JP2014110365A - 半導体装置およびその製造方法 - Google Patents

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豪 加藤
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Abstract

【課題】半導体装置の特性を向上する。
【解決手段】リッジ構造部を有する半導体装置の製造方法において、「高速変調動作に必要な厚い絶縁膜を、リッジ構造部(メサ構造部)を形成する前に形成し、その後、リッジ構造部を形成する」という半導体装置の製造方法を採用する。これにより、CVD法によって電極パッドPDの下層に厚い絶縁膜を形成しても、この絶縁膜を形成する工程よりも後の工程で形成するリッジ構造部には、厚い絶縁膜で覆われることにより生じるリッジ構造部の近傍に加わる応力を回避できる。この結果、リッジ構造部に応力が加わることに起因する活性層の特性劣化を効果的に防止することができる。
【選択図】図11

Description

本発明は、半導体装置およびその製造方法に関し、例えば、半導体レーザや光変調器に代表される光半導体素子を含む半導体装置およびその製造技術に適用して有効な技術に関する。
特開平4−159784号公報(特許文献1)には、中央円部と周縁部が溝によって分離されおり、中央円部に発光素子が形成されているとともに、周縁部に電極が形成されている構造が記載されている。この構造では、周縁部に形成されている電極の下層に絶縁膜が形成されており、この絶縁膜と同層の絶縁膜が中央円部に形成されている発光素子上にも形成されている。
特開平8−316579号公報(特許文献2)には、リッジ構造部(メサ構造部とも呼ばれる)を備える光変調器が記載されている。この光変調器では、リッジ構造部の側面を埋め込むように、スピンオングラスからなる絶縁膜が形成され、この絶縁膜上に電極パッドが形成されている。
特開2004−128360号公報(特許文献3)には、基板上に半導体メサ部が形成され、この半導体メサ部の側面および上面を覆うように、例えば、ポリイミド樹脂やビスベンゾシクロブテンからなる樹脂体が形成されている。そして、この樹脂体上に、半導体メサ部と電気的に接続される電極が形成されている。
特開平9−45954号公報(特許文献4)には、半導体基板の平坦な表面領域からなるボンディング領域において、素子容量を低減させるために、半導体基板上に絶縁膜を形成し、この絶縁膜上に電極を設ける技術が記載されている。
特開平4−159784号公報 特開平8−316579号公報 特開2004−128360号公報 特開平9−45954号公報
例えば、半導体レーザや光変調器に代表される光半導体素子において高速変調動作をさせる場合、光半導体素子と電気的に接続される電極パッド(引き出し電極)と半導体基板の間に生じる寄生容量を低減することが大変重要である。このため、通常、電極パッドと半導体基板との間、すなわち、電極パッドの下層に、例えば、1μm以上の厚い絶縁膜を形成することが行なわれている。
ここで、高速変調動作させる光半導体素子の素子構造としては、例えば、幅および高さが2μm程度の細いリッジ構造部(メサ構造部)を有するものが代表的である。このような構造の光半導体素子では、例えば、リッジ構造部を形成した後、半導体基板の表面全体に上述した厚い絶縁膜を形成することが考えられる。ところが、この場合、リッジ構造部を覆うように厚い絶縁膜が形成されることになり、例えば、厚い絶縁膜を成膜する過程における昇降温でリッジ構造部に応力が加わってしまうことになる。この結果、リッジ構造部を有する光半導体素子の特性に影響を与えるおそれがあることを本発明者は新たに見出した。
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
一実施の形態における半導体装置の製造方法によれば、リッジ構造部を形成する前に、パッド下地用絶縁膜を形成するものである。そして、一実施の形態における半導体装置において、リッジ構造部の上面および側面に形成されている絶縁膜の膜厚は、電極パッドの下方に形成されているパッド下地用絶縁膜の膜厚よりも薄く形成されている。
一実施の形態によれば、半導体装置の特性を向上することができる。
関連技術における半導体装置の模式的な構成を示す斜視図である。 関連技術における半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図2に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図3に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図4に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図5に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図6に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 表面保護膜を厚く形成する構成例を示す断面図である。 活性層の光学活性の劣化を検証するための測定構成を示す模式図である。 図9に示す測定構成における検証結果を示すグラフである。 基本形態における半導体装置の製造方法の流れを説明するフローチャートである。 基本形態における半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図12に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図13に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図14に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図15に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図16に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 基本形態において、図9に示す測定構成における検証結果を示すグラフである。 実施の形態1における半導体レーザの概略構成を示す斜視図である。 実施の形態1における半導体レーザの製造工程を示す断面図である。 実施の形態1における半導体レーザの製造工程を示す断面図である。 図21に続く半導体レーザの製造工程を示す断面図である。 図22に続く半導体レーザの製造工程を示す断面図である。 図23に続く半導体レーザの製造工程を示す断面図である。 図24に続く半導体レーザの製造工程を示す断面図である。 図25に続く半導体レーザの製造工程を示す断面図である。 図26に続く半導体レーザの製造工程を示す断面図である。 図27に続く半導体レーザの製造工程を示す断面図である。 図28に続く半導体レーザの製造工程を示す断面図である。 図29に続く半導体レーザの製造工程を示す断面図である。 図30に続く半導体レーザの製造工程を示す断面図である。 図31に続く半導体レーザの製造工程を示す断面図である。 実施の形態2における光変調器の概略構成を示す斜視図である。 (A)は、電圧を印加していない状態を示す活性層のバンド図であり、(B)は、電圧を印加した状態の活性層のバンド図である。 半導体レーザを直接変調させる構成を示す回路図である。 光変調器で変調動作を実現するための構成を示す回路図である。 実施の形態2における光変調器の製造工程を示す断面図である。 実施の形態2における光変調器の製造工程を示す断面図である。 図38に続く光変調器の製造工程を示す断面図である。 図39に続く光変調器の製造工程を示す断面図である。 図40に続く光変調器の製造工程を示す断面図である。 図41に続く光変調器の製造工程を示す断面図である。 図42に続く光変調器の製造工程を示す断面図である。 図43に続く光変調器の製造工程を示す断面図である。 図44に続く光変調器の製造工程を示す断面図である。 実施の形態3における半導体装置の概略構成を示す斜視図である。 実施の形態3における半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図47に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図48に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図49に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 実施の形態3における半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図51に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図52に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図53に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図54に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図55に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図56に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 実施の形態3における半導体装置の製造工程を示す断面図である。 実施の形態3における半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図59に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図60に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図61に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図62に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。 図63に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
また、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、図面をわかりやすくするために平面図であってもハッチングを付す場合がある。
(基本形態)
以下では、まず、基本形態における半導体装置に関連した関連技術について説明し、その後、この関連技術に存在する改善の余地について説明する。そして、この関連技術に存在する改善の余地に対する工夫を施した基本形態における技術的思想について説明することにする。
<関連技術の説明>
図1は、関連技術における半導体装置(光半導体素子)の模式的な構成を示す斜視図である。この関連技術における半導体装置としては、例えば、半導体レーザや電界吸収型光変調器を想定しており、電界吸収型光変調器においては、20Gbps以上の高速駆動を想定している。
図1において、関連技術における半導体装置においては、例えば、n型のInPからなる半導体基板1S上に活性層MQWを有している。この活性層MQWは、多重量子井戸構造をしており、半導体レーザにおいては、発光層として機能する層であり、光変調器においては、変調光学作用をもたらす層として機能する。そして、この平坦な活性層MQW上には、例えば、InP層からなるリッジ構造部RGが形成されている。なお、図1に示す関連技術においては、平坦な活性層MQW上にリッジ構造部RGが形成されているが、細いリッジ構造部RGの内部に活性層MQWが含まれる場合もある。
また、関連技術においては、リッジ構造部RGと離間して、活性層MQW上に半導体の台地部PEDが形成されている。具体的には、リッジ構造部RGと台地部PEDとは、平面視において、リッジ構造部RGと台地部PEDに挟まれた溝部DUによって分離されている。そして、リッジ構造部RG、台地部PEDおよび溝部DU上にわたって表面保護膜PAS(パッシベーション膜)が形成されている。このとき、リッジ構造部RGを覆う表面保護膜PASには、開口部OP1が形成されており、この開口部OP1からリッジ構造部RGの上面が露出している。そして、開口部OP1から露出するリッジ構造部RGの上面と電気的に接続するように電極ELが形成されている。一方、溝部DUの内部から台地部PED上にわたって、例えば、ポリイミド樹脂膜やベンゾシクロブテン(BCB)などからなる樹脂膜RFが表面保護膜PASを介して形成され、この樹脂膜RF上に接続配線WLおよび電極パッドPDが形成されている。すなわち、関連技術においては、リッジ構造部RG上に形成されている電極ELと、表面保護膜PASおよび樹脂膜RFを介した台地部PED上に形成されている電極パッドPDが、溝部DUの一部に埋め込まれた樹脂膜RF上に形成されている接続配線WLによって電気的に接続されている。このことから、関連技術においては、電極パッドPDとリッジ構造部RGが接続配線WLおよび電極ELを介して電気的に接続されることになる。これにより、関連技術における半導体装置では、外部から例えば、電極パッドPD→接続配線WL→電極ELを介してリッジ構造部RGに電流や電圧を供給することができる。
ここで、例えば、半導体レーザを直接変調するように構成された半導体装置や光変調器からなる半導体装置に着目すると、この半導体装置の駆動速度は、電気容量によって決定される。この半導体装置の駆動速度を決定する電気容量は、リッジ構造部RGの近傍に生じる電気容量と、電極パッドPDの近傍に生じる電気容量に概ね分けられる。例えば、リッジ構造の近傍に生じる電気容量は、接続配線WLと半導体基板1Sとの間の寄生容量によって生じ、電極パッドPDの近傍に生じる電気容量は、電極パッドPDと半導体基板1S間との間の寄生容量によって生じる。
半導体装置における高速の変調動作には、上述した電気容量(寄生容量)を低減することが必要である。例えば、リッジ構造部RGに生じる寄生容量を考慮した上で、電極パッドPDの近傍における電気容量に関して言えば、20Gbpsの高速変調に対しては、概ね0.1pF以下、40Gbpsの高速変調に対しては、概ね0.04pF以下に抑制する必要がある。このような電気容量からの要求を満たすため、関連技術においては、図1に示すように、電極パッドPDおよび接続配線WLの下層にポリイミド樹脂膜やベンゾシクロブテン(BCB)からなる樹脂膜RFを形成している。すなわち、寄生容量は、電極間に介在する容量絶縁膜の膜厚が厚くなればなるほど容量値が減少することから、例えば、関連技術においては、電極パッドPDの下層、および、接続配線WLの下層に絶縁膜である樹脂膜RFを形成しているのである。つまり、関連技術において、樹脂膜RFは、寄生容量を低減するために挿入されており、この樹脂膜RFの膜厚は、例えば、1.5μmから3.0μm程度である。
関連技術における半導体装置は上記のように構成されており、以下では、特に、寄生容量を低減する機能を有する樹脂膜RFに着目して、関連技術における半導体装置の製造方法について図面を参照しながら説明する。
まず、図2に示すように、半導体基板1S上に活性層MQWを形成し、この活性層MQW上に半導体層を形成する。そして、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、この半導体層をパターニングする。これにより、半導体層からなるリッジ構造部RGと、半導体層からなる台地部PEDを形成する。このとき、リッジ構造部RGと台地部PEDは、溝部DUによって離間するように形成される。言い換えれば、平面視において、リッジ構造部RGと台地部PEDの間に溝部DUが形成され、この溝部DUによって、リッジ構造部RGと台地部PEDが分離される。
続いて、図3に示すように、溝部DUで分離されたリッジ構造部RGと台地部PEDを形成した半導体基板1S上に表面保護膜PAS1を形成する。この表面保護膜PAS1は、例えば、酸化シリコン膜や窒化シリコン膜から形成され、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法を使用することにより形成することができる。その後、この表面保護膜PAS1上に樹脂膜RFを形成する。この樹脂膜RFは、例えば、ポリイミド樹脂やベンゾシクロブテン(BCB)などから形成され、例えば、スピン塗布および熱硬化での固化処理によって形成される。すなわち、樹脂膜RFは、スピン塗布法により、表面保護膜PAS1上に塗布された後、熱硬化での固化処理によって形成される。
次に、図4に示すように、フォトリソグラフィ技術を使用することにより、樹脂膜RFをパターニングする。樹脂膜RFのパターニングは、台地部PED上および溝部DUを埋め込み、かつ、リッジ構造部RGと接するように実施される。その後、図5に示すように、パターニングした樹脂膜RF上を含む表面保護膜PAS1上に表面保護膜PAS2を形成する。この表面保護膜PAS2は、例えば、酸化シリコン膜や窒化シリコン膜から形成され、例えば、CVD法により形成することができる。
続いて、図6に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、リッジ構造部RG上に形成されている表面保護膜PAS1および表面保護膜PAS2を貫通する開口部OP1を形成する。これにより、リッジ構造部RGの上面は、開口部OP1によって露出することになる。その後、図7に示すように、開口部OP1を形成した表面保護膜PAS2上に、例えば、めっき法を使用することにより、電極パッドPD、接続配線WLおよび電極ELを形成する。具体的に、開口部OP1を介してリッジ構造部RGの上面と接続する電極ELが形成され、この電極ELと電気的に接続されるように接続配線WLが形成される。そして、この接続配線WLと電気的に接続される電極パッドPDが、表面保護膜PAS1、樹脂膜RFおよび表面保護膜PAS2を介した台地部PED上に形成される。
このように関連技術においては、幅や高さが2μm程度のリッジ構造部RGを形成した後、CVD法による表面保護膜PAS1を形成し、この表面保護膜PAS1上に、スピン塗布法および熱硬化での固化処理によって樹脂膜RFを形成する。その後、樹脂膜RF上にCVD法による表面保護膜PAS2を形成し、最終的に、表面保護膜PAS2上に電極EL、接続配線WLおよび電極パッドPDを形成する。以上のようにして、関連技術における半導体装置を製造することができる。
このとき、関連技術における半導体装置では、電極パッドPDおよび接続配線WLの下層にポリイミド樹脂膜やベンゾシクロブテン(BCB)からなる樹脂膜RFを形成しているため、寄生容量を低減することができる。ここで、関連技術では、寄生容量を低減するために形成される絶縁膜として、スピン塗布法および熱硬化による固化処理によって形成される樹脂膜RFを使用している。この理由は、スピン塗布法および熱硬化による固化処理で形成される樹脂膜RFでは、リッジ構造部RGと台地部PEDとを分離している溝部DUを容易に埋め込むことができ、樹脂膜の平坦化を実現することができるため、これによるプロセス上の利点を有しているからである。
ところが、本発明者が検討したところ、スピン塗布法および熱硬化での固化処理による樹脂膜RFにおいては、改善の余地が存在することを新たに見出した。以下に、この関連技術の有する改善の余地について説明する。
<関連技術に存在する改善の余地>
ポリイミド樹脂やベンゾシクロブテン(BCB)に代表されるスピン塗布法および固化処理による樹脂膜RFの成膜方法では、熱硬化処理(キュア)による固化時に樹脂膜RFが大きく収縮するという現象が起きる。したがって、パターン設計においては、樹脂膜RFの収縮を考慮して設計し、収縮量の再現性を確保するようにプロセス管理する必要がある。さらに、大きな問題点としては、樹脂膜RFの収縮の際、半導体構造に応力が加わり、この応力が強い場合には、見た目にも半導体基板が反ってしまう程で、半導体構造に損傷を生じる場合もあることである。このことから、一度に樹脂膜RFを所望の厚さまで塗布することは行われず、薄く樹脂膜RFを塗布する工程を何段かで繰り返すことが行なわれている。つまり、樹脂膜RFでは、固化処理時の収縮に対応して、多重塗りなどの複雑な工程が必要となる。
また、CVD法で形成された表面保護膜PAS1との密着性が充分ではなく、樹脂膜RFの固化時の収縮により、特に、リッジ構造部RGの側面での表面保護膜PS1と樹脂膜RFとの剥離が発生しやすく、プロセス上の信頼性を確保することが困難となる。さらには、樹脂膜RFと金属膜(電極パッドPD、接続配線WL)との密着性はさらに弱く、このため、電極パッドPD上へワイヤを接続する際(ワイヤボンディング工程の際)、電極パッドPDの剥離が生じやすい。そこで、樹脂膜RF上に直接、電極パッドPDや接続配線WLを構成する金属膜を形成するのではなく、樹脂膜RF上に、さらに、例えば、CVD法で形成された表面保護膜PAS2を形成し、この表面保護膜PAS2上に金属膜を形成することも必要となる。したがって、この点においても、プロセス工程が複雑となり、かつ、条件管理が大変になるという事態が生じることになる。
以上のことから、スピン塗布法および熱硬化での固化処理による樹脂膜RFを使用するプロセス工程は、複雑で、プロセス条件も詳細に詰めて管理する必要がある。さらに言えば、スピン塗布法および熱硬化での固化処理による樹脂膜RFを使用する場合には、スピン塗布および固化成膜のための設備の追加と追加の条件設定が必要となり、この要素が製造コストの上昇に繋がっている。このことから、関連技術のように樹脂膜RFを使用する構成においては、さらなる改善の余地が存在することがわかる。
この点に関し、高速変調動作を実現するために寄生容量を低減する観点から、電極パッドPDの下層に形成する厚い絶縁膜として、関連技術のように樹脂膜RFを使用するのではなく、例えば、図8に示すように、表面保護膜PAS1自体の膜厚を厚くすることが考えられる。図8は、表面保護膜PAS1を厚く形成する構成例を示す断面図である。この場合、関連技術のような樹脂膜RFを使用しないため、複雑な工程が不要となるとともに、詳細な条件設定の必要性もなくなる。言い換えれば、スピン塗布法および固化成膜のための設備の追加と追加の条件設定が不要となるため、プロセス工程を簡略化およびコスト低減を図ることができるとともに、実績のあるCVD法による表面保護膜PAS1を使用することにより、半導体装置の信頼性も向上させることができると考えられる。
ところが、本発明者の検討によると、実際には、表面保護膜PAS1の厚さを1.5μm以上にすると、以下に示す改善の余地が顕在化することが判明した。すなわち、寄生容量を低減するために、表面保護膜PAS1の厚さを厚くすると、特に、リッジ構造部RGを覆う表面保護膜PAS1の膜厚が厚くなる結果、リッジ構造部RGの下部およびその近傍の活性層MQWの特性劣化が顕在化することが判明した。具体的に、活性層MQWの特性劣化は、半導体レーザの場合は、活性層MQWの光学活性の劣化として顕在化し、光変調器の場合は、活性層MQWの吸収効率の低下として顕在化する。
このような活性層MQWの特性劣化が生じる原因としては、半導体材料と、CVD法による表面保護膜PAS1との熱膨張率の相違に起因すると推察される。すなわち、CVD法による表面保護膜PAS1の成膜工程での昇降温では、熱膨張率の相違から、例えば、図8の矢印で示すように、リッジ構造部RG(半導体構造)に応力が加わり、この影響によって、活性層MQWの特性劣化が生じると推察される。
そして、この影響は、非可逆的であることがわかっている。つまり、CVD法によって表面保護膜PAS1を成膜した後に、パターニングによって電極パッドPDの周辺領域に表面保護膜PAS1を残し、かつ、リッジ構造部RGの周囲の表面保護膜PAS1を除去しても、一度加わった応力の影響により、活性層MQWの特性は、劣化したまま回復しないのである。具体的に、この影響を詳細に検証した結果を以下に示す。特に、以下では、活性層MQWの特性劣化のうち、光学活性の劣化に着目した観点からの検証結果について説明する。
図9は、活性層MQWの光学活性の劣化を検証するための測定構成を示す模式図である。図9において、例えば、リッジ構造部RG近傍の活性層MQWに対して、アルゴンレーザ光LS(Arレーザ光)を照射し、これによって生じるフォトルミネッセンスPLに基づく発光強度を測定することにより、活性層MQWの光学活性を評価している。すなわち、活性層MQWにバンドギャップ以上のエネルギーを有するアルゴンレーザ光LSを照射すると、活性層MQWにおいて、価電子帯から伝導帯に電子が励起される。そして、この励起された電子が価電子帯に遷移する際に発生する光(フォトルミネッセンス光:PL光)を観測することにより、活性層MQWの光学活性を評価するものである。例えば、活性層MQWの光学活性が劣化していない場合には、PL光の強度が大きくなるが、活性層MQWの光学活性が劣化している場合には、PL光の強度が低下する。このことから、PL光の発光強度を測定することにより、活性層MQWの光学活性の劣化を評価することができる。
図10は、図9に示す測定構成における検証結果を示すグラフである。図10において、横軸は、CVD法による成膜条件を示しており、縦軸は、それぞれの成膜条件におけるフォトルミネッセンス強度(PL強度)を示している。
図10において、四角印に着目すると、四角印は、成膜および剥離を一回ずつ実施した条件で、それぞれの相違点は、成膜した膜の膜厚である。この四角印を見てわかるように、CVD法により形成された膜の膜厚が1.4μm以上になると、PL強度が著しく低下し、活性層MQWにおける光学活性が劣化していることがわかる。つまり、高速変調動作を実現するために厚い表面保護膜PAS1を形成すると、活性層MQWにおける光学活性が著しく劣化することがわかる。
一方、図10において、CVD法により形成された膜の膜厚が0.7μm以下にすると、PL光の強度低下は軽微であるが、この膜を所望の膜厚にするため、CVD法による成膜とパターニングを繰り返すと、累積の影響は無視できなくなることがわかる。具体的に、
×印に着目する。×印は、膜厚を0.7μmとした状態で、成膜と剥離の回数を増加させる場合に対応しており、成膜と剥離の回数が増加するにつれて、PL強度が低下していることがわかる。このことは、CVD法により形成する膜の膜厚を薄くして、かつ、多数回の成膜および剥離を繰り返して所望の膜厚を実現する場合であっても、活性層MQWの光学活性の劣化が生じることを意味している。
このように、寄生容量を低減するために、表面保護膜PAS1の厚さを厚くすると、特に、リッジ構造部RGを覆う表面保護膜PAS1の膜厚が厚くなる結果、リッジ構造部RGの下部およびその近傍の活性層MQWの特性劣化(光学活性の劣化)が顕在化することが判明した。さらに、活性層MQWの光学活性の劣化が生じるということ、例えば、光変調器における吸収効率の低下とは関連性が存在するため、活性層MQWの光学活性が劣化するということは、同時に、吸収効率の低下が存在することを意味している。
以上のことをまとめると以下のようになる。すなわち、半導体レーザや光変調器に代表される光半導体素子を含む半導体装置においては、高速変調動作を実現するために、特に、電極パッドPDと半導体基板1Sとの間の電気容量(寄生容量)を低減する必要がある。ところが、寄生容量を低減するために、電極パッドPDの下層に樹脂膜RFを形成する関連技術においては、スピン塗布法および固化成膜のための設備の追加と追加の条件設定が必要となり、プロセスが複雑化する。
これに対し、表面保護膜PAS1自体の膜厚を厚くすることが考えられる。この場合、関連技術のような樹脂膜RFを使用しないため、複雑な工程が不要となるとともに、詳細な条件設定の必要性もなくなる。言い換えれば、スピン塗布法および固化成膜のための設備の追加と追加の条件設定が不要となるため、プロセス工程を簡略化およびコスト低減を図ることができるとともに、実績のあるCVD法による表面保護膜PAS1を使用することにより、半導体装置の信頼性も向上させることができると考えられる。
しかし、表面保護膜PAS1自体の膜厚を厚くする方法では、リッジ構造部RGに応力が加わり、リッジ構造部RGの下部や近傍に存在する活性層MQWの特性劣化を引き起こすという新たな改善の余地が存在するのである。
そこで、以下に示す基本形態では、プロセス工程の簡略化、製造コストの低減および半導体装置の信頼性向上を図る観点から、活性層MQWの特性劣化を抑制する工夫を施している。以下に、この工夫を施した基本形態について、図面を参照しながら説明する。
<基本形態の説明>
基本形態では、リッジ構造部RGを有する半導体装置の製造方法において、上述した改善の余地に対する解決手段として、「高速変調動作に必要な厚い絶縁膜を、リッジ構造部RG(メサ構造部)を形成する前に形成し、その後、リッジ構造部RGを形成する」という半導体装置の製造方法を採用する点に特徴点がある。
これにより、CVD法によって電極パッドPDの下層に厚い絶縁膜を形成しても、この絶縁膜を形成する工程よりも後の工程で形成するリッジ構造部RGには、厚い絶縁膜で覆われることによって、リッジ構造部RGの近傍に応力が加わることを防止できる。この結果、基本形態によれば、リッジ構造部RGに応力が加わることに起因する活性層MQWの特性劣化を効果的に防止することができる。
以下に、この基本形態の詳細について説明することにする。図11は、基本形態における半導体装置の製造方法の流れを説明するフローチャートである。また、図12から図17は、基本形態における半導体装置の製造工程を示す模式的な断面図である。
まず、図12に示すように、半導体基板1Sを用意する(図11のS101)。そして、この半導体基板1S上に活性層MQWを形成する(図11のS102)。この活性層MQWは、例えば、多重量子井戸構造から形成することができる。活性層MQWは、光半導体素子が半導体レーザの場合には発光層として機能し、光半導体素子が電界吸収型光変調器の場合には変調光学作用をもたらす層として機能する。続いて、活性層MQW上に半導体層SLを形成する(図11のS103)。この半導体層SLは、例えば、光半導体素子のクラッド層として機能する層である。
次に、図13に示すように、半導体層SL上に絶縁膜IF1(第1絶縁膜)を形成する(図11のS104)。絶縁膜IF1は、例えば、酸化シリコン膜や窒化シリコン膜から形成され、例えば、CVD法により形成することができる。このとき、絶縁膜IF1の厚さは、半導体装置の寄生容量を低減するため、所望の厚さ(μmオーダ)で形成される。ここで、絶縁膜IF1を所望の厚い膜で形成しても、この段階では、リッジ構造部が形成されていないため、リッジ構造部に応力が加わることを防止することができる。つまり、この段階で形成される絶縁膜IF1は、平坦な半導体層SL上に形成されるため、平坦な半導体層SLに応力が加わることを防止できる。
続いて、図14に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、絶縁膜IF1をパターニングする。これにより、図14に示すように、半導体層SL上に、絶縁膜IF1からなるパッド下地用絶縁膜BPFを形成することができる(図11のS105)。
その後、図15に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、半導体層SLをパターニングする。具体的に、半導体層SLをパターニングすることにより、半導体基板1Sの領域R1にリッジ構造部RGを形成し、半導体基板1Sの領域R2に半導体層の台地部PEDを形成する(図11のS106)。具体的に、リッジ構造部RGが形成される領域R1と、台地部PEDが形成される領域R2とは、半導体層SLをエッチングすることにより形成された溝部DUによって分離される。
これにより、図15に示すように、領域R2において、台地部PED上にパッド下地用絶縁膜BPFが形成されることになる。ここで、基本形態では、パッド下地用絶縁膜BPFを形成した後に、半導体層SLを加工してリッジ構造部RGを形成している。このため、リッジ構造部RGに厚いパッド下地用絶縁膜BPFを形成することに起因する応力が加わることを防止することができる。このことから、基本形態によれば、リッジ構造部RGの下層およびその近傍に形成されている活性層MQWに応力が加わることを防止することができ、これによって、活性層MQWの特性劣化を効果的に防止することができる。
つまり、基本形態では、リッジ構造部RGの形成前に厚いパッド下地用絶縁膜BPFを形成するため、そもそも、関連技術のように、リッジ構造部RGを形成した後に厚い絶縁膜を形成することによる課題は生じないのである。この結果、基本形態では、半導体装置の特性向上を図ることができる。
次に、図16に示すように、リッジ構造部RGおよび台地部PED上に形成されたパッド下地用絶縁膜BPFを含む半導体基板1S上に表面保護膜PASを形成する(図11のS107)。この表面保護膜PASは、例えば、酸化シリコン膜や窒化シリコン膜から形成することができ、例えば、CVD法により形成することができる。基本形態では、この表面保護膜PAS自体の厚さは、薄く形成することができるため、例えば、表面保護膜PASがリッジ構造部RGを覆うように形成されても、リッジ構造部RGに加わる応力は問題となることはない。すなわち、表面保護膜PAS自体は、厚くないため、リッジ構造部RGを形成した後に表面保護膜PASを形成しても、リッジ構造部RGの下部およびその近傍に形成されている活性層MQWに与える影響は無視できる程度ものものである。この結果、基本形態によれば、リッジ構造部RGを形成した後に表面保護膜PASを形成することになっても、活性層MQWの特性劣化を引き起こすことを防止することができる。その後、図16に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、リッジ構造部RGの上面上に形成されている表面保護膜PASに開口部OP1を形成する(図11のS108)。これにより、リッジ構造部RGの上面が、表面保護膜PASに設けられた開口部OP1から露出することになる。
続いて、図17に示すように、開口部OP1内を含む表面保護膜PAS上に導体膜を形成することにより、導体膜からなる電極パッドPD、接続配線WLおよび電極ELを形成する(図11のS109)。これにより、リッジ構造部RGと開口部OP1を介して電気的に接続される電極ELを領域R1に形成し、この電極ELと電気的に接続される接続配線WLを溝部DUに形成し、さらに、この溝部DUに形成された接続配線WLと電気的に接続される電極パッドPDを領域R2に形成することができる。このようにして、基本形態における半導体装置を製造することができる。
このとき、基本形態においては、電極パッドPDと半導体基板1Sの間に厚いパッド下地用絶縁膜BPFが形成されているため、電極パッドPDと半導体基板1Sにより形成される寄生容量を低減することができる。この結果、基本形態における半導体装置によれば、高速変調動作を阻害する寄生容量を低減することができるため、高速変調動作の観点から半導体装置の特性を向上させることができる。
特に、基本形態における半導体装置の製造方法では、例えば、図13に示すように、厚い絶縁膜IF1は、平坦な半導体層SL上に形成される。したがって、厚い絶縁膜IF1と半導体層SLとの熱膨張率の差によって、CVD法による昇降温時に半導体層SLに加わる応力は、半導体層SLが平坦な場合である。このため、基本形態では、リッジ構造部RGに強い応力が加わるということを防止できる。この結果、基本形態によれば、リッジ構造部RGの下部およびその近傍に存在する活性層MQWの特性劣化を防止することができる。このことから、基本形態によれば、リッジ構造部RGの下部およびその近傍に存在する活性層MQWの特性劣化を防止しながら、電極パッドPDの下層にパッド下地用絶縁膜BPFを形成することができる。このことは、基本形態によれば、電極パッドPDと半導体基板1Sとの間の寄生容量を低減しながら、活性層MQWの特性劣化を防止できることを意味している。したがって、基本形態によれば、高速変調動作における半導体装置の特性を向上できるという顕著な効果を得ることができる。
以下に、基本形態における半導体装置の製造方法によれば、リッジ構造部RGの下部およびその近傍における活性層MQWの光学活性の劣化が防止される検証結果について説明する。図18は、基本形態において、図9に示す測定構成における検証結果を示すグラフである。図18において、横軸は、CVD法による成膜条件を示しており、縦軸は、それぞれの成膜条件におけるフォトルミネッセンス強度(PL強度)を示している。
図18において、パッド下地用絶縁膜BPFを成膜および剥離する条件において、膜厚に依存せずに一定のPL強度が得られていることがわかる。つまり、パッド下地用絶縁膜BPFを形成せずに、リッジ構造部RGを形成するためのマスクパターン(絶縁膜)を形成した場合と、パッド下地用絶縁膜BPFとして0.9μmの絶縁膜を形成した場合と、パッド下地用絶縁膜BPFとして1.4μmの絶縁膜を形成した場合のいずれにおいても、PL強度がほぼ同様となっている。このことは、基本形態における半導体装置の製造方法で厚いパッド下地用絶縁膜BPFを形成しても、リッジ構造部RGの下部およびその近傍の活性層MQWの特性に影響を与えないことがわかる。
以上のことから、基本形態における半導体装置の製造方法によれば、リッジ構造部RGを有する半導体装置において、電極パッドPDの下層に高速変調動作に必要な厚いパッド下地用絶縁膜BPFをCVD法により形成することができる。この場合、CVD法においては、半導体装置の製造工程において、表面保護膜PAS(パッシベーション膜)の成膜などに通常使用される工法であり、通常工程で必要とされる以上の条件出しや条件管理は何ら必要とされない。さらに、関連技術で使用される樹脂膜RFのように密着性の問題も生じない。このため、基本形態によれば、関連技術のように、スピン塗布法および固化成膜のための設備の追加と追加の条件設定が不要となるため、プロセス工程を簡略化およびコスト低減を図ることができるとともに、実績のあるCVD法によるパッド下地用絶縁膜BPFを使用することにより、半導体装置の信頼性も向上させることができる。
<基本形態における代表的な効果>
以上のことをまとめると、基本形態においては、以下に示す代表的な効果を得ることができる。
(1)基本形態では、「高速変調動作に必要な厚い絶縁膜を、リッジ構造部RG(メサ構造部)を形成する前に形成し、その後、リッジ構造部RGを形成する」という点に特徴点がある。これにより、電極パッドPDの下層に厚いパッド下地用絶縁膜BPFを形成しても、このパッド下地用絶縁膜BPFを形成する工程よりも後の工程で形成するリッジ構造部RGには、厚いパッド下地用絶縁膜BPFで覆われることによって、リッジ構造部RGの近傍に応力が加わることを防止できる。この結果、基本形態によれば、リッジ構造部RGに応力が加わることに起因する活性層MQWの特性劣化を効果的に防止することができる。一方、基本形態では、断面視において、電極パッドPDと半導体基板1Sの間に厚いパッド下地用絶縁膜BPFを形成することができる。これにより、基本形態によれば、電極パッドPDと半導体基板1Sの間に存在する寄生容量を低減することができる。このように基本形態によれば、リッジ構造部RGの下部およびその近傍に存在する活性層MQWの特性劣化の防止と、電極パッドPDと半導体基板1Sの間の寄生容量の低減とを両立させることができる結果、半導体装置の特性向上を図ることができる。
(2)また、基本形態では、パッド下地用絶縁膜BPFをCVD法により形成することができる。これにより、表面保護膜PAS(パッシベーション膜)の形成工程などに通常使用されるCVD法を使用してパッド下地用絶縁膜BPFを形成することができる。このような通常使用されるCVD法でパッド下地用絶縁膜BPFを形成する場合、通常工程で必要とされる以上の条件出しや条件管理は何ら必要とされない。さらに、関連技術で使用される樹脂膜RFのように密着性の問題も生じない。このため、基本形態によれば、関連技術のように、スピン塗布法および固化成膜のための設備の追加と追加の条件設定が不要となるため、プロセス工程を簡略化およびコスト低減を図ることができるとともに、実績のあるCVD法によるパッド下地用絶縁膜BPFを使用することにより、半導体装置の信頼性も向上させることができる。
(実施の形態1)
本実施の形態1では、光半導体素子を含む半導体装置の一例として、半導体レーザを例に挙げて説明する。
<半導体レーザの構成>
図19は、本実施の形態1における半導体レーザの概略構成を示す斜視図である。図19において、例えば、n型InPからなる半導体基板1S上に活性層MQWが形成されている。この活性層MQWは、多重量子井戸構造をしており、半導体レーザにおいては、発光層として機能する層である。そして、この平坦な活性層MQW上には、例えば、InP層からなるリッジ構造部RGが形成されている。一方、活性層MQWの下層の半導体基板1S内には、不純物濃度の周期的な変調構造であるグレーティング構造が形成されている。なお、図19に示す本実施の形態1における半導体レーザにおいては、平坦な活性層MQW上にリッジ構造部RGが形成されているが、細いリッジ構造部RGの内部に活性層MQWが含まれる場合もある。
また、本実施の形態1における半導体レーザにおいては、リッジ構造部RGと離間して、活性層MQW上に半導体層の台地部PEDが形成されている。具体的には、リッジ構造部RGと台地部PEDとは、平面視において、リッジ構造部RGと台地部PEDに挟まれた溝部DUによって分離されている。そして、リッジ構造部RG、台地部PEDおよび溝部DU上にわたって表面保護膜PAS(パッシベーション膜)が形成されている。このとき、リッジ構造部RGを覆う表面保護膜PASには、開口部OP1が形成されており、この開口部OP1からリッジ構造部RGの上面が露出している。そして、開口部OP1から露出するリッジ構造部RGの上面と電気的に接続するように電極ELが形成されている。
一方、台地部PEDと表面保護膜PASの間には、パッド下地用絶縁膜BPFが形成されており、このパッド下地用絶縁膜BPFを覆うように表面保護膜PASが形成されている。そして、表面保護膜PAS上に電極パッドPDが形成されている。このとき、リッジ構造部RG上に形成されている電極ELと、台地部PED上にパッド下地用絶縁膜BPFおよび表面保護膜PASを介して配置されている電極パッドPDとは、溝部DUに形成された表面保護膜PAS上に配置される接続配線WLによって電気的に接続されている。このことから、本実施の形態1における半導体レーザにおいては、電極パッドPDとリッジ構造部RGが接続配線WLおよび電極ELを介して電気的に接続されることになる。これにより、本実施の形態1における半導体レーザでは、外部から例えば、電極パッドPD→接続配線WL→電極ELを介してリッジ構造部RGに電流や電圧を供給することができるように構成されていることになる。
このように本実施の形態1における半導体レーザは、平坦な活性層MQW上に、例えば、InPからなるリッジ構造部RGが形成された構造を有している。このリッジ構造部RGの下層に形成されている活性層MQWが半導体レーザの発光層として機能し、例えば、発光層として機能する活性層MQWの幅は、10μm程度となっている。そして、リッジ構造部RGの周辺部には、溝部DUが形成されており、溝部DUの底部において、活性層MQWが分断されている。これにより、リッジ構造部RGの下層に形成されている活性層MQWと、台地部PEDの下層に形成されている活性層MQWを電気的に分離することができる。つまり、本実施の形態1における半導体レーザにおいては、リッジ構造部RGの下層に形成されている活性層MQWが発光層として機能する一方、台地部PEDの下層に形成されている活性層MQWは発光層として機能しないのである。
本実施の形態1では、活性層MQWの下層にグレーティング構造を有しており、これによって、DFB(Distributed Feed Back)型の半導体レーザが構成される。このDFB型の半導体レーザでは、単一モードでの発振が可能であり、例えば、本実施の形態1では、波長(λ)が1.31μmでレーザ発振するように構成されている。本実施の形態1における半導体レーザは、直接変調されるように構成されており、例えば、20Gbpsでの高速変調動作を行なうように設計されている。このため、例えば、電極パッドPDの形状は、φ=70μmの円形形状をしており、電極パッドPDの下層に厚さが1.5μmのパッド下地用絶縁膜BPFが設けられている。
ここで、本実施の形態1における半導体レーザでは、図19に示すように、台地部PED上には、厚いパッド下地用絶縁膜BPFが形成されている一方、リッジ構造部RGの上面および側面には、厚いパッド下地用絶縁膜BPFは形成されていない。つまり、リッジ構造部RGにおいては、リッジ構造部RGの上面および側面と、表面保護膜PASの間にパッド下地用絶縁膜BPFが介在していない。言い換えれば、リッジ構造部RGの上面および側面は、表面保護膜PASと直接接触するように構成されている。
このとき、台地部PED上に形成されているパッド下地用絶縁膜BPFの膜厚は、リッジ構造部RGの上面および側面に形成されている表面保護膜PASの膜厚よりも充分に厚く形成されている。これにより、本実施の形態1によれば、電極パッドPDと半導体基板1Sの間に充分に厚いパッド下地用絶縁膜BPFが介在することになるため、電極パッドPDと半導体基板1Sとの間の寄生容量を充分に低減することができる。この結果、本実施の形態1における半導体レーザによれば、高速変調動作を実現することができる。
一方、本実施の形態1では、リッジ構造部RGの上面および側面に形成されている表面保護膜PASの膜厚は、台地部PED上に形成されているパッド下地用絶縁膜の膜厚よりも薄く形成されている。さらに、本実施の形態1では、リッジ構造部RGの上面および側面に、厚いパッド下地用絶縁膜BPFが形成されていない。このため、リッジ構造部RGの上面および側面が厚い絶縁膜で覆われないことになり、厚い絶縁膜の成膜工程における昇降温に起因した応力がリッジ構造部RGの近傍の活性層MQWに加わることを抑制できる。この結果、本実施の形態1によれば、活性層MQWにおける光学活性の劣化を抑制することができ、リッジ構造部RGの下層近傍に形成されている活性層MQWを発光層として充分に機能させることができる。
さらに、本実施の形態1では、リッジ構造部RGの上面および側面には、パッド下地用絶縁膜BPFが形成されておらず、薄い表面保護膜PASだけが形成されているため、リッジ構造部RGの上面の表面保護膜PASに形成される開口部OP1のアスペクト比を小さくすることができる。これにより、本実施の形態1における半導体レーザによれば、リッジ構造部RGと電極ELとの接続信頼性を向上させることができる。
また、本実施の形態1では、パッド下地用絶縁膜BPFと表面保護膜PASは、同一の材料から構成することができる。具体的には、例えば、パッド下地用絶縁膜BPFと表面保護膜PASは、ともに酸化シリコン膜や窒化シリコン膜から形成することができる。この場合、本実施の形態1では、リッジ構造部RGの上面および側面に形成されている表面保護膜PASの膜厚は、パッド下地用絶縁膜BPFの膜厚と、パッド下地用絶縁膜BPF上に形成された表面保護膜PASの膜厚を合わせた膜厚よりも薄いということもできる。ただし、パッド下地用絶縁膜BPFと表面保護膜PASとを異なる材料から構成することもできる。例えば、パッド下地用絶縁膜BPFを、例えば、SiOC膜に代表される酸化シリコン膜よりも誘電率の低い低誘電率膜から構成することもできる。この場合、電極パッドPDと半導体基板1Sの間に形成される寄生容量をさらに低減することができる。
なお、本実施の形態1における半導体レーザでは、図19に示すように、平面視において、パッド下地用絶縁膜BPFの面積が電極パッドPDの面積よりも大きくなっている。言い換えれば、本実施の形態1における半導体レーザでは、平面視において、パッド下地用絶縁膜BPFが電極パッドPDを内包するように形成されている。これにより、本実施の形態1によれば、パッド下地用絶縁膜BPF上に電極パッドPDを安定して配置することができる。この結果、電極パッドPDにワイヤを接続する際の接続信頼性を向上させることができる。さらには、電極パッドPDがパッド下地用絶縁膜BPFに内包されるように形成されるということは、電極パッドPD自体の面積が小さくなることを意味する。このことから、本実施の形態1では、電極パッドPDと半導体基板1Sとの間の寄生容量を低減することができる。さらに、本実施の形態1では、平面視において、台地部PEDがパッド下地用絶縁膜BPFを内包するように形成されている。この結果、パッド下地用絶縁膜BPFを台地部PED上に安定して配置することができる。
<半導体レーザの動作>
本実施の形態1における半導体レーザは、上記のように構成されており、以下に、その動作について簡単に説明する。まず、電極パッドPDに正電圧を印加するとともに、半導体基板1Sの裏面に形成された裏面電極に負電圧を印加する。この場合、電極パッドPDは、接続配線WLを介して電極ELと電気的に接続されていることから、電極ELに正電圧が印加される。これにより、本実施の形態1における半導体レーザでは、電極ELから裏面電極に向かって順方向電流が流れる。これにより、電極ELからリッジ構造部RGを介して活性層MQWに正孔が注入される。
一方、裏面電極からは、半導体基板1Sに電子が注入され、注入された電子は、活性層MQWに注入される。活性層MQWでは、注入された正孔と電子によって反転分布が形成され、電子が伝導帯から価電子帯に誘導放出によって遷移することにより、位相の揃った光が発生する。そして、活性層MQWで発生した光は、活性層MQWよりも屈折率の低い周囲の半導体層により、活性層MQW内に閉じ込められる。そして、活性層MQW内に閉じ込められている光は、半導体レーザに形成されているへき開面からなる共振器を往復することにより、さらなる誘導放出によって増幅される。その後、活性層MQW内でレーザ光が発振して、半導体装置からレーザ光が射出される。このとき、リッジ構造部RGが形成されていることにより、活性層MQWで発振するレーザ光の光モード(横モード)が基本モード(0次モード)となる。このようにして、本実施の形態1における半導体レーザが動作することになる。特に、本実施の形態1における半導体レーザにおいては、電極パッドPDに印加される電圧と裏面電極に印加される電圧を制御して、周期的に半導体レーザをオン/オフ動作させることにより、本実施の形態1における半導体レーザに対して、直接変調動作を行なわせることができる。
<半導体レーザの製造方法>
続いて、本実施の形態1における半導体レーザの製造方法について、図面を参照しながら説明する。図20は、図19のA−A線で切断した断面図に対応し、図21〜図32は、図19のB−B線で切断した断面図に対応する。
まず、図20に示すように、例えば、グレーティング構造GTが形成されたn型InPからなる半導体基板1Sを用意する。そして、この半導体基板1S上にn型InGaAsPからなるガイド層GDを形成し、このガイド層GD上に、n型InPからなるバッファ層BUFを形成する。その後、バッファ層BUF上に、AlGaInAsPを含む7層からなる多重量子井戸構造の活性層MQWを形成し、この活性層MQW上に、アンドープのInPからなるクラッド層CLD1を形成する。さらに、クラッド層CLD1上に、InGaAsPからなるエッチングストッパ層ESを形成し、このエッチングストッパ層ES上にp型InPからなるクラッド層CLD2を形成する。その後、クラッド層CLD2上に、高濃度のp型InGaAsからなるコンタクト層CNTLを形成する。これらの層は、例えば、MOVPE(Metal Organic Vapor Phase Epitaxy)法を使用することにより形成することができる。活性層MQWは、波長(λ)が1.31μmの光を発光するように設計される。なお、この後の図面においては、図20に示すダブルヘテロ構造の構成要素の図示を省略し、活性層MQWと、クラッド層CLD2およびコンタクト層CNTLを含む半導体層SLを図示することにする。このようにして、図21に示すように、半導体基板1S上に活性層MQWが形成され、この活性層MQW上に半導体層SLが形成されることになる。
次に、図22に示すように、半導体層SL上に絶縁膜IF1を形成する。絶縁膜IF1は、例えば、酸化シリコン膜から形成され、CVD法により形成することができる。このとき、絶縁膜IF1の膜厚は、例えば、0.9μmである。続いて、図23に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、絶縁膜IF1をパターニングする。これにより、絶縁膜IF1からなるパッド下地用絶縁膜BPFを形成することができる。
その後、図24に示すように、パッド下地用絶縁膜BPFを形成した半導体層SL上に絶縁膜IF2を形成する。絶縁膜IF2は、例えば、酸化シリコン膜から形成され、CVD法により形成することができる。このとき、絶縁膜IF2の膜厚は、例えば、0.3μmである。そして、図25に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、絶縁膜IF2をパターニングする。絶縁膜IF2のパターニングは、半導体のリッジ構造部形成領域および台地部形成領域に絶縁膜IF2が残存するように行われる。
次に、図26に示すように、パターニングした絶縁膜IF2をマスクにしたエッチング技術(ドライエッチングおよびウェットエッチング)により、半導体層SLに溝部DUを形成する。具体的には、図20に示すエッチングストッパ層ESまで半導体層SLをエッチングする。これにより、領域R1にリッジ構造部RGを形成し、領域R1と溝部DUを介して離間した領域R2に台地部PEDを形成することができる。このとき、台地部PED上にパッド下地用絶縁膜BPFが配置されることになる。
さらに、図27に示すように、フォトリソグラフィ技術およびウェットエッチングにより、溝部DUの底部の一部をエッチングして、溝部DUの底部で活性層MQWを分断する。その後、図28に示すように、パッド下地用絶縁膜BPFの周囲にだけ絶縁膜IF2を残存させる。これにより、リッジ構造部RG上に形成されている絶縁膜IF2は除去される。
続いて、図29に示すように、半導体基板1Sの主面(素子形成面)を覆うように、表面保護膜PASを形成する。具体的には、リッジ構造部RGの上面および側面を覆うとともに、溝部DUの底面上からパッド下地用絶縁膜BPF上に形成された絶縁膜IF2上にわたって表面保護膜PASを形成する。この表面保護膜PASは、例えば、酸化シリコン膜から形成され、CVD法で形成される。このとき、表面保護膜PASの膜厚は、例えば、0.45μmである。
その後、図30に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、リッジ構造部RGの上面に形成されている表面保護膜PASに開口部OP1を形成する。このとき、開口部OP1の底部からは、リッジ構造部RGの上面が露出することになる。
次に、図31に示すように、開口部OP1を形成した表面保護膜PAS上に、導体膜CFを形成する。導体膜CFは、例えば、チタン膜(Ti膜)と、チタン膜上に形成されたプラチナ膜(Pt膜)と、プラチナ膜上に形成された金膜(Au膜)と積層膜(Ti/Pt/Au)から構成される。この導体膜CFは、例えば、蒸着法を使用することにより形成される。そして、図32に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、導体膜CFをパターニングする。この結果、領域R1に形成されているリッジ構造部RG上に電極ELが形成され、領域R2に形成されている表面保護膜PAS上に電極パッドPDが形成される。また、溝部DUに形成されている表面保護膜PAS上に接続配線WLが形成される。この結果、リッジ構造部RGと電極パッドPDとは、電極ELおよび接続配線WLで電気的に接続されることになる。
この工程の後、アロイ工程、金めっき工程、半導体基板1Sの研磨工程、裏面電極形成工程、へき開工程、コーティング工程、および、ペレタイズ工程を経ることにより、本実施の形態1における半導体レーザを製造することができる。
このようにして製造された本実施の形態1における半導体レーザを動作させたところ、室温で、発光スロープ効率が0.4W/Aと良好にレーザ発振し、発光特性に製造プロセス上の影響による劣化は観測されなかった。また、本実施の形態1における半導体レーザを45Ω抵抗と直列に繋がるマッチング回路に実装して直接変調動作を行なったところ、帯域20Gbps以上を確認することができた。
以上のように、本実施の形態1においても、「高速変調動作に必要な厚い絶縁膜を、リッジ構造部RG(メサ構造部)を形成する前に形成し、その後、リッジ構造部RGを形成する」という基本形態で説明した構成が採用されている。これにより、電極パッドPDの下層に厚いパッド下地用絶縁膜BPFを形成しても、このパッド下地用絶縁膜BPFを形成する工程よりも後の工程で形成するリッジ構造部RGには、厚いパッド下地用絶縁膜BPFで覆われることによって、リッジ構造部RGの近傍に応力が加わることを防止できる。この結果、本実施の形態1においても、リッジ構造部RGに応力が加わることに起因する活性層MQWの特性劣化を効果的に防止することができる。一方、本実施の形態1においても、断面視において、電極パッドPDと半導体基板1Sの間に厚いパッド下地用絶縁膜BPFを形成することができる。これにより、本実施の形態1によれば、電極パッドPDと半導体基板1Sの間に存在する寄生容量を低減することができる。このように本実施の形態1においても、リッジ構造部RGの下部およびその近傍に存在する活性層MQWの特性劣化の防止と、電極パッドPDと半導体基板1Sの間の寄生容量の低減とを両立させることができる結果、半導体装置の特性向上を図ることができる。
また、本実施の形態1においても、パッド下地用絶縁膜BPFをCVD法により形成することができる。これにより、表面保護膜PAS(パッシベーション膜)の形成工程などに通常使用されるCVD法を使用してパッド下地用絶縁膜BPFを形成することができる。このような通常使用されるCVD法でパッド下地用絶縁膜BPFを形成する場合、通常工程で必要とされる以上の条件出しや条件管理は何ら必要とされない。さらに、関連技術で使用される樹脂膜RFのように密着性の問題も生じない。このため、本実施の形態1においても、関連技術のように、スピン塗布法および固化成膜のための設備の追加と追加の条件設定が不要となるため、プロセス工程を簡略化およびコスト低減を図ることができるとともに、実績のあるCVD法によるパッド下地用絶縁膜BPFを使用することにより、半導体装置の信頼性も向上させることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態2では、光半導体素子を含む半導体装置の一例として、光変調器を例に挙げて説明する。
<光変調器の構成>
図33は、本実施の形態2における光変調器の概略構成を示す斜視図である。図33において、例えば、n型InPからなる半導体基板1S上に活性層MQWが形成されている。この活性層MQWは、多重量子井戸構造をしており、光変調器においては、変調光学作用をもたらす層として機能する。そして、この平坦な活性層MQW上には、例えば、InP層からなるリッジ構造部RGが形成されている。なお、図33に示す本実施の形態2における光変調器においては、平坦な活性層MQW上にリッジ構造部RGが形成されているが、細いリッジ構造部RGの内部に活性層MQWが含まれる場合もある。
また、本実施の形態2における光変調器においては、リッジ構造部RGと離間して、活性層MQW上に台地部PEDが形成されている。具体的には、リッジ構造部RGと台地部PEDとは、平面視において、リッジ構造部RGと台地部PEDに挟まれた溝部DUによって分離されている。そして、リッジ構造部RG、台地部PEDおよび溝部DU上にわたって表面保護膜PAS(パッシベーション膜)が形成されている。このとき、リッジ構造部RGを覆う表面保護膜PASには、開口部OP1が形成されており、この開口部OP1からリッジ構造部RGの上面が露出している。そして、開口部OP1から露出するリッジ構造部RGの上面と電気的に接続するように電極ELが形成されている。
一方、台地部PEDと表面保護膜PASの間には、パッド下地用絶縁膜BPFが形成されており、このパッド下地用絶縁膜BPFを覆うように表面保護膜PASが形成されている。そして、表面保護膜PAS上に電極パッドPDが形成されている。このとき、リッジ構造部RG上に形成されている電極ELと、台地部PED上にパッド下地用絶縁膜BPFおよび表面保護膜PASを介して配置されている電極パッドPDとは、溝部DUに形成された表面保護膜PASの上方に配置される中空配線である接続配線WLによって電気的に接続されている。この中空配線構造を本明細書では、エアブリッジ構造と呼ぶこともある。このことから、本実施の形態2における光変調器においては、電極パッドPDとリッジ構造部RGが接続配線WLおよび電極ELを介して電気的に接続されることになる。これにより、本実施の形態2における光変調器では、外部から例えば、電極パッドPD→接続配線WL→電極ELを介してリッジ構造部RGに電圧を供給することができるように構成されていることになる。
このように本実施の形態2における光変調器は、平坦な活性層MQW上に、例えば、InPからなるリッジ構造部RGが形成された構造を有している。このリッジ構造部RGの下層に形成されている活性層MQWが光変調器の変調光学作用をもたらす層として機能する。そして、リッジ構造部RGの周辺部には、溝部DUが形成されており、溝部DUの底部において、活性層MQWが分断されている。これにより、リッジ構造部RGの下層に形成されている活性層MQWと、台地部PEDの下層に形成されている活性層MQWを電気的に分離することができる。つまり、本実施の形態2における光変調器においては、リッジ構造部RGの下層に形成されている活性層MQWが変調光学作用をもたらす層として機能する一方、台地部PEDの下層に形成されている活性層MQWは変調光学作用をもたらす層として機能しないのである。
本実施の形態2における光変調器は、例えば、25Gbpsでの高速変調動作を行なうように設計されている。このため、例えば、電極パッドPDの形状は、φ=50μmの円形形状をしており、電極パッドPDの下層に厚さが2.1μmのパッド下地用絶縁膜BPFが設けられている。
ここで、本実施の形態2における光変調器では、図33に示すように、台地部PED上には、厚いパッド下地用絶縁膜BPFが形成されている一方、リッジ構造部RGの上面および側面には、厚いパッド下地用絶縁膜BPFは形成されていない。つまり、リッジ構造部RGにおいては、リッジ構造部RGの上面および側面と、表面保護膜PASの間にパッド下地用絶縁膜BPFが介在していない。言い換えれば、リッジ構造部RGの上面および側面は、表面保護膜PASと直接接触するように構成されている。
このとき、台地部PED上に形成されているパッド下地用絶縁膜BPFの膜厚は、リッジ構造部RGの上面および側面に形成されている表面保護膜PASの膜厚よりも充分に厚く形成されている。これにより、本実施の形態2によれば、電極パッドPDと半導体基板1Sの間に充分に厚いパッド下地用絶縁膜BPFが介在することになるため、電極パッドPDと半導体基板1Sとの間の寄生容量を充分に低減することができる。この結果、本実施の形態2における光変調器によれば、高速変調動作を実現することができる。
さらに、本実施の形態2における光変調器では、電極ELと電極パッドPDとを電気的に接続する接続配線WLがエアブリッジ構造となっている。このことから、本実施の形態2によれば、接続配線WLと半導体基板1Sとの間の寄生容量も低減するこができる。つまり、本実施の形態2では、電極パッドPDと半導体基板1Sとの間の寄生容量だけでなく、接続配線WLと半導体基板1Sの間の寄生容量も低減することができるため、本実施の形態2における光変調器の性能を向上させることができる。
一方、本実施の形態2では、リッジ構造部RGの上面および側面に形成されている表面保護膜PASの膜厚は、台地部PED上に形成されているパッド下地用絶縁膜の膜厚よりも薄く形成されている。さらに、本実施の形態2では、リッジ構造部RGの上面および側面に、厚いパッド下地用絶縁膜BPFが形成されていない。このため、リッジ構造部RGの上面および側面が厚い絶縁膜で覆われないことになり、厚い絶縁膜の成膜工程における昇降温に起因した応力がリッジ構造部RGの近傍の活性層MQWに加わることを抑制できる。この結果、本実施の形態2によれば、活性層MQWにおける吸収効率の低下を抑制することができ、リッジ構造部RGの下層近傍に形成されている活性層MQWを、変調光学作用をもたらす層として充分に機能させることができる。
さらに、本実施の形態2では、リッジ構造部RGの上面および側面には、パッド下地用絶縁膜BPFが形成されておらず、薄い表面保護膜PASだけが形成されているため、リッジ構造部RGの上面の表面保護膜PASに形成される開口部OP1のアスペクト比を小さくすることができる。これにより、本実施の形態2における光変調器によれば、リッジ構造部RGと電極ELとの接続信頼性を向上させることができる。
また、本実施の形態2でも、パッド下地用絶縁膜BPFと表面保護膜PASは、同一の材料から構成することができる。具体的には、例えば、パッド下地用絶縁膜BPFと表面保護膜PASは、ともに酸化シリコン膜や窒化シリコン膜から形成することができる。この場合、本実施の形態1では、リッジ構造部RGの上面および側面に形成されている表面保護膜PASの膜厚は、パッド下地用絶縁膜BPFの膜厚と、パッド下地用絶縁膜BPF上に形成された表面保護膜PASの膜厚を合わせた膜厚よりも薄いということもできる。ただし、パッド下地用絶縁膜BPFと表面保護膜PASとを異なる材料から構成することもできる。例えば、パッド下地用絶縁膜BPFを、例えば、SiOC膜に代表される酸化シリコン膜よりも誘電率の低い低誘電率膜から構成することもできる。この場合、電極パッドPDと半導体基板1Sの間に形成される寄生容量をさらに低減することができる。
なお、本実施の形態2における光変調器では、図33に示すように、平面視において、パッド下地用絶縁膜BPFの面積が電極パッドPDの面積よりも大きくなっている。言い換えれば、本実施の形態2における光変調器では、平面視において、パッド下地用絶縁膜BPFが電極パッドPDを内包するように形成されている。これにより、本実施の形態2によれば、パッド下地用絶縁膜BPF上に電極パッドPDを安定して配置することができる。この結果、電極パッドPDにワイヤを接続する際の接続信頼性を向上させることができる。さらには、電極パッドPDがパッド下地用絶縁膜BPFに内包されるように形成されるということは、電極パッドPD自体の面積が小さくなることを意味する。このことから、本実施の形態2では、電極パッドPDと半導体基板1Sとの間の寄生容量を低減することができる。さらに、本実施の形態2では、平面視において、台地部PEDがパッド下地用絶縁膜BPFを内包するように形成されている。この結果、パッド下地用絶縁膜BPFを台地部PED上に安定して配置することができる。
<光変調器の動作>
本実施の形態2における光変調器は、上記のように構成されており、以下に、その動作について簡単に説明する。本実施の形態2における光変調器は、リッジ構造部RGを有する光変調器である。両端面は、反射防止コーティングされており、片方の端面から入射される波長(λ)が1.31μmの光を変調し、もう一方の端面から変調光を射出する。特に、本実施の形態2における光変調器は、電圧を印加することにより、入射光を消光する電界吸収型の光変調器である。以下に、この電界吸収型の光変調器の具体的な動作について説明する。
図34は、電界吸収型の光変調器の動作メカニズムを説明するためのバンド図である。特に、(A)は、電圧を印加していない状態を示す活性層MQWのバンド図であり、(B)は、電圧を印加した状態の活性層MQWのバンド図である。本実施の形態2における光変調器では、活性層MQWにおいて、変調光学作用が実現される。
図34(A)は、活性層MQWを構成する多重量子井戸構造の一部を示すバンド図であり、中央に存在する井戸層が両側に存在する障壁層で挟まれた構造をしている。図34(A)に示すように、活性層MQWに電圧を印加しない状態では、井戸層におけるバンドギャップがEg1となっている。このバンドギャップEg1は、活性層MQWに入射された入射光のエネルギーよりも大きくなっている。したがって、活性層MQWに電圧を印加しない状態では、入射光は吸収されずに活性層MQWを透過することになる。つまり、本実施の形態2における光変調器では、活性層MQWに電圧を印加しない状態では、入射光をそのまま透過させることになる。
一方、図34(B)は、活性層MQWに電圧(逆バイアス)を印加した状態でのバンド図である。図34(B)に示すように、活性層MQWに逆バイアスを印加すると、量子閉じ込めシュタルク効果により、バンドが傾斜してバンドギャップが縮む。この結果、活性層MQWに電圧を印加した状態では、バンドギャップがEg2(<Eg1)となる。このとき、バンドギャップEg2が入射光のエネルギーよりも小さくなるように設定すると、活性層MQWに電圧を印加した状態では、入射光のエネルギーによって、価電子帯から電子が伝導帯へ励起される。この結果、入射光が吸収されることになる。つまり、本実施の形態2における光変調器では、活性層MQWに電圧を印加すると、入射光が吸収され、これによって、光変調器からは光が射出されないことなる。
したがって、活性層MQWに印加する電圧を制御(例えば、オン/オフ制御)することにより、光変調器では、入射光の透過と吸収が繰り返されて変調動作が可能となる。これが、電界吸収型の光変調器における変調動作のメカニズムである。このようにして、本実施の形態2における光変調器によれば、変調動作を実現することができる。
<光変調器において特に寄生容量の低減が必要な理由>
例えば、本実施の形態2における光変調器では、電極パッドPDがφ=50μmの円形形状をしており、電極パッドPDの下層に厚さが2.1μmのパッド下地用絶縁膜BPFが設けられている。一方、前記実施の形態1における半導体レーザでは、電極パッドPDが、φ=70μmの円形形状をしており、電極パッドPDの下層に厚さが1.5μmのパッド下地用絶縁膜BPFが設けられている。したがって、本実施の形態2における光変調器の方が、前記実施の形態1における半導体レーザよりも、電極パッドの面積が小さく、かつ、パッド下地用絶縁膜BPFの膜厚が厚くなっている。このことは、本実施の形態2における光変調器の方が、前記実施の形態1における半導体レーザよりも、電極パッドPDと半導体基板1Sとの間の寄生容量が低減されていることを意味する。さらに、本実施の形態2における光変調器では、接続配線WLがエアブリッジ構造をしているため、接続配線WLと半導体基板1Sとの間の寄生容量も、前記実施の形態1における半導体レーザよりも低減されている。このように本実施の形態2における光変調器では、前記実施の形態1における半導体レーザよりも寄生容量を低減する構成が採用されている。
以下に、この理由について説明する。図35は、半導体レーザを直接変調させる構成を示す回路図である。図35において、電気容量Cは、半導体レーザに存在する寄生容量を示しており、この電気容量Cと並列に接続されている5Ω抵抗は、半導体レーザに電流を流したときの等価抵抗を示している。そして、半導体レーザは、45Ω抵抗のマッチング抵抗と直列接続されて直接変調が行なわれる。
このとき、半導体レーザと、マッチング抵抗である45Ω抵抗とを直列接続している理由について説明する。例えば、半導体レーザとマッチング抵抗とを並列接続する場合、半導体レーザの等価抵抗が5Ω抵抗であり、マッチング抵抗が45Ω抵抗であることから、電流は、ほぼ半導体レーザに流れることになり、マッチング抵抗にはほとんど電流が流れなくなる。このため、マッチング抵抗がマッチング機能を果たさなくなる。したがって、半導体レーザとマッチング抵抗とを直列接続しているのである。この場合、マッチング抵抗にも電流が流れるため、マッチング機能を果たすことができる。そして、図35に示す回路構成の場合、回路の動作スピードを律速する時定数τ1は、概ね5Cで近似できる。すなわち、半導体レーザの場合、高速変調動作を規定する時定数は5C程度となる。
一方、図36は、光変調器で変調動作を実現するための構成を示す回路図である。図36において、電気容量Cは、光変調器に存在する寄生容量を示している。また、光変調器では、逆バイアスを印加するため電流が流れない。そして、光変調器は、50Ω抵抗のマッチング抵抗と並列接続されて変調動作が行なわれる。
このとき、光変調器と、マッチング抵抗である50Ω抵抗とを並列接続している理由について説明する。例えば、光変調器とマッチング抵抗とを直列接続する場合、光変調器に電流流れないことから、無限大の抵抗とマッチング抵抗が直列接続されるとみなすことができる。この場合、マッチング抵抗にも電流が流れないため、マッチング機能を果たすことができなくなる。したがって、光変調器とマッチング抵抗とを並列接続しているのである。この場合、無限大の抵抗とマッチング抵抗(50Ω)が並列接続されることになり、マッチング抵抗の方が、抵抗値が低くなることから、マッチング抵抗に電流が流れることになる。このことから、マッチング抵抗において、マッチング機能を果たすことができる。そして、図36に示す回路構成の場合、回路の動作スピードを律速する時定数τ2は、概ね50Cで近似できる。すなわち、光変調器の場合、高速変調動作を規定する時定数は50C程度となる。
以上のことから、半導体レーザの場合の時定数は5Cである一方、光変調器の場合の時定数は50Cとなる。このことは、半導体レーザと光変調器の寄生容量が同じであったとすると、光変調器の時定数の方が、半導体レーザの時定数よりも10倍大きくなってしまうことを意味している。つまり、半導体レーザよりも光変調器の方が寄生容量の影響が大きくなることを意味している。言い換えれば、光変調器の時定数を半導体レーザの時定数と同程度にするためには、光変調器の寄生容量を半導体レーザの寄生容量の1/10程度にする必要があるのである。このような理由により、光変調器では、半導体レーザよりも寄生容量を低減しているのである。
<光変調器の製造方法>
続いて、本実施の形態2における光変調器の製造方法について、図面を参照しながら説明する。図37は、図33のA−A線で切断した断面図に対応し、図38〜図45は、図33のB−B線で切断した断面図に対応する。
まず、図37に示すように、例えば、n型InPからなる半導体基板1Sを用意する。そして、この半導体基板1S上に、n型InPからなるバッファ層BUFを形成する。その後、バッファ層BUF上に、InGaAsPを含む10層からなる多重量子井戸構造の活性層MQWを形成し、この活性層MQW上に、アンドープのInPからなるクラッド層CLD1を形成する。さらに、クラッド層CLD1上に、InGaAsPからなるエッチングストッパ層ESを形成し、このエッチングストッパ層ES上にp型InPからなるクラッド層CLD2を形成する。その後、クラッド層CLD2上に、高濃度のp型InGaAsからなるコンタクト層CNTLを形成する。これらの層は、例えば、MOVPE(Metal Organic Vapor Phase Epitaxy)法を使用することにより形成することができる。活性層MQWは、波長(λ)が1.26μmの発光組成を有するように設計される。なお、この後の図面においては、図37に示すダブルヘテロ構造の構成要素の図示を省略し、活性層MQWと、クラッド層CLD2およびコンタクト層CNTLを含む半導体層SLを図示することにする。
図21から図29までの工程は、前記実施の形態1と同様である。ただし、本実施の形態2においては、絶縁膜IF1の膜厚は、1.5μmであり、表面保護膜PASの膜厚は、0.45μmである。
次に、図38に示すように、表面保護膜PAS上にレジスト膜RF1を塗布する。そして、図39に示すように、フォトリソグラフィ技術を使用することにより、レジスト膜RF1をパターニングし、このパターニングしたレジスト膜RF1をマスクにしたエッチング技術により、領域R1に形成されているリッジ構造部RGの上面を覆う表面保護膜PASに開口部OP1を形成する。このとき、開口部OP1の底部からリッジ構造部RGの上面が露出することになる。
続いて、図40に示すように、パターニングしたレジスト膜RF1上および開口部OP1の内部に導体膜CF1を形成する。この導体膜CF1は、例えば、Ti/Pt/Auの積層膜から形成され、蒸着法を使用することにより形成することができる。
その後、図41に示すように、レジスト膜RF1を除去した後、アロイ処理を実施する。さらに、図42に示すように、開口部OP1を形成した表面保護膜PAS上に、レジスト膜RF2を塗布し、フォトリソグラフィ技術を使用することにより、塗布したレジスト膜RF2をパターニングする。レジスト膜RF2のパターニングは、溝部DUにだけレジスト膜RF2が残存するように行われる。そして、図43に示すように、再び、半導体基板1Sの主面(素子形成面)上に導体膜CF2を形成する。この導体膜CF2は、例えば、Ti/Pt/Auの積層膜から構成され、例えば、蒸着法を使用することにより形成することができる。
次に、図44に示すように、リッジ構造部RGの上部に形成されている導体膜CF2から領域R2に形成されている導体膜CF2上にわたって導体膜CF3を形成する。この導体膜CF3は、例えば、金膜から形成され、例えば、めっき法により形成することができる。そして、図45に示すように、導体膜CF2をパターニングし、その後、溝部DUに埋め込まれたレジスト膜RF2を除去する。
このようにして、領域R1に形成されているリッジ構造部RG上に電極ELが形成され、領域R2に形成されている表面保護膜PAS上に電極パッドPDが形成される。また、溝部DUに形成されている表面保護膜PASの上方に中空配線である接続配線WLが形成される。この結果、リッジ構造部RGと電極パッドPDとは、電極ELおよび接続配線WLで電気的に接続されることになる。このとき、電極パッドPDは、導体膜CF2および導体膜CF3から形成され、接続配線WLも導体膜CF2および導体膜CF3から形成されることになる。一方、電極ELは、導体膜CF1と導体膜CF2と導体膜CF3から形成されることになる。
この工程の後、半導体基板1Sの研磨工程、裏面電極形成工程、へき開工程、コーティング工程、および、ペレタイズ工程を経ることにより、本実施の形態2における光変調器を製造することができる。
本実施の形態2における光変調器は、両端面に反射防止コーティングがなされている。この光変調器の片端から波長(λ)が1.31μmのCW(Continuous Wave)光を入射した状態で、光変調器に電圧を印加したところ、Vpp=0.0V〜2.0Vの印加で消光比が25dBという良好な消光特性を得ることができた。すなわち、製造プロセス上の影響により吸収効率が劣化した様子は見られなかった。また、50Ω抵抗と並列に接続されるマッチング回路に実装して変調動作させたところ、帯域30Gbps以上を確認することができた。
以上のように、本実施の形態2においても、「高速変調動作に必要な厚い絶縁膜を、リッジ構造部RG(メサ構造部)を形成する前に形成し、その後、リッジ構造部RGを形成する」という基本形態で説明した構成が採用されている。これにより、電極パッドPDの下層に厚いパッド下地用絶縁膜BPFを形成しても、このパッド下地用絶縁膜BPFを形成する工程よりも後の工程で形成するリッジ構造部RGには、厚いパッド下地用絶縁膜BPFで覆われることによって、リッジ構造部RGの近傍に応力が加わることを防止できる。この結果、本実施の形態2においても、リッジ構造部RGに応力が加わることに起因する活性層MQWの特性劣化を効果的に防止することができる。一方、本実施の形態2においても、断面視において、電極パッドPDと半導体基板1Sの間に厚いパッド下地用絶縁膜BPFを形成することができる。これにより、本実施の形態2によれば、電極パッドPDと半導体基板1Sの間に存在する寄生容量を低減することができる。さらに、本実施の形態2では、接続配線WLをエアブリッジ構造(中空配線)としているため、接続配線WLと半導体基板1Sの間に存在する寄生容量も低減することができる。このように本実施の形態2においても、リッジ構造部RGの下部およびその近傍に存在する活性層MQWの特性劣化の防止と、電極パッドPDと半導体基板1Sの間の寄生容量の低減や、接続配線WLと半導体基板1Sの間の寄生容量の低減とを両立させることができる結果、半導体装置の特性向上を図ることができる。
また、本実施の形態2においても、パッド下地用絶縁膜BPFをCVD法により形成することができる。これにより、表面保護膜PAS(パッシベーション膜)の形成工程などに通常使用されるCVD法を使用してパッド下地用絶縁膜BPFを形成することができる。このような通常使用されるCVD法でパッド下地用絶縁膜BPFを形成する場合、通常工程で必要とされる以上の条件出しや条件管理は何ら必要とされない。さらに、関連技術で使用される樹脂膜RFのように密着性の問題も生じない。このため、本実施の形態2においても、関連技術のように、スピン塗布法および固化成膜のための設備の追加と追加の条件設定が不要となるため、プロセス工程を簡略化およびコスト低減を図ることができるとともに、実績のあるCVD法によるパッド下地用絶縁膜BPFを使用することにより、半導体装置の信頼性も向上させることができる。
(実施の形態3)
<半導体装置の構成>
本実施の形態3では、半導体レーザと光変調器とを1つの半導体基板上に集積した半導体装置について説明する。図46は、本実施の形態3における半導体装置の概略構成を示す斜視図である。本実施の形態3における半導体装置は、図46の奥側に設けられている半導体レーザと、図46の手前側に設けられている光変調器を半導体基板1S上に集積した構造をしている。図46に示すように、奥側に形成されている半導体レーザと、手前側に形成されている光変調器においては、リッジ構造部RGが一続きになるように構成されている。すなわち、本実施の形態3における半導体装置は、半導体レーザで発振出力された波長(λ)が1.31μmの連続発振光(CW光)を光変調器に入力し、この光変調器における消光動作で外部変調する構成をしている。そして、光変調器から変調された光が出力されるようになっている。
ここで、光変調器に着目すると、本実施の形態3における光変調器においては、リッジ構造部RG上に電極EL1が形成されており、この電極EL1は、半導体の台地部PED上にパッド下地用絶縁膜BPFおよび表面保護膜PASを介して形成された電極パッドPD1と、溝部DUの表面保護膜PASの上方に形成された接続配線WL1で電気的に接続されている。このとき、本実施の形態3における光変調器においては、電極パッドPD1の下層に厚いパッド下地用絶縁膜BPFが形成されている。このため、電極パッドPD1と半導体基板1Sとの間の寄生容量を低減することができる。また、本実施の形態3における光変調器においては、接続配線WL1が中空配線となっておりエアブリッジ構造をしていることから、接続配線WL1と半導体基板1Sとの間の寄生容量も低減することができる。
一方、半導体レーザに着目すると、本実施の形態3における半導体レーザにおいては、リッジ構造部RG上に電極EL2が形成されており、この電極EL2は、台地部PED上に表面保護膜PASを介して配置された電極パッドPD2と、溝部DUに形成された接続配線WL2で電気的に接続されている。このとき、本実施の形態3における半導体レーザにおいては、電極パッドPD2の下層にパッド下地用絶縁膜BPFが形成されていない。これは、本実施の形態3における半導体レーザでは、直接変調することなく連続発振させる構成を取っているため、寄生容量の影響が顕在化しないからである。つまり、本実施の形態3では、半導体レーザ自体を直接変調するのではなく、半導体レーザで連続発振したレーザ光を隣りの光変調器で外部変調を行なう構成を採用しているため、半導体レーザ自体には、寄生容量の影響が顕在化しないと考えられるからである。このことから、本実施の形態3における半導体レーザでは、接続配線WL2が中空配線となっていないとともに、電極パッドPD2の大きさ(面積)が、光変調器の電極パッドPD1の大きさ(面積)よりも大きくなっている。このように本実施の形態3における半導体レーザでは、寄生容量の影響を考慮しなくてもよいので、電極パッドPD2の大きさ(面積)を大きくすることができ、これによって、電極パッドPD2における抵抗の低減およびワイヤの接続信頼性を向上させることができる。
<半導体装置の製造方法>
本実施の形態3における半導体装置は、上記のように構成されており、以下に、その製造方法について図面を参照しながら説明する。図47〜図50、図58は、図46のA−A線で切断した断面図に対応し、図51〜図57および図59〜図64は、図46のB−B線で切断した断面図(左図)とC−C線で切断した断面図(右図)の組み合わせに対応する。なお、以下に示す図面においては、光変調器のリッジ構造部形成領域を領域R1、光変調器の台地部形成領域を領域R2、半導体レーザのリッジ構造部形成領域を領域R3、半導体レーザの台地部形成領域を領域R4と定義する。
まず、図47に示すように、例えば、領域R1と領域R3のうちの領域R3にだけグレーティング構造GTが形成されたn型InPからなる半導体基板1Sを用意する。そして、この半導体基板1S上にn型InGaAsPからなるガイド層GDを形成し、このガイド層GD上に、n型InPからなるバッファ層BUFを形成する。その後、バッファ層BUF上に、InGaAsPを含む7層からなる多重量子井戸構造の活性層MQW2を形成し、この活性層MQW2上に、アンドープのInPからなるクラッド層CLD1を形成する。さらに、クラッド層CLD1上に、InGaAsPからなるエッチングストッパ層ESを形成する。これらの層は、例えば、MOVPE(Metal Organic Vapor Phase Epitaxy)法を使用することにより形成することができる。活性層MQW2は、波長(λ)が1.31μmの発光組成を有するように設計される。
次に、図48に示すように、エッチングストッパ層ES上に酸化シリコン膜OXF1を形成する。この酸化シリコン膜OXF1は、例えば、CVD法を使用することにより形成することができる。その後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、酸化シリコン膜OXF1をパターニングする。酸化シリコン膜OXF1のパターニングは、領域R3に酸化シリコン膜OXF1が残存し、領域R1の酸化シリコン膜OXF1が除去されるように行われる。その後、パターニングした酸化シリコン膜OXF1をマスクにしたウェットエッチングにより、領域R1に形成されているエッチングストッパ層ES、クラッド層CLD1および活性層MQW2が除去される。
続いて、図49に示すように、パターニングした酸化シリコン膜OXF1を残存させた状態で、領域R1にInGaAsPを含む10層からなる多重量子井戸構造の活性層MQWを形成し、この活性層MQW上にエッチングストッパ層ES2を形成する。これらの層は、例えば、MOVPE法を使用することにより形成することができる。このとき、酸化シリコン膜OXF1が存在することにより、領域R1に選択的に活性層MQWおよびエッチングストッパ層ES2が形成される。活性層MQWは、波長(λ)が1.26μmの発光組成を有するように設計される。
その後、図50に示すように、領域R1に形成されているエッチングストッパ層ES2上および領域R3に形成されているエッチングストッパ層ES上に、p型InPからなるクラッド層CLD2を形成する。その後、クラッド層CLD2上に、高濃度のp型InGaAsからなるコンタクト層CNTLを形成する。これらの層は、例えば、MOVPE法を使用することにより形成することができる。なお、この後の図面においては、図50に示すダブルヘテロ構造の構成要素の図示を省略し、活性層MQWおよび活性層MQW2と、クラッド層CLD2およびコンタクト層CNTLを含む半導体層SLを図示することにする。
次に、図51に示すように、半導体層SL上に絶縁膜IF1を形成する。絶縁膜IF1は、例えば、酸化シリコン膜から形成され、CVD法により形成することができる。このとき、絶縁膜IF1の膜厚は、例えば、1.5μmである。続いて、図52に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、絶縁膜IF1をパターニングする。これにより、絶縁膜IF1からなるパッド下地用絶縁膜BPFを形成することができる。
その後、図53に示すように、パッド下地用絶縁膜BPFを形成した半導体層SL上に絶縁膜IF2を形成する。絶縁膜IF2は、例えば、酸化シリコン膜から形成され、CVD法により形成することができる。このとき、絶縁膜IF2の膜厚は、例えば、0.3μmである。そして、図54に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、絶縁膜IF2をパターニングする。絶縁膜IF2のパターニングは、半導体のリッジ構造部形成領域および台地部形成領域に絶縁膜IF2が残存するように行われる。
次に、図55に示すように、パターニングした絶縁膜IF2をマスクにしたエッチング技術(ドライエッチングおよびウェットエッチング)により、半導体層SLに溝部DUを形成する。具体的には、図50に示すエッチングストッパ層ES2まで半導体層SLをエッチングする。これにより、領域R1にリッジ構造部RGを形成し、領域R1と溝部DUを介して離間した領域R2に台地部PEDを形成することができる。このとき、台地部PED上にパッド下地用絶縁膜BPFが配置されることになる。同様に、図50に示すエッチングストッパ層ESまで半導体層SLをエッチングする。これにより、第3領域R3にリッジ構造部RGを形成し、第3領域R3と溝部DUを介して離間した第4領域R4に台地部PEDを形成することができる。このとき、台地部PED上にパッド下地用絶縁膜BPFが配置されることになる。
さらに、図56に示すように、フォトリソグラフィ技術およびウェットエッチングにより、溝部DUの底部の一部をエッチングして、溝部DUの底部で活性層MQWおよび活性層MQW2を分断する。その後、図57に示すように、パッド下地用絶縁膜BPFの周囲にだけ絶縁膜IF2を残存させる。これにより、リッジ構造部RG上に形成されている絶縁膜IF2は除去される。
そして、図58に示すように、領域R1と領域R3との間において、コンタクト層CNTLを除去することにより、領域R1と領域R3の間に素子分離領域を形成する。
続いて、図59に示すように、半導体基板1Sの主面(素子形成面)を覆うように、表面保護膜PASを形成する。具体的には、リッジ構造部RGの上面および側面を覆うとともに、溝部DUの底面上からパッド下地用絶縁膜BPF上に形成された絶縁膜IF2上にわたって表面保護膜PASを形成する。この表面保護膜PASは、例えば、酸化シリコン膜から形成され、CVD法で形成される。このとき、表面保護膜PASの膜厚は、例えば、0.45μmである。
その後、図60に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、領域R1のリッジ構造部RGの上面に形成されている表面保護膜PASに開口部OP1を形成する。同様に、領域R3のリッジ構造部RGの上面に形成されている表面保護膜PASに開口部OP2を形成する。このとき、開口部OP1および開口部OP2の底部からは、リッジ構造部RGの上面が露出することになる。なお、この開口部OP1および開口部OP2は、リッジ構造部RGの上面のうち、素子分離領域に対応する領域には形成されない。そして、開口部OP1の内部および開口部OP2の内部に導体膜CF1を形成する。この導体膜CF1は、例えば、Ti/Pt/Auの積層膜から形成され、蒸着法を使用することにより形成することができる。その後、アロイ処理を実施する。
次に、図61に示すように、開口部OP1および開口部OP2を形成した表面保護膜PAS上に、レジスト膜RF2を塗布し、フォトリソグラフィ技術を使用することにより、塗布したレジスト膜RF2をパターニングする。レジスト膜RF2のパターニングは、領域R1と領域R2で挟まれた溝部DUにだけレジスト膜RF2が残存するように行われる。すなわち、第3領域R3と第4領域R4で挟まれた溝部DUでは、レジスト膜RF2が除去される。
そして、図62に示すように、再び、半導体基板1Sの主面(素子形成面)上に導体膜CF2を形成する。この導体膜CF2は、例えば、Ti/Pt/Auの積層膜から構成され、例えば、蒸着法を使用することにより形成することができる。
次に、図63に示すように、領域R1に形成されているリッジ構造部RGの上部に形成されている導体膜CF2から領域R2に形成されている導体膜CF2上にわたって導体膜CF3を形成する。同様に、領域R3に形成されているリッジ構造部RGの上部に形成されている導体膜CF2から領域R4に形成されている導体膜CF2上にわたって導体膜CF3を形成する。この導体膜CF3は、例えば、金膜から形成され、例えば、めっき法により形成することができる。そして、図64に示すように、導体膜CF2をパターニングし、その後、溝部DUに埋め込まれたレジスト膜RF2を除去する。
このようにして、領域R1に形成されているリッジ構造部RG上に電極EL1が形成され、領域R2に形成されている表面保護膜PAS上に電極パッドPD1が形成される。また、溝部DUに形成されている表面保護膜PASの上方に中空配線である接続配線WL1が形成される。この結果、リッジ構造部RGと電極パッドPD1とは、電極EL1および接続配線WL1で電気的に接続されることになる。このとき、電極パッドPD1は、導体膜CF2および導体膜CF3から形成され、接続配線WL1も導体膜CF2および導体膜CF3から形成されることになる。一方、電極EL1は、導体膜CF1と導体膜CF2と導体膜CF3から形成されることになる。
同様に、領域R3に形成されているリッジ構造部RG上に電極EL2が形成され、領域R4に形成されている表面保護膜PAS上に電極パッドPD2が形成される。また、溝部DUに形成されている表面保護膜PASと接触するように接続配線WL2が形成される。この結果、リッジ構造部RGと電極パッドPD2とは、電極EL2および接続配線WL2で電気的に接続されることになる。このとき、電極パッドPD2は、導体膜CF2および導体膜CF3から形成され、接続配線WL2も導体膜CF2および導体膜CF3から形成されることになる。一方、電極EL2は、導体膜CF1と導体膜CF2と導体膜CF3から形成されることになる。
この工程の後、半導体基板1Sの研磨工程、裏面電極形成工程、へき開工程、コーティング工程、および、ペレタイズ工程を経ることにより、本実施の形態3における半導体装置を製造することができる。
本実施の形態3において、光変調器を電気的に開放した状態で、半導体レーザに電流注入したところ、レーザ発振し、室温で発光スロープ効率0.3W/A以上を得た。光変調器と半導体レーザとの間の接続部における光学散乱損失および光変調器での光学吸収を考慮すると、これは良好な発光スロープ効率と言え、発光特性に製造プロセス上の影響で劣化した様子は見られなかった。ここで、光変調器に電圧を印加したところ、Vpp=0.0V〜2.0Vの印加で、消光比が25dBであるという良好な消光特性を得ることができた。また、光変調器を50Ω抵抗(マッチング抵抗)と並列に繋がるマッチング回路に実装して変調動作させたところ、帯域30Gbps以上の変調光出力を得ることができた。
以上のように、本実施の形態3においても、「高速変調動作に必要な厚い絶縁膜を、リッジ構造部RG(メサ構造部)を形成する前に形成し、その後、リッジ構造部RGを形成する」という基本形態で説明した構成が採用されている。これにより、電極パッドPD1の下層に厚いパッド下地用絶縁膜BPFを形成しても、このパッド下地用絶縁膜BPFを形成する工程よりも後の工程で形成するリッジ構造部RGには、厚いパッド下地用絶縁膜BPFで覆われることによって、リッジ構造部RGの近傍に応力が加わることを防止できる。この結果、本実施の形態3においても、リッジ構造部RGに応力が加わることに起因する活性層MQWの特性劣化を効果的に防止することができる。一方、本実施の形態3においても、断面視において、電極パッドPD1と半導体基板1Sの間に厚いパッド下地用絶縁膜BPFを形成することができる。これにより、本実施の形態3によれば、電極パッドPD1と半導体基板1Sの間に存在する寄生容量を低減することができる。さらに、本実施の形態3では、接続配線WL1をエアブリッジ構造(中空配線)としているため、接続配線WL1と半導体基板1Sの間に存在する寄生容量も低減することができる。このように本実施の形態3においても、リッジ構造部RGの下部およびその近傍に存在する活性層MQWの特性劣化の防止と、電極パッドPD1と半導体基板1Sの間の寄生容量の低減や、接続配線WL1と半導体基板1Sの間の寄生容量の低減とを両立させることができる結果、半導体装置の特性向上を図ることができる。
また、本実施の形態3においても、パッド下地用絶縁膜BPFをCVD法により形成することができる。これにより、表面保護膜PAS(パッシベーション膜)の形成工程などに通常使用されるCVD法を使用してパッド下地用絶縁膜BPFを形成することができる。このような通常使用されるCVD法でパッド下地用絶縁膜BPFを形成する場合、通常工程で必要とされる以上の条件出しや条件管理は何ら必要とされない。さらに、関連技術で使用される樹脂膜RFのように密着性の問題も生じない。このため、本実施の形態3においても、関連技術のように、スピン塗布法および固化成膜のための設備の追加と追加の条件設定が不要となるため、プロセス工程を簡略化およびコスト低減を図ることができるとともに、実績のあるCVD法によるパッド下地用絶縁膜BPFを使用することにより、半導体装置の信頼性も向上させることができる。
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
例えば、前記実施の形態で説明したパッド下地用絶縁膜は、CVD法で形成される酸化シリコン膜の他に、CVD法で形成される窒化シリコン膜に代表されるその他の膜であってもよい。そして、パッド下地用絶縁膜の膜厚は、前記実施の形態で具体的に示した膜厚に限らず、さらなる寄生容量の低減のために、より厚い膜厚であってもよい。
なお、多重量子井戸構造に関して、前記実施の形態で説明したものに限らず、様々な設計変更が可能である。さらに、電極パッドの構成材料も、前記実施の形態で説明したものに限らず、導電性を有するその他の様々な材料から構成することができる。
1S 半導体基板
BPF パッド下地用絶縁膜
BUF バッファ層
C 電気容量
CF 導体膜
CF1 導体膜
CF2 導体膜
CF3 導体膜
CLD1 クラッド層
CLD2 クラッド層
CNTL コンタクト層
DU 溝部
EL 電極
EL1 電極
EL2 電極
ES エッチングストッパ層
ES2 エッチングストッパ層
GD ガイド層
GT グレーティング構造
IF1 絶縁膜
IF2 絶縁膜
LS アルゴンレーザ光
MQW 活性層
MQW2 活性層
OP1 開口部
OP2 開口部
OXF1 酸化シリコン膜
PAS 表面保護膜
PAS1 表面保護膜
PAS2 表面保護膜
PD 電極パッド
PD1 電極パッド
PD2 電極パッド
PED 台地部
PL フォトルミネッセンス
RF 樹脂膜
RF1 レジスト膜
RF2 レジスト膜
RG リッジ構造部
R1 領域
R2 領域
R3 領域
R4 領域
SL 半導体層
WL 接続配線
WL1 接続配線
WL2 接続配線

Claims (19)

  1. (a)半導体基板を用意する工程と、
    (b)前記半導体基板上に活性層を形成する工程と、
    (c)前記活性層上に半導体層を形成する工程と、
    (d)前記半導体層上に第1絶縁膜を形成する工程と、
    (e)前記第1絶縁膜をパターニングすることにより、電極パッド下地用絶縁膜を形成する工程と、
    (f)前記(e)工程後、前記半導体層をパターニングすることにより、前記半導体基板の第1領域にリッジ構造部を形成し、前記第1領域と溝部で離間して、第2領域に、前記電極パッド下地用絶縁膜の下層に配置される前記半導体層の台地部を形成する工程と、
    (g)前記(f)工程後、前記電極パッド下地用絶縁膜および前記リッジ構造部を覆う第2絶縁膜を形成する工程と、
    (h)前記第2絶縁膜をパターニングすることにより、前記リッジ構造部の上部を覆っている前記第2絶縁膜に第1開口部を形成する工程と、
    (i)前記第1開口部の内部から前記第2領域に形成されている前記第2絶縁膜上にわたって導体膜を形成する工程と、
    (j)前記導体膜をパターニングすることにより、前記第1開口部から露出する前記リッジ構造部と電気的に接続される第1電極パッドを前記第2領域に形成されている前記第2絶縁膜上に形成する工程と、を備え、
    前記リッジ構造部の上面および側面に形成されている前記第2絶縁膜の膜厚は、前記電極パッド下地用絶縁膜の膜厚よりも薄い半導体装置の製造方法。
  2. 請求項1に記載の半導体装置の製造方法であって、
    前記(d)工程では、前記第1絶縁膜をCVD法により形成し、
    前記(g)工程では、前記第2絶縁膜をCVD法により形成する半導体装置の製造方法。
  3. 請求項2に記載の半導体装置の製造方法であって、
    前記第1絶縁膜および前記第2絶縁膜は、酸化シリコン膜である半導体装置の製造方法。
  4. 請求項1に記載の半導体装置の製造方法であって、
    平面視において、前記電極パッド下地用絶縁膜の面積は、前記第1電極パッドの面積よりも大きい半導体装置の製造方法。
  5. 請求項4に記載の半導体装置の製造方法であって、
    平面視において、前記電極パッド下地用絶縁膜は、前記第1電極パッドを内包するように形成されている半導体装置の製造方法。
  6. 請求項1に記載の半導体装置の製造方法であって、
    前記第1領域に形成される半導体素子は、半導体レーザである半導体装置の製造方法。
  7. 請求項1に記載の半導体装置の製造方法であって、
    (k)前記(h)工程後、前記(i)工程前に、前記溝部を埋め込むようにレジスト膜を形成する工程を有し、
    前記(i)工程では、前記レジスト膜上にも前記導体膜を形成し、
    前記(j)工程では、前記リッジ構造部と前記第1電極パッドとを電気的に接続する接続配線を前記レジスト膜上に形成し、
    (l)前記(j)工程後、前記レジスト膜を除去することにより、前記接続配線の下層に空間を形成して、前記接続配線を中空配線とする半導体装置の製造方法。
  8. 請求項7に記載の半導体装置の製造方法であって、
    前記第1領域に形成される半導体素子は、光変調器である半導体装置の製造方法。
  9. 請求項1に記載の半導体装置の製造方法であって、
    前記(e)工程では、前記第2領域に前記電極パッド下地用絶縁膜を形成し、
    前記(f)工程では、前記半導体層をパターニングすることにより、さらに、前記半導体基板の第3領域にも前記リッジ構造部を形成し、前記第3領域と前記溝部で離間した第4領域にも、前記半導体層の前記台地部を形成し、
    前記(g)工程では、前記第3領域に形成されている前記リッジ構造部および前記第4領域に形成されている前記台地部上にも、前記第2絶縁膜を形成し、
    前記(h)工程では、前記第3領域に形成されている前記リッジ構造部の上部を覆っている前記第2絶縁膜に第2開口部を形成し、
    さらに、
    (m)前記(h)工程後、前記(i)工程前に、平面視において、前記第1領域と前記第2領域で挟まれた前記溝部にレジスト膜を形成する工程を有し、
    前記(i)工程では、前記レジスト膜上に前記導体膜を形成するとともに、前記第2開口部の内部から前記第4領域に形成されている前記第2絶縁膜上にわたっても前記導体膜を形成し、
    前記(j)工程では、前記第1領域に形成されている前記リッジ構造部と前記第1電極パッドとを電気的に接続する接続配線を前記レジスト膜上に形成し、かつ、前記第2開口部から露出する前記リッジ構造部と電気的に接続される第2電極パッドを前記第4領域に形成し、
    さらに、
    (n)前記(j)工程後、前記レジスト膜を除去することにより、前記接続配線の下層に空間を形成して、前記接続配線を中空配線とする工程を有し、
    前記第1領域および前記第3領域に形成されている前記リッジ構造部の上面および側面に形成されている前記第2絶縁膜の膜厚は、前記第2領域に形成されている前記電極パッド下地用絶縁膜の膜厚よりも薄い半導体装置の製造方法。
  10. 請求項9に記載の半導体装置の製造方法であって、
    前記第1領域に形成される半導体素子は、光変調器であり、
    前記第3領域に形成される半導体素子は、半導体レーザである半導体装置の製造方法。
  11. (a)半導体基板と、
    (b)前記半導体基板上に形成された活性層と、
    (c)前記半導体基板の第1領域において、前記活性層上に形成されたリッジ構造部と、
    (d)前記第1領域と離間した前記半導体基板の第2領域において、前記活性層上に形成された台地部と、
    (e)平面視において、前記リッジ構造部と前記台地部に挟まれた溝部と、
    (f)前記台地部上に形成された第1絶縁膜からなる電極パッド下地用絶縁膜と、
    (g)前記リッジ構造部を覆い、かつ、前記電極パッド下地用絶縁膜上に形成された第2絶縁膜と、
    (h)前記リッジ構造部の上面を覆う前記第2絶縁膜に形成された第1開口部と、
    (i)前記第1開口部から露出する前記リッジ構造部と電気的に接続され、かつ、前記第2領域に形成されている前記第2絶縁膜上に形成された第1電極パッドと、を備え、
    前記リッジ構造部の上面および側面に形成されている前記第2絶縁膜の膜厚は、前記電極パッド下地用絶縁膜の膜厚よりも薄い半導体装置。
  12. 請求項11に記載の半導体装置であって、
    前記第1絶縁膜と前記第2絶縁膜は、同一の材料から構成され、
    前記リッジ構造部の上面および側面に形成されている前記第2絶縁膜の膜厚は、前記電極パッド下地用絶縁膜の膜厚と、前記電極パッド下地用絶縁膜上に形成された前記第2絶縁膜の膜厚を合わせた膜厚よりも薄い半導体装置。
  13. 請求項12に記載の半導体装置であって、
    前記第1絶縁膜および前記第2絶縁膜は、酸化シリコン膜から形成されている半導体装置。
  14. 請求項11に記載の半導体装置であって、
    前記第1領域に形成されている半導体素子は、半導体レーザである半導体装置。
  15. 請求項11に記載の半導体装置であって、
    さらに、
    (j)前記リッジ構造部と前記第1電極パッドとを電気的に接続する接続配線を前記溝部に有し、
    前記接続配線と前記溝部の底面との間には、空間が存在し、
    前記接続配線は、中空配線となっている半導体装置。
  16. 請求項15に記載の半導体装置であって、
    前記第1領域に形成されている半導体素子は、光変調器である半導体装置。
  17. 請求項15に記載の半導体装置であって、
    前記リッジ構造部は、前記半導体基板の第3領域にも形成され、
    前記台地部は、前記第3領域と前記溝部を介して配置された前記半導体基板の第4領域にも形成され、
    前記第2絶縁膜は、前記第3領域に形成されている前記リッジ構造部も覆い、かつ、前記第4領域に形成されている前記台地部上にも形成され、
    前記第3領域に形成されている前記リッジ構造部の上面を覆う前記第2絶縁膜には、第2開口部が形成され、
    前記第2開口部から露出する前記第3領域の前記リッジ構造部と電気的に接続される第2電極パッドが前記第4領域に形成されている前記第2絶縁膜上に形成され、
    前記第3領域の前記リッジ構造部の上面および側面に形成されている前記第2絶縁膜の膜厚も、前記第2領域に形成されている前記電極パッド下地用絶縁膜の膜厚よりも薄い半導体装置。
  18. 請求項17に記載の半導体装置であって、
    平面視において、前記第1電極パッドの面積は、前記第2電極パッドの面積よりも小さい半導体装置。
  19. 請求項17に記載の半導体装置であって、
    前記第1領域に形成されている半導体素子は、光変調器であり、
    前記第3領域に形成されている半導体素子は、半導体レーザである半導体装置。
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