JP2014115230A - 付着物検出用のセンサー及び付着物検出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】発熱体からの熱を放出することによって生じる金属管内の温度の変化により、金属管の外面に付着する付着物を検出する場合に、無機系付着物のみを検出できるようにする。
【解決手段】 発熱体11及び測温体12が挿入されている金属管10内に熱良導性の充填剤13が充填された検出部Kを、付着物の調査水中に浸漬するとともに、発熱体11への通電によって生じる熱を検出部Kの外方に放出して、検出部Kの外面K1への付着物の付着によって、検出部K内の温度に変化を生じさせることにより、検出部Kの外面K1への付着物の付着検出を行わせる付着物検出用のセンサー1であって、検出部Kの外面K1をなす金属管10の外面側を、抗菌効果を有する材料によって形成した。
【選択図】 図1

Description

この発明は、循環式冷却水系などの循環水系において、付着物の検出に用いられる付着物検出用のセンサー及び付着物検出装置に関するものである。
例えば、冷却水系の循環水は、熱交換器や配管等の内面に種々の付着物を発生させる。この付着物には、カルシウムやシリカを主体として生じるスケールのような無機系付着物や、微生物を起因として生じるスライムのような有機系付着物がある。
一方、このような付着物の発生状況を連続的に検出可能なものには、例えば、特許文献1に記載される付着物検出装置がある。この付着物検出装置は、センサーと計測ユニットとを有している。センサーは、発熱体と測温体とが挿入されている金属管内に熱良導性の充填材が充填された検出部を、付着物の発生を調査する水(以下調査水という)中に浸漬して、この検出部の外面に付着物を付着させる。また、計測ユニットは、センサー側への通電を行うとともに、センサーからの温度信号を受け取る。すなわち、この付着物検出装置では、センサーが、発熱体への通電によって生じる熱を検出部の外方に放出して、検出部の外面への付着物の付着によって、検出部内の温度に変化を生じさせることにより、計測ユニットが、この温度の違いを算出して、検出部の外面への付着物の付着検出を行う。
特開2010−101840号公報
しかしながら、このようなセンサーは、検出部の外面に付着物を付着させて、計測ユニット側に、付着物の付着検出を行わせることはできるが、この付着物が有機系の付着物であるか、無機系の付着物であるかを区別させることはできないという問題があった。したがって、このようなセンサーを有する付着物検出装置を用いた場合、例えば、シリカスケールが付着する、熱交換器の低温部側においては、センサーに付着した付着物が有機系のものか無機系のものか判断がつかず、付着物対策が取りづらいという問題があった。
また、センサーの検出面側の温度を、微生物が付着しない高温にして、無機系の付着物のみが付着する環境を整えることもなされているが、この場合でも、低温で析出するシリカスケールの検出は不可能であった。
この発明は、以上の点に鑑み、発熱体からの熱を放出することによって生じる金属管内の温度の変化により、金属管の外面に付着する付着物を検出する場合に、無機系の付着物のみを精度よく検出させることができる付着物検出用のセンサー、及び、かかるセンサーを備えた付着物検出装置を提供することを目的とする。
この発明の請求項1記載の発明は、発熱体及び測温体が挿入されている金属管内に熱良導性の充填剤が充填された検出部を、調査水中に浸漬するとともに、前記発熱体への通電によって生じる熱を前記検出部の外方に放出して、前記検出部の外面への付着物の付着によって、前記検出部内の温度に変化を生じさせることにより、前記検出部の外面への前記付着物の付着検出を行わせる付着物検出用のセンサーであって、前記検出部の外面をなす前記金属管の外面側を、抗菌効果を有する材料によって形成していることを特徴とする。
この発明では、検出部を付着物の発生を調査する調査水中に浸漬した後、発熱体に通電してこれを発熱させ、この熱を検出部の外方にほぼ均一に放出させる。そして、測温体で、検出部内の温度T0を計測することにより、水温+水の伝熱境膜による温度上昇分+金属管の熱伝導による温度上昇分を計測する。つぎに、温度T0の計測から所定時間経過後、測温体で検出部内の温度Tpを計測することにより、調査水の温度と水の伝熱境膜による温度上昇分とが一定の場合、温度T0,Tp間に、温度差(Tp−T0)が生じれば、検出部の外面に付着物が付着したこととなる。
一方、この発明では、金属管の外面側を、抗菌効果を有する材料によって形成し、検出部の外面に有機系付着物が付着しないようにしている。したがって、この発明では、金属管の外面側からなる検出部の外面に、スライムのような有機系付着物は付着せず、スケールのような無機系付着物のみが付着することとなる。
この発明の請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の場合において、前記金属管が、抗菌効果を有する、銀、銅、又は酸化チタンを含む金属から形成されるか、又は、外面に酸化チタンがコーティングされた金属から形成されていることを特徴とする。
この発明の請求項3記載の発明は、発熱体及び測温体が挿入されている金属管内に熱良導性の充填剤が充填された検出部が、調査水中に浸漬されるセンサーと、前記センサーの前記発熱体への通電によって、前記発熱体に生じる熱を前記センサーの前記検出部外方に放出させる通電制御手段と、前記センサの前記検出部外方への前記熱の放出に伴い、前記検出部の外面への付着物の付着によって生じる前記検出部内の温度の変化に基づいて、前記付着物の付着検出を行う検出手段とを備えた付着物検出装置であって、前記センサーの前記検出部の外面をなす前記金属管の外面側を、抗菌効果を有する材料によって形成していることを特徴とする。
この発明の請求項1又は2記載の発明では、金属管の外面側を、抗菌効果を有する材料によって形成しているので、検出部の外面に、スライムのような有機系付着物は付着せず、スケールのような無機系付着物のみを付着させることができる。したがって、これらの発明では、スライムのような有機系付着物が付着しやすい熱交換器の低温部側においても、スケールのような無機系付着物のみを検出させることができ、無機系付着物の除去に対する対策を効果的に行わせることができる。
この発明の請求項3記載の発明では、センサーの金属管の外面側を、抗菌効果を有する材料によって形成しているので、センサーの検出部の外面に、スケールのような無機系付着物のみを付着させることができる。したがって、この発明では、スライムのような有機系付着物が付着しやすい熱交換器の低温部側においても、スケールのような無機系付着物のみを検出することができ、無機系付着物の除去に対する対策を効果的に行わせることができる。
この発明の一実施の形態に係るセンサーの断面図である。 センサーを備えた付着物検出装置の説明図である。 センサーに供給される加熱電流の電流値の変化と、加熱電流に対応した検出部内の温度の変化とを示すグラフである。 センサーの検出部の断面周りの温度を説明する図であり、(a)は付着物の付着前の状態を示し、(b)は付着物の付着後の状態を示す。 試験水による付着物の発生を調査するための試験設備の説明図である。 図5の試験設備を用いて、センサーの検出面への付着物の付着試験を行った場合の、試験結果を示す図である。
以下、この発明の好適な実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は、この発明の一実施の形態に係る付着物検出用のセンサーを示している。
センサー1は、付着物の発生を調査する調査水W0中に検出部を浸漬して、この検出部の外面に、付着物が付着したか否かを検出させるものである。このセンサー1は、図1で示されるように、一端側が閉じた金属管10と、金属管10内に挿入されている発熱体11及び測温体12と、発熱体11と測温体12とを囲むように金属管10内に充填されている充填材13と、金属管10の開口端部10a側を閉じるように、この金属管10と一体化され、この金属管10の支持部となるように、金属管10より充分に大径に形成された樹脂部14とから構成されている。
なお、検出部Kは、金属管10の突出部10bと、この突出部10b内の発熱体11、測温体12、及び充填材13とから構成される。そして、この金属管10の突出部10bの外面が、付着物を付着させる検出面K1となる。
金属管10は、一端側が半球面状に閉じられた細いパイプから形成されており、例えば、直径Dが3mm、肉厚が、0.1mm、突出部10bの長さLが、18mmの大きさに形成されている。
この金属管10は、抗菌効果を有する、銀、銅、又は、銀又は銅を含む金属から形成されているか、又は、光活性の抗菌効果を有する酸化チタンから形成されている。この場合、抗菌効果は、金属管10の外面、すなわち検出面K1側にのみあればよいので、金属管10の外面側のみが、抗菌効果を有する材料(例えば、銀、銅、銀又は銅を含む金属、又は酸化チタン等)から形成されていてもよい。金属管10の外面側のみを上記材料で形成するには種々の方法があるが、例えば、ステンレス管の表面に、コーティング、スパッタリング、又はメッキ等の方法で、上記材料を、容易に脱落しないように付着させればよい。なお、抗菌効果とは、細菌の生育、増殖を阻止したり、細菌を死滅させる効果を意味する。
この金属管10は、その外面側が抗菌効果を有する材料で形成されているので、金属管10の外面である検出面K1には、細菌等に起因するスライムのような有機系の付着物は付着しづらく、スケールのような無機系の付着物のみが付着する。
発熱体11は、通電によって発熱し、所定量の熱流束を、検出部K全体に与える。この発熱体11には、絶縁基板上に白金薄膜を形成したものが使用されるが、具体的には、直径1.7mm、長さ4.0mmの大きさで、120Ωの抵抗値を有する金属被膜抵抗が使用されている。この発熱体11は、中心線が金属管10の中心軸と重なるように、金属管10の中央位置に位置決めされていて、検出面K1側に向かってほぼ均一な熱流束を発生させる。この発熱体11は、金属管10を介して3本のリード線11a,11b,11cと接続されおり、このリード線11a,11b,11cと金属管10を通して、加熱電流Jの供給を受ける。
測温体12は、検出部Kの内部温度、できれば、金属管10の内面温度を計測する。この測温体12には熱電対が使用されている。この測温体12は、金属管10の内面に接するように位置決めされている。この測温体12は、2本のリード線12a,12bと接続され、外部に温度信号Sを伝達する。
充填材13は、金属管10内の温度をほぼ均一にするために使用される。この充填材13には、熱良導性と電気絶縁性とを有した、例えば、平均粒径100μmの酸化マグネシウム(マグネシア)粉が用いられる。また、樹脂部14は、断熱性と電気絶縁性を有するエポキシ樹脂から形成されている。
つぎに、センサー1を用いて付着物を検出する場合の具体例について説明する。
図2は、冷却塔100中の冷却水W1による付着物の発生を、センサー1を備えた付着物検出装置Aで検出している状態を示している。なお、付着物検出装置Aやセンサー1にとって、冷却水W1は、付着物の発生を調査する調査水W0ともいえるので、以降、付着物検出装置Aの説明においては、この冷却水W1を調査水W0と称する。
ここで、冷却塔100は、上部のヘッダ101に設けられた散水ノズル101aから冷却水W1を散水し、この散水された冷却水W1を、充填材102内で外気Qと気液接触させて冷却し、この冷却された冷却水W1を下部のタンク部103に一時貯留する。また、タンク部103内の冷却水W1は、循環ポンプ110と配管120を用いて、熱交換器130に送られ、この熱交換器130内の流体を冷却して暖められた後、配管120により冷却塔100のヘッダ101に戻されるように循環する。
付着物検出装置Aは、センサー1と、測定セル2と、ポンプ3と、入口配管4及び出口配管5と、検出制御ユニット6とから構成されている。
測定セル2は、内部にセンサー1が設置されているとともに、入口配管4と出口配管5とを用いて、冷却塔100のタンク部103と接続されている。冷却塔100のタンク部103内の冷却水W1、すなわち、調査水W0は、入口配管4とポンプ3を用いて測定セル2内に送り込まれ、この測定セル2内でセンサー1の検出部Kと接触した後、出口配管5を用いて冷却塔100に戻される。この場合、調査水W0は、ポンプ3により、一定流速となるように測定セル2内に流し込まれており、水の伝熱境膜による温度上昇分(後述)が変化しないように、測定セル2内のセンサー1の検出部K周りの調査水W0の流速も一定となっている。
検出制御ユニット6は、中央演算処理装置(CPU)や、RAM、ROMといったメモリー、及び入出力インターフェース等を備えたコンピュータ部と、センサー1の発熱体11に加熱電流Jを供給する電源部とを有している。この検出制御ユニット2のコンピュータ部は、プログラムに従って動作すCPUの機能として、通電制御手段60と検出手段61とを有している。
通電制御手段60は、電源部からセンサー1に与えられる加熱電流Jが、図3で示されるような方形波電流となるように、電源部からの電流を制御する。すなわち、通電制御手段60は、センサー1の発熱体11に与える電流値を、第1の時間帯t1では、所定の大きさJ0とするが、第1の時間帯t1に続く第2の時間帯t2では、ゼロとすることを、連続的に繰り返すように、電源部を制御する。また、通電制御手段60は、第1の時間帯t1と第2の時間帯t2の各終了タイミングを検出手段61に知らせる機能も有している。
ここで、図3の上部側のグラフで示されるように、センサー1の発熱体11に、第1の時間帯t1の間、加熱電流Jとして、大きさJ0の一定電流が流されると、発熱体11は、所定熱量だけ発熱して、センサー1の検出部K内から検出面K1に向かって、ほぼ均一な熱流束を生じさせる。この熱流束は、例えば、図4の(a)で示されるように、検出面K1に付着物が付着していない場合、検出部K内に、金属管壁による温度上昇ΔT1と、調査水W0の流れ等に起因する水の伝熱境膜よる温度上昇ΔT2とを生じさせる。すなわち、センサー1の測温体12は、これらの温度上昇の合計(ΔT1+ΔT2)に調査水W0の水温TW0を加えた温度T0を計測する。
つづいて、図3の上部側のグラフで示されるように、センサー1の発熱体11への加熱電流Jを第2の時間帯t2の間、ゼロにすると、発熱体11は熱を発せないので、検出部K内からの熱流束は消滅する。このことにより、センサー1の金属管10内の温度は、しだいに下降して、調査水W0の水温TW0と同じ温度に近づき、測温体12は最終的に調査水W0の水温TW0を計測する。
すなわち、T0=ΔT1+ΔT2+TW0 となり、
0−TW0=ΔT1+ΔT2 ・・・・・・・・・・・・・(1)
となって、上記(1)式により、T0−TW0を算出することができる。
なお、図3の下部側のグラフは、発熱体11が発熱している場合と発熱していない場合の検出部K内の温度変化を示している。このグラフは、測温体12で計測された温度が、求めようとする物(例えば調査水W0)の温度になるまでには、一定の時間が必要となることを示している。
一方、検出面K1に付着物が付着している場合、測温体12は、図4の(b)で示されるように、発熱体11の発熱により、前述の温度上昇(ΔT1+ΔT2)に、付着物による温度上昇ΔT3と、調査水W0の温度TWpとを加えた温度Tpを計測する。この場合、調査水W0の伝熱境膜よる温度上昇(ΔT2)は、ポンプ3等の作用により一定値となる。つづいて、電流がゼロとなって、発熱体11が発熱しないと、測温体12は、調査水W0の温度TWpを計測する。
すなわち、Tp=ΔT1+ΔT2+ΔT3+TWp となり、
p−TWp=ΔT1+ΔT2+ΔT3 ・・・・・・・・・(2)
となって、上記(2)式により、Tp−TWpを算出することができる。
したがって、付着物の付着による温度上昇ΔT3は、(2)式−(1)式により、
ΔT3=(Tp−TWp)−(T0−TW0
=Tp−T0−(TWp−TW0) ・・・・・・・(3)
となる。この場合、調査水W0の温度が一定であれば、温度上昇ΔT3は、
ΔT3=Tp−T0 ・・・・・・・・・・・・・・・・(4)
となる。
検出手段61は、センサー1からの温度信号Sに基づいて、センサー1の検出面K1に付着物が付着したか否かを演算して検出する。この検出手段61は、センサー1の検出面K1に付着物がない場合の、検出部K内の温度T0とその時の調査水W0の温度TW0とを記憶している。そして、この検出手段61は、この温度T0,TW0と、次に一定時間毎に測定した検出部K内の温度Tn(n=1,2,3,・・)と調査水W0の温度TWn(n=1,2,3,・・)とから、(3)式を用いて、付着物による温度上昇ΔT3を算出する。
この付着物検出装置Aでは、通電制御手段60は、例えば、第1の時間帯t1を60秒、第2の時間帯t2を60秒、第1の時間帯t1における電流の大きさJ0を40mAとなるように電源部を制御する。また、この付着物検出装置Aでは、検出手段61は、(3)式又は(4)式に基づいて、付着物による温度上昇ΔT3を一定時間毎に算出し、温度上昇ΔT3が一定値に達すると、センサー1の検出面K1に付着物が付着したことを検出する。
以上のように、このセンサー1では、調査水W0中に検出部Kを浸漬した状態で、発熱体11により発生した一定の熱量を検出部外に放出しつつ、検出部K内の温度を測温体12により計測するだけで、調査水W0の水温や水の伝熱境膜よる温度上昇ΔT2に変化がない場合、計測された温度の変化に基づいて、検出面K1への付着物の付着検出を行わせることができる。
また、このセンサー1では、検出面K1に有機系付着物が付着しないように、金属管10の外面側を、抗菌効果を有する材料によって形成しているので、検出面K1には、スライムのような有機系付着物は付着せず、スケールのような無機系付着物のみが付着することとなる。したがって、このセンサー1では、調査水W0中に菌類を含むような有機系の汚れを有していても、スケールのような無機系付着物のみを検出させることができ、このセンサー1を備えた付着物検出装置Aでは、スケールのような無機系付着物のみを検出することができる。
すなわち、センサー1、又はこれを用いた付着物検出装置Aを用いることにより、調査水W0中の無機系付着物のみを検出できるので、調査水に対して、無機系付着物を除去する対策を容易にとることができる。また、金属管10に抗菌効果を有するセンサー1と、金属管10に抗菌効果を有さないセンサー1とを用いることにより、全体付着物−無機系付着物=有機系付着物となることから、有機系付着物の付着量も推定できるので、調査水に対して、無機系付着物だけでなく、有機系付着物を除去する対策も容易にとることができる。
さらに、このセンサー1を備えた付着物検出装置Aは、第1の時間帯t1では電流値を所定の大きさJ0とするが、これに続く第2の時間帯t2では電流値をゼロとすることを、連続的に繰り返すように、センサー1の発熱体11への通電量を制御する通電制御手段60を有している。このため、この付着物検出装置Aは、発熱体11への通電電流値をゼロにした場合(第2の時間帯t2中)に、センサー1の測温体12により、調査水W0の温度を測定できる。したがって、この付着物検出装置Aは、装置の簡単化を図ることができ、このことにより、付着物の検出の容易化を図ることができる。
なお、調査水W0の温度は、別の温度測定手段により測定し、この温度信号を検出制御ユニット6に伝達するようにしてもよい。この場合、センサー1の発熱体11への加熱電流は、パルス的な方形波でなく、一定の大きさのものであればよい。
つぎに、センサー1の金属管10の材質を種々に変えた場合の、検出面K1への付着物の付着状況を調べる試験について説明する。
図5は試験設備を示している。この試験設備200は、内部が試験水W2で満たされている容器210と、容器210を載置して、撹拌子211を用いて、容器210内の試験水W2を磁力により撹拌するスターラー210と、検出部Kが容器210の試験水W2中に浸漬されているセンサー1と、センサー1と電気的に接続された検出制御ユニット6とから構成されている。
この試験設備200では、容器220内の試験水W2が、センサー1の検出部K周りを一定速度で移動しているので、検出部K内の、水の伝熱境膜よる温度上昇(ΔT2)は一定と考えられる。また、この試験設備200では、検出制御ユニット6の検出手段61は、付着物の付着によって上昇する検出部K内の温度上昇値の合計を算出し、その値を不図示の表示部に表示させる。
この試験設備200では、センサー1の金属管の材質として、実験例1〜実験例3では、抗菌効果を有する、銅、銀、酸化チタンが、それぞれ使用され、比較例1では、抗菌効果を有さないステンレス鋼が使用される。また、この試験設備200では、付着物用の試験水としては、有機系の汚れが無い合成水1,2と、有機系の汚れを有する合成水3が使用される。
合成水1は、pH8.6で、カルシウム硬度成分を200mgCaCO3/L、Mアルカリ度成分を200mgCaCO3/L、マグネシウム硬度成分を100mgCaCO3/L、及び、シリカを100mgSiO2/L含む水に、リン酸(ホスホン酸系のリン酸)を6mgPO4/Lと亜鉛を3mg/Lを含む防食剤を加えたスケール発生水に、アクリル酸系のスケール防止剤を25mg/L添加したものである。この合成水1は、有機系の汚れを有さず、かつ、スケール防止剤を多く含むので、一般的に、有機性付着物(スライム)も、無機系付着物(スケール)も発生させないことが分かっている。この合成水1を用いた試験は、7日間連続でなされた。
合成水2は、合成水1と同じスケール発生水に、アクリル酸系のスケール防止剤を5mg/L添加したものである。この合成水2は、有機系の汚れを有さず、かつ、スケール防止剤を少量しか含まないので、一般的に、無機系付着物(スケール)のみを発生させることが分かっている。この合成水2を用いた試験は、5日間連続でなされた。
合成水3は、実機で稼働している冷却塔内(タンク部内)の冷却水に、合成水1と同じ防食剤を加えるとともに、アクリル酸系のスケール防止剤を25mg/L添加したものである。この合成水3は、有機系の汚れを有し、かつ、スケール防止剤を多く含むので、一般的に、有機性付着物(スライム)のみを発生させることが分かっている。なお、この合成水3には、微生物の増加を防止するバイオサイドは含まれていない。この合成水3を用いた試験は、7日間連続でなされた。
図6は試験結果を示している。有機性付着物も、無機系付着物(スケール)も発生させないと考えられる合成水1を用いた場合には、金属管10を、抗菌効果を有する金属(銅、銀、酸化チタン)で形成した場合も、抗菌効果を有さない金属(ステンレス鋼)で形成した場合も、センサー1の付着物による温度上昇は、−0.02℃〜+0.02℃と小さく、センサー1の検出面K1には、有機性付着物はもちろん、無機系付着物も付着していないことが分かる。このことは、目視でも確認された。
また、無機系付着物(スケール)のみを発生させると考えられる合成水2を用いた場合には、金属管10を、抗菌効果を有する金属(銅、銀、酸化チタン)で形成した場合も、抗菌効果を有さない金属(ステンレス鋼)で形成した場合も、センサー1の付着物による温度上昇は、+2.1℃〜+2.6℃と大きく、センサー1の検出面K1には、無機系付着物(スケール)が付着していることが分かる。このことは、目視でも確認された。
この合成水1,2を用いた試験結果から、無機系付着物の付着しやすさは、金属管10の材質にかかわらず、試験水W2の水質により定まることが確認できた。
有機性付着物(スライム)のみを発生させると考えられる合成水3を用いた場合には、センサー1の付着物による温度上昇は、金属管10を、抗菌効果を有する金属(銅、銀、酸化チタン)で形成した場合には、+0.01℃〜+0.045℃と低く、抗菌効果を有さない金属(ステンレス鋼)で形成した場合には、+0.387℃と高くなっており、金属管10が抗菌効果を有さない金属(ステンレス鋼)の場合に、センサー1の検出面K1に、有機系付着物(スライム)が付着していることが分かる。このことは、目視でも確認された。
この合成水3を用いた試験結果から、金属管10を、銅、銀、酸化チタンといった抗菌効果を有する材料で形成した場合には、センサー1の検出面K1には、有機系付着物(スライム)は付着しないことが確認できた。
なお、金属管10を酸化チタンで形成した場合には、センサー1の付着物による温度上昇は、抗菌効果を有する他の材料(銅、銀)の場合と比べてやや高く、僅かに有機系付着物が付着しているとも考えられるが、これは、夜間や曇天時における光量不足や、センサー1の検出面K1全体に光量が充分に行き渡らなかったため、酸化チタンの抗菌効果が充分に発揮できなかったためと考えられる。
1 センサー
10 金属管
11 発熱体
12 測温体
13 充填材
60 通電制御手段
61 検出手段
A 付着物検出装置
K 検出部
K1 検出面(検出部の外面)
W0 調査水

Claims (3)

  1. 発熱体及び測温体が挿入されている金属管内に熱良導性の充填剤が充填された検出部を、調査水中に浸漬するとともに、前記発熱体への通電によって生じる熱を前記検出部の外方に放出して、前記検出部の外面への付着物の付着によって、前記検出部内の温度に変化を生じさせることにより、前記検出部の外面への前記付着物の付着検出を行わせる付着物検出用のセンサーであって、
    前記検出部の外面をなす前記金属管の外面側を、抗菌効果を有する材料によって形成していることを特徴とする付着物検出用のセンサー。
  2. 前記金属管が、抗菌効果を有する、銀、銅、又は酸化チタンを含む金属から形成されるか、又は、外面に酸化チタンがコーティングされた金属から形成されていることを特徴とする請求項1記載の付着物検出用のセンサー。
  3. 発熱体及び測温体が挿入されている金属管内に熱良導性の充填剤が充填された検出部が、調査水中に浸漬されるセンサーと、
    前記センサーの前記発熱体への通電によって、前記発熱体に生じる熱を前記センサーの前記検出部外方に放出させる通電制御手段と、
    前記センサの前記検出部外方への前記熱の放出に伴い、前記検出部の外面への付着物の付着によって生じる前記検出部内の温度の変化に基づいて、前記付着物の付着検出を行う検出手段とを備えた付着物検出装置であって、
    前記センサーの前記検出部の外面をなす前記金属管の外面側を、抗菌効果を有する材料によって形成していることを特徴とする付着物検出装置。
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