JP2014123616A - 基板処理装置 - Google Patents

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Wataru Ito
伊藤  渉
Takashi Aisato
崇 藍郷
Taizo Hoshino
泰三 星野
Akiyoshi Tachikawa
昭義 立川
Masanao Fukuda
正直 福田
Daisuke Hara
大介 原
Takashi Sasaki
隆史 佐々木
Hiroo Hiramatsu
宏朗 平松
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Hitachi Kokusai Electric Inc
Nippon Steel Corp
Nippon Steel Chemical and Materials Co Ltd
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Hitachi Kokusai Electric Inc
Nippon Steel and Sumitomo Metal Corp
Nippon Steel and Sumikin Materials Co Ltd
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Abstract

【課題】縦型バッチ式SiCエピタキシャル成長装置において、複数の基板に形成されるSiCエピタキシャル成長膜の不純物濃度を適切に制御する。
【解決手段】水平姿勢の基板が所定の間隔で縦方向に配置される処理室と、処理室内に収容された基板を加熱する加熱部と、処理室内へガスを供給するガス供給部と、処理室内からガスを排気する排気部とを備えた基板処理装置において、ガス供給部を、シリコン原子含有ガスを供給するガス供給孔を前記縦方向の基板配置領域に備える第1のガス供給ノズルと、炭素原子含有ガスと還元ガスとを供給するガス供給孔を前記縦方向の基板配置領域に備える第2のガス供給ノズルと、ドーピングガスを供給するガス供給孔を前記縦方向の基板配置領域の一部領域に備えるドーピングガス専用ノズルとから構成し、第1のガス供給ノズル又は第2のガス供給ノズルの少なくとも一方にドーピングガスを供給する。
【選択図】図2

Description

本発明は、ウェハ等の基板を処理する基板処理装置に関し、特に、炭化珪素(SiC)の基板上にSiCエピタキシャル膜を成長させて成膜する、縦型バッチ式の基板処理装置に関するものである。
炭化珪素(SiC、シリコンカーバイド)は、珪素(Si、シリコン)に比べエネルギーバンドギャップが大きいことや、絶縁耐圧が高いことから、特にパワーデバイス用素子材料として注目されている。一方でSiCは、融点がSiに比べて高いこと、常圧下での液相を持たないこと、不純物拡散係数が小さいことなどから、Siに比べて基板やデバイスの作成が難しいことが知られている。
例えばSiCエピタキシャル成膜装置は、Siのエピタキシャル成膜温度が900℃〜1200℃であるのに比べ、SiCのエピタキシャル成膜温度が1500℃〜1800℃程度と高いことから、成膜装置の構成部品の耐熱構造や分解抑制に技術的な工夫が必要である。またSiとCの2元素の反応で成膜が進むため、膜厚や成膜組成均一性の確保、ドーピングレベルの制御技術にもシリコン系の成膜装置に無い工夫が必要となる。
量産用のSiCエピタキシャル成長装置として市場に供されている装置としては、「パンケーキ型」や「プラネタリ型」と称される形態の装置が主流である。図7と図8に、「プラネタリ型」SiCエピタキシャル成長装置を示す。図7は、従来のSiCエピタキシャル成膜装置を側面からみた垂直断面図を示す。図8は、図7におけるA−A断面図である。図7に示すように、SiCウェハ903がウェハホルダ902に把持され、吊るすようにしてサセプタ901に支持されている。材料ガスは、供給ガス経路905を通って下方から上昇し、SiCウェハ903の下面を通過し、反応容器壁910の側面から、矢印906で示すように排気される。SiCウェハ902は、回転軸904aの周りを自転しつつ、回転軸904bの周りを公転しながら、誘導コイル907により加熱処理される。
このように従来装置では、高周波等で成膜温度まで加熱したサセプタ上に、数枚〜十数枚程度のSiC基板を平面的に並べ、原料ガスやキャリアガスを供給する方法で成膜している。
これらの従来装置では、炭素(C)原料としてC (プロパン)やC(エチレン)、Si原料としてSiH (モノシラン)が多く採用されており、キャリアとしてはH(水素)が使用される。気相中でのシリコン核形成の抑制や結晶の品質向上を狙って塩化水素(HCl)を添加する場合や、塩素(Cl)を構造中に含むトリクロルシラン(SiHCl)、テトラクロルシラン(SiCl、四塩化珪素)などの原料を使う場合もある。
これら従来のSiCエピタキシャル成膜装置には以下のような問題があった。図7に示すような反応室構造では、平面的に配置されたウェハに対し、シリコン成膜材料ガスとカーボン成膜材料ガスが、中心部に設置されたガス供給部から供給され、排気は周辺部から行われるのが一般的であり、ガス供給口から排気口にかけてガスの濃度分布は大きく変化する。これに伴う膜厚の不均一性を、ウェハおよびサセプタを成膜時に回転させて回避することも一般的に行われているが、ガス供給方向からガス排気口方向(半径方向)にウェハを2枚以上並べると前述のガス濃度差の問題により処理ウェハ間に膜厚差が発生するため、一度に処理できる実用的なウェハ枚数が制限されるという問題がある。
また、一度に処理できるウェハ枚数を増やすにはサセプタの直径を大きくすれば良いが、サセプタの直径を大きくすると装置サイズが大きくなりコストが増大するという問題がある。この問題はウェハ径が大きくなるほど、より深刻となる。
また、一般に、SiC膜をエピタキシャル成長させる際には、膜中に不純物(ドーパント)を意図的に混入させ、結晶の物性を変化させる。そのため、エピタキシャル成長装置には、ウェハに形成されるSiCエピタキシャル成長膜の不純物濃度(ドーピング濃度)を制御することが求められる。
一方で、シリコンの成膜装置で用いられている縦型成膜装置は、ウェハ1枚相当のフットプリントにて一度に複数(例えば25〜100枚)のウェハをボート上に縦方向に積み上げて、一括して処理できる構造を持つことから大量生産に非常に有利である。
下記の特許文献1には、上記縦型成膜装置をSiC成膜に適用する技術が開示されているが、SiCエピタキシャル成長膜の不純物濃度を制御することは開示されていない。
特開2010−283336号公報
本発明の目的は、縦型バッチ式SiCエピタキシャル成長装置等の基板処理装置において、ボートに縦方向に積層された複数の基板に形成されるSiCエピタキシャル成長膜の不純物濃度を適切に制御することのできる技術を提供することにある。
前記課題を解決するための本発明に係る基板処理装置の代表的な構成は、次のとおりである。すなわち、
水平姿勢の複数の基板が縦方向に所定の間隔で多段に配置される処理室と、
前記処理室内に収容された前記基板を加熱する加熱部と、
前記処理室内へガスを供給するガス供給部と、
前記処理室内からガスを排気する排気部とを備えた基板処理装置であって、
前記ガス供給部は、
前記処理室内に設けられ、シリコン原子含有ガスを供給するガス供給孔を前記縦方向の基板配置領域に備える第1のガス供給ノズルと、
前記処理室内に設けられ、炭素原子含有ガスと還元ガスとを供給するガス供給孔を前記縦方向の基板配置領域に備える第2のガス供給ノズルと、
前記処理室内に設けられ、ドーピングガスを供給するガス供給孔を前記縦方向の基板配置領域の一部領域に備えるドーピングガス専用ノズルとを備え、
前記第1のガス供給ノズル又は前記第2のガス供給ノズルの少なくともいずれか一方に前記ドーピングガスを供給するように構成された基板処理装置。
このように基板処理装置を構成すると、基板に形成されるSiCエピタキシャル成長膜の不純物濃度を適切に制御することができる。
本発明の第1実施形態における基板処理装置の斜視図である。 本発明の第1実施形態における処理炉を側面からみた概略の垂直断面図である。 本発明の第1実施形態におけるガス供給部の一部の構成図である。 本発明の第1実施形態における処理炉を上方からみた水平断面図である。 本発明の第1実施形態における処理炉の一部の詳細を示す垂直断面図である。 本発明の第1実施形態における基板処理装置の制御部の構成図である。 従来のSiCエピタキシャル成膜装置を側面からみた垂直断面図である。 図7におけるA−A断面図である。
(第1実施形態)
次に、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。まず、第1実施形態における基板処理装置10の概略構成を、図1を用いて説明する。図1は、第1実施形態においてSiC基板上にSiCエピタキシャル膜を形成する基板処理装置10の一例であり、斜視図にて示す。この基板処理装置10は、バッチ式縦型熱処理装置であり、主要部が収容され配置される筐体12を有する。基板処理装置10では、例えば、SiCで構成された基板としてのウェハ14を収納する基板収納器としてフープ(以下、ポッドという)16が、ウェハキャリアとして使用される。この筐体12の正面側には、ポッドステージ18が配置されており、このポッドステージ18にポッド16が、装置10の外部から搬送される。ポッド16には、例えば25枚のウェハ14が収納され、蓋が閉じられた状態でポッドステージ18にセットされる。
筐体12内の正面側であって、ポッドステージ18に対向する位置にはポッド搬送装置20が配置されている。また、このポッド搬送装置20の近傍には、ポッド収容棚22、ポッドオープナ24及び基板枚数検知器26が配置されている。ポッド収容棚22は、ポッドオープナ24の上方に配置され、ポッド16を複数個載置した状態で保持するように構成されている。基板枚数検知器26は、ポッドオープナ24に隣接して配置される。ポッド搬送装置20は、ポッドステージ18とポッド収容棚22とポッドオープナ24との間でポッド16を搬送する。ポッドオープナ24はポッド16の蓋を開けるものであり、基板枚数検知器26は蓋を開けられたポッド16内のウェハ14の枚数を検知する。
筐体12内には基板移載機28、基板支持具としてのボート30が配置されている。基板移載機28は、アーム(ツィーザ)32を有し、図示しない駆動手段により、上下方向、水平方向の進退動作および水平方向の回転動作が可能な構造になっている。アーム32は例えば5枚のウェハを取り出すことができ、このアーム32を動かすことにより、ポッドオープナ24の位置に置かれたポッド16及びボート30間にてウェハ14を搬送する。
ボート30は、例えば表面をSiCコーティングされたカーボングラファイト(黒鉛)等の耐熱性材料で構成されており、複数枚のウェハ14を水平姿勢でかつ互いに中心を揃えた状態で整列させて縦方向に所定の間隔を空けて多段に積み上げて保持するように構成されている。詳しくは、ボート30は、表面をSiCコーティングされたカーボングラファイトで構成される複数のウェハホルダ(不図示)を、縦方向に所定の間隔を空けて多段に保持し、各ウェハホルダ上には、それぞれ1枚のウェハ14が載置されるように構成されている。ウェハホルダ上にウェハ14を載置することにより、ウェハ14の裏面への成膜が防止される。
ボート30の下部には、例えば石英(SiO)やSiC等の耐熱性材料で構成された円筒形状の断熱部材としてのボート断熱部34が配置されており、後述する被誘導体45からの熱が処理炉40の下方側に伝わりにくくなるように構成されている(図2参照)。
筐体12内の背面側上部には、処理炉40が配置されている。この処理炉40内に複数枚のウェハ14を装填したボート30が搬入され熱処理が行われる。
次に、本実施形態における処理炉40の概略構成を、図2ないし図4を用いて説明する。図2は、本実施形態におけるSiCエピタキシャル膜を成膜する処理炉を側面からみた垂直断面図である。図3は、本実施形態におけるガス供給部の一部の構成図である。図4は本実施形態における処理炉を上方からみた水平断面図である。
処理炉40は、反応管42を備え、反応管42は、石英またはSiC等の耐熱材料で構成され、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。反応管42の内側の筒中空部には、円筒形状の反応室43が形成されている。
反応管42の下方には、この反応管42と同心円状にマニホールド71が配設されている。マニホールド71は、たとえばステンレス等で構成され、上端及び下端が開口した円筒形状に形成されている。このマニホールド71は反応管42を支持するように設けられている。なお、このマニホールド71と反応管42との間にはシール部材としてOリング(不図示)が設けられている。このマニホールド71が筺体12に固定された保持体(不図示)に支持されることにより、反応管42は垂直に据えつけられた状態になっている。この反応管42とマニホールド71により反応容器が形成されている。
マニホールド71の下方には、処理炉40の下端開口を気密に閉塞するための炉口蓋体としてシールキャップ91が設けられている。シールキャップ91は、例えばステンレス等の金属で構成され、円盤状に形成されている。シールキャップ91の上面には、処理炉40の下端と当接するシール材としてのOリング(不図示)が設けられている。シールキャップ91の下方にはボート回転機構92が設けられている。ボート回転機構92の回転軸93は、シールキャップ91を貫通してボート30に接続されており、このボート30を回転させることで、ウェハ14を回転させるように構成されている。
次に、ウェハ14を加熱する加熱部の構成について説明する。
処理炉40は、処理炉40内に搬入されたボート30上のウェハ14を加熱する被誘導体45、及び磁場発生部としての誘導コイル50を備える。主に被誘導体45と誘導コイル50から加熱部が構成される。誘導コイル50は、反応管42の周囲を巻き回すように、コイル支持柱51に取り付けられて設けられる。被誘導体45は、反応室43内に配設されている。被誘導体45の内部は、後述するガス供給ノズル61〜64が設けられ、処理ガスが供給される処理室47を形成する。
誘導コイル50に高周波電力(例えば10〜100kHz、10〜200kW)を印加し、被誘導体45に渦電流を発生させ、ジュール熱により被誘導体45を所定の温度(例えば1500〜1800℃)に加熱する。これにより、被誘導体45より内側に配置された処理室47内のウェハ14、ウェハホルダ、ボート30は、被誘導体45より放射される輻射熱により、被誘導体45の温度と同等温度に加熱される。
被誘導体45は、誘導コイル50により発生する誘導電流(渦電流)により誘導加熱されやすく、且つ、耐熱性に優れた材料、例えば、カーボングラファイト等の材料で構成され、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。
被誘導体45の近傍には、処理室47内の温度を検出する放射温度計等の温度センサ(不図示)が設けられている。誘導コイル50及び温度センサは、制御部100に電気的に接続されており、制御部100は、温度センサにより検出された温度情報に基づき誘導コイル50への通電量を調節することにより、処理室47内の温度が所定のタイミングにて所定の温度分布となるよう制御する。
被誘導体45と反応管42の間には、断熱材44が設けられ、この断熱材44を設けることにより、被誘導体45の熱が反応管42あるいは反応管42の外側へ伝達するのを抑制することができる。断熱材44は、例えば誘導加熱されにくい炭素繊維(カーボンフェルト)等で構成され、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。
また、誘導コイル50の外側には、反応室43内の熱が外側に伝達するのを抑制するための、例えば水冷パイプ52による水冷構造を有する断熱壁としての水冷板53が、反応管42を囲むように設けられている。水冷板53は、誘導コイル50から発生される誘導電流により誘導加熱されにくい材料、例えば、銅(Cu)等の材料から構成され、上端及び下端が開口した円筒形状に形成されている。
更に、水冷板53の外側には、誘導コイル50により発生された磁場や電磁波が外側に漏れるのを防止する遮蔽用カバー58が設けられている。好ましくは、遮蔽用カバー58は、誘導コイルから発生される誘導電流により誘導加熱されにくい材料、例えば、銅(Cu)もしくはアルミニウム(Al)等の材料から構成され、上端が閉塞し下端が開口した筒状、例えば円筒形状や角筒形状に形成されている。
更に、処理室47の下部開口部周辺においては、シール部材(Oリングなど)の耐熱性を考慮し、ボート断熱部34等の下部断熱手段を設けることにより温度を低く、例えば200℃程度に維持している。
次に、ガス供給部について説明する。
図2に示すように、処理室47内へ処理ガスを供給するための複数のガス供給ノズル61〜64が、処理室47内に設けられている。ガス供給ノズル61〜64は、例えば表面をSiCコーティングされた筒状のカーボングラファイトで構成され、マニホールド71を水平方向に貫通するようにマニホールド71に取り付けられ、直角に屈曲されて、鉛直方向に延びている。ガス供給ノズル61〜64は、それぞれ、処理室47外に設けられたガス供給管161〜164に接続されている。主に、ガス供給ノズル61〜64と、ガス供給管161〜164と、ガス供給管161〜164に設けられた後述する各ガス供給源と各MFCと各バルブとから、ガス供給部が構成される。
図3に示すように、ガス供給ノズル61とガス供給管161は、シリコン含有原料ガス供給系を構成し、シリコン原子含有ガスとともにドーピングガスを処理室47内へ供給する。ドーピングガスは、形成されるSiCエピタキシャル膜中に不純物(ドーパント)を混入させるためのガスである。図3の例では、シリコン原子含有ガスとしてテトラクロロシラン(SiCl)ガス、ドーピングガスとして窒素(N)ガス、シリコン原子含有ガスの濃度や流速を調整するための希釈ガス又はキャリアガスとして不活性ガスであるアルゴン(Ar)ガスを供給可能な構成としている。ここで不活性ガスとは、ドープトSiCエピタキシャル膜成長において、該成長反応に影響を与えない、つまりSiCエピタキシャル膜を構成する成分とならない原子から構成されるガスである。
具体的には、図3に示すように、ガス供給管161はその上流側で3本に分岐し、該分岐した第1のガス供給管は、上流側から順に、Nガス供給源81gとガスの供給量を制御する流量制御器(フローコントローラ:MFC)82gとガス供給管を開閉するバルブ83gとを備えている。また、分岐した第2のガス供給管は、上流側から順に、SiClガス供給源81hとMFC82hとバルブ83hとを備えている。また、分岐した第3のガス供給管は、上流側から順に、Arガス供給源81kとMFC82kとバルブ83kとを備えている。
また、図2に示すように、ガス供給ノズル61は、処理室47内を鉛直方向(縦方向)に延伸した状態で設置される。ボート30においてウェハ14を搭載可能な鉛直方向の部分に対向する、ガス供給ノズル61の部分には、61a等の複数のガス供給孔が、鉛直方向に並ぶように設けられている。つまり、ボート30の縦方向のウェハ配置領域の全域に亘り、複数のガス供給孔が設けられている。
ガス供給ノズル62とガス供給管162は、炭素(カーボン)含有原料ガス供給系を構成し、炭素(C)原子含有ガスや還元ガスや塩素原子含有ガスとともにドーピングガスを処理室47内へ供給する。図3の例では、炭素原子含有ガスとしてプロパン(C)ガス、還元ガスとして水素(H)ガス、塩素原子含有ガスとして塩化水素(HCl)ガス、ドーピングガスとしてNガスを供給可能な構成としている。
ガスは、処理室47内において、ガス供給ノズル61から噴出されたシリコン原子含有ガスとガス供給ノズル62から噴出された炭素原子含有ガスが反応してSiC膜を形成する際の還元ガスとして機能するほか、炭素原子含有ガスの濃度や流速を調整するための希釈ガス又はキャリアガスとしても機能する。
具体的には、ガス供給管162はその上流側で4本に分岐し、該分岐した第1のガス供給管は、上流側から順に、Nガス供給源81cとMFC82cとバルブ83cとを備えている。また、分岐した第2のガス供給管は、上流側から順に、HClガス供給源81dとMFC82dとバルブ83dとを備えている。また、分岐した第3のガス供給管は、上流側から順に、Hガス供給源81eとMFC82eとバルブ83eとを備えている。また、分岐した第4のガス供給管は、上流側から順に、Cガス供給源81fとMFC82fとバルブ83fとを備えている。
また、ガス供給ノズル61と同様に、ガス供給ノズル62は、処理室47内を鉛直方向に延伸した状態で設置され、ボート30においてウェハ14を搭載可能な鉛直方向の部分に対向する、ガス供給ノズル62の部分には、62a等の複数のガス供給孔が、鉛直方向に並ぶように設けられている。つまり、ボート30の縦方向のウェハ配置領域の全域に亘り、複数のガス供給孔が設けられている。
このように、シリコン原子含有ガスと炭素原子含有ガスとを異なるガス供給ノズルから供給することにより、ガス供給ノズル61内とガス供給ノズル62内では、SiC膜の堆積を抑制することができる。
また、処理室47内へドーピングガス(Nガス)とともに不活性ガス(Arガス)を供給するので、処理室内圧力がSiエピタキシャル膜成長時(例えば100〜200Pa)よりも高いSiCエピタキシャル膜成長時(例えば1000〜2000Pa)において、基板上に均一にドーピングガスを流すことができ、膜中のドーピング濃度を所定の範囲内に制御することが容易となる。
処理室内圧力がSiエピタキシャル膜成長時のように低い場合は、ドーピングガスを供給するだけでドーピングガスが処理室内へ拡散するので、不活性ガスを供給する必要がないが、処理室内圧力が高いSiCエピタキシャル膜成長時においては、ドーピングガスを不活性ガスとともに供給することが、ドーピング濃度を均一にするうえで有効である。
また、シリコン原子含有ガス供給ノズルであるガス供給ノズル61に供給するドーピングガスのキャリアガスとしてArガスを用い、還元ガスであるHガスを、炭素原子含有ガスを供給するガス供給ノズル62から炭素原子含有ガスとともに供給し、処理室47内でシリコン原子含有ガスと混合するようにしているので、ガス供給ノズル61内にはHガスが存在せず、ガス供給ノズル61内におけるシリコン膜の堆積を抑制することが可能となる。
また、炭素原子含有ガスを供給するガス供給ノズル62に、HClのような塩素原子含有ガスを供給しているので、ガス供給ノズル61から処理室47内へ流出したシリコン原子含有ガスが、ガス供給ノズル62のガス供給孔からガス供給ノズル62内へ進入し、ガス供給ノズル62のガス供給孔付近でシリコン膜もしくはSiC膜が堆積、又は堆積可能な状態となったとしても、塩素によりエッチングモードとすることが可能となり、ガス供給ノズル62のガス供給孔が閉塞されることを抑制することが可能になる。
ガス供給ノズル63とガス供給管163は、ドーピングガス供給系であり、ドーピングガスを処理室47内へ供給する。図3の例では、ドーピングガスとしてNガスを供給可能な構成としている。具体的には、ガス供給管163は、上流側から順に、Nガス供給源81bとMFC82bとバルブ83bとを備えている。
また、図2に示すように、ガス供給ノズル63は、処理室47内を鉛直方向に延伸した状態で設置されるが、図2の例では、ガス供給ノズル63の長さは、ガス供給ノズル61や62よりも短く、ガス供給ノズル63の頂部位置は、ボート30の鉛直方向におけるほぼ中央位置である。ガス供給ノズル63のうち、ボート30の下半分に搭載可能なウェハ14の一部に対向する部分には、63a等の複数のガス供給孔が、鉛直方向に並ぶように設けられている。つまり、ボート30の縦方向のウェハ配置領域のうち一部領域において、ガス供給孔が設けられている。
ガス供給ノズル63のガス供給孔が設けられている部分は、ガス供給ノズル61や62から供給されるドーピングガスが不足している部分であり、ガス供給ノズル63により、この部分のドーピングガスを補うようにしている。
同様に、ガス供給ノズル64とガス供給管164は、ドーピングガス供給系であり、ドーピングガスを処理室47内へ供給する。図3の例では、ドーピングガスとしてNガスを供給可能な構成としている。具体的には、ガス供給管164は、上流側から順に、Nガス供給源81aとMFC82aとバルブ83aとを備えている。
また、図2に示すように、ガス供給ノズル64は、処理室47内を鉛直方向に延伸した状態で設置されるが、図2の例では、ガス供給ノズル64の長さは、ガス供給ノズル61や62と同様であり、ガス供給ノズル64の頂部位置は、ボート30の鉛直方向におけるほぼ頂部位置である。ガス供給ノズル64のうち、ボート30の上半分に搭載可能なウェハ14の一部に対向する部分には、64a等の複数のガス供給孔が、鉛直方向に並ぶように設けられている。つまり、ボート30の縦方向のウェハ配置領域のうち一部領域において、ガス供給孔が設けられている。
ガス供給ノズル64のガス供給孔が設けられている部分は、ガス供給ノズル61や62から供給されるドーピングガスが不足している部分であり、ガス供給ノズル64により、この部分のドーピングガスを補うようにしている。
上記のように、ガス供給ノズル61や62から供給されるドーピングガスが不足している部分に、ドーピングガス専用ノズルであるガス供給ノズル63やガス供給ノズル64からドーピングガスを供給する構成としており、これにより、ウェハ14に形成されるSiCエピタキシャル膜の面間における、つまりウェハ間におけるドーピング濃度を均一にすることが容易となる。
ここでドーピングガス専用ノズルとは、シリコン原子含有ガスや炭素原子含有ガスを供給せず、ドーピングガスを供給するノズルであり、シリコン原子含有ガスや炭素原子含有ガスの供給量が少ないため、実質的にSiCエピタキシャル膜成長に寄与しない程度のシリコン原子含有ガスや炭素原子含有ガスを供給するものも含む。
なお、図2の例では、ガス供給ノズル61〜64のガス供給孔は、ウェハ14の面の中心方向にガスを噴出するように、横穴(水平方向の穴)として設けられている。また、ガス供給孔の大きさ(直径)は、各ガス供給孔から噴出するガスの流速(初速度)が等しくなるように設定されている。しかしながら、ガス供給孔のガス噴出方向や大きさは、図2の例に限られるものではない。
また、図2の例では、ガス供給ノズル61とガス供給ノズル62のガス供給孔は、ボート30の縦方向のウェハ配置領域の全域に亘り、ボート30上のウェハ14と対応するように1対1で設けられているが、例えばガス供給孔のガス噴出方向を調整することにより、ガス供給孔から噴出されたガスが、ボート30の縦方向のウェハ配置領域の全域に均等に行き渡るような場合は、必ずしも、ガス供給孔をボート30の縦方向のウェハ配置領域の全域に亘り設ける必要はなく、ウェハ14と対応するように1対1で設ける必要もない。また、ガス供給ノズル61〜64のガス供給孔の位置や数は、図2の例に限られるものではない。
また、ドーピングガス供給ノズルの本数は、図2の例のように2本に限られるものではなく、必要に応じ1本又は複数本設けることができ、一部領域に供給するだけでなく、ウェハ配置領域の全域に供給できるように構成してもよい。また、ドーピングガスのガス供給孔の数も、必要に応じ1つ又は複数設けることができる。また、ドーピングガスとともに希釈ガス又はキャリアガスとして不活性ガス、例えばArガスを流すよう構成してもよい。このようにすると、ドーピングガスの極少流量の供給にも対応することができる。また、ドーピングガス供給源81a,81b,81c,81gは、まとめて1つの供給源として構成してもよい。
上述したバルブ83a〜83kやMFC82a〜82kは、制御部100に電気的に接続されており、制御部100は、それぞれ供給するガスの流量が、所定のタイミングにて所定流量となるよう制御する。
次に、各ガス供給ノズルの配置例について、図4を用いて説明する。図4は、本実施形態における処理炉を上方からみた水平断面図であるが、説明をわかりやすくするため必要な部材のみを記載した模式図となっている。図4の例では、ガス供給ノズル61〜63が水平方向におけるウェハ14の周囲に配置され、ドーピングガス供給ノズルとしてドーピングガス供給ノズル63の1本のみ用いられ、ドーピングガス供給ノズル63を挟むように、シリコン原子含有ガス供給ノズル61と炭素原子含有ガス供給ノズル62が配置されている。
ウェハ14の周囲には、各ガス供給ノズルから流出するガスがウェハ14表面上を均等に流れるように、水平方向におけるガスの流れを整える整流体46が、ボート30の鉛直方向におけるウェハ配置領域に亘って、鉛直方向に延びた状態で配置されている。整流体46は、2つ設けられており、ドーピングガス供給ノズル63からのガス流出方向(図4の横方向)を対象軸として、線対象の形状である。
このような構造により、シリコン原子含有ガス供給ノズル61と炭素原子含有ガス供給ノズル62から供給される異なるガス種の混合を促進するようにしている。
次に、排気部について説明する。
図2に示すように、マニホールド71には、例えばステンレス製の排気管72が、マニホールド71を水平方向に貫通するようにマニホールド71に設けられている。排気管72は、縦切断面が略円形であり、上面視においてガス供給ノズル61〜64に対して対向面に位置するように配置されている。排気管72には、排気の上流から順に、圧力検出器(不図示)と、圧力調整器としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ73と、真空ポンプ74とが接続されている。主に、排気管72と圧力検出器とAPCバルブ73とから、排気部が構成される。なお、必要に応じて真空ポンプ74を排気部に加えてもよい。
圧力検出器及びAPCバルブ73は、制御部100に電気的に接続されており、制御部100は、圧力検出器により検出された圧力に基づいて、APCバルブ73の開度を調整することにより、処理室47内の圧力が所定のタイミングにて所定の圧力になるよう制御する。
次に、処理炉40の詳細構造について、図5を用いて説明する。図5は、本実施形態における処理炉の一部の詳細を示す垂直断面図である。図5では、図2に示した誘導コイルや水冷板、ガス供給系やガス排気系の図示は省略している。
図5において、処理炉40の下方には、上述したように、シールキャップ91が設けられており、ボート回転機構92によりボート30に搭載されたウェハ14を回転させるように構成されている。シールキャップ91は、処理炉40の外側に設けられた昇降機構としての昇降モータ122によって、鉛直方向に昇降されるように構成されており、これにより、ボート30を処理炉40に対し搬入搬出することが可能となっている。ボート回転機構92及び昇降モータ122には、制御部100が電気的に接続されており、所定のタイミングにて所定の動作をするよう制御される。
予備室としてのロードロック室110の外面に、下基板112が設けられている。下基板112には、昇降台114と嵌合するガイドシャフト116及びこの昇降台114と螺合するボール螺子118が設けられている。下基板112に立設したガイドシャフト116及びボール螺子118の上端に、上基板120が設けられている。ボール螺子118は、上基板120に設けられた昇降モータ122により回転される。ボール螺子118が回転することにより、昇降台114が昇降するように構成されている。
昇降台114には、中空の昇降シャフト124が垂設され、昇降台114と昇降シャフト124の連結部は気密構造となっている。昇降シャフト124は、昇降台114と共に昇降するようになっている。昇降シャフト124は、ロードロック室110の天板126を遊貫する。昇降シャフト124が貫通する天板126の貫通穴は、この昇降シャフト124に対して接触することがないよう十分な余裕がある。ロードロック室110と昇降台114との間には、昇降シャフト124の周囲を覆うように伸縮性を有する中空伸縮体としてベローズ128が、ロードロック室110を気密に保つために設けられている。ベローズ128は、昇降台114の昇降量に対応できる十分な伸縮量を有し、このベローズ128の内径は、昇降シャフト124の外形に比べ十分に大きく、ベローズ128の伸縮により接触することがないように構成されている。
昇降シャフト124の下端には、昇降基板130が水平に固着されている。昇降基板130の下面には、Oリング等のシール部材を介して駆動部カバー132が気密に取り付けられる。昇降基板130と駆動部カバー132とで、駆動部収納ケース134が構成されている。この構成により、駆動部収納ケース134内部は、ロードロック室110内の雰囲気と隔離される。
また、駆動部収納ケース134の内部には、ボート30のボート回転機構92が設けられ、このボート回転機構92の周辺は、冷却機構136により冷却される。
電力ケーブル138は、昇降シャフト124の上端からこの昇降シャフト124の中空部を通り、ボート回転機構92に導かれて接続されている。また、冷却機構136及びシールキャップ91には、冷却水流路140が形成されている。冷却水配管142は、昇降シャフト124の上端からこの昇降シャフト124の中空部を通り、冷却流路140に導かれて接続されている。
昇降モータ122が駆動されボール螺子118が回転することで、昇降台114及び昇降シャフト124を介して、駆動部収納ケース134を昇降させる。
駆動部収納ケース134が上昇することにより、昇降基板130に気密に設けられているシールキャップ91が、処理炉40の開口部である炉口144を閉塞し、ウェハ処理が可能な状態となる。駆動部収納ケース134が下降することにより、シールキャップ91と共にボート30が降下され、ウェハ14を外部に搬出できる状態となる。
図6は、SiCエピタキシャル膜を成膜する基板処理装置10を構成する各構成部を制御する制御部100の構成を示す。温度制御部102、ガス流量制御部103、圧力制御部104、駆動制御部105は、基板処理装置10全体を制御する主制御部101に電気的に接続されている。主制御部101は、図示しない操作部及び入出力部を備える。
上述したように、温度制御部102は、誘導コイル50や温度センサと電気的に接続されており、処理室47内を所定のタイミングで所定の温度状態となるよう制御する。ガス流量制御部103は、MFC82a〜82kや開閉バルブ83a〜83kと電気的に接続されており、各ガス供給管161〜164から処理室47内へ供給するガスが所定のタイミングで所定の流量となるよう制御する。圧力制御部104は、APCバルブ73や圧力センサと電気的に接続されており、処理室47内の圧力が所定のタイミングで所定の値となるよう制御する。駆動制御部105は、ボート回転機構92や昇降モータ122と電気的に接続されており、ボート回転動作やボート昇降動作が所定の動作となるよう制御する。
次に、上述したように構成された基板処理装置10を用いて、SiCで構成されるウェハ14等の基板表面に、不純物(ドーパント)を含むドープトSiCエピタキシャル膜を成長させて形成する方法について説明する。なお、以下の説明において、基板処理装置10を構成する各部の動作は、制御部100により制御される。
まず、ポッドステージ18に複数枚のウェハ14を収容したポッド16がセットされると、ポッド搬送装置20により、ポッド16をポッドステージ18からポッド収容棚22へ搬送し、このポッド収容棚22にストックする。次に、ポッド搬送装置20により、ポッド収容棚22にストックされたポッド16をポッドオープナ24に搬送してセットし、このポッドオープナ24によりポッド16の蓋を開き、基板枚数検知器26によりポッド16に収容されているウェハ14の枚数を検知する。
次に、基板移載機28により、ポッドオープナ24の位置にあるポッド16からウェハ14を取り出し、ボート30に移載、詳しくはボート30上のウェハホルダに移載する。
複数枚のウェハ14がボート30に搭載されると、複数枚のウェハ14を保持したボート30は、昇降モータ122による昇降台114及び昇降シャフト124の昇降動作により処理室47内に搬入(ボートローディング)される。この状態で、シールキャップ91はOリングを介してマニホールド71の下端をシールした状態となる。
処理室47内に不活性ガス(例えばArガス)を、不活性ガス供給源81kから導入しながら、処理室47内が所定の真空度つまり圧力(例えば1000〜2000Pa)となるように、真空ポンプ74によって真空排気される。このとき、処理室47内の圧力は、圧力センサで測定され、この測定された圧力に基づき、処理室47内が所定の圧力となるように、APCバルブ73がフィードバック制御される。
また、誘導コイル50に高周波電力(例えば10〜100kHz、10〜200kW)を印加し、被誘導体45を所定の温度(例えば1500〜1800℃)に加熱するとともに、処理室47内のウェハ14、ウェハホルダ、ボート30を、被誘導体45の温度と同等温度に加熱する。このとき、処理室47内が所定の温度分布となるように、温度センサが検出した温度情報に基づき、誘導コイル50への通電量がフィードバック制御される。 また、ボート回転機構92により、ボート30が回転されることでウェハ14が周方向に水平回転される。
続いて、処理温度(1500〜1800℃)に維持されたウェハ14に対して、ガス供給ノズル61〜64より、シリコン系原料とカーボン系原料を供給しつつ、APCバルブ73にて処理室47内を所望の圧力(例えば1000〜2000Pa)に制御しながらドープトSiCエピタキシャル成膜処理を行う。成膜処理中は、ウェハ面内の膜厚、ドーピング濃度均一性を確保するため、ボート回転機構92によりボート30が回転される。
詳しくは、ドープトSiCエピタキシャル成長反応に寄与するシリコン原子含有ガス(SiClガス)とドーピングガス(Nガス)と不活性ガスであるキャリアガス(Arガス)が、それぞれ、シリコン原子含有ガス供給源81h、ドーピングガス供給源81g、不活性ガス供給源81kからガス供給管161に供給され、ガス供給ノズル61のガス供給孔より処理室47内に噴出される。
また、炭素原子含有ガス(Cガス)と還元ガス(Hガス)と塩素原子含有ガス(HClガス)とドーピングガス(Nガス)が、それぞれ、炭素原子含有ガス供給源81f、水素ガス供給源81e、塩化水素ガス供給源81d、ドーピングガス供給源81cからガス供給管162に供給され、ガス供給ノズル62のガス供給孔より処理室47内に噴出される。
また、ドーピングガス(Nガス)は、単独で、ドーピングガス供給源81bとドーピングガス供給源81aから、それぞれ、ガス供給管163とガス供給管164に供給され、それぞれ、ガス供給ノズル63とガス供給ノズル64のガス供給孔より処理室47内に噴出される。このとき、ドーピングガス専用ノズル63,64を使用しない状態においてボート30に鉛直方向多段に搭載されたウェハ14上に形成されるドープトSiCエピタキシャル膜の不純物濃度(ドーピング濃度)が低い領域に、ガス供給ノズル63とガス供給ノズル64からのドーピングガス(Nガス)が噴出されるように、ガス供給ノズル63とガス供給ノズル64のガス供給孔の鉛直方向の位置や数が設定されている。
このとき、処理室47内に噴出される各ガスは、それぞれ所定のタイミングで所定の流量となるように、各ガスに対応するMFC82a〜82kの開度が調整された後、各ガスに対応するバルブ83a〜83kが開かれ、処理室47内に供給される。処理室47内に供給されたガスは、SiCで構成されるウェハ14と接触し、ウェハ14の表面上にドープトSiCエピタキシャル膜が形成される。その後、処理室47内に供給されたガスは、ガス排気管72を通り排気される。
予め設定された処理時間が経過すると、上述のガスの供給が停止され、ドープトSiCエピタキシャル膜成長は停止される。その後、不活性ガス供給源81kから処理室47内に不活性ガス(例えばArガス)が供給され、処理室47内が不活性ガスで置換されると共に、処理室47内の圧力が常圧に復帰される。
その後、昇降モータ122によりシールキャップ91が下降されて、マニホールド71の下端が開口されると共に、処理済ウェハ14がボート30に保持された状態でマニホールド71の下端から反応管42の外部に搬出(ボートアンローディング)され、ボート30に支持された全てのウェハ14が冷えるまで、ボート30を所定位置で待機させる。次に、待機させたボート30のウェハ14が所定温度まで冷却されると、基板移載機28により、ボート30からウェハ14を取り出し、ポッドオープナ24にセットされている空のポッド16に搬送して収容する。その後、ポッド搬送装置20により、ウェハ14が収容されたポッド16をポッド収容棚22、またはポッドステージ18に搬送する。このようにして基板処理装置10の一連の基板処理動作が完了する。
以上により、ボート30に縦方向に積層された複数のウェハ14にドープトSiCエピタキシャル膜が形成される。形成されたドープトSiCエピタキシャル膜の不純物濃度が、縦方向において不均一であった場合は、ドーピングガス供給ノズル63,64のガス供給孔の縦方向における配置や数等を修正する。このようにして、SiCエピタキシャル成長膜の不純物濃度を適切に制御することができる。
第1実施形態によれば、次の(1)〜(5)の効果を得ることができる。
(1)シリコン原子含有ガスと炭素原子含有ガスのガス供給ノズルを別々に設け、これら原料ガス供給ノズルから処理室内へドーピングガスを供給するとともに、前記原料ガス供給ノズルとは別にドーピングガス専用ノズルを設け、このドーピングガス専用ノズルからも処理室内へドーピングガスを供給するように構成したので、ボートに鉛直方向多段に搭載された基板上に形成されるドープトSiCエピタキシャル膜の不純物濃度(ドーピング濃度)を、所定の範囲内に制御することが容易となり、特に、複数の基板の面間におけるドーピング濃度を均一化することが容易となる。
(2)ドーピングガス専用ノズルを設けたので、ドープトSiCエピタキシャル膜の膜厚分布に影響を与えることなく、ドーピング濃度のみを任意に制御可能であり、各種の条理条件(温度、圧力、C/Si原料比率、原料濃度、供給ガス量など)に柔軟に対応可能である。これにより、ドープトSiCエピタキシャル膜の品質が向上する。
(3)ドーピングガスのキャリアガスとして不活性ガスを用いたので、処理室内圧力がSiエピタキシャル膜成長時よりも高いSiCエピタキシャル膜成長時において、基板上に均一にドーピングガスを流すことができ、ドーピング濃度を所定の範囲内に制御することが容易となる。
(4)シリコン原子含有ガスとして水素原子を含まないSiClガスを用いるとともにドーピングガスのキャリアガスとしてArガスを用いてガス供給ノズル61から供給し、還元ガスであるHガスを炭素原子含有ガス供給ノズル62から供給するように構成したので、シリコン原子含有ガス供給ノズル61に供給するキャリアガスとしてHガスを用いた場合のように、ガス供給ノズル61内におけるシリコン膜の堆積を抑制するためにガス供給ノズル61にHClガスを供給する必要がなく、ガス供給部を簡素化できる。
(5)炭素原子含有ガスを供給するガス供給ノズル62に、塩素原子含有ガスを供給しているので、ガス供給ノズル61から処理室47内へ流出したシリコン原子含有ガスが、ガス供給ノズル62のガス供給孔からガス供給ノズル62内へ進入し、ガス供給ノズル62のガス供給孔付近でシリコン膜が堆積することを抑制できる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態は、ガス供給系のみが第1実施形態と相違するので、ガス供給系の相違点について説明する。他の構成は、第1実施形態と同様なので、説明を省略する。
第2実施形態におけるガス供給系は、図3に示す第1実施形態のガス供給部の構成において、炭素原子含有ガスのガス供給管162に接続されているドーピングガス供給系を削除したものである。すなわち、ドーピングガス供給源81cとMFC82cとバルブ83cとを削除したものである。
第1実施形態の構成では、炭素原子含有ガスのガス供給管162内において、HClガス又はHガスとNガスとが活性化(NHガスが生成)する。その結果、ボートに鉛直方向に搭載された基板間で、ドープトSiCエピタキシャル膜内に取り込まれるN原子の量が異なり易くなり、所定のドーピング濃度を得ることが容易でない。
これに対し第2実施形態では、上述のように構成したので、炭素原子含有ガスのガス供給管162内において、HClガス又はHガスとNガスとが反応(活性化)してNHガスが生成されることがない。その結果、ボートに鉛直方向に搭載された基板間で、ドープトSiCエピタキシャル膜内に取り込まれるN原子の量の差がつきにくく、所定のドーピング濃度を得ることが第1実施形態よりも容易となる。
このように、第2実施形態においては、ガス供給ノズル61は、水素原子含有ガスを供給することなく、シリコン原子含有ガスとともにドーピングガスとしての窒素ガスを供給し、ガス供給ノズル62は、ドーピングガスとしての窒素ガスを供給しないように構成されている。つまり、ガス供給ノズル61とガス供給ノズル62のいずれにも、ドーピングガスを供給する際に、該供給されるドーピングガスとともに該ドーピングガスと反応するガスを供給しないように構成されている。
第2実施形態によれば、第1実施形態の(1)〜(5)の効果に加えて、次の(6)の効果を得ることができる。
(6)シリコン原子含有ガスのガス供給ノズル61内と炭素原子含有ガスのガス供給ノズル62内のいずれにおいても、ドーピングガス(この例ではNガス)が反応しないように構成したので、該反応によりノズル内でドーピングガスが活性化することがない。そのため、ボートの上下方向に搭載された基板間において、基板上に形成されるドープトSiCエピタキシャル膜の不純物濃度(ドーピング濃度)の差を抑制することが第1実施形態よりも容易となる。
なお、第2実施形態においては、シリコン原子含有ガス供給ノズルとドーピングガス専用ノズルとから処理室内へドーピングガスを供給するよう構成したが、炭素原子含有ガス供給ノズルとドーピングガス専用ノズルとから処理室内へドーピングガスを供給するよう構成することも可能である。このように構成しても、上記(1)と(2)の効果を得ることができる。また、ドーピングガス専用ノズルからのみ、処理室内へドーピングガスを供給するよう構成することも可能である。このように構成しても、上記(2)の効果を得ることができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態を説明する。第3実施形態も、ガス供給系のみが第1実施形態と相違するので、ガス供給系の相違点について説明する。他の構成は、第1実施形態と同様なので、説明を省略する。
第3実施形態におけるガス供給系は、図3に示す第1実施形態のガス供給部の構成において、シリコン原子含有ガスのガス供給管161に接続されているArガス供給系に代えてHガス供給系を接続し、さらに、シリコン原子含有ガスのガス供給管161に塩素含有ガス(例えばHClガス)供給系を追加接続したものである。
このように、ガス供給ノズル61に供給するキャリアガスとして、ArガスでなくHガスを用いる場合は、シリコン原子含有ガスとHガスが反応してガス供給ノズル61内にシリコン膜を堆積することを抑制するために、ガス供給ノズル61に塩素含有ガスを供給する必要がある。
このように構成しても、第1実施形態の(1)、(2)、(5)の効果を得ることができ、さらに次の(7)の効果を得ることができる。
(7)シリコン原子含有ガスを供給するガス供給ノズル61に、塩素原子含有ガスを供給しているので、ガス供給ノズル61内でシリコン膜が堆積することを抑制できる。
なお、本発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々に変更が可能であることはいうまでもない。
前記各実施形態では、n型SiCエピタキシャル成膜について説明したが、これに限られず、p型SiCエピタキシャル成膜にも適用可能であり、さらに、ドーピングガスを用いる処理、すなわち、シリコンエピタキシャル成膜、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、ポリシリコン膜、金属膜などのドーピングガスを用いる成膜処理に適用可能である。
前記各実施形態では、SiCエピタキシャル膜を形成する際に流すCl(塩素)原子含有ガスとしてHClガスを例示したが、Clガス(塩素ガス)を用いてもよい。
また、前記各実施形態では、SiCエピタキシャル反応に使用可能なシリコン原子含有ガスとしてSiClガスを用いたが、トリクロロシラン(SiHCl)ガスや、ジクロロシラン(SiHCl)ガスや、シラン(SiH)ガス等を用いることもできる。また、SiCエピタキシャル反応に使用可能な炭素原子含有ガスとしてCガスを用いたが、エチレン(C)ガスや、アセチレン(C)ガス等を用いることもできる。
また、前記各実施形態では、還元ガスとしてHガスを用いたが、これに限らず還元作用のある他のH(水素)原子含有ガスを用いてもよい。また、キャリアガスとして、SiCエピタキシャル反応に不活性であるArガスを用いたが、He(ヘリウム)ガス、Ne(ネオン)ガス、Kr(クリプトン)ガス、Xe(キセノン)ガス等の希ガスのうち少なくとも1つを用いてもよいし、上記した希ガスを組合せた混合ガスを用いてもよい。
また、前記各実施形態では、n型ドーパントとして窒素(N)を用い、ドーピングガスとしてNガスを用いたが、これに限られず、ドーピングガスとしてNHガスを用いる構成とすることもできる。また、p型ドーパントとしてアルミニウム(Al)を用い、ドーピングガスとしてトリメチルアルミニウム(TMA)や三塩化アルミニウム(AlCl)ガス等を用いる構成とすることもできる。
また、前記各実施形態では、ウェハをボートに搭載する際にウェハホルダを用いたが、ウェハホルダを用いずに、ウェハを直接ボートに搭載する構成としてもよい。
本明細書の記載事項には、少なくとも次の構成が含まれる。すなわち、
第1の構成は、
水平姿勢の複数の基板が縦方向に所定の間隔で多段に配置された処理室と、
前記処理室内に収容された前記基板を加熱する加熱部と、
前記処理室内へガスを供給するガス供給部と、
前記処理室内からガスを排気する排気部とを備えた基板処理装置であって、
前記ガス供給部は、
前記処理室内に設けられ、シリコン原子含有ガスを供給するガス供給孔を前記縦方向の基板配置領域に備える第1のガス供給ノズルと、
前記処理室内に設けられ、炭素原子含有ガスと還元ガスとを供給するガス供給孔を前記縦方向の基板配置領域に備える第2のガス供給ノズルと、
前記処理室内に設けられ、ドーピングガスを供給するガス供給孔を前記縦方向の基板配置領域の一部領域に備えるドーピングガス専用ノズルとを備え、
前記第1のガス供給ノズル又は前記第2のガス供給ノズルの少なくともいずれか一方に前記ドーピングガスを供給するように構成された基板処理装置。
第2の構成は、第1の構成における基板処理装置であって、
前記処理室内へドーピングガスとともに不活性ガスを供給するように構成された基板処理装置。
第3の構成は、第2の構成における基板処理装置であって、
前記シリコン原子含有ガスは水素原子を含まないガス(SiClガス)であり、前記第1のガス供給ノズルに前記不活性ガスとしてアルゴンガスを供給するように構成された基板処理装置。
第4の構成は、第1の構成ないし第3の構成における基板処理装置であって、
前記第1のガス供給ノズルは、前記処理室内へ水素原子含有ガスを供給することなく、前記シリコン原子含有ガスとともにドーピングガスとしての窒素ガスを供給し、
前記第2のガス供給ノズルは、前記処理室内へドーピングガスとしての窒素ガスを供給しないように構成された基板処理装置(第2実施形態)。
第5の構成は、第1の構成ないし第4の構成における基板処理装置であって、
前記第1のガス供給ノズルと前記第2のガス供給ノズルのいずれにも、ドーピングガスを供給する際に、該ドーピングガスと反応するガスを供給しないように構成された基板処理装置(第2実施形態)。
第6の構成は、第1の構成ないし第5の構成における基板処理装置であって、
前記第1のガス供給ノズルと前記第2のガス供給ノズルは、前記縦方向の基板配置領域の全域に亘りガス供給孔を備えるように構成された基板処理装置。
10…基板処理装置、12…筐体、14…ウェハ、16…ポッド、18…ポッドステージ、20…ポッド搬送装置、22…ポッド収容棚、24…ポッドオープナ、26…基板枚数検知器、28…基板移載機、30…ボート、34…ボート断熱部、40…処理炉、42…反応管、43…反応室、44…断熱材、45…被誘導体、46…整流体、47…処理室、50…誘導コイル、51…コイル支持柱、52…水冷パイプ、53…水冷板、58…遮蔽用カバー、61…ガス供給ノズル、61a…ガス供給孔、62…ガス供給ノズル、62a…ガス供給孔、63…ドーピングガス専用ノズル、63a…ドーピングガス供給孔、64…ドーピングガス専用ノズル、64a…ドーピングガス供給孔、71…マニホールド、72…排気管、73…APCバルブ、74…真空ポンプ、81a…ドーピングガス供給源、81b…ドーピングガス供給源、81c…ドーピングガス供給源、81d…塩化水素ガス供給源、81e…水素ガス供給源、81f…炭素原子含有ガス供給源、81g…ドーピングガス供給源、81h…シリコン原子含有ガス供給源、81k…不活性ガス供給源、82a〜k…MFC、83a〜k…バルブ、91…シールキャップ、92…ボート回転機構、93…回転軸、100…制御部、110…ロードロック室、112…下基板、114…昇降台、116…ガイドシャフト、118…ボール螺子、120…上基板、122…昇降モータ、124…昇降シャフト、126…天板、128…ベローズ、130…昇降基板、132…駆動部カバー、134…駆動部収納ケース、136…冷却機構、138…電力ケーブル、140…冷却水流路、142…冷却水配管、144…炉口、161…ガス供給管、162…ガス供給管、163…ドーピングガス供給管、164…ドーピングガス供給管。

Claims (1)

  1. 水平姿勢の複数の基板が縦方向に所定の間隔で多段に配置される処理室と、
    前記処理室内に収容された前記基板を加熱する加熱部と、
    前記処理室内へガスを供給するガス供給部と、
    前記処理室内からガスを排気する排気部とを備えた基板処理装置であって、
    前記ガス供給部は、
    前記処理室内に設けられ、シリコン原子含有ガスを供給するガス供給孔を前記縦方向の基板配置領域に備える第1のガス供給ノズルと、
    前記処理室内に設けられ、炭素原子含有ガスと還元ガスとを供給するガス供給孔を前記縦方向の基板配置領域に備える第2のガス供給ノズルと、
    前記処理室内に設けられ、ドーピングガスを供給するガス供給孔を前記縦方向の基板配置領域の一部領域に備えるドーピングガス専用ノズルとを備え、
    前記第1のガス供給ノズル又は前記第2のガス供給ノズルの少なくともいずれか一方に前記ドーピングガスを供給するように構成された基板処理装置。
JP2012278100A 2012-12-20 2012-12-20 基板処理装置 Pending JP2014123616A (ja)

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