JP2014089406A - 光学フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】画像表示装置に適した支持基材として、透明性の優れたPMMAフィルムを用いても、屈折率の違いから発生してしまう干渉縞を抑えることが可能な、密着性良好な光学フィルムを提供する。
【解決手段】ポリメチルメタクリレートフィルムからなる透明基材の少なくとも一方の面に、活性エネルギー線を照射することにより硬化させたハードコート層を設けた光学フィルムであって、
前記ハードコート層が設けられる側の透明基材の表面粗さ(Ra)が15〜100nmの範囲で、且つ、前記ハードコート層が、ラジカル重合性樹脂を含有したハードコート層形成用樹脂組成物を硬化させたものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、ディスプレイ、例えば、液晶ディスプレイ、CRTディスプレイ、プロジェクションディスプレイ、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ等の表面を保護する目的等で使用される、透明基材上にハードコート層を設けた光学フィルムに関するものである。
液晶ディスプレイ(LCD)又は陰極管表示装置(CRT)等の画像表示装置における画像表示面は、取り扱い時に傷がつかないように、耐擦傷性を付与することが要求される。これに対して、基材フィルムにハードコート(HC)層を形成させた光学積層体(以下、光学フィルムと呼称する。)を利用することにより、画像表示装置の画像表示面の耐擦傷性を向上させることが一般になされている。
一般的にプラスチック表面を硬質化する技術としては、オルガノシロキサン系、メラミン系等の熱硬化性樹脂をコーティングしたり、真空蒸着法やスパッタリング法等で金属薄膜を形成する方法、あるいは多官能アクリレート系の活性エネルギー線硬化性樹脂をコーティングする方法などが挙げられる。
透明性の高いプラスチック基材フィルムの中でも、トリアセチルセルロース(TAC)フィルムや、ポリメチルメタクリレート(PMMA)フィルムは、透明性に優れている点から、主に液晶ディスプレイ(LCD)用の光学積層体の基材フィルムとして用いられる。
しかしながら、PMMAフィルムを支持基材とする従来のハードコートフィルムにおいて、その硬度が十分なものであっても、PMMA基材とハードコート層との屈折率が異なることから干渉縞が発生してしまい、液晶ディスプレイ等の画像表示装置に使用した際に視認性を悪くするといった問題がある。また、ハードコート層と基材との密着性も良好ではなく、剥がれが発生する場合がある。
そこで、これらの課題を解決する手段として、ハードコート層の屈折率の調整、透明基材とハードコート層間に中間層を設置するなどの、ハードコートフィルムの干渉縞発生を抑える方法が提案されている。
その一つとして、ハードコート層の屈折率を高くすることで透明基材とハードコート層の屈折率差を小さくすることで干渉縞の低減が試みているが、両層の屈折率差を完全に無くすことができないので実質的に干渉縞が残ってしまう(特許文献1)。
また、透明基材とハードコート層間の屈折率差を小さくする目的で屈折率調整層を導入して干渉縞の改善がはかっているが、この層構成でも上記同様に、屈折率差を完全に無くすことができないので実質的に干渉縞が残ってしまい、また層構成が増加することにより生産性低下も懸念される(特許文献2)。
また、トリアセチルセルロース基材を用い、ハードコート層を設置する際の溶剤種類、溶解性を選択することにより、屈折率の勾配を有する中間層を形成して干渉縞の改善をはかっている。しかしながら、PMMAフィルムは基材溶解性が乏しいため、同様の手法が応用できず干渉縞の改善が困難である(特許文献3、4)。
また、透明プラスチック基材の表面に基材上にハードコート層を設けた表面保護シートにおいて、基材のハードコート層側表面の中心線平均粗さが0.01〜5.0μmであることを特徴とする表面の干渉色の発生を防止した表面保護シートであるが、PMMAフィルムでの検討が十分になされておらず、また、用途が貼合する表面保護シートとしての特許である(特許文献5)。
また、透明基材フィルムの表面に凹凸を形成し干渉縞の発生を抑えているが、ポリエステル樹脂からなる透明基材を用いた特許である(特許文献6)。
特許公報第3383039号公報 特開2000‐111706号公報 特許公報第4920179号公報 特許公報第4135364号公報 特開平08‐197670号公報 特開2007‐118209号公報
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたもので、画像表示装置に適した支持基材として、透明性の優れたPMMAフィルムを用いても、屈折率の違いから発生してしまう干渉縞を抑えることが可能な、密着性良好な光学フィルムを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、ポリメチルメタクリレートフィルムからなる透明基材の少なくとも一方の面に、活性エネルギー線を照射することにより硬化させたハードコート層を設けた光学フィルムであって、
前記ハードコート層が設けられる側の透明基材の表面粗さ(Ra)が15〜100nmの範囲で、且つ、前記ハードコート層が、ラジカル重合性樹脂を含有したハードコート層形成用樹脂組成物を硬化させたものであることを特徴とする光学フィルムである。
また、請求項2に記載の発明は、前記活性エネルギー線が紫外線であることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムである。
また、請求項3に記載の発明は、前記ハードコート層の膜厚が、1.0〜20μmの範囲であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光学フィルムである。
また、請求項4に記載の発明は、前記ハードコート層上に低屈折率層を積層したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学フィルムである。
鋭意検討の結果、ハードコート層を設置する側のPMMAフィルム表面の表面粗さが15〜100nmとすることより、干渉縞を改善できるという知見を見出し、本発明を完成させるに至った。
なわち、本発明のハードコートフィルムは、PMMAフィルムからなる透明基材上のハードコート層を設ける面の表面粗さ(Ra)が、15〜100nmであるPMMAフィルム上に、ハードコート層形成用樹脂組成物の硬化物からなる厚さ1〜20μmのハードコ
ート層が積層されてなることを特徴とする。
本発明の光学フィルムは、PMMAフィルムからなる透明基材の、ハードコート層を設置する面の表面粗さ(Ra)が15〜100nmであれば、干渉縞が見えず、しかも密着性が良好な光学フィルムが得られる。
本発明の光学フィルムの層構成を示す断面
以下、まず本発明の光学フィルムについて説明する。本発明の光学フィルムは、ポリメチルメタクリレートからなる透明基材上に、ラジカル性樹脂を含有するハードコート層形成用樹脂組成物の硬化物からなる、厚さ1〜20μmのハードコート層が、順に積層されてなる光学フィルムであって、透明基材のハードコート層が設けられる面の表面粗さ(Ra)が15〜100nmであることを特徴とする。
本発明の光学フィルムは、透明基材上に表面凹凸を設置することにより、干渉縞の発生、密着性の向上をはかることができる。
以下、本発明にて記載している各層について説明する。
<透明基材>
透明基材とは、透明性(光透過性)の高いプラスチックフィルムであり、光学積層体の透明基材として用い得る物性を満たすものである。透明なプラスチックフィルムを形成する材料で好ましいものとしては、セルロースアシレート、シクロオレフィンポリマー、ポリカーボネート、アクリレート系ポリマー、又はポリエステルを主体とするものが挙げられる。ここで、「主体とする」とは、基材構成成分の中で最も含有割合が高い成分を示すものである。
本発明に用いられる透明基材として、ポリメチルメタクリレート(PMMA)フィルムが用いられる。また、これらポリメチルメタクリレートには、必要に応じて、可塑剤、帯電防止剤、紫外線吸收剤等の各種添加剤が添加されていても良い。
また、本発明においては、ポリメチルメタクリレート(PMMA)フィルムに表面処理として、鹸化処理、グロー放電処理、コロナ放電処理、紫外線(UV)処理、火炎処理を実施してもよい。
本発明に用いられる透明基材、ポリメチルメタクリレート(PMMA)フィルム表面の凹凸は表面粗さ(Ra)が15〜100nm、好ましくは15〜50nmの領域が望ましい。
表面粗さ(Ra)が100nm以上では光散乱が発生してしまい、光学フィルムの透明性が低下し、画像表示装置として使用した際にコントラストが低下してしまう。また、表面粗さ(Ra)が15nm以下では干渉縞が発生してしまい、画像表示装置として使用した際に視認性を悪化させてしまう。
<ハードコート層>
本発明を構成するハードコート層は、ラジカル重合性樹脂を含有するハードコート層形成用樹脂組成物の硬化物からなり、厚さは1〜20μm、好ましくは4〜10μmである。
ハードコート層形成用樹脂組成物は、ラジカル重合性樹脂、光重合開始剤を含み、必要に応じて溶剤、帯電防止剤、防眩剤、溶剤、その他添加剤を含有してなり、中間層上に公知の方法で塗布・乾燥され、更に光照射されることにより、耐擦傷性を有するハードコート層が形成される。
ハードコートとは、一般にJIS5600‐5‐4(1999)で規定される鉛筆硬度試験で「H」以上の硬度を示すものをいうが、本発明に用いられるハードコートは鉛筆硬度試験によって2H以上の値を持つものである。以下、ラジカル重合性樹脂の成分について順に説明する。
本発明の組成物において用いられるラジカル重合性樹脂とは、紫外線や電子線によりラジカルを発生する重合開始剤の存在下、紫外線や電子線の照射により高分子化または架橋反応するラジカル重合性を有する化合物で、例えば、構造単位中にエチレン性の不飽和結合を少なくとも1個以上含むものであり、1官能であるビニルモノマーのほかに多官能ビニルモノマーを含むものであり、またこれらの混合物であってもよい。
具体的には、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、2‐ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の高沸点ビニルモノマー、更には、脂肪族ポリヒドロキシ化合物、例えば、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3‐プロパンジオール、1,4‐ブタンジオール、1,5‐ペンタンジオール、1,6‐ヘキサンジオール、1,10‐デカンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトールなどのモノ、ジあるいはポリ(メタ)アクリル酸エステル類、またはエチルカルビトールアクリレート、ノルボルネンメタノールアクリレート、アダマンタンメタノールアクリレート、2‐エチルヘキシルカルビトールアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、フェニルカルビトールアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、2‐ヒドロキシ‐3‐フェノキシプロピルアクリレート、ω‐ヒドロキシヘキサノイルオキシエチルサクシネート、アクリロイルオキシエチルフタレート、フェニルアクリレート、トリブロモフェニルアクリレート、トリブロモフェノキシエチルアクリレート、2‐(p‐クロロフェノキシ)エチルアクリレート、2‐(1‐ナフチルオキシ)エチルアクリレート、o‐ビフェニルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、ベンジルアクリレート、p‐ブロモベンジルアクリレート、ラウリルアクリレート、ネオペンチルグリコールモノアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、4‐ヒドロキシブチルアクリレート、2‐ヒドロキシエチルアクリレート、2‐ヒドロキシプロピルアクリレート、2‐アクリロイルオキシエチル‐2‐ヒドロキシプロピルフタレート、2‐ヒドロキシ‐3‐フェノキシプロピルアクリレート、2‐アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2‐アクリロイルオキシハイドロゲンフタレート、2‐アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレート、ビスフェノールA(EO変性)ジアクリレート、ビスフェノールF(EO変性)ジアクリレート、及びこれらアクリレートに対応するメタアクリレート等が挙げられるがこの限りではない。
上記(メタ)アクリル系樹脂は、3つ以上の重合性官能基を有する反応性モノマー、特に、末端や側鎖に当該官能基を有するモノマーを重合開始剤の存在下において、光照射又は熱により重合したポリマーであることが、ハードコート層の耐擦傷性の点から好ましい。ここで光には、可視及び非可視領域の波長の電磁波だけでなく、電子線のような粒子線、及び、電磁波と粒子線を総称する放射線又は電離放射線が含まれる。
本発明の組成物において用いられる紫外線や電子線によってラジカル種を発生する光重合開始剤系としては、2,2‐ジメトキシ‐1,2‐ジフェニルエタン‐1‐オン等のベ
ンジルメチルケタール類、1‐ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2‐ヒドロキシ‐2‐メチル‐1‐フェニルプロパン‐1‐オン等のα‐ヒドロキシケトン類、2‐メチル‐1[4‐(メチルチオ)フェニル]‐2‐モルフォリノプロパン‐1‐オン、2‐ベンジル‐2‐ジメチルアミノ‐1‐(4‐モルフォリノフェニル)ブタノン‐1等のα‐アミノケトン類、ビス(2,6‐ジメトキシベンゾイル)‐2,4,4‐トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等のビスアシルフォスフィンオキサイド類、2,2‘‐ビス(o‐クロロフェニル)‐4,4‘,5,5‘‐テトラフェニル‐1,1‘‐ビイミダゾール、ビス(2,4,5‐トリフェニル)イミダゾール等のビスイミダゾール類、N‐フェニルグリシン等のN‐アリールグリシン類、4,4‘‐ジアジドカルコン等の有機アジド類、3,3‘,4,4‘‐テトラ(tert‐ブチルペルオキシカルボキシル)ベンゾフェノン等の有機過酸化物類をはじめ、J.Photochem.Sci.Technol.,2,283(1987)に記載される化合物、具体的には鉄アレーン錯体、トリハロゲノメチル置換s‐トリアジン、スルフォニウム塩、ジアゾニウム塩、フォスフォニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩、ヨードニウム塩等が挙げられる。
また、ヨードニウム塩としては、Macromolecules、10、1307(1977)に記載の化合物、例えば、ジフェニルヨードニウム、ジトリルヨードニウム、フェニル(p‐アニシル)ヨードニウム、ビス(m‐ニトロフェニル)ヨードニウム、ビス(p‐tert‐ブチルフェニル)ヨードニウム、ビス(p‐クロロフェニル)ヨードニウムなどのヨードニウムのクロリド、ブロミド、あるいはホウフッ化塩、ヘキサフルオロフォスフェート塩、ヘキサフルオロアルセネート塩、芳香族スルホン酸塩等や、ジフェニルフェナシルスルホニウム(n‐ブチル)トリフェニルボレート等のスルフォニウム有機ホウ素錯体類を挙げることができる。
ハードコート層には、上記(メタ)アクリル系樹脂のほかに、他の樹脂を含有していてもよい。例えば、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエーテル樹脂からなる群から選択される一種または二種以上の樹脂を含むことができる。
<その他の添加剤>
本発明においてハードコート層には、必要に応じて公知の一般的な塗料添加剤を配合することができる。例えばレベリング、表面スリップ性等を付与するシリコーン系、フッソ系の添加剤は硬化膜表面の傷つき防止性に効果があることに加えて、活性エネルギー線として紫外線を利用する場合は前記添加剤の空気界面へのブリードによって、酸素による樹脂の硬化阻害を低下させることができ、低照射強度条件下に於いても有効な硬化度合を得ることができる。これらの添加量は、活性エネルギー線硬化型樹脂100重量部に対し0.01〜0.5重量部が適当である。
更には公知の添加剤、例えば、帯電防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤、酸化防止剤、難燃剤等を添加し、機能を付与させたものも使用できる。
尚、ハードコート層形成用樹脂組成物に用いられる溶剤は、上記光硬化性樹脂の固形分を溶解もしくは分散させることができる溶媒であれば特に限定されるものではない。
更に、本発明の光学フィルムにおいて、ハードコート層を形成する硬化樹脂被膜層は、活性エネルギー線硬化性樹脂が紫外線によって硬化反応が完結して形成された架橋構造を有することを特徴とする。ハードコート層を形成する加工段階で、上記したように活性エネルギー線照射によって完全硬化もしくは半硬化(ハーフキュア)させることができるが、何れの場合も、活性エネルギー線硬化性樹脂に紫外線照射を加えることによって硬化反
応が完結して完全硬化せしめ、塗膜の物性(硬さ、耐擦り傷性等)が完全に飽和に達する段階の架橋塗膜を形成する。
<その他の層>
本発明による光学フィルムは、上記したように透明基材、ハードコート層により基本的には構成されてなり、しかしながら、用途を加味してハードコート層の上に、下記する一又は二以上の層を形成してもよい。また更に、帯電防止層や低屈折率層を含んで形成しても良い。
本発明の光学フィルムは低屈折率層を有しており、ハードコート層の上に形成されることが好ましい。これによって光学フィルムにおける反射防止機能等の光学特性を良好なものとすることができる。
低屈折率層は、ハードコート層よりも低い屈折率を有するものが好ましい。本発明の好ましい態様によれば、ハードコート層の屈折率が1.5以上であり、低屈折率層の屈折率が1.5未満であり、より好ましくは1.45以下、更に好ましくは1.35以下である。屈折率が1.5以上であると低屈折率層とハードコート層の屈折率差が小さいために反射が高くなってしまうことから、屈折率は低い方が望ましい。
低屈折率層における低屈折率粒子として空隙を有する微粒子を利用することが挙げられ、空隙を有する微粒子とは、微粒子の内部に気体が充填された構造、気体を含む多孔質構造体及びその両者を形成し、微粒子本来の屈折率に比べて微粒子中の気体の占有率に反比例して屈折率が低下する微粒子である。
また、微粒子の形態、構造、凝集状態、被膜内部での微粒子の分散状態により、内部、又は表面の少なくとも一部にナノポーラス構造の形成が可能な微粒子も含まれる。この微粒子を使用した低屈折率層は、屈折率を1.30以上1.45以下に調節することが可能である。
このような空隙を有する無機系の微粒子としては、例えば、特開2001‐233611号公報に記載された方法によって調製された中空シリカ微粒子を挙げることができる。
また、特開平7‐133105号公報に記載された製法によって得られるコロイド粒子であってもよい。
空隙を有する中空シリカ微粒子は製造が容易でそれ自身の硬度が高いため、バインダーと混合して低屈折率層を形成した際、その層強度が向上され、かつ、屈折率を1.20以上1.45以下程度の範囲内に調整することを可能とする。
中空シリカ微粒子の平均粒子径は、5nm以上300nm以下であることが好ましく、下限が8nmであり上限が100nmであることがより好ましく、下限が10nmであり上限が80nmであることが更に好ましい。
微粒子の平均粒子径がこの範囲内にあることにより、低屈折率層に優れた透明性を付与することが可能となる。中空シリカ微粒子は、前記低屈折率層中にマトリックス樹脂100重量部に対して、通常0.1重量部以上500重量部以下、好ましくは10重量部以上200重量部以下とするのが好ましい。
低屈折率層の形成にあっては、低屈折率層形成用樹脂として1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を分子中に含有する多官能性モノマー、中空シリカ微粒子、及び必要
に応じて添加剤(重合開始剤、帯電防止剤、防眩剤等)を溶剤に溶解又は分散してなる溶液又は分散液を低屈折率層形成用組成物として用い、前記組成物による塗膜を形成し、紫外線照射あるいは加熱等により硬化させることで低屈折率層を得ることができる。尚、重合開始剤、帯電防止剤、防眩剤等の添加剤は公知のものを使用することができる。
前記低屈折率層形成用樹脂の1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を分子中に含有する多官能性モノマーとしては、ハードコート層形成時に用いるラジカル重合性樹脂にて記載している樹脂等を使用することができる。
低屈折率層は、通常、揮発性溶媒に希釈して塗布される。希釈溶媒として用いられるものは、組成物の安定性、ハードコート層に対する濡れ性、揮発性などを考慮して、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、2‐メトキシエタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチル等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類、エチレングリコール、プロピレングリコール、へキシレングリコール等のグリコール類、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール等のグリコールエーテル類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、N‐メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
これらを単独、もしくは2種類以上合わせて用いても良い。中でも、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール、n‐ブタノール、s‐ブタノール、t‐ブタノール、PGME、PGMEAが好ましい。また、組成物の調製方法は、成分を均一に混合できれば良く、公知の方法に従って実施すれば良く、公知の装置を使用して混合分散することができる。
低屈折率層は、前述したウェットコーティング法により表面処理を行ったハードコート層上に塗工され、加熱乾燥により塗膜中の溶媒を揮発させ、その後、加熱、紫外線照射、電子線照射等を行い塗膜を硬化させる。
尚、低屈折率層を形成する時の膜厚(nm)dAは、下記、式1で示される。
dA=mλ/(4nA) 式1〔式1中、nAは低屈折率層の屈折率を表し、mは正の奇数を表し、好ましくは1を表し、λは波長であり、好ましくは480〜580nmの範囲の値である〕
を満たすものが好ましい。
以上、本発明に使用できる主な構成材料を記述したが、続いて本発明の光学フィルムの製造方法を説明する。ハードコート層及び低屈折率層の塗工方法は任意であるが、生産段階ではロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、ナイフコーター、バーコーター等によるのが一般的である。活性エネルギー線源として紫外線を使用することが好ましく、高圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク、キセノンアーク等の光源が利用でき、フィラーを含まないクリア塗膜の硬化には高圧水銀灯、フィラーを含む場合や厚膜の硬化にはメタルハライドランプが一般的に使用される。
後述する実施例において行った評価方法は以下のとおりである。
<反射率測定>
得られた反射防止フィルムの低屈折率層表面について、自動分光光度計(日立製作所社製、U‐4000)を用い、波長360〜800nmの光を入射角5°における分光反射率を測定した。尚、測定の際には透明基材であるポリメチルメタクリレートフィルムのうち低屈折率層の形成されていない面につや消し黒色塗料を塗布し、反射防止の処置をおこなった。
<全光線透過率、ヘイズ値測定>
得られた光学フィルムについて、写像性測定器(日本電色工業社製、NDH‐2000)を使用して、JIS‐K7105‐1981に準拠して、全光線透過率とヘイズ値を測定した。
<機械強度>
<表面粗さ>
透明基材について、非接触表面層断面計測システム(菱化システム社製、R3300H Lite)を使用して、透明基材表面の表面粗さ(Ra)を測定した。
<耐擦傷性試験>
学振型摩擦堅牢度試験機(テスター産業社製、AB‐301)を用いて、光学フィルム表面に250g/cmの荷重をかけたスチールウール(日本スチールウール社製、ボンスター#0000)を用い、10往復擦り、擦り跡やキズなどによる外観の変化を目視で評価した。
目視にて確認した評価は、○、△、×の3段階とし、
○:傷を確認することができない
△:数本傷を確認できる
×:傷が多数確認できる
とした。
<密着性試験>
得られた光学積層体について、塗料一般試験法JIS‐K5400‐1990の付着性試験方法(碁盤目テープ法)に準拠して、光学フィルム表面の塗膜の残存数にて評価した。
目視にて確認した評価は、○、△、×の3段階とし、
○:剥離が確認することができない
△:20マス以下の剥離が確認できる
×:20マス以上の剥離が確認できる
とした。
<鉛筆硬度試験>
クレメンス型引掻き硬度試験機(テスター産業社製、HA‐301)を用いて、JIS‐K5400‐1990に従い、光学フィルム表面に500gの荷重をかけた硬度3Hの鉛筆(三菱鉛筆社製、三菱uni)を用い、試験を行い、キズによる外観の変化を目視で評価した。
目視にて確認した評価は、○、×の2段階とし、
○:外観の変化が確認することができない
×:外観の変化が目立つ
とした。
<干渉縞>
光学フィルムのハードコート層が形成された反対面を、サンドペーパーで擦り、その後、つや消しの黒色塗料を塗布し、ハードコート層形成側から光学フィルムを観察した。
目視にて確認した評価は、○、×の2段階とし、
○:干渉縞が見えない
×:干渉縞が見える
とした。
以下、実施例、比較例に基づき本発明を更に具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。尚、実施例中、特別の断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
<透明基材>
実施例にて使用したポリメタクリレートフィルムの表面粗さ(Ra)、全光線透過率、ヘイズを表1にまとめて示す。
Figure 2014089406
<ハードコート層作製方法>
ラジカル重合型樹脂で構成される下記に示す紫外線硬化型の塗料組成物を、ハードコート樹脂液として調製した。
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 30部
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 20部
・Irgacure184(チバスペシャリティケミカルズ社製) 2.5部
・酢酸エチル 30部である。
次に表1に記載した表面粗さ(Ra)それぞれ15nmと20nmのアクリプレン HBXN47(三菱レイヨン社製)とテクノロイ S001G(住友化学社製)並びに表面粗さ(Ra)それぞれ3nmと200nmのアクリプレン HBS010(三菱レイヨン社製)とアクリプレン HBS027(三菱レイヨン社製)の4種類の透明基材上に、上記組成のハードコート層を熱乾燥後の膜厚が6μm 前後の塗布層を形成した後、塗膜側より高圧水銀UVランプ(120w/cm)の紫外線を積算光量約300mJ/cmの条件で照射し、硬化処理することによって、透明基材とハードコート層から成る光学フィルムを得、それぞれ実施例1、実施例2、比較例1、比較例2とした。
<低屈折率層作製方法>
前記ハードコート層上に低屈折率層の設置方法を以下に記載する。
低屈折率層処方においては、以下の処方にておこなった。
・中空シリカ微粒子 70重量部
(該シリカ微粒子の固形分は20重量%溶液;
メチルイソブチルケトン、粒子径50ナノメートル)
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA) 30重量部
・光重合開始剤:イルガキュア‐127(チバ・ジャパン社製) 3.0重量部
・メチルイソブチルケトン 50重量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME) 50重量部である。
実施例1、実施例2、比較例1、比較例2の光学フィルムのハードコート層の上に、前記低屈折率層処方をおこなった塗布液を塗布した後、温度50℃の熱オーブン中で60秒間乾燥し、塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線を積算光量が300mJになるように照射して塗膜を硬化させることにより、0.2g/cm(乾燥時)の低屈折率層を形成させて
、実施例3、実施例4、比較例3、比較例4の低屈折率層を設けた光学フィルムを作製した。
<評価結果>
上記の方法で得られた光学フィルムについて、下記の光学特性、機械物性を測定し、表2にハードコート層の鉛筆硬度、密着性、耐擦傷性、干渉縞の評価結果を示す。
Figure 2014089406
比較例1において、透明基材の表面粗さ(Ra)が小さいと干渉縞が見える。更に、密着性が悪くなってしまう。
また、比較例2において、透明基材の表面粗さ(Ra)が大きいと、光学フィルムが散乱してしまい、ヘイズが高くなってしまう。
一方、実施例1、2の透明基材の表面粗さが15〜100nmの大きさである透明基材においては、干渉縞ならびに密着性が良好な結果が得られた。
実施例3、4及び比較例3、4において、低屈折率層を設置した光学フィルムにおいても透明基材の表面粗さが15〜100nmの大きさである透明基材において干渉縞ならびに密着性が良好な結果が得られた。
1・・・透明基材
2・・・透明基材表面
3・・・ハードコート層
4・・・低屈折率層

Claims (4)

  1. ポリメチルメタクリレートフィルムからなる透明基材の少なくとも一方の面に、活性エネルギー線を照射することにより硬化させたハードコート層を設けた光学フィルムであって、
    前記ハードコート層が設けられる側の透明基材の表面粗さ(Ra)が15〜100nmの範囲で、且つ、前記ハードコート層が、ラジカル重合性樹脂を含有したハードコート層形成用樹脂組成物を硬化させたものであることを特徴とする光学フィルム。
  2. 前記活性エネルギー線が紫外線であることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルム。
  3. 前記ハードコート層の膜厚が、1.0〜20μmの範囲であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光学フィルム。
  4. 前記ハードコート層上に低屈折率層を積層したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学フィルム。
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