JP2014098183A - 金属被膜の成膜装置および成膜方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】マスキングすることなく、微細なめっきパターンおよび広範囲のめっきパターンにあわせて金属被膜を成膜することができる成膜方法を提供する。
【解決手段】陽極11と陰極12との間に固体電解質膜13を配置し、固体電解質膜13を基板Pに接触させると共に、陰極12を基板Pに導通させ、陽極11と陰極12との間に電圧を印加し、金属被膜Fを成膜する金属被膜の成膜方法である。前記陽極11として、前記陰極12に対向する位置にマトリクス状に配列された複数の素子Aa、…を備えた陽極11を用いる。複数の素子Aa,…のうち、基板の成膜領域に対応する位置に配置された素子Bb,…を選択し、選択した素子Bb,…に電荷を供給して電荷をチャージし、前記チャージされた電荷を陰極に向かって放出することにより、金属の析出を行ないながら成膜する。
【選択図】図4
【解決手段】陽極11と陰極12との間に固体電解質膜13を配置し、固体電解質膜13を基板Pに接触させると共に、陰極12を基板Pに導通させ、陽極11と陰極12との間に電圧を印加し、金属被膜Fを成膜する金属被膜の成膜方法である。前記陽極11として、前記陰極12に対向する位置にマトリクス状に配列された複数の素子Aa、…を備えた陽極11を用いる。複数の素子Aa,…のうち、基板の成膜領域に対応する位置に配置された素子Bb,…を選択し、選択した素子Bb,…に電荷を供給して電荷をチャージし、前記チャージされた電荷を陰極に向かって放出することにより、金属の析出を行ないながら成膜する。
【選択図】図4
Description
本発明は金属被膜の成膜装置および成膜方法に係り、特に、基板の表面に金属被膜を成膜することができる金属被膜の成膜装置および成膜方法に関する。
従来から、電子回路基板などを製造する際には、金属回路パターンを形成すべく、基板の表面に金属被膜が成膜される。たとえば、このような金属被膜の成膜技術として、Siなどの半導体基板の表面に、無電解めっき処理などのめっき処理により金属被膜を成膜したり(例えば、特許文献1参照)、スパッタリングなどのPVD法により金属被膜を成膜したりする成膜技術が提案されている。
しかしながら、無電解めっき処理などのめっき処理を行なった場合には、めっき処理後の水洗が必要であり、水洗された廃液を処理する必要があった。また、スパッタリングなどのPVD法により基板表面に成膜を行った場合には、被覆された金属被膜に内部応力が生じるため、膜厚を厚膜化するには制限があり、特に、スパッタリングの場合には、高真空化でしか、成膜できない場合があった。
このような点を鑑みて、例えば、円柱状に形成した固体電解質の周囲に、絶縁材で形成した握り部を設けた陽極部を備えており、陽極部の固体電解質の一方側の先端を尖らせてノズル部を形成し、その他方側に陽極部材を接触させ、陽極部材と陰極との間に電圧を印加することにより、固体電解質内の金属イオンを析出させて、基板の表面に金属被膜を成膜する成膜装置が提案されている(例えば特許文献2参照)。
この成膜装置によれば、基板にマスキングをすることなく、所望の箇所に陽極部のノズル部先端を基板に押し当てることにより、基板の所望の部分に、金属被膜を成膜することができる。
しかしながら、特許文献2に記載の技術を用いた場合には、陽極部のノズル部を基板の表面に押し当ててメッキとなる金属イオンから金属を析出させているが、成膜される金属被膜の幅は、基板に押し当てるノズル部の接触部分の大きさに依存する。このため、ノズル部の接触部分よりも狭い数μm程度の微細なパターンの金属被膜を成膜することは難しく、一方、ノズル部の接触部分よりも広い領域を有した金属被膜を成膜するには、成膜時間を要することになる。
本発明は、このような点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、マスキングすることなく、微細なめっきパターンおよび広範囲のめっきパターンにあわせて金属被膜を成膜することができる金属被膜の成膜装置およびその成膜方法を提供することにある。
このような点を鑑みて、本発明に係る金属被膜の成膜方法は、陽極と陰極との間に固体電解質膜を配置し、該固体電解質膜を基板に接触させると共に、前記陰極を前記基板に導通させ、前記陽極と前記陰極との間に電圧を印加し、該固体電解質膜の内部に含有された金属イオンから金属を前記陰極側に析出することにより、前記金属イオンの金属からなる金属被膜を前記基板の表面に成膜する金属被膜の成膜方法であって、前記陽極として、前記陰極に対向する位置にマトリクス状に配列された複数の素子を備えた陽極を用い、該複数の素子のうち、前記基板の成膜領域に対応する位置に配置された素子を選択し、該選択した素子に電荷を供給して電荷をチャージし、該チャージされた電荷を陰極に向かって放出することにより、前記金属の析出を行なう。
本発明によれば、陽極を構成するマトリクス状に配列された素子のうち、基板の成膜領域に対応する位置に配置された素子に、電源などから電荷を供給して電荷をチャージし、チャージされた電荷を陰極に向かって放出する(局所的に放電される)ことにより、選択された素子と基板の成膜領域と間において電圧が印加されることになる。これにより、基板の成膜領域に対応する固体電解質膜に含有する金属イオンから金属が陰極側に析出し、基板の成膜領域にのみ、金属被膜が成膜されることになる。このようにして、基板の成膜領域が如何なる形状および大きさの領域であったとしても、マトリクス状に配置された素子からその成膜領域に対応する素子を選択すればよいので、マスキング等を行わずに、成膜領域のみ金属被膜を成膜することができる。
より好ましい態様としては、前記金属被膜として前記基板に異なる膜厚の金属被膜を成膜する際に、各金属被膜の膜厚に応じて、前記選択された素子の前記電荷のチャージから放出までの回数を制御する。
従来の電気めっきなどによる成膜では、金属被膜として前記基板に異なる膜厚の金属被膜を成膜する際には、マスキング等を行うことにより個別に金属被膜を被覆しなければならないところ、この態様によれば、選択された素子の前記電荷のチャージから放出までの回数を制御することにより、同一の工程内で連続して、基板に異なる膜厚の金属被膜を成膜することができる。
より好ましい態様としては、前記陽極と前記固体電解質膜との間に、前記金属イオンを含む溶液を供給することにより、前記固体電解質膜の内部に前記金属イオンを含有させる。この態様によれば、固体電解質膜内に、連続して金属イオンを供給するばかりでなく、その内部の金属イオンの濃度分布を均一にすることができる。
本願では、さらに、前記金属被膜を好適に製造することができる製造装置をも開示する。本発明に係る金属被膜の製造装置は、陽極と、陰極と、前記陽極と前記陰極との間に配置された固体電解質膜と、前記陽極と前記陰極との間に電圧を印加する電源部と、を少なくとも備えており、前記陽極と前記陰極との間に電圧を印加して、前記固体電解質膜の内部に含有された金属イオンから金属を前記陰極側に析出させることにより、前記金属イオンの金属からなる金属被膜を基板の表面に成膜する金属被膜の成膜装置であって、前記陽極には、前記陰極に対向する位置に複数の素子がマトリクス状に配列されており、各素子は、前記電源部から供給された電荷をチャージし、前記金属イオンが析出するように前記チャージされた電荷を陰極に向かって放出する素子であり、前記成膜装置は、前記複数の素子の各素子に選択して前記電荷を供給する電荷供給選択部を備えることを特徴とする。
本発明によれば、陽極を構成するマトリクス状に配列された素子のうち、基板の成膜領域に対応する位置に配置された素子に、電源などから電荷を供給して電荷をチャージし、チャージされた電荷を陰極に向かって放出する(局所的に放電される)ことができる。これにより、選択された素子と基板の成膜領域と間において電圧が印加されることになり、これにより、マスキング等を行うことなく、基板の成膜領域に対応する固体電解質膜に含有する金属イオンから金属が陰極側に析出することができ、基板の成膜領域が如何なる形状および大きさの領域であったとしても、その領域にのみに金属被膜が成膜されることになる。
より好ましい対応としては、前記成膜装置は、前記金属被膜として前記基板に異なる膜厚の金属被膜を成膜する際に、各金属被膜の膜厚に応じて、前記選択された素子の前記電荷のチャージから放出までの回数を制御する制御部を備える。
この態様によれば、本発明によれば、選択された素子の前記電荷のチャージから放出までの回数を制御部により制御することにより、同一の工程内で連続して、基板に異なる膜厚の金属被膜を成膜することができる。
さらに好ましい態様としては、前記成膜装置は、前記陽極と前記固体電解質膜との間に、前記金属イオンを含む溶液を収容する溶液収容部を備える。この態様によれば、溶液が収容された溶液収容部から、固体電解質膜内に、連続して金属イオンを供給するばかりでなく、その内部の金属イオンの濃度分布を均一にすることができる。
本発明によれば、マスキングすることなく、微細なめっきパターンおよび広範囲のめっきパターンにあわせて金属被膜を成膜することができる。
以下に本発明の実施形態に係る金属被膜の成膜方法を好適に実施することができる成膜装置について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る金属被膜の成膜装置の模式的概念図である。図2は図1に示す金属被膜の成膜装置による成膜方法を説明するための図であり、成膜装置の成膜前の状態を説明するための模式的断面図である。
図1に示すように、本発明に係る成膜装置1は、金属イオンから金属を析出させて、該析出した金属からなる金属被膜を基板Pの表面に成膜する装置である。ここで、基板Pは、アルミニウムなどの金属材料からなる基板、または樹脂またはシリコン基板の処理表面に金属下地層が形成されている基板を用いる。
成膜装置1は、金属製の陽極11と、金属製の陰極12と、陽極11と陰極12との間に配置された固体電解質膜13と、陽極11と陰極12との間に電圧を印加する電源部14と、を少なくとも備えている。なお、本実施形態の場合には、電源部14は制御部30を介して、陽極11に電荷を供給し、供給された電荷が、接地された陰極12に向かって放電(放出)されることにより、陽極11と陰極12との間に電圧を印加するものである。
また、陽極11と固体電解質膜13との間に金属イオンを含む溶液(以下、金属イオン溶液という)Lが配置されるように、金属イオン溶液Lを収容する溶液収容部15が設けられている。具体的には、溶液収容部15内の上部には、金属イオン溶液Lに接触するように、陽極11が収容されており、陽極11は、電源部14に電気的に接続さている。なお、陽極11は、金属イオン溶液Lに溶解しない金属イオンの金属よりも貴なる金属で構成されることが好ましいが、後述する回路以外の部分が溶解しても構わない。
ここで、陽極11は、金属イオン溶液Lに対して耐食性を有し、かつ陽極として作用可能な導電率を有するものであればよい。たとえば、金など、めっき金属イオンよりもイオン化傾向が低い(あるいは、標準電極電位が高い)、金属イオンの金属よりも貴なる金属で構成される。また、陽極11は、基板Pの表面のうち金属被膜が成膜される成膜領域f1,f2を含む大きさとなっており、その内部には、後述するように複数の素子がマトリクス状(格子状)に配列されている。本実施形態では、基板Pが円形状であるため、この基板と同じ形状の陽極11が溶液収容部15に配置され、溶液収容部15の底部の開口の大きさも同じ大きさとなっている。
一方、陰極12は、金属イオン溶液Lに対して耐食性を有し、かつ陰極12として作用可能な導電性を有するものであればよい。そして、基板Pを載置することができる形状であれば、その大きさおよび形状は特に限定されるものではない。
金属イオン溶液Lは、たとえば、銅、ニッケル、銀などのイオンを含む水溶液などを挙げることができる。たとえば、銅イオンの場合には、硫酸銅、ピロリン酸銅などを含む溶液を挙げることができる。そして、固体電解質膜13は、固体電解質からなる膜、フィルム等のものである。
固体電解質膜13は、上述した金属イオン溶液Lに接触させることにより、金属イオンを内部に含浸することができ、電圧を印加したときに陰極側において金属イオン由来の金属が析出するとこができるのであれば、特に限定されるものではない。固体電解質膜の材質としては、たとえばデュポン社製のナフィオン(登録商標)などのフッ素系樹脂、炭化水素系樹脂、ポリアミック酸膜、旭硝子社製のセレミオン(CMV、CMD,CMFシリーズ)などのイオン交換機能を有した膜を挙げることができる。
さらに、溶液収容部15の底部には上述した如き開口が形成され、その開口を覆うように固体電解質膜13が配置されている。本実施形態では、固体電解質膜13が、溶液収容部15の底部全体を覆うように配置されているが、例えば、溶液収容部15の開口を形成する側壁面と嵌合し、溶液収容部15の底面から突出するように配置さていてもよい。
溶液収容部15の一方側には、金属イオン溶液Lが収容された溶液タンク17が、供給管17aを介して接続されており、供給管17aにはポンプ17bが接続されている。その他方側には、使用後の廃液を回収する廃液タンク18が、廃液管18aを介して接続されており、廃液管18aには、開閉弁18bが接続されている。
このように構成することにより、開閉弁18bを閉弁した状態で、溶液収容部15内部に金属イオン溶液Lを収容する密閉空間を形成することができる。この密閉空間に対して供給管17aを介してポンプ17bを駆動させて溶液タンク17からの金属イオン溶液Lを供給し、密閉空間内に金属イオン溶液Lを供給することができる。さらに、後述するように、金属被膜を成膜した後の金属イオン溶液Lの廃液は、開閉弁18bを開くことにより、廃液管18aを介して廃液を廃液タンク18に送ることができる。
溶液収容部15の蓋部15aには、移動部51が連結されている。移動部51は、溶液収容部15と共に固体電解質膜13を基板Pに向かって移動させることにより、固体電解質膜13を基板Pの表面に接触させて加圧するものである。
成膜装置1は、基板Pを固定し、陽極11および陰極12に対して基板Pのアライメントを調整する基台21と、基台21を介して基板Pの温度調整を行う温度制御部を備えている。本実施形態では、基台21の上に載置された基板Pを搬送する搬送装置40がさらに設けられている。
ここで本実施形態に係る陽極11に関して、図3を用いて以下に説明する。図3は、図1に示す陽極に配置されたマトリクス状の素子を説明するための模式的概念図である。図3に示すように、陽極11には、陰極12に対向する位置に複数の素子Aa,Ab,Ba,Bb…が数μm〜数十μm程度の間隔でマトリクス状(格子状)に配列された回路を有している。
各素子は、電源部14から供給された電荷をチャージし、金属イオンが析出するようにチャージされた電荷を陰極に向かって放出する素子であり、このような素子構成は、Si半導体からなる薄膜トランジスタ(TFT回路)により実現可能である。ここでは、この説明の便宜上、ソースラインにスイッチA,B,C,…を設け、ゲートラインにスイッチa,b,c,d,…を設けた構成(電荷供給選択部)としているが、これらの素子Aa,Ab,Ba,Bb…への選択的な電荷の供給は、一般的に知られている制御部30により行なわれ、この技術は、公知であるため詳細な説明は省略する。
本実施形態では、これらの素子Aa,Ab,Ba,Bb…は、ソースラインおよびゲートラインを介して電源部14に接続されている。各素子のドレインが、金属イオン溶液Lを介して固体電解質膜13に電気的に接続されている。
制御装置(制御部)30は、演算装置、記憶装置、および各機器に入力または出力される信号を変換器(図示せず)等で構成されている。演算装置では、記憶装置において予め入力された成膜領域f1,f2およびこれらの膜厚に応じて、ソースラインのスイッチA,B,C,…、ゲートラインのスイッチa,b,c,d,…を選択し、オン・オフの制御を行なう制御信号を出力するものである。
さらに、制御部30では、金属被膜として基板Pに異なる膜厚の金属被膜F1,F2を成膜する際に、各金属被膜F1,F2の膜厚に応じて、選択された素子の前記電荷のチャージから放出までの回数を制御するよう、ソースラインのスイッチA,B,C,…、ゲートラインのスイッチa,b,c,d,…の制御を行うように制御信号を出力するものである。
このようにして構成された成膜装置1を用いた金属被膜の成膜方法を、図4、図5を用いて説明する。図4は、図3に示す陽極に配置された素子を選択した状態を説明する模式的概念図である。図5は、図1に示す金属被膜の成膜装置による成膜方法を説明するための図であり、成膜装置の成膜時の状態を説明するための模式的断面図である。
まず、基台21に基板Pが載置された陰極12を配置する。このとき、陰極12に基板Pを導通させる(図1参照)。なお、基板Pの材質としては、ステンレスなどの金属などを挙げることができる。陽極11に対して陰極12(基板P)のアライメントを調整し、温度制御部により、基板Pの温度調整を行う。
次に、図5に示すように、陽極11が収容された溶液収容部15の固体電解質膜13が、基板Pに接触するように、移動部51により固体電解質膜13を移動させる。次に開閉弁18bを閉弁し、溶液収容部15の内部には密閉空間が形成される。
このような状態で制御部30は、素子Bb,Bc,Bdに対向した位置に、基板Pの成膜領域f1がある(図2参照)ので、ソースラインのスイッチBと、ゲートラインのスイッチb〜dとを同時にオンする。さらに別の成膜領域として、素子Db,Dc,Ddに対向した位置に、基板Pの成膜領域f2がある(図2参照)ので、制御部30は、ソースラインのスイッチDと、ゲートラインのスイッチb〜dとを同時にオンする。
これにより、素子Bb,Bc,Bd,Db,Dc,Ddに接続されたソースラインからゲートラインを介して電源部14から電荷が供給され、コンデンサーに相当する素子Bb,Bc,Bd,Db,Dc,Ddに電荷が供給され、これらの素子に電荷がチャージ(蓄電)される。そして、蓄電された電荷は、その素子の容量を超えた時点で、各素子Bb,Bc,Bd,Db,Dc,Ddのドレインから放出される(図4の→参照)。ドレインは、金属イオン溶液Lを介して固体電解質膜13に接続されているので、基板Pの成膜領域に対向した素子Bb,Bc,Bd,Db,Dc,Ddからの電荷の放出(放電)により、固体電解質膜13に接触した基板Pの表面のうち、素子Bb,Bc,Bd,Db,Dc,Ddと成膜領域f1,f2との間にのみ電圧が印加されることになる。
このような結果、図5に示すように、素子Bb,Bc,Bd,Db,Dc,Ddに対向した位置の、固体電解質膜13内の金属イオンが、金属イオンとして析出し、素子Bb,Bc,Bd,Db,Dc,Ddに対向した位置の基板Pの成膜領域f1,f2に、金属被膜F1,F2が成膜されることになる。
さらに、制御部30は、金属被膜として基板Pに異なる膜厚の金属被膜F1,F2を成膜する際に、各金属被膜F1,F2の膜厚に応じて、選択された素子Bb,Bc,Bd,Db,Dc,Ddの電荷のチャージから放出までの回数を制御する。本実施形態の場合には、選択された素子Bb,Bc,Bd,よりも、選択された素子Db,Dc,Ddの電荷のチャージから放出までの回数を膜厚に応じて多くすることにより、金属被膜F1の膜厚よりも、金属被膜F2の膜厚の方が厚くなる。
このようにして、本実施形態によれば、陽極11を構成するマトリクス状に配列された素子Aa,Ab,Ba,Bb…のうち、基板Pの成膜領域f1,f2に対応する位置に配置された素子Bb,Bc,Bd,Db,Dc,Ddに、電源部14から電荷を供給して電荷をチャージし、チャージされた電荷を陰極12に向かって放出する(局所的に放電される)ことができる。
これにより、選択された素子Bb,Bc,Bd,Db,Dc,Ddと基板Pの成膜領域f1,f2と間において電圧が印加されることになり、マスキング等を行うことなく、基板Pの成膜領域f1,f2に対応する固体電解質膜13に含有する金属イオンから金属が陰極側に析出することができ、基板Pの成膜領域f1,f2が如何なる形状および大きさの領域であったとしても、その領域にのみに金属被膜が成膜されることになる。
また、従来の電気めっきなどによる成膜では、金属被膜として基板Pに異なる膜厚の金属被膜F1,F2を成膜する際には、マスキング等を行うことにより個別に金属被膜を被覆しなければならないところ、本実施形態によれば、選択された素子の電荷のチャージから放出までの回数を制御することにより、同一の工程内で連続して、基板に異なる膜厚の金属被膜F1,F2を成膜することができる。
また、溶液収容部15により、陽極11と固体電解質膜13との間に、金属イオンを含む溶液Lを供給することにより、固体電解質膜13の内部に金属イオンを含有させる。これにより、固体電解質膜13内に、連続して金属イオンを供給するばかりでなく、その内部の金属イオンの濃度分布を均一にすることができる。これにより、均一な膜厚の金属被膜を成膜することができる。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
本実施形態では、陽極のドレインを金属イオン溶液を介して固体電解質膜に接続したが、固体電解質膜に金属イオンが供給されているのであれば、陽極のドレインを直接固体電解質膜に接触させてもよい。これにより、電荷の放電により均一な電気力線を固体電解質膜に生成することができ、より均一な金属被膜を成膜することができる。
1:成膜装置、11:陽極、12:陰極、13:固体電解質膜、14:電源部、15:溶液収容部、15a:蓋部、17溶液タンク、17a:供給管、18:廃液タンク、18a:廃液管、21:基台、40:搬送装置、51:移動部、Aa,Ab…:素子、A,a…:スイッチ、f1,f2:成膜領域、F1,F2:金属被膜、L:金属イオン溶液、P:基板
Claims (6)
- 陽極と陰極との間に固体電解質膜を配置し、該固体電解質膜を基板に接触させると共に、前記陰極を前記基板に導通させ、前記陽極と前記陰極との間に電圧を印加し、該固体電解質膜の内部に含有された金属イオンから金属を前記陰極側に析出することにより、前記金属イオンの金属からなる金属被膜を前記基板の表面に成膜する金属被膜の成膜方法であって、
前記陽極として、前記陰極に対向する位置にマトリクス状に配列された複数の素子を備えた陽極を用い、
該複数の素子のうち、前記基板の成膜領域に対応する位置に配置された素子を選択し、
該選択した素子に電荷を供給して電荷をチャージし、前記チャージされた電荷を陰極に向かって放出することにより、前記金属の析出を行なうことを特徴とする金属被膜の成膜方法。 - 前記金属被膜として前記基板に異なる膜厚の金属被膜を成膜する際に、各金属被膜の膜厚に応じて、前記選択された素子の前記電荷のチャージから放出までの回数を制御することを特徴とする請求項1に記載の金属被膜の成膜方法。
- 前記陽極と前記固体電解質膜との間に、前記金属イオンを含む溶液を供給することにより、前記固体電解質膜の内部に前記金属イオンを含有させることを特徴とする請求項1または2に記載の金属被膜の成膜方法。
- 陽極と、陰極と、前記陽極と前記陰極との間に配置された固体電解質膜と、前記陽極と前記陰極との間に電圧を印加する電源部と、を少なくとも備えており、前記陽極と前記陰極との間に電圧を印加して、前記固体電解質膜の内部に含有された金属イオンから金属を前記陰極側に析出させることにより、前記金属イオンの金属からなる金属被膜を基板の表面に成膜する金属被膜の成膜装置であって、
前記陽極には、前記陰極に対向する位置に複数の素子がマトリクス状に配列されており、各素子は、前記電源部から供給された電荷をチャージし、前記金属イオンが析出するように前記チャージされた電荷を陰極に向かって放出する素子であり、
前記成膜装置は、前記複数の素子の各素子に選択して前記電荷を供給する電荷供給選択部を備えることを特徴とする金属被膜の成膜装置。 - 前記成膜装置は、前記金属被膜として前記基板に異なる膜厚の金属被膜を成膜する際に、各金属被膜の膜厚に応じて、前記選択された素子の前記電荷のチャージから放出までの回数を制御する制御部を備えることを特徴とする請求項4に記載の金属被膜の成膜装置。
- 前記成膜装置は、前記陽極と前記固体電解質膜との間に、前記金属イオンを含む溶液を収容する溶液収容部を備えることを特徴とする請求項4に記載の金属被膜の成膜装置。
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2012
- 2012-11-14 JP JP2012250088A patent/JP2014098183A/ja active Pending
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