JP2014093717A - 通信装置、チャネル情報取得方法、及び無線通信システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】通信装置は、基地局と端末装置との間で受信された信号に含まれる参照信号に基づいて、周波数軸上のチャネル情報を推定するチャネル情報推定部と、受信された信号に含まれる参照信号と、予め記憶されている参照信号に基づいて、時間軸上のインパルス応答を取得する時間軸チャネル情報推定部と、インパルス応答が所定の基準を満たす場合、チャネル情報に対応する基地局と端末装置との間の伝送路特性として該チャネル情報を記憶し、インパルス応答が所定の基準を満たさない場合、チャネル情報に対応する基地局と端末装置と間の伝送路特性として所定の値を記憶するチャネル情報管理部と、を備える。
【選択図】図15
Description
しかし、このように更なるオーバーヘッドの増大は、MACレイヤにおける効率を低下させてしまう。仮に物理レイヤでの周波数利用効率を瞬時的に改善できたとしても、無線通信システム全体でのスループットが結果的に低めに抑えられてしまう可能性がある。そのため、雑音の影響によりトレーニング信号等の受信品質が劣悪である場合であっても、チャネル情報の推定精度を向上できる技術が求められていた。
この結果、チャネル情報の推定誤差の影響を抑制した空間分割多重伝送を行うことができ、無線通信システムにおける周波数利用効率を改善することができる。
図1は、関連技術における無線通信システムの一実施形態を示す概略図である。同図には、無線通信装置100、及び、無線通信装置100と空間分割多重伝送による通信を行う複数の端末局114a〜114bを具備する無線通信システムが示されている。
無線通信装置100は、制御局101、複数の基地局112a〜112d、及び、制御局101と各基地局112a〜112dとを接続する有線回線113a〜113hを備えている。各基地局112a〜112dと、各端末局114a〜114bとは複数のアンテナを備えている。同図においては、基地局112a〜112dと端末局114a〜114bとが2本のアンテナを備える例を示しているが、1本であっても構わないし、3本以上であっても構わない。また、基地局112a〜112dと端末局114a〜114bとが備えるアンテナの本数が異なっていてもよい。
制御局101は、通信制御部102と、受信処理部103と、送信処理部104と、ネットワークインターフェース105と、MAC層処理部106とを有している。受信処理部103は、受信信号処理部107と、チャネル情報取得部108と、受信ウエイト生成部109とを有している。送信処理部104は、送信信号処理部110と送信ウエイト生成部111とを有している。
ネットワークインターフェース105は、外部のネットワーク500に対して接続されており、ネットワーク500から受信した情報をMAC層処理部106に出力する。また、ネットワークインターフェース105は、MAC層処理部106から入力される情報をネットワーク500に送信する。
基地局112a〜112dから端末局114a〜114bに信号を送信するダウンリンクにおける動作について説明する。ネットワーク500から端末局114a〜114b宛てのダウンリンクのデータが制御局101に入力される。制御局101において、ネットワーク500から入力されるデータはネットワークインターフェース105に入力され、ネットワークインターフェース105が当該データをMAC層処理部106に出力する。
そして、MAC層処理部106は、基地局112a〜112dと端末局114a〜114bとの組み合わせを選択し、選択した組み合わせに対応するデータを個別のバッファから読み出し、MAC層における処理を実施して送信信号処理部110に出力する。
このような動作により、同一周波数を用いる各端末局への信号を空間的に分離可能としつつ、同一時刻かつ同一周波数において各端末局114に対しての通信を可能とする。
受信信号処理部107は、入力された受信信号に対して、無線周波数からベースバンドへのダウンコンバート、所望周波数帯域外の周波数成分を除去するためのフィルタリング、A/D(Analog/Digital;アナログ/デジタル)変換、OFDM(またはOFDMA)を用いた通信の場合にはFFT(Fast Fourier Transform;高速フーリエ変換)処理により時間軸上の信号を周波数軸上の信号に変換(各周波数成分の信号に分離)する等の、各種信号処理を行う。受信信号処理部107は、上述の受信信号処理を施して得られた信号のうち、各周波数成分に分離されたチャネル推定用の信号(無線パケットの先頭に付与されるトレーニング信号等)をチャネル情報取得部108に出力する。
受信ウエイト生成部109は、チャネル情報取得部108が取得したチャネル情報に基づいて、所望の信号を取得するために受信信号に乗算すべき受信ウエイトを周波数成分ごとに算出する。受信ウエイト生成部109は、算出した受信ウエイトを受信信号処理部107に出力する。
受信信号処理部107は、受信ウエイト生成部109が出力する周波数成分ごとの受信ウエイトを、上述の受信信号処理を施して得られた信号に対して周波数成分ごとに乗算することにより、各端末局114a〜114bが同一時刻かつ同一周波数において送信した信号系列を干渉なく分離する。受信信号処理部107は、分離した各信号系列に対して復調処理を施し、再生されたデータをMAC層処理部106に出力する。
このような動作により、同一周波数を用いる各端末局からの信号を空間的に分離可能としつつ、同一時刻かつ同一周波数において各端末局114との通信を可能とする。
端末局114は、同図に示すように、データ入出力部121と、MAC層処理部122と、通信制御部123と、受信信号処理部124と、チャネル情報取得部125と、送信信号処理部126と、アンテナ127a、127bとを備えている。
なお、図2における構成は端末局114が2本のアンテナ127a、127bを備える構成を示しているが、1本であっても構わないし、3本以上であっても構わない。
MAC層処理部122は、受信信号処理部124から入力されるデータに対してMAC層に関する処理を施してデータ入出力部121に出力する。また、MAC層処理部122は、データ入出力部121から入力されるデータに対してMAC層に関する処理を施して送信信号処理部126に出力する。
通信制御部123は、端末局114における送受信のタイミング制御など、通信に係る制御を行う。
チャネル情報取得部125は、受信信号に含まれる既知信号に基づいてチャネル情報の推定を行う。
送信信号処理部126は、MAC層処理部122から入力される送信データに対して送信信号処理を施して、アンテナ127a、127bから送信する。
チャネル情報取得部125は、入力される各周波数成分の受信トレーニング信号と、端末局114にて予め記憶している既知信号から、各基地局112a〜112dの各アンテナと、自局の各アンテナとの間のチャネル情報を周波数成分ごとに推定する。チャネル情報取得部125は、推定した各周波数成分のチャネル情報を受信信号処理部124と、MAC層処理部122とに出力する。
MAC層処理部122は、入力されたデータに対して、MAC層に関する処理(例えば、データ入出力部121に対して入出力データと無線回線上で送受信されるデータとの変換や、MAC層のヘッダ情報の終端など)を行う。MAC層処理部122は、MAC層に関する処理を施したデータを、データ入出力部121を介して外部ディスプレイ等の出力装置に出力させる。
また、MAC層処理部122は、チャネル情報取得部125が推定した各周波数成分のチャネル情報に対してもMAC層における処理を施して送信信号処理部126に出力する。なお、MAC層処理部122は、例えば、各周波数成分のチャネル情報をMAC層のヘッダ情報に含めるようにしてもよいし、制御情報収容用の無線パケットとして処理を行うようにしてもよい。
なお、アンテナ127a、127bと、受信信号処理部124及び送信信号処理部126との間での信号の伝達においては、例えばTDDスイッチなどを利用して、アンテナ127a、127bから受信信号処理部124への信号の伝達と、送信信号処理部126からアンテナ127a、127bへの信号の伝達との調整を行うようにしてもよい。
チャネル情報取得部108は、周波数軸チャネル情報推定部1と、トレーニング信号管理部2と、チャネル情報管理部6とを有している。
トレーニング信号管理部2は、無線通信システムにおける空間分割多重伝送で用いられる周波数成分ごとのトレーニング信号を予め記憶して管理する。
チャネル情報管理部6は、周波数軸チャネル情報推定部1が推定したチャネル情報を管理する。
周波数軸チャネル情報推定部1は、入力されたトレーニング信号の周波数軸に対応する既知のトレーニング信号をトレーニング信号管理部2から読み出す。周波数軸チャネル情報推定部1は、入力されたトレーニング信号と、読み出した既知のトレーニング信号とに基づいて、周波数成分ごとのチャネル情報を推定する。周波数軸チャネル情報推定部1は、推定した各周波数成分のチャネル情報をチャネル情報管理部6に出力する。
図4は、アップリンクにおけるチャネル情報の推定処理を示すフローチャートである。
アップリンクにおけるチャネル情報の推定処理が開始されると(ステップS101)、各基地局112a〜112dは、各端末局114a〜114bが送信したチャネル情報の推定に用いられるトレーニング信号を含む無線パケットを受信し、受信した無線パケットを制御局101に送信する(ステップS102)。
制御局101のチャネル情報取得部108は、無線パケットに含まれるトレーニング信号に基づいてチャネル情報を推定し(ステップS103)、各端末局114a〜114bと各基地局112a〜112との組み合わせに対応するチャネル行列Hi,jを記憶して管理し(ステップS104)、処理を終了する(ステップS105)。
アップリンクにおけるチャネル情報の推定では、各端末局114が送信する信号の干渉が問題とならないように、それぞれが直交したトレーニング信号系列を用いるようにしてもよい。また、それぞれの端末局114の送信タイミング等が制御されている場合には、端末局114が送信するトレーニング信号を各基地局112が受信できるため、第i番目の端末局114と、第1番目から第J番目までの基地局112のうちトレーニング信号を受信可能な基地局112と間のチャネル行列Hi,j(1≦j≦J)を同時に取得することが可能である。制御局101は、各基地局112が協調して通信を行う複数の端末局114に対し、上記のチャネル情報の推定処理を実施する。
ダウンリンクにおけるチャネル情報の推定処理が開始されると(ステップS111)、無線通信装置100が各基地局112a〜112dから送信した無線パケットであってチャネル情報の推定に用いるトレーニング信号を含む無線パケットを各端末局114a〜114bが受信する(ステップS112)。
各端末局114a〜114bにおいて、受信した無線パケットに含まれるトレーニング信号に基づいて、チャネル情報取得部125がチャネル情報を推定する(ステップS113)。
各基地局112a〜112dは、各端末局114a〜114bから送信された「制御情報収容用の無線パケット」を受信し、受信した「制御情報収容用の無線パケット」を制御局101に送信する。制御局101では、チャネル情報取得部108が「制御情報収容用の無線パケット」に収容されているチャネル情報を取得する(ステップS115)。
なお、OFDM変調方式を用いる場合においては、図4及び図5に示したチャネル情報を推定する処理のすべての動作はすべての周波数成分に対して実施されることになる。
なお、受信時すなわちアップリンクに関しては、制御局101は各基地局112a〜112dから有線回線113e〜113hを介して信号を受信することになるが、この有線回線113e〜113hが光ファイバであれば電気/光信号変換と光/電気信号変換などの信号終端処理や、無線周波数の信号のダウンコンバート及び帯域外周波数の除去、アナログ/デジタル変換などを実施することで、デジタル・ベースバンド信号への変換が行われる。同様に、送信時すなわちダウンリンクに関しては、制御局101から各基地局112a〜112dへの信号送信においては、デジタル・アナログ変換に加えて無線周波数の信号へのアップコンバート及び帯域外周波数の除去を実施し、光/電気信号変換と電気/光信号変換などの信号終端処理が行われて送信信号処理部110から基地局112a〜112dへのデジタル・ベースバンド信号の転送が行われる。
チャネル情報取得部108は、受信信号処理部107が抽出したトレーニング信号に基づいて、図4に示した手順によりチャネル情報(チャネル行列Hi,j:以下、部分行列Hi,jともいう。)を取得し(ステップS123)、各チャネル情報を合成して無線通信システム全体の行列Hallを作成する(ステップS124)。
受信ウエイト生成部109は、チャネル情報取得部108が作成した行列Hallに基づいて、受信ウエイト行列を算出し(ステップS125)、受信ウエイト算出処理を終了する(ステップS126)。
受信ウエイト行列が算出されると、受信信号処理部107は当該受信ウエイト行列を用いて、トレーニング信号に続いて受信される受信信号の分離処理を行う。
受信信号処理部107は、各基地局112a〜112dが受信した受信信号Riのデータ部に対してFFTを用いた周波数成分への分離などを含む信号処理を行う(ステップS133)。また、受信信号処理部107が受信信号Riのトレーニング信号を抽出し、チャネル情報取得部108がチャネル情報の推定を行い、受信ウエイト生成部109が受信ウエイト行列の算出を行う(ステップS134)。
受信信号処理部107は、信号系列ごとに信号検出処理を実行し(ステップS136)、検出された信号系列をMAC層処理部106に出力し(ステップS137)、受信信号処理を終了する(ステップS138)。
送信ウエイト生成部111は、チャネル情報取得部108が作成した行列Hallに対応する送信ウエイト行列を算出し(ステップS145)、送信ウエイト算出処理を終了する(ステップS146)。この後、無線通信装置100において送信信号処理が引き続き行われる。
送信信号処理部110は、宛先の端末局114a〜114bそれぞれに対して送信すべきデータごとに、各種変調処理等を含む送信信号処理を実施し、各周波数成分の送信信号を生成する(ステップS153)。
送信信号処理部110は、各送信信号に対し、IFFTによる時間軸上の信号への変換及びガードインターバルの付与、OFDMシンボル間の波形整形等の処理など、一連の信号処理を実施し(ステップS155)、これを基地局112に転送して各基地局112a〜112dを介して各端末局114a〜114bに送信信号を送信し(ステップS156)、送信信号処理を終了する(ステップS157)。
ここで、空間分割多重を行う際に用いる全体のチャネル行列Hallは、取得した部分行列Hi,jを用いて、ダウンリンクの場合は以下の(1)式、また、アップリンクの場合は以下の(2)式のように合成する。
なお、上述の信号処理において用いる送信ウエイトと受信ウエイトは、グラムシュミットの直交化法などさまざまな算出法が存在する。例えば、チャネル行列Hallの疑似逆行列を求める方法(Zero Forcing;ZF)を用いると、ダウンリンクにおける送信ウエイト行列W(DL)は以下の(3)式のように表せ、アップリンクにおける受信ウエイト行列W(UL)は以下の(4)式のように表せる。
また、同様の送信ウエイトや受信ウエイトとして知られているMMSEウエイトでは、雑音電力をσ2、単位行列をIとすれば以下の(5)式及び(6)式で表される。
これにより、例えば、以下の(7)式に示すような部分的に「0」(又は各成分が0である部分ブロック行列)に置換されたダウンリンクの全体のチャネル行列Hall (DL)が生成されることになる。
この評価は、あくまでも一例として傾向を示したに過ぎないが、その他の諸条件に対しても同様の効果をみることはできる。この例に関していえば、配置した19セルすべての基地局と端末局との間のチャネル情報を用いるのではなく、それよりも少ない、自セルと隣接する6セルにおける7つの基地局と端末局との間のチャネル情報のみを用い、その他のチャネル情報を0に置換している。このとき、チャネル情報の推定誤差が存在する場合、チャネル行列の一部を0置換することにより、周波数利用効率のCDF特性が優位(グラフで右側に位置する)であることがわかる。
以上の動作原理のもと、ゼロ置換法を実施する具体的な一構成例について説明する。
チャネル情報の品質が所定の基準を満たす場合、チャネル情報品質評価部8は、チャネル情報をそのまま記憶して管理する旨をチャネル情報管理部6に通知する。一方、チャネル情報の品質が所定の基準を満たさない場合、チャネル情報品質評価部8は、チャネル情報を「0」に置換した上で記憶して管理する旨をチャネル情報管理部6に通知する。すなわち、チャネル情報品質評価部8は、周波数軸チャネル情報推定部1が推定した周波数成分ごとのチャネル情報を、チャネル情報の品質に応じて0に置き換えるか否かの判定をし、判定結果に基づいてチャネル情報管理部6を制御する。
以下に、ゼロ置換法を適用した無線通信システムにおけるアップリンク及びダウンリンクでのチャネル情報取得処理について説明する。ここでは、図1に示されている無線通信装置100におけるチャネル情報取得部108をチャネル情報取得部108Aに代えた構成と、図2に示されている端末局114におけるチャネル情報取得部125をチャネル情報取得部108Aに代えた構成とに基づいて説明する。
図12は、アップリンクにおけるチャネル情報取得処理を示すフローチャートである。
ダウンリンクのチャネル情報の推定(又は、チャネル情報のフィードバック)は、上述したように幾つかのバリエーションが存在するが、アップリンクに関しては基地局112にて受信した信号を基にしてチャネル情報の推定が実施されるので、以下ではアップリンクのチャネル情報の推定を中心に説明する。
無線通信装置100においてチャネル情報の推定処理が開始されると(ステップS21)、各端末局114が基地局112宛てに送信する無線パケットであってチャネル情報の推定に用いられるトレーニング信号などを含む無線パケットを各基地局112a〜112dが受信し、各基地局112a〜112dから制御局101に転送する(ステップS22)。
チャネル情報取得部108Aは、推定したチャネル情報の品質が基準を満たすか否かを判定する(ステップS25)。
ここで、チャネル情報の品質には、全サブキャリア(周波数成分)に亘る送受信電力や、受信レベルの高い一部のサブキャリアを選択してしきい値と比較することにより得られる指標や、雑音に対する相対的な受信レベルとしてのSNRなど、信号の品質として得られる指標であればいかなる指標を用いても構わない。
一方、チャネル情報の品質が基準を満たさない場合(ステップS25にてNO)、チャネル情報取得部108Aは、推定したチャネル情報を0に置換し、推定したチャネル情報に対応する部分チャネル行列Hi,jを0として記憶した上で管理し(ステップS27)、処理を終了する(ステップS28)。
これにより、信頼度の低いチャネル情報を「0」に置換して、大きい推定誤差を含むチャネル情報を用いることなく送信ウエイトや受信ウエイトを算出することにより、チャネル情報の推定誤差による影響を抑制することができる。その結果、所望電力の低下を抑制し、周波数効率を改善することが可能になる。なお、基本的に送信ウエイトや受信ウエイトの算出は、端末局114から無線パケットを受信した際に行うチャネル情報の推定結果を基に行う。
以下に、端末局114よりチャネル情報をフィードバックする場合について詳細に説明する。
図13は、ダウンリンクにおけるチャネル情報取得処理を示すフローチャートである。
アップリンクの説明においては、ダウンリンクのチャネル情報に対する推定精度が低い場合におけるゼロ置換を制御局101で行うことを想定した説明をしたが、ダウンリンクのチャネル情報の推定を図5に示したように端末局114で行う場合には、ダウンリンクのチャネル情報に対するゼロ置換を端末局114で行うことも可能である。この場合における無線通信装置100の構成は図1に示した構成と同じであり、送信における信号処理と受信における信号処理とは図4から図9に示した処理と同じである。以下に説明する処理では、端末局114において、取得したチャネル情報の品質を測定し、基準を満たさない場合には当該チャネル情報を0に置換し、制御局101にフィードバックするところにある。
端末局114は、受信した無線パケットに含まれているトレーニング信号などを用いてチャネル情報の推定を実施する(ステップS33)。
端末局114は、推定したチャネル情報の品質を測定し(ステップS34)、測定したチャネル情報の品質が基準を満たすか否かを判定する(ステップS35)。
一方、チャネル情報の品質が基準を満たさない場合(ステップS35にてNO)、端末局114は、チャネル情報として「0」を「制御情報収容用の無線パケット」に収容し、基地局112a〜112d宛てに送信する(ステップS37)。
制御局101は、受信したチャネル情報を第i番目の端末局114と第j番目の基地局との間の部分チャネル行列H’i,jとして記憶して管理し(ステップS39)、処理を終了する(ステップS40)。
図14は、雑音とチャネル情報の推定結果との関係を示すグラフである。実際のシステムでは雑音と信号成分を分離することはできないが、ここでは計算機シミュレーション上の評価例として、雑音のみを抽出した場合と理想的なチャネル情報の推定結果のみを抽出した場合を分けてプロットしている。
ここで、SNR=−10[dB]である場合にチャネル推定を実施した結果を例として示しており、図14(a)と図14(b)ともに、実際にはチャネル情報と雑音が合成された形での出力が得られる。
一方、当該チャネル情報をIFFTにより時間軸上に変換すると、周波数軸上の電力密度がインパルス応答の中の遅延時間が小さな一部の値に集中するため、図14(b)に示すようにインパルス応答の先頭値のレベルは雑音レベルよりも十分大きく、すなわち雑音レベル以上の値に設定された所定のしきい値(図中では点線で示している)を超えているか否かの判定により、チャネルの品質を判断することが可能になる。
次に、本発明におけるチャネル情報の品質推定法に関する具体的な実施例を説明する。
図15は、本発明に係る第1の実施形態におけるチャネル情報取得部208の構成を示す概略ブロック図である。チャネル情報取得部208は、周波数軸チャネル情報推定部1と、トレーニング信号管理部2と、IFFT回路3と、時間軸チャネル情報推定部4と、インパルス応答評価部5と、チャネル情報管理部6とを有している。チャネル情報取得部208は、IFFT回路3と、時間軸チャネル情報推定部4と、インパルス応答評価部5とを有している点が、チャネル情報取得部108(図11)と異なっている。なお、チャネル情報取得部208において、チャネル情報取得部108における機能部と同じ機能部に対しては同じ符号を付して、その説明を省略する。
ここでは、チャネル情報取得部208を示しているが、第1の実施形態における無線通信システムとしては、図1に示した無線通信装置100においてチャネル情報取得部108をチャネル情報取得部208に代えた無線通信装置と、図2に示した端末局114においてチャネル情報取得部125をチャネル情報取得部208に代えた端末局とを具備する。
チャネル情報を推定するためのトレーニング信号がチャネル情報取得部208に入力されると、入力されたトレーニング信号は周波数軸チャネル情報推定部1に入力される。周波数軸チャネル情報推定部1は、入力されたトレーニング信号に対応し周波数軸における既知のトレーニング信号をトレーニング信号管理部2から読み出し、読み出したトレーニング信号と入力されたトレーニング信号とから周波数成分ごとのチャネル情報を推定する。チャネル情報取得部208は、推定した周波数成分ごとのチャネル情報をチャネル情報管理部6とIFFT回路3とに出力する。
IFFT回路3は、周波数軸チャネル情報推定部1が出力する周波数成分ごとのチャネル情報に対してIFFTを行い、時間軸上のインパルス応答に変換する。IFFT回路3は、変換により得られた時間軸上のインパルス応答を時間軸チャネル情報推定部4に出力する。
時間軸チャネル情報推定部4は、IFFT回路3が出力するインパルス応答を、時間軸上のチャネル情報としてインパルス応答評価部5に出力する。
周波数軸チャネル情報推定部1は、抽出されたトレーニング信号に基づいて、周波数軸上におけるチャネル情報の推定を行う(ステップS4)。
IFFT回路3は、IFFT処理により時間軸上におけるチャネル情報のインパルス応答を取得する(ステップS5)。
一方、基準を満たさない場合(ステップS6にてNO)、当該チャネル情報すべての周波数成分に亘り0に置換して部分チャネル行列Hi,jとして記憶して管理し(ステップS8)、処理を終了する(ステップS9)。
このように、インパルス応答の品質判定方法、及びしきい値の設方法についてはいかなる方法を用いて構わない。このことは、以降説明する第2、第3の実施形態に関しても同様である。
図17は、第2の実施形態におけるチャネル情報取得部308の構成を示す概略ブロック図である。第2の実施形態では、時間軸にてチャネル情報の推定を行う方法を基本とした構成について説明する。チャネル情報取得部308は、周波数軸チャネル情報推定部1と、トレーニング信号管理部2Aと、時間軸チャネル情報推定部4と、インパルス応答評価部5と、チャネル情報管理部6と、FFT回路7とを有している。
ここでは、チャネル情報取得部308を示しているが、第2の実施形態における無線通信システムとしては、図1に示した無線通信装置100においてチャネル情報取得部108をチャネル情報取得部308に代えた無線通信装置と、図2に示した端末局114においてチャネル情報取得部125をチャネル情報取得部308に代えた端末局とを具備する。
チャネル情報取得部308の特徴は、時間軸上におけるチャネル推定値すなわちインパルス応答をまず取得し、その品質評価を行い、品質が基準を満たせば、推定したインパルス応答をFFT回路7を経由して周波数軸上におけるチャネル情報として取得する点である。品質が基準を満たさなければ、周波数軸上への変換を省略して周波数成分のチャネル情報をすべて0として出力するところにある。また、トレーニング信号管理部2Aは、無線通信システムにおける空間分割多重伝送で用いられる時間軸上のトレーニング信号を予め記憶して管理する。
チャネル情報を推定するためのトレーニング信号がチャネル情報取得部308に入力されると、入力されたトレーニング信号は時間軸チャネル情報推定部4に入力される。時間軸チャネル情報推定部4は、入力されたトレーニング信号に対応し時間軸における既知のトレーニング信号をトレーニング信号管理部2Aから読み出し、読み出したトレーニング信号と入力されたトレーニング信号とから時間軸におけるチャネル情報、すなわちインパルス応答を推定する。時間軸チャネル情報推定部4は、推定したインパルス応答をインパルス応答評価部5に出力する。
チャネル情報管理部6において記憶、管理されるチャネル情報は、制御局101においては送信ウエイト生成部111又は受信ウエイト生成部109からの要求に応じて読み出される。また、端末局114においては受信信号処理部124又はMAC層処理部122からの要求に応じて読み出される。
チャネル情報取得処理が開始されると(ステップS1)、通信相手先の基地局112又は端末局114から無線パケットを受信し(ステップS2)、無線パケットからトレーニング信号の区間を抽出する(ステップS3)。
時間軸チャネル情報推定部4は、抽出されたトレーニング信号に基づいて、時間軸上におけるチャネル情報の推定値としてのインパルス応答を算出し(ステップS11)、インパルス応答評価部5に出力する。
図19は、第3の実施形態におけるチャネル情報取得部408の構成を示す概略ブロック図である。チャネル情報取得部408は、周波数軸チャネル情報推定部1と、トレーニング信号管理部2と、IFFT回路3と、時間軸チャネル情報推定部4と、インパルス応答評価部5と、チャネル情報管理部6と、チャネル情報品質評価部8とを有している。
ここでは、チャネル情報取得部408を示しているが、第3の実施形態における無線通信システムとしては、図1に示した無線通信装置100においてチャネル情報取得部108をチャネル情報取得部408に代えた無線通信装置と、図2に示した端末局114においてチャネル情報取得部125をチャネル情報取得部408に代えた端末局とを具備する。
チャネル情報品質評価部8は、周波数軸チャネル情報推定部1にて推定した周波数成分ごとのチャネル情報の品質を測定し、その品質が基準を満たせば当該チャネル情報をチャネル情報管理部6へ出力し、一方、基準を満たさない場合には当該チャネル情報をIFFT回路3へ出力し、続くインパルス応答評価部5においてより詳細にチャネル情報の要否の判断を行う。
本実施形態の特徴は、チャネル情報品質評価部8においてチャネル情報の品質を直接評価することが可能であれば、当該チャネル情報は有用であると判断し、インパルス応答に対する評価を省略するところにある。
チャネル情報取得処理が開始されると(ステップS1)、通信相手先の基地局112又は端末局114から無線パケットを受信し(ステップS2)、無線パケットからトレーニング信号の区間を抽出する(ステップS3)。
周波数軸チャネル情報推定部1は、抽出されたトレーニング信号に基づいて、周波数軸上におけるチャネル情報の推定を行う(ステップS4)。
一方、チャネル情報の品質が基準を満たさない場合(ステップS15にてNO)、チャネル情報品質評価部8は、周波数成分ごとのチャネル情報をIFFT回路3に出力する。IFFT回路3は、IFFT処理により時間軸上におけるチャネル情報のインパルス応答を取得する(ステップS5)。
一方、基準を満たさない場合(ステップS6にてNO)、当該チャネル情報すべての周波数成分に亘り0に置換して部分チャネル行列Hi,jとして記憶して管理し(ステップS8)、処理を終了する(ステップS9)。
例えば、上述の各実施形態において、所定の基準を満たさない場合にチャネル情報すべての周波数成分に亘り0に置換して部分チャネル行列Hi,jとして記憶して管理する構成について説明したが、「0」に代えて、「0又は0に近い所定の値」を周波数成分ごとのチャネル情報として記憶して管理するようにしてもよい。
2、2A トレーニング信号管理部
3 IFFT回路
4 時間軸チャネル情報推定部
5 インパルス応答評価部
6 チャネル情報管理部
7 FFT回路
8 チャネル情報品質評価部
100 無線通信装置
101 制御局
102、123 通信制御部
103 受信処理部
104 送信処理部
105 ネットワークインターフェース
106、122 MAC層処理部
107、124 受信信号処理部
108、108A、125、208、308、408 チャネル情報取得部
109 受信ウエイト生成部
110、126 送信信号処理部
111 送信ウエイト生成部
112、112a、112b、112c、112d 基地局
113a、113b、113c、113d、113e、113f、113g、113 有線回線
114、114a、114b 端末局
121 データ入出力部
127a、127b アンテナ
500 ネットワーク
Claims (6)
- 一つ又は複数のアンテナを有する複数の基地局と前記複数の基地局に接続された制御局とを備えた通信装置と、一つ又は複数のアンテナを有し前記基地局のいずれか一つと無線通信を行う端末装置とを具備し、前記複数の基地局が該基地局の通信可能領域に位置する前記端末装置と同一時刻に同一周波数上で通信することが可能な無線通信システムにおける通信装置であって、
前記基地局と前記端末装置との間で受信された信号に含まれる参照信号に基づいて、周波数軸上のチャネル情報を推定するチャネル情報推定部と、
前記受信された信号に含まれる参照信号と、予め記憶されている参照信号に基づいて、時間軸上のインパルス応答を取得する時間軸チャネル情報推定部と、
前記インパルス応答が所定の基準を満たす場合、前記チャネル情報に対応する前記基地局と前記端末装置との間の伝送路特性として該チャネル情報を記憶し、前記インパルス応答が所定の基準を満たさない場合、前記チャネル情報に対応する前記基地局と前記端末装置と間の伝送路特性として所定の値を記憶するチャネル情報管理部と、
前記チャネル情報管理部に記憶されているチャネル情報に基づいて、前記基地局と前記端末装置との間において空間分割多重伝送を実施する送受信処理部と、
を備えることを特徴とする通信装置。 - 請求項1に記載の通信装置であって、
前記チャネル情報管理部は、
前記チャネル情報推定部が推定したチャネル情報が所定の基準を満たす場合には、前記チャネル情報に対応する前記基地局と前記端末装置との間の伝送路特性として該チャネル情報を記憶する
ことを特徴とする通信装置。 - 一つ又は複数のアンテナを有する複数の基地局と前記複数の基地局に接続された制御局とを備えた無線基地局装置と、一つ又は複数のアンテナを有し前記基地局のいずれか一つと無線通信を行う通信装置とを具備し、前記複数の基地局が該基地局の通信可能領域に位置する前記通信装置と同一時刻に同一周波数上で通信することが可能な無線通信システムにおける通信装置であって、
前記基地局と自装置との間で受信された信号に含まれる参照信号に基づいて、周波数軸上のチャネル情報を推定するチャネル情報推定部と、
前記受信された信号に含まれる参照信号と、予め記憶されている参照信号に基づいて、時間軸上のインパルス応答を取得する時間軸チャネル情報推定部と、
前記インパルス応答が所定の基準を満たす場合、前記チャネル情報に対応する前記基地局と自装置との間の伝送路特性として該チャネル情報を記憶し、前記インパルス応答が所定の基準を満たさない場合、前記チャネル情報に対応する前記基地局と自装置と間の伝送路特性として所定の値を記憶するチャネル情報管理部と、
前記チャネル情報管理部に記憶されているチャネル情報を前記無線基地局装置に送信し、前記基地局との間において空間分割多重伝送を実施する送受信処理部と、
を備えることを特徴とする通信装置。 - 請求項3に記載の通信装置であって、
前記チャネル情報管理部は、
前記チャネル情報推定部が推定したチャネル情報が所定の基準を満たす場合には、前記チャネル情報に対応する前記基地局と自装置との間の伝送路特性として該チャネル情報を記憶する
ことを特徴とする通信装置。 - 一つ又は複数のアンテナを有する複数の基地局と前記複数の基地局に接続された制御局とを備えた通信装置と、一つ又は複数のアンテナを有し前記基地局のいずれか一つと無線通信を行う端末装置とを具備し、前記複数の基地局が該基地局の通信可能領域に位置する前記端末装置と同一時刻に同一周波数上で通信することが可能な無線通信システムにおけるチャネル情報取得方法であって、
前記基地局と前記端末装置との間で受信された信号に含まれる参照信号に基づいて、周波数軸上のチャネル情報を推定するチャネル情報推定ステップと、
前記受信された信号に含まれる参照信号と、予め記憶されている参照信号に基づいて、時間軸上のインパルス応答を取得する時間軸チャネル情報推定ステップと、
前記インパルス応答が所定の基準を満たす場合、前記チャネル情報に対応する前記基地局と前記端末装置との間の伝送路特性として該チャネル情報を記憶し、前記インパルス応答が所定の基準を満たさない場合、前記チャネル情報に対応する前記基地局と前記端末装置と間の伝送路特性として所定の値を記憶するチャネル情報管理ステップと、
を有することを特徴とするチャネル情報取得方法。 - 一つ又は複数のアンテナを有する複数の基地局と前記複数の基地局に接続された制御局とを備えた通信装置と、一つ又は複数のアンテナを有し前記基地局のいずれか一つと無線通信を行う端末装置とを具備し、前記複数の基地局が該基地局の通信可能領域に位置する前記端末装置と同一時刻に同一周波数上で通信することが可能な無線通信システムであって、
前記基地局と前記端末装置との間で受信された信号に含まれる参照信号に基づいて、周波数軸上のチャネル情報を推定するチャネル情報推定部と、
前記受信された信号に含まれる参照信号と、予め記憶されている参照信号に基づいて、時間軸上のインパルス応答を取得する時間軸チャネル情報推定部と、
前記インパルス応答が所定の基準を満たす場合、前記チャネル情報に対応する前記基地局と前記端末装置との間の伝送路特性として該チャネル情報を記憶し、前記インパルス応答が所定の基準を満たさない場合、前記チャネル情報に対応する前記基地局と前記端末装置と間の伝送路特性として所定の値を記憶するチャネル情報管理部と、
前記チャネル情報管理部に記憶されているチャネル情報に基づいて、前記基地局と前記端末装置との間において空間分割多重伝送を実施する送受信処理部と、
を備えることを特徴とする無線通信システム。
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