JP4738111B2 - スケール付着防止効果評価用試験装置及びスケール付着防止効果を評価する方法 - Google Patents

スケール付着防止効果評価用試験装置及びスケール付着防止効果を評価する方法 Download PDF

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Description

本発明は、スケール防止用水処理剤を添加した対象水中に試験用磁性金属片を存在させて、その試験用金属片表面へのスケール付着状況を確認して、前記スケール防止用水処理剤のスケール付着防止効果を評価する試験装置、並びにスケール付着防止効果の評価方法に関する。
工場施設等で使用される開放循環冷却水路系とは、例えば、冷却塔で冷却された循環水(冷却水)を、循環ポンプで熱交換器に送って熱交換器を冷却した後、再び冷却塔に送って循環させるものである。
このような開放循環冷却水路系においては、循環水が水の蒸発に伴って濃縮されるため、循環水中の各種イオン濃度及び溶質濃度が高くなり、スケールが発生し易い。その結果、発生したスケールが熱交換器や配管内壁等に付着して、熱効率の低下や配管の閉塞といったスケール障害を生じさせる虞がある。
そこで、そうしたスケール障害を防止するために、開放循環冷却水路系を循環する循環水中には各種のスケール防止用水処理剤が添加されている。
従来、そのような各種のスケール防止用水処理剤や、その使用量についてのスケール付着防止効果を評価する方法としては、熱交換器、冷却塔、水槽、循環ポンプ、試験片保持器等を備える試験装置を使用して実施する方法がある(非特許文献1参照)。
JIS G 0593(2002)「水処理剤の腐食及びスケール防止評価試験方法」
上記非特許文献に記載される日本工業規格の試験装置によれば、実際の工場施設等で使用される冷却水を循環・濃縮させ、前記循環水路の途中に設けた試験片(炭素鋼、銅、鋼合金、又はステンレス鋼)へのスケールの付着具合を見て、各種のスケール防止用水処理剤や、その使用量に対するスケール付着防止効果を評価することが可能である。
しかしながら、この従来の試験装置は、上述の各種装置・機器の他に、濃縮制御用の電気伝導度測定・制御装置、水処理剤注入用ポンプ、水槽の液面制御装置、循環水流量測定の流量計などを備えて、実際の工場設備における開放循環冷却水路系と近いものとする必要があるため、かなり大掛かりで複雑な装置となり、設備コストが高くなると共に、試験する際の操作も煩雑になるという問題があった。
また、装置が大掛かりであるため、評価すべき対象水(循環水)も大量に必要であり、対象水を実験設備等へ搬送するために多くの搬送コストがかかると共に、対象水の濃縮にも多くの時間を要し、試験時間も長時間にわたっていた。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、簡単な装置で試験操作も容易であり、尚且つ、試験にて使用する対象水も少量で済み、短時間且つ正確に試験を実施することが可能なスケール付着防止効果評価用試験装置並びにスケール付着防止効果を評価する方法を提供するものである。
本発明の第1特徴構成は、試験用磁性金属片と、スケール防止用水処理剤を添加した対象水及び前記試験用磁性金属片を収容し得る非磁性容器と、前記非磁性容器の外側から前記試験用磁性金属片を加熱し得る電磁加熱器とを備え、前記スケール防止用水処理剤を添加した対象水と前記試験用磁性金属片とを前記非磁性容器に収容し、前記電磁加熱器によって前記試験用磁性金属片を発熱させて前記対象水を加熱して濃縮し、前記試験用磁性金属片の表面にスケールが発生し始める前記対象水の濃縮度を算出することによって、前記スケール防止用水処理剤のスケール付着防止効果を評価するスケール付着防止効果評価用試験装置である点にある
〔作用及び効果〕
本発明のスケール付着防止効果評価用試験装置は、スケールが付着可能な試験用磁性金属片、その試験用磁性金属片及びスケール防止用水処理剤を添加した対象水を収容可能な非磁性容器、並びにその非磁性容器の外側から前記試験用金属片を加熱し得る電磁加熱器という少なくとも3つの構成要素で構成して、スケール付着試験を実施することが可能な、非常に簡単な装置である。
すなわち、対象水を循環させずに、発熱させた試験用金属片によって対象水を加熱して濃縮させるので、装置の簡略化が可能であって、設備コストを低減し得ると共に、試験にて使用する対象水も少量で済むので、対象水の搬送コストも低く抑えられる。
さらに、装置の組み付けや試験操作も容易で、尚且つ、対象水が少量で済み濃縮に要する時間もかからないので、試験時間が短縮化され得る。
従って、本発明の試験装置は、上記非特許文献に記載される従来の試験装置と比べると、より低コストであり、尚且つ、迅速に試験することが可能である。
尚、本発明と類似する構成を持つ試験装置としては、例えば、ガラス製ビーカーに対象水と試験用金属片とを入れて、ビーカーの底からガスバーナー等で加熱するような試験装置が考えられる。
しかしながら、そのような試験装置においては、バーナーの熱は、まずビーカーに伝わり、次いで対象水や試験用金属片へと伝わる。つまり、ビーカーの温度は、試験用金属片の温度より高温となり得、試験用金属片の表面よりも、ビーカーの内壁面の方が対象水の濃縮が促進され得る。
その結果、スケールは、試験用金属片の表面よりもビーカーの内壁面の方に付着し易くなり、実際に工場設備等にて使用される循環水(スケール防止用水処理剤を含有)を使用して試験したとしても、その試験用金属片表面へのスケールの付着具合は、実際の工場設備等における開放循環冷却水路系での熱交換器や配管内壁等に対するスケールの付着具合と比べて、付着するスケールの量が低減し得るので、前記水処理剤のスケール防止効果についての誤差が大きくなり得、正確かつ精度の良い試験ができない虞がある。
本発明においては、前記試験用金属片として、試験用磁性金属片を使用している。そして、スケール防止用水処理剤を添加した対象水及び前記試験用磁性金属片を収容し得る容器として、非磁性容器を使用し、電磁加熱器によって前記非磁性容器の外側から前記試験用金属片を加熱し得る構成となっている。
すなわち、本発明においては、電磁誘導加熱により試験用磁性金属片のみが発熱し得る構成となっているので、発熱しない非磁性容器の内壁面へのスケール付着が生じ難く、ガスバーナー等で試験用金属片を間接的に加熱する上記の試験装置と比べて、誤差が小さく、正確かつ精度の良い試験を行うことが可能である。
本発明の第2特徴構成は、スケール防止用水処理剤を添加した対象水と試験用磁性金属片とを非磁性容器に収容し、前記非磁性容器の外側から前記試験用磁性金属片を電磁加熱器で加熱して、前記スケール防止用水処理剤を添加した対象水を濃縮し、前記試験用磁性金属片の表面にスケールが発生し始める前記対象水の濃縮度を算出することによって、前記スケール防止用水処理剤のスケール付着防止効果を評価する方法である点にある。
〔作用及び効果〕
本発明のスケール付着防止効果の評価方法は、スケールが付着可能な試験用磁性金属片、その試験用磁性金属片及びスケール防止用水処理剤を添加した対象水を収容可能な非磁性容器、並びにその非磁性容器の外側から前記試験用金属片を加熱し得る電磁加熱器という少なくとも3つの機器・装置を使用してスケール付着試験を実施することが可能な、非常に簡単な方法である。
すなわち、対象水を循環させずに、発熱させた試験用金属片によって対象水を加熱して濃縮させるので、装置の簡略化が可能であって、設備コストを低減し得ると共に、試験にて使用する対象水も少量で済むので、対象水の搬送コストも低く抑えられる。
さらに、装置の組み付けや試験操作も容易で、尚且つ、対象水が少量で済み濃縮に要する時間もかからないので、試験時間が短縮化され得る。
従って、本発明のスケール付着防止効果の評価方法は、上記非特許文献に記載される従来の試験装置を使用する方法と比べると、より低コストであり、尚且つ、迅速に試験することが可能である。
尚、本発明と類似する構成を持つ試験方法としては、例えば、ガラス製ビーカーに対象水と試験用金属片とを入れて、ビーカーの底からガスバーナー等で加熱するような試験方法が考えられる。
しかしながら、そのような試験方法においては、バーナーの熱は、まずビーカーに伝わり、次いで対象水や試験用金属片へと伝わる。つまり、ビーカーの温度は、試験用金属片の温度より高温となり得、試験用金属片の表面よりも、ビーカーの内壁面の方が対象水の濃縮が促進され得る。
その結果、スケールは、試験用金属片の表面よりもビーカーの内壁面の方に付着し易くなり、実際に工場設備等にて使用される循環水(スケール防止用水処理剤を含有)を使用して試験したとしても、その試験用金属片表面へのスケールの付着具合は、実際の工場設備等における開放循環冷却水路系での熱交換器や配管内壁等に対するスケールの付着具合と比べて、付着するスケールの量が低減し得るので、前記水処理剤のスケール防止効果についての誤差が大きくなり得、正確かつ精度の良い試験ができない虞がある。
本発明においては、前記試験用金属片として、試験用磁性金属片を使用している。そして、スケール防止用水処理剤を添加した対象水及び前記試験用磁性金属片を収容し得る容器として、非磁性容器を使用し、電磁加熱器によって前記非磁性容器の外側から前記試験用金属片を加熱し得る構成となっている。
すなわち、本発明においては、電磁誘導加熱により試験用磁性金属片のみが発熱し得る構成となっているので、発熱しない非磁性容器の内壁面へのスケール付着が生じ難く、ガスバーナー等で試験用金属片を間接的に加熱する上記の試験装置と比べて、誤差が小さく、正確かつ精度の良い試験を行うことが可能である。
本発明の第3特徴構成は、単一の対象水に対して、複数種類のスケール防止用水処理剤のそれぞれを添加して、複数種類の試験用対象水を調製し、前記複数種類の試験用対象水のそれぞれを、試験用磁性金属片を備える非磁性容器に収容して、前記非磁性容器の外側から前記試験用磁性金属片を電磁加熱器で加熱して、前記複数種類の試験用対象水のそれぞれを濃縮し、前記試験用磁性金属片の表面にスケールが発生し始める前記複数種類の試験用対象水のそれぞれの濃縮度を算出することによって、前記複数種類のスケール防止用水処理剤のスケール付着防止効果を比較する方法である点にある。
〔作用及び効果〕
本発明によれば、顧客の有する対象水に使用すべき最適なスケール防止用処理剤を、低料金で、迅速且つ的確に顧客に提示することができる。
すなわち、上記非特許文献に記載される従来の試験装置を使用する方法と比べると、より低コストであり、尚且つ、迅速にスケール付着試験を実施することができる。
さらに、顧客の有する対象水(例えば、顧客の工場設備等で実際に使用されている冷却水)について試験するため、顧客の工場設備等で実際に見られるスケール付着状況と比べて誤差の少ないスケール付着試験を実施することが可能であり、その結果、本発明によって評価されたスケール防止用水処理剤のスケール付着防止効果の信頼度は非常に高い(例えば、予め各スケール成分(カルシウムイオンやマグネシウムイオン等)単体を含む各種水溶液を種々の濃度にて予め調製し、それらの各水溶液についてスケール防止用水処理剤の効果を測定して各データを収集し、顧客の有する対象水の成分分析結果と合わせて、スケール防止用水処理剤の効果を予測するような方法においては、試験結果に誤差が生じ易い。つまり、通常、顧客の有する対象水中には、複数のスケール成分が共存しており、それらが濃縮に伴って互いに結合し、新たなスケール成分を形成し得、上述の方法では、そうした状況までを予測することは困難であるためである)。
またさらに、顧客の有する対象水について、その種々の濃縮度に対応する種々のスケール防止用水処理剤のスケール付着防止効果を確認し、前記顧客の有する対象水に使用すべき最適なスケール防止用水処理剤とその使用方法(例えば、そのスケール防止用水処理剤の濃縮限界など)とを提示するため、提示されたスケール防止用水処理剤は的確なものであり、その使用方法も提示されるので顧客は安心して、且つ簡便にそのスケール防止用水処理剤を使用することができる。
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
〔実施形態〕
図1は、本発明のスケール付着防止効果評価用試験装置1の一例を示した概略図である。
本発明のスケール付着防止効果評価用試験装置1は、試験用磁性金属片2、非磁性容器3、及び電磁加熱器4を備えている。非磁性容器3には、開口部3aを設けており、そこから対象水Wと試験用磁性金属片2とを収容することができる。
尚、本発明のスケール付着防止効果評価用試験装置1には、対象水Wの液面を検出するための液面センサー6と、エアレーションを実施するためのエアー供給器7とをさらに備える構成としている。また、この他にも必要に応じて、対象水Wの電気伝導率を測定するための電気伝導度計や、対象水WのpHを測定するためのpH測定器等を備える構成としても良い。
本発明のスケール付着防止効果評価用試験装置1を組み付ける際は、非磁性容器3を電磁加熱器4の上に載置し、次いで開口部3aから対象水Wと試験用磁性金属片2を入れる。
本発明において適用可能な試験用磁性金属片2の材質としては、例えば、ステンレスプレート、炭素鋼、鋼合金等が挙げられるが、これに限定されるものでなく、電磁誘導加熱によって発熱し得るものであるならば、その材質については任意である。
本発明において適用可能な非磁性容器3の材質としては、例えば、ガラスやセラミックスの他、ポリエチレンやポリプロピレン等の合成樹脂が挙げられるが、これに限定されるものでなく、電磁誘導加熱によって発熱しないか、もしくは発熱し難いものであるならば、その材質については任意である。
本発明において適用可能な電磁加熱器4は、電磁誘導加熱(円形コイルに高周波電流を流すことにより発生する磁力線が、鉄などの磁性金属を通過するときに渦電流が発生し、その渦電流と磁性金属との電気抵抗によりジュール熱が発生する現象)が可能な装置であるならば、特に限定されるものではない。
本発明において適用可能な対象水Wとしては、例えば、工場設備等の開放循環冷却水路系にて使用されている冷却水等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
本発明において適用可能なスケール防止用水処理剤とは、開放循環水路を有する装置(ボイラー、冷却塔、蒸発器等)に使用される循環水(冷却水等)中に添加可能であって、その循環水中でのスケールの発生を防止し得る水処理剤を意味し、代表的には、各種のアクリル酸系重合体、各種のマレイン酸系重合体等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明のスケール付着防止効果評価用試験装置1を使用して、スケール防止用水処理剤のスケール付着防止効果を評価する方法(スケール付着試験)の一例を説明する。
まず、スケール付着防止効果評価用試験装置1の非磁性容器3内に、所定量の対象水Wと、所定量の適当なスケール防止用水処理剤とを入れて良く混和する。
次いで、電磁加熱器4のスイッチを入れて、試験用磁性金属片2を発熱させて、対象水Wを加熱すると共に、エアー供給器7によりエアレーションを行って、対象水Wを開口部3aより蒸発させて濃縮する。そして、試験用磁性金属片2へのスケール5の付着状況を確認しつつ、対象水Wがどれだけ濃縮されたか(濃縮度)を把握するために、液面センサー6を用いて液面を検出することによって、濃縮後の対象水Wの量を測定し、濃縮倍数(=濃縮前の対象水量/濃縮後の対象水量)を算出する。試験用磁性金属片2の表面にスケールが発生し始める対象水Wの濃縮倍数(濃縮限界)から、使用したスケール防止用水処理剤のスケール付着防止効果を評価する。
尚、上述のスケール付着試験を、顧客の有する対象水(例えば、冷却水など)を使用して、各種のスケール防止用水処理剤について、その試験条件(例えば、スケール防止用水処理剤の初期濃度、加熱温度等)を種々に変更して行えば、各種のスケール防止用水処理剤のスケール防止効果を比較検討して、顧客の有する対象水の使用状況(対象水の濃縮度や温度条件など)に応じた最適なスケール防止用水処理剤や、その使用方法(例えば、そのスケール防止用水処理剤の濃縮限界、各スケール防止用水処理剤のスケール防止効果を維持し得る安全な濃縮度域、工場設備等の運転中の開放循環冷却水路系へ水を補給する際のタイミングやその量など)を、顧客に対して的確に提示することも可能である。
〔その他の実施形態〕
1.上記実施形態におけるスケール防止用水処理剤のスケール付着防止効果の評価方法において、例えば、試験する対象水中の電気伝導率、Mアルカリ度、全硬度、カルシウム硬度、マグネシウム硬度、塩化物イオン濃度、硫酸イオン濃度、イオン状シリカ濃度、全鉄量等も同時に測定するようにしても良い。
電気伝導率を同時に測定すれば、液面センサーを使用しなくとも濃縮倍数(濃縮度)が簡単に求められ、最適なスケール防止用水処理剤を容易に選択することができる。さらに、そのスケール防止用水処理剤のスケール防止効果を維持し得る安全な濃縮度域を、電気伝導率域で把握することも可能となるため、顧客の工場設備等において、使用している冷却水の電気伝導率を常にモニターすることが可能である場合には、補給水を投入するタイミングなども容易に判断することができる。
また、Mアルカリ度、全硬度、カルシウム硬度、マグネシウム硬度、塩化物イオン濃度、硫酸イオン濃度、イオン状シリカ濃度、及び全鉄量等を同時に測定しておけば、発生したスケールの成分組成を予測することが可能であり、より最適で効果的なスケール防止用水処理剤を選択したり、あるいは、後の開放循環冷却水路系の洗浄処理なども効率的に実施することが可能となる。
以下、本発明について、実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)スケール付着試験
1.試験内容
・対象水:冷却水補給水
・試験用磁性金属片:ステンレスプレート
・試験方法:所定量の冷却水補給水にスケール防止用水処理剤を添加し、上述のスケール付着防止効果評価用試験装置によって濃縮する。尚、スケール防止用水処理剤は、設定された濃縮倍数(4〜11倍)時におよそ200ppmとなる量を添加した。
・温度条件:冷却水補給水の水温70℃、試験用磁性金属片の表面温度90℃
・評価するスケール防止用水処理剤:
(1)ハイクリーン MR‐115(東西化学産業(株)製)
(2)ハイクリーン MR‐210(東西化学産業(株)製)
(3)ハイクリーン MR‐112(東西化学産業(株)製)
・評価方法:ステンレスプレート表面へのスケールの付着状況を確認すると同時に、冷却水補給水の電気伝導率、Mアルカリ度、全硬度、カルシウム硬度、マグネシウム硬度、塩化物イオン濃度、硫酸イオン濃度、イオン状シリカ濃度、及び全鉄量を測定して濃縮バランスを評価した。
2.試験結果
(1)ハイクリーン MR‐115(東西化学産業(株)製)
各項目(電気伝導率、Mアルカリ度、全硬度、カルシウム硬度、マグネシウム硬度、塩化物イオン濃度、硫酸イオン濃度、イオン状シリカ濃度、及び全鉄量)の濃縮倍数は8倍濃縮サンプル(電気伝導率788μS/cm)まではバランスが保たれていた。
9倍濃縮サンプル(電気伝導率927μS/cm)では、Mアルカリ度に低下が見られ、10倍濃縮サンプル(電気伝導率955μS/cm)では、マグネシウム硬度、イオン状シリカ濃度が低下し、Mアルカリ度は9倍濃縮から横這い、電気伝導率もシフトしていた。
以上より、対象水の濃縮バランスは9倍濃縮よりくずれ始め、10倍濃縮では明らかに不安定化する傾向が確認された。
スケールの付着状況は、10倍濃縮サンプルで極端に増加しており、性状はブラシ除去しても残渣が残る状況であった。実際のスケール付着(析出)は、9倍〜10倍の濃縮で生じ得るものと判断される。測定結果を以下の表1に示す。尚、表中の濃縮倍数とは、液面センサーを用いて対象水の液面を検出することによって、濃縮後の対象水の量を測定して算出したものである(濃縮倍数=濃縮前の対象水量/濃縮後の対象水量)。また、計測濃縮倍数とは、各濃縮段階(濃縮倍数)において計測された電気伝導率や成分濃度を、濃縮前の対象水(原水)中の電気伝導率や成分濃度で割った値である。
Figure 0004738111
(2)ハイクリーン MH‐210(東西化学産業(株)製)
各項目(電気伝導率、Mアルカリ度、全硬度、カルシウム硬度、マグネシウム硬度、塩化物イオン濃度、硫酸イオン濃度、イオン状シリカ濃度、及び全鉄量)の濃縮バランスは、6倍濃縮サンプル(電気伝導率655μS/cm)まではバランスが保たれているが、7倍濃縮サンプル(電気伝導率720μS/cm)以上では、Mアルカリ度、マグネシウム硬度、イオン状シリカ濃度が横這い状態になった。
スケールの付着状況は、7及び8倍濃縮サンプルで増加したため、9倍濃縮以上の試験は実施しなかった。7及び8倍濃縮サンプルにおける付着物の性状はブラシ除去しても跡が残り、やや強固に付着している状況が確認された。実際のスケール付着(析出)は、6倍〜7倍の濃縮で生じ得るものと判断される。測定結果を以下の表2に示す。
Figure 0004738111
(3)ハイクリーン MR‐112(東西化学産業(株)製)
各項目(電気伝導率、Mアルカリ度、全硬度、カルシウム硬度、マグネシウム硬度、塩化物イオン濃度、硫酸イオン濃度、イオン状シリカ濃度、及び全鉄量)の濃縮バランスは、9倍濃縮サンプル(電気伝導率1030μS/cm)よりMアルカリ度、マグネシウム硬度、イオン状シリカ濃度が横這い傾向になり、大きく崩れる事はないものの、除々にバランスが崩れる傾向が見られる。
スケールの付着状況は、9倍濃縮サンプル(電気伝導率1030μS/cm)より目立ち始め、10倍濃縮サンプル(電気伝導率1100μS/cm)で増加しているが、11倍濃縮サンプル(電気伝導率1150μS/cm)では、10倍濃縮サンプルに比較して増加している状況は見られなかった。10倍及び11倍濃縮サンプルにおける付着物の性状は、ブラシ除去しても残渣が残る状況であった。
スケール付着傾向は、9倍濃縮から現れるが、付着量は、上記のハイクリーンMR-115及びハイクリーンMH-210に比べて少量であり、試験した3種類のスケール防止用水処理剤の中では、最も良好な結果が得られたものと判断される。測定結果を以下の表3に示す。
Figure 0004738111
3.まとめ
以上より、試験した3種類のスケール防止用水処理剤のうち、ハイクリーンMR‐112が、8倍濃縮(電気伝導率910μS/cm)まで濃縮バランスが最も安定であった。従って、ハイクリーンMR‐112が、今回評価した冷却水補給水に対しては、試験した上記3種類のスケール防止用水処理剤の中で最適なスケール防止用水処理剤である。尚、各スケール防止用水処理剤の濃縮限界等について比較したものを以下の表4に示す。
Figure 0004738111
本発明のスケール付着防止効果評価用試験装置の一例を示した概略図
符号の説明
1 スケール付着防止効果評価用試験装置
2 試験用磁性金属片
3 非磁性容器
3a 開口部
4 電磁加熱器
5 スケール
6 液面センサー
7 エアー供給器

Claims (3)

  1. 試験用磁性金属片と、
    スケール防止用水処理剤を添加した対象水及び前記試験用磁性金属片を収容し得る非磁性容器と、
    前記非磁性容器の外側から前記試験用磁性金属片を加熱し得る電磁加熱器とを備え、
    前記スケール防止用水処理剤を添加した対象水と前記試験用磁性金属片とを前記非磁性容器に収容し、前記電磁加熱器によって前記試験用磁性金属片を発熱させて前記対象水を加熱して濃縮し、前記試験用磁性金属片の表面にスケールが発生し始める前記対象水の濃縮度を算出することによって、前記スケール防止用水処理剤のスケール付着防止効果を評価するスケール付着防止効果評価用試験装置。
  2. スケール防止用水処理剤を添加した対象水と試験用磁性金属片とを非磁性容器に収容し、
    前記非磁性容器の外側から前記試験用磁性金属片を電磁加熱器で加熱して、前記スケール防止用水処理剤を添加した対象水を濃縮
    前記試験用磁性金属片の表面にスケールが発生し始める前記対象水の濃縮度を算出することによって、前記スケール防止用水処理剤のスケール付着防止効果を評価する方法。
  3. 単一の対象水に対して、複数種類のスケール防止用水処理剤のそれぞれを添加して、複数種類の試験用対象水を調製し、
    前記複数種類の試験用対象水のそれぞれを、試験用磁性金属片を備える非磁性容器に収容して、前記非磁性容器の外側から前記試験用磁性金属片を電磁加熱器で加熱して、前記複数種類の試験用対象水のそれぞれを濃縮し、
    前記試験用磁性金属片の表面にスケールが発生し始める前記複数種類の試験用対象水のそれぞれの濃縮度を算出することによって、前記複数種類のスケール防止用水処理剤のスケール付着防止効果を比較する方法
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