JP2014122560A - 圧縮機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】圧縮機1は、冷媒を圧縮する圧縮機構2と、圧縮機構2から吐出される冷媒の吐出チャンバCと、吐出チャンバC内から冷媒が導入されるとともに、鉛直方向に対して傾いて配置される油分離器30と、を備えている。油分離器30には、鉛直方向下側に向けて、油分離器30内に冷媒を導入するための導入孔33が形成されるとともに、油分離器30の開口面積よりも小さい開口面積とされ、油分離器30内の油が流れ出る排出孔35が形成されている。排出孔35は、油分離器30の鉛直方向下端部に位置している。
【選択図】図3
Description
特許文献1の圧縮機に設けられた円筒状の油分離器は、上下方向(鉛直方向)に対して傾いている。油分離器の上部には、圧縮冷媒が吐出されるチャンバ内から冷媒を導入するための導入孔が形成されている。その導入孔から油分離器の内周面の接線方向に導入される冷媒は、旋回流を形成して油分離器の底部まで到達する。そして、油分離器の内側に挿入された筒体の内側を上方に抜けて、冷媒回路へと吐出される。
特許文献1の油分離器の下部には、油分離器の軸心に対して垂直に排油孔が形成されている。その排油孔は、油分離器よりも下方に設けられた油溜室に連通している。油分離器から排油孔を介して油溜室へと流出した油は、軸受に形成された油路を介して、圧縮機構を収容するハウジング内へと戻される。
特許文献3では、特許文献1および特許文献2とは異なり、油分離器(筒体)内に下方から冷媒が導入される。導入孔室から連通孔を介して筒体内に導入される冷媒は、筒体の上端に向けて旋回される。その旋回流の遠心力により飛散した油は、筒体の内壁を流下して連通孔から滴下し、下方の油溜室に回収される。そして、シリンダブロックのクランク室へと還流される。
しかしながら、油分離器を形成するためのスペース上、特許文献1〜3に示されるように、油分離器を鉛直方向に対して傾けざるを得ない場合もある。その場合、油分離器の底部に油が溜まり易い。
一方、特許文献3では、冷媒が油分離器内に下方から導入されるため、油分離器とされる筒体の下端開口が、傾斜壁の連通孔を介して全開されており、筒体内の流路に対して絞られていない。そのため、筒体内には油が溜まり難いが、冷媒が上方に流れる向きに逆らって油が落下するので、冷媒流により油が吹き上げられてしまう。
油分離器には、鉛直方向下側に向けて、油分離器内に冷媒を導入するための導入孔が形成されるとともに、油分離器の開口面積よりも小さい開口面積とされ、油分離器内の油が流れ出る排出孔が形成されている。
そして、本発明は、排出孔が油分離器の鉛直方向下端部に位置していることを特徴とする。
そのため、本発明は、油分離器の排出孔が、水平方向に沿った油戻し通路を通じて、圧縮機構を収容するハウジング内に連通される構成に適用されたときに効果が際立つ。
〔第1実施形態〕
図1に示す本実施形態の圧縮機1は、冷媒を圧縮する圧縮機構2と、圧縮機構2に回転駆動力を伝達する回転軸3と、圧縮機構2を収容するハウジング4とを備えている。
圧縮機1は、回転軸3を水平方向に向けて車両に設置され、車両に搭載される空気調和機を構成する。また、圧縮機1は油分離器30を内蔵している。
固定端板14の略中央には、圧縮室13で圧縮された冷媒を吐出するための吐出ポート16が厚み方向に貫通して形成されている。吐出ポート16には、図示しないリード弁およびリテーナ17が設けられている。
また、固定端板14の外周部には、リヤハウジング42と締結するための複数のボス部141が背面から突出して形成されている。
旋回端板18の背面には、回転軸3の後端に固着された偏心ピン20が挿入されるブッシュ21が突設されている。ブッシュ21と偏心ピン20との間には軸受22が介装されている。
旋回端板18の表面には、旋回スクロール12の自転を拘束する図示しないオルダムリングが設けられている。
本体収容部41Aには、空気調和機の冷媒回路からハウジング本体41内に冷媒(冷媒ガス)を吸入するための吸入管26が設けられている。
軸受収容部41Bの内側には、回転軸3の外周との間をシールするメカニカルシール27が設けられている。
軸受収容部41Bの先端には、軸受24を包囲するブッシュ28が形成されている。ブッシュ28の外周には、車両のエンジンからVベルトを介して動力が伝達されるプーリーが、図示しない軸受を介して回転可能に設けられている。
プーリーと、軸端部3Aとの間には、図示しない電磁クラッチが設けられている。電磁クラッチのコイルへの通電、通電停止を切替えることにより、エンジンから回転軸3への動力伝達が断続される。
リヤハウジング42は、鉛直方向に沿った姿勢とされ、固定スクロール11の固定端板14に対向している。リヤハウジング42は、固定端板14との間に、圧縮機構2から吐出される冷媒の吐出チャンバCを形成する。
リヤハウジング42の内側には、吐出チャンバC内の冷媒から油(潤滑油、冷凍機油)を分離する円筒状の油分離器30が設けられている。
油分離器30により油が分離された冷媒は、油分離器30の上方に位置する吐出口43に向けて流れ、吐出口43に設けられる図示しない吐出管から冷媒回路へと吐出される。
図2に示すように、周壁45の周方向の複数箇所には、ハウジング本体41に締結される締結部452が形成されている。
対向部44には、固定端板14のボス部141に締結されるボス部441が形成されている。
リブ47は、固定端板14の外周とハウジング本体41の内周との間に挿入されている(図1)。
リブ47の内周と固定端板14の外周との間には間隙Sが存在している。
なお、「上」および「下」は、鉛直方向に従う。
油分離器30は、鉛直方向に対して軸心Aが傾いた姿勢で、リヤハウジング42に一体に形成されている。油分離器30は、車両への圧縮機1の設置角度および部品レイアウトの制約より、水平方向に近い傾きとされている。
この油分離器30は、その半分程度が対向部44に埋設され、残りの半分程度が対向部44上に露出している。
なお、油分離器30に円筒状のパイプを採用し、そのパイプを対向部44に固定することもできる。
分離室32は、リヤハウジング42の外周から、リヤハウジング42の直径にほぼ沿って孔あけされることにより、有底円筒状の空間に形成されている。分離室32は、容積をなるだけ大きく確保するために、リヤハウジング42の直径の略全長に亘って形成されている。
孔あけによるリヤハウジング42外周の開口が、上述の吐出口43とされている。分離室32の開口横断面は、少し偏平な円や楕円も許容される。
導入孔33は、油分離器30の内周の接線方向に、かつ油分離器30の底部34に向けて側壁を貫通しており、周縁部が側壁から突出している。本実施形態では、油分離器30の長さ方向の異なる位置に2つの導入孔33が互いに平行に形成されているが、導入孔33の数は任意である。
本実施形態の底部34は、ドリル等の工具の先端形状に倣ったすり鉢状に形成されている(図3)。この底部34の下端部には、油分離器30内の油が流れ出る排出孔35が開口している。
排出孔35の下側の稜線L(図3)は、分離室32の下側の稜線に同一直線上に連続している。
これに対して本実施形態では、圧縮機1の小型化により貯油室を大きくとれないために、油戻し通路50が貯油室の役割を持っており、油分離器30から直接、油戻し通路50に油が流れる。
排出孔35は、図1に示すように、リヤハウジング42の外周近傍に、対向部44の後面440から水平方向に孔あけされた通路36に連通している。孔あけ開始側(後端側)の通路36の端部はキャップ361により閉塞されている。通路36の開口径は、分離室32の開口径よりも小さく、排出孔35の開口径と同等とされている。
通路36の孔あけ終了側(前端側)は、上述の環状溝49に連通している。環状溝49の幅は通路36よりも狭い。
上述した通路36,環状溝49、および間隙Sにより、水平方向に延びる油戻し通路50が構成されている。
ここで、図6に示すように排出孔105の位置が軸心Aに一致していると、底部102に油が溜まる。このとき、排出孔105に油面107が到達しない限りは油が排出孔105へと流入することができない。油面107が排出孔105を超えたとしても、所定量の油は溜まったままとなる。
そこで、本実施形態では、排出孔35を底部34の下端部に形成している。そうすると、油分離器30内の油が残らず排出孔35から流れ出る。
また、重力によって油が排出孔35から油戻し通路50に押し出されることにより、貯油室がなくても、油戻し通路50を通じて油を圧縮機構2側に戻すことができる。
排出孔35は、軸心Aに平行である必要はない。水平方向に対する排出孔35の傾きを水平方向に対する軸心Aの傾きよりも大とすることもできる。
本例の排出孔38も第1実施形態の排出孔35と同様に、底部37の下端部に形成されているので、上述同様、底部37に油が溜まらない。したがって、油が吐出口43に向けて吹き上げられず、排出孔38から流れ出た油は、通路36、環状溝49、クリアランスCL、および間隙Sを通過してハウジング本体41内へと戻される。
本例によれば、底部37の略全体に旋回流Fが衝突するのと、筒長の延長により、油の分離効率を向上させることができる。
なお、油戻し通路50の構成によっては、図4(b)に示すように、油分離器30内で、内周面31に開口する排出孔38を形成することもできる。
次に、本発明の第2実施形態の油分離器内蔵の圧縮機について説明する。
第2実施形態では、第1実施形態との相違点を中心に説明する。既に説明した構成と同様の構成には同じ符号を付している。
図5に示すように、本実施形態では、軸心A上に排出孔51が形成されている。排出孔51の開口径は、分離室32の開口径よりも小さい。
そして、油分離器30の内周には、排出孔51の下端よりも上方の位置Pから排出孔51に向けて下る下り勾配53が形成されている、
油分離器30の内壁は、下り勾配53の部分では第1実施形態の内周面31(図3)に対してせり上がっている。その結果、軸心A上に形成される排出孔51が、油分離器30の下端部に位置する。
したがって、油が吐出口43に向けて吹き上げられず、排出孔51から流れ出た油は、通路36、環状溝49、クリアランスCL、および間隙Sを通過してハウジング本体41内へと戻される。
本実施形態によれば、第1実施形態と同様に、冷凍サイクルの効率を向上させることができる。
また、第1実施形態と同様に、重力によって油が油戻し通路50に流れ込むことにより、油を送り出す貯油室がなくても、油戻し通路50を通じて油を圧縮機構2側に戻すことができる。
例えば、油分離器30の内側に、分離室32の開口径よりも外径が小さいパイプを設置することもできる。そのパイプにより、外周側の旋回流Fと、内周側の上昇冷媒の流路とが隔てられ、両者が相互に干渉するのを避けられるので、確実に遠心分離できるとともに、底部からの油の吹き上げを防ぐことができる。
なお、本発明は、スクロール圧縮機には限らず、ロータリ圧縮機、遠心圧縮機などの他の種類の圧縮機にも適用できる。
また、動力源をモータとする電動圧縮機にも適用できる。
2 圧縮機構
3 回転軸
3A 軸端部
4 ハウジング
11 固定スクロール
12 旋回スクロール
13 圧縮室
14 固定端板
15 ラップ
16 吐出ポート
17 リテーナ
18 旋回端板
19 ラップ
20 偏心ピン
21 ブッシュ
22 軸受
23 軸受
24 軸受
25 固定部
26 吸入管
27 メカニカルシール
28 ブッシュ
30 油分離器
31 内周面
32 分離室
33 導入孔
34 底部
35 排出孔
36 通路
37 底部
38 排出孔
41 ハウジング本体
41A 本体収容部
41B 軸受収容部
42 リヤハウジング
43 吐出口
44 対向部
45 周壁
47 リブ
49 環状溝
50 通路
51 排出孔
53 下り勾配
54 勾配
100 油分離器
101 内周面
102 底部
103 角部
105 排出孔
107 油面
141 ボス部
361 キャップ
440 後面
441 ボス部
451 突き当て面
A 軸心
C 吐出チャンバ
CL クリアランス
F 旋回流
L 稜線
P 位置
S 間隙
Claims (5)
- 冷媒を圧縮する圧縮機構と、
前記圧縮機構から吐出される冷媒のチャンバと、
前記チャンバ内から冷媒が導入されるとともに、鉛直方向に対して傾いて配置される油分離器と、を備え、
前記油分離器には、鉛直方向下側に向けて、前記油分離器内に前記冷媒を導入するための導入孔が形成されるとともに、
前記油分離器の開口面積よりも小さい開口面積とされ、前記油分離器内の油が流れ出る排出孔が形成され、
前記排出孔は、前記油分離器の鉛直方向下端部に位置している、
ことを特徴とする圧縮機。 - 前記排出孔は、前記油分離器の底部に開口している、
請求項1に記載の圧縮機。 - 前記排出孔は、前記油分離器の内周面に交差する方向に開口している、
請求項1に記載の圧縮機。 - 前記油分離器の内周には、前記排出孔の鉛直方向下端よりも上方の位置から前記排出孔に向けて下る下り勾配が形成されている、
請求項1に記載の圧縮機。 - 前記排出孔は、
水平方向に沿った通路を通じて、
前記圧縮機構を収容するハウジング内に連通されている、
請求項1から4のいずれか一項に記載の圧縮機。
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JP2003269336A (ja) * | 2002-03-14 | 2003-09-25 | Denso Corp | 圧縮機及び油分離器 |
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