JP2014107612A - 離散的光路長調整装置及び離散的光路長調整方法 - Google Patents

離散的光路長調整装置及び離散的光路長調整方法 Download PDF

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Abstract

【課題】光スイッチ数が増えても、固定遅延の累積を抑制する。
【解決手段】3×3光スイッチ161〜16(M+1)の機能として、光路長調整用の遅延光ファイバを通過して次の光スイッチに行く経路と、遅延光ファイバを通過しないで次の光スイッチに行く経路に加えて、以降の光スイッチへの接続を飛ばして、N×1光スイッチ18によりダイレクトに出力する経路(短絡路)の選択ができるようにし、これにより、不要な固定遅延累積の排除を可能とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、光線路の光路長を一定長間隔で変化させる光路長調整技術に係り、特に二重化した光線路の光路長が同じになるように調整するための離散的光路長調整装置及び離散的光路長調整方法に関する。
近年、光線路の支障移転工事等において通信サービスを途絶させることなく既設伝送路から迂回伝送路に通信回線を移転させ、支障移転工事等が終了した後に通信サービスを途絶させることなく通信回線を迂回伝送路から既設伝送路に戻すことで、通信サービスを途絶させることなく支障移転工事等を可能とするサービス無瞬断切替技術が開発されている。この技術は、迂回伝送路を用意して、既設伝送路と一時的な通信回線の二重化を行った後に、既設伝送路および迂回伝送路のどちらかの通信光を停止させることにより、通信回線の移転を行いながら通信回線を切り替える方式である。ただし、単に回線を二重化するだけでは、光の位相ずれに起因する光干渉が発生するため、通信サービスを維持することができない。従って、現用伝送路と迂回伝送路の光路長差を所定の許容範囲内に収めるための光路長調整技術が不可欠となる。
これまでの離散的光路長調整装置としては、一対の波長無依存カプラ(WIC:Wavelength Independent Coupler)間において、光路長差が2のべき乗に単位長を乗じて与えられるmセットの光ファイバ対が2×2光スイッチをm+1個介在して直列接続された構成の光路長調整装置がある(非特許文献1参照)。
しかしながら、この技術では、用いる光スイッチ数に比例して個々の光スイッチにより発生する固定遅延が累積してしまうという問題点があった。固定遅延の累積は、最小光路長の増長に繋がるため、光路長可変域(最大光路長−最小光路長)を広くとることが命題の本装置においては重要な課題である。
吉田他:偏波保持光スイッチによるサービス無瞬断光媒体切替技術の検討,信学技法OFT2011-02-25,vol.110(436),pp.21-26,2008 東他:光アクセス媒体切り替え方式の基礎検討−サービス無瞬断光媒体切り替えシステム−,信学技法OFT2008-52,pp.27-31,2008
以上のように、従来の離散的光路長調整装置では、用いる光スイッチ数に比例して、個々の光スイッチにより発生する固定遅延が累積してしまうという問題点があった。
本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、光スイッチ数が増えても、固定遅延の累積を抑制することができ、これによって全体の遅延時間の短縮を実現し、光路長可変域を広くとることのできる離散的光路長調整装置及び離散的光路長調整方法を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明に係る離散的光路長調整装置は、以下のような態様とする。
(1)光信号の遅延時間を変化させる離散的光路長調整装置において、光路長が順に2のべき乗に単位長を乗じて与えられる複数の遅延光ファイバと、前記複数の遅延光ファイバを選択的に直列接続して任意の遅延時間を生成する複数の切替光スイッチ手段と、前記複数の切替光スイッチ手段のうち、任意の出力を選択して出力する選択光スイッチ手段と、前記複数の切替光スイッチ手段の切り替え及び選択光スイッチ手段の選択を制御する制御手段とを具備し、前記制御手段は、指定遅延時間に合わせて前記複数の切替光スイッチ手段を選択的に切り替えて前記遅延光ファイバを直列接続させ、最終段の遅延光ファイバの出力を前記選択光スイッチ手段により選択出力させる態様とする。
(2)(1)において、前記複数の切替光スイッチ手段は、それぞれ前記複数の遅延光ファイバを選択的に直列接続させると共に、いずれかの出力ポートを外部出力ポートとする3×3光スイッチであり、前記選択光スイッチ手段は、前記3×3光スイッチそれぞれの外部出力ポートのうちいずれかの出力を選択する態様とする。
(3)(1)において、前記複数の切替光スイッチ手段は、前記複数の遅延光ファイバそれぞれの両端に配置され、選択的に直列経路に挿入する一対の2×2光スイッチ群と、前記一対の光スイッチ群それぞれの出力を選択的に外部出力する1×2光スイッチ群とを備え、前記選択光スイッチ手段は、前記1×2光スイッチ群のうちいずれかの出力を選択する態様とする。
(4)(1)において、前記複数の切替光スイッチ手段は、前記複数の遅延光ファイバそれぞれに対応して設けられ、個別に直列経路に挿入する複数の2×2光スイッチ群と、前記複数の2×2光スイッチそれぞれの出力を選択的に外部出力する1×2光スイッチ群とを備え、前記選択光スイッチ手段は、前記1×2光スイッチ群のうちいずれかの出力を選択する態様とする。
(5)(1)において、前記複数の切替光スイッチ手段は、前記複数の遅延光ファイバそれぞれの入出力端で個別に直列経路に挿入させ、一方の出力ポートを外部出力とする複数の2×2光スイッチ群を備え、前記選択光スイッチ手段は、前記複数の2×2光スイッチ群のうちいずれかの外部出力を選択する態様とする。
(6)(1)において、前記複数の遅延光ファイバには、単位長×1/2の長さのオフセットを与える光ファイバが選択的に接続される態様とする。
本発明に係る離散的光路長調整方法は、以下のような態様とする。
(7)光路長が順に2のべき乗に単位長を乗じて与えられる複数の遅延光ファイバを選択的に直列接続して任意の遅延時間を生成する離散的光路長調整方法において、前記複数の遅延光ファイバを直列接続させる光スイッチのうち、最終段の遅延出力を得る光スイッチの出力を選択的に出力する態様とする。
すなわち本発明は、選択光スイッチ手段を用いて光出力の選択を可能とすることで、固定遅延の短縮を実現したものである。つまり、光スイッチは、光路長調整用の遅延光ファイバを通過して次の光スイッチに行く経路と、遅延光ファイバを通過しないで次の光スイッチに行く経路に加えて、以降の光スイッチへの接続を飛ばしてダイレクトに出力する経路(短絡路)の選択ができるものとなり、これにより、不要な固定遅延累積の排除を可能としたものである。したがって、本発明によれば、光スイッチ数が増えても、固定遅延の累積を抑制することができ、これによって全体の遅延時間の短縮を実現し、光路長可変域を広くとることのできる離散的光路長調整装置及び離散的光路長調整方法を提供することができる。
本発明に係る光路長調整装置の第1の実施形態の構成を示す光回路図。 第1の実施形態に用いられる3×3ポート光スイッチの切替モードを示す光回路図。 第1の実施形態の光路長設定工程を示すフローチャート。 本発明に係る光路長調整装置の第2の実施形態の構成を示す光回路図。 第2の実施形態に用いられる2×2ポート光スイッチの切替モードを示す光回路図。 本発明に係る光路長調整装置の第3の実施形態の構成を示す光回路図。 第3の実施形態に用いられる2×2ポート光スイッチの切替モードを示す光回路図。 本発明に係る光路長調整装置の第4の実施形態の構成を示す光回路図。
以下、図面を参照して本発明に係わる実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1は本発明に係る離散的光路長調整装置の第1の実施形態の構成を示すブロック図である。図1において、11,12は光ファイバによる光線路13をA系統の光線路14とB系統の光線路15に2分岐するための波長無依存光カプラ(WIC)、161〜16(m+1),171〜17(m+1)はそれぞれA,B系統それぞれの光線路14,15に、光路長が20,21,22,…,2m-1で表される2のべき乗に単位長l0を乗じて与えられるm本の光ファイバの両端を、制御装置20からの制御指示に応じて選択的に接続する3×3ポートの光スイッチ(以下、3×3光スイッチと記すものとし、3×3光スイッチ群16,17の表記で総称する)、18,19はそれぞれ制御装置20からの制御指示に応じて、A,B系統それぞれの光スイッチ161〜16(m+1),171〜17(m+1)の選択出力のいずれかを取り出すN×1ポートの光スイッチ(Nは1〜m+1、以下、N×1光スイッチと記す)である。
すなわち、上記構成による調整装置では、一組の波長無依存光カプラ11,12により、波長依存性の小さい3×3ポートの光スイッチ群16,17とN×1光スイッチ18,19からなるA,B系統それぞれの光線路による光路長調整部が結合され、二重化光線路が構成されている。
図2(a)〜(i)に上記3×3光スイッチの全切替モードを示す。図2(a)〜(i)において、SWは3×3光スイッチ、Iは第1の入力ポート、Iは第2の入力ポート、Iは第3の入力ポート、Oは第1の出力ポート、Oは第2の出力ポート、Oは第3の出力ポートである。図2に示すように、3×3光スイッチSWは入力3ポートと出力3ポートをそれぞれ結合する9つの切替モードを持つ。ただし、9つの切替モードにおける内部光路差は無視できるものとする。
A系統の光線路14およびB系統の光線路15の各系統のn番目の3×3光スイッチ16n,17nの第1の出力ポートOとn+1番目の3×3光スイッチ16(n+1),17(n+1)の第1の入力ポートIとを接続している光ファイバの光路長とn番目の3×3光スイッチ16n,17nの第2の出力ポートOとn+1番目の3×3光スイッチ16(n+1),17(n+1)の第2の入力ポートIとを接続している光ファイバの光路長は単位長l0×2n-1だけ異なる。本構成で用いない入出力ポートは無反射終端されている。
各系統の3×3光スイッチ161〜16(m+1),171〜17(m+1)はそれぞれN×1光スイッチ18,19と任意の長さの光ファイバにより接続され、これらN×1光スイッチ18,19により選択された3×3光スイッチ161〜16(m+1),171〜17(m+1)からの光信号のみが出力される。また、分解能を簡易に向上させるために、A系統あるいはB系統に単位長l0×1/2の長さのオフセットを与える光ファイバを接続してもよい。
次に本実施形態における光路長の設定方法について、図3に示す制御装置20の光路長調整部に対する制御フローを参照して説明する。
まず、前提条件として、n番目の3×3光スイッチ16n,17nまでの各光スイッチ間の光路長差のみを利用した最大可変光路長をTv(n) 、n番目の3×3光スイッチ16n,17nまでの固定遅延とn番目の3×3光スイッチ16n,17nからN×1光スイッチ18,19までの固定遅延とを合わせた固定遅延量をTf(n) 、n番目の3×3光スイッチ16n,17nまでの設定光路長をT(n) とする。また、固定遅延量Tf(n) の大小関係は、
Tf(n+1) ≧Tf(n) …(1)
であるとする。ただし、1≦n≦m(mはA系統もしくはB系統の3×3光スイッチの総数)である。また、光路長を単位長間隔で連続的に調整するためには、
Tv(n)≧Tf(n+h)−Tf(n) …(2)
を満たす必要がある。ただし、2≦n≦m−1である。
本実施形態では式(2)が満たされるとする。式(2)が満たされる場合にN×1光スイッチ18,19への入力はn番目の3×3光スイッチ16n,17nの出力からn+h番目の3×3光スイッチ16(n+h),17(n+h)からの出力へ切替られる。よって、光路長調整部の最小固定遅延量Tminは、式(2)を満たす最小のnをjとすると、
Tmin =Tf(j) …(3)
である。ただし、2≦j≦m−1である。
上記の関係にあるとき、制御装置20において、光路長Tを任意の値に設定する場合の光路長設定手順について、以下に述べる。
まず、制御装置20は、工程500において、設定したい光路長Tと、光路長調整部の最小固定遅延量Tf(j) とN×1光スイッチ18,19の経路の選択で変化する光路長調整部のぞれぞれの固定遅延量Tf(n) (j+1≦n≦m)の差分との大小関係を比較し、設定したい光路長Tと光路長調整部の固定遅延差分TF(n) とを比較する(ステップS1)。ただし、
TF(n) =Tf(n) −Tf(j) …(4)
である。ただし、j+1≦n≦mである。
続いて、制御装置20は、上記工程500における判定により、設定したい光路長Tが固定遅延差分TF(n) より小さい場合には、工程501により、以下のように3×3光スイッチ群16,17およびN×1光スイッチ18,19を制御する。
まず、設定したい光路長Tが全ての固定遅延差分TF(n) に対して、
0≦T<TF(n) …(5)
のときは、式(2)および式(3)より、
T<TF(n) =Tf(n) −Tf(j)
T≦Tv(j) =l0(2j-1−1) …(6)
となる。よって、必要な光スイッチ数jを式(6)によって計算し(ステップS21)、N×1光スイッチ18,19の入力をiに設定し(ステップS22)、設定したい光路長Tをj番目の3×3光スイッチ16j,17jまでを用いて設定する(ステップS23)。ここで、l0は単位光路長、2≦j≦m−1である。よって、N×1光スイッチ18,19の入力としてj番目の3×3光スイッチ16j,17jからの出力を選択し、j番目の3×3光スイッチ16j,17jまでの設定光路長T(j)を、
T(j) =T …(7)
とする。
一方、工程500における判定により設定したい光路長Tが固定遅延差分TF(n) 以上の場合には、制御装置20は、工程502により、以下のように3×3光スイッチ群16,17およびN×1光スイッチ18,19を制御する。
まず、設定したい光路長Tよりも小さい固定遅延差分TF(n) の中で最も大きな固定遅延差分TF(n) をk番目の固定遅延差分TF(k) とすると、N×1光スイッチ18,19の入力としてk番目の3×3光スイッチ16k,17kの出力を選択する(ステップS31)。
次に、k番目の3×3光スイッチ16k,17kまでの設定光路長T(k) には、設定したい光路長Tから固定遅延差分TF(k) を差し引いた設定光路長Tvを計算し(ステップS32)、個々の光スイッチに設定する(ステップS33)。ただし、
Tv=T−TF(k) …(8)
である。また、k番目の3×3光スイッチ16k,17kまでの設定光路長T(k)は、
T(k) =Tv …(9)
である。
以上説明したように、制御装置20では、工程500、工程501および工程502により、光路長を任意の長さに設定を行う。
ここで、本実施形態における離散的光路長調整部の最小光路長Tmin 、最大光路長Tmax 、可変光路長Tver は、離散的光路長調整部の一系統がm個の3×3光スイッチ16m,17mで構成されているとすると、
Tmin =Tf(j)
Tmax =Tf(m) +Tv(m)
Tver =Tmax −Tmin
=Tf(m)−Tf(j) +Tv(m)
=TF(m)+Tv(m)
…(10)
となる。
次に、従来の方法による光路長調整部の最小光路長Tmin(c) 、最大光路長Tmax(c) および可変光路長Tver(c) は、以下のようになる。
Tmin(c) =Tf(b)
Tmax(c) =Tf(b) +Tv(m)
Tvar(c) =Tmax(c) −Tmin(c)
=Tv(m)
…(11)
ここで、Tf(b) は、2×2光スイッチと3×3光スイッチの内部光路長が等しいとすると、最大固定遅延量Tf(m) からN×1光スイッチ18,19の光路長とN×1光スイッチ18,19から選択された3×3光スイッチ16i,17iまでの光路長を引いた値である。
ここで、式(10)および式(11)より、本実施形態における離散的光路長調整装置と従来の方法による離散的光路長調整装置との最小光路長の差分ΔTmin 、最大光路長の差分ΔTmax 、可変光路長ΔTvar は、
ΔTmin =Tmin(c) −Tmin
=Tf(b) −Tf(j)
ΔTmax =Tmax(c) −Tmax
=Tf(b) −Tf(m)
ΔTmin =Tvar(c) −Tvar
=TF(m)
…(12)
となる。
以上より、本実施形態によれば式(12)の最小光路長(最小固定遅延)をΔTmin 減少させ、かつ、可変光路長をΔTvar 拡大することが可能になることが分かる。
また、本実施形態において、式(2)を満たすhが1以上の場合には、n<n+p<n+hの範囲のn+p番目の3×3光スイッチ16(n+p),17(n+p)を2×2光スイッチに置き換えてもよい。
また、本実施形態を非特許文献2のような無瞬断切替システムの光路長調整装置として用いて現用光線路との二重化を行うことも可能である。この場合には、非特許文献2に示されているように、先ず通信光とは異なる試験光によるチャープパルスの干渉を利用した光路差計測手段により光路長調整装置が実現するべき光路長を求める。これに応じて、A,B何れかの系統を現用線路と二重化する迂回路とするために必要な光スイッチ群の経路パターン(ON/OFFパターン)を求めることになる。そのパターンが実際に実現されるまでの間は、両系統の導通は遮断されていなければならないが、これは例えばN×1スイッチへ入力ポートとして3×3光スイッチと接続していないポートを選択するか、N×1スイッチの出力先に光遮断スイッチを設ければよい。そして先ず、現用線路と二重化を行う系統において、3×3光スイッチ群が構成すべき経路パターンを3×3光スイッチの出力選択およびN×1光スイッチの出力選択設定を行う制御装置で実現した後、OFFにしておいた光遮断スイッチONに切り替えれば、全体として必要な経路パターンが完成すると同時に当該経路に光が導通し、現用線路との二重化が達成される。
(第2の実施形態)
図4は本発明に係る離散的光路長調整装置の第2の実施形態の構成を示すブロック図である。図4において、31,32は光ファイバによる光線路33をA系統の光線路34とB系統の光線路35に2分岐するための波長無依存光カプラ(WIC)、(3610,3611,3620,3621,…,36m0,36m1),(3810,3811,3820,3821,…38m0,38m1)はそれぞれA,B系統それぞれの光線路34,35に、光路長が20,21,22,…,2m-1で表される2のべき乗に単位長l0を乗じて与えられるm本の光ファイバの両端を、制御装置42からの制御指示に応じて選択的に接続する、波長依存性の小さい2×2ポートの光スイッチ(以下、2×2光スイッチと記すものとし、2×2光スイッチ群36,38の表記で総称する)、371〜37(m−1),391〜39(m−1)は2×2光スイッチ群36,38の各スイッチ出力を入力して、制御装置42からの制御指示に応じて選択的に出力する1×2ポートの光スイッチ(以下、1×2光スイッチと記すものとし、1×2光スイッチ群37,39の表記で総称する)、40,41はそれぞれ制御装置42からの制御指示に応じて、A,B系統それぞれの光スイッチ371〜37(m−1),391〜39(m−1)の選択出力のいずれかを取り出すN×1ポートの光スイッチ(Nは1〜m+1、以下、N×1光スイッチと記す)である。
すなわち、上記構成による調整装置では、一組の波長無依存光カプラ31,32により、波長依存性の小さい2×2ポートの光スイッチ群36,38、1×2光スイッチ群37,39,N×1光スイッチ40,41からなる2系統の光線路が、A系統の光線路34とB系統の光線路35として結合され、二重化光線路が構成されている。
図5は上記2×2光スイッチの切替モードについて示している。SWは2×2光スイッチ、Iは第1の入力ポート、Iは第2の入力ポートである。光スイッチSWにおいて、Oは第1の出力ポート、Oは第2の出力ポートである。図5に示すように2×2光スイッチSWは入力2ポートと出力2ポートをstraight(ストレート)またはcross(クロス)結合する2つの切替モードを持ち、2つの切替モードにおける内部光路差は無視できるものとする。
A系統の光線路34およびB系統の光線路35の各系統のn番目の2×2光スイッチ36n,38nの第1の出力ポートOとn+1番目の2×2光スイッチ36(n+1),38(n+1)の第1の入力ポートIとを接続している光ファイバの光路長とn番目の2×2光スイッチ36n,38nの第2の出力ポートOとn+1番目の2×2光スイッチ36(n+1),38(n+1)の第2の入力ポートIとを接続している光ファイバの光路長は単位長l0×2(n+1)/2だけ異なる。ただしnは奇数である。また、本構成ではn番目とn+1番目の2×2光スイッチ36,38とn+2番目とn+3番目の2×2光スイッチ36,38との間は1×2光スイッチ37,39で接続されている。本構成で用いない2×2光スイッチ36,38の入出力ポートは無反射終端されている。各系統の1×2光スイッチ37,39はそれぞれN×1光スイッチ40,41と任意の長さの光ファイバにより接続されている。N×1光スイッチ40,41により選択された1×2光スイッチ37,39からの光信号のみがN×1光スイッチ40,41から出力される。
次に、本実施形態における光路長の設定方法について、図4と共に図3に示す制御装置(本実施形態では42)の光路長調整部に対する制御フローを参照して説明する。
まず、前提条件として、n番目の1×2光スイッチ37,39までの各2×2光スイッチ36,38間の光路長差のみを利用した最大可変光路長をTv(n) 、n番目の1×2光スイッチ37,39までの固定遅延量とn番目の1×2光スイッチ37,39からN×1光スイッチ40,41までの固定遅延量を合わせた固定遅延量をTf(n) 、n番目の1×2光スイッチ37,39までの設定光路長をT(n) とする。また、固定遅延量Tf(n) の大小関係は、
Tf(n+1) ≧Tf(n) …(13)
であるとする。ただし、1≦n≦m/2−1、mはA系統もしくはB系統の2×2光スイッチ36,38の総数である。また、光路長を単位長間隔で連続的に調整するためには、
Tv(n) ≧Tf(n+h) −Tf(n) …(14)
を満たす必要がある。ただし、1≦n≦m/2−2である。本発明では式(14)が満たされるとする。
式(14)が満たされる場合に、N×1光スイッチ40,41への入力はn番目の1×2光スイッチ37,39の出力からn+h番目の1×2光スイッチ37,39の出力へ切り替えられる。よって、光路長調整部の最小固定遅延量Tmin は式(14)を満たす最小のnをjとすると、
Tmin =Tf(j) …(15)
である。ただし、1≦j≦m/2-2である。
このとき、設定したい光路長Tの値に応じた光路長設定方法について以下に述べる。
設定したい光路長Tと、光路長調整部の最小固定遅延量Tf(j) とN×1光スイッチ40,41の経路の選択で変化する光路長調整部のぞれぞれの固定遅延量Tf(n) (j+1≦n≦m/2−1)の差分との大小関係を比較する工程500では、設定したい光路長Tと光路長調整部の固定遅延差分TF(n) を比較する。ただし、
TF(n) =Tf(n) −Tf(j) …(16)
である。ただし、j+1≦n≦m/2−1である。
工程500における判定により設定したい光路長Tが固定遅延差分TF(n) より小さい場合は、工程501により、以下のように1×2光スイッチ37,39およびN×1光スイッチ40,41および2×2光スイッチ36,38を制御装置42によって制御する。
まず、設定したい光路長Tが全ての固定遅延差分TF(n) に対して、
0≦T<TF(n) …(17)
のときは、式(16)および式(17)より、
T<TF(n) =Tf(n) −Tf(j)
≦Tv(j) =l0(2−1) …(18)
となる。よって、j番目の1×2光スイッチ37,39までを用いて設定したい光路長Tを設定する。ここで、l0は単位光路長、1≦j≦m/2−2である。よって、N×1光スイッチ41-42の入力としてj番目の1×2光スイッチ37,39からの出力を選択し、j番目の1×2光スイッチ37,39までの設定光路長T(j) を、
T(j) =T …(19)
とする。
上記工程500における判定により、設定したい光路長Tが固定遅延差分TF(n) 以上の場合は、工程502により、以下のように前記1×2光スイッチ37,39およびN×1光スイッチ40,41および2×2光スイッチ36,38を制御装置42によって制御する。
まず、設定したい光路長Tよりも小さい固定遅延差分TF(n) の中で最も大きな固定遅延差分TF(n) とし、k番目の固定遅延差分TF(k) とすると、N×1光スイッチ40,41の入力としてk番目の1×2光スイッチ37,39の出力を選択する。
次に、k番目の1×2光スイッチ37,39までの設定光路長T(k) には、設定したい光路長Tから固定遅延差分TF(k) を差し引いた設定光路長Tvを設定する。ただし、
Tv=T−TF(k) …(20)
である。また、k番目の1×2光スイッチ37,39までの設定光路長T(k)は、
T(k) =Tv …(21)
である。
以上説明したように、図3に示す工程500〜502により光路長の設定を行う。ここで、本実施形態における光路長調整部の最小光路長Tmin 、最大光路長Tmax 、可変光路長Tvar は、光路長調整部の一系統がm個の2×2光スイッチ36,38で構成されているとすると、
Tmin =Tf(j)
Tmax =Tfb+Tv(m)
Tvar =Tmax −Tmin
=Tfb−Tf(j)+Tv(m)
…(22)
となる。Tfbは最終段の2×2光スイッチ36,38までの固定遅延と最終段の2×2光スイッチ36,38からN×1光スイッチ40,41までの固定遅延を合せた値である。
次に従来の方法による離散的光路長調整装置の最小光路長Tmin(c) 、最大光路長Tmax(c) および可変光路長Tvar(c) は、以下のようになる。
Tmin(c) =Tf(b)
Tmax(c) =Tf(b) +Tv(m)
Tvar(c) =Tmax(c) −Tmin(c)
=Tv(m)
…(23)
Tf(b)は最大固定遅延量TfbからN×1光スイッチ40,41の光路長と前記N×1光スイッチ40,41から2×2光スイッチ36,38までの光路長と一系統全ての1×2光スイッチ37,39の光路長を引いた値である。
ここで、式(22)および式(23)より、本実施形態における前記離散的光路長調整装置と従来の方法による離散的光路長調整装置と最小光路長の差分ΔTmin 、最大光路長の差分ΔTmax 、可変光路長ΔTvar は、
ΔTmin =Tmin(c)−Tmin
=Tf(b) −Tf(j)
ΔTmax =Tmax(c)−Tmax
=Tfb−Tf(b)
ΔTmin =Tvar(c) −Tvar
=Tfb−Tf(j)
…(24)
以上より、本実施形態によれば、式(12)の最小光路長(最小固定遅延)をΔTmin 減少させ、かつ、可変光路長をΔTvar 拡大することが可能になることが分かる。
また、本実施形態において、式(14)を満たすhが1以上の場合には、n<n+p<n+hの範囲のn+p番目の1×2光スイッチ37,39を取り除き、取り除いた1×2光スイッチ37,39の両端に接続されている2×2光スイッチ36,38同士を接続してもよい。
(第3の実施形態)
図6は本発明に係る離散的光路長調整装置の第3の実施形態の構成を示すブロック図である。図6において、51,52は光ファイバによる光線路53をA系統の光線路54とB系統の光線路55に2分岐するための波長無依存光カプラ(WIC)、561〜56m,581〜58mはそれぞれA,B系統それぞれの光線路54,55に、光路長が20,21,22,…,2m-1で表される2のべき乗に単位長l0を乗じて与えられるm本の光ファイバの両端を、制御装置62からの制御指示に応じて選択的に接続する、波長依存性の小さい2×2ポートの光スイッチ(以下、2×2光スイッチと記すものとし、2×2光スイッチ群56,58の表記で総称する)、571〜57(m−1),591〜59(m−1)は2×2光スイッチ群56,58の各スイッチ出力を入力して、制御装置62からの制御指示に応じて選択的に出力する1×2ポートの光スイッチ(以下、1×2光スイッチと記すものとし、1×2光スイッチ群57,59の表記で総称する)、60,61はそれぞれ制御装置62からの制御指示に応じて、A,B系統それぞれの光スイッチ571〜57(m−1),591〜59(m−1)の選択出力のいずれかを取り出すN×1ポートの光スイッチ(Nは1〜m+1、以下、N×1光スイッチと記す)である。
すなわち、上記構成による調整装置では、一組の波長無依存光カプラ51,52により、波長依存性の小さい2×2ポートの光スイッチ群56,58、1×2光スイッチ群57,59,N×1光スイッチ60,61からなる2系統の光線路が、A系統の光線路54とB系統の光線路55として結合され、二重化光線路が構成されている。
図7は上記2×2光スイッチの切替モードについて示している。SWは2×2光スイッチ、Iは第1の入力ポート、Iは第2の入力ポート、Oは第1の出力ポート、Oは第2の出力ポートである。図7に示すように、2×2光スイッチSWは入力2ポートと出力2ポートをstraight(ストレート)またはcross(クロス)結合する2つの切替モードを持ち、2つの切替モードにおける内部光路差は無視できるものとする。
A系統54およびB系統55の各系統のn番目の2×2光スイッチ56n,58nは第1の入力ポートIから入力された光が第1の出力ポートOから出力される切替モードがstraightの光経路と第1の入力ポートIから入力された光が第2の出力ポートOから出力された後に第2の入力ポートIから入力された光が第1の出力ポートOから出力される切替モードがcrossの光経路の光路長が単位長l0×2n-1だけ異なるように導波路(光ファイバ)により接続されている。各系統のn番目の2×2光スイッチとn+1番目の2×2光スイッチはn番目の2×2光スイッチの第1の出力ポートOとn+1番目の2×2光スイッチの第1の入力ポートIで1×2光スイッチ57,59により接続されている。各系統の1×2光スイッチ57,59はそれぞれN×1光スイッチ60,61と任意の長さの光ファイバにより接続されている。N×1光スイッチ60,61により選択された1×2光スイッチ57,59からの光信号のみがN×1光スイッチ60,61から出力される。
次に本実施形態における光路長の設定方法について、図6と共に図3示す制御装置(本実施形態では62)の光路長調整部に対する制御フローを参照して説明する。
まず、前提条件として、n番目の1×2光スイッチ57n,59nまでの各2×2光スイッチ56,58間の光路長差のみを利用した最大可変光路長をTv(n)、n番目の1×2光スイッチ57n,59nまでの固定遅延量とn番目の1×2光スイッチ57n,59nからN×1光スイッチ60,61までの固定遅延を合せた固定遅延量をTf(n) 、n番目の1×2光スイッチ57n,59nまでの設定光路長をT(n)とする。また、固定遅延Tf(n)の大小関係は、
Tf(n+1) ≧Tf(n) …(25)
であるとする。ただし、1≦n≦m−2、mはA系統もしくはB系統の前記2×2光スイッチ56,58の総数である。
また、光路長を単位長間隔で連続的に調整するためには、
Tv(n) ≧Tf(n+h) −Tf(n) …(26)
を満たす必要がある。ただし、1≦n≦m−2である。
本実施形態では式(26)が満たされるとする。式(26)が満たされる場合に、N×1光スイッチ60,61への入力はn番目の1×2光スイッチ57n,59nの出力からn+h番目の1×2光スイッチ57(n+h),59(n+h)の出力へ切り替えられる。よって、離散的光路長調整の最小固定遅延量Tmin は式(26)を満たす最小のnをjとすると、
Tmin =Tf(j) …(27)
である。ただし、1≦j≦m-1である。このとき、設定したい光路長Tの値に応じた光路長設定方法について以下に述べる。
設定したい光路長Tと、光路長調整部の最小固定遅延量Tf(j) とN×1光スイッチ60,61の経路の選択で変化する光路長調整部のぞれぞれの固定遅延Tf(n) (j+1≦n≦m−1)の差分との大小関係を比較する工程500では、設定したい光路長Tと光路長調整部の固定遅延差分TF(n) を比較する。ただし、
TF(n) =Tf(n) −Tf(j) …(28)
である。ただし、j+1≦n≦m−1である。
上記の工程500における判定により、設定したい光路長Tが固定遅延差分TF(n) より小さい場合は、工程501により、以下のように1×2光スイッチ57,59およびN×1光スイッチ60,61および2×2光スイッチ56,58を制御装置62によって制御する。
まず、設定したい光路長Tが全ての固定遅延差分TF(n) に対して、
0≦T<TF(n) …(29)
のときは、式(28)および式(29)より
T<TF(n) =Tf(n) −Tf(j)
≦Tv(j) =l0(2−1) …(30)
となる。よって、j番目の1×2光スイッチ57j,59jまでを用いて設定したい光路長Tを設定する。ここで、l0は単位光路長、1≦j≦m-1である。よって、N×1光スイッチ60,61の入力としてj番目の前記1×2光スイッチ57j,59jの出力を選択し、j番目の1×2光スイッチ57j,59jまでの設定光路長T(j) を、
T(j) =T …(31)
とする。
工程500における判定により、設定したい光路長Tが固定遅延差分TF(n)以上の場合は、工程502により、以下のように1×2光スイッチ57,59およびN×1光スイッチ60,61および2×2光スイッチ56,58を制御装置62によって制御する。
まず、設定したい光路長Tよりも小さい固定遅延差分TF(n) の中で最も大きな固定遅延差分TF(n) をk番目の固定遅延差分TF(k) とすると、N×1光スイッチ60,61の入力としてk番目の1×2光スイッチ57k,59kの出力を選択する。
次に、k番目の1×2光スイッチ57k,59kまでの設定光路長T(k)には、設定したい光路長Tから固定遅延差分TF(k) を差し引いた設定光路長Tvを設定する。ただし、
Tv=T−TF(k) …(32)
である。また、k番目の1×2光スイッチ57k,59kまでの設定光路長T(k) は、
T(k) =Tv …(33)
である。
以上説明したように、図3に示す工程500、工程501および工程502により、光路長の設定を行う。
ここで、本実施形態における離散的光路長調整装置の最小光路長Tmin 、最大光路長Tmax 、可変光路長Tvar は、光路長調整部の一系統がm個の2×2光スイッチ56,58で構成されているとすると、
Tmin =Tf(j)
Tmin =Tfb’+Tv(m)
Tvar =Tmax −Tmin
=Tfb’−Tf(j) +Tv(m)
…(34)
となる。
Tfb’は最終段の2×2光スイッチ56,58までの固定遅延量と最終段の2×2光スイッチ56,58からN×1光スイッチ60,61までの固定遅延量とを合わせた値である。
次に従来の方法による離散的光路長調整装置の最小光路長Tmin(c)、最大光路長Tmax(c)および可変光路長Tvar(c)は、以下のようになる。
Tmin(c) =Tf(b)
Tmax(c) =Tf(b) +Tv(m)
Tvar(c) =Tmax(c) −Tmin(c)
=Tv(m)
…(35)
Tf(b)は最大固定遅延量Tfb’からN×1光スイッチ60,61の光路長とN×1光スイッチ60,61から最終段の2×2光スイッチ56,58までの光路長と一系統全ての1×2光スイッチ57,59の光路長を引いた値である。
ここで、式(34)および式(35)より、本実施形態における離散的光路長調整装置と従来の方法による離散的光路長調整装置との最小光路長の差分ΔTmin 、最大光路長の差分ΔTmax 、可変光路長ΔTvar は、
ΔTmin =Tmin(c) −Tmin
=Tf(b)−Tf(j)
ΔTmax =Tmax(c) −Tmax
=Tfb’−Tf(b)
ΔTmin =Tvar(c) −Tvar
=Tfb’−Tf(j)
…(36)
以上より、本実施形態によれば、式(36)の最小光路長(最小固定遅延量)をΔTmin 減少させ、かつ、可変光路長をΔTvar 拡大することが可能になることが分かる。
また、本実施形態において、式(26)を満たすhが1以上の場合には、n<n+p<n+hの範囲のn+p番目の1×2光スイッチ57,59を取り除き、取り除いた1×2光スイッチ57,59の両端に接続されている2×2光スイッチ56,58同士を接続するようにしてもよい。
(第4の実施形態)
図8は本発明に係る離散的光路長調整装置の第4の実施形態の構成を示すブロック図である。図8において、71,72は光ファイバによる光線路73をA系統の光線路74とB系統の光線路75に2分岐するための波長無依存光カプラ(WIC)、761〜76m,781〜78mはそれぞれA,B系統それぞれの光線路74,75に、光路長が20,21,22,…,2m-1で表される2のべき乗に単位長l0を乗じて与えられるm本の光ファイバの両端を、制御装置82からの制御指示に応じて選択的に接続する、波長依存性の小さい2×2ポートの光スイッチ(以下、2×2光スイッチと記すものとし、2×2光スイッチ群76,78の表記で総称する)、771〜77(m−1),791〜79(m−1)は2×2光スイッチ群76,78の各スイッチ出力を入力して、制御装置82からの制御指示に応じて選択的に出力する1×2ポートの光スイッチ(以下、1×2光スイッチと記すものとし、1×2光スイッチ群77,79の表記で総称する)、80,81はそれぞれ制御装置82からの制御指示に応じて、A,B系統それぞれの光スイッチ771〜77(m−1),791〜79(m−1)の選択出力のいずれかを取り出すN×1ポートの光スイッチ(Nは1〜m+1、以下、N×1光スイッチと記す)である。
すなわち、上記構成による調整装置では、一組の波長無依存光カプラ71,72により、波長依存性の小さい2×2ポートの光スイッチ群76,78、1×2光スイッチ群77,79,N×1光スイッチ80,81からなる2系統の光線路が、A系統の光線路74とB系統の光線路75として結合され、二重化光線路が構成されている。
上記2×2光スイッチの切替モードは、図5にて説明したように、入力2ポートと出力2ポートをstraightまたはcross結合する2つの切替モードを持ち、2つの切替モードにおける内部光路差は無視できるものとする。
A系統74およびB系統75の各系統のn番目の2×2光スイッチ76n,78nの第1の出力ポートOとn+1番目の前記2×2光スイッチ76(n+1),78(n+1)の第1の入力ポートIとを接続している光ファイバの光路長とn番目の2×2光スイッチ76n,78nの第2の出力ポートOと1×2光スイッチ77,79とn+1番目の2×2光スイッチ76(n+1),78(n+1)の第2の入力ポートIとを接続している光経路の光路長は単位長l0×2n-1だけ異なる。本構成で用いない2×2光スイッチ76,78の入出力ポートは無反射終端されている。
各系統の1×2光スイッチ77,79はそれぞれN×1光スイッチ80,81と任意の長さの光ファイバにより接続されている。N×1光スイッチ80,81により選択された1×2光スイッチ77,79からの光信号のみがN×1光スイッチ80,81より出力される。
次に本実施形態における光路長の設定方法について、図8と共に図3に示す制御装置(本実施形態では82)の光路長調整部に対する制御フローを参照して説明する。
まず、前提条件として、n番目の1×2光スイッチ77,79までの各2×2光スイッチ76,78間の光路長差のみを利用した最大可変光路長をTv(n) 、n番目の前記1×2光スイッチ77,79までの固定遅延量とn番目の1×2光スイッチ77,79からN×1光スイッチ80,81までの固定遅延量を合わせた固定遅延量をTf(n) 、n番目の1×2光スイッチ77,79までの設定光路長をT(n) とする。また、固定遅延Tf(n) の大小関係は、
Tf(n+1) ≧Tf(n) …(37)
であるとする。ただし、1≦n≦m−2、mはA系統もしくはB系統の2×2光スイッチ76,78の総数である。
また、光路長を単位長間隔で連続的に調整するためには、
Tv(n) ≧Tf(n+h) −Tf(n) …(38)
を満たす必要がある。ただし、2≦n≦m−2である。
本実施形態では式(38)が満たされるとする。式(38)が満たされる場合に、N×1光スイッチ80,81への入力はn番目の1×2光スイッチ77,79からの出力からn+h番目の1×2光スイッチ77,79からの出力へ切り替えられる。よって、光路長調整部の最小固定遅延量Tmin は式(38)を満たす最小のnをjとすると、
Tmin =Tf(j) …(39)
である。ただし、2≦j≦m-2である。
このとき、設定したい光路長Tの値に応じた光路長設定方法について以下に述べる。
設定したい光路長Tと、光路長調整部の最小固定遅延量Tf(j) とN×1光スイッチ80,81の経路の選択で変化する光路長調整部のぞれぞれの固定遅延量Tf(n) (j+1≦n≦m−1)の差分との大小関係を比較する工程500では、設定したい光路長Tと光路長調整部の固定遅延差分TF(n) を比較する。ただし、
TF(n) =Tf(n) −Tf(j) …(40)
である。また、j+1≦n≦m−1である。
工程500における判定により、設定したい光路長Tが固定遅延差分TF(n) より小さい場合は、工程501により、以下のように1×2光スイッチ77,79およびN×1光スイッチ80,81および2×2光スイッチ76,78を制御装置82によって制御する。
まず、設定したい光路長Tが全ての固定遅延差分TF(n) に対して、
0≦T<TF(n) …(41)
のときは、式(40)および式(41)より、
T<TF(n) =Tf(n) −Tf(j)
≦Tv(j) =l0(2j-1−1) …(42)
となる。よって、j番目の1×2光スイッチ77,79までを用いて設定したい光路長Tを設定する。ここで、l0は単位光路長、2≦j≦m−2である。よって、N×1光スイッチ80,81の入力としてj番目の1×2光スイッチ77,79からの出力を選択し、j番目の1×2光スイッチ77,79までの設定光路長T(j) を、
T(j) =T …(43)
とする。
工程500における判定により、設定したい光路長Tが固定遅延差分TF(n) 以上の場合は、工程502により、以下のように1×2光スイッチ77,79およびN×1光スイッチ80,81および2×2光スイッチ76,78を制御装置82によって制御する。
まず、設定したい光路長Tよりも小さい前記固定遅延差分TF(n) の中で最も大きな固定遅延差分TF(n) をk番目の固定遅延差分TF(k) とすると、N×1光スイッチ80,81の入力としてk番目の1×2光スイッチ77,79の出力を選択する。
次に、k番目の1×2光スイッチ77,79までの設定光路長T(k) には、設定したい光路長Tから固定遅延差分TF(k) を差し引いた設定光路長Tvを設定する。ただし、
Tv=T−TF(k) …(44)
である。また、k番目の1×2光スイッチ77,79までの設定光路長T(k) は、
T(k) =Tv …(45)
である。
以上説明したように、図3に示す工程500、工程501および前記工程502により光路長の設定を行う。
ここで、本実施形態における離散的光路長調整装置の最小光路長Tmin 、最大光路長Tmax 、可変光路長Tvarは、離散的光路長調整装置の一系統がm個の2×2光スイッチ76m,78mで構成されているとすると
Tmin =Tf(j)
Tmax =Tfb’’+Tv(m)
Tvar =Tmax −Tmin
=Tfb’’−Tf(j) +Tv(m)
…(46)
となる。
Tfb’’は最終段の2×2光スイッチ76,78までの固定遅延量と最終段の2×2光スイッチ76,78からN×1光スイッチ80,81までの固定遅延量を合せた値である。
次に、従来の方法による離散的光路長調整装置の最小光路長Tmin(c) 、最大光路長Tmax(c) および可変光路長Tvar(c) は、以下のようになる。
Tmin(c) =Tf(b)
Tmax(c) =Tf(b) +Tv(m)
Tvar(c) =Tmax(c) −Tmin(c)
=Tv(m)
…(47)
ここで、Tf(b) は最大固定遅延Tfb’’からN×1光スイッチ80,81の光路長とN×1光スイッチ80,81から2×2光スイッチ76,78までの光路長と一系統全ての1×2光スイッチ77,79の光路長を引いた値である。
式(46)および式(47)より、本実施形態における離散的光路長調整装置と従来の方法による離散的光路長調整装置との最小光路長の差分ΔTmin 、最大光路長の差分ΔTmax 、可変光路長ΔTvar は、
ΔTmin =Tmin(c) −Tmin
=Tf(b) −Tf(j)
ΔTmax =Tmax(c) −Tmax
=Tfb’’−Tf(b)
ΔTmin =Tvar(c) −Tvar
=Tfb−Tf(j)
…(48)
以上より、本実施形態によれば、式(48)の最小光路長(最小固定遅延量)をΔTmin 減少させ、かつ、可変光路長をΔTvar 拡大することが可能になることが分かる。
また、本実施形態において、式(38)を満たすhが1以上の場合には、n<n+p<n+hの範囲のn+p番目の1×2光スイッチ77,79を取り除き、取り除いた1×2光スイッチ77,79の両端に接続されている2×2光スイッチ76,78同士を接続するようにしてもよい。
以上説明したように、本発明によれば、固定遅延を最小化するとともに可変光路長範囲を拡大することが可能となる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施可能である。要するに本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
11,12,31,32,51,52,71,72…波長無依存光カプラ(WIC)
13,33,53,73…光線路
14,34,54,74…A系統光線路
15,35,55,75…B系統光線路
16,17…3×3光スイッチ
18,19,40,41,60,61,80,81…N×1光スイッチ
20,42,62,82…制御装置
36,38,56,58,76,78…2×2光スイッチ
37,39,57,59,77,79…1×2光スイッチ

Claims (7)

  1. 光信号の遅延時間を変化させる離散的光路長調整装置において、
    光路長が順に2のべき乗に単位長を乗じて与えられる複数の遅延光ファイバと、
    前記複数の遅延光ファイバを選択的に直列接続して任意の遅延時間を生成する複数の切替光スイッチ手段と、
    前記複数の切替光スイッチ手段のうち、任意の出力を選択して出力する選択光スイッチ手段と、
    前記複数の切替光スイッチ手段の切り替え及び選択光スイッチ手段の選択を制御する制御手段と
    を具備し、
    前記制御手段は、指定遅延時間に合わせて前記複数の切替光スイッチ手段を選択的に切り替えて前記遅延光ファイバを直列接続させ、最終段の遅延光ファイバの出力を前記選択光スイッチ手段により選択出力させることを特徴とする離散的光路長調整装置。
  2. 前記複数の切替光スイッチ手段は、それぞれ前記複数の遅延光ファイバを選択的に直列接続させると共に、いずれかの出力ポートを外部出力ポートとする3×3光スイッチであり、
    前記選択光スイッチ手段は、前記3×3光スイッチそれぞれの外部出力ポートのうちいずれかの出力を選択することを特徴とする請求項1記載の離散的光路長調整装置。
  3. 前記複数の切替光スイッチ手段は、前記複数の遅延光ファイバそれぞれの両端に配置され、選択的に直列経路に挿入する一対の2×2光スイッチ群と、前記一対の光スイッチ群それぞれの出力を選択的に外部出力する1×2光スイッチ群とを備え、
    前記選択光スイッチ手段は、前記1×2光スイッチ群のうちいずれかの出力を選択することを特徴とする請求項1記載の離散的光路長調整装置。
  4. 前記複数の切替光スイッチ手段は、前記複数の遅延光ファイバそれぞれに対応して設けられ、個別に直列経路に挿入する複数の2×2光スイッチ群と、前記複数の2×2光スイッチそれぞれの出力を選択的に外部出力する1×2光スイッチ群とを備え、
    前記選択光スイッチ手段は、前記1×2光スイッチ群のうちいずれかの出力を選択することを特徴とする請求項1記載の離散的光路長調整装置。
  5. 前記複数の切替光スイッチ手段は、前記複数の遅延光ファイバそれぞれの入出力端で個別に直列経路に挿入させ、一方の出力ポートを外部出力とする複数の2×2光スイッチ群を備え、
    前記選択光スイッチ手段は、前記複数の2×2光スイッチ群のうちいずれかの外部出力を選択することを特徴とする請求項1記載の離散的光路長調整装置。
  6. 前記複数の遅延光ファイバには、単位長×1/2の長さのオフセットを与える光ファイバが選択的に接続されることを特徴とする請求項1記載の離散的光路長調整装置。
  7. 光路長が順に2のべき乗に単位長を乗じて与えられる複数の遅延光ファイバを選択的に直列接続して任意の遅延時間を生成する離散的光路長調整方法において、
    前記複数の遅延光ファイバを直列接続させる光スイッチのうち、最終段の遅延出力を得る光スイッチの出力を選択的に出力することを特徴とする離散的光路長調整方法。
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