JP2014109545A - 温度計測装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】炉内の雰囲気に悪影響を与えることなく外側容器内の蒸気を放出することができる温度計測装置を提供する。
【解決手段】計測データを処理する温度計測装置本体50と、温度計測装置本体50を収納する内側容器30と、内側容器30を収納し、水分を含む断熱材Gが充填される外側容器20と、温度計測装置本体50から内側容器30に形成される貫通孔31と外側容器に形成される貫通孔21Aとを貫通して外部に引き出される熱電対51Aと、を備える温度計測装置10であって、外側容器20の貫通孔21A内に配置された熱電対51Aは、耐熱性の絶縁体の多孔質であるガラス繊維60覆われており、外側容器20の貫通孔21Aとガラス繊維60とは、密着している。
【選択図】図2

Description

本発明は、温度計測装置の技術に関する。
従来、鋼の表面処理の一つとして低温窒化処理が公知である。低温窒化処理とは、鋼をアンモニアガス中で約400〜600℃に加熱して表面に窒素を浸透させて窒化鉄の硬化層を生成させる処理方法である。
また、低温窒化処理が行われる雰囲気炉において、炉内温度を計測する温度計測装置は公知である。また、このような高温環境に曝される温度計測装置では、温度計測データを処理する温度計測装置本体(データロガー)を耐熱容器に収納して高温環境から保護する構成が公知である(例えば、特許文献1)。
特許文献1に開示される温度計測装置は、計測データを処理する温度計測装置本体と、温度計測装置本体を収納する内側容器と、内側容器を収納し、水分を含んだ断熱材が充填される外側容器と、を備えている。特許文献1に開示される温度計測装置の外側容器は、水分等を通過させずに、断熱材を完全に密閉している。
しかし、特許文献1に開示される温度計測装置では、使用により高温環境に長時間曝され続けると、断熱材に含まれる水分が気化する。断熱材に含まれる水分が気化し続けることによって、外側容器の内部圧力が上昇する。外側容器の内部圧力が上昇し続けることによって、外側容器の内部温度も上昇する。外側容器の内部温度が上昇することによって、温度計測装置本体が正確に温度計測を行うことが困難となる。
そこで、本願の発明者らは、外側容器の内部と外部とを連通する圧抜き穴を形成した温度計測装置を考案した。外側容器に圧抜き穴を形成した温度計測装置によれば、断熱材に含まれる水分が気化することにより生じた蒸気を圧抜き穴から外側容器の外部、すなわち炉内へ放出することができる。しかし、外側容器に圧抜き穴を形成した温度計測装置では、この圧抜き穴から断熱材に含まれる異物等も蒸気と共に炉内へ放出されるため、雰囲気炉内の雰囲気に悪影響を及ぼすおそれがある。
特開2011−043376号公報
本発明の解決しようとする課題は、雰囲気炉内の雰囲気に悪影響を与えることなく外側容器内の蒸気を雰囲気炉内に放出することができる温度計測装置を提供することである。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、請求項1においては、計測データを処理する温度計測装置本体と、前記温度計測装置本体を収納する内側容器と、前記内側容器を収納し、水分を含む断熱材が充填される外側容器と、前記温度計測装置本体から前記内側容器に形成される貫通孔と前記外側容器に形成される貫通孔とを貫通して外部に引き出される熱電対と、を備える温度計測装置であって、前記外側容器の貫通孔内に配置された前記熱電対は、耐熱性の絶縁体の多孔質で覆われており、前記外側容器の貫通孔と前記多孔質とは、密着しているものである。
請求項2においては、請求項1記載の温度計測装置であって、前記熱電対が貫通する外側容器の貫通孔は、複数形成され、少なくとも一つの前記外側容器の貫通孔内に配置された前記熱電対は、耐熱性の絶縁体の多孔質で覆われているものである。
請求項3においては、請求項1又は2記載の温度計測装置であって、炉内でワークの表面をガス窒化により硬化させる際に用いられるものである。
本発明の温度計測装置によれば、炉内の雰囲気に悪影響を与えることなく外側容器内の蒸気を放出することができる。
雰囲気炉を示す模式図。 同じく温度計測装置の模式断面図。
図1を用いて、雰囲気炉100について説明する。
なお、図1では、雰囲気炉100を模式的に表している。
雰囲気炉100は、本発明の温度計測装置に係る実施形態である。雰囲気炉100は、ワークWを直接加熱せず、充填した処理ガスを加熱することによってワークWの熱処理を行う装置である。
なお、本実施形態のワークWは、鋼とされている。また、本実施形態の雰囲気炉100は、ワークWの低温窒化処理を行う処理室の一つとされている。雰囲気炉100では、ワークWがアンモニアガス中で約400〜600℃に加熱され、ワークWの表面に窒素を浸透させて窒化鉄の硬化層を生成させている。
雰囲気炉100は、ヒータ110と、ガス供給装置120と、ガス排気装置130と、支持部材150と、温度計測装置10と、を具備している。ヒータ110は、雰囲気炉100内の充填されたガスを加熱する装置である。ガス供給装置120は、雰囲気炉100内にガスを充填する装置である。ガス排気装置130は、雰囲気炉100内に充填されたガスを排気する装置である。支持部材150は、雰囲気炉100内にて、ワークWを支持して固定するものである。
温度計測装置10は、耐熱容器としての外側容器20と、温度計測装置本体50と、熱電対51A・51B・51Cと、接触端子部52A・52B・52Cと、を備えている。
外側容器20は、略円柱形状に構成されている。外側容器20の内部には、温度計測装置本体50が収納されている。外側容器20について、詳しくは後述する。
温度計測装置本体50は、いわゆるデータロガーと称される履歴データ記録装置によって構成される。温度計測装置本体50には、複数の熱電対51A・51B・51Cが電気的に接続されている。各熱電対51A・51B・51Cの先端部には、雰囲気炉100に配置されたワークWの温度を検出する接触端子部52A・52B・52Cが接続される。接触端子部52A・52B・52Cは、ワークWに接触した状態で設けられている。
接触端子部52A・52B・52Cによって検出されたワークWの温度は、電気信号に変換されて温度計測装置本体50に送信され、履歴データ(計測データ)として温度計測装置本体50によって処理され保存される。
図2を用いて、温度計測装置10の構成についてさらに詳しく説明する。
なお、図2では、温度計測装置10を断面視にて模式的に表している。また、図2の下方では、外側容器20の貫通孔21Aを貫通する熱電対51Aを拡大して表している。
温度計測装置10は、上述の外側容器20、温度計測装置本体50、熱電対51A・51B・51Cおよび接触端子部52A・52B・52Cに加えて、さらに、内側容器30と、断熱材としての石膏Gと、を備えている。
温度計測装置本体50は、内側容器30に収納されている。温度計測装置本体50は、上述したように、いわゆるデータロガーと称される履歴データ記録装置によって構成される。
内側容器30は、中空の略円柱形状に構成されている。内側容器30の内部の略中央部には、温度計測装置本体50が配置されている。内側容器30は、外側容器20に収納されている。内側容器30から外側容器20に延出する熱電対51A・51B・51Cは、内側容器30の貫通孔31を貫通して外側容器20の内部へ延出している。
外側容器20は、中空の略円柱形状に構成されている。外側容器20の内部の略中央部には内側容器30が配置され、外側容器20の内部における内側容器30の周囲には石膏Gが充填されている。外側容器20から外部に延出する熱電対51A・51B・51Cは、外側容器20の一側に形成される貫通孔21A・21B・21Cを貫通して外部へ延出している。
石膏Gは、内側容器30と外側容器20との間に形成される空間に充填されている。石膏Gには、水分が含まれている。石膏Gは、温度上昇時に、含有する水分が気化することによって周囲の熱を吸収して断熱効果を奏する断熱材である。
熱電対51A・51B・51Cは、熱起電力を利用して温度測定に用いるため、2種類の金属線M1・M2を一端で接合した温度センサーである。熱電対51A・51B・51Cの金属線M1・M2のそれぞれは、全体が絶縁体55に被覆されて構成されている。
ここで、特記事項として、本実施形態の熱電対51Aは、全体が耐熱性の絶縁体の多孔質としてガラス繊維60でさらに被覆されている。ガラス繊維60は、2本の熱電対51Aの外周に密着して被覆されている。また、ガラス繊維60は、貫通孔21Aの内壁と密着して配置されている。
なお、本実施形態の熱電対51Aはガラス繊維60で被覆される構成としたが、これに限定されない。例えば、多孔質セラミックで被覆される等、多孔質の絶縁体で被覆される構成であれば良い。なお、本実施形態において、多孔質の絶縁体とは、多くの細孔を有する絶縁体のことをいい、多孔質セラミック等の多孔質部材のみならず、ガラス繊維等の繊維状部材も含むものである。
また、本実施形態の熱電対51Aのみがガラス繊維で被覆される構成としたが、これに限定されない。例えば、熱電対51B又は熱電対51Cがガラス繊維で被覆される構成としても良い。
なお、本実施形態の熱電対51Aはガラス繊維60で被覆される構成としたが、これに限定されない。例えば、シース熱電対の外側容器20の貫通孔21Aに配置される部分のみをガラス繊維60で被覆される構成としても良い。なお、シース熱電対とは、金属保護管(シース)の内部に2種類の金属線M1・M2を挿入し、前記金属保護管(シース)内に絶縁体(本実施形態では、高純度酸化マグネシウム)の粉末を充填して密封している熱電対である。
温度計測装置10の作用について説明する。
温度計測装置10が雰囲気炉100で長時間使用される場合を想定する。温度計測装置10が高温環境に曝され続けることによって、外側容器20に充填された石膏Gに含まれる水分が気化する。石膏Gに含まれる水分が気化し続けることによって、外側容器20の内部は水蒸気で満たされて内部圧力が上昇する。
このとき、外側容器20の貫通孔21Aを貫通する熱電対51Aではガラス繊維60が被覆されているため、外側容器20の内部に満たされた水蒸気は、ガラス繊維60の隙間を通過して外部へ放出される。
言い換えれば、外側容器20の内部には、石膏G由来の異物、石膏Gに付着した異物、並びに水蒸気が存在するものの、貫通孔21Aに配置される多孔質であるガラス繊維がフィルタの機能を有することによって異物は捕捉され、水蒸気のみが外部に放出されることになる。
温度計測装置10の効果について説明する。
温度計測装置10によれば、高温での使用時に外側容器20から水蒸気のみを放出することができるため、雰囲気炉100の雰囲気に悪影響を与えることなく外側容器20の内部の蒸気を放出することができる。
従来、低温窒化処理は、表面反応律速であって、炉内雰囲気ガスに汚れたガスが混入した、或いは、ガス成分が変動した場合には、窒化ムラが生じる、或いは、全く窒化されないことがあった。このように、炉内が酸化又は汚染された場合には、通常処理をすべく、炉内雰囲気を調整する必要があるものの、調整時間がかかり、作業性が悪かった。
例えば、外側容器20に圧抜き穴を形成した温度計測装置では、外側容器20の内部の石膏Gに含まれる水分が気化することにより生じた水蒸気を圧抜き穴から放出する際に、水蒸気と共に、石膏Gに含まれる異物等も外側容器20の内部から雰囲気炉100に放出されていたため、雰囲気炉100の雰囲気に悪影響を及ぼしていた。
これに対し、温度計測装置10によれば、熱電対51Aの貫通孔21Aに配置される部分が多孔質の絶縁体であるガラス繊維60で被覆されているため、外側容器20の内部に満たされた水蒸気のみがガラス繊維60の隙間を通過して外部へ放出される。そのため、雰囲気炉100の雰囲気に悪影響を与えることなく、外側容器20の内部の蒸気を放出することができる。
本実施形態の温度計測装置10は、低温窒化処理に用いられるものとしたがこれに限定されない、例えば、浸炭焼入れ又は焼き戻し等の他の熱処理にでも用いることができる。
10 温度計測装置
20 外側容器
21A 貫通孔
30 内側容器
50 温度計測装置本体
51A 熱電対
55 絶縁体
60 ガラス繊維
G 石膏(断熱材)

Claims (3)

  1. 計測データを処理する温度計測装置本体と、
    前記温度計測装置本体を収納する内側容器と、
    前記内側容器を収納し、水分を含む断熱材が充填される外側容器と、
    前記温度計測装置本体から前記内側容器に形成される貫通孔と前記外側容器に形成される貫通孔とを貫通して外部に引き出される熱電対と、を備える温度計測装置であって、
    前記外側容器の貫通孔内に配置された前記熱電対は、耐熱性の絶縁体の多孔質で覆われており、
    前記外側容器の貫通孔と前記多孔質とは、密着している、
    温度計測装置。
  2. 請求項1記載の温度計測装置であって、
    前記熱電対が貫通する外側容器の貫通孔は、複数形成され、
    少なくとも一つの前記外側容器の貫通孔内に配置された前記熱電対は、耐熱性の絶縁体の多孔質で覆われている、
    温度計測装置。
  3. 請求項1又は2記載の温度計測装置であって、
    炉内でワークの表面をガス窒化により硬化させる際に用いられる、
    温度計測装置。
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