JP2015105896A - 汚れ監視センサー及び汚れ監視装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 評価チューブの温度を伝熱管の温度と同一となるように定めた場合でも、伝熱管と同じように、評価チューブの外面に汚れを付着させることができる汚れ監視センサーを提供する。
【解決手段】 評価チューブ10の、内部のヒーター11と対向する外周面のうち、温度センサー12側のヒーター11と対向する部分(以下、検出面Kという)を除いた残部を、熱伝導率が、評価チューブ10の熱伝導率より小さい材料で被覆し、評価チューブ10の検出面Kの温度が、評価チューブ10の被覆部外面13aの温度より高くなるようにした。評価チューブ10の温度を伝熱管の温度と同一とした場合に、サンプル水W1と接触する評価チューブ10の外面側の温度で、検出面Kの温度が最も高くなり、検出面Kに、伝熱管と同じように、付着が温度に依存する汚れ(スケール)を付着させることができる。
【選択図】 図2
【解決手段】 評価チューブ10の、内部のヒーター11と対向する外周面のうち、温度センサー12側のヒーター11と対向する部分(以下、検出面Kという)を除いた残部を、熱伝導率が、評価チューブ10の熱伝導率より小さい材料で被覆し、評価チューブ10の検出面Kの温度が、評価チューブ10の被覆部外面13aの温度より高くなるようにした。評価チューブ10の温度を伝熱管の温度と同一とした場合に、サンプル水W1と接触する評価チューブ10の外面側の温度で、検出面Kの温度が最も高くなり、検出面Kに、伝熱管と同じように、付着が温度に依存する汚れ(スケール)を付着させることができる。
【選択図】 図2
Description
本発明は、水との間で熱の授受がなされる伝熱面の、水に起因した汚れを監視する汚れ監視センサー、及び、この汚れ監視センサーを備えた汚れ監視装置に関するものである。
ボイラや冷却水などの工業用水系で、工業用水が循環して使用される循環系においては、腐食、スケール、バイオファウリングといった3大障害が発生する。例えば、冷却水の循環水系において、腐食が進行すると、熱交換器や配管等の金属材料に貫通が生じて、設備の操業停止を招くという問題がある。また、同様な循環水系において、スケールやバイオファウリングが進行すると、熱交換器に、熱効率の低下や通水の悪化を引き起こすという問題も生じる。
特に、水との間で熱の授受がなされる伝熱管においては、腐食やスケールが発生しやすい。この場合、伝熱管を模擬した監視センサーを考え、この監視センサーにて、腐食やスケールの発生を検出する必要がある。特許文献1には、かかる監視センサーを備えたモニタリング装置が記載されている。
このモニタリング装置の監視センサーは、熱交換器の冷却水による汚れの、伝熱面への付着状況を監視するものであり、図8で示されるように、熱交換器の伝熱管と略同一の材料から形成され、外面側に、熱交換器の冷却水から採られたサンプル水W1が流される評価チューブ10と、評価チューブ10の中空部10c内に、差し込むようにして取り付けられる熱源となるヒーター11と、評価チューブ10の管肉部10a内の温度を計測する温度センサー12とを有している。この監視センサー200は、評価チューブ10とヒーター11とで伝熱管を模擬したものであり、例えば、ヒーター11の発熱部11aに対向する評価チューブ10外周面(以下、検出可能面Lという)に、スケールが付着することにより生じる温度上昇から、スケールの付着を検出し、このことによって、熱交換器等の伝熱管にもスケールが付着していることを予想するためのものである。
この監視センサー200では、評価チューブ10を伝熱管と見なすために、評価チューブ10からサンプル水W1側への熱流束が、伝熱管の熱流束と同じとなるように、ヒーター11に供給される電力量をコントロールしている。
一方、上記監視センサー200において、評価チューブ10の温度を伝熱管の温度と同一とするように、温度に着目して、ヒーター11に供給される電力量をコントロールしてもよい。このことにより、伝熱管側の熱流束が分からない場合でも、スケール等の汚れの付着に関して、評価チューブ10を伝熱管と同一と見なすことができる。
ところが、評価チューブ10の内径は、ヒーター11の外径より僅かに大きく形成され、両者の間には僅かな隙間が生じるとともに、評価チューブ10とヒーター11とは、共に、製作誤差があるため、評価チューブ10とヒーター11との接触状態には、ヒーター11の周方向に対してばらつきが生じていた。したがって、上述のように、温度に着目して、評価チューブ10を伝熱管と見なした場合、評価チューブ10外面から発せられる熱流束が評価チューブ10の周方向に均一とならず、評価チューブ10の検出可能面L内において、評価チューブ10の外面温度にばらつきが生じてしまうという問題があった。
このため、評価チューブ10の温度を熱交換器の伝熱面の温度と同一としても、このことは、検出可能面Lのうち、温度センサー12側に限られるものであり、例えば、検出可能面Lの他の場所では、熱交換器の伝熱管の温度以上に温度が上昇し、熱交換器の伝熱管には、スケール(温度に依存して付着する汚れ)が付着していないのに、検出可能面Lの特定の場所には、スケールが付着しているという事態が生じうる。このため、上記監視センサー200は、評価チューブ10の温度を伝熱管の温度と同一とするように、これを使用した場合、汚れの検出精度がよくないという問題があった。
この発明は、以上の点に鑑み、評価チューブの温度を伝熱管の温度と同一となるように定めた場合でも、伝熱管と同じように、評価チューブの外面に汚れを付着させることができる汚れ監視センサー、及び、この汚れ監視センサーを備えた汚れ監視装置を提供することを目的とする。
この発明の請求項1記載の伝熱面の汚れ監視センサーの発明は、モニタリング対象となる伝熱面を有する伝熱管と同一材料又は略同一材料から形成され、前記伝熱面を介して加熱又は冷却される水から採られたサンプル水と接触して、外面に、前記サンプル水に起因した汚れを付着させる評価チューブと、前記評価チューブの中空部内に取り付けられ、通電により前記評価チューブの温度を前記伝熱管の温度まで上げることができるヒーターと、前記評価チューブの前記ヒーターに隣接する管肉部内の温度を計測し、計測した温度の違いに基づいて、前記評価チューブへの前記汚れの付着検出を行わせる温度センサーとを有する汚れ監視センサーであって、前記評価チューブの前記ヒーターと対向する外周面のうち、周方向位置が前記温度センサー側の部分を除いた残分を、熱伝導率が、前記評価チューブの熱伝導率と同じか又はそれより小さい材料で被覆し、前記被覆されない部分の温度が、前記評価チューブの被覆部外面の温度より高くなるようにしていることを特徴とする。
この発明では、評価チューブの外面側にサンプル水を流した状態で、評価チューブの温度が、伝熱管の温度と同一となるように、ヒーターへの通電量を調整し、その後、この通電量を固定する。この通電量の固定により、評価チューブからの熱流束は固定されるが、従来の汚れ監視センサーでは、ヒーターと評価チューブとの接触状態にばらつきがあるため、評価チューブから発せられる熱流束が、評価チューブの周方向について均一とならず、ヒーターに対向する評価チューブの外周面(以下、検出可能面という)内において、評価チューブの温度にばらつきが生じる。なお、伝熱管の温度は、例えば、実機の伝熱管について、計算により又は計測によって得られたものを使用すればよい。
ところが、この発明では、評価チューブの検出可能面のうち、周方向位置が温度センサー側の部分(以下、評価チューブの、この部分の外面を検出面という)を除いた残部を、例えば熱伝導率が評価チューブより小さい材料で被覆しているため、検出面における評価チューブの温度は、評価チューブの被覆部外面の温度より高くなる。したがって、スケールのように、付着が温度に依存する汚れは、評価チューブの被覆部外面には付着しづらく、まず、評価チューブの検出面に付着する。また、評価チューブの検出面は、評価チューブの周方向に小幅な長さしかなく、かつ、温度センサーを中心とした領域であるため、評価チューブの周方向に向かって、ヒーターと評価チューブとの接触状態にばらつきがあっても、その違いは小さく、検出面のどの位置においても、評価チューブの温度は、ほぼ温度センサーで示される温度と見なすことができる。
したがって、温度センサーで示される評価チューブの温度を、伝熱管の温度と同一となるように、ヒーターへの通電量を調整した場合、評価チューブの検出面の温度は、伝熱管の温度と同一となり、かつ、評価チューブの被覆部外面の温度より高いため、スケールのように、付着が温度に依存する汚れは、評価チューブの検出面に集中的に付着する。このため、評価チューブの検出面には、伝熱管と同じように、汚れが付着することとなり、この伝熱面の汚れ監視センサーにより、実機の伝熱管の汚れが適正に監視できることとなる。
この発明の請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の場合において、前記評価チューブの前記被覆されない部分が、切削されて平面状に形成されていることを特徴とする。
この発明の請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明の場合において、前記被覆する材料は、金属又は金属以外の耐熱材料であることを特徴とする。
この発明の請求項4記載の汚れ監視装置の発明は、請求項1記載の汚れ監視センサーと、前記汚れ監視センサーが取り付けられ、前記汚れ監視センサーの前記評価チューブの外面側に、前記サンプル水を一定流速で流す通水セルと、前記サンプル水の温度を計測する温度計と、前記汚れ監視センサーの前記温度センサーから出力される温度信号と前記温度計から出力される温度信号とから、前記評価チューブへの汚れの付着を検出する検出制御ユニットとを有することを特徴とする。
この発明では、通水セル内において、汚れ監視センサーの評価チューブ外面側に、サンプル水を一定流速で流しつつ、ヒーターへの通電量をコントロールすることにより、評価チューブの検出面の温度を伝熱管の温度と同一とし、その後、この通電量を固定する。そして、検出制御ユニットは、温度センサーからの温度出力(評価チューブの検出面の温度)から温度計からの温度出力(サンプル水の温度)を引いた値(温度差)を算出し、この温度差が一定値(汚れが付着していない場合の温度差)を超えれば、評価チューブの検出面に汚れが付着していると判定する。
この発明の請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明の場合において、前記汚れが、スケール及び/又はバイオファウリングであることを特徴とする。
この発明の請求項1、3、4、又は5記載の発明によれば、評価チューブとヒーターとの接触状態に起因して、評価チューブ側から発せられる熱流束にばらつきが生じても、評価チューブの被覆部外面の温度を、温度センサー側の被覆部のない部分(検出面)の温度(すなわち、伝熱管の温度)より下げることができるので、この検出面のみに、伝熱管と同じように、汚れを付着させることができる。すなわち、これらの発明によれば、評価チューブの温度を伝熱管の温度と同一となるように定めた場合でも、伝熱管と同じように、評価チューブの外面(検出面)に汚れを付着させることができる。
また、これらの発明では、評価チューブの被覆部外面からの熱流束を小さくできるので、ヒーターへの通電量が小さくなり、従来のものに比べて、省電力化を達成することができる。さらに、これらの発明では、ヒーターの小型化にともない、汚れ監視センサー全体の小型化も達成することができる。
この発明の請求項2記載の発明によれば、評価チューブに検出面を形成する場合に、評価チューブの外面全体を所定の材料で被覆した後、この温度センサー側外面を平面状に削り取ってやればよく、検出面を容易に形成できる。また、検出面が平面であるので、これに付着した汚れを容易に除去することができる。
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1はこの発明の一実施の形態に係る汚れ監視装置が設置されている冷却水システムを示している。
図1はこの発明の一実施の形態に係る汚れ監視装置が設置されている冷却水システムを示している。
冷却水システムCは、図1で示されるように、冷却塔100と、熱交換器101と、循環ポンプ102と、配管103とから構成されており、工業用水が冷却水Wとして循環使用されるものである。この冷却システムCでは、冷却塔100で冷却された冷却水Wが、循環ポンプ102で加圧されて、熱交換器101に送られ、この熱交換器101で被冷却流体Fと熱交換して暖められた後、再び冷却塔100に送られるように循環している。なお、図1中、符号100aは、冷却塔100の水溜であり、符号100bは、冷却水Wと空気Qとを気液接触させる充填材である。また、図1中、符号101aは、熱交換器101の伝熱管であり、この伝熱管101aの内面が、モニタリング対象となる、冷却水Wの伝熱面Aである。
汚れ監視装置1は、熱交換器101の伝熱管101aの冷却水W側伝熱面Aに、冷却水Wに起因するスケールやバイオファウリングといった汚れが付着するか否かを監視するものである。この汚れ監視装置1は、図1で示されるように、冷却水システムC側から冷却水Wをサンプリングするためのサンプリングライン2と、このサンプリングライン2中のサンプル水W1を熱交換器101の伝熱管101a内と略同一条件で流す通水セル3と、通水セル3中のサンプル水W1を冷却水システムCに戻すリターンライン4と、通水セル3に取り付けられ、熱交換器101の伝熱面Aと同一の温度条件で、サンプル水W1からの汚れの付着検出を行う監視センサー5と、検出制御ユニット6とを有している。
サンプリングライン2は、配管2a中に、流量調整弁2bと、流量計2cと、温度計2dとを有している。配管2aは、一端側が、冷却水システムCの循環ポンプ102の出口側配管103と接続され、他端側が、通水セル3に接続されている。流量調整弁2bは、通水セル3中に一定流量のサンプル水W1を供給するためのものであり、流量計2cからの信号に基づいて、サンプル水W1の流量が一定流量となるように、その流量を調整する。温度計2dは、サンプル水W1の温度を計測し、その温度信号P2を検出制御ユニット6に伝達する。
通水セル3は、監視センサー5の評価チューブ10(詳細は後述)の外面側に、熱交換器101の伝熱面A側の冷却水Wと、略同一温度かつ略同一の一定流速でサンプル水W1を流すものである。通水セル3は、図2で示されるように、円筒部3aの両端部を円板部3b,3cで閉じた形状をしており、上側円板部3bの中央には、監視センサー5が差し込まれた状態で取り付けられており、この円板部3bの監視センサー5を避けた位置に、リターンライン4の配管4aと接続されるノズル3dが設けられている。また、通水セル3には、その下側円板部3cの中央に、サンプリングライン2の配管2aと接続されるノズル3eが形成されている。なお、リターンライン4の配管4aの他端側は、冷却塔100の水溜100aに接続されている。
監視センサー5は、図2及び図3で示されるように、評価チューブ10と、ヒーター11と、温度センサー12と、被覆部13と、電気配線14a,14bとから構成されており、評価チューブ10の温度を、熱交換器101の伝熱管101aの温度と同一として、評価チューブ10への汚れの付着検出を行う、伝熱面の汚れ監視センサーである。この監視センサー5は、評価チューブ10の閉塞端10d側を、通水セル3の円板部3c近くまで差し込んだ状態で、かつ、通水セル3と同芯状態で、この通水セル3に取り付けられている。なお、監視センサー5は、通水セル3に着脱可能に取り付けられており、通水セル3の円板部3bと監視センサー5との間には、漏れ防止用の不図示のパッキン等が設けられている。
評価チューブ10は、熱交換器101の伝熱管101aと同一材料又は熱伝導率の等しい金属材料(略同一材料)にて、一端が閉じた円筒状に形成され、サンプル水W1と接触する外面に、サンプル水W1に起因する汚れを付着させるものである。評価チューブ10の管肉部10aには、評価チューブ10の開放端側から、その長手方向に沿って、細長い挿入孔10bが形成されている。この挿入孔10bは、評価チューブ10の中程まで延びていて、端部に温度センサー12が取り付けられる。また、評価チューブ10には、内部の中空部10cに、ヒーター11が取り付けられる。なお、評価チューブ10の外径Dは、例えば、11mmとなっている。
ヒーター11は、外周面から均等に熱を発生させるとともに、供給される加熱電流Jの大きさに応じて発生熱量を変更し、評価チューブ10の温度を所定温度(伝熱管101aの温度)まで上げることができる電気ヒーターである。このヒーター11は、外径が、評価チューブ10の中空部10cの径よりやや小さい、長円柱状に形成されており、端部が評価チューブ10の閉塞端10dに当たるまで、中空部10c内に差し込まれて、評価チューブ10内に取り付けられる。このヒーター11は、上下両端部は発熱しないので、中間部が、発熱部11aとなる。なお、ヒーター11に加熱電流Jを供給する電気配線14aは、評価チューブ10の開放端側から取り出される。
温度センサー12は、評価チューブ10の、ヒーター11に隣接する管肉部10a内の温度を計測し、計測した温度の違いに基づいて、評価チューブ10への汚れの付着検出を行わせるものである。この温度センサー12は、例えば、熱電対からなるもので、評価チューブ10の管肉部10a内に位置決め固定されていて、評価チューブ10の管肉部10a内の温度を計測し、その温度信号P2を、電気配線14bを介して、検出制御ユニット6に伝達する。なお、温度センサー12は、ヒーター11の長手方向中間部に位置決めされている。
被覆部13は、ヒーター11の発熱部11aに対向する評価チューブ10の外周面(以下、検出可能面Lという)のうち、評価チューブ10の周方向位置が温度センサー12側の部分(以下、検出面Kという)を除いた残分を、熱伝導率が、評価チューブ10と同一か又は小さい耐熱材料で覆ったものであり、厚さが一定となるように形成されている。この場合、被覆部13は、評価チューブ10の検出面Kの温度が、評価チューブ10の被覆部外面13aの温度より高くなるように、その厚さや熱伝導率が決定されている。この被覆部13の材質には、金属又は金属以外の耐熱材料が使用される。ここで、検出面Kは、温度センサー12を中心に、幅サイズH(評価チューブ10の周方向側の幅サイズ)が3mm、長さ(評価チューブ10の長手方向長さ)がヒーター11の発熱部11aと同じ長さ(例えば55mm)に形成されており、細長い帯状の形をしている。なお、図2で示されるように、この実施形態では、被覆部13は、施工の都合上、評価チューブ10の検出可能面L以外の部分にも設けられている。
汚れ監視装置1の検出制御ユニット6は、CPU(中央演算処理装置)及び、RAM、ROMといったメモリー等を備え、プログラムによって動作するコンピュータを有しており、特徴的なの機能として、監視センサー5の温度センサー12から出力される温度信号P1とサンプル水W1の温度計2dから出力される温度信号P2とから、評価チューブ10への汚れの付着を検出する機能と、監視センサー5のヒーター11への通電量をコントロールする機能とを有している。なお、検出制御ユニット6は、ヒーター11へ供給する加熱電流Jの電源と、出力手段であるディスプレーと、入力手段であるキーボード等とを有している。
つぎに、監視センサー5の作用効果について説明する。
この監視センサー5では、評価チューブ10の外面側にサンプル水W1を流した状態で、評価チューブ10の温度が、熱交換器101の伝熱管101aの温度と同一となるように、ヒーター11への通電量(加熱電流Jの量)を調整し、その後、この通電量を固定する。このことにより、従来の監視センサー200であっても、ヒーター11からの熱量を、評価チューブ10の検出可能面Lから均一な熱流束としてサンプル水W1側に放出できると考えられなくもない。
この監視センサー5では、評価チューブ10の外面側にサンプル水W1を流した状態で、評価チューブ10の温度が、熱交換器101の伝熱管101aの温度と同一となるように、ヒーター11への通電量(加熱電流Jの量)を調整し、その後、この通電量を固定する。このことにより、従来の監視センサー200であっても、ヒーター11からの熱量を、評価チューブ10の検出可能面Lから均一な熱流束としてサンプル水W1側に放出できると考えられなくもない。
ところが、評価チューブ10の内径は、ヒーター11の外径より僅かに大きく形成され、両者の間には僅かな隙間が生じるとともに、評価チューブ10とヒーター11とは、共に、製作誤差があるため、評価チューブ10とヒーター11との接触状態には、ヒーター11の周方向に対してばらつきが生じている。したがって、評価チューブ10の温度を伝熱管101aの温度と同一となるようにヒーター11を調整しても、従来の監視センサー200では、評価チューブ10の検出可能面Lからの熱流束は均一とならず、伝熱管101aの温度と同一となるのは、評価チューブ10の温度センサー12側のみであり、評価チューブ10の他の部分には、伝熱管101aの温度より、高いところが生じてしまう可能性がある。したがって、スケールのように、付着が温度に依存する汚れは、伝熱管101aに付着していないのに、評価チューブ10に付着してしまうという不都合が生じる。
一方、この監視センサー5では、評価チューブ10の検出可能面Lが、検出面Kを除き、例えば、熱伝導率が評価チューブ10より小さい材料から形成される被覆部13によって覆われているので、評価チューブ10から発せられる熱流束が均一でなくても、検出面Kにおける評価チューブ10の温度は、評価チューブ10の被覆部外面13aの温度より高くなっている。したがって、スケールのように、付着が温度に依存する汚れは、評価チューブ10の被覆部外面13aには付着しづらく、まず、評価チューブ10の検出面Kに付着する。また、評価チューブ10の検出面Kは、評価チューブ10の周方向に僅かな長さ(幅サイズH)しかなく、かつ、温度センサー12を中心とした領域であるため、評価チューブ10の周方向に向かって、ヒーター11と評価チューブ10との接触状態にばらつきがあっても、その違いは小さく、検出面Kのどの位置においても、評価チューブの温度は、ほぼ温度センサー12で示される温度と見なすことができる。なお、検出面Kの長さが、幅サイズHに対して長いのは、評価チューブ10の長手方向に対しては、評価チューブ10とヒーター11間の接触状態にほぼばらつきはなく、熱流束や温度は一定と考えられるからである。
したがって、評価チューブ10の温度を、伝熱管101aの温度と同一となるように、ヒーター11への通電量を調整した場合、評価チューブ10の検出面Kの温度は、伝熱管101aの温度と同一となり、かつ、評価チューブ10の被覆部外面13aの温度より高いため、スケールのように、付着が温度に依存する汚れは、評価チューブ10の検出面Kに集中的に付着する。このため、評価チューブ10の検出面Kには、伝熱管101aと同じように、汚れが付着することとなり、この監視センサー5により、実機の伝熱管101aの汚れが適正に監視できることとなる。
また、この監視センサー5では、評価チューブ10の被覆部外面13aからの熱流束を小さくできるので、ヒーター11への通電量が小さくなり、従来のものに比べて、省電力化を達成することができる。さらに、この監視センサー5では、ヒーター11の小型化にともない、監視センサー5全体の小型化をも達成することができる。
なお、以上の説明では、伝熱面Aに付着する汚れを、スケールとして説明したが、これは、スライムによって形成されるバイオファウリングであってもよい。スライムは、30℃程度の伝熱面Aにはよく付着するからである。また、伝熱面Aには、スケールとバイオファウリングとが一体となって付着することもあるので、伝熱面Aに付着する汚れは、スケールとバイオファウリングであってもよい。
また、図4で示されるように、評価チューブ10の検出面Kは、平面状であってもよい。評価チューブ10の外面を所定の材料で被覆した後、被覆部13と評価チューブ10の一部を削ることにより、検出面Kが容易に形成できるからである。また、検出面Kが平面である場合、付着した汚れを除去するのも、容易となるからである。
さらに、温度センサー12は、評価チューブ10を2重にして、内外の評価チューブ10間に、これを挟み込ませるようにして、固定してもよい。
つぎに、汚れ監視装置1の作用等について説明する。
まず、熱交換器101の伝熱管101aの温度を決定する。伝熱管101aの温度は、被冷却流体Fと冷却水Wとの温度、及び、被冷却流体Fと冷却水Wとの伝熱境膜厚さにより決定されるので、計算で求めてもよいし、実機の熱交換器101において熱電対等を用いて測定してもよい。この場合、伝熱管101aの温度は、その長手方向に向かって変化するので、最も高い温度、すなわち、被冷却流体Fの入り口側(冷却水Wの出口側)のものを採用する。
まず、熱交換器101の伝熱管101aの温度を決定する。伝熱管101aの温度は、被冷却流体Fと冷却水Wとの温度、及び、被冷却流体Fと冷却水Wとの伝熱境膜厚さにより決定されるので、計算で求めてもよいし、実機の熱交換器101において熱電対等を用いて測定してもよい。この場合、伝熱管101aの温度は、その長手方向に向かって変化するので、最も高い温度、すなわち、被冷却流体Fの入り口側(冷却水Wの出口側)のものを採用する。
つづいて、冷却水システムC側の冷却水Wを、サンプル水W1として通水セル3に流す。この場合、流量調整弁2bと流量計2cとにより、サンプリングライン2内にサンプル水W1を一定流量で流すことにより、通水セル3内のサンプル水W1の流速を一定とし、監視センサー5の評価チューブ10の温度が、サンプル水W1の流速変動によって、変動しないようにする。
つづいて、監視センサー5の評価チューブ10の温度が、熱交換器101の伝熱管101aの温度になるように、ヒーター11への通電量(加熱電流Jの量)を増加させ、評価チューブ10の温度が伝熱管101aの温度に達すると、このときの通電量を固定する。このことにより、評価チューブ10の温度、すなわち、評価チューブ10の検出面Kの温度は、伝熱管101aの温度と同一と見なすことができる。この場合、評価チューブ10の温度が変動する条件として、サンプル水W1の温度変動と、評価チューブ10の検出面Kへの汚れの付着が考えられるので、評価チューブ10の温度と、そのときのサンプル水W1の温度との差(温度差)が、一定値(冷却水Wの伝熱境膜に基づく値であり、具体的には、汚れの付着していない評価チューブ10の温度とその時のサンプル水W1の温度との温度差)より大きければ、評価チューブ10に汚れが付着したこととなる。
すなわち、検出制御ユニット6は、監視センサー5からの温度信号P1に基づく評価チューブ10の温度と、温度計2dからの温度信号P2に基づくサンプル水W1の温度との温度差を算出し、この温度差が、一定値(冷却水Wの伝熱境膜に基づく値)より大きければ、評価チューブ10の検出面Kに汚れが付着したと判断し、この検出面Kへの汚れの付着を検出する。このことにより、伝熱管101aの伝熱面Aにも汚れが付着していると推定できるので、この汚れ監視装置1では、伝熱管101aの伝熱面Aへの汚れの付着を容易に検出することができる。
なお、上記実施の形態では、熱交換器101の伝熱管101aを例にとって説明したが、例えば、ボイラーの伝熱管(蒸発管)の内面(伝熱面)の汚れを監視するために、この汚れ監視装置1をボイラーのブローダウンラインに設置してもよい。
つぎに、監視センサー5の具体的な実験例について、従来の監視センサー200(以下比較例という)の場合と比較しつつ説明する。
まず、省電力化について説明する。
まず、省電力化について説明する。
評価チューブ10には、SUS304(熱伝導率が16.7W/m・k)の材質が使用されている。被覆部13は、検出面Kを形成するために、温度センサー12を中心として、幅3mm、長さ55mmだけテープでマスキングした後、評価チューブ10の外面に、シリコン樹脂系耐熱塗料(熱伝導率は不明だが、シリコンの熱導電率は0.1W/m・kとなる)を、0.1mmの厚さだけ塗装して形成されている。もちろん、監視センサー5は、評価チューブ10の外面に被覆部13を有しており、比較例である監視センサー200は、被覆部13を有していない。
そして、実施例の監視センサー5と比較例の監視センサー200とを、それぞれ、内径20mmの塩化ビニール製の通水セル3に設置し、この通水セル3に、評価チューブ10の外面側の流速が0.5m/sとなるように、水道水(水温30℃)を通水した。また、ヒーター11への通電量を調整して、評価チューブ10の温度が90℃となるようにし、そのときの電力量を測定した。なお、監視センサー5及び監視センサー200とも、同様にして製作したものを、各3本ずつ用意して、それぞれについて同様に調査した。調査結果は、図5に示されている。
図5から、監視センサー200を用いた比較例では、3本の監視センサー200の電力使用量は、231W〜320W(平均値が272.7W)と大きいが、監視センサー5を用いた実施例では、3本の監視センサー5の電力使用量は、141W〜158W(平均値が149.7W)と小さく、比較例の場合に比べて、約50%の省電力化が図られることが分かる。また、比較例の場合、3本の監視センサー200の電力使用量の標準偏差は、44.8Wであるが、実施例の場合の、3本の監視センサー5の電力使用量の標準偏差は、8.5Wと小さく、監視センサー5間で使用電力のばらつきが小さいことが分かる。
つぎに、上記各3本ずつの監視センサー5,200を用いて、模擬水によるスケール付着試験を実施した場合の結果について説明する。なお、サンプル水W1となる模擬水には、図6で示されるように、pHが同一で、カルシウム硬度、酸消費量(pH4.8)、マグネシウム硬度、シリカ、及びアクリル酸系スケール防止剤を同一量だけ含んだ水に、オルソリン酸を、それぞれ、1、3、5、7mgPO4/Lだけ溶解している4種類のものを準備した。
実施例の監視センサー5と比較例の監視センサー200とを、それぞれ、内径20mmの塩化ビニール製の通水セル3に設置し、この通水セル3に、評価チューブ10の外面側の流速が0.5m/sとなるように、4種類の模擬水を、各3日間ずつ循環させるようにして通水した。そして、評価チューブ10の温度が70℃となるように、ヒーター11への通電量を調整した後、これを固定し、その後、10分間隔で、温度センサー12からの温度を記録した。この場合、各模擬水の温度は、冷媒を用いて30℃で一定になるように調整しているので、評価チューブ10の温度上昇が、そのまま、評価チューブ10へのスケールの付着を示すこととなる。なお、実施例、比較例とも、それぞれ、3本ずつの監視センサー5,200について、スケール付着試験を実施している。
図7(a)は、監視センサー200を用いた比較例の場合の、リン酸濃度に対する、評価チューブ10の「温度上昇の傾き」の大きさを示しており、図7(b)は、監視センサー5を用いた実施例の場合の、リン酸濃度に対する、評価チューブ10の「温度上昇の傾き」の大きさを示している。この場合、「温度上昇の傾き」とは、所定時間における評価チューブ10の温度上昇割合を示しており、この値が大きいほど、評価チューブ10へのスケールの付着割合、すなわち、監視センサー200では、検出可能面Lに対するスケールの付着部分の割合、監視センサー5では、評価チューブ10の検出面Kに対するスケールの付着部分の割合、が大きいことを示している。
図7(a)の比較例の場合では、リン酸濃度が1mgPO4/Lのときに、比較例3について、また、リン酸濃度が3mgPO4/Lのときに、比較例1と比較例3について、評価チューブ10へのスケールの付着が検出され、スケールの付着検出にばらつきが見られるが、図7(b)の実施例の場合では、何れの実施例でも、リン酸濃度が5mgPO4/Lのときから、評価チューブ10へのスケールの付着が検出されている。このことから、監視センサー200を使用する場合に比べて、監視センサー5を使用する場合の方が、安定的にスケールの検出ができ、精度の高いスケール検出ができることが分かる。
また、アクリル酸系スケール防止剤が一定量入った状態で、評価チューブ10の温度が70℃で、リン酸濃度が1、3mgPO4/Lの条件では、一般的に、評価チューブ10へのスケールの付着は生じにくい。したがって、比較例の場合には、評価チューブ10の温度が、温度測定部分以外の場所で、70℃より大きくなっている所があるのではないかとも考えられる。このような監視センサー200を用いて、伝熱管101aに対する汚れの付着検出を行えば、伝熱管101aには汚れが付着していないにもかかわらず、監視センサー200により汚れを検出してしまうという不都合が生じ得る。
1 汚れ監視装置
2d 温度計
3 通水セル
5 監視センサー
6 検出制御ユニット
10 評価チューブ
10a 管肉部
10c 中空部
11 ヒーター
12 温度センサー
13 被覆部
13a 被覆部外面
101a 伝熱管
A 伝熱面
K 検出面
W 冷却水(加熱又は冷却される水)
W1 サンプル水
2d 温度計
3 通水セル
5 監視センサー
6 検出制御ユニット
10 評価チューブ
10a 管肉部
10c 中空部
11 ヒーター
12 温度センサー
13 被覆部
13a 被覆部外面
101a 伝熱管
A 伝熱面
K 検出面
W 冷却水(加熱又は冷却される水)
W1 サンプル水
Claims (5)
- モニタリング対象となる伝熱面を有する伝熱管と同一材料又は略同一材料から形成され、前記伝熱面を介して加熱又は冷却される水から採られたサンプル水と接触して、外面に、前記サンプル水に起因した汚れを付着させる評価チューブと、
前記評価チューブの中空部内に取り付けられ、通電により前記評価チューブの温度を前記伝熱管の温度まで上げることができるヒーターと、
前記評価チューブの前記ヒーターに隣接する管肉部内の温度を計測し、計測した温度の違いに基づいて、前記評価チューブへの前記汚れの付着検出を行わせる温度センサーとを有する汚れ監視センサーであって、
前記評価チューブの前記ヒーターと対向する外周面のうち、周方向位置が前記温度センサー側の部分を除いた残分を、熱伝導率が、前記評価チューブの熱伝導率と同じか又はそれより小さい材料で被覆し、前記被覆されない部分の温度が、前記評価チューブの被覆部外面の温度より高くなるようにしていることを特徴とする汚れ監視センサー。 - 前記評価チューブの前記被覆されない部分が、切削されて平面状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の汚れ監視センサー。
- 前記被覆する材料は、金属又は金属以外の耐熱材料であることを特徴とする請求項1又は2記載の汚れ監視センサー。
- 請求項1記載の汚れ監視センサーと、
前記汚れ監視センサーが取り付けられ、前記汚れ監視センサーの前記評価チューブの外面側に、前記サンプル水を一定流速で流す通水セルと、
前記サンプル水の温度を計測する温度計と、
前記汚れ監視センサーの前記温度センサーから出力される温度信号と前記温度計から出力される温度信号とから、前記評価チューブへの汚れの付着を検出する検出制御ユニットとを有することを特徴とする汚れ監視装置。 - 前記汚れが、スケール及び/又はバイオファウリングであることを特徴とする請求項4記載の汚れ監視装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013248724A JP2015105896A (ja) | 2013-11-29 | 2013-11-29 | 汚れ監視センサー及び汚れ監視装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2013248724A JP2015105896A (ja) | 2013-11-29 | 2013-11-29 | 汚れ監視センサー及び汚れ監視装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2015105896A true JP2015105896A (ja) | 2015-06-08 |
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ID=53436077
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2013248724A Withdrawn JP2015105896A (ja) | 2013-11-29 | 2013-11-29 | 汚れ監視センサー及び汚れ監視装置 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2015105896A (ja) |
-
2013
- 2013-11-29 JP JP2013248724A patent/JP2015105896A/ja not_active Withdrawn
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A621 | Written request for application examination |
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A761 | Written withdrawal of application |
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