JP2014088584A - 連続溶融金属めっき装置および溶融金属めっき鋼板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】スプラッシュによる外観欠陥がなく、かつドロスの発生を抑制することができ、美麗な薄めっき鋼板を製造することができる連続溶融金属めっき装置および溶融金属めっき鋼板の製造方法を提供する。
【解決手段】非酸化性雰囲気下において、溶融金属をスリットダイ3から回転するロール2へ供給し、該ロール2と連続的に走行する鋼板1とを接触させて前記溶融金属を鋼板表面にめっきする連続溶融金属めっき装置において、前記ロール2の直径が250mm以下であり、該ロール2から鋼板1へ塗布されずにロール2上に残った溶融金属を掻き取る掻き取り装置4を備えることを特徴とする連続溶融金属めっき装置。
【選択図】図1
【解決手段】非酸化性雰囲気下において、溶融金属をスリットダイ3から回転するロール2へ供給し、該ロール2と連続的に走行する鋼板1とを接触させて前記溶融金属を鋼板表面にめっきする連続溶融金属めっき装置において、前記ロール2の直径が250mm以下であり、該ロール2から鋼板1へ塗布されずにロール2上に残った溶融金属を掻き取る掻き取り装置4を備えることを特徴とする連続溶融金属めっき装置。
【選択図】図1
Description
本発明は、走行する帯状の鋼板に連続して溶融金属めっきする際の、連続溶融金属めっき装置および溶融金属めっき鋼板の製造方法に関する。
従来、鋼板の溶融金属めっき、例えば鋼板に連続的に亜鉛めっきを施す場合には、付着量を制御するためにガスワイピング法が行なわれている。図5に示すように、めっき槽11に保持された溶融亜鉛12中にスナウト10内から鋼板1を連続的に供給し、シンクロール13を介して鋼板を連続的に上方に引上げ、ガスワイピングノズル14により、めっき厚みを制御する。
ガスワイピングノズル14を利用する方法では、ガスワイピングノズル14から加熱、又は常温の気体を吐出させ、鋼板1の表面に吹付けることにより、該鋼板面に付着して引き上げられてくる溶融亜鉛12をワイピングし、所要の付着量に制御している。このガスワイピング法は現在幅広く用いられている方法である。
しかしながら、上記ガスワイピング法では、少ない付着量を得るためにガスワイピングノズルのガス衝突圧力を上げると、ガス衝突圧力増加によりスプラッシュと呼ばれる溶融亜鉛の飛散が起こり、それが鋼板表面に再付着することで外観欠陥となる。また、ガス衝突圧力を上げるとガスワイピングノズルからの空気と亜鉛とが反応し、亜鉛めっき浴表面に塊(ドロス)となって溜まる。これが鋼板表面に付着し、欠陥となる。また、ガス衝突圧力を上げると鋼板の反りや振動があり、ノズルと鋼板間の距離を近づけることが困難なため、めっき付着量は30g/m2程度が現状の限界である。
上記のようなガスワイピング法の課題を解決するために、特許文献1には、燃焼廃ガスにより鋼板温度を上げワイピングする方法が開示されている。また、特許文献2には、電磁力を用いた方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1の方法では、燃焼廃ガスを用いても結局はガス衝突圧力によるワイピングであり、スプラッシュの発生が問題となる。また、特許文献2の方法では、めっき付着量10〜25g/m2の薄めっき鋼板を得るためには大電流を流す必要があり、鋼板が加熱されてしまうといった問題がある。また、鋼板が加熱された際の温度分布は均一とはなっておらず、新たなめっき欠陥を生じるといった問題も挙げられる。また、いずれの方法においても、溶融亜鉛を保持する亜鉛めっき浴内を鋼板が通過する際に、鉄と亜鉛の反応により亜鉛めっき浴内部に反応物がドロスとなって介在し、シンクロールへの付着、鋼板表面への付着により欠陥を生じるという問題もある。
本発明は、かかる事情に鑑み、スプラッシュによる外観欠陥がなく、かつドロスの発生を抑制することができ、美麗な薄めっき鋼板を製造することができる連続溶融金属めっき装置および溶融金属めっき鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、スリットダイへの亜鉛の供給量を予め制御することで鋼板へめっきする溶融金属の量を調整し、連続回転するロールへ供給するとともに、連続的に回転するロールを介して連続走行する鋼板へ薄膜状態の溶融金属のめっきを行うことにより、スプラッシュによる外観欠陥がなく、かつドロスの発生を抑制することができ、美麗な薄めっき鋼板を製造することができることを見出した。本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]非酸化性雰囲気下において、溶融金属をスリットダイから回転するロールへ供給し、該ロールと連続的に走行する鋼板とを接触させて前記溶融金属を鋼板表面にめっきする連続溶融金属めっき装置において、前記ロールの直径が250mm以下であり、該ロールから鋼板へ塗布されずにロール上に残った溶融金属を掻き取る掻き取り装置を備えることを特徴とする連続溶融金属めっき装置。
[2]前記ロールの表面は溝加工されていることを特徴とする[1]に記載の連続溶融金属めっき装置。
[3][1]または[2]に記載の連続溶融金属めっき装置を用いて連続的に走行する鋼板に溶融金属をめっきする溶融金属めっき鋼板の製造方法において、前記ロールの周速度は、前記ロールの回転方向が前記鋼板の走行方向に対して逆方向の場合は前記鋼板の速度の60〜120%とし、前記ロールの回転方向が前記鋼板の走行方向と同一の場合は前記鋼板の速度の95〜105%とすることを特徴とする溶融金属めっき鋼板の製造方法。
[4]前記スリットダイおよび前記ロールをそれぞれ所定の温度に加熱することを特徴とする[3]に記載の溶融金属めっき鋼板の製造方法。
[1]非酸化性雰囲気下において、溶融金属をスリットダイから回転するロールへ供給し、該ロールと連続的に走行する鋼板とを接触させて前記溶融金属を鋼板表面にめっきする連続溶融金属めっき装置において、前記ロールの直径が250mm以下であり、該ロールから鋼板へ塗布されずにロール上に残った溶融金属を掻き取る掻き取り装置を備えることを特徴とする連続溶融金属めっき装置。
[2]前記ロールの表面は溝加工されていることを特徴とする[1]に記載の連続溶融金属めっき装置。
[3][1]または[2]に記載の連続溶融金属めっき装置を用いて連続的に走行する鋼板に溶融金属をめっきする溶融金属めっき鋼板の製造方法において、前記ロールの周速度は、前記ロールの回転方向が前記鋼板の走行方向に対して逆方向の場合は前記鋼板の速度の60〜120%とし、前記ロールの回転方向が前記鋼板の走行方向と同一の場合は前記鋼板の速度の95〜105%とすることを特徴とする溶融金属めっき鋼板の製造方法。
[4]前記スリットダイおよび前記ロールをそれぞれ所定の温度に加熱することを特徴とする[3]に記載の溶融金属めっき鋼板の製造方法。
本発明によれば、スプラッシュによる外観欠陥がなく、かつドロスの発生を抑制することができ、美麗な薄めっき鋼板を製造することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る連続溶融金属めっき装置を示す。図1において、1は鋼板、2はロール、3はスリットダイ、4はブレード、5はめっき槽、6はめっき液供給装置、7は加熱装置、8はシール装置、9はシールチャンバーである。鋼板1は、非酸化性ガスが導入されているシールチャンバー内を連続的に走行する。非酸化性ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガス等が使用できる。溶融金属は、加熱装置7により加熱されたスリットダイ3からロール2へ供給され、ロール2により鋼板表面にめっきが施される。ブレード4は、ロール上に残存する余分な溶融金属を掻き落とし、掻き落とされた溶融金属はめっき槽5へ回収される。こうして掻き落とされた余分な溶融金属は再利用される。めっき液の供給にはめっき液供給装置6を用いた。めっき液供給装置6は、めっき槽5内の溶融金属の移送が可能な軸流ポンプを有している。めっき液供給装置6は、軸流ポンプの回転数を制御することにより、スリットダイ3へのめっき液の供給量を制御する。また、溶融金属表面の酸化を抑えるため、シール装置7により、シールチャンバー8内の酸素濃度は0.1vol%以内に抑えられている。
鋼板1とロール2との配置関係については、図1は縦型両面めっきとなっているが、横型で片面ずつめっきするタイプにも適用できる。両面同時にめっきする場合は、鋼板張力によりロール押し付け力を調整できるようめっきする位置をずらすことが好ましい。
各ロールの回転方向について、図1では接触部において鋼板の走行方向と逆方向に回転する逆回転であるが、図2に示すように鋼板の走行方向と同一の方向で回転する場合でもめっきすることができる。ロールの材質については、溶融金属の腐食や熱に耐えられるステンレス鋼(以下、SUSと称する。)やセラミック、ステライト合金等の剛体ロールが好ましい。
本発明者らは、図1に示す連続溶融金属めっき装置を用いて、鋼板へ溶融金属を塗布するロールの直径とめっき後の付着量ムラとの関係について調べた。鋼板の走行速度は100mpmとし、板厚0.6mmの冷延鋼板を用いた。溶融金属には亜鉛を用いた。スリットダイから供給する亜鉛の供給量が15g/m2となるように、めっき供給装置6からの亜鉛の送液量を調整した。スリットダイはSUS製のものを用い、ノズル出口における開口部の長さは100μm、スリットダイ先端部とロールとの間のギャップを50μmに設定した。また、スリットダイの温度は460℃に保持した。鋼板へ溶融亜鉛を塗布するロールにはSUS製のロールを用い、ロールの表面温度は460℃となるよう調整した。ブレードは板厚0.2mmのSUS製のものを用いた。また、めっき槽5の周囲にヒーターを設置するとともにめっき槽5内に温度計を設置し、槽内の温度が460℃となるように調整した。
図3に、ロール直径とめっき後の付着量ムラとの関係を示す。ここで、付着量ムラは、塗布後の鋼板について搬送方向および幅方向3mmの領域を10μmピッチで付着量を測定し、測定値の最大値と最小値の差より算出した。走行方向および幅方向からそれぞれ3mm×3mmのサンプルを複数箇所から採取し、3mm×3mmの領域内で幅方向、走行方向ともに10μm毎に付着量を測定し、測定データの最大値と最小値の差=付着量ムラとして算出した。測定方法については、めっき後の鋼帯における幅方向3mm、走行方向3mmの領域内を10μmピッチでEPMA(Electron Probe(X−ray) Micro Analyzer)を用いて亜鉛の強度を測定し、予め作成した検量線により付着量に換算した。
発明者らは、めっき後の外観について目視により確認した。その結果、目標付着量に対し付着量ムラが5%超えとなる場合には、鋼板表面に微小な凹凸が目視により確認された。このことから、図3に示すように、ロール直径を250mm以下にすると、付着量ムラが目標付着量に対し5%未満となる0.75g/m2未満となり、均一な塗布が可能となることが明らかとなった。ロール直径が大きい場合には、ロールと鋼板間のメニスカス部における溶融金属の接触量が多くなってしまうため、メニスカス部の振動が顕著となり、付着量ムラが発生したと考えられる。ロールの直径を小径化することでメニスカス部の振動が低減し、その結果、ロールの直径を250mm以下とすると、ほぼ振動の発生はなく、均一にめっきされていると考えられる。ロール径を250mm以下と小さくすることで鋼板との接触長を短くでき、また、接触部に溜まる溶融金属メニスカスの曲率半径を小さくすることができるため、メニスカスの振動周波数を高めることが可能となり、その結果、スジムラのピッチを細かくできる。
従来方式においては、溶融金属を保持するめっき浴内を鋼板が通過するため鉄と溶融金属の反応によりめっき浴内部に反応物がドロスとなって介在し、ロールへの付着および鋼板表面への付着により欠陥を生じる問題があった。本発明では、めっき槽から溶融金属をスリットダイへ供給後、ロールを介して鋼板へ供給することにより、先に述べた鉄と溶融金属の反応を回避することが可能である。このため、ドロスを発生させることなく、ドロス起因の欠陥を防止することが可能である。
本発明において、鋼板へ塗布後ロール表面に残った余分な溶融金属を掻き取るために、掻き取り装置を備えることを特徴とする。鋼板に塗布されずにロールに残った溶融金属が、スリットダイとロールとの間で形成されるメニスカス部に再度供給されると、スリットダイからのめっき量が変動するため、メニスカス形状を乱し安定供給の妨げになる。また、鋼板の板幅が変化することを踏まえて、通常、スリットダイおよびロールの幅は、鋼板の幅に比べ大きく設定する。このため、特に板幅エッジよりも広いところでめっき液がロール上へ残り、それが再度スリットダイへ供給されるとエッジ部分から幅方向への流れ込みが発生し、結果として付着量むらになってしまう可能性が高い。したがって、本発明のように、掻き取り装置を設けることにより、安定供給の妨げを回避することができる。掻き取り装置は、鋼板に塗布されずにロールに残った溶融金属がスリットダイに再供給される手前に取り付けられればよい。また、掻き取り装置は溶融金属が掻き取れればどのようなものでも良く、例えばブレードを設置する方法が簡易である。ブレードの素材は金属でもセラミックでも良く、460℃程度の高温状態でも均一な掻き取りが実施できればよい。
次に、スリットダイから供給された溶融金属を鋼板へ塗布する際に、めっきが均一となるロールの周速度の範囲について調べた。ロールを用いて溶融金属を鋼板に塗布する際に発生する代表的な欠陥として、ローピングと呼ばれるスジ状の模様が挙げられる。ローピングはロールと鋼板との接触部で発生し、鋼板上に残存する。ローピングの発生条件は塗布する溶融金属の物性、ロール周速度、鋼板の走行速度などに依存し、速度に関しては高速ほど発生しやすい。本発明者らは種々の実験により検討を行った結果、ロールの周速度を制御することにより、ローピングの発生がなくめっき外観が良好となる条件を見出した。
本発明において、鋼板の走行方向に対して逆方向でロールを回転させる場合には、ローピングの発生がなく均一なめっき外観を得るために、ロールの周速度を鋼板の走行速度の60%〜120%とすることが好ましい。より好ましくは80〜110%である。ロールの周速度を60%未満とすると、ローピングの発生が顕著となり均一なめっき状態を得られない。また、ロールの周速度を120%超えとすると、ロールと鋼板間のメニスカス部で周期的な振動が発生し、鋼板表面上で不均一なめっき状態となる。
鋼板の走行方向と同一方向でロールを回転させる場合、良好なめっき外観を得るために、ロールの周速度は鋼板の走行速度に対して95%〜105%とすることが好ましい。より好ましくは99%〜101%である。ロールの周速度が95%未満の場合には、鋼板との摩擦が増大し、擦り傷によるめっき外観欠陥が発生する。また、ロールの周速度が105%超えの場合、ロールと鋼板の接触後、ロール表面上に大部分の溶融金属が残存し、鋼板への溶融金属の塗布が不十分となり鋼板表面上に不めっきが発生する。また、同一方向での回転の場合、メニスカス部が不安定になりやすく、特にロールの回転速度が速いほどローピングが顕著に発生することからも、ロールの周速度は鋼板の走行速度に対して95%〜105%が好ましい。
鋼板へ溶融金属を塗布するロールについて、ロールの表面は溝加工されているロールを用いることが好ましい。表面が溝加工されているロールを用いる場合、溝の凹部に一定の溶融金属が入り込むため、鋼板に塗布される溶融金属量が一定となる。その結果、めっき付着量の変動が少なく、所望のめっき付着量を得ることができる。溝加工がない場合には、ロール偏芯の影響を受けやすいため、めっき付着量の変動が発生する場合がある。溝の形状は、回転する際に摩擦が低減できる周方向に線または斜線で彫刻することが好ましい。また、溝の容積は3cm3/m2以上となるよう彫刻することが好ましい。それより溝容積が小さいと摩擦が増大し擦れが発生しやすくなる。
本発明のスリットダイとしては、耐熱性を考慮すると、材質はSUS製が好ましい。また、ノズル出口の開口部の長さとしては、薄めっきに必要な供給量とスリット部の詰まり防止の両立を考慮した場合、100μm程度が好ましい。また、めっき槽としては、溶融金属を保持するために耐熱性のある材質であれば特に規定しないが、例えばSUS製のものが好ましい。
また、スリットダイとロールの温度は、いずれも溶融金属の融点以上とすることが好ましい。加熱方法は、スリットダイの表面およびロール表面を加熱できる方法であれば何でもよく、誘導加熱装置のほかに、雰囲気加熱、流体循環等が挙げられる。スリットダイの表面が溶融金属の融点以下になると、スリットダイのノズル出口にて溶融金属の詰まりが発生する。また、ロール表面が溶融金属の融点以下になると、ロール上の溶融金属は瞬時に凝固し、鋼板表面がめっきされない。
本発明のシール装置、シールチャンバーとしては、材質について特に限定されず、耐熱性とシール性が確保できればよい。
なお、本発明は、種々の溶融金属に適用することができる。
図4は、本発明の第2の実施形態を示す図である。めっき付着量制御をより向上させるために、図4に示すように、スリットダイ3とロール2との間に中間ロール15を設置している。中間ロール15を設置することにより、中間ロール15の速度次第で、中間ロール15から鋼板1へ供給される溶融金属量が変化する。すなわち、中間ロール15の速度制御により、鋼板に塗布される溶融金属量を制御することができ、その結果、めっき付着量制御をより向上させることができる。その際、中間ロール15においても鋼板に塗布されずにロールに残った溶融金属がスリットダイに再供給されるのを防ぐために、ブレード4を設置する必要がある。
以上より、本発明の連続溶融金属装置を用いて溶融金属めっきを行うことにより、従来法では困難であっためっき付着量10〜25g/m2の薄めっき鋼板を製造することができる。
以下の本発明例および比較例により、本発明を詳細に説明する。
本発明例として、図1に示した装置を用いて、板厚0.45mm、板幅200mmの鋼板に対して、亜鉛めっきを行い、めっき付着量およびめっき外観の評価を行った。スリットダイはSUS製のものを用い、ノズル出口における開口部の長さは100μm、スリットダイ先端部とロールとの間のギャップを50μmに設定した。また、スリットダイの温度は460℃に保持した。鋼板へ溶融亜鉛を塗布するロールにはSUS製のロールを用いた。また、ロールは、表面温度をコントロールできるよう内部より誘導加熱を行うジャケットロールを使用し、表面温度が460℃となるよう調整した。溶融金属は亜鉛(融点419.53℃)とし、Alを質量%で0.2%添加した亜鉛−Al浴を用いた。それ以外の条件は表1に示すとおりである。なお、ロールの回転方向は、鋼板の走行方向と同一の場合を正転、鋼板の走行方向と逆方向の場合を逆転としている。シールチャンバー内には窒素ガスを充填し、チャンバー内の酸素濃度は0.1vol%以内に制御した。
外観評価は、摺れ欠陥、スプラッシュ欠陥、スジ欠陥、不めっき、ドロス性欠陥により評価した。各評価基準は以下のとおりである。なお、めっき付着量はランダムに抽出した10箇所の付着量を重量法により測定し平均を算出した。めっき付着量としては、10〜25g/m2が望ましい。
(1)擦れ欠陥
鋼板外観を十分に明るい蛍光灯の下で目視確認し判定を行った。擦れのないものをなしとした。製品として問題にならない軽微な擦れについては微少とした。エッジ部の一部に発生した場合については少とした。エッジ部および幅方向の一部に発生した場合については中とした。幅方向全面に発生した場合については大とした。なし、微小、少のものを合格とした。
(2)スプラッシュ欠陥
鋼板エッジから200mmの位置に設置した100×100mmの捕集容器に付着したスプラッシュ量により評価した。スプラッシュ量の付着がないものをなしとした。スプラッシュ量が10g/分以下のものに関しては、微少とし、30g/分以上のものを多いとした。15g/分以下のものについては少とした。なし、微小を合格とした。
(3)スジ欠陥
鋼板外観を十分に明るい蛍光灯の下で目視確認し判定を行った。スジのないものをなしとした。製品として問題にならないほど軽微なスジについては微少とした。欠陥として認められる僅かなスジが一部に発生する場合は少、鋼板全面に発生する場合は中、鋼板全面に顕著なスジ模様が見られるものに関して多とした。なし、微小、少を合格とした。
(4)不めっき
鋼板の外観を十分に明るい蛍光灯の下で目視確認し、不めっきの発生していないものをなし、鋼板の幅方向エッジ部の極微小な領域に発生する場合には微小、エッジ部の一部に発生した場合を少、幅方向に中央部の微小領域に発生した場合を中、全面に発生した場合を大とした。なし、微小を合格とした。
(5)ドロス欠陥
鋼板外観を十分に明るい蛍光灯下で、走行方向に1m毎に鋼板を目視確認し、粒上の模様が50m毎に0個であればなし、3個未満であれば少、3個以上10個未満で中、10個以上で多とした。なし、少を合格とした。
(1)擦れ欠陥
鋼板外観を十分に明るい蛍光灯の下で目視確認し判定を行った。擦れのないものをなしとした。製品として問題にならない軽微な擦れについては微少とした。エッジ部の一部に発生した場合については少とした。エッジ部および幅方向の一部に発生した場合については中とした。幅方向全面に発生した場合については大とした。なし、微小、少のものを合格とした。
(2)スプラッシュ欠陥
鋼板エッジから200mmの位置に設置した100×100mmの捕集容器に付着したスプラッシュ量により評価した。スプラッシュ量の付着がないものをなしとした。スプラッシュ量が10g/分以下のものに関しては、微少とし、30g/分以上のものを多いとした。15g/分以下のものについては少とした。なし、微小を合格とした。
(3)スジ欠陥
鋼板外観を十分に明るい蛍光灯の下で目視確認し判定を行った。スジのないものをなしとした。製品として問題にならないほど軽微なスジについては微少とした。欠陥として認められる僅かなスジが一部に発生する場合は少、鋼板全面に発生する場合は中、鋼板全面に顕著なスジ模様が見られるものに関して多とした。なし、微小、少を合格とした。
(4)不めっき
鋼板の外観を十分に明るい蛍光灯の下で目視確認し、不めっきの発生していないものをなし、鋼板の幅方向エッジ部の極微小な領域に発生する場合には微小、エッジ部の一部に発生した場合を少、幅方向に中央部の微小領域に発生した場合を中、全面に発生した場合を大とした。なし、微小を合格とした。
(5)ドロス欠陥
鋼板外観を十分に明るい蛍光灯下で、走行方向に1m毎に鋼板を目視確認し、粒上の模様が50m毎に0個であればなし、3個未満であれば少、3個以上10個未満で中、10個以上で多とした。なし、少を合格とした。
比較例として、250mm超えのロール径を用い、それ以外は本発明例と同じ条件で行い、上記と同様の評価を行った。また、従来例として、図5に示した装置を用いて、上記と同様の評価を行った。従来例については、ガスワイピングノズルのスリット幅は1mm、ノズル−鋼板間距離は7mm、ノズル内圧力は80kPaとした。
結果を表1、表2に示す。
表1、表2に示すように、いずれの実施例も、従来よりも少ない付着量でめっき外観良好な結果となった。比較例では、上記いずれかの評価基準を満たさなかった。また、比較例では鋼板上にスジ状の模様が多く発生した。これはロールと鋼板との間でメニスカス部が不均一となったためと考えられる。また、従来例では、溶融金属のスプラッシュ欠陥が発生し、めっき付着量を削減できなかった。
次に、溶融亜鉛を鋼板へ塗布するロールの溝加工の有無を検討した。溝加工は深さ65μm、溝容積は30cm3/m2、ロール周方向に対して斜め45°の斜線彫刻ロールを用いた。スリットダイへの亜鉛の供給量が15g/m2となるようにめっき液供給装置の送液量を調整した。すなわち、付着量15g/m2目標でめっきを行った。鋼板長手方向50m刻みで付着量測定を実施した。測定した付着量から、標準偏差および平均付着量を算出した。その他の条件は実施例1と同様である。結果を表3に示す。
溝加工がない場合は、標準偏差が大きく、付着量の変動が大きいといえる。一方で、溝加工がある場合は、標準偏差が小さく、付着量の変動が抑制されているといえる。
1 鋼板
2 ロール
3 スリットダイ
4 ブレード
5 めっき槽
6 めっき液供給装置
7 加熱装置
8 シール装置
9 シールチャンバー
10 スナウト
11 めっき槽
12 溶融亜鉛
13 シンクロール
14 ガスワイピングノズル
15 中間ロール
2 ロール
3 スリットダイ
4 ブレード
5 めっき槽
6 めっき液供給装置
7 加熱装置
8 シール装置
9 シールチャンバー
10 スナウト
11 めっき槽
12 溶融亜鉛
13 シンクロール
14 ガスワイピングノズル
15 中間ロール
Claims (4)
- 非酸化性雰囲気下において、溶融金属をスリットダイから回転するロールへ供給し、該ロールと連続的に走行する鋼板とを接触させて前記溶融金属を鋼板表面にめっきする連続溶融金属めっき装置において、前記ロールの直径が250mm以下であり、該ロールから鋼板へ塗布されずにロール上に残った溶融金属を掻き取る掻き取り装置を備えることを特徴とする連続溶融金属めっき装置。
- 前記ロールの表面は溝加工されていることを特徴とする請求項1に記載の連続溶融金属めっき装置。
- 請求項1または2に記載の連続溶融金属めっき装置を用いて連続的に走行する鋼板に溶融金属をめっきする溶融金属めっき鋼板の製造方法において、前記ロールの周速度は、前記ロールの回転方向が前記鋼板の走行方向に対して逆方向の場合は前記鋼板の走行速度の60〜120%とし、前記ロールの回転方向が前記鋼板の走行方向と同一の場合は前記鋼板の走行速度の95〜105%とすることを特徴とする溶融金属めっき鋼板の製造方法。
- 前記スリットダイおよび前記ロールをそれぞれ所定の温度に加熱することを特徴とする請求項3に記載の溶融金属めっき鋼板の製造方法。
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