(第一の実施形態)
本発明の第一の実施形態について図面を用いて説明する。
図1は、本発明の第一の実施形態に係る冷蔵庫の正面図である。図1に示すように、本実施形態の冷蔵庫1は、上方から冷蔵室2(冷蔵温度帯の貯蔵室)、冷凍室、野菜室6から構成されている。冷凍室は、下段冷凍室5と、下段冷凍室5の上方に左右に併設された製氷室3及び上段冷凍室4を備えている。
冷蔵室2は左右に分割された冷蔵室ドア2a、2bを備え、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5、野菜室6は、それぞれ引き出し式の製氷室ドア3a、上段冷凍室ドア4a、下段冷凍室ドア5a、野菜室ドア6aを備えている。以下では、冷蔵室ドア2a,2b、製氷室ドア3a、上段冷凍室ドア4a、下段冷凍室ドア5a、野菜室ドア6aを、単にドア2a,2b,3a,4a,5a,6aと呼ぶ場合がある。冷蔵庫1と冷蔵室ドア2a,2bを固定するドアヒンジが冷蔵庫1上部に設けてあり、ドアヒンジはドアヒンジカバー53で覆われている。各貯蔵室の温度は、温度設定手段、例えば切替スイッチや切替ボタンを使用者が操作することによって「強」,「中」,「弱」のような複数の冷却レベルに切替えられるように、温度調整装置14を設けている。
図2は、図1のA−A断面図である。図3は、本発明の第一の実施形態に係る冷蔵室ドアを省略した状態の冷蔵室の正面図である。図4は、図3のB−B断面図である。
冷蔵庫1の庫外と庫内は、外箱10aと内箱10bとの間に発泡断熱材を充填して形成される断熱箱体10により隔てられている。なお、断熱箱体10には、発泡断熱材に加えて、複数の真空断熱材25を外箱10aと内箱10bとの間に実装している。
各貯蔵室は、上断熱仕切壁28により、冷蔵室2と上段冷凍室4及び製氷室3が隔てられ、また、同様に下断熱仕切壁29により、下段冷凍室5と野菜室6が隔てられている。冷蔵室ドア2a,2bの庫内側には複数のドアポケット33a,33b,33cが上から順に備えてあり、冷蔵室2は複数の棚34a,34b,34c,34d,34e,34fが上から順に設けており(図3参照)、複数の貯蔵スペースに区画されている。なお、総称して棚34と表現する場合がある。
上段冷凍室4及び製氷室3と、下段冷凍室5との間には、冷凍室7の断熱仕切壁40を設けている。上段冷凍室4、下段冷凍室5及び野菜室6には、それぞれの前方に備えられたドア4a,5a,6aと一体に移動する収納容器4b,5b,6bがそれぞれ設けられており、ドア4a,5a,6aを手前側に引き出すことにより、収納容器4b,5b,6bも引き出せるようになっている。なお、製氷室3にもドア3aと一体に移動する収納容器が設けられ、ドア3aを手前側に引き出すことにより、収納容器3bも引き出せる。また、庫外温度センサ52は、冷蔵庫1の温度影響を避けた位置として、例えば、冷蔵庫1のドアヒンジカバー53の内部に設けている。
冷却器14は、下段冷凍室5の略背部に備えた冷却器収納室8内に設けてあり、冷却器14の上方に設けた送風手段である庫内ファン9により、冷却器14と熱交換した冷気が冷蔵室冷気ダクト11(第一の冷気ダクト11a、第二の冷気ダクト11b)、上段冷凍室冷気ダクト12、下段冷凍室送風ダクト13、及び製氷室送風ダクト(図示なし)を介して、冷蔵室2、上段冷凍室4、下段冷凍室5、製氷室3の各貯蔵室へそれぞれ送られる。
各貯蔵室への冷気の送風は、風量調整装置、すなわち冷蔵室ツインダンパ20(20a,20b)と、冷凍室ダンパ60の開閉により制御される。冷蔵室ツインダンパ20は、2つのバッフル20a,20bを有する、いわゆるツインバッフル型のダンパで、モータ駆動部46(図3参照)によってバッフル20a,20bを開閉させて風量を調整する。
冷蔵室2を冷却する冷蔵室冷却運転の場合には、冷蔵室ツインダンパ20を開、冷凍室ダンパ60を閉にし、冷蔵室ダクト11を経て吐出口30a,30b,30c,31,32から冷蔵室2に冷気が送られる。冷蔵室2を循環した後の冷気は、冷蔵室2下部に設けた冷蔵室戻り口39(図3参照)に流入し、その後、冷却器14に戻される。
野菜室6の冷却手段については種々の方法があるが、例えば、冷蔵室2を冷却した後に野菜室6に冷気を送る方法や、野菜室専用の風量調整装置(ダンパ)を用いて冷却器14で熱交換した冷気を直接野菜室6に送る方法が考えられる。本実施例においては、野菜室6への冷気の供給方法についてはいずれの場合でも良い。図2に記載の例では、野菜室6に流入した冷気は、断熱仕切壁29の下部前方に設けた、野菜室戻り口18aから野菜室戻りダクト18を介して、野菜室戻り口18bから冷却器14下部に流入する。
冷凍室7を冷却する冷凍室冷却運転の場合には、冷蔵室ツインダンパ20を閉、冷凍室ダンパ60を開にし、吐出口3c,4c,5c,6cからそれぞれ冷気が吐出されて、上段冷凍室4、下段冷凍室5、及び製氷室3を冷却した後、冷凍室戻り口17から冷却器14に戻される。
庫内の温度に応じて、冷蔵室2と冷凍室4、5を同時に冷却する運転もあり、その場合には冷蔵室ツインダンパ20と冷凍室ダンパ60をいずれも開として各貯蔵室に冷気を送風する。
冷蔵室2の最上段の棚34a,34bと、最下段の棚34fで区画された領域2Cの温度を検出する第三の温度センサ42、最上段の棚34a,34bと冷蔵室2の上壁で区画された領域2Aの温度を検出する第二の温度センサ43、第一の冷気ダクト11aの吐出口32,33と第二の冷気ダクト11bの吐出口30a,30b,30cから送風された冷気が共通して循環する領域2Bの温度を検出する第一の温度センサ44で検出される温度に応じて、冷蔵室ツインダンパ20のバッフル20a、20bの開閉を制御する。
冷却器14の下部には除霜ヒータ22を設けている。除霜時に発生したドレン水は樋23に一旦落下し、ドレン孔27を介して圧縮機24の上部に設けた蒸発皿21に排出される。冷蔵庫1の背面下部に設けた機械室61内には、圧縮機24の他に放熱器と放熱用のファン(図示なし)が配置されている。
冷蔵庫1の上壁上部後方にはメモリー、インターフェース回路を搭載した制御基板51が配置されており、制御基板51のROMに記憶された制御手段に従って冷凍サイクル、及び送風系の制御が実施される。制御基板51は基板カバー50で覆われている。
図3,図4において、第一の冷気ダクト11aと、第二の冷気ダクト11bからなる冷蔵室冷気ダクト11は、冷蔵室ツインダンパ20のバッフル20a、20bにて開閉される開口部にそれぞれ接続されている。第一の冷気ダクト11aで冷却する場合はバッフル20aを開、バッフル20bは閉、第二の冷気ダクト11bで冷却する場合はバッフル20aを閉、バッフル20bを開、また、第一の冷気ダクト11a、第二の冷気ダクト11bの両方で冷却する場合はバッフル20a、20bをそれぞれ開にする。
第一の冷気ダクト11aの途中には、上から順番に吐出口30a,30b,30cを設けてあり、それぞれの吐出口から送風される冷気で、最上段の棚34a,34bと最下段の棚34fで区画された領域2C(図2〜図4参照)、すなわち、棚34c,34d,34e,34fに置かれた食品を主に冷却する。冷蔵室2の最上段棚34a,34bは、棚仕切り54によって左右に分割されており、それぞれ棚の高さを変えられるようになっている。第二の冷気ダクト11bの先端部には吐出口31,32を設けてあり、それぞれの吐出口から送風される冷気で、最上段の棚34a,34bと天井面63で区画された領域2A(図2,図4参照)、すなわち、棚34a,34bやドアポケット33aに置かれた食品を主に冷却する。
棚34c,34d,34e,34fの前方のドアポケット33b、33cの周辺部、及び、最下段の棚34fと、上断熱仕切壁28で区画された場所を領域2B(図2,図4参照)とすると、領域2Bは第一の冷気ダクト11aと第二の冷気ダクト11bの両方からの冷気によって共通に冷却される。また、冷蔵室2の下部に設けた冷凍室7の影響により冷却され易い領域となる。領域2Bであって上断熱仕切壁28の上方には、製氷水タンク36と減圧貯蔵室35を設けている。第二の冷気ダクト11bの下部には吐出口38を設け(図3参照)、吐出口38の前方の減圧貯蔵室35の冷却を行っている。
減圧貯蔵室35内の温度は、外部から設定できるようになっており、減圧貯蔵室35の背面側に設けた吐出口38(風量調整装置(ダンパ)付き)からの冷気で、減圧貯蔵室35の背面側に設けた第一の温度センサ44で検出される温度に従い、温度調整がなされる。
冷蔵室2に送風された冷気は、冷蔵室戻り口39を介して冷却器14に戻されて再び冷却される。
冷蔵室2の下部に設けた減圧貯蔵室35は、内部の圧力を低下させるために減圧用ポンプ(図示なし)を備えてあり、内部の圧力を維持するために減圧貯蔵室のドア56は、ハンドル55でロックできるようになっている(図3,図4参照)。
図3には、一例として減圧貯蔵室35を設けた冷蔵室2を挙げているが、一般的には冷蔵室2の温度帯よりも低めの温度帯に設定されたチルドルームを設けていることが多い。減圧貯蔵室35も、チルドルームとほぼ同じ温度帯で食品を保存している。
ここで、製氷水タンク36や減圧貯蔵室35は、一般的に冷蔵室の最下段の棚34fの下に設けている場合が多いため、凍結しないように温度管理をする必要がある。
本実施例では、冷蔵室2の最上段の棚34a,34bと最下段の棚34fで区画された領域2Cに設けた第三の温度センサ42、最上段の棚34a,34bと冷蔵室2の上壁で区画された領域2Aに設けた第二の温度センサ43、第一の冷気ダクト11aの吐出口31,32と第二の冷気ダクト11bの吐出口30a,30b,30cから送風された冷気が共通して循環する領域2Bに設けた第一の温度センサ44を設けている。例えば、第三の温度センサ42は、第二の温度センサ43と第一の温度センサ44の間に位置し、冷蔵室2の奥側に設けた冷蔵室冷気ダクト11を形成する背面部材47の表面に設けている。第二の温度センサ43は冷蔵室2の上壁63に設けている。また、第一の温度センサ44は最下段の棚34fと上断熱仕切壁28で区画された領域の冷蔵室冷気ダクト11を形成する背面部材47の表面に設けている。
なお、第三の温度センサ42は、冷蔵室2の最上段の棚34a,34bと最下段の棚34fで区画された領域2A、第二の温度センサ43は、最上段の棚34a,34bと天井面63で区画された領域2C、第一の温度センサ44は、第一の冷気ダクト11aと第二の冷気ダクト11bの吐出口から送風された冷気が共通して循環する領域2Bの温度を検出できれば、必ずしもこの位置に限定されるものではない。さらに、各温度センサを少なくとも一部覆い、保護するカバーを設けてもよい。
図5,図6は冷蔵室冷気ダクト11(第一の冷気ダクト11a、第二の冷気ダクト11b)を拡大したものであり、それぞれ正面図と背面図である。図7は、図5のC-C断面図である。
第一の冷気ダクト11aと第二の冷気ダクト11bは、例えば、発泡スチロール41を一例とする断熱性材料で風路が形成されており、第一の冷気ダクト11aの一部に吐出口30a、30b、30c、第二の冷気ダクト11bの一部に吐出口31、32をそれぞれ形成している。第一の冷気ダクト11a、第二の冷気ダクト11bの背面側には、シール部材62を用いてそれぞれ背面部材47に接続している。発泡スチロール41で形成された第一の冷気ダクト11a、第二の冷気ダクト11bは、例えば樹脂で成型されたパネル形状の背面部材47と組み合わせ、冷蔵室2の背面奥側に設置されている。第一の冷気ダクト11aは第二の冷気ダクト11bよりも流路断面積を大きくし、第一の冷気ダクト11aは、冷蔵室ツインダンパ20の開口面積が大きいバッフル20a側に接続することにより、冷蔵庫2の使用頻度が高い棚34c,34d,34e,34fの上の食品を効率良く冷却することができる。冷蔵室冷気ダクト11を形成する背面部材47には、第三の温度センサ42と、第一の温度センサ44を設けている。
図8aは、第一の冷気ダクト11aで冷却した場合、図8bは、第二の冷気ダクト11bで冷却した場合、図8cは、第一の冷気ダクト11aと第二の冷気ダクト11bを同時に使用して冷却した場合の、冷気の流れをそれぞれ模式的に示したものである。
冷蔵室2の庫外からの熱の侵入は、冷蔵室2内の壁面と外気との温度差に起因して生じる現象である。例えば、冷蔵室2の平均温度は、一例として約5℃のプラス温度に保たれているが、冷蔵室2の吐出口からの冷気はマイナス温度になることがあり、吐出冷気を冷蔵室2内の壁面に沿って循環させると、壁面が冷却されて温度がより低くなる。そのため、庫外からの熱の侵入が大きくなって、消費電力量の増加を招くことがある。
例えば、外気30℃の場合、冷蔵室2上部に設けた制御基板51付近の温度は約40℃になり、冷蔵室2の上壁63を過度に冷却することは庫内外の温度差が更に大きくなるため省エネルギー性が悪化する。
従来の一般的な冷蔵庫では、冷蔵室ダクトの先端部付近から冷蔵室2の上壁面や側壁面に沿って冷気を常時循環させ、冷蔵室2の上部のドアポケット33a、最上段の棚34a,34bの上に置いた食品を冷やしてから冷蔵室2を全体的に冷却している。従って、冷蔵室2内の壁面が過度されることによる、省エネルギー性の悪化が課題となる。
本実施形態の冷却方式では、第三の温度センサ42、第二の温度センサ43、第一の温度センサ44で検出される温度に基づいて、冷蔵室2用に設けた2つの冷気ダクト、すなわち、冷気風量の割合を多くした第一の冷気ダクト11aと、第二の冷気ダクト11bを切り替えて使用することにより、壁面の過度の冷却を抑制して省エネルギー性を高めた冷却運転が実施できる。
図8aに第一の冷気ダクト11aで冷却した場合の、冷蔵室2の冷気の流れを示す。冷蔵室ツインダンパ20のバッフル20aを開(バッフル20bは閉)にし、第一の冷気ダクト11aに設けた吐出口30a,30b,30cから冷気を吐出して、主に最上段の棚34a,34bと最下段の棚34fで区画された領域2C、すなわち使用頻度が高い場所の棚34c,34d,34e,34fに置かれた食品を冷却してから、次にドアポケット33b,33c及び最下段の棚34fと上断熱仕切壁28で区画された領域2Bの冷却を行う、省エネルギー性を重視した冷却方法である。
一方、図8bに示すように、第二の冷気ダクト11bによる冷蔵室2の冷気は、冷蔵室ツインダンパ20のバッフル20bを開にして(バッフル20aは閉)、冷蔵室2の上壁63の近傍に沿って循環させ、主に最上段の棚34a,34bと上壁63で区画された領域、及び冷蔵室ドア2a,2b上段のドアポケット33aの領域である領域2Aを冷却してから、中段のドアポケット33b,33cと、最下段の棚34fと断熱仕切壁28で区画された領域2Bの冷却を行っている。
更に、図8cに示すように、冷蔵室ツインダンパ20のバッフル20a,20bの両方を開にし、第一の冷気ダクト11aと第二の冷気ダクト11bの両方を用いて、冷蔵室2の冷気ダクトを分割しない従来と同様の冷却も実施できる。この場合、ドアポケット33b,33cと、最下段の棚34fと断熱仕切壁28で区画された領域2Bは、第一の冷気ダクト11aの吐出口30a,30b,30cと第二の冷気ダクト11bの吐出口31,32から送風された冷気が共通して循環する領域となるため、冷やされ易くなる。
第一の冷気ダクト11aと第二の冷気ダクト11bを用いた具体的な温度制御については、以下に説明するが、使用者の意思に応じて、省エネルギー運転を更に進めた節電運転も実施することができる。使用頻度が高い棚(食品)を冷却してから、次にその周辺の冷却を目的とした第一の冷気ダクト11aと、冷蔵室2の上部空間から全体を冷却する第二の冷気ダクト11bに分割しているので、冷蔵室2の上部、すなわち使用頻度が比較的低い最上段の棚34a,34bや、最上段ドアポケット33aに食品を置いていない場合、使用者は冷蔵室2の上部空間の温度を検出する第二の温度センサ43の設定値を高めにすることができ、冷蔵室2の上部空間の温度だけを高めた節電運転を実施することができる。
次に、第一の冷気ダクト11aと第二の冷気ダクト11bを利用した節電運転の例を示す。
図16は、冷蔵室の各温度設定に対する、庫内の温度変化の一例を示したものである。図17は、冷蔵室の設定ボタンに対する、冷蔵室の平均温度の一例である。冷蔵室の温度設定ボタンの操作によって「強」,「中」,「弱」に冷却レベルを切替えられるように、冷蔵庫1には温度調整装置14、すなわち、温度設定手段を備えてある。「強」設定、「中」設定、「弱」設定の順に温度設定手段を使用者が操作して変更すると、第一の温度センサ42と、第二の温度センサ43で検出される温度の平均値が高くなるように冷却運転が制御されるので、使用者の判断によって節電効果をより高めた使い方ができる。
本実施例において、第一の冷気ダクト11aによって主に冷却される領域2Cと、第二の冷気ダクト11bによって主に冷却される領域2Aは、それぞれ第一の温度センサ42と第二の温度センサ43で検出される温度の平均値が、各温度設定手段の温度設定「強」,「中」,「弱」に対して予め記憶された設定温度に近づくように冷却運転が制御される。
図17に示したように、本実施例の冷蔵庫では、温度設定手段の操作によって温度設定が変更される際に、主に第一の冷気ダクトによって冷却される領域2Cの平均温度の変化量ΔT1よりも、主に第二の冷気ダクトによって冷却される領域2Aの平均温度の変化量ΔT2の方が大きくなるように、温度調整装置14で冷蔵室内の温度を制御する。例えば、冷蔵室の温度設定を「強」から「中」に変更する場合、第一の冷気ダクト11aによって主に冷却される領域2Cの平均温度は2℃から4℃、第二の冷気ダクト11bによって主に冷却される領域2Aの平均温度は4℃から7℃に温度が高まるように予め設定しており、領域2Aの平均温度の変化量はΔT2=3℃、領域2Cの平均温度の変化量はΔT1=2℃となる。
第二の冷気ダクト11bによって主に冷却される領域2A、すなわち、最上段の棚34a,34bと上壁63で区画された領域の使用頻度は、第一の冷気ダクト11aによって主に冷却される領域2C、すなわち、最上段の棚34a,34bと最下段の棚34fで区画された領域よりも使用頻度が比較的低くなることが多い。比較的使用頻度が低い領域2Aの平均温度の変化量ΔT2を、比較的使用頻度が高い領域2Cの平均温度の変化量ΔT1よりも大きくすることにより、冷蔵室の設定温度が高まる方に選んだ際の節電効果を得やすくできる。
また、設定温度「弱」よりも更に冷蔵室内の温度を高めた「節電」設定も可能である。例えば、比較的使用頻度が低い領域2Aに食品を貯蔵していない場合、領域2Aだけの平均温度を高めて、使用頻度が高い領域2Cの平均温度は、「弱」設定と同じにした冷却運転を実施することができ、節電効果を高めた冷却運転が可能となる。冷蔵室内の領域2Aは第二の温度センサ43、領域2Cは第一の温度センサで検出される平均温度(時間平均温度)が、各温度設定ボタン「強」,「中」,「弱」,「節電」に対して予め記憶された設定温度に近づくように冷却運転が制御される。温度設定ボタン「強」,「中」,「弱」,「節電」のいずれかを選択して庫内温度を変化させた場合、領域2A,領域2Cの空間の温度を代表する、第一の温度センサ42と第二の温度センサ43付近の空気の温度を、別の温度計測器で測定し、時間平均を求めることによっても、領域2Aと領域2Cの平均温度の変化量を判別することが可能である。
次に、第一の冷気ダクト11aと第二の冷気ダクト11bを用いた場合の、冷却方法について温度チャートを用いて説明する。
図9は、本発明の第一の実施形態に係る冷蔵室の冷却運転時の温度チャートである。冷蔵室2の冷却運転の開始は、例えば、第三の温度センサ42で検出される温度が(TR1)Maxに到達した時に、冷蔵室ツインダンパ20のバッフル20aを開にして第一の冷気ダクト11aで冷蔵室2に冷気を送風する。同様に、第二の温度センサ43で検出される温度が(TR2)Maxに到達した時に、冷蔵室ツインダンパ20のバッフル20bを開にして第二の冷気ダクト11bで冷蔵室2に冷気を送風する。図9では一例として、第一の冷気ダクト11aと、第二の冷気ダクト11bによる冷却が時刻t1で同時に始まっているが、必ずしも同時開始でなくても良い。
ただし、第一の冷気ダクト11aと、第二の冷気ダクト11bの2つの冷却手段によって、同じ冷蔵室2を冷却しているので、冷蔵室2の冷却を終了させるタイミングは重要となる。
時刻t2において、第二の温度センサ43の近くにある、例えば、最上段の棚34a,34bや、ドアポケット33a等に高温の食品を収納したり、多くの食品を持ち込んだり、ドア2a,2bの開閉を頻繁に行ったりした場合(以下、これらを総称して「高負荷状態」という)、第二の温度センサ43で検出される温度は、熱負荷が増えるため一旦上昇した後、しばらく経ってから温度が低下する。バッフル20bを閉にして、第二の冷気ダクト11bからの冷気の送風を止める時の温度、すなわち(TR2)Minに到達するまでの時間(時刻t3)が長くなるので、その間、冷蔵室2の下部に設けた製氷水タンク36や減圧貯蔵室35の周囲(領域2B;図3参照)も同時に冷却され続ける。従って、第一の温度センサ44で検出される、製氷水タンク36や減圧貯蔵室35の周囲の温度が、予め定めた製氷水タンク36の水や減圧貯蔵室35内の食品が凍結しない下限の温度、すなわち、時刻t4の(TR3)Minに到達した場合、第二の温度センサ43が検出する温度が(TR2)Minに到達する前であっても、バッフル20bを閉にして第二の冷気ダクト11bによる冷却を終了させる。第三の温度センサ42で検出される温度が(TR1)Minに到達(時刻t5)すると、バッフル20aを閉にして第一の冷気ダクト11aによる冷却を終了させる。
このように、本実施形態の冷蔵室の冷却方法では、第一の冷気ダクト11aと第二の冷気ダクト11bの2つに分割して同じ冷蔵室2を冷却しているため、第二の冷気ダクト11bに供給する冷蔵室ツインダンパ20のバッフル20bの開閉制御は、第二の温度センサ43と第一の温度センサ44の2つを参照することが必要となる。
次に、図10は本発明の第一の実施形態に係る冷蔵室の冷却運転時の温度チャートであって、図9とは異なる制御を示す図である。
図9では第二の冷気ダクト11bのバッフル20bの開閉制御に、第二の温度センサ42と第一の温度センサ44を参照することを説明したが、同様に第一の冷気ダクト11aのバッフル20aの開閉制御も、第一の温度センサ44で検出される温度を参照する場合が生じる。
図10では、一例として、時刻t1において、冷蔵室ツインダンパ20のバッフル20aと、バッフル20bを開にして、第一の冷気ダクト11aと第二の冷気ダクト11bによって冷蔵室2の冷却を開始している。その後、時刻t2において、第三の温度センサ42の設置場所の近くの、使用頻度が高い棚34c、34d、34e、34fが高負荷状態となった場合、第三の温度センサ42で検出される温度は、一旦上昇した後、しばらく経ってから温度は低下する。第一の冷気ダクト11aからの冷気の送風を止める時の温度、すなわち(TR1)Minに到達するまでの時間(時刻t5)が長くなるので、その間、冷蔵室2の下部に設けた製氷水タンク36や、減圧貯蔵室35の周囲(領域2B;図3参照)も同時に冷却され続ける。
従って、第一の温度センサ44で温度を検出される製氷水タンク36や減圧貯蔵室35の周囲の温度が、予め定めた製氷水タンク36の水や減圧貯蔵室35内の食品が凍結しない下限の温度、すなわち、時刻t4で(TR3)Minに到達した場合、第三の温度センサ42が検出する温度が(TR1)Minに到達する前であっても、バッフル20aを閉にして第一の冷気ダクト11aによる冷却を終了させる。このような条件が満たされた場合、第二の温度センサ43で検出される温度が(TR2)Minに到達していなくても、バッフル20bを閉にして第二の冷気ダクト11bによる冷却も終了させる。
第一の冷気ダクト11aの風量を制御するバッフル20aと、第二の冷気ダクト11bの風量を制御するバッフル20bの開閉は、それぞれ第三の温度センサ42と第二の温度センサ43で検出される温度を基に、バッフル20aの開状態にする温度(TR1)Max、閉状態にする温度(TR1)Min、バッフル20bを開状態にする温度(TR2)Max、閉状態にする温度(TR2)Minを予め定めておき、それに従って制御するが、バッフル20aまたはバッフル20bを閉にする温度条件(TR1)Min、または(TR2)Minに到達する時間よりも、第一の温度センサ44で検出される凍結防止温度、すなわち(TR3)Minが先に到達してしまう時は、第一の温度センサ44で検出される温度(TR3)Minを優先させて、バッフル20aまたはバッフル20bを閉にする。
バッフル20bを閉にする時の温度、すなわち(TR2)Minに到達する前に、第一の温度センサ44で検出される温度(TR3)Minを優先させてバッフル20bを閉にする場合は、自然対流の影響により温度が上がり易い冷蔵室2の上部空間を十分に冷却していないことになる。従って、冷凍室4、5の冷却が終了した後に、再び冷蔵室2を冷却する条件になった場合には、第二の冷気ダクト11bによる冷却を優先させる。例えば、第一の冷気ダクト11aのバッフル20aの開度を半分にし、第二の冷気ダクト11bのバッフル20bの開度を全開にして、第二の冷気ダクト11bへの風量割合を増やした冷却や、バッフル20aを全閉、バッフル20bを全開にした第二の冷気ダクト11b単独による冷却を実施する。
次に、図11は図9,図10と異なる制御の温度チャートを示す図である。図11を参照して、第三の温度センサ42で検出される温度が(TR1)Min、第二の温度センサ43で検出される温度が(TR2)Minに到達し、第一の冷気ダクト11aと第二の冷気ダクト11bによる冷気の送風を止めた後に、第一の温度センサ44で検出される温度が上昇し、予め定めた温度(TR3)Hを超えた場合の冷却方法について説明する。
例えば、第二の温度センサ43で検出される温度が(TR2)Minとなった後(時刻t3)に、第一の温度センサ44を設置した付近に一度に多くの食品を入れた場合、第三の温度センサ42と第二の温度センサ43で検出される温度も上昇し、特に第一の温度センサ44で検出される温度が、予め決めた温度(TR3)Hを超える場合がある。この時、第一の温度センサ44を設けている領域は、第一の冷気ダクト11aと第二の冷気ダクト11bの吐出口から送風された冷気が共通して循環する領域であるため、いずれかの冷気ダクトで冷却することができる。
すなわち、図11に示したように、第一の温度センサ44で検出される温度が(TR3)Hを超える時刻t6において、第三の温度センサ42と第二の温度センサ43で検出される温度が、それぞれ(TR1)Min、(TR2)Min以上で、(TR1)Max、(TR2)Max以下の条件を満たす場合、バッフル20aとバッフル20bを開にして第一の冷気ダクト20aと第二の冷気ダクト20bによって冷気を送風する。第一の温度センサ44で検出される温度が(TR3)Lに到達するまで(時刻t8)、第一の冷気ダクト20aと第二の冷気ダクト20bによって冷気を送風するが、温度(TR3)Lに到達する前に、第三の温度センサ42で検出される温度が先に(TR1)Minに到達した場合には、この時点でバッフル20aを閉にして第一の冷気ダクト11aに冷気の送風は止め、第一の温度センサ44で検出される温度が(TR3)Lに到達するまで、第二の冷気ダクト11b単独による冷気の送風を継続する。
図8bに示すように、第二の冷気ダクト11bによる冷却は、冷蔵室2の天井面63に沿って循環させ、主に最上段の棚34a,34bと上壁63で区画された領域及び冷蔵室ドア2a,2bの上部のドアポケット33aの領域である領域2Aを冷却してから、ドアポケット33b、33cと、最下段の棚34fと上断熱仕切壁28で区画された領域2Bの冷却を行っているので、使用頻度が高い領域2Cに配置した食品の冷やし過ぎを配慮した冷却が実施できる。
従って、第三の温度センサ42と第二の温度センサ43で検出される温度が、いずれも温度(TR1)Min、(TR2)Min以上の条件を満たし、第一の温度センサ44で検出される温度が(TR3)Lに到達するように、第一の冷気ダクト11aと第二の冷気ダクト11bで冷却を再開した場合は、使用頻度が高い領域Cに配置した食品の冷やし過ぎを防止するため、第一の冷気ダクト11aによる冷却は温度(TR1)Minに到達した時点で止め、領域Cに配置した食品への影響が比較的少ない第二の冷気ダクト11bによって、第二の温度センサ43で検出される温度が(TR2)Min以下になっても、第一の温度センサ44が温度(TR3)Lに到達するまで冷却できる。
次に、図12は本発明の第一の実施形態に係る冷蔵室の冷却運転時の温度チャートであって、図9から図11と異なる制御を示す図である。図12を参照して、第三の温度センサ42で検出される温度が(TR1)Min、第二の温度センサ43で検出される温度が(TR2)Minに到達し、第一の冷気ダクト11aと第二の冷気ダクト11bによる冷気の送風を止めた後に、第一の温度センサ44で検出される温度が上昇し、予め決めた温度(TR3)Hを超えた場合の他の冷却方法について説明する。
例えば、第二の温度センサ43で検出される温度が(TR2)Minとなった後(時刻t3)に、第一の温度センサ44を設置した付近に一度に多くの食品を入れた場合、第一の温度センサ44で検出される温度が、予め決めた温度(TR3)Hを超える場合がある。第三の温度センサ42と第二の温度センサ43で検出される温度が、それぞれ(TR1)Min以上(TR1)Max以下、(TR2)Min以上(TR2)Max以下の条件を満たすまで、第一の温度センサ44で検出される温度が(TR3)Hを超えても(時刻t6)、食品の冷やし過ぎや凍結防止のため冷却は行わない。第三の温度センサ42と第二の温度センサ43で検出される温度が、それぞれ(TR1)Min以上(TR1)Max以下、(TR2)Min以上(TR2)Max以下の条件を満たす時刻t9になった時点でバッフル20aとバッフル20bを開にして、第一の冷気ダクト11aと第二の冷気ダクト11bによって冷気の送風を開始する。図12では第一の温度センサで出力される温度が(TR1)Min以上、第二の温度センサで出力される温度が(TR2)Min以上の条件を時刻t9の時点で両方満たしているが、先にこの条件満たした方から第一の冷気ダクト11a、第二の冷気ダクト11bによって順次冷却を開始すれば良い。第一の温度センサ44が温度(TR3)Minに到達するまでの制御に関しては、図10と同様である。
以上のように、第一の温度センサ44が設置されている領域は、第一の冷気ダクト11aと第二の冷気ダクト11bの吐出口から送風された冷気が共通して循環する領域2Bとなるため、第三の温度センサ42と第二の温度センサ43で検出される温度に応じて、2つの冷気ダクトによって第一の温度センサ44で検出される温度が(TR3)Max以下になるように、食品の冷やし過ぎを抑制しながら冷却することができる。
(実施の形態2)
次に第一の温度センサ44を、他の設置場所にした場合の実施例について、図11aから図13を参照して説明する。なお、実施の形態1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
図11aは第一の冷気ダクト11aと、第二の冷気ダクト11bの両方で冷却している場合の冷気の流れを模式的に示す図である。図8a,8b,8cに示したように、中段の棚34c,34dに食品が置かれていない場合はもちろんであるが、食品が置かれていても第一の冷気ダクト11aの吐出口30a,30b,30cから吐出される冷気の流れがスムーズである場合には、棚34c,34dに置いた食品は効率よく冷却される。しかしながら、図11aに示すように、棚34c,34dに多くの食品を置いた場合、吐出口30a、30bから吐出された冷気の流れは悪くなり、食品を効率的に冷やすことができなくなる。このような場合、図11bに示すように第一の冷気ダクト11aによる冷却よりも、第二の冷気ダクト11bによる冷却を実施した方が良い。
次に、このような冷却方法を実施するための、第一の温度センサ44の設置場所について説明する。
図12は、本発明の第二の実施形態に係る冷蔵室に設置する第一の温度センサを説明する図である。本実施形態において、第一の温度センサ44は、使用頻度が高い中段の棚34c,34d,34eを主に冷却する、第一の冷気ダクト11aの吐出口30a,30bの近傍に設けている。図11aに示したように、食品を詰め込み過ぎた場合には、吐出口からの冷気は食品によって流れが阻害されるため、第一の温度センサ44の周囲の温度は、冷却器14から送風されてきた低温冷気の影響を直接受け易く、急激に温度が低下する。棚34fよりも下方部の冷却用に設けた吐出口30cは、低温になり易い冷蔵室2下方部に位置しているので、吐出口の開口面積は小さく、吐出口30a,30bは、まず使用頻度が高い棚34c,34d,34eに置いた食品を冷却してから、次にその周辺部の冷却を行うため、吐出口の開口面積を大きめにしてある。従って、開口面積が大きい吐出口30a,30bから吐出される冷気の流れが、食品の冷却に大きく影響するため、吐出口30a,30bの近傍に第一の温度センサ44を設けた方が良い。
なお、吐出口30aと吐出口30bのそれぞれに第一の温度センサ44を設けるのが良いが、吐出口30aと吐出口30bから吐出された冷気は、食品に衝突した後に冷気が跳ね返って上下左右方向に流れが分配されるため、少なくとも吐出口30aと吐出口30bの間に第一の温度センサ44を設けると、吐出口30aと吐出口30bのいずれかからの冷気の影響を受け易くなる。
図13は、本発明の第二の実施形態に係る冷蔵室の冷却運転時の温度チャートである。第三の温度センサ42と第二の温度センサ43で検出される温度がそれぞれ(TR1)Max、(TR2)Maxに到達すると、バッフル20a,20bを開にして第一の冷気ダクト11a、第二の冷気ダクト11bによって冷蔵室2を冷却する。図13では、一例として時刻t1で、第一の冷気ダクト11aと、第二の冷気ダクト11bによる冷却を同時に始めている。
図12で示すように、第一の冷気ダクト11aの途中に設けた吐出口の近傍に、第一の温度センサ44を設けた場合、第一の温度センサ44の設置場所の近くの棚に多くの食品を置いた場合(時刻t2)、第一の冷気ダクト11aの吐出口30a、30bからの低温冷気の影響を直接受け易くなるため(図11a参照)、第一の温度センサ44で検出される温度は急激に低下してくる。このような現象が第一の温度センサ44で検出される時、棚に食品を多く配置して冷気の流れが悪くなったと判断する。冷蔵室2内の冷気の流れを改善して効率良く食品を冷却するために、第一の温度センサ44で検出される温度が、第三の温度センサ42で検出される温度よりも低い(TR3)1以下になったとき(時刻t5)又はその後、第一の冷気ダクト11aによる冷却から、第二の冷気ダクト11bによる冷蔵室2の上部からの冷却に切り替える。その後は、第二の冷気ダクト11bで冷蔵室2の上部から冷却し、第三の温度センサ42によって検出する温度が(TR1)Minになった時点(時刻t3)で、冷蔵室2の冷却を終了する。
第二の温度センサ43で検出される温度が(TR2)Minに到達する前に、第三の温度センサ42で検出される温度が(TR1)Minになった場合は、冷蔵室2の下部に設けた製氷水タンク36や減圧貯蔵室35の水や食品の凍結防止のため、冷蔵室2の冷却は終了させる。この時、冷蔵室2の上部空間が十分に冷やされていないため、冷凍室7の冷却が終了した後に、再び冷蔵室2を冷却する条件になった場合には、第二の冷気ダクト11bによる冷却を優先させる。例えば、第一の冷気ダクト11aのバッフル20aの開度を半分にし、第二の冷気ダクト11bのバッフル20bの開度を全開にして、第二の冷気ダクト11bへの風量割合を増やした冷却や、バッフル20aを全閉、バッフル20bを全開にした第二の冷気ダクト11b単独による冷却を実施する。
(実施の形態3)
次に図14,17を参照して、実施の形態3について説明する。なお、実施の形態1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
図14は、本発明の第三の実施形態に係る冷蔵室に設置する第三の温度センサ42を説明する図である。第一の冷気ダクト11aと第二の冷気ダクト11bを通風する冷気量は、第一の冷気ダクト11aの吐出口30a,30b,30cと第二の冷気ダクト11bの吐出口31,32から送風された冷気が共に循環する領域、すなわち冷蔵室戻り口39に設けた第三の温度センサ42と、冷蔵室2の最上段の棚34a,34bと冷蔵室2の上壁63で区画された領域に設けた第二の温度センサ43(図2,図3参照)を用いて、それらが検出する温度に基づき制御される。冷蔵室戻り口39は、第一の冷気ダクト11aの吐出口30a,30b,30cと第二の冷気ダクト11bの吐出口31,32からそれぞれ送風された冷気が共に循環する領域(図2,図3における領域2B)の一部で、冷蔵室2に吐出された冷気が再び冷却器14に戻される戻り冷気ダクトの入口側に設けてある。
次に、冷蔵室戻り口39に第三の温度センサ42を設けた場合の、冷蔵室2の冷却方法について説明する。図15は、本発明の第三の実施形態に係る冷蔵室の冷却運転時の温度チャートである。
第三の温度センサ42で検出される温度が(TR1)Max(時間t1)の時、第一の冷気ダクト11aのバッフル20aを開、温度(TR1)Min(時間t5)の時、第一の冷気ダクト11aのバッフル20aを閉とする。また、第二の温度センサ43で検出される温度が(TR2)Max(時間t1)の時、第二の冷気ダクト11bのバッフル20bを開、温度(TR2)Min(時間t3)の時、第二の冷気ダクト11bのバッフル20bを閉とする制御を基本とする。
例えば、最上段の棚34a,34b等が高負荷状態となった場合(最上段の棚34a,34bやドアポケット33a等に高温の食品を収納したり、多くの食品を持ち込んだり、ドア2a,2bの開閉を頻繁に行ったりした場合)、第二の温度センサ43が温度(TR2)Minに到達するまでの時間がかかるので、第三の温度センサ42で検出される温度が(TR1)Minに到達して(時刻t5)、第一の冷気ダクト11aのバッフル20aは閉となった後でも、第二の冷気ダクト11bで冷却は継続され、冷蔵室2の下部の温度は低下し続ける。このような場合、冷蔵室2の下部に設けた製氷水タンク36や減圧貯蔵室35の周囲(領域2B;図3参照)の温度が低下して凍結の恐れがあるため、製氷水タンク36の水や減圧貯蔵室35内の食品が凍結しない下限の温度(TR1)Min´(時刻t4)を予め定めておき、第二の温度センサ43が(TR2)Minに到達する前に、第三の温度センサ42が温度(TR1)Min´に到達した時点(時刻t4)で第二の冷気ダクト11bのバッフル20bを閉にして、冷蔵室2の冷却を終了させる。
このような場合も冷蔵室2の上部空間が十分に冷やされていないため、冷凍室7の冷却が終了した後に、再び冷蔵室2を冷却する条件になった場合には、第二の冷気ダクト11bによる冷却を優先させる。例えば、第一の冷気ダクト11aのバッフル20aの開度を半分にし、第二の冷気ダクト11bのバッフル20bの開度を全開にして、第二の冷気ダクト11bへの風量割合を増やした冷却や、バッフル20aを全閉、バッフル20bを全開にした第二の冷気ダクト11b単独による冷却を実施する。
本発明は以上説明した各実施の形態により、以下の効果を奏することができる。
すなわち、冷蔵温度帯の貯蔵室と、該貯蔵室内に設けられた複数の棚と、前記複数の棚で形成された空間の少なくともいずれかに冷気を供給する第一の冷気ダクト及び第二の冷気ダクトと、該第一の冷気ダクト及び該第二の冷気ダクトのそれぞれに冷気を送風する送風手段と、前記第一の冷気ダクトの送風を制御する第一の風量調整装置と、前記第二の冷気ダクトの送風を制御する第二の風量調整装置と、を備えた冷蔵庫において、前記第一の冷気ダクト及び前記第二の冷気ダクトからの冷気が供給される第一の領域と、前記貯蔵室内の最上段に設けた前記棚と前記貯蔵室の上壁との間で、前記第二の冷気ダクトで冷気が供給される第二の領域と、前記貯蔵室内の最上段に設けた前記棚と最下段に設けた前記棚との間で、前記第一の冷気ダクトで冷気が供給される第三の領域と、を有し、前記第一の領域に第一の温度検知手段を設ける。
これにより、貯蔵室内の棚で形成された複数の空間のうち、第一の冷気ダクト及び第二の冷気ダクトによる共通冷却領域の温度を温度検知手段で適切に検出することで、冷やし過ぎや高温となることを防ぎ、食品の保存性や信頼性を向上して、省エネルギー性が高い冷蔵庫を提供することができる。
また、前記第二の領域に第二の温度検知手段を備え、前記第一の温度検出手段と前記第二の温度検出手段で検出された温度に基づいて前記第一の風量調整装置と前記第二の風量調整装置を制御する。これにより、複数の領域(第二の冷気ダクトによる貯蔵室上部の使用頻度の比較的低い単独冷却領域と、第一の冷気ダクト及び第二の冷気ダクトによる共通冷却領域)の温度を相対的に比較して冷却制御が実施でき、省エネルギー性の向上した冷却運転が実施できる。
また、前記第三の領域に第三の温度検知手段を備え、前記第一の温度検出手段、前記第二の温度検出手段、及び前記第三の温度検出手段で検出された温度に基づいて前記第一の風量調整装置と前記第二の風量調整装置を制御する。これにより、さらに詳細に複数の領域(第一の冷気ダクトによる貯蔵室中部の使用頻度の比較的高い単独冷却領域と、第二の冷気ダクトによる貯蔵室上部の使用頻度の比較的低い単独冷却領域と、第一の冷気ダクト及び第二の冷気ダクトによる共通冷却領域)の温度を検知することができ、各空間温度を相対的に比較判断した冷却制御が可能となる。
また、前記第一の温度検出手段は、前記貯蔵室内の最下段に設けた前記棚と、前記貯蔵室の下部に隣接する冷凍温度帯の貯蔵室と区画する断熱仕切壁との間に設ける。これにより、第一の冷気ダクト及び第二の冷気ダクトによる共通冷却領域であって、隣接する冷凍温度帯の貯蔵室からの低温の影響と、高負荷状態となった場合の高温の影響とにより、温度変化し易い領域の温度に基づき、貯蔵室内の温度を適切に管理することができる。
また、前記第一の温度検出手段で検出された温度が、予め設定した温度以下に到達した場合、前記第一の冷気ダクトと前記第二の冷気ダクトの少なくともいずれかへの送風を停止させる。これにより、貯蔵室の下部の領域(隣接する冷凍温度帯の貯蔵室からの低温の影響を受ける領域)を冷却し過ぎることによる凍結を防止でき、信頼性の高い冷却運転ができる。
また、冷蔵温度帯の貯蔵室と、該貯蔵室内に設けられた複数の棚と、前記複数の棚で形成された空間の少なくともいずれかに冷気を供給する第一の冷気ダクト及び第二の冷気ダクトと、該第一の冷気ダクト及び該第二の冷気ダクトのそれぞれに冷気を送風する送風手段と、前記第一の冷気ダクトの送風を制御する第一の風量調整装置と、前記第二の冷気ダクトの送風を制御する第二の風量調整装置と、を備えた冷蔵庫において、前記第一の冷気ダクト及び前記第二の冷気ダクトからの冷気が供給される第一の領域と、前記貯蔵室内の最上段に設けた前記棚と前記貯蔵室の上壁との間で、前記第二の冷気ダクトで冷気が供給される第二の領域と、前記貯蔵室内の最上段に設けた前記棚と最下段に設けた前記棚との間で、前記第一の冷気ダクトで冷気が供給される第三の領域と、を有し、前記第一の冷気ダクトに設けた複数の吐出口の間に第一の温度検知手段を設け、前記第三の領域に第三の温度検知手段を設ける。
る。
これにより、食品の収納状況等を考慮して、使用頻度が比較的高い領域の温度変化から、食品収納状況を推定して、実使用状態に合わせた貯蔵室内の効率的な冷却運転を実施できる。
また、前記第一の温度検出手段によって検出された温度が、前記第三の温度検出手段で検出された温度よりも低くなった場合、前記第一の冷気ダクトの送風を停止させて、前記第二の冷気ダクトの送風を行う。
これにより、食品の収納が多くて、吐出冷気が循環せずに適切な冷却ができないと判断して、貯蔵室上部から全体的に冷却を行うことで、冷却不足となることを防ぐことができる。
また、冷蔵温度帯の貯蔵室と、該貯蔵室内に設けられた複数の棚と、前記複数の棚で形成された空間の少なくともいずれかに冷気を供給する第一の冷気ダクト及び第二の冷気ダクトと、該第一の冷気ダクト及び該第二の冷気ダクトのそれぞれに冷気を送風する送風手段と、前記第一の冷気ダクトの送風を制御する第一の風量調整装置と、前記第二の冷気ダクトの送風を制御する第二の風量調整装置と、を備えた冷蔵庫において、前記第一の冷気ダクト及び前記第二の冷気ダクトからの冷気が供給される第一の領域と、前記貯蔵室内の最上段に設けた前記棚と前記貯蔵室の上壁との間で、前記第二の冷気ダクトで冷気が供給される第二の領域と、前記貯蔵室内の最上段に設けた前記棚と最下段に設けた前記棚との間で、前記第一の冷気ダクトで冷気が供給される第三の領域と、を有し、冷蔵室冷気戻り口に第三の温度検出手段を設ける。
これにより、貯蔵室下部の冷やし過ぎや、冷気が最終的に通過する部分の冷却不足により、高温となることを防ぐことができる。
以上の各実施形態によれば、次のような効果を奏することができる。
すなわち、主に冷蔵室の棚に置いた食品の冷却を目的とした第一の冷気ダクトと、冷蔵室の上部空間からの全体の冷却を目的とした第二の冷気ダクトを設け、これら冷気ダクトの冷気量を制御する風量調整装置を備える。さらに、使用頻度が高い棚で区画された空間の温度を検出するために、冷蔵室背面側に設けた第一の温度センサと、冷蔵室の上部空間の温度を検出するために設けた第二の温度センサと、冷蔵室の最下段棚と冷蔵室と冷凍室の断熱仕切り壁で区画された空間の温度を検出するために設けた第三の温度センサを備え、これらの温度センサで検出される温度に基づいて風量調整装置の制御を行い、食品の保存性や信頼性の向上だけなく、省エネルギー性が高い冷却運転を実施することができる。更に、冷蔵室の設定温度に応じて第一の冷気ダクト、および第二の冷気ダクトによって主に冷却される領域の温度を細かく制御することで、より高い節電効果を得ることができる。
また、冷蔵室の中央部に位置する使用頻度が高い棚の冷却を目的とした第一の冷気ダクトと、冷蔵室の上部空間の冷却を目的とした第二の冷気ダクトを設け、これらの冷気ダクトの冷気量を制御する風量調整装置は、冷蔵室の最上段棚と最下段棚で区画された領域の温度を検出する第一の温度センサと、冷蔵室の最上段棚と天井面で区画された領域の温度を検出する第二の温度センサと、第一の冷気ダクト11aと第二の冷気ダクト11bの吐出口から送風された冷気が共通して循環する領域の温度を検出する第三の温度センサを設け、これらの温度センサで検出される温度に基づいて風量調整装置の制御を行う。これにより、冷蔵室の下部に設けた製氷タンク内の水の凍結防止、チルドルーム内の食品の冷やし過ぎや凍結の防止を図ることができ、省エネ性を高めた冷却運転が実施できる。
また、一般的に冷蔵室用ダクトは単一で構成されており、冷蔵室のドアに設けたドアポケットの冷却を行うため、ダクト上部から吹き出した冷気は、常時、冷蔵室の天井面、または側壁面に沿って冷蔵室ドア付近まで送風されている。壁面に沿って冷気を送風するので、特に冷気送風量が多い天井面は過剰に冷却されることになり、庫外からの熱の侵入が増えて消費電力量の増加を招くことになる。従って、本発明の冷蔵庫では、冷蔵室の冷気ダクトを第一の冷気ダクトと第二の冷気ダクトに分割し、冷蔵室に設けた第一の温度センサ、第二の温度センサ、第三の温度センサで検出される温度により風量調整装置を制御するので、過剰に壁面を冷やすことなくドアポケットを冷却することができ、省エネ性を高めた冷却運転が実施できる。
第一の冷気ダクトは、冷蔵室の中央部に位置する使用頻度が高い棚の冷却を目的とし、第二の冷気ダクトは、冷蔵室の上部空間の冷却を目的にしている。従って、冷蔵室の上部、すなわち最上段の棚や最上段のドアポケットに食品を置いていない場合、使用者は冷蔵室の上部空間の温度を検出する第二の温度センサの設定値を高めにすることで、使用者の使い方に応じた節電運転も可能となり、省エネルギー性を更に高めることができる。
また、冷蔵温度帯の貯蔵室内に棚で区画された複数の空間と、前記複数の空間のいずれかに冷気を供給する第一の冷気ダクトと、前記複数の空間のうち前記第一の冷気ダクトによって冷却される空間よりも上部に位置する空間に冷気を供給する第二の冷気ダクトと、前記第一の冷気ダクトと前記第二の冷気ダクトに冷気を送風する送風手段と、前記第一の冷気ダクトの冷気量を調整する第一の風量調整装置と、前記第二の冷気ダクトの冷気量を調整する第二の風量調整装置と、前記冷蔵温度帯の貯蔵室の温度を調整する温度調整装置と、を備え、前記温度調整装置によって前記冷蔵温度帯の貯蔵室の設定温度が低い温度から高い温度に変更された場合、前記第一の冷気ダクトによって冷却される空間のシフト設定温度よりも、前記第二の冷気ダクトによって冷却される空間のシフト設定温度が大きくなるように制御する。すなわち、温度設定手段の操作によって庫内の設定温度が変更される場合、主に第二の冷気ダクトによって冷却される領域の平均温度の変化量の方が、主に第一の冷気ダクトによって冷却される領域の平均温度の変化量よりも大きくなるように、温度調整装置で冷蔵室内の温度を制御し、節電効果を高めた冷却運転が可能となる。
以上のように、食品の保存性向上と信頼性向上を合わせて、同時に省エネ性を高めた冷却運転を実施することができ、更に使用者の使い方に応じた節電運転も可能となる。