JP2014084840A - 内燃機関の失火検出システム - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、内燃機関における失火を高精度で検出することができ、且つ、失火検出の実行頻度の低下を抑制することもできる技術を提供することを目的とする。
【解決手段】クランク角センサ4以外のセンサであって車体変動に伴って変動する物理量を検知する車体変動センサ5と、該車体変動センサ5の出力信号を用いて、車両が悪路走行中であるか否かを判定する悪路判定部と、を備え、クランク角センサ4の出力信号に対して失火判定に用いる失火指標を導出するために施されるフィルタ処理と同一のフィルタ処理を車体変動センサ5の出力信号に対して施すことで判定禁止指標を導出し、該判定禁止指標に基づいて失火判定の実施を禁止するか否かを判定する。
【選択図】図2
【解決手段】クランク角センサ4以外のセンサであって車体変動に伴って変動する物理量を検知する車体変動センサ5と、該車体変動センサ5の出力信号を用いて、車両が悪路走行中であるか否かを判定する悪路判定部と、を備え、クランク角センサ4の出力信号に対して失火判定に用いる失火指標を導出するために施されるフィルタ処理と同一のフィルタ処理を車体変動センサ5の出力信号に対して施すことで判定禁止指標を導出し、該判定禁止指標に基づいて失火判定の実施を禁止するか否かを判定する。
【選択図】図2
Description
本発明は、内燃機関における失火の発生を検出する内燃機関の失火検出システムに関する。
4サイクルの内燃機関において失火(内燃機関の気筒内において燃焼が行われない状態)が発生した場合、回転0.5次の回転変動(振動)が大きくなる。そのため、従来、クランク角センサの出力信号に対して回転0.5次成分を抽出するためのフィルタ処理を施すことで失火判定のための失火指標を導出する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなフィルタ処理を施すことで導出される失火指標に基づいて失火の有無の判定することで、失火以外の事象に起因するクランクシャフトの回転変動が該判定に与える影響を小さくすることができる。
一方、車両が悪路を走行している時(即ち、路面の凹凸が大きいために車両の振動が大きい時)は、正常燃焼時であっても車体変動に伴ってクランクシャフトの回転変動が生じる。そのため、クランク角センサの出力信号に基づき失火判定を行った場合、誤判定する虞がある。
このような問題を解決する技術として、車体変動量検出手段によって検出された車体変動量が所定範囲外になった場合、クランク角位置信号による失火判定の実施を禁止する技術が開発されている(例えば、特許文献2参照)。これによれば、悪路走行時には失火判定の実施が禁止されるため、失火判定における誤判定することを抑制することができる。
また、特許文献3にも、悪路走行等の失火判定に影響を与える特定の運転状態の時は失火判定の実施を禁止する技術が開示されている。この特許文献3に記載の技術では、車輪速度センサの出力信号に対して第1のフィルタ及び第2のフィルタのそれぞれによってフィルタ処理を施すことで、車輪の回転速度の第1の変動量及び第2の変動量を算出する。さらに、第1の変動量と第2の変動量とを乗じて車両の回転速度の変動度合いを示す悪路判定パラメータを算出する。そして、悪路判定パラメータが閾値以上となった回数が所定値以上となった場合、特定の運転状態であると判断する。
しかしながら、上記の従来技術のように、車両の悪路走行時には常に失火判定の実施を禁止するようにすると、悪路走行が長期間継続したり又は頻繁に繰り返されたりした場合に、失火検出の実行頻度が低下する虞がある。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、内燃機関における失火の発生を高
精度で検出することができ、且つ、失火検出の実行頻度の低下を抑制することもできる技術を提供することを目的とする。
精度で検出することができ、且つ、失火検出の実行頻度の低下を抑制することもできる技術を提供することを目的とする。
本発明は、クランク角センサの出力信号に対して失火判定に用いる失火指標を導出するために施されるフィルタ処理と同一のフィルタ処理を車体変動センサの出力信号に対して施すことで判定禁止指標を導出し、該判定禁止指標に基づいて失火判定の実施を禁止するか否かを判定するものである。
より詳しくは、本発明に係る内燃機関の失火検出システムは、
内燃機関のクランクシャフトの回転角位置を検知するクランク角センサと、
前記クランク角センサの出力信号に対して所定の回転次数成分を抽出するためのフィルタ処理を施すことで導出される失火指標に基づいて失火判定を実施する失火判定部と、
前記クランク角センサ以外のセンサであって、前記内燃機関を搭載した車両の車体変動に伴って変動する物理量を検知する車体変動センサと、
前記車体変動センサの出力信号を用いて、前記車両が悪路走行中であるか否かを判定する悪路判定部と、
前記失火判定部において失火指標を導出するために前記クランク角センサの出力信号に対して施されるフィルタ処理と同一のフィルタ処理を前記車体変動センサの出力信号に対して施すことで導出される判定禁止指標に基づいて、前記失火判定部による失火判定の実施を禁止するか否かを判定する禁止判定部と、
を備える。
内燃機関のクランクシャフトの回転角位置を検知するクランク角センサと、
前記クランク角センサの出力信号に対して所定の回転次数成分を抽出するためのフィルタ処理を施すことで導出される失火指標に基づいて失火判定を実施する失火判定部と、
前記クランク角センサ以外のセンサであって、前記内燃機関を搭載した車両の車体変動に伴って変動する物理量を検知する車体変動センサと、
前記車体変動センサの出力信号を用いて、前記車両が悪路走行中であるか否かを判定する悪路判定部と、
前記失火判定部において失火指標を導出するために前記クランク角センサの出力信号に対して施されるフィルタ処理と同一のフィルタ処理を前記車体変動センサの出力信号に対して施すことで導出される判定禁止指標に基づいて、前記失火判定部による失火判定の実施を禁止するか否かを判定する禁止判定部と、
を備える。
本発明において、クランク角センサの出力信号に対してフィルタ処理を施すことは、クランク角センサの出力信号に基づいて算出されるクランクシャフトの角速度に対してフィルタ処理を施すことと同義である。また、本発明において、車体変動センサの出力信号に対してフィルタ処理を施すことは、車体変動センサの出力信号に基づいて算出される車体変動に伴って変動する物理量の単位時間当たりの変化量に対してフィルタ処理を施すことと同義である。
ここで、所定の回転次数成分とは、失火の発生に起因して大きくなるクランクシャフトの回転変動の回転次数成分である。本発明においては、クランク角センサの出力信号に対して所定の回転次数成分を抽出するためのフィルタ処理が施され、その結果から失火指標が導出される。これにより、失火以外の事象に起因するクランクシャフトの回転変動の影響が小さい失火指標を導出することができる。そして、導出された失火指標に基づいて、内燃機関における失火の有無を判定する失火判定が実施される。そのため、失火判定における誤判定を抑制することができる。
さらに、本発明においては、失火判定部において失火指標を導出するためにクランク角センサの出力信号に対して施されるフィルタ処理と同一のフィルタ処理が車体変動センサの出力信号に対して施される。このフィルタ処理により、失火判定部での失火判定に影響する車体変動の回転次数成分を抽出することができる。換言すれば、失火判定部での失火判定に影響しない車体変動の回転次数成分を除去することができる。そして、このフィルタ処理の結果から判定禁止指標が導出され、該判定禁止指標に基づいて失火判定手段による失火判定の実施を禁止するか否かが判定される。
これによれば、失火判定部での失火判定に影響を与える車体変動のみを考慮して、該失火判定の実施を禁止するか否かが判定されることになる。そのため、悪路走行判定部において悪路走行中と判定されるような悪路走行により車体変動が生じていたとしても、その車体変動が失火判定部での失火判定に影響を与えるものでない場合(即ち、その車体変動
の回転次数が失火の発生に起因するクランクシャフトの回転変動の回転次数と異なる場合)は、該失火判定が実施されることになる。
の回転次数が失火の発生に起因するクランクシャフトの回転変動の回転次数と異なる場合)は、該失火判定が実施されることになる。
従って、本発明によれば、内燃機関における失火の発生を高精度で検出することができ、且つ、失火検出の実行頻度の低下を抑制することもできる。
本発明において、前記禁止判定部は、前記判定禁止指標が所定の第一閾値以上のときは、前記失火判定部による失火判定の実施を禁止してもよい。そして、 前記失火判定部は、前記判定禁止指標が前記第一閾値より小さいときであって、前記失火指標が所定の第二閾値以上の場合に、前記内燃機関において失火が発生したと判定してもよい。
ここで、第二閾値とは、内燃機関において失火が発生したと判断できる失火指標の閾値である。また、第一閾値とは、悪路走行により生じる車体変動の影響により、失火判定部での失火判定に誤判定が生じる虞があると判断できる判定禁止指標の閾値である。つまり、第一閾値は、上記のように導出される判定禁止指標が該第一閾値以上のときは、失火が発生していなくとも、悪路走行により生じる車体変動に起因して、失火指標が第二閾値以上となるようなクランクシャフトの回転変動が生じる可能性があると判断できる判定禁止指標の閾値である。
判定禁止指標が第一閾値以上のときは、失火指標が第二閾値以上であったとしても、それが失火に起因するものであるのか、悪路走行により生じる車体変動に起因するものであるのかを区別することが困難となる。そこで、判定禁止指標が第一閾値以上のときには失火判定部による失火判定の実施を禁止する。これにより、失火判定における誤判定を抑制することができる。
本発明によれば、内燃機関における失火の発生を高精度で検出することができ、且つ、失火検出の実行頻度の低下を抑制することもできる。
以下、本発明の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。本実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置等は、特に記載がない限りは発明の
技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
<実施例>
[システムの概略構成]
図1は、本実施例に係る内燃機関の制御システムの概略構成を示す図である。車両100に搭載された内燃機関1は4つの気筒2を有する車両駆動用の4サイクルディーゼルエンジンである。ただし、本発明に係る内燃機関の失火検出システムは、ディーゼルエンジンに限らずガソリンエンジン等にも適用することができる。各気筒2には該気筒2内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁3が設けられている。
[システムの概略構成]
図1は、本実施例に係る内燃機関の制御システムの概略構成を示す図である。車両100に搭載された内燃機関1は4つの気筒2を有する車両駆動用の4サイクルディーゼルエンジンである。ただし、本発明に係る内燃機関の失火検出システムは、ディーゼルエンジンに限らずガソリンエンジン等にも適用することができる。各気筒2には該気筒2内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁3が設けられている。
内燃機関1には電子制御ユニット(ECU)10が併設されている。このECU10は内燃機関1の運転状態等を制御するユニットである。ECU10には、燃料噴射弁3が電気的に接続されている。ECU10によって、各燃料噴射弁3からの燃料噴射時期及び燃料噴射量が制御される。
また、ECU10には、クランク角センサ4、アクセル開度センサ5、加速度センサ6、操舵角センサ7、及び空気圧センサ8等の各種センサが電気的に接続されている。クランク角センサ4は、内燃機関1のクランクシャフトの回転角位置を検知するセンサである。アクセル開度センサ5は、車両100のアクセル開度を検知するセンサである。加速度センサ6は、車両100の加速度を検知するセンサである。操舵角センサ7は、車両100のステアリングホイールの回転角位置を検知するセンサである。空気圧センサ8は、車両100のタイヤの空気圧を検知するセンサである。ECU10には、このような各種センサの出力信号が入力される。そして、ECU10においては、各種センサの出力信号を用いて種々の制御が実行される。
図2は、ECU10の機能の一部を表す機能ブロック図である。ECU10は、悪路判定部11、フィルタ処理部12、禁止判定部13、及び失火判定部14を有している。悪路判定部11ではアクセル開度センサ5の出力信号を用いて、車両100が悪路走行中であるか否かを判定する悪路判定が行われる。フィルタ処理部12では、クランク角センサ4及びアクセル開度センサ5の出力信号に対して後述するフィルタ処理が施される。このフィルタ処理部12において両センサ4,5の出力信号に対して施されるフィルタ処理は同一のものである。
フィルタ処理部12おいてクランク角センサ4の出力信号に対してフィルタ処理が施されることで失火指標が導出される。失火判定部14では、この失火指標に基づいて、内燃機関1における失火の有無を判定する失火判定が行われる。また、フィルタ処理部12おいてアクセル開度センサ5の出力信号に対してフィルタ処理が施されることで禁止判定指標が導出される。禁止判定部13では、この禁止判定指標に基づいて、失火判定部14による失火判定の実施を禁止するか否かが判定される。これらの判定の具体的な方法については後述する。
[悪路判定]
車両100が悪路を走行した場合、車体変動により、運転者が意図しないアクセル開度の変動が生じる。つまり、悪路を走行することに起因して生じる車体変動に対応すべく運転者がアクセルを操作したとしても、運転者の本来の意図のとおりにアクセルを操作することができない場合がある。そこで、本実施例では、アクセル開度センサ5の出力信号を用いて悪路判定が行われる。以下、ECU10おいて実施される悪路判定の具体的な方法について図3に基づいて説明する。図3は、本実施例に係る悪路判定のフローを示すフローチャートである。本フローは、悪路判定部11によって所定の間隔で繰り返し実行される。
車両100が悪路を走行した場合、車体変動により、運転者が意図しないアクセル開度の変動が生じる。つまり、悪路を走行することに起因して生じる車体変動に対応すべく運転者がアクセルを操作したとしても、運転者の本来の意図のとおりにアクセルを操作することができない場合がある。そこで、本実施例では、アクセル開度センサ5の出力信号を用いて悪路判定が行われる。以下、ECU10おいて実施される悪路判定の具体的な方法について図3に基づいて説明する。図3は、本実施例に係る悪路判定のフローを示すフローチャートである。本フローは、悪路判定部11によって所定の間隔で繰り返し実行される。
本フローでは、先ずステップS101において、アクセル開度センサ5によって検知された車両100のアクセル開度APが読み込まれる。次に、ステップS102において、今回読み込まれたアクセル開度AP(n)と前回読み込まれたアクセル開度AP(n−1)との差、即ちアクセル開度の変動量ΔAPが算出される。
次に、ステップS103において、アクセル開度の変動量ΔAPが第1基準値ΔAP1より大きく且つ第2基準値ΔAP2より小さいか否かが判定される。ここで、第1基準値ΔAP1は、内燃機関1の運転状態に影響を与えないアクセル開度の変動量の上限値である。また、第2基準値ΔAP2は、車両100の運転者の意図によってアクセル開度が変動したと判断できるアクセル開度の変動量の下限値である。第1基準値ΔAP1及び第2基準値ΔAP2は実験等に基づいて予め定められている。
ステップS103において肯定判定された場合、悪路走行に起因してアクセル開度が変動したと判断できる。この場合、次にステップS104の処理が実行される。一方、ステップS103において否定判定された場合、本フローの実行は一旦終了される。
ステップS104では、所定の悪路判定期間内における、ステップS103で肯定判定されるようなアクセル開度の変動が生じた回数Ccが、所定の閾値Cc0以上であるか否かが判定される。悪路判定期間および閾値Cc0は、該悪路判定期間内に第1基準値ΔAP1より大きく且つ第2基準値ΔAP2より小さいアクセル開度の変動が該閾値Cc0以上繰り返された場合、車両100が悪路走行中であると判断すべき値として、実験等に基づき予め定められたものである。
ステップS104において否定判定された場合、本フローの実行は一旦終了される。一方、ステップS104において肯定判定された場合、次にステップS105において、車両100が悪路走行中であると判定される。
上記のような悪路判定によって車両100が悪路走行中であると判定された場合、アクセル開度センサ5の出力信号に対して所定のなまし処理を実行することでアクセル開度に対する内燃機関1のスロットル開度の応答速度を変更してもよい。これにより、悪路走行に起因して運転者の意図しないアクセル開度の変動が生じても、内燃機関1のトルクの急変を抑制することができる。
上記のように、アクセル開度センサ5の出力信号を用いて悪路判定を行う場合、アクセル開度センサ5が本発明に係る車体変動センサに相当する。ただし、本実施例に係る悪路判定の方法は、上記のような方法に限られるものではない。例えば、悪路走行に起因して車体変動が生じた場合、アクセル開度のみならず、加速度センサ6によって検知される車両100の加速度、操舵角センサ7によって検知される車両100のステアリングホイールの回転角位置、及び空気圧センサ8によって検知される車両100のタイヤの空気圧にも車体変動に伴う変動が生じる。そのため、これらのセンサの出力信号を用いて悪路判定を行うこともできる。
[失火判定]
次に、ECU10おいて実施される失火判定の具体的な方法について図4から6に基づいて説明する。図4(a)は、内燃機関1のクランクシャフトの角速度の推移を示すグラフである。(a−1)は正常燃焼時の推移を示しており、(a−2)は、失火発生時の推移を示している。図4(b)は、内燃機関1のクランクシャフトの回転変動を、横軸を回転次数(Order of engine speed)とするパワースペクトル(Power spectrum)で表した
グラフである。(b−1)は正常燃焼時のパワースペクトルを表しており、(b−2)は
、失火発生時のパワースペクトルを表している。図4(c)は、内燃機関1のクランクシャフトの回転変動に対し回転0.5次成分を抽出するためのフィルタ処理を施した結果を、横軸を回転次数とするパワースペクトルで表したグラフである。(c−1)は、(b−1)で表す回転変動に対して該フィルタ処理を施した結果を示しており、(c−2)は、(b−2)で表す回転変動に対して該フィルタ処理を施した結果を示している。尚、ここでの失火発生時とは、内燃機関1の4つの気筒2のうちの一つの気筒で連続して失火が発生した場合のことである。
次に、ECU10おいて実施される失火判定の具体的な方法について図4から6に基づいて説明する。図4(a)は、内燃機関1のクランクシャフトの角速度の推移を示すグラフである。(a−1)は正常燃焼時の推移を示しており、(a−2)は、失火発生時の推移を示している。図4(b)は、内燃機関1のクランクシャフトの回転変動を、横軸を回転次数(Order of engine speed)とするパワースペクトル(Power spectrum)で表した
グラフである。(b−1)は正常燃焼時のパワースペクトルを表しており、(b−2)は
、失火発生時のパワースペクトルを表している。図4(c)は、内燃機関1のクランクシャフトの回転変動に対し回転0.5次成分を抽出するためのフィルタ処理を施した結果を、横軸を回転次数とするパワースペクトルで表したグラフである。(c−1)は、(b−1)で表す回転変動に対して該フィルタ処理を施した結果を示しており、(c−2)は、(b−2)で表す回転変動に対して該フィルタ処理を施した結果を示している。尚、ここでの失火発生時とは、内燃機関1の4つの気筒2のうちの一つの気筒で連続して失火が発生した場合のことである。
図5は、上記の回転0.5次成分を抽出するためのフィルタ処理に用いられるデジタルフィルタのフィルタ特性を示す図である。図5において、横軸は回転次数(Order of engine speed)を表しており、縦軸はゲイン(Filter gain)を表している。
4気筒の内燃機関1では、クランクシャフトが一回転する間に2回の燃焼が行われる。そのため、図4(b−1)に示すように、正常燃焼時における回転変動は回転2次が基調となる。一方、内燃機関1において4つの気筒2のうちの一つの気筒で失火が発生すると、クランクシャフトが二回転する間に1回の失火が発生することになる。そのため、失火が発生すると、図4(b−2)に示すように、回転0.5次の回転変動が大きくなる。
そこで、失火判定を行う際には、図5に示すようなフィルタ特性を有するデジタルフィルタを用いて、クランク角センサ4の出力信号に対して回転0.5次成分を抽出するためのフィルタ処理を施す。これにより、図4(c−1),(c−2)に示すように、正常燃焼時の回転変動の基調である回転2次成分を含む、失火以外の事象に起因する回転変動の回転次数成分の値を減衰させることができる。従って、このフィルタ処理の結果から失火指標を導出し、該失火指標に基づいて失火の有無を判定することで、内燃機関1のおける失火を高精度で検出することができる。
尚、図5に示すフィルタ特性は、回転0.5次成分を抽出するためのフィルタ特性の一例であり、回転0.5次成分を抽出することが可能であれば、図5に示すフィルタ特性とは異なるフィルタ特性を有するフィルタを用いて本実施例に係るフィルタ処理を行ってもよい。また、クランク角センサ4の出力信号に対し回転0.5次成分を抽出するために施すフィルタ処理の方法としては、特開平7−119536号公報に記載された方法を例示することができる。
ここで、悪路走行時においては、正常燃焼時であっても車体変動に伴ってクランクシャフトの回転変動が生じる。そのため、クランク角センサ4の出力信号に基づき失火判定を行った場合、誤判定する虞がある。
このような失火判定での誤判定を抑制するために、上記のような悪路判定によって悪路走行中と判定された場合は、失火判定の実施を禁止することが考えられる。しかしながら、悪路走行時には常に失火判定の実施を禁止するようにすると、悪路走行が長期間継続したり又は頻繁に繰り返されたりした場合に、失火検出の実行頻度が低下する虞がある。
そこで、本実施例では、上記のような悪路判定とは別に、失火判定の実施を禁止するか否かの判定を行う。以下、失火判定の実施を禁止するか否かの判定方法について図6に基づいて説明する。図6(a)は、悪路走行に起因する車体変動によって生じるアクセル開度の変動を、横軸を回転次数(Order of engine speed)とするパワースペクトル(Power
spectrum)で表したグラフである。(a−1)は、悪路走行に起因する車体変動が回転
0.5次の場合(即ち、アクセル開度の変動も回転0.5次となる)のパワースペクトルを表しており、(a−2)は、悪路走行に起因する車体変動が回転0.5次以外の場合(即ち、アクセル開度の変動も回転0.5次以外となる)のパワースペクトルを表している
。図6(b)は、上記の失火指標を導出するためにクランク角センサの出力信号に対して施されるフィルタ処理と同一のフィルタ処理をアクセル開度の変動に対して施した結果を、横軸を回転次数とするパワースペクトルで表したグラフである。(b−1)は、(a−1)で表すアクセル変動に対して該フィルタ処理を施した結果を示しており、(b−2)は、(a−2)で表すアクセル変動に対して該フィルタ処理を施した結果を示している。
spectrum)で表したグラフである。(a−1)は、悪路走行に起因する車体変動が回転
0.5次の場合(即ち、アクセル開度の変動も回転0.5次となる)のパワースペクトルを表しており、(a−2)は、悪路走行に起因する車体変動が回転0.5次以外の場合(即ち、アクセル開度の変動も回転0.5次以外となる)のパワースペクトルを表している
。図6(b)は、上記の失火指標を導出するためにクランク角センサの出力信号に対して施されるフィルタ処理と同一のフィルタ処理をアクセル開度の変動に対して施した結果を、横軸を回転次数とするパワースペクトルで表したグラフである。(b−1)は、(a−1)で表すアクセル変動に対して該フィルタ処理を施した結果を示しており、(b−2)は、(a−2)で表すアクセル変動に対して該フィルタ処理を施した結果を示している。
悪路走行に起因する車体変動により生じるアクセル開度の変動の回転次数は、路面の状態や車速等に応じて異なる値となる。そして、図6(a−2)に示すような回転0.5次以外のアクセル開度の変動が大きくなる車体変動が生じた場合、該車体変動に起因して生じるクランクシャフトの回転変動も回転0.5次以外の変動となる。この場合のクランクシャフトの回転変動の回転次数成分は失火指標を導出する際のフィルタ処理によって減衰される。従って、失火の有無の判定に与える影響は小さい。そのため、このような車体変動が生じることで上記の悪路判定によって悪路走行中と判定された場合は、失火判定の実施を禁止する必要はない。
一方、図6(a−1)に示すような回転0.5次のアクセル開度の変動が大きくなる車体変動が生じた場合、該車体変動に起因して生じるクランクシャフトの回転変動も回転0.5次の変動となる。この場合のクランクシャフトの回転変動の回転次数成分(回転0.5次成分)は失火指標を導出する際のフィルタ処理によっても減衰されない。そして、このときのクランクシャフトの回転変動が、失火に起因するものであるのか、悪路走行により生じる車体変動に起因するものであるのかを区別することは困難である。そのため、このような車体変動が生じている時に失火判定が実施されると誤判定する虞がある。
そこで、本実施例では、失火指標を導出するためにクランク角センサ4の出力信号に対して施されるフィルタ処理と同一のフィルタ処理をアクセル開度センサ5の出力信号に対して施す。これにより、図6(b−1),(b−2)に示すように、失火判定に影響するアクセル開度の変動(即ち、車体変動)の回転次数成分を抽出することができる。換言すれば、失火判定に影響しないアクセル開度の変動の回転次数成分を除去することができる。従って、このフィルタ処理の結果から判定禁止指標を導出し、該判定禁止指標に基づいて失火判定の実施を禁止するか否かを判定することで、失火判定に影響を与える車体変動のみを考慮して該判定を行うことが可能となる。
つまり、上記のような悪路判定により悪路走行中と判定されるような悪路走行により車体変動が生じていたとしても、その車体変動が失火判定に影響を与えるものでない場合は該失火判定が実施されることになり、その車体変動が失火判定に影響を与えるものである場合にのみ該失火判定の実施が禁止されることになる。そのため、失火検出の実行頻度の低下を抑制することができる。
ここで、本実施例に係る失火判定のフローについて、図7に示すフローチャートに基づいて説明する。本フローは、所定の間隔で繰り返し実行される。
本フローでは、先ずステップS201において、クランク角センサ4の出力信号に対し上記のような回転0.5次成分を抽出するためのフィルタ処理を施すことで失火指標Nmfが導出される。
次に、ステップS202において、ステップS201で失火指標Nmfを導出するためにクランク角センサ4の出力信号に対して施されたフィルタ処理と同一のフィルタ処理をアクセル開度センサ5に対して施すことで判定禁止指標Njaが導出される。
尚、ステップS201及びS202の処理は、フィルタ処理部12によって実行される
。また、失火指標Nmf及び判定禁止指標Njaは、フィルタ処理に用いられるフィルタのフィルタ特性に応じて異なる値となる。これらの値は、フィルタ処理後の回転0.5次成分のパワースペクトルの大きさに相当する値でもよく、フィルタ処理後の各回転次数成分のパワースペクトルの大きさの和に相当する値でもよい。
。また、失火指標Nmf及び判定禁止指標Njaは、フィルタ処理に用いられるフィルタのフィルタ特性に応じて異なる値となる。これらの値は、フィルタ処理後の回転0.5次成分のパワースペクトルの大きさに相当する値でもよく、フィルタ処理後の各回転次数成分のパワースペクトルの大きさの和に相当する値でもよい。
また、悪路判定が、加速度センサ6、操舵角センサ7、又は空気圧センサ8等の、アクセル開度センサ5以外のセンサの出力信号に基づいて行われている場合、ステップS202では、悪路判定に用いられているセンサの出力信号に対して上記のフィルタ処理を施すことで判定禁止指標Njaが導出される。
次に、ステップS203において、ステップS202で導出された判定禁止指標Njaが閾値Nja0より小さいか否かが判定される。ステップS203において否定判定された場合、即ち、判定禁止指標Njaが閾値Nja0以上のときは、次にステップS207において失火判定の実施が禁止される。尚、ステップS203及びステップS207の処理は禁止判定部13によって実行される。
一方、ステップS203において肯定判定された場合、次にステップS204の処理が実行される。ステップS204においては、ステップS201で導出された失火指標Nmfが閾値Nmf0よりも小さいか否かが判別される。
ステップS204において肯定判定された場合、次にステップS205において、失火は発生していない、即ち燃焼状態は正常であると判定される。一方、ステップS204において否定判定された場合、即ち、失火指標Nmfが閾値Nmf0以上の場合、次にステップS206において、失火発生と判定される。尚、ステップS204,S205,S206の処理は失火判定部14によって実行される。
ここで、閾値Nmf0は、内燃機関1において失火が発生したと判断できる失火指標の閾値である。また、閾値Nja0は、判定禁止指標Njaが該閾値Nja0以上のときは、失火が発生していなくとも、悪路走行により生じる車体変動に起因して、失火指標Nmfが閾値Nmf0以上となるようなクランクシャフトの回転変動が生じる可能性があると判断できる判定禁止指標Njaの閾値である。閾値Nmf0及び閾値Nja0は、実験等に基づいて予め定められている。
上記のような失火判定方法によれば、内燃機関1における失火の発生を高精度で検出することができ、且つ、失火検出の実行頻度の低下を抑制することもできる。
1・・・内燃機関
2・・・気筒
3・・・燃料噴射弁
4・・・クランク角センサ
5・・・アクセル開度センサ
6・・・加速度センサ
7・・・操舵角センサ
8・・・空気圧センサ
10・・ECU
11・・悪路判定部
12・・フィルタ処理部
13・・禁止判定部
14・・失火判定部
2・・・気筒
3・・・燃料噴射弁
4・・・クランク角センサ
5・・・アクセル開度センサ
6・・・加速度センサ
7・・・操舵角センサ
8・・・空気圧センサ
10・・ECU
11・・悪路判定部
12・・フィルタ処理部
13・・禁止判定部
14・・失火判定部
Claims (2)
- 内燃機関のクランクシャフトの回転角位置を検知するクランク角センサと、
前記クランク角センサの出力信号に対して所定の回転次数成分を抽出するためのフィルタ処理を施すことで導出される失火指標に基づいて失火判定を実施する失火判定部と、
前記クランク角センサ以外のセンサであって、前記内燃機関を搭載した車両の車体変動に伴って変動する物理量を検知する車体変動センサと、
前記車体変動センサの出力信号を用いて、前記車両が悪路走行中であるか否かを判定する悪路判定部と、
前記失火判定部において失火指標を導出するために前記クランク角センサの出力信号に対して施されるフィルタ処理と同一のフィルタ処理を前記車体変動センサの出力信号に対して施すことで導出される判定禁止指標に基づいて、前記失火判定部による失火判定の実施を禁止するか否かを判定する禁止判定部と、
を備える内燃機関の失火検出システム。 - 前記禁止判定部が、前記判定禁止指標が所定の第一閾値以上のときは、前記失火判定部による失火判定の実施を禁止し、
前記失火判定部が、前記判定禁止指標が前記第一閾値より小さいときであって、前記失火指標が所定の第二閾値以上の場合に、前記内燃機関において失火が発生したと判定する請求項1に記載の内燃機関の失火検出システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012236706A JP2014084840A (ja) | 2012-10-26 | 2012-10-26 | 内燃機関の失火検出システム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2012236706A JP2014084840A (ja) | 2012-10-26 | 2012-10-26 | 内燃機関の失火検出システム |
Publications (1)
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ID=50788136
Family Applications (1)
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JPWO2020184071A1 (ja) * | 2019-03-13 | 2020-09-17 |
-
2012
- 2012-10-26 JP JP2012236706A patent/JP2014084840A/ja active Pending
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JPWO2020184071A1 (ja) * | 2019-03-13 | 2020-09-17 | ||
JP7139512B2 (ja) | 2019-03-13 | 2022-09-20 | ヤマハ発動機株式会社 | ストラドルドビークル用駆動系異常判定装置、及びストラドルドビークル |
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