JP2014098862A - カメラモジュール及びチタン銅箔 - Google Patents

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Abstract

【課題】ばね部材のへたりを抑制でき、落下等の衝撃が加わっても動作不良が生じ難いカメラモジュール及びチタン銅箔を提供する。
【解決手段】レンズ3と、レンズ3を光軸方向の初期位置へ弾性付勢するばね部材9a、9bと、ばね部材9a、9bの付勢力に抗する電磁力を生起してレンズ3を光軸方向へ駆動可能な電磁駆動手段11と、電磁駆動手段11に供給される駆動電流を制御する制御手段12とを備え、ばね部材9a、9bが、2.9〜3.5質量%のTiを含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなり、ヤング率が130GPa以下であり、厚さが0.01mm以上0.1mm未満であるカメラモジュール1である。
【選択図】図5

Description

本発明はカメラモジュール及びチタン銅箔に関する。
従来より、携帯電話等の小型電子機器に搭載されるカメラモジュールのレンズ駆動方式として、ばね部材の付勢力に抗する電磁力でレンズを移動させることによってオートフォーカス動作を行う技術が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
この種のレンズ駆動方式を採用したカメラモジュールには、レンズを光軸方向の初期位置へ弾性付勢する圧縮コイルばねや板ばね等のばね部材と、ばね部材の付勢力に抗する電磁力を生起してレンズを光軸方向へ駆動可能なコイルやマグネットを含む電磁駆動手段と、電磁駆動手段に供給される駆動電流を制御することによってレンズを所定位置へ移動させる制御手段とが具備されている。その動作原理について簡単に説明すると、電磁駆動手段のコイルへ通電がされていないとき、ばね部材はレンズを初期位置に保持しているが、電源から電磁駆動手段のコイルへ駆動電流が供給されると、ばね部材の付勢力に抗する電磁力が生起されてコイルがレンズと一体的に光軸方向へ移動する。そのため、駆動電流の大きさを制御手段で制御することによって、レンズを光軸上の所望の位置へ移動させるというオートフォーカス動作が行えるようになっている。
特開2004−280031号公報 特開2009−115895号公報
ところで、前述したレンズ駆動方式を採用しているカメラモジュールにおいて、レンズを保持しているばね部材を大きく弾性変形させているときに光軸方向に強い衝撃が加わると、このばね部材が弾性の比例限界を超えて変形して元に戻らなくなる危険性が高い。すなわち、この種のカメラモジュールを搭載した携帯電話等の小型電子機器をユーザが誤って落下させたときに、そのカメラモジュールのレンズが初期位置から大きく離れた位置に移動されていると、落下による衝撃でばね部材が自身の比例限界を超えて過度に変形してしまうおそれがある。比例限界を超えて変形してしまったばね部材はいわゆるへたりを生じてしまうため、以後オートフォーカス動作を正常に行うことが困難となる場合がある。
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ばね部材のへたりを抑制でき、落下等の衝撃が加わっても動作不良が生じ難いカメラモジュール及びチタン銅箔を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明者らはカメラモジュールのばね部材へのチタン銅箔の適用を検討した。チタン銅は、C1990(JIS登録合金、3.2質量%Ti−残Cu)、NKT322(JX日鉱日石金属(株)の開発合金、3.2質量%Ti−0.2質量%Fe−残Cu)等として実用化されており、高耐力を有し応力緩和特性にも優れることから、銅合金の中で最もへたりが生じ難い材料の一つとして知られている。本発明者らは、チタン銅箔のヤング率、更にはビッカース硬さを適正範囲に制御することでチタン銅箔のへたり特性を改善でき、カメラモジュールのばね部材として好適に使用できることを見出した。
以上の知見を基礎として完成した本発明は一側面において、レンズと、レンズを光軸方向の初期位置へ弾性付勢するばね部材と、ばね部材の付勢力に抗する電磁力を生起してレンズを光軸方向へ駆動可能な電磁駆動手段と、電磁駆動手段に供給される駆動電流を制御する制御手段とを備えるカメラモジュールであって、ばね部材が、2.9〜3.5質量%のTiを含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなり、ヤング率が130GPa以下であり、厚さが0.01mm以上0.1mm未満である。
本発明は別の一側面において、レンズと、レンズを光軸方向の初期位置へ弾性付勢するばね部材と、ばね部材の付勢力に抗する電磁力を生起してレンズを光軸方向へ駆動可能な電磁駆動手段と、電磁駆動手段に供給される駆動電流を制御する制御手段とを備えるカメラモジュールであって、ばね部材が、2.9〜3.5質量%のTiを含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなり、350以上のビッカース硬さを有し、ヤング率が130GPa以下であり、厚さが0.01mm以上0.1mm未満である。
本発明は更に別の一側面において、ばね部材の付勢力に抗する電磁力でレンズを移動させることによってオートフォーカス動作を行うカメラモジュールであって、ばね部材が、2.9〜3.5質量%のTiを含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなり、ヤング率が130GPa以下であり、厚さが0.01mm以上0.1mm未満である。
本発明は更に別の一側面において、ばね部材の付勢力に抗する電磁力でレンズを移動させることによってオートフォーカス動作を行うカメラモジュールであって、ばね部材が、2.9〜3.5質量%のTiを含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなり、350以上のビッカース硬さを有し、ヤング率が130GPa以下であり、厚さが0.01mm以上0.1mm未満である。
本発明に係るカメラモジュールは一実施態様において、ばね部材が、0.17〜0.23質量%のFeを更に含有する。
本発明は更に別の一側面において、2.9〜3.5質量%のTiを含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなり、ヤング率が130GPa以下であり、厚さが0.01mm以上0.1mm未満であるチタン銅箔である。
本発明は更に別の一側面において、2.9〜3.5質量%のTiを含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなり、350以上のビッカース硬さを有し、ヤング率が130GPa以下であり、厚さが0.01mm以上0.1mm未満であるチタン銅箔である。
本発明に係るチタン銅箔は一実施態様において、0.17〜0.23質量%のFeを更に含有する。
本発明によれば、ばね部材のへたりを抑制でき、落下等の衝撃が加わっても動作不良が生じ難いカメラモジュール及びチタン銅箔を提供することができる。
本発明の実施の形態に係るカメラモジュールの一例を示す断面図である。 図1のカメラモジュールの分解斜視図である。 図1のカメラモジュールの動作の一例を表す断面図である。 本発明の実施の形態に係るチタン銅箔(破線)と従来のチタン銅箔(実線)につき、圧延方向の引張試験により求めた応力歪曲線を比較した図である。 本発明の実施の形態に係るカメラモジュールに好適なばね部材の合計加工度(r)とビッカース硬さとの関係を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係るばね部材の箔厚を0.028mmとした場合のヤング率とP値との関係を表すグラフである。 本発明の実施の形態に係るばね部材の箔厚を0.052mmとした場合のヤング率とP値との関係を表すグラフである。
−カメラモジュール−
添付した図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。以下の図面は模式的なものであり、厚みと平均寸法の関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。また本明細書においては、説明の都合により「上」「下」の用語を適宜使用するが、これは図1又は図3における上下関係を指し、「上」はカメラから被写体に向う位置関係を表わす。
本発明の実施の形態に係るカメラモジュール1は、図1に例示するように、レンズ3と、レンズ3を光軸方向の初期位置へ弾性付勢するばね部材9a、9bと、ばね部材9a、9bの付勢力に抗する電磁力を生起して、レンズ3を光軸方向へ駆動可能な電磁駆動手段11(ヨーク2、マグネット4、コイル6)と、電磁駆動手段11に供給される駆動電流を制御する制御手段12とを備える。
レンズ3は、キャリア5内に収容されている。キャリア5は図2に示すように底面部を持った円筒形状構造の合成樹脂等による成形品であり、中央位置でレンズ3を保持する。キャリア5の外周面上には予め成形されたコイル6が接着されている。コイル6の更に外側にはマグネット4が配置されている。マグネット4は径方向に磁化されている。
図1に示すように、マグネット4はヨーク2内に収容される。ヨーク2は軟鉄等の磁性体であり、上面部が閉じたコの字形の円筒形状を成し、円筒状の内壁2aと外壁2bを持つ。マグネット4及びコイル6は、内壁2aと外壁2bとの間に設けられた空間内に配置される。このヨーク2は、樹脂成形品等で構成されたベース7上に搭載される。コイル6、マグネット4及びヨーク2は、カメラモジュール1の電磁駆動手段11として機能する。即ち、コイル6に駆動電流が供給されると、マグネット4及びヨーク2により、ばね部材9a、9bの付勢力に抗する所定の電磁力が生起される。
ベース7上には、ヨーク2を覆うように配置された樹脂成形品等で構成されたフレーム8が配置される。ベース7の底面には、キャップ10bが取り付けられる。フレーム8の上部にはキャップ10aが取り付けられる。
ばね部材9a、9bは同一品であり、同一の位置関係でキャリア5を両端から挟んで支持すると共に、コイル6への給電経路として機能している。ばね部材9a、9bの外周部の一箇所は、外側に突出させ、給電端子として機能させている。コイル6の一方のリード線は、キャリア5の内周面に設けた溝内を通って上方に延伸し、ばね部材9aに半田付けされている。コイル6の他方のリード線は、キャリア5の底面に設けた溝内を通って下方に延伸し、ばね部材9bに半田付けされている。ばね部材9aは、キャリア5の底部とベース7に固着され、ばね部材9aは、キャリア5の最上部とフレーム8上に固着される。
ばね部材9a、9bは、いずれも最外周部がそれぞれフレーム8とベース7に固定されており、内周部120°毎の切欠き溝部がキャリア5に嵌合し、熱カシメ等にて固定される。ばね部材9bとベース7およびばね部材9aとフレーム8間は、接着および熱カシメ等にて固定されている。
上述したように、ばね部材9a、9bは同一形状であり、図1及び図2に示すように同一の位置関係で取付けているので、キャリア5が上方へ移動したときの軸ズレを抑制することができる。コイル6は、巻線後に加圧成形して製作するので、仕上がり外径の精度が向上し、所定の狭いギャップに容易に配置することができる。キャリア5は、最下位置でベース7に突当り、最上位置でヨーク2に突当るので、上下方向に突当て機構を備えることとなり、キャリア5が脱落することを防いでいる。
ばね部材9a、9bの素材としては、改良されたチタン銅箔製の板ばねを用いる。このチタン銅箔は、2.9〜3.5質量%のTiおよび必要に応じて0.17〜0.23質量%のFeを含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなり、ヤング率が130GPaであり、好ましくは350以上のビッカース硬さを有する。これにより、ばね部材9a、9bのいわゆるへたり特性が改善されるため、ばね部材9a、9bに落下等の衝撃が加わっても動作不良が生じ難くなる。
制御手段12は、ばね部材9a、9b、ばね部材9a、9bに接続されたコイル6及び図示を省略した電力供給手段に電気的に接続されており、コイル6への通電及びコイル6へ供給される駆動電流の大きさを制御する。
図3は、コイル6に電流を印加して電磁力を生起させ、レンズ3を備えたキャリア5を上方に移動させた時の断面図を示している。電源からばね部材9a、9bの給電端子に所定の駆動電流が供給されると、給電端子に接続されたコイル6に電流が流れてキャリア5に図3の紙面上方への電磁力が働く。一方、キャリア5には、連結された2個のばね部材9a、9bの復元力(初期位置への付勢力)が下方に働く。キャリア5の上方への移動距離は電磁力と復元力が釣合った位置となる。キャリア5の移動量は、コイル6に印加する駆動電流の大きさによって決定される。
この際、ばね部材9aはキャリア5の上面を支持し、ばね部材9bはキャリア5の下面を支持しているので、復元力はキャリア5の上面及び下面で均等に下方に働くこととなり、レンズ3の軸ズレを小さく抑えることができる。
従って、キャリア5の上方への移動の際にリブ等によるガイドは必要ない。ガイドによる摺動摩擦がないので、キャリア5の移動量は、純粋に電磁力と復元力の釣合いで支配されることとなり、円滑で精度良いレンズ3の移動を実現している。これによってレンズブレの少ないオートフォーカスを達成している。
なお、マグネット4は円筒形状として説明したが、これに拘わるものでなく、3乃至4分割してラジアル方向に磁化し、これをヨーク2の外壁2bの内面に貼付けて固着しても良い。
なお、本発明は、図1〜図3に示すカメラモジュール1の構成に限定されない。例えば、ばね部材の付勢力に抗する電磁力でレンズを移動させることによってオートフォーカス動作を行うことが可能な一般的なカメラモジュールのばね部材として、本発明の実施の形態に係るチタン銅箔及びばね部材を適用可能であることは勿論である。このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態を含むことは勿論であり、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施される。
−チタン銅箔−
次に本発明に係るチタン銅箔について詳述する。
(合金成分)
Ti濃度は2.9〜3.5質量%とする。チタン銅では、溶体化処理によりCuマトリックス中へTiを固溶させ、時効処理により微細な析出物を合金中に分散させることにより、強度及び導電率を向上させる。Ti濃度が2.9質量%未満になると、析出物の析出が不充分となり所望の強度が得られない。Ti濃度が3.5質量%を超えると、曲げ性が劣化する。また、強度を更に向上させるために、0.17〜0.23質量%のFeを含有することができる。
チタン銅の代表的合金であるC1990の場合、その化学組成はJIS H 3130(2006年)において、Ti:2.9〜3.5質量%、Cu+Ti:99.5質量%以上と規格化されており、0.5質量%未満の不純物を含有することが許容されている。チタン銅の不純物としては、例えば、溶湯に添加する脱酸剤の残留(Al、Si、B、P等)、溶解炉の炉壁や溶湯被覆剤からの混入(Al、Si、C、B、Na、Zr、Cr等)、主原料である電気銅が比較的高濃度で含有する不純物(Ag等)、スクラップ原料からの混入(S等)、雰囲気ガスからの混入(O、N等)等が挙げられる。本発明の効果をより良く発揮させるためには、不純物の総量は0.1質量%であることが好ましく、0.05質量%以下であることがより好ましく、0.01質量%以下であることがさらに好ましい。
(箔の厚み)
チタン銅箔の厚みが0.1mm以上になると、ばね部材9a、9bの付勢力が過大となり、レンズ駆動に必要な電磁力も増大する。その結果、カメラモジュールが大型化する、レンズの駆動精度が劣化する等の問題が生じる。そこで、本発明に係るチタン銅箔の厚みを0.1mm未満、好ましくは0.08mm以下、より好ましくは0.05mm以下とする。
一方、チタン銅箔の厚みが0.01mm未満になると、ばね材としてのばね力が不足する。特に、オートフォーカスモジュールのばね部材9a、9bとして用いる場合には、所望の付勢力を得るために、ばね部材により大きな変形を与えることが必要となる。その結果、落下衝撃を受けた際、ばね部材にへたりが発生しやすくなり、これはオートフォーカスモジュールの動作不良を招く。そこで、本発明に係るチタン銅箔の厚みを0.01mm以上、好ましくは0.02mm以上とする。
(硬さ)
硬さが上昇すると比例限界が高くなり、へたりが生じ難くなる。ビッカース硬さが350以上になると、カメラモジュールのばね材として用いた場合に、落下衝撃による動作不良が著しく改善される。ビッカース硬さの上限値は、耐落下衝撃特性の点からは規制されないが、チタン銅箔のビッカース硬さが500を超えることは少ない。
(ヤング率)
350以上のビッカース硬さを有する厚みが0.1mm未満のチタン銅を従来の条件で製造すると、金属組織中にせん断帯が多発し、ヤング率が140GPaを超えるレベルまで増大する。このようなヤング率の増大は、圧延後の厚みが0.1mm以上の場合には顕在化せず、また圧延材が硬くなるほど著しくなる。ヤング率が高くなると、チタン銅箔が曲げ変形を受けた際に、へたりが発生しやすくなる。
チタン銅箔の製造条件を調整し、ヤング率を130GPa以下に調整すると、へたりが生じ難くなり、落下衝撃による動作不良が著しく改善される。そこで、ヤング率を130GPa以下、好ましくは125GPa以下、より好ましくは120GPa以下に規定する。一方、ヤング率が低くなり過ぎると、ばね材としてのばね力が不足し、オートフォーカスモジュールのばね部材として用いる場合には所望の付勢力が得られなくなる。
そこで、ヤング率は100GPa以上であることが好ましく、105GPa以上であることがさらに好ましい。
図4は圧延方向の引張試験により求めた応力歪曲線である。図4を用い、ヤング率が高くなることでへたりが発生しやすくなる理由を概念的に説明する。試料A(図4中破線)は本発明品に相当し、そのヤング率(E)は115GPaである。また、試料B(図4中実線)は従来品に相当し、そのヤング率は145GPaである。A、Bの弾性限応力(σe)とも約1100MPaである。落下衝撃により、チタン銅箔にεfの歪(変形)が付加された場合、試料Aでは応力がσeに満たないためへたりは発生しない。一方、試料Bでは応力がσeを超えるためδのへたりが生じる。
(製造方法)
チタン銅箔の一般的な製造プロセスでは、まず溶解炉で電気銅、Ti等の原料を溶解し、所望の組成の溶湯を得る。そして、この溶湯をインゴットに鋳造する。チタンの酸化損耗を防止するため、溶解及び鋳造は真空中又は不活性ガス雰囲気中で行うことが好ましい。その後、次の順序で所望の厚み及び特性を有する箔に仕上げる。
(1)熱間圧延(温度800〜1000℃、厚み5〜20mm程度まで)
(2)面削(酸化スケール除去)
(3)冷間圧延
(4)溶体化処理(750〜900℃で5〜300秒間、水冷)
(5)研磨
(6)冷間圧延
(7)時効処理(350〜550℃で2〜20時間)
(8)研磨
(9)冷間圧延
(10)歪取り焼鈍(300〜600℃で5秒〜10時間)
(11)研磨
熱間圧延(1)は一般的なチタン銅の条件で行うことが可能である。溶体化処理(4)では、鋳造時や熱間圧延時に、晶出または析出した粗大なCu−Ti化合物粒子をCu母地中に溶解させる。時効処理(7)では、Cu3TiまたはCu4Tiの微細粒子を析出させ、この微細析出物により合金の強度が上昇する。
冷間圧延(6)および(9)は高強度化のために行うものである。
歪取り焼鈍(10)は、冷間圧延(9)を行う場合にこの冷間圧延で低下するばね限界値等を回復させるために任意に行うものである。
研磨(5)、(8)、(11)は、熱処理(4)、(7)、(10)で生じた表面の酸化スケールを除去するために行う。この研磨は、化学研磨で行ってもよいし、機械研磨で行ってもよい。また、化学研磨と機械研磨を併用してもよい。化学研磨液には、Cuに対する強い腐食力を持つ、硫酸−過酸化水素溶液、塩化第二鉄溶液、塩化第二銅溶液、硝酸溶液などを用いる。機械研磨の代表的な方法は、砥粒を埋め込んだ回転式バフを用いるバフ研磨である。
ビッカース硬さおよびヤング率は、冷間圧延(6)および(9)の条件を制御することにより本発明範囲に調整することができる。これら冷間圧延では、材料を繰り返し圧延機に通板(パス)することで所定の厚みに仕上げる。
ビッカース硬さを350以上に調整するためには、冷間圧延(6)および冷間圧延(9)の合計加工度(r)を90%以上にすることが好ましい。ただし、rが99.5%を超えると、材料の加工性が低下し、圧延の際に材料が割れることがある。ここでrは次式で定義する。
r(%)=(t0−t)/t0×100
(t0:研磨(5)の後の厚み、t:冷間圧延(9)の後の厚み)
ヤング率を130GPa以下に制御するためには、圧延機通板後の厚みが0.15mm以下となる各パスにおいて、下記の式で定義される油膜当量を15000以下とすることが好ましい。
油膜当量={(圧延油粘度[cSt])×(通板速度[m/min]+ロール周速度[m/min])}/{(ロールの噛み込み角[rad])×(材料の降伏応力[kg/mm2])}
油膜当量を低減するためには、低粘度の圧延油を用いたり、通板速度を遅くしたりする等、公知の方法を用いればよい。油膜当量を15000以下に制御することにより、圧延材の金属組織中にせん断帯が生じにくくなり、ヤング率増大が抑制される。
なお、油膜当量を小さくするために、圧延速度を遅くすると、圧延作業により長時間を要することになる。また、油膜を薄くすると、圧延材が潰れにくくなり、所望の厚みまで加工するために、より多くのパスを要することになる。このように、油膜当量を小さくすることは、作業効率を低下させる方向に作用するため、従来のチタン銅箔の冷間圧延は、油膜当量が15000を超える条件で行われていた。
作業効率をも考慮すると。油膜当量は6000〜15000の範囲で調整することが好ましい。
(用途)
本発明のチタン銅は、へたりが生じ難いという特徴を生かし、カメラモジュール以外の種々の部品のばね部材としても好適に使用することができる。例えば、コネクタ、端子、ソケット、リレー等の電子機器部品が挙げられる。
以下に本発明の実施例を示すが、これらの実施例は本発明及びその利点をよりよく理解するために提供するものであり、発明が限定されることを意図するものではない。
実験材料(実施例)として、C1990およびNKT322の組成を有する合金(以下本実施例に係るこれらの合金をC1990、NKT322と記載する)を製造し、ヤング率及び硬さが、カメラモジュールの耐落下衝撃性に及ぼす影響を調査した。ここで、C1990はJIS H 3130(2006年)に登録されている合金であり2.9〜3.5質量%(代表値3.2質量%)のTiを含有し、残部が銅および不可避的不純物で構成されている。また、NKT322はJX日鉱日石金属(株)が開発した合金であり、2.9〜3.4質量%(代表値3.2質量%)のTiおよび0.17〜0.23質量%のFe(代表値0.2質量%)を有し、残部が銅および不可避的不純物で構成されている。
真空溶解炉中で電気銅を溶解し合金元素を添加した後、半連続鋳造により厚さ150mm、幅500mmの直方体形状のインゴットを製造した。このインゴットを熱間圧延として、950℃で3時間加熱後、10mmまで圧延した。次に、熱間圧延板表面の酸化スケールを除去するために、表面の面削を行った。面削後の材料の厚みは8mmであった。その後、次の工程順で冷間圧延及び熱処理を施し、厚みが0.052mmおよび0.028mmの箔を製造した。
(1)冷間圧延1:目標とする箔の厚みおよびビッカース硬さに応じ、所定の厚みまで冷間圧延した。
(2)溶体化処理:800℃で10秒間〜300秒間加熱した。加熱時間は焼鈍後の再結晶粒の平均直径が5〜20μmの範囲になるよう適宜調整した。
(3)研磨1:硫酸−過酸化水素溶液により化学研磨した後、回転式バフにより機械研磨し、表面の酸化スケールを除去した。
(4)冷間圧延2:目標とする箔の厚みおよびビッカース硬さに応じ、所定の厚みまで冷間圧延した。
(5)時効処理:450℃で5時間、Ar雰囲気中で加熱した。
(6)研磨2:硫酸−過酸化水素溶液により化学研磨した後、回転式バフにより機械研磨し、表面の酸化スケールを除去した。
(7)冷間圧延3:目標とする箔の厚みまで圧延した。
冷間圧延(7)上がりの箔試料につき、圧延方向と平行に引張試験を行い、弾性域の直線の傾きからヤング率を求めた。また、JIS Z 2244に準拠し、マイクロビッカース硬さを測定した。
図5は、合計加工度(r)とビッカース硬さとの関係を示す。Rが90%以上になると、350以上のビッカース硬さが安定して得られている。
図4の試料AおよびBは、厚みが0.028mmのC1990である。試料Aは、合計加工度(r)を92%とし、圧延機通板後の厚みが0.15mm以下となる各パスにおいて油膜当量を9000〜11000の範囲に調整した結果、マイクロビッカース硬さが410、ヤング率が115GPaとなったものである。試料Bは、合計加工度(r)を92%とし、圧延機通板後の厚みが0.15mm以下となる各パスにおいて油膜当量を19000〜21000の範囲に調整した結果、マイクロビッカース硬さが413、ヤング率が145GPaとなったものである。
次に、冷間圧延上がりの箔試料を用いてばね部材9a、9bを作製し、図1〜3に示した構造のカメラモジュール1を組み立てた。同じ箔厚の試料については、カメラモジュールの構造を同一のものとした。作製したカメラモジュールにつき、キャリア5が移動を開始する時の電流値(IBmin)およびキャリア5の移動量が最大になる時の電流値(IBmax)を求めた。次に、該カメラモジュールを2mの高さから床面に落下させ、落下後のカメラモジュールにつき、キャリア5が移動を開始する時の電流値(IAmin)を測定した。これら測定値から、次式によりP値を求めた。
P(%)=|(IBmin−IAmin)|/IBmax×100
P値は落下に伴う移動開始時電流の変化(絶対値)を最大移動時電流で除した値であり、P値が小さいほど落下衝撃による動作安定性に優れるといえる。
図6および図7にそれぞれ、箔厚が0.028mmおよび0.052mmのときのヤング率とP値との関係を示す。ヤング率が130GPa以下になると、またビッカース硬さが350以上になると、P値が低下する、すなわち落下衝撃による動作不良が改善されることがわかる。

Claims (8)

  1. レンズと、
    前記レンズを光軸方向の初期位置へ弾性付勢するばね部材と、
    前記ばね部材の付勢力に抗する電磁力を生起して前記レンズを光軸方向へ駆動可能な電磁駆動手段と、
    前記電磁駆動手段に供給される駆動電流を制御する制御手段と
    を備えるカメラモジュールであって、
    前記ばね部材が、2.9〜3.5質量%のTiを含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなり、ヤング率が130GPa以下であり、厚さが0.01mm以上0.1mm未満であることを特徴とするカメラモジュール。
  2. レンズと、
    前記レンズを光軸方向の初期位置へ弾性付勢するばね部材と、
    前記ばね部材の付勢力に抗する電磁力を生起して前記レンズを光軸方向へ駆動可能な電磁駆動手段と、
    前記電磁駆動手段に供給される駆動電流を制御する制御手段と
    を備えるカメラモジュールであって、
    前記ばね部材が、2.9〜3.5質量%のTiを含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなり、350以上のビッカース硬さを有し、ヤング率が130GPa以下であり、厚さが0.01mm以上0.1mm未満であることを特徴とするカメラモジュール。
  3. ばね部材の付勢力に抗する電磁力でレンズを移動させることによってオートフォーカス動作を行うカメラモジュールであって、
    前記ばね部材が、2.9〜3.5質量%のTiを含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなり、ヤング率が130GPa以下であり、厚さが0.01mm以上0.1mm未満であることを特徴とするカメラモジュール。
  4. ばね部材の付勢力に抗する電磁力でレンズを移動させることによってオートフォーカス動作を行うカメラモジュールであって、
    前記ばね部材が、2.9〜3.5質量%のTiを含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなり、350以上のビッカース硬さを有し、ヤング率が130GPa以下であり、厚さが0.01mm以上0.1mm未満であることを特徴とするカメラモジュール。
  5. 前記ばね部材が、0.17〜0.23質量%のFeを更に含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載のカメラモジュール。
  6. 2.9〜3.5質量%のTiを含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなり、ヤング率が130GPa以下であり、厚さが0.01mm以上0.1mm未満であることを特徴とするチタン銅箔。
  7. 2.9〜3.5質量%のTiを含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなり、350以上のビッカース硬さを有し、ヤング率が130GPa以下であり、厚さが0.01mm以上0.1mm未満であることを特徴とするチタン銅箔。
  8. 0.17〜0.23質量%のFeを更に含有する請求項6又は7に記載のチタン銅箔。
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