JP2014106203A - 拡散物質の拡散状況予測装置、その方法およびプログラム - Google Patents

拡散物質の拡散状況予測装置、その方法およびプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】より高い精度で拡散物質の発生源を推定しつつ拡散物質の拡散状況の把握の向上を図ることができる拡散物質の拡散状況予測装置、その方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】本発明の拡散物質の拡散状況予測装置10Aは、放射性物質を大気中に放出する発生源Pから放出される放射性物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散状況予測装置であり、複数の計測装置18−1〜18−lを用いて放射性物質を計測する第1計測部21と、放射性物質の逆推定を行う逆推定手段26Aを用いて発生源Pを含む推定領域Aを推定する発生源推定処理部22Aと、放射性物質観測装置19−1〜19−nを用いて発生源Pを絞り込む絞り込み部23Aと、拡散モデルを用いて放射性物質の拡散状況を予測する放射性物質の拡散予測部24とを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、拡散物質の拡散状況予測装置、その方法およびプログラムに関する。
放射性物質、毒性ガスなどの有害物質(拡散物質)がばら撒かれて事件が発生した場合や、原子力発電所や化学工場などがテロや核による攻撃を受けて事故などが発生した場合などに有害物質が放出される可能性がある。こうした場合には、有害物質が放出されるのを抑制するため、発生源を推定して迅速に対応する必要がある。そこで、事件または事故の現場における有害物質の濃度計測値など有害物質の情報から、発生源の位置および有害物質の発生量を求めて、発生源を推定する拡散物質の発生源推定装置が提案されている(特許文献1、2参照)。
特許文献1、2に記載の拡散物質の発生源推定装置は、事件または事故の現場における拡散物質の濃度計測値の情報などから、拡散物質が放出される発生源の位置および発生量を同定して、同定結果に基づいて、現場周辺の被害分布を計算している。
特開2012−132824号公報 特開2012−132825号公報
しかしながら、特許文献1、2に記載のような拡散物質の発生源推定装置は、発生源を推定する際、市街地での建物群の影響がある場合なども考慮して、警察、自衛隊員や関係機関担当者などの安全のためにも拡散物質の推定精度の向上を図る必要がある。また、発生源の周辺の拡散物質が拡散した拡散領域、拡散物質の種類またはその濃度など拡散物質の被害状況は、推定に基づく予測結果である。このため、警察、自衛隊員や関係機関担当者などは、こうした地形の事情なども考慮して、拡散物質を処理する際には、拡散物質の被害状況を十分評価しながら、判断して行動する必要がある。このように、より高い精度で拡散物質の発生源を推定しつつ拡散物質の拡散状況の把握の向上を図る上で更に改善する余地がある。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであって、より高い精度で拡散物質の発生源を推定しつつ拡散物質の拡散状況の把握の向上を図ることができる拡散物質の拡散状況予測装置、その方法およびプログラムを提供することを目的とする。
上述した課題を解決するための本発明の第1の発明は、拡散物質を大気中に放出する発生源から放出される前記拡散物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散状況予測装置であって、複数の計測装置を用いて前記拡散物質を計測する第1計測部と、前記拡散物質の逆推定を行う逆推定手段を用いて前記発生源を含む推定領域を推定する発生源推定処理部と、複数の放射性物質観測装置を用いて前記発生源を絞り込む絞り込み部と、前記拡散物質の拡散状況を演算する拡散モデルを用いて前記拡散物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散予測部と、を有することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測装置である。
第2の発明は、第1の発明において、前記逆推定手段は、相互の離間距離が一定の仮想格子上で各格子線が交差する位置を仮想放出地点として設定する仮想格子設定部と、前記拡散モデルを用いて、前記計測装置と前記仮想放出地点との相対位置、および相対時刻に応じて定まる影響関数を算出する影響関数算出部と、前記仮想放出地点ごとに、各計測装置の濃度情報と、各計測装置の仮想放出地点に対する影響関数と仮想放出地点の放出強度との積と、の差の平方和である残差ノルムを算出する残差ノルム算出部と、算出された全仮想放出地点の残差ノルムの内、残差ノルムが最小となる仮想放出地点を放出地点と推定する第1推定部と、を有することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測装置である。
第3の発明は、第2の発明において、前記影響関数算出部は、数値拡散計算により前記影響関数を算出することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測装置である。
第4の発明は、第2または第3の発明において、前記絞り込み部で、前記仮想格子設定部は、前記第1推定部で推定された放出地点を含み、且つ相互の離間距離がより短い仮想格子上で各格子線が交差する位置を仮想放出地点として再設定することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測装置である。
第5の発明は、第2ないし第4の発明の何れか1つにおいて、前記逆推定手段は、仮想放出時刻を設定する仮想放出時刻設定部を有し、前記残差ノルム算出部は、仮想放出時刻別にそれぞれの仮想放出地点ごとの残差ノルムを算出し、前記第1推定部は、仮想放出時刻ごとに算出された全仮想放出地点の残差ノルムの内、残差ノルムが最小となる仮想放出地点を放出地点と推定することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測装置である。
第6の発明は、第1ないし第5の発明の何れか1つにおいて、前記逆推定手段は、前記計測装置から位置情報、計測した濃度情報を入手する観測情報入手部と、それぞれの前記計測装置の位置をそれぞれ仮想放出点とし、それぞれの仮想放出点の放出強度を対応する計測装置でそれぞれ得た濃度情報に逆比例した値とする逆問題設定部と、それぞれの仮想放出点からの放出について、粒子法を用いた拡散の数値解析で時間を計測時刻から逆に進行させて逆解析を行う逆解析部と、逆に進行させたそれぞれの時刻において、各仮想放出点からの粒子濃度分布を評価し、粒子濃度が略等しい領域の内、粒子濃度の分散が最小となる位置をそれぞれ放出地点と推定する第2推定部と、を有することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測装置である。
第7の発明は、第6の発明において、前記第2推定部は、粒子濃度の分散が最小となる位置における粒子濃度の逆数値を前記放出地点の放出強度と推定することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測装置である。
第8の発明は、第6または第7の発明において、前記逆解析部は、最も遅い計測時刻との相対時刻で各仮想放出点から順次放出させていくことを特徴とする拡散物質の拡散状況予測装置である。
第9の発明は、第6ないし第8の発明の何れか1つにおいて、前記逆推定手段は、相互の離間距離が一定の評価格子上で各格子線が交差する位置を評価点として設定する評価点設定部を有し、前記第2推定部は、逆に進行させたそれぞれの時刻において、設定された評価点について各仮想放出点からの粒子濃度分布を評価し、粒子濃度の分散が最小となる位置をそれぞれ放出地点と推定することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測装置である。
第10の発明は、第6ないし第9の発明の何れか1つにおいて、前記評価点設定部は、前記第2推定部で推定された放出地点を含み、且つ相互の離間距離がより短い評価格子上で各格子線が交差する位置を評価点として再設定することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測装置である。
第11の発明は、拡散物質を大気中に放出する発生源から放出される前記拡散物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散状況予測装置であって、前記拡散物質の拡散状況を演算する拡散モデルを用いて前記拡散物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散予測部と、複数の放射性物質観測装置を用いて前記発生源を含む領域の前記拡散物質の拡散状況を計測する第2計測部と、を有することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測装置である。
第12の発明は、第1ないし第11の発明の何れか1つにおいて、前記放射性物質観測装置は、放射線のコンプトン散乱を計測し、前記放射性物質観測装置で観察した画像を画像処理して前記拡散物質の拡散状況を視覚化する放射線測定装置であることを特徴とする拡散物質の拡散状況予測装置である。
第13の発明は、拡散物質を大気中に放出する発生源から放出される前記拡散物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散状況予測方法であって、複数の計測装置を用いて前記拡散物質を計測する第1計測工程と、前記拡散物質の逆推定を行う逆推定手段を用いて前記発生源を含む推定領域を推定する発生源推定工程と、複数の放射性物質観測装置を用いて前記発生源を絞り込む絞り込み工程と、前記拡散物質の拡散状況を演算する拡散モデルを用いて前記拡散物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散予測工程と、を含むことを特徴とする拡散物質の拡散状況予測方法である。
第14の発明は、第13の発明において、前記逆推定手段は、相互の離間距離が一定の仮想格子上で各格子線が交差する位置を仮想放出地点として設定する仮想格子設定部と、前記拡散モデルを用いて、前記計測装置と前記仮想放出地点との相対位置、および相対時刻に応じて定まる影響関数を算出する影響関数算出部と、前記仮想放出地点ごとに、各計測装置の濃度情報と、各計測装置の仮想放出地点に対する影響関数と仮想放出地点の放出強度との積と、の差の平方和である残差ノルムを算出する残差ノルム算出部と、算出された全仮想放出地点の残差ノルムの内、残差ノルムが最小となる仮想放出地点を放出地点と推定する第1推定部と、を有することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測方法である。
第15の発明は、第14の発明において、前記影響関数算出部は、数値拡散計算により前記影響関数を算出することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測方法である。
第16の発明は、第14または第15の発明において、前記絞り込み工程で、前記仮想格子設定部は、前記第1推定部で推定された放出地点を含み、且つ相互の離間距離がより短い仮想格子上で各格子線が交差する位置を仮想放出地点として再設定することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測方法である。
第17の発明は、第14ないし第16の発明の何れか1つにおいて、前記逆推定手段は、仮想放出時刻を設定する仮想放出時刻設定部を有し、前記残差ノルム算出部は、仮想放出時刻別にそれぞれの仮想放出地点ごとの残差ノルムを算出し、前記第1推定部は、仮想放出時刻ごとに算出された全仮想放出地点の残差ノルムの内、残差ノルムが最小となる仮想放出地点を放出地点と推定することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測方法である。
第18の発明は、第14ないし第17の発明の何れか1つにおいて、前記逆推定手段は、前記計測装置から位置情報、計測した濃度情報を入手する観測情報入手部と、それぞれの前記計測装置の位置をそれぞれ仮想放出点とし、それぞれの仮想放出点の放出強度を対応する計測装置でそれぞれ得た濃度情報に逆比例した値とする逆問題設定部と、それぞれの仮想放出点からの放出について、粒子法を用いた拡散の数値解析で時間を計測時刻から逆に進行させて逆解析を行う逆解析部と、逆に進行させたそれぞれの時刻において、各仮想放出点からの粒子濃度分布を評価し、粒子濃度が略等しい領域の内、粒子濃度の分散が最小となる位置をそれぞれ放出地点と推定する第2推定部と、を有することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測方法である。
第19の発明は、第18の発明において、前記第2推定部は、粒子濃度の分散が最小となる位置における粒子濃度の逆数値を前記放出地点の放出強度と推定することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測方法である。
第20発明は、第18または第19の発明において、前記逆解析部は、最も遅い計測時刻との相対時刻で各仮想放出点から順次放出させていくことを特徴とする拡散物質の拡散状況予測方法である。
第21の発明は、第18ないし第20の発明の何れか1つにおいて、前記逆推定手段は、相互の離間距離が一定の評価格子上で各格子線が交差する位置を評価点として設定する評価点設定部を有し、前記第2推定部は、逆に進行させたそれぞれの時刻において、設定された評価点について各仮想放出点からの粒子濃度分布を評価し、粒子濃度の分散が最小となる位置をそれぞれ放出地点と推定することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測方法である。
第22の発明は、第13ないし第21の発明の何れか1つにおいて、前記評価点設定部は、前記第2推定部で推定された放出地点を含み、且つ相互の離間距離がより短い評価格子上で各格子線が交差する位置を評価点として再設定することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測方法である。
第23の発明は、拡散物質を大気中に放出する発生源から放出される前記拡散物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散状況予測方法であって、前記拡散物質の拡散状況を演算する拡散モデルを用いて前記拡散物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散予測部と、複数の放射性物質観測装置を用いて前記発生源を含む領域の前記拡散物質の拡散状況を計測する第2計測部と、を有することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測方法である。
第24の発明は、第13ないし第23の発明の何れか1つにおいて、前記放射性物質観測装置は、放射線のコンプトン散乱を計測し、前記放射性物質観測装置で観察した画像を画像処理して前記拡散物質の拡散状況を視覚化する放射線測定装置であることを特徴とする拡散物質の拡散状況予測方法である。
第25の発明は、拡散物質を大気中に放出する発生源から放出される前記拡散物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散状況予測プログラムであって、複数の計測装置を用いて前記拡散物質を計測する第1計測工程と、前記拡散物質の逆推定を行う逆推定手段を用いて前記発生源を含む推定領域を推定する発生源推定工程と、複数の放射性物質観測装置を用いて前記発生源を絞り込む絞り込み工程と、前記拡散物質の拡散状況を演算する拡散モデルを用いて前記拡散物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散予測工程と、を含む工程を実行させることを特徴とする拡散物質の拡散状況予測プログラムである。
第26の発明は、第25の発明において、前記逆推定手段は、相互の離間距離が一定の仮想格子上で各格子線が交差する位置を仮想放出地点として設定する仮想格子設定部と、前記拡散モデルを用いて、前記計測装置と前記仮想放出地点との相対位置、および相対時刻に応じて定まる影響関数を算出する影響関数算出部と、前記仮想放出地点ごとに、各計測装置の濃度情報と、各計測装置の仮想放出地点に対する影響関数と仮想放出地点の放出強度との積と、の差の平方和である残差ノルムを算出する残差ノルム算出部と、算出された全仮想放出地点の残差ノルムの内、残差ノルムが最小となる仮想放出地点を放出地点と推定する第1推定部と、を有することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測プログラムである。
第27の発明は、第25または第26の発明において、前記逆推定手段は、前記計測装置から位置情報、計測した濃度情報を入手する観測情報入手部と、それぞれの前記計測装置の位置をそれぞれ仮想放出点とし、それぞれの仮想放出点の放出強度を対応する計測装置でそれぞれ得た濃度情報に逆比例した値とする逆問題設定部と、それぞれの仮想放出点からの放出について、粒子法を用いた拡散の数値解析で時間を計測時刻から逆に進行させて逆解析を行う逆解析部と、逆に進行させたそれぞれの時刻において、各仮想放出点からの粒子濃度分布を評価し、粒子濃度が略等しい領域の内、粒子濃度の分散が最小となる位置をそれぞれ放出地点と推定する第2推定部と、を有することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測プログラムである。
第28の発明は、拡散物質を大気中に放出する発生源から放出される前記拡散物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散状況予測プログラムであって、前記拡散物質の拡散状況を演算する拡散モデルを用いて前記拡散物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散予測部と、複数の放射性物質観測装置を用いて前記発生源を含む領域の前記拡散物質の拡散状況を計測する第2計測部と、を実行させることを特徴とする拡散物質の拡散状況予測プログラムである。
第29の発明は、第25ないし第28の発明の何れか1つにおいて、前記放射性物質観測装置は、放射線のコンプトン散乱を計測し、前記放射性物質観測装置で観察した画像を画像処理して前記拡散物質の拡散状況を視覚化する放射線測定装置であることを特徴とする拡散物質の拡散状況予測プログラムである。
本発明によれば、より高い精度で拡散物質の発生源を推定しつつ拡散物質の拡散状況の把握の向上を図ることができる。
図1は、本発明による第1の実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置の構成を示す図である。 図2は、逆解析手段の構成の一例を示す図である。 図3は、拡散現象の線形性を説明する説明図である。 図4は、本発明による第1の実施形態における残差ノルムの算出例を例示する説明図である。 図5は、N段目の仮想格子を用いて残差ノルムを算出する例を例示する説明図である。 図6は、N+1段目の仮想格子を用いて残差ノルムを算出する例を例示する説明図である。 図7は、拡散物質の拡散状況予測方法の手順の一例を示すフローチャートである。 図8は、逆解析手段を用いて発生源を推定する方法を説明するフローチャートである。 図9は、逆解析手段を用いて発生源を絞り込む方法を説明するフローチャートである。 図10は、本発明による第2の実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置の構成を示す図である。 図11は、拡散物質の拡散状況予測プログラム格納部に収容されている逆解析手段の構成の一例を示す図である。 図12は、拡散現象における逆問題および逆解析を説明する説明図である。 図13は、仮想放出点からの拡散を例示する説明図である。 図14は、仮想放出点からの放出タイミングおよび評価タイミングを例示するタイムチャートである。 図15は、仮想格子に基づく評価点を用いた放出候補地点の推定を例示する説明図である。 図16は、仮想格子のネスティングを説明する説明図である。 図17は、拡散物質の拡散状況予測方法の手順の一例を示すフローチャートである。 図18は、逆解析手段を用いて発生源を推定する方法を説明するフローチャートである。 図19は、逆解析手段を用いて発生源を絞り込む方法を説明するフローチャートである。 図20は、本発明による第3の実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置の構成を示す図である。 図21は、拡散物質の拡散状況予測方法の手順の一例を示すフローチャートである。
以下、本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に記載した内容により限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は本発明の要旨を逸脱しない範囲内で適宜組み合わせることが可能である。
[第1の実施形態]
<拡散物質の拡散状況予測装置>
本発明による第1の実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置について、図面を参照して説明する。なお、本実施形態では、拡散物質が放射性物質(粒子)である場合について説明する。図1は、本実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置の構成を示す図である。図1に示すように、拡散物質の拡散状況予測装置10Aは、制御部11、記憶部12、入力部13、出力部14、および通信部15を有している。
制御部11は、中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU)、RAM(Random Access Memory)などを備えている。
記憶部12は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)などの可搬の記録媒体などを備えている。可搬の記録媒体とは、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM(Read Only Memory)、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。記憶部12は、本発明による第1の実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測方法を実行するための拡散物質の拡散状況予測プログラムが記憶されている。本実施形態では、拡散物質の拡散状況予測プログラムが記憶されている領域を、拡散物質の拡散状況予測プログラム格納部16Aという。なお、記憶部12は、予め拡散物質の拡散状況予測プログラムが記憶されているが、これに限定されるものではなく、拡散物質の拡散状況予測プログラムは、拡散物質の拡散状況予測プログラムを外部から通信部15を介して受信し、前記拡散物質の拡散状況予測プログラムを記録するようにしてもよい。拡散物質の拡散状況予測プログラム格納部16Aの構成については、後述する。
入力部13は、例えば、キーボードやマウスなどである。本実施形態では、入力部13は、作業員などにより手動で入力されるが、これに限定されるものではなく、入力部13は、通信部15で受信された信号などが自動で入力されるようにしてもよい。これにより、拡散物質の拡散状況予測装置10Aは、通信部15で受信された信号などを手動または自動で入力できるため、装置の利便性を更に高めることができる。
出力部14は、例えば、ディスプレイ、プリンタなどである。
通信部15は、計測装置18−1〜18−l(lは正の整数)、放射性物質観測装置19−1〜19−n(nは正の整数)または外部のネットワーク上に設置されている気象データベースなどと通信を行ない、送受信する。通信部15は、計測装置18−1〜18−l、放射性物質観測装置19−1〜19−nまたは外部のネットワーク上に設置されている気象データベースなどから送られてくる情報を、常時受信してもよいし、所定間隔で受信するようにしてもよい。なお、通信部15は、計測装置18−1〜18−l、放射性物質観測装置19−1〜19−nなどから送られてきた信号を他の受信装置などを介して送受信を行なうようにしてもよい。
また、通信部15は、計測装置18−1〜18−lの観測地点からの情報を直接受信しているが、これに限定されない。例えば、計測装置18−1〜18−lの観測地点からの情報が民間または公共機関等によるガス濃度観測システムなどに蓄積されているデータベースがある場合には、通信部15は、このデータベースにインターネット等のネットワーク上に設置されたデータベースにアクセスして、計測装置18−1〜18−lの情報を入手するようにしてもよい。計測装置18−1〜18−lの観測地点からの情報として、後述する通り、例えば、計測装置18−1〜18−lの観測地点の位置データ、計測装置18−1〜18−lが計測した濃度データ、または計測装置18−1〜18−lの観測時刻データなどである。
計測装置18−1〜18−lは、その設置場所における大気中に存在する放射性物質などの所望の拡散物質の濃度を計測する機能を備えている。計測装置18−1〜18−lは、計測装置18−1〜18−lの位置の情報、計測装置18−1〜18−lが計測したそれぞれの濃度の情報、または計測時刻の情報などを発信する機能を備えている。また、計測装置18−1〜18−lの少なくとも1つは、固定して設置されるか可動可能に設置されている。計測装置18−1〜18−lは、可動可能に設置される場合には、GPS(Global Positioning System)機能を備えて、常時、計測装置18−1〜18−lの位置情報を取得可能な構成とすればよい。また、計測装置18−1〜18−lは、固定して設置される場合には、計測装置18−1〜18−lの位置情報を固有の識別コード(機器番号等)で代用することも可能である。この場合、拡散物質の拡散状況予測装置10A側で、観測器の識別コードに対応したテーブル等に基づき計測装置の位置情報を導出することになる。
計測装置18−1〜18−lは、計測装置18−1〜18−lの情報、すなわち、計測装置18−1〜18−lの位置情報、計測装置18−1〜18−lが計測した濃度情報、または計測時刻情報を、通信部15に送っている。計測装置18−1〜18−lは、常時、これらの情報を通信部15に送ることが可能である。この場合、計測装置18−1〜18−lは、計測装置18−1〜18−lの位置情報および計測装置18−1〜18−lで計測した濃度情報のみを送ってもよい。
放射性物質観測装置19−1〜19−nは、放射線のコンプトン散乱を計測し、観察した画像を画像処理して放射性物質の拡散状況を視覚化する放射線測定装置である。放射性物質観測装置19−1〜19−nとしては、例えば、コンプトンカメラなどが挙げられる。コンプトンカメラは、核種に固有なガンマ線を識別して、分布した放射性物質を画像化して、放射性物質の分布を可視化する機能を有する。放射性物質観測装置19−1〜19−nの視野は、特に限定されるものではないが、特に、広い視野(ほぼ180°)を有するコンプトンカメラ(超広角コンプトンカメラ)が好適に用いられる。
気象データベースは、発生源Pが存在する対象地点を含む予め設定した広さの地理的領域に対応する計算領域における過去50年〜100年分の1時間ごとの気象データを蓄積している。具体的には、GPVデータ、NCEP(米国環境予測センター)が中心となって提供している再解析データや、ECMWF(ヨーロッパ中期気象予報センター)が提供している再解析データであるERA−40などがある。
[拡散物質の拡散状況予測プログラム格納部]
次に、拡散物質の拡散状況予測プログラム格納部16Aについて説明する。拡散物質の拡散状況予測プログラム格納部16Aは、第1計測部21、発生源推定処理部22A、絞り込み部23Aおよび拡散予測部24を有する。
(第1計測部)
第1計測部21は、複数の計測装置18−1〜18−lを用いて放射性物質を計測している。制御部11は、第1計測部21で、複数の計測装置18−1〜18−lで得られた情報に基づいて発生源Pを含む領域の放射性物質を大まかに計測している。
(発生源推定処理部)
発生源推定処理部22Aは、逆解析手段26Aを用いて発生源Pを含む推定領域Aを推定している。逆解析手段26Aは、放射性物質の逆解析を行っている。逆解析手段26Aの構成の一例を図2に示す。図2に示すように、逆解析手段26Aは、観測情報入手部31、仮想格子設定部32、仮想放出時刻設定部33、影響関数算出部34、残差ノルム算出部35および推定部36を備えている。
ここで、拡散物質の拡散状況予測装置10Aが逆解析手段26Aで拡散物質の発生源Pを推定する方法の一例について説明する。図3は、拡散現象の線形性を説明する説明図であり、図4は、本実施形態における残差ノルムの算出例を例示する説明図である。
まず、拡散現象の基本的な性質である線形性について説明する。例えば、図3(a)に示すように、2箇所の放出地点Po1および放出地点Po2からの放射性物質の放出を評価地点(観測地点)Pvで観測するとする。なお、放出地点近傍で一様な方向に風が吹いていると仮定する。このとき、放出地点近傍で一様な風が吹いている方向をx方向とし、風に直角な方向をy方向とし、風に鉛直な方向をz方向とする。
このとき、評価地点Pvにおける濃度は、図3(b)に示すような放出地点Po1からの放出による影響と、図3(c)に示すような放出地点Po2からの放出による影響と、の和で表される。すなわち、放出地点Po1および放出地点Po2の放出強度をそれぞれq、qとし、放出地点Po1および放出地点Po2の放出に対する影響関数をそれぞれD、Dとすると、評価地点Pvにおける濃度Dは「D=q・D+q・D」として表すことができる。
このような拡散現象の放出強度に対する線形性により、放出地点が複数(m箇所;mは正の整数)あるとき、任意の時刻(t)での評価位置(x,y)における濃度D(x,y,t)は、各放出地点からの放出による影響の和で表され、次式が成立する。
Figure 2014106203
式(1)中、qは放出位置(x,y)の放出強度であり、D(x−x,y−y,t−t)は評価位置と放出位置との相対位置および相対時刻によって決まる影響関数である。
また、複数の観測地点(すなわち、n箇所(nは正の整数)の評価位置)における濃度(D(x,y,t);i=1,2,…,n)が計測されていれば、次式が成り立つ。
Figure 2014106203
また、放出地点の数mが観測地点の数n以下ならば、上記式(2)から各放出位置(x,y)における放出強度qが得られる。具体的には、式(2)の左辺と右辺の差の平方和である残差ノルムが最小となるように放出強度qを決める。この残差ノルムは、次式で表される。
Figure 2014106203
また、残差ノルムを最小にする放出強度qは、変分法により次式で表される。
Figure 2014106203
このとき、残差ノルムは次式となる。
Figure 2014106203
本実施形態では、各仮想放出地点(すなわち、仮想放出地点Poj(j=1〜m))に対する残差ノルムを評価して、この残差ノルムが最小となる放出強度qを求める。放出強度qの仮想放出地点Pojを放出位置として推定する。放出強度qを放出位置からの放出量として推定する。
具体的に、各仮想放出地点Poj(j=1〜m)に対する残差ノルムは、次式で表される。
Figure 2014106203
また、この残差ノルムを最小にする放出強度q、およびそのときの残差ノルムRは、次式で表される。
Figure 2014106203
また、残差ノルムの算出例を図4を参照にして説明する。また、仮想放出地点Poj(j=1〜9)ごとに残差ノルムを計算するが、図4では代表例として仮想放出地点Po1に対する残差ノルムの算出を例示する。この場合、式(6)の残差ノルムは、同図中に示した式により展開される。同様に、他の仮想放出地点Poj(j=2〜9)に対する残差ノルムを算出して、残差ノルムが最小となる放出強度qを求める。放出強度qの仮想放出地点Pojを放出位置とし、放出強度qを放出位置からの放出量と推定する。
次に、逆解析手段26Aの各構成要素(すなわち、観測情報入手部31、仮想格子設定部32、仮想放出時刻設定部33、影響関数算出部34、残差ノルム算出部35および推定部36)について説明する。
観測情報入手部31は、計測装置18−1〜18−lからの情報、すなわち計測装置18−1〜18−lの位置情報、計測装置18−1〜18−lが計測した濃度情報および計測時刻情報を、通信部15を介して入手する。入手した各情報は、関連づけて記憶部12の所定領域に保存しておくことが好ましい。
仮想格子設定部32は、相互の離間距離が一定の仮想格子を想定して、仮想格子の領域上で各格子線が交差する位置を仮想放出地点Poj(j=1〜m)として設定する。例えば、図4では、仮想格子上で9箇所(m=9=3×3)の仮想放出地点Po1〜Po9を設定する。この仮想放出地点数mが多いほど放出地点の推定精度は向上する。仮想放出地点数mを多くするためには、仮想格子の離間距離をより小さくして交差点数を増やせばよい。しかし、その分だけ計算量は増大することになる。したがって、要求される処理時間(観測地点から情報を入手してから放出地点を推定するまでの時間)に応じて、予め仮想放出地点数mを概算しておくことが好ましい。また、経験則等に基づいて注目すべき地域を判断し、その注目地域に仮想格子の領域を設定することが好ましい。
仮想放出時刻設定部33は、放出時刻が不明であるとき仮想放出時刻を設定する。放出時刻が不明の場合には、仮想放出時刻を所定時間刻みで複数設定して式(7)を評価する。
影響関数算出部34は、拡散モデルまたは数値拡散計算を用いて影響関数を算出する。上述のように、影響関数Dijは評価地点(計測装置18−i(i=1〜l)の位置)と仮想放出地点Poj(j=1〜m)との相対位置、および発生源Pからの放出時刻と放射性物質観測装置19−iの計測時刻との相対時刻に応じて定まる関数であり、n×m個の影響関数Dijを算出することになる。なお、計測装置18−i(i=1〜l)は、計測装置18−1〜18−lのうちのいずれかをいう。
拡散モデルとしては、例えば、パフモデルなどが挙げられる。パフモデルは、風速をU(m/sec)としたとき、拡散係数Dijは次式(8)で与えられる。
Figure 2014106203
ここで、σ、σ、σはそれぞれ濃度分布のx、y、z方向の拡散パラメータ(m)であり、パスキル・ギフォード線図や経験式等に基づいて得られる。なお、拡散モデルとしては、パフモデルに限定されることなく、例えばプルームモデル等の他のモデルを使用することも可能である。
数値拡散計算は、各種シミュレーションモデルを用いて、想定する放出地点から単位強度の放出をした場合の評価地点での濃度(すなわち、影響関数)を求めるものである。数値拡散計算としては、例えば、修正プルームモデル、ポテンシャル流モデル、粘性流モデル、環境庁大気保全局大気規制課編「窒素酸化物総量規制マニュアル」にも詳述されているプルーム・パフモデル、セル内粒子法、ラグランジュ型粒子モデルなどが挙げられる。
なお、放出時刻が不明で、仮想放出時刻設定部33によって複数(r個)の仮想放出時刻が設定されている場合には、n×m×r個(rは正整数)の影響関数Dijを算出する必要がある。したがって、複雑気流場の場合、仮想放出地点数mおよび仮想放出時刻数rの値によっては、影響関数算出処理の計算量が全体に与える影響が大きくなってくることも考えられる。そのような場合には、観測情報を入手してから逐一、発生源Pの推定の処理を行うのではなく、想定され得る地域ごとの仮想格子(仮想放出地点Poj)について予め相対時刻ごとに影響関数Dijを算出し、影響関数データベースに記録しておくようにしてもよい。影響関数データベースのデータは、記憶部12内に記録される。これにより、影響関数算出処理の計算量が全体に与える影響を低減することができる。
残差ノルム算出部35は、仮想放出地点Pojごとに、各計測装置18−i(i=1〜l)の濃度情報と、各計測装置18−i(i=1〜l)の仮想放出地点Pojに対する影響関数Dijと仮想放出地点の放出強度qとの積と、の差の平方和である残差ノルムRを算出する。すなわち、仮想格子設定部32によって設定された各仮想放出地点Pojについて、式(6)に基づき残差ノルムを算出する。なお、放出時刻が不明で、仮想放出時刻設定部33によって仮想放出時刻が設定されている場合には、設定されている複数の仮想放出時刻に対してそれぞれ残差ノルムを算出することとなる。
推定部36は、算出された全仮想放出地点Pojについての残差ノルムのうち、残差ノルムが最小となる放出強度qを求める。そして、推定部36は、放出強度qの仮想放出地点Pojを放出位置とし、放出強度qを放出位置からの放出量として推定する。なお、放出時刻が不明で、仮想放出時刻設定部33によって仮想放出時刻が設定されている場合には、推定部36は、複数の仮想放出時刻に対してそれぞれ最小となる残差ノルムの中で更に最小の残差ノルムの放出強度qを求める。そして、推定部36は、放出強度qの仮想放出地点を放出位置とし、放出強度qを放出位置からの放出量として推定すると共に、対応する仮想放出時刻を放出時刻として推定する。
(絞り込み部)
絞り込み部23Aは、発生源推定処理部22Aで推定した推定領域Aに設置された放射性物質観測装置19−1〜19−nからの情報に基づいて、放射性物質観測装置19−1〜19−nの設置範囲を狭めて発生源Pを絞り込む。
また、本実施形態では、絞り込み部23Aは、発生源推定処理部22Aで推定した推定領域Aに設置された放射性物質観測装置19−1〜19−nからの情報に基づいて発生源Pを逆推定することにより、発生源Pを絞り込むことが好ましい。発生源Pの逆推定の方法は、逆解析手段26Aと同様である。
放射性物質観測装置19−1〜19−nからの情報に基づいて逆解析手段26Aを用いて発生源Pを絞り込む方法の一例について説明する。本実施形態では、絞り込み部23Aは、格子線の相互の離間距離が段階的に異なるs面(sは正の整数)の仮想格子(一面の仮想格子における格子線の相互の離間距離は一定)上で、それぞれ仮想放出地点PoNj(N=1〜s,j=1〜p;pはp<mで正整数)を設定する。仮想格子の面は、格子線の相互の離間距離が相対的に長い仮想格子から相対的に短い仮想格子に段階的に小さくしていくものとし、s段目の仮想格子の面が(離間距離が最短の)最小グリッドとする。
本実施形態では、想定され得る推定領域Aごとの仮想格子(仮想放出地点PoNj)について、予め影響関数算出部34によって相対時刻ごとに影響関数Dijが算出され、影響関数データベースに登録されて、データが記憶部12内に保持されているものとする。
ここで、仮想格子の面を段階的に小さくして発生源Pを絞り込む方法を具体的に説明する。図5は、N段目の仮想格子を用いて残差ノルムを算出する例を例示する説明図であり、図6は、N+1段目の仮想格子を用いて残差ノルムを算出する例を例示する説明図である。なお、図5、図6では、仮想格子の面として3×3の仮想格子を使用し、放射性物質観測装置19−iによる観測地点が10箇所(Pv1〜Pv10)あるとする。図5に示すように、N段目(N=1)の仮想格子を用いて残差ノルムを算出する場合には、仮想格子設定部32により9個の仮想放出地点Po11〜Po19が設定される。制御部11は、推定部36により、全仮想放出地点Po11〜Po19についての残差ノルムを評価した結果、仮想放出地点Po14の放出強度qで残差ノルムが最小となった場合には、放出強度qの仮想放出地点Po14が放出候補地点となる。
次に、図6に示すように、N+1段目(N+1=2)の仮想格子を用いて残差ノルムを算出する場合には、仮想格子設定部32により、9個の仮想放出地点Po21〜Po29が設定される。このとき、N+1段目の仮想格子は、前段(N段目)の仮想格子上で放出候補地点とされたPo14を、その仮想格子面内に含むように設定される。図6では、放出候補地点Po14が面の中心となるように、N+1段目の仮想格子上で仮想放出地点Po25が重複して設定されているが、必ずしも重複設定する必要はなく、仮想格子面内に含んでいればよい。そして、制御部11は、推定部36により、全仮想放出地点Po21〜Po29についての残差ノルムを評価した結果、仮想放出地点Po22の放出強度qで残差ノルムが最小となった場合には、放出強度qの仮想放出地点Po22が放出候補地点となる。
このように、絞り込み部23Aは、放射性物質観測装置19−1〜19−nからの情報に基づいて逆解析手段26Aを用いて、格子線の相互の離間距離が相対的に長い仮想格子から相対的に短い仮想格子へと、段階的に、(離間距離が最短で)最小グリッドとなるs段目の仮想格子の面まで適用していく。そして、s段目の仮想格子の面の適用において、制御部11は、推定部36で、全仮想放出地点PoNjについての残差ノルムのうち、残差ノルムが最小となる放出強度qを求め、放出強度qの仮想放出地点PoNjが放出候補地点と推定されたとき、放出候補地点が放出地点として推定されることとなる。この結果、制御部11は、更に高い精度で発生源Pを絞り込むことができる。
また、制御部11は、仮想格子設定部32において、前段の仮想格子面で推定部36によって推定された放出地点を含み、且つ相互の離間距離がより短い仮想格子上で各格子線が交差する位置を仮想放出地点として再設定する。そして、制御部11は、格子線の相互の離間距離が相対的に長い仮想格子から相対的に短い仮想格子へと絞り込みながら仮想放出地点を再設定する。これにより、制御部11は、より精度高く発生源Pの推定を行うことができる。
(拡散予測部)
拡散予測部24は、絞り込み部23Aで複数の放射性物質観測装置19−1〜19−nを用いて得られた情報を用いて、放射性物質の拡散状況(拡散領域、拡散濃度)を演算する拡散モデル(拡散計算モデルともいう。)を用いて演算を行うことにより放射性物質の拡散場データを算出し、放射性物質の拡散状況を予測している。拡散場データは、放射性物質の拡散状況(拡散領域、拡散濃度)を示すものである。絞り込み部23Aで発生源Pを絞り込んでおき、得られた拡散場データからその発生源Pを含む領域の放射性物質の拡散状況を予測することができる。
なお、拡散モデルとしては、上記パフモデルまたは数値拡散計算などの他に、従来から公知のものが用いられるが、例えば、コロラド州立大学と米国ATMET社で開発されたHYPACT(Hybrid Particle Concentration Transport Model)コード、下記式(9)の正規拡散式(解析解)を用いる方法、数値シミュレーションモデルによりCFDを用いる方法などが挙げられる。
拡散モデルとして、下記式(9)の正規拡散式(解析解)を用いる場合には、この式を用いて、上記所定期間の定常計算を実施し、その計算結果から拡散場データを作成してもよい。
Figure 2014106203
ここで、式(9)中、x、y、zは座標であり、Cは濃度であり、Uは風速であり、Qは放出量であり、Heは放出源高さであり、σyは水平方向拡散幅(気象状態によって決まる量)であり、σzは鉛直方向拡散幅(気象状態によって決まる量)である。
数値シミュレーションモデルによりCFDを用いる場合には、予め発生源Pを含む領域の気流場データをCFDを用いて演算し、拡散場データを演算する。
また、発生源Pから放射性物質が放出された対象日時の放射性物質の年平均濃度をCとし、対象日時jにおいて放射性物質が放出されたとした時の時刻iでの所定時間分の濃度をCj iとすると、放射性物質の年平均濃度Cは、下記式(10)のように表すことができる。
Figure 2014106203
(式中、i、jは1以上の整数である。)
よって、拡散予測部24は、所定の対象日時において所定期間の間にその対象日時から所定時間ごとに計算して得られた全ての拡散場データを合わせることで、所定の発災時刻(例えば、発災時刻j)において放射性物質が放出された際の放射性物質の影響範囲を抽出することができる。これにより、所定の対象日時において放出された放射性物質の影響範囲を示す拡散場データをハザードマップとして作成することができる。
<拡散物質の拡散状況予測方法>
次に、拡散物質の拡散状況予測装置10Aにより行われる拡散物質の拡散状況予測方法について説明する。図7は、拡散物質の拡散状況予測方法の手順の一例を示すフローチャートである。なお、拡散物質の拡散状況予測方法は、制御部11内のCPUが記憶部12の拡散物質の拡散状況予測プログラム格納部16Aに記憶されている拡散物質の拡散状況予測プログラムを制御部11内のRAMなどに読み出し、実行することにより、実現される。
図7に示すように、ステップS11で、ある地点で、例えば、テロ、火災、事故などが発生して拡散物質として放射性物質が発生源Pから放出された場合、複数の計測装置18−1〜18−lを用いて発生源Pを含む推定領域Aで大まかに計測された放射性物質に関する情報、計測装置18−1〜18−lの位置情報、計測装置18−1〜18−lの計測した計測時刻情報などが通信部15に送信される。放射性物質に関する情報としては、例えば、放射性物質の種類、その有無またはその濃度などである。計測装置18−1〜18−lの位置は、例えば、緯度及び経度で特定される。通信部15で受信された情報は、通信部15から制御部11に送られる。制御部11は、放射性物質に関する情報、計測装置18−1〜18−lの位置情報などを通信部15を介して入手した後、処理をステップS12に移行させる。
ステップS12で、制御部11は、発生源推定処理部22Aに基づいて、逆解析手段26Aを用いて発生源Pを推定する。図8は、逆解析手段26Aを用いて発生源Pを推定する方法を説明するフローチャートである。
図8に示すように、ステップS21で、制御部11は、観測情報入手部31において放射性物質観測装置19−1〜19−nから送られてくる放射性物質に関する情報、放射性物質観測装置19−1〜19−nの位置情報などを通信部15を介して入手する。その後、制御部11は、仮想格子設定部32に基づいて、相互の離間距離が一定の仮想格子を想定して、仮想格子の領域上で各格子線が交差する位置を仮想放出地点Poj(j=1〜m)として設定する。なお、放射性物質が発生源Pから放出された放出時刻が不明である場合は、制御部11は、仮想放出時刻設定部33に基づいて仮想放出時刻を設定する。制御部11は、仮想放出地点Poj(j=1〜m)を設定した後、処理をステップS22に移行させる。
次に、ステップS22で、制御部11は、影響関数算出部34に基づいて、拡散モデル(例えば、式(8))を用いて影響関数Dijを算出する。なお、仮想放出時刻設定部33により仮想放出時刻が設定されている場合には、各仮想放出時刻に応じた相対時刻ごとに影響関数Dijを算出する。また、上述したように予め影響関数データベースに登録されている場合には、影響関数データベースを参照して影響関数Dijを算出するようにしてもよい。制御部11は、影響関数Dijを算出した後、処理をステップS23に移行させる。
次に、ステップS23で、制御部11は、残差ノルム算出部35に基づいて、仮想格子設定部32で設定された各仮想放出地点Pojについて、式(6)に基づき残差ノルムRを算出する。なお、仮想放出時刻設定部33により仮想放出時刻が設定されている場合には、設定されている複数の仮想放出時刻に対してそれぞれ残差ノルムRを算出する。制御部11は、残差ノルムRを算出した後、処理をステップS24に移行させる。
次に、ステップS24で、制御部11は、推定部36に基づいて、算出された全仮想放出地点Pojについての残差ノルムのうち、残差ノルムが最小となる放出強度qを求める。そして、制御部11は、放出強度qの仮想放出地点Pojを放出位置と推定する。また、制御部11は、放出強度qを放出位置からの放出量として推定する。なお、仮想放出時刻設定部33によって仮想放出時刻が設定されている場合には、制御部11は、複数の仮想放出時刻に対してそれぞれ最小となる残差ノルムの中でさらに最小の残差ノルムの放出強度qを求める。そして、推定部36は、放出強度qの仮想放出地点を放出位置とする。また、推定部36は、放出強度qを放出位置からの放出量として推定すると共に、対応する仮想放出時刻を放出時刻として推定する。
制御部11は、上記のようにして逆解析手段26Aを用いることで、より柔軟且つ簡便に発生源Pを推定することができる。
制御部11は、推定部36に基づいて、発生源Pを推定した後、処理を図7に示すステップS13に移行させる。
ステップS13で、制御部11は、絞り込み部23Aに基づいて、放射性物質観測装置19−1〜19−nを用いて、放射性物質観測装置19−1〜19−nの設置範囲を狭めて発生源Pを絞り込む。
また、本実施形態では、制御部11は、発生源推定処理部22Aで用いられる図8に示した逆解析手段26Aを用いて発生源Pを推定する方法に基づいて、図5、図6に示すように、相対的に長い仮想格子から短い仮想格子に絞り込みながら発生源Pを絞り込み、推定するようにしてもよい。
図9は、逆解析手段26Aを用いて発生源Pを絞り込む方法を説明するフローチャートである。図9に示すステップS31〜ステップS34は、図8に示すステップS21〜ステップS24と同様であるため、説明は省略する。なお、図9に示すステップS34では、図8に示すステップS24と放出位置を放出候補地点としている。制御部11は、ステップS34で、推定部36に基づいて、放出強度qの仮想放出地点PoNjを放出候補地点の位置とし、放出強度qを放出候補地点からの放出量として推定する。その後、制御部11は、処理をステップS35に移行させる。
ステップS35で、制御部11は、現在適用している仮想格子の面が最小グリッド(s段目)であるか否かを判定する。制御部11は、判定の結果、現在適用している仮想格子の面が最小グリッドであると判定した場合には、放出候補地点として推定した評価点PoNjの位置を放出地点として推定し、処理を終了する。
また、制御部11は、判定の結果、最小グリッドでないと判定した場合には、処理をステップS36に移行する。ステップS36で、制御部11は、Nをインクリメント処理する。制御部11は、Nがインクリメントされた後、N+1段目の仮想格子を用いて評価点を設定する場合に、N+1段目の仮想格子は、前段(N段目)の仮想格子上で放出候補地点とされた点を、その仮想格子面内に含むように設定される。その後、制御部11は、処理をステップS31に戻す。
そして、制御部11は、図5、図6に示すように、格子線の相互の離間距離が相対的に長い仮想格子から相対的に短い仮想格子へと、段階的に、(離間距離が最短で)最小グリッドとなるs段目の仮想格子の面まで適用する。そして、制御部11は、s段目の仮想格子の面で、推定部36に基づいて、全仮想放出地点PoNjについての残差ノルムのうち、残差ノルムが最小となる放出強度qを求める。そして、制御部11は、放出強度qの仮想放出地点PoNjを放出候補地点と推定したとき、放出候補地点を放出地点として推定する。
制御部11は、発生源Pを絞り込んだ後、処理をステップS14に移行させる。
ステップS14で、制御部11は、拡散予測部24に基づいて、拡散モデルを用いて演算を行ない、放射性物質の拡散場データを算出し、発生源Pから放射された放射性物質の拡散状況(拡散領域、拡散濃度)を予測する。
制御部11は、拡散予測部24に基づいて算出された放射性物質の拡散状況を出力部14に出力させる。制御部11は、放射性物質の種類、量、拡散範囲などを出力部14のモニターなどの表示画面に表示し、算出した拡散状況を拡散結果として表示することが好ましい。これにより、作業員に放射性物質の種類、量、拡散範囲などを把握しやすいように提示することが可能となる。
このように、拡散物質の拡散状況予測装置10Aは、放射性物質の発生源Pを含む範囲を予め推定した後、絞り込み部23Aで複数の放射性物質観測装置19−iを用いて発生源Pを絞り込んでいる。このため、拡散物質の拡散状況予測装置10Aは、より高い精度で放射性物質の発生源Pを精度高く特定することができると共に、放射性物質の拡散状況を予測することができる。また、拡散物質の拡散状況予測装置10Aは、放射性物質観測装置19−1〜19−nで撮影した観察画像の視野内において、放射性物質が付着している方向など空間的な情報が得られる。この結果、警察、自衛隊員や関係機関担当者などが発生源Pに接近し、放射性物質の除去を的確に行うことができるため、放射性物質の除去をより効率良く迅速に行うことができ、事故発生現場での対応の機動力を向上させることができる。また、放射性物質の種類を特定することで、警察、自衛隊員や関係機関担当者が予め防御するために要する情報を的確に得ることができ、隊員の安全を高めることができる。
なお、本実施形態においては、拡散物質の拡散状況予測装置10Aは、拡散予測部24を備えているが、これに限定されるものではなく、拡散予測部24を備えていなくてもよい。
[第2の実施形態]
本発明による第2の実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置について、図面を参照して説明する。また、本実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置のうち、図1、図2に示す本発明による第1の実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置と共通する構成については、説明を省略する。本実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置は、図1に示す第1の実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置の拡散物質の拡散状況予測プログラム格納部16の発生源推定処理部22Aおよび絞り込み部23Aが異なるものである。以下、本実施形態の発生源推定処理部および絞り込み部についてのみ説明する。
図10は、本実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置の構成を示す図である。図10に示すように、拡散物質の拡散状況予測装置10Bの記憶部12に記憶されている拡散物質の拡散状況予測プログラム格納部16Bは、第1計測部21、発生源推定処理部22B、絞り込み部23B、および拡散予測部24を有している。
(発生源推定処理部)
発生源推定処理部22Bは、逆解析手段26Bを用いて発生源Pを含む推定領域Aを推定している。逆解析手段26Bは、放射性物質の逆解析を行っている。拡散物質の拡散状況予測プログラム格納部16Bに収容されている逆解析手段26Bの構成の一例を図11に示す。図11に示すように、逆解析手段26Bは、観測情報入手部41、逆問題設定部42、評価点設定部43、逆解析部44および推定部45を備えている。
ここで、拡散物質の拡散状況予測装置10Bが逆解析手段26Bで拡散物質の発生源Pを推定する方法の一例について説明する。図12は、拡散現象における逆問題および逆解析を説明する説明図である。
まず、図12(a)に示すように、放出地点Poからの拡散物質として放射性物質が放出され、観測地点Pvで濃度を観測するとする。なお、放出地点近傍でx方向に一様な風が吹いていると仮定し、風に直角な方向をy方向とする。このとき、放出位置を(x,y,t)、放出強度をqとすると、任意の観測位置(x,y,t)における濃度は次式(11)で表される。
Figure 2014106203
ここで、Di0(x−x,y−y,t−t)は、観測位置(x,y,t)と放出位置(x,y,t)との相対位置および相対時刻によって決まる影響関数である。
また、複数の観測地点(すなわち、n箇所(nは正整数)の評価位置)における濃度(D(x,y,t);i=1,2,…,n)が計測されていれば、次式(12)が成り立つ。
Figure 2014106203
一方、観測地点Pvで観測した濃度から放出地点Poを推定することを逆問題として設定し、図12(b)に示すように、観測地点Pvを仮想放出地点として逆拡散させる場合を考える。観測位置(x,y,t)から放出強度qを仮想的に放出して時間を逆進させると、放出位置(x,y,t)における濃度は、式(11)と同様に、次式(13)で表される。
Figure 2014106203
ここで、拡散現象の性質から、Di0=D0iが成立し、次式(14)を得る。
Figure 2014106203
したがって、qiを次式(15)で表すとすれば、
Figure 2014106203
すなわち、観測濃度に逆比例する強度を観測地点(仮想放出地点)からの放出量にすれば、式(14)は、次式(16)に変形できる。
Figure 2014106203
この式(16)から、「どの観測地点からの仮想的な放出に対しても、仮想放出に対する放出地点Poでの濃度は同じであり、且つ放出強度はその濃度の逆数である」ことが分かる。本実施形態は、この性質を利用したもので、各観測地点をそれぞれ仮想放出点とし、各仮想放出点の放出強度をそれぞれ観測濃度に逆比例した値として逆問題を設定する。そして、本実施形態は、各仮想放出点からの放出について、粒子法を用いた拡散の数値解析で時間を計測時刻から逆に進行させて逆解析を行う。そして、本実施形態は、逆に進行させたそれぞれの時刻において、各仮想放出点からの粒子濃度分布を評価する。本実施形態は、粒子濃度がほぼ等しい領域のうち、最も収束した位置を放出地点と推定する。また、同様に、本実施形態は、粒子濃度がほぼ等しい領域のうち、最も収束した時刻を放出時刻と推定する。
例えば、図12(c)に示すように、放出地点Poからの放出を放出地点Poによる拡散領域内に設置された2箇所の観測地点Pv1、Pv2で観測するとした場合、各観測地点Pv1およびPv2をそれぞれ仮想放出点とし、それら仮想放出点の放出強度をそれぞれの観測濃度に逆比例した値として仮想的な逆拡散を行えば、仮想放出点Pv1、Pv2によるそれぞれの逆拡散領域が重複する領域を大まかな推定範囲とすることができる。また、仮想放出点Pv1、Pv2からの粒子濃度分布について、粒子濃度がほぼ等しい領域のうち、最も収束した位置を放出地点Poと推定することができる。
次に、逆解析手段26Bの各構成要素(すなわち、観測情報入手部41、逆問題設定部42、評価点設定部43、逆解析部44および推定部45)について説明する。
観測情報入手部41は、計測装置18−1〜18−lからの情報、すなわち、計測装置18−1〜18−lの位置情報、計測装置18−1〜18−lが計測した濃度情報および計測時刻情報を、通信部15を介して入手する。入手した各情報は、関連づけて記憶部12の所定領域に保存しておくことが好ましい。
また、逆問題設定部42は、計測装置18−1〜18−lの位置をそれぞれ仮想放出点とし、各仮想放出点の放出強度をそれぞれ対応する計測装置で得た濃度情報(観測濃度)に逆比例した値として逆問題を設定する。ここで、式(15)における係数αは任意に設定する。なお、後述するように、本実施形態は、粒子法による逆解析を行うので、具体的には、各仮想放出点の放出粒子数を全て同数とし、粒子強度を観測濃度に逆比例させる。なお、粒子濃度は、粒子数に粒子強度を乗じた値と同じ値である(粒子濃度=粒子数×粒子強度)。ここで、放出粒子数を同数とするのは、各仮想放出点からの粒子数依存度を減らすためである。
評価点設定部43は、相互の離間距離が一定の仮想格子を想定して、仮想格子の領域上で各格子線が交差する位置を評価点として設定する。例えば、r×rの仮想格子上でr箇所の評価点Poej(j=1〜r)が設定されるが、この評価点数が多ければ多いほど放出地点の推定精度は向上し、そのためには仮想格子の離間距離をより小さくして交差点数を増やせば良いが、その分だけ計算量は増大することになる。したがって、要求される処理時間(観測地点から情報を入手してから放出地点を推定するまでの時間)に応じて、予め発生源推定処理部22Bを具現するプロセッサの処理性能等を勘案して評価点数を概算しておくのが望ましい。
逆解析部44は、各仮想放出点からの放出について、粒子法を用いた拡散の数値解析で時間を計測時刻から逆に進行させて逆解析を行う。ここで、逆解析の計算コードは、公知のものを使用すればよく、例えば、コロラド州立大学と米国ATMET社で開発されたHYPACT(Hybrid Particle and Concentration Transport Model)を用いてよい。なお、HYPACTは、粒子法により拡散物質の大気中濃度を評価するものを使用する。HYPACTによれば、粒子群の重力による沈降(乾式沈着)、降雨による沈降(湿式沈着)、放射性核種の減衰、熱・運動エネルギーによる排気上昇をリアルタイムに計算し、空間濃度分布を求めることができる。
なお、粒子法における基本式は次式(17)で表される。
Figure 2014106203
ここで、Δtは現時刻と次時刻間の時間刻み(正値)を、Xold,Yold,Zoldは現時刻の粒子座標を、Xnew,Ynew,Znewは次時刻の粒子座標を、u,v,wは風速成分をそれぞれ表す。
また、時間を逆に進行させて逆解析を行う場合には、式(17)は次式(18)のように変形される。
Figure 2014106203
ここで、現時刻と次時刻間の時間刻みΔtは、負値をとるものとする。したがって、既存のHYPACTの計算コードについて、時間刻みΔtに負値を与えるように修正すればよく、新たに計算コードを設計する必要はない。
逆解析部44による逆解析では、複数の計測装置18−1〜18−lのそれぞれの観測時刻が異なる場合には、最も遅い計測時刻の計測装置に対応する仮想放出点から放出を開始し、その後、最も遅い計測時刻との相対時刻の短い順に、最も遅い計測時刻の計測装置に対応する仮想放出点からの放出タイミングから相対時刻遅れたタイミングで、他の仮想放出点から順次放出させていく。
推定部45は、時間刻みΔtずつ逆に進行させたそれぞれの時刻について、各仮想放出点からの粒子濃度分布を評価し、粒子濃度が略等しい領域のうち、粒子濃度の分散が最小となる位置および時刻をそれぞれ放出地点および放出時刻と推定する。なお、粒子濃度分布の評価は、最も速い計測時刻の観測器に対応する仮想放出点からの放出タイミングより前の時刻まで逆に進行させた後に行うものとする。つまり、全ての計測装置18−1〜18−lにそれぞれ対応する仮想放出点から放出されている状態に至ってから評価を開始する。
具体的に、粒子濃度分布の評価は、以下のようにして行われる。すなわち、評価点設定部43によりr×rの仮想格子上でr個の評価点Poej(j=1〜r)が設定されているとき、各評価点Poejに対する各仮想放出点からの粒子濃度分布の分散σに基づき評価する。つまり、逆解析部44により、ある時刻における計測装置18−1〜18−lに対応する仮想放出点からの放出による粒子濃度Cijがほぼ等しく、最も収束した位置を見い出すために、粒子濃度分布の分散σが最小となる位置を求め、粒子濃度の分散が最小となる位置を放出地点と推定し、粒子濃度の分散が最小となる位置における粒子濃度の逆数値を放出地点の放出強度と推定する。また、粒子濃度の分散が最小となる時刻を放出時刻と推定する。
ここで、評価点Poejに対する粒子濃度分布の分散σおよび放出強度qは次式(19)で求められる。
Figure 2014106203
拡散物質の拡散状況予測装置10Bが逆解析手段26Bで拡散物質の発生源Pを推定する方法の具体例を、図13、図14を用いて説明する。図13は、仮想放出点からの拡散を例示する説明図であり、図14は、仮想放出点からの放出タイミングおよび評価タイミングを例示するタイムチャートである。図13に示すように、計測装置18−1〜18−3で濃度が計測されたとき、計測装置18−1〜18−3の計測時刻を、それぞれTv1〜Tv3とし、計測装置18−1〜18−3の位置を、それぞれ仮想放出点Pv1〜Pv3とする。この場合、仮想放出点Pv1〜Pv3から逆拡散させるとした場合、仮想放出点Pv1〜Pv3からの放出タイミングは、図14に示すように、計測時刻Tv3に最も遅い計測時刻の計測装置18−3に対応する仮想放出点Pv3から放出を開始する。その後、計測時刻Tv1に計測装置18−1に対応する仮想放出点Pv1から、計測時刻Tv2に計測装置18−2に対応する仮想放出点Pv2からそれぞれ放出させていく。
また、図14中の鉛直方向に引かれた破線は、それぞれ逆解析部44による数値解析のタイミングを刻むが、逆解析部44によって求められる仮想放出点Pv1〜Pv3からの放出による粒子濃度Cij等のデータを推定部45に渡すのは、最も速い計測時刻の計測装置18−2に対応する仮想放出点Pv2からの放出タイミングより前まで逆に進行させた時点、すなわち時刻Te1の時点からである。
[絞り込み部]
絞り込み部23Bは、放射性物質観測装置19−1〜19−nからの情報に基づいて、逆解析手段26Bを用いて発生源Pを絞りこんでいる。放射性物質観測装置19−1〜19−nからの情報に基づいて逆解析手段26Bを用いて発生源Pを絞り込む方法の一例について説明する。本実施形態では、絞り込み部23Bは、格子線の相互の離間距離が段階的に異なるs面(sは正の整数)の仮想格子(一面の仮想格子における格子線の相互の離間距離は一定)上で、それぞれ評価点PoeNj(N=1〜s、j=1〜p;pはp<rで正整数)を設定する。なお、仮想格子の面の適用は、格子線の相互の離間距離が相対的に長い仮想格子から相対的に短い仮想格子へ段階的に使用していくものとし、s段目の仮想格子の面が(離間距離が最短の)最小グリッドであるものとする。
ここで、仮想格子の面を段階的に小さくして仮想格子に基づく評価点を用いた放出候補地点を推定し、発生源Pを絞り込む方法を具体的に説明する。図15は、仮想格子に基づく評価点を用いた放出候補地点の推定を例示する説明図であり、図16は、仮想格子のネスティングを説明する説明図である。なお、図15では、放射性物質観測装置19−1〜19−3で濃度が計測され、各放射性物質観測装置の位置をそれぞれ仮想放出点Pv1〜Pv3として各仮想放出点から逆拡散させて放出候補地点を推定している。なお、図15では、本来の放出地点Poに対して放出候補地点Poeが推定されている。同図から推察できるように、1面の仮想格子上で評価点Poejを設定する場合に、放出地点の推定精度を向上させるためには、格子線の離間距離を短くして評価点数を多く設定する必要がある。しかし、その分だけ計算量は増大することになる。そこで、本実施形態では、仮想格子のネスティング手法を用いて計算量をより低減することとした。
仮想格子のネスティングは、図16に示すように、格子線の相互の離間距離が相対的に長い仮想格子から相対的に短い仮想格子へと、段階的に行われる。図16では、離間距離が1000mの仮想格子G1と、離間距離が500mの仮想格子G2を例示している。より具体的に、格子線の離間距離は、例えば、1000m、500m・・・1.0mなどに段階的に変えて、放出候補地点Poeが本来の放出地点Poにより近づくよう絞り込んでいく。
このように、絞り込み部23Bは、放射性物質観測装置19−1〜19−nからの情報に基づいて逆解析手段26Bを用いて、第1の実施形態の絞り込み部23Aと同様、格子線の相互の離間距離が相対的に長い仮想格子から相対的に短い仮想格子へと、段階的に、(離間距離が最短で)最小グリッドとなるs段目の仮想格子の面まで適用していく。そして、s段目の仮想格子の面の適用において、制御部11は、推定部45で、粒子濃度の分散が最小となる評価点Poejの位置が放出候補地点と推定され、また、粒子濃度の分散が最小となる評価点Poejの位置における粒子濃度の逆数値が放出候補地点の放出強度と推定されたとき、放出候補地点が放出地点として推定されることとなる。この結果、制御部11は、第1の実施形態の絞り込み部23Aと同様、更に高い精度で発生源Pを絞り込むことができる。また、制御部11は、推定部45で、粒子濃度の分散が最小となる評価点Poejの時刻が放出時刻と推定される。
<拡散物質の拡散状況予測方法>
次に、拡散物質の拡散状況予測装置10Bにより行われる拡散物質の拡散状況予測方法について説明する。図17は、拡散物質の拡散状況予測方法の手順の一例を示すフローチャートである。なお、拡散物質の拡散状況予測方法は、制御部11内のCPUが記憶部12の拡散物質の拡散状況予測プログラム格納部16Bに記憶されている拡散物質の拡散状況予測プログラムを制御部11内のRAMなどに読み出し、実行することにより、実現される。
図17に示すように、ステップS41で、図7に示すステップS11と同様、計測装置18−1〜18−lを用いて、発生源Pを含む推定領域Aで大まかに計測された放射性物質に関する情報、計測装置18−1〜18−lの位置情報、計測装置18−1〜18−lの計測した計測時刻情報などが通信部15に送信される。制御部11は、放射性物質に関する情報、計測装置18−1〜18−lの位置情報などを通信部15を介して入手した後、処理をステップS42に移行させる。
次に、ステップS42で、制御部11は、発生源推定処理部22Bに基づいて、逆解析手段26Bを用いて発生源Pを推定する。図18は、逆解析手段26Bを用いて発生源Pを推定する方法を説明するフローチャートである。図18に示すように、ステップS51で、観測情報入手部41において、計測装置18−1〜18−lから送られてくる放射性物質に関する情報、計測装置18−1〜18−lの位置情報などを通信部15を介して入手する。その後、制御部11は、逆問題設定部42に基づいて、計測装置18−1〜18−lの位置をそれぞれ仮想放出点Pvi(i=1〜l)とし、各仮想放出点の放出強度(粒子強度)をそれぞれ対応する計測装置18−1〜18−lで得た濃度情報に逆比例した値として逆問題を設定する。制御部11は、逆問題を設置した後、処理をステップS52に移行させる。
次に、ステップS52で、制御部11は、評価点設定部43により、相互の離間距離が一定の仮想格子を想定して、仮想格子の領域上で各格子線が交差する位置を評価点Poej(j=1〜r)として設定する。制御部11は、評価点Poejを設定した後、処理をステップS53に移行させる。
次に、ステップS53で、制御部11は、逆解析部44に基づいて、各仮想放出点からの放出について、粒子法を用いた拡散の数値解析で時間を計測時刻から逆に進行させて逆解析を行う。なお、計測装置18−iのそれぞれの観測時刻が異なる場合には、最も遅い計測時刻の計測装置に対応する仮想放出点から放出を開始し、その後、最も遅い計測時刻との相対時刻の短い順に、最も遅い計測時刻の計測装置に対応する仮想放出点からの放出タイミングから相対時刻遅れたタイミングで、他の仮想放出点から順次放出させていく。制御部11は、逆解析を行った後、処理をステップS54に移行させる。
次に、ステップS54で、制御部11は、推定部45に基づいて、時間刻みΔtずつ逆に進行させたそれぞれの時刻について、各仮想放出点Pvi(i=1〜n)からの粒子濃度分布を評価する。制御部11は、各仮想放出点Pviからの粒子濃度分布を評価した後、処理をステップS55に移行させる。
次に、ステップS55で、制御部11は、推定部45に基づいて、粒子濃度がほぼ等しい領域内で、粒子濃度の分散が最小となる評価点Poejの位置を放出地点と推定する。また、粒子濃度がほぼ等しい領域内で、粒子濃度の分散が最小となる評価点Poejの時刻を放出時刻と推定する。すなわち、制御部11は、各評価点Poejに対する各仮想放出点からの粒子濃度分布の分散σが最小となる評価点Poejの位置を求め、粒子濃度の分散が最小となる評価点Poejの位置を放出候補地点と推定する。また、制御部11は、その時刻を放出時刻と推定する。また、制御部11は、粒子濃度の分散が最小となる評価点Poejの位置における粒子濃度の逆数値を放出候補地点の放出強度と推定する。
制御部11は、上記のようにして逆解析手段26Bを用いることで、より確実に発生源Pを推定することができる。
制御部11は、推定部45に基づいて、発生源Pを推定した後、処理を図17に示すステップS43に移行させる。
ステップS43で、制御部11は、絞り込み部23Bに基づいて、放射性物質観測装置19−1〜19−nを用いて、放射性物質観測装置19−1〜19−nの設置範囲を狭めて発生源Pを絞り込む。
また、本実施形態では、制御部11は、発生源推定処理部22Bで用いられる図18に示した逆解析手段26Bを用いて発生源Pを推定する方法に基づいて、図15、図16に示すように、格子線の相互の離間距離が相対的に長い仮想格子から相対的に短い仮想格子に、段階的に小さくしていく。そして、制御部11は、(離間距離が最短で)最小グリッドとなるs段目の仮想格子の面まで絞り込みながら発生源Pを絞り込み、推定するようにしている。そして、制御部11は、s段目の仮想格子の面で、推定部45に基づいて、全仮想放出地点PoNjのうち、粒子濃度の分散σが最小となる評価点Poejを求める。そして、制御部11は、評価点Poejを放出候補地点と推定したとき、放出候補地点を放出地点として推定する。
図19は、逆解析手段26Bを用いて発生源Pを絞り込む方法を説明するフローチャートである。図19に示すステップS61〜ステップS65は、図18に示すステップS51〜ステップS55と同様であるため、説明は省略する。制御部11は、ステップS65で、推定部45に基づいて、放出強度qの仮想放出地点PoNjを放出候補地点の位置とし、放出強度qを放出候補地点からの放出量として推定する。各評価点Poejに対する各仮想放出点からの粒子濃度の分散σが最小となる評価点Poejの位置を放出候補地点と推定する。その後、制御部11は、処理をステップS66に移行させる。
ステップS66で、制御部11は、現在適用している仮想格子の面が最小グリッド(s段目)であるか否かを判定する。制御部11は、判定の結果、現在適用している仮想格子の面が最小グリッドであると判定した場合には、放出候補地点として推定した評価点Poejの位置を放出地点として推定し、処理を終了する。
また、制御部11は、判定の結果、最小グリッドでないと判定した場合には、処理をステップS67に移行する。ステップS67で、制御部11は、Nをインクリメント処理する。制御部11は、Nがインクリメントされた後、N+1段目の仮想格子を用いて評価点を設定する場合に、N+1段目の仮想格子は、前段(N段目)の仮想格子上で放出候補地点とされた点を、その仮想格子面内に含むように設定される。その後、制御部11は、処理をステップS61に戻す。
制御部11は、発生源Pを絞り込んだ後、処理を図17に示すステップS44に移行させる。
ステップS44で、制御部11は、図7に示すステップS14と同様、拡散予測部24に基づいて、拡散モデルを用いて演算を行ない、放射性物質の拡散場データを算出し、発生源Pから放射された放射性物質の拡散状況(拡散領域、拡散濃度)を予測する。
制御部11は、拡散予測部24に基づいて算出された放射性物質の拡散場データを出力部14に出力させる。制御部11は、放射性物質の種類、量、拡散範囲などを出力部14のモニターなどの表示画面に表示し、算出した拡散状況を拡散結果として表示することが好ましい。これにより、作業員に放射性物質の種類、量、拡散範囲などを把握しやすいように提示することが可能となる。
このように、拡散物質の拡散状況予測装置10Bにおいても、拡散物質の拡散状況予測装置10Aと同様、放射性物質の発生源Pを含む範囲を予め推定した後、絞り込み部23Bで放射性物質観測装置19−1〜19−nを用いて発生源Pの位置を絞り込んでいる。このため、拡散物質の拡散状況予測装置10Bは、拡散物質の拡散状況予測装置10Aと同様、より高い精度で放射性物質の発生源Pを精度高く特定することができると共に、放射性物質の拡散状況を予測することができる。また、拡散物質の拡散状況予測装置10Bは、放放射性物質観測装置19−1〜19−nで撮影した観察画像の視野内において、放射性物質が付着している方向など空間的な情報も得られる。この結果、警察、自衛隊員や関係機関担当者などが発生源Pに接近し、放射性物質の除去を的確に行うことができるため、放射性物質の除去をより効率良く迅速に行うことができ、事故発生現場での対応の機動力を向上させることができる。また、放射性物質の種類を特定することで、警察、自衛隊員や関係機関担当者が予め防御するために要する情報を的確に得ることができ、隊員の安全性を高めることができる。
[第3の実施形態]
本発明による第3の実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置について、図面を参照して説明する。また、本実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置の構成のうち、本発明による第1、第2の実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置と共通する構成は、同様の構成であるため、共通する構成についての説明を省略する。
<拡散物質の拡散状況予測装置>
図20は、本実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置の構成を示す図である。図20に示すように、本実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置10Cの拡散物質の拡散状況予測プログラム格納部16Cは、拡散予測部41および第2計測部42を有する。
[拡散予測部]
拡散予測部41は、拡散モデルを用いて前記拡散物質の拡散状況を予測している。拡散予測部41は、本発明による第1の実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置10Aの拡散予測部24と同様であるため、説明は省略する。
[第2計測部]
第2計測部42は、放射性物質観測装置19−1〜19−nを用いて、発生源Pを含む領域の放射性物質の拡散状況を計測している。
<拡散物質の拡散状況予測方法>
次に、拡散物質の拡散状況予測装置10Cにより行われる拡散物質の拡散状況予測方法について説明する。図21は、拡散物質の拡散状況予測方法の手順の一例を示すフローチャートである。なお、拡散物質の拡散状況予測方法は、制御部11内のCPUが記憶部12の拡散物質の拡散状況予測プログラム格納部16Cに記憶されている拡散物質の拡散状況予測プログラムを制御部11内のRAMなどに読み出し、実行することにより、実現される。
図21に示すように、ステップS71で、ある地点で、例えば、テロ、核による攻撃などにより、火災、事故などが発生して拡散物質として放射性物質が発生源Pから放出された場合、警察、自衛隊員や関係機関担当者、作業員などにより入力部13に放射性物質が放出された対象日時、発生源Pの位置および対象日時での放射性物質の放出量などが入力される。そして、入力部13に入力された情報は、入力部13から制御部11に送られる。そして、制御部11は、従来から公知の拡散モデルを用いて発生源Pを含む領域における放射性物質の拡散状況を予測している。制御部11は、対象日時の発生源Pを含む領域における放射性物質の拡散状況を被害分布として予測した後、処理をステップS72に移行させる。
ステップS72で、制御部11は、第2計測部42に基づいて、放射性物質観測装置19−1〜19−nを用いて、拡散モデルで得られた発生源Pを含む放射性物質の被害領域を計測し、より詳細な放射性物質の拡散状況を計測する。そして、制御部11は、通信部15を介して送られてきた放射性物質観測装置19−1〜19−nで計測された放射性物質の拡散状況を出力部14に出力し、放射性物質の種類、量、拡散範囲などを出力部14のモニターなどの表示画面に表示し、算出した拡散状況を拡散結果として表示する。これにより、作業員に放射性物質の種類、量、拡散範囲などを把握しやすいように提示することが可能となる。
本実施形態に係る拡散物質の拡散状況予測装置10Cは、発生源Pから放出された放射性物質の拡散領域内を放射性物質観測装置19−1〜19−nを用いて放射性物質の種類、量、拡散範囲などを出力部14のモニターなどの表示画面に表示しているため、放射性物質が拡散している領域内で、放射性物質の種類、濃度、拡散状況など放射性物質による具体的な被害状況を画像として把握することができる。この結果、警察、自衛隊員や関係機関担当者などが発生源Pに接近し、放射性物質の除去を的確に行うことができるため、放射性物質の除去をより効率良く迅速に行うことができ、事故発生現場での対応の機動力を向上させることができる。また、放射性物質の種類を特定することで、警察、自衛隊員や関係機関担当者が予め防御するために要する情報を的確に得ることができ、隊員の安全性を高めることができる。
なお、上記各実施形態は、拡散物質が原子力発電所から放出される放射性物質である場合について説明したが、上記各実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、火力発電所、ゴミ焼却施設、化学プラント等のプラント施設などから放出される有害物質、工場の煙突から大気中に排出されるガス体(煙)などでもよい。
また、上記各実施形態においては、放射性物質観測装置19−1〜19−nは、放射性物質を対象として計測し、放射性物質を画像処理して視覚化しているが、これに限定されるものではない。放射性物質観測装置19−1〜19−nは、放射性物質以外に、例えば、有害化学物質、化学剤、生物剤なども拡散物質として可視化することができる場合には、拡散物質観測装置として用いることができる。なお、有害化学物質とは、人、動物または植物などに有害な作用を及ぼす化学物質であり、有害化学物質として、例えば、ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、アセトアルデヒドなどが挙げられる。また、化学剤は、人、動物または植物などに毒性を示す化学物質であり、化学剤として、例えば、サリン、神経剤、びらん剤、窒息剤、シアン化物、血液剤、無能力化剤、催涙剤、嘔吐剤などが挙げられる。生物剤は、人、動物または植物などに害を与える生物であり、生物剤として、例えば、炭疽菌、天然痘ウィルス、コレラ菌、ボツリヌス毒素などが挙げられる。
10A〜10C 拡散物質の拡散状況予測装置
11 制御部
12 記憶部
13 入力部
14 出力部
15 通信部
16A〜16C 拡散物質の拡散状況予測プログラム格納部
18−1〜18−l 計測装置
19−1〜19−n 放射性物質観測装置
21 第1計測部
22A、22B 発生源推定処理部
23A、23B 絞り込み部
24 拡散予測部
26A、26B 逆解析手段
31、41 観測情報入手部
32 仮想格子設定部
33 仮想放出時刻設定部
34 影響関数算出部
35 残差ノルム算出部
36、45 推定部
42 逆問題設定部
43 評価点設定部
44 逆解析部

Claims (29)

  1. 拡散物質を大気中に放出する発生源から放出される前記拡散物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散状況予測装置であって、
    複数の計測装置を用いて前記拡散物質を計測する第1計測部と、
    前記拡散物質の逆推定を行う逆推定手段を用いて前記発生源を含む推定領域を推定する発生源推定処理部と、
    複数の放射性物質観測装置を用いて前記発生源を絞り込む絞り込み部と、
    前記拡散物質の拡散状況を演算する拡散モデルを用いて前記拡散物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散予測部と、
    を有することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測装置。
  2. 請求項1において、
    前記逆推定手段は、
    相互の離間距離が一定の仮想格子上で各格子線が交差する位置を仮想放出地点として設定する仮想格子設定部と、
    前記拡散モデルを用いて、前記計測装置と前記仮想放出地点との相対位置、および相対時刻に応じて定まる影響関数を算出する影響関数算出部と、
    前記仮想放出地点ごとに、各計測装置の濃度情報と、各計測装置の仮想放出地点に対する影響関数と仮想放出地点の放出強度との積と、の差の平方和である残差ノルムを算出する残差ノルム算出部と、
    算出された全仮想放出地点の残差ノルムの内、残差ノルムが最小となる仮想放出地点を放出地点と推定する第1推定部と、
    を有することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測装置。
  3. 請求項2において、
    前記影響関数算出部は、数値拡散計算により前記影響関数を算出することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測装置。
  4. 請求項2または3において、
    前記絞り込み部で、前記仮想格子設定部は、前記第1推定部で推定された放出地点を含み、且つ相互の離間距離がより短い仮想格子上で各格子線が交差する位置を仮想放出地点として再設定することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測装置。
  5. 請求項2ないし4の何れか1つにおいて、
    前記逆推定手段は、仮想放出時刻を設定する仮想放出時刻設定部を有し、
    前記残差ノルム算出部は、仮想放出時刻別にそれぞれの仮想放出地点ごとの残差ノルムを算出し、
    前記第1推定部は、仮想放出時刻ごとに算出された全仮想放出地点の残差ノルムの内、残差ノルムが最小となる仮想放出地点を放出地点と推定することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測装置。
  6. 請求項1ないし5の何れか1つにおいて、
    前記逆推定手段は、
    前記計測装置から位置情報、計測した濃度情報を入手する観測情報入手部と、
    それぞれの前記計測装置の位置をそれぞれ仮想放出点とし、それぞれの仮想放出点の放出強度を対応する計測装置でそれぞれ得た濃度情報に逆比例した値とする逆問題設定部と、
    それぞれの仮想放出点からの放出について、粒子法を用いた拡散の数値解析で時間を計測時刻から逆に進行させて逆解析を行う逆解析部と、
    逆に進行させたそれぞれの時刻において、各仮想放出点からの粒子濃度分布を評価し、粒子濃度が略等しい領域の内、粒子濃度の分散が最小となる位置をそれぞれ放出地点と推定する第2推定部と、
    を有することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測装置。
  7. 請求項6において、
    前記第2推定部は、粒子濃度の分散が最小となる位置における粒子濃度の逆数値を前記放出地点の放出強度と推定することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測装置。
  8. 請求項6または7において、
    前記逆解析部は、最も遅い計測時刻との相対時刻で各仮想放出点から順次放出させていくことを特徴とする拡散物質の拡散状況予測装置。
  9. 請求項6ないし8の何れか1つにおいて、
    前記逆推定手段は、相互の離間距離が一定の評価格子上で各格子線が交差する位置を評価点として設定する評価点設定部を有し、
    前記第2推定部は、逆に進行させたそれぞれの時刻において、設定された評価点について各仮想放出点からの粒子濃度分布を評価し、粒子濃度の分散が最小となる位置をそれぞれ放出地点と推定することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測装置。
  10. 請求項6ないし9の何れか1つにおいて、
    前記評価点設定部は、前記第2推定部で推定された放出地点を含み、且つ相互の離間距離がより短い評価格子上で各格子線が交差する位置を評価点として再設定することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測装置。
  11. 拡散物質を大気中に放出する発生源から放出される前記拡散物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散状況予測装置であって、
    前記拡散物質の拡散状況を演算する拡散モデルを用いて前記拡散物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散予測部と、
    複数の放射性物質観測装置を用いて前記発生源を含む領域の前記拡散物質の拡散状況を計測する第2計測部と、
    を有することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測装置。
  12. 請求項1ないし11の何れか1つにおいて、
    前記放射性物質観測装置は、放射線のコンプトン散乱を計測し、前記放射性物質観測装置で観察した画像を画像処理して前記拡散物質の拡散状況を視覚化する放射線測定装置であることを特徴とする拡散物質の拡散状況予測装置。
  13. 拡散物質を大気中に放出する発生源から放出される前記拡散物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散状況予測方法であって、
    複数の計測装置を用いて前記拡散物質を計測する第1計測工程と、
    前記拡散物質の逆推定を行う逆推定手段を用いて前記発生源を含む推定領域を推定する発生源推定工程と、
    複数の放射性物質観測装置を用いて前記発生源を絞り込む絞り込み工程と、
    前記拡散物質の拡散状況を演算する拡散モデルを用いて前記拡散物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散予測工程と、
    を含むことを特徴とする拡散物質の拡散状況予測方法。
  14. 請求項13において、
    前記逆推定手段は、
    相互の離間距離が一定の仮想格子上で各格子線が交差する位置を仮想放出地点として設定する仮想格子設定部と、
    前記拡散モデルを用いて、前記計測装置と前記仮想放出地点との相対位置、および相対時刻に応じて定まる影響関数を算出する影響関数算出部と、
    前記仮想放出地点ごとに、各計測装置の濃度情報と、各計測装置の仮想放出地点に対する影響関数と仮想放出地点の放出強度との積と、の差の平方和である残差ノルムを算出する残差ノルム算出部と、
    算出された全仮想放出地点の残差ノルムの内、残差ノルムが最小となる仮想放出地点を放出地点と推定する第1推定部と、
    を有することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測方法。
  15. 請求項14において、
    前記影響関数算出部は、数値拡散計算により前記影響関数を算出することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測方法。
  16. 請求項14または15において、
    前記絞り込み工程で、前記仮想格子設定部は、前記第1推定部で推定された放出地点を含み、且つ相互の離間距離がより短い仮想格子上で各格子線が交差する位置を仮想放出地点として再設定することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測方法。
  17. 請求項14ないし16の何れか1つにおいて、
    前記逆推定手段は、仮想放出時刻を設定する仮想放出時刻設定部を有し、
    前記残差ノルム算出部は、仮想放出時刻別にそれぞれの仮想放出地点ごとの残差ノルムを算出し、
    前記第1推定部は、仮想放出時刻ごとに算出された全仮想放出地点の残差ノルムの内、残差ノルムが最小となる仮想放出地点を放出地点と推定することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測方法。
  18. 請求項14ないし17の何れか1つにおいて、
    前記逆推定手段は、
    前記計測装置から位置情報、計測した濃度情報を入手する観測情報入手部と、
    それぞれの前記計測装置の位置をそれぞれ仮想放出点とし、それぞれの仮想放出点の放出強度を対応する計測装置でそれぞれ得た濃度情報に逆比例した値とする逆問題設定部と、
    それぞれの仮想放出点からの放出について、粒子法を用いた拡散の数値解析で時間を計測時刻から逆に進行させて逆解析を行う逆解析部と、
    逆に進行させたそれぞれの時刻において、各仮想放出点からの粒子濃度分布を評価し、粒子濃度が略等しい領域の内、粒子濃度の分散が最小となる位置をそれぞれ放出地点と推定する第2推定部と、
    を有することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測方法。
  19. 請求項18において、
    前記第2推定部は、粒子濃度の分散が最小となる位置における粒子濃度の逆数値を前記放出地点の放出強度と推定することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測方法。
  20. 請求項18または19において、
    前記逆解析部は、最も遅い計測時刻との相対時刻で各仮想放出点から順次放出させていくことを特徴とする拡散物質の拡散状況予測方法。
  21. 請求項18ないし20の何れか1つにおいて、
    前記逆推定手段は、相互の離間距離が一定の評価格子上で各格子線が交差する位置を評価点として設定する評価点設定部を有し、
    前記第2推定部は、逆に進行させたそれぞれの時刻において、設定された評価点について各仮想放出点からの粒子濃度分布を評価し、粒子濃度の分散が最小となる位置をそれぞれ放出地点と推定することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測方法。
  22. 請求項13ないし21の何れか1つにおいて、
    前記評価点設定部は、前記第2推定部で推定された放出地点を含み、且つ相互の離間距離がより短い評価格子上で各格子線が交差する位置を評価点として再設定することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測方法。
  23. 拡散物質を大気中に放出する発生源から放出される前記拡散物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散状況予測方法であって、
    前記拡散物質の拡散状況を演算する拡散モデルを用いて前記拡散物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散予測部と、
    複数の放射性物質観測装置を用いて前記発生源を含む領域の前記拡散物質の拡散状況を計測する第2計測部と、
    を有することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測方法。
  24. 請求項13ないし23の何れか1つにおいて、
    前記放射性物質観測装置は、放射線のコンプトン散乱を計測し、前記放射性物質観測装置で観察した画像を画像処理して前記拡散物質の拡散状況を視覚化する放射線測定装置であることを特徴とする拡散物質の拡散状況予測方法。
  25. 拡散物質を大気中に放出する発生源から放出される前記拡散物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散状況予測プログラムであって、
    複数の計測装置を用いて前記拡散物質を計測する第1計測工程と、
    前記拡散物質の逆推定を行う逆推定手段を用いて前記発生源を含む推定領域を推定する発生源推定工程と、
    複数の放射性物質観測装置を用いて前記発生源を絞り込む絞り込み工程と、
    前記拡散物質の拡散状況を演算する拡散モデルを用いて前記拡散物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散予測工程と、
    を含む工程を実行させることを特徴とする拡散物質の拡散状況予測プログラム。
  26. 請求項25において、
    前記逆推定手段は、
    相互の離間距離が一定の仮想格子上で各格子線が交差する位置を仮想放出地点として設定する仮想格子設定部と、
    前記拡散モデルを用いて、前記計測装置と前記仮想放出地点との相対位置、および相対時刻に応じて定まる影響関数を算出する影響関数算出部と、
    前記仮想放出地点ごとに、各計測装置の濃度情報と、各計測装置の仮想放出地点に対する影響関数と仮想放出地点の放出強度との積と、の差の平方和である残差ノルムを算出する残差ノルム算出部と、
    算出された全仮想放出地点の残差ノルムの内、残差ノルムが最小となる仮想放出地点を放出地点と推定する第1推定部と、
    を有することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測プログラム。
  27. 請求項25または26において、
    前記逆推定手段は、
    前記計測装置から位置情報、計測した濃度情報を入手する観測情報入手部と、
    それぞれの前記計測装置の位置をそれぞれ仮想放出点とし、それぞれの仮想放出点の放出強度を対応する計測装置でそれぞれ得た濃度情報に逆比例した値とする逆問題設定部と、
    それぞれの仮想放出点からの放出について、粒子法を用いた拡散の数値解析で時間を計測時刻から逆に進行させて逆解析を行う逆解析部と、
    逆に進行させたそれぞれの時刻において、各仮想放出点からの粒子濃度分布を評価し、粒子濃度が略等しい領域の内、粒子濃度の分散が最小となる位置をそれぞれ放出地点と推定する第2推定部と、
    を有することを特徴とする拡散物質の拡散状況予測プログラム。
  28. 拡散物質を大気中に放出する発生源から放出される前記拡散物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散状況予測プログラムであって、
    前記拡散物質の拡散状況を演算する拡散モデルを用いて前記拡散物質の拡散状況を予測する拡散物質の拡散予測部と、
    複数の放射性物質観測装置を用いて前記発生源を含む領域の前記拡散物質の拡散状況を計測する第2計測部と、
    を実行させることを特徴とする拡散物質の拡散状況予測プログラム。
  29. 請求項25ないし28の何れか1つにおいて、
    前記放射性物質観測装置は、放射線のコンプトン散乱を計測し、前記放射性物質観測装置で観察した画像を画像処理して前記拡散物質の拡散状況を視覚化する放射線測定装置であることを特徴とする拡散物質の拡散状況予測プログラム。
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