JP2014091329A - 金型構造、転写成形装置、及び、転写成形方法 - Google Patents

金型構造、転写成形装置、及び、転写成形方法 Download PDF

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Abstract

【課題】転写部材を簡単かつ迅速に交換できるようにする。
【解決手段】第1金型9と、第1金型9に対して相対的に接離可能な第2金型10と、金型の少なくともいずれか一方に設けられる加熱手段15、22と、金型の少なくともいずれか一方に設けられ、金型に対して相対的に分離移動可能であり、金型間に供給される樹脂製シート25に転写面を当接させて転写成形を行う転写部材14、20と、金型と転写部材14、20を相対的に移動可能とする機構とを備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、金型構造、転写成形装置、及び、転写成形方法に関するものである。
従来、転写成形装置として、転写板により樹脂フィルムを加熱・加圧して微細な凹凸パターンを転写成形するようにしたものが公知である(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、前記従来の転写成形装置では、転写板が金型に一体化された構成となっている。このため、転写板が損傷する等により交換する必要が生じた場合には、開閉する金型の領域内で作業を行わなければならない。また、成形作業の途中であれば、金型が高温となっているので、作業者が火傷する恐れもある。つまり、転写板を交換する際の作業性が悪いという問題がある。
また、転写板が金型に一体化されているため、これら全体を加熱及び冷却しなければならない。つまり、熱交換効率が悪いという問題がある。
特開2004−126922号公報
本発明が解決しようとする課題は、転写部材を簡単かつ迅速に交換でき、熱交換効率に優れたものとすることである。
本発明は、前記課題を解決するための手段として、
金型構造を、
第1金型と、
前記第1金型に対して相対的に接離可能な第2金型と、
前記金型の少なくともいずれか一方に設けられる加熱手段と、
前記金型の少なくともいずれか一方に設けられ、前記金型に対して相対的に分離移動可能であり、前記金型間に供給される樹脂製シートに転写面を当接させて転写成形を行う転写部材と、
前記金型と前記転写部材を相対的に移動可能とする機構と、
を備えたものである。
この構成により、微細な加工が施される転写部材のみを金型に対して相対的に分離移動させることができる。したがって、転写部材の交換作業を分離移動させた位置で容易に行うことが可能となる。
また、本発明は、前記課題を解決するための手段として、
転写成形装置を、前記金型構造を備えた構成としたものである。
前記転写部材を、前記樹脂製シートとの当接状態を維持し、かつ、前記金型から分離移動した状態で、冷却可能な冷却手段を、さらに備えるのが好ましい。
この構成により、転写部材の転写面を樹脂製シートに転写成形し、金型から分離移動させ、冷却手段によって転写部材を介して樹脂製シートを冷却することができる。したがって、樹脂製シートを金型からの熱影響を受けることなく短時間で効果的に冷却することが可能となる。
前記冷却手段は、少なくとも非転写成形時、非転写領域に位置するのが好ましい。
この構成により、冷却手段と金型との間で互いに熱影響を及ぼし合うことがない。特に、非転写成形時に冷却手段によって金型が冷却されることがないので、次の転写成形をスムーズに開始させることができる。
前記冷却手段は、前記金型から分離移動した転写部材の転写面とは反対側の面に空気を供給可能な給気手段で構成すればよい。
この構成により、転写部材に空気を供給するだけの簡単な構成で樹脂製シートを冷却することができる。また、転写部材は金型から分離しているので、給気手段から供給される空気によって金型が冷却されることもない。したがって、金型全体を冷却する場合に比べて次の転写成形をスムーズに開始させることができる。
前記冷却手段は、前記金型から分離移動した転写部材の転写面とは反対側の面に接触可能な冷却部材で構成すればよい。
この構成により、転写部材に直接接触させた冷却部材によって樹脂製シートをより一層効果的に冷却することができる。なお、冷却部材には、水冷式等、種々の構成を採用することができる。
前記冷却部材は、ガラス転移温度以下であるのが好ましい。
前記冷却部材は、一方の面を転写部材の転写面とは反対側の面に接触させ、他方の面に断熱部材を備えるのが好ましい。
この構成により、断熱部材が冷却部材の樹脂製シート以外からの吸熱を抑制する。つまり、転写部材を介して樹脂製シートを効果的に冷却することができる。したがって、樹脂製シートの冷却工程に要する時間を短縮し、転写成形のサイクル時間を短くすることが可能となる。
前記樹脂製フィルムを挟んで前記冷却部材とは反対側に位置する金型は、加熱手段と、前記樹脂製フィルムと前記加熱手段との間に位置する断熱部材と、を備えるのが好ましい。
この構成により、断熱部材が金型から冷却部材への放熱量を抑制する。つまり、冷却部材の存在に拘わらず、金型が必要以上に冷却されることがなく、次の転写成形へとスムーズに移行することができる。
前記冷却部材は、前記金型の接離方向に対して交差する方向に移動可能に設けるのが好ましい。
この構成により、樹脂製シートを冷却しないときには、冷却部材を金型を冷却することのない退避位置に移動させておくことができる。
前記転写部材を、樹脂製シートの両面側に各金型に対して相対的に分離移動可能にそれぞれ設け、
前記冷却手段を、分離移動した各転写部材の転写面とは反対側の面をそれぞれ冷却可能な2部材で構成し、
前記両金型の温度を略同一とするのが好ましい。
この構成により、樹脂製シートの両面を均等に冷却することができる。したがって、樹脂製シートに冷却に伴い熱変形が偏ることがなく、良好な状態で硬化させることができる。
前記金型の少なくともいずれか一方を、前記金型の接離方向に対して交差する方向に往復移動可能に設けるのが好ましい。
この構成により、樹脂製シートの冷却、転写部材の交換等を、側方に移動させた位置で行うことができ、作業性を向上させることが可能となる。
前記冷却手段を、転写部材の転写面とは反対側の面を冷却する1部材で構成し、
前記冷却手段によって冷却される側に配置される金型の温度を、反対側の金型の温度よりも高く設定するのが好ましい。
この構成により、樹脂製シートの搬送ラインを温度の低い金型近傍に設定することができる。この結果、金型をコンパクトな構成とすることが可能となる。
また、本発明は、前記課題を解決するための手段として、
転写成形方法を、
対向して配置した第1金型と第2金型の間に樹脂製シートを挿入する挿入工程と、
前記両金型間に、少なくともいずれか一方の面に転写部材の転写面を当接させた状態で樹脂製シートを挟持する挟持工程と、
前記金型の少なくともいずれか一方を加熱することにより、前記樹脂製シートに転写成形する転写成形工程と、
前記金型を開放した後、前記金型から前記転写部材を分離移動させる開放工程と、
前記金型から分離移動した転写部材を冷却する冷却工程と、
で行うものである。
前記冷却工程は、前記転写部材の転写面とは反対側の面に空気を供給することにより行うようにすればよい。
前記冷却工程は、前記転写部材の転写面とは反対側の面に冷却部材を接触させることにより行うようにしてもよい。
本発明によれば、転写部材のみを金型から分離移動可能としたので、その交換作業を容易に行うことができる。
第1実施形態に係る導光板形成装置を示す概略正面図である。 図1の転写成形装置の概略を示す部分分解斜視図である。 (a)は図2の上型用転写プレートの部分平面図、(b)は図2の金型部分の部分断面概略図、(c)はその部分拡大図である。 (a)は半製品プレートと第1及び第2切削用工具との関係を示す説明図、(b)及び(c)は半製品プレートと第1切削用工具との関係を示す説明図である。 (a)は第1実施形態に係る導光板での照明状態を示す写真、(b)は従来の導光板での照明状態を示す写真、(c)は(a)、(b)の透過光量を示すグラフである。 第2実施形態に係る導光板形成装置を示す概略斜視図である。 図6の転写成形装置での各プレートの動作を示す説明図である。 (a)は樹脂製シートの温度変化に伴う樹脂製シート25の弾性率の変化を示すグラフ、(b)は樹脂製シートの温度変化に伴うその残留応力の変化を示すグラフである。 図6の転写成形装置の金型に於ける温度と加圧力の関係を示すグラフである。 第3実施形態に係る転写成形装置での各プレートの動作を示す説明図である。 第3実施形態に係る転写成形装置での各プレートの動作を示す説明図である。 他の実施形態に係る樹脂製シートへの厚肉部の形成方法を示す概略説明図である。 他の実施形態に係る樹脂製シートへの厚肉部の形成方法を示す概略説明図である。 他の実施形態に係る樹脂製シートへの厚肉部の形成方法を示す概略説明図である。 他の実施形態に係る転写プレート及び樹脂製シートの部分概略断面図である。 第1実施形態に係る導光板を採用した液晶表示装置の断面図である。 他の実施形態に係る導光板を採用した面光源装置の斜視図である。
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「側」、「端」を含む用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が限定されるものではない。また、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。
(第1実施形態)
(構成)
図1は、第1実施形態に係る導光板形成装置の概略を示す。この導光板形成装置は、材料供給装置1、転写成形装置2、フィルム貼着装置3、裁断装置4、外形加工装置5を備える。
材料供給装置1は、メインローラ6に巻回した樹脂製シート25を巻き戻し、転写成形装置2へと供給する。途中複数のローラ7が配置され、2つ目のローラ7の直後で、樹脂製シート25に貼着した保護シートを剥がされて巻取ローラ8に巻き取られる。ここでは、樹脂製シート25には、ポリカーボネート(融点=約240℃,ガラス転移温度=約150℃)が使用されている。
図2に示すように、転写成形装置2は、下型9及び上型10を備える。
下型9は、下型用支持プレート11の上面に、下型用中間プレート12、下型用断熱プレート13、下型用転写プレート14をこの順で配置したものである。
下型用支持プレート11は、ステンレス鋼(SUS)を平面視矩形状の板状に形成したものである。下型用支持プレート11の両側面間には複数の貫通孔が形成され、ヒータ15及び熱電対(図示せず)が挿入されている。ヒータ15に通電することにより、この下型用支持プレート11を加熱し、下型用中間プレート12及び下型用断熱プレート13を介して下型用転写プレート14を昇温できるようになっている。ここでは、ヒータ15への通電による下型用支持プレート11の加熱温度を約180℃に抑えている。
下型用中間プレート12は、前記下型用支持プレート11と同様に、ステンレス鋼(SUS)を平面視矩形状の板状に形成したものである。
下型用断熱プレート13は、ポリイミド等の樹脂材料からなる断熱シート13aを複数枚積層一体化したものである(図2では、上下方向に分解した状態で図示)。断熱シートの積層枚数の違いにより断熱性能を調整することができる。ここでは、下型用断熱プレート13を5枚の断熱シートで構成することにより、下型用支持プレート11の加熱温度が約180℃であるのに対し、下型用転写プレート14での温度が約150℃となるようにしている。これにより、下型用支持プレート11からの熱影響を受けて樹脂製シート25が変形することを防止することができる。したがって、樹脂製シート25の搬送ラインを下型9の近傍とし、金型開放時の距離を大きくする必要がなくなるため、転写成形装置2を小型化することができる。また、下型用断熱プレート13は、金型を閉じて樹脂製シート25を加熱する際、上型10からの熱が下型側へと逃げるのを防止する役割をも果たす。さらに、下型用断熱プレート13は、樹脂製シート25を冷却する際、下型用支持プレート11まで冷却されるのを防止する役割をも果たす。
下型用転写プレート14は、ニッケルクロム合金を平面視矩形の板状としたものである。下型用転写プレート14の上面には、サブミクロンオーダの深さを有する複数の半球面状の窪みをx軸方向及びy軸方向に任意の間隔で有する転写面が形成されている。これにより、転写先である樹脂製シート25の下面に複数の半球状の突起を形成することができる。これら突起を形成された面は反射面となり、光源からの光を上面側へと反射させ、上面から出射させる働きをする。なお、前記窪みは、半球面状に限らず、円錐状等、種々の凹状とすることができる。また、凹状ではなく凸状とすることも可能である。
前記下型9は、図示しないサーボモータ等の駆動手段によって水平面をx軸方向及びy軸方向に移動可能となっている。また、移動量はマイクロメータ16によって検出され、その検出結果に基づいて水平面内でのx軸方向及びy軸方向の位置を微調整可能となっている。なお、下型の移動は手動により行うようにしてもよい。
上型10は、上型用支持プレート17の下面に、上型用中間プレート18、上型用断熱プレート19、及び、上型用転写プレート20を保持する保持プレート21をこの順で配置したものである。
上型用支持プレート17は、前記下型用支持プレート11と同様に、ステンレス鋼(SUS)を平面視矩形状の板状に形成したものである。上型用支持プレート17の両側面間には複数の貫通孔が形成され、ヒータ22及び熱電対(図示せず)が挿入されている。ヒータ22に通電することにより、上型用支持プレート17を約280℃まで昇温可能となっている。
上型用中間プレート18は、前記上型用支持プレート17と同様に、ステンレス鋼(SUS)を平面視矩形状の板状に形成したものである。
上型用断熱プレート19は、前記下型用断熱プレート13と同様に、ポリイミド等の樹脂材料からなる複数枚の断熱シート19aを積層したものである。ここでは、上型用断熱プレート19を2枚の断熱シートで構成し、上型用転写プレート20での温度が約240℃となるようにしている。これにより、樹脂製シート25を上型10と下型9とで挟持した際、樹脂製シート25を十分に溶融することができる。
上型用転写プレート20は、前記下型用転写プレート14と同様に、ニッケルクロム合金を平面視矩形の板状としたものである。図3に示すように、上型用転写プレート20の下面には、幅方向に延びる凹所23が形成されている。図3(c)に示すように、凹所23は、垂直面23a、底面23b、傾斜面23c及び両端面(図示せず)で囲まれた空間である。傾斜面23cには、幅方向に円弧状領域24が複数並設されている。各円弧状領域24では、径方向に延びる断面略三角形をした複数本の突条部(図示せず)が周方向に並設されている。
凹所23には、溶融した樹脂製シート25の一部が流入して厚肉部26が形成されるようになっている。ここに、樹脂製シート25とは、フィルム状の非常に薄いものから、本実施形態で使用する0.2〜0.3mm、あるいはそれ以上の厚みを有するものが含まれる。厚肉部26の高さ寸法はサブミリオーダであり、ここでは0.2mmである。傾斜面に形成される突条部の突出寸法(表面粗さ)は、サブミクロンオーダであり、ここでは0.2μmである。これら突条部が形成された領域が転写面であり、厚肉部26の端面側に配置される複数の光源からの光を屈曲させて傾斜面からの漏出を抑制する。
上型用転写プレート20の下面には、前記凹所23から側面まで連通する複数の溝部27が形成されている。各溝部27は、凹所23が延びる幅方向(y軸方向)に対して直交する方向(x軸方向)に形成するのが好ましい。これにより、溝部27の長さを最も短くすることができる。また、各溝部27は、円弧状領域24の間の位置に形成されている。これは、円弧状領域24の間の領域で溶融樹脂の流速が最も遅くなり、気泡が残留しやすいことを考慮したものである。これにより、凹所23から気泡を効果的に排出することが可能となる。また、各溝部27の深さ寸法は、凹所23の深さ寸法以上とすればよく、ここでは同一深さに設定されている。また、各溝部27の幅寸法は、凹所23内に流入した溶融状態の樹脂(樹脂製シート25)の流出量を必要最小限に抑えつつ、凹所23内に気泡が残留しない値に設定されている。
このように、凹所23から外部に連続する溝部27を、円弧状領域24の間に形成することにより、凹所23内の空気を溶融樹脂が流入する際にスムーズに外部へと導くことができる。しかも、凹所23内に流入した樹脂の一部が溝部27にも流出する。さらに、溝部27の深さ寸法が凹所23の深さ寸法以上であるので、凹所23から溝部27に至る領域で空気が残留することもない(溝部27の深さ寸法が凹所23の深さ寸法よりも小さければ角部が形成され、その角部に空気が残留する恐れがある。)。したがって、凹所23内に空気が残留することがなく、厚肉部26にボイドが発生することもない。また、凹所23内に空気が残留したとしても僅かであるので、樹脂に焼けが発生することもない。その上、加圧力によって溶融樹脂中にボイドを発生させることなく溶け込ませることができる。
図2に示すように、保持プレート21は、ステンレス鋼(SUS)を矩形枠状に形成したもので、中央に開口部28が形成されている。保持プレート21は、その下面に上型用転写プレート20を保持し、この上型転写プレートを開口部28から上方に露出させる。開口部28から露出する上型用転写プレート20の上面には、軟X線照射装置29によって軟X線が照射される。これにより、樹脂製シート25は除電され、静電引力により周囲の埃等が付着することが防止される。保持プレート21の両側部にはロッド30が連結され、図示しないシリンダ等の駆動手段を駆動することにより上型全体の昇降とは別に昇降可能となっている。
上型全体の昇降は、上型用支持プレート17の上面側に配置したプレス装置31によって行われる。プレス装置31には、エア供給装置32から空気が供給及び排出され、図示しないロッド30が昇降することにより上型用支持プレート17を介して上型全体を昇降させる。
前記上型10と前記下型9の間では、前記材料供給装置1によって供給される樹脂製シート25が搬送される。樹脂製シート25の搬送経路の途中には、金型の入口側と出口側に、金型に近い方から順に、樹脂製シート25の下面を支持する支持ローラ33と、上下から挟持する位置決め用グリッパ34とがそれぞれ昇降可能に配置されている。また、搬送経路の下流側には、搬送用グリッパ35が配置されている。搬送用グリッパ35は、位置決め用グリッパ34と同様に樹脂製シート25を上下から挟持し、図示しない駆動手段によって搬送経路に沿って往復移動する。位置決め用グリッパ34を開放した状態で、搬送用グリッパ35で樹脂製シート25を挟持して搬送経路の下流側に移動することにより樹脂製シート25を搬送することができるようになっている。これら支持ローラ33及び各グリッパの動作については後述する。
また、金型の上流側上方には給気ダクト36が配置され、下流側上方には排気ダクト37が配置されている。給気ダクト36からは、図示しないコンプレッサ等によって供給された空気が吹き出され、上型10と下型9の間に位置する樹脂製シート25に斜め上方から吹き付けられる。排気ダクト37は、図示しないコンプレッサ等によって吸気されており、給気ダクト36から樹脂製シート25へと吹き付けられた空気を回収する。給気ダクト36から供給される空気は清浄されたものであり、給気ダクト36から排気ダクト37に掛けて形成される空気流れは、樹脂製シート25を冷却するだけでなく、いわゆる空気バリアを形成し、樹脂製シート25の表面に埃等が付着するのを防止する。また、前述の軟X線の照射によって樹脂製シート25が除電されているので、静電引力により埃等が付着することもない。
図1に示すように、金型の上流側には、樹脂製シート25の上下面に接触する粘着ローラ38がそれぞれ配置されている。粘着ローラ38は回転することにより、樹脂製シート25を搬送しつつ、その表面に付着した埃等を除去する。
フィルム貼着装置3は、転写成形後の樹脂製シート25の上下面に保護フィルム39を貼着する。保護フィルム39により樹脂製シート25が他の部材に衝突して損傷したり、表面に埃等が付着したりすることが防止される。
裁断装置4は、転写成形された樹脂製シート25を短冊状に切断するためのものである。裁断装置4で切断された樹脂製シート25は、図示しない打抜装置で周囲4辺を切断されて、半製品プレート46となる。半製品プレート46では、厚肉部26とその反対側の端面に除去すべき削り代が残されている。
外形加工装置5は、半製品プレート46の両端面(厚肉部26とその反対側の側面)を切削するための切削部材41を備える。切削部材41は、図4(a)に示すように、第1切削工具48aと第2切削工具48bとを有する。各切削工具48a、48bは、図示しない駆動手段によって回転駆動する。第1切削工具48aは、円柱状で、その外周面には回転軸を中心とする点対称の位置に切刃49aがそれぞれ形成された荒仕上げ用である。第2切削工具48bは、円盤上で、外周の対称な位置2箇所に切欠を形成され、表面に径方向に延びる切刃49bが形成された鏡面仕上げ用である。なお、切削部材41による具体的な切削方法については後述する。
(動作)
次に、前記構成からなる導光板形成装置の動作について説明する。
(準備工程)
上型10を上昇させて金型を開放し、材料供給装置1から供給した樹脂製シート25の先端部分を搬送用グリッパ35に挟持させる。そして、搬送用グリッパ35を移動させた後、位置決め用グリッパ34で樹脂製シート25を挟持することにより、この樹脂製シート25を上型10と下型9とが対向する領域内に配置する(搬送工程)。
金型は予めヒータ15に通電することにより加熱しておく。前述の通り、断熱プレートをそれぞれ介在させているので、上型10では上型用転写プレート20が約240℃となり、下型9では下型用転写プレート14が約150℃となる。樹脂製シート25が近傍に位置する下型9では、その上面がガラス転移温度程度に抑えられるので、樹脂製シート25が熱影響を受けて下方側に撓んで下型用転写プレート14に接触する等の不具合を発生させることがない(予熱工程)。
(転写成形工程)
ここで、支持ローラ33及び位置決め用グリッパ34を降下させることにより樹脂製シート25を下型9の下型用転写プレート14上に載置する。また、プレス装置31を駆動して上型10を降下させ、上型用転写プレート20の転写面を当接させる。このとき、プレス装置31によって作用させる圧力は小さく抑え、樹脂製シート25を金型間に軽く挟んだ状態とする。これにより、樹脂製シート25は加熱され、その表層部分に含有される水分が除去される(プレヒート工程)。
プレヒート工程の開始から予め設定した時間(第1設定時間)が経過すれば、プレス装置31による加圧力を増大させる。前述の通り、樹脂製シート25には、ポリカーボネート(融点=約250℃,ガラス転移温度=約150℃)が使用されている。上型用転写プレート20が240℃に昇温しているため、樹脂製シート25は融点を超え、溶融状態となる。下型9では、下型用転写プレート14の温度が180℃であるものの、下型用断熱プレート13が配置されているため、下型側から熱が逃げることはない。このため、樹脂製シート25の金型に挟持された領域の全体が融点を超えて溶融状態となる(加熱・加圧工程)。
上型10からはプレス装置31による加圧力が作用している。これにより、樹脂製シート25の金型に挟持された部分での厚みが薄くなり、その一部(上面部)が上型用転写プレート20に形成した凹所23内へと流入する。凹所23内へと溶融樹脂が流入すると、凹所23内の空気は溝部27を介して外部へと排出される。そして、凹所23内が完全に溶融樹脂で満たされ、その一部が溝部27へと流出する。溝部27の深さは凹所23の深さ以上(ここでは、同一)に形成されている。このため、凹所23内に空気が残留することはなく、スムーズに外部へと排出される。また、凹所23内で空気が圧縮されることがないため、焼け等の問題も発生しない。さらに、たとえ凹所23内に微小量の空気が残留したとしても、十分な加圧力が作用しているため、溶融樹脂内にボイドを発生させることなく溶け込ませることができる。
加熱加圧工程の開始から予め設定した時間(第2設定時間)が経過すれば、上型10を上昇させる。但し、シリンダを駆動することにより上型用転写プレート20は樹脂製シート25に当接したままとする。ここで、給気ダクト36を介して上型用転写プレート20上に空気を供給する。加熱された上型用支持プレート17は樹脂製シート25から遠く離れ、上型用転写プレート20には、給気ダクト36から空気が吹き付けられる。つまり、上型用転写プレート20のみを介して樹脂製シート25を冷却することができる。したがって、樹脂製シート25の冷却に、上型用支持プレート17からの熱影響を受けることがないため、短時間で効果的に行うことができる。すなわち、樹脂製シート25に使用するポリカーボネートのガラス転移温度である150℃以下まで短時間で冷却することができる。この場合、上型用支持プレート17及び上型用中間プレート18が冷却されることがないので、エネルギーロスが少なく、次の転写成形工程を短時間でスムーズに開始させることができる(冷却工程)。
冷却工程の開始から予め設定した時間(第3設定時間)が経過すれば、すなわち、冷却により溶融樹脂が固化して形状が安定すれば、上型用転写プレート20を上昇させ、成形部分から離型させる。また、支持ローラ33を上昇させ、成形部分を下型用転写プレート14からも離型させる。これにより、樹脂製シート25の上面には、高さがサブミリオーダの、すなわち0.2mmの厚肉部26が形成される。そして、厚肉部26の傾斜面には、サブミクロンオーダの、すなわち14μmの鋸歯状をした複数の突条部が形成される。一方、樹脂製シート25の下面には、x軸方向及びy軸方向に一定間隔で複数の半円状の突起が形成される(離型工程)。
従来、樹脂製シート25に転写成形によりサブミクロンオーダの突起等を形成することはできたが、同時にサブミリオーダの厚肉部26を形成することは不可能であった。前記金型構造を有する転写成形装置2を使用することにより、樹脂製シート25にサブミクロンオーダの突起等と、サブミリオーダの厚肉部26とを同時に形成することが可能となった。また、前記転写成形では、金型間に挟持した樹脂製シート25の全体を溶融させているので、後に硬化して得られた半製品プレート46には内部応力が残留しない。したがって、厚肉部26の端面側に複数のLEDを配置し、光を透過させた際に、偏り等を無くして厚肉部26を除く上面全体を均等に照らすことができる。
(フィルム貼着工程)
転写成形装置2で転写成形された樹脂製シート25を、さらに下流側へと搬送し、フィルム貼着装置3にて上下面に保護フィルム39を貼着する。保護フィルム39は、半製品プレート46が他の部材に衝突する等により傷が付いたりして損傷するのを防止し、かつ、周囲の埃等が付着して不具合を発生させるのを防止する。保護フィルム39は、半製品プレート46が後の加工を経て導光板となった後、液晶パネルを組み付ける際に剥がされる。
(裁断工程)
両面に保護フィルム39を貼着された樹脂製シート25を、さらに下流側へと搬送し、裁断装置4にて搬送方向に半製品プレート単位で切断して短冊状とする。半製品プレート46は、厚肉部26とその反対側の端面(切削面)に外形加工工程での削り代を有する。このとき、半製品プレート46の切削面には、後述する第1切削工具48aによる切削方向側の角部にテーパ面46aを形成する。ここでは、テーパ面46aは、切削面に対して約3°の角度を有し、削り代を切削した後にテーパ部分が残るように形成されている。
(外形加工工程)
裁断工程で得られた半製品プレート46を、厚肉部26が交互に反対側に位置するようにして都合8枚積層する。そして、積層状態の半製品プレート46の上下面にダミープレート47をそれぞれ配置する。
続いて、第1切削工具48a、次いで第2切削工具48bにより、半製品プレート46及びダミープレート47の一端面を切削する。
第1切削工具48aは、図4(a)に示すように、半製品プレート46の切削面に対して回転軸が平行になるように配置され、図中時計回り方向に回転しながら外周の切刃で半製品プレート46の端面を切削する。この場合、半製品プレート46は積層され、かつ、ダミープレート47によって挟持されている。したがって、切削時にばたつき等が発生せず、スムーズに切削することができる。また、半製品プレート46には、第1切削工具48aによる切削方向側の角部にテーパ面46aが形成されている。しかも、このテーパ面46aは、半製品プレート46の切削面の削り代を超える範囲である。したがって、半製品プレート46の角部に第1切削工具48aによるバリが形成されることはない。
第2切削工具48bは、図4(b)に示すように、半製品プレート46の切削面に対して回転軸が垂直になるように配置され、その表面の切刃で切削面を鏡面仕上げする。切刃は、積層された半製品プレート46の切削面を回転しながら切削する。したがって、上下両面にダミープレート47が配置されていなければ、両側に位置する半製品プレート46の上下縁にバリが発生する恐れがある。しかしながら、そこにはダミープレート47が配置されている。このため、たとえバリが形成されたとしても、その位置はダミープレート47であり、半製品プレート46ではない。
このようにして完成した導光板は、0.2mm厚の薄肉部と、断面略台形状で、0.5mm厚の厚肉部とで構成されている。導光板の底面には複数の半球面状の凹部(又は突起)が形成されている。導光板は液晶表示装置の一部品として次のようにして他の部品と共に組み立てられる。
すなわち、図11Eに示すように、ベース62の上面に導光板61を載置する。そして、導光板61の上面に、拡散板63、プリズムシート64及び液晶パネル65を、順次、積み重ねる。さらに、厚肉部49aの垂直面の側方に光源であるLED66を配置する。これにより、液晶表示装置60が完成する。
完成した液晶表示装置60では、LED55から照射された光は、肉厚部61aの突条部によって外部への漏出を防止されながら薄肉部61bへと導かれる。そして、底面の半球面状の凹部により均一に拡散し、拡散板63及びプリズムシート64を介して液晶パネル65を照射する。
なお、導光板は、液晶パネル65を設けることなく、単に面光源装置としても使用してもよいことは勿論である。
ここで、前記導光板による複屈折の状態について言及する。前述のように、転写成形する際、金型間に挟持した樹脂製シート25の全体を溶融させている。このため、得られた製品の状態では内部応力が残留せず、組織の状態が均一なものとなっている。したがって、図5(a)に示すように、上面全体から一様に光を出射することができた。これに対し、従来の導光板の場合、図5(b)に示すように、上面からの出射状態にムラが発生した。図5(c)は、これら導光板のP偏光とS偏光の透過光量差を示すグラフである。このグラフからも明らかなように、従来の導光板に比べて本実施形態に係る導光板での透過光量差を大幅に小さく抑えることが可能となった。
(第2実施形態)
図6では、上型用転写プレート20を給気ダクト36から吹き付ける空気による空冷方式に代えて、冷却プレート50を直接接触させて冷却する直接冷却方式を採用している。
すなわち、冷却プレート50は、図示しない水平移動機構により金型内の転写領域と、金型外の非転写領域との間で往復移動可能となっている。冷却プレート50の上面には、補助断熱プレート51が一体化されている。上方側転写プレートは、保持プレート21に保持された状態では、下面が樹脂製シート25の上面に当接可能であり、上面には冷却プレート50の下面が当接可能となっている。冷却プレート50は水冷式であり、図示しないパイプを介して液体が流動し、その表面温度を一定値(例えば20℃)に維持するように構成されている。なお、その他の金型等の構成は、前記第1実施形態のものと同様であるので、対応する部分に同一符号を付してその説明を省略する。
前記冷却プレート50を備えた構成では、樹脂製シート25を加熱・加圧した後の冷却を次のようにして行う。すなわち、転写成形工程では、図7A(a)に示す状態から冷却工程に移行する際、図7A(b)に示すように、上型用転写プレート20は樹脂製シート25に当接した状態を維持しつつ上型10を上昇させた後、図7A(c)に示すように、上型用転写プレート20と上型用中間プレート18の間に、側方から冷却プレート50を挿入する。
(第1冷却工程)
図7A(d)に示すように、上型用転写プレート20の上面に冷却プレート50の下面を当接させ、冷却プレート50及び補助断熱プレート51を、上型用転写プレート20と上型用中間プレート18の間に挟持する。図8に示すように、このときの加圧力は、樹脂製シート25から気泡(ボイド)を消失させることができるように高圧(加熱・加圧時よりは低圧)とする(例えば、直径約0.4mmの気泡を直径約0.1mmとすることができるように、ボイルシャルルの法則により加圧力を0.8MPa以上とする。
(第2冷却工程)
続いて、樹脂製シート25の温度が、その融点以下(例えば、200℃)まで低下してくれば(ここでは、時間で管理し、第1冷却工程の開始から第1設定時間経過した時点)、加圧力を一気に低下させる(例えば、加圧力を0.1MPaとする)。図7B(a)に示すように、樹脂製シート25の弾性率は温度低下に伴って大きくなり、弾性変形しにくくなり、ガラス転移温度である約150℃で固化して流動性を消失する。このため、図7B(b)に示すように、樹脂製シート25は約150℃まで温度低下した際、金型によって加圧力を付与されたままの状態であると、残留応力が発生する。実際には、約200℃からゴム状の弾性体となり残留応力が発生する。そこで、本実施形態では、樹脂製シート25の温度が約200℃まで低下すれば、加圧力を低下させることにより残留応力を除去するようにしている。
(第3冷却工程)
その後、さらに樹脂製シート25の温度が、そのガラス転移温度以下(例えば、150℃)まで低下してくれば(ここでは、時間で管理し、第2冷却工程の開始から第2設定時間経過した時点)、加圧力を再び上昇させる(例えば、加圧力を0.5MPa以上とする)。樹脂製シート25を上面側から冷却しているので、その温度分布がばらつくことが避けられない。樹脂製シート25の上面側が先にガラス転移温度以下まで低下して固化した時点で、下面側がそこまで温度低下していないことがある。この場合、樹脂製シート25の下面側での熱収縮に固化した上面側が追従せず、下面が中央部で盛り上がった湾曲形状のソリが発生する。しかしながら、再度加圧力を上昇させることにより強制的に収縮応力を打ち消すことができる。
このように、第2実施形態に係る冷却方法を採用すれば、第1実施形態の場合の空冷に比べて冷却時間を短縮することができる。具体的には、第1実施形態の空冷の場合、110秒かかっていた冷却時間を、第2実施形態の直接冷却の場合、55秒に短縮することができた。また、上型10及び下型9には断熱プレートをそれぞれ配置していることに加えて、冷却プレート50の上面には補助断熱プレート51が一体化されている。このため、冷却プレート50が低温であっても、上型10に与える影響を抑えることができ、次の加熱・加圧時までの復帰時間を短縮することができる。
以上のようにして樹脂製シート25が冷却されれば、図7A(e)に示すように、上型10を上昇させて冷却プレート50を水平移動させて退避させる。そして、図7A(f)に示すように、上型用転写プレート20を上昇させることにより1サイクルが終了する。
(第3実施形態)
第3実施形態では、図9及び図10に示すように、上型用転写プレート20の上面側からだけではなくて、下型用転写プレート14の下面側からも冷却することにより、樹脂製シート25を上下から冷却する冷却機構を備えている。
すなわち、前記第2実施形態では、上面に補助断熱プレート51を一体化した冷却プレート50を設けただけとしたが、第3実施形態では、これに相当する、上面に補助断熱プレート53を一体化した第1冷却プレート52に加え、下面に補助断熱プレート55を一体化した第2冷却プレート54を備える。また、下型用転写プレート14を除く下型全体が水平方向の退避位置に移動可能となっている。また、第1冷却プレート52及び第2冷却プレート54が上下方向に対向した状態で、上面に上型用転写プレート20が当接し、下面に下型用転写プレート14が当接した状態の樹脂製シート25の上下に挿入可能となっている。
前記構成の冷却機構を備えた転写成形装置2の作用は次の通りである。
すなわち、前記第1及び2実施形態と同様にして、図9(a)に示すように、プレヒート工程及び転写成形工程が終了すれば、図9(b)に示すように、上型用転写プレート20を樹脂製シート25の上面に当接させた状態を維持しつつ、上型10を上昇させる。そして、図9(c)に示すように、下型用転写プレート14を樹脂製シート25の下面に当接させた状態を維持しつつ、下型9の他の部分を水平方向の退避位置へと移動させる。また、上下方向に対向して配置した上型用転写プレート20と下型用転写プレート14を水平方向に移動させ、上型用転写プレート20及び下型用転写プレート14を上下面に当接させた樹脂製シート25の上下に配置する。この状態で、図9(d)に示すように、上型10を降下させ、上型用転写プレート20及び下型用転写プレート14を上下面に当接させた樹脂製シート25を、第1冷却プレート及び第2冷却プレートによって挟持する。そして、加圧することにより樹脂製シート25の冷却工程を開始する。
このように、前記冷却工程では、樹脂製シート25を上下から均等に冷却することができる。したがって、前記第2実施形態で行っていたような第1から第3冷却工程によってソリ等の問題に対処する必要がない。つまり、単一の冷却工程で、ソリ等のない半製品プレート46を完成することができる。
その後、冷却工程が終了すれば、図10(a)に示すように、第1冷却プレート52及び第2冷却プレート54と、下型9の下型用転写プレート14を除く部分とを水平移動させて元の位置へと復帰させる。そして、図10(b)に示すように、下型9上に、上下面に上型用転写プレート20及び下型用転写プレート14を当接させた状態の樹脂製シート25が位置すれば、図10(c)に示すように、上型用転写プレート20を上昇させて1サイクルを終了する。
(他の実施形態)
なお、本発明は、前記実施形態に記載された構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、厚肉部26を、樹脂製シート25を溶融させ、その溶融樹脂の一部を上型用転写プレート20に形成した凹所23に流入させることにより形成するようにしたが、厚肉部26は次のように形成してもよい。
図11A(a)では、樹脂製シート25のうち、主に非製品部分(導光板となる領域以外)の溶融樹脂を凹所23内に流入させることができるようにしている。すなわち、上型用転写プレート20に形成した凹所23を構成する非製品部分側の側壁部20aは、その高さが他の部分よりも高く形成されている。また、側壁部20aによって形成される内側面20bは、凹所23の底面側から徐々に開口するように傾斜面20bで構成されている。
これにより、図11A(b)に示すように、転写成形時に金型を接近させて加圧すると、図11A(c)に示すように、溶融した非製品部分の樹脂が、側壁部20aの傾斜面20bを流動して凹所23内へと流入する。続いて、製品部分側の樹脂の一部も対向する他方の側壁部の傾斜面20cを流動して凹所23内へと流入する。この場合、側壁部20aの突出寸法を大きくしているため、非製品部分での溶融樹脂の流入量を十分に大きくすることができる。したがって、破棄する樹脂量を抑制してコストダウンを図ることができる。この結果、図11A(d)に示すように、凹所23内が溶融樹脂で満たされる。これ以降の冷却工程等は、前述の実施形態と同様であるので説明を省略する。
図11B(a)では、樹脂製シート25を溶融させてその溶融樹脂の一部を凹所23に流入させるのではなく、別途、上型用転写プレート20に凹所23に合わせて追加部材(例えば、樹脂片25a)を供給するようにしている。これによれば、図11B(b)に示すように、厚肉部26を無理なく容易に形成することが可能となる。
図11C(a)では、樹脂製シート25の一部に、予め突出部25bを形成しておくことにより、予め追加部材を一体化したような構成とするようにしている。突出部25bの厚み寸法としては、厚肉部26の厚み寸法よりも小さく、転写成形前の樹脂製シート25の厚み寸法よりも大きい値とするのが好ましい。このように、突出部25bを有する構成によれば、追加部材を供給するための機構が不要となり作業性を向上させることができる。
また、前記実施形態では、凹所23を上型用転写プレート20に形成するようにしたが、下型用転写プレート14に設けることもできるし、両方に設けることも可能である。
また、前記実施形態では、上型10と下型9からなる金型構造を採用したが、例えば、水平方向に開閉する金型を採用することも可能である。
また、前記実施形態では、転写面を、上型用転写プレート20及び下型用転写プレート14にそれぞれ形成するようにしたが、いずれか一方に形成することもできる。また、これら転写プレートを無くして、転写面を金型(例えば、中間プレート)に直接形成することもできる。
また、前記実施形態では、上型用転写プレート20の全体を均等に加熱するようにしたが、必ずしも均等に加熱する必要はない。例えば、凹所23の近傍を集中的に加熱することができるように構成することもできる。これによれば、凹所23内での樹脂の溶融状態を良好なものとして、ヒケ等の発生しない良好な厚肉部26を形成することができる。
また、前記実施形態では、上型用転写プレート20と下型用転写プレート14の間に樹脂製シート25を挟持して加熱・加圧するようにし、この樹脂製シート25の全体を溶融させるようにしている。このため、前記転写プレート20、14のうちの少なくともいずれか一方には、周縁部に溶融樹脂の流動を規制する流動規制構造を備えるのが好ましい。
図11Dでは、下型用転写プレート14の上面周縁部に流動規制構造が形成されている。但し、必ずしも4辺全てを囲むように形成されている必要はなく、要は流動樹脂が周囲に流動していかないのであれば、断続的に設けたり、両側部のみに設けたりすることも可能である。
図11D(a)は流動規制構造を下型用転写プレート14の上面から突出する突条部14aで構成したものである。図11D(b)は流動規制構造を下型用転写プレート14の上面に形成した溝部14bで構成したものである。図11D(c)は流動規制構造を下型用転写プレート14の上面から突出させた多数の微小突部14cで構成したものである。図11D(d)は、流動規制構造を下型用転写プレート14の上面に形成した多数の微小凹部14で構成したものである。これらの構成は、上型用転写プレート20に形成するようにしてもよいし、両転写プレート14、20に形成するようにしてもよい。また、これらの形態に限定されるものでもなく、溶融樹脂の流動抵抗を高めるものであれば、いずれの形態であっても採用することができる。
また、前記実施形態では、冷却工程での加圧力を、図8に示すように決定したが、次のようにしてもよい。
例えば、第1冷却工程では、直径0.4mmの気泡を直径0.1mmに圧縮するために、ボイルシャルルの法則(PV/T=一定)により加圧力Pを決定する。
×V/T=P×V/T…(1)
(1)式に以下の値を代入する。
=101325Pa(大気圧)
=3.35×10−11(直径0.4mmの気泡の体積)
=240℃=513K
=5.23×10−13(直径0.1mmの気泡の体積)
=190℃=463K
以上により、P=5.85MPaが得られる。
したがって、加圧力を5.85MPa以上とすることにより、直径0.4mmの気泡を直径0.1mm以下に圧縮することが可能となる。
また、第2冷却工程では、樹脂製シート25(ポリカーボネート)の温度が190℃まで低下することにより、加圧力を0.02MPaまで低下させている(加圧力を付与しない0MPaとしてもよい。)。これにより、残留応力を除去している。
さらに、第3冷却工程では、樹脂製シート25(ポリカーボネート)がガラス転移温度である150℃から金型から離型可能な130℃まで温度低下する際の収縮応力に相当する圧力を加圧力Pとして決定する。
すなわち、P=E×α
E(弾性係数)=2.45GPa
α(ポリカーボネートの線膨張係数)=7×10−5
したがって、P=3.4MPaとなり、この値以上の加圧力(例えば、6.2MPa)を付与すれば、冷却に伴う樹脂製シート25の収縮応力による変形を防止することが可能となる。
また、前記実施形態では、準備工程、転写成形工程、フィルム貼着工程、及び、裁断工程までを並設した一連の装置により連続的に行うようにしたが、それぞれ別々に行うようにしてもよいし、一部連続的に行うようにしても構わない。要するに、これら一連の工程を連続、不連続に拘わらず、順次、実行できればよい。また、転写成形工程内の各工程についても、それぞれ別々に行うようにしてもよいし、一部連続的に行うようにしてもよい。
また、前記実施形態では、転写面に形成される凹凸の最大高さをサブミクロンオーダ、厚肉部26の突出寸法をサブミリオーダとしたが、これらに限らず、例えば、凹凸の最大高さをミクロンオーダ(例えば、200μm)、サブミリオーダ(例えば、1mm)としてもよい。要するに、凹凸の最大高さに対して厚肉部26の突出寸法が大きければよい。特に、厚肉部26の突出寸法が凹凸の最大高さの10倍以上であるのが好ましい。10倍以上であれば、厚肉部26の突出寸法はサブミクロンオーダであってもよい。
また、前記実施形態では、樹脂製シート25に連続した帯状のものを使用したが、短冊状の不連続な構成として、1枚(又は2枚以上の複数枚であってもよい)の半製品プレート46を転写成形できるようにしてもよい。この場合、上下に回転駆動可能なローラ等を配置する等により、短冊状の樹脂製シート25であっても搬送可能とすればよい。
また、前記実施形態では、転写成形方法により導光板を作成する場合について説明したが、これに限らず、プリズムシート等、広く光学部材を作成することも可能である。
また、前記実施形態では、導光板を、図11Eに示す構成の液晶表示装置に採用するようにしたが、例えば、導光板の構成を変更して、図11Fに示す面光源装置に採用することもできる。
すなわち、図11Fに示す導光板70は、ほぼ均一な厚みを有する導光板本体71と、くさび状をした光導入部72からなる。導光板本体71の裏面には偏向パターン又は拡散パターンが形成され、表面には断面半円状のレンチキュラーレンズ73が形成されている。光導入部72には、光導入部72から導光板本体71に向かって傾斜面74が形成されている。また、光導入部72の端面(光入射面)の厚みは、光源75の高さ寸法よりも大きい。
前記構成の導光板70を採用した面光源装置11では、光導入部72の端面の厚みを光源75の高さよりも大きくすることができる。したがって、光源75から出射した光を効率良く光導入部72に取り込むことができる。また、光導入部72に取り込まれた光は、導光板本体71へ導かれて面状に広がり、偏向パターン又は拡散パターンで反射されて導光板本体71の光出射面から外部へ出射される。このとき、光出射面から出射する光はレンチキュラーレンズ73により指向特性を広げられる。
このように、前記構成の面光源装置によれば、光源75の光の利用効率の向上と、面光源装置の薄型化とを両立させることができる。
なお、前記導光板70では、導光板本体71の表面に断面半円状のレンチキュラーレンズ73を形成するようにしたが、断面三角形状のプリズムレンズ等、他の断面形状を有する構成とすることもできる。
1…材料供給装置
2…転写成形装置
3…フィルム貼着装置
4…裁断装置
5…外形加工装置
6…メインローラ
7…ローラ
8…巻取ローラ
9…下型
10…上型
11…下型用支持プレート
12…下型用中間プレート
13…下型用断熱プレート
14…下型用転写プレート
15…ヒータ
16…マイクロメータ
17…上型用支持プレート
18…上型用中間プレート
19…上型用断熱プレート
20…上型用転写プレート
21…保持プレート
22…ヒータ
23…凹所
24…円弧状領域
25…樹脂製シート
26…厚肉部
27…溝部
28…開口部
29…軟X線照射装置
30…ロッド
31…プレス装置
32…エア供給装置
33…支持ローラ
34…位置決め用グリッパ
35…搬送用グリッパ
36…給気ダクト
37…排気ダクト
38…粘着ローラ
39…保護フィルム
40…治具
41…切削部材
42…溝状部
43…取付凹部
44…クランプ部材
45…クランププレート
46…半製品プレート
47…ダミープレート
48…切削工具
49…切刃
50…冷却プレート
51…補助断熱プレート

Claims (3)

  1. 第1金型と、
    前記第1金型に対して相対的に接離可能な第2金型と、
    前記金型の少なくともいずれか一方に設けられる加熱手段と、
    前記金型の少なくともいずれか一方に設けられ、前記金型に対して相対的に分離移動可能であり、前記金型間に供給される樹脂製シートに転写面を当接させて転写成形を行う転写部材と、
    前記金型と前記転写部材を相対的に移動可能とする機構と、
    を備えたことを特徴とする金型構造。
  2. 前記請求項1に記載の金型構造を備えたことを特徴とする転写成形装置。
  3. 対向して配置した第1金型と第2金型の間に樹脂製シートを挿入する挿入工程と、
    前記両金型間に、少なくともいずれか一方の面に転写部材の転写面を当接させた状態で樹脂製シートを挟持する挟持工程と、
    前記金型の少なくともいずれか一方を加熱することにより、前記樹脂製シートに転写成形する転写成形工程と、
    前記金型を開放した後、前記金型から前記転写部材を分離移動させる開放工程と、
    前記金型から分離移動した転写部材を冷却する冷却工程と、
    を有することを特徴とする転写成形方法。
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