JP2014095515A - ワーク収納用容器およびこれを用いた光学素子熱処理用容器ならびにワーク収納用容器の製造方法 - Google Patents

ワーク収納用容器およびこれを用いた光学素子熱処理用容器ならびにワーク収納用容器の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 熱処理による不純物の付着の少ないワーク収納用容器および光学素子熱処理用容器を提供することを目的とするものである。
【解決手段】 本発明のワーク収納用容器101,102,103によれば、セラミックからな
る板状体1の主面1aにワーク7を収納するための凹部4を有し、凹4部の内側面4bに深さ方向に沿って伸びる凸部5を有していることから、凹部4の内に滞留したガスを、内側面4bの凸部5と谷部12の隙間を伝わって外部に排出することができ、ワーク7への付着を抑制することができ、本発明の光学素子熱処理用容器201は、光学素子203への付着を抑制できる。本発明のワーク収納用容器101の製造方法は、第1のセラミックグリーンシ
ート8に凹部4となる貫通孔9を、帯鋸21またはワイヤー22を用いて形成することから容易に作製できる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ワーク収納用容器およびこれを用いた光学素子熱処理用容器ならびにワーク収納用容器の製造方法に関する。
ワークを熱処理するときに、ワークを個別に収納するための容器として、耐熱性の高い鋼材やセラミックスで作製された容器を使用することがよく知られている。
例えば、特許文献1には、セラミックシートの積層体からなる基体の一方の主面側に複数の凹部を設けた熱処理用容器が開示されている。
特開2005-213086号公報
しかしながら、特許文献1に記載の熱処理用容器では、ワークが凹部の内側面に接触して配置された状態で熱処理をした場合において、ワークから発生したガスが凹部とワークの間に滞留し易く、熱処理後において、そのガスに含まれる成分がワークの表面に付着するおそれがあった。
本発明は、上記課題を解決するために案出されたものであり、ワーク表面の付着物を抑制することができるワーク収納用容器およびこれを用いた光学素子熱処理用容器ならびにワーク収納用容器の製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明のワーク収納用容器は、セラミックからなる板状体の主面にワークを収納するための凹部を有し、該凹部の内側面に深さ方向に沿って伸びる凸部を有していることを特徴とするものである。
本発明の光学素子熱処理用容器は上記構成のワーク収納用容器からなり、光学素子である前記ワークを熱処理するために用いられることを特徴とするものである。
本発明のワーク収納用容器の製造方法は、セラミックからなる板状体の主面にワークを収納するための凹部を有し、該凹部の内側面に深さ方向に沿って伸びる凸部を有しているワーク収納用容器の製造方法であって、
第1のセラミックグリーンシートを準備する工程と、
該第1のセラミックグリーンシートに貫通孔を作製する工程と
該貫通孔に、帯鋸盤またはワイヤーカッティングマシンに備えられた帯鋸またはワイヤーのいずれかを通し、前記帯鋸または前記ワイヤーを前記セラミックグリーンシートの厚み方向に回転運動または往復運動させて、前記貫通孔を所定の大きさに形成する工程と、
前記第1のセラミックグリーンシートとは別に、第2のセラミックグリーンシートを準備する工程と、
別に準備した前記第2のセラミックグリーンシートを、前記貫通孔を有する第1のセラミックグリーンシートの一方側に積層して成形体を作製する工程と、
該成形体を焼成する工程と、を有することを特徴とするものである。
本発明のワーク収納用容器によれば、セラミックからなる板状体の主面にワークを収納するための凹部を有し、該凹部の内側面に深さ方向に沿って伸びる凸部を有していることから、ワークが凹部の内側面に接触して配置された場合であっても、ワークと凹部との間に隙間を有することができ、熱処理時に発生したガスを効率よく外部に排出することができ、ワーク表面における不純物の付着を抑制することができる。
また、本発明の光学素子熱処理用容器は、上記構成のワーク収納用容器からなり、光学素子である前記ワークを熱処理するために用いられることから、光学素子の表面における不純物の付着を抑制することができる。
また、本発明のワーク収納用容器の製造方法によれば、セラミックからなる板状体の主面にワークを収納するための凹部を有し、該凹部の内側面に深さ方向に沿って伸びる凸部を有しているワーク収納用容器を容易に作製することができる。
本実施形態のワーク収納用容器の一例を示す、(a)はワーク収納用容器を構成する板状体の斜視図であり、(b)は板状体の主面側の平面図であり、(c)は(b)のA−A’線を部分的に拡大した断面図である。 本実施形態のワーク収納用容器の凹部の他の一例を示す、四角形状の開口部の平面図である。 本実施形態のワーク収納用容器の板状体が積層体からなる一例を示す、(a)は凹部を含む周囲の部分的な断面図であり、(b)は(a)の点線で囲んだB部を拡大した断面図である。 本実施形態のワーク収納用容器の凹部の他の一例を示す、開口部側に位置する第1の凹部と、第1の凹部よりも縮径した第2の凹部とを備えた凹部の周辺を含む部分的な断面図である。 本実施形態の光学素子熱処理用容器の一例を示す断面図である。 本実施形態のワーク収納用容器の製造方法の一例を示す工程フロー図である。 本実施形態のワーク収納用容器の製造方法の一例を示し、(a)〜(g)は図6で示す各工程における加工品の斜視図であり、(h)は(d)のセラミックグリーンシートに凹部となる貫通孔を形成する工程を部分的に拡大した断面図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明のワーク収納用容器の実施の形態の一例を、図1,図2を用いて説明する。
図1は、本実施形態のワーク収納用容器の一例を示す、(a)はワーク収納用容器を構成する板状体の斜視図であり、(b)は板状体の主面側の平面図であり、(c)は(b)のA−A’線を部分的に拡大した断面図であり、図2は本実施形態のワーク収納用容器の凹部の他の一例を示す、四角形状の開口部の平面図である。
図1に示すワーク収納用容器101は、板状体1の主面1aにワーク7を収納するための
凹部4を有し、凹部4の内側面4bに深さ方向に沿って伸びる凸部5を有している。それにより、ワーク7が凹部4の内側面4bに接触して配置された場合であっても、ワーク7は凸部5に接触する状態となり、凹部4の内側面4bのうち、凸部5と隣接する谷部12と
ワーク7との間には隙間が生じることとなる。それゆえ、例えば、ワーク7がガラスの部材等である場合に熱処理を行なうと、ワーク7よりガスが発生するものの、発生したガスは、ワーク7と、内側面4bの凸部5と谷部12との間とで構成される隙間を伝わって流れ、開口部4aから外部に排出することができる。言い換えれば、ワーク7と、内側面4bの凸部5と谷部12との間との部分が、ガスが流れる流路となる。さらには、ワーク7で凹部4を塞いだとしても、ワーク7と、内側面4bの凸部5と谷部12との間とには隙間ができるため、この隙間がガスの流れる流路となる。したがって、本実施形態のワーク収納用容器101は、熱処理等により生じたガスを効率よく排出することができることから、降温
時にガスに含まれる成分が付着物となってワーク7表面に付着することを抑制できる。
また、ワーク収納用容器101がセラミックからなることから、熱伝導性および耐熱性に
富んでおり、熱処理用の容器として用いたとき、ワーク7への熱伝導性にも優れ、かつ、繰り返し熱処理用の容器として用いても変形等のおそれの少ないものとすることができる。なお、ワーク収納用容器を構成するセラミック材料としては、アルミナ、ジルコニア、ムライト、炭化硅素、窒化珪素および、窒化アルミニウムやこれらの複合材料などがあげられる。
ここで、凹部4の平面形状として、図1においては、それぞれの谷部12を通る点線で示した仮想線が円形のものを示したが、例えば図2に示すように、四角形などの多角形とすることもでき、ワーク7の形状に基づいて適宜選択することができる。
また、本実施形態においては、図1においては、ワーク収納用容器101の凹部4の内側
面4bに有する凸部5を内周方向に7つ設けた例を、図2においては、ワーク収納用容器102の凹部4の内側面4bに有する凸部5を内周方向に8つ設けた例を示しているが、凸
部5の数はこれに限られるものではなく、例えば1つであってもよい。
ただし、ワーク7より発生するガスを効率よく排出するにあたっては、凹部4の内側面4bに、複数の凸部5が凹部4の内周面4bに沿って繰り返し設けられていることが好ましい。それにより、ワーク7と、内側面4bの凸部5と谷部12との間との隙間が適度な間隔を持って複数生じることとなることから、熱処理等により生じたガスをより効率よく排出することができ、ガスに含まれる成分が付着物となってワーク7表面に付着することをさらに抑制できる。
なお凸部5は、凹部4の内側面4bに深さ方向に沿って伸びて設けられていればよい。言い換えれば、必ずしも凹部4の上端から下端までにわたって設けられている必要はなく、また凸部5の伸びる向きが傾斜していてもよい。
また、凸部5の高さ、言い換えれば凸部5の凹部4に向けた突出の幅は、凹部4におけるワーク7の収納に支障がない範囲で、かつ熱処理により生じるガスが効率よく流れることができる範囲で、適宜設定することができる。
さらに、凸部5の形状は、凹部4の内側面4bに突出する形状であればよい。すなわち、図1および図2に示すワーク収納用容器101,102においては、凸部5が三角形状に突出
した例を示したが、矩形状や曲面状に突出した形状とすることもできる。
また、図1(c)では、凹部4の内側面4bは深さ方向に鉛直に設けられているが、底面4cに対して90度よりプラスまたはマイナスの何れの傾斜があってもよい。
さらに、板状体1の主面1aに設ける凹部4は、1つ乃至複数のいずれでもよくワーク7のサイズやワーク7の収納数により適宜選択すればよい。
図3は、本実施形態のワーク収納用容器の板状体が積層体からなる一例を示す、(a)は凹部を含む周囲の部分的な断面図であり、(b)は(a)の点線で囲んだB部を拡大した断面図である。
本実施形態のワーク収納用容器103は、板状体1が複数の部材2を積層した積層体3か
らなり、それぞれの部材2間の少なくとも一部は、凹部4と連通する隙間を有していないことが好ましい。なお、図3においては、複数の部材2間の少なくとも一部に凹部4と連通する隙間を有している場合を仮想して符号Bにて示しており、図3(b)で示すB部の拡大図においては、積層体3を構成する部材2の接合部に、凹部4と連通する隙間6がある場合を仮想して、この隙間6を点線で記載している。
上述したワーク収納用容器101,102を作製するにあたり、設計の自由度等の観点から、
板状体1を複数の部材2を積層してなる積層体3とすることができる。しかしながら、板状体1を複数の部材2を積層してなる積層体3とした場合において、それぞれの部材2間に凹部4に連通する隙間が生じる場合がある。
ここで、それぞれの部材2間に隙間が生じている場合には、熱処理等により生じたガスが隙間に滞留してしまい、この滞留したガスに含まれる成分が付着物となってワーク7表面に付着するおそれがある。
それゆえ、本実施形態のワーク収納用容器103においては、それぞれの部材2間の少な
くとも一部は、凹部4と連通する隙間を有していない構成とすることにより、熱処理等により生じたガスが滞留することを抑制でき、ガスに含まれる成分が付着物となってワーク7表面に付着することを抑制できる。なお、より効率よくガスに含まれる成分がワーク7表面に付着することを抑制するにあたっては、全ての部材2間に凹部4に連通する隙間がないことが好ましい。
なお、本実施形態において、それぞれの部材2間に凹部4と連通する隙間6を有していないとは、それぞれの部材2間の接合部の内側面4b側において、セラミックの粒子サイズレベルの脱粒やボイドなどにより隙間が生じているものは除くものとし、隙間の奥行きが15μm以下は隙間とみなさないものとする。
図4は、本実施形態のワーク収納用容器の他の一例を示す、開口部に位置する第1の凹部と、第1の凹部よりも径の小さい第2の凹部とを備えた凹部の周辺を含む部分的な断面図である。
本実施形態のワーク収納用容器104は、凹部4が、開口部4aに位置する第1の凹部4
dと、第1の凹部4dよりも径の小さい第2の凹部4bとを備えている。言い換えれば、凹部4の内側面4bが断面視において階段状となっている。
ここで、図4に示すようにワーク7を、凹部4を塞ぐように配置する場合において、ワーク7を階段状となった部位にて保持することができる。この場合には、ワーク7が凹部4の底面4cに接触しないことから、底面4cに付着している異物がワーク7に付着することが抑制できる。なお、ワーク7の一端が凹部4の底面4cに接触するように配置する場合においては、ワーク7を階段状の部分で支持することができる。
なお、凹部4が階段状であるワーク収納用容器104において、板状体1を、複数の部材
2を積層してなる積層体3とした場合には、部材2毎に任意の貫通孔を形成し、それらの部材2を積層することにより、容易に凹部4の内側面4bが階段状であるワーク収納用容
器104とすることができる。
図5は、本実施形態の光学素子熱処理用容器の一例を示す断面図である。
図5に示す本実施形態の光学素子熱処理用容器201は、本実施形態のワーク収納用容器101,102,103,104の板状体1の主面1aに、凹部4を塞ぐように蓋体202を備えている。なお、板状体1の主面1aと対向する蓋体202側には溝11が形成されている。
本実施形態の光学素子熱処理用容器201は、ワーク収納用容器101,102,103,104の板
状体1に備えられた凹部4に、レンズなどの光学素子203を収納し屈折率調整などの目的
として熱処理用として用いたときに、光学素子203が、凹部4の内側面4bに接触して配
置された場合であっても、光学素子203から発生したガスが、光学素子203と、凹部4の内側面4bの凸部5と谷部12との間とのガスが流れる流路を介して、蓋体202に設けられた
溝11から効率よく外部に排出されることから、ガスに含まれる成分が付着物となって光学素子203の表面に付着することを抑制できる。
なお、板状体1の凹部4内で発生したガスを板状体1の外部へ排出する通路として、蓋体202に設けられた溝11を通路とする場合を例示したが、板状体1の凹部4の内側面4b
または底面4cと外部を繋ぐ通路とすることもでき、適宜設定することができる。
次に、本実施形態のワーク収納用容器の製造方法について、図6および図7を用いて説明する。
図6は、本実施形態のワーク収納用容器の製造方法の一例を示す工程フロー図であり、図7は、本実施形態のワーク収納用容器の製造方法の一例を示し、(a)〜(g)は図6で示す各工程における加工品の斜視図であり、(h)は(d)のセラミックグリーンシートに貫通孔を形成するときの貫通孔の周囲を部分的に拡大した断面図である。
なお、図7は、ワーク収納用容器の板状体の凹部が複数の部材を積層した場合について図示しているが、凹部が単層の部材からなる場合についても本図を併用する。また、ここでは、凹部4の平面形状が略円形のワーク収納用容器101について図示するが、略四角形
であるワーク収納用容器102、凹部4に第1の凹部4dと第2の凹部4eがあるワーク収
納用容器104についても製造方法はほぼ同一であり、必要により相違する箇所は説明を加
える。
セラミックからなる板状体1の主面1aにワーク7を収納するための凹部4を有し、凹部4の内側面4bに深さ方向に沿って伸びる凸部5を有しているワーク収納用容器101の
製造方法は、まず、はじめに、図6のAおよび図7(a)に示すように、ワーク収納用容器となる成形体の作製工程として、公知のセラミックスラリーを用いるドクターブレード法や、セラミック粉末を用いてロールコンパクション法によりテープ状とし、打ち抜き成型やレーザ加工等により所定の板状体を成形して、複数の第1のセラミックグリーンシート8(以下、単にセラミックグリーンシート8という場合がある。)を準備する。
次に、図6のBおよび図7(b)に示すように、準備した複数のセラミックグリーンシート8を積層し、加圧し積層体を作製する。なお、セラミックグリーンシート8を積層するにあたっては、セラミックグリーンシート8の積層面に、セラミックグリーンシート8を準備するときに用いたセラミックの泥漿とほぼ同一の成分からなる泥漿を塗布し、セラミックグリーンシート8を積層したあとに、セラミックグリーンシート8の接合面全体に、満遍なく加圧力がかかるようにして加圧する。
次に、図6のCおよび図7(c)に示すように、セラミックグリーンシート8の厚みt方向に貫通する貫通孔9aを作製する。なお、貫通孔9aは、後で所定の凹部4となる貫通孔を形成するための予備孔であり、キリやドリルまたはレーザ加工やプレス成型などで貫通孔9aを作製すればよい。
次に、図6のDおよび図7(d)で示すように、上記工程において設けた貫通孔9aに帯鋸盤またはワイヤーカッティングマシンに備えられた帯鋸21またはワイヤー22のいずれかを通し、帯鋸21またはワイヤー22をセラミックグリーンシート8の厚みt方向に回転運動または往復運動させ、かつ、セラミックグリーンシート8の幅w方向に沿って動かすことにより、図7(e)に示す貫通孔9が形成されたセラミックグリーンシート8を作製する。なお、帯鋸21またはワイヤー22は、凹部4の平面形状に応じて適宜選択して使用することができる。
この貫通孔9の形成において、凹部4の内側面4bとなる貫通孔9の内面には、セラミックグリーンシート8の厚みt方向に進行した帯鋸21またはワイヤー22の切削痕の凹凸が形成され、凸となる箇所が凹部4の内側面4bの深さ方向に伸びる凸部5となる。
なお、帯鋸21とは俗称バンドソーを指し、通常は炭素鋼やステンレス等からなるエンドレスの薄厚の板にダイヤモンドなどの固定砥粒を備えたものであり、刃先形状は鋸状のセグメントタイプから固定砥粒が連続する連続タイプまであり、適宜選択して用いることができる。
また、ワイヤー22とは俗称ワイヤソーに用いるもので、通常は炭素鋼等からなるエンドレスの糸状のワイヤー22にノズルによりダイヤモンド等の砥粒を含有する泥漿を吹き付ける遊離砥粒や、あるいは、同様の砥粒を備えた固定砥粒などを用いることができる。
ワーク収納用容器101における凹部4の内側面4bの凸部5の高さを調整するときは、
貫通孔9の形成工程で、帯鋸21を用いるときには、刃先がセグメントタイプであれば凸部5は高くなり、刃先が連続タイプであれば凸部5は低くなる。また、ワイヤー22を用いるときは、固定砥粒の粒径や固着状態を加味したワイヤー22の径の凹凸が大きいと凸部5は高くなり、ワイヤー22の径の凹凸が小さいと凸部5は低くなる。そして、凹部4の内周方向に1つまたは部分的に深さ方向に伸びる凸部5を形成するときは、帯鋸21またはワイヤー22を交換して貫通孔9を形成すればよく、凹部4の内周に沿って凸部5を繰り返し設けるときには、同一の帯鋸21またはワイヤー22を用いて貫通孔9を形成すればよい。
ここで、帯鋸21またはワイヤー22の進行速度は、セラミックグリーンシート8が柔らかいため、アルミニウム板や銅板の加工時の速度よりも早くしても構わない。
次に、図6のEおよび図7(f)に示すように、凹部となる貫通孔9を設けたセラミックグリーンシート8と、このセラミックグリーンシート8とは別に、貫通孔9を設けていない第2のセラミックグリーンシート10(以下、単にセラミックグリーンシート10という場合がある。)を準備し、別に準備したセラミックグリーンシート10を、貫通孔9を有するセラミックグリーンシート8が積層された積層体の一方側に積層、加圧して成形体101
’を作製する。
なお、それぞれのセラミックグリーンシート8,10の材質は成形体101’を焼成したと
きの収縮率を合わせるためには同一のものが好ましく、積層するセラミックグリーンシート8の少なくとも一方にテープ状のセラミックグリーンシート8,10を成形するときに用いたセラミックスラリーとほぼ同一の泥漿を接合面に塗布し、積層した後、加圧することによって、成形体101’を作製することができる。
次に、図6のFに示すように、上記工程にて得られた成形体101’を焼成する。成形体101’の焼成工程は、公知のトンネル式連続炉やバッチ式炉などにより焼成するが、アルミナセラミックであれば、最高温度が1400〜1600℃程度で焼成すればよい。それにより、図7(g)に示す本実施形態のワーク収納用容器101を作製することができる。
このように、本実施形態のワーク収納用容器101の製造方法によれば、セラミックから
なる板状体1の主面1aにワーク7を収納するための凹部4を有し、凹部4の内側面4bに深さ方向に沿って伸びる凸部5を容易に作製することができる。
なお、図4のワーク収納用容器104に示すように、凹部4が第1の凹部4dと第1の凹
部4dより径の小さい第2の凹部4eとからなるときには、それぞれの凹部4d,4eを構成するセラミックグリーンシート8を個別に積層、加圧して作製した積層体に貫通孔9を形成したのち、積層すればよい。またワーク収納用容器を単層の板状体にて作製する場合には、上記の工程を適宜変更して作製すればよい。
このように、凹部4をセラミックグリーンシート8の積層体で作製するとともに、貫通孔9を帯鋸21またはワイヤー22にて形成する方法であれば、それぞれの部材2間の少なくとも一部において、凹部4と連通する隙間6を有さないワーク収納用容器101を容易に作
製することができる。
次に、ワーク収納用容器101の凹部4の内側面4bに深さ方向に伸びる凸部5の高さの
調整について、図7(d)および(h)を用いて説明する。
図7(h)は、(d)のセラミックグリーンシート8に貫通孔9を形成するときの部分的に拡大した断面図であり、複数のセラミックグリーンシート8の積層体に、帯鋸21またはワイヤー22を通し凹部4となる貫通孔9を形成する。ここでは、ワイヤー22で平面形状が円形の貫通孔9を加工する。
貫通孔9を所定の大きさに形成する工程において、帯鋸21またはワイヤー22のセラミックグリーンシート8の幅w方向における振れ幅rを規制することにより、貫通孔9の内側面に深さ方向に沿って伸びる凸部、言い換えればワーク収納用容器101の凹部4の内側面
4bに深さ方向に伸びる凸部5の高さを容易に調整することができる。
図7(h)においては、帯鋸21またはワイヤー22のセラミックグリーンシート8の幅w方向における振れ幅rを規制するために、加工用テーブル23の下部に振れ幅規制部材24を取付けた例を示しているが、この振れ幅rの設定を広げることによって、セラミックグリーンシート8の厚みt方向に伸びる凸部5の高さを高くすることができる。
なお、より厳密に凸部5の高さを設定し、また、凸部5の高さを低くするときには、帯鋸21であれば砥粒が連続して固着された連続刃を用い、またワイヤー22であれば固定砥粒の砥粒の高さがばらつきの少ないものを用いればよい。
101,102,103,104:ワーク収納用容器
201:光学素子熱処理用容器
203:光学素子
1:板状体
2:部材
3:積層体
4:凹部
5:凸部
6:隙間
7:ワーク
8:セラミックグリーンシート
9:貫通孔
21:帯鋸
22:ワイヤー

Claims (7)

  1. セラミックからなる板状体の主面にワークを収納するための凹部を有し、該凹部の内側面に深さ方向に沿って伸びる凸部を有していることを特徴とするワーク収納用容器。
  2. 前記凸部が前記凹部の内周に沿って繰り返し設けられていることを特徴とする請求項1に記載のワーク収納用容器。
  3. 前記板状体が複数の部材を積層した積層体からなり、それぞれの前記部材間の少なくとも一部は、前記凹部と連通する隙間を有していないことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のワーク収納用容器。
  4. 請求項1乃至請求項3のうちいずれかに記載のワーク収納用容器からなり、光学素子である前記ワークを熱処理するために用いられることを特徴とする光学素子熱処理用容器。
  5. セラミックからなる板状体の主面にワークを収納するための凹部を有し、該凹部の内側面に深さ方向に沿って伸びる凸部を有しているワーク収納用容器の製造方法であって、
    第1のセラミックグリーンシートを準備する工程と、
    該第1のセラミックグリーンシートに貫通孔を作製する工程と
    該貫通孔に、帯鋸盤またはワイヤーカッティングマシンに備えられた帯鋸またはワイヤーのいずれかを通し、前記帯鋸または前記ワイヤーを前記セラミックグリーンシートの厚み方向に回転運動または往復運動させて、前記貫通孔を所定の大きさに形成する工程と、
    前記第1のセラミックグリーンシートとは別に、第2のセラミックグリーンシートを準備する工程と、
    別に準備した前記第2のセラミックグリーンシートを、前記貫通孔を有する第1のセラミックグリーンシートの一方側に積層して成形体を作製する工程と、
    該成形体を焼成する工程と、を有することを特徴とするワーク収納用容器の製造方法。
  6. 前記第1のセラミックグリーンシートを準備する工程が、複数の第1のセラミックグリーンシートを準備する工程を含み、それぞれの前記第1のセラミックグリーンシートに予備孔となる貫通孔を作製する工程との間に、前記複数の第1のセラミックグリーンシートを積層する工程を有することを特徴とする請求項5に記載のワーク収納用容器の製造方法。
  7. 前記貫通孔を所定の大きさに形成する工程において、前記帯鋸または前記ワイヤーの前記第1のセラミックグリーンシートの幅方向における振れ幅を規制することにより、前記貫通孔の内側面に深さ方向に沿って伸びる凸部の高さを調整することを特徴とする請求項5または請求項6に記載のワーク収納用容器の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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