JP2014109760A - 撮像装置及びその制御方法、レンズ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】撮像光学系を構成するレンズユニット100がカメラ本体部150に装着され、レンズCPU104とカメラCPU167とが通信部103,170を介して情報を送受する。撮像素子158は撮像光学系の異なる瞳領域を通過する光を光電変換する複数の焦点検出用画素を有する。露光量決定部160はレンズユニット100の第1記憶部107から周辺光量情報を取得して露光量補正を行う。AF信号補正部164は周辺光量情報を取得して補正係数を算出し、焦点検出用画素の信号強度変化を補正する。カメラCPU167はAF信号補正部164により補正された信号を用いてデフォーカス量を算出し、フォーカス駆動量決定部169はデフォーカス量からフォーカス駆動量を算出してレンズCPU104に送信し、焦点調節動作を行う。
【選択図】図1
Description
焦点検出精度を充分得るために撮像光学系の周辺光量変化の情報を用いる場合、撮像光学系毎に絞り径変化に伴う周辺光量変化のデータをカメラ本体側で全て保存しておくことは困難である。すなわち撮像光学系に応じた各種データ量を如何に低減させるかが問題となる。また、許容される焦点検出精度内で合焦状態が得られるまでに極力少ない回数のフォーカスレンズ駆動を行うことが必要である。合焦速度の低下は、コントラスト方式の場合と同様の問題をもたらすからである。
本発明の目的は、撮像装置本体に装着されたレンズ装置から取得した光学情報を用いて、精度良く高速な合焦動作を実現することである。
本発明の第2の側面に係る装置は、撮像光学系を構成するレンズ装置が装着される本体部と、前記撮像光学系の異なる瞳領域を通過する光を光電変換する複数の焦点検出用画素を有する撮像素子を備える撮像装置であって、前記本体部に装着された前記レンズ装置と通信する通信手段と、前記通信手段により前記撮像光学系の周辺光量情報を前記レンズ装置から取得して露光量補正を行う露光量決定手段と、前記複数の焦点検出用画素の信号から得られる位相差情報から基線長情報を用いてデフォーカス量を算出する焦点検出手段と、前記周辺光量情報を取得して前記基線長情報を補正する基線長補正手段と、前記デフォーカス量からフォーカス駆動量を算出して焦点調節動作を制御する制御手段を備える。
図1は本発明の第1実施形態に係る撮像装置の構成例を示す図である。撮像光学系を構成するレンズユニット100が装着されたカメラ本体部150は、動画及び静止画を記録することができる。尚、画像記録や表示駆動、操作部材等の、本発明の要旨と技術的な関わりの少ない箇所に関しては説明を省略する。またカメラ本体部150は撮像素子を用いたコントラスト評価方式の焦点検出手段を備えてもよい。
レンズユニット100はレンズ群101と、光彩絞り102を備える。撮影時の光量調節を行う光彩絞り102の開口径調整は絞り径駆動部106により制御される。レンズ群101はフォーカス駆動部105による光軸方向の移動により焦点調節を行う。フォーカス駆動部105及び絞り径駆動部106はレンズCPU(中央演算処理装置)104からの制御命令を受信して駆動制御を行う。詳細については後述するが、カメラ側通信部170とレンズ側通信部103との間で行われる通信により、カメラ本体部150での測光情報及び焦点検出結果等に応じて光学部材の駆動制御が行われる。
レンズユニット100は、第1記憶部107及び第2記憶部108を備える。第1記憶部107は、撮像光学系の周辺光量変化特性に則した周辺光量情報を記憶している。また第2記憶部108は、レンズユニット100の射出瞳位置情報、絞り径制御で設定可能なF値範囲情報、撮像光学系の焦点距離(ズームレンズの場合には焦点距離範囲)等の光学特性情報、及び撮像光学系の識別情報を記憶している。周辺光量情報と光学系諸情報はレンズ側通信部103とカメラ側通信部170を介してカメラ本体部150に伝達される。
カメラ本体部150はレンズ交換式の一眼レフレックスカメラの形態を有しており、レンズユニット100を介した被写体光線については跳ね上げ式の反射部材155の駆動により偏向の有無が切り替えられる。反射部材155が跳ね上がっていない基準状態においては、ピント板154に被写体像が結像され、ペンタゴナル形状の反射プリズム151を介して接眼レンズ152によりユーザが目視観察を行う。また被写体光は測光用の光学ユニット153に取り込まれ、測光部159は被写体の照度を検出して露光量決定部160に出力する。必要に応じてレンズユニット100内の第1記憶部107から取得した周辺光量情報を用いて、画面周辺部の減光状態に応じた露光量補正が露光量決定部160で行われる。露光量決定部160によって決定された適正な露光量に基づき、撮像素子駆動部161によりゲイン量を調整する信号やレンズユニット100の絞り径制御用の信号が生成される。
以上に説明した一連の動作に従って、焦点検出及びフォーカス駆動制御が実行される。本実施形態では、画面周辺部分の露出補正を行うための周辺光量情報をAF信号の補正に用いることで、データ量の増加を伴わずに合焦制御精度を向上させることができる。
画素200は撮像画素を示す。画素201から204は検出画素を示し、公知技術を利用して遮光構造を配した焦点検出用画素群を構成する。Y方向に沿って同一列に配置された検出画素201、202の出力信号は、対をなす光電変換信号波形を一対の位相差情報として、横縞パターン形状の被写体に関する合焦位置の検出に用いる。また縦縞パターン形状の被写体については、図2中にてX方向に沿って同一行に配置した検出画素203、204を用いて、光電変換信号波形に係る相関演算を行って合焦位置が検出される。これらの検出画素群によって得られる像信号は位相差検出に使用される。
第1の画素群を構成する画素300はY方向にて2分割された副画素302、303を備える。副画素302及び303の各出力信号(光電変換信号)は、一対の画素信号として相関演算を行うことにより像ずれ量(位相差情報)が算出される。また第2の画素群を構成する画素301はX方向にて2分割された副画素304、305を備える。副画素304、305の各出力信号は一対の相関演算用信号として用いる。各画素群はX方向とY方向の縞パターンの被写体についての焦点検出をそれぞれ行う。
画素300が出力する撮像画素信号は、副画素302と303の出力を加算した信号であり、同様に画素301が出力する撮像画素信号は、副画素304と305の出力を加算して信号である。つまり、各画素は撮像画素の機能と検出画素の機能を併せもつ。
撮像画素信号については、画素400を構成する副画素401から404の出力信号を加算すればよい。
ところで、周辺像高での焦点検出処理を行うに当たって、撮像面に結像する光線束は像高が高くなるにつれて、撮像光学系の有限なレンズ外径に起因する光線ケラレの影響が大きくなる。以下、光線ケラレが原因となる、合焦位置検出精度に対する影響について図5及び図6を参照して説明する。
各検出画素は所定の方向に配置されており、各検出画素の光電変換信号には必要に応じて隣接画素の信号を用いて線形補間処理が施され、相関演算用の信号が生成される。図5(A)のEPa0、EPb0は、A像用及びB像用の焦点検出にて相関演算を行う際に一対となる瞳投影像をそれぞれ示す。また、図5(B)のEPa1、EPb2は光線ケラレが発生している場合において、同様に一対となる瞳投影像をそれぞれ示す。比較のため、光線ケラレの無い状態での射出瞳EP0と、EPb0に対応する射出瞳EPb1を破線で示す。
図5(C)では、検出画素が配置される像高位置が低い(撮像面中心に近い)状態であり、出力波形AI0、BI0はA像用及びB像用検出画素群の各出力信号を補間合成した信号をそれぞれ示す。L0は各波形の信号強度について重心位置の隔たりを相関量に代用して示すものである。
図5(D)に示す各検出画素の出力波形AI0、BI1はA像用及びB像用検出画素群の各出力信号を補間合成したものである。L1は各波形の信号強度について重心位置の隔たりを相関量に代用して示す。図5(B)の状態においては、光線ケラレの影響によって撮像光学系の射出瞳形状が偏りを持って小径化するため、A像用とB像用の各検出画素へ入射する光量に差が生じる。図5(D)では、B像用の検出画素群に入射する光線の減光状態を例示する。出力波形BI1の信号は画面の周辺位置になる程、AI0に対して非対称な形状となっている。
図6中に示すSPは、撮像画素全体での入射角−信号強度分布を示し、PLは焦点検出処理時における有効光線の角度範囲を示す。XLは左右方向に延びるX軸を表し、PXは撮像画素におけるX軸上の有効光線範囲を示す。
図7は撮像素子中心部における検出画素の出力信号強度比を例示する。図8は撮像素子周辺部における検出画素の出力信号強度比を例示する。図9は撮像光学系の周辺光量の低下(光線ケラレ)が発生している時の、撮像素子周辺部における検出画素の出力信号強度比を例示する。図7ないし図9の(A)図には、左側に検出画素Aの入射角−信号強度分布PAを示し、右側に検出画素Bの入射角−信号強度分布PBを示す。PXは検出用画素におけるX軸上の有効光線範囲を示す。また図7ないし図9の(B)図にはX方向の光線入射角度に対する信号強度特性を示す。WTは、X軸断面での撮像画素の入射角−信号強度特性を示す。WAはX軸断面での検出画素Aの入射角−信号強度特性を示し、WBはX軸断面での検出画素Bの入射角−信号強度特性を示す。
図10(A)は、撮像光学系の周辺光量変化が無い状態での各信号強度比を例示する。例えば、小絞り状態に設定して撮像光学系の周辺光量変化が無いようにした場合の強度比特性を示す。AWはX軸切片が1であって、X座標値の増加につれて左から右に下る線形特性を示す。これとは逆に、BWはX軸切片が1であって、X座標値の増加につれて左から右に増加する線形特性を示す。
図10(B)は、撮像光学系の周辺光量変化が生じている状態での各信号強度比を例示する。例えば撮像光学系の絞りが開放近辺であり、周辺光量変化を生じている場合の強度比特性を示す。AWはX軸切片が1であって、X<0の範囲で上に凸の曲線部をもち、X>0の範囲ではX座標値の増加につれて左から右に下る特性を示す。これとは逆に、BWはX軸切片が1であって、X>0の範囲で上に凸の曲線部をもち、X<0の範囲ではX座標値の減少につれて右から左に減少する特性を示す。
撮像素子のX座標に対する検出画素の光電変換信号強度変化を補正する第1補正係数について説明する。X座標は像高を表し、各補正係数を以下に定義する。
CS1:検出画素の1次補正係数
CS2:検出画素の2次補正係数
KA :A信号用補正係数
KB :B信号用補正係数
[数式1]
KA = 1+CS1・X+CS2・X^2 …(式1)
KB = 1−CS1・X+CS2・X^2 …(式2)
である。「^2」は2乗を意味する。
また、各信号を以下に定義する。
HA:X座標での補正されたA信号
HB:X座標での補正されたB信号
SA:X座標での補正前のA信号
SB:X座標での補正前のB信号
KA及びKBを用いた補正により、以下の信号HA、HBが算出される。
[数式2]
HA = SA・KA …(式3)
HB = SB・KB …(式4)
上記(式1)、(式2)にて、補正対象となる検出画素のX座標を代入すれば、各補正係数が算出される。これらの補正係数と同X座標値におけるA信号とB信号の各出力とを乗算することにより信号強度補正が行われる。
各補正係数を以下に定義する。
CL1:周辺光量変化の1次補正係数
CL2:周辺光量変化の2次補正係数
[数式3]
KA = 1+(CS1+CL1)・X+(CS2+CL2)・X^2 …(式5)
KB = 1−(CS1+CL1)・X+(CS2+CL2)・X^2 …(式6)
上記(式5)、(式6)を用いて前記と同様に、(式3)、(式4)により信号補正を行うことで、さらに撮像光学系の周辺光量変化が補正される。従って、図10(B)に示す特性の場合でも補正後の信号は、図11(B)のW1と同様に、X座標変化に対する依存性が補正されることになる。
図12(D)は、図12(C)の検出画素信号に対して光線ケラレ補正を行った後の信号強度比を示す。つまり、(式1)、(式2)から算出した補正係数を用いて補正処理を行った後の状態である。
図12(E)は、図12(B)の検出画素信号に対して光線ケラレ補正を行った後の信号強度比と、図12(C)の検出画素信号に対して光線ケラレ補正及び撮像光学系の周辺光量変化の補正を行った後の信号強度比をまとめて示す。つまり、図12(B)の検出画素信号に対する光線ケラレ補正については、(式1)、(式2)から算出した補正係数を用いて補正処理を行った後の状態を示す。また、図12(C)の検出画素信号に対する光線ケラレ補正及び撮像光学系の周辺光量変化の補正については、(式5)、(式6)から算出した補正係数を用いて補正処理を行った後の状態を示す。図12(E)に示すA信号とB信号との位相ずれを相関演算にて算出する際に信号波形の一致度が良好となり、焦点検出精度が高くなることが分かる。
先ず撮影者がカメラの電源スイッチをオン操作すると、カメラCPU167はカメラ内の各アクチュエータや撮像素子158の動作確認を行い、メモリ内容や実行プログラムの初期化と撮影準備動作を実行する。
更には、レンズユニット100の周辺光量変化補正を行うために、以下の処理が実行される。S106にてカメラCPU167は現状のF値が、撮像光学系の周辺光量変化補正を行う必要性があるF値領域であるか否かを判断する。補正の必要がないと判断された場合にはS109に移行し、補正の必要があると判断された場合にはS107に処理を進める。S107でカメラCPU167は、現在の焦点距離やF値条件に則したレンズユニット100の周辺光量変化の補正係数を取得する。周辺光量変化に係る第2補正係数(CL1,CL2)はS102で得た周辺光量情報から算出される。
次に、本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態にて前記第1実施形態と同様の構成については既に使用した符号を用いることにより、それらの詳細な説明を省略し、主に相違点を説明する。
図14は本実施形態に係る撮像装置の構成例を示す図である。
カメラ本体部150の基線長情報取得部171は、露光量決定部160から得られるAF動作時のF値情報と、AF信号抽出部163から得られる検出画素の位置情報に基づいて対象となる基線長情報をメモリ(不図示)から取得する。この基線長情報は基線長補正情報取得部172に送られる。
POは、射出瞳位置Pと焦点位置Bとの距離を示す。図15(A)に示すZAは前ピン状態において検出画素群の光電変換信号である一対の画素信号の位相差情報から相関を得る際に必要とする像ズレ量である。ZBは合焦状態であるため対をなす検出波形が重なっており、像ズレが起きていない。ZCは後ピン状態での像ズレ量である。ZAの場合に対して各検出信号の位置関係が交替した状態になっている。
以上の関係を数式で表わすと、LとPO及びZA、ZCとDEF1、DEF2は下式のようになる。
L:PO=ZA:DEF1
L:PO=ZC:DEF2
よって、デフォーカス量は、下式から求められる。
[数式5]
DEF1=ZA・PO/L ・・・ (式7)
DEF2=ZC・PO/L ・・・ (式8)
光線RY0は、撮像素子面IPの中心位置に結像する軸上光線を示す。また、光線RY1は、撮像素子面IPの中心位置から横方向にずれた周辺像高位置Hに結像する軸外光線(以下、周辺光線という)を示している。ここで撮像素子面IP上の結像位置には検出画素が配置されているものとする。
光線ケラレが生じることで検出画素に入射する光線角度範囲が狭まるため、信号強度特性はr1で示すように非対称に変化する。r1とr2の重心間隔はl(<L)となる。また、検出画素群が受光する被写体像の信号波形(ここでは簡略化のため被写体は一本の縦線形状とする)にも、片側の波形部分に光線ケラレの影響が生じる。例えば、像ズレ量za及びzcは、光線ケラレが生じていない場合(図15(A)のZA及びZC参照)よりも小さくなる。
[数式6]
DEF1=za・PO/l ・・・ (式9)
DEF2=zc・PO/l ・・・ (式10)
よって、算出されるデフォーカス量は、前記(式7)及び(式8)から算出されるDEF1,DEF2と同値となる。つまり、光線ケラレが生じたとしても、その状態に適合した基線長lを得ることができれば、像ズレ量から正しいデフォーカス量を導出できる。
例えば、撮像光学系を構成するレンズユニット100が交換可能であって、これをカメラ本体部150に装着して使用する場合、撮像光学系に固有の光線ケラレに配慮した膨大な基線長情報が必要である。以下では、交換可能なレンズユニット100が保持する周辺光量情報を用いて基線長を補正することで、撮像光学系の光線ケラレに対処する処理例を説明する。この場合、カメラ本体部150が保持している光線ケラレの無い状態での基線長を補正する処理が実行される。補正前の基線長は図14の基線長情報取得部171により得られる。撮像光学系の周辺光量情報は、レンズユニット100の第1記憶部107に格納されており、画面周辺部の測光を行う際に適正露光量になるように露光補正の目的で露光量決定部160が取得する。この周辺光量情報を用いることで、データ量の増加を伴わずに基線長補正を行うことができる。
図17は、横軸に検出画素の受光角度(単位:°)をとり、縦軸に光電変換信号出力強度比をとって例示したグラフである。破線のグラフAは、一対の検出画素において、第1の光電変換部に入射する光線に対して光電変換を行って得られるA信号の強度比を示す。2点鎖線のグラフBは第2の光電変換部に入射する光線に対して光電変換を行って得られるB信号の強度比を示す。実線のグラフCはA信号とB信号を加算合成した場合の出力信号強度比を示し、被写体の撮像信号に相当する。F値が1.2の撮像光学系の射出角度範囲Rは、逆正弦関数SIN-1(1/F値)で求められ、図17の例では約56.4°となる。尚、図17の説明は、A像とB像を個別の検出画素の光電変換部で検出する場合、図2の画素配列構造にも適用できる。
表1の第1列にF値を示し、第2列以降に射出瞳距離50から300mmにおける瞳面Pでの基線長データを離散的に示す。テーブルデータはカメラ本体部150のメモリ(不図示)に記憶されている。尚、表1ではF値が2以降の基線長データを省略する。
光線ケラレが発生した状態においては、図17で説明した検出画素の受光角度による光電変換出力信号強度の関係を用いる。図17にて受光角度範囲Rは光線ケラレが発生していない場合の範囲を示す。光線ケラレが発生している状態では、受光角度範囲Rから光線ケラレ分に相当する範囲Vを除いた、残りの受光角度範囲「R−V」の出力信号強度情報を用いる。そして前記と同様に、射出瞳位置Pに出力信号強度分布を逆投影し、2像の重心間隔から基線長情報を得ることができる。この場合、光線ケラレ量変化(周辺光量比変化)に対して重心位置計算を行い、2像の重心間隔から求められる基線長の変化情報が前もって計算されるものとする。
下表2は、光線ケラレの無い状態(周辺光量比100%)での基線長情報に対して周辺光量が減少した状態における基線長の変化率を例示する。表2では周辺光量比(V)を百分率で表し、対応する基線長補正係数(H)をそれぞれ示している。これらはデータテーブルとして撮像装置内のメモリに記憶しておくものとする。
ここでは周辺光量の減少につれて基線長が短くなる光電変換信号強度特性を有する撮像素子に関して説明を行う。周辺光量比(V)に対する基線長補正係数(H)については、後述する絞り込み時にも適用可能なように補間係数を用いて算出することができる。周辺光量比から基線長補正係数を算出する場合の計算式を以下に例示する。
基線長補正係数(H)= C0 + C1・V + C2・V^2 ・・・(式11)
C0,C1,C2はそれぞれ0次、1次、2次の定係数である。
一例として、開放F値1.2で射出瞳距離(PO)が60mmの撮像光学系を使用して焦点検出を行う場合を説明する。
表3の焦点検出位置には、撮像中心と像高1ないし5を示す。像高1の位置が撮像中心位置に近く、像高5の位置が撮像中心位置から最も遠い。尚、丸枠内の数字1ないし5は行番号を示すとともに処理順序に相当する。第1行には開放F値を示す。
第5行では、第2行に示す光線ケラレが無い状態での基線長と、第4行に示す基線長補正係数とが列毎に乗算され、補正された基線長値が得られる。これは図15(B)で説明した基線長lに相当し、この情報を用いてデフォーカス量が算出される。光線ケラレの影響を考慮して算出した精度の高いデフォーカス量に基づいて、正確なフォーカス駆動量が求められるので、フォーカスレンズを少ない駆動回数で移動させて高速な合焦動作を行える。
以下では、「開放F値情報:開放での周辺光量比 = 絞り込み時のF値情報:絞り込み時の周辺光量比」の比率関係を想定する。これを変形すると、以下の関係式が得られる。
「絞り込み時の周辺光量比=(開放での周辺光量比 × 絞り込み時のF値情報)/開放F値情報」(但し、上限値は100%)・・・(式12)
(式12)から求められる周辺光量比を「換算周辺光量比」とする。尚、換算周辺光量比は100%を上限値としており、計算結果が100%を超える場合には、一律に100%として取り扱うものとする。
表4は光線ケラレの無い状態(周辺光量比100%)での基線長情報に対して周辺光量比が減少した状態における基線長の変化率を基線長補正係数として例示する。
ここでは検出画素の光電変換信号強度特性にて撮像光学系に光線ケラレを生じることで、重心間隔が大きくなる傾向を有する例を示す。周辺光量比から基線長補正係数を導出するための多項式は(式11)と同じであるが、定係数C0,C1,C2の値が異なる。
上表5は、表1と表4の値を用いて撮像光学系の開放時と絞り込み時について、撮像中心と各像高位置における焦点検出結果(像ズレ量の算出結果)から基線長補正を行った場合の計算過程を例示する。補正後の基線長は周辺位置ほど長くなっている。表5の構成は表3の場合と同様であるため、詳細な説明は省略する。
次に焦点位置検出及び合焦制御の処理例について、図18のフローチャートを参照して説明する。図18はAF処理に関する概要を示しており、レンズユニット100がカメラ本体部150に装着されていない状態を初期状態とする。カメラCPU167がメモリからプログラムを読み出して実行することにより以下の処理が行われる。
S1100でカメラCPU167は撮影者がレンズユニット100をカメラ本体部150に装着したことを判断する。S1101で基線長情報取得部171は、基線長情報をデータテーブル(表1参照)から取得する。当該情報は撮像光学系の光線ケラレが発生していない状態において、F値情報で開口径が定義される円形開口における基線長情報である。S1102は、カメラ本体部150に装着されたレンズユニット100の第1記憶部107から周辺光量情報を取得するステップである。周辺光量情報は基線長補正情報取得部172、基線長補正部173、露光量決定部160に送られる。
104:レンズCPU
105:フォーカス駆動部
107:第1記憶部
150:カメラ本体部
158:撮像素子
160:露光量決定部
164:AF信号補正部
167:カメラCPU
169:フォーカス駆動量決定部
171:基線長情報取得部
172:基線長補正情報取得部
173:基線長補正部
Claims (10)
- 撮像光学系を構成するレンズ装置が装着される本体部と、前記撮像光学系の異なる瞳領域を通過する光を光電変換する複数の焦点検出用画素を有する撮像素子を備える撮像装置であって、
前記本体部に装着された前記レンズ装置と通信する通信手段と、
前記通信手段により前記撮像光学系の周辺光量情報を前記レンズ装置から取得して露光量補正を行う露光量決定手段と、
前記周辺光量情報を取得して補正係数を算出し、前記焦点検出用画素の信号強度変化を補正する信号補正手段と、
前記信号補正手段により補正された信号を用いてデフォーカス量を算出する焦点検出手段と、
前記デフォーカス量からフォーカス駆動量を算出して焦点調節動作を制御する制御手段を備えることを特徴とする撮像装置。 - 前記信号補正手段は、焦点検出時に前記露光量決定手段から取得した絞り値情報と、前記焦点検出用画素の位置情報を用いて前記補正係数を算出することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
- 前記信号補正手段は、前記撮像光学系の瞳位置と前記絞り値情報を用いて第1補正係数を算出するとともに、前記撮像光学系の周辺光量変化に係る補正を行う場合には前記周辺光量情報からさらに第2補正係数を算出し、前記第1補正係数及び第2補正係数を用いて前記焦点検出用画素の信号強度変化を補正することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
- 撮像光学系を構成するレンズ装置が装着される本体部と、前記撮像光学系の異なる瞳領域を通過する光を光電変換する複数の焦点検出用画素を有する撮像素子を備える撮像装置であって、
前記本体部に装着された前記レンズ装置と通信する通信手段と、
前記通信手段により前記撮像光学系の周辺光量情報を前記レンズ装置から取得して露光量補正を行う露光量決定手段と、
前記複数の焦点検出用画素の信号から得られる位相差情報から基線長情報を用いてデフォーカス量を算出する焦点検出手段と、
前記周辺光量情報を取得して前記基線長情報を補正する基線長補正手段と、
前記デフォーカス量からフォーカス駆動量を算出して焦点調節動作を制御する制御手段を備えることを特徴とする撮像装置。 - 前記基線長補正手段は、焦点検出時に前記露光量決定手段から取得した絞り値情報と、前記焦点検出用画素の位置情報を用いて前記基線長情報を補正することを特徴とする請求項4の記載の撮像装置。
- 前記基線長補正手段は、前記レンズ装置から絞り開放時の周辺光量情報を取得し、前記絞り値情報に従って前記周辺光量情報を補正し、補正された周辺光量情報から補正係数を算出して前記基線長情報を補正することを特徴とする請求項5に記載の撮像装置。
- 前記焦点検出用画素は、1つのマイクロレンズに対して複数の光電変換部を配置した画素配列構造を有しており、
前記焦点検出用画素の出力する信号から複数の焦点検出用信号を抽出する信号抽出手段をさらに備え、
前記焦点検出手段は前記複数の焦点検出用信号に係る位相差情報の相関演算を行って前記デフォーカス量を算出することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の撮像装置。 - 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の撮像装置の本体部に装着されるレンズ装置であって、
前記撮像光学系の周辺光量情報を記憶する記憶手段と、
前記撮像装置と通信する通信手段と、
前記記憶手段から周辺光量情報を読み出し、前記通信手段を介して前記撮像装置に送信する制御を行う制御手段を備えることを特徴とするレンズ装置。 - 撮像光学系を構成するレンズ装置が装着される本体部と、前記撮像光学系の異なる瞳領域を通過する光を光電変換する複数の焦点検出用画素を有する撮像素子を備える撮像装置にて実行される制御方法であって、
前記本体部に装着された前記レンズ装置と通信する通信手段により、前記撮像光学系の周辺光量情報を前記レンズ装置から取得して露光量補正を行う露光量決定ステップと、
前記周辺光量情報を取得して補正係数を算出し、前記焦点検出用画素の信号強度変化を補正する信号補正ステップと、
前記信号補正ステップで補正された信号を用いてデフォーカス量を算出する焦点検出ステップと、
前記デフォーカス量からフォーカス駆動量を算出して焦点調節動作を制御する制御ステップを有することを特徴とする撮像装置の制御方法。 - 撮像光学系を構成するレンズ装置が装着される本体部と、前記撮像光学系の異なる瞳領域を通過する光を光電変換する複数の焦点検出用画素を有する撮像素子を備える撮像装置にて実行される制御方法であって、
前記本体部に装着された前記レンズ装置と通信する通信手段により、前記撮像光学系の周辺光量情報を前記レンズ装置から取得して露光量補正を行う露光量決定ステップと、
前記複数の焦点検出用画素の信号から得られる位相差情報及び前記周辺光量情報を取得して基線長情報を補正する補正ステップと、
前記補正ステップで補正された前記基線長情報を用いてデフォーカス量を算出する焦点検出ステップと、
前記デフォーカス量からフォーカス駆動量を算出して焦点調節動作を制御する制御ステップを有することを特徴とする撮像装置の制御方法。
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