JP2014089350A - 光学素子用マウント - Google Patents

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正弘 笹浦
Kaneyuki Imai
欽之 今井
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誠治 豊田
Masahiro Ueno
雅浩 上野
Jun Miyatsu
純 宮津
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Abstract

【課題】常誘電体−強誘電体相転移温度の不均一な空間分布に対応した所望の温度分布を光学素子内に付与する光学素子用マウントを提供する。
【解決手段】本発明の光学素子用マウントは、常誘電体−強誘電体相転移を有する結晶材料で作製された、第1のマウント部及び第2のマウント部により光学素子を挟み込むことによって前記光学素子を固定する光学素子用マウントであって、前記第1のマウント部及び前記第2のマウント部の少なくとも一方は、前記光学素子の温度分布が前記光学素子における常誘電体−強誘電体相転移温度の温度分布と一致するように発熱又は放熱する温度調整機構を有することを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、光学素子用マウントに関し、より詳細には、常誘電体−強誘電体相転移を有する結晶材料で作製された、相転移温度での物性を応用する光学素子を保持する光学素子用マウントに関する。
レーザー光を応用した各種システムにおいて、光の光路変更、スイッチング、波長変換等の使用光の状態を変換する種々な光デバイスが使用されている。その光デバイスの中には光スイッチや光変調器等があり、その機能を発現する材料の1つとして、常誘電体−強誘電体相転移温度で大きな電気光学効果を有するKTa1−xNb結晶(0≦x≦1)が注目されている(例えば、特許文献1参照)。
KTa1−xNb結晶は、xを0から1まで変化させる、すなわちNb/(Nb+Ta)比率を増加させることよって、高温の常誘電体から低温の強誘電体へ相転移する常誘電体−強誘電体相転移温度Tを−273℃から+470℃まで変化させることができる。KTa1−xNb結晶の比誘電率は、Tに近接した温度付近で、Tに近づくにつれてキュリーワイスの法則に従って著しく大きくなり、Tで例えば30000程度の最大値に達する。
KTa1−xNb結晶の電気光学効果は、印加する電界の二乗に比例するKerr効果によって発現している。Kerr効果の大小は、Kerr定数の値に比例する。Kerr定数の値は、比誘電率の二乗に比例する(例えば、非特許文献1参照)。
図1は、例えば特許文献2に示されるような、KTa1−xNb結晶で作製した光デバイスの一例を示す。図1には、光学素子1と、光学素子1上に設けられた一対の電極2と、各電極2上に設けられた光学素子用マウント3とを備えた光デバイス10が示されている。
図1に示される光デバイス10において、光学素子1は、KTa1−xNb結晶より(100)面で構成された直方体に切り出し、電極面二面と光入射面と光出射面とが研磨されている。光学素子1において、研磨された二面の電極面には、蒸着法などを用いて電極2が作製されており、各電極2には電源が接続されている。光学素子用マウント3は、電極2が形成された光学素子1を固定する機能及び電極2を用いて光学素子1に電圧を印加する機能を具備している。光デバイス10は、光学素子1の温度を一定に制御するための恒温装置(不図示)に設置され、恒温装置は、例えば光学デバイス10全体を覆う恒温槽とすることができる。あるいは、光学素子用マウント3に、ペルチエ素子に代表される恒温素子を組み込むことにより、光学素子1の温度を一定に制御してもよい。
光学素子1がKTa1−xNb結晶からなる場合、電極2に電圧を印加することによって、入射光の偏光角を回転させたり、出射光の方向を入射光の光軸から偏向することができる(例えば、特許文献1及び2参照)。
特開2007−003947号公報 特開2010−026079号公報
八木生剛、「新たな可能性を拓くKTN結晶とその応用技術」、NTT技術ジャーナル、2009年11月、p.12−15
KTa1−xNb結晶は固溶体であるため、その結晶成長の段階で、NbとTaの組成が不均一な分布となることを回避することができない。そのため、Nb/(Nb+Ta)比率は、結晶成長が進むにつれて徐々に大きくなり、一定にすることができない。従って、製造したKTa1−xNb結晶にはNbとTaの不均一な組成分布が存在し、その製造結晶から切り出した光学素子1内にもNbとTaの不均一な組成分布が存在する。
前述したように、Nb/(Nb+Ta)比率が変化するとTが変化するので、光学素子1内にNbとTaの不均一な組成分布が存在する場合、光学素子1内にTの不均一な空間分布が存在することとなる。その結果、光デバイス10が設けられた恒温装置により一定の温度となるように温度制御された光学素子1内には比誘電率の不均一な空間分布が発生し、光学素子1内において比誘電率は場所ごとに著しく変化していた。
光学素子1内の比誘電率の不均一な空間分布により、光学素子1全体の最大比誘電率値が減少し、Kerr効果も減少するので、偏光光の回転角や出射光の偏向角といった光学素子特性に悪影響を与えていた。加えて、図1に示される光デバイス10は、電気回路上ではコンデンサと見なすことができるので、光学素子1内の比誘電率の不均一な空間分布はコンデンサとしての静電容量のばらつきの要因となる。従って、光学素子1を駆動させる電気回路上では、高周波応答時間の時定数に対するばらつきも生じていた。
本発明の光学素子用マウントは、常誘電体−強誘電体相転移を有する結晶材料で作製され、かつ相転移温度での物性を応用する光学素子内に存在する不均一な組成分布による悪影響を抑制するためのものであり、その目的とするところは、光学素子内の不均一な組成分布によって生じるTの不均一な空間分布に対応した所望の温度分布を光学素子内に意図的に付与し、光学素子内の比誘電率の空間分布を均一化することによって、光学素子が有する電気光学効果を特性向上させることにある。
上述の課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の光学素子用マウントは、常誘電体−強誘電体相転移を有する結晶材料で作製された、第1のマウント部及び第2のマウント部により光学素子を挟み込むことによって前記光学素子を固定する光学素子用マウントであって、前記第1のマウント部及び前記第2のマウント部の少なくとも一方は、前記光学素子の温度分布が前記光学素子における常誘電体−強誘電体相転移温度の温度分布と一致するように発熱又は放熱する温度調整機構を有することを特徴とする。
本発明の請求項2に記載の光学素子用マウントは、本発明の請求項1に記載の光学素子用マウントであって、前記温度調整機構は、前記第1のマウント部及び前記第2のマウント部に設けられた複数のヒーター線であり、前記複数のヒーター線の各々に印加する電力をそれぞれ調整することにより、前記複数のヒーター線の発熱量を前記ヒーター線毎に変化させることを特徴とする。
本発明の請求項3に記載の光学素子用マウントは、本発明の請求項1に記載の光学素子用マウントであって、前記温度調整機構は、前記第1のマウント部及び前記第2のマウント部に形成された複数のヒーター線であり、前記複数のヒーター線の各々に対して選択的に電力を印加することにより、電力が印加される前記ヒーター線の設置密度を場所毎に変化させることを特徴とする。
本発明の請求項4に記載の光学素子用マウントは、本発明の請求項1に記載の光学素子用マウントであって、前記温度調整機構は、前記第1のマウント部又は前記第2のマウント部に設けられたヒーター線であり、前記ヒーター線に印加する電力を調整することにより、前記第1のマウント部又は前記第2のマウント部の一方を発熱させることを特徴とする。
本発明の請求項5に記載の光学素子用マウントは、本発明の請求項1に記載の光学素子用マウントであって、前記温度調整機構は、前記第1のマウント部及び前記第2のマウント部に設けられた複数の放熱用フィンであり、前記複数の放熱用フィンの各々の放熱面積を前記放熱用フィン毎に変化させることにより、前記複数の放熱用フィンの各々の放熱量を前記放熱用フィン毎に変化させることを特徴とする。
本発明の請求項6に記載の光学素子用マウントは、本発明の請求項1に記載の光学素子用マウントであって、前記温度調整機構は、前記第1のマウント部及び前記第2のマウント部に設けられた複数の放熱用フィンであり、前記複数の放熱用フィンの設置密度を場所毎に変化させることにより、前記複数の放熱用フィンの放熱量を場所毎に変化させることを特徴とする。
本発明の請求項7に記載の光学素子用マウントは、本発明の請求項1に記載の光学素子用マウントであって、前記温度調整機構は、前記第1のマウント部又は前記第2のマウント部に形成された複数の放熱用フィンであり、前記複数の放熱用フィンの設置密度を調整することにより、前記第1のマウント部又は前記第2のマウント部の一方を放熱させることを特徴とする。
本発明の請求項8に記載の光学素子用マウントは、本発明の請求項1に記載の光学素子用マウントであって、前記温度調整機構は、前記第1のマウント及び前記第2のマウントのそれぞれの厚さを場所毎に変化させることにより前記第1のマウント及び前記第2のマウントの放熱量を場所毎に変化させたくさび形の前記第1のマウント及び前記第2のマウントによって放熱を行なうことを特徴とする。
本発明の請求項9に記載の光学素子用マウントは、本発明の請求項1に記載の光学素子用マウントであって、前記第1のマウント及び前記第2のマウントは互いに異なる厚さを有し、前記第1のマウント及び前記第2のマウントの厚さを調整することにより前記第1のマウント及び前記第2のマウントの放熱量が調整され、前記温度調整機構は、前記第1のマウント及び前記第2のマウントにより放熱を行なうことを特徴とする。
以上説明したように、本発明によれば、光学素子内に存在する組成分布によって生じた常誘電体−強誘電体相転移温度Tの空間分布に一致した温度分布を光学素子内に付与し、光学素子内の比誘電率の空間分布を均一化することによって、デバイス特性を向上することができる。
KTa1−xNb結晶で作製した従来の光デバイスの構成例を示す図である。 本発明の実施例1に係る光学素子用マウントの構成を示す図である。 本発明の実施例1に係る光学素子用マウントの他の構成を示す図である。 KTa1−xNb結晶で作製した光デバイスにおけるNbとTaの組成分布を説明するための図である。 光路と平行にNbとTaの組成分布が存在する光学素子の光学素子全体の比誘電率を数値計算して示した図である。 電極の対向方向にNbとTaの組成分布が存在する光学素子の光学素子全体の比誘電率を数値計算して示した図である。 本発明の実施例2に係る光学素子用マウントの構成を示す図である。 本発明の実施例2に係る光学素子用マウントの他の構成を示す図である。 本発明の実施例2に係る光学素子用マウントの構成を示す図である。 本発明の実施例3に係る光学素子用マウントの構成を示す図である。 本発明の実施例3に係る光学素子用マウントの構成を示す図である。 本発明の実施例4に係る光学素子用マウントの構成を示す図である。 本発明の実施例4に係る光学素子用マウントの構成を示す図である。
以下、図面を参照しながら本発明に係る光学素子用マウントの実施例について詳細に説明する。各実施例は、一例であり、発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の改良を行い得ることは言うまでもない。
(実施例1)
図2(a)は、本発明の実施例1に係る光学素子用マウント21を備えた光デバイス20aを示す。図2(a)には、光学素子1と、光学素子1上に設けられた上部電極2a及び下部電極2bと、上部電極2a及び下部電極2b上にそれぞれ設けられた上部マウント21a及び下部マウント21bで構成される光学素子用マウント21とを備えた光デバイス20aが示されている。ここでは、光学素子1内に、光路と平行な方向(図中、x軸方向)にNbとTaの組成分布が存在している場合について説明する。
図2(a)に示される光デバイス20aにおいて、光学素子1は、KTa1−xNb結晶より(100)面で構成された直方体に切り出し、電極面二面と光入射面と光出射面とが研磨されている。光学素子1は、光学素子1中央でT=40.0℃、入射端でT=40.5℃、出射端でT=39.5℃を有し、光学素子1全体で1℃単調変化を有する温度分布のものを使用した。
光学素子1の研磨された二面の電極面には、蒸着法などを用いて上部電極2a及び下部電極2bが作製されており、上部電極2a及び下部電極2bには電源が接続されている。光学素子用マウント21は、上部電極2a及び下部電極2bが形成された光学素子1を上部マウント21a及び下部マウント21bで挟み込むことにより固定する機能及び電圧印加機能を具備している。光デバイス20aは、光学素子1の温度を一定に制御するための恒温装置(不図示)に設置され、恒温装置は、例えば光学デバイス20a全体を覆う恒温槽とすることができる。あるいは、光学素子用マウント21に、ペルチエ素子に代表される恒温素子を組み込むことにより、光学素子1の温度を一定に制御してもよい。
光学素子用マウント21の上部マウント21a及び下部マウント21bの表面、すなわち上部電極2a及び下部電極2bと接触している面と対向する面には、光路と垂直な方向(図中、y軸方向)に複数のヒーター線22がストライプ状に配置されている。複数のヒーター線22の各々には、印加電力を調整できる機能を有する電源(不図示)が接続されている。
各ヒーター線22に印加される電極はそれぞれ独立に調整できるように電源に結線してあり、ヒーター線22毎にヒーター線22の発熱量を変化させることができる。そのため、各ヒーター線22の印加電力を調整することにより、光学素子1の温度分布を光学素子1のTの温度分布と一致させることができる。上述のように、光学素子1は、光学素子1中央でT=40.0℃、入射端でT=40.5℃、出射端でT=39.5℃を有しているため、ここでは、光学素子1の温度が、光学素子1中央で40.0℃、入射端で40.5℃、出射端で39.5℃となるようにヒーター線22毎にヒーター線22の発熱量を調整した。ここで、KTa1−xNb結晶材料においては、常誘電体では単一ドメインであるので光が透過し、強誘電体では結晶構造が変化してマルチドメインであるので光が透過しなくなること、及びTは常誘電体と強誘電体とが変化する境界温度であることから、光学素子1の温度を均一に保ち、温度を徐々に変化させていき、光が透過するかしないかの境界を温度を変化させながら観測することによって、Tの温度分布を測定することが可能である。以下の各実施例においても同様にしてTの温度分布の測定を行なっているが、この測定方法に限らず種々の測定方法を適用することができることは言うまでもない。
光学素子1内に、光路と平行な方向にNbとTaの組成分布が存在している場合について、実施例1に係る光学素子用マウント21を備えた光デバイス20aの特性を調べたところ、従来のように恒温装置のみにより光学素子1の温度を一定に制御した場合に比して、光学素子の比誘電率が17%向上し、半波長変調電圧、偏向振れ角、高周波電圧印加特性といったデバイス特性に対して、向上もしくは改善が認められた。ここでは、光路と平行な方向(図中、x軸方向)にNbとTaの組成分布が存在している場合について説明したが、y軸方向にNbとTaの組成分布が存在している場合は、光学素子用マウント21上のヒーター線22のストライプ配列方向を光学素子用マウント21表面上で90度回転すればよい。
図3は、本発明の実施例1の他の例に係る光学素子用マウント31を備えた光デバイス30を示す。本発明の実施例1の他の例に係る光学素子用マウント31では、上部マウント31a及び下部マウント31bにヒーター材料を薄膜蒸着してパターニング処理を施すことにより、ストライプ状のヒーター線32を作製している。また、図3に示されるように、作製したヒーター線32の一部を故意に断線させ、ヒーター線32の設置密度を変化させている。光学素子1においてTは光路と平行な方向(図中、x軸方向)に進むにつれて小さくなっているため、ここでは、光路と平行な方向に進むにつれてヒーター線32の設置密度が小さくなるようにヒーター線32が断線している。
これにより、光学素子1の温度分布が光学素子1のTの温度分布と一致するように各ヒーター線32の発熱量を場所毎に変化させることができる。ヒーター線32の設置密度が変化しているので、各ヒーター線32に印加する電圧が同じ量でも、所望の温度分布を光学素子1に与えることができる。光学素子1は、光学素子1中央でT=40.0℃、入射端でT=40.5℃、出射端でT=39.5℃を有しているため、ここでは、光学素子1の温度が、光学素子1中央で40.0℃、入射端で40.5℃、出射端で39.5℃となるように、ヒーター線32の設置密度を変化させてヒーター線22の発熱量を場所毎に調整した。
なお、図3では、ヒーター線32の一部を断線させる構成を示したが、電圧を印加するヒーター線を選択することによって、複数のヒーター線に対して選択的に電圧を印加することにより、発熱量を場所毎に変化させる構成としてもよい。その場合、光学素子1のTが大きくなるにつれて、電力が印加されるヒーター線の設置密度が大きくなるように、ヒーター線を選択して、電力が印加されるヒーター線の設置密度を場所毎に変化させればよい。
図3に示される光デバイス30の特性を調べたところ、従来のように恒温装置のみにより光学素子1の温度を一定に制御した場合に比して、半波長変調電圧、偏向振れ角、高周波電圧印加特性といったデバイス特性に対して、向上もしくは改善が認められた。ここでは、光路と平行な方向(図中、x軸方向)にNbとTaの組成分布が存在している場合について説明したが、y軸方向にNbとTaの組成分布が存在している場合は、光学素子用マウント31上のヒーター線32の配列方向を光学素子用マウント31表面上で90度回転すればよい。
ここで、図4(a)を用いて、KTa1−xNb結晶で作製された、光路と平行な方向にNbとTaの組成分布が存在する光デバイスを説明する。図4(a)に示される光デバイス40において、光学素子1内では、光路と平行な方向にNbとTaの組成分布が存在している。
恒温装置は、上述のように、光学素子1を一定の温度Tに制御している。一定温度Tは、事前に光学素子1全体の静電容量の温度依存性を測定することにより設定され、Tより高く、かつ光学素子1全体の静電容量が最大値の70〜90%となる温度としている。図4(a)に示される光デバイス30は、平行平板電極を対向配置させた平行平板コンデンサと見なせるので、光学素子1全体の静電容量は光学素子1の比誘電率に比例し、光学素子1の最大比誘電率の70〜90%となる温度で保持していることになる。
図4(a)に示される光デバイス40では、光学素子1内で光路と平行な方向にNbとTaの組成分布が存在しているので、その方向にNb/(Nb+Ta)比率が均一と見なせるまで光学素子を形式的に細分した領域の集合体として考察する。すなわち、光学素子1を光路と平行な方向にn個に細分し、光学素子1をn個の組成均一な光学素子細分化領域4aの集合体と考える。n個の光学素子細分化領域4aの各々も光学素子1全体と同様に、電気回路上では、Nb/(Nb+Ta)比率がそれぞれ異なり、電極面積が光学素子1の1/nの平行平板コンデンサと見なせる。
各々の光学素子細分化領域4aはNb/(Nb+Ta)比率が異なるのでTが異なり、最大静電容量を示す温度は光学素子細分化領域4a毎にずれている。しかしながら、光学素子1全体は一定の温度Tに保持されているので、n個の光学素子細分化領域4aの中には、望ましい比誘電率値となる温度とは異なる温度に保持された光学素子細分化領域4aも存在することになる。
図4(a)に示される光デバイス40の場合、光学素子1全体の静電容量は、並列接続した光学素子細分化領域4aの静電容量の総和と見なせる。光学素子細分化領域4aのそれぞれの保持温度を適切に変化させた方が、光学素子細分化領域4aの静電容量の総和、すなわち光学素子1全体の静電容量を大きくすることができる。
以下により詳細に説明する。温度Tに保持した光学素子1全体の比誘電率をε(T)chip、光学素子細分化領域4aでの比誘電率をε(T)、真空での誘電率をε、電極面積をS、厚さをdとする。光学素子1全体の静電容量は、光学素子細分化領域4aの静電容量の総和として記述でき、また、光学素子細分化領域4aにおける電極面積はS/nなので、以下の(式1)のように記述することができる。
Figure 2014089350
(式1)より、光学素子1全体の比誘電率は、光学素子細分化領域4aの比誘電率の総和で記述することができる。
Figure 2014089350
光学素子1の温度を均一にする従来構成の場合と、光学素子内組成分布によるT変化に一致させるように各光学素子細分化領域4aに温度分布を付与した本発明構成の場合について、上記(式2)を用いて光学素子1全体の比誘電率を数値計算し、図5に示す。図5においては、本発明構成の場合は光学素子1中央部分の温度を横軸の温度として示し、従来構成の場合は均一な光学素子1の温度、言い換えれば恒温装置の保持温度を横軸の温度として示している。
ここで、図5の数値計算においては、光路と平行な方向にNbとTaの組成分布が存在する光学素子1であって、光学素子1中央の光学素子細分化領域4aの比誘電率ε(T)は、T≦36.6℃で0であって、T>36.6℃で1.7×10/(T−36.6)であり、細分化領域分割数nは10とし、光学素子1のT分布は、光学素子1中央でT=36.6℃、入射端でT=37.6℃、出射端でT=35.6℃であって、光の入射端から出射端にかけて+2℃単調変化している光学素子1を使用した場合について計算した。
図5に示されるように、本発明構成における比誘電率ε(T)chipの最大値は36300であって、従来構成における比誘電率ε(T)chipの最大値31300より大きいため、デバイス特性の向上が見込まれる。加えて、本発明構成では各光学素子細分化領域4aの比誘電率が同値となるので、各光学素子細分化領域4aで構成されたコンデンサ間に静電容量のばらつきはない。そのため、光学素子1を駆動させる電気回路上において、高周波応答時間の時定数に対するばらつきも生じないこととなる。なお、図4(a)及び図5で示されるような、光学素子1において光路と平行な方向にNbとTaの組成分布が存在する場合について上述した説明は、以下の各実施例2〜4についても同様に適用されることは言うまでもない。
次に、図2(b)を用いて、本発明の実施例1に係る光学素子用マウントを備えた光デバイス20bにおいて、光学素子1内に、上部電極2a及び下部電極2bの対向方向(図中、z軸方向)にNbとTaの組成分布が存在している場合について説明する。
光学素子1は、光学素子1中央でT=40.0℃、上部電極2aとの接触面でT=40.3℃、下部電極2bとの接触面でT=39.7℃と、光学素子1全体で0.6℃単調変化を有する温度分布のものを使用した。
光学素子用マウント21の上部マウント21aの表面、すなわち上部電極2aと接触している面と対向する面には、光路と垂直な方向にヒーター線22が配置されている。ヒーター線22の配置は、上部マウント21aにおけるヒーター線22の設置面を均一に熱することができる配置であればどのような配置でもよい。例えば、複数のヒーター線で構成してもよいし、一本のヒーター線でありかつ渦巻き状に代表される一筆書き状の配列にしてもよい。下部マウント21bには、ヒーター線22が必要でない。ヒーター線22の印加電力を調整することにより、光学素子1の温度分布が光学素子1のTの温度分布と一致するようにヒーター線22全体の発熱量を変化させることができる。光学素子1は、光学素子1中央でT=40.0℃、上部電極2aとの接触面でT=40.3℃、下部電極2bとの接触面でT=39.7℃を有しているため、ここでは、光学素子1の温度が、光学素子1中央で40.0℃、上部電極2aとの接触面で40.3℃、下部電極2bとの接触面で39.7℃となるようにヒーター線22の発熱量を調整した。
光学素子1内に、上部電極2a及び下部電極2bの対向方向にNbとTaの組成分布が存在している場合について、実施例1に係る光学素子用マウント21を備えた光デバイス20bの特性を調べたところ、従来のように恒温装置のみにより光学素子1の温度を一定に制御した場合に比して、光学素子の比誘電率が5%向上し、半波長変調電圧、偏向振れ角、高周波電圧印加特性といったデバイス特性に対して、向上もしくは改善が認められた。
ここで、図4(b)を用いて、KTa1−xNb結晶で作製された、上部電極2aと下部電極2bとの対向方向にNbとTaの組成分布が存在する従来の光デバイスを示す。図4(b)に示される従来の光デバイス50において、光学素子1内では、上部電極2aと下部電極2bとの対向方向にNbとTaの組成分布が存在している。
恒温装置は、上述のように、光学素子1を一定の温度Tに制御している。一定温度Tは、事前に光学素子1全体の静電容量の温度依存性を測定することにより設定され、光学素子1全体が常誘電体となるようにTより高く、かつ光学素子1全体の静電容量が最大値の70〜90%となる温度としている。図4(b)に示される光デバイス30は、平行平板電極を対向配置させた平行平板コンデンサと見なせるので、光学素子1の静電容量は光学素子1の比誘電率に比例し、光学素子1の最大比誘電率の70〜90%となる温度で保持していることになる。
図4(b)に示される光デバイス50では、光学素子1内には上部電極2aと下部電極2bとの対向方向にNbとTaの組成分布が存在しているので、その方向にNb/(Nb+Ta)比率が均一と見なせるまで光学素子を形式的に細分した領域の集合体として考察する。すなわち、光学素子1を電極対向方向にn個に細分し、光学素子1をn個の光学素子細分化領域4bの集合体と考える。n個の光学素子細分化領域4bの各々は、Nb/(Nb+Ta)比率がそれぞれ異なり、電極面積が光学素子1と同一な平行平板コンデンサと見なせる。
各々の光学素子細分化領域4bはNb/(Nb+Ta)比率が異なるのでTが異なり、最大静電容量を示す温度は光学素子細分化領域4b毎にずれている。しかしながら、光学素子1全体は一定の温度Tに保持されているので、n個の光学素子細分化領域4bの中には、望ましい比誘電率値となる温度とは異なる温度に保持された光学素子細分化領域4bも存在することになる。
図4(b)に示される光デバイス50の場合、光学素子1全体の静電容量は、直列接続した光学素子細分化領域4bの静電容量の総和と見なせる。光学素子細分化領域4bのそれぞれの保持温度を適切に変化させた方が、光学素子細分化領域4bの静電容量の総和、すなわち光学素子1全体の静電容量を大きくすることができる。
以下より詳細に説明する。光学素子1全体の静電容量の逆数は、光学素子細分化領域4bの静電容量の逆数の総和として記述でき、また、光学素子細分化領域4bでの厚さはd/nなので、以下の(式3)のように記述することができる。
Figure 2014089350
(式3)より、光学素子1全体の比誘電率の逆数は、光学素子細分化領域4bの誘電率の逆数の総和で記述することができる。
Figure 2014089350
光学素子1の温度を均一にする従来構成の場合と、光学素子内組成分布によるT変化に一致させるように各光学素子細分化領域4aに温度分布を付与した本発明構成の場合について、上記(式4)を用いて光学素子1全体の比誘電率を数値計算し、図6に示す。図6においては、本発明構成の場合は光学素子1中央部分の温度を横軸の温度として示し、従来構成の場合は均一な光学素子1の温度、言い換えれば恒温装置の保持温度を横軸の温度として示している。
ここで、図6の数値計算においては、上部電極2aと下部電極2bとの対向方向にNbとTaの組成分布が存在する光学素子1であって、光学素子1中央の光学素子細分化領域4aの比誘電率ε(T)は、T≦36.6℃で0であって、T>36.6℃で1.7×10/(T−36.6)であり、細分化領域分割数nは10とし、光学素子1のT分布は、光学素子1中央でT=36.6℃、上部電極2aとの接触面でT=36.35℃、下部電極2bとの接触面でT=36.85℃であって、上部電極2aとの接触面から部電極2bとの接触面にかけて+0.5℃単調変化している光学素子1を使用した場合について計算した。
図6に示されるように、本発明構成における比誘電率ε(T)chipの最大値は37100であって、従来構成における比誘電率ε(T)chipの最大値35500より大きいため、デバイス特性の向上が見込まれる。加えて、本発明構成では各光学素子細分化領域4bの比誘電率が同値となるので、各光学素子細分化領域4bで構成されたコンデンサ間に静電容量のばらつきはない。そのため、光学素子1を駆動させる電気回路上において、高周波応答時間の時定数に対するばらつきも生じないこととなる。なお、図4(b)及び図6で示されるような、光学素子1において上部電極及び下部電極の対向方向にNbとTaの組成分布が存在する場合について上述した説明は、以下の各実施例2〜4についても同様に適用されることは言うまでもない。
(実施例2)
図7は、本発明の実施例2に係る光学素子用マウント61を備えた光デバイス60を示す。図7には、光学素子1と、光学素子1上に設けられた上部電極2a及び下部電極2bと、上部電極2a及び下部電極2b上にそれぞれ設けられた上部マウント61a及び下部マウント61bで構成される光学素子用マウント61とを備えた光デバイス60が示されている。ここでは、光学素子1内に、光路と平行な方向(図中、x軸方向)にNbとTaの組成分布が存在している場合について説明する。なお、図7で示される光デバイス60において、実施例1で上述した光デバイス20と同一の参照番号が付されている構成要素については、特に注記した部分を除き、同様の構成を有しているものとし、その説明は省略する。
図7に示される光デバイス60において、光学素子1は、光学素子1中央でT=45.0℃、入射端でT=46.0℃、出射端でT=44.0℃を有し、光学素子1全体で2℃単調変化を有する温度分布のものを使用した。
光学素子用マウント61は、上部電極2a及び下部電極2bが形成された光学素子1を固定する機能及び電圧印加機能を具備している。光デバイス60は、光学素子1の温度を一定に制御するための恒温装置(不図示)に設置され、恒温装置は、例えば光学デバイス60全体を覆う恒温槽とすることができる。あるいは、光学素子用マウント61に、ペルチエ素子に代表される恒温素子を組み込むことにより、光学素子1の温度を一定に制御してもよい。
光学素子用マウント61の上部マウント61a及び下部マウント61bの表面には、光路と垂直な方向(図中、y軸方向)に複数の放熱用フィン62がストライプ状に配置されている。各放熱用フィン62を切断して高さを調整し、複数の放熱用フィン62の各々の放熱面積を放熱用フィン62毎に変化させることにより、光学素子1の温度分布が光学素子1のTの温度分布と一致するように各放熱用フィン62の放熱量を調整した。光学素子1は、光学素子1中央でT=45.0℃、入射端でT=46.0℃、出射端でT=44.0℃を有しているため、ここでは、光学素子1の温度が、光学素子1中央で45.0℃、入射端で46.0℃、出射端で44.0℃となるように、各放熱用フィン62を切断して高さを調整し、複数の放熱用フィン62の各々の放熱面積を放熱用フィン62毎に変化させ、各放熱用フィン62の放熱量を調整した。
図7に示される光デバイス60の特性を調べたところ、従来のように恒温装置のみにより光学素子1の温度を一定に制御した場合に比して、光学素子の比誘電率が16%向上し、半波長変調電圧、偏向振れ角、高周波電圧印加特性といったデバイス特性に対して、向上もしくは改善が認められた。ここでは、光路と平行な方向(図中、x軸方向)にNbとTaの組成分布が存在している場合について説明したが、y軸方向にNbとTaの組成分布が存在している場合は、光学素子用マウント61上の放熱用フィン62の配列方向を光学素子用マウント61表面上で90度回転すればよい。
図8は、本発明の実施例2の他の例に係る光学素子用マウント71を備えた光デバイス70を示す。本発明の実施例2の他の例に係る光学素子用マウント71の上部マウント71a及び下部マウント71bには、それぞれ高さが同一な複数の放熱用フィン72が設けられている。図8に示される複数の放熱用フィン72はそれぞれ高さが同一であるが、光学素子1においてTは光路と平行な方向(図中、x軸方向)に進むにつれて小さくなっているため、複数の放熱用フィン72の設置密度が光路と平行な方向(図中、x軸方向)に進むにつれて大きくなるように変化している。図8に示される複数の放熱用フィン72が設けられた光学素子用マウント71を備えた光デバイス70でも、複数の放熱用フィン72の設置密度を調整することにより、所望の温度分布を光学素子1に与えることができる。
図8に示される光デバイス70の特性を調べたところ、従来のように恒温装置のみにより光学素子1の温度を一定に制御した場合に比して、半波長変調電圧、偏向振れ角、高周波電圧印加特性といったデバイス特性に対して、向上もしくは改善が認められた。ここでは、光路と平行な方向(図中、x軸方向)にNbとTaの組成分布が存在している場合について説明したが、y軸方向にNbとTaの組成分布が存在している場合は、光学素子用マウント71上の放熱用フィン72の配列方向を光学素子用マウント71表面上で90度回転すればよい。
次に、図9を用いて、本発明の実施例2に係る光学素子用マウントを備えた光デバイスにおいて、光学素子1内に、上部電極2a及び下部電極2bの対向方向(図中、z軸方向)にNbとTaの組成分布が存在している場合について説明する。
図9に示される光デバイス80において、光学素子1は、光学素子1中央でT=40.0℃、上部電極2aとの接触面でT=39.7℃、下部電極2bとの接触面でT=40.3℃と、光学素子1全体で0.6℃単調変化を有する温度分布のものを使用した。
図9に示されるように、光学素子用マウント81の表面には、上部マウント81aのみに、光路と垂直な方向(図中、y軸方向)に放熱面積が同一の複数の放熱用フィン82がストライプ状に配置されている。複数の放熱用フィン82の設置密度を調整することにより、光学素子1の温度分布が光学素子1のTの温度分布と一致するように複数の放熱用フィン82全体の放熱量を変化させることができる。光学素子1は、光学素子1中央でT=40.0℃、上部電極2aとの接触面でT=39.7℃、下部電極2bとの接触面でT=40.3℃を有しているため、ここでは、光学素子1の温度が、光学素子1中央で40.0℃、上部電極2aとの接触面で39.7℃、下部電極2bとの接触面で40.3℃となるように複数の放熱用フィン82の設置密度を調整して複数の放熱用フィン82全体の放熱量を調整した。
光学素子1内に、上部電極2a及び下部電極2bの対向方向にNbとTaの組成分布が存在している場合について、図9に示される光デバイス80の特性を調べたところ、従来のように恒温装置のみにより光学素子1の温度を一定に制御した場合に比して、光学素子1の比誘電率が5%向上し、半波長変調電圧、偏向振れ角、高周波電圧印加特性といったデバイス特性に対して、向上もしくは改善が認められた。
(実施例3)
図10は、本発明の実施例3に係る光学素子用マウント91を備えた光デバイス90を示す。図10には、光学素子1と、光学素子1上に設けられた上部電極2a及び下部電極2bと、上部電極2a及び下部電極2b上にそれぞれ設けられた上部マウント91a及び下部マウント91bで構成される光学素子用マウント91とを備えた光デバイス90が示されている。ここでは、光学素子1内に、光路と平行な方向(図中、x軸方向)にNbとTaの組成分布が存在している場合について説明する。なお、図10で示される光デバイス90において、実施例1で上述した光デバイス20と同一の参照番号が付されている構成要素については、特に注記した部分を除き、同様の構成を有しているものとし、その説明は省略する。
図10に示される光デバイス90において、光学素子1は、光学素子1中央でT=45.0℃、入射端でT=46.0℃、出射端でT=44.0℃を有し、光学素子1全体で2℃単調変化を有する温度分布のものを使用した。
光学素子用マウント91は、上部電極2a及び下部電極2bが形成された光学素子1を固定する機能及び電圧印加機能を具備している。光デバイス90は、光学素子1の温度を一定に制御するための恒温装置(不図示)に設置され、恒温装置は、例えば光学デバイス90全体を覆う恒温槽とすることができる。あるいは、光学素子用マウント91に、ペルチエ素子に代表される恒温素子を組み込むことにより、光学素子1の温度を一定に制御してもよい。
本発明の実施例3に係る光学素子用マウント91の上部マウント91a及び下部マウント91bには、それぞれ高さが同一な棒状の複数の放熱用フィン92が設けられている。光学素子1において、Tは光路と平行な方向(図中、x軸方向)に進むにつれて小さくなっているため、図10に示される複数の放熱用フィン92の設置密度は、光路と平行な方向に進むにつれて大きくなるように変化させてある。図10に示される光デバイス90でも、複数の放熱用フィン92の設置密度を調整することにより、所望の温度分布を光学素子1に与えることができる。光学素子1は、光学素子1中央でT=45.0℃、入射端でT=46.0℃、出射端でT=44.0℃を有しているため、ここでは、光学素子1の温度が、光学素子1中央で45.0℃、入射端で46.0℃、出射端で44.0℃となるように、複数の放熱用フィン92の設置密度を調整して複数の放熱用フィン92全体の放熱量を調整した。
図10に示される光デバイス90の特性を調べたところ、従来のように恒温装置のみにより光学素子1の温度を一定に制御した場合に比して、半波長変調電圧、偏向振れ角、高周波電圧印加特性といったデバイス特性に対して、向上もしくは改善が認められた。ここでは、光路と平行な方向(図中、x軸方向)にNbとTaの組成分布が存在している場合について説明したが、y軸方向にNbとTaの組成分布が存在している場合は、光学素子用マウント91上の放熱用フィン92の配列方向を光学素子用マウント91表面上で90度回転すればよい。
次に、図11を用いて、本発明の実施例3に係る光学素子用マウントを備えた光デバイスにおいて、光学素子1内に、上部電極2a及び下部電極2bの対向方向(図中、z軸方向)にNbとTaの組成分布が存在している場合について説明する。
図11に示される光デバイス100において、光学素子1は、光学素子1中央でT=40.0℃、上部電極2aとの接触面でT=39.7℃、下部電極2bとの接触面でT=40.3℃と、光学素子1全体で0.6℃単調変化を有する温度分布のものを使用した。
図11に示される光デバイス100において、光学素子用マウント101の表面には、上部マウント101aのみに、それぞれ高さが同一な棒状の複数の放熱用フィン102が設けられている。複数の放熱用フィン102の設置密度を調整することにより、光学素子1の温度分布が光学素子1のTの温度分布と一致するように複数の放熱用フィン102全体の放熱量を変化させることができる。光学素子1は、光学素子1中央でT=40.0℃、上部電極2aとの接触面でT=39.7℃、下部電極2bとの接触面でT=40.3℃を有しているため、ここでは、光学素子1の温度が、光学素子1中央で40.0℃、上部電極2aとの接触面で39.7℃、下部電極2bとの接触面で40.3℃となるように複数の放熱用フィン102の設置密度を調整して複数の放熱用フィン102全体の放熱量を調整した。図11に示される光デバイス100でも、複数の放熱用フィン102の設置密度を調整することにより、所望の温度分布を光学素子1に与えることができる。
図11に示される光デバイス100の特性を調べたところ、従来のように恒温装置のみにより光学素子1の温度を一定に制御した場合に比して、半波長変調電圧、偏向振れ角、高周波電圧印加特性といったデバイス特性に対して、向上もしくは改善が認められた。
(実施例4)
図12は、本発明の実施例4に係る光学素子用マウントを備えた光デバイスを示す。図12には、光学素子1と、光学素子1上に設けられた上部電極2a及び下部電極2bと、上部電極2a及び下部電極2b上にそれぞれ設けられた上部マウント111a及び下部マウント111bで構成される光学素子用マウント111とを備えた光デバイス110が示されている。ここでは、光学素子1内に、光路と平行な方向(図中、x軸方向)にNbとTaの組成分布が存在している場合について説明する。なお、図12で示される光デバイス110において、実施例1で上述した光デバイス20と同一の参照番号が付されている構成要素については、特に注記した部分を除き、同様の構成を有しているものとし、その説明は省略する。
図12に示される光デバイス110において、光学素子1は、光学素子1中央でT=35.0℃、入射端でT=35.5℃、出射端でT=34.5℃を有し、光学素子1全体で1℃単調変化を有する温度分布のものを使用した。
光学素子用マウント111は、上部電極2a及び下部電極2bが形成された光学素子1を固定する機能及び電圧印加機能を具備している。光デバイス110は、光学素子1の温度を一定に制御するための恒温装置(不図示)に設置され、恒温装置は、例えば光学デバイス110全体を覆う恒温槽とすることができる。あるいは、光学素子用マウント111に、ペルチエ素子に代表される恒温素子を組み込むことにより、光学素子1の温度を一定に制御してもよい。
本発明の実施例4に係る光学素子用マウント111の上部マウント111a及び下部マウント111bは、光路と平行な方向(図中、x軸方向)に進むにつれて厚さが小さくなるようにくさび形に形成されている。くさび形の上部マウント111a及び下部マウント111bの厚さを調整することにより、光学素子1の温度分布が光学素子1のTの温度分布と一致するように、くさび形の上部マウント111a及び下部マウント111bの放熱量を調整した。光学素子1は、光学素子1中央でT=35.0℃、入射端でT=35.5℃、出射端でT=34.5℃を有しているため、ここでは、光学素子1の温度が、光学素子1中央で35.0℃、入射端で35.5℃、出射端で34.5℃となるように、くさび形の上部マウント111a及び下部マウント111bの厚さを調整してくさび形の上部マウント111a及び下部マウント111bの放熱量を調整した。
図12に示される光デバイス110の特性を調べたところ、従来のように、光学素子用マウントの厚さが一定であり、恒温装置のみにより光学素子1の温度が一定となるように制御した場合に比して、光学素子1の比誘電率が17%向上し、半波長変調電圧、偏向振れ角、高周波電圧印加特性といったデバイス特性に対して、向上もしくは改善が認められた。ここでは、光路と平行な方向(図中、x軸方向)にNbとTaの組成分布が存在している場合について説明したが、y軸方向にNbとTaの組成分布が存在している場合は、光学素子用マウント111のくさび形状の形成方向を90度回転すればよい。
次に、図13を用いて、本発明の実施例4に係る光学素子用マウントを備えた光デバイスにおいて、光学素子1内に、上部電極2a及び下部電極2bの対向方向(図中、z軸方向)にNbとTaの組成分布が存在している場合について説明する。
図13に示される光デバイス120において、光学素子1は、光学素子1中央でT=40.0℃、上部電極2aとの接触面でT=39.7℃、下部電極2bとの接触面でT=40.3℃と、光学素子1全体で0.6℃単調変化を有する温度分布のものを使用した。
図13に示される光デバイス120において、光学素子用マウント121は、上部マウント121aと下部マウント121bとが異なる厚さで構成されている。上部マウント121a及び下部マウント121bのそれぞれの厚さを調整することにより、光学素子1の温度分布が光学素子1のTの温度分布と一致するように、上部マウント121a及び下部マウント121bの放熱量を調整した。光学素子1は、光学素子1中央でT=40.0℃、上部電極2aとの接触面でT=39.7℃、下部電極2bとの接触面でT=40.3℃を有しているため、ここでは、光学素子1の温度が、光学素子1中央で40.0℃、上部電極2aとの接触面で39.7℃、下部電極2bとの接触面で40.3℃となるように、上部マウント121a及び下部マウント121bのそれぞれの厚さを調整して上部マウント111a及び下部マウント111bの放熱量を調整した。
図13に示される光デバイス120の特性を調べたところ、従来のように、光学素子用マウントの厚さが一定であり、恒温装置のみにより光学素子1の温度が一定となるように制御した場合に比して、光学素子の比誘電率が5%向上し、半波長変調電圧、偏向振れ角、高周波電圧印加特性といったデバイス特性に対して、向上もしくは改善が認められた。
なお、上記各実施例において、光学素子内に、光路と平行な方向にNbとTaの組成分布が存在している場合について、上部マウント及び下部マウントの両方にヒーター線等の温度調整機構を設けた構成を示したが、これに限定されず、上部マウンド及び下部マウントの何れか一方に温度調整機構を設けるように構成してもよい。
本発明に係る光学素子用マウントは、常誘電体−強誘電体相転移を有する結晶材料で作製された、相転移温度での物性を応用する光学素子を備えた光デバイスに適用することができるとともに、常誘電体−強誘電体相転移温度Tで著しい変化を有する電歪効果などを応用したデバイスにも適用することができる。
1 光学素子
2 電極
2a 上部電極
2b 下部電極
3、21〜121 光学素子用マウント
4a、4b 光学素子細分化部分
10〜120 光デバイス
21a〜121a 上部マウント
21b〜121b 下部マウント
22、32 ヒーター線
62、72、82、92、102 放熱用フィン

Claims (9)

  1. 常誘電体−強誘電体相転移を有する結晶材料で作製された、第1のマウント部及び第2のマウント部により光学素子を挟み込むことによって前記光学素子を固定する光学素子用マウントであって、
    前記第1のマウント部及び前記第2のマウント部の少なくとも一方は、前記光学素子の温度分布が前記光学素子における常誘電体−強誘電体相転移温度の温度分布と一致するように発熱又は放熱する温度調整機構を有することを特徴とする光学素子用マウント。
  2. 前記温度調整機構は、前記第1のマウント部及び前記第2のマウント部に設けられた複数のヒーター線であり、
    前記複数のヒーター線の各々に印加する電力をそれぞれ調整することにより、前記複数のヒーター線の発熱量を前記ヒーター線毎に変化させることを特徴とする請求項1に記載の光学素子用マウント。
  3. 前記温度調整機構は、前記第1のマウント部及び前記第2のマウント部に形成された複数のヒーター線であり、
    前記複数のヒーター線の各々に対して選択的に電力を印加することにより、電力が印加される前記ヒーター線の設置密度を場所毎に変化させることを特徴とする請求項1に記載の光学素子用マウント。
  4. 前記温度調整機構は、前記第1のマウント部又は前記第2のマウント部に設けられたヒーター線であり、
    前記ヒーター線に印加する電力を調整することにより、前記第1のマウント部又は前記第2のマウント部の一方を発熱させることを特徴とする請求項1に記載の光学素子用マウント。
  5. 前記温度調整機構は、前記第1のマウント部及び前記第2のマウント部に設けられた複数の放熱用フィンであり、
    前記複数の放熱用フィンの各々の放熱面積を前記放熱用フィン毎に変化させることにより、前記複数の放熱用フィンの各々の放熱量を前記放熱用フィン毎に変化させることを特徴とする請求項1に記載の光学素子用マウント。
  6. 前記温度調整機構は、前記第1のマウント部及び前記第2のマウント部に設けられた複数の放熱用フィンであり、
    前記複数の放熱用フィンの設置密度を場所毎に変化させることにより、前記複数の放熱用フィンの放熱量を場所毎に変化させることを特徴とする請求項1に記載の光学素子用マウント。
  7. 前記温度調整機構は、前記第1のマウント部又は前記第2のマウント部に形成された複数の放熱用フィンであり、
    前記複数の放熱用フィンの設置密度を調整することにより、前記第1のマウント部又は前記第2のマウント部の一方を放熱させることを特徴とする請求項1に記載の光学素子用マウント。
  8. 前記温度調整機構は、前記第1のマウント及び前記第2のマウントのそれぞれの厚さを場所毎に変化させることにより前記第1のマウント及び前記第2のマウントの放熱量を場所毎に変化させたくさび形の前記第1のマウント及び前記第2のマウントによって放熱を行なうことを特徴とする請求項1に記載の光学素子用マウント。
  9. 前記第1のマウント及び前記第2のマウントは互いに異なる厚さを有し、前記第1のマウント及び前記第2のマウントの厚さを調整することにより前記第1のマウント及び前記第2のマウントの放熱量が調整され、
    前記温度調整機構は、前記第1のマウント及び前記第2のマウントにより放熱を行なうことを特徴とする請求項1に記載の光学素子用マウント。
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