JP2014117239A - Trpv1刺激剤及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、新たなTRPV1刺激剤及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】ポリフェノール類縁体又はホップ水抽出物を有効成分として含有するTRPV1刺激剤、及びホップを水で抽出して、ホップ水抽出物を得るステップを含む、ホップ水抽出物を有効成分として含有するTRPV1刺激剤の製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】ポリフェノール類縁体又はホップ水抽出物を有効成分として含有するTRPV1刺激剤、及びホップを水で抽出して、ホップ水抽出物を得るステップを含む、ホップ水抽出物を有効成分として含有するTRPV1刺激剤の製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、TRPV1刺激剤及びその製造方法に関する。
TRPV1は、Transient Receptor Potential Cation Channel, subfamily V, member 1であり、Transient Receptor Potentialファミリのメンバーである。TRPV1は、口腔等に発現しており、侵害刺激の受容体として知られている。
TRPV1は、例えば非特許文献1で開示されているように、43℃以上の熱及び生体内で痛みを惹起する酸によって活性化される。また、TRPV1を活性化するアゴニストとしては、例えば非特許文献2で開示されているように、トウガラシの辛味成分であるカプサイシン、コショウの辛味成分であるピペリン、ショウガの辛味成分であるジンゲロール及びショウガオール等が知られている。
Folia Pharmacol. Jpn, 2004, 124, 219−227
Current Neuropharmacology, 2008, 6, 79−96
本発明の目的は、新たなTRPV1刺激剤及びその製造方法を提供することである。
本発明者らは、ポリフェノール類縁体はTRPV1を活性化する作用を有することを見出した。かかるポリフェノール類縁体がTRPV1アゴニストとして作用できることは今まで知られておらず、予想外であった。本発明者らはまた、ホップ水抽出物がTRPV1を活性化する作用を有することを見出した。かかるホップ水抽出物がTRPV1アゴニストとして作用できることは今まで知られておらず、予想外であった。
以上の知見から、本発明者らは本発明の完成に至った。すなわち、本発明は、ポリフェノール類縁体を有効成分として含有する、TRPV1刺激剤を提供する。
上記ポリフェノール類縁体は、植物由来のポリフェノール類縁体であることが好ましい。植物由来のポリフェノール類縁体を用いることで、かかるTRPV1アゴニストは安全面から優れている。
上記ポリフェノール類縁体はまた、ホップ由来のポリフェノール類縁体であることが好ましい。
上記ポリフェノール類縁体は更に、重合ポリフェノールであることが好ましい。
本発明はまた、ホップ水抽出物を有効成分として含有するTRPV1刺激剤を提供する。
上記ホップ水抽出物は、ポリフェノール類縁体を含むことが好ましい。上記ホップ水抽出物はまた、ホップを水で抽出した後にポリビニルポリピロリドンに吸着させて溶出された抽出物であることが好ましい。
本発明はまた、上記TRPV1刺激剤を含有する食品添加剤、及び上記食品添加剤が添加された飲食物を提供する。
本発明は更に、ホップを水で抽出して、ホップ水抽出物を得るステップを含む、ホップ水抽出物を有効成分として含有するTRPV1刺激剤の製造方法を提供する。
上記TRPV1刺激剤の製造方法は、ホップ水抽出物をポリビニルポリピロリドンに吸着させた後に溶出して、ポリビニルポリピロリドン吸着画分を得るステップを更に含むことが好ましい。
本発明によれば、新たなTRPV1刺激剤及びその製造方法が提供される。より詳細には、ポリフェノール類縁体又はホップ水抽出物を有効成分として含有するTRPV1刺激剤及びその製造方法が提供される。本発明のTRPV1刺激剤は酸味抑制効果がある。したがって、本発明のTRPV1刺激剤を食品添加剤として飲食物に添加することによって酸味を抑制することができる。
(TRPV1刺激剤の製造方法)
本発明のTRPV1刺激剤の製造方法は、ホップを水で抽出して、ホップ水抽出物を得るステップを含む。かかるホップは、例えば、チェコ産ザーツ種ホップ、ドイツ産ハラタウ・トラディション種ホップ、ドイツ産ハラタウ・マグナム種ホップ、ドイツ産ペルレ種ホップ、ドイツ産ヘルスブルッカー種ホップ、アメリカ産ナゲット種ホップ、ニュージーランド産パシフィック・ハラタウ種ホップ、日本国産フラノ18号ホップ、ワシントン産シトラ、ニュージーランド産ネルソンソービン種ホップ、日本国産信州早生種ホップ等が挙げられ、目的に応じて当業者が適宜選択することができる。この中でも、特にワシントン産シトラ種ホップ又はチェコ産ザーツ種ホップを使用することが好ましい。
本発明のTRPV1刺激剤の製造方法は、ホップを水で抽出して、ホップ水抽出物を得るステップを含む。かかるホップは、例えば、チェコ産ザーツ種ホップ、ドイツ産ハラタウ・トラディション種ホップ、ドイツ産ハラタウ・マグナム種ホップ、ドイツ産ペルレ種ホップ、ドイツ産ヘルスブルッカー種ホップ、アメリカ産ナゲット種ホップ、ニュージーランド産パシフィック・ハラタウ種ホップ、日本国産フラノ18号ホップ、ワシントン産シトラ、ニュージーランド産ネルソンソービン種ホップ、日本国産信州早生種ホップ等が挙げられ、目的に応じて当業者が適宜選択することができる。この中でも、特にワシントン産シトラ種ホップ又はチェコ産ザーツ種ホップを使用することが好ましい。
また、ホップの由来は、ホップの毬花の全体又はルプリン部分、苞部分等毬花の一部に由来するものを用いることができる。これらは単独で用いてもよく、混合して用いてもよい。
また、ホップの形態は、保存、輸送等の目的に応じて当業者が適宜選択することができる。かかるホップの形態は例えば、乾燥させたホップの毬花を圧縮して得られるプレスホップ、乾燥させたホップの毬花を粉砕して得られるホップパウダー、当該ホップパウダーをペレット状に圧縮成形して得られるホップペレット、ホップの苞部分からなるスペントホップ等が挙げられる。
水としては、温度が0〜100℃の水を適宜用いることができる。
ホップを水で抽出する方法は特に限定されず、当業者が適宜選択することができる。かかる方法は例えば、所定の容器内にホップと水とを入れて、適度に撹拌しながら、所定の時間だけ放置し、水中にホップに含まれる成分を溶出させることができる。次いで、この容器からホップ及びホップ由来成分を含有する溶液を回収してろ過し、ホップの残渣が除去されたホップ水抽出物を得ることができる。
本発明のTRPV1刺激剤の製造方法はまた、加熱処理して、加熱処理が施されたホップ水抽出物を得るステップを含んでもよい。加熱処理を施すことにより、ホップ水抽出物のTRPV1刺激の活性がより強くなる。
加熱処理の方法は特に限定されず、当業者が適宜選択することができる。かかる加熱処理の方法は例えば、温度制御可能なヒータを備えた所定の容器内にホップ水抽出物を入れて、ヒータを発熱させて容器の温度を所定の加熱温度まで上昇させ、所定の時間だけ放置する方法が挙げられる。
加熱処理の温度は、好ましくは85〜155℃であり、より好ましくは85〜135℃である。また、加熱処理の時間は好ましくは10秒〜40分である。
本発明のTRPV1刺激剤の製造方法は、ホップ水抽出物をポリビニルポリピロリドン担体に吸着させた後に溶出して、ポリビニルポリピロリドン吸着画分を得るステップを含んでもよい。ポリビニルポリピロリドン担体は、N−ビニル−2−ピロリドンのポリマーからなり、ポリフェノール類縁体を吸着させることができる。
ポリビニルポリピロリドン担体にホップ水抽出物を吸着させて更に溶出させる方法は特に限定されない。かかる方法は例えば、ビーカー等の容器にポリビニルポリピロリドン担体、ホップ水抽出物及び吸着用の溶媒を入れて、撹拌することにより、ホップ水抽出物を担体に吸着させることができる。さらに、溶媒を溶出用の溶媒に変えて撹拌することにより、吸着画分を溶出してポリビニルポリピロリドン吸着画分(以下、PVPP吸着画分ともいう。)を得ることができる。また、ポリビニルポリピロリドン担体をカラムに充填し、吸着用の溶媒に溶解されているホップ水抽出物を当該カラムに流した後に、溶出用の溶媒を流してPVPP吸着画分を得る方法を用いることもできる。
吸着用の溶媒は例えば水等を用いることができる。また、溶出用の溶媒は、例えば1%アンモニア水溶液を用いることができる。
ホップ水抽出物はまた、ポリビニルポリピロリドン担体に吸着させる前に、MWCO3500透析膜を用いて膜内に回収される画分を得るステップを含むことが好ましい。
本発明のTRPV1刺激剤の製造方法はまた、ホップ水抽出物をメタノール、エタノール、アセトン等の有機溶媒、又はそれらの含水溶媒を用いて抽出するステップを含んでもよい。
(TRPV1刺激剤)
本発明のTRPV1刺激剤は、ポリフェノール類縁体を有効成分として含有する。かかるポリフェノール類縁体は特に限定されず、例えばポリフェノール−タンパク複合体、ポリフェノール配糖体、重合ポリフェノール等が挙げられる。本発明のTRPV1刺激剤は、植物から抽出されるポリフェノール類縁体であることが好ましく、ホップから抽出されるポリフェノール類縁体であることがより好ましく、ホップから抽出される重合ポリフェノールであることが更に好ましい。
本発明のTRPV1刺激剤は、ポリフェノール類縁体を有効成分として含有する。かかるポリフェノール類縁体は特に限定されず、例えばポリフェノール−タンパク複合体、ポリフェノール配糖体、重合ポリフェノール等が挙げられる。本発明のTRPV1刺激剤は、植物から抽出されるポリフェノール類縁体であることが好ましく、ホップから抽出されるポリフェノール類縁体であることがより好ましく、ホップから抽出される重合ポリフェノールであることが更に好ましい。
上記ポリフェノール類縁体は、アゴニストとしてTRPV1受容体に結合して作用し、TRPV1を刺激して活性化することができる。
本発明のTRPV1刺激剤はまた、上記製造方法により得られるホップ水抽出物、好ましくはホップ水抽出物のPVPP吸着画分を有効成分として含有する。
上記ホップ水抽出物は、アゴニストとしてTRPV1受容体に結合して作用し、TRPV1を刺激して活性化することができる。
上記ホップ水抽出物は、好ましくはポリフェノール類縁体を含有する。かかるポリフェノール類縁体は特に限定されず、ポリフェノール−タンパク複合体、ポリフェノール配糖体、重合ポリフェノール等であることが好ましい。かかるポリフェノール類縁体は特に限定されず、ゲルろ過クロマトグラフィーで測定した場合の平均分子量が290超のポリフェノール類縁体であることが好ましく、290超1700以下のポリフェノール類縁体であることが更に好ましい。
上記ホップ水抽出物は、より好ましくは重合ポリフェノールを含有する。
本発明のTRPV1刺激剤は、食品添加剤に含ませて飲食品に添加することができる。かかる食品添加剤を飲食品に添加することにより、従来のTRPV1アゴニストのような辛味を呈することなく酸味を抑える効果がある。したがって、本発明のTRPV1刺激剤を含む食品添加剤は、飲食品の味をマイルドにし、味覚を調整して改善することができる。本発明のTRPV1刺激剤を含む食品添加剤を用いることにより、天然物を用いて味覚を調整することができるため、安全面から優れている。
TPRV1刺激剤を含む食品添加剤の形態は特に限定されず、目的に応じて様々な形態を有することができる。かかる形態は例えば、溶液、ペースト、粉末、タブレット、カプセル等が挙げられる。
TRPV1刺激剤を含む食品添加剤を用いる際の飲食品への添加量は、飲食品の形態等により当業者が適宜決めることができる。
TRPV1刺激剤を含む食品添加剤が添加される飲食品の形態は特に限定されず、食品であってもよく、飲料であってもよい。
かかる飲料は特に限定されず、アルコール飲料であってもよく、非アルコール飲料であってもよい。
アルコール飲料は、例えば発泡性アルコール飲料であってもよく、非発泡性アルコール飲料であってもよい。発泡性アルコール飲料としては、例えばビール、発泡酒、スパークリングワイン等が挙げられ、非発泡性アルコール飲料としては例えばワイン、焼酎、ブランデー、ウィスキー等が挙げられる。
非アルコール飲料の例としては、緑茶、烏龍茶、ハーブティー等の茶系飲料、コーヒー、果実飲料、発泡性ノンアルコール飲料等が挙げられる。
食品の例としては、チーズ、ヨーグルト、カレー、スープ等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
<ホップ水抽出物の製造>
チェコ産ザーツ種ホップペレット100gを三角フラスコに計り取り、2Lの水を加えて室温で1時間撹拌抽出した。残渣をろ過して得られるろ液を、10分間遠心分離した後、上清を凍結乾燥してホップ水抽出物を得た。このホップ水抽出物10gを100mLの水に溶解し、121℃にて30分加熱処理した。
<ホップ水抽出物の製造>
チェコ産ザーツ種ホップペレット100gを三角フラスコに計り取り、2Lの水を加えて室温で1時間撹拌抽出した。残渣をろ過して得られるろ液を、10分間遠心分離した後、上清を凍結乾燥してホップ水抽出物を得た。このホップ水抽出物10gを100mLの水に溶解し、121℃にて30分加熱処理した。
加熱処理が施されたホップ水抽出物はまた、MWCO3500の透析膜(フナコシ社製、スペクトラ/ポア3)を用いて、膜外部に溶出された画分と膜内部に回収された画分とにそれぞれ分画した。次いで膜内部に回収された画分を、水を溶媒として用いてポリビニルポリピロリドン(アイエスピー・ジャパン社製、商品名ポリクラールVT)に吸着させた。その後ポリビニルポリピロリドンに吸着した画分を1%アンモニア水を用いて溶出し、PVPP吸着画分を得た。
[実施例2]
<各種ポリフェノール類縁体のTRPV1活性の測定>
ヒトTRPV1(Genbank Accession No.BC136633、以下hTRPV1と表記する。)を哺乳類発現ベクターpBApoEF1αPurに連結し、hTRPV1を構築した。
<各種ポリフェノール類縁体のTRPV1活性の測定>
ヒトTRPV1(Genbank Accession No.BC136633、以下hTRPV1と表記する。)を哺乳類発現ベクターpBApoEF1αPurに連結し、hTRPV1を構築した。
ヒト胎児由来腎臓細胞であるHEK293T細胞を、10%ウシ胎児血清(FBS)を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、SIGMA社製)で培養し、6ウェルプレートに80〜90%コンフルエントとした。LipofectamineTM 2000 Reagent(インビトロジェン社製)を用いて、hTRPV1発現ベクターをマニュアルに従って導入した。
hTRPV1を発現させたHEK293T細胞を96ウェルブラックウォールプレート(lumoxmultiwell 96 well、グライナージャパン製品番号120096)に5×105細胞/ウェルとなるように蒔いた。細胞をアッセイバッファー(10mM HEPES、130mM NaCl、5mM KCl、10mMグルコース、2mMCaCl2及び1.2mM MgCl2、NaOHでpH7.4に調製)で洗浄した。ウェル内にバッファーを50μL残し、ここにアッセイバッファーに溶解した10μMカルシウム蛍光指示薬Fura−2 AM(Invitrogen社製)を50μL添加して27℃で30分インキュベートした。その後再度アッセイバッファーで洗浄した後、100μLをウェルに残して室温・暗所で15分静置し、アッセイ用の細胞を調製した。
リガンドとしては、重合ポリフェノールであるタンニン酸又は重合ポリフェノールを含む柿渋、緑茶凍結乾燥物又は烏龍茶凍結乾燥物、あるいは単量体ポリフェノールであるカテキンを用いた。各リガンドは、20質量ppmとなるようにアッセイバッファーに溶解し、100μLを細胞に添加して40秒間細胞内のカルシウム濃度変化を測定した。すなわち、アッセイサンプル中のリガンドの最終濃度は、10質量ppmであった。
細胞内のカルシウム濃度変化の測定は、カルシウムイメージング法を利用した。具体的には、蛍光顕微鏡上で340nmと380nmの励起波長を細胞に照射し、放出される蛍光を顕微鏡に取り付けたCCDカメラでリアルタイムに撮影した。340nmと380nmの励起光の切り替えはフィルターホイールを用い、撮影間隔は4秒間とした。得られた画像をMetaFlourシステム(Molecular Devices社製)によって解析し、リガンド添加直後(0秒)に対する、リガンド添加から40秒後の340nmと380nmとにおける蛍光強度比の増加を計算した。上記蛍光強度比の増加が0.2を超えた細胞を応答したとみなし、細胞100個あたりの応答率を算出した。その結果、重合ポリフェノールであるタンニン酸、柿渋、緑茶凍結乾燥物及び烏龍茶凍結乾燥物にはTRPV1活性化作用が確認されたが、単量体ポリフェノールであるカテキンにはTRPV1活性化作用が確認されなかった。
[実施例3]
<PVPP吸着画分の赤外線スペクトル>
次に、フーリエ変換型赤外分光光度計(FT−IR、パーキンエルマージャパン社製)でPVPP吸着画分の赤外線スペクトルを調べた。その結果を図1で示している。PVPP吸着分の赤外線スペクトルは、コントロールであるカテキンポリマー、すなわち重合ポリフェノールのスペクトルと非常に類似していた。したがって、PVPP吸着画分には、重合ポリフェノールが含まれていることが推定された。
<PVPP吸着画分の赤外線スペクトル>
次に、フーリエ変換型赤外分光光度計(FT−IR、パーキンエルマージャパン社製)でPVPP吸着画分の赤外線スペクトルを調べた。その結果を図1で示している。PVPP吸着分の赤外線スペクトルは、コントロールであるカテキンポリマー、すなわち重合ポリフェノールのスペクトルと非常に類似していた。したがって、PVPP吸着画分には、重合ポリフェノールが含まれていることが推定された。
[実施例4]
<PVPP吸着画分のゲルろ過クロマトグラフィー>
PVPP吸着画分を、Shodex社製のGF−310 HQカラムを用いて、ゲルろ過クロマトグラフィーで分析した。ゲルろ過クロマトグラフィーは、10mM臭化リチウム/ジメチルホルムアミドを溶媒として用いて、0.4mL/分の流量で行った。また、コントロールとして、分子量が1700のタンニン酸及び分子量が290のカテキンを用いた。
<PVPP吸着画分のゲルろ過クロマトグラフィー>
PVPP吸着画分を、Shodex社製のGF−310 HQカラムを用いて、ゲルろ過クロマトグラフィーで分析した。ゲルろ過クロマトグラフィーは、10mM臭化リチウム/ジメチルホルムアミドを溶媒として用いて、0.4mL/分の流量で行った。また、コントロールとして、分子量が1700のタンニン酸及び分子量が290のカテキンを用いた。
ゲルろ過クロマトグラフィーの結果を図2で示している。図2(c)で示されているように、PVPP吸着画分には、図2(a)で示されているカテキンのピークと、図2(b)で示されているタンニン酸のピークとの間に、主要なピークが観察された。したがって、PVPP吸着画分には、分子量が290〜1700のポリフェノール類縁体が含まれていると推定された。
[実施例5]
<PVPP吸着画分のTRPV1活性の測定>
リガンドとしてPVPP吸着画分又は洗浄液を、最終濃度が100質量ppmとなるように細胞に添加した以外は実施例2と同様な方法を用いて細胞のTRPV1応答を観察した。結果は図3で示している。PVPP吸着画分の添加により、TRPV1発現細胞の応答率が上昇した。すなわち、PVPP吸着画分は、TRPV1を活性化する作用を有することがわかった。
<PVPP吸着画分のTRPV1活性の測定>
リガンドとしてPVPP吸着画分又は洗浄液を、最終濃度が100質量ppmとなるように細胞に添加した以外は実施例2と同様な方法を用いて細胞のTRPV1応答を観察した。結果は図3で示している。PVPP吸着画分の添加により、TRPV1発現細胞の応答率が上昇した。すなわち、PVPP吸着画分は、TRPV1を活性化する作用を有することがわかった。
[実施例6]
<味覚特性の評価>
5mg/mLのPVPP吸着画分水溶液を調整し、70mLの市販の麦芽100%ビール、麦芽70%ビール、リキュール類及び発泡酒それぞれに対し、280μL添加して最終濃度20質量ppmとした。対照として280μLの蒸留水を添加したサンプルを用意し、味覚センサーで測定した。味覚センサーは味認識装置SA402B(インテリジェントセンサーテクノロジー社製)を利用し、マニュアルに従って測定を実施した。標準液・基準液は付属のものを用いた。センサーは(SB2AAE、SB2CTO、SB2CAO、SB2COO、SB2AEI)の5種類を用いた。得られた酸味値について、付属の解析アプリケーションにて解析した。
<味覚特性の評価>
5mg/mLのPVPP吸着画分水溶液を調整し、70mLの市販の麦芽100%ビール、麦芽70%ビール、リキュール類及び発泡酒それぞれに対し、280μL添加して最終濃度20質量ppmとした。対照として280μLの蒸留水を添加したサンプルを用意し、味覚センサーで測定した。味覚センサーは味認識装置SA402B(インテリジェントセンサーテクノロジー社製)を利用し、マニュアルに従って測定を実施した。標準液・基準液は付属のものを用いた。センサーは(SB2AAE、SB2CTO、SB2CAO、SB2COO、SB2AEI)の5種類を用いた。得られた酸味値について、付属の解析アプリケーションにて解析した。
味覚特性の結果を図4で示している。全てのサンプルにおいて、PVPP吸着画分の添加により酸味が低下していることが確認された。
Claims (11)
- ポリフェノール類縁体を有効成分として含有する、TRPV1刺激剤。
- 前記ポリフェノール類縁体は、植物由来のポリフェノール類縁体である、請求項1に記載のTRPV1刺激剤。
- 前記ポリフェノール類縁体は、ホップ由来のポリフェノール類縁体である、請求項1又は2に記載のTRPV1刺激剤。
- 前記ポリフェノール類縁体は、重合ポリフェノールであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のTRPV1刺激剤。
- ホップ水抽出物を有効成分として含有する、TRPV1刺激剤。
- 前記ホップ水抽出物が、ポリフェノール類縁体を含む、請求項5に記載のTRPV1刺激剤。
- 前記ホップ水抽出物が、ホップを水で抽出した後にポリビニルポリピロリドンに吸着させて溶出された抽出物である、請求項5又は6に記載のTRPV1刺激剤。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載のTRPV1刺激剤を含有する、食品添加剤。
- 請求項8に記載の食品添加剤が添加された、飲食物。
- ホップを水で抽出して、ホップ水抽出物を得るステップを含む、ホップ水抽出物を有効成分として含有するTRPV1刺激剤の製造方法。
- 前記ホップ水抽出物をポリビニルポリピロリドンに吸着させた後に溶出して、ポリビニルポリピロリドン吸着画分を得るステップを更に含む、請求項10に記載のTRPV1刺激剤の製造方法。
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WO2020137975A1 (ja) * | 2018-12-27 | 2020-07-02 | サントリーホールディングス株式会社 | キサントフモールを含有する組成物の製造方法 |
JPWO2020137975A1 (ja) * | 2018-12-27 | 2021-10-14 | サントリーホールディングス株式会社 | キサントフモールを含有する組成物の製造方法 |
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