<実施形態1>
(車両用負荷制御システム)
本発明の実施形態1を、図1乃至図26を参照しつつ説明する。本実施形態では、車両用制御負荷システム(以下、制御システム)100で利用される光電気ハイブリッドコネクタ1(以下、単にコネクタ1と称する場合がある)を例示する。ここで、先ず図1を参照しつつ制御システム100について説明する。
図1は、車両用負荷制御システム100の構成を示すブロック図である。制御システム100は、車両に搭載されている負荷Lに供給される電力を制御するシステムである。制御システム100は、図1に示されるように、ジャンクションボックス(以下、JB)101、リレーボックス(以下、RB)102を備えている。JB101とRB102とは、光信号線(光ケーブル)103を介して互いに接続されている。光信号線103の一方(JB101側)の端部には、光接続部(光コネクタ)104が取り付けられている。
JB101は、主として、電子制御ユニット(ECU:Electric Control Unit)101a、スイッチ101b、及び発光部101cを備えている。ECU101aは、JB101の外側にある手動スイッチ105からの信号を検知し、その検知された信号に基づいて、スイッチ101bのオン/オフ状態を制御する。手動スイッチ105からオン信号が送信されると、ECU101aはその信号に基づいて、スイッチ101bをオン状態とする。スイッチ101bがオン状態となると、電源106から発光部(例えば、LED:Light Emitting Diode)101cに直流電力が供給されて、発光部101cが点灯する。発光部101cは、上述した光接続部104に隣接配置されており、スイッチ101bがオン状態の際、光接続部104に対して光信号を出力する。すると、光接続部104は、発光部101cからの光信号を受け取り、その後、上述した光信号線103を介してRB102側へ送信する。
RB102は、主として、光電気ハイブリッドコネクタ1、リレー装置(スイッチング装置)102a、回路基板102b、受光部102c、及び相手側コネクタ102dを備えている。上述した光信号線103の他方(RB102側)の端部には、光電気ハイブリッドコネクタ1が取り付けられている。このコネクタ1には、光信号線103の他に、負荷Lに電力を供給するための電線(電源ケーブル)107の端部にある端子(メス型端子4)も取り付けられている。電線107には、負荷Lに直流電力を供給するための電源108が接続されている。コネクタ1は、回路基板102b上に表面実装されている相手側コネクタ102dに対して嵌合接続される。相手側コネクタ102dは、負荷Lに対して、回路基板102bに形成されている配線パターン(不図示)や、電線109等により電気的に接続されている。なお、相手側コネクタ102dと負荷Lとの間には、リレー装置102aが設けられており、このリレー装置102aのオン/オフ動作に応じて、電源108から負荷Lに対して電力が供給されるタイミングが決定されている。つまり、リレー装置102aは、負荷Lに供給される電力を制御するスイッチング素子として機能する。
回路基板102b上には、相手側コネクタ102dの他に、受光部(例えば、フォトダイオード)102cが表面実装されている。受光部102cは、コネクタ1で保持されている光信号線103の端部と対向配置されており、JB101側から光信号線103を介して送られてくる光信号を検知すると、受光部(光信号を電気信号に変換する光素子を含む)102cはリレー装置102aに対して、前記光信号を電気信号に変換してなるオン信号を送信する。すると、リレー装置102aが作動してオン状態となり、電源108からの負荷Lに対する電力供給が開始される。
これに対して、手動スイッチ105がオフ状態の場合、ECU101aは、手動スイッチ105からの信号を検知しないため、スイッチ101bをオフ状態に制御して、電源106の発光部101cに対する電力供給を停止する。すると、発光部101cからの光信号も停止され、そして受光部102cにより光信号が検知されなくなる。その結果、リレー装置102aがオフ状態となり、電源108からの負荷Lに対する電力供給が停止される。以上のようにして、制御システム100は、負荷Lに対する供給電力を制御する。なお、JB101に内蔵されているECU101a、スイッチ101b、発光部101c等は、リレー装置102aのスイッチング動作を制御する回路を構成している。
(光電気ハイブリッドコネクタ1)
続いて、本実施形態の光電気ハイブリッドコネクタ1ついて詳細に説明する。図2は、光電気ハイブリッドコネクタ1の斜視図であり、図3は、光電気ハイブリッドコネクタの正面図であり、図4は、底面側から見た光電気ハイブリッドコネクタ1の斜視図である。コネクタ1は、回路基板102b上に実装されている相手側コネクタ102d(図1参照)に嵌合接続されるものである。コネクタ1は、図2乃至図4に示されるように、ハウジング2と、このハウジング2に取り付けられるリテーナ3とを備えている。また、図5は、底面側から見たリテーナ3の斜視図であり、図6は、光電気ハイブリッドコネクタの背面図であり、図7は、図6のA−A’線断面図であり、図8は、図7の拡大断面図である。図2等には示されていないが、コネクタ1は、更に、電線107の端末に取り付けられているメス型端子4と、光ケーブル103に外嵌されている係止リング5とを備えている。
なお、図2の左側及び図3の紙面奥側を後方とし、かつ図2の右側及び図3の紙面手前側を前方としてコネクタ1を説明する。また、図3の左側をコネクタ1の右側とし、かつ図3の右側をコネクタ1の左側とする。先ず、コネクタ1が備えているハウジング2について説明する。
ハウジング2は、概ね、中央部分がその両端部分よりも突出する形で前方に延びたブロック型の外観形状を備えており、絶縁性を備えた合成樹脂の成型品からなる。ハウジング2の中央部分には、光ケーブル103の端末を収容するための光収容部21が設けられている。そして、この光収容部21の左右には、電線107の端末に取り付けられたメス型端子4を収容するための端子収容部22,22がそれぞれ設けられている。なお、2つの端子収容部22,22のうち、光収容部21の左側に配されるものを、端子収容部22Aと表し、その右側に配されるものを端子収容部22Bと表す。
光収容部21は、光信号線103(図1参照)として利用される光ケーブル103の端末を収容する部分である。光収容部21は、概ね前後方向に沿って延びた形をなしつつ、その前方部分がその後方部分よりも下方に突き出した形をなしている。光収容部21には、光ケーブル103の端末が挿入される挿入孔21aが設けられている。挿入孔21aは、光収容部21を貫通する孔からなり、その一方の開口端21a1が光収容部21の後端面に配され、かつ他方の開口端21a2が光収容部21の前方側の底面に配される形となっている。そして、挿入孔21aの後方部分は、概ね光収容部21の前後方向に沿って真っ直ぐに延びた形をなしているものの、前方部分は、下方に向かうように曲がった形をなしている(図7等参照)。このような挿入孔21aに光ケーブル103の端末が挿入されると、先端面が下方に向かう形で光ケーブル103が光収容部21に収容されることになる。なお、光収容部21には、複数本(本実施形態の場合、10本)の挿入孔21aが互いに重ならない形で設けられている。
各挿入孔21aは、図1に示されるように、光収容部21に、上下方向において、4段に分かれて配置されている。各段には、左右方向に2本又は3本の挿入孔21aが並べられている。そして、図4に示されるように、光収容部21を底側から見た際、各挿入孔21aの前方の開口端21a2同士は、光収容部21の前方側の底面において、前記開口端21a1の配置と対向するように、底面の前後方向において、4段に分かれて配置されている。光ケーブル103同士の間隔は、電線の場合と比べて、狭く設定することができるため、このような配置の挿入孔21aによって、光収容部21に収容される光ケーブル103同士の間隔が狭く設定され、その結果、ハウジング2(コネクタ1)の小型化(特に、左右方向、幅方向における小型化)を図ることができる。
端子収容部22は、電線107(図1参照)の端末に取り付けられたメス型端子4を収容する部分である。端子収容部22は、光収容部21よりは長さが短いものの、光収容部21と同様、前後方向に沿って延びた形をなしている。端子収容部22には、メス型端子4が挿入される前後方向に沿って延びた挿入室(キャビティ)22aが設けられている。挿入室22aは、端子収容部22をその後端面から前方に向かって凹部状に掘り込まれたような形をなしている。挿入室22aの後端にある入口22a1は、端子収容部22の後端面に配されており、四角形状をなしている。これに対して、挿入室22aの前端には、挿入室22a内に挿入されたメス型端子4の先端が突き当る壁部22a2がある。この壁部22a2には、相手側のオス型端子205が、挿入室22a内に進入するための進入孔22a3が設けられている。壁部22a2における進入孔22a3の位置は、相手側のオス端子が進入孔22a3から挿入室22a内に進入した際に、オス型端子205が挿入室22a内のメス型端子4と接続できるように設定されている。
挿入室22aは、端子収容部22A、及び端子収容部22Bに対して、それぞれ4個ずつ設けられている。つまり、挿入室22aは、1つのハウジング2に対して、合計8個設けられている。端子収容部22Aに設けられている4個の挿入室22aは、図2に示されるように、左右方向に2個並びつつ、上下方向に2個並ぶ形となっている。また、端子収容部22Bに設けられている4個の挿入室22aについても同様に、左右方向に2個並びつつ、上下方向に2個並ぶ形となっている。そして、端子収容部22A側の4個の挿入室22aと、端子収容部22B側の4個の挿入室22aとは、上述した10本の挿入孔21aを左右から挟む形で、ハウジング2に配置されている。なお、端子収容部22Aにおける4個の挿入室22aのうち下側で並列した(つまり、下段の)2個の挿入室22aと、端子収容部22Bにおける4個の挿入室22aのうち下側で並列した(つまり、下段の)2個の挿入室22aとは、ハウジング2の左右方向において、互いに一列に並ぶ形となっている。また、端子収容部22Aにおける上側で並列した(つまり、上段の)2個の挿入室22aと、端子収容部22Bにおける上側で並列した(つまり、上段の)2個の挿入室22aについても、ハウジング2の左右方向において、互いに一列に並ぶ形となっている。要するに、各挿入室22aは、ハウジング2の上下方向において、2段に分かれつつ、各段において左右方向に沿って列状に配置されている。
図4に示されるように、ハウジング2の後方の底側には、リテーナ3が装着される凹部状のリテーナ装着部23が設けられている。リテーナ装着部23は、ハウジング2の底面からハウジング2の上方に向かって概ね、凹部状に窪んだ形をなしている。また、リテーナ装着部23は、光収容部21を横切るように、一方の端子収容部22Aから他方の端子収容部22Bに亘って、ハウジング2の左右方向に沿って設けられている。リテーナ装着部23のうち、光収容部21に設けられている部分23aは、挿入孔21aと交わりつつ上下方向に延びた形で設けられている。つまり、前記部分23aは、前後方向に延びた挿入孔21aの途中に設けられており、挿入孔21aと繋がっている(図7参照)。また、リテーナ装着部23のうち、端子収容部22A,22Bに設けられている部分23bも、挿入室22aと交わりつつ上下方向に延びた形で設けられている。つまり、前記部分23bは、前後方向に延びた挿入室22aの途中に設けられており、挿入室22aと繋がっている。
ハウジング2は、上述した構成以外にも、コネクタ1が相手側コネクタ102dと嵌合接続する際に利用されるガイド溝24、及びロック部25を備えている。ガイド溝24は、相手側コネクタ102dが備えている筒状のハウジング(相手側ハウジング200)内に挿入される際、コネクタ1を前記筒状のハウジングの奥側に誘導するために利用される。ガイド溝24は、ハウジング2の上面に設けられており、ハウジング2の前後方向に沿って延びた凹部状をなしている。本実施形態の場合、ガイド溝24は、ハウジング2の上面に2個設けられている。2個のガイド溝24のうち、一方のガイド溝24は、端子収容部22Aの上面に割り当てられ、他方のガイド溝24は、端子収容部22Bの上面に割り当てられている。つまり、2つのガイド溝24は、ハウジング2の上面の両端部分に前後方向に沿う形で設けられている。
ロック部25は、コネクタ1のハウジング2を、相手側コネクタ102dが備える前記筒状のハウジング(相手側ハウジング200)に対して着脱可能な状態で固定するために利用される。ロック部25は、ハウジング2の上面において、ガイド溝24に挟まれるように前後方向に沿った形で設けられている。つまり、ロック部25は、ハウジング2の上面のうち、光収容部21の上面に割り当てられている。ロック部25は、前方に配される一端が光収容部21の上面に固定されると共に、後方に配される他端が下向きに弾性変形可能な状態で設けられる長手状のバネ部25aと、このバネ部25aの上面に設けられ、相手側コネクタ102dが備える前記筒状のハウジングに係止する突起部25bとを備えている。
続いて、リテーナ3について説明する。リテーナ3は、概ね、ハウジング2の左右方向に沿って長手状に延びた形をなしており、ハウジング2と同様、絶縁性を備えた合成樹脂の成型品からなる。リテーナ3の中央部分には、リテーナ装着部23のうち光収容部21に設けられている部分23aに差し込まれて、光ケーブル103の端末を抜け止めする光抜け止め部31が設けられている。また、光抜け止め部31の両端には、リテーナ装着部23のうち端子収容部22(22A,22B)に設けられている部分23b、23bに差し込まれて、挿入室22aに挿入されているメス型端子4を抜け止めする端子抜け止め部32が設けられている。なお、端子抜け止め部32のうち、端子収容部22Aに設けられているリテーナ装着部23(23b)に差し込まれる部分を、端子抜け止め部32Aと表し、端子収容部22Bに設けられているリテーナ装着部23(23b)に差し込まれる部分を、端子抜け止め部32Bと表す。
リテーナ3がリテーナ装着部23に対して装着される際、リテーナ3は、ハウジング2の底側から上方に向かうように差し込まれる。すると、リテーナ3は、先ず、リテーナ装着部23に対して、リテーナ3の一部がハウジング2の底面よりも外側にはみ出した状態で係止され、所謂、仮係止状態となる。図4には、仮係止状態のリテーナ3が示されている。仮係止状態のリテーナ3が、更にリテーナ装着部23に対して差し込まれると、リテーナ3は、リテーナ装着部23内に収納された状態で係止され、所謂、本係止状態となる。
リテーナ3の長手方向(左右方向)における側端部には、リテーナ3をリテーナ装着部23に対して、仮係止状態、及び本係止状態を保つための係止爪33が設けられている。係止爪33は、全体的には、リテーナ3の側端部において上下方向に延びつつ、突起状の先端が前方又は後方に向かうように折れ曲がった形をなしている。なお、係止爪33は、その先端部分がリテーナ装着部23の内壁で押されると弾性変形し、外力が解除されると元の形状に復元することができる。リテーナ3の側端部には、先端の向きが互いに逆向き(互いに外向き)となる一対の係止爪33a,33bが設けられている。前記一対の係止爪33のうち、先端がハウジング2の前方に向かうものを係止爪33aと表し、先端がハウジング2の後方に向かうものを係止爪33bと表す(図5等参照)。このような前記一対の係止爪33a,33bが、リテーナ3の両側端部にそれぞれ設けられている。
なお、ハウジング2に設けられているリテーナ装着部23の内壁面には、リテーナ3が仮係止状態で保持されるように係止爪33が係止される仮係止突起(不図示)と、リテーナ3が本係止状態で保持されるように係止爪33が係止される本係止突起(不図示)が設けられている。リテーナ装着部23の内壁面において、前記仮係止突起は、前記本係止突起よりも手前側(底面側)に設けられている。リテーナ3がリテーナ装着部23に差し込まれると、係止爪33は、リテーナ装着部23の内壁面に押されて弾性変形しつつリテーナ装着部23の奥側へ進む。すると、係止爪33は、先ず、前記仮係止突起に到達し、更に、前記仮係止突起を乗り越えるように移動する。そして、係止爪33は、前記仮係止突起と前記本係止突起との間で挟まれ、かつ前記仮係止突起等に係止されることにより、リテーナ3がリテーナ装着部23に対して仮係止状態で保持される。更に、仮係止状態のリテーナ3が、リテーナ装着部23の奥側に差し込まれると、係止爪33は、弾性変形しつつ前記本係止突起を乗り越えるように移動し、その後、弾性復帰して前記本係止突起と、リテーナ装着部23の上方側(奥側)の内壁面(天井面)との間で挟まれ、かつ前記本係止突起等に係止されることにより、リテーナ3がリテーナ装着部23に対して本係止状態で保持される。
光抜け止め部31は、内側に前後方向に貫通する孔を含み、リテーナ3が仮係止状態の場合、後方から前方に向かって前記孔に光ケーブル103の端末が挿通され、かつリテーナ3が本係止状態の場合、光ケーブル103が後方に移動することが防止される挿通部31aを備えている。挿通部31aは、後方の開口端31a1から前方の開口端31a2に向かって概ね真っ直ぐに延びた形をなしている。挿通部31aの内径は、挿入孔21aの内径よりも大きく設定されている。挿通部31aは、挿入孔21aを中継する形で配される。リテーナ3が仮係止状態の場合、挿入孔21aと、光抜け止め部31の挿通部31aとは、光ケーブル103の端末を挿通させる空間を保ちつつ、互いに連なった状態となっている。なお、図7及び図8には、リテーナ3が本係止状態でリテーナ装着部23に装着されている様子が示されている。
また、図8に示されるように、挿通部31aの後方側の内周面には、挿通部31aの内側に向かって盛り上がり、光ケーブル103と係止する係止部31bが設けられている。この係止部31bは、挿通部31aの後方から見た際、図6に示されるように、挿通部31aの下側(底側)に配され、かつ上面が平坦な形をなしている。つまり、係止部31bは、挿通部31aの内側に、周方向に沿いつつ盛り上がった形をなしている。この係止部31bの前端面は、前方(開口端31a2側)を向きつつ、光ケーブル103に外嵌されている後述の係止リング5における円環状の後端面5aと係止する光係止面31cとなっている。
係止部31bは、リテーナ3が仮係止状態の場合、前後方向に延びた挿入孔21aに入り込まないように、挿入孔21aの下方(ハウジング2の底側)で待機するようにリテーナ3に設けられている。また、係止部31bは、リテーナ3が本係止状態の場合、前後方向から見た状態で前記挿入孔21aに入り込んで、光ケーブル103の係止リング(後述)と係止できるようにリテーナ3に設けられている。
挿通部31aは、光抜け止め部31において、複数個(本実施形態の場合、10個)設けられており、光収容部21に設けられている各挿入孔21aに対して、1つずつ割り当てられている。図5に示されるように、10個の挿通部31aは、挿入孔21aと同様、上下方向において、4段に分かれて配置されている。各段には、挿入孔21aと同様、左右方向に2本又は3本の挿通部31aが並ぶ形となっている。
端子抜け止め部32は、挿入室22aに挿入されているメス型端子4(具体的には、接続部41の後端)を係止してメス型端子4が後方に移動することを防止する端子係止部32aを備えている。端子係止部32aは、図5に示されるように、上方(図5の下側)に突出した形をなしている。端子係止部32aは、端子抜け止め部32において複数個(本実施形態の場合、8個)設けられており、端子収容部22に設けられている挿入室22aに対して、1つずつ割り当てられる形となっている。そのため、端子抜け止め部32には、上下2段(2列)に分かれるように、設置個所の高さ(リテーナ3の底側からの高さ)が異なる端子係止部32aが設けられている。つまり、端子係止部32aには、端子収容部22において上下2段(2列)に分かれて配されている各挿入室22aのうち、下側(下段側)の挿入室22aに割り当てられるものと、上側(上段側)の挿入室22aに割り当てられるものとがある。端子抜け止め部32Aには、端子係止部32aが上下に分かれて2個ずつ設けられている。また、端子抜け止め部32Bにも、同様に、端子係止部32aが上下に分かれて2個ずつ設けられている。
なお、端子抜け止め部32には、下側に割り当てられる端子係止部32aと、上側に割り当てられる端子係止部32aとの間には、メス型端子4が挿通される挿通孔32bが設けられている。この挿通孔32bは、端子収容部22において上下2段に分かれて設けられている各挿入室22aのうち、下側にある挿入室22aに挿入されるメス型端子4を挿通させるものである。
次いで、図9乃至図18を参照しつつ、コネクタ1に光ケーブル103及び電線107の各端末を取り付ける工程、及び前記各端末がコネクタ1(ハウジング2)にリテーナ3等を利用して抜け止めされる原理について、説明する。なお、図9乃至図18では、左側に、コネクタ1の前方が示され、右側にコネクタ1の後方が示されている。
ここで、先ずコネクタ1に取り付けられる光ケーブル103及び電線107について説明する。光ケーブル103は、光ファイバ103aの外周が樹脂製のシース103bで被覆されたものからなる。そして、光ケーブル103には、金属製のリングからなり、上述した係止部31b(光係止面31c)と係止する係止リング5が、固定された状態で外嵌されている。係止リング5は、例えば、帯状をなした金属製の板片部材(バレル状部材)を、光ケーブル103の外周面に対してリング状に圧着される(かしめ付ける)ことによって設けられる。係止リング5は、光ケーブル103を締め付ける形で、光ケーブル103の外周面に取り付けられている。光ケーブル103の外周面は、弾性を備えた樹脂製のシース103bで覆われているため、係止リング5は光ケーブル103を締め付けると、係止リング5がシース103bに対して若干、食い込んだ状態となる。そのため、係止リング5が、光ケーブル103の所定個所に外嵌された状態で固定される。光ケーブル103において、係止リング5が取り付けられる個所は、光ケーブル103がコネクタ1の挿入孔21a及びリテーナ3の挿通部31aに対して最終的に挿入された状態(つまり、光ケーブル103の先端面が基板102b上の光素子102cと対向した状態)において、挿通部31aに設けられた係止部31bの前方に隣接する個所となっている。光ケーブル103の端末は、係止リング5が取り付けられた状態で、挿入孔21a及び、挿入孔21aを中継する仮係止状態の挿通部31aに挿し込まれる。
電線107は、導体(導線)の外周が絶縁被覆で包囲されたものからなる。電線107の端末部分では、導体が絶縁被覆から露出されており、その露出した導体部分に、メス型端子4が圧着(かしめ付け)されている。メス型端子4は、全体的には、前後方向に沿って細長く延びた形をなしており、所定形状に打ち抜きされた金属製の板材が所定形状に加工されたものからなる。メス型端子4の前方には、角筒状の接続部41が設けられており、その後方には、前記絶縁被覆から露出した導体に圧着される圧着部(バレル)42が設けられている。コネクタ1(ハウジング2)には、10本の光ケーブル103の端末部分と、8本の電線107が備える8個のメス型端子4が取り付けられる。
続いて、コネクタ1に光ケーブル103及び電線107のメス型端子4を取り付ける工程を説明する。先ず、コネクタ1を構成するハウジング2及びリテーナ3が、互いに分離された状態で用意される。次いで、ハウジング2のリテーナ装着部23に、リテーナ3が仮係止状態で装着される。そして、仮係止状態のリテーナ3が装着されているハウジング2に対して、電線107の端末に設けられたメス型端子4と、係止リング5が取り付けられた光ケーブル103の端末がそれぞれ取り付けられる。図9は、仮係止状態のリテーナ3が装着されている底面側から見た光電気ハイブリッドコネクタ1の底面図である。
図10は、図9のB−B’線断面図であり、図11は、図10の拡大断面図である。図10及び図11には、仮係止状態のリテーナ3が装着されているハウジング2の挿入室22aに、メス型端子4が挿入された状態が示されている。リテーナ3が仮係止状態でハウジング2に装着されると、リテーナ3が備える挿通孔32bと、ハウジング2の端子収容部22に設けられている下段(底側)の挿入室22aとが前後方向においてメス型端子4が挿入可能な空間を保ちつつ、一直線上に繋がる。また、リテーナ3が仮係止状態の際、上段の挿入室22aも、メス型端子4が挿入可能な空間を保った状態となっている。リテーナ3に設けられている各端子係止部32aは、仮係止状態では、挿入室22aに挿入されるメス型端子4と干渉しないように、各挿入室22aの底側で待機している。このよう仮係止状態のリテーナ3が装着されているハウジング2において、ハウジング2の端子収容部22に設けられている挿入室22aに、電線107の端末部分に設けられたメス型端子4が挿入される。なお、挿入室22aの前方の内壁(底側の内壁)には、メス型端子4の接続部41に係止する図示されないランスが設けられている。ランスは、全ての挿入室22aに設けられている。メス型端子4は、挿入室22aに対して、入口22a1から挿入される。そして、メス型端子4は、その先端にある接続部41が、奥側(前方)にある壁部22a2に突き当たるまで挿入室22aに挿し込まれる。接続部41の先端部分が、壁部22a2に突き当たると、ランスが接続部41に係止され、そして接続部41の内側にある筒状の孔と、壁部22a2に設けられた進入孔22a3とが前後方向において一直線上に繋がる。最終的に、メス型端子4の接続部41は、挿入室22aの前方部分に収容され、そして、メス型端子4の圧着部42は、挿入室22aの後方部分に収容されることになる。
また、図9に示されるように、リテーナ3が仮係止状態で装着されているハウジング2の挿入孔21aには、光ケーブル103の端末部分が挿入されている。図12は、図9のC−C’線断面図であり、図13は、図12の拡大断面図である。図12及び図13には、仮係止状態のリテーナ3が装着されているハウジング2の挿入孔21aに、係止リング5が外嵌された光ケーブル103の端末部分が挿入された状態が示されている。リテーナ3が仮係止状態の場合、光抜け止め部31は、リテーナ装着部23(23a)から外側(底側)に部分的にはみ出した状態となっている。そして、光抜け止め部31の上端面と、リテーナ装着部23の上方側の内壁面(天井面)23cとの間には、隙間が形成された状態となっている。光抜け止め部31がこのような状態(仮係止状態)となっていると、挿入孔21aを中継する挿通部31aは、係止リング5が取り付けられた光ケーブル103の端末を挿通することができる状態となっている。そして、リテーナ3が仮係止状態の場合、リテーナ3に設けられている係止部31bは、挿通部31a内を通過する光ケーブル103及び係止リング5に干渉しないように、挿入孔21aの下方(ハウジング2の底側)で待機されている。
このようにリテーナ3が仮係止状態でハウジング2に装着されている状態で、挿入孔21aに係止リング5が取り付けられた光ケーブル103の端末部分が、後方の開口端21a1から挿入される。挿入された光ケーブル103は、先ず、リテーナ3(光抜け止め部31)よりも後方にある部分の挿入孔21aを前方に進み、その後、挿入孔21aと連なる挿通部31aを通過する。その後、光ケーブル103の先端部分は、リテーナ3よりも前方にある挿入孔21aに進入し、開口端21a2に向かって挿入孔21a内を進む。光ケーブル103の先端部分は、挿入孔21aの前方部分に近づくと、湾曲した挿入孔21aの形状に沿って撓みながら進み、更に、ハウジング2(光収容部21)の底面に向かって進む。なお、ハウジング2(光収容部21)の底面に配される開口端21a2の内径は、それよりも奥側(開口端21a1側)にある挿入孔21aの内径よりも小さく設定されている。そして、開口端21a2の奥側にある挿入孔21aの内壁には、光ケーブル103の先端面と接触する円環状の接触面21a4が設けられており、光ケーブル103の端末部分が、開口端21a2から外側に突き出すことが防止されている。そのため、光ケーブル103は、最終的には、先端面が接触面21a4に接触するところまで、挿入孔21a内に挿し込まれる。なお、最終的に、光ケーブル103の先端面が前記接触面21a4に接触した際、光ケーブル103に取り付けられている係止リング5は、リテーナ3の挿通部31a内に配されている。具体的には、係止リング5は、挿通部31a内のうち、係止部31bよりも前方部分に収容された状態となっている。
リテーナ3が仮係止状態で装着されているハウジング2に対して、メス型端子4、及び係止リング5が取り付けられた光ケーブル103の端末部分がそれぞれ取り付けられた後、リテーナ3が本係止状態となるようにリテーナ装着部23に差し込まれる。図14は、本係止状態のリテーナ3が装着されている底面側から見た光電気ハイブリッドコネクタ1の底面図であり、図15は、図14のD−D’線断面図であり、図16は、図15の拡大断面図である。図15及び図16には、本係止状態のリテーナ3が装着されているハウジング2の挿入室22aに、メス型端子4が収容されている状態が示されている。リテーナ3が本係止状態となるようにリテーナ装着部23に差し込まれると、リテーナ3に設けられている各端子係止部32aは、ハウジング2の上方に向かって移動して各挿入室22aに進入し、メス型端子4の接続部41の後端を係止するように配置される。なお、本実施形態の場合、各端子係止部32aの上端面は、メス型端子4の圧着部42の先端部分(接続部41の後端に隣接する部分)に対して、下側から宛がわれた形となっている。
リテーナ3が本係止状態となると、メス型端子4を挿入室22aから後方へ引き抜こうとしても、接続部41の後端が端子係止部32aによって引っかかるようになる。したがって、メス型端子4が端子係止部32aで係止されることにより、挿入室22aから後方に移動することが防止される。なお、本実施形態のメス型端子4は、端子係止部32aと共に、上述したランス(不図示)によっても係止されている。つまり、メス型端子4は、端子係止部32a及びランスによって2重に係止されており、これらによりハウジング2の挿入室22aからの引き抜きが防止されている。なお、リテーナ3がリテーナ装着部23に対して本係止状態で装着されると、リテーナ3は、リテーナ装着部23内に収容されることになる。
また、仮係止状態のリテーナ3が、本係止状態となるようにリテーナ装着部23に差し込まれると、挿通部31aがハウジング2の上方に向かって移動し、挿通部31aの内側に設けられている係止部31bが、挿入孔21aを前後方向から見て、挿入孔21a内に入り込む形(重なる形)となる。図17は、図14のE−E’線断面図であり、図18は、図17の拡大断面図である。図17及び図18には、本係止状態のリテーナ3がリテーナ装着部23(23a)に装着されており、かつ挿入孔21a及び挿通部31aに、係止リング5が取り付けられた光ケーブル103の端末が挿入されている状態が示されている。このように、挿入孔21a内に、係止部31bが入り込むと、係止部31bの前方にある光係止面31cが、光ケーブル103に外嵌されている係止リング5の後端面5aと対向する形となる。なお、本実施形態の場合、係止部31bの上端面は、係止リング5の後方にある光ケーブル103の外周面に、底側(下側)から宛がわれた形となっている。このような状態において、光ケーブル103の端末部分を挿入孔21aから後方へ引き抜こうとしても、主として、係止部31bの光係止面31cが、係止リング5の後端面5aと係止するため(つまり、係止部31bの光係止面31cが、係止リング5の後端面5aに引っ掛かるため)、光ケーブル103の端末部分が挿入孔21aから後方に移動すること(つまり、引き抜き)が防止される。
以上の工程により、コネクタ1に対して、電線107及び光ケーブル103の各端末を取り付けることができる。
次いで、図19乃至図26を参照しつつ、更に、光電気ハイブリッドコネクタ1について説明する。図19は、嵌合接続前の光電気ハイブリッドコネクタ1及び相手側コネクタ102dの斜視図であり、図20は、嵌合接続後の光電気ハイブリッドコネクタ1及び相手側コネクタ102dの斜視図である。また、図21は、図20に示される光電気ハイブリッドコネクタ1及び相手側コネクタ102dの背面図であり、図22は、図20に示される光電気ハイブリッドコネクタ1及び相手側コネクタ102dの左側面図であり、図23は、図20に示される光電気ハイブリッドコネクタ1及び相手側コネクタ102dの平面図である。そして、図24は、図23のF−F’線断面図であり、図25は、図24の拡大断面図であり、図26は、図23のG−G’線断面図である。
本実施形態のコネクタ1は、図20に示されるように、相手側コネクタ102dに対して、嵌合接続されるものである。ここで、先ず相手側コネクタ102dについて説明する。なお、コネクタ1との嵌合接続時に、コネクタ1が進入してくる側を後方とし、かつその反対側を前方として、相手側コネクタ102dを説明する。そして、相手側コネクタ102dにおける左右方向は、相手側コネクタ102dを後方から前方を見た場合を基準とする。
相手側コネクタ102dは、図19等に示されるように、回路基板102b上に実装されている。回路基板102bは、プリント基板からなり、回路基板102bには、図示されない配線パターンや、その他の実装部品等が設けられている。そして、後で詳細に説明するように、この回路基板102b上には、受光部102cを構成する受光素子(フォトダイオード)が実装されている。相手側コネクタ102dは、平面視で矩形状をなした回路基板102bの端部に、一部が前記回路基板102bから外側(コネクタ1側)にはみ出す形で配置されている。相手側コネクタ102dは、コネクタ1側のハウジング2と同様、絶縁性を備えた合成樹脂の成型品からなる相手側ハウジング200を備えている。
相手側ハウジング200は、全体的には、概ね前後方向に沿って延びた形をなしている。また、相手側ハウジング200の内側には空間が200aあり、この空間200a内に、コネクタ1が収容される構成となっている。相手側ハウジング200の中央部分は、その両端部分よりも前後方向に長く延びた形をなしており、ハウジング2の光収容部21を収容する相手側光収容部201となっている。そして、その相手側光収容部201の両端部分は、ハウジング2が備える2つの端子収容部22を収容する相手側端子収容部202となっている。なお、端子収容部22Aを収容する側を、相手側端子収容部202Aと表し、端子収容部22Bを収容する側を、相手側端子収容部202Bと表す。相手側ハウジング200の前方部分は、相手側光収容部201の前方部分201cとなっており、前後方向に沿って延びた細い筒状をなしている。この筒状の前方部分201cの内側に、先端部分が外側(前方)にはみ出す形で光収容部21が収容される。また、相手側ハウジング200の後方部分は、後方(コネクタ1側)に開口し、前記前方部分201cよりも左右方向に広がり、かつ底に貫通孔201bが空けられたような横置きされた容器状をなしている。容器状をなしている相手側ハウジング200の後方部分には、コネクタ1の後方部分が収容される。なお、上述したように、光収容部21の前方部分は、その後方部分よりも下方に突き出した形をなしているため、その前方部分が相手側ハウジング200内を通過できるように、相手側光収容部201の底面位置が、相手側端子収容部202の底面位置よりも一段低く設定されている。
なお、相手側ハウジング200の後方部分には、上方に開口した開口部201aが設けられている。この開口部201aは、前記後方部分の左右方向における中央部分(つまり、相手側光収容部201に相当する部分)の上方部分(天井部分)に設けられている。また、相手側端子収容部202における上方の内壁(天井)には、下方に向かって突出しつつ前後方向(嵌合方向)に沿って延びたガイド凸部204が設けられている。このガイド凸部204が、コネクタ1と相手側コネクタ102dとの嵌合時に、ガイド溝24内を沿って進むことにより、コネクタ1の進行方向が調節され、コネクタ1が相手側ハウジング200の奥側まで案内される。また、相手側ハウジング200の下端には、回路基板102bに対して載置した形で固定される基部203が設けられている。相手側ハウジング200は、基部203が、回路基板102bの裏面側から挿し込まれるビス206によって螺着されることにより、回路基板102bの表側に固定されている。
相手側コネクタ102dは、上述した相手側ハウジング200の他に、オス型端子205を備えている。オス型端子205は、全体的には、細長く延びた金属製の部材がL字状に折り曲げられた形をなしている。オス型端子205の一方の端部205aは、相手側ハウジング200内に、前方から後方に向かって挿し込まれた状態となっている。オス型端子205の前記端部205aは、コネクタ1に収容されているメス型端子4に接続される部分であり、相手側端子収容部202の内側に収容されている。このようなオス型端子205の前記端部205aは、後方(コネクタ1側)に向かいつつ嵌合方向に沿って配される形で相手側ハウジング200に取り付けられている。これに対して、オス型端子205の他方の端部205bは、回路基板102bに設けられているスルーホール102b1に挿し込まれた形で半田付け等により固定されている。このようなオス型端子205は、回路基板102bに形成されている配線パターン(不図示)に接続されている。
次いで、コネクタ1と、相手側コネクタ102dとの嵌合接続について説明する。コネクタ1を、相手側コネクタ102dに嵌合させる際、先ず前方に延びた光収容部21の先端部分が、相手側コネクタ102dの相手側ハウジング200内に挿入される。そして、光収容部21の先端部分が、相手側ハウジング200の筒状の前方部分201cを通過し、更に前記前方部分201cから外側に露出するまで、コネクタ1が、相手側ハウジング200内に挿入される。その際、コネクタ1のガイド溝24内を、相手側コネクタ102dのガイド凸部204が伝うように移動することにより、コネクタ1の挿入方向(嵌合方向)が調節される。そして、相手側ハウジング200の上方に設けられている開口部201aに、コネクタ1の上面に固定されているロック部25の突起部25bが嵌合し、かつ前記開口部201aの後方側の開口縁201a1に、前記突起部25bが係止することによって、コネクタ1が相手側コネクタ102dに嵌合した状態で固定される。
コネクタ1と相手側コネクタ102dとが互いに嵌合接続されると、コネクタ1が備える光ケーブル103と、相手側コネクタ102dが実装されている回路基板102bとが、互いに光学的に接続(光学結合)される。以下、その内容を説明する。コネクタ1と相手側コネクタ102dとが互いに嵌合された際、コネクタ1の前方の底面にある開口端21a2と、相手側コネクタ102dが実装されている回路基板102b上の受光部(フォトダイオード)102cとが互いに向かい合うことになる。その結果、開口端21a2の奥側に収容されている光ケーブル103の先端面(光ファイバ103aの先端面)と、受光部102cとが互いに向かい合うことになる。そして、光ケーブル103を介して送られてきた光信号は、光ケーブル103の先端面から出射(出力)されて、その出射(出力)された光信号が受光部102cに入射(入力)される。
なお、光ケーブル103が備える光ファイバ103aの光軸と、受光部(フォトダイオード)102cの光軸とは、互いに厳密に一致していることが好ましい。しかしながら、光ケーブル(光信号線)103を介して送られる本実施形態の光信号は、電源108から負荷Lに対して供給される電力のオン/オフを制御するためのものである。そのため、光ファイバ103aの光軸と、受光部(フォトダイオード)102cの光軸とは、互いに厳密に一致していなくても、負荷Lに供給される前記電力のオン/オフが制御できるのであれば、問題ない。つまり、本実施形態のコネクタ1と、相手側コネクタ102dとの嵌合接続では、厳密な光軸同士の一致は求められないため、コネクタ1は製造し易い構成となっている。
受光部102cに入射された光信号は、受光部102cにより電気信号(オン信号)に変換され、その電気信号が上述したリレー装置102aに送信される(図1参照)。そして、上述のように、リレー装置102aが作動して、負荷Lに対する電力の供給が開始される。
このように、光ケーブル103から、回路基板102b上の受光部102cに対して、光信号を送ることが可能であり、コネクタ1は、相手側コネクタ102dと嵌合接続することにより、相手側の回路基板102bに対して互いに光学的に接続されていると言える。
なお、コネクタ1に取り付けられている各光ケーブル103の先端面は、回路基板102b上に配置されている各受光部102cにそれぞれ割り当てられた状態で、向かい合わせられている。そして、コネクタ1の先端部分にある光収容部21の底面の位置は、コネクタ1が相手側コネクタ102dに嵌合された際、前記光収容部21の底面が、回路基板102b上に実装されている受光部102cと接触しないように、設定されている。本実施形態の場合、前記光収容部21の底面と、回路基板102bの表面との間を、間隔dに設定することにより、前記光収容部21の底面と、受光部102cとの接触が防止されている。このようにして、コネクタ1の嵌合時に、受光部102cがコネクタ1の底面等に接触して破損等することが抑制されている。
また、コネクタ1と相手側コネクタ102dとが互いに嵌合接続されると、コネクタ1が備えるメス型端子4と、相手側コネクタ102dが備えるオス型端子205とが、互いに電気的に接続される。以下、その内容を説明する。コネクタ1と相手側コネクタ102dとが互いに嵌合された際、挿入室22a内に収容されているメス型端子4の接続部41の内側に、相手側ハウジング200の内側に後方を向く形で取り付けられているオス型端子205の端部205aが、進入孔22a3を通過しつつ挿し込まれる。すると、オス型端子205の端部205aは、メス型端子4の角筒状の接続部41の内側と接触することになり、その結果、メス型端子4とオス型端子205とが互いに電気的に接続される。そして、上述のように、リレー装置102aがオン状態の時に、コネクタ1及び相手側コネクタ102dを中継しつつ電線107等を介して、電源108から負荷Lに対して電力が供給される。なお、コネクタ1に取り付けられている各メス型端子4には、相手側コネクタ102dの各オス型端子205がそれぞれ割り当てられており、各々が電気的に接続される。
なお、コネクタ1を相手側コネクタ102dから取り外す際は、ロック部25(バネ部25a)の後端部分を押し下げて、前記開口縁201a1に係止されていた突起部25bを前記開口部201a内から除きつつ、コネクタ1を後方に引き抜くことになる。
以上のような構成を備えた本実施形態の光電気ハイブリッドコネクタ1では、信号線として、光ケーブル103を利用するため、隣り合った光ケーブル103同士の間隔を狭く設定することが可能であり、電線からなる信号線を利用した従来のハイブリッドコネクタと比べて、小型化(特に、左右方向における小型化)が可能な構成となっている。また、光ケーブル103と、電源用の電線107(メス型端子4)との間隔も、従来と比べて狭く設定することが可能であり、その点からも小型化(特に、左右方向における小型化)が可能な構成となっている。
また、本実施形態のコネクタ1は、信号線として光ケーブル103を利用するため、電線(電源ケーブル)107等からノイズの影響を受けることがなく、その点からも優れた構成となっている。
また、本実施形態のコネクタ1では、光ケーブル103を、いわゆる、通信用(光データを通信するためのもの)ではなく、負荷Lに供給される電力をオン/オフ制御するための光信号(オン/オフ信号)を送信するために利用される。そのため、回路基板102b上に実装されている受光部(フォトダイオード)102cと、コネクタ1が保持する光ケーブル103の先端面との位置合わせの精度は、負荷Lに供給される電力をン/オフ制御できるものであればよい。したがって、本実施形態のコネクタ1は、ある程度の寸法誤差、取付誤差等が許容されるため、製造し易い構造となっている。
また、本実施形態のコネクタ1では、光収容部21は、光収容部21の後端面に配される一方の開口端21a1から、光収容部21の先端側の底面に配される他方の開口端21a2に向かって、先端側が曲がった形で光収容部21を貫通する孔からなり、前記先端面が前記受光部(光素子、フォトダイオード)102cと対向する形で、光ケーブル103の端末が挿入される挿入孔21aを含む構成となっている。つまり、光ケーブル103の端末を挿入孔21aに挿入するだけで、前記嵌合時に、先端面が、基板102b上に実装されている受光部102cと対向する形で、光ケーブル103を光収容部21において収容することができる。そのため、本実施形態のコネクタ1では、光ケーブル103の端末をコネクタ1に取り付け易くなっている。
また、本実施形態に係るコネクタ1は、電線107の端末に設けられたメス型端子4と、光ケーブル103に外嵌された係止リング5と、相手側との嵌合時に、相手側と電気的に接続されるようにメス型端子4を収容する端子収容部22と、光ケーブル103の端末が係止リング5と共に挿入される挿入孔21aと、底側から上方に向かって窪んだ形をなし、挿入孔21aと繋がるリテーナ装着部23とを有するハウジング2と、リテーナ装着部23に差し込まれて仮係止状態で装着された後、更に差し込まれて本係止状態で装着されるリテーナ3であって、前後方向に貫通する孔を内側に含みつつ、内周面上に盛り上がる形で設けられた係止部31bを含む挿通部31aを有し、仮係止状態において、挿通部31aが、係止リング5を収容する形で光ケーブル103の端末を挿通させるように挿入孔21aを中継し、かつ本係止状態において、係止部31bが、係止リング5の後端面5aと係止できるように、前後方向から見て挿入孔21aに入り込むリテーナ3とを備えている。前記コネクタ1は、このような構成を備えることにより、光ケーブル103の端末がハウジング2内から後方に不要に引き抜かれることが防止される。
なお、上述したように、挿入孔21aの内壁には、光ケーブル103の先端面と接触する円環状の接触面21a4が設けられていることが好ましい。このような接触面21a4が設けられていると、挿入孔21aに光ケーブル103を挿入した際、光ケーブル103の端末部分が、開口端21a2から外側に突き出すことが防止されつつ、光ケーブル103の先端面の位置を、基板102b上に実装されている受光部102cと対向させるように、容易に設定することができる。
また、本実施形態に係るコネクタ1において、挿入孔21aは、ハウジング2(光収容部21)の後端面に配される一方の開口端21a1から、ハウジング2(光収容部21)の先端側の底面に配される他方の開口端21a2に向かって、先端側が曲がった形でハウジング2(光収容部21)を貫通する孔からなるものでる。また、本実施形態に係るコネクタ1において、基板102b上に実装された相手側コネクタ102dと嵌合され、相手側との嵌合時に、光ケーブル103の先端面が基板102b上に実装されている受光部(光素子)102cと対向するように、光ケーブル103が挿入孔21aに挿入される構成となっている。
また、本実施形態のコネクタ1において、ハウジング2(光収容部21)は、相手側コネクタ102dとの嵌合時に、先端側の底面が、受光部(光素子)102cに対して間隔を保ちつつ対向する構成となっている。つまり、コネクタ1が備えるハウジング2の先端側の底面(光収容部21の底面)の位置が、前記基板102bに対して間隔を保つように設定されているため、前記底面の真下に、受光部(光素子)102cを配置できる構成となっている。したがって、本実施形態のコネクタ1は、相手側ハウジング200に嵌合接続するだけで、コネクタ1が保持している光ケーブル103の先端面と、基板102b上に実装されている受光部102cとを、容易に対向させることができる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、全ての挿入孔21aに光ケーブル103が挿入され、そして、全ての挿入室22aにメス型端子4が挿入されていたが、他の実施形態においては、光ケーブル103の端末が挿入されていない挿入孔21aがあってもよいし、また、メス型端子4が挿入されていない挿入室22aがあってもよい。
(2)他の実施形態では、光信号として波長多重信号を利用する構成であってもよい。
(3)上記実施形態では、係止リング5は、金属製であったが、他の実施形態では、樹脂製等の他の材料で構成されるものであってもよい。
(4)上記実施形態では、コネクタ1のハウジング2は、係止リング5が外嵌された光ケーブル103の端末と共に、メス型端子4を収容する構成となっていたが、他の実施形態においては、係止リング5が外嵌された光ケーブル103の端末のみを収容するいわゆるコネクタ(所謂、光コネクタ)であってもよい。