温度に達しない程度に、炎および母材から離れて位置決めされる。
図3および図4を参照して、次に、母材に対してろうワイヤ110を接触状態まで移動させる接触動作を行なう(S104)。具体的には、移動機構部26により、ろう材送り機構部31を矢印103に示す方向に移動させ、ろうワイヤ110を母材に接触させる。
次に、所定条件(温度、時間)が完了することにより、ろうワイヤ110が溶融して母材をろう付けする(S105)。本工程における所定条件は、予熱開始からの時間や所定温度到達時点からの時間、ろうワイヤ110の溶融検知などによって、管理、制御される。最後に、ろうワイヤ110を母材から退避させる(S106)。
図5は、図1中の自動ろう付け装置によりろう付け工程される母材の一例を示す図である。図1および図5を参照して、図中では、銅材質の配管51に配管52を差し込んで、両者をろう付けする工程が想定されている。配管51および配管52は、円筒形状を有する。配管51には、フレア(スエイジング)加工が施されており、配管52が差し込まれる先端部が拡径されている。
図3中のS104に示す工程時、ろう材送り機構部31により予めろう材ガイド機構部33から送り出されたろうワイヤ110が、配管52の外周面52aに接触する。図3中のS105に示す工程時、ろうワイヤ110は、加熱された配管52に接触することによって溶融する。溶融したろう材が配管51と配管52との間の隙間に浸透し、また、隙間から溢れ出したろう材が配管51と配管52との隅部にフィレットを形成する。
溶融したろう材は、温度の低い方から高い方に濡れ拡がる性質を有する。本実施の形態では、配管52へのろうワイヤ110の接触位置が、配管52に対してトーチ41による加熱箇所の反対側であるため、配管52の全周に渡ってろう材を効率的に濡れ拡がらせることができる。
図6は、比較のための母材のろう付け工程を示す図である。図6を参照して、本比較例では、ろうワイヤ110のガイド方向と、ろうワイヤ110の移動方向とが一致する。この場合、ろうワイヤ110の先端が配管52の外周面52aに正面から点で接触することになる。このため、ろうワイヤ110を母材に対して差し出す位置に僅かなずれが生じても、ろうワイヤ110の先端が外周面52aの湾曲方向に滑ってしまい、ろうワイヤ110と配管52との接触状態を保つことができない。
図1および図4を参照して、これに対して、本実施の形態における自動ろう付け装置10を用いてろう付け工程を実施した場合、ろう材ガイド機構部33によるろうワイヤ110のガイド方向と、移動機構部26によるろうワイヤ110の移動方向とが90°異なるため、ろう材ガイド機構部33から予め送り出されたろうワイヤ110が外周面52aの接線方向に延びるように、ろうワイヤ110と配管52とが接触する。これにより、ろうワイヤ110と配管52との接触状態を維持するためのろうワイヤ110の位置決めマージンを大きく設定することができる。
さらに本実施の形態では、制御された加熱条件下において、ろうワイヤ110は、予め送り出された長さに対応して一定の長さだけ溶融し、母材に濡れ拡がるため、ろう付け工程の再現性を高めることができる。
なお、本実施の形態では、ろう材ガイド機構部33によるろうワイヤ110のガイド方向と、移動機構部26によるろうワイヤ110の移動方向とが90°異なる場合について説明したが、ろうワイヤ110のガイド方向と移動方向とが異なっており、母材に対してろう材を接触状態まで移動させる接触動作時にろうワイヤ110の腹を母材に接触させることが可能であれば、このような角度に限られない。
本実施の形態における自動ろう付け装置10は、ろう付け箇所に湾曲面を有する母材のろう付け工程により好適に適用される。本実施の形態における自動ろう付け装置10は、円筒状の母材のろう付け工程により好適に適用される。本実施の形態における自動ろう付け装置10は、たとえば、冷蔵庫の冷媒配管のろう付け工程に好適に適用される。本実施の形態における自動ろう付け装置10は、高精度に位置決めされていない母材へのろう付け工程により好適に適用される。
以上に説明した、この発明の実施の形態1における自動ろう付け装置の構造についてまとめて説明すると、本実施の形態における自動ろう付け装置10は、棒状のろう材としてのろうワイヤ110をその長手方向にガイドする、ろう材ガイド機構部33と、ろう材ガイド機構部33を移動可能なように支持し、ろう材ガイド機構部33から送り出されたろうワイヤ110を母材に向けて移動させる移動機構部26とを備える。ろう材ガイド機構部33によるろうワイヤ110のガイド方向と、移動機構部26によるろうワイヤ110の移動方向とが異なる。
このように構成された、この発明の実施の形態1における自動ろう付け装置10によれば、ろう材ガイド機構部33によるろうワイヤ110のガイド方向と、移動機構部26によるろうワイヤ110の移動方向とが異なるため、ろうワイヤ110と母材との接触状態を維持するためのろうワイヤ110の位置決めマージンを大きく設定することができる。これにより、溶融開始前のろうワイヤ110と母材との接触状態をより確実に得ることができる。
(実施の形態2)
図7は、この発明の実施の形態2における自動ろう付け装置を示す図である。本実施の形態における自動ろう付け装置は、実施の形態1における自動ろう付け装置10と比較して、基本的には同様の構造を備える。以下、重複する構造についてはその説明を繰り返さない。
図7を参照して、ろう材ガイド機構部33は、複数本のろうワイヤ110をその長手方向にガイドする。特に本実施の形態では、ろう材ガイド機構部33が、ろうワイヤ110pをその長手方向にガイドするガイド部33pと、ろうワイヤ110qをその長手方向にガイドするガイド部33qとから構成されている。
ろうワイヤ110pおよびろうワイヤ110qは、ガイド部33pおよびガイド部33qによって互いに平行に保持されている。ろうワイヤ110pおよびろうワイヤ110qは、移動機構部26によるろうワイヤ110の移動方向に距離を隔てて保持されている。
ろう材送り機構部31は、図1中の送りローラ32として、送りローラ32pおよび送りローラ32qを有する。送りローラ32pが回転することによって、ろうワイヤ110pが送り出され、送りローラ32qが回転することによって、ろうワイヤ110qが送り出される。送りローラ32pおよび送りローラ32qには、別々のモータが接続されており、互いに独立して回転駆動される。このため、ろうワイヤ110pの送り量と、ろうワイヤ110qの送り量とを別々に設定することが可能である。
このような構成によれば、2本のろうワイヤ110pおよびろうワイヤ110qの送り量と、移動機構部26によって各ろうワイヤ110を母材に向けて移動させるタイミングとを制御することによって、最適なろう付け条件を設定することができる。
このように構成された、この発明の実施の形態2における自動ろう付け装置によれば、実施の形態1に記載の効果を同様に奏することができる。
(実施の形態3)
図8は、この発明の実施の形態3における自動ろう付け装置を示す図である。本実施の形態における自動ろう付け装置は、実施の形態1における自動ろう付け装置10と比較して重複する構造を備える。以下、その重複する構造については説明を繰り返さない。
図8を参照して、本実施の形態における自動ろう付け装置は、移動機構部26、ろう材ガイド機構部33、ろう材送り機構部31およびトーチ41に加えて、ろう材曲げ加工部71をさらに有する。移動機構部26、ろう材ガイド機構部33、ろう材送り機構部31、トーチ41およびろう材曲げ加工部71は、ろう付けヘッド21に搭載されている。
ろう材ガイド機構部33は、ろうワイヤ110を、その長手方向(図8中の矢印121に示す方向)にガイドする(以下、矢印121に示す方向を「ろうワイヤ110のガイド方向」ともいう)。本実施の形態では、ろうワイヤ110のガイド方向は、ろう付けヘッド21からのトーチ41の延出方向に平行な方向である。
ろう材送り機構部31は、送りローラ32を有する。送りローラ32は、図示しないモータに接続されており、そのモータから回転力が伝達されることによって回転する。送りローラ32が回転することによって、ろう材送り機構部31により、ろうワイヤ110がろう材ガイド機構部33から送り出される。本実施の形態では、ろう材送り機構部31が、ろう材ガイド機構部33から送り出されたろうワイヤ110を母材に接触させる接触動作も実行する。
移動機構部26は、ろう材送り機構部31によりろう材ガイド機構部33から送り出されたろうワイヤ110を母材に向けて移動させる。移動機構部26は、ろう材ガイド機構部33から送り出されたろうワイヤ110を矢印127に示す方向に移動させる(以下、矢印127に示す方向を「ろうワイヤ110の移動方向」ともいう)。
移動機構部26は、ろう材ガイド機構部33を移動可能なように支持している。移動機構部26は、ろう材ガイド機構部33とともに、ろう材送り機構部31およびろう材加工機構部71を移動可能なように支持している。移動機構部26は、ろう材ガイド機構部33を矢印122に示す方向に往復移動可能なように支持している。矢印122に示す方向に沿った一方向が、矢印127に示すろうワイヤ110の移動方向であり、矢印122に示す方向に沿った逆方向が、ろうワイヤ110の退避方向である。
本実施の形態における自動ろう付け装置においては、ろう材ガイド機構部33によるろうワイヤ110のガイド方向(矢印121に示す方向)と、移動機構部26によるろうワイヤ110の移動方向(矢印127に示す方向)とが異なる。ろう材ガイド機構部33によるろうワイヤ110のガイド方向と、移動機構部26によるろうワイヤ110の移動方向とは、90°異なる。
ろう材曲げ加工部71は、ろうワイヤ110を、ろうワイヤ110のガイド方向とは異なる方向に曲げ加工する。ろう材曲げ加工部71は、ろうワイヤ110を、ろうワイヤ110のガイド方向に直交する方向に曲げ加工する。
ろう材曲げ加工部71は、ろう材ガイド機構部33と隣り合って設けられている。ろう材曲げ加工部71は、ろう材ガイド機構部33よりも、ろうワイヤ110の送り出し方向における下流側に設けられている。ろう材曲げ加工部71は、直線運動可能なアーム72を有する。ろう材送り機構部31により送り出されたろうワイヤ110は、アーム72に近接する位置を通るように配置される。アーム72をろうワイヤ110に向けて直動させることにより、ろうワイア110が折り曲げ加工される。
図9は、図8中の自動ろう付け装置の変形例を示す図である。図9を参照して、本変形例では、移動機構部26が、ろう材ガイド機構部33およびろう材加工機構部71を移動可能に支持している。ろう材送り機構部31は、ろう付けヘッド21に搭載されない形態で設けられている。
続いて、図9中の自動ろう付け装置を用いたろう付け工程の流れについて説明する。なお、図8中の自動ろう付け装置を用いた場合についても、以下に説明する工程と同様である。
図10から図14は、図9中の自動ろう付け装置を用いたろう付け工程を示す図である。
図10を参照して、ろう材送り機構部31により、ろう材ガイド機構部33からろうワイヤ110を所定量だけ送り出すとともに(ろう送り−1工程)、ろう付けヘッド21を母材に対して近接移動させ、トーチ41による炎の照射によって母材の加熱を開始する(予熱工程)。ろう送り−1工程により、ろうワイヤ110は、図10中の矢印126に示す方向に送り出される。
図11を参照して、次に、ろう材送り機構部31によりろう材ガイド機構部33から送り出されたろうワイヤ110の先端部を、ろう材曲げ加工部71により曲げ加工する(ろう材曲げ工程)。図12を参照して、次に、折り曲げ加工されたろうワイヤ110を、ろう材送り機構部31により、さらに所定量だけ送り出す(ろう送り−2工程)。
図13を参照して、次に、移動機構部26により、ろうワイヤ110を母材に近接する方向(矢印127に示す方向)に移動させる(移動工程)。このとき、折り曲げ加工されたろうワイヤ110の先端部は、母材に対してトーチ41から発せられる炎の反対側に位置決めされる。
図14を参照して、次に、母材に対してろうワイヤ110を接触状態まで移動させる接触動作を行なう(接触工程)。具体的には、ろう材送り機構部31によりろうワイヤ110を矢印128に示す方向(矢印126に示す送り出し方向とは反対方向)に引き戻すことによって、曲げ加工されたろうワイヤ110の先端部を母材に接触させる。以降、実施の形態1で説明したように、ろうワイヤ110の溶融工程およびろうワイヤ110の退避工程を実行する。
以上のように、ろうワイヤ110を母材に接触させる接触工程は、移動機構部26により実行されてもよいし(実施の形態1,2)、ろう材曲げ加工部71を用いてろうワイヤ110の先端部を折り曲げ加工する場合には、ろう材送り機構部31により実行されてもよい(実施の形態3)。
このように構成された、この発明の実施の形態3における自動ろう付け装置によれば、実施の形態1に記載の効果を同様に奏することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
この発明は、たとえば、配管などの円筒状の母材のろう付け工程に適用される。
10 自動ろう付け装置、21 ろう付けヘッド、26 移動機構部、31 ろう材送り機構部、32,32p,32q 送りローラ、33,33p,33q ろう材ガイド機構部、41 トーチ、43 マスフローコントローラ、51,52 配管、52a 外周面、61 制御部、71 ろう材加工機構部、72 アーム、110 ろうワイヤ。

Claims (5)

  1. 棒状のろう材をその長手方向にガイドする、ろう材ガイド機構部と、
    前記ろう材ガイド機構部を移動可能なように支持し、前記ろう材ガイド機構部から送り出されたろう材を母材に向けて移動させる移動機構部とを備え、
    前記ろう材ガイド機構部によるろう材のガイド方向と、前記移動機構部によるろう材の移動方向とが異なる、自動ろう付け装置。
  2. 前記移動機構部は、前記ろう材ガイド機構部を直動させる、請求項1に記載の自動ろう付け装置。
  3. 前記ろう材ガイド機構部によるろう材のガイド方向と、前記移動機構部によるろう材の移動方向とが、90°異なる、請求項2に記載の自動ろう付け装置。
  4. 母材を加熱する加熱部と、
    前記移動機構部および前記加熱部を搭載し、移動可能に設けられるヘッド部とをさらに備え、
    前記加熱部から発せられる炎の延長上に、前記ろう材ガイド機構部から送り出されたろう材が位置決めされ、
    前記移動機構部は、前記加熱部から発せられる炎と、前記ろう材ガイド機構部から送り出されたろう材との間の距離が変化するように、前記ろう材ガイド機構部を移動させる、請求項1から3のいずれか1項に記載の自動ろう付け装置。
  5. 前記移動機構部の駆動を制御する制御部をさらに備え、
    前記制御部は、前記ろう材ガイド機構部からろう材が送り出された後に、前記移動機構部によりろう材を母材に接触する位置まで移動させるように、前記移動機構部の駆動を制御する、請求項1から4のいずれか1項に記載の自動ろう付け装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112775518A (zh) * 2021-02-01 2021-05-11 山西拓扑蜂窝智能制造有限公司 一种钎焊料加入装置和方法

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