JP2014085178A - 付着物分析方法および付着物分析装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 固体表面にダメージを与えずにレーザプラズマ分析法で付着物を分析する方法を提供する。
【解決手段】 分析対象Sの固体表面上に、通気口14bを有する金属製のシート部材14を載置し、シート部材14の金属表面に向けて照射したときに、シート部材14自体のアブレーションを生じさせることなくシート部材14近傍の雰囲気ガスをガスプラズマ化することが可能なプラズマ発生用レーザ13からのレーザビームを、シート部材14の金属表面に対して斜めに照射させ、シート部材14の金属面近傍に発生したプラズマに含まれる固体表面の付着物質に起因する発光の発光スペクトルを計測する。
【選択図】図2

Description

本発明は、半導体、金属、絶縁体等の固体表面に付着した物質の元素分析を行う分析方法および分析装置に関し、さらに詳細には、固体表面の付着物をプラズマ化してその発光スペクトルの分析を行う分析方法および分析装置に関する。
半導体製造過程では、シリコンウェハ等の基板表面をクリーンな状態に保持することが製品の品質や歩留まりを向上させる上で重要である。そのため、基板表面に雰囲気や外部などから物質が付着した場合に、その物質を特定するための迅速かつ高感度な元素分析方法が求められている。また、半導体業界に限らず、金属、ガラス、その他の固体製品を扱う業界等でも、製品表面の汚れ等を分析するための高感度分析方法が求められている。
迅速な表面分析方法としては蛍光X線分析が知られているが、この分析方法は表面付着物や汚れの分析方法としては感度が十分ではなく、製品表面の汚れを高感度で分析する目的には適用できない。
近年、固体表面にYAGレーザ(波長1.06μm)を照射してレーザアブレーションを行い、発生するプラズマの発光をスペクトル検出装置で計測することにより固体の元素分析を行うレーザプラズマ分析法(レーザ誘起プラズマ分光分析法)が迅速かつ高感度な分析手法として知られるようになった。しかしながら、この方法はエネルギー密度の高いレーザビームを固体表面に直接照射することによって固体自体を爆発的に蒸発、原子化、励起させてプラズマ化し、これにより元素分析を行うものであって、固体表面に付着した付着物質の元素分析には使用することができない。
これに対し、物質ごとにレーザアブレーションを生じさせるために必要なエネルギー密度の閾値(レーザアブレーション閾値)が異なることを利用した表面付着物のレーザプラズマ分析方法が開発されている。すなわち、レーザ光源をYAGレーザより波長の長いパルス炭酸ガスレーザ(TEA−COレーザともいう;波長10.6μm)とし、照射するパルス炭酸ガスレーザのエネルギー密度を適切な値にして基体(固体)の付着物に向けて照射したときに、基体を構成する金属表面にはアブレーションが生じず、基体表面に付着した試料物質のアブレーションだけを選択的に発生させることができる。また、大気圧でパルス炭酸ガスレーザを金属表面に向けて照射すると、雰囲気ガスのガスプラズマを発生させることができる。
そこで、パルス炭酸ガスレーザを基体表面の付着物に向けて照射し、レーザアブレーションにより蒸発させた付着物の粒子を、雰囲気ガスのガスプラズマ中で発光するようにして分析するレーザアブレーション利用の試料分析方法が開示されている(特許文献1参照)。
なお、分析対象となるプラズマの種類を区別するために、YAGレーザ等を用いて固体内部からの物質をアブレーションによりプラズマ化して分析する場合のプラズマを「レーザ誘起ターゲットプラズマ」と称し、パルス炭酸ガスレーザ等を用いることによって固体内部の物質はプラズマ化させず(アブレーションさせない)、雰囲気ガスだけをプラズマ化して分析する場合のプラズマを「レーザ誘起ガスプラズマ」と称している。
したがって、特許文献1に記載の表面付着物の分析では、パルス炭酸ガスレーザの照射で固体表面の付着物質だけをアブレーションによって蒸発させ、蒸発した付着物質の粒子をレーザ誘起ガスプラズマ中に流れ込ませるようにして、原子化、励起させることによりプラズマ化して分析するようにしている。
また、上記のレーザ誘起ガスプラズマを利用した分析方法の応用例として、土壌中の汚染物質を分析する場合に、図7に示すように、硬質体101(アブレーションが発生しにくい金属等)の表面に線状溝102(微細な窪みまたは孔)を形成しておき、試料となる土壌103を線状溝102の中に付着させ、その線状溝102に跨るビーム径のパルス炭酸ガスレーザ104を直接照射してプラズマ105を誘起させ、そのプラズマ発光の分析を行うことが開示されている(特許文献2参照)。
レーザ誘起ガスプラズマを利用したレーザプラズマ分析法によれば、基体となる金属表面(特許文献1)や硬質体表面(特許文献2)に対し、パルス炭酸ガスレーザが直接照射されるようにして、基体や硬質体自体のアブレーションを発生させることなく雰囲気ガスのガスプラズマを発生させている。その上で、付着物質(付着土壌等)にもパルス炭酸ガスレーザが直接照射されることにより付着物質のアブレーションが生じ、付着物質から蒸発した試料粒子がガスプラズマ中に流れ込んで発光することで、これら付着物質の発光スペクトル分析が行われるようにして、迅速かつ高感度な元素分析を行うようにしている。
特開2004−301573号公報 特開2008−014843号公報
特許文献1,2に記載のパルス炭酸ガスレーザを利用したレーザプラズマ分析法によれば、(固体表面ではなく)固体表面に付着した付着物質だけがアブレーションによりプラズマ化されてスペクトル分析が行われるため、迅速かつ高感度な分析が可能になる。
しかしながら、パルス炭酸ガスレーザが直接照射された固体表面自体は、たとえアブレーションが生じていなくても、付着物のアブレーションが生じる程度のエネルギー密度のパルス炭酸ガスレーザが直接照射される結果、相当な損傷を受けることになる。
また、半導体基板等の表面に付着した物質を分析する際には、基板表面自体を損なうことなく付着物の分析を行うことが求められるため、基板表面自体にできるだけ損傷を与えることなく付着物の分析を行うことが可能な分析方法が求められる。同様の要求は半導体基板の分析に限らず、さまざまな固体表面の分析において求められる。
そこで、本発明は、レーザプラズマ分析法による付着物のスペクトル分析を行う際に、固体表面にダメージを与えることなく付着物を分析する分析方法、および、分析装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するためになされた本発明の付着物分析方法は、分析対象の固体表面上に、通気口を有する金属製のシート部材を載置し、前記シート部材の金属表面に向けて照射したときに、当該シート部材自体のアブレーションを生じさせることなくシート部材近傍の雰囲気ガスをガスプラズマ化することが可能なプラズマ発生用レーザビームを、前記シート部材の金属表面に対して当該レーザビームが固体表面に直接照射されることのない斜め方向から照射し、前記シート部材の金属表面近傍に発生したプラズマに含まれる前記固体表面の付着物質に起因する発光の発光スペクトルを計測するようにしている。
ここで、「通気口を有するシート部材」としては、金属細線で形成されたメッシュが好ましいが、金属板に多数の細孔または多数の細いスリットが形成されたマスクであってもよい。なお、金属製メッシュの場合は通気口となるメッシュの網目(開き目)、マスクの場合は細孔、細いスリットを介して、シート部材の表裏面間に通気性が確保される。
また、「プラズマ発生用レーザ」には、パルス炭酸ガスレーザ(波長10.6μm)が好ましい。これは、COレーザのエネルギーはガスプラズマによく吸収されることから、基体(固体)表面のアブレーションが発生せず、表面の損傷がほとんど起こらないためである。しかしながら、これに限らず、金属製シート部材がアブレーションされることなく、雰囲気ガスのガスプラズマを発生させることが可能なレーザ光源(すなわちレーザ誘起ガスプラズマを発生することができるレーザ光源)であれば採用できる。具体的には、波長が10μm以上であるレーザであれば問題なくプラズマ発生用レーザとして使用することができる。
さらに、波長が10μm以下のレーザであっても、例えば波長が5μm以上程度のレーザであれば、レーザビームのエネルギー密度を調整するとともに金属製シート部材の金属材料としてアブレーション閾値が高い材料を選択することで、本発明のプラズマ発生用レーザのレーザ光源として採用することができる。また、プラズマ発生の補助的役割としてベータ線を同時に照射し、ガスプラズマ発生のきっかけとなる“電子”を作り出すことも可能である。これにより、ある程度の量の電子・イオン対(初期プラズマ)を作り出し、結果的により強力なプラズマを発生させることができる。
また、プラズマ発生用レーザのレーザビームとは別に、固体表面の付着物を脱離させる補助としての脱離用レーザビームを、シート部材の通気口を通して固体表面に直接照射するようにしてもよい。この目的で用いられるレーザとしては、具体的には紫外線レーザを用いることが多い。また、上述したプラズマ発生用レーザ(パルス炭酸ガスレーザ等)の光路を一部分岐し(例えばエネルギーを1:10の比で分岐)、エネルギー密度を十分に小さくして、単独の照射ではシート部材のアブレーションやガスプラズマが生じないように照射して脱離用レーザビームとしてもよい。
すなわち、脱離用レーザビームは、分析対象への照射において固体表面に損傷を与えることなく付着物を脱離することを目的としており、ガスプラズマを発生させる必要がないことから、ガスプラズマ発生用のレーザビームよりもエネルギー密度は小さくてよい。
また、レーザビームは発振波長によってガスプラズマによる吸収の容易性(つまりガスプラズマの発生の容易さ)が異なる。ガスプラズマ発生用のレーザビームには、ガスプラズマに吸収されやすい発振波長のレーザを選択する観点からパルス炭酸ガスレーザ等を採用するのが好ましい。しかし、脱離用レーザビームはガスプラズマを発生させる目的で使用するものではないので、ガスプラズマによる吸収の容易性についてあまり考慮する必要がなく、したがって発振波長についてはプラズマ発生用のレーザビームに比べて自由に選択することができる。そこで、プラズマ発生用光源からのレーザビームの一部を分岐し、エネルギー密度を十分に小さくするようにして脱離用レーザビームとすることもでき、また、紫外線レーザのように波長が異なるレーザ光源を専用に設けることもできる。
さらに、別の観点からなされた本発明の付着物分析装置は、固体表面に付着した物質をプラズマ化して分析する付着物分析装置であって、通気口を有し分析対象の固体表面上に載置される金属製のシート部材と、前記シート部材の金属表面に向けて照射したときに、当該シート部材自体のアブレーションを生じさせることなくシート部材近傍の雰囲気ガスをガスプラズマ化することが可能なレーザビームを発生させるプラズマ発生用のレーザ光源と、前記プラズマ発生用のレーザ光源からのレーザビームを、前記シート部材の金属表面に対して当該レーザビームが固体表面に直接照射されることのない斜め方向から照射させるレーザビーム斜め照射光学系と、前記シート部材近傍に発生したプラズマの発光スペクトルを計測するスペクトル測定部とを備えるようにしている。
また、前記付着物分析装置において、前記レーザビーム斜め照射光学系により照射されるレーザビームよりも小さいエネルギー密度であって、単独の照射では前記シート部材のアブレーションおよび雰囲気ガスのガスプラズマを発生することのない脱離用レーザビームを照射する補助レーザビーム照射光学系をさらに設け、当該補助レーザビーム照射光学系は、前記シート部材の通気口を通して固体表面に照射させるようにしてもよい。
本発明の付着物分析方法、および、付着物分析装置によれば、まず、分析対象の付着物が付着する固体表面上に、通気口を有する金属製のシート部材を載置する。そして、通気口を有するシート部材の金属面に対して斜め方向からプラズマ発生用のレーザビームを照射する。斜め照射されることにより、(たとえ通気口があっても)通気口以外のシート部材の影となって固体表面にはレーザビームが直接照射されないようにすることができる。また、シート部材は金属製としているため金属面にレーザが照射され、これにより雰囲気ガスによるレーザ誘起ガスプラズマが発生するようになる。また、シート部材は通気口を有しているので、ガスプラズマがシート部材の通気口を通して付着物表面に拡散したり、プラズマ発生で生じた熱の影響を受けたり、プラズマ発生用のレーザパルスの衝撃や、レーザ照射角度を調整してわずかに表面付着物にレーザが届くようにして、プラズマの発生前に付着物表面を照射するなどして、固体表面の付着物を脱離する。脱離した付着物の粒子はシート部材の通気口を通してガスプラズマ中に流れ、原子化、励起されてプラズマ化する。その結果、付着物に含まれる元素特有の発光が生じ、この発光スペクトルを計測することにより、元素分析を行うことができる。
本発明によれば、プラズマ発生用レーザビームが、直接、固体表面に照射されることがほとんどないので、固体表面にダメージを与えることなく付着物のみを脱離させ、プラズマ化して分析することができる。
また、本発明によれば、プラズマ発生用レーザビームを斜めに照射するので、従来のように略垂直入射する場合に比べて照射面積が広がり、原子励起される領域が広がるので、分析感度を向上させることができるという効果をも奏する。
さらに、脱離用レーザビームをシート部材の通気口を通して固体表面に直接照射した場合には、固体表面からの付着物の脱離が積極的に促進されることにより感度が向上するようになる。なお、固体表面に照射される脱離用レーザビームはエネルギー密度を十分に小さくし、単独の照射ではシート部材のアブレーションやガスプラズマが生じないように照射しているので、固体表面に損傷を与えることはない。
本発明の一実施形態である付着物分析装置の構成を平面視で示す図。 図1の試料表面近傍を拡大して示す正面断面図。 金属メッシュの一例を示す図。 金属メッシュとこれに照射されるレーザビームとの関係を示す図。 シリコンウェハ上に付着したCrを図1の装置で測定して得た発光スペクトルデータ。 本発明の第二実施形態である付着物分析装置の構成を平面視で示す図。 レーザ誘起ガスプラズマを利用した従来のプラズマ分析方法を示す図。
以下、図面を参照しつつ本発明の分析方法および分析装置について説明する。図1は本発明の一実施形態である付着物分析装置の構成を平面視で示す図であり、図2は図1の試料表面近傍を拡大した図である。
付着物分析装置10は、主として、試料Sを雰囲気ガスで覆うためのチャンバ11と、チャンバ11内で試料が載置されるテーブル12と、プラズマの発生に使用するレーザ光源13と、試料Sの表面を覆うように設置する金属メッシュ14(通気口を有する金属製のシート部材)と、レーザ光源13から出射するレーザビームを金属メッシュ14に対し斜めに照射する第一光路L1を形成するための光路調整と集光を行う第一照射光学系15(レーザビーム斜め照射光学系)と、レーザ光源13からのレーザビームの一部が分岐され、第一照射光学系とは別方向から金属メッシュ14に向けて照射する第二光路L2を形成するための光路調整と集光を行う第二照射光学系16(補助レーザビーム照射光学系)と、プラズマの発光を検出する光スペクトル測定部17と、装置全体の制御および測定データの処理を行う制御部18とからなる。
チャンバ11は、容器本体と蓋(不図示)とにより密閉可能な構造にしてある。容器本体にはレーザビームを通過させるための窓が形成してある。チャンバ11にはガスプラズマとなる雰囲気ガスを供給するボンベ(不図示)が接続されており、測定時には所望の雰囲気ガスで充填することができるようにしてある。分析対象となる付着物に含まれない成分であれば雰囲気ガスとして用いることができるが、中でもプラズマの発光寿命が長く、SN比を高めることが容易なHeガスを雰囲気ガスとするのが分析感度の観点から好ましい。あるいは入手容易なNガスを雰囲気ガスにしてもよいし、ノイズを問題にしなければ大気(空気)そのものを雰囲気ガスとしてもよい。なお、雰囲気ガスの圧力を略大気圧下で測定することにより、強い発光のプラズマを分析領域近傍に集中して発生させることができるので好ましい。
チャンバ11内部に設けられるテーブル12には、試料Sを固定保持するための固定具12aがテーブル上面に立設してある。テーブル12は駆動機構(不図示)により並進移動、回転移動することができるようにしてあり、角度を調整することで第一光路L1のレーザビームの斜め照射角度が微調整できるようにしてある。また、テーブル12は試料Sを固定保持した状態で移動あるいは揺動させながらレーザビームを照射することができ、レーザビームの照射範囲よりも試料Sの寸法が大きい場合に検出感度向上と検査範囲をカバーする点で有効である。
プラズマ発生用のレーザ光源13には、波長が10.6μm、パルス幅が数ナノ秒〜数百ナノ秒、パルスエネルギー数mJ〜数Jのパルス炭酸ガスレーザが使用される。
なお、波長が5μm以上のレーザ光源であればガスプラズマ発生用として問題なく使用できる。レーザ光源の出射口の前にはシャッタ13aが設けてあり、必要なときに照射することができるようにしてある。
金属メッシュ14は、分析したい領域の試料表面を覆うように取り付けられる。試料表面とは1mm程度の隙間を開けて設置するのが好ましいが、表面に直接接触させてもよい。金属メッシュ14の材料としてはアブレーションが生じにくい金属材料であればよく、具体的には例えば白金、銅、ステンレス等が用いられる。
金属メッシュ14は、図3に示すように、例えば線径が0.05〜0.2mm程度の細線14aを格子状に編んで開き目14b(通気口となる空間)が形成されるようにしてあり、メッシュの空間率は40〜80%程度としたものが用いられる。このようにすることで、第一光路L1のレーザビームを斜め照射したときに、図4に示すように、試料表面Fが細線14aの影となって、第一光路L1からのレーザビームが直接照射されないようにすることができる。
なお、金属メッシュ14に代えて、金属板に多数の細孔を打ち抜いたマスク、金属板に多数のスリットを形成したマスクを用いてもよい。この場合もマスク自体の影を利用して、斜め照射のレーザビームが直接試料表面に照射されないようにすることができる。
第一照射光学系15(レーザビーム斜め照射光学系)は、集光レンズ15a、ビームスプリッタ15b(光路分割手段)、レーザパワー調整用のアッテネータ15cからなり、レーザ光源13とチャンバ11との間に配置され、レーザ光源13から照射される第一光路L1のレーザビームを、チャンバ11内にセットされた金属メッシュ14のシート面に対し斜めに照射するとともに、シート面近傍に集光するようにしてある。ビームスプリッタ15bは、第一光路L1の照射光と、第二照射光学系16の第二光路L2への照射光との強度比が10:1程度になるように光路を分割する。なお、ビームスプリッタ15bは、第二照射光学系16を使用しないときは外される。また、ビームスプリッタ15bに代えて、ハーフミラーや、光路上で光束の一部にミラーを挿入して分岐させる光路分割用ミラー等の光学部品を用いて光路分割してもよい。
第二照射光学系16(補助レーザビーム照射光学系)は、集光レンズ16a、ミラー16b,16c、レーザパワー調整用のアッテネータ16dからなり、ビームスプリッタ15bで分割されたレーザ光源13からの照射光の一部を、第二光路L2として、集光レンズ15aとは別方向から集光レンズ16aを介して金属メッシュ14に照射する。第二光路L2で集光レンズ16aから照射されるレーザビームは、金属メッシュ14の通気口(開き目14b)を通過して直接試料Sに表面に照射されるようにしてある。すなわち、ビームスプリッタ15bの分割比を小さくしてレーザビームのエネルギー密度を十分に小さくした上で、試料表面に直接照射する角度で入射するようにして、試料表面にダメージを与えることなく、また、試料表面の付着物質をアブレーションすることなく、試料表面から付着物質が脱離するのを促進させるエネルギーを与えるようにしている。この第二照射光学系16は、付着物の脱離を促進する目的にのみ使用するレーザビームであり、したがって単独に照射してもガスプラズマが発生しない程度のエネルギー密度にしてある。
光スペクトル測定部17は、光スペクトル測定器17a(OMA)と、チャンバ11内のプラズマの発光を光スペクトル測定器17aに導く光ファイバ17bとからなる。
光スペクトル測定器17aは、分光器と、多波長同時に測定可能なフォトダイオードアレイ光検出器とを備えており、測定しようとする波長範囲のプラズマ発光が同時に測定できる。
制御部18はパーソナルコンピュータからなり、装置全体の制御を行うとともに、光スペクトル測定器17aが取得した発光スペクトルデータの解析と表示をするようにしてある。
次に、付着物分析装置10の測定動作について説明する。試料Sを固定具12aに固定し、チャンバ11にヘリウムガスを充填する。
そしてレーザ光源13からパルスレーザを照射し、第一光路L1に沿ってレーザビームを金属メッシュ14へ斜め照射することによりヘリウムガスのガスプラズマを発生させるとともに、試料Sの表面付着物の脱離を行わせる。また、エネルギー密度を十分に小さくした第二光路L2のレーザビームを直接基板表面に照射することにより、付着物の脱離を促進させる。これらのレーザ照射により、付着物が試料Sから脱離してガスプラズマ中に流れ込み、プラズマ化して発光する。このとき付着物に含まれる元素特有の波長の発光光が生じる。
この発光を光スペクトル測定部17によって検出し、発光スペクトルデータを表示することで付着物の元素分析が行われる。
図5はシリコンウェハ上に付着させたCrの発光スペクトルを、付着物装置10によって測定したデータである。測定には、シリコンウェハ上に5×1015原子/cmの密度でCrを付着させた試料Sを用いている。
得られた発光スペクトルデータは、Crスペクトル信号強度とノイズ信号との強度比が100:1程度であることから、検出限界原子数を推定すると1013原子/cmとなる。これは半導体製造過程での検査で求められている検出限界に適合しており、半導体業界で用いる付着物分析装置として有効になるものである。
なお、上記実施形態では第二照射光学系16を用いて付着物の脱離を補助するようにしたが、試料Sによっては補助のレーザ照射は必要ない。その場合は試料表面にレーザを全く照射することなく分析を行うことができる。
また、上記実施形態では1つのレーザ光源13(パルス炭酸ガスレーザ)の照射光を分岐したが、第二照射光学系用にレーザ光源をもう1台設けてもよい。
図6は本発明の第二の実施形態である付着物分析装置20の構成を示す図である。なお、図1,2と同じ構成部分については同符号を付すことにより、説明を省略する。
本実施形態では、第二照射光学系21として第二のレーザ光源である紫外線レーザ22、シャッタ16eを用いて、パルス炭酸ガスレーザ13とは独立してレーザビームを照射することができるようにしている。したがって、パルス炭酸ガスレーザ13と紫外線レーザ22とを同時に照射して分析することもできるが、時間差を与えて照射することもできる。
例えば、先に紫外線レーザ22からのレーザビームを照射して付着物の脱離を促進しておき、その後、パルス炭酸ガスレーザ13を照射して分析を行うことができる。
また、先にパルス炭酸ガスレーザ13の照射により雰囲気ガス(He)のガスプラズマを発生して1回目の分析を行い、その後、紫外線レーザ22も照射して2回目の分析を行い、差分データを取得することもできる。
以上、本発明について説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変形実施することができる。
10,20 付着物分析装置
11 チャンバ
13 パルス炭酸ガスレーザ光源(プラズマ発生用レーザ光源)
14 金属メッシュ(金属製シート部材)
15 第一照射光学系(レーザビーム斜め照射光学系)
16,21 第二照射光学系(補助レーザビーム照射光学系)
17 光スペクトル測定部
18 制御部
22 紫外線レーザ

Claims (9)

  1. 分析対象の固体表面上に、通気口を有する金属製のシート部材を載置し、
    前記シート部材の金属表面に向けて照射したときに、当該シート部材自体のアブレーションを生じさせることなくシート部材近傍の雰囲気ガスをガスプラズマ化することが可能なプラズマ発生用レーザビームを、前記シート部材の金属表面に対して当該レーザビームが固体表面に直接照射されることのない斜め方向から照射し、
    前記シート部材の金属表面近傍に発生したプラズマに含まれる前記固体表面の付着物質に起因する発光の発光スペクトルを計測する付着物分析方法。
  2. 前記通気口を有する金属製シート部材が、金属板に多数の細孔または多数の細いスリットが形成されたマスク、または、金属細線で形成されたメッシュである請求項1に記載の付着物分析方法。
  3. 前記プラズマ発生用レーザビームよりも小さいエネルギー密度であって、単独の照射では前記シート部材のアブレーションおよび雰囲気ガスのガスプラズマを発生することのない、前記固体表面の付着物を脱離させるための脱離用レーザビームを、前記シート部材の通気口を通して固体表面に直接照射させる請求項1または請求項2のいずれかに記載の付着物分析方法。
  4. 前記脱離用レーザビームは、前記プラズマ発生用レーザビームと同じレーザ光源からのレーザビームの一部を分岐するようにして生成した請求項3に記載の付着物分析方法。
  5. 前記脱離用レーザビームは、前記プラズマ発生用レーザビームのレーザ光源とは異なるレーザ光源により生成される請求項3に記載の付着物分析方法。
  6. 固体表面に付着した物質をプラズマ化して分析する付着物分析装置であって、
    通気口を有し分析対象の固体表面上に載置される金属製のシート部材と、
    前記シート部材の金属表面に向けて照射したときに、当該シート部材自体のアブレーションを生じさせることなくシート部材近傍の雰囲気ガスをガスプラズマ化することが可能なレーザビームを発生させるプラズマ発生用のレーザ光源と、
    前記プラズマ発生用のレーザ光源からのレーザビームを、前記シート部材の金属表面に対して当該レーザビームが固体表面に直接照射されることのない斜め方向から照射させるレーザビーム斜め照射光学系と、
    前記シート部材近傍に発生したプラズマの発光スペクトルを計測するスペクトル測定部とを備えたことを特徴とする付着物分析装置。
  7. 前記レーザビーム斜め照射光学系により照射されるレーザビームよりも小さいエネルギー密度であって、単独の照射では前記シート部材のアブレーションおよび雰囲気ガスのガスプラズマを発生することのない脱離用レーザビームを照射する補助レーザビーム照射光学系をさらに設け、
    当該補助レーザビーム照射光学系は、前記シート部材の通気口を通して固体表面に照射させる請求項6に記載の付着物分析装置。
  8. 前記補助レーザビーム照射光学系のレーザビームは、前記プラズマ発生用レーザ光源からのレーザビームの一部を、光路分割手段で分岐することにより生成される請求項7に記載の付着物分析装置。
  9. 前記補助レーザビーム照射光学系のレーザビームは、プラズマ発生用のレーザ光源とは異なる光源により生成される請求項7に記載の付着物分析装置。
JP2012233116A 2012-10-22 2012-10-22 付着物分析方法および付着物分析装置 Expired - Fee Related JP5980653B2 (ja)

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