JP2014112620A - 静電チャックおよびその製造方法 - Google Patents

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Kenichi Fukazawa
健一 深澤
Tetsuo Kitabayashi
徹夫 北林
Hisanori Aoyama
久範 青山
Hironori Ishida
弘徳 石田
Tomoyuki Ogura
知之 小倉
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Taiheiyo Cement Corp
NTK Ceratec Co Ltd
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Taiheiyo Cement Corp
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Abstract

【課題】基台と絶縁体との接合面における剥離等の発生頻度の低下に加えて、絶縁性および静電吸着性の均等化を図りうる静電チャックおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】静電チャックを構成する基台10は、開気孔率が0.5%以下であり、かつ、Al含有量が60〜90wt%の範囲に含まれているAl−SiC複合材料により構成されている。基台10に接合されている絶縁体20は、Al23またはY23を原料とするセラミックス溶射膜により構成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体ウエハ、フラットディスプレイパネル、フレキシブル基板などを吸着保持する静電チャックに関する。
金属−セラミックス複合材料(MMC)により構成される基台と、セラミックス溶射膜により構成され、かつ、電極が埋設されている絶縁体とが接合された構成の静電チャックが提案されている(特許文献1参照)。
特許第4064835号公報
しかし、基台と絶縁体との熱膨張率の差に由来して、ウエハ等の吸着保持対象の加熱に伴う静電チャックの昇温によって両者の接合面に剥離、割れまたはクラック等が発生する可能性がある。吸着保持対象であるウエハ等の大型化に伴う静電チャックの大型化によりこの問題はより顕著になる。また、絶縁体との熱膨張率の差を小さくすることが偏重されることによりMMCの加工性が低下し、基台に対してセラミックス溶射膜を形成する粗面化処理等の前処理が不十分となって両者の接合強度が低下する場合がある。
また、MMCにより構成される基台表面におけるボイドが過多である場合、当該表面に形成されるセラミックス溶射膜の厚みにむらが生じる。このため、当該膜において局所的に薄い箇所の耐電圧が低くなって絶縁破壊を起こす可能性が高くなる。さらに、セラミックス溶射膜の表面電位にもむらが生じる。
そこで、本発明は、基台と絶縁体との接合面における剥離等の発生頻度の低下に加えて、絶縁性および静電吸着性の均等化を図りうる静電チャックおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の静電チャックは、基台と、前記基台を被覆する絶縁体と、前記絶縁体に埋設されている電極と、を備えている静電チャックであって、前記絶縁体が、Al23またはY23を原料とするセラミックス溶射膜により構成され、前記基台が、開気孔率が0.5%以下であり、かつ、Al含有量が60〜90wt%の範囲に含まれているAl−SiC複合材料により構成されていることを特徴とする。
本発明の方法は、基台と、前記基台を被覆する絶縁体と、前記絶縁体に埋設されている電極と、を備えている静電チャックの製造方法であって、AlおよびSiCを原料として熱間鍛造法にしたがってAl含有量が60〜90wt%の範囲に含まれているAl−SiC複合材料を前記基台として作製する工程と、前記基台に対して、Al23またはY23を原料粉末として溶射することによりセラミックス溶射膜により構成される前記絶縁体の一部である下部絶縁層として形成する工程と、前記下部絶縁層に前記電極を構成する電極層を溶射により形成する工程と、前記電極層を覆うようにAl23またはY23を原料粉末として溶射することによりセラミックス溶射膜により構成される前記絶縁体の残部である上部絶縁層として形成する工程と、を備えていることを特徴とする。
本発明の静電チャックによれば、基台を構成するMMCおよび絶縁体を構成するセラミックス溶射膜のそれぞれの材質の設計により、当該基台および当該絶縁体の熱膨張率の差の低下が図られている。さらに、基台の開気孔率の設計により、当該基台の表面に形成されるセラミックス溶射膜の厚さの均等化が図られる。よって、基台と絶縁体との接合面における剥離等の発生頻度の低下に加えて、絶縁性および静電吸着性の均等化を図りうる。
本発明の方法によれば、基台を構成するMMCおよび絶縁体を構成するセラミックス溶射膜のそれぞれの材質の設計により、当該基台および当該絶縁体の熱膨張率の差の低下が図られている。また、熱間鍛造法にしたがって基台が作製されることにより、当該基台に存在するボイドの低減、ひいては当該基台の表面に形成されるセラミックス溶射膜の厚さの均等化が図られる。よって、前記のように基台と絶縁体との接合面における剥離等の発生頻度の低下に加えて、絶縁性および静電吸着性の均等化を図りうる静電チャックが製造されうる。
本発明の一実施形態としての静電チャックの構成説明図。
(静電チャックの構成)
図1に示されている本発明の一実施形態としての静電チャックは、基台10と、基台10の上面に対して接合されている絶縁体20と、絶縁体20に埋設されている静電チャック電極40とを備えている。
基台10は、熱間鍛造法にしたがって作製され、開気孔率が0.5%以下であり、かつ、Al含有量が60〜90wt%の範囲に含まれているAl−SiC複合材料(MMC)により構成されている。基台10には、給電線41を被覆する筒状部材42を通すための貫通孔が形成されている。
絶縁体20は、基台10に対して接合されている下部絶縁層21および下部絶縁層21に対して電極40を間に挟んだ状態で接合されている上部絶縁層22により構成されている。下部絶縁層21および上部絶縁層22のそれぞれは、Al23またはY23を原料とするセラミックス溶射膜により構成されている。下部絶縁層21には、給電線41を被覆する筒状部材42を通すための貫通孔が設けられている。
絶縁体20の耐電圧特性の向上の観点から、特許文献1に記載されているように、下部絶縁層21が、基台10上に形成された上で封孔処理された第1絶縁層と、第1絶縁層上に形成された第2絶縁層とにより構成されていてもよい。
静電チャック電極40は、Ni等の金属により構成され、当該電極40に給電線41を通じて電圧が印加されることにより、上部絶縁層22に載置されたウエハ等が静電チャックに吸着保持される。給電線41は、基台10および下部絶縁層21により支持されるセラミックス製の筒状部材42により被覆された状態で静電チャック電極40に接続されている。筒状部材42は、たとえば絶縁体20を構成するセラミックスと同系統のセラミックスの焼結体からなる。
静電チャック電極40よりも基台10に近い箇所で静電チャック電極40から離反しているヒータ電極が絶縁体20に埋設されていてもよい。この場合、絶縁体20は、ヒータ電極および静電チャック電極40のそれぞれを挟むように3つの絶縁層により構成される。
(静電チャックの製造方法)
図1に示されているような構成の静電チャックは、以下の手順にしたがって製造される。
AlおよびSiCを原料として、熱間鍛造法にしたがってAl含有量が60〜90wt%の範囲に含まれているAl−SiC複合材料からなる基台10が作製される。基台10の上面が、必要に応じて均等に粗面化処理またはブラスト処理され、さらに適宜洗浄される。熱間鍛造法としては、特開2012−224936号公報に記載されている方法が採用される。
Al23またはY23粉末が原料セラミックス粉末として、基台10の上面を覆うように溶射されることにより、所定の厚さ(たとえば400〜500μm)の下部絶縁層21が形成される。基台10の上面に下部絶縁層21との密着性を高めるため、金属薄膜がアーク溶射法またはプラズマ溶射法にしたがってアンダーコート層として形成されてもよい。下部絶縁層21の形成時点で、筒状部材42が給電線41とともに基台10の貫通孔に挿入されていてもよい。
下部絶縁層21の上面に静電チャック電極40を構成する所定の厚さ(たとえば50μm)の電極層が形成される。電極層の形成方法としては、プラズマ溶射法等、さまざまな方法が採用されうる。
さらに、下部絶縁層21と同じ原料セラミックス粉末が、静電チャック電極40を覆うように溶射されることにより、所定の厚さ(たとえば400〜500μm)の上部絶縁層22が形成される。そして、上部絶縁層22の表面に封孔処理、研削加工およびラッピング加工処理が順に施される。
(実験結果)
Al−SiC複合材料からなる200[mm]×200[mm]×t10[mm]の基台10の上面にt0.5[mm]のAl23溶射膜からなる絶縁体20が形成されることにより、実施例1〜4の試料および比較例1〜6の試料が製造された。表1に示されているように、実施例1〜4ならびに比較例5および6のそれぞれの基台10は熱間鍛造法にしたがって作製され、比較例1〜4の基台10は鋳造法(鋳込み法)にしたがって作製された。実施例1〜4および比較例1〜6のそれぞれの基台10の原料であるAlおよびSiCの質量比が、表1に示されているように調節された。
各試料の基台10の開気孔率が測定された。25〜250[℃]の熱サイクルが50回繰り返された後、基台10と絶縁体20との接合面における割れまたはクラックの有無が確認された。各試料が油槽に沈められた後、基台10の下面および絶縁体20の上面のそれぞれに電極が取り付けられ、当該電極間に電圧が印加された上で絶縁破壊の有無または絶縁破壊電圧が測定された。各試料の表面の複数個所(たとえば9箇所)のそれぞれにおける表面電位が測定され、表面電位の最大値−最小値の偏差Δが測定された。当該測定結果が表1にまとめて示されている。
Figure 2014112620
表1によれば、基台10が「熱間鍛造法」にしたがって作製され、開気孔率が0.5%以下であり、かつ、Al含有量が60〜90wt%の範囲に含まれているAl−SiC複合材料により構成されている実施例1〜4の試料によれば、基台10と絶縁体20との接合界面に割れ等が発生せず、5[kV]の電圧が印加されても絶縁破壊は生じず、かつ、表面電位差Δは2[V]以下である。
また、Al含有量が60〜90wt%の範囲に含まれているものの、基台10が「鋳造法」にしたがって作製され、かつ、開気孔率が0.5%を超えて1.1〜2.8%であるAl−SiC複合材料により構成されている比較例1〜4の試料によれば、5[kV]より低い0.7〜1.8[kV]の範囲で絶縁破壊が生じ、かつ、表面電位差Δは2[V]より大きい21〜40[V]である。基台10が「熱間鍛造法」にしたがって作製されたものの、Al含有量が前記範囲の上限である90wt%を上回る95wt%である比較例5の試料によれば、熱サイクル試験中に基台10と絶縁体20との接合界面に割れが発生し、基台10と絶縁体20とが剥離した。基台10が「熱間鍛造法」にしたがって作製されたものの、Al含有量が前記範囲の下限である60wt%を下回る30wt%である比較例6の試料によれば、溶射膜形成前の基台10の表面加工に際してSiC量の多さに由来してその表面粗さが小さくなり、溶射膜を形成したが熱サイクル試験途中で基台10と絶縁体20とが剥離した。
10‥基台、20‥絶縁体、21‥下部絶縁層、22‥上部絶縁層、40‥電極。

Claims (2)

  1. 基台と、前記基台を被覆する絶縁体と、前記絶縁体に埋設されている電極と、を備えている静電チャックであって、
    前記絶縁体が、Al23またはY23を原料とするセラミックス溶射膜により構成され、
    前記基台が、開気孔率が0.5%以下であり、かつ、Al含有量が60〜90wt%の範囲に含まれているAl−SiC複合材料により構成されていることを特徴とする静電チャック。
  2. 基台と、前記基台を被覆する絶縁体と、前記絶縁体に埋設されている電極と、を備えている静電チャックの製造方法であって、
    AlおよびSiCを原料として熱間鍛造法にしたがってAl含有量が60〜90wt%の範囲に含まれているAl−SiC複合材料を前記基台として作製する工程と、
    前記基台に対して、Al23またはY23を原料粉末として溶射することによりセラミックス溶射膜により構成される前記絶縁体の一部である下部絶縁層として形成する工程と、
    前記下部絶縁層に前記電極を構成する電極層を溶射により形成する工程と、
    前記電極層を覆うようにAl23またはY23を原料粉末として溶射することによりセラミックス溶射膜により構成される前記絶縁体の残部である上部絶縁層として形成する工程と、を備えていることを特徴とする方法。
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