JP2014085608A - 撮像装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】主要な被写体に合焦面を合せると当該主要な被写体について視差のない画像が得られるという不具合がある。
【解決手段】撮像装置であって、光学系を通った被写体からの入射光を電気信号に光電変換する二次元的に配列された複数の光電変換素子、および、入射光の断面領域内の部分領域からの光を対応する複数の光電変換素子にそれぞれ入射させる開口を設けた遮光部を有する撮像素子と、光学系および撮像素子の少なくとも一方を制御することにより、光学系が形成する合焦面と撮像素子の受光面との相対位置を制御する制御部とを備え、制御部は、光学系が形成する被写体に対する合焦面の位置と撮像素子の受光面とをずらすことにより、被写体に対して視差を含む画像信号を撮像素子から出力させる。
【選択図】図7
【解決手段】撮像装置であって、光学系を通った被写体からの入射光を電気信号に光電変換する二次元的に配列された複数の光電変換素子、および、入射光の断面領域内の部分領域からの光を対応する複数の光電変換素子にそれぞれ入射させる開口を設けた遮光部を有する撮像素子と、光学系および撮像素子の少なくとも一方を制御することにより、光学系が形成する合焦面と撮像素子の受光面との相対位置を制御する制御部とを備え、制御部は、光学系が形成する被写体に対する合焦面の位置と撮像素子の受光面とをずらすことにより、被写体に対して視差を含む画像信号を撮像素子から出力させる。
【選択図】図7
Description
本発明は、撮像装置に関する。
画素ごとに異なる入射角度の被写体像を受光することにより、左右の視差に対応する画像を一度の撮像で得るものがある(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1 特開2003−7994号公報
特許文献1 特開2003−7994号公報
しかしながら、上記構成においては、光学系の合焦面にある被写体については、異なる入射角度の被写体像が近接した画素で受光されるので、結果として視差がつかない。ユーザは、関心を有している主要な被写体に合焦面を合せるので、当該主要な被写体について視差のない画像が得られるという不具合がある。
本発明の第1の態様においては、撮像装置であって、光学系を通った被写体からの入射光を電気信号に光電変換する二次元的に配列された複数の光電変換素子、および、入射光の断面領域内の部分領域からの光を対応する複数の光電変換素子にそれぞれ入射させる開口を設けた遮光部を有する撮像素子と、光学系および撮像素子の少なくとも一方を制御することにより、光学系が形成する合焦面と撮像素子の受光面との相対位置を制御する制御部とを備え、制御部は、光学系が形成する被写体に対する合焦面の位置と撮像素子の受光面とをずらすことにより、被写体に対して視差を含む画像信号を撮像素子から出力させる。
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
撮像装置の一形態である本実施形態に係るデジタルカメラは、1つのシーンについて複数の視点数の画像を一度の撮影により生成できるように構成されている。互いに視点の異なるそれぞれの画像を視差画像と呼ぶ。本実施形態においては、特に、右目と左目に対応する2つの視点による右視差画像と左視差画像を生成する場合について説明する。本実施形態におけるデジタルカメラは、中央視点による視差のない視差なし画像も、視差画像と共に生成できる。
図1は、デジタルカメラ10の構成を説明する図である。デジタルカメラ10は、被写体を撮影して複数の視差画像を生成する。さらにデジタルカメラ10は、合焦面の位置を主要な被写体に対してずらすことにより、主要な被写体に対して視差を含む画像信号を撮像素子から出力させる。
デジタルカメラ10は、撮影光学系としての撮影レンズ20を備え、光軸21に沿って入射する被写体光束を撮像素子100へ導く。デジタルカメラ10は、被写体光束の周辺を遮光する絞り22をさらに備える。撮影レンズ20は絞り22と共に、デジタルカメラ10に対して着脱できる交換式レンズであっても構わない。デジタルカメラ10は、撮像素子100、制御部201、A/D変換回路202、メモリ203、駆動部204、画像処理部205、メモリカードIF207、操作部208、表示部209、LCD駆動回路210およびAFセンサ211を備える。
なお、図示するように、撮像素子100へ向かう光軸21に平行な方向をZ軸プラス方向と定め、Z軸と直交する平面において紙面手前へ向かう方向をX軸プラス方向、紙面上方向をY軸プラス方向と定める。撮影における構図との関係はX軸が水平方向、Y軸が垂直方向となる。以降のいくつかの図においては、図1の座標軸を基準として、それぞれの図の向きがわかるように座標軸を表示する。
撮影レンズ20は、複数の光学レンズ群から構成され、シーンからの被写体光束をその焦点面近傍に結像させる。また、撮影レンズ20は、制御部201からの制御により合焦面の位置を可変な合焦光学系を含む。なお、図1では撮影レンズ20を説明の都合上、瞳近傍に配置された仮想的な1枚のレンズで代表して表している。
絞り22は、撮影レンズ20の瞳近傍に配され、撮像素子100へ入射する被写体光束の周辺領域を遮光する。絞り22の絞り値は可変であって、制御部201からの制御により設定される。当該絞り22の一例は虹彩絞りであるが、これに限られない。
撮像素子100は、撮影レンズ20の焦点面近傍に配置されている。撮像素子100は、二次元的に複数の光電変換素子が配列された、例えばCCD、CMOSセンサ等のイメージセンサである。撮像素子100は、駆動部204によりタイミング制御されて、受光面上に結像された被写体像を画像信号に変換してA/D変換回路202へ出力する。A/D変換回路202は、撮像素子100が出力する画像信号をデジタル画像信号に変換してメモリ203へ出力する。
制御部201は、デジタルカメラ10全体の制御を司る。例えば、設定された絞り値に応じて絞り22の開口を調整し、AF評価値に応じて撮影レンズ20を光軸方向に進退させる。また、撮影レンズ20の位置を検出して、撮影レンズ20の焦点距離、フォーカスレンズ位置を把握する。さらに、駆動部204に対してタイミング制御信号を送信し、撮像素子100から出力される画像信号が画像処理部205で撮影画像データに処理されるまでの一連のシーケンスを管理する。制御部201はさらに、評価値算出部230、目標設定部232および出力部234を有するが、これらについては後述する。
画像処理部205は、メモリ203をワークスペースとして種々の画像処理を施し、画像データを生成する。画像処理部205は、他にも選択された画像フォーマットに従って画像データを調整するなどの画像処理一般の機能も担う。生成された画像データは、LCD駆動回路210により表示信号に変換され、表示部209に表示される。また、メモリカードIF207に装着されているメモリカード220に記録される。
操作部208は、ユーザからの撮影指示を受け付けるレリーズボタンを有する。操作部208はさらに、ユーザから主要な被写体に対して視差を生じさせた画像を取得したいか否かの入力を受け付けるボタンを有する。
AFセンサ211は、被写体空間に対して複数の測距点が設定された位相差センサであり、それぞれの測距点において被写体像のデフォーカス量を検出する。なお、撮像素子100がAFセンサを兼ねてもよく、その場合には別個のAFセンサ211を設けなくてよい。
一連の撮影シーケンスは、操作部208がユーザの操作を受け付けて、制御部201へ操作信号を出力することにより開始される。撮影シーケンスに付随するAF,AE等の各種動作は、制御部201に制御されて実行される。例えば、制御部201は、AFセンサ211の検出信号を解析して、撮影レンズ20の一部を構成するフォーカスレンズを移動させる合焦制御を実行する。
図2は、撮像素子100の一部を拡大した様子を概念的に表す概念図である。画素領域には2000万個以上もの画素がマトリックス状に配列されている。本実施形態においては、隣接する8画素×8画素の64画素が一つの基本格子110を形成する。基本格子110は、2×2の4画素を基本単位とするベイヤー配列を、Y軸方向に4つ、X軸方向に4つ含む。なお、図示するように、ベイヤー配列においては、左上画素と右下画素に緑フィルタ(Gフィルタ)、左下画素に青フィルタ(Bフィルタ)、右上画素に赤フィルタ(Rフィルタ)が配される。
基本格子110は、視差画素と視差なし画素を含む。視差画素は、撮影レンズ20を透過する入射光束のうち、光軸から偏位した部分光束を受光する画素である。視差画素には、当該部分光束のみを透過させるように、画素中心から偏位した偏位開口を有する開口マスクが設けられている。開口マスクは、例えば、カラーフィルタに重ねて設けられる。本実施形態においては、開口マスクにより、部分光束が画素中心に対して左側に到達するように規定された視差Lt画素と、部分光束が画素中心に対して右側に到達するように規定された視差Rt画素の2種類が存在する。一方、視差なし画素は、開口マスクが設けられていない画素であり、撮影レンズ20を透過する入射光束の全体を受光する画素である。
なお、視差画素は、光軸から偏位した部分光束を受光するにあたり、開口マスクに限らず、受光領域と反射領域が区分された選択的反射膜、偏位したフォトダイオード領域など、様々な構成を採用し得る。すなわち、視差画素は、撮影レンズ20を透過する入射光束のうち、光軸から偏位した部分光束を受光できるように構成されていれば良い。
基本格子110内の画素をPIJで表す。例えば、左上画素はP11であり、右上画素はP81である。図に示すように、視差画素は以下のように配列されている。
P11…視差Lt画素+Gフィルタ(=G(Lt))
P51…視差Rt画素+Gフィルタ(=G(Rt))
P32…視差Lt画素+Bフィルタ(=B(Lt))
P63…視差Rt画素+Rフィルタ(=R(Rt))
P15…視差Rt画素+Gフィルタ(=G(Rt))
P55…視差Lt画素+Gフィルタ(=G(Lt))
P76…視差Rt画素+Bフィルタ(=B(Rt))
P27…視差Lt画素+Rフィルタ(=R(Lt))
他の画素は視差なし画素であり、視差無し画素+Rフィルタ、視差なし画素+Gフィルタ、視差無し画素+Bフィルタのいずれかである。
P11…視差Lt画素+Gフィルタ(=G(Lt))
P51…視差Rt画素+Gフィルタ(=G(Rt))
P32…視差Lt画素+Bフィルタ(=B(Lt))
P63…視差Rt画素+Rフィルタ(=R(Rt))
P15…視差Rt画素+Gフィルタ(=G(Rt))
P55…視差Lt画素+Gフィルタ(=G(Lt))
P76…視差Rt画素+Bフィルタ(=B(Rt))
P27…視差Lt画素+Rフィルタ(=R(Lt))
他の画素は視差なし画素であり、視差無し画素+Rフィルタ、視差なし画素+Gフィルタ、視差無し画素+Bフィルタのいずれかである。
撮像素子100の全体でみた場合に、視差画素は、Gフィルタを有する第1群と、Rフィルタを有する第2群と、Bフィルタを有する第3群のいずれかに区分され、基本格子110には、それぞれの群に属する視差Lt画素および視差Rt画素が少なくとも1つは含まれる。図の例のように、これらの視差画素および視差なし画素が、基本格子110内においてランダム性を有して配置されると良い。ランダム性を有して配置されることにより、色成分ごとの空間分解能に偏りを生じさせることなく、視差画素の出力としてRGBのカラー情報を取得することができるので、高品質な視差画像データが得られる。
次に、撮像素子100から出力される撮影画像データから2D画像データと視差画像データを生成する処理の概念を説明する。図3は、2D画像データと視差画像データの生成処理の例を説明する図である。
基本格子110における視差画素および視差なし画素の配列からもわかるように、撮像素子100の出力をその画素配列に一致させてそのまま羅列しても、特定の像を表す画像データにはならない。撮像素子100の画素出力を、同一に特徴付けられた画素グループごとに分離して寄せ集めてはじめて、その特徴に即した一つの像を表す画像データが形成される。例えば、左右の視差画素をそれぞれ寄せ集めると、互いに視差を有する左右の視差画像データが得られる。このように、同一に特徴付けられた画素グループごとに分離して寄せ集められたそれぞれの画像データを、プレーンデータと呼ぶ。
画像処理部205は、撮像素子100の画素配列順にその出力値(画素値)が羅列されたRAW元画像データを受け取り、複数のプレーンデータに分離するプレーン分離処理を実行する。図の左列は、2D画像データとしての2D−RGBプレーンデータの生成処理の例を示す。
2D−RGBプレーンデータを生成するにあたり、画像処理部205は、まず視差画素の画素値を除去して、空格子とする。そして、空格子となった画素値を、周辺画素の画素値を用いて補間処理により算出する。例えば、空格子P11の画素値は、斜め方向に隣接するGフィルタ画素の画素値である、P−1−1、P2−1、P−12、P22の画素値を平均化演算して算出する。また、例えば空格子P63の画素値は、上下左右に1画素飛ばして隣接するRフィルタの画素値である、P43、P61、P83、P65の画素値を平均化演算して算出する。同様に、例えば空格子P76の画素値は、上下左右に1画素飛ばして隣接するBフィルタの画素値である、P56、P74、P96、P78の画素値を平均化演算して算出する。
このように補間された2D−RGBプレーンデータは、ベイヤー配列を有する通常の撮像素子の出力と同様であるので、その後は2D画像データとして各種処理を行うことができる。すなわち、公知のベイヤー補間を行って、各画素にRGBデータの揃ったカラー画像データを生成する。画像処理部205は、静止画データを生成する場合にはJPEG等の、動画データを生成する場合にはMPEG等の、予め定められたフォーマットに従って一般的な2D画像としての画像処理を行う。
本実施形態においては、画像処理部205は、2D−RGBプレーンデータをさらに色ごとに分離し、上述のような補間処理を施して、基準画像データとしての各プレーンデータを生成する。すなわち、緑色の基準画像プレーンデータとしてのGnプレーンデータ、赤色の基準画像プレーンデータとしてのRnプレーンデータ、および青色の基準画像プレーンデータとしてのBnプレーンデータの3つを生成する。
図の右列は、視差画素得データとしての2つのGプレーンデータ、2つのRプレーンデータおよび2つのBプレーンデータの生成処理の例を示す。2つのGプレーンデータは、左視差画像データとしてのGLtプレーンデータと右視差画像データとしてのGRtプレーンデータであり、2つのRプレーンデータは、左視差画像データとしてのRLtプレーンデータと右視差画像データとしてのRRtプレーンデータであり、2つのBプレーンデータは、左視差画像データとしてのBLtプレーンデータと右視差画像データとしてのBRtプレーンデータである。
GLtプレーンデータを生成するにあたり、画像処理部205は、撮像素子100の全出力値からG(Lt)画素の画素値以外の画素値を除去して空格子とする。すると、基本格子110には、P11とP55の2つの画素値が残る。そこで、基本格子110を縦横に4等分し、左上の16画素分をP11の出力値で代表させ、右下の16画素分をP55の出力値で代表させる。そして、右上の16画素分および左下の16画素分は、上下左右に隣接する周辺の代表値を平均化演算して補間する。すなわち、GLtプレーンデータは、16画素単位で一つの値を有する。
同様に、GRtプレーンデータを生成するにあたり、画像処理部205は、撮像素子100の全出力値からG(Rt)画素の画素値以外の画素値を除去して空格子とする。すると、基本格子110には、P51とP15の2つの画素値が残る。そこで、基本格子110を縦横に4等分し、右上の16画素分をP51の出力値で代表させ、左下の16画素分をP15の出力値で代表させる。そして、左上の16画素分および右下の16画素分は、上下左右に隣接する周辺の代表値を平均化演算して補間する。すなわち、GRtプレーンデータは、16画素単位で一つの値を有する。このようにして、2D−RGBプレーンデータよりは解像度の低いGLtプレーンデータとGRtプレーンデータを生成することができる。
RLtプレーンデータを生成するにあたり、画像処理部205は、撮像素子100の全出力値からR(Lt)画素の画素値以外の画素値を除去して空格子とする。すると、基本格子110には、P27の画素値が残る。この画素値を基本格子110の64画素分の代表値とする。同様に、RRtプレーンデータを生成するにあたり、画像処理部205は、撮像素子100の全出力値からR(Rt)画素の画素値以外の画素値を除去して空格子とする。すると、基本格子110には、P63の画素値が残る。この画素値を基本格子110の64画素分の代表値とする。このようにして、2D−RGBプレーンデータよりは解像度の低いRLtプレーンデータとRRtプレーンデータが生成される。この場合、RLtプレーンデータとRRtプレーンデータの解像度は、GLtプレーンデータとGRtプレーンデータの解像度よりも低い。
BLtプレーンデータを生成するにあたり、画像処理部205は、撮像素子100の全出力値からB(Lt)画素の画素値以外の画素値を除去して空格子とする。すると、基本格子110には、P32の画素値が残る。この画素値を基本格子110の64画素分の代表値とする。同様に、BRtプレーンデータを生成するにあたり、画像処理部205は、撮像素子100の全出力値からB(Rt)画素の画素値以外の画素値を除去して空格子とする。すると、基本格子110には、P76の画素値が残る。この画素値を基本格子110の64画素分の代表値とする。このようにして、2D−RGBプレーンデータよりは解像度の低いBLtプレーンデータとBRtプレーンデータが生成される。この場合、BLtプレーンデータとBRtプレーンデータの解像度は、GLtプレーンデータとGRtプレーンデータの解像度よりも低く、RLtプレーンデータとRRtプレーンデータの解像度と同等である。
本実施形態においては、画像処理部205は、これらのプレーンデータを用いて、左側視点のカラー画像データおよび右側視点のカラー画像データを生成する。具体的な処理に先立って、まず生成原理について説明する。
図4は、デフォーカスの概念を説明する図である。視差Lt画素および視差Rt画素は、レンズ瞳の部分領域としてそれぞれ光軸対象に設定された2つの視差仮想瞳のいずれかから到達する被写体光束を受光する。本実施形態の光学系においては、実際の被写体光束はレンズ瞳の全体を通過するので、視差画素に到達するまでは、視差仮想瞳に対応する光強度分布が互いに区別されるのではない。しかし、視差画素は、それぞれが有する開口マスクの作用により、視差仮想瞳を通過した部分光束のみを光電変換した画像信号を出力する。したがって、視差画素の出力が示す画素値分布は、それぞれ対応する視差仮想瞳を通過した部分光束の光強度分布と比例関係にあると考えても良い。
図4(a)で示すように、被写体である物点が焦点位置に存在する場合、いずれの視差仮想瞳を通った被写体光束であっても、それぞれの視差画素の出力は、対応する像点の画素を中心として急峻な画素値分布を示す。像点付近に視差Lt画素が配列されていれば、像点に対応する画素の出力値が最も大きく、周辺に配列された画素の出力値が急激に低下する。また、像点付近に視差Rt画素が配列されていても、像点に対応する画素の出力値が最も大きく、周辺に配列された画素の出力値が急激に低下する。すなわち、被写体光束がいずれの視差仮想瞳を通過しても、像点に対応する画素の出力値が最も大きく、周辺に配列された画素の出力値が急激に低下する分布を示し、それぞれの分布は互いに一致する。
一方、図4(b)に示すように、物点が焦点位置からずれると、物点が焦点位置に存在した場合に比べて、視差Lt画素が示す画素値分布のピークは、像点に対応する画素から一方向に離れた位置に現れ、かつその出力値は低下する。また、出力値を有する画素の幅も広がる。視差Rt画素が示す画素値分布のピークは、像点に対応する画素から、視差Lt画素における一方向とは逆向きかつ等距離に離れた位置に現れ、同様にその出力値は低下する。また、同様に出力値を有する画素の幅も広がる。すなわち、物点が焦点位置に存在した場合に比べてなだらかとなった同一の画素値分布が、互いに等距離に離間して現れる。また、図4(c)に示すように、さらに物点が焦点位置からずれると、図7(b)の状態に比べて、さらになだらかとなった同一の画素値分布が、より離間して現れる。つまり、物点が焦点位置から大きくずれる程、ぼけ量と視差量が増すと言える。別言すれば、デフォーカスに応じて、ぼけ量と視差量は連動して変化する。すなわち、ぼけ量と視差量は、一対一に対応する関係を有する。
また、図4(b)(c)は、物点が焦点位置から遠ざかる方向へずれる場合を示すが、物点が焦点位置から近づく方向へずれる場合は、図4(d)に示すように、図4(b)(c)と比べて、視差Lt画素が示す画素値分布と視差Rt画素が示す画素値分布の相対的な位置関係が逆転する。このようなデフォーカス関係により、視差画像を鑑賞するときに鑑賞者は、焦点位置より奥に存在する被写体を遠くに視認し、手前に存在する被写体を近くに視認する。
図4(b)(c)で説明した画素値分布の変化をそれぞれグラフ化すると、図5のように表される。図において、横軸は画素位置を表し、中心位置が像点に対応する画素位置である。縦軸は各画素の出力値(画素値)を表す。この出力値は上述の通り実質的に光強度に比例する。
分布曲線1804と分布曲線1805は、それぞれ図4(b)の視差Lt画素の画素値分布と視差Rt画素の画素値分布を表す。図からわかるように、これらの分布は中心位置に対して線対称の形状を成す。また、これらを足し合わせた合成分布曲線1806は、図4(b)の状況に対する視差なし画素の画素値分布、すなわち被写体光束の全体を受光した場合の画素値分布と略相似形状を示す。
分布曲線1807と分布曲線1808は、それぞれ図4(c)の視差Lt画素の画素値分布と視差Rt画素の画素値分布を表す。図からわかるように、これらの分布も中心位置に対して線対称の形状を成す。また、これらを足し合わせた合成分布曲線1809は、図4(c)の状況に対する視差なし画素の画素値分布と略相似形状を示す。
図6は、デジタルカメラ10の撮影動作のフローチャートの一例を示す。図6は、デジタルカメラ10の電源が投入された場合に開始する。なお、撮像素子100の受光面はデジタルカメラ10に対して光軸に沿った方向に固定されているものとする。
まず、制御部201は、露出等の撮影条件を初期値に設定する(S100)。さらに制御部201は、合焦光学系を予め定められた初期位置に移動させてもよい。
制御部201はレリーズボタンがユーザから半押しされるのを待つ(S102:No)。レリーズボタンがユーザから半押しされた場合に(S102:Yes)、制御部201は主要被写体を特定する(S104)。制御部201は、ユーザにより選択されたフォーカスエリアにより主要被写体を特定してもよいし、画像処理部205の顔認識等により主要被写体を推定してもよい。
評価値算出部230は、主要被写体に対する合焦の度合を評価する評価値を算出する(S206)。評価値の例は、位相差方式が用いられる場合の位相差量、コントラスト方式が用いられる場合の画像の鮮鋭度を示すコントラストの値等である。
目標設定部232は、評価値算出部230により算出された評価値に基づいて、撮像素子100の受光面に主要被写体の合焦面の位置を合せる目標合焦面を設定する(S108)。例えば、位相差方式において、上記位相差量から、主要被写体の合焦面の位置を撮像素子100の受光面に一致させたときの合焦面の位置である目標合焦面が設定される。また、コントラスト方式において、主要被写体について撮像素子100の受光面でのコントラストが最も高くなる合焦面の位置が、目標合焦面として設定される。
制御部201は、ユーザにより主要被写体に視差をつける旨が選択されているか否かを判断する(S110)。操作部208を介してユーザにより当該選択がされたか否かがメモリ203に格納されており、制御部201は当該メモリ203を参照することにより、選択の有無を判断する。
ユーザにより主要被写体に視差をつける旨が選択されていない場合に(S110:No)、出力部234は、上記合焦面の位置を目標合焦面に合せる制御信号を合焦光学系に出力する(S114)。これにより、撮影レンズ20の合焦光学系が駆動されて、主要被写体に合焦する。
制御部201はレリーズボタンがユーザから全押しされるのを待つ(S116:No)。レリーズボタンがユーザから全押しされた場合に(S116:Yes)、制御部201は、撮像素子100を駆動して撮像を実行し、当該撮像素子100から画像信号を取得して画像データを生成する(S118)。
図7は、デジタルカメラ10における合焦面、被写体の先鋭度を示すコントラストおよび視差量の関係を模式的に示す図である。図7において、被写体「三角」が主要被写体であり、他の被写体として当該被写体「三角」のZ方向手前に被写体「丸」が配されている例が示されている。なお、図7(a)から(c)のいずれにおいてもデジタルカメラ10と被写体「三角」および「丸」とのZ方向の位置関係は変わらない。また、視差量は、正の値が浮き上がり、負の値が沈み込みに対応して、その絶対値はそれぞれの度合を示す。当該視差量は、例えば図5に示すように、被写体の左右視差画像上の位置の差を画素数で数えたもので定義されてもよいし、他の定義であってもよい。なお、以降の説明においては、レンズ20を基準にしてレンズ20に近づく方向に向かう方向を手前側、レンズ20から離れる方向に向かう方向を奥側とする。
また、図7は物体側を示している。図7において、物体側で目標合焦面に共役な位置は、像側の最大コントラスト位置に対応する。図7に示すように、視差量は、目標合焦面に共役な位置から遠くなるほど負の方向になだらかに絶対値が増えるのに対し、目標合焦面に共役な位置から近くなると正の方向に急激に絶対値が増える。像側で言い換えれば、視差量は、目標合焦面から手前側にずれるほど負の方向になだらかに絶対値が増えるのに対し、被写体の合焦面が目標合焦面から奥側にずれると正の方向に急激に絶対値が増える。
図7(a)は、上記ステップS114を経由して撮像された場合の合焦面、コントラストおよび視差量の関係を模式的に示す。当該図に示すように、主要被写体「三角」は目標合焦面の共役面上にあって、コントラストが最も高いが、視差量はゼロである。
一方、上記ステップS110において、ユーザにより主要被写体に視差をつける旨が選択されている場合に(S110:Yes)、出力部234は、主要被写体の合焦面の位置を目標合焦面とは異なる位置に合せる制御信号を合焦光学系に出力する(S112)。これにより、撮影レンズ20の合焦光学系が駆動されて、主要被写体を撮像素子100の受光面からずれた位置に合焦する。
この場合に、出力部234は、主要被写体の合焦面の位置を目標合焦面よりも奥側にするか、手前側にするかを、例えばユーザからの選択に基づいて決定する。この場合には、合焦面の位置を目標合焦面よりも奥側にするか、手前側にするかが操作部208を介してユーザにより入力されてメモリ203に格納され、出力部234は当該メモリ203を参照することにより、手前側にずらすか奥側にずらすかを決定する。なお、初期値としてメモリ203にいずれか一方、例えば、手前側にずらす旨が格納されていてもよい。
制御部201は、レリーズボタンがユーザから全押しされるのを待つ(S116:No)。レリーズボタンがユーザから全押しされた場合に(S116:Yes)、制御部201は、撮像素子100を駆動して撮像を実行し、当該撮像素子100から画像信号を取得して画像データを生成する(S118)。
図7(b)および(c)は、上記ステップS112を経由して撮像された場合の合焦面、コントラストおよび視差量の関係を模式的に示す。特に、図7(b)は、主要被写体の合焦面が目標合焦面よりも奥側に位置する例であり、図7(c)は、主要被写体の合焦面が目標合焦面よりも手前側に位置する例である。
図7(b)に示すように、主要被写体に対して、目標合焦面の共役面が手前側となるように合焦面をずらすことにより、主要被写体「三角」に対して奥側に沈み込む方向の視差を有する画像が得られる。すなわち、目標合焦面に対して手前側に合焦面をずらすことにより、主要被写体「三角」に対して奥側に沈み込む方向の視差を有する画像が得られる。
一方、図7(c)に示すように、主要被写体に対して、目標合焦面の共役面が奥側となるように合焦面をずらすことにより、主要被写体「三角」に対して手前側に浮き上がる方向の視差を有する画像が得られる。すなわち、目標合焦面に対して奥側に合焦面をずらすことにより、主要被写体「三角」に対して手前側に浮き上がる方向の視差を有する画像が得られる。
以上により、合焦光学系が形成する主要被写体の合焦面の位置を撮像素子100の受光面に対してずらすことにより、主要被写体に対して視差を含む画像を得る。これにより、ユーザが注目している主要被写体に対して、再生時に立体感を得ることができる。
上記ステップS112において、目標合焦面から合焦面の位置をずらす量は、当該合焦面に対応する被写界深度内に主要被写体が位置する範囲内であることが好ましい。これにより、主要被写体に対するぼけを感じさせない範囲で、当該主要被写体に対する視差を含む画像を得ることができる。
これに代えて、または、これに加えて、目標合焦面から合焦面の位置をずらす量は、主要被写体に対して上記ステップS106において評価値算出部230により算出された評価値に基づいて決められることが好ましい。例えば、図7に両矢印で示すように、コントラストの値が予め定められた閾値以上となる範囲内で、合焦面の位置をずらすことが好ましい。これにより、主要被写体に対するぼけを感じさせない範囲で、当該主要被写体に対する視差を含む画像を得ることができる。
上記ステップS112において、主要被写体の合焦面の位置を目標合焦面よりも奥側にするか、手前側にするかは、ユーザからの選択に基づいて決定された。合焦面の位置の決定の方法はこれに限られない。他の方法として、主要被写体以外の被写体の位置関係に基づいて合焦面の位置が決定されてもよい。
図8は、デジタルカメラ10の撮影動作のフローチャートの他の例を示す。図8のフローチャートにおいて、主要被写体以外の被写体の配置に基づいて合焦面の位置が決定される。なお、図8において図6と同じ動作については同じ参照番号を付して、説明を省略する。
ステップS110において、ユーザにより主要被写体に視差をつける旨が選択されている場合に(S110:Yes)、制御部201は、主要被写体よりも手前側に他の被写体があるか否かを判断する(S120)。この場合に、制御部201は例えば、ステップS106およびS108で主要被写体に対する目標合焦面を設定したのと同様な方法で、他の被写体の合焦面の位置を特定し、目標合焦面を比較することにより、主要被写体よりも手前側に他の被写体があるか否かを判断する。
主要被写体よりも手前側に他の被写体がある場合に(S120:Yes)、出力部234は、主要被写体の合焦面の位置を目標合焦面に対して手前側にずらす(S122)。これにより、撮影レンズ20の合焦光学系が駆動されて、主要被写体は撮像素子100の受光面よりも手前側に合焦する。したがって、図7(b)に示すように、主要被写体「三角」が奥側に沈み込む方向の視差を有する画像が得られる。さらに、主要被写体「三角」よりも手前にある他の被写体「丸」に対しては、視差量の絶対値が抑えられる。これにより、再生時に両方の被写体に対して自然な立体感を得ることができる。
一方、ステップS120において、主要被写体よりも手前側に他の被写体がない場合に(S120:No)、出力部234は、合焦面の位置を目標合焦面に対して奥側にずらす(S124)。これにより、撮影レンズ20の合焦光学系が駆動されて、主要被写体は撮像素子100の受光面よりも奥側に合焦する。したがって、図7(c)に示すように、主要被写体「三角」が手前側に浮き上がる方向の視差を有する画像が得られる。これにより、ユーザが注目している主要被写体を再生時に浮き上がらせて、目立たせることができる。
以上、本実施形態によれば、合焦光学系が形成する主要被写体の合焦面の位置を撮像素子100の受光面に対してずらすことにより、主要被写体に対して視差を含む画像を得る。これにより、ユーザが注目している主要被写体に対して、再生時に立体感を得ることができる。なお、図6および図8において、ステップS104からS108は、既知の合焦動作が用いられてよい。
なお、図6から図8において、撮像素子100の受光面はデジタルカメラ10に対して光軸に沿った方向に固定され、合焦光学系が合焦面をずらしている。これに代えて、撮像素子100の受光面がデジタルカメラ10に対して光軸に沿った方向に移動することにより、撮像素子100の受光面と主要被写体の合焦面との位置関係が制御されてもよい。この場合に、合焦光学系の焦点位置は固定であっても可変であってもよい。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
10 デジタルカメラ、20 撮影レンズ、21 光軸、22 絞り、100 撮像素子、110 基本格子、201 制御部、202 A/D変換回路、203 メモリ、204 駆動部、205 画像処理部、207 メモリカードIF、208 操作部、209 表示部、210 LCD駆動回路、211 AFセンサ、220 メモリカード、230 評価値算出部、232 目標設定部、234 出力部、1804 分布曲線、1805 分布曲線、1806 合成分布曲線、1807 分布曲線、1808 分布曲線、1809 合成分布曲線
Claims (7)
- 光学系を通った被写体からの入射光を電気信号に光電変換する二次元的に配列された複数の光電変換素子、および、前記入射光の断面領域内の部分領域からの光を対応する前記複数の光電変換素子にそれぞれ入射させる開口を設けた遮光部を有する撮像素子と、
前記光学系および前記撮像素子の少なくとも一方を制御することにより、前記光学系が形成する合焦面と前記撮像素子の受光面との相対位置を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記光学系が形成する被写体に対する合焦面の位置と前記撮像素子の受光面とをずらすことにより、前記被写体に対して視差を含む画像信号を前記撮像素子から出力させる撮像装置。 - 前記制御部は、前記被写体に対して前記光学系が形成する焦点深度内に前記受光面が位置するように前記光学系および前記撮像素子の少なくとも一方を制御する請求項1に記載の撮像装置。
- 前記制御部は、
前記被写体に対する前記受光面での合焦の度合を評価する評価値を算出する評価値算出部と、
前記評価値算出部により算出された前記評価値に基づいて、前記受光面に前記合焦面を合せる目標合焦面を設定する目標設定部と、
前記光学系に、前記光学系の光軸に平行な方向について、前記目標設定部により設定された前記目標合焦面とは異なる位置に前記合焦面を位置させる制御信号を出力する出力部と
を有する請求項1または2に記載の撮像装置。 - 前記出力部は、前記被写体に対して前記評価値算出部により算出された前記評価値が予め定められた閾値以上となる範囲内で、前記目標合焦面に対して前記合焦面の位置をずらす請求項3に記載の撮像装置。
- 前記制御部は、前記合焦面の位置を前記受光面に対して奥側にずらすか手前側にずらすかを、ユーザからの選択に基づいて決定する請求項1から4のいずれか1項に記載の撮像装置。
- 前記制御部は、前記合焦面の位置を前記受光面に対して奥側にずらすか手前側にずらすかを、前記被写体と他の被写体との位置関係に基づいて決定する請求項1から4のいずれか1項に記載の撮像装置。
- 前記制御部は、前記被写体よりも手前側に他の被写体がある場合に前記合焦面の位置を前記撮像素子に対して手前側にずらし、前記被写体よりも手前側に他の被写体がない場合に前記合焦面の位置を前記撮像素子に対して奥側にずらす請求項6に記載の撮像装置。
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