JP2014094922A - 切り花鮮度保持シート - Google Patents

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Abstract

【課題】切り花の茎部を浸す用水に添加して切り花の鮮度を保持すると共に、用水中に溶解することで取り扱いの手間を減らした可溶性シート状物の切り花鮮度保持シートを提供する。
【解決手段】切り花の茎部を浸す用水に添加して当該切り花の鮮度を保持するとともに前記用水中に溶解する可溶性シート状物の切り花鮮度保持シートであって、前記可溶性シート状物は、デンプンの糊化物に超音波を照射して得た物理加工デンプンと鮮度保持剤としてのミョウバンとを水分の存在下で加熱混練して所定厚さに加工したシート状物であり、前記可溶性シート状物に柔軟剤としてグリセリンが配合されることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、切り花鮮度保持シートに関し、特に切り花の茎部を浸す用水に投入し、シートが溶解することによって切り花の鮮度を保持する成分が溶解する切り花鮮度保持シートに関する。
企業のロビーや一般家庭における観賞用、慶事や弔事における装飾等、様々な環境で切り花は飾りつけられる。切り花は、根や茎を切り離して販売されることから、常温下での保管、流通において鮮度劣化が著しい。そのため、流通過程では低温保存等により鮮度を保持している。一方で販売され飾りつけられた切り花については、低温保存等を保持することが難しく、保存環境に依拠しない切り花の鮮度保持方法が所望されていた。
切り花の鮮度劣化は、主に微生物や細菌等の汚染によるものである。切り花は、花瓶に水道水等の用水を入れ、その用水中に茎部を挿して飾り付けられる。茎部が浸る用水中に微生物や細菌等が繁殖すると、茎部の切り口が塞がれて導管が閉塞し水分の流通が低下することによって、切り花の鮮度低下の原因となる。切り花の鮮度が低下すると外観が悪くなり観賞にふさわしくない。外観が悪い切り花は取り替える必要があるため、短期間で切り花の鮮度が低下すると経済的負担や手間が増加してしまう。そこで、切り花の鮮度を維持させる方法として、用水に生ける前に、予め切り花の茎部の切断面を焼いたり、ミョウバンのような薬剤を刷り込むことで殺菌するといった方法等が行われているが、作業が煩雑であるだけでなく、作業による衝撃や摩擦により花弁や葉に損傷や脱落を生じ、かえって外観を悪くする恐れがある等の問題があった。
そこで、簡易な切り花の鮮度保持方法として、切り花の茎部を浸す用水中に微生物の繁殖を防ぐ薬剤を投入する方法が提案されている。例えば、抗菌成分として2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノールを含む薬剤を用水に溶解させるものが知られている(特許文献1参照。)。また、塩素系の薬品を用水中に溶解させることにより、微生物等を駆除するものもある。しかし、塩素系の薬品は揮発性であり、経時的に活性が低下するため持続性に乏しい。これらの薬剤は溶液状物や、粉末状物、錠剤等として販売されることから、この薬剤を入れる容器がかさばるため可搬性が悪かったり、用水に対して適切な使用量となるように調節し難いという問題があった。
また、抗菌成分として硫酸アルミニウムを用い、耐水紙にコートしてフィルム化した切り花の鮮度保持用シートが提案されている(例えば、特許文献2参照)。シート状物に形成されていることから、可搬性が向上し利便性がいい。鮮度保持用シートを用水中に投入すると、コートされた硫酸アルミニウムが溶解して切り花の鮮度が保持される。ところが、ガラス等の透過性素材の花瓶に切り花を飾り付ける場合、この鮮度保持用シートの耐水紙が残って見栄えが良くないため、抗菌成分が溶解した後、用水中から耐水紙を取り出す必要があった。
一方、水溶性基材と切り花鮮度保持成分を組み合わせた切り花鮮度保持部材が提案されている(例えば、特許文献3参照)。この切り花鮮度保持部材によると、台紙に水溶性基材からなる水溶性シートが接着層を介して形成されている。水溶性シートもしくは接着層に鮮度保持剤を含浸させることにより切り花鮮度保持部材が構成される。特許文献3に限らず、成形した水溶性基材に鮮度保持剤を含浸させるため、この切り花鮮度保持部材の生産工程は増加する。また、シート状に成形する例では、台紙から取り外す手間も要する。
そこで、切り花を挿す用水中に投入することにより、直ちに水溶することで鮮度保持成分を放出して切り花の鮮度を保持することができ、かつ、可搬性に優れ、同時に取り扱いも容易である切り花の鮮度保持に役立つ部材が所望されていた。
特開2011−20955号公報 特開平7−89801号公報 特開平8−40802号公報
本発明は、前記の点に鑑みなされたものであって、切り花の茎部を浸す用水に添加して切り花の鮮度を保持すると共に、用水中に溶解することで取り扱いの手間を減らした可溶性シート状物の切り花鮮度保持シートを提供する。
すなわち、請求項1の発明は、切り花の茎部を浸す用水に添加して当該切り花の鮮度を保持するとともに前記用水中に溶解する可溶性シート状物の切り花鮮度保持シートであって、前記可溶性シート状物は、デンプンと鮮度保持剤とを水分の存在下で加熱混練して所定厚さに加工したシート状物であることを特徴とする切り花鮮度保持シートに係る。
請求項2の発明は、前記可溶性シート状物に柔軟剤が配合される請求項1に記載の切り花鮮度保持シートに係る。
請求項3の発明は、前記デンプンが、加工デンプンである請求項1又は2に記載の切り花鮮度保持シートに係る。
請求項4の発明は、前記加工デンプンが、デンプンの糊化物に超音波を照射して得た物理加工デンプンである請求項3に記載の切り花鮮度保持シートに係る。
請求項5の発明は、前記鮮度保持剤がミョウバンである請求項1ないし4のいずれか1項に記載の切り花鮮度保持シートに係る。
請求項6の発明は、前記柔軟剤がグリセリンである請求項2に記載の切り花鮮度保持シートに係る。
請求項1の発明に係る切り花鮮度保持シートによると、切り花の茎部を浸す用水に添加して当該切り花の鮮度を保持するとともに前記用水中に溶解する可溶性シート状物の切り花鮮度保持シートであって、前記可溶性シート状物は、デンプンと鮮度保持剤とを水分の存在下で加熱混練して所定厚さに加工したシート状物であることから、花瓶の用水中に切り花鮮度保持シートを投入することにより、簡単に切り花の鮮度を保持することができる。また、用水中に切り花鮮度保持シートが溶け残らず、見栄えがいい。
請求項2の発明に係る切り花鮮度保持シートによると、請求項1の発明において、前記可溶性シート状物に柔軟剤が配合されることから、切り花鮮度保持シートに柔軟性が付与されて、破れにくくなり、扱いやすさが増す。
請求項3の発明に係る切り花鮮度保持シートによると、請求項1又は2の発明において、前記デンプンが、加工デンプンであることから、シート原液の原液調製が容易で、シート状物に成形しやすい。
請求項4の発明に係る切り花鮮度保持シートによると、請求項3の発明において、前記加工デンプンが、デンプンの糊化物に超音波を照射して得た物理加工デンプンであることから、シート原液の原液調製がより容易で、シート状物に成形しやすい。
請求項5の発明に係る切り花鮮度保持シートによると、請求項1ないし4の発明において、前記鮮度保持剤がミョウバンであることから、安価であり、食品添加物としても使われる素材であるため、誤って摂取したとしても危険性は低い。
請求項6の発明に係る切り花鮮度保持シートによると、請求項2の発明において、前記柔軟剤がグリセリンであることから、安価であり、保湿剤として化粧品などにも使用する素材であるため、誤って摂取したとしても危険性は低い。
本発明の切り花鮮度保持シートは、切り花の茎部を浸す用水に添加する可溶性シート状物であって、溶解した鮮度保持剤により切り花の鮮度を保持するものである。シート状物であることから、嵩張らず可搬性に優れる。また、花瓶の用水量に応じて、切り花鮮度保持シートを適宜の大きさに切り分けたり、枚数を加減したりすることにより添加する量を自在に変更することができるため、使い勝手がよい。
可溶性シート状物はデンプンと鮮度保持剤とを水分の存在下で加熱混練して所定厚さに加工したシート状物である。可溶性シート状物のシート基材に用いられるデンプンは、例えば、トウモロコシ(コーンスターチ)、小麦、大麦、ライ麦、米、サツマイモ(甘糖デンプン)、ジャガイモ(馬鈴薯デンプン)、エンドウ、枝豆、タピオカ等のデンプンの他、もち小麦、もち粟、もち稗等のもち種のデンプンや、ワキシーコーンスターチ、もち米デンプン等も挙げられる。
デンプンは、その構成単位がグルコース(ブドウ糖)であり、これは動植物一般の栄養となる成分である。切り花の鮮度保持剤においても、切り花への栄養賦与による鮮度保持を目的として添加することもある。したがって、たとえ切り花鮮度保持シートの加工時に加水分解が起こっても、その生成物は切り花の生育に悪影響を与えず、逆に切り花の栄養成分として利用できるという利点もある。
また、デンプンに対して、酸やアルカリによる可溶化処理、酸化剤による酸化処理、エステル化等による各種官能基導入、リン酸などによる分子間架橋等の化学的処理を行った、いわゆる加工デンプンと称されるデンプン加工品が存在する。加工デンプンについても、加工方法や処理程度、導入した官能基種等が切り花の鮮度保持に悪影響を及ぼさない限り、使用することができる。
また、切り花鮮度保持シートのシート基材であるデンプンに、物理加工デンプンを用いることによって切り花鮮度保持シートの成形がさらに容易となる。加えて、用水中への溶解分散がさらに簡素化される。物理加工デンプンとは、デンプンを熱水に溶いて糊化物とし、当該糊化物に超音波を照射することにより得たデンプンである。物理加工デンプンは、加工デンプンの一種であるが、酸やアルカリを使用せず、官能基も導入されないため、切り花に対する悪影響の懸念がない。加えて、処理程度も任意に調節可能である。特に、物理加工デンプンの調製に際し、特許第4288381号等で開示される通り、ゲル化物に対する超音波照射の方法が適用される。
加熱糊化によりゲル化したデンプンに照射する超音波は、20kHz〜1MHzの一般的な周波数であり、超音波発振器の出力も100〜2000Wの適宜である。極端に低い周波数の場合、超音波照射に伴う振動、衝撃等のエネルギーは低くなり、デンプンの分散性に寄与しない。著しく高い周波数の場合、過度にデンプンが液状化して低分子量化が進みすぎる。なお、照射時間は周波数、出力、最終的な粘度等により総合的に規定される。超音波照射に用いる処理槽、超音波振動子、超音波発振器等は、生産規模や処理能力等を勘案して適切に選択される。デンプン糊化物に対する超音波照射は、逐次回分式あるいは連続式のいずれであってもよい。
水溶性を有する基材としては、これらのデンプンの他に、ポリビニルアルコールやゼラチンが知られている。ポリビニルアルコールは水溶性基材として広く知られているが、冷水に対する水溶性は低く、切り花を活ける用水に用いられる水道水に速やかに溶解することは困難である。また、ゼラチンについては、例えば、切り花の鮮度保持剤としてミョウバンを用いた場合と、後記の実施例から明らかなように、ミョウバンとゼラチンが反応して不溶化してしまう。
可溶性シート状物に添加される鮮度保持剤としては、ミョウバンや界面活性剤、市販の鮮度保持剤等を利用することができる。ミョウバンは、水溶後に弱酸性を呈することから抗菌作用を有する。同様に、有機酸によっても同様の効果をもたらすことができる。界面活性剤は細菌類の細胞膜を破壊する作用を有する。他には、例えば、銀イオンやフィチン酸、硫化アルミニウム等、用水中の微生物や細菌の繁殖を予防する抗菌作用を有する鮮度保持剤も用いることができる。また、植物の成熟に寄与するエチレンの作用を阻害するチオ硫酸銀錯塩(STS)や、葉の気孔を閉じることにより切り花の呼吸を抑えるアブシジン酸等も用いることができるため、鮮度保持剤の選択は特に限られない。とりわけミョウバンは、料理や化粧品等に使われることから、使用後に環境中に放出しても影響が少なく、誤って摂取したとしても人体に影響を及ぼす危険が少ないため好ましい。
切り花鮮度保持シートのもととなる可溶性シート状物は、次に述べるシート原液を調製の上、製膜される。デンプン、鮮度保持剤、柔軟剤であるグリセリンは水に混合され、加熱しながら混練することによりシート原液を得ることができる。このシート原液は適宜の厚さに延ばされ乾燥を経ることによって可溶性シート状物となる。可溶性シート状物は、グリセリンの柔軟性の作用のために、破れや割れが生じにくく扱いやすくなる。そこで、切り花鮮度保持シートは、折り畳んだ状態での販売や切り花を包装するフィルムに張り付ける等、販売形態を自由に選択することができる。柔軟剤は、適度な水分を保持することでシートに柔軟性を与える成分である。グリセリンは化粧品等にも使用される代表的な保湿剤であるが、他にブドウ糖やショ糖、果糖等が挙げられる。これらの糖類は切り花の栄養分としても作用する。
なお、上記のとおり作成される可溶性シート状物に対し、前述の成分に加えてさらに他の成分を適宜加えることができる。また、可溶性シート状物の表面に適宜の印刷を施したり、印刷が施された可溶性の部材等を張り合わせてもよい。
また、可溶性シート状物をさらに利便性を高めるように成形することもできる。例えば、切り花の茎部にとどめるために、可溶性シート状物に切込みや開孔を形成したり、筒状に成形したりすることができる。切り花鮮度保持シートを茎部にとどめることにより、切り花と切り花鮮度保持シートを併せて用水に投入することができる。他の例としては、切り花をまとめるために、紐状物や帯状物、クリップ状物に成形することが挙げられる。このように成形することで、切り花鮮度保持シートは切り花の結索材としても用いることができる。
〔成分の選定〕
本発明の切り花鮮度保持シートのシート基材成分を、デンプン(日本食品化工株式会社製「ワキシースターチY」濃度15%、80℃、粘度44000mPa・s)、物理加工デンプン、加工デンプン、ゼラチン(ゼライス株式会社製)、ポリビニルアルコール溶液(大阪製糊株式会社製「液体PVA」50℃、粘度200mPa・s)として以下の手順で調製し、比較を行った。なお、物理加工デンプンは、上記のデンプンを水に懸濁加熱し、糊化物とした後に超音波処理装置(株式会社ギンセン製「GSD1200CVP装置」)にて所望の粘度となるまで、20MHz、1200Wの条件で超音波を照射した処理物として調整し、さらに乾燥した粉末物として得た。
実施例1
シート基材成分としてデンプン15重量部、柔軟剤としてグリセリン9重量部、鮮度保持剤としてミョウバン(建栄製薬株式会社製「焼ミョウバン(硫酸アルミニウムカリウム)」)5重量部を用意し、水71重量部に加熱溶解し、シート原液を調整した。シート原液をアルミ板に張り付けたPETフィルム上に塗布し、70℃にて乾燥した後にPETフィルムから取り外して切り花鮮度保持シートを得た。
実施例2
実施例1におけるシート基材成分のデンプン15重量部を、物理加工デンプン1(濃度20%、50℃、粘度200mPa・sになるよう調整した物理加工デンプン)15重量部に変更し、その他の成分は実施例1と同様として、同じ手順で作成した。
実施例3
実施例1におけるシート基材成分のデンプン15重量部を、物理加工デンプン2(濃度20%、50℃、粘度2000mPa・sになるよう調整した物理加工デンプン)15重量部に変更し、その他の成分は実施例1と同様として、同じ手順で作成した。
実施例4
実施例1におけるシート基材成分のデンプン15重量部を、市販の加工デンプン1(Difco Labolatories製「Soluble Starch」濃度15%、50℃、粘度2.8mPa・s)15重量部に変更し、その他の成分は実施例1と同様として、同じ手順で作成した。
実施例5
実施例1におけるシート基材成分のデンプン15重量部を、市販の加工デンプン2(関東化学株式会社製「でんぷん(溶性)」濃度15%、50℃、粘度11.5mPa・s)15重量部に変更し、その他の成分は実施例1と同様として、同じ手順で作成した。
比較例1
実施例1におけるシート基材成分のデンプン15重量部をゼラチン15重量部に変更し、その他の成分は実施例1と同様として、同じ手順で作成した。
比較例2
実施例1におけるシート基材成分のデンプン15重量部をポリビニルアルコール溶液に含まれるポリビニルアルコールの重量部に変更して、ポリビニルアルコール溶液に含まれる水分量を実施例1の水の量から減じ、その他の成分は実施例1と同様として、同じ手順で作成した。
〔評価項目〕
実施例並びに比較例の切り花鮮度保持シートについて、原液調製性、成形性、溶解性について評価し、これらの評価に基づいて良否の総合評価も行った。
〈原液調製性〉
シート原液を調製するに当たり、その調製のしやすさについて評価を行った。調製のしやすさとは、水にシート基材や鮮度保持剤、柔軟剤を混合する際に各材料がだまにならずに均一に混合されることができることを表す。調製しやすい切り花鮮度保持シートを「○」とした。調製できない鮮度保持シートを「×」とした。
〈成形性〉
シート原液からシート状物を加工するに際し、塗工等の加工容易な例を「○」とし、特に加工容易な例を「◎」とした。また、シート状に加工できない例は「×」とした。
〈溶解性〉
切り花鮮度保持シートを用水中に投入し、30分経過後に用水中に完全に溶解している例を「○」とした。切り花鮮度保持シートが溶解せず溶け残っている例を「×」とした。
〈総合評価〉
実施例及び比較例の切り花鮮度保持シートについて、実需要上の観点を勘案して総合評価を行った。表中の評価項目において、「×」が0個の切り花鮮度保持シートを良品として『B』の総合評価とした。このうち、「◎」がある切り花鮮度保持シートを優良品として『A』の総合評価とした。また、「×」が1個以上の切り花鮮度保持シートは不可品として『C』の総合評価とした。
Figure 2014094922
〔結果と考察〕
表1に開示の結果より、実施例1ないし5の切り花鮮度保持シートはいずれの項目においても比較例の切り花鮮度保持シートよりも有意に優れている。とりわけ実施例2ないし5の優位が顕著である。シート基材にゼラチンを用いる比較例1は、鮮度保持剤であるミョウバンとゼラチンが反応し、水に不溶化することから前段階のシート原液とすることができず、可溶性シート状物の成分としては不適格である。また、シート基材にポリビニルアルコールを用いた比較例2については、成形性を有するものの冷水に不溶であることから、常温維持される用水中には溶解することができないため、使用に向かない。
また、実施例1ないし5は原液調製の容易さ、シート状物への加工が容易であり、花瓶の用水中にも溶けやすく、切り花鮮度保持シートに適している。特に実施例2及び3は実施例1と比較して、超音波照射による物理加工デンプンを用いていることから、シートの成形がさらに容易となり、切り花鮮度保持シートが製造しやすい。一方、実施例4及び5は加工デンプン製造時に使用する薬剤によって、切り花への悪影響の懸念があることから、薬剤の残存濃度等に注意が必要である。
〔評価試験〕
続いて、切り花鮮度保持シートに添加する鮮度保持剤について比較するため、実施例2及び6ないし9と、比較例3、対照例1ないし6を作成し、実験を行った。比較に用いた鮮度保持剤は、ミョウバン、界面活性剤、ミョウバンと界面活性剤の組み合わせ、市販されている鮮度保持剤2種である。比較実験の方法は、各鮮度保持剤を添加した切り花鮮度保持シートを調製し、市販の未開花のバラの切り花(アバランチェ種、花は切り花一本当たり一つ)3本を、水道水を満たした500ml容量の花瓶に活け、各切り花鮮度保持シートを投入し、気温20℃、湿度55%の蛍光灯下の環境において3週間の間静置した。また、対照例として、シート状物に加工することなく、切り花鮮度保持シートの成分を用水中に添加した例との比較も行った。表2は実施例2及び6ないし9と比較例3の結果を示し、表3は対照例1ないし6の結果を示す。
実施例2
前出の実施例2の切り花鮮度保持シートを、500mlの用水に溶解したときのミョウバン濃度が200ppmとなるよう裁断した。
実施例6
鮮度保持剤を界面活性剤(関東化学株式会社製「Tween80」)2重量部とし、その他の成分は実施例2と同様にし、同じ手順で切り花鮮度保持シートを作成した。500mlの用水に溶解したときの界面活性剤濃度が100ppmとなるように切り花鮮度保持シートを裁断した。
実施例7
鮮度保持剤をミョウバン5重量部と界面活性剤2.5重量部とし、その他の成分は実施例2と同様にし、同じ手順で切り花鮮度保持シートを作成した。500mlの用水に溶解したときのミョウバン濃度が200ppm、界面活性剤濃度が100ppmとなるように切り花鮮度保持シートを裁断した。
実施例8
鮮度保持剤を市販の鮮度保持剤1(ヨーキ産業株式会社製「切り花延命剤」)10重量部とし、その他の成分は実施例2と同様にし、同じ手順で切り花鮮度保持シートを作成した。500mlの用水に溶解したときに、市販の鮮度保持剤1の説明書に記載の使用量になるように花鮮度保持シートを裁断した。市販の鮮度保持剤1の成分として「ブドウ糖、硫酸マグネシウム、有機酸、防腐剤、水」が記載されていた。
実施例9
鮮度保持剤を実施例5の市販の鮮度保持剤1とは異なる市販の鮮度保持剤2(クリザール・ジャパン株式会社製「フラワーフード」)10重量部とし、その他の成分は実施例2と同様にし、同じ手順で切り花鮮度保持シートを作成した。500mlの用水に溶解したときに、市販の鮮度保持剤2の説明書に記載の使用量になるように花鮮度保持シートを裁断した。市販の鮮度保持剤2の成分として「糖類、抗菌剤、有機酸」が記載されていた。
比較例3
鮮度保持剤を添加することなく、その他の成分は実施例2と同様にし、同じ手順で切り花鮮度保持シートを作成した。
対照例1ないし5は、実施例2及び6ないし9の切り花鮮度保持シートの成分をシート状物に加工することなく用水に溶解した。
対照例1
成分及び各成分の添加量を実施例2と同様とし、シート状物に加工することなく用水に添加した。
対照例2
成分及び各成分の添加量を実施例6と同様とし、シート状物に加工することなく用水に添加した。
対照例3
成分及び各成分の添加量を実施例7と同様とし、シート状物に加工することなく用水に添加した。
対照例4
成分及び各成分の添加量を実施例8と同様とし、シート状物に加工することなく用水に添加した。
対照例5
成分及び各成分の添加量を実施例9と同様とし、シート状物に加工することなく用水に添加した。
対照例6
各成分を添加することなく用水のみである。
〔評価項目〕
実施例、比較例並びに対照例の切り花鮮度保持シートについて、1日目、3日目、7日目、14日目、21日目も花の最大径を計測した。花の径の最大値と21日後の花の径の差を測定し、その減少率を計測した。また、21日後の切り花全体の外観について、目視で評価を行った。
〈花の最大径〉
花の最大径(cm)は、各条件における切り花3本の花の最大長さをノギスにて計測し単純平均して求めた数値である。
〈花の最大径の減少率〉
3週間の観察のうちの花の径の最大値(DM)と21日後の花の最大径(Da)との差を、花の径の最大値で割った値を100分率にした数値(DD)である(DD=((|DM−Da|)÷DM)×100)。
〈21日後の花の状態〉
花の状態に加え、葉、茎のツヤやハリ等を含む全体の状態を目視して評価を行った。全体の状態が良好な例を「○」、やや萎れている例を「△」、萎れている例を「×」とした。
Figure 2014094922
Figure 2014094922
〔結果と考察〕
表2及び3に開示の結果より、比較例3と対照例6は7日目から21日目にかけて花の最大径が特に減少し、花の最大径の減少率は15%を超えている。加えて、21日後の全体の状態も「×」であることから、切り花の外観が損なわれていることがわかる。また、切り花は鮮度保持剤を添加しなければ1週間程度で萎れてしまうことがわかった。実施例2及び6ないし9は花の最大径の減少率が小さく、切り花の鮮度が保持されており、花の満開期間が長いことがわかる。また、対照例1ないし5と比較してみても、花の最大径の減少率に差はないことから、鮮度保持剤をシート状物に加工しても性能が落ちないことが分かった。
界面活性剤を添加した実施例6は21日後の全体の状態は「△」であり、やや萎れているが、対照例2も同様に「△」であることから、鮮度保持剤としての界面活性剤の効果が寄与するところである。これにより、鮮度保持剤を添加してシート状に加工することによる鮮度保持機能の低下がないことがわかる。よって、切り花鮮度保持シートに添加する鮮度保持剤の選択は自由である。
〔細菌数の経時変化〕
次に、実施例2、6ないし9及び比較例3、並びに対照例1ないし6を添加した用水のpH並びに用水中の細菌数について計測し、1日目と21日目の結果を表4に示す。用水中の細菌数の測定には、JNC株式会社製の「サニ太くん(一般生菌用)」を用い、用水の100倍希釈液を試料液として摂取し、35℃48時間後に生じた赤色スポット数を細菌数とした。表中の「N.D.」は細菌を検出していない状態を示す。細菌数の単位は(×102個/ml)である。
Figure 2014094922
〔結果と考察〕
表4に開示の結果より、比較例3及び対照例6は用水中に切り花の鮮度を保持する成分が添加されていないため、1日目及び21日目のpHは約6であり中性を示し、21日後の細菌数は400×102個/mlを超えている。これに対し、実施例2及び7ないし9、並びに対照例1及び3ないし5の1日目のpHは弱酸性を示し21日目のpHも弱酸性で経時的なpHの変化は少ない。実施例6及び対照例2においては、切り花の鮮度保持剤として添加した界面活性剤の性質上、元の用水のpHと比べてpHの酸性への変化量は微小であり、経時的なpHの変化は少ない。
ミョウバンと界面活性剤の組み合わせを添加した実施例7においては、21日目において細菌が検出されず特に良好である。また、市販の鮮度保持剤2を添加した実施例9においても21日目において細菌が検出されていない。実施例2、6及び8については、細菌数が少ないことからの発生を抑制することができている。特に、実施例2においては鮮度保持剤がミョウバンのみであり、細菌数が少ない。このことから、ミョウバンは、誤って摂取したとしても危険性が少なく、安価であることから好ましく用いられる。さらには、対照例1ないし5の21日後の細菌数と比較しても、実施例2及び6ないし9における21日後の細菌数に差があまりないことから、鮮度保持剤を添加してシート状物とすることによる鮮度保持機能の低下がない。
本発明の切り花鮮度保持シートは、従前の鮮度保持剤を単体で販売する際の可搬性の問題が解消される。また、従来の鮮度保持剤を塗付したシート状物を使用後に回収しなければならない等の問題が解消可能となった。さらには、シート状で販売することにより、用水に添加する量にみあった切り花鮮度保持シートを切り分けて調節することができる。

Claims (6)

  1. 切り花の茎部を浸す用水に添加して当該切り花の鮮度を保持するとともに前記用水中に溶解する可溶性シート状物の切り花鮮度保持シートであって、
    前記可溶性シート状物は、デンプンと鮮度保持剤とを水分の存在下で加熱混練して所定厚さに加工したシート状物であることを特徴とする切り花鮮度保持シート。
  2. 前記可溶性シート状物に柔軟剤が配合される請求項1に記載の切り花鮮度保持シート。
  3. 前記デンプンが、加工デンプンである請求項1又は2に記載の切り花鮮度保持シート。
  4. 前記加工デンプンが、デンプンの糊化物に超音波を照射して得た物理加工デンプンである請求項3に記載の切り花鮮度保持シート。
  5. 前記鮮度保持剤がミョウバンである請求項1ないし4のいずれか1項に記載の切り花鮮度保持シート。
  6. 前記柔軟剤がグリセリンである請求項2に記載の切り花鮮度保持シート。
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