<実施の形態1>
<構成>
図1に、本実施の形態における表示装置用タッチスクリーン付き基板1の使用者側から見た平面図を示す。また、図2に、本実施の形態における表示装置用タッチスクリーン付き基板1を含む表示装置の模式的な断面図を示す。図示はしていないが図の上方に使用者がいるものとする。
図1において、水平方向、即ち使用者の左右方向をx方向と定義する。また、基板面に沿った任意の方向をr方向と定義する。x方向とr方向のなす角度をΦとする。使用者は、r方向に沿って視線を移動させるとする。このとき、使用者の視線方向と、基板面鉛直方向とがなす角度をΘと定義する。以下では、Θを視線方向角度とよぶ。
タッチスクリーン付き表示装置は、例えば、表示装置用タッチスクリーン付き基板1と、表示装置用タッチスクリーン付き基板1の裏側面に配置される画像光生成層8を備える。画像光生成層8は、表示媒体7と、表示媒体7の裏側面に配置される裏面基板6を備える。表示媒体7とは、表示素子からの出射光を能動的に制御する媒体であり、例えばLCDなら液晶、PDPならプラズマを発生するための封入ガス、ELディスプレイなら発光層である。
表示装置用タッチスクリーン付き基板1において、透明基板2の表側面にタッチスクリーンの検出用配線3が直接形成されている。また、透明基板2の裏側面には、サブ画素の開口部5が形成されている。開口部5は透明基板2の裏側面に形成された遮光部4により区画されている。なお、図示はしていないが、裏面基板6及び/または透明基板2の裏側面には表示素子駆動回路が形成されている。
透明基板2はガラスや樹脂などの透明な材料からなり、表側面と裏側面が平行な、平板状が望ましい。また、透明基板2は膜状でも良い。裏面基板6も透明な材料からなり、表側面と裏側面が平行な平板状が望ましいが膜状でも良い。
以下で、本実施の形態における表示装置用タッチスクリーン付き基板1について詳細に説明する。図1に示したように、検出用配線3は、平面視で遮光部4と重なり、かつ遮光部4の幅よりも検出用配線3の幅が狭いとする。
表示装置が画像を表示する表示領域は、図1における最外周の開口部5において、表示装置用タッチスクリーン付き基板1の縁に沿った辺をつなげた領域である。
表示領域内において、開口部5の形状は一定とする。また、開口部5は周期的に配置されるとする。つまり、表示領域9内において開口部5は並進対称性を持つとする。一般的には、画素を構成するサブ画素間で開口部の形状に差異がある場合も考えられるが、本発明の課題であるムラの抑制に関しては不利になる。
本実施の形態において、ピッチとは以下のように定義する。本発明では,同じ形状の開口部5が周期的に配列しているので、基板面に沿った任意の方向rに沿った断面図を考えると、開口部5の断面が等間隔で周期的に配列する。このr方向に沿った断面図で、開口部5の表側面の中点の間隔を、r方向における開口部5のピッチとする。r方向は複数取ることができるので、方向ごとに異なる値となる。開口部5のピッチが一定であるとは、表示領域のr方向に沿った断面図のどの部分でも開口部5の断面が等同じ間隔で周期的に配列していることを示す。
遮光部4や検出用配線3のピッチについても、同様に定義する。つまり,r方向に沿った開口部5の断面を、それぞれ遮光部4の断面もしくは検出用配線3の断面に読み替える。遮光部4は、表示領域9内の開口部5以外の部分であるので、開口部5と同じピッチとなる。検出用配線3は遮光部4と重なるように配置するので、検出用配線3も開口部5と同じ並進対称性を持ち、ピッチは等しい。
また、上記のピッチと似ているが異なる、間隔という用語を定義する。開口部5の間隔とは、表示領域内の全ての開口部5に以下の方法で点を1つずつ取った場合、その点が複数乗る直線上において隣接する2点間の距離である。点を取る方法としては、図2に示した平面図上で、表示領域を横切るように任意のr方向の直線を引き、その直線が開口部5と重なる部分の線分の中点に点をとる。なお、中点以外でも、重なる部分の線分を一定の割合で分割する点であっても良い。開口部5の配置に周期性がある場合は、開口部5のピッチと、開口部5の間隔は一致する。また、開口部5に周期性がない場合でも、開口部5の間隔は上述の方法で定義することができる。なお、遮光部4,検出用配線3の間隔についても、同様に定義する。本発明では、ある方向rに沿って測った間隔のうち、最小のものが重要なので、特に断らなければ、間隔は最小値を指すものとする。
遮光部4はブラックマトリクスとも呼ばれ、光を遮光あるいは一部を吸収する部材からなる。遮光部4は、例えば、金属膜や黒色樹脂膜を透明基板2の裏側面側に成膜し、写真製版技術でパターンニングして開口部5を形成する、などの工程を経て形成される。透明基板2の表側面から入射した光が遮光部4で反射する場合には、反射率を下げるような処理を施すこともできる。
検出用配線3は、表示領域9を横切る方向、例えば図2の左右方向に延設される検出用行配線32と、それに交差する方向、例えば図2の上下方向に延設される検出用列配線31とから構成される。検出用配線3は、平面視で遮光部4と重なり、かつ平面視で遮光部4からはみ出さないように配設される。また、検出用列配線31と検出用行配線32は、交差部分16において電気的に絶縁されている。
なお、検出用配線3は、検出用列配線31と検出用行配線32が平面視で交差する部分16を持つように配置されていれば、上下方向や左右方向以外の方向に延設されていても構わない。
また、図1では検出用配線3は直線状であるが、直線以外の形状であっても、検出用列配線31と検出用行配線32のおおよその延設方向が異なって、かつこれらが交差部分16を持てば良い。例えば、横電界駆動(In−Plane Switching:IPS)方式のLCDで採用されることの多い、遮光部がジグザグ形状(開口部が「く」の字形状)の場合は、検出用配線3も遮光部の形状に合わせてジグザグ形状とする。また、複数本の検出用列配線31(あるいは検出用行配線32)を電気的に接続して束配線として使用する場合も、検出用列配線31と検出用行配線32の束配線のおおよその延設方向が異なって、かつこれらが交差部分16を持てば良い。
本実施の形態において,検出用配線3は金属あるいは合金製の薄膜であるとする。金属あるいは合金製とすることで、検出用配線3の抵抗を低くできるため、表示領域の大きい表示装置に適用しやすいメリットがある。また、検出用配線3の厚さは5μm以下が望ましく、2μm以下がより望ましく、1μm以下が最も望ましい。金属あるいは合金製の検出用配線3は,光を遮光するため、本発明で問題としている検出用配線3によるムラの問題が顕著になりやすい。
透明基板2の表側面に直接形成する検出用配線3は、検出用列配線31と検出用行配線32のうち、表示素子駆動回路からの電磁ノイズの影響を受けやすい方とすればよい。両方を透明基板2の表側面に直接形成しても構わない。
また、上述の説明において、検出用配線3が透明基板2に直接形成されていると述べたが、ここで言う直接形成とは、検出用配線3の支持体が、最終的に表示素子の使用者側の透明基板である透明基板2となるような工程により、透明基板2に検出用配線3が形成されることを意味する。具体的には、例えば、化学気相蒸着(Chemical Vapor Deposition:CVD)などにより検出用配線3の材料を薄膜として透明基板2に形成した後、写真製版技術によりパターンニングする、などの工程により形成する。他にも、検出用配線3の材料を印刷技術により透明基板2に配線パターン状に形成した後、レーザーCVD技術により透明基板2上に検出用配線3を薄膜状に選択的に形成する、などの工程でも構わない。また、別の支持体に形成した検出用配線3を透明基板2の表面に転写するなどの、いわゆる転写配線技術による検出用配線3の形成方法も直接形成に含める。また、例えば、透明基板2にガスバリア膜や、透明基板2の裏側面から入射した光が検出用配線3で反射する場合の反射率を低下させるための反射防止膜などをCVDで成膜した上に検出用配線3をCVD成膜後写真製版でパターンニングする、というような場合も、検出用配線3が透明基板2に直接形成されたとする。
外部から入射した光が検出用配線3表面で反射する場合、検出用配線3の表面には、反射率を下げるような処理を施してもよい。
図3に、図1のIII−IVで示した点線に沿った断面の模式図を示す。図3(a)は、検出用列配線31と検出用行配線32の両方を透明基板2の表側面に形成した場合である。この場合は、検出用列配線31と検出用行配線32の交差部分16において電気的な絶縁を保つために、絶縁層17を形成する。検出用列配線31と検出用行配線32の交差する部分にのみ絶縁層17を形成しても良いし、表示領域9を覆うように絶縁層を形成してもよい。
また、図3(b)は、検出用列配線31と検出用行配線32の一方を透明基板2の表側面に、他方を裏側面に形成する場合である。この場合、透明基板2が絶縁層を兼ねることができる。図3(b)では、検出用列配線31を透明基板2の表側面、検出用行配線32を透明基板2の裏側面に形成し、裏側面には検出用行配線32による凹凸を平坦化する平坦化膜18を介して、遮光部4が形成されている。
検出用列配線31は表示領域9の外部で、接続部13に接続する。接続部13は必要な本数(1本でも複数本でも良い)の検出用列配線31を電気的に接続して列方向束配線とし(図2では便宜上4本の検出用列配線31を列方向束配線としている)、かつ各列方向束配線同士が電気的に絶縁されるようにする。接続部13からは列方向束配線の数の接続線14が出ており、透明基板2の表面上に形成された端子部15に接続している。
同様に,検出用行配線32も表示領域9の外部で,接続部10に接続する。接続部10は必要な本数(1本でも複数本でも良い)の検出用行配線32を電気的に接続して行方向束配線とし(図2では便宜上3本の検出用行配線32を行方向束配線としている)、かつ各行方向束配線同士が電気的に絶縁されるようにする。接続部10からは行方向束配線の数の接続線11が出ており、透明基板2の表面上に形成された端子部12に接続している。
端子部12,15はタッチスクリーンの駆動回路(タッチスクリーン駆動回路)へ検出用配線3を接続するための端子である。図1では、端子部12,15から、表示装置の外部に配置されたタッチスクリーン駆動回路に接続することを想定しているが、他の形態でも構わない。例えば、タッチスクリーン駆動回路を透明基板2に配置しても構わない。この場合、端子部12,15は不要として接続線11,14を直接、あるいは表側面と裏側面を接続するコンタクトホールなどの接続機構を介してタッチスクリーン駆動回路へ接続する。タッチスクリーン駆動回路を裏面基板6に配置する場合は,端子部12,15の代わりに、透明基板2と裏面基板6を接続する接続機構を介して接続線11,14をタッチスクリーン駆動回路へ接続する。
開口部5には、カラーフィルタ色材のような、光の波長域を制限して透過光に色を付ける部材を配置しても良い。また、透明基板2の裏側面には、必要であれば表示素子駆動回路またはその一部を形成してもよい。また,表示素子駆動回路からの電磁ノイズを低減するために、導電体層を形成してもよい。
個々の開口部5に対応する,表示画像を構成する最小表示単位を画素と呼ぶ。また、画素は、一般的に複数のサブ画素により構成される。例えば、各画素は、赤(R)、緑(G)、青(B)の光に対応した3つのサブ画素から構成され、画像中の画素のある位置での明るさ,色相,彩度を,画像データに基づいて再現する。
図4は、図2における光の進行を説明する図である。図4を用いて、透明基板2の表側面に直接形成された検出用配線3による、表示装置用タッチスクリーン付き基板1の透過率の変化とムラの発生について説明する。ここで、図3は図1における水平方向の断面図であるが、使用者に対しても水平方向であるとする。
人の視野(例えば、眼球の動き無しで情報を高速に認識できる有効視野)は左右方向に広いため、表示装置の表示領域は一般的に左右に広く設計される。また、表示画像のコンテンツが左右に広いことを想定して作成されている場合も、表示装置の表示領域は左右方向に広く設計される。
このように、表示領域が左右方向に広い表示装置を使用する場合、使用者が正面から表示装置を見ていても、表示領域の端部近傍から左右方向に沿って斜めに出射してくる光を使用者が認識してしまう。そのため、左右方向に沿って斜めから見たときに発生するムラが最も問題視され、その改善が望まれる。
また、タッチパネル付き表示装置を複数人が使用する場合にもムラの発生が問題となる。複数人で使用する例として、車の運転席と助手席の間にセンターインフォメーションディスプレイやカーナビゲーションシステムのディスプレイとして配置する場合が考えられる。また、航空機の操縦席において機長席と副機長席の間に配置する場合、外食店の自動注文システムのディスプレイとして使用する場合なども、使用する人が左右方向に並ぶことが多い。つまり、左右方向に沿って斜めから見たときに発生するムラが最も問題視される。
以上の理由から、ムラの改善を重視する所定の方向を左右方向とする。本実施の形態では、使用者の視線方向を左右方向(即ち、図1においてΦ=0°の場合)に限定して説明する。ただし、本発明は使用者の視線方向を左右方向に限定するものではない。Φ≠0°の場合については、実施の形態4において説明する。
図4において、透明基板2の厚さをdとする。また、水平方向の開口部5の幅(断面図で見た開口部の端部間の距離、以下同様)をA、遮光部4の幅をB、検出用配線3の幅をwとする。
また、先に定義した様に、基板面に沿った任意の方向rに沿った開口部5の間隔をp(Φ)とする。本実施の形態では観察者が水平方向に視線を動かす場合(Φ=0°)を考えるため、pは水平方向に沿った開口部5の間隔となり、p=A+Bの関係が成り立つ。本実施の形態においては、p(Φ)は常にp(Φ=0°)であるため、単にpと記述する。
図4を用いて、光の進行方向について説明する。透明基板2の内部を、基板面鉛直方向と角度Θsubをなす方向に進行する光に着目する。この光は、Θsubがゼロの場合と比較して、透明基板2の表側面で距離sだけシフトする。また、この光が透明基板2から大気中に射出する方向と基板面鉛直方向のなす角度をΘとする。この角度Θは、この光を使用者が見るときの使用者の視線方向の角度に等しいため、視線方向角度とも呼ぶ。シフト距離sは,透明基板2の屈折率をnとすると、数1で表される。
数1において、2番目の等号はΘsubとΘをSnellの法則で変換したもので,大気中(屈折率が1)以外の媒質中で使用する場合は,その使用条件に合わせて式1は変更できる。なお、Θ、Θsubは任意のΦに対する変数として、Θ(Φ)、Θsub(Φ)と書けるが、本実施の形態のようにΦ=0°に限定する場合は単にΘ、Θsubと記述する。
透明基板2の開口部5の幅がAであるので、透明基板2の表側面でも、幅Aの領域が開口部5からの光で照明される。検出用配線3は遮光部4と重なるように形成され、検出用配線3の幅wが遮光部4の幅Bより小さいため、Θsub=0°の時は、幅Aの光は検出用配線3には当たらず、そのまま出射する。
一方、図4の破線矢印で示した方向に進行する光のように、Θsub≠0°の場合、ある範囲のΘsubにおいて幅Aの光の一部が検出用配線3を照明する。この場合,光の一部が検出用配線3で遮光あるいは吸収されるため、表示装置用タッチスクリーン付き基板1の透過率は、検出用配線3が無い場合に比べて低下する。
図5(a),(b),(c),(d)に、規格化透過率のΘ依存性の計算結果を示す。規格化透過率とは、Θ=0°のときの透過率で規格化した値である。透過率とは、開口部5からの光が検出用配線3を照明する長さをrとしたときのA−rである。つまり、規格化透過率は(A−r)/Aとなる。規格化透過率は、Θ=0°の時のように光が検出用配線3に当たらなければr=0となるため、最大値1をとり、検出用配線3の幅w全てが照明されれば最小値(A−w)/Aを取る。なお、図5において、Φ=0°,A/p=0.9(B/p=0.1),w/p=0.03,n=1.5とした。
前記の最小値(A−w)/Aは、検出用配線3で光が完全に遮光されること(検出用配線3の透過率が0)を想定しているが、検出用配線3の透過率が0でない場合は、上記の最大値と最小値を適宜修正できる(ただし、後述するように、最大値と最小値の大小関係が問題で、それらの値が異なっても以下の説明は成立する)。
図5(a)は、d/p=0つまり透明基板2の厚みdがゼロであり、遮光部4の直上に検出用配線3が形成されている場合である。w<Bであるため、この場合どの角度から見ても検出用配線3によって光が遮られることはない。インセル型の様に遮光部4が検出用配線3を兼ねる場合も同様である。遮光部4と検出用配線3の間に透明基板2がない構成は,インセル型の表示装置用タッチスクリーン付き基板に相当する。この場合、タッチスクリーンの規格化透過率は変化しないため、ムラは抑制できるが、表示素子駆動回路と検出用配線3の距離が非常に短くなるため、電磁ノイズが非常に混入しやすく、タッチスクリーンを駆動することが困難になる。
図5(b)は、d/p=0.5とした場合である。正面から見た場合(Θ=0°)、規格化透過率は最大値1を取る。角度Θを増やしていくと、ある角度で検出用配線3が照明され始めると規格化透過率が低下し、最小値(A−w)/Aまで低下する。この場合、規格化透過率の減少は、単調減少である。一般に、表示素子の輝度は斜めに見るにように視線を倒していく(Θを増やしていく)と単調に減少していくので、図5(b)のように規格化透過率が減少する場合はムラとして視認されない。
図5(c)は、d/p=2とした場合である。視線方向角度Θを増やしていくと、ある角度で規格化透過率にピークが現れる。これを図3で説明すると,開口部5の上の検出用配線3の間隙(幅p−w)がAより大きいため、Θを増やしたとき、即ちΘsubを増やしたときに隣の開口部5(即ち隣のサブ画素)の上の検出用配線3の間隙を幅Aの光が透過している状態になる。この状態が図5(c)におけるΘ=45°付近のピークに対応する。このように規格化透過率が単調に変化せず、ピークが現れるようになると。その視線方向角度Θから表示領域を見ると、おおよそ上下方向(左右方向に直交する方向)に伸びる輝線状のムラが見えることになる。あるいは,正面から見ていても、表示領域の左右方向の端部付近の視線方向角度Θが規格化透過率のピークの角度となる位置に輝線状のムラが見えることになる。このムラの改善が本発明の課題である。
図5(d)は、d/p=5とした場合である。規格化透過率にピークが多数現れている。図5(c)では隣のサブ画素の上の検出用配線3の間隙を照明する角度で規格化透過率にピークが現れることを説明したが、同様に次に隣接するサブ画素、その次に隣接するサブ画素の上の検出用配線3の間隙を照明する角度に対応して、複数のピークが生じる。この場合、輝線状のムラが認識される角度が多くなるため、ムラが容易に視認されるようになる。
以上で説明したように,規格化透過率の視線方向角度Θ依存性の傾向として、透明基板2の厚さdと開口部5の間隔pとの比d/pが大きくなると、タッチスクリーンの規格化透過率にピークが現れるため、ムラが視認されやすくなる。
本発明は電磁ノイズの影響を軽減できる、オンセル型の表示装置用タッチスクリーン付き基板1に関するものであるため、図5(a)のように透明基板2を薄くすることは好ましくない。透明基板2の厚みは、具体的には10μm以上が好ましく、40μm以上がより好ましい。これは,表示素子駆動回路と検出用配線3の距離が近いフラットパネルディスプレイでは、透明基板2と裏面基板6との間の間隔(即ち表示媒体7の厚み)が数μm程度であり、その数倍以上の距離を保つのが、電磁ノイズの影響を抑制するために好ましいからである。
また,透明基板2は表示媒体7を封止する支持体でもある。よって、封止に必要な特性を備え、かつ封止加工(貼り合わせやシール処理など)が可能であり、好ましくは取り扱いが容易な厚さが必要である。上述の観点から、透明基板2の厚みが極端に薄いと好ましくない。ちなみに、表示装置前面を覆う透明部材で薄いものとしては位相差板(厚さ約40μm)があり、セパレータ(取り扱い時の支持体で、貼り付け後に剥離する部材)が必要ではあるが、貼り付けや貼り合わせといった取り扱いが可能である。また、大きな面積の薄型透明フィルムとしては食品用ラップフィルム(厚さ約10μm)が、ロールツゥロールで取り扱いが可能な厚さの例である。厚いガラス板などを透明基板2として用いる場合は、表側面の検出用配線3の形成などの処理を行う前に、エッチングや研磨などで薄く加工処理してもよい。この場合、加工処理前の板厚に必ずばらつきがあるため、厚さ10μm以下に加工することは割れや孔の発生の原因となり、好ましくない。
図5で説明した様に、透明基板2の厚さdを厚くすると透過率にピークが現れる(例えば図5(d))。このピークは、視線方向角度Θの増大に伴って、隣接するサブ画素の開口部5、次に隣接するサブ画素の開口部5、その次に隣接するサブ画素の開口部5…という様に、それぞれの開口部5を検出用配線3に遮られることなく光が順に透過するために生じる。
言い換えると、図4に示すシフト距離sが開口部5の間隔pの整数倍に等しいときに、透過率にピークが現れる。透過率にピークが現れる視線方向角度Θのうち,最も小さい視線方向角度は、s=pとなる場合の角度であり、これは、使用者が視認する画像光が、前記遮光部の影響を受けない最大角度である。この角度をΘMAXと定義する。ΘMAXは数1より数2で表される。
よって、視線方向角度Θが、ΘMAXより小さければ,ΘMAXまでの範囲で透過率は単調に変化するため、使用者にはムラが視認されない。つまり、透明基板2の厚みdとΘMAXの関係は数3で表される。
つまり、本実施の形態における表示装置用タッチスクリーン付き基板1において、ムラが視認されない視線方向角度Θの最大値(即ちΘMAX)を測定し、p、nとともに数3に代入すれば、透明基板2の厚さdは数3の条件を満たす。
<設計方法>
本実施の形態における表示装置用タッチスクリーン付き基板1の設計方法を説明する。まず、設計者は、使用者の使用において見込まれる視線方向角度の最大値Θdを設定する。
Θdは、その表示装置用タッチスクリーン付き基板1が搭載される表示装置の用途に応じて設定される。例えば、スマートフォンなどのように1人での使用が想定される場合は、Θdは比較的小さい値、例えば15°に設定する。一方、カーナビゲーション装置のディスプレイの様に、左右方向に使用者が存在する場合は、例えば60°に設定する。
使用者にムラが視認されない条件はΘd≦ΘMAXである。Θdまでの範囲でムラが視認されない透明基板2の厚みdは数3より数4で与えられる。
電磁ノイズの観点からは、透明基板2の厚みdは大きく取ることが望ましい。一方、ムラを抑制する観点からは、数4はで表される範囲内でdを設定することが望ましい。pは表示領域の大きさと画素構成、開口部5の配列の仕方やピッチなどで決まってしまうため、dを小さくすることが要求される。数4の範囲内で透明基板2の厚みdを設計することになる。
なお、数4で与えられるdの上限は、理論上の上限であるので、製造ばらつきなどを考慮して、dは数4の上限より小さめに設計することが望ましい。
本実施の形態において、開口部5は左右方向に並進対称であるため、p,A,B,wは左右方向の断面図において、表示領域の全域で全て同じ値を取る。一般的には開口部5に並進対称性があるとは限らないが、その場合は開口部5の間隔pとしてpの最小値を設定すれば良い。
また、画素を構成するサブ画素は開口部5の形状に差異がある場合も考えられる。例えば、あるサブ画素の開口部の幅が隣接するサブ画素の開口部の幅よりも広い場合、2本の検出用配線3を同時に照明することになり、規格化透過率の最小値がさらに低下する。つまり,規格化透過率の変化が大きくなり,ムラが視認されやすくなる。よって、本発明においては、画素を構成するサブ画素の開口部の形状が等しい方が、ムラの改善に有利である。
なお、Θdは、使用者と表示領域との位置関係が決まれば幾何学的に決定することができる。使用者がタッチパネルを操作する場合、表示領域との位置関係はおおよそ把握することができるので、適切なΘdを設定することができる。例えば、運転席や操縦席,机上や装置に固定して使用するタッチパネルシステムなどの、使用者の位置がほぼ固定されていると想定できる場合には、本方法が有効である。
例えば、パソコンや装置のモニタ、券売機などの自動販売機の商品選択用ディスプレイといった、1人の使用者が表示装置の表示領域の中央から伸びる法線上で、正面を向いて表示領域を見る場合は,使用者が表示領域の右端あるいは左端を見る視線方向角度が使用者が表示領域を見込む際の最大の視線方向角度Θdである。使用者と表示装置との距離L(表側面の法線方向に沿って測る。以下、視距離Lと記述)と、表示領域の左右方向(x方向)の幅Wから、数5で表すことができる。よって、数4は数6となる。
タッチパネルを操作する場合、腕を動かして表示領域上を指し示すことができるという条件があるため、視距離Lは、200〜1000mmの範囲、好ましくは300〜800mmの範囲が想定される。この場合、視距離Lは例えば500mm程度に設定すればよい。
複数人でタッチパネルを操作することが想定される場合は、各使用者に対して想定される最大の視線角度方向を求め,その最大値をΘdとすればよい。つまり、i番目の使用者が、視距離Li、表示領域の中央から左右方向に距離Si(右にずれても左にずれても正に取る)離れている場合、Θdは式7で表される。
ここで,数7におけるmaxは[]内でiを変えたときの最大値を取ることを表す。また、人の視野角特性からΘdを設定しても良い。例えば、眼球の動き無しで情報を高速に認識できる有効視野は、人の場合は左右方向で30°(正面から測ると左右各15°)なので、1人が表示領域の中央から、正面を向いて表示領域を見る場合は、Θd=15°とすれば、有効視野内で左右方向の透過率を単調に変化するようにでき、ムラの発生を抑制することができる。このように、Θd=15°と設定すれば、表示領域が使用者の有効視野内にあるような用途が想定される表示装置に対して、左右方向のムラを改善することができる。この場合、数4は数8となる。Θd=15°と設定して、数8に基づいて透明基板2の厚みを決定することにより、ΘMAXは、少なくとも15°以上となる。
数8において、例えば、n=1.5であれば、d<5.71pとなる。また、眼球を動かすことで情報を高速に認識できる安定注視野は、左右方向で60〜90°(正面から測ると左右各30〜45°)なので、Θd=30°とすれば、安定注視野内のほぼ全域で左右方向の透過率を単調に変化するようにでき、ムラの発生を抑制することができる。この場合、数4は数9となる。
例えば、対角27インチでアスペクト比16:9の矩形の表示領域を、視距離L=500mmから視聴する場合、表示領域の左右端がおおよそ視線方向角度30°以内に収まる(この場合、表示領域の左右方向の幅W=597.7mmなので、tan−1(597.7/2/500)=30.9°)。よって、1人で使用することを想定する用途の場合、Θd=30°とすれば、情報を表示するのに十分な広さの表示領域で左右方向の透過率を単調に変化するようにでき、ムラの発生を抑制することができる。数9は,例えば、n=1.5であれば、d<2.83pとなる。
より広い視野で表示装置用タッチスクリーン付き基板1の透過率を単調に変化するようし、ムラの発生を抑制する必要がある場合は、安定注視野の視野範囲の高角側を取って、Θd=45°とすればよい。この場合、数4は数10となる。数10において、例えば、n=1.5であれば、d<1.87pとなる。
ここまでの説明では、透明基板2は光学的に均質で、屈折率nを持つとしてきた。Snellの法則から常に数1が成立するため、遮光部4の裏側面より使用者から離れる方向に配置されている部材(例えば画像光生成部7)の屈折率等については、シフト距離sに影響を与えないので、ここまでの説明上は無視して構わない。
ここまでの説明では,透明基板2の表側面に検出用配線3が直接形成されるとしているが,透明基板2の表側面と検出用配線3との間に、薄膜部材が配置されていても構わない。
薄膜部材としては、例えば,透明基板2の裏側面からの光に対する検出用配線3の反射率を低減するための薄膜、電磁ノイズを遮蔽するための透明導電体薄膜、また、この透明導電体薄膜と検出用配線3との絶縁を取るための絶縁層、端子部12,15で検出用配線3などと異なる種類の導電体を使用する場合の腐食を防ぐための接合用の導体層などが挙げられる。あるいは、図3(a)に示したように、透明基板2の表側面に検出用行配線32が配置され、絶縁層17の上に検出用列配線31が配置されている場合が挙げられる。
また、ここまでの説明では、遮光部4は透明基板2の裏側面に形成されるとしているが、透明基板2の裏側面と遮光部4の間に、薄膜等の部材が配置されていても構わない。これは、例えば、電磁ノイズを遮蔽するための透明導電体薄膜である。また、図3(b)に示したように、透明基板2と遮光部4の間に平坦化膜18を介していても構わない。
また、遮光部4は透明基板2の背面側にあれば、透明基板2の裏側面に形成されている必要はなく、例えば裏面基板6の表側面に形成されていても構わない。この場合、裏面基板6の表側面に形成された遮光部4から透明基板2の裏側面までに配置されている部材が、上記の透明基板2の裏側面と遮光部4の間に配置されている部材となる。このような部材が遮光部4と検出用配線3との間にある場合は、以下のように取り扱う。
まず、ここまでの説明で透明基板2としていた部分を,遮光部4の表側面から検出用配線3の裏側面と接する部材の表側面とする。透明基板2の厚さdは、遮光部4の表側面から検出用配線3の裏側面までに配置される部材の総厚dtで置き換えられる。透明基板2を含むi番目の部材の屈折率をni,厚さをdiとすれば、式1は式11で置き換えられる。
数11において、neffは、式10が式1と同じ形式となるように定義した有効屈折率である。neffはsとdtを実測すれば、式11から求めることができる。また、niが各層で大きく変わらないのであれば、neffを式12で求めても良い。この場合、neffは、各層の屈折率niにその層の厚さdiで重みをつけた平均である。
このように、dをdtに、nをneffにそれぞれ置き換えることにより、遮光部4と検出用配線3の間に透明基板2以外の部材が配置される場合にも、数1を適用することが可能である。
検出用配線3よりさらに使用者側にある部材については、Snellの法則から常にΘ=sin−1(n・sinΘsub)が成立するので、遮光部4の裏側面より使用者から離れる方向の部材と同様、ここまでの説明上は無視して構わない。このような部材としては、例えば、検出用配線3を引掻き(スクラッチ)や取り扱いの際の衝撃などから保護する保護層、LCDの偏光板、ELディスプレイやPDPの反射防止膜などが挙げられる。
なお、ここまでの説明では、検出用配線3の厚さは薄いとして無視している。検出用配線3の厚さは5μm以下が望ましく、2μm以下がより望ましく、3μm以下が最も望ましい。同じ材料なら厚さを増せば検出用配線3の抵抗は小さくなるが、厚膜を均一に形成することは困難である。表示装置として使用する段階では、保護層や、粘着材で貼付する偏光板のような部材が検出用配線3の上に配置されることが考えられるため、検出用配線3のある部分と無い部分との段差は極力小さい方が好ましい。この段差を小さくすることで、検出用配線3上に形成される薄膜へのクラックやボイドの発生、あるいは、粘着材のカバー不足による気泡の混入などの問題を回避できる。
厳密には、検出用配線3には厚さがある。配線に厚みあると、配線の側面で光を遮光あるいは吸収する場合がある。検出用配線3に所定の厚みをもたせることにより、ΘMAXより小さい角度以上の光を遮光あるいは吸収して、ΘMAXに生じる規格化透過率のピークを視認されなくすることができる。ただし,これは公知技術であるルーバーフィルムと同じ構成・機能であるため、本説明では考慮しない。
本発明では数4に従ってdを設定することで、タッチスクリーンの透過率を単調に変化するようにでき、ムラの視認性が改善する。そのため、検出用配線3が厚く、その側面に光が当たると透過率や光の利用効率が下がるため、回避したい。その条件は以下のようになる。図6を用いて、検出用配線3の側面に光が当たる条件について説明する。検出用配線3の側面に点Q(δ,η)をとる。ηは、検出用配線3の裏側面からその法線方向(厚さ方向)に沿った方向の点Qまでの距離であり、δは検出用配線3の下の遮光部4の検出用配線3の側面に近い側の端Rから、遮光部4の表側面に沿った方向の点Qまでの距離である。端Rから,点Q(δ,η)へ向かう角度ΘQ(δ,η)はtan−1(δ,η)と表される。検出用配線3の側面に隣接する媒質の屈折率をnfとすると、Q(δ,η)が数13を満たす場合には、大気中において視線方向角度Θの光は点Q(δ,η)に当たらない。
ここでΘfは、大気中において視線方向角度Θの光が、検出用配線3の側面に隣接する媒質を進行する角度であり、Snellの法則からΘ=sin−1(nf・sinΘf)である。
ηを0(検出用配線3の裏側面の位置)からt(検出用配線3の表側面の位置、つまり検出用配線3の厚さ)まで変えたときに、全ての点Q(δ,η)がΘ=Θdの光に対して数13を満たす場合、即ちΘQ(δ,η)の最小値を与える点Qmin(δmin,ηmin)において、Θ=Θdの光に対して数13が満たされる場合には、光は検出用配線3の側面に当たらない。
例えば、検出用配線3の断面が矩形や楔形、テーパーの急な台形などの様に、側面に明確な凸部を持たず、検出用配線3の表側面の端にQmin(δmin,ηmin)がある形状を考える。δminをΔと定義し、Δが数14を満たす場合には、Θd以下の視線方向角度Θの光は、検出用配線3に当たらない。また、検出用配線3と遮光部4とが中心が重なるように配置されている場合、w<B−2Δとすれば、検出用配線3の両側の側面でそれぞれ数14の条件が満たされる。
検出用配線3の厚さを考慮した場合でも、上述のように検出用配線3の側面に光が当たらない状況であれば、s=pとなる視線方向角度Θpで規格化透過率にピークが現れるので、本実施の形態の説明を適用できる。この場合、厚さηmin、屈折率nfの仮想的な薄膜が検出用配線3の裏側面にあり、その薄膜の表側面に点Qmin(δmin,ηmin)を端部とする厚さのない検出用配線3があるとすればよい。
なお、上記の説明において、検出用配線3の側面に隣接する媒質とは、表示装置用タッチスクリーン付き基板1を使用してタッチスクリーン付き表示装置とした時に検出用配線3の側面に隣接する媒質を指す。これは例えば、表示装置用タッチスクリーン付き基板1の表面を保護する保護膜である。なお、表示装置用タッチスクリーン付き基板1単体の状態では、検出用配線3の側面に隣接する媒質は空気である。検出用配線3の側面に隣接する媒質が特定できない、あるいはその屈折率nfが特定できない場合は、nfとして想定される値の最大値として妥当な値を用いればよい。
これまでの説明では、遮光部4の厚みを考慮していない。遮光部4が厚い場合は、遮光部4の側面に視線方向の角度Θが大きい光が当たり、遮光されるため、厳密には考慮する必要がある。透過率の観点からは、遮光部4は薄く、その側面で遮光されないことが望ましいが、実際には有限の厚さがあるため、ある程度の遮光が生じる。この問題は、遮光部を持つ表示装置に一般的に生じる。しかし、この遮光の影響は,Θが大きくなるに従って、遮光される光量が単調に増加するだけなので、数式上は開口部5の幅AがΘの単調減少関数A(Θ)に置き換わるだけで、透過率のΘ依存性(図5)にピークが現れるという、本発明での問題には影響しない。例えば、図5における規格化透過率(A−r)/Aは、(A(Θ)−r)/A(0°)となり、A(Θ)/A(0°)の単調減少するカーブ上にピークが重畳する図となる。シフト距離sが開口部の間隔pの整数倍と等しくなる視線方向角度でピークが現れるという考察も、そのまま成立する。
ここまでの説明では、検出用配線3は透明基板2に直接形成されているとし、直接形成の定義と例も述べた。一般的な表示装置へのタッチスクリーンの配置方法として、検出用配線3を形成した支持体(タッチスクリーン基板)を表示素子の透明基板2へ、粘着材で貼り合わせる手法がある。光学的には,貼り合わせでタッチスクリーンを配置しても、上記の説明は成立する。しかし、上述の貼り合わせによる配置は、本発明では検出用配線3が透明基板2に直接形成されているとはしない。これは、貼り合わせによる手法では、検出用配線3が形成されるのはタッチスクリーン基板であって透明基板2ではないからである。また、本発明では検出用配線3の裏側面から遮光部4の表側面までの距離dt(図4では透明基板2の厚さd)を制御する必要があるが、一般に粘着材は可撓性が高く、外力に対する変形の回復力の弱い、アクリルなどの樹脂製の板状またはフィルム状の部材であり、厚さの制御が困難である。よって、本発明の効果を生じさせるのに適さない。本発明はdtまたはdの上限を制限しているので、粘着材の厚さの分(一般的に数10μm〜数100μm)だけ透明基板2の厚さを薄くする必要があり、製造上の困難が増す。また、貼り合わせ時の気泡混入や温度変化による脱ガスと気泡発生といった課題を招くため、本発明への適用には適さない。
ここまでの説明では、屈折率を指定する際の波長を特定していない。一般的には,屈折率は波長に依存するため、波長を指定する必要がある。本発明ではムラの視認性を問題とするので,視感度の高い波長、例えば555nmでの値を用いればよい(樹脂材料では波長550nmでの屈折率しかメーカから開示されていない場合があるので、その場合はこの波長における値でも構わない)。数3から判る通り、dの上限値は透明基板2の屈折率nの単調増加関数なので、表示素子の画像を構成する光の波長域で最も小さい屈折率を用いれば、光の波長域全般でムラを抑制できる。なお、フラットパネルディスプレイに使用される無アルカリガラスなどの低分散(高アッベ数)なガラス製の透明基板であれば、屈折率の波長依存性は無視できる。
<効果>
本実施の形態における表示装置用タッチスクリーン付き基板1は、タッチスクリーンが前面に一体化された表示装置用タッチスクリーン付き基板1であって、画像光を生成する画像光生成層の前面に配置される透明基板2を備え、透明基板2の背面には、画像光を通す開口部5を周期的に形成するために、開口部5を除く領域に、画像光を遮る遮光部4が周期的に形成され、透明基板2の前面には、タッチスクリーン用の検出用配線3が、遮光部4と平面視で重なり、かつ遮光部4の幅よりも狭く形成され、透明基板2の屈折率をnとし、透明基板2の厚さをdとし、透明基板2を空間に配置したとき、透明基板2面に沿った任意の方向rが空間の水平方向となす角度をΦとし、方向rにおける開口部5の配置間隔をp(Φ)とし、透明基板2の前面側から透明基板2を臨む視線が、方向rに沿って移動されたときの、視線の方向と、透明基板2面に対して鉛直な方向がなす角度をΘ(Φ)とし、視線方向への画像光が、遮光部4の影響を受けない角度の最大値をΘMAX(Φ)とし、任意の方向rは水平方向であり、dは数3を満たすことを特徴とする。
従って、使用者が視線方向角度ΘMAXを超えない範囲で、水平方向(即ち使用者の左右方向)に視線を移動させたときに、使用者にムラが視認されない。また、本実施の形態における表示装置用タッチスクリーン付き基板1は、オンセル型であり、表示素子駆動回路と検出用配線3の距離を、透明基板2により大きく取れるため、電磁ノイズの問題が軽減される。
また、本実施の形態における表示装置用タッチスクリーン付き基板1において、任意の方向rは空間の水平方向であり、ΘMAX(Φ)は15°以上であるときの数3によりdが規定される。
従って、ΘMAX(Φ=0°)=15°以上であるため、表示領域が使用者の有効視野内にあるような用途が想定される表示装置に対して、左右方向のムラを改善することができる。
また、本実施の形態における表示装置用タッチスクリーン付き基板1の設計方法は、タッチスクリーンが前面に一体化された表示装置用タッチスクリーン付き基板1の設計方法であって、表示装置用タッチスクリーン付き基板1は、画像光を生成する画像光生成層の前面に配置される透明基板2を備え、透明基板2の背面には、画像光を通す開口部5を周期的に形成するために、開口部5を除く領域に、画像光を遮る遮光部4が周期的に形成され、透明基板2の前面には、タッチスクリーン用の検出用配線3が、遮光部4と平面視で重なり、かつ遮光部4の幅よりも狭く形成され、透明基板2の屈折率をnとし、透明基板2の厚さをdとし、透明基板2を空間に配置したとき、透明基板2面に沿った任意の方向rが空間の水平方向となす角度をΦとし、方向rにおける開口部5の配置間隔をp(Φ)とし、透明基板2の前面側から透明基板2を臨む視線が、方向rに沿って視線を移動させたときの、視線の方向と、透明基板2面に対して鉛直な方向がなす角度をΘ(Φ)とし、Θ(Φ)について所望の最大値Θd(Φ)を設定する工程(a)と、Θd(Φ)、nおよびp(Φ)を数4に代入する工程(b)と、工程(b)の後に、数4に基づいて前記dの上限値を設定する工程(c)とを備える。ここで、前記方向rは水平方向に限定される。
従って、数4に基づいて、透明基板2の厚みdの上限値を設定して、表示装置用タッチスクリーン付き基板1の設計を行うことにより製造される表示装置用タッチスクリーン付き基板1において、使用者が水平方向に沿って視線を動かしたとき、視線方向角度Θ(Φ)が少なくともΘd(Φ)を超えない範囲で、使用者にムラが視認されないため、使用者が視認する画像の品質を向上させることが可能である。
<実施の形態2>
実施の形態1におけるタッチスクリーン付き基板の設計方法において、使用者と表示領域との位置関係がおおよそ決まり、表示領域を見込むための視線方向角度の最大値Θdが推定できる場合について説明を行った。しかし,例えば自動販売機のタッチパネルディスプレイが広告表示を兼ねる場合などは、タッチパネルとしての機能と広視野角表示機能を両立する必要がある。
この場合、表示装置は自動販売機などに固定されるため、表示領域の左右方向に使用者が存在すると同時に、表示装置の前を行き交いながら表示装置を目視する観察者(以下、単に観察者)が存在する使用状況が想定される。よって、左右方向に沿って斜めから見たときに発生するムラが最も問題視され、その改善が望まれる。
上述の様に、本実施の形態では、タッチパネルとしての機能と、左右方向即ち水平方向での広視野角表示を両立する必要がある用途について考える。なお,本説明ではムラの発生を改善する視線方向として実施の形態1と同じく、左右方向(Φ=0°)を例とするが、左右方向以外の方向(Φ≠0°)であっても、左右方向をその方向に読み変えることで、以下の説明はそのまま適用できる。
タッチパネルを使用する使用者については実施の形態1と同様に、使用者と表示領域との位置関係はおおよそ決めることができる。しかし、表示装置の前を行き交う観察者に対しては、位置関係を決めることができない。そこで、観察者が表示領域を見込むための視線方向角度の最大値Θdとして、視線方向角度Θの最大値である90°を設定する。Θd=90°とすれば、観察者の視線方向角度がどの値であっても、規格化透過率のピーク、即ちムラは視認されなくなる。この条件は、数4から数15で表される。
例えば、n=1.5であれば、d<1.12pとなる。このように、Θd=90°として透明基板2の厚みを設定することによって、設計され製造された表示装置用タッチスクリーン付き基板1において、ΘMAXは90°となる。
以上で説明したように、本実施の形態における表示装置用タッチスクリーン付き基板1は左右方向(Φ=0°)における広い視野での表示が要求されるため、表示領域を見込む最大の視線方向角度Θdを90°として、数15に基づいてdを決定することにより、左右方向の全ての視線方向角度において、表示装置用タッチスクリーン付き基板1の透過率は単調に変化し、ムラは視認されなくなる。
また、本実施の形態における表示装置用タッチスクリーン付き基板1は、実施の形態1と同様に、オンセル型である。よって、表示素子駆動回路と検出用配線3の間の距離をインセル型よりも大きく取れるので、電磁ノイズの問題が軽減される。
なお、本実施の形態は、使用者が視線を移動させる方向を左右方向(Φ=0°)とし、Θd(Φ=0°)=90°として設計を行った。本実施の形態における開口部5の形状が、図1の様に、p(Φ)がΦ=0°において最小となるのであれば、左右方向に限らず、どの方向に沿って使用者が視線を移動させたとしても、ムラが視認されなくなる。
<効果>
本実施の形態における表示装置用タッチスクリーン付き基板1において、任意の方向rは空間の水平方向であり、ΘMAX(Φ=0°)は90°であるときの数3によってdが規定される。よって、使用者が水平方向(即ち使用者の左右方向)に沿って視線を移動させたときに、全ての視線方向角度(0°〜90°)において、ムラが視認されなくなる。
また、本実施の形態における表示装置用タッチスクリーン付き基板1において、空間の水平方向において、p(Φ)が最小となることを特徴とする。
従って、p(Φ)が最小となる方向において、ΘMAX(Φ)が90°であるため、他の角度Φにおいても、ΘMAX(Φ)=90°となる。よって、使用者が水平方向のみならず、どの方向に沿って視線を動かしても、全ての視線方向角度においてムラが視認されることがない。
<実施の形態3>
実施の形態1および2では、透明基板2の厚さdの上限値を制限することで、使用者や観察者が表示領域を見込む角度範囲Θdで、表示装置用タッチスクリーン付き基板1の透過率を単調に変化するようにし,ムラが視認されないようにした。
しかし、実施の形態1で説明したように、透明基板2の厚さdを薄くしすぎると、電磁ノイズの問題や、製造における透明基板2の扱いにくさの問題などが生じるので好ましくない。
式4は、d/pの比の値を制限していると見ることができる。即ち、dを小さくする換わりにpを大きくしても、式4の条件を満たすことが可能である。そこで、本実施の形態における表示装置用タッチスクリーン付き基板1では、pを大きく設計することを考える。
画素の大きさは、表示領域の大きさと解像度(あるいは表示領域を構成する画素数)で決まるので、画素の大きさを変えずにpを変えるには、画素内でサブ画素の配置を変えればよい。図7(a),(b),(c)に、同じ大きさの1画素内のサブ画素の配置の例を示す。
図7(a)は、一般的なサブ画素の配置例であり、縦ストライプと呼ばれる。正方形の1画素(図中破線で囲った領域)は、縦に長い長方形のサブ画素3つで構成される。3つのサブ画素は開口部5に配置されるカラーフィルタによって、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の光を透過するように構成される。左右方向に沿って測ったサブ画素の間隔(即ち開口部5の間隔)はpであるので、画素の左右方向の間隔は3pとなる。
この縦ストライプに対して、図7(b)に示す正方形の4つのサブ画素で1つの画素を構成する場合を考える。4つのサブ画素はR,G,Bともう一色、例えば白、黄色、シアンなどで構成することができる。また、他の色の組合せでもよい。画素(図中破線で囲った領域)の間隔が,縦ストライプ(図7(a))と同じ3pであるとすると,サブ画素の間隔(即ち開口部5の間隔)は3p/2=1.5pとなり、縦ストライプ配置(図7(a)に比べてpが1.5倍となる。よって、d/pの値を一定とすると、透明基板2の厚さdを1.5倍に増やすことができる。
図7(c)は、横ストライプと呼ばれる、横に長い長方形のサブ画素3つで画素を構成するサブ画素配置である。3つのサブ画素は、開口部5に配置されるR,G,Bのカラーフィルタによって、3色の光を透過するように構成される。画素(図中破線で囲った領域)の間隔が、縦ストライプ(図7((a))と同じ3pであるとすると、サブ画素の間隔(即ち開口部5の間隔)も3pとなり、縦ストライプ配置に比べてpが3倍となる。よって、d/pの値を一定とすると、透明基板2の厚さdを3倍に増やすことができる。
以上の様に、サブ画素を、縦ストライプ(図7(a))とした場合と比較して、サブ画素を正方形(図7(b))もしくは横ストライプ(図7(c)とした場合の方が、よりpを大きくとれるため、d/pの値を一定とすると、透明基板2の厚みdを大きくすることが可能である。
つまり、開口部5の上下方向の幅よりも左右方向の幅を広くすることにより、左右方向の透過率を単調に変化するようし、ムラを改善するために必要な透明基板2の厚さdを、より大きく取ることができる。
具体的には、使用者の左右方向にl個、直交する方向にm個の開口部が表示装置の1画素を構成し、l≦2かつm≧2を満たすサブ画素配置とすればよい。このようなサブ画素配置を取ることにより、左右方向のムラを改善するために必要な透明基板2の厚さdを、縦ストライプ(l=3,m=1)の場合よりも、最大3/l倍大きく取ることができる。
これまで説明したように,上記のサブ画素配置でサブ画素の間隔が広くなるのは,左右方向である。実施の形態1,2で説明したように,ムラの改善が重視される方向は,通常左右方向であり,その場合,上記のサブ画素配置が有効である。
縦ストライプのサブ画素配置が広く用いられている理由は多くあるが、フラットパネルディスプレイにおける主たる理由としては2つ挙げられる。1つ目の理由は、上下方向よりも左右方向の辺の方が長いため、左右方向にサブ画素数を多くした方が上下方向のサブ画素数を多くするより表示素子駆動回路と外部回路を繋ぐ取り出し配線の配線密度を小さくでき、実装に有利なためである。
2つ目の理由は、上下方向のサブ画素数を少なくすると表示素子の画素のスイッチング素子に要求される駆動周波数を下げられることが挙げられる。開発初期のLCDでは、上述の理由により、縦ストライプのサブ画素配列が広く採用された。それによって、以後のLCDや他のフラットパネルディスプレイでも縦ストライプ配列が広く用いられるようになった。しかし、上述した実装や駆動周波数の問題は、現在では高精細(高密度実装)技術や高速駆動技術の進展により解消できるようになっており、図7(b)もしくは図7(c)のようなサブ画素配列でも問題なく使用可能である。
また、本実施の形態における表示装置用タッチスクリーン付き基板1は、オンセル型であり、表示素子駆動回路と検出用配線の間に距離を設けることができるので、一般的な縦ストライプ配列の場合に比べて最大3/l倍大きく取ることが可能である。よって、電磁ノイズの問題がより軽減される。
<効果>
本実施の形態における表示装置用タッチスクリーン付き基板1の開口部5において、垂直方向の開口幅よりも水平方向の開口幅が広いか、又は垂直方向の開口幅と水平方向の階口幅が等しいことを特徴とする。
従って、使用者が水平方向(即ち使用者の左右方向)にそって視線を移動させる用途が想定される場合には、開口部5において、垂直方向の開口幅よりも水平方向の開口幅を広くするか、又は前記垂直方向の開口幅と前記水平方向の開口幅が等しくすることによって、垂直方向の開口幅よりも水平方向の開口幅を狭くした場合と比較して、透明基板2の厚みdをより大きく設計することができるため、電磁ノイズの問題をより軽減することが可能である。
<実施の形態4>
実施の形態1〜3におけるタッチスクリーン付き基板においては、ムラを改善する視線方向を水平方向即ち使用者の左右方向(Φ=0°)に限定して説明を行った。タッチパネル機能が重視される用途や、1人の使用者が使用する用途などでは、このような限定が効果的である。一方、例えばテレビなどにタッチパネル機能を持たせる場合には、所定の方向のみでなく広い視野において、表示装置用タッチスクリーン付き基板1の透過率を単調に変化するようにし、ムラを改善することが望ましい。
本実施の形態における表示装置用タッチスクリーン付き基板1においては、ムラを改善する方向(即ち図1のr方向)を水平方向即ち使用者の左右方向(Φ=0°)に限定せず、任意の方向とする。
広い視野でのムラの改善とは、所定のr方向(例えばΦ=0°)のみでなく、複数のr方向でのムラの改善を示す。視線方向の角度が非常に大きい角度の範囲であることを示す、いわゆる広視野角という用語とは区別する。広視野角ではなくても、必要な視線方向の角度範囲Θd内で、複数のr方向でのムラの改善が達成できれば、より視認性を向上させることができる。
実施の形態1(図1)で定義した様に、任意のr方向を選択し、x方向(即ち使用者の左右方向)となす角度をΦとする。例えば、Φ=0°の場合、r方向は使用者の左右方向であり、Φ=90°の場合、r方向は使用者の上下方向となる。ただし、0°≦Φ≦180°とし、この範囲(第1〜第2象限)以外であれば、この範囲に折り返すものとする。
以下で、Φ≠0°の場合における表示装置用タッチスクリーン付き基板1の設計方法について説明する。まず、使用者または観察者が方向rに沿った視線方向で表示領域を見込む視線方向角度の最大値Θd(Φ)を設定する。
以下で、Θd(Φ)を設定する方法について説明する。表示装置の表示領域の左右方向の長さをW、上下方向の長さをHとする。例えば、1人の使用者が表示装置の表示領域の中央から伸びる法線上で、正面を向いて、視距離Lで表示領域を見る場合は、Θd(Φ)は数16のように設定ことができる。なお、数16において、|・|は絶対値をとることを示す。
Θd(Φ)を設定する別の方法について説明する。Θd(0°)とΘd(90°)が具体的に設定できる場合には、数17のようにΘd(Φ)を設定することができる。これは、サブ画素の形状が、左右方向に平行な辺と上下方向に平行な辺を持つ矩形である場合において、全てのr方向において、表示装置用タッチスクリーン付き基板1の透過率が単調に変化し、ムラが視認されなくなる条件である。
ただし,数17でΘd(Φ)が計算上90°を超える場合は90°とする。ここで,サブ画素の形状とは,開口部5の内部に同一の手順で,例えば,開口部5の重心,点を取り,複数の開口部の複数の点が結ぶ辺を持つ多角形のうち,画素の周期構造の方向に平行な辺を持つ,最少の面積を持つ多角形の形状である。例えば,図1の開口部5の配置であれば,サブ画素の形状は矩形である。
Θd(0°)とΘd(90°)は、例えば、人間の視野角特性から、有効視野は左右方向で30°(正面から測ると左右各15°)、上下方向で20°(正面から測ると上下各10°)である。また、人間の安定注視野は左右方向で60°〜90°(正面から測ると左右各30°〜45°)、上下方向で45°〜70°(正面から測ると上下各22.5°〜35°)であるので、これら有効視野もしくは安定注視野の値を基にΘd(Φ)を設定しても良い。
人の有効視野内で表示装置用タッチスクリーン付き基板1の透過率が単調に変化するようにし、ムラを視認させない場合は、Θd(0°)=15°、Θd(90°)=10°と設定すればよい。また、人の安定注視野内でムラを視認させない場合は、Θd(0°)=30°、Θd(90°)=22.5°もしくはΘd(0°)=45°、Θd(90°)=35°と設定すればよい。なお、上述のΘd(Φ)の設定方法は一例であり、他の方法でΘd(Φ)を設定しても良い。
次に、設定したΘd(Φ)を数18に代入して、透明基板2の厚みdの上限値を求める。この上限値の範囲内でdを設定することにより、先に設定したΘd(Φ)を満たす表示装置用タッチスクリーン付き基板1を設計することができる。
数18において、minはΦについて[・]内の最小値を取ることを示す。ただし、p(Φ)が定義できない(p(Φ)を測る方向rの直線状に開口部5が1つ以下しか乗らない)Φについては無視をする。
数18に基づいて設計され製造された表示装置用タッチスクリーン付き基板1において、ΘMAX(Φ)を測定すると、透明基板2の厚さdは、数19を満たす。
数18に基づいてdの上限値を求める場合、全てのΦについて、Θd(Φ)が設定されているとは限らないので、数18が厳密に評価できない場合がある。その場合は、数18に代わるdの上限値の簡単な設定方法として、Φに関わらずΘd(Φ)を一定値としても良い(Θd(Φ)=Θ0)。この場合、数18は数20となり、p(Φ)が最小となるΦを考えればよい。数20において、p(Φ)が最小となるΦをΦsと定義する。なお、例えば、サブ画素の配置として縦ストライプ(図7(a))を採用した場合は、Φs=0°となる。
特に、数20において、Θ0=90°とすれば、式21となる。数21の上限値の範囲内で透明基板2の厚さdを設定すれば、Φについて全角度、即ちr方向について全方向で表示装置用タッチスクリーン付き基板1の透過率が単調に変化するようにでき、ムラが視認されなくなる。
なお、数20において、p(Φ)が最小となるΦをΦsと定義して、Θd(Φs)=Θdsと設定し、Θ0=Θdsとしてもよい。これは、例えば、サブ画素配列が縦ストライプ(図7(a))のように異方性がある場合、数18の右辺は、Φ=Φsにおいて最小となるからである。
数18が厳密に評価できない場合の、dの上限値の別の簡単な設定方法について説明する。p(Φ)が最小値を取るΦをΦsと定義し、また、p(Φ)が最小値に次いで2番目の極小値を取るΦをΦs2と定義する。本実施の形態では、広い視野でのムラの改善を重視するため、Θd(Φ)のΦ依存性は小さいと仮定する。よって、数18の右辺でmin[・]を評価する際に、ΦsとΦs2についてのみ評価すれば十分である。例えば、図1の様に、開口部5がおおよそ矩形であれば、その矩形の短辺に平行な方向とx方向のなす角度がΦs、長辺方向に平行な方向とx方向のなす角度がΦs2となる。つまり、数18は、数22になる。
ここで、設計者がΘd(Φs)とΘd(Φs2)を設定した際の、両方を満足させるための透明基板2の厚さdと、p(Φs)、p(Φs2)の関係を考える。
まず、数23のように関数f(Φ)を定義する。これは、角度Φの方向rのみでタッチスクリーンの透過率が単調に変化するようにして、ムラを改善するときの、d/p(Φ)の上限値である。
異なる2つの任意の方向rがx方向となす角度として、ΦhとΦvを定義し、Θdh=Θd(Φh)、Θdv=Θd(Φv)、ph=p(Φh)、pv=p(Φv)と表す。すると、f(Φh)/f(Φv)は、透明基板2の厚さdを一定としたときに、開口部5の間隔の比pv/phとなる。図8に、透明基板2の屈折率nを1.5としたときのf(Φh)/f(Φv)の計算結果を示す。
図8において、等高線に3,2,1,1/2,1/3とラベルした。これは、f(Φh)/f(Φv)が、ラベルされた値で一定となる曲線である。つまり、開口部5の間隔の比pv/phがラベルされた値で一定な開口部5の配列で可能なΘdhとΘdvの組合せを表す。図8において、ΦhとΦvは任意の角度であるため、入換えてもまったく同じ結果となる。つまり、図8における3と1/3でラベルされた等高線および2と1/2でラベルされた等高線は、f(Φh)/f(Φv)=1の等高線に対して対称となる。
例えば、図8の破線部で示す様に、3とラベルされた等高線は、おおよそΘdh=20°,Θdv=60°を通ることがわかる。
これは、Θdh=20°を満たすようにd/phを設定すると、自動的にΘdv=20°が満たされることを意味している。図8の破線部の等高線を、Θdhが大きくなる、つまりd/phが小さくなる方向に辿ると、おおよそΘdh=25°,Θdv=90°を通り、角度Φvの方向に沿った視線方向でムラが発生しなくなる。これ以上d/phを小さくすると、Θdhは大きくなるが、角度Φvの方向に沿った視線方向でムラが発生しなくなる状況には変化がない。「3」を「1/3」とし、添え字のhとvを入れ換えても同じことである。
ΦhとΦvのうち、一方をΦs、他方をΦs2とすると、上述した図8についての説明は、設計者がΘd(Φs)とΘd(Φs2)を設定した際の、両方を満足させるための透明基板2の厚さdと、p(Φs)、p(Φs2)の関係に読み替えることができる。
例えば,図7(a)に示した様な縦ストライプサブ画素配列の場合、ΦhがΦs(=0°、即ち左右方向)に対応し、ΦvがΦs2(=90°、即ち上下方向)に対応する。この場合、pv/ph=3の等高線を辿ればよく、実施の形態1で述べたように、人の有効視野に基づいてΘd(Φs)=Θdh=15°となるようにdを設定すると、Θd(Φs2)=Θdv=45°となり、上下方向でも人の有効視野20°(正面から測ると上下各10°)以上の広い範囲でムラが発生しなくなる。また、同様に人の安定注視野に基づいてΘd(Φs)=Θdh=15°となるようにdを設定すると、Θd(Φs2)=Θdv=90°となり、上下方向でムラが発生しなくなる。
以上、図8を用いて、設計者がΘd(Φs)とΘd(Φs2)を設定した際の、両方を満足させるための透明基板2の厚さdと、p(Φs)、p(Φs2)の関係について、図の読み方を例を挙げて説明した。図8からは,以下の2つのことが読み取れる。
第1に、縦ストライプ(図7(a))のような異方性の大きいサブ画素配列の場合、Φs=0°,Φs2=90°である。大きいΘd(Φs)を満たすようにdを設定すれば、十分大きいΘd(Φs2)を得ることができる。一方、Θd(Φs2)=90°を満たすようにdを設定しても、Θd(Φs)は25°程度しか得る事が出来ず、Θd(Φs)をより大きくとるためには、dをより薄くする必要がある。なお、サブ画素の配列が横ストライプ(図7(c))の場合は、上の説明において、添え字のsとs2を入れ換えればよい。
第2に、異方性が小さい、望ましくはp(Φs)=p(Φs2)であるサブ画素配列(例えば図7(b))であれば、図8において1のラベルの等高線が対応する。つまり、同じdでΘd(Φs)とΘd(Φs2)がおおよそ等しくなるので、広い視野でのムラの改善が非常に重視されるディスプレイに有利である。
以上から、本実施の形態の目的である,広い視野での利用が想定されるディスプレイにタッチパネル機能を持たせることが要求される場合、表示装置用タッチスクリーン付き基板1は、異方性が小さい、望ましくは図7(c)の様に開口部5の形状が正方形であるサブ画素配列を有することが望ましい。
一方,異方性の大きいサブ画素配列を持つ表示装置用タッチスクリーン付き基板1は、実施の形態1で述べたような使用者の位置や画面を見込む視線角度Θの想定がある程度可能な用途に向いている。
数21に基づいて透明基板2の厚さdの上限値を設定する場合、異なる2方向(角度Φs,Φs2)のみを考慮する。それ以外の方向は、Θd(Φ)のΦ依存性は小さい仮定して考慮していない。しかし、一般にテレビやモニタの視野角の仕様が左右方向と上下方向で示されるように、視線を移動させる方向として、主要な2方向を考慮すれば、実用上十分である。
また、開口部5の形状が矩形であれば、その矩形の短辺に平行な方向が角度Φs方向であり、長辺方向に平行な方向がΦs2方向であり、表示領域9も矩形となる。また、角度Φs方向、角度Φs2方向の一方が左右方向に平行になり、もう一方が上下方向と平行になるため、数21による透明基板2の厚さdの上限値の制限は、実用上十分な制限となっている。
例えば、人の有効視野は左右方向で30°(正面から測ると左右各15°)、上下方向で20°(正面から測ると上下各10°)である。開口部5の形状が、左右方向と上下方向に辺が平行なおおよその矩形であり、角度Φsが左右方向に対応し、角度Φs2が上下方向に対応する場合、Θd(Φs=0°)を15°、Θd(Φs2=90°)を10°と設定すると、少なくとも人の有効視野内で、表示装置用タッチスクリーン付き基板1の透過率が単調に変化し、ムラが改善できる。このように、Θd(Φs=0°)とΘd(Φs2=90°)を設定して、数21に基づいてdの上限値を求めて、表示装置用タッチスクリーン付き基板1を設計し製造した場合、表示装置用タッチスクリーン付き基板1において、ΘMAX(Φ=0°)は少なくとも15°以上となり、ΘMAX(Φ=90°)は少なくとも10°以上となる。
また、人の安定注視野は左右方向で60°〜90°(正面から測ると左右各30°〜45°),上下方向で45°〜70°(正面から測ると上下各22.5°〜35°)であるため、Θd(Φs=0°)=45°,Θd(Φs2=90°)=35°と置くと、数22は数24になる。この条件を満たすように透明基板2の厚さdを設計することにより、安定注視野内でムラが改善できる。
以上で説明したように、数18で定まる透明基板2の厚さdの上限値以下に、dを設定すると、全ての角度Φに沿った視線方向において、表示領域を見込む視線方向角度Θd(Φ)の範囲内で、表示装置用タッチスクリーン付き基板1の透過率は単調に変化し、ムラは視認されなくなる。数18の適用が困難であれば、数22でも構わない。
また、本実施の形態における表示装置用タッチスクリーン付き基板1は、オンセル型のタッチスクリーンに使用される基板であり、表示素子駆動回路と検出用配線3の距離を、これらの間に配置する透明基板2により大きく取れるため、電磁ノイズの問題が軽減される。
<効果>
本実施の形態における表示装置用タッチスクリーン付き基板1は、タッチスクリーンが前面に一体化された表示装置用タッチスクリーン付き基板1であって、画像光を生成する画像光生成層の前面に配置される透明基板2を備え、透明基板2の背面には、画像光を通す開口部5を周期的に形成するために、開口部5を除く領域に、画像光を遮る遮光部4が周期的に形成され、透明基板2の前面には、タッチスクリーン用の検出用配線3が、遮光部4と平面視で重なり、かつ遮光部4の幅よりも狭く形成され、透明基板2の屈折率をnとし、透明基板2の厚さをdとし、透明基板2を空間に配置したとき、透明基板2面に沿った任意の方向rが空間の水平方向となす角度をΦとし、方向rにおける開口部5の配置間隔をp(Φ)とし、透明基板2の前面側から透明基板2を臨む視線が、方向rに沿って移動されときの、視線の方向と、透明基板2面に対して鉛直な方向がなす角度をΘ(Φ)とし、視線の方向へ画像光が、遮光部4の影響を受けない角度の最大値をΘMAX(Φ)とし、dは数19を満たすことを特徴とする。
従って、使用者が、透明基板2面に沿った任意の方向rに沿って視線を動かしたとき、視線方向角度Θ(Φ)がΘMAX(Φ)を超えない範囲で、使用者にムラが視認されないため、使用者が視認する画像の品質を向上させることが可能である。また、本実施の形態における表示装置用タッチスクリーン付き基板1は、オンセル方式であり、表示素子駆動回路と検出用配線3の距離を、これらの間に配置する透明基板2により大きく取れるため、電磁ノイズの問題が軽減される。
また、本実施の形態における表示装置用タッチスクリーン付き基板1の設計方法は、タッチスクリーンが前面に一体化された表示装置用タッチスクリーン付き基板1の設計方法であって、表示装置用タッチスクリーン付き基板1は、画像光を生成する画像光生成層の前面に配置される透明基板2を備え、透明基板2の背面には、画像光を通す開口部5を周期的に形成するために、開口部5を除く領域に、画像光を遮る遮光部4が周期的に形成され、透明基板2の前面には、タッチスクリーン用の検出用配線3が、遮光部4と平面視で重なり、かつ遮光部4の幅よりも狭く形成され、透明基板2の屈折率をnとし、透明基板2の厚さをdとし、透明基板2を空間に配置したとき、透明基板2面に沿った任意の方向rが空間の水平方向となす角度をΦとし、方向rにおける開口部5の配置間隔をp(Φ)とし、透明基板2の前面側から透明基板2を臨む視線が、方向rに沿って移動されたときの、視線の方向と、透明基板2面に対して鉛直な方向がなす角度をΘ(Φ)とし、Θ(Φ)について所望の最大値Θd(Φ)を設定する工程(a)と、Θd(Φ)、nおよびp(Φ)を数18に代入する工程(b)と、工程(b)の後に、数18に基づいて前記dの上限値を設定する工程(c)とを備える。
従って、数18に基づいて、透明基板2の厚みdの上限値を設定して、表示装置用タッチスクリーン付き基板1の設計を行うことにより製造される表示装置用タッチスクリーン付き基板1において、使用者が透明基板2面に沿った任意の方向rに沿って視線を動かしたとき、視線方向角度Θ(Φ)が少なくともΘd(Φ)を超えない範囲で、使用者にムラが視認されないため、使用者が視認する画像の品質を向上させることが可能である。
また、本実施の形態における表示装置用タッチスクリーン付き基板1の設計方法において、前述した工程(a)は、Φ=0°のときの所望の最大値Θd(Φ=0°)およびΦ=90°のときの所望の最大値Θd(Φ=90°)を設定する工程と、Θd(Φ=0°)およびΘd(Φ=90°)を数17に代入して、数17に基づいてΘd(Φ)を設定する工程とを備える。
従って、設計者がΘd(Φ=0°)とΘd(Φ=90°)だけを設定すれば、数17に基づいて、他の角度ΦにおけるΘd(Φ)を設定することができるため、設計上の利便性が向上する。
また、本実施の形態における表示装置用タッチスクリーン付き基板1の設計方法において、設計者が、Θd(Φ=0°)を15°以上、かつΘd(Φ=90°)を10°以上と設定することを特徴とする。
従って、Θd(Φ=0°)を15°以上、かつΘd(Φ=90°)を10°以上に設定し、数17に基づいて、他の角度ΦにおけるΘd(Φ)を設定する。このようにΘd(Φ)を設定を行うことにより製造される表示装置用タッチスクリーン付き基板1は、ΘMAX(Φ=0°)が15°以上かつΘMAX(Φ=90°)が10°以上となるため、使用者の有効視野内の全ての角度Φについて、ムラが視認されることを防止することができる。
また、本実施の形態における表示装置用タッチスクリーン付き基板1の設計方法において、p(Φ)が最小値をとるΦをΦsとし、p(Φ)が前記最小値の次に小さい極小値をとるΦをΦs2とし、前述した工程(a)は、Φ=ΦsのときのΘd(Φ=Φs)と、Φ=Φs2のときのΘd(Φ=Φs2)を設定する工程を備え、前述した工程(b)および(c)において、数18に代えて数22に基づいて、dの上限値を設定することを特徴とする。
従って、上述の設計方法により設計された表示装置用タッチスクリーン付き基板1は、使用者が任意の方向rに沿って視線を動かしたときに、少なくともΘd(Φ=Φs)もしくはΘd(Φ=Φs2)を超えない視線方向角度において、ムラが視認されることを防止することができる。よって、本実施の形態における表示装置用タッチスクリーン付き基板1の設計方法は、広い視野でのムラの視認防止が要求される表示装置用タッチスクリーン付き基板1を設計するのに適した設計方法である。
<実施の形態5>
実施の形態1〜4では、表示装置用タッチスクリーン付き基板1について説明した。本実施の形態では,この表示装置用タッチスクリーン付き基板1を搭載したタッチスクリーン付き表示装置について説明する。
図2に、表示装置用タッチスクリーン付き基板1を搭載したタッチスクリーン付き表示装置の断面図を示す。表示装置用タッチスクリーン付き基板については、実施の形態1〜4で説明したため、説明を省略する。表示装置用タッチスクリーン付き基板1に対向するように使用者とは反対側に画像光を生成する画像光生成層8が配置される。画像光生成層8は、表示媒体7と裏面基板6を備える。裏面基板6には、表示媒体7を制御する表示装置駆動回路(図示せず)が形成される。なお、表示装置駆動回路は、透明基板2の裏面側に形成されてもよい。表示媒体7とは、表示素子からの出射光を能動的に制御する媒体で、例えば、LCDなら液晶、PDPならプラズマを発生するための封入ガス、ELディスプレイなら発光層である。
また、画像光生成層8は、必要に応じて、バックライトのような光源や、偏光板のような受動的な光量調整用の光学素子を備えてもよい。その他、一般的な表示装置に使用される部材や回路などを備えても良い。
<効果>
本実施の形態におけるタッチスクリーン付き表示装置は、実施の形態1〜4いずれかに記載の表示装置用タッチスクリーン付き基板1と、表示装置用タッチスクリーン付き基板1の背面に配置される画像光生成層とを備える。
従って、以上で説明したように、本実施の形態におけるタッチスクリーン付き表示装置は、実施の形態1〜4のいずれかで説明した表示装置用タッチスクリーン付き基板1を有するため、実施の形態1〜4のいずれかで述べた効果を得ることが可能である。
<実施の形態6>
実施の形態5では,表示装置用タッチスクリーン付き基板1を備えるタッチスクリーン付き表示装置について説明した。本実施の形態におけるタッチスクリーン付き表示装置は、実施の形態5におけるタッチスクリーン付き表示装置に対して、タッチパネルの機能をさらに備える。
具体的には、本実施の形態におけるタッチスクリーン付き表示装置は、実施の形態5におけるタッチスクリーン付き表示装置に対して、フレキシブルプリント基板と、コントローラ基板とをさらに備える。
表示装置用タッチスクリーン付き基板1の各端子部12,15に、フレキシブルプリント基板の対応する端子が、例えば異方性導電フィルム(Anisotropic Conductive Film:ACF)などによって実装されている。このフレキシブルプリント基板を介して,表示装置用タッチスクリーン付き基板1の検出用配線3と、コントローラ基板とが電気的に接続されることによって、表示装置用タッチスクリーン付き基板1は、タッチパネルとして機能する。
コントローラ基板は、タッチスクリーンを駆動するタッチスクリーン駆動回路、即ち駆動装置と、タッチ位置を検出する検出装置と、検出したタッチ位置を外部に出力する出力装置とを備える。
タッチスクリーン駆動回路は、各行方向束配線および各列方向束配線と、検出装置との接続を順次高速で切り替える。検出装置、即ち検出処理回路は、信号電圧の印加によって検出用列配線31もしくは検出用行配線32と指などの指示体との間に形成される静電容量から成るタッチ容量の検出を行う。また、この検出結果に基づいて、指示体のタッチ位置の表示装置用タッチスクリーン付き基板1上におけるタッチ位置の算出処理を行う。
検出処理回路には、例えば投影型静電容量方式の検出方法を採用する。また、出力装置は、外部接続端子であり、検出処理回路によるタッチ座標の算出処理の結果を外部の処理装置に出力する。
なお、コントローラ基板上に備わる駆動装置および検出処理回路は、コントローラ基板上ではなく、透明基板2上に直接形成してもよい。
<効果>
本実施の形態におけるタッチスクリーン付き表示装置は、タッチスクリーンを駆動する駆動装置と、タッチ位置を検出する検出装置と、検出した前記タッチ位置を出力する出力装置とをさらに備える。
従って、本実施の形態におけるタッチスクリーン付き表示装置は、実施の形態1〜4のいずれかにおけるタッチスクリーン付き基板を備えるため、実施の形態1〜4のいずれかで述べた効果を得ることが可能である。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。