JP2014088930A - 十字軸式自在継手 - Google Patents
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Abstract
【課題】1対のヨーク同士の間に過大な荷重が加わった場合にも、各軸受カップ11cに亀裂等の損傷を発生し難くできる構造を実現する。
【解決手段】前記各軸受カップ11cの底板部15cの中央部に、これら各軸受カップ11cの外面側にドーム状に膨出する膨出部20を設ける。又、各軸部12の先端面21とこれら各軸受カップ11cの底板部15cの内面とのうちの一方の面の一部で前記膨出部20の開口部を囲む部分に環状突部22を設ける。そして、前記先端面21と前記底板部15cの内面とを、この環状突部22の先端部で当接させる。前記各軸受カップ11cと前記各軸部12との間に大きなスラスト荷重が加わった場合にも、前記底板部15cの中央部に大きな引っ張り応力が発生しない様にして、前記課題を解決できる。
【選択図】図1
【解決手段】前記各軸受カップ11cの底板部15cの中央部に、これら各軸受カップ11cの外面側にドーム状に膨出する膨出部20を設ける。又、各軸部12の先端面21とこれら各軸受カップ11cの底板部15cの内面とのうちの一方の面の一部で前記膨出部20の開口部を囲む部分に環状突部22を設ける。そして、前記先端面21と前記底板部15cの内面とを、この環状突部22の先端部で当接させる。前記各軸受カップ11cと前記各軸部12との間に大きなスラスト荷重が加わった場合にも、前記底板部15cの中央部に大きな引っ張り応力が発生しない様にして、前記課題を解決できる。
【選択図】図1
Description
この発明は、例えばステアリングシャフトの動きをステアリングギヤに伝達する為、自動車のステアリング装置に組み込んだ状態で使用する十字軸式自在継手の改良に関する。具体的には、十字軸式自在継手を構成する1対のヨーク同士の間に過大な荷重が加わった場合にも、構成部品に亀裂等の損傷を発生し難くできる構造を実現するものである。
自動車のステアリング装置は、例えば特許文献1の図8に記載されている如く、図6に示す様に構成している。運転者が操作するステアリングホイール1の動きは、ステアリングシャフト2、自在継手3a、中間シャフト4、別の自在継手3bを介して、ステアリングギヤユニット5の入力軸6に伝達される。そして、このステアリングギヤユニット5に内蔵したラック&ピニオン機構により左右1対のタイロッド7、7を押し引きし、左右1対の操舵輪(一般的には前輪)に、前記ステアリングホイール1の操作量に応じて、適切な舵角を付与する様に構成している。
この様なステアリング装置に組み込む自在継手として一般的には、カルダン継手と呼ばれる十字軸継手が、広く使用されている。図7〜8は、前記特許文献1の図9〜10に記載される等により、従来から広く知られている自在継手の第1例を示している。尚、図7〜8に示した構造は、振動の伝達を防止する、所謂防振継手であるが、本発明の対象となる自在継手は、必ずしも防振構造を具備する必要はない。そこで、以下の説明は、防振構造に就いては省略して、自在継手3の本体部分の構造に就いて行う。
この自在継手3は、十分な剛性を有する金属材によりそれぞれが二又状に形成された1対のヨーク8a、8bと、軸受鋼の如き合金鋼等の硬質金属により造られた十字軸9とから構成される。これら両ヨーク8a、8bの両端部には、互いに同心の円孔10、10を形成している。そしてこれら各円孔10、10に、やはり軸受鋼、肌焼鋼等の硬質金属製の板材により有底円筒状に造られた軸受カップ11、11を、互いの開口を対向させた状態で内嵌固定している。又、前記十字軸9は、1対の柱部の中間部同士を互いに直交させた如き形状を有し、それぞれが円柱状である、4箇所の軸部12、12を有する。即ち、中心部に設けた結合基部13の円周方向等間隔4箇所位置に、それぞれ前記各軸部12、12の基端部を結合固定している。これら各軸部12、12の中心軸は、同一平面上に存在する。
この様な各軸部12、12の軸方向中間部乃至先端部は、前記各軸受カップ11、11内に挿入している。そして、これら各軸受カップ11、11の内周面と前記各軸部12、12の先半部外周面との間に、それぞれ複数本のニードル14、14を組み込んでラジアルニードル軸受を構成し、前記十字軸9に対して前記両ヨーク8a、8bが、軽い力で揺動変位する様にしている。この様に構成する為、これら両ヨーク8a、8bの中心軸同士が一致しない状態でも、これら両ヨーク8a、8bの間で回転力の伝達を、伝達ロスを僅少に抑えた状態で行える。又、図7〜8に示した従来構造の第1例は、前記各軸受カップ11、11の底板部15の内面と前記各軸部12、12の先端部に形成した挿入孔16、16との間に合成樹脂製のピン17、17を、軸方向に弾性的に圧縮した状態で設けている。そして、前記両ヨーク8a、8bと前記十字軸9との間のがたつきを防止している。
又、前記特許文献1の図5及び特許文献2には、軸受カップ自身の弾性を利用する事により、上述の様なピン17、17を省略して、ヨークと十字軸との間のがたつきを抑える構造が記載されている。図9は、前記特許文献1の図5に記載された、従来構造の第2例を示している。この従来構造の第2例の場合には、各軸受カップ11aの底板部15aの内面中央部に、十字軸9を構成する各軸部12の先端面に向けて突出する、部分球面状の突部18を形成している。そして、自在継手を組み立てた状態で、これら各突部18の先端部を前記各軸部12の先端面に当接させている。この様な従来構造の第2例の場合には、上述した従来構造の第1例の様なピン17、17、及びこれら各ピン17、17を収納する為の挿入孔16、16を設ける必要がない分、低コスト化を図れる。
但し、上述の様な従来構造の第2例の場合も、前記各軸受カップ11aの損傷を防止して、自在継手の信頼性及び耐久性をより一層向上させる面からは、改良の余地がある。即ち、前記各軸受カップ11aを組み込んだ自在継手に加わる荷重が、通常運転時にステアリングホイール1(図6参照)からステアリングギヤユニット5の入力軸6に伝達するトルクに基づく程度の大きさであれば、特に問題を生じる事はない。これに対して、車両が極端な悪路を高速で走行したり、或いは、前輪を縁石に乗り上げる等により、前記ステアリングギヤユニット5や中間シャフト4を介して十字軸式自在継手に大きな衝撃荷重が加わると、前記各軸部12の先端面が前記突部18を強く押圧し、この突部18が押し潰される傾向になる。この結果、この突部18部分に大きな引っ張り応力が発生する。この様にして大きな引っ張り応力が繰り返し加わると、前記突部18を中心として、前記軸受カップ11aの底板部15aに、亀裂等の損傷が発生する可能性がある。
特許文献3には、合成樹脂製のピンを備えない構造で、自在継手の組立時に軸受カップに亀裂が発生するのを防止する構造が記載されている。図10は、前記特許文献3の図1に記載された、従来構造の第3例を示している。この従来構造の第3例の場合には、各軸受カップ11bの底板部15bの内面に、十字軸9を構成する各軸部12の先端面に向けて突出する環状突部19を形成している。そして、自在継手の組立作業時に、前記軸受カップ11b内に前記各軸部12を強く押し込み過ぎた場合には、図10の(B)に示す様に、底板部15bの内面外径寄り部分と前記各軸部12の先端面外径寄り部分を当接させる事により、前記底板部15bの弾性変形量を制限して、この底板部15bに亀裂が発生しない様にしている。
上述の様な従来構造の第3例の場合、前記底板部15bの弾性変形量を制限する事により、この底板部15bの亀裂発生を、多少は緩和できる。但し、この底板部15bが前記図10の(A)→(B)に示す様に弾性変形する結果、この底板部15bの中央部にかなり大きな応力が発生する事が、本発明者等の研究により分かった。従って、前記第3例の従来構造では、極端な悪路走行や縁石乗り上げに伴って加わる大きな荷重による、前記底板部15bの損傷防止効果は、必ずしも十分とは言えない。
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、1対のヨーク同士の間に過大な荷重が加わった場合にも、各軸受カップに亀裂等の損傷を発生し難くできる十字軸式自在継手を実現すべく発明したものである。
本発明の十字軸式自在継手は、1対のヨークと、4個の円孔と、4個の軸受カップと、十字軸とを備える。
このうちの1対のヨークは、それぞれを二股状に形成している。
又、前記各円孔は、これら両ヨークの両端部に、互いに同心に形成している。
又、前記各軸受カップは、それぞれが円筒部の軸方向一端部を底板部により塞いで成る有底円筒状であり、互いの開口を対向させた状態で、前記各円孔の内側に内嵌固定している。
又、前記十字軸は、結合基部の外周面に4本の軸部を放射状に固設して成る。そして、これら各軸部を前記各軸受カップ内に挿入した状態で、前記両ヨークと組み合わせている。
更に、前記各軸部の外周面と前記各軸受カップの内周面との間に、それぞれ複数本ずつのニードルを組み込んで、ラジアルニードル軸受を構成している。
このうちの1対のヨークは、それぞれを二股状に形成している。
又、前記各円孔は、これら両ヨークの両端部に、互いに同心に形成している。
又、前記各軸受カップは、それぞれが円筒部の軸方向一端部を底板部により塞いで成る有底円筒状であり、互いの開口を対向させた状態で、前記各円孔の内側に内嵌固定している。
又、前記十字軸は、結合基部の外周面に4本の軸部を放射状に固設して成る。そして、これら各軸部を前記各軸受カップ内に挿入した状態で、前記両ヨークと組み合わせている。
更に、前記各軸部の外周面と前記各軸受カップの内周面との間に、それぞれ複数本ずつのニードルを組み込んで、ラジアルニードル軸受を構成している。
特に、本発明の十字軸式自在継手に於いては、前記各軸受カップの底板部の中央部に、これら各軸受カップの外面側にドーム状に膨出する膨出部を設けている。
又、前記各軸部の先端面と前記各軸受カップの底板部の内面とのうちの一方の面に突部を設け、これら先端面と内面とを、前記膨出部の開口を囲む部分でのみ当接させている。即ち、前記各軸部の先端面に円形の突部を設けるか、或いは、これら各軸部の先端面と前記各軸受カップの底板部の内面とのうちの一方の面の一部で前記膨出部の開口を囲む部分に環状突部を設ける事により、これら先端面と内面とをこの膨出部の開口を囲む部分でのみ当接させる。
又、前記各軸部の先端面と前記各軸受カップの底板部の内面とのうちの一方の面に突部を設け、これら先端面と内面とを、前記膨出部の開口を囲む部分でのみ当接させている。即ち、前記各軸部の先端面に円形の突部を設けるか、或いは、これら各軸部の先端面と前記各軸受カップの底板部の内面とのうちの一方の面の一部で前記膨出部の開口を囲む部分に環状突部を設ける事により、これら先端面と内面とをこの膨出部の開口を囲む部分でのみ当接させる。
この様な本発明を実施する場合に、例えば請求項2に記載した発明の様に、前記突部を、前記各軸部の先端面と前記各軸受カップの底板部の内面とのうちの一方の面の一部で前記膨出部の開口を囲む部分に設けた環状突部とする。そして、前記各軸部及び前記各軸受カップの中心軸を含む仮想平面に関するこの環状突部の断面形状を、部分凸円弧状とする。
或いは、請求項3に記載した発明の様に、金属製の前記十字軸を構成する前記各軸部の先端部に合成樹脂製のスペーサを結合固定し、このスペーサに前記突部を設ける。
或いは、請求項3に記載した発明の様に、金属製の前記十字軸を構成する前記各軸部の先端部に合成樹脂製のスペーサを結合固定し、このスペーサに前記突部を設ける。
上述の様に構成する本発明によれば、1対のヨーク同士の間に過大な荷重が加わった場合にも、各軸受カップの底板部に大きな応力が生じる事を防止できて、この底板部に亀裂等の損傷を発生し難くできる。
即ち、本発明の十字軸式自在継手を構成する前記各軸受カップの場合、十字軸を構成する各軸部から前記底板部に大きなスラスト荷重が加わった場合でも、この底板部の中央部に存在する膨出部が弾性変形する事でこのスラスト荷重を吸収する。この弾性変形の範囲は広く、弾性変形量を十分に確保できる為、前記底板部の一部に、亀裂に結び付く程に大きな引っ張り応力が生じる事はない。
この様に本発明の構造は、前記各軸受カップの底板部に生じる引っ張り応力を低く抑えて、この底板部に亀裂等の損傷が発生し難くできる。
即ち、本発明の十字軸式自在継手を構成する前記各軸受カップの場合、十字軸を構成する各軸部から前記底板部に大きなスラスト荷重が加わった場合でも、この底板部の中央部に存在する膨出部が弾性変形する事でこのスラスト荷重を吸収する。この弾性変形の範囲は広く、弾性変形量を十分に確保できる為、前記底板部の一部に、亀裂に結び付く程に大きな引っ張り応力が生じる事はない。
この様に本発明の構造は、前記各軸受カップの底板部に生じる引っ張り応力を低く抑えて、この底板部に亀裂等の損傷が発生し難くできる。
[実施の形態の第1例]
図1は、請求項1にのみ対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、本例を含めて本発明の特徴は、ラジアルニードル軸受を構成する各軸受カップ11cの底板部15cの形状と、この底板部15cの内面と十字軸9aの各軸部12aの先端面21との当接状態とを適切に規制して、過大荷重の作用に拘らず、前記各軸受カップ11cの損傷を抑える点にある。その他の部分の構成及び作用は、前述した従来から知られている十字軸式自在継手と同様であるから、同等部分に関する図示並びに説明は、省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
図1は、請求項1にのみ対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、本例を含めて本発明の特徴は、ラジアルニードル軸受を構成する各軸受カップ11cの底板部15cの形状と、この底板部15cの内面と十字軸9aの各軸部12aの先端面21との当接状態とを適切に規制して、過大荷重の作用に拘らず、前記各軸受カップ11cの損傷を抑える点にある。その他の部分の構成及び作用は、前述した従来から知られている十字軸式自在継手と同様であるから、同等部分に関する図示並びに説明は、省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
本例の十字軸式自在継手を構成する各軸受カップ11cは、その底板部15cの中央部に、膨出部20を形成している。この膨出部20は、これら各軸受カップ11cを構成する金属板を塑性変形させて成るもので、これら各軸受カップ11cの外面側にドーム状(部分球状)に膨出している。
又、前記十字軸9aを構成する各軸部12aの先端面21に、環状突部22を形成している。この環状突部22の外径Dは、前記底板部15cの内面側に存在する前記膨出部20の開口部の内径Rよりも大きい(D>R)。従って、本例の十字軸式自在継手を組み立てた状態で、前記環状突部22の先端面と前記底板部15cの内面とは、前記膨出部20の開口部を囲む部分で当接する。一方、前記環状突部22の内径rは、この膨出部20の開口部の内径R以下(r≦R)とする。但し、この環状突部22の内径rは、この膨出部20の開口部の内径R以下の範囲であれば特に規制しない。従って、この内径rを0(r=0)とする、即ち、前記各軸部12aの先端面21に円形の突部を設ける事で、この先端面21と前記底板部15cの内面とを、前記膨出部20の開口部を囲む部分で当接する様に構成する事もできる。
又、前記十字軸9aを構成する各軸部12aの先端面21に、環状突部22を形成している。この環状突部22の外径Dは、前記底板部15cの内面側に存在する前記膨出部20の開口部の内径Rよりも大きい(D>R)。従って、本例の十字軸式自在継手を組み立てた状態で、前記環状突部22の先端面と前記底板部15cの内面とは、前記膨出部20の開口部を囲む部分で当接する。一方、前記環状突部22の内径rは、この膨出部20の開口部の内径R以下(r≦R)とする。但し、この環状突部22の内径rは、この膨出部20の開口部の内径R以下の範囲であれば特に規制しない。従って、この内径rを0(r=0)とする、即ち、前記各軸部12aの先端面21に円形の突部を設ける事で、この先端面21と前記底板部15cの内面とを、前記膨出部20の開口部を囲む部分で当接する様に構成する事もできる。
上述の様に構成する本例の十字軸式自在継手によれば、1対のヨーク8a、8b(図7参照)同士の間に過大な荷重が加わった場合にも、前記各軸受カップ11cの底板部15cに大きな応力が生じる事を防止できて、この底板部15cに亀裂等の損傷を発生し難くできる。この点に就いて、以下に説明する。
極端な悪路走行や縁石乗り上げに伴って前記十字軸式自在継手に大きな荷重が入力されると、この荷重は、前記各軸受カップ11cの底板部15cと前記各軸部12aの先端面21との間に、大きなスラスト荷重として加わる。そして、このスラスト荷重は、前記環状突部22の先端面と前記底板部15cの内面との当接部に作用し、この底板部15cを弾性変形させる。この底板部15cの中央部には前記ドーム状の膨出部20が存在するので、この底板部15cの弾性変形分のうちの多くの部分は、この膨出部20の弾性変形分となる。具体的には、前記各軸部12aの先端面21が前記底板部15cの内面のうちの、前記膨出部20の周囲部分を押す事で、この膨出部20が、曲率半径を大きくする(平坦に近くなる)方向に弾性変形し、前記スラスト荷重を吸収する。この弾性変形の範囲は広く、弾性変形量を十分に確保できる為、前記底板部15cの一部に、亀裂に結び付く程に大きな引っ張り応力が生じる事はない。
この結果、前記大きな荷重が入力された場合でも、前記各軸受カップ11cの底板部15cに生じる引っ張り応力を低く抑えて、この底板部15cに亀裂等の損傷が発生し難くできる。
尚、図示の例では、前記環状突部22の先端面は平坦面としているが、前記各軸部12及び前記各軸受カップ11cの中心軸を含む仮想平面に関する前記環状突部22の断面形状を、部分凸円弧状とする事もできる。部分凸円弧状とする事で、この環状突部22の先端部と前記各軸部12aの先端面21との当接部に潤滑剤を入り込み易くして、この当接部の摩擦抵抗を低減し、十字軸式自在継手のトルク損失を低く抑えられる。
尚、図示の例では、前記環状突部22の先端面は平坦面としているが、前記各軸部12及び前記各軸受カップ11cの中心軸を含む仮想平面に関する前記環状突部22の断面形状を、部分凸円弧状とする事もできる。部分凸円弧状とする事で、この環状突部22の先端部と前記各軸部12aの先端面21との当接部に潤滑剤を入り込み易くして、この当接部の摩擦抵抗を低減し、十字軸式自在継手のトルク損失を低く抑えられる。
[実施の形態の第2例]
図2は、請求項1、2に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の十字軸式自在継手の場合には、軸受カップ11dの底板部15dの内面のうちで、膨出部20の開口部を囲む部分に、環状突部22aを形成している。この環状突部22aは、前記軸受カップ11dを構成する金属板にコイニング等の塑性加工を施す事により形成したもので、部分凸円弧状の断面形状を有する。
前記底板部15dの側に前記環状突部22aを形成した事に伴って、十字軸9の各軸部12の先端面21aは、単なる平坦面としている。
その他の部分の構成及び作用は、上述した実施の形態の第1例と同様であるから、重複する説明は省略する。
図2は、請求項1、2に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の十字軸式自在継手の場合には、軸受カップ11dの底板部15dの内面のうちで、膨出部20の開口部を囲む部分に、環状突部22aを形成している。この環状突部22aは、前記軸受カップ11dを構成する金属板にコイニング等の塑性加工を施す事により形成したもので、部分凸円弧状の断面形状を有する。
前記底板部15dの側に前記環状突部22aを形成した事に伴って、十字軸9の各軸部12の先端面21aは、単なる平坦面としている。
その他の部分の構成及び作用は、上述した実施の形態の第1例と同様であるから、重複する説明は省略する。
[実施の形態の第3例]
図3は、請求項1、3に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の十字軸式自在継手の場合には、金属製の十字軸9bを構成する各軸部12bの先端部に合成樹脂製のスペーサ23を、接着、嵌合等により結合固定している。そして、このスペーサ23に環状突部22bを設けている。尚、この環状突部22bの断面形状に関しても、部分凸円弧状とする事ができる。又、前記スペーサ23を構成する合成樹脂としては、耐油性、耐圧縮性を有するものを使用する。
その他の部分の構成及び作用は、前述した実施の形態の第1例と同様であるから、重複する説明は省略する。
図3は、請求項1、3に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の十字軸式自在継手の場合には、金属製の十字軸9bを構成する各軸部12bの先端部に合成樹脂製のスペーサ23を、接着、嵌合等により結合固定している。そして、このスペーサ23に環状突部22bを設けている。尚、この環状突部22bの断面形状に関しても、部分凸円弧状とする事ができる。又、前記スペーサ23を構成する合成樹脂としては、耐油性、耐圧縮性を有するものを使用する。
その他の部分の構成及び作用は、前述した実施の形態の第1例と同様であるから、重複する説明は省略する。
本発明の効果を確認する為に行ったシミュレーションに就いて説明する。このシミュレーションは、図4の(a)〜(e)に示した5種類の構造に就いて行った。この5種類の構造うち、(a)の構造は、前述の図9に示した従来構造の第2例に、(b)の構造は図10に示した従来構造の第3例に、(c)は前述の図1に示した本発明の実施の形態の第1例に、(d)は図2に示した実施の形態の第2例に、(e)は図3に示した実施の形態の第3例に、それぞれ対応する。各構造で共通する仕様は、次の通りである。
軸受カップを構成する金属板の厚さ : 1.2mm
この金属板の材質 : S10C(JIS G 4051)
軸受カップの外径 : 16mm
図4の(b)〜(e)の構造で、環状突部の内径 : (b)(c)(e)の場合2.5mm、(d)の場合3.7mm
同じく外径 : (b)(c)(e)の場合4.5mm、(d)の場合3.7mm(線接触)
図4の(c)〜(e)の構造で、膨出部の開口部の内径 : 3.0mm
荷重負荷の条件 : 軸受カップの円筒部を保持固定した状態で、この軸受カップの底板部内面を、十字軸の軸部と同径の押圧治具により、1000Nのスラスト荷重で押圧
軸受カップを構成する金属板の厚さ : 1.2mm
この金属板の材質 : S10C(JIS G 4051)
軸受カップの外径 : 16mm
図4の(b)〜(e)の構造で、環状突部の内径 : (b)(c)(e)の場合2.5mm、(d)の場合3.7mm
同じく外径 : (b)(c)(e)の場合4.5mm、(d)の場合3.7mm(線接触)
図4の(c)〜(e)の構造で、膨出部の開口部の内径 : 3.0mm
荷重負荷の条件 : 軸受カップの円筒部を保持固定した状態で、この軸受カップの底板部内面を、十字軸の軸部と同径の押圧治具により、1000Nのスラスト荷重で押圧
上述の様な条件で各試料にスラスト荷重を加え、それぞれの試料の底板部の外面中心部に生じる引っ張り応力の最大値を求めた。その結果を、以下に示すと共に、図5にプロットした。
図4の(a)の構造 : 1263MPa
同(b)の構造 : 400MPa
同(c)の構造 : 37MPa
同(d)の構造 : 26MPa
同(e)の構造 : 32MPa
上述の様なシミュレーションの結果から、本発明の構造は、軸受カップの底板部に生じる引っ張り応力の最大値を低く抑えて、この底板部に亀裂等の損傷が発生し難くできる事を確認できた。
図4の(a)の構造 : 1263MPa
同(b)の構造 : 400MPa
同(c)の構造 : 37MPa
同(d)の構造 : 26MPa
同(e)の構造 : 32MPa
上述の様なシミュレーションの結果から、本発明の構造は、軸受カップの底板部に生じる引っ張り応力の最大値を低く抑えて、この底板部に亀裂等の損傷が発生し難くできる事を確認できた。
本発明の十字軸式自在継手は、自動車のステアリング装置用以外の用途で実施する事も可能である。この場合には、用途に応じた材料、寸法で実施する。
1 ステアリングホイール
2 ステアリングシャフト
3、3a、3b 自在継手
4 中間シャフト
5 ステアリングギヤユニット
6 入力軸
7 タイロッド
8a、8b ヨーク
9、9a、9b 十字軸
10 円孔
11、11a、11b、11c、11d 軸受カップ
12、12a、12b 軸部
13 結合基部
14 ニードル
15、15a、15b、15c、15d 底板部
16 挿入孔
17 ピン
18 突部
19 環状突部
20 膨出部
21、21a 先端面
22、22a、22b 環状突部
23 スペーサ
2 ステアリングシャフト
3、3a、3b 自在継手
4 中間シャフト
5 ステアリングギヤユニット
6 入力軸
7 タイロッド
8a、8b ヨーク
9、9a、9b 十字軸
10 円孔
11、11a、11b、11c、11d 軸受カップ
12、12a、12b 軸部
13 結合基部
14 ニードル
15、15a、15b、15c、15d 底板部
16 挿入孔
17 ピン
18 突部
19 環状突部
20 膨出部
21、21a 先端面
22、22a、22b 環状突部
23 スペーサ
Claims (3)
- それぞれが二股状に形成された1対のヨークと、これら両ヨークの両端部に互いに同心に形成された4個の円孔と、互いの開口を対向させた状態でこれら各円孔の内側に内嵌固定された、それぞれが円筒部の軸方向一端部を底板部により塞いで成る有底円筒状の4個の軸受カップと、結合基部の外周面に4本の軸部を放射状に固設して成り、これら各軸部をこれら各軸受カップ内に挿入した状態で前記両ヨークと組み合わされた十字軸と、これら各軸部の外周面とこれら各軸受カップの内周面との間に設けられた4組のラジアルニードル軸受とを備えた十字軸式自在継手に於いて、前記各軸受カップの底板部の中央部に、これら各軸受カップの外面側にドーム状に膨出する膨出部を設けると共に、前記各軸部の先端面と前記各軸受カップの底板部の内面とのうちの一方の面に突部を設け、これら先端面と内面とを、前記膨出部の開口を囲む部分でのみ当接させた事を特徴とする十字軸式自在継手。
- 前記突部が、前記各軸部の先端面と前記各軸受カップの底板部の内面とのうちの一方の面の一部で、前記膨出部を囲む部分に設けた環状突部であり、前記各軸部及び前記各軸受カップの中心軸を含む仮想平面に関するこの環状突部の断面形状が、部分凸円弧状である、請求項1に記載した十字軸式自在継手。
- 金属製の前記十字軸を構成する前記各軸部の先端部に合成樹脂製のスペーサを結合固定し、このスペーサに前記突部を設けている、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載した十字軸式自在継手。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012239884A JP2014088930A (ja) | 2012-10-31 | 2012-10-31 | 十字軸式自在継手 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2012239884A JP2014088930A (ja) | 2012-10-31 | 2012-10-31 | 十字軸式自在継手 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2014088930A true JP2014088930A (ja) | 2014-05-15 |
Family
ID=50790986
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012239884A Pending JP2014088930A (ja) | 2012-10-31 | 2012-10-31 | 十字軸式自在継手 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2014088930A (ja) |
-
2012
- 2012-10-31 JP JP2012239884A patent/JP2014088930A/ja active Pending
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