JP2014097008A - 水生生物付着低減部材及び水生生物付着低減方法 - Google Patents

水生生物付着低減部材及び水生生物付着低減方法 Download PDF

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Hanako Nakamura
華子 中村
Masahiro Tanaka
昌宏 田中
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栄世 岩村
Kenji Ikematsu
建治 池松
Ryo Shikage
量 鹿毛
Nobuo Sakuse
信夫 柵瀬
Eiji Usami
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Abstract

【課題】簡易かつ有効に付着性水生生物の独占的大量増殖を抑制する手段の提供。
【解決手段】沿岸構造物の表面に設置する水生生物付着低減部材であって、部材Aの基板面1から、可撓性合成樹脂からなる細長片2が多数立設し、各細長片2が、厚さ0.4〜2.0mm、幅1.0〜4.0mm、長さ5.0〜25mmである水生生物付着低減部材Aを沿岸構造物の表面に設置することにより、水生生物の該表面への付着・定着を抑制できるほか、水生生物が部材Aの表面上に付着・定着した場合であっても、特定の生物種による独占的大量増殖を抑制できるため、沿岸構造物の周辺水域における死亡個体による水質悪化、それに伴う悪臭などの周辺環境の悪化を防止できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、水生生物付着低減部材、該部材が設置された沿岸構造物の表面構造、水生生物付着低減方法などに関連する。より詳細には、可撓性樹脂からなる細長片が前記部材の基板面から多数立設し、各細長片は、厚さ0.4〜2.0mm、幅1.0〜4.0mm、長さ5.0〜25mmである水生生物付着低減部材、該部材が設置された沿岸構造物の表面構造、前記部材を設置する水生生物付着低減方法などに関連する。
沿岸域では、堤防・護岸、海域に建造された桟橋、船舶係留施設、工場・発電所などにおける取水・排水設備など、構造の一部が海中に存在する多くの構造物が構築されている。それらの沿岸構造物では、その海面付近などにおいて、ムラサキイガイなどの二枚貝、フジツボなどの固着動物、海藻類など、海棲性の水生生物が付着し、問題となっている。沿岸構造物にそれらの水生生物が大量に付着すると、構造物の劣化などを招きやすいことから、水生生物の付着防止手段が、種々検討されている。
これらの水生生物のうち、例えば、ムラサキイガイは、二枚貝の一種で、食用として利用される一方、繁殖力が非常に強く、代表的な汚損生物の一つである。ムラサキイガイは、冬季に幼生が海中に放出され、海中で浮遊した後、沿岸構造物などの表面に付着し、定着する。沿岸構造物などに定着した後、共通の生育域を有する他の生物種と競争しながら、徐々に繁殖域を拡大する。その後、他の生物種の競争的排除に成功すると、大量増殖し、当該生育域を独占する。ムラサキイガイが大量増殖すると、増殖後の死亡個体が大量に海水中に落下し、海底に堆積する。
例えば、沿岸構造物にムラサキイガイが大量付着すると、その構造物の直下の限られた水域内に、ムラサキイガイの死亡個体が大量に堆積し、それらが腐敗するため、その水域の底層水及び底質の貧酸素状態が惹起される。これにより、底質がヘドロ化し、悪臭が発生して周辺環境も悪化する。そのため、沿岸構造物において、ムラサキイガイなどの大量発生を抑制し、周辺環境の悪化を防止する手段が求められている。
なお、水生生物付着防止手段として、例えば、特許文献1及び特許文献2には、潮汐変動を利用した水生生物付着防止手段が、特許文献3には、高分子材薄フィルムよりなるリボンを植毛した海洋生物付着防止表面構造が、特許文献4には、5デニール以下の捲縮を有する細繊維からなる立毛で覆われ、生物付着防止性に優れた水産用資材が、特許文献5には、ベース地の表面に、水中で自然揺動する程度の柔軟な毛条繊維を密生させた貝類付着防止シートが、それぞれ開示されている。
特開2001−254326号公報 特開2000−8321号公報 特開昭63−194012号公報 特開平1−165326号公報 特開平2−274911号公報
上記の通り、付着性水生生物の生息域において、特定の生物種が競争的排除に成功して独占的に大量増殖すると、単に沿岸構造物の該当箇所を劣化させるだけでなく、死亡個体により周辺水域の底質がヘドロ化し、悪臭などにより周辺環境をも悪化させる懸念がある。そのため、付着性水生生物の独占的大量増殖を抑制する手段が必要である。
そこで、本発明は、簡易かつ有効に付着性水生生物の独占的大量増殖を抑制する手段を提供することなどを目的とする。
本発明では、沿岸構造物の表面に設置する水生生物付着低減部材であって、該部材の基板面から、可撓性合成樹脂からなる細長片が多数立設し、前記各細長片が、厚さ0.4〜2.0mm、幅1.0〜4.0mm、長さ5.0〜25mmである水生生物付着低減部材を提供する。
この水生生物付着低減部材における細長片は、合成樹脂からなり、かつ適度な厚さを有するため、適度な剛性を備える。そして、その細長片を基板面に多数立設することにより、凹凸表面が形成されている。この凹凸表面に潮流が当たると、細長片は微細な撓みは生じるものの変形することなくその形状を保持するため、渦・乱流など様々な微細流が発生する。それらの不規則な微細流により、水生生物の部材表面への付着や水中の微細粒子などの堆積が抑制され、また、局所的に強力な微細流が発生することにより、一度付着した水生生物の脱落が促進され、水中の微細粒子なども洗い落とされる。
この細長片は合成樹脂で形成されており、材質上も、水生生物の幼生、水中の微細粒子などが付着・定着・堆積しにくく、洗い落とされやすい。
上記の通り、細長片は適度な剛性を備え、かつその細長片を基板面に多数立設することにより、凹凸表面が形成されている。そのため、光条件などの生育環境が、部材の表面上の部位によって大きく異なり、また時間ごとなどによって生育条件が変化しやすい。これにより、水生生物が部材の表面上に付着・定着した場合であっても、付着生物種の多様性を確保できるため、特定の生物種による独占的大量増殖を抑制できる。その結果、沿岸構造物の周辺水域における死亡個体による水質悪化、それに伴う悪臭などの周辺環境の悪化を防止できる。
上記の通り、この細長片は可撓性合成樹脂で形成されているため、適度な剛性・形状保持性を備えつつ、弾性機能を有する。そのため、潮流などにより細長片は微細かつ不規則に揺動し、水生生物の部材表面への付着・定着や水中の微細粒子などの堆積を抑制する。また、水生生物が部材の表面上に付着・定着した場合であっても、細長片上への水生生物などの付着量が増加すると、鉛直下方向に大きく撓み、付着物・堆積物がふるい落とされるとともに、細長片の表面における生育環境が大きく変動するため、付着水生生物の生育・増殖を抑制できる。
以上の通り、本発明に係る水生生物付着低減部材を沿岸構造物の表面に設置することにより、水生生物の該表面への付着・定着を抑制できるほか、水生生物が部材の該表面上に付着・定着した場合であっても、特定の生物種による独占的大量増殖を抑制できるため、沿岸構造物の周辺水域における死亡個体による水質悪化、それに伴う悪臭などの周辺環境の悪化を防止できる。その他、この部材には、沿岸構造物への設置・回収を比較的簡易かつ低廉に行うことができるという有利性もある。
本発明により、比較的簡易かつ有効に、付着性水生生物の独占的大量増殖を抑制することができる。
<凹凸表面による水生生物付着低減部材ついて>
本発明は、沿岸構造物の表面に設置する水生生物付着低減部材であって、該部材の基板面から、可撓性合成樹脂からなる細長片が多数立設し、前記各細長片が、厚さ0.4〜2.0mm、幅1.0〜4.0mm、長さ5.0〜25mmである水生生物付着低減部材をすべて包含する。以下、図1を用いて、その例を説明する。なお、本発明は、この実施形態のみに狭く限定されない。
図1は、本発明に係る凹凸表面による水生生物付着低減部材の例を示す部分外観斜視模式図である。
図1では、水生生物付着低減部材Aの基板面1に、骨組となる枠体11が形成され、該枠体11から細長片2が多数立設している。
基板面1の裏面側12を沿岸構造物の表面に対面させ、表面側13を水域の側に向けて設置・固定する。そして、水生生物付着低減部材A(基板面1)の表面側13から水生生物が付着しようとした場合でも、部材Aの凹凸形状や細長片2の剛性・弾性などの属性により、水生生物が部材Aに定着できずに振り落とされ、また、水生生物が部材Aに定着し、増殖を始めた場合でも、大量増殖できずに鉛直方向下方(図1中、矢印X1)へ落下する。
基板面1は、細長片2を多数立設できるものであればよく、図1のように枠体11で形成するもののほか、シート状、布状、マット状のものなどであってもよい。
基板面1を形成するものの材質については、合成樹脂製など、シート状、布状、マット状などに形成可能な公知のものを広く採用でき、特に限定されないが、長期間、水生生物付着低減機能を持続できる点などから、高耐水性・高耐久性・高耐候性の合成樹脂、例えば、特殊ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、アクリルニトリルスチレン樹脂、AAS樹脂(アクリルニトリル・アクリルゴム・スチレン樹脂)、AES樹脂(アクリロニトリル・(エチレン・プロピレン・ジエン共重合体)・スチレン樹脂)、メタクリル樹脂、フッ素樹脂、スチレン・ブタジエンゴムなどの合成ゴム、シリコンアクリレートなどのシリコン系樹脂、若しくはこれらを適宜積層したものなどが特に好適である。
細長片2は、基板面1に多数立設させた小片である。
細長片2は、可撓性合成樹脂からなり、適度な剛性・形状保持性を備えつつ、弾性機能を有する。そして、潮流などにより、ほとんど変形しないまま微細かつ不規則に揺動し、また、細長片2上への水生生物などの付着量が増加すると、荷重により鉛直下方向(図1中、矢印X1)に大きく撓む。但し、荷重の負荷から解放されれば、多くの場合、元の形状近くにまで戻る。
細長片2の材質としては、適度な剛性・形状保持性・弾性を有していればよく、公知の可撓性合成樹脂を広く採用でき、特に限定されないが、高耐水性・高耐久性・高耐候性の合成樹脂、例えば、特殊ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、アクリルニトリルスチレン樹脂、AAS樹脂(アクリルニトリル・アクリルゴム・スチレン樹脂)、AES樹脂(アクリロニトリル・(エチレン・プロピレン・ジエン共重合体)・スチレン樹脂)、メタクリル樹脂、フッ素樹脂、スチレン・ブタジエンゴムなどの合成ゴム、シリコンアクリレートなどのシリコン系樹脂、若しくはこれらを適宜積層したものなどが特に好適である。例えば、可撓性合成樹脂からなる細長片が多数立設し、可撓性樹脂が高耐候性樹脂で形成された水生生物付着低減部材Aを採用することにより、比較的長期間、設置当初の水生生物付着低減機能を保持できる。
また、基板面1と細長片2を同一の材質で一体成型したものを本発明に採用することにより、より安価に水生生物付着低減部材Aを調達できる。
細長片2の厚さは、材質によっても異なるが、適度な剛性・形状保持性・弾性を有する程度、例えば、0.4〜2.0mmが好適であり、0.5〜1.5mmがより好適であり、0.6〜1.2mmが最も好適である。
細長片2の幅は、材質によっても異なるが、水生生物が付着・定着又は増殖しにくい程度の幅、かつ適度な剛性・形状保持性・弾性を有する程度、例えば、1.0〜4.0mmが好適であり、1.2〜3.0mmがより好適であり、1.5〜2.5mmが最も好適である。
細長片2の長さ(高さ)は、材質によっても異なるが、隣接する細長片2と絡まらず、かつ適度な剛性・形状保持性・弾性を有する程度、例えば、5.0〜25mmが好適であり、8.0〜20mmがより好適であり、10〜20mmが最も好適である。
細長片2の形成密度に関しては、細長片2が基板面1に40,000〜200,000個/mの密度で形成されたものが好適であり、50,000〜150,000個/mの密度で形成されたものがより好適であり、60,000〜120,000個/mの密度で形成されたものが最も好適である。細長片2による基板面1の被覆面積を適切な範囲に調整することにより、水生生物の付着・定着・大量増殖を有効に抑制できる。
本発明では、例えば、各細長片2の先端部21がそれぞれいずれかの方向に折り曲げられ、基板面1に、少なくとも二種類以上の方向を向いた細長片2が形成された構成にしてもよい。
各細長片2の先端部21をそれぞれ折り曲げることにより、細長片2の間隔を維持したまま先端部分における被覆面積を増大させることができるため、細長片2間の間隙への水生生物の侵入を効果的に抑制できる。また、基板面1の表面側13からの荷重に対し、クッション性・弾力性を向上させることができる。
加えて、各細長片2の先端部21の折り曲げ方向を均一に一方向にするのではなく、少なくとも二種類以上の方向にすることにより、光条件などの生育環境を多様化できるため、付着生物種の多様性を確保でき、特定の生物種による独占的大量増殖をさらに効果的に抑制できる。
<本発明に係る沿岸構造物の表面構造について>
本発明は、上述のいずれかの水生生物付着低減部材が設置された沿岸構造物の表面構造をすべて包含する。以下、図2を用いてその例を説明する。なお、本発明は、この実施形態のみに狭く限定されない。
図2は、水生生物付着低減部材が設置された沿岸構造物の例を示す模式図である。
図2では、堤防・護岸Sから水域Wに向けて、橋部B1と脚部B2を備えた沿岸構造物Bが構築されており、沿岸構造物Bの脚部B2の水面W1付近に水生生物付着低減部材Aが設置されている。
沿岸構造物Sとしては、堤防・護岸、海域に建造された桟橋、船舶係留施設、工場・発電所などにおける取水・排水設備(それらに設けられた管路の外壁面及び内壁面を含む)など、構造の一部が水中に存在する全ての構造物をすべて包含する。なお、図2では、堤防・護岸Sが沿岸構造物Bと別個に建造されているが、堤防・護岸S自体も沿岸構造物の一形態であり、本発明に係る水生生物付着低減部材Aを該部位Sの表面に設置してもよい。
沿岸構造物Bの水中・水面付近に存在する部位のうち、少なくとも水面W1付近の領域(潮間帯及びその上下を含む領域)に、水生生物付着低減部材Aを設置することにより、該部位への水生生物の付着・定着を抑制できる。
また、これにより、特定の生物種による独占的大量増殖を抑制できるため、沿岸構造物Sの直下の底質W2における死亡個体の蓄積、それに伴う周辺水域Wの水質悪化、さらには悪臭発生などの周辺環境の悪化を有効に防止できる。
沿岸構造物Bへ水生生物付着低減部材Aを設置・固定する手段については、公知の方法を広く用いることができ、狭く限定されない。例えば、沿岸構造物Bの設置箇所に該部材Aを巻きつけて固定する、接着手段、打設手段、引掛・係留手段などにより固定する、などの方法又はそれらの組み合わせた設置方法などを広く採用できる。
<本発明に係る水生生物付着低減方法について>
本発明は、沿岸構造物の表面に、厚さ0.4〜2.0mm、幅1.0〜4.0mm、長さ5.0〜25mmの可撓性合成樹脂からなる細長片が基板面から多数立設された水生生物付着抑制部材を設置する工程を含む水生生物付着低減方法を全て包含する。
上述の通り、本発明に係る水生生物付着抑制部材を沿岸構造物の表面に設置することにより、ムラサキイガイなどの二枚貝、フジツボなどの固着動物、海藻類など、海棲性の水生生物の沿岸構造物表面への付着を有効に抑制でき、また、特定の生物種による独占的大量増殖を抑制できる。これにより、沿岸構造物の周辺水域における死亡個体による水質悪化、及び、それに伴う悪臭などの周辺環境の悪化も防止できる。
実施例1では、表面構造の異なる3種類の部材を試作し、それらの部材への水生生物付着量を検証した。
本実施例では、(1)粗砂凹凸表面構造、(2)均一立方体凹凸表面構造、(3)細長片凹凸表面構造、の3種類の部材を試作し、用いた。
粗砂凹凸表面構造は、以下の手順で作製した。コンクリート板(30×30×3cm、5.6kg)の表面に、全表面が隠れる程度に粗砂を撒き、接着固定した。
均一立方体凹凸表面構造は、以下の手順で作製した。5cm角の立方体を準備し、コンクリート板(30×30×3cm、5.6kg)の表面に、それらの立方体を上下・左右とも5cm間隔で整列して接着し、固定した。
細長片凹凸表面構造は、以下の手順で作製した。コンクリート板(30×30×3cm、5.6kg)の表面に、人工芝(商品名「セキスイポリターフR」、積水樹脂株式会社製、「セキスイポリターフ」は登録商標)を接着し、固定した。なお、用いた人工芝は、可撓性樹脂からなる細長片が基板面となる枠体から多数立設した構造を有し、各細長片は厚さ0.8mm、幅2.0mm、長さ10mm、細長片の形成密度98,700個/mであった。また、基板面(の枠体)及び細長片は特殊高耐候性ポリエチレンで一体成型により形成されていた。その他、各細長片の先端部は、全ていずれかの方向に一回折り曲げられており、折り曲げ方向は不均一で複数の方向となっていた。
対照として、表面構造を施していないコンクリート板(30×30×3cm、5.6kg)を準備した。
これらの試作部材を、それぞれ、船桟橋から満潮水位と干潮水位の中間水深に吊下げ、固定し、3ヶ月間、そのまま放置した。
各試作部材を吊下げてから3カ月後、各部材を引き揚げ、各部材の表面に付着した水生生物を削り取り、乾燥重量を計測し、単位面積当たりの付着量を算出した。
結果を図3に示す。図3は、試作した各表面構造への水生生物付着量を示すグラフである。図3中、「対照」の棒グラフは、表面構造を施していない試作部材を用いた場合、「粗砂」の棒グラフは、粗砂凹凸表面構造を施した試作部材を用いた場合、「立方体」の棒グラフは、均一立方体凹凸表面構造を施した試作部材を用いた場合、「細長片」の棒グラフは、細長片凹凸表面構造を施した試作部材を用いた場合の結果を表し、縦軸は、水生生物付着量(乾燥重量、単位:kg/m)を表す。
図3に示す通り、細長片凹凸表面構造を施した試作部材を用いた場合、水生生物の付着量は乾燥重量で約0.5kg/mであり、表面構造を施していない試作部材を用いた場合(対照)の1/16以下であった。また、粗砂凹凸表面構造を施した試作部材を用いた場合、及び、均一立方体凹凸表面構造を施した試作部材を用いた場合と比較しても、それぞれ1/6、1/8以下であり、有意に低い値であった。
実施例2では、本発明に係る水生生物付着低減部材について、その可撓性の検討を行った。
実施例1で用いた人工芝について、万能材料試験機(製品名「UH-2000kNA」、島津製作所株式会社製)を用いて、表面側から圧縮荷重を付加し、荷重時の圧縮ひずみ及びその際の細長片の曲がり角度を計測した。
結果を図4及び図5に示す。図4は、水生生物付着低減部材に圧縮荷重を付加した際の細長片のひずみを示すグラフ、図5は、同じく水生生物付着低減部材に圧縮荷重を付加した際の細長片の曲がり角度を示すグラフである。図4中、横軸は荷重(単位:kN)を、縦軸は細長片のひずみの長さ(単位:mm)を、それぞれ表す。図5中、横軸は荷重(単位:kN)を、縦軸は細長片の曲がり角度(単位:度)を、それぞれ表す。
図4では、荷重3kN辺りを境とした二段階のカーブが観察された。即ち、荷重3kN辺りまでは、荷重の増加に比例して一定のひずみは観察されたが、極端なひずみは起こらなかったのに対し、荷重3kNを超えると、ひずみが急激に増加した。
図5においても同様に、荷重3kN辺りを境とした二段階のカーブが観察された。即ち、荷重を付加していない時には、細長片が90度に立設されており、荷重3kN辺りまでは、荷重の増加に比例して、当初の90度から70度位まで徐々に倒れたが、極端な曲がりは起こらなかったのに対し、荷重3kNを超えると、曲がり角度の値が70度から30度付近まで急激に変化した。
これらの結果は、この水生生物付着低減部材の細長片が、少ない荷重では微細に撓む程度でほとんど変形せず、適度な剛性を有しているとともに、荷重が増加すると、大きく撓む性質も有していることを示唆する。
この知見は、例えば、図2のように、この水生生物付着低減部材を水面付近に設置した場合、通常時には、細長片が、潮流などにより、ほとんど変形しないまま微細かつ不規則に揺動し、かつ細長片上への水生生物などの付着量が増加した時には、荷重により鉛直下方向に大きく撓むことを示唆しており、本発明の有利性を裏付ける。
本発明は、堤防・護岸、海域に建造された桟橋、船舶係留施設、工場・発電所などの取水・排水設備などの沿岸構造物において、比較的簡易かつ有効に、付着性水生生物の独占的大量増殖を抑制することができる点で、産業上有用である。
上述の通り、従来、水生生物付着防止手段として、潮汐変動を利用し、付着性水生生物を削り落す生物付着防止手段が検討されている。しかし、これらの手段の場合、設置部位の寸法などに合わせて器具を作製する必要があり、汎用性が低い。また、生物付着防止に用いる器具自体の表面に生物が付着し、移動性を損ない、比較的短期間で機能を失う場合がある。それに対し、本発明は、設置部位の形状・寸法などに関らず設置可能であり、低廉で汎用性が高く、比較的長期間、設置当初の機能を保持できるという有利性がある。
上述の通り、従来、水生生物付着防止手段として、繊維などを密生した表面構造が検討されている。しかし、これらの手段の場合、繊維同士が絡みやすく、その隙間に微細粒子が入り込んで、比較的早期に機能を失う懸念が高い。それに対し、本発明は、各細長片が適度な剛性を有しているため、細長片同士が絡むことがなく、また、適度な可撓性を備えているため、微細粒子も潮流などで振り落とされ、蓄積しにくい。従って、比較的長期間、水生生物付着低減機能を保持できるという有利性がある。
その他、本発明は、設置・回収の作業を比較的簡易かつ低廉に行うことができるという有利性を備える。
本発明に係る凹凸表面による水生生物付着低減部材Aの例を示す部分外観斜視模式図。 水生生物付着低減部材Aが設置された沿岸構造物Bの例を示す模式図。 実施例1において、試作した各表面構造への水生生物付着量を示すグラフ。 実施例2において、水生生物付着低減部材に圧縮荷重を付加した際の細長片のひずみを示すグラフ。 実施例2において、水生生物付着低減部材に圧縮荷重を付加した際の細長片の曲がり角度を示すグラフ。
1 基板面
2 細長片
A 水生生物付着低減部材
B 沿岸構造物
S 堤防・護岸
W 水域

Claims (5)

  1. 沿岸構造物の表面に設置する水生生物付着低減部材であって、
    該部材の基板面から、可撓性合成樹脂からなる細長片が多数立設し、
    前記各細長片が、厚さ0.4〜2.0mm、幅1.0〜4.0mm、長さ5.0〜25mmである水生生物付着低減部材。
  2. 前記細長片が前記基板面に40,000〜200,000個/mの密度で形成された請求項1記載の水生生物付着低減部材。
  3. 前記可撓性樹脂が高耐候性樹脂で形成された請求項1又は請求項2記載の水生生物付着低減部材。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか一項記載の水生生物付着低減部材が設置された沿岸構造物の表面構造。
  5. 沿岸構造物の表面に、厚さ0.4〜2.0mm、幅1.0〜4.0mm、長さ5.0〜25mmの可撓性合成樹脂からなる細長片が基板面から多数立設された水生生物付着抑制部材を設置する工程を含む水生生物付着低減方法。
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