JP2014086809A - 機器制御装置、機器制御方法およびプログラム - Google Patents

機器制御装置、機器制御方法およびプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】動きが大きい人間に与える不快感を低減させつつ、省電力化や快適性の向上を図ること。
【解決手段】制御サーバ装置200の機器制御部210は、制御対象領域内の人間に対して、該人間の動きの程度を表す活性度が予め定められた閾値よりも大きい動作状態であるか、前記活性度が前記閾値以下の静止状態であるかを判定する判定部211と、前記制御対象領域内で人間が存在しない位置に対応する機器と、前記動作状態である人間が存在する位置に対応する機器とを第1の状態に制御し、前記静止状態である人間が存在する位置に対応する機器を前記第1の状態とは異なる第2の状態に制御する制御部213と、を備える。
【選択図】図13

Description

本発明は、機器制御装置、機器制御方法およびプログラムに関する。
近年、家庭やオフィス等に設置された各種の電気機器を制御して省電力化や快適性の向上を図るシステムが種々提案されている。例えば、人間の位置を検出し、その人間の位置に応じて空調機器の風向きを制御したり照明機器の照度を制御したりすることで、エネルギ効率を向上させつつ、その人間に快適性を付与する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。この技術では、人間の位置検出は、壁、天井などに赤外線センサまたは超音波センサを配置することにより、空間的に行う。
しかし、特許文献1に記載の技術では、動きが大きい人間に対して機器の制御を応答性よく追従させることが難しく、制御の遅れが人間に不快感を与える虞がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、動きが大きい人間に与える不快感を低減させつつ、省電力化や快適性の向上を図ることができる機器制御装置、機器制御方法およびプログラムを提供することを主な目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る機器制御装置は、制御対象領域内に分散配置された機器を制御する機器制御装置であって、前記制御対象領域内の人間に対して、該人間の動きの程度を表す動作活性度が予め定められた閾値よりも大きい動作状態であるか、前記動作活性度が前記閾値以下の静止状態であるかを判定する判定部と、前記制御対象領域内で人間が存在しない位置に対応する前記機器と、前記動作状態である人間が存在する位置に対応する前記機器とを第1の状態に制御し、前記静止状態である人間が存在する位置に対応する前記機器を前記第1の状態とは異なる第2の状態に制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
また、本発明に係る機器制御方法は、制御対象領域内に分散配置された機器を制御する機器制御装置において実行される機器制御方法であって、前記機器制御装置の判定部が、前記制御対象領域内の人間に対して、該人間の動きの程度を表す動作活性度が予め定められた閾値よりも大きい動作状態であるか、前記動作活性度が前記閾値以下の静止状態であるかを判定するステップと、前記機器制御装置の制御部が、前記制御対象領域内で人間が存在しない位置に対応する前記機器と、前記動作状態である人間が存在する位置に対応する前記機器とを第1の状態に制御し、前記静止状態である人間が存在する位置に対応する前記機器を前記第1の状態とは異なる第2の状態に制御するステップと、を含むことを特徴とする。
また、本発明に係るプログラムは、制御対象領域内に分散配置された機器を制御するコンピュータに、前記制御対象領域内の人間に対して、該人間の動きの程度を表す動作活性度が予め定められた閾値よりも大きい動作状態であるか、前記動作活性度が前記閾値以下の静止状態であるかを判定する機能と、前記制御対象領域内で人間が存在しない位置に対応する前記機器と、前記動作状態である人間が存在する位置に対応する前記機器とを第1の状態に制御し、前記静止状態である人間が存在する位置に対応する前記機器を前記第1の状態とは異なる第2の状態に制御する機能と、を実現させる。
本発明によれば、動きが大きい人間に与える不快感を低減させつつ、省電力化や快適性の向上を図ることができるという効果を奏する。
図1は、本実施形態の機器制御システムのネットワーク構成図である。 図2は、スマートフォン、センサの装着状態及び方向を定義した図である。 図3は、従業者の動作を検知できる情報機器をスマートフォンと別個に装着した例を示す図である。 図4は、各センサが検知する方向を示す図である。 図5は、室内における監視カメラの設置状態の一例を示す図である。 図6は、室内におけるLED照明機器、タップ、空調機の設置状態の一例を示す図である。 図7は、測位サーバ装置の機能的構成を示すブロック図である。 図8は、着座動作と起立動作のそれぞれを行った場合における鉛直方向の加速度成分の波形を示す図である。 図9は、しゃがむ動作と起立動作とをそれぞれ行った場合における水平方向の角速度成分の波形を示す図である。 図10は、静止状態で向きを変える動作を行った際の鉛直方向の角速度成分の波形を示す図である。 図11は、着座状態でディスプレイから上方向に目線を外した場合の頭部の水平方向の角速度成分の波形を示す図である。 図12は、着座状態でディスプレイから下方向に目線を外した場合の頭部の水平方向の角速度成分の波形を示す図である。 図13は、制御サーバ装置の機能的構成を示すブロック図である。 図14は、制御テーブルの一例を示す図である。 図15は、測位サーバ装置による処理の手順の一例を示すフローチャートである。 図16は、制御サーバ装置による処理の手順の一例を示すフローチャートである。
以下に添付図面を参照して、この発明に係る機器制御装置、機器制御方法およびプログラムの実施形態を詳細に説明する。以下の実施形態では、機器制御装置を、制御対象領域であるオフィスの室内で特定の業務活動を実施する人間(以下、従業者という。)の位置等に応じて室内に設置された機器を制御する機器制御システムの一部の機能として実現する例を説明する。なお、適用可能なシステムはこのような機器制御システムに限られるものではない。
図1は、本実施形態の機器制御システムのネットワーク構成図である。本実施形態の機器制御システムは、図1に示すように、複数のスマートフォン300と、複数の監視カメラ400と、測位サーバ装置100と、制御サーバ装置200と、制御対象の機器としての複数のLED(Light Emitting Diode)照明機器500、複数のタップ600および複数の空調機700とを備えている。
複数のスマートフォン300および複数の監視カメラ400と、測位サーバ装置100とは、例えば、Wi−Fi(Wireless Fidelity)等の無線通信ネットワークで接続されている。なお、無線通信の方式は、Wi−Fiに限定されるものではない。また、監視カメラ400と測位サーバ装置100とは有線で接続されていてもよい。
測位サーバ装置100と制御サーバ装置200とは、インターネットやLAN(Local Area Network)等のネットワークに接続されている。
また、制御サーバ装置200と、複数のLED照明機器500、複数のタップ600および複数の空調機700とは、例えば、Wi−Fi等の無線通信ネットワークで接続されている。
なお、制御サーバ装置200と、複数のLED照明機器500、複数のタップ600および複数の空調機700との通信方式はWi−Fiに限定されるものではなく、その他の無線通信方式を利用してもよい他、Ethernet(登録商標)ケーブルやPLC(Power Line Communications)等の有線通信方式を利用することもできる。
スマートフォン300は、従業者に所持されて、室内における従業者の位置や動きを検出するための情報機器である。図2は、スマートフォン300の装着状態を示す図である。スマートフォン300は、従業者が手等で所持する他、図2に示すように、従業者の腰に装着されてもよい。
図1に戻り、スマートフォン300のそれぞれには、加速度センサ、角速度センサおよび地磁気センサが搭載されており、1秒等の一定時間ごとに、各センサでの検知データを測位サーバ装置100に送信している。ここで、加速度センサの検知データは、加速度ベクトルである。角速度センサの検知データは、角速度ベクトルである。地磁気センサの検知データは、磁気方位ベクトルである。測位サーバ装置100では、これら加速度ベクトル、角速度ベクトルおよび磁気方位ベクトルに基づいて、室内における従業者の位置や動きを検出することができる。
なお、本実施形態では、室内における従業者の位置や動きを検出するための情報機器としてスマートフォン300を用いているが、加速度センサ、角速度センサおよび地磁気センサ等を備える情報機器であれば、スマートフォン300に限定されるものではない。
また、スマートフォン300とは別個に、加速度センサ、角速度センサおよび地磁気センサ等を備えた他の情報機器をさらに従業者に装着するように構成してもよい。
例えば、図3に示すように、スマートフォン300とは別個に、加速度センサ、角速度センサ、地磁気センサを備えた小型のヘッドセットタイプのセンサ群301を頭部に装着することができる。この場合、センサ群301で検知した検知データは、センサ群301が直接、測位サーバ装置100に送信する他、スマートフォン300経由で測位サーバ装置100に送信することができる。このように、従業者の頭部にスマートフォン300の各センサとは別個にセンサ群301を装着することにより、種々の姿勢検出を行うことが可能となる。
図4は、各センサが検知する方向を示す図である。図4(a)は、加速度センサ、地磁気センサが検知する方向を示している。図4(a)に示すように、加速度センサ、地磁気センサにより、進行方向、鉛直方向、水平方向の加速度成分、地磁気方位成分のそれぞれの検知が可能となる。また、図4(b)は、角速度センサにより検知される角速度ベクトルAを示している。ここで、矢印Bが、角速度の正方向を示している。本実施形態では、角速度ベクトルAの、図4(a)に示す進行方向、鉛直方向、水平方向への射影を考え、それぞれ、進行方向の角速度成分、鉛直方向の角速度成分、水平方向の角速度成分という。
図1に戻り、監視カメラ400は、制御対象領域である室内を撮像するものであり、制御対象領域である室の上部付近等に設置される。図5は、監視カメラ400の設置状態の一例を示す図である。図5の例では、室内の扉付近の2か所に監視カメラ400が設置されているが、これに限定されるものではない。監視カメラ400は、制御対象領域である室内を撮像して、その撮像画像(撮像映像)を、測位サーバ装置100に送信する。
図1に戻り、本実施形態では、照明系システム、タップ系システム、空調系システムを電力制御の対象としている。照明系システムとして複数のLED照明機器500、タップ系システムとして複数のタップ600、空調系システムとして複数の空調機700を電力制御の対象としている。
複数のLED照明機器500、複数のタップ600、複数の空調機700は、制御対象領域である室内に設置されている。図6は、LED照明機器500、タップ600、空調機700の設置状態の一例を示す図である。
図6に示すように、室内には、6個の机で一つのグループが形成され、3つのグループが設けられている。そして、LED照明機器500とタップ600は、一つの机に対してそれぞれ一つが設けられている。一方、空調機700は、2つのグループの間に一つずつ設けられている。なお、このようなLED照明機器500、タップ600、空調機700の配置は一例であり、図6に示す例に限定されるものではない。
なお、図6には図示されていないが、室外に設置された系統電力計測機器により、本実施形態の室内の全電力の総和情報を把握できるようになっている。
室内では、18名の従業者が特定の業務活動を実施しており、室内外への出入りは、2つの扉で行われる。本実施形態では、レイアウトや機器類やユーザ数等を限定しているが、より多種多様なレイアウト並びに機器類へ適用することができる。さらに、空間規模やユーザ数のスケーラビリティにおける任意性や、個人単位もしくは集団単位で見た場合のユーザ属性や携わる業務種のバリエーションにおける任意性に対しても、幅広く拡張して適用することができる。また、図5、6に示すような屋内空間に限らず、屋外等で本実施形態を適用してもよい。
なお、本実施形態の測位サーバ装置100、制御サーバ装置200は、図5、図6に示す室の外部に設置されている。本実施形態では、測位サーバ装置100、制御サーバ装置200を電力制御の対象外としたが、これらを電力制御の対象とすることも可能である。
また、本実施形態では、通信ネットワーク系を構成するWi−Fiアクセスポイントやスイッチングハブやルータ等のネットワーク機器類に関しては、電力制御の対象外としたが、電力制御の対象とすることも可能である。
なお、これらネットワーク機器類が消費する電力量は、LED照明機器500と空調機700とタップ600における消費電力の総和を、上記系統電力計測機器により計測される消費電力の総和から除した電力量として算出することができる。
複数のLED照明機器500、複数のタップ600、複数の空調機700のそれぞれは、制御サーバ装置200により、ネットワークを介して遠隔制御される。
すなわち、LED照明機器500は、その電源のオン/オフや調光レベル等が、制御サーバ装置200により遠隔制御される。すなわち、制御対象領域である室内を照明する照明系システムとしては、低消費電力性を考慮して調光機能付きのLED照明機器500が用いられており、各LED照明機器500の電源のオン/オフや調光レベル等が、Wi−Fiによる無線制御方式で制御サーバ装置200によって、個別に遠隔制御される。
なお、照明系システムとしては、LED灯以外の発光部を有する他の照明装置を用いるようにしてもよい。
空調機700は、その電源のオン/オフや空調強度が制御サーバ装置200により遠隔制御される。すなわち、空調機700は、個別に遠隔制御が可能な構成となっており、制御対象は電源のオン/オフに加えて、空調強度となっている。本実施形態では、温度や湿度について制御を行っていないが、これに限定されるものではなく、温度や湿度を制御対象とすることもできる。
タップ600は、複数のタップ口を備えたものであり、各タップ口は電源供給のオンオフが制御サーバ装置200により遠隔制御される。すなわち、タップ600は、タップ口単位に個別に遠隔制御可能なオン/オフスイッチが設けられている。オン/オフ制御はWi−Fiによる無線制御方式で制御サーバ装置200により行われる。一つのタップ600に含まれるタップ口は任意の数とすることができるが、一例として4口のタップ口で一つのタップを構成したものを用いることができる。
タップ600は、図6に示すように、各机に一つずつ設置されている。タップ600には、不図示の電気機器、具体的には、PC(パーソナルコンピュータ)本体やディスプレイ装置等が接続可能である。
本実施形態では、タップ600のタップ口に、従業者が業務で使用するPC本体の電源が接続されている。PC本体の電源は、制御サーバ装置200によりタップ口へ供給する電力のオン/オフが制御されることによって、オンオフ制御される。また、PC本体は、消費電力の小さいスタンバイ状態と消費電力が大きいアクティブ状態との間で状態遷移する機能を有し、このスタンバイ状態とアクティブ状態との間の状態遷移が、Wi−Fiによる無線制御方式で制御サーバ装置200により制御できるようになっている。
また、本実施形態では、タップ600のタップ口に、人間との正対関係が重要となる機器であるディスプレイ装置の電源が接続されている。ディスプレイ装置は、制御サーバ装置200によって、タップ口へ供給する電力のオン/オフによる制御が可能な機器である。また、ディスプレイ装置は、このディスプレイ装置に接続されたPC本体、あるいはディスプレイ装置自体に組み込まれた制御プログラムによって、表示画面の輝度レベルを調整可能な構成であり、この表示画面の輝度レベルが、Wi−Fiによる無線制御方式で制御サーバ装置200により制御できるようになっている。
図1に戻り、測位サーバ装置100は、従業者が所持する各スマートフォン300から上述した各センサの検知データを受信し、この検知データに基づいて各スマートフォン300を所持する従業者の動きの程度を表す動作活性度を算出するとともに、室内における従業者の絶対位置、方向、姿勢等を検出する。そして、測位サーバ装置100は、検出した従業者の動作活性度や絶対位置、方向、姿勢等を検出結果データとして制御サーバ装置200に送信する。
図7は、測位サーバ装置100の機能的構成を示すブロック図である。測位サーバ装置100は、図7に示すように、通信部101と、検知データ解析部102と、補正部103と、記憶部110とを主に備えている。
記憶部110は、ハードディスクドライブ装置(HDD)やメモリ等の記憶媒体であり、制御対象領域である室の地図データ等、測位サーバ装置100の処理に必要な各種情報を記憶している。
通信部101は、一定時間ごとに、スマートフォン300に搭載された加速度センサ、角速度センサおよび地磁気センサのそれぞれ、あるいはスマートフォン300とは別個のセンサ群301の加速度センサ、角速度センサ、地磁気センサのそれぞれから検知データを受信する。すなわち、通信部101は、加速度センサから加速度ベクトルを受信し、角速度センサから角速度ベクトルを受信し、地磁気センサから磁気方位ベクトルを受信する。
また、通信部101は、監視カメラ400から撮像画像を受信する。さらに、通信部101は、後述する従業者の動作活性度、絶対位置、方向および姿勢等を含む検出結果データを、制御サーバ装置200に送信する。
検知データ解析部102は、通信部101が受信した検知データを解析して、室内における従業者の動作活性度を算出するとともに、室内における従業者の絶対位置を人間の肩幅または歩幅の精度で検出し、さらに、室内における従業者の方向や姿勢等を検出する。
すなわち、検知データ解析部102は、監視カメラ400からの撮像画像により、従業者が扉から入室したことが検知された場合に、この入室した従業者に装着されたスマートフォン300の加速度センサ、角速度センサ、地磁気センサ、あるいはスマートフォン300とは別個のセンサ群301の加速度センサ、角速度センサ、地磁気センサから逐次受信している検知データの時系列データを用いて、従業者の動きを逐次判定する。ここでは、説明を簡単にするために、従業者の動きを、従業者の体の水平方向の移動である歩行動作に限定して考える。なお、従業者の動きは、さらに従業者の体の垂直方向の移動である着座動作や起立動作も含めて判定するようにしてもよいし、従業者の体の向き(方向)の変化も含めて判定するようにしてもよい。着座動作や起立動作は、後述するように、検知データのうちの加速度ベクトルと角速度ベクトルから求まる重力加速度ベクトルから判定することができる。また、従業者の体の向きは、検知データのうちの磁気方位ベクトルの向きから判定することができる。
まず、検知データ解析部102は、検知データのうちの加速度ベクトルと角速度ベクトルを用いて、従業者が歩行状態であるか否かを判定する。例えば、検知データ解析部102は、検知データのうちの加速度ベクトルと角速度ベクトルを用いて、特許第4243684号公報に開示されているデッドレコニング装置による処理と同様に、以下のように従業者が歩行状態であるか否かを判定することができる。
すなわち、検知データ解析部102は、加速度センサから受信した加速度ベクトルと角速度センサから受信した角速度ベクトルから重力加速度ベクトルを求めて、加速度ベクトルから重力加速度ベクトルを差し引き、鉛直方向の加速度を除去して、残差加速度成分の時系列データを得る。そして、検知データ解析部102は、この残差加速度成分の時系列データに対して主成分解析を行って、歩行動作の進行方向を求める。さらに、検知データ解析部102は、鉛直方向の加速度成分の山ピークと谷ピークのペアを探索し、進行方向の加速度成分の谷ピークと山ピークのペアを探索する。そして、検知データ解析部102は、進行方向の加速度成分の勾配を算出する。
さらに、検知データ解析部102は、鉛直方向の加速度成分が山ピークから谷ピークに変化する当該谷ピークの検出時刻における、上記進行方向の加速度成分の勾配が所定値以上であるか否かを判断し、所定値以上である場合に、従業者は歩行状態であると判定する。そして、従業者が歩行状態であると判定されたら、検知データ解析部102は、例えば、重力加速度ベクトルと加速度ベクトルとから、歩行動作によって発生している加速度ベクトルを算出し、重力加速度ベクトルと、歩行動作によって発生している加速度ベクトルとから歩行動作の大きさを算出し、これに基づき動作活性度を算出する。また、検知データ解析部102は、従業者が歩行状態でないと判定した場合は、例えば、動作活性度を0とする。あるいは、検知データ解析部102は、従業者が歩行状態でないと判定した場合に、従業者の体の垂直方向の移動量や従業者の体の向きの変化量から動作活性度を算出してもよい。なお、ここで示した動作活性度の算出方法はあくまで一例であり、これに限定されるものではない。動作活性度は、人間の動きの程度を算出可能な任意の方法を一つまたは複数組み合わせて用いて算出することができる。
次に、検知データ解析部102は、加速度ベクトル、角速度ベクトルおよび磁気方位ベクトルを用いて、扉の位置を基準位置とした従業者の相対移動ベクトルを求める。ここで、加速度ベクトル、角速度ベクトルおよび磁気方位ベクトルを用いた相対移動ベクトルの算出手法は、例えば特開2011−47950号公報のデッドレコニング装置の処理で開示されている手法を用いることができる。
より具体的には、検知データ解析部102は、特開2011−47950号公報のデッドレコニング装置の処理と同様に、以下のように相対移動ベクトルを求めることができる。
すなわち、検知データ解析102は、加速度センサから受信した加速度ベクトルと角速度センサから受信した角速度ベクトルから重力方位ベクトルを求め、重力方位ベクトルと、角速度ベクトルまたは地磁気センサから受信した磁気方位ベクトルとから人間の姿勢角を移動方位として算出する。また、検知データ解析部102は、加速度ベクトルと角速度ベクトルとから重力加速度ベクトルを求め、重力加速度ベクトルと加速度ベクトルとから、歩行動作によって発生している加速度ベクトルを算出する。そして、検知データ解析部102は、重力加速度ベクトルと、歩行動作によって発生している加速度ベクトルとから、歩行動作を解析して検出し、検出結果に基づいて、歩行動作の大きさを、重力加速度ベクトルと歩行動作によって発生している加速度ベクトルとに基づいて計測して、計測結果を歩幅とする。そして、検知データ解析部102は、このようにして求めた移動方位と歩幅とを積算することにより、基準位置からの相対移動ベクトルを求める。すなわち、人間の歩幅あるいは肩幅、例えば、略60cm以下(より具体的には略40cm程度以下)の精度で、リアルタイムに従業者の位置を検出していることになる。
このようにして相対移動ベクトルが算出されたら、検知データ解析部102は、扉からの相対移動ベクトルと、記憶部110に記憶されている室内の地図データとから、従業者の室内における絶対位置を特定する。これにより、検知データ解析部102は、人間の肩幅、例えば、略60cm以下(より具体的には略40cm程度以下)の精度で、室内における従業者の位置を特定することが可能となる。
このような位置精度は、高ければ高いほどよいというものではない。例えば、2人以上が会話をしている場面を想定すると、体を接して話しをすることは少なく、ある程度の距離は離れている。そこで、精度を考える場合、人間の肩幅または歩幅相当の精度、立っているか、座っているかは、腰から膝までの長さ相当を本実施形態では適切な精度としている。
厚生労働省の公表している人体計測データ(河内まき子,持丸正明,岩澤洋,三谷誠二(2000):日本人人体寸法データベース1997−98,通商産業省工業技術院くらしとJISセンター)によれば、青年、高齢者の男女の肩幅に相当するデータ(肩峰幅)は、平均値の幅が最も低い高齢者女性で約35cm(34.8cm)、最も高い青年男性で約40cm(39.7cm)となっている。また、腰から膝までの長さ(恥骨結合上縁高―大腿骨外側上顆高)の差は、同様に、約34cm〜約38cmである。一方、人間が移動する場合の歩幅は、50m歩いた場合、95歩となり、これから約53cm(50÷95×10)となり、本実施形態による位置検出方法は、歩幅相当の精度が可能である。従って、上記データから、精度としては、60cm以下、好ましくは40cm以下が妥当であるとして本実施形態を構成している。これらデータは精度を考えるための基準の目安になるが、日本人に基づいたものであり、この数値に限定されるものではない。
また、検出した従業者の絶対位置が室内に配置された机の前である場合には、検知データ解析部102は、地磁気センサから受信した磁気方位ベクトルの向きにより、従業者のディスプレイ装置に対する方向(向き)を判定する。また、検出した従業者の絶対位置が室内に配置された机の前である場合には、検知データ解析部102は、加速度ベクトルの鉛直方向の加速度成分から、従業者の姿勢、すなわち起立状態か着座状態かを判定する。
ここで、起立状態か着座状態かの判定は、例えば特許第4243684号公報に開示されているデッドレコニング装置と同様に、加速度センサから受信した加速度ベクトルと角速度センサから受信した角速度ベクトルから重力加速度ベクトルを求めて、鉛直方向の加速度成分を求めることができる。そして、検知データ解析部102は、例えば特許第4243684号公報に開示されているデッドレコニング装置と同様に、鉛直方向の加速度成分の山と谷のピークを求めることができる。
図8は、着座動作と起立動作のそれぞれを行った場合における鉛直方向の加速度成分の波形を示す図である。図8に示すように、着座動作の場合には、鉛直方向の加速度成分の山のピークから谷のピークまでの間隔が約0.5秒前後である。一方、起立動作の場合には、鉛直方向の加速度成分の谷のピークから山のピークまでの間隔が約0.5秒である。このため、検知データ解析部102は、かかるピークの間隔により、従業者が着座状態か起立状態かを判断している。すなわち、検知データ解析部102は、鉛直方向の加速度成分の山のピークから谷のピークまでの間隔が0.5秒から所定範囲内である場合には、従業者の動作状況は着座状態であると判定する。また、検知データ解析部102は、鉛直方向の加速度成分の谷のピークから山のピークまでの間隔が0.5秒から所定範囲内である場合には、従業者の動作状況は起立状態であると判定する。
このように、検知データ解析部102が従業者の動作状況が起立状態か着座状態かを判定することにより、従業者の高さ方向の位置を、略50cm以下(より具体的には、略40cm以下)の精度で検出したことを意味する。
さらに、図3に示した例のように、加速度センサ、角速度センサおよび地磁気センサ等の人間の動作を検知する情報機器を搭載したスマートフォン300を腰に装着し、さらに、加速度センサ、角速度センサおよび地磁気センサを備えた小型のヘッドセットタイプのセンサ群301を頭部に装着した場合には、検知データ解析部102は、さらに、以下のような従業者の姿勢や動作を検出することができる。
図9は、しゃがむ動作と起立動作とをそれぞれ行った場合における水平方向の角速度成分の波形を示す図である。加速度センサからの加速度データからは、図8に示す着座動作と起立動作と類似の波形が検出されるが、加速度データのみでしゃがむ動作と起立動作を判別することは困難である。
このため、検知データ解析部102は、図8の波形に基づく、上述した着座動作と起立動作の判別の手法とともに、角速度センサから受信した水平方向の角速度データの経時的変化が図9の波形に一致するか否かを判断することにより、しゃがむ動作と起立動作の判別を行っている。
具体的には、検知データ解析部102は、まず、加速度センサから受信した加速度ベクトルに基づく鉛直方向の加速度成分の山のピークから谷のピークまでの間隔が0.5秒から所定範囲内であるか否かを判断する。
そして、鉛直方向の加速度成分の山のピークから谷のピークまでの間隔が0.5秒から所定範囲内である場合には、検知データ解析部102は、角速度センサから受信した角速度ベクトルの水平方向の角速度成分が、図9に示す波形のように、0から徐々に増加した後急激な増加で山のピークに達し、山のピークから急激に下がった後徐々に0に戻り、かつこの間の時間が約2秒である場合に、従業者の動作がしゃがむ動作であると判定する。
また、検知データ解析部102は、鉛直方向の加速度成分の谷のピークから山のピークまでの間隔が0.5秒から所定範囲内であるか否かを判断する。そして、鉛直方向の加速度成分の谷のピークから山のピークまでの間隔が0.5秒から所定範囲内である場合には、検知データ解析部102は、角速度センサから受信した角速度ベクトルの水平方向の角速度成分が、図9に示す波形のように、0から段階的に谷のピークに達し、谷のピークから徐々に0に戻り、かつこの間の時間が約1.5秒である場合に、従業者の動作が起立動作であると判定する。
このような検知データ解析部102におけるしゃがむ動作と起立動作の判定で用いる角速度ベクトルとしては、頭部に装着した角速度センサから受信した角速度ベクトルを用いることが好ましい。しゃがむ動作と起立動作において、頭部に装着した角速度センサからの角速度ベクトルに基づく水平方向の角速度成分が、図9に示す波形を顕著に示すからである。
図10は、従業者が静止状態で方向をほぼ90度変化させる動作を行った場合の鉛直方向の角速度成分の波形を示す図である。鉛直方向の角速度成分が正であれば右側に向きを変える動作であり、負であれば左側に方向を変化させる動作である。
検知データ解析部102は、角速度センサから受信した角速度ベクトルの鉛直方向の角速度成分の経時的変化が、図10に示す波形のように、0から徐々に山のピークに達した後徐々に0に戻り、かつこの間の時間が約3秒である場合に、方向が右に変化する動作と判定する。
また、検知データ解析部102は、鉛直方向の角速度成分の経時的変化が、図10に示す波形のように、0から徐々に谷のピークに達した後徐々に0に戻り、かつその間の時間が約1.5秒である場合に、方向が左に変化する動作と判定する。
検知データ解析部102は、頭部の角速度センサおよび腰のスマートフォン300の角速度センサの双方から受信した角速度ベクトルの鉛直方向の角速度成分が、共に、上述のような判断で図10の波形と類似する経時的変化を示す場合には、体全体の向きが右若しくは左に変わる動作と判定する。
一方、検知データ解析部102は、頭部の角速度センサから受信した角速度ベクトルの鉛直方向の角速度成分が、上述のような図10の波形に類似する経時的変化を示すが、腰のスマートフォン300の角速度センサからの角速度ベクトルの鉛直方向の角速度成分が、図10の波形と全く異なる経時的変化を示す場合には、頭部だけ方向を右若しくは左に変える動作と判定する。このような動作としては、例えば、従業者が着座したまま、隣の従業者とコミュニケーションをとる場合の姿勢動作が考えられる。
図11は、着座状態でディスプレイから上方向に目線を外した場合の頭部の角速度センサから受信した角速度ベクトルの水平方向の角速度成分の波形を示す図である。
検出された従業者の絶対位置が室内に配置された机の前であり、この机の前にいる従業者の姿勢が着座状態であることを検出した場合を考える。そして、このような場合に、検知データ解析部102は、その従業者の頭部の角速度センサから受信した角速度ベクトルの水平方向の角速度成分が、図11に示す波形のように、0から徐々に谷のピークに達し、その後急激に0に戻り、かつその間の時間が約1秒である場合に、着座状態でディスプレイから上方向に目線を外した動作(見上げる動作)であると判定する。そして、さらに、検知データ解析部102は、水平方向の角速度成分が、図11に示す波形のように、0から徐々に増加しながら山のピークに達し、その後徐々に0に戻り、かつこの間の時間が約1.5秒である場合に、着座状態でディスプレイから上方向に目線を外した状態からディスプレイに目線を戻した動作であると判定する。
図12は、着座状態でディスプレイから下方向に目線を外した場合の頭部の角速度センサから受信した角速度ベクトルの水平方向の角速度成分の波形を示す図である。
検出された従業者の絶対位置が室内に配置された机の前であり、この机の前にいる従業者の姿勢が着座状態であることを検出した場合を考える。そして、このような場合に、検知データ解析部102は、その従業者の頭部の角速度センサから受信した角速度ベクトルの水平方向の角速度成分が、図12に示す波形のように、0から急激に山のピークに達し、その後急激に0に戻り、かつその間の時間が約0.5秒である場合に、着座状態でディスプレイから下方向に目線を外した動作(見下げる動作)であると判定する。
そして、さらに、検知データ解析部102は、水平方向の角速度成分が、図12に示す波形のように、0から急激に減少しながら谷のピークに達し、その後急激に0に戻り、かつこの間の時間が約1秒である場合に、着座状態でディスプレイから下方向に目線を外した状態からディスプレイに目線を戻した動作であると判定する。
このように、検知データ解析部102は、オフィスの従業者が日常取り得る姿勢や動作、すなわち、歩く(立った状態)、起立する(静止状態)、椅子に着座する、作業時にしゃがむ、着座状態あるいは起立状態で向き(方向)を変える、着座状態あるいは起立状態で天を仰ぐ、着座状態あるいは起立状態で俯く等の動作を、上述の手法で判定することが可能になる。なお、検知データ解析部102は、上述した動作活性度を算出する際に、歩行動作の大きさだけでなく、上記のように判定される動作の大きさも考慮して、動作活性度を算出するようにしてもよい。
なお、特許第4243684号公報のデッドレコニング装置の手法を用いる場合、特許第4243684号公報に開示されているように、エレベータによる人間の昇降動作も、鉛直方向の加速度成分を用いて判断している。
このため、本実施形態では、検知データ解析部102は、例えば特開2009−14713号公報に開示されているマップマッチング装置の機能を用い、エレベータのない場所で、鉛直方向の加速度成分が図8に示す波形で検出された場合には、特許第4243684号公報のデッドレコニング装置によるエレベータによる昇降動作とは異なり、起立動作または着座動作であることを高精度に判定することができる。
補正部103は、監視カメラ400からの撮像画像や記憶部110に保存された地図データに基づいて、検知データ解析部102により検出された室内における従業者の絶対位置や方向、姿勢等を補正する。より具体的には、補正部103は、上述のように判断された従業者の絶対位置、方向、姿勢等を、監視カメラ400の撮像画像の画像解析等により正しいか否かを判断したり、制御対象領域である室内の地図データと、例えば特開2009−14713号公報に開示されているマップマッチング装置の機能とを用いて正しいか否かを判断する。そして、誤っている場合には、補正部103は、撮像画像やマップマッチング装置の機能から得られる、正しい絶対位置、方向、姿勢等に補正する。
なお、補正部103は、監視カメラ400からの撮像画像に限らず、RFID(Radio Frequency IDentification)やBluetooth(登録商標)等の短距離無線、光通信等の限定的な手段を用いて補正を行うように構成してもよい。
また、本実施形態では、特許第4243684号公報および特開2011−47950号公報に開示されたデッドレコニング装置と同様の技術、特開2009−14713号公報に開示されたマップマッチング装置と同様の技術を用いて、従業者の動作活性度を算出するとともに、室内における従業者の絶対位置や方向、姿勢等を検出しているが、検出手法はこれらの技術に限定されるものではない。
なお、人間の位置を検出可能な技術としては、加速度センサ、角速度センサおよび地磁気センサの検知データに基づいて測位サーバ装置100が実施する上述した方法の他に、例えば、ICカード等による入退室管理、人感センサによる人間の検知、無線LANを用いる方法、屋内GPS(IMES:Indoor MEssaging System)を用いる方法、カメラの撮像画像を画像処理する方法、アクティブRFIDを用いる方法、および可視光通信を用いる方法等が知られている。
ICカード等による入退室管理は、個人識別は可能であるが、測位精度が管理対象のエリア全体となり極めて低い。そのため、誰がそのエリアにいるかを知ることはできるものの、そのエリア内での人間の活動状況を把握することができない。
人感センサによる人間の検知は、人感センサの検知範囲となる1〜2m程度の測位精度が得られるが、個人識別を行うことができない。また、エリア内での人間の活動状況を把握するためには、多数の人感センサを分散してエリア内に配置する必要がある。
無線LANを用いる方法は、人間が所持する1台の無線LAN端末とエリア内に設置された複数台のLANアクセスポイントとの間の距離を測定し、三角測量の原理によりエリア内における人間の位置を特定する。この方法は、個人識別は可能であるが、測位精度の環境依存性が大きく、一般的に測位精度は3m以上と比較的低い精度となる。
屋内GPSを用いる方法は、GPS衛星と同じ周波数帯の電波を発する専用の送信機を屋内に設置し、その送信機から通常のGPS衛星が時刻情報を送信する部分に位置情報を埋め込んだ信号を送信する。そして、その信号を屋内の人間が所持する受信端末で受信することにより、屋内における人間の位置を特定する。この方法は、個人識別は可能であるが、測位精度が3〜5m程度と比較的低い精度となる。また、専用の送信機を設置する必要があり導入コストが嵩む。
カメラの撮像画像を画像処理する方法は、数十cm程度の比較的高い測位精度が得られるが、個人識別を行うことが難しい。このため、本実施形態の測位サーバ装置100では、従業者の絶対位置、方向、姿勢等を補正する場合にのみ、監視カメラ400の撮像画像を用いている。
アクティブRFIDを用いる方法は、電池を内蔵するRFIDタグを人間が所持し、RFIDタグの情報をタグリーダで読み取ることで人間の位置を特定する。この方法は、個人識別は可能であるが、測位精度の環境依存性が大きく、一般的に測位精度は3m以上と比較的低い精度となる。
可視光通信を用いる方法は、個人識別が可能であり、しかも数十cm程度の比較的高い測位精度が得られるが、可視光が遮られる場所では人間を検知できず、また、自然光や他の可視光等のノイズ源、干渉源が多いため、検出精度の安定性を維持することが難しい。
これらの技術に対し、本実施形態の測位サーバ装置100が実施する方法は、個人識別が可能で、しかも人間の肩幅または歩幅相当の高い測位精度が得られ、その上、人間の位置だけでなく、人間の動作を検出することができる。具体的には、本実施形態の測位サーバ装置100が実施する方法によれば、人間の動作として、オフィスの従業者が日常取り得る姿勢や動作、すなわち、歩く(立った状態)、起立する(静止状態)、椅子に着座する、作業時にしゃがむ、着座状態あるいは起立状態で向き(方向)を変える、着座状態あるいは起立状態で天を仰ぐ、着座状態あるいは起立状態で俯く等を検知することができる。
このため、本実施形態では、測位サーバ装置100が、スマートフォン300やセンサ群301の加速度センサ、角速度センサおよび地磁気センサの検知データに基づいて、上述した方法により、制御対象領域である室内における従業者の動作活性度を算出するとともに、室内における従業者の絶対位置や方向、姿勢等を検出するようにしている。しかし、制御対象領域である室内における従業者の動作活性度を算出するとともに、室内における従業者の絶対位置や方向、姿勢等を検出する方法は、測位サーバ装置100が実施する上述した方法に限定されるものではなく、例えば、上述した他の方法の一つまたは複数の組み合わせにより従業者の絶対位置および動作状況を検出するようにしてもよく、また、測位サーバ装置100が実施する上述した方法に上述した他の方法の一つまたは複数を組み合わせて、室内における従業者の動作活性度を算出するとともに、室内における従業者の絶対位置や方向、姿勢等を検出するようにしてもよい。例えば、カメラの撮像画像を画像処理する方法は、個人識別を行うことは困難ではあるが、人間の位置だけでなく、人間の動作を検出することができる。したがって、カメラの撮像画像を画像処理する方法を単独で、あるいは、測位サーバ装置100が実施する上述した方法と組み合わせて、室内における従業者の動作活性度を算出するとともに、室内における従業者の絶対位置や方向、姿勢等を検出するようにしてもよい。
次に、制御サーバ装置200の詳細について説明する。制御サーバ装置200は、制御対象領域である室内の従業者の動作活性度、絶対位置、方向および姿勢等に基づいて、室内に設置された複数のLED照明機器500、複数のタップ600、複数の空調機700のそれぞれを、ネットワークを介して遠隔制御する。
図13は、本実施形態の制御サーバ装置200の機能的構成を示すブロック図である。本実施形態の制御サーバ装置200は、図13に示すように、通信部201と、消費電力管理部202と、機器制御部210と、記憶部220とを主に備えている。
記憶部220は、HDDやメモリ等の記憶媒体であり、制御対象領域である室内に配置された机等の位置データや、室内に設置された機器(複数のLED照明機器500、複数のタップ600および複数の空調機700)それぞれの位置データ、後述する機器制御に用いられる制御テーブル等、制御サーバ装置200の処理に必要な各種情報を記憶している。
通信部201は、測位サーバ装置100から、従業者の動作活性度、絶対位置、方向および姿勢等を含む検出結果データを受信する。また、通信部201は、複数のLED照明機器500、複数のタップ600に接続された電気機器、複数の空調機700から消費電力を受信する。また、通信部201は、制御対象領域である室内に設置された複数のLED照明機器500、複数のタップ600(およびタップ600に接続されたPC本体やディスプレイ装置等)、複数の空調機700のそれぞれに対して、これらを個別に制御するための制御信号を各々送信する。
消費電力管理部202は、複数のLED照明機器500、複数のタップ600に接続された電気機器、複数の空調機700から受信した消費電力を管理する。消費電力管理部202は、これら制御対象の機器ごとの消費電力だけでなく、上述した系統電力計測機器から系統ごとの消費電力の総和を取得して、制御対象領域であるオフィス全体の総消費電力量を把握、管理することができる。消費電力管理部202が管理する消費電力の情報は、例えば、いわゆる「見える化」を実現するためにディスプレイに表示するといった用途で用いることができる。
機器制御部210は、判定部211と、推定部212と、制御部213とを備えている。
判定部211は、制御対象領域である室内の従業者それぞれについて、通信部201が受信した検出結果データに含まれる動作活性度を予め設定された閾値と比較して、この従業者が動作状態であるか、静止状態であるかを判定する。判定部211は、動作活性度が閾値よりも大きい従業者を動作状態であると判定し、動作活性度が閾値以下の従業者を静止状態であると判定する。例えば、測位サーバ装置100の検知データ解析部102によって歩行状態と判定された従業者であっても、歩行動作の程度が小さく動作活性度が閾値以下であれば、判定部211は、この従業者を静止状態と判定する。一方、測位サーバ装置100の検知データ解析部102によって歩行状態ではないと判定された従業者であっても、歩行動作以外の他の動きの程度が大きく動作活性度が閾値よりも大きければ、判定部211は、この従業者を動作状態と判定する。
また、判定部211は、静止状態であると判定した従業者に対して、さらに、通信部201が受信した検出結果データに含まれる姿勢の情報に基づいて、この従業者が起立状態であるか、着座状態であるかを判定するようにしてもよい。
推定部212は、判定部211によって動作状態と判定された従業者が所定時間内に静止状態となる位置を推定する。例えば、推定部212は、判定部211によって動作状態と判定された従業者の位置からの距離が所定距離以内の位置であり、かつ、従業者が静止状態で活動を行う位置として予め定められた位置を、動作状態と判定された従業者が所定時間内に静止状態となる位置と推定する。
具体的には、推定部212は、通信部201が受信した検出結果データに含まれる従業者の絶対位置が、例えば、この従業者に割り当てられた机(自席)の位置から所定距離以内の位置である場合に、この従業者の自席の位置を、この従業者が所定時間内に静止状態となる位置と推定する。このような推定部212の処理は、例えば、制御対象領域である室内で業務を行うすべての従業者の自席の位置と各従業者が所持するスマートフォン300の端末IDとを関連付けた情報を例えば記憶部220等に格納しておき、測位サーバ装置100から制御サーバ装置200に送られる検出結果データに、この検出結果データの元になった検知データの送信元であるスマートフォン300の端末IDを付加し、端末IDを用いて従業者の自席を特定する構成とすることで実現できる。また、制御対象領域である室内に、例えば会議スペースや談話スペースのように、不特定の従業者が静止状態で活動を行う特性を持つ共有スペースがある場合には、推定部212は、通信部201が受信した検出結果データに含まれる従業者の絶対位置が、共有スペースの位置から所定距離以内の位置である場合に、この共有スペースの位置を、この従業者が所定時間内に静止状態となる位置と推定するようにしてもよい。
また、推定部212は、室内における従業者の過去の動作履歴に基づいて、動作状態の従業者が所定時間内に静止状態となる位置を推定するようにしてもよい。この場合、推定部212は、例えば、室内で業務を行う従業者のそれぞれについて、検出結果データが得られるたびに、その検出結果データを記憶部220等に逐次格納して、記憶部220等に従業者ごとの動作履歴が蓄積されるようにする。そして、推定部212は、室内の従業者が動作状態であると判定されると、例えば、この従業者の体の向き(方向)等から従業者の進行方向を判定するとともに、記憶部220等に蓄積された動作履歴を参照してこの従業者が過去に頻繁に静止状態で活動を行った位置を特定し、従業者の進行方向にこの従業者が過去に頻繁に静止状態で活動を行った位置が存在する場合に、その位置を、この従業者が所定時間内に静止状態となる位置と推定する。また、推定部212は、上述した距離に基づく推定と、動作履歴に基づく推定とを組み合わせて、例えば、動作状態の従業者の位置から所定距離以内に、この従業者が過去に頻繁に静止状態で活動を行った位置が存在する場合に、その位置を、この従業者が所定時間内に静止状態となる位置と推定するようにしてもよい。
制御部213は、通信部201が受信した検出結果データに含まれる絶対位置(制御対象領域である室内における従業者の絶対位置)と、判定部211の判定結果とに基づいて、室内に配置された各機器(複数のLED照明機器500、複数のタップ600および複数の空調機700)を制御する。具体的には、制御部213は、室内において従業者が存在しない位置に対応する機器と、動作状態の従業者が存在する位置に対応する機器とを第1の状態に制御し、静止状態の従業者が存在する位置に対応する機器を、第1の状態とは異なる第2の状態に制御する。また、推定部212によって、動作状態の従業者が所定時間内に静止状態となる位置が推定された場合には、制御部213は、この推定部212によって推定された位置に対応する機器を、第2の状態に制御する。
第1の状態とは、機器の消費電力を低減させて省電力化を図るために設定されたデフォルトの制御状態であり、第2の状態とは、従業者が業務活動を行う際の快適性を考慮した機器の制御状態である。これら第1の状態と第2の状態は、制御対象の機器の種類ごとに予め定められ、例えば、制御テーブルとして記憶部220に記憶されている。制御部213は、この制御テーブルを随時参照しながら、制御対象の各機器を制御する。以下では、室内に分散配置されたLED照明機器500と、空調機700と、各机のタップ600に接続されたPC本体およびディスプレイ装置が制御対象の機器であるものとして説明する。制御部213は、これらLED照明機器500、空調機700、タップ600、PC本体およびディスプレイ装置に対して、第1状態や第2状態を実現するための制御信号を送信することで、これら制御対象の各機器を制御する。
図14は、記憶部220が記憶する制御テーブルの一例を示す図である。この図14に示す制御テーブルでは、LED照明機器500に対しては、電源オフまたは調光レベル10%の状態が第1の状態として定められ、調光レベルが一旦100%になった後に徐々に80%にまで低下する状態が第2の状態として定められている。また、空調機700に対しては、電源オフまたは空調強度が“弱”の状態が第1の状態として定められ、空調強度が一旦“強”になった後に“中”になる状態が第2の状態として定められている。また、タップ600に接続されたPC本体に対しては、電源オフまたはスタンバイ状態が第1の状態として定められ、アクティブ状態が第2の状態として定められている。また、タップ600に接続されたディスプレイ装置に対しては、電源オフが第1の状態として定められ、輝度レベルが一旦100%になった後に徐々に80%にまで低下する状態が第2の状態として定められている。
従業者が存在する位置に対応する機器とは、室内における従業者の絶対位置の近傍に配置されている機器である。制御部213は、検出結果データに含まれる絶対位置と、記憶部220が記憶する各機器の位置情報とに基づいて、従業者が存在する位置に対応する機器を特定することができる。なお、従業者が存在しない位置に対応する機器とは、室内に設置された各機器のうち、従業者が存在する位置に対応する機器として特定された機器を除いた他の機器である。
制御部213による上記の機器制御は、例えば、以下のように実現することができる。まず、制御部213は、例えばオフィスの始業時間の30分前など、制御対象領域である室内に従業者が存在しないタイミングで、制御対象の各機器をデフォルトの制御状態である第1の状態に制御する。その後、制御対象領域である室内に従業者が入室し、測位サーバ装置100から制御サーバ装置200への検出結果データの送信が開始されると、制御部213は、検出結果データに含まれる絶対位置と記憶部220が記憶する機器の位置データとに基づき、従業者が存在する位置に対応する機器(従業者の絶対位置の近傍に配置された機器)を特定する。そして、制御部213は、判定部211によって従業者が動作状態であると判定された場合は、特定した機器を第1の状態のままで維持し、判定部211によって従業者が静止状態であると判定された場合には、特定した機器を第1の状態から第2の状態へと変化させる。また、制御部213は、推定部212によって動作状態の従業者が所定時間内に静止状態となる位置が推定された場合には、その位置に対応する機器(その位置の近傍に配置された機器)を第1の状態から第2の状態へと変化させる。
また、判定部211が静止状態と判定した従業者に対して、さらに起立状態であるか着座状態であるかを判定した場合には、制御部213は、静止状態の従業者が起立状態であるか着座状態であるかに応じて、従業者が存在する位置に対応する機器として特定した機器を第1の状態のまま維持するか、あるいは第1の状態から第2の状態へと変化させるかを決定してもよい。すなわち、制御部213は、判定部211によって静止状態の従業者が起立状態であると判定された場合は、特定した機器の少なくとも一部を第1の状態のままで維持し、判定部211によって静止状態の従業者が着座状態であると判定された場合に、特定した機器を第1の状態から第2の状態へと変化させるようにしてもよい。
さらに、制御部213は、タップ600に接続されたディスプレイ装置のように、従業者に対する正対関係が重要な機器に対しては、従業者が着座状態であり、かつ、従業者の方向が前方(ディスプレイ装置に正対する方向)の場合のみ、第1の状態から第2の状態に変化させるように制御してもよい。
また、制御部213は、第1の状態から第2の状態に変化させた機器の近傍の従業者が別の位置へと移動し、この機器に対応する位置に従業者が存在しなくなった場合には、この機器を第2の状態から第1の状態に復帰させる。そして、制御部213は、例えば、制御対象領域である室内からすべての従業者が退出した後、制御対象の各機器に対する電源供給を遮断する。なお、制御対象の各機器に設定された第1の状態がすべて電源オフの場合には、上述した従業者が室内に入室する前の処理や、すべての従業者が退室した後の処理は不要となる。
制御部213による上記の機器制御は、測位サーバ装置100から随時送信される検出結果データのそれぞれに対応して随時行われる。すなわち、時々刻々と変化する室内における従業者の動きや位置に応じて、従業者が存在しない位置に対応する機器は1の状態に制御され、従業者が存在する位置に対応する機器であってもその従業者が動作状態であれば第1の状態に制御され、静止状態の従業者が存在する位置に対応する機器のみが第2の状態に制御される。
なお、制御対象領域である室内において、例えば、ある従業者が着座している机の近くを別の従業者が通り過ぎるような場合には、動作状態の従業者が存在する位置に対応する機器と、静止状態の従業者が存在する位置に対応する機器とが同じ機器となる場合がある。この場合には、制御部213は、静止状態の従業者を優先させて、この機器を第2の状態に制御する。静止状態の従業者はその位置で業務活動を実施している可能性が高く、業務効率の低下を防ぐために快適性を優先させることが望ましいからである。
次に、以上のように構成された本実施形態の機器制御システムの動作について説明する。図15は、本実施形態の測位サーバ装置100による処理の手順の一例を示すフローチャートである。かかるフローチャートによる処理は、複数のスマートフォン300のそれぞれに対応して実行される。
なお、測位サーバ装置100は、このフローチャートによる処理とは別個に、複数のスマートフォン300に搭載された加速度センサ、角速度センサ、地磁気センサあるいはスマートフォン300とは別個の加速度センサ、角速度センサ、地磁気センサのそれぞれの各センサから検知データ(加速度ベクトル、角速度ベクトル、磁気方位ベクトル)を一定間隔で受信し、複数の監視カメラ400から撮像画像を受信している。
まず、測位サーバ装置100は、従業者が制御対象領域である室内に入室したか否かを、例えば、開閉する扉の撮像画像等により判断する(ステップS101)。そして、入室した場合には(ステップS101:Yes)、検知データ解析部102が、入室した従業者が所持するスマートフォン300から随時送信される検知データに基づいて、上述した手法により、従業者の動作活性度を算出する(ステップS102)。なお、従業者が室内に入室しない場合は(ステップS101:No)、室内から退室したか否かを判断する(ステップS109)。そして、退室した場合には(ステップS109:Yes)、当該従業者に対する図15のフローチャートによる処理を終了し、入室も退室も確認されない場合は(ステップS109:No)、入退出の確認を繰り返す。
次に、検知データ解析部102は、例えば基準位置を扉として、扉からの従業者の相対移動ベクトルを、上述の手法で算出する(ステップS103)。そして、検知データ解析部102は、記憶部110に保存されている室内の地図データと、扉からの相対移動ベクトルにより、従業者の絶対位置を検出する(ステップS104)。
次に、検知データ解析部102は、検知データに含まれる磁気方位ベクトルに基づき、従業者の方向(向き)を検出する(ステップS105)。また、検知データ解析部102は、従業者の姿勢として、従業者が着座状態か起立状態かを上述の手法により検出する(ステップS106)。さらに、検知データ解析部102は、従業者の動作状況として、しゃがむ動作か起立動作か、着座状態で向きを変更する動作か戻す動作か、着座状態で目線を上げる動作か目線を戻す動作か、着座状態で目線を下げる動作か目線を戻す動作か、をそれぞれ検出してもよい。
次に、補正部103が、ステップS104で検出された絶対位置、ステップS105で検出された方向およびステップS106で検出された姿勢に対して、上述のとおり、補正が必要か否かを判断して、必要であればこれらを補正する(ステップS107)。
そして、通信部101が、ステップS102で算出された従業者の動作活性度、ステップS104で検出された絶対位置、ステップS105で検出された方向およびステップS106で検出された姿勢(ステップS107で補正された場合には、補正後の絶対位置、検出された方向および姿勢)を、検出結果データとして、制御サーバ装置200に送信する(ステップS108)。
次に、本実施形態の制御サーバ装置200による処理について説明する。図16は、本実施形態の制御サーバ装置200による処理の手順の一例を示すフローチャートである。なお、このフローチャートで示す処理は、制御対象領域である室内に従業者が入室して、測位サーバ装置100から検出結果データが送信されると開始され、送信された各検出結果データのそれぞれに対して(つまり、室内の従業者それぞれに対して)実行される。制御サーバ装置200は、このフローチャートで示す処理が開始される前に、室内の各機器をデフォルトの制御状態である第1の状態に制御しているものとする。
まず、通信部201は、測位サーバ装置100から、従業者の動作活性度、絶対位置、方向、姿勢を含む検出結果データを受信する(ステップS201)。
次に、機器制御部210の判定部211が、ステップS201で受信した検出結果データに含まれる動作活性度に基づいて、従業者が動作状態であるか静止状態であるかの判定を行い、さらに静止状態であると判定した場合は検出結果データに含まれる姿勢から、静止状態の従業者が起立状態であるか着座状態であるかの判定を行う(ステップS202)。より具体的には、判定部211は、上述したように、検出結果データに含まれる動作活性度を所定の閾値と比較し、動作活性度が閾値よりも大きい場合に従業者が動作状態であると判定し、動作活性度が閾値以下である場合に従業者が静止状態であると判定する。そして、判定部211は、従業者が静止状態であると判定した場合には、さらに検出結果データに含まれる姿勢から、この従業者が起立状態であるか、着座状態であるかを判定する。
次に、推定部212が、ステップS202の判定部211による判定結果を確認し(ステップS203)、従業者が動作状態であれば(ステップS203:Yes)、上述した方法によって、動作状態の従業者が所定時間内に静止状態となる位置を推定する(ステップS204)。従業者が静止状態の場合には(ステップS203:No)、ステップS204の処理は行われない。
次に、制御部213が、ステップS201で受信した検出結果データに含まれる絶対位置から、制御対象のLED照明機器500、タップ600(タップ600に接続されたPC本体およびディスプレイ装置)、空調機700を特定する(ステップS205)。より具体的には、制御部213は、記憶部220が記憶する機器の位置データを参照して、検出結果データに含まれる絶対位置の近傍に設置されたLED照明機器500と、絶対位置の近傍に設置されたタップ600と、このタップ600に接続されたPC本体およびディスプレイ装置と、絶対位置の近傍に設置された空調機700とを制御対象として特定する。
次に、制御部213は、ステップS202の判定部211による判定結果を確認し(ステップS206)、従業者が静止状態であれば(ステップS206:Yes)、ステップS205で制御対象として特定した空調機700を第2の状態に制御する(ステップS206)。
次に、制御部213は、ステップS202の判定部211による判定結果を確認し(ステップS208)、静止状態の従業者が着座状態であれば(ステップS208:Yes)、ステップS204で制御対象として特定した空調機700を第2の状態に制御し(ステップS209)、さらに、ステップS205で制御対象として特定したPC本体を第2の状態に制御する(ステップS210)。
次に、制御部213は、ステップS201で受信した検出結果データに含まれる方向から、従業者の方向が前方(ステップS205で制御対象として特定したディスプレイ装置に正対する方向)であるか否かを判定する(ステップS211)。そして、制御部213は、従業者の方向が前方であれば(ステップS211:Yes)、ステップS205で制御対象として特定したディスプレイ装置を第2の状態に制御する(ステップS212)。一方、従業者の方向が前方でなければ(ステップS211:No)、制御部213は、ステップS205で制御対象として特定したディスプレイ装置を、デフォルトの制御状態である第1の状態のままに維持する(ステップS213)。
また、制御部213は、ステップS208で判定部211の判定結果を確認した結果、静止状態の従業者が起立状態であれば(ステップS208:No)、ステップS205で制御対象として特定したLED照明機器500、PC本体およびディスプレイ装置を、デフォルトの制御状態である第1の状態のままに維持する(ステップS214)。
また、制御部213は、ステップS206で判定部211の判定結果を確認した結果、従業者が動作状態であれば(ステップS206:No)、ステップS205で制御対象として特定した空調機700、LED照明機器500、PC本体およびディスプレイ装置を、デフォルトの制御状態である第1の状態のままに維持する(ステップS215)。このとき、ステップS203で推定部212によって推定された位置、すなわち、動作状態の従業者が所定時間内に静止状態となる位置として推定された位置があれば、制御部213は、この推定部212により推定された位置の近傍に設置されたLED照明機器500、タップ600(タップ600に接続されたPC本体およびディスプレイ装置)、および空調機700を第2の状態に制御する。
なお、上述した制御サーバ装置200による処理はあくまで一例であり、制御部213は上述した機器以外の機器を制御対象に加えてもよいし、制御対象の機器に対して、上述した制御以外の他の制御を行うように構成してもよい。例えば、制御部213は、従業者の動作状況として、しゃがむ動作か起立動作か、着座状態で向きを変更する動作か戻す動作か、着座状態で目線を上げる動作(見上げる動作)か目線を戻す動作か、着座状態で目線を下げる動作(見下げる動作)か目線を戻す動作かにより、制御対象の各機器に対する制御を行うようにしてもよい。
このような場合の各動作と制御対象の機器および制御方法として、以下のような例があげられる。これらの動作は、従業者が机の前に着座している状態を想定した場合に起こり得る動作であり、制御対象の機器は、PC本体あるいはディスプレイ装置、電気スタンド、個別空調に相当する卓上扇風機等である。
例えば、従業者が机にいる場合で、受信した検出結果データから、一定時間以上しゃがむ動作が継続していると判断した場合に、制御部213が、PC本体の電源が接続されたタップ口のスイッチをオフにする制御を行ってもよいし、PC本体をスタンバイ状態に移行させるように制御してもよい。また、着座状態からの起立動作を検出して、起立状態が一定時間以上継続した場合には、制御部213が、PC本体をスタンバイ状態に移行させるように制御したり、同時にディスプレイ装置の電源をオフするように制御してもよい。
従業者の向きの変化という動作に対しては以下のような制御が一例としてあげられる。従業者が机の前に着座した状態から、顔あるいは上半身の向きの変化が検出され、この状態が一定時間以上継続した場合には、隣接する席の他の従業者と会話している等の状況が考えられる。このような場合は、制御部213は、PC本体、ディスプレイ装置、電気スタンド等をスタンバイ状態あるいは電源オフとし、従業者の向きが元の状態に戻った、元の姿勢に戻ったことを検出した場合に、PC本体、ディスプレイ装置、電気スタンド等の電源をオンにするといった制御を行うようにしてもよい。
また、従業者が机で書類を読むような場合には見下げる動作を行い、従業者がアイデアを思いつく、あるいは考えるような場合には天井方向を見上げる動作を行うことが考えられる。このため、一定時間以上見上げる動作または見下げる動作が継続して検出された場合には、制御部213は、PC本体をスタンバイ状態に移行させたり、ディスプレイ装置の電源をオフにするような制御を行うようにしてもよい。さらに、見下げる動作の場合には、制御部213は、電気スタンドの電源をオフしないように制御してもよい。
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施形態によれば、制御サーバ装置200が備える機器制御部210の判定部211が、測位サーバ装置100から送信された検出結果データに含まれる従業者の動作活性度に基づいて、従業者が動作状態であるか静止状態であるかを判定する。そして、制御部213が、動作状態の従業者が存在する位置の近傍に設置された機器については、従業者が存在しない位置の機器と同様にデフォルトの制御状態である第1の状態に制御し、静止状態の従業者が存在する位置の近傍に設置された機器を、従業者の快適性を考慮した第2の状態に制御するようにしている。したがって、本実施形態によれば、従業者の位置の変化に対して機器の制御が遅延することによって動きが大きい従業者に対して不快感を与える不都合を有効に抑制しながら、省電力化や快適性の向上を図ることができる。
すなわち、人間の位置を検出し、検出した人間の位置に応じて機器を制御する従来の技術では、人間の動きが大きい場合に、その人間の位置の変化に対して機器の制御を応答性よく追従させることが難しく、制御の遅れが人間に不快感を与える場合があった。これに対して、本実施形態によれば、動きの大きい従業者の位置の近傍に設置された機器については、従業者が存在しない位置の機器と同様にデフォルトの制御状態である第1の状態に制御し、動きの小さい従業者の位置の近傍に設置された機器のみを第2の状態に制御するので、従業者の動きに対する制御遅延を見かけ上なくすことができ、動きが大きい従業者に与える不快感を低減させつつ、省電力化や快適性の向上を図ることができる。
また、本実施形態によれば、判定部211が静止状態と判定した従業者に対してさらに起立状態か着座状態かを判定し、制御部213が、静止状態の従業者が存在する位置の近傍の機器であっても、従業者が起立状態であれば、少なくとも一部の機器を第1の状態に制御し、着座状態の従業者が存在する位置の近傍の機器を第2の状態に制御することで、さらなる省電力化を図ることができる。つまり、起立状態の従業者は業務活動を行っていない状態であると推察できるので、このような従業者の近傍の機器については、快適性よりも省電力を優先した制御とすることで、さらなる省電力化を図ることができる。
また、本実施形態によれば、動作状態の従業者が所定時間内に静止状態となる位置を推定部212が推定し、制御部213が、推定部212によって推定された位置の近傍の機器を第2の状態に制御することで、従業者の快適性をさらに向上させることができる。つまり、動作状態の従業者が所定時間内に静止状態となって業務活動を実施すると推定される位置の近傍の機器を先行して第2の状態に制御することで、その位置に到達した従業者に対してすぐに快適な作業環境を提供することができ、従業者の快適性をさらに向上させることができる。
本実施形態の測位サーバ装置100、制御サーバ装置200は、例えば、CPU等の制御装置と、ROMやRAM等の記憶装置と、HDD、CDドライブ装置等の外部記憶装置と、ディスプレイ装置等の表示装置と、キーボードやマウス等の入力装置を備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
本実施形態の測位サーバ装置100で実行される検出プログラム、本実施形態の制御サーバ装置200で実行される制御プログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
また、本実施形態の測位サーバ装置100で実行される検出プログラム、本実施形態の制御サーバ装置200で実行される制御プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施形態の測位サーバ装置100で実行される検出プログラム、本実施形態の制御サーバ装置200で実行される制御プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
また、本実施形態の測位サーバ装置100で実行される検出プログラム、本実施形態の制御サーバ装置200で実行される制御プログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
本実施形態の測位サーバ装置100で実行される検出プログラムは、上述した各部(通信部101、検知データ解析部102、補正部103)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記記憶媒体から検出プログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、通信部101、検知データ解析部102、補正部103が主記憶装置上に生成されるようになっている。
本実施形態の制御サーバ装置200で実行される制御プログラムは、上述した各部(通信部201、消費電力管理部202、機器制御部210(判定部211、推定部212、制御部213))を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記記憶媒体から制御プログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、通信部201、消費電力管理部202、機器制御部210(判定部211、推定部212、制御部213)が主記憶装置上に生成されるようになっている。
以上、本発明の具体的な実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で様々な変形や変更を加えて具体化することができる。つまり、上述した実施形態の具体的な構成や動作はあくまで一例であり、用途や目的に応じて様々な変形や変更が可能である。
例えば、上述した実施形態は、測位サーバ装置100と制御サーバ装置200とをそれぞれ独立の装置として実現した例であるが、これら測位サーバ装置100と制御サーバ装置200のそれぞれの機能を1つの装置で実現するようにしてもよい。すなわち、上述した実施の形態では、スマートフォン300から送信された加速度センサ、角速度センサおよび地磁気センサそれぞれの検知データを測位サーバ装置100が受信して、測位サーバ装置100において、これらの検知データに基づいて従業者の動作活性度、絶対位置、方向、姿勢等を検出するようにしている。しかし、制御サーバ装置200が、スマートフォン300から各センサの検知データを受信して、受信した検知データに基づいて従業者の動作活性度、絶対位置、方向、姿勢等を検出する構成としてもよい。
また、上述した実施形態における測位サーバ装置100の機能をスマートフォン300に持たせるようにしてもよい。すなわち、スマートフォン300に制御対象領域である室の地図データを格納しておき、スマートフォン300が各センサの検知データに基づいて従業者の動作活性度、絶対位置、方向、姿勢等を検出し、これらの情報を含んだ検出結果データを制御サーバ装置200に送信する構成としてもよい。
100 測位サーバ装置
101 通信部
102 検知データ解析部
103 補正部
110 記憶部
200 制御サーバ装置
201 通信部
202 消費電力管理部
210 機器制御部
211 判定部
212 推定部
213 制御部
220 記憶部
300 スマートフォン
400 監視カメラ
500 LED照明機器
600 タップ
700 空調機
特許第4640286号公報

Claims (13)

  1. 制御対象領域内に分散配置された機器を制御する機器制御装置であって、
    前記制御対象領域内の人間に対して、該人間の動きの程度を表す動作活性度が予め定められた閾値よりも大きい動作状態であるか、前記動作活性度が前記閾値以下の静止状態であるかを判定する判定部と、
    前記制御対象領域内で人間が存在しない位置に対応する前記機器と、前記動作状態である人間が存在する位置に対応する前記機器とを第1の状態に制御し、前記静止状態である人間が存在する位置に対応する前記機器を前記第1の状態とは異なる第2の状態に制御する制御部と、を備えることを特徴とする機器制御装置。
  2. 前記判定部は、前記静止状態である人間が起立状態であるか着座状態であるかをさらに判定し、
    前記制御部は、前記静止状態である人間が起立状態であれば、該人間が存在する位置に対応する前記機器の少なくとも一部を前記第1の状態に制御し、前記静止状態である人間が着座状態であれば、該人間が存在する位置に対応する前記機器を前記第2の状態に制御することを特徴とする請求項1に記載の機器制御装置。
  3. 前記動作状態である人間が所定時間内に前記静止状態となる位置を推定する推定部をさらに備え、
    前記制御部は、さらに前記推定部が推定した位置に対応する機器を前記第2の状態に制御することを特徴とする請求項1に記載の機器制御装置。
  4. 前記推定部は、前記動作状態である人間の位置からの距離が所定距離以内の位置であり、かつ、人間が前記静止状態で活動を行う位置を、前記動作状態である人間が前記所定時間内に前記静止状態となる位置と推定することを特徴とする請求項3に記載の機器制御装置。
  5. 前記制御対象領域内における人間の過去の動作履歴を記憶する履歴記憶部をさらに備え、
    前記推定部は、前記動作履歴に基づいて、前記動作状態である人間が前記所定時間内に前記静止状態となる位置を推定することを特徴とする請求項3または4に記載の機器制御装置。
  6. 前記制御部は、前記動作状態である人間が存在する位置に対応する前記機器と、前記静止状態である人間が存在する位置に対応する前記機器とが同じ機器である場合に、当該機器を前記第2の状態に制御することを特徴とする請求項1に記載の機器制御装置。
  7. 前記動作活性度は、人間の体の水平方向の移動量を含むことを特徴とする請求項1に記載の機器制御装置。
  8. 前記動作活性度は、人間の体の垂直方向の移動量を含むことを特徴とする請求項1に記載の機器制御装置。
  9. 前記動作活性度は、人間の体の向きの変化量を含むことを特徴とする請求項1に記載の機器制御装置。
  10. 前記制御対象領域内の人間の位置および動きは、該人間が所持する加速度センサ、角速度センサおよび地磁気センサの少なくとも1つの検知データに基づいて検出されることを特徴とする請求項1に記載の機器制御装置。
  11. 前記制御対象領域内の人間の位置および動きは、前記制御対象領域に設置されたカメラにより撮像された画像に基づいて検知されることを特徴とする請求項1または9に記載の機器制御装置。
  12. 制御対象領域内に分散配置された機器を制御する機器制御装置において実行される機器制御方法であって、
    前記機器制御装置の判定部が、前記制御対象領域内の人間に対して、該人間の動きの程度を表す動作活性度が予め定められた閾値よりも大きい動作状態であるか、前記動作活性度が前記閾値以下の静止状態であるかを判定するステップと、
    前記機器制御装置の制御部が、前記制御対象領域内で人間が存在しない位置に対応する前記機器と、前記動作状態である人間が存在する位置に対応する前記機器とを第1の状態に制御し、前記静止状態である人間が存在する位置に対応する前記機器を前記第1の状態とは異なる第2の状態に制御するステップと、を含むことを特徴とする機器制御方法。
  13. 制御対象領域内に分散配置された機器を制御するコンピュータに、
    前記制御対象領域内の人間に対して、該人間の動きの程度を表す動作活性度が予め定められた閾値よりも大きい動作状態であるか、前記動作活性度が前記閾値以下の静止状態であるかを判定する機能と、
    前記制御対象領域内で人間が存在しない位置に対応する前記機器と、前記動作状態である人間が存在する位置に対応する前記機器とを第1の状態に制御し、前記静止状態である人間が存在する位置に対応する前記機器を前記第1の状態とは異なる第2の状態に制御する機能と、を実現させるためのプログラム。
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