JP2014094938A - tert−ブチルアルコールと含フッ素オレフィンを含む混合物からtert−ブチルアルコール又は含フッ素オレフィンを分離回収する方法 - Google Patents

tert−ブチルアルコールと含フッ素オレフィンを含む混合物からtert−ブチルアルコール又は含フッ素オレフィンを分離回収する方法 Download PDF

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香織 大野
Yuki Matsuda
祐樹 松田
Hideki Misawa
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Abstract

【課題】含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールを含む混合物からtert-ブチルアルコールを効率良く分離回収して有効利用することを可能とする方法を提供する。
【解決手段】一般式(1):C2F5(CF2CF2)nCH=CH2(式中、nは1〜3整数である)で表される含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールを含む混合物に、水、或いはメタノール、エタノール及びイソプロパノールからなる群から選ばれる少なくとも一種のアルコールを添加して得られる混合液を蒸留処理に供して、含フッ素オレフィン、tert-ブチルアルコール及び水からなる共沸混合物を含む留分、又は含フッ素オレフィンとアルコールとからなる共沸混合物を含む留分を蒸留塔の塔頂部から抜き出し、塔底部からtert-ブチルアルコールを得ることによって、含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールを含む混合物から簡単な方法で高純度のtert-ブチルアルコールを分離回収できる。
【選択図】なし

Description

本発明は、tert-ブチルアルコールと含フッ素オレフィンを含む混合物からtert-ブチルアルコールを分離回収する方法、該混合物から含フッ素オレフィンを分離回収する方法、含フッ素エステルの製造方法、及びtert-ブチルアルコールと含フッ素オレフィンを含む新規な共沸混合物に関する。
式:RfCHCHOCOR(式中、Rfはフルオロアルキル基であり、Rは一価の有機基である)で表わされる含フッ素エステルは、撥水撥油剤、界面活性剤、離型剤等を製造するための中間体などとして有用な物質である。
該含フッ素エステルを製造する方法としては、式:RfCHCHY(YはBr又はI)で表わされる含フッ素ハロゲン化物とカルボン酸のアルカリ金属塩とをアルコール溶媒中で加熱する方法が知られている(特許文献1)。特許文献1には、この反応に用いる溶媒として、25℃において約17.5以下の誘電率を有する1価アルコールが記載されているが、一般には、入手容易性や価格の点で、tert-ブチルアルコールが用いられることが多い。
この方法では、通常、反応混合物中には、目的物である含フッ素エステルの他に、副生物として式:RfCH=CHで表わされる含フッ素オレフィンが30mol%程度の割合で含まれる。目的物である含フッ素エステルは、通常、反応混合物を精留することによって分離回収されるが、副生物として含まれる含フッ素オレフィンは、溶媒として用いたtert-ブチルアルコールと共沸するために、精留操作では含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールとを分離することができない。
溶媒として用いたtert-ブチルアルコールは比較的高価であり、反応後はできるだけ回収して再利用することが望まれる。このため、tert-ブチルアルコールと含フッ素オレフィンを含む混合物からtert-ブチルアルコールを効率良く分離回収できる方法が要望されている。
特公昭39−18112号公報
本発明は、上記した従来技術の現状に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、tert-ブチルアルコールと含フッ素オレフィンを含む混合物からtert-ブチルアルコールを効率良く回収できる方法を提供することであり、特に、前述した含フッ素ハロゲン化物とカルボン酸のアルカリ金属塩とをtert-ブチルアルコール中で反応させて含フッ素エステルを製造する方法において、生成物を蒸留して精製する際に生じる含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールとからなる共沸混合物からtert-ブチルアルコールを効率良く分離回収して有効利用することを可能とする方法を提供することである。
本発明者は、上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールを含む混合物に、水を添加することによって、含フッ素オレフィン、tert-ブチルアルコール及び水からなる三成分系の最低共沸混合物が形成されることを見出した。この三成分系の共沸混合物は、前述した含フッ素エステルの精留の際に生じる含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールの共沸混合物と比較してtert-ブチルアルコールの含有比率が低いために、含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールの共沸混合物に水を添加して蒸留操作を行って、この三成分系の最低共沸混合物を塔頂部から回収することにより、含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールからなる共沸混合物に含まれていたtert-ブチルアルコールの一部を塔底部から高純度で回収することが可能となる。
更に、本発明者の研究によれば、含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールを含む混合物にメタノール、エタノール又はイソプロパノールを添加することによって、これらのアルコールと含フッ素オレフィンとの共沸混合物が形成されることが見出された。この現象を利用して、含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールの共沸混合物にメタノール、エタノール又はイソプロパノールを添加して蒸留操作を行うことによって、塔頂部からメタノール、エタノール又はイソプロパノールと含フッ素オレフィンとからなる共沸混合物が抜き出され、塔底部からはtert-ブチルアルコールを純度よく分離回収できる。
これらの方法によれば、前述した方法で含フッ素エステルを蒸留して精製する際に得られる含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールとからなる共沸混合物から、簡単な方法によって高純度のtert-ブチルアルコールを回収することができ、tert-ブチルアルコールの有効利用を図ることが可能となることを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記のtert-ブチルアルコールと含フッ素オレフィンを含む混合物からtert-ブチルアルコールを分離回収する方法、該混合物から含フッ素オレフィンを分離回収する方法、含フッ素エステルの製造方法、及びtert-ブチルアルコールと含フッ素オレフィンを含む新規な共沸混合物を提供するものである。
項1. 一般式(1):C2F5(CF2CF2)nCH=CH2(式中、nは1〜3整数である)で表される含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールを含む混合物からtert-ブチルアルコールを分離回収する方法であって、
(1A)上記混合物に水を添加して得られる混合液を蒸留処理に供して、含フッ素オレフィン、tert-ブチルアルコール及び水からなる共沸混合物を含む留分を蒸留塔の塔頂部から抜き出し、塔底部からtert-ブチルアルコールを得る工程
を含み、
処理対象とする含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールを含む混合物が、該含フッ素オレフィン、tert-ブチルアルコール及び水からなる共沸混合物と比較して、該含フッ素オレフィンに対するtert-ブチルアルコールの含有比率が高い混合物であることを特徴とする方法。
項2. 一般式(1):C2F5(CF2CF2)nCH=CH2(式中、nは1〜3整数である)で表される含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールを含む混合物からtert-ブチルアルコールを分離回収する方法であって、
(1B)上記混合物に、メタノール、エタノール及びイソプロパノールからなる群から選ばれる少なくとも一種のアルコールを添加して得られる混合液を蒸留処理に供して、メタノール、エタノール及びイソプロパノールからなる群から選ばれる少なくとも一種のアルコールと含フッ素オレフィンとからなる共沸混合物を含む留分を蒸留塔の塔頂部から抜き出し、塔底部からtert-ブチルアルコールを得る工程
を含むことを特徴とする方法。
項3. 処理対象とする含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールを含む混合物が、該含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールとからなる共沸混合物を含むものである、項1又は2に記載の方法。
項4. 一般式(1):C2F5(CF2CF2)nCH=CH2(式中、nは1〜3整数である)で表される含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールを含む混合物から含フッ素オレフィンを分離回収する方法であって、
(1A)上記混合物に水を添加して得られる混合液を蒸留処理に供して、含フッ素オレフィン、tert-ブチルアルコール及び水からなる共沸混合物を含む留分を蒸留塔の塔頂部から抜き出す工程;及び
(2A)工程(1A)において蒸留塔の塔頂部から抜き出された留分を、必要に応じて水洗処理に供してから、含フッ素オレフィンを含む相とtert-ブチルアルコールを含む水相とに相分離させた後、含フッ素オレフィンを含む相を回収する工程
を含むことを特徴とする方法。
項5. 一般式(1):C2F5(CF2CF2)nCH=CH2(式中、nは1〜3整数である)で表される含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールを含む混合物から含フッ素オレフィンを分離回収する方法であって、
(1B)上記混合物に、メタノール、エタノール及びイソプロパノールからなる群から選ばれる少なくとも一種のアルコールを添加して得られる混合液を蒸留処理に供して、メタノール、エタノール及びイソプロパノールからなる群から選ばれる少なくとも一種のアルコールと含フッ素オレフィンとからなる共沸混合物を含む留分を蒸留塔の塔頂部から抜き出す工程;及び
(2B)工程(1B)において蒸留塔の塔頂部から抜き出された留分を水洗処理に供してから、含フッ素オレフィンを含む相とアルコールを含む水相とに相分離させた後、含フッ素オレフィンを含む相を回収する工程
を含むことを特徴とする方法。
項6. 処理対象とする含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールを含む混合物が、該含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールとからなる共沸混合物を含むものである、項4又は5に記載の方法。
項7. さらに、
(3)前の工程において回収された含フッ素オレフィンを含む相を水洗処理に供して、含フッ素オレフィンを含む相と水相とに相分離させた後、含フッ素オレフィンを含む相を回収する工程
を1回以上含む、項4〜6のいずれか一項に記載の方法。
項8. 工程(2A)若しくは(2B)、及び/又は工程(3)においてアルコールを含む水相を回収し、当該水相を別の水洗処理に用いる、
項4〜7のいずれか一項に記載の方法。
項9. さらに、
(4)前の工程において回収された含フッ素オレフィンを蒸留処理に供して精製する工程
を含む、項4〜8のいずれか一項に記載の方法。
項10. 下記の工程を含む、含フッ素エステルの製造方法:
(i)一般式(2):C2F5(CF2CF2)nCH2CH2X(式中、Xは臭素原子又はヨウ素原子であり、nは1〜3の整数である)で表されるフルオロアルキルハライドエチレン付加物と一般式(3):RCOOY(式中、Rは一価の有機基であり、Yはアルカリ金属である)で表されるカルボン酸アルカリ金属塩とをtert-ブチルアルコール中で反応させて、一般式(4):C2F5(CF2CF2)nOCOR(式中、n及びRは上記に同じである)で表される含フッ素エステルを製造する工程、
(ii)上記(i)工程で得られた生成物を蒸留処理に供して、一般式(4):C2F5(CF2CF2)nOCOR(式中、n及びRは上記に同じである)で表される含フッ素エステルを回収し、副生物である一般式(1):C2F5(CF2CF2)nCH=CH2(式中、nは1〜3整数である)で表される含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールとからなる共沸混合物を含む留分を塔頂成分として得る工程、
(iii)上記(ii)工程で得られた含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールとからなる共沸混合物を含む留分に水を添加して得られる混合液を蒸留処理に供して、含フッ素オレフィン、tert-ブチルアルコール及び水からなる共沸混合物を含む留分を蒸留塔の塔頂部から抜き出し、塔底部からtert-ブチルアルコールを得る工程、
(iv)上記(iii)工程で得られたtert-ブチルアルコールを、必要に応じて、更に精製した後、上記(i)工程に循環して、反応溶媒として再利用する工程。
項11. 下記の工程を含む、含フッ素エステルの製造方法:
(i)一般式(2):C2F5(CF2CF2)nCH2CH2X(式中、Xは臭素原子又はヨウ素原子であり、nは1〜3の整数である)で表されるフルオロアルキルハライドエチレン付加物と一般式(3):RCOOY(式中、Rは一価の有機基であり、Yはアルカリ金属である)で表されるカルボン酸アルカリ金属塩とをtert-ブチルアルコール中で反応させて、一般式(4):C2F5(CF2CF2)nOCOR(式中、n及びRは上記に同じである)で表される含フッ素エステルを製造する工程、
(ii)上記(i)工程で得られた生成物を蒸留処理に供して、一般式(4):C2F5(CF2CF2)nOCOR(式中、n及びRは上記に同じである)で表される含フッ素エステルを回収し、副生物である一般式(1):C2F5(CF2CF2)nCH=CH2(式中、nは1〜3整数である)で表される含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールとからなる共沸混合物を含む留分を塔頂成分として得る工程、
(iii)上記(ii)工程で得られた含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールとからなる共沸混合物を含む留分に、メタノール、エタノール及びイソプロパノールからなる群から選ばれる少なくとも一種のアルコールを添加して得られる混合液を蒸留処理に供してメタノール、エタノール及びイソプロパノールからなる群から選ばれる少なくとも一種のアルコールと含フッ素オレフィンとからなる共沸混合物を含む留分を蒸留塔の塔頂部から抜き出し、塔底部からtert-ブチルアルコールを得る工程、
(iv)上記(iii)工程で得られたtert-ブチルアルコールを、必要に応じて、更に精製した後、上記(i)工程に循環して、反応溶媒として再利用する工程。
項12. 一般式(1):C2F5(CF2CF2)nCH=CH2(式中、nは1〜3整数である)で表される含フッ素オレフィン、tert-ブチルアルコール及び水からなる最低共沸混合物。
項13. 含フッ素オレフィンが一般式(1)においてn=1の化合物であって、大気圧下における重量比が、含フッ素オレフィン:tert-ブチルアルコール:水=95:5:1である、項12に記載の最低共沸混合物。
項14. 含フッ素オレフィンが一般式(1)においてn=2の化合物であって、大気圧下における重量比が、含フッ素オレフィン:tert-ブチルアルコール:水=73:22:5である、項12に記載の最低共沸混合物。
項15. 含フッ素オレフィンが一般式(1)においてn=3の化合物であって、大気圧下における重量比が、含フッ素オレフィン:tert-ブチルアルコール:水=37:55:8である、項12に記載の最低共沸混合物。
項16. C2F5(CF2CF2)nCH=CH2(式中、nは1〜3整数である)で表される含フッ素オレフィンの分離回収のために用いられる、
該含フッ素オレフィンと
メタノール、エタノール及びイソプロパノールからなる群から選ばれる少なくとも一種のアルコール
とからなる共沸混合物。
項17. C2F5(CF2CF2)nCH=CH2(式中、nは1〜3整数である)で表される含フッ素オレフィンと
メタノール、エタノール及びイソプロパノールからなる群から選ばれる少なくとも一種のアルコール
とからなる共沸混合物の、
該含フッ素オレフィンの分離回収のための使用。
項18. 該含フッ素オレフィンの分離回収が、項5に記載の方法である、項16又は17に記載の混合物又は使用。
項19. tert-ブチルアルコールを分離回収するために用いられる、
C2F5(CF2CF2)nCH=CH2(式中、nは1〜3整数である)で表される含フッ素オレフィン、tert-ブチルアルコール及び水を含む混合物であって、
該含フッ素オレフィン、tert-ブチルアルコール及び水からなる共沸混合物と比較して、該含フッ素オレフィンに対するtert-ブチルアルコールの含有比率が高い混合物。
項20. C2F5(CF2CF2)nCH=CH2(式中、nは1〜3整数である)で表される含フッ素オレフィン、tert-ブチルアルコール及び水を含む混合物であって、
該含フッ素オレフィン、tert-ブチルアルコール及び水からなる共沸混合物と比較して、該含フッ素オレフィンに対するtert-ブチルアルコールの含有比率が高い混合物の、
tert-ブチルアルコールを分離回収するための使用。
項21. tert-ブチルアルコールの分離回収が、項1に記載の方法である、項19又は20に記載の混合物又は使用。
項22. C2F5(CF2CF2)nCH=CH2(式中、nは1〜3整数である)で表される含フッ素オレフィンを分離回収するために用いられる、
該含フッ素オレフィン、tert-ブチルアルコール及び水を含む混合物であって、
該含フッ素オレフィン、tert-ブチルアルコール及び水からなる共沸混合物と比較して、該含フッ素オレフィンに対するtert-ブチルアルコールの含有比率が高い混合物。
項23. C2F5(CF2CF2)nCH=CH2(式中、nは1〜3整数である)で表される含フッ素オレフィン、tert-ブチルアルコール及び水を含む混合物であって、
該含フッ素オレフィン、tert-ブチルアルコール及び水からなる共沸混合物と比較して、該含フッ素オレフィンに対するtert-ブチルアルコールの含有比率が高い混合物の、
該含フッ素オレフィンを分離回収するための使用。
項24. 該含フッ素オレフィンの分離回収が、項4に記載の方法である、項22又は23に記載の混合物又は使用。
項25. tert-ブチルアルコールを分離回収するために用いられる、
(a) C2F5(CF2CF2)nCH=CH2(式中、nは1〜3整数である)で表される含フッ素オレフィン;
(b) tert-ブチルアルコール;並びに
(c) メタノール、エタノール及びイソプロパノールからなる群から選ばれる少なくとも一種のアルコール
を含む混合物。
項26. (a) C2F5(CF2CF2)nCH=CH2(式中、nは1〜3整数である)で表される含フッ素オレフィン;
(b) tert-ブチルアルコール;並びに
(c) メタノール、エタノール及びイソプロパノールからなる群から選ばれる少なくとも一種のアルコール
を含む混合物の、
tert-ブチルアルコールを分離回収するための使用。
項27. tert-ブチルアルコールの分離回収が、項2に記載の方法である、項25又は26に記載の混合物又は使用。
項28. C2F5(CF2CF2)nCH=CH2(式中、nは1〜3整数である)で表される含フッ素オレフィンを分離回収するために用いられる、
(a) 該含フッ素オレフィン;
(b) tert-ブチルアルコール;並びに
(c) メタノール、エタノール及びイソプロパノールからなる群から選ばれる少なくとも一種のアルコール
を含む混合物。
項29. (a) C2F5(CF2CF2)nCH=CH2(式中、nは1〜3整数である)で表される含フッ素オレフィン;
(b) tert-ブチルアルコール;並びに
(c) メタノール、エタノール及びイソプロパノールからなる群から選ばれる少なくとも一種のアルコール
を含む混合物の、
該含フッ素オレフィンを分離回収するための使用。
項30. 該含フッ素オレフィンの分離回収が、項5に記載の方法である、項28又は29に記載の混合物又は使用。
以下、本発明のtert-ブチルアルコールの回収方法について、具体的に説明する。
処理対象物
本発明のtert-ブチルアルコールの回収方法では、処理対象物は、一般式(1):C2F5(CF2CF2)nCH=CH2(式中、nは1〜3整数である)で表される含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールを含む混合物である。
後述する通り、一般式(1)で表される含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールを含む混合物に水を加えて蒸留操作を行う場合には、含フッ素オレフィン、tert-ブチルアルコール及び水からなる三成分系の最低共沸混合物が形成される。これを含む留分を塔頂部から抜き出すことによって、含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールを含む混合物から該共沸混合物を分離することができる。よって、後述する処理方法の内で、処理方法1、即ち、一般式(1)で表される含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールを含む混合物に水を加えて蒸留操作を行い、含フッ素オレフィン、tert-ブチルアルコール及び水からなる共沸混合物を含む留分を分離して、tert-ブチルアルコールを回収する方法では、処理対象物は、含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールを含む混合物の内で、含フッ素オレフィン、tert-ブチルアルコール及び水からなる共沸混合物と比較して、該含フッ素オレフィンに対するtert-ブチルアルコールの含有比率が高い混合物であればよい。
一方、後述する方法の内で、処理方法2、即ち、一般式(1)で表される含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールを含む混合物に、メタノール、エタノール及びイソプロパノールからなる群から選ばれる少なくとも一種のアルコールを加えて蒸留操作を行い、含フッ素オレフィンとアルコールからなる共沸混合物を含む留分を分離して、tert-ブチルアルコールを回収する方法では、処理対象物は、一般式(1)で表される含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールを含む混合物であれば特に限定はない。
尚、処理方法1及び処理方法2のいずれの場合についても、処理対象とする含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールを含む混合物には、その他の物質が含まれていてもよい。許容できる物質の種類については、特に限定はなく、処理方法1では、含フッ素オレフィン、tert-ブチルアルコール及び水からなる三成分系の最低共沸混合物の形成を阻害することがなく、処理方法2では、含フッ素オレフィンとアルコールからなる共沸混合物の形成を阻害することがない物質であればよい。このような物質としては、炭化水素化合物、フッ素化炭化水素化合物等を例示できる。更に、含フッ素オレフィン、tert-ブチルアルコール及び水からなる三成分系の最低共沸混合物を形成する場合には、処理対象とする混合物には、tert-ブチルアルコール以外のアルコール類等が含まれていてもよく、含フッ素オレフィンとアルコールからなる共沸混合物を形成する場合には、処理対象とする混合物には、共沸混合物を形成するアルコール以外のアルコール類や水等が含まれていても良い。これらの物質の含有量についても特に限定はなく、上記した共沸混合物の形成を阻害しない範囲であればよく、例えば、含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールの合計量に対して、5重量%程度まで含まれていても良い。
一般式(1)で表される含フッ素オレフィンは、例えば、一般式(2):C2F5(CF2CF2)nCH2CH2X(式中、Xは臭素原子又はヨウ素原子であり、nは1〜3の整数である)で表されるフルオロアルキルハライドエチレン付加物と一般式(3):RCOOY(式中、Rは一価の有機基であり、YはK,Na等のアルカリ金属である)で表されるカルボン酸アルカリ金属塩とを、tert-ブチルアルコール中で反応させて、一般式(4):C2F5(CF2CF2)nCH2CH2OCOR(式中、n及びRは上記に同じである)で表される含フッ素エステルを製造する際に、副生物として生じるものである。この方法で生じた生成物を蒸留処理に供することによって、一般式(4):C2F5(CF2CF2)nCH2CH2OCOR で表される含フッ素エステルを含む留分を塔底成分として得ることができ、塔頂部からは、溶媒として用いたtert-ブチルアルコールと一般式(1):C2F5(CF2CF2)nCH=CH2で表される含フッ素オレフィンとからなる最低共沸混合物を含む留分が分離回収される。
本発明の処理方法は、特に、この工程で得られるtert-ブチルアルコールと一般式(1):C2F5(CF2CF2)nCH=CH2で表される含フッ素オレフィンからなる最低共沸混合物からtert-ブチルアルコールを分離回収する方法として好適な方法である。尚、この最低共沸混合物は、通常、不純物として、炭化水素化合物、フッ素化炭化水素化合物などをそれぞれ、2重量%程度まで、水を1000ppm程度まで含有することがある。
尚、上記した方法で用いる一般式(2):C2F5(CF2CF2)nCH2CH2X(式中、Xは臭素原子又はヨウ素原子であり、nは1〜3の整数である)で表されるフルオロアルキルハライドのエチレン付加物は、例えば、C2F5Xで表されるフルオロアルキルハライドとテトラフルオロエチレンとのテロメル化反応によって、一般式(5):C2F5(CF2CF2)nXで表されるフルオロアルキルアイオダイドを得た後、これにエチレンを付加させる方法によって得ることが出来る。これらの工程における反応温度、圧力、時間などは、例えば、特許第3800677号、特開2006-298817号公報などに記載されている公知の条件に従えばよい。
尚、一般式(1):C2F5(CF2CF2)nCH=CH2(式中、nは1〜3整数である)で表される含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールからなる共沸混合物における各成分の比率は、nの値、圧力などによって異なるが、例えば、nが2の含フッ素オレフィンを含む共沸混合物は、大気圧下(0.1MPa)では、含フッ素オレフィン:tert-ブチルアルコール(重量比)=約60:40(沸点78℃)の共沸組成となる。
本発明の処理方法
(1)tert-ブチルアルコールの回収方法
(a)処理方法1
処理方法1では、一般式(1):C2F5(CF2CF2)nCH=CH2(式中、nは1〜3整数である)で表される含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールを含む混合物に水を加えて蒸留操作を行う。上記した通り、この方法では、一般式(1)で表される含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールを含む混合物の内で、該含フッ素オレフィン、tert-ブチルアルコール及び水からなる共沸混合物と比較して、該含フッ素オレフィンに対するtert-ブチルアルコールの含有比率が高い混合物を処理対象とすればよい。
この様な含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールを含む混合物に水を添加して蒸留操作を行うことによって、含フッ素オレフィン、tert-ブチルアルコール及び水の三成分からなる最低共沸混合物が形成され、これを蒸留塔の塔頂部から抜き出すことによって、該共沸混合物が分離される。尚、塔頂部から抜き出される留分には、処理対象物に含まれる物質によっては、該共沸混合物以外に、該最低共沸混合物に沸点が近い物質又は該最低共沸混合物より沸点が低い物質が含まれることがある。
形成される最低共沸混合物における各成分の比率は、n=1の含フッ素オレフィンを含む共沸混合物については、大気圧下では、含フッ素オレフィン:tert-ブチルアルコール:水(重量比)=95:5:1(沸点52℃)となり、減圧下(19.2kPa)では、含フッ素オレフィン:tert-ブチルアルコール:水(重量比)=98:1:0.5(沸点13℃)となる。n=2の含フッ素オレフィンを含む共沸混合物については、大気圧下では、含フッ素オレフィン:tert-ブチルアルコール:水(重量比)=73:22:5(沸点75℃)となり、減圧下(19.2kPa)では、含フッ素オレフィン:tert-ブチルアルコール:水(重量比)=78:17:5(沸点45℃)となる。n=3の含フッ素オレフィンを含む共沸混合物については、大気圧下では、含フッ素オレフィン:tert-ブチルアルコール:水(重量比)=37:55:8(沸点79℃)となり、減圧下(19.2kPa)では、含フッ素オレフィン:tert-ブチルアルコール:水(重量比)=41:51:8(沸点42℃)となる。これらの場合、例えば、含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールからなる共沸混合物(含フッ素オレフィン:tert-ブチルアルコール(重量比)=約60:40)と比較すると、含フッ素オレフィンに対するtert-ブチルアルコールの比率が小さくなる。また、n=3の含フッ素オレフィンを含む共沸混合物の各成分の比率については、大気圧下では、含フッ素オレフィン:tert-ブチルアルコール:水(重量比)=37:55:8(沸点77℃)、減圧下(19.2kPa)では、含フッ素オレフィン:tert-チルアルコール:水(重量比)=41:51:8(沸点43℃)となり、この場合にも、含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールとからなる共沸混合物(含フッ素オレフィン:tert-ブチルアルコール(重量比)=約17:83(大気圧下))と比較すると、含フッ素オレフィンに対するtert-ブチルアルコールの比率が小さくなる。
このため、含フッ素オレフィン、tert-ブチルアルコール及び水を含む共沸混合物を含む留分を蒸留塔の塔頂から留去することによって、処理対象とする含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールを含む混合物に含まれていたtert-ブチルアルコールの一部を塔底部から回収することができる。
この方法で得られるtert-ブチルアルコールは高純度であり、必要に応じて、更に、常法に従って精製した後、例えば、一般式(2):C2F5(CF2CF2)nCH2CH2Xで表されるフルオロアルキルハライドエチレン付加物と一般式(3):RCOOYで表されるカルボン酸アルカリ金属塩とを反応させて、一般式(4):C2F5(CF2CF2)nOCORで表される含フッ素エステルを製造する際に、溶媒として再利用することができる。
この工程における水の添加量については、効率よく含フッ素オレフィンを回収するためには、蒸留時の圧力に応じて、処理対象物に含まれる含フッ素オレフィンが、全て含フッ素オレフィン、tert-ブチルアルコール及び水からなる共沸混合物を形成するために必要な水の量以上とすればよい。但し、水の添加量が過剰になると、含フッ素オレフィンが共沸混合物として回収された後、水とtert-ブチルアルコールからなる最低共沸混合物が形成されて塔頂から除去され、tert-ブチルアルコールの回収量が減少する。このため、処理対象物中の含フッ素オレフィンが全て含フッ素オレフィン、tert-ブチルアルコール及び水からなる共沸混合物を形成するために必要な水の量にできるだけ近い水の添加量とすることが好ましいが、実際の実施の際は、含フッ素オレフィン、tert-ブチルアルコール及び水からなる共沸混合物が塔頂より抜け切るあたりで共沸組成にずれが生じるため、若干過剰に水を添加することが望ましい。例えば、含フッ素オレフィンが全て含フッ素オレフィン、tert-ブチルアルコール及び水からなる共沸混合物を形成するために必要な水の量の1.1〜2倍重量程度の水を添加することが好ましく、1.5倍重量程度の水を添加することがより好ましい。
一方、処理対象物がC1226など高沸のパーフルオロアルカン等を副生成物として含む場合には、前記副生成物の系内での固化を防ぐため、含フッ素オレフィンが全て含フッ素オレフィン、tert-ブチルアルコール及び水からなる共沸混合物を形成するために必要な水の量の0.8〜0.9倍重量程度の水を添加することが好ましい。
(b)処理方法2
処理方法2では、一般式(1):C2F5(CF2CF2)nCH=CH2(式中、nは1〜3整数である)で表される含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールを含む混合物に、メタノール、エタノール及びイソプロパノールからなる群から選ばれる少なくとも一種のアルコールを加えて蒸留操作を行う。
この方法では、メタノール、エタノール及びイソプロパノールからなる群から選ばれる少なくとも一種のアルコールと含フッ素オレフィンとからなる最低共沸混合物が形成され、これを含む留分を蒸留塔の塔頂部から抜き出すことによって、該共沸混合物が分離される。尚、塔頂部から抜き出される留分には、処理対象物に含まれる物質によっては、該最低共沸混合物に沸点が近い物質又は該最低共沸混合物より沸点が低い物質が含まれることがある。
形成される最低共沸混合物における各成分の比率は、n=2の含フッ素オレフィンを含む共沸混合物では、メタノールを添加する場合には、大気圧下では、含フッ素オレフィン:メタノール(重量比)=70:30(沸点60℃)となり、減圧下(30kPa)では、含フッ素オレフィン:メタノール(重量比)=68:32(沸点33℃)となる。また、エタノールを添加する場合には、大気圧下では、含フッ素オレフィン:エタノール(重量比)=78:22となる。また、イソプロパノールを添加する場合には、例えば、n=1の含フッ素オレフィンを含む共沸混合物については、大気圧下では、含フッ素オレフィン:イソプロパノール(重量比)=94.5:5.5となる。上記した共沸混合物の組成は一例であり、例えば、US2006/0266975、EP0443911A1等に開示されている。
メタノール、エタノール及びイソプロパノールからなる群から選ばれる少なくとも一種のアルコールの添加量は、処理対象とする含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールを含む混合物に含まれる含フッ素オレフィン量に応じて、該含フッ素オレフィンが全てアルコールとの共沸混合物を形成する量に近い量とすることが好ましい。通常は、含フッ素オレフィンの全量がアルコールが共沸混合物を形成するために必要な量の1.1〜2倍重量程度のアルコールを添加することが好ましく、1.5倍重量程度のアルコールを添加することがより好ましい。
これらの共沸混合物は、いずれも、tert-ブチルアルコールを含有しないので、処理対象物中に含まれるtert-ブチルアルコールの損失を実質的に生じることなく、含フッ素オレフィンのみをメタノール、エタノール及びイソプロパノールからなる群から選ばれる少なくとも一種のアルコールとの共沸混合物として分離することができ、処理対象の含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールを含む混合物に含まれているtert-ブチルアルコールは、塔底成分として回収することができる。この方法で得られるtert-ブチルアルコールは、高純度であり、必要に応じて、更に、常法に従って精製した後、処理方法1の場合と同様に、例えば、一般式(2)で表されるフルオロアルキルハライドエチレン付加物と一般式(3)で表されるカルボン酸アルカリ金属塩とを反応させて、一般式(4)で表される含フッ素エステルを製造する際に、溶媒として再利用することができる。
(2)含フッ素オレフィンの回収方法
上記したtert-ブチルアルコールの回収方法によれば、処理方法1では、含フッ素オレフィン、tert-ブチルアルコール及び水の三成分からなる最低共沸混合物を含む留分が蒸留塔の塔頂部から得られる。処理方法2では、メタノール、エタノール及びイソプロパノールからなる群から選ばれる少なくとも一種のアルコールと含フッ素オレフィンとからなる共沸混合物を含む留分が蒸留塔の塔頂部から得られ、これを水洗処理(この段階で行う水洗処理を後述の後水洗処理と区別するため、「前水洗処理」という)に供することにより、アルコールが水によって抽出される。処理方法1で得られる共沸混合物、及び処理方法2で水洗処理に供した後に得られる混合物は、いずれも、含フッ素オレフィン、アルコール及び水からなる混合物であり、アルコールを含む水相と含フッ素オレフィンを含む有機物相(含フッ素オレフィン相)とに相分離する。その後、含フッ素オレフィン相を回収することにより、含フッ素オレフィンからアルコールが簡単に分離除去される。
なお、処理方法1においても、相分離させる前に、上記留分を水洗してもよい(前水洗処理)。水洗することによって、アルコールが水によって抽出される。水洗された上記留分は、水相と含フッ素オレフィン相とに相分離する。その後、含フッ素オレフィン相を回収することにより、より高純度で含フッ素オレフィンを分離回収できる。
また、処理方法1(前水洗処理を伴うか、伴わないかを問わず)及び処理方法2のいずれにおいても、上記のようにして含フッ素オレフィン相を回収した後に、この含フッ素オレフィン相を水洗してもよい(この段階で行う水洗処理を「後水洗処理」という)。水洗することによって、上記含フッ素オレフィン相に混入しているアルコールが水によって抽出される。水洗された上記含フッ素オレフィン相は、水相と含フッ素オレフィン相とに相分離する。その後、含フッ素オレフィン相を回収することにより、上記含フッ素オレフィン相に混入していたアルコールを分離除去できる。後水洗処理は、1回のみ行ってもよいし、複数回繰り返し行ってもよい。後水洗処理を複数回繰り返し行うことにより、含フッ素オレフィンをより高純度で分離回収できる。
なお、処理方法1においては、前水洗処理及び後水洗処理を両方行ってもよいし、一方のみを行ってもよい。後水洗処理のみを行う場合は、前水洗処理のみを行う場合と比較して以下のような利点がもたらされる。前水洗処理は、上記のようにして塔頂部から得られた上記留分をそのまま対象として行われる。一方、後水洗処理はこの留分からさらに分離回収された含フッ素オレフィン相のみを対象として行われる。このように、後水洗処理は前水洗処理と比べて、アルコールの混入割合がより少ないものを対象として行われることになるので、使用する水の量は少なくて済む。したがって、後水洗処理のみを行う場合と、前水洗処理のみを行う場合とを比較すると、同じ純度の含フッ素オレフィンを分離回収するために必要な水の量は、前者のほうがより少なくて済むことになる。
また、処理方法1においては、前水洗処理を行う場合、後水洗処理のみを行う場合と比べて以下のような利点がもたらされる。後水洗処理のみを行う場合、塔頂部から得られた上記留分を水洗せずに相分離させることになるが、この際に水相に混入している含フッ素オレフィンは、この水相を廃棄する場合には回収されず損失となりうる。これに対して前水洗処理を行う場合は、同様に上記留分を相分離させた後に水相に混入する含フッ素オレフィンの量を減らすことができるため、回収率の向上につながりえる。
なお、処理方法1及び処理方法2のいずれにおいても、各工程において得られる水相に混入している含フッ素オレフィンを損失させずに分離回収するため、この水相の少なくとも一部に、必要に応じてさらに水等を添加した上で、これを用いて別の水洗処理を行ってもよい。例えば、処理方法1において、塔頂部から得られた上記留分を水洗せずに相分離させ、水相を得た後に、この水相を再利用して後水洗処理を行うことにより、この水相に混入している含フッ素オレフィンを損失させることなく分離回収できる。あるいは、別の例として、含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールを含む混合物(処理対象)から最終的に含フッ素オレフィンを分離回収するまでを1サイクルとして、このサイクルを同じ蒸留塔を含む系を用いて順次新しい処理対象に対して行う場合、あるサイクルで得られる水相をこの系の中で循環させて再利用し、次回のサイクルにおける水洗処理のために使用してもよい。
このように前水洗処理及び後水洗処理にはそれぞれ利点があるので、いずれを行うか、あるいは両方を行うかについては、目的に応じて適宜決定すればよい。
前水洗処理及び後水洗処理のいずれにおいても、添加する水量は、アルコールが十分に水相側に抽出される量であればよい。また、後水洗処理の回数についても同様に、アルコールが十分に水相側に抽出される回数であればよい。実際に実施する際は水量と洗浄回数が最小となるように、例えば、仕込み重量の0.3-0.5重量倍程度の水で2-3回程度水洗することが望ましい。
この方法によれば、含フッ素オレフィンとアルコールを含む混合物から簡単な方法でアルコールを分離除去して、含フッ素オレフィンの有効利用を図ることができる。更に、途中過程で蒸留処理により得られる各種共沸混合物は、出発原料である含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールとからなる共沸混合物と比較して、アルコールの含有量が少量である。したがって、これらの各種共沸混合物を使用して含フッ素オレフィンを分離回収すると、水洗に要する水が少なくなって、廃液量を大きく削減することができる。
アルコールが除去された含フッ素オレフィンを含む相は、例えば、蒸留などの方法で低沸点成分を除去することによって、高純度の含フッ素オレフィンとして回収して、例えば、樹脂の変性剤や、熱媒体、エステル化反応の原料などとして有効に利用できる。
本発明によれば、一般式(1)で表される含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールとからなる共沸混合物から、蒸留操作という簡単な方法によって、tert-ブチルアルコールを分離して回収することができる。
これにより、含フッ素ハロゲン化物とカルボン酸のアルカリ金属塩とをtert-ブチルアルコール中で反応させて含フッ素エステルを製造する方法において、溶媒として用いるtert-ブチルアルコールを再利用することが可能となり、製造効率が向上すると共に、アルコール廃液の処理量を削減することが可能となる。
更に、この方法で蒸留塔から分離される含フッ素オレフィンを含む共沸混合物も、水洗、蒸留という操作によって、高純度の含フッ素オレフィンとして回収して、有効利用できる。
以下、比較例及び実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
比較例1
25段のオルダーショウ式精留装置を用いて、以下の方法で常圧蒸留を行った。
まず、tert-ブチルアルコール(tBA)とC2F5(CF2CF2)CH=CH2で表される含フッ素オレフィン(C6OLF)の混合液(前者:後者(重量比)=48:52)を1Lの四つ口丸底フラスコに仕込み、加熱を開始した。1時間程度全還流をかけて各段が気液平衡に達した後、留分の抜き出しを開始した。
抜き出し開始から塔頂温度が上昇して一定温度となるところまでの留分を初留分とした。その後、塔頂温度が一定となる部分を主留とした。主留抜き出しから塔頂温度が上昇し始めたところで留分を切り替え(後留分)、tert-ブチルアルコール組成が99wt%以上になる手前まで留分を抜き出した。
その結果、表1に示す通り、含フッ素オレフィンについては、初留、主留及び後留の合計として100%が回収されたが、tert-ブチルアルコールについては、仕込み重量の19%がスチルより回収されただけであった。
Figure 2014094938
実施例1(水を添加した常圧蒸留)
25段のオルダーショウ式精留装置を用いて、以下の方法で常圧蒸留を行った。
まず、tert-ブチルアルコール(tBA)とC2F5(CF2CF2)CH=CH2で表される含フッ素オレフィン(C6OLF)の混合液に水を添加して表2に示す組成の仕込み液を得た。この仕込み液を1Lの四つ口丸底フラスコに仕込み、加熱を開始した。1時間程度全還流をかけて各段が気液平衡に達した後、留分の抜き出しを開始した。
抜き出し開始後、塔頂温度が一定となる部分を主留とした。なお、全還流からの塔頂温度上昇時の初留分はほとんどなかったため、主留と一緒とした。主留の相状態は、水相と油相の二相に分液していた。主留抜き出しから塔頂温度が上昇し始めたところで留分を切り替え(後留分)、tert-ブチルアルコール組成が99wt%になる手前まで留分を抜き出した。
その結果、表2に示す通り、含フッ素オレフィンについては、主留、後留1及び後留2の合計として仕込み重量の99.7%が回収され、tert-ブチルアルコールについては、仕込み重量の55%がスチルより回収された。なお、実施例1では水の仕込み量が少なかったため含フッ素オレフィンの一部が主留として抜き出されなかった。その結果、後留1としてtert-ブチルアルコールと含フッ素オレフィンとの共沸組成物として抜き出され、スチルより回収されるtert-ブチルアルコールのロスとなった。含フッ素オレフィンがすべて主留として抜き出される量に水の添加量を最適化した場合、後留1のtert-ブチルアルコールもスチルで回収でき、tert-ブチルアルコールの回収率は、計算上の理論値である70%程度にまで改善されると推測される。
Figure 2014094938
実施例2(水を添加した減圧蒸留)
30段のオルダーショウ式精留装置を用いて、以下の方法で減圧蒸留を行った。
まず、tert-ブチルアルコール(tBA)とC2F5(CF2CF2)CH=CH2で表される含フッ素オレフィン(C6OLF)の混合液に水を添加して表3に示す組成の仕込み液を得た。この仕込み液を500mLの四つ口丸底フラスコに仕込んだ。系内を真空ポンプを使用して19.2kPaの減圧状態として加熱を開始した。全還流および留分の抜き出しは、実施例1と同様とした。
その結果、表3に示す通り、含フッ素オレフィンについては、主留及び後留の合計として仕込み重量の約100%が回収され、tert-ブチルアルコールについては、仕込み重量の63%がスチルより回収された。
Figure 2014094938
実施例3;メタノールを添加した常圧蒸留
30段のオルダーショウ式精留装置を用いて、以下の方法で常圧蒸留を行った。
まず、tert-ブチルアルコール(tBA)とC2F5(CF2CF2)CH=CH2で表される含フッ素オレフィン(C6OLF)の混合液に、含フッ素オレフィンがメタノールとの共沸物としてすべて抜け切る量のメタノールを添加した。
この液を1Lの四つ口丸底フラスコに仕込み、加熱を開始した。全還流および留分の抜き出しは、実施例1及び2と同様とした。
その結果、表4に示す通り、含フッ素オレフィンについては、主留及び後留の合計として仕込み重量の100%が回収され、tert-ブチルアルコールについては、仕込み重量の59%がスチルより回収された。
Figure 2014094938
実施例4;メタノールを添加した常圧蒸留
30段のオルダーショウ式精留装置を用いて、以下の方法で常圧蒸留を行った。
まず、tert-ブチルアルコール(tBA)とC2F5(CF2CF2)CH=CH2で表される含フッ素オレフィン(C6OLF)の混合液に、含フッ素オレフィンがメタノールとの共沸物としてすべて抜け切る量よりも若干多めのメタノールを添加した。
この液を1Lの四つ口丸底フラスコに仕込み、加熱を開始した。全還流および留分の抜き出しは、実施例1〜3と同様とした。
その結果、表5に示す通り、含フッ素オレフィンについては、主留及び後留の合計として仕込み重量の100%が回収され、tert-ブチルアルコールについては、仕込み重量の92%がスチルより回収された。
Figure 2014094938
実施例1及び2の水を添加した結果と比較して、メタノールを使用した場合は、tert-ブチルアルコールを同伴させることなく、含フッ素オレフィンをメタノールとの共沸物としてほぼ全量回収できるので、スチルのtert-ブチルアルコール回収量を増加させることができた。更に、実施例3と比較して、メタノールの添加量を最適化したことにより、メタノールとの共沸物として含フッ素オレフィンが回収できなかった場合に生じるtert-ブチルアルコールと含フッ素オレフィンの共沸物としての損失を回避でき、より高回収率でtert-ブチルアルコールと含フッ素オレフィンを回収できた。
実施例5;メタノールを添加した減圧蒸留
30段のオルダーショウ式精留装置を用いて、以下の方法で減圧蒸留を行った。
まず、tert-ブチルアルコール(tBA)とC2F5(CF2CF2)CH=CH2で表される含フッ素オレフィン(C6OLF)の混合液に、含フッ素オレフィンがメタノールとの共沸物としてすべて抜け切る量よりも若干多めのメタノールを添加した。
この液を1Lの四つ口丸底フラスコに仕込み系内を30kPaの減圧状態として加熱を開始した。全還流および留分の抜き出しは、実施例1〜4と同様とした。
その結果、表6に示す通り、含フッ素オレフィンについては、主留及び後留の合計として仕込み重量の100%が回収され、tert-ブチルアルコールについては、仕込み重量の77%がスチルより回収された。
Figure 2014094938
実施例6:水を添加した蒸留留分の水洗
実施例1と同様の実験において、水を添加して常圧蒸留を実施した際の主留分に、留分重量の0.35倍の水を添加し、分液ろうとで十分に撹拌し、6時間静置した後、上相すなわち水/アルコール相と、下相すなわち含フッ素オレフィン相を分離・回収した。
回収した含フッ素オレフィン相に、更に、0.5倍量の水を添加し、同様に撹拌・静置後下相のみを回収した。更に、もう一度、同様に下相の水洗を行った。
各水抽出処理における水添加量、処理液組成、相分離後の下層の組成、及び含フッ素オレフィンの回収率を表7に示す。
三回の水洗後には含フッ素オレフィン中のtert-ブチルアルコール濃度は500ppm以下にまで減少した。
Figure 2014094938
実施例7:メタノールを添加した蒸留留分の水洗
実施例4と同様の実験において、メタノールを添加して常圧蒸留を実施した際の主留分に、留分重量の0.3倍量の水を添加し、分液ろうとで十分に撹拌し、6時間静置した後、上相すなわち水/アルコール相(上相)と、含フッ素オレフィン相(下相)を分離・回収した。各抽出処理における水添加量、仕込み液組成、相分離後の下層の組成、及び含フッ素オレフィンの回収率を表8に示す。
Figure 2014094938
表8から明らかなように、相分離により得られた含フッ素オレフィン相中のメタノール濃度は、初期の30wt%から1000ppmにまで減少した。
実施例8:水洗後の粗含フッ素オレフィンの常圧蒸留
実施例6と同様の実験において、水洗処理を行った後の粗含フッ素オレフィンについて、30段のオルダーショウ式精留装置を用いて以下の方法で常圧蒸留を行った。
まず、実施例6において回収された粗含フッ素オレフィンを1Lの四つ口丸底フラスコに仕込み、加熱を開始した。全還流および留分の抜き出しは、実施例1と同様とした。
初留として、前工程の水抽出にて抽出されなかったtert-ブチルアルコールと含フッ素オレフィンの共沸留分が塔頂より抜き出された。tert-ブチルアルコールがスチルよりすべて抜き出された後、含フッ素オレフィンが主留として抜き出された。純度99wt%以上の含フッ素オレフィンとして、主留とスチルを合計して仕込みの粗含フッ素オレフィンに対し97%の収率で含フッ素オレフィンが得られた。
Figure 2014094938
実施例9(水を添加した減圧蒸留)
30段のオルダーショウ式精留装置を用いて、以下の方法で減圧蒸留を行った。
まず、tert-ブチルアルコール(tBA)とC2F5(CF2CF2)CH=CH2で表される含フッ素オレフィン(C6OLF)の混合液に水を添加して表10に示す組成の仕込み液を得た。この仕込み液を500mLの四つ口丸底フラスコに仕込んだ。系内を真空ポンプを使用して19.2kPaの減圧状態として加熱を開始した。全還流および留分の抜き出しは、実施例1と同様とした。
その結果、表10に示す通り、含フッ素オレフィンについては、主留及び後留の合計として仕込み重量の99.8%が回収され、tert-ブチルアルコールについては、仕込み重量の39.9%がスチルより回収された。
Figure 2014094938
主留の相状態は、水相(上相)と油相(下相)の二相に分液していた。それぞれの相の組成は表11の通りであった。
Figure 2014094938
表12に示す通り、かりに上相を廃棄した場合、7.8%のC6OLFがロスすることになることが判った。
Figure 2014094938
上記油相(下相)を回収し、この相に重量比で約0.28倍の水を添加し、分液ろうとで十分に撹拌し、6時間静置した後、上相すなわち水/アルコール相と、下相すなわち含フッ素オレフィン相を分離・回収した。
この水洗処理(水抽出処理)における水添加量、処理液組成、相分離後の下層の組成、及び含フッ素オレフィンの回収率を表13に示す。
水洗処理後には含フッ素オレフィン中のtert-ブチルアルコール濃度は水洗処理前の8.6wt%から8000ppmにまで減少した。このように、主留を水洗せずに相分離させて得た油相に対して水洗処理をすると、主留を水洗してから相分離させ、さらにその後に水洗した場合と比べてより少量の水を用いているにもかかわらず、含フッ素オレフィンの純度を同程度にまで向上できることが判った。
Figure 2014094938

Claims (30)

  1. 一般式(1):C2F5(CF2CF2)nCH=CH2(式中、nは1〜3整数である)で表される含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールを含む混合物からtert-ブチルアルコールを分離回収する方法であって、
    (1A)上記混合物に水を添加して得られる混合液を蒸留処理に供して、含フッ素オレフィン、tert-ブチルアルコール及び水からなる共沸混合物を含む留分を蒸留塔の塔頂部から抜き出し、塔底部からtert-ブチルアルコールを得る工程
    を含み、
    処理対象とする含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールを含む混合物が、該含フッ素オレフィン、tert-ブチルアルコール及び水からなる共沸混合物と比較して、該含フッ素オレフィンに対するtert-ブチルアルコールの含有比率が高い混合物であることを特徴とする方法。
  2. 一般式(1):C2F5(CF2CF2)nCH=CH2(式中、nは1〜3整数である)で表される含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールを含む混合物からtert-ブチルアルコールを分離回収する方法であって、
    (1B)上記混合物に、メタノール、エタノール及びイソプロパノールからなる群から選ばれる少なくとも一種のアルコールを添加して得られる混合液を蒸留処理に供して、メタノール、エタノール及びイソプロパノールからなる群から選ばれる少なくとも一種のアルコールと含フッ素オレフィンとからなる共沸混合物を含む留分を蒸留塔の塔頂部から抜き出し、塔底部からtert-ブチルアルコールを得る工程
    を含むことを特徴とする方法。
  3. 処理対象とする含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールを含む混合物が、該含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールとからなる共沸混合物を含むものである、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 一般式(1):C2F5(CF2CF2)nCH=CH2(式中、nは1〜3整数である)で表される含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールを含む混合物から含フッ素オレフィンを分離回収する方法であって、
    (1A)上記混合物に水を添加して得られる混合液を蒸留処理に供して、含フッ素オレフィン、tert-ブチルアルコール及び水からなる共沸混合物を含む留分を蒸留塔の塔頂部から抜き出す工程;及び
    (2A)工程(1A)において蒸留塔の塔頂部から抜き出された留分を、必要に応じて水洗処理に供してから、含フッ素オレフィンを含む相とtert-ブチルアルコールを含む水相とに相分離させた後、含フッ素オレフィンを含む相を回収する工程
    を含むことを特徴とする方法。
  5. 一般式(1):C2F5(CF2CF2)nCH=CH2(式中、nは1〜3整数である)で表される含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールを含む混合物から含フッ素オレフィンを分離回収する方法であって、
    (1B)上記混合物に、メタノール、エタノール及びイソプロパノールからなる群から選ばれる少なくとも一種のアルコールを添加して得られる混合液を蒸留処理に供して、メタノール、エタノール及びイソプロパノールからなる群から選ばれる少なくとも一種のアルコールと含フッ素オレフィンとからなる共沸混合物を含む留分を蒸留塔の塔頂部から抜き出す工程;及び
    (2B)工程(1B)において蒸留塔の塔頂部から抜き出された留分を水洗処理に供してから、含フッ素オレフィンを含む相とアルコールを含む水相とに相分離させた後、含フッ素オレフィンを含む相を回収する工程
    を含むことを特徴とする方法。
  6. 処理対象とする含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールを含む混合物が、該含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールとからなる共沸混合物を含むものである、請求項4又は5に記載の方法。
  7. さらに、
    (3)前の工程において回収された含フッ素オレフィンを含む相を水洗処理に供して、含フッ素オレフィンを含む相と水相とに相分離させた後、含フッ素オレフィンを含む相を回収する工程
    を1回以上含む、請求項4〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 工程(2A)若しくは(2B)、及び/又は工程(3)においてアルコールを含む水相を回収し、当該水相を別の水洗処理に用いる、
    請求項4〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. さらに、
    (4)前の工程において回収された含フッ素オレフィンを蒸留処理に供して精製する工程
    を含む、請求項4〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 下記の工程を含む、含フッ素エステルの製造方法:
    (i)一般式(2):C2F5(CF2CF2)nCH2CH2X(式中、Xは臭素原子又はヨウ素原子であり、nは1〜3の整数である)で表されるフルオロアルキルハライドエチレン付加物と一般式(3):RCOOY(式中、Rは一価の有機基であり、Yはアルカリ金属である)で表されるカルボン酸アルカリ金属塩とをtert-ブチルアルコール中で反応させて、一般式(4):C2F5(CF2CF2)nOCOR(式中、n及びRは上記に同じである)で表される含フッ素エステルを製造する工程、
    (ii)上記(i)工程で得られた生成物を蒸留処理に供して、一般式(4):C2F5(CF2CF2)nOCOR(式中、n及びRは上記に同じである)で表される含フッ素エステルを回収し、副生物である一般式(1):C2F5(CF2CF2)nCH=CH2(式中、nは1〜3整数である)で表される含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールとからなる共沸混合物を含む留分を塔頂成分として得る工程、
    (iii)上記(ii)工程で得られた含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールとからなる共沸混合物を含む留分に水を添加して得られる混合液を蒸留処理に供して、含フッ素オレフィン、tert-ブチルアルコール及び水からなる共沸混合物を含む留分を蒸留塔の塔頂部から抜き出し、塔底部からtert-ブチルアルコールを得る工程、
    (iv)上記(iii)工程で得られたtert-ブチルアルコールを、必要に応じて、更に精製した後、上記(i)工程に循環して、反応溶媒として再利用する工程。
  11. 下記の工程を含む、含フッ素エステルの製造方法:
    (i)一般式(2):C2F5(CF2CF2)nCH2CH2X(式中、Xは臭素原子又はヨウ素原子であり、nは1〜3の整数である)で表されるフルオロアルキルハライドエチレン付加物と一般式(3):RCOOY(式中、Rは一価の有機基であり、Yはアルカリ金属である)で表されるカルボン酸アルカリ金属塩とをtert-ブチルアルコール中で反応させて、一般式(4):C2F5(CF2CF2)nOCOR(式中、n及びRは上記に同じである)で表される含フッ素エステルを製造する工程、
    (ii)上記(i)工程で得られた生成物を蒸留処理に供して、一般式(4):C2F5(CF2CF2)nOCOR(式中、n及びRは上記に同じである)で表される含フッ素エステルを回収し、副生物である一般式(1):C2F5(CF2CF2)nCH=CH2(式中、nは1〜3整数である)で表される含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールとからなる共沸混合物を含む留分を塔頂成分として得る工程、
    (iii)上記(ii)工程で得られた含フッ素オレフィンとtert-ブチルアルコールとからなる共沸混合物を含む留分に、メタノール、エタノール及びイソプロパノールからなる群から選ばれる少なくとも一種のアルコールを添加して得られる混合液を蒸留処理に供してメタノール、エタノール及びイソプロパノールからなる群から選ばれる少なくとも一種のアルコールと含フッ素オレフィンとからなる共沸混合物を含む留分を蒸留塔の塔頂部から抜き出し、塔底部からtert-ブチルアルコールを得る工程、
    (iv)上記(iii)工程で得られたtert-ブチルアルコールを、必要に応じて、更に精製した後、上記(i)工程に循環して、反応溶媒として再利用する工程。
  12. 一般式(1):C2F5(CF2CF2)nCH=CH2(式中、nは1〜3整数である)で表される含フッ素オレフィン、tert-ブチルアルコール及び水からなる最低共沸混合物。
  13. 含フッ素オレフィンが一般式(1)においてn=1の化合物であって、大気圧下における重量比が、含フッ素オレフィン:tert-ブチルアルコール:水=95:5:1である、請求項12に記載の最低共沸混合物。
  14. 含フッ素オレフィンが一般式(1)においてn=2の化合物であって、大気圧下における重量比が、含フッ素オレフィン:tert-ブチルアルコール:水=73:22:5である、請求項12に記載の最低共沸混合物。
  15. 含フッ素オレフィンが一般式(1)においてn=3の化合物であって、大気圧下における重量比が、含フッ素オレフィン:tert-ブチルアルコール:水=37:55:8である、請求項12に記載の最低共沸混合物。
  16. C2F5(CF2CF2)nCH=CH2(式中、nは1〜3整数である)で表される含フッ素オレフィンの分離回収のために用いられる、
    該含フッ素オレフィンと
    メタノール、エタノール及びイソプロパノールからなる群から選ばれる少なくとも一種のアルコール
    とからなる共沸混合物。
  17. C2F5(CF2CF2)nCH=CH2(式中、nは1〜3整数である)で表される含フッ素オレフィンと
    メタノール、エタノール及びイソプロパノールからなる群から選ばれる少なくとも一種のアルコール
    とからなる共沸混合物の、
    該含フッ素オレフィンの分離回収のための使用。
  18. 該含フッ素オレフィンの分離回収が、請求項5に記載の方法である、請求項16又は17に記載の混合物又は使用。
  19. tert-ブチルアルコールを分離回収するために用いられる、
    C2F5(CF2CF2)nCH=CH2(式中、nは1〜3整数である)で表される含フッ素オレフィン、tert-ブチルアルコール及び水を含む混合物であって、
    該含フッ素オレフィン、tert-ブチルアルコール及び水からなる共沸混合物と比較して、該含フッ素オレフィンに対するtert-ブチルアルコールの含有比率が高い混合物。
  20. C2F5(CF2CF2)nCH=CH2(式中、nは1〜3整数である)で表される含フッ素オレフィン、tert-ブチルアルコール及び水を含む混合物であって、
    該含フッ素オレフィン、tert-ブチルアルコール及び水からなる共沸混合物と比較して、該含フッ素オレフィンに対するtert-ブチルアルコールの含有比率が高い混合物の、
    tert-ブチルアルコールを分離回収するための使用。
  21. tert-ブチルアルコールの分離回収が、請求項1に記載の方法である、請求項19又は20に記載の混合物又は使用。
  22. C2F5(CF2CF2)nCH=CH2(式中、nは1〜3整数である)で表される含フッ素オレフィンを分離回収するために用いられる、
    該含フッ素オレフィン、tert-ブチルアルコール及び水を含む混合物であって、
    該含フッ素オレフィン、tert-ブチルアルコール及び水からなる共沸混合物と比較して、該含フッ素オレフィンに対するtert-ブチルアルコールの含有比率が高い混合物。
  23. C2F5(CF2CF2)nCH=CH2(式中、nは1〜3整数である)で表される含フッ素オレフィン、tert-ブチルアルコール及び水を含む混合物であって、
    該含フッ素オレフィン、tert-ブチルアルコール及び水からなる共沸混合物と比較して、該含フッ素オレフィンに対するtert-ブチルアルコールの含有比率が高い混合物の、
    該含フッ素オレフィンを分離回収するための使用。
  24. 該含フッ素オレフィンの分離回収が、請求項4に記載の方法である、請求項22又は23に記載の混合物又は使用。
  25. tert-ブチルアルコールを分離回収するために用いられる、
    (a) C2F5(CF2CF2)nCH=CH2(式中、nは1〜3整数である)で表される含フッ素オレフィン;
    (b) tert-ブチルアルコール;並びに
    (c) メタノール、エタノール及びイソプロパノールからなる群から選ばれる少なくとも一種のアルコール
    を含む混合物。
  26. (a) C2F5(CF2CF2)nCH=CH2(式中、nは1〜3整数である)で表される含フッ素オレフィン;
    (b) tert-ブチルアルコール;並びに
    (c) メタノール、エタノール及びイソプロパノールからなる群から選ばれる少なくとも一種のアルコール
    を含む混合物の、
    tert-ブチルアルコールを分離回収するための使用。
  27. tert-ブチルアルコールの分離回収が、請求項2に記載の方法である、請求項25又は26に記載の混合物又は使用。
  28. C2F5(CF2CF2)nCH=CH2(式中、nは1〜3整数である)で表される含フッ素オレフィンを分離回収するために用いられる、
    (a) 該含フッ素オレフィン;
    (b) tert-ブチルアルコール;並びに
    (c) メタノール、エタノール及びイソプロパノールからなる群から選ばれる少なくとも一種のアルコール
    を含む混合物。
  29. (a) C2F5(CF2CF2)nCH=CH2(式中、nは1〜3整数である)で表される含フッ素オレフィン;
    (b) tert-ブチルアルコール;並びに
    (c) メタノール、エタノール及びイソプロパノールからなる群から選ばれる少なくとも一種のアルコール
    を含む混合物の、
    該含フッ素オレフィンを分離回収するための使用。
  30. 該含フッ素オレフィンの分離回収が、請求項5に記載の方法である、請求項28又は29に記載の混合物又は使用。
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