JP2014091681A - 皮膚外用剤及び包接複合体を含む組成物 - Google Patents

皮膚外用剤及び包接複合体を含む組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】光安定性及び水溶解性に優れるハイパーフォリンを含有する皮膚外用剤の提供。
【解決手段】式(I)で示されるハイパーフォリン及び/又はその誘導体と、それを担持したシクロデキストリンとを含む包接複合体を含有する皮膚外用剤。

[式中、Rは、メチル又はエチル、Rは、水素、C〜Cアシル基等、かつRが3−メチル−ブタ−1−イルであり、かつオキソ基が1位及び10位に存在する等。]
【選択図】なし

Description

本発明は、主としてTRPC6チャネルアゴニスト(作動薬)として働くハイパーフォリンをシクロデキストリン(CD)に担持した包接複合体を含む皮膚外用剤、及び皮膚外用剤に特に有用な包接複合体に関する。特に、皮膚創傷の治癒促進機能及び皮膚バリア機能を有する皮膚外用剤に関する。
主成分の一種としてハイパーフォリンを含むことで知られているセイヨウオトギリソウを乾燥した全草(SJW)は、古くから抗菌、止血、利尿作用があり、抽出物はとくにヨーロッパでは古くから抗うつ剤や創傷治癒促進などの民間薬として伝承されてきた。現代における人体の治療・改善効果については、1984年にドイツ保健省コミッションE(薬用植物の評価委員会)のモノグラフ(German Federal Health Office (BGA) Monograph: Hyperici herba (St. John's Wort) Commission E monograph. Bundesanzeiger 1984 Dec. 5)で抗うつ薬として承認されている。また、最近では月経前症候群に対しての有効性も示されている。また、皮膚外用剤等としては、セイヨウオトギリソウのグレープシードオイル浸出油は帝王切開術施行患者を対象とするプラセボ対照二重盲検無作為化比較試験において、術後の創傷治癒促進、痛み、及び掻痒の改善(非特許文献1)や、ニンニクエキス、セイヨウオトギリソウのエタノール抽出物、カレンデュラ(マリーゴールド)オイルからなる軟膏において、皮膚潰瘍に対する局所的な皮膚修復にある程度勧められる結果が見出されている(非特許文献2)。
さらに、セイヨウオトギリソウエキスに含まれるハイパーフォリンを高い濃度で含有するクリームは、軽度から中程度のアトピー性皮膚炎患者を対象とするプラセボ対照二重盲検無作為化比較試験において、アトピー性皮膚炎の改善(非特許文献3)、紫外線誘発紅斑の抑制(非特許文献4)が認められている。
このように、限られた臨床試験において有意な効果が示唆されてはいるものの、ハイパーフォリンが皮膚の変化や病状の改善に及ぼす科学的実証が少なくその作用機序については未解明なままである。近年になって、ハイパーフォリンがケラチノサイト細胞上のTRPC6チャネル(Ca2+透過性非選択的カチオンチャネル)の発現を誘導かつ一過性の活性化を引き起こすことができる、すなわち、TRPC6の新しい活性化剤であることが同定され、さらにTRPC6チャネルはケラチノサイトの分化誘導にも関与していると報告され、イオンチャネルが司る細胞内シグナル伝達の分子レベルでの解明がようやく始まったが、病状改善と薬物作用の関与は今も特定されていない。
ハイパーフォリンを高濃度で含有するセイヨウオトギリソウクリームは、実際に非ステロイド抗炎症剤より副作用の少ないアトピー性皮膚炎の治療として代替使用が試みられ、日常的なセルフメディケーション(自己健康管理、自己治療)への提供が期待されている。
しかしながら、セイヨウオトギリソウに含まれるハイパーフォリンは、光に対する安定性が乏しく(光分解)かつ高すぎる脂溶性を有するために、皮膚外用剤を調製する場合に障害となっている。例えば、光分解による代謝物質が細胞毒性を誘発する障害(非特許文献5)や溶解性が不十分で経皮吸収性が低下或いは変動する欠点が指摘され、製造段階や臨床開発段階における大きな課題となっている。こうした欠点の対策はこれまでにもいくつか検討され、例えば、ハイパーフォリンの誘導体化によるうつ病及びアルツハイマー病のための医薬品(特許文献1)、アルコール溶液中における有機酸、界面活性剤及びシクロデキストリンを使用したハイパーフォリンの安定化の研究(非特許文献6、特許文献2)及び、難水溶性物質の可溶化技術を応用したセイヨウオトギリソウのβ−シクロデキストリン包接体の抗うつ作用改善(非特許文献7)とセイヨウオトギリソウのγ−シクロデキストリン包接体の抗侵害作用(非特許文献8)等の報告がなされている。
特許第4315818号 国際公開第2000/025824号
SamadiらJ Altern Complement Med. 16, 113-117, 2010 KundakovieらForsch komplementmed 19, 26-30, 2012 SchemppらPhytomedicine 10 Suppl. 4, 31-37, 2003 MeinkeらEur J Pharm Biopharm. 81, 346-350, 2012 OnoueらPhytochemistry 72, 1814-1820, 2011 HaraldらPharm. Ind. 62, 60-63, 2000 IsacchiらPhytother. Res. 23, 197-205, 2009 HatanakaらDrug Metab. Pharmacokinet. 26, 551-558, 2011
しかしながら、誘導体化は合成化学的手法を用いるため多段階行程にわたりそれに応じた製造コストがかかるデメリットは避けられず、一方、包接体の場合には、ハイパーフォリン等の薬剤分子とシクロデキストリンとの包接複合体形成能が、その両者の組合せにより変化するため、その応用範囲は不明であった。
従って、本発明の目的は、光に対する安定性に優れ、水への溶解性に優れ、かつ容易に製造することができるハイパーフォリンのシクロデキストリン包接複合体を含有する皮膚外用剤を提供することを目的とする。
また、本発明の目的は、皮膚外用剤に有利に使用することができるハイパーフォリンのシクロデキストリン包接複合体を含む組成物を提供することを目的とする。
本発明者等の検討により、高脂溶性ハイパーフォリンをヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HP−β−CD)及びスルホブチル化−β−シクロデキストリン(SBE−β−CD)等で担持して得られる包接複合体は、創傷時に相当する低Ca2+濃度細胞外液下での細胞の分化誘導、TRPC6チャネル発現及び活性化作用を有し、また紫外線誘発紅斑を抑制するハイパーフォリンの皮膚バリア機能を促進することを見出した。そして、これにより上記目的が達成されることを見出した。
本発明は、ハイパーフォリン及び/又はその誘導体とそれを担持したシクロデキストリンとを含む包接複合体を含有する皮膚外用剤にある。
本発明の皮膚外用剤の好ましい態様を、以下に列記する。
(1)さらに溶媒として水を含んでいる。
(2)シクロデキストリンが、置換基として、ヒドロキシプロピル基又はスルホブチル基を有する。包接複合体に優れた水溶性を付与することができる。
(3)シクロデキストリンがβ−シクロデキストリン(β−CD)である。包接複合体に優れた光安定性を付与することができる。
(4)シクロデキストリンがヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HP−β−CD)又はスルホブチル化−β−シクロデキストリン(SBE−β−CD)である。包接複合体にさらに優れた水溶性を付与することができる。
(5)当該皮膚外用剤は、皮膚の創傷の治癒を促進し、又は皮膚バリア機能を正常化し、或いは皮膚の創傷の治癒を促進しかつ皮膚バリア機能を正常化するために使用される。
(6)ハイパーフォリン及び/又はその誘導体が、ハイパーフォリン、ハイパーフォリン塩又は
下記式(I)
[式中、Rは、メチル又はエチルであり、R2は、水素、医薬的に許容される無機もしくは有機塩基カチオン、又は直鎖もしくは分岐鎖状のC2〜C5アシル基であり、かつ
1が3−メチル−ブタ−1−イルであり、かつオキソ基が1位及び10位に存在する;
1が3−メチル−2−ブテン−1−イルであり、かつヒドロキシ基が1位及び10位に存在する;
1が3−メチル−ブタ−1−イルであり、かつヒドロキシ基が1位及び10位に存在する、のいずれかである]のハイパーフォリン及びアドハイパーフォリン誘導体である。包接複合体とするのが容易である。
(7)ハイパーフォリン及び/又はその誘導体を0.001質量%以上含む。
(8)包接複合体全体100質量%に対して、10〜99質量%のヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HP−β−CD)又はスルホブチル化−β−シクロデキストリン(SBE−β−CD)を含有する。
さらに、本発明は、ハイパーフォリン及び/又はその誘導体と、それを担持したヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HP−β−CD)或いはスルホブチル化−β−シクロデキストリン(SBE−β−CD)とを含有する包接複合体を含む組成物にもある。さらに水を含むことが好ましい。
上記皮膚外用剤に関する好ましい態様を、上記組成物にも適用することができる。
本発明の皮膚外用剤は、ハイパーフォリン及び/又はその誘導体と、それを担持したシクロデキストリンとを含有する包接複合体を含むものである。このようなハイパーフォリンのシクロデキストリン包接複合体は、光に対する安定性に優れ、水への溶解性に優れ、かつ容易に製造することができるので、これを含有する本発明の皮膚外用剤は、皮膚に塗布した際、ハイパーフォリンの優れた創傷治癒促進効果、皮膚バリア効果を、有利に得ることができる。
図1は、連続変化法による(ハイパーフォリン)( HP−β−CD)n包接複合体の組成比と複合体中に含まれるハイパーフォリンを示す吸光度の関係を示すグラフである。 図2は、HPLCを用いた連続変化法による(SJW)( HP−β−CD)n包接複合体の組成比と複合体中に含まれるハイパーフォリンを示すArea(面積)の関係を示すグラフである。 図3は、セイヨウオトギリソウ乾燥エキス原末(SJW)エタノール溶液及び(SJW)( HP−β−CD)n包接複合体水溶液の、LED照射時間と光安定性(ハイパーフォリン濃度)の関係を示すグラフである。 図4は、セイヨウオトギリソウ乾燥エキス原末(SJW)、セイヨウオトギリソウ/HP−β−CD(SJW/HP−β−CD) 包接複合体及びセイヨウオトギリソウ/SBE−β−CD(SJW/SBE−β−CD) 包接複合体のSEM画像である。 図5は、肌荒れ部位のバリア機能の回復を示すボックスプロット(箱ひげ図)である。
本発明の外用薬は、ハイパーフォリン及び/又はその誘導体と、それを担持したシクロデキストリンとを含む包接複合体を含有している。
本発明では、主要な薬剤として、ハイパーフォリン及びその誘導体の少なくとも1種を使用することができる。ハイパーフォリン及びその誘導体の例としては、下記式(II)のハイパーフォリン及びアドハイパーフォリン;
ハイパーフォリン塩、アドハイパーフォリン塩、
下記式(I)
[式中、Rは、メチル又はエチルであり、R2は、水素、医薬的に許容される無機もしくは有機塩基カチオン、又は直鎖もしくは分岐鎖状のC2〜C5アシル基であり、かつ
1が3−メチル−ブタ−1−イルであり、かつオキソ基が1位及び10位に存在する;
1が3−メチル−2−ブテン−1−イルであり、かつヒドロキシ基が1位及び10位に存在する;
1が3−メチル−ブタ−1−イルであり、かつヒドロキシ基が1位及び10位に存在する、のいずれかである]のハイパーフォリン及びアドハイパーフォリン誘導体を挙げることができる。さらに、下記式(III)のようなハイパーフォリンの対掌体であるエントハイパーフォリン(ent-hyperforin) (ShimizuらAngew. Chem. Int. Ed. 49, 1103-1106, 2010)も使用することができる。
ハイパーフォリン及び/又はその誘導体は、例えば、ハイパーフォリンのメタノール溶液〔例えば、商品名:ヒペルフォリン(シグマ社製・米国ハイパーフォリン)、Hyperforin(ケイマンケミカル社製・米国)〕として、ハイパーフォリンジシクロヘキシルアンモニウム塩〔例えば、商品名:Hyperforin dicyclohexylammonium salt(アレクシスバイオケミカルズ社製・米国)〕として、さらにセイヨウオトギリソウエキス〔例えば、商品名:St. John’s Wort CO2-to extract(フラベックス社製・ドイツ国)〕、及びセイヨウオトギリソウ乾燥エキス〔例えば、商品名:西洋オトギリソウ乾燥エキス(フルタロム社製・スイス国)〕等として入手可能である。また、ハイパーフォリンを含有するセイヨウオトギリソウ植物体として、天然に自生、或いは、栽培されているセイヨウオトギリソウから得られるエキスも使用することができる。
本発明では、ハイパーフォリン、特にセイヨウオトギリソウから得られるハイパーフォリンが好ましい。
本発明の皮膚外用剤は、ハイパーフォリン及び/又はその誘導体を一般に0.001質量%以上含んでいる。0.005〜5質量%が好ましく、特に0.005〜1質量%が好ましい。0.001質量%未満では、ハイパーフォリンの効果が充分得られない。また、多すぎると充分に分散されない。
シクロデキストリンはデンプンの酵素分解によって生成される植物由来の環状オリゴ糖で、グルコース(ブドウ糖)モノマーが6〜8単位の範囲でグリコシド結合(α1→4結合)により環状に連結した円錐形構造を形成している。環状分子内が疎水性で外側が親水性であることから、内部空洞にさまざまな分子を取り込み、安定化させる特異な包接機能を有する。天然シクロデキストリンの例としては、下式に示すように、α-CDの式で表されるα-シクロデキストリン(環状六糖分子)、β−CDで表されるβ−シクロデキストリン(環状七糖分子)およびγ−CDで表されるγ-シクロデキストリン(環状八糖分子)を挙げることができる。
本発明では、シクロデキストリンとしては、ヒドロキシアルキル(炭素原子数2〜4個;特にヒドロキシプロピル基)を有するグルコースからなるもの、スルホアルキル(炭素原子数2〜6個;特にスルホブチル基)を有するグルコースからなるものが好ましい。また、ハイパーフォリンの分子の大きさを考慮するとβ−シクロデキストリンが好ましい。これにより光安定性等の安定性がより一層向上する。
上記ヒドロキシアルキル(炭素原子数2〜4個;特にヒドロキシプロピル基)を有するグルコースは、上記グルコース分子中のC6位のヒドロキシ基の水素がヒドロキシアルキル基(炭素原子数2〜4個;特にヒドロキシプロピル基)で置換したグルコースであることが好ましい(その一部を示す下式参照)。上記グルコース分子中の他のヒドロキシル基(C2位及び3位のヒドロキシル基)の水素も、ヒドロキシアルキル(炭素原子数2〜4個;特にヒドロキシプロピル基)で置換されていても良い。
上記スルホアルキル(炭素原子数2〜6個;特にスルホブチル基)を有するグルコースは、上記グルコース分子中のC6位のヒドロキシル基の水素がスルホアルキル基(炭素原子数2〜6個;特にスルホブチル基)で置換されたグルコースであることが好ましい(その一部を示す下式参照)。上記グルコース分子中の他のヒドロキシル基(C2位及び3位のヒドロキシル基)の水素も、スルホアルキル基(炭素原子数2〜6個;特にスルホブチル基)で置換されていても良い。スルホ基のHは、他のカチオン(例、Na、K、NR4(R=H又はアルキル、シクロアルキル(特にジシクロヘキシルアンモニウム))等)と置換していても良い。
シクロデキストリンは、前述のように、環状分子内が疎水性で外側が親水性であることから、内部空洞にさまざまな分子を取り込み、安定化させる特異な包接機能がある。従って、本発明のハイパーフォリン及び/又はその誘導体は、シクロデキストリン内に包接され、水への親和性を示すと共に光に対する安定性に優れたものとなるため、創傷時に相当する低Ca2+濃度細胞外液下での細胞の分化誘導、TRPC6チャネル発現及び活性化作用が顕著となり、かつ紫外線誘発紅斑を抑制する皮膚バリア機能が促進される。
本発明では、環状分子内径が約6〜6.5Åのβ-シクロデキストリンの修飾体であるヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HP−β−CD)とスルホブチル化−β−シクロデキストリン(SBE−β−CD)(特にヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HP−β−CD))を使用することが好ましい。即ち、化学的に非修飾の天然シクロデキストリンは、水に対する溶解度がそれほど高いため、化粧品や医薬部外品への応用には技術上の制約があり、また、非修飾シクロデキストリンはカビ、細菌や酵素で容易に生分解されるほど抵抗性が低いため上記の応用にも制約があった。本発明では、このような天然シクロデキストリンも使用可能であるが、前述の修飾シクロデキストリンの使用が好ましい。
例えば、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン〔例えば、商品名:セルデックス(登録商標)HP−β−CD(日本食品化工(株)製)、HP−β−CD(塩水港製糖(株)製)〕は、β−シクロデキストリン分子中の少なくともC6位のヒドロキシル基の水素をヒドロキシプロピル基で置換したもので、無置換のβ-シクロデキストリンに比べて10倍以上高い水溶性を示し、水100gに対して100g以上溶解するばかりでなく、香水などに用いられる含水エタノール中でもかなり高い溶解度を示す化粧品基材等として優れた特性を有する。
スルホブチル化−β−シクロデキストリンはブチル鎖のスペーサーを介してスルホン基をβ-シクロデキストリンにエーテル結合させたNa塩であり、高水溶性(>50g/100mL)で生体適合性が高く、包接能力、安全性はβ-シクロデキストリンに比べてはるかに優れた値を示す。
本発明の皮膚外用剤は、溶媒として、一般に水が使用される。水は、皮膚外用剤の質量に対して1〜99.9質量%、好ましくは10〜99.9質量%、さらに好ましくは20〜99.9質量%、特に好ましくは50〜99.9質量%使用される。さらに、エタノール等のアルコールを用いても良い。
さらにまた、界面活性剤、保湿剤、エモリエント(皮膚軟化)剤、溶解補助剤等の他の成分を含んでいても良い。保湿剤としては、例えば、オリーブ油、等の植物油やラノリンのような動物由来の脂質に代表される親油性の保湿剤、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトール等の水溶性多価アルコール、オクチルドデカノール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール、ヒアルロン酸及びキサンタンガムのような多糖類、ポリエチレングリコールなどの水溶性高分子、ピロリドンカルボン酸塩及びアミノ酸に代表される低分子量の天然保湿因子、植物抽出エキス、及びヒアルロン酸ナトリウム等を用いても良い。
本発明の外用薬は、一般に、洗顔やマッサージなどを想定した適切な伸展刺激により創傷治癒を促進される。即ち、ヒト表皮細胞やヒト皮膚組織において、洗顔やマッサージなどを想定した適切な伸展刺激により、本発明の外用薬の創傷治癒が促進される。特に、分化細胞に対する伸展刺激は、Ca2+透過性TRPC3/6/7チャネルを介したATP−Ca2+シグナリングを増幅して細胞内Ca2+濃度上昇を引き起こし、その結果生じる細胞内Ca2+恒常性の回復が創傷治癒促進に寄与している。創傷時に相当する低Ca2+濃度細胞外液下での細胞の分化誘導、TRPC6チャネル発現及び活性化作用を有し、かつ紫外線誘発紅斑を抑制するハイパーフォリンが皮膚バリア機能を促進すると考えられる。従って、本発明の皮膚外用剤を皮膚に適用する際、洗顔やマッサージなどを想定した適切な伸展刺激が創傷治癒を促進する。
また、本発明の皮膚外用剤は皮膚バリア機能を有する。皮膚バリア機能とは、ウイルスや細菌・真菌などの微生物への感染防御、紫外線曝露によるDNA傷害の防御、摩擦や接触など物理的外力への拮抗、水や可溶性物質・化学物質などの侵入の防止、皮膚の弾性・可塑性や強さの維持など、主に外から体の中への侵襲に対する障壁としての働きのほか、さらにより重要な役割として体内の水分や血漿、栄養分の体外への漏出を防ぐ機能がある。皮膚のバリア機能は、主に表皮角質層(セラミドに代表される角層間脂質や天然保湿因子)やその表面を覆う皮脂膜が担っている。しかしながら、角質層と皮脂膜を併せても0.02mm程度と極めて薄く傷つきやすく、表皮細胞の損傷に対して日常的な皮膚の防護を施すか、損傷時に速やかな処置及び治療ができるような事前対策を行うことが望ましく、本発明の皮膚外用剤は好適である。
[実施例1]
(I)ハイパーフォリン製剤の調製
上記ハイパーフォリン製剤とは、ハイパーフォリン、安定型のハイパーフォリン塩(例えば、ナトリウム塩、ジシクロヘキシルアンモニウム塩)から調製される、ハイパーフォリンを内包する包接複合体を表す。以下の実施例ではハイパーフォリンジシクロヘキシルアンモニウム塩を用いた。
(1)ハイパーフォリン/HP−β−CD包接複合体(ハイパーフォリン製剤1)の調製
0.5mMハイパーフォリンメタノール溶液(1mL)に、2mMヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HP−β−CD)エタノール溶液(1〜2mL)を加えて(モル比=ハイパーフォリン: HP−β−CD=1:4〜8)、10分間ソニケーションし、室温減圧下で乾燥した。得られたハイパーフォリン/HP−β−CD包接体固体粉末を超純水〔超純水製造装置オートピュアWQ501(ヤマト科学(株)製)で処理された水〕で溶解し、ハイパーフォリン/HP−β−CD包接体水溶液を調製した。超純水の製造には、例えば超純水製造装置PURELAB Ultra Analytic (ELGA社製・英国)も使用することができる。
(2)ハイパーフォリン/SBE−β−CD包接複合体(ハイパーフォリン製剤2)の調製
0.5mMハイパーフォリンメタノール溶液(1mL)に、2mMスルホブチル化−β−シクロデキストリン(SBE−β−CD)エタノール溶液(1〜2mL)を加えて(モル比=ハイパーフォリン:SBE−β−CD=1:4〜8)、10分間ソニケーションし、室温減圧下で乾燥した。得られたハイパーフォリン/SBE−β−CD包接体固体粉末を超純水で溶解し、ハイパーフォリン/SBE−β−CD包接体水溶液を調製した。
(3)シクロデキストリン(CD)包接複合体(包接体)形成時の物性・特性
シクロデキストリン(CD)包接複合体形成時に見られる物性・特性を定量的に評価する際、CDとゲスト分子(ここではハイパーフォリン)の化学量論比が重要なパラメータとなる。化学量論比を決定する方法として代表的なJobの連続変化法(Job, Ann. Chem. 9, 113-203, 1928)は、例えば、ABnの複合体形成する場合、AとBの混合比(1:n)を連続的に変化させて組成比nを決定する方法である。ハイパーフォリン/HP−β−CDにおいて、分光光度計〔分光光度計Gene Spec III(那珂インスツルメンツ(株)製)〕を用いてハイパーフォリンの吸光度を計測し、(ハイパーフォリン)( HP−β−CD)n複合体の生成が最大となるnを求め組成比を決定した。連続変化法による(ハイパーフォリン)( HP−β−CD)n複合体の極大吸収波長λmaxの吸光度の測定値とグラフをそれぞれ表1、図1に示す。生成した(ハイパーフォリン) ( HP−β−CD)n複合体水溶液の吸光度の最も大きくなる値が、組成比n (n=4〜4.5)と考えられる。
一方、既存のハイパーフォリンのシクロデキストリン包接複合体〔具体的には、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、1.8−メチル化−β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン〕では化学量論比が明らかにされていない。このため、上記の(ハイパーフォリン) ( HP−β−CD)n複合体の組成比の値(n=4〜4.5)は、ハイパーフォリン単体だけでなくセイヨウオトギリソウの製剤設計における重要な指標となり、製剤の可溶化、安定化、競合包接などを検討するときの判断基準となっている。
(2)のハイパーフォリン/SBE−β−CD包接複合体(ハイパーフォリン製剤2)についても同様な結果が得られた。
[実施例2]
(II)セイヨウオトギリソウ製剤の調製
上記セイヨウオトギリソウ製剤とは、ハイパーフォリンを含有するセイヨウオトギリソウ植物体或いはセイヨウオトギリソウエキスから調製される、ハイパーフォリンを内包する当該包接複合体を表す。セイヨウオトギリソウ植物体は天然に自生、或いは、栽培されているセイヨウオトギリソウであり、セイヨウオトギリソウエキスとは植物体の抽出物液体、及びその抽出溶媒を留去して得られた乾燥エキス粉末も含まれる。以下の実施例ではセイヨウオトギリソウエキスを用いた。
(1)セイヨウオトギリソウのヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HP−β−CD)包接複合体(セイヨウオトギリソウ製剤1)の調製
1gのセイヨウオトギリソウ乾燥エキスと14gのヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HP−β−CD)を粉体混合した後、エタノールを加えてよく撹拌・ソニケーションし、室温減圧下で乾燥した。
セイヨウオトギリソウ/HP−β−CD包接複合体(SJW/包接複合体)において、(SJW)( HP−β−CD)n複合体の生成が最大となる組成比nを求めた。
(2)セイヨウオトギリソウのスルホブチル化−β−シクロデキストリン(SBE−β−CD)包接複合体(セイヨウオトギリソウ製剤2)の調製
HP−β−CDをSBE−β−CDに変更した以外、上記(1)と同様にして調製した。
(3)セイヨウオトギリソウのシクロデキストリン(CD)包接複合体(包接体)形成時の物性・特性
(I)(1)で用いた分光光度法ではハイパーフォリンの吸光度が他の成分と重なって干渉するため、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)〔例えば、HPLCシステム ポンプ:L-2130、オートサンプラー:L-2200、カラムオーブン:L-2300、検出器:DAD/L-2450・日立ハイテクノロジーズ社製〕を用いてハイパーフォリンの定量分析を行った。測定条件は次の通り〔カラム:TSK-GEL/ODS-100Z(4.6φ×250 mm/粒径5 μm)、測定波長:270 nm、カラム温度:25℃、流速:1.6 mL/min、注入量:40 μL、測定時間:60 min、移動相:アセトニトリル/水/メタノール/トリフルオロ酢酸(72:18:10:0.5)〕。(SJW)(HP−β−CD)n複合体の生成が最大となる組成比(n=14〜17)を導き決定した。HPLCを用いた連続変化法による(SJW)( HP−β−CD)n複合体の組成に含まれるハイパーフォリンをArea(面積)値で示した測定値とグラフをそれぞれ表2、図2に示す。
(2)のセイヨウオトギリソウのスルホブチル化−β−シクロデキストリン(SBE−β−CD)包接複合体(セイヨウオトギリソウ製剤2)についても同様な結果が得られた。
[実施例3]
[セイヨウオトギリソウ/HP−β−CD包接複合体の光安定性]
ハイパーフォリンは特に光に対する影響を受けやすいことが知られており、セイヨウオトギリソウ/HP−β−CD包接複合体(SJW/ HP−β−CD)の光安定性を調べるため、セイヨウオトギリソウ乾燥エキス原末(SJW)との比較試験を行った。試料として、0.5w/v%セイヨウオトギリソウを含む水溶液(セイヨウオトギリソウ乾燥エキス原末(SJW)、セイヨウオトギリソウ/HP−β−CD包接複合体(SJW/HP−β−CD)を調製し、LEDランプ〔LED電球EVERLEDS(ワット数:6W、全光束:480lm、色温度:6700K)、パナソニック社製〕を14cmの距離に設置された試料へ連続照射し、水溶液試料中のハイパーフォリン濃度の経時変化を実施例2と同様にしてHPLCで分析した。
図3から明らかように、セイヨウオトギリソウ乾燥エキス原末(SJW)水溶液では、LED照射後30分でハイパーフォリン濃度は半減し、150分でほぼ検出下限に近付いた。同LED照射条件下においてセイヨウオトギリソウ/HP−β−CD包接体(SJW/ HP−β−CD)は150分で半減したことから、光分解の半減期は原末にくらべ約5倍長くなった。表3には光分解半減期についてまとめた。
[実施例4]
[セイヨウオトギリソウ包接複合体の水分散性及び熱安定性]
0.5w/v%セイヨウオトギリソウを含む試料水溶液(セイヨウオトギリソウ乾燥エキス原末(SJW)、セイヨウオトギリソウ/HP−β−CD包接体(SJW/ HP−β−CD)、セイヨウオトギリソウ/SBE−β−CD包接体(SJW/SBE−β−CD)を調製し、水分散性を目視で確認した。また、25℃或いは40℃で96時間放置した時の外観を上部へのクリーミング及び底部への沈殿について経時観察し、分散の長期安定性を評価した。セイヨウオトギリソウ乾燥エキス原末(SJW)は超音波処理によって容易に分散するが、数十分で粗大粒子の沈殿が生じる。セイヨウオトギリソウ/HP−β−CD包接体(SJW/ HP−β−CD)はクリーミングや沈殿など外観変化は小さく、超音波処理や撹拌によって均質分散溶液に戻る小規模の自由沈降が認められるものの、優れた分散特性と希釈安定性を有する。また、セイヨウオトギリソウ/SBE−β−CD包接体(SJW/SBE−β−CD)では、セイヨウオトギリソウ/HP−β−CD包接体(SJW/ HP−β−CD)に比べて包接・溶解が十分できていないセイヨウオトギリソウ乾燥エキス原末(SJW)微粒子の沈殿が若干あるものの、自由沈降の範囲内と考えられる。さらに、25℃、40℃いずれの場合も96時間後の水溶液試料中のハイパーフォリン濃度を実施例2(2)と同様にしてHPLCで分析したところ、分解はほとんど起きていないことが確認された。
以上から、分散特性と希釈安定性は、
SJW/ HP−β−CD > SJW/SBE−β−CD >> SJW
であると認められた。
[実施例5]
[セイヨウオトギリソウ包接複合体のSEM観察]
粉末製剤の表面観察はSEM走査電子顕微鏡(S-800、(株)日立製作所製)によって行った。粉末試料を導電性両面テープに付着させ、オスミウム・プラズマコータ(NL-OPC80NS・日本レーザー電子(株)製)を用いて四酸化オスミウムの結晶の昇華ガスを反応器に導入し、ガス反応器内で印加して直流グロー放電を発生させ、試料表面をオスミウムコーティング膜(膜厚30nm)で導電化した。SEM画像は印加電圧10kV、500倍で撮影した。セイヨウオトギリソウ乾燥エキス原末(SJW)は粗大粒子を含んでいるが、セイヨウオトギリソウ/HP−β−CD(SJW/HP−β−CD)包接体の粒子は微細で均一な形状をしており、セイヨウオトギリソウ/SBE−β−CD(SJW/SBE−β−CD)包接体は不定形の粒子で粗大粒子が残存している。その画像を図4に示す。
[実施例6]
[セイヨウオトギリソウ包接複合体の粒子径測定]
水分散後の平均粒径及び粒度分布は動的光散乱法(光子相関法)によって測定〔ゼータ電位・粒径測定システムELSZ-2(大塚電子(株)製)、DelsaNano C(ベックマン・コールター社製)〕した。サンプルの7.5%超純水溶液を少し濁りが残る程度まで適宜希釈して測定に供した。粒径セルユニットを用いて、温度25℃、散乱角度165°において散乱光の揺らぎを測定し、自己相関関数を算出した。平均粒径(流体力学的径)はキュムラント法解析、粒度分布は散乱強度分布のCONTIN法あるいはMARQUARDT法解析によってそれぞれ算出した。表4、5に示す。表中のd50(メディアン径)は粉体の累積粒度分布をある粒子径から2つに分けたとき、大きい側と小さい側が等量(累積度数50%)となる径のことで、d10は小さい側が累積度数10%の量となる径、d90は累積度数90%の量となる径を表す。
[実施例7]
[セイヨウオトギリソウ包接複合体のゼータ電位]
ゼータ電位値は分散された微粒子の分散安定性の指標として利用され、微粒子の場合一般に、ゼータ電位の絶対値が増加すれば、粒子間の反発力が強くなり粒子の安定性は高くなる。ゼータ電位はフローセルユニットを用いてレーザードップラー検出電気泳動法で測定〔ゼータ電位・粒径測定システムELSZ-2(大塚電子(株)製)、DelsaNano C(ベックマン・コールター社製)〕した。サンプル試料の7.5%超純水溶液を少し濁りが残る程度まで希釈して測定に供した。ドップラーシフト量を測定し、電気泳動移動度からSmoluchowskiの式によってゼータ電位を算出した。セイヨウオトギリソウ乾燥エキスの水分散液のゼータ電位は−11±0.2 (mV)(HatanakaらDrug Metab. Pharmacokinet. 26, 551-558, 2011)であることから、セイヨウオトギリソウ/HP−β−CD(SJW/HP−β−CD)包接体は−15.3(mV)、セイヨウオトギリソウ/SBE−β−CD(SJW/SBE−β−CD)包接体は−31.6 (mV)といずれもやや負電荷を帯びており、包接体形成によって分散安定性は適切に向上している。表6に示す。
実施例1〜実施例7で行われた、ハイパーフォリンを含むセイヨウオトギリソウのシクロデキストリン包接体の製剤調製、その製剤特性の分析(粉末および水溶液の形状観察、分散安定性、光安定性)を評価した結果を表7にまとめて示す。
セイヨウオトギリソウのような植物抽出物は多様な成分の混合物であるため、溶液中で化学的安定性に乏しい成分は分解や変質が起こるが、シクロデキストリン包接体水溶液の高い安定性結果から効率的な製剤化を十分に達成することができた。
一方、ハイパーフォリンのシクロデキストリン包接体水溶液は、0.80μmフィルターでのろ過前後でハイパーフォリン含有濃度にほとんど変化がないことから、暗冷所で2週間以上サブミクロンサイズの微細粒子状態のまま極めて安定であることが分かった。
[実施例8]
[経皮水分蒸散量測定によるバリア機能回復促進効果]
正常皮膚でも角層をテープストリッピングして、剥離していくと、角層のバリア機能は低下してTEWL(経皮水分蒸散量)が増加し、水分含有量の高い角層が現れる。その後、TEWLの測定を繰り返すと、TEWLは通常、ストリッピング直後から減少しはじめ、数時間でストリッピング前の値に回復する。この現象を、バリア回復とよんでおり、皮膚にはバリア回復能があるということができる。TEWLのテープストリッピング前、テープストリッピング直後、一定時間後の三つの値を用いて算出されるバリア回復率がバリア回復の指標である(化粧品事典 日本化粧品技術者会編, 丸善出版, 2003)。
皮膚バリア機能の促進における本発明の皮膚外用剤の効果は、表8に示す処方の通り0.1%ヒアルロン酸ナトリウム水溶液を基剤とした組成物として皮膚へ塗布し、経皮水分蒸散量(TEWL)測定装置〔Tewameter(登録商標)TM300(Courage+Khazaka社製・ドイツ国)〕 を用いて、健常なヒト被験者で測定試験を実施した。
定温(23〜25℃)、湿度30〜50%の測定条件下、測定の15分前に前腕を弱酸性薬用石鹸〔ソープNA((株)アンファティ総合研究所製)〕で洗浄し、柔らかいタオル〔コンフォートサービスタオル(日本製紙クレシア(株)製)〕で軽く押さえて水分を拭き取り、測定室内で着席し自然乾燥した。ボランティアの被験者(n=10)の前腕屈側部の肘から3分の1の部位を中心とし、掌側・肘側に約2.5 cmずつずらして2.5 cm四方の3部位を作成し、トランスポア(登録商標)サージカルテープ(3Mヘルスケア(株)製)を被験部位に貼付し、TEWL値が50〜60 (g/h/m2)になるまでテープを均一スピードではがすテープストリッピング操作を繰り返した。角層の剥離により細胞間脂質も取り除かれ、即ち皮膚バリア層が除去された水分蒸散量の最も高い肌荒れ状態を0時間としてTEWL値を測定し、部位差がないことを確認した。被験者にはブラインドテスト(盲検法)として、1部位はuntreated(無処置部)、他の1部位には基剤の0.1%ヒアルロン酸ナトリウム水溶液を塗布したvehicle(基剤処置部)、残りの1部位にはハイパーフォリン皮膚外用剤を塗布したtreated(処置部)とした。24時間後に被験部位を同様に洗浄、乾燥後、TEWL値を測定し、2回目のブラインドテスト処置を施して24時間後に再度TEWL値を測定した。その結果から、ハイパーフォリン外用剤は、untreated、vehicleよりも早く、肌荒れ部位のバリア機能の回復を促進させることが確認された。
図5にボックスプロット(箱ひげ図)を用いて解析を行った結果を示す。箱ひげ図は中心線のある垂直方向の四角形の箱とその上限及び下限からのびる線(ひげ)で表示され、データは四分位範囲(25%)ずつに分割して最小値(ひげの下限)、第一四分位(箱の下限)、中央値(箱の中心線)、第三四分位(箱の上限)、最大値(ひげの上限)の5つの要素と、平均値(■)でデータの分布を可視化された。箱の長さの2倍の点を極度の外れ値(+)とした。平均回復率(%)を表9に示す(有意差P < 0.001、nsは有意差なしを意味する)。これより、本発明のハイパーフォリン皮膚外用剤(処置部)は、無処置部、基剤処置部よりも早く肌荒れ部位のバリア機能の回復に優れていることがわかる。

Claims (11)

  1. ハイパーフォリン及び/又はその誘導体と、それを担持したシクロデキストリンとを含む包接複合体を含有する皮膚外用剤。
  2. さらに、溶媒として水を含む請求項1に記載の皮膚外用剤。
  3. シクロデキストリンが、置換基としてヒドロキシプロピル基又はスルホブチル基を有する請求項1又は2に記載の皮膚外用剤。
  4. シクロデキストリンが、β−シクロデキストリンである請求項1〜3のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
  5. シクロデキストリンがヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン又はスルホブチル化−β−シクロデキストリンである請求項1〜4のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
  6. 皮膚の創傷の治癒を促進し、及び/又は皮膚バリア機能を正常化する請求項1〜5のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
  7. ハイパーフォリン及び/又はその誘導体が、ハイパーフォリン、ハイパーフォリン塩、アドハイパーフォリン塩又は
    下記式
    [式中、Rは、メチル又はエチルであり、R2は、水素、医薬的に許容される無機もしくは有機塩基カチオン、又は直鎖もしくは分岐鎖状のC2〜C5アシル基であり、かつ
    1が3−メチル−ブタ−1−イルであり、かつオキソ基が1位及び10位に存在する;
    1が3−メチル−2−ブテン−1−イルであり、かつヒドロキシ基が1位及び10位に存在する;
    1が3−メチル−ブタ−1−イルであり、かつヒドロキシ基が1位及び10位に存在する、のいずれかである]のハイパーフォリン及びアドハイパーフォリン誘導体である請求項1〜6のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
  8. ハイパーフォリン及び/又はその誘導体を0.001質量%以上含む請求項1〜7のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
  9. 包接複合体全体100質量%に対して、10〜99質量%のシクロデキストリンを含有する請求項1〜8のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
  10. ハイパーフォリン及び/又はその誘導体と、それを担持したヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン或いはスルホブチル化−β−シクロデキストリンとを含有する包接複合体を含む組成物。
  11. さらに水を含む請求項10に記載の組成物。
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