JP2014084917A - フィルム一体型防水パッキン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ゴム状弾性体からなる柔軟部材12と樹脂フィルムからなる補強部材13とを備え、柔軟部材12は、一方のケース部材2に当接する第1当接部12aと、他方のケース部材3に当接する第2当接部12bとの2つの当接部を有し、補強部材13は、柔軟部材12の内部にあって圧縮方向に交差する水平部13cと、圧縮方向に立ち上がる壁部13dとを有し厚みが35μm〜100μmである一連の樹脂フィルムであることとした。
【選択図】図3
Description
また、近年、防水パッキンは単なるリング状ではなく、筐体の形状に合わせた精密な設計が求められるようになっているが、単一のゴムで成形された防水パッキンは、柔軟で保形成が低いため筐体への嵌め込み作業における取扱い性が悪いだけでなく、伸びによる寸法精度の悪化に対する課題もあった。こうした技術に対し、例えば特開2010−080910号公報(特許文献1)記載の技術のように、ゴム製部材に樹脂フィルムを一体化することでシール部材の取扱い性を向上させた技術も知られている。
また、ゴム製部材と樹脂フィルムとが一体化された部分を圧縮すると、前記特開2010−080910号公報(特許文献1)にも記載された課題、即ち反力(圧縮応力)が高くなるという不都合があった。
特に、肉厚が厚くなり易い当接部に壁部を設けることで、厚みに起因する反りの原因となる応力が高まっても効果的に反りを抑制することができる。こうして、高さ方向の寸法精度を著しく向上させることができる。さらに、壁部を当接部の内部に設けたため、厚みを必要以上に厚くする必要がなく、薄型のフィルム一体型防水パッキンとすることができる。
そして、補強部材を柔軟部材の内部に設けているため、換言すれば、柔軟部材から補強部材がはみ出さないため、補強部材を設けてもシール部材の面積の増大が少なく、実質的に補強部材の無い防水パッキンとその面積をほぼ同一とすることができる。
フィルム一体型防水パッキン11は、図1で示すように、携帯用電子機器の筐体1を構成するケース部材2とケース部材3の2つのケース部材2,3の間に挟んで用い、筐体1の内部を液密に保つシール部材である。より具体的には、ケース部材2やケース部材3には、それぞれ溝2aや溝3aが形成されており、その溝2aと溝3aとの間に挿入して用いられる。
そして、柔軟部材12は、一方のケース部材に当接する第1当接部12aと、他方のケース部材に当接する第2当接部12bの2つの当接部12a,12bを有している。また、補強部材13は、柔軟部材12の内部にあって圧縮方向に交差する水平部13cと、圧縮方向に立ち上がる壁部13dと、その2つの壁部13dを繋ぐ頂部13eを有している。そして2つの壁部13d,13dと頂部13eとで山形部を形成している。
本実施形態では、第1当接部12aも第2当接部12bも縦断面形状が凸形であり、溝2a,3aに嵌り易くなっている。
そして、第1当接部12aと第2当接部12bとは補強部材13を隔てて上下に分断されている。
また、補強部材13の厚みは、35μm〜100μmである。厚みが35μm未満であると、剛性が弱く容易に曲がってしまうため、フィルム一体型防水パッキン11の取扱い性を向上させることができない。一方、補強部材13の厚みが100μmを超えると、フィルム一体型防水パッキン11の厚みが増大し、薄型化を達成し難い。また、その厚みが70μm未満であることが好ましい。70μm未満とすることでフィルム一体型防水パッキン11全体の厚さをより薄くすることができ、圧縮荷重をいっそう低減することができる。また、成形が容易になり、寸法精度を高めることができる。
柔軟部材12と補強部材13とを一体成形する場合には、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の耐熱性の優れた樹脂フィルムを用いることが好ましい。
フィルム一体型防水パッキン11は、圧縮前の状態PPでは図5の破線で示すように、補強部材13の互いに対向する壁部13d、13dが略垂直に立ち上っているのに対して、圧縮後の状態APでは図5の実線で示すように、補強部材13の壁部13d、13dが左右に広がり、柔軟部材12と共にフィルム一体型防水パッキン11全体が幅方向Wに広がるように圧縮される。
一方、従来のフィルム一体型防水パッキン4については、圧縮前の状態PPを図6の波線で示し、圧縮後の状態APを図6の実線で示すが、それぞれの状態を比較すると、補強部材13の形状は変化せず、柔軟部材12である第1当接部13aと第2当接部12bのみが左右に広がるように変形する。
なお、図5、図6では、圧縮前後の状態をわかり易く示すため、断面を示すハッチングは削除している。
図7には、変形例1のフィルム一体型防水パッキン11aを示す。
フィルム一体型防水パッキン11aは、第1当接部12aと第2当接部12bの断面形状が先の実施形態で示したフィルム一体型防水パッキン11と異なっている。即ち、フィルム一体型防水パッキン11aでは、第1当接部12aと第2当接部12bの先端がより尖った形状をしており、また表面が平らな部分を有している。このように、当接部の形状はフィルム一体型防水パッキンをはめ込むケース部材の溝の形状に合わせて適宜変更することができる。
図8には、変形例2のフィルム一体型防水パッキン11bを示す。
フィルム一体型防水パッキン11bも、第2当接部12bの断面形状が異なっており、フィルム一体型防水パッキン11bでは2つの突部12b1,12b2を有し、縦断面が凹形をしている。第2当接部12bに2つの突部12b1,12b2を設け、その間に空隙を有するため、圧縮荷重を小さくすることができる。
また、ケース部材3の溝3a内に凸部が形成されている場合には、2つの突部12b1,12b2の間にこの凸部が嵌るため、第2当接部12bを溝3a内により密にはめ込むことができる。このように、溝3aの形状に合わせて適宜、第2当接部の形状を変えることができる。形状を適宜変化させることは第1当接部12aについても同様である。
図9には、第2実施形態のフィルム一体型防水パッキン21を示す。
フィルム一体型防水パッキン21は、補強部材13の形状が先の実施形態で示したフィルム一体型防水パッキン11と異なり、1つの水平部13cと壁部13dとを有し、頂部を有していない。
こうしたフィルム一体型防水パッキン21でも、補強部材13が水平部13cと壁部13dとを有するため、取扱い性が良く反りを生じ難い。
図9では壁部13dが上方に立ち上がっているが、下方に伸びる壁部13dとすることもできる。
図10には、第3実施形態のフィルム一体型防水パッキン31を示す。
フィルム一体型防水パッキン31は、補強部材13が1つの水平部13cを有し、その水平部13cよりも下方に伸びる壁部13dを有している点で異なっている。
第2当接部12b側にまで伸びる壁部13dを有するため、上下方向の圧縮荷重を高め上下方向に潰し難くすることができる。
図11には、変形例3のフィルム一体型防水パッキン31aを示す。
フィルム一体型防水パッキン31aは、補強部材13が2つの頂部12e,12eを有している。2つの頂部12e,12eは第1当接部12a側と第2当接部12b側にそれぞれ伸びており、補強効果を高め反り防止の効果を高めている。
図12には、第4実施形態のフィルム一体型防水パッキン41を示す。
フィルム一体型防水パッキン41では、補強部材13の水平部13cの端である端面13fが外部に露出する以外にも補強部材13の表面が一の当接部の凹部において柔軟部材12の表面から露出する露出部13gを有する点が異なっている。
ケース部材3の溝3aに凸部が形成されている場合に、露出部13gがあれば、露出部13gがこの凸部に嵌合する。そのため、露出部13gが無く柔軟部材12と凸部が嵌合する場合と比べて、引っかかりなどを起こし難く嵌合し易い。そのため、露出部13gを有することでケース部材3への挿入し易さが向上する。このように、溝3a内に細かな凹凸を有する場合等に、その凹凸に相当する部分に露出部13gを形成することで嵌合しやすさを改善することができる。
2 ケース部材
2a 溝
3 ケース部材
3a 溝
4 フィルム一体型防水パッキン(従来例)
11 フィルム一体型防水パッキン(第1実施形態)
11a フィルム一体型防水パッキン(変形例1)
11b フィルム一体型防水パッキン(変形例2)
12 柔軟部材
12a 第1当接部
12b 第2当接部
12b1,12b2 突部
13 補強部材
13c 水平部
13d 壁部
13e 頂部
13f 端面
13g 露出部
21 フィルム一体型防水パッキン(第2実施形態)
31 フィルム一体型防水パッキン(第3実施形態)
31a フィルム一体型防水パッキン(変形例3)
41 フィルム一体型防水パッキン(第4実施形態)
PP 圧縮前の状態
AP 圧縮後の状態
Claims (8)
- 電子機器の筐体を構成する一対のケース部材どうしの間に挿入しケース部材どうしの隙間をシーリングする防水パッキンであって、
ゴム状弾性体からなる柔軟部材と樹脂フィルムからなる補強部材とを備え、
柔軟部材は、一方のケース部材に当接する第1当接部と、他方のケース部材に当接する第2当接部との2つの当接部を有し、
補強部材は、柔軟部材の内部にあって圧縮方向に交差する水平部と、圧縮方向に立ち上がる壁部とを有し厚みが35μm〜100μmである一連の樹脂フィルムであることを特徴とするフィルム一体型防水パッキン。 - 樹脂フィルムの厚みが35μm〜70μm未満である請求項1記載のフィルム一体型防水パッキン。
- 補強部材に2つの前記壁部を繋ぐ頂部を有する山形部を設ける請求項1または請求項2記載のフィルム一体型防水パッキン。
- 水平部の端が外部に露出する請求項1〜請求項3何れか1項記載のフィルム一体型防水パッキン。
- 柔軟部材に前記樹脂フィルムの表側から裏側に連なる連続部を有する請求項1〜請求項4何れか1項記載のフィルム一体型防水パッキン。
- 少なくとも一の当接部の縦断面形状が凸形である請求項1〜請求項5何れか1項記載のフィルム一体型防水パッキン。
- 少なくとも一の当接部の縦断面が凹形である請求項1〜請求項6何れか1項記載のフィルム一体型防水パッキン。
- 環状である請求項1〜請求項7何れか1項記載のフィルム一体型防水パッキン。
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