JP2014084517A - マスキング剤 - Google Patents

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登三雄 山田
Hirobumi Nakano
寛文 中野
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亮 山田
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Abstract

【課題】浸炭・窒化処理のマスキング剤、スパッタ付着防止剤、メッキ付着防止剤、釉薬、鋳込みパイプ用マスキング剤は、固形のホウ素系無機化合物や金属粉や金属酸化物などを微粉にして熱融着性樹脂や界面活性剤などの溶剤と混合して使用していた。そのため塗布、塗布後の焼き付け、処理後の除去に手間がかかっていた。
【解決手段】ホウ素系無機化合物を、強磁界中で電流やパルス電流を流しながらアルコールやアセトンなどに溶解し液体フラックスを生成して、この液体フラックスに熱融着性樹脂、界面活性剤などとともに、メッキスラジ、金属、金属酸化物などの微粉を混合してマスキング剤を生成している。マスキング剤を母材に均一に塗布して溶媒を燃焼させるだけで焼き付け可能になり処理後の除去も容易になった。又、従来有償の廃棄物であったメッキスラジをマスキング剤や釉薬として有効に活用できるようにした。
【選択図】なし

Description

本発明は、浸炭防止や窒化防止や溶接のスパッタ止めやメッキ付着防止用のマスキング剤や釉薬に関するものである。鋼や焼き入れ鋼などの金属部品の部分的浸炭防止や窒化防止への応用としては、マスキング部分の組織変化を守り非浸炭、非窒化状態のまま残すことで強靭性を維持するものである。溶接のスパッタ止めへの応用としては、スパッタを防止したい面に液体状のフラックスを塗布し、火をつけて強制乾燥的にアルコールを飛ばしホウ素化合物をガラス状に張り付ける方法である。又、メッキ防止への応用としては、非メッキ部分にマスキング剤として塗布することによりマスキングの役目を果たすとともにフラックス中のホウ素分子がメッキ浴中に微量溶けることで活性剤の役目を果たす。又、釉薬のベース材として顔料を添加することにより安価で質の良い琺瑯や七宝焼きやタイルや瓦が製造できる。
マスキング剤は金属表面を保護するために、浸炭・窒化防止、溶接スパッタ防止、メッキ付着防止用としていろいろな目的や環境下で使用されている。例えば、自動車や船舶などに用いられるカム、シャフト、ピストン、ピンあるいは各種歯車や金属製機械部品においては、摺動部や歯車などの動力伝達部は金属と金属が荷重を受けながら接触するので凝着摩耗が生じる。そのため、浸炭焼き入れや窒化処理により硬度アップし、摩耗や焼き付け防止、潤滑性を向上させ機械部品の長寿命化を図っている。しかしながら、浸炭焼き入れや窒化処理は必要とされる部分が局部的であり、それ以外の部分はマスキング剤を塗布して浸炭・窒化を防止し、材料自体が本来有している強靭な組織を保持する必要がある。
浸炭・窒化処理時のマスキング方法の例として、銅メッキや錫、亜鉛メッキをする方法が用いられていた。マスキング部の面積が広い場合は、むしろマスキングのためのメッキ作業の方が主力となるぐらい作業が煩雑で手間がかっている。又、メッキでマスキング部を被覆する場合は、逆に浸炭・窒化を必要とする部分をマスキング剤でカバーする必要があり2重に手間を要していた。この様な手間を省くため現在は塗料タイプのマスキング剤にとって変りつつある。マスキング塗料は、熱融着性樹脂にホウ素系無機化合物を主として、他にアルミニウム、錫、亜鉛などの金属粉を入れて紛体静電塗装などでマスキングをしている。これらの塗料タイプのマスキング剤はホウ酸、ホウ砂、ホウ珪酸などをメインとして、少量のアルミ粉、錫粉、亜鉛粉を入れ、これらを熱にて張り付かせるために少量の熱融着性樹脂と表面張力除去のための1〜2wt%の界面活性剤を加えて構成されたものであった。これらの塗料をマスキング部分に1〜3回塗布し自然乾燥させる。マスキング剤で被覆した被処理材を加熱炉に入れて、300〜1000℃の範囲で加熱すると、マスキング塗料に含まれる樹脂は常温から300℃近辺までの間に完全に燃焼しながらホウ素系無機化合物の張り付きを保護する。300℃近辺で塗料中の樹脂が熱分解して消失するタイミングで、各ホウ素化合物がそれぞれの溶解温度にて徐々に溶解し始めて、金属母材に張り付く。ホウ素系無機化合物はガラス状になって母材表面に硬く焼付くとともに金属粉をガラス体の中に取り込んでこれらの脱落を防止し、強固なマスキング膜を形成するので、浸炭・窒化成分との接触を阻止する結果、マスキング部の浸炭・窒化を防止できる。この場合、浸炭、窒化防止皮膜に斑やピンホールがあるとその部分が浸炭、窒化され局部的に組織が変化し、疲労破壊や応力腐食割れする危険性が生じる。塗料系マスキング剤は母材に均一に塗布するとともに母材を清浄化することが必要であることから、表面張力除去のため1〜2wt%の界面活性剤が入れられている。界面活性剤は比較的低温燃焼するためピンホールの原因となる。これらのピンホールを穴埋めするためには、ホウ素系無機化合物を液体化し、低温から高温までの幅広い温度域で溶融し空隙部に入り込むようにする技術が必要である。
従来のマスキング塗料はホウ素系無機化合物を主体とするマスキング剤であり、浸炭・窒化条件下で熱分解し相手母材に熱融着することで浸炭、窒化材の防止を図っている。低融点180〜800℃の温度範囲はホウ酸(H3BO3)で保護し、740〜1100℃の温度範囲はホウ砂で保護する考え方であった。ホウ酸やホウ砂は、低融点から高温までの広い温度範囲でホウ酸ガラスの膜を形成し金属表面に張り付くことで浸炭・窒化成分から母材を保護していた。このようなマスキング剤は個体粉末を熱融着性樹脂と混合し母材に張り付くようにしたものであり、浸炭・窒化処理温度付近にならないと完全なガラス膜が形成されないので、炉内昇温途中で浸炭・窒化成分がマスキング部分に侵入する問題があった。従来の浸炭防止剤や窒化防止剤は酸化ホウ素((B2O3)180〜800℃)を主体として低融点約650℃でホウ素化合物を作りガラス状となり浸炭温度900〜930℃間を防止するものである。従って有効な温度範囲は650〜800℃であり、実際の処理温度900〜930ではマスキングの機能を十分に果たしているとは言えない状況であった。一方、このようなマスキング塗料は、浸炭・窒化処理後に母材を水中に浸し皮膜を水中のOHと反応させることで剥離除去は簡単であった。しかしながら、溶媒として有機溶剤のキシロールを含有しているため塗布中は有害ガスが蒸発するので強制換気が必要であり安全衛生の面から好ましいものではなかった。
マスキング用塗料としては、常温より最大300℃まで強力に張り付き、かつ熱分解してガス発生の少ない樹脂成分であることが必要であり、分解ガス放出による塗膜の膨れや塗膜の持ち上がりのないことが大切である。このため、マスキング作業は塗料を薄く塗布し自然乾燥させる工程を繰り返す多重膜塗布となっている。特にコーナー部などは筆や刷毛などにより塗り残しが無いように注意深く行う必要があり、丁寧な根気のいる手間のかかる作業となっている。
特開平9−59757号広報「浸炭もしくは窒化防止用粉末及び浸炭もしくは窒化防止法」において、浸炭もしくは窒化防止作用を有するホウ素系無機化合物と、浸炭もしくは窒化条件下で熱分解する熱融着性樹脂を必須成分として含有する粉末からなるマスキング剤が示されている。このマスキング剤は、ホウ素系無機化合物として水分含有率が10wt%以下の酸化ホウ素や、熱融着樹脂としてポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂などが使用されているマスキング剤である。高温化におけるマスキング剤としては酸化ホウ素(B2O3)だけであり、加熱炉の温度が常温から1000℃まで上昇する間の温度変化に対応できず、浸炭、窒化成分が母材に侵入してしまう問題があった。
特開2000−96132号広報「浸炭防止法、浸炭防止剤及び被熱処理部材」において、2つの温度範囲にそれぞれ反応するマスキング剤を示している。このマスキング剤は常温から浸炭・窒化処理温度の幅広い領域でマスキングできるように構成されているが、粉末のホウ素系無機化合物と熱融着性樹脂からなっているため、母材の昇温時に粉末の溶融性が悪くピンホールを形成する問題があった。
特開平8−134535号広報「窒化、浸炭防止用被覆材」において、熱溶融性又は熱融着性粉粒体と、ゴムと、粘着付与剤との混合物ならなるマスキング剤が示されている。熱溶融性又は熱融着性粉粒体は酸化ホウ素(B2O3)、ホウ砂(Na2B4O7・10H2O)、ホウケイ酸(Na2SiO2)から1種又は2種選択し、ゴム及び粘着付与剤と混練したマスキング剤である。この方法ではマスキング剤の粘性が高く母材との密着性が悪くなり浸炭、窒化材を完全にシールするのは困難であった。
溶接すると溶接部周辺にスパッタが付着する問題がある。このスパッタを溶接後に物理的に除去することは煩雑で困難であるため、あらかじめ溶接スパッタ付着防止剤を塗布しておき溶接後は塗布皮膜を残したまま直接塗装するか、塗布皮膜をアルカリや酸で洗浄して除去することが行われる。溶接スパッタ付着防止剤としては、有機アミン系溶剤にアルミナ(AL2O3)、酸化マグネシウム(MgO2)などを超微粉末として入れて塗布されていた。又は、単なる有機アミン系溶剤を水にて薄めたものが使用されていた。スパッタは溶融段階では表面張力にて1800〜2500℃の球体になっている。そのため、溶接母材に一瞬で点接触し溶着する。このスパッタに対して溶接スパッタ付着防止剤に含有されているアルミナ(AL2O3)、酸化マグネシウム(MgO2)、ジルコニア(ZrO2)膜が耐熱材として母材表面を守ることで付着を防止していた。又、有機アルミ系溶剤は塗布後の乾燥が遅いため、含有水分がスパッタの熱を吸収し表面温度を急激に降下させ、残熱によりアミン系溶剤中の成分が燃えて炭素となることで付着を防止していた。
特開2000−176680号広報「溶接スパッタ付着防止剤」において、無機物又は無機化合物の微粉末を含む溶接スパッタ付着防止剤が示されている。このスパッタ付着防止剤の成分は、ケイ酸のアルカリ金属塩から選択される1種又は2種以上の塩及び水可溶のアルコール類又はその誘導体を含むものである。しかしながらケイ酸塩は耐熱性が不足しておりかつ塗膜も薄いことから十分なスパッタ防止ができなかった。
メッキのマスキングに要求される特性は、例えば(1)メッキ中にマスキング材料の浮や剥がれがなくメッキ液が侵入しないこと、(2)非メッキ部分を汚染しないこと、(3)メッキ後の剥離が容易であることなどがあげられる。従来、マスキング剤はインク塗料や一般塗料が使われている。ポリエチレン、ポリプロピレンやこれらの共重体、エチレン酢酸ビニル共重体、塩化ビニル系樹脂、スチレン―ブタジエン共重体など一般塗料でもマスキングが可能である。メッキ後は簡単にシンナーなどで除去できる塗料が使われるが、メッキにはクロムメッキ、亜鉛メッキ、銅メッキ、銀メッキ、金メッキ、ニッケルメッキなど多種類あり、それぞれのメッキ浴によってマスキング用塗料は選択する必要がある。又、アルカリに強い塗料、酸に強い塗料でメッキ後のマスキング塗料除去の溶剤も変わってくる。一つの塗料で全てに対応可能な万能なマスキング剤はなかった。
特開2007−197799号広報「金属表面のマスキングによるメッキ方法」、において、複雑な構造をした金属にメッキする方法として、スチレン・ブタジエン系重合物の溶液をマスキング剤として金属基体に塗布後、130〜200℃で熱処理して焼き付け、メッキ液につけてメッキする方法が示されている。この方法においては、マスキング剤を炉中で焼き付ける工程と剥離する工程を経ることから手順が複雑で手間がかかっていた。
釉薬は、陶磁器や琺瑯の表面をガラス質で被覆するのに用いられる。陶磁器用の基本的な釉薬は粘土を水で溶いたものに木灰・藁灰を加えたもので、灰や粘土の中に含まれる金属成分によっていろいろな色相を出している。現在では所望の色合いを出すためのあらかじめ予想される金属成分を溶かし入れる方法がとられている。陶磁器の光沢はもともと粘土に含まれる長石((NaKCaBa)(SiAL)4O8)によるものであるが、現在は各種の添加物により独特の光沢を出せるようになっている。陶磁器と同じように釉薬を塗って焼成するものに琺瑯や七宝焼きがある。琺瑯は金属の酸化を防ぐための方法である。七宝焼きは装飾品として使われている。このように釉薬の応用範囲は広く、現在でもいろいろな観点から新たな釉薬が生み出されており、低コストで品質の良い釉薬は極めて高いニーズがある。
特開2009−525251号広報「釉薬組成物及び施釉方法」において、B2O3、SiO2、AL2O3、Na2O、CaOを含有する釉薬組成物が示されている。これらの釉薬組成物にウォラストナイト(珪灰石(CaSiO3)、CaOとSiO2を略等量含有している。)、ホウ酸ナトリウム(NaBH4)、石英(SiO2)、カオリン(AL2Si2O5(OH)4)を適宜混合することにより、コスト低減や色相調整の効果がある。カオリンはFe2O3やTiO2を含有し薄い黄色を発色する。従って黄色から赤系の色合いが必要な場合はカオリンの添加が極めて有効である。
冷却水配管を鋳造物と鋳込む際は、冷却水配管と鋳造物が接合しないようにするのが一般的である。冷却効率を高めるためには冷却水配管と鋳造物はきちんと接合されるべきであるが、鋳造物に亀裂が生じた場合は、亀裂が冷却水配管を貫通し水漏れが生じ、2次的な被害が生じる危険性がある。そのため、冷却水配管と鋳造物は、接触はさせても溶着させない構造となっている。また、電気炉で用いられる電極ホルダは、銅鋳造品の中に銅パイプを鋳ぐるみして水冷しているが、銅が溶存した場合は通常新品と交換しているためコストが高くなっている。電極ホルダを肉盛り補修するためには、銅パイプに肉盛り材が溶着しないようにする必要がある。しかしながら、純銅を肉盛りする場合は最大500℃近い温度に昇温保持する必要があり、銅パイプとホルダが溶着してしまう問題があった。銅パイプとホルダが溶着すると、溶接後電極ホルダと銅パイプの間に熱応力が発生し銅パイプに亀裂が入る危険性があり、又、電極ホルダを使用中に、電極ホルダに亀裂が入ると銅パイプまで進展し銅パイプに亀裂が入る危険性があるからである。従って、電極ホルダを肉盛り補修するためには銅パイプを溶着から保護するために完全に溶着防止できるマスキング剤が必要であった。従来、確実に溶着を防止できるマスキング剤がなかったためコストのかかる新品取り替えになっていた。
特開2002−180113号広報「高炉用ステーブクーラー」において、ステンレスパイプを鋳込むに際して、パイプにクロムメッキやニッケルメッキをする方法が示されている。この方法ではパイプとステーブクーラー本体が接合してしまうので、本体に亀裂が生じた場合、亀裂がパイプを貫通して水漏れが生じる危険性がある。
特開平9−59757号広報「浸炭もしくは窒化防止用粉末及び浸炭もしくは窒化防止法」 特開2000−96132号広報「浸炭防止法、浸炭防止剤及び被熱処理部材」 特開平8−134535号広報「窒化、浸炭防止用被覆材」 特開2000−176680号広報「溶接スパッタ付着防止剤」 特開2007−197799号広報「金属表面のマスキングによるメッキ方法」 特開2009−525251号広報「釉薬組成物及び施釉方法」 特開2002−180113号広報「高炉用ステーブクーラー」 特開2009−090368号広報「ガス切断用気化フラックス」 特開2009−297782号広報「液体フラックスの製造方法及びその装置」 特開2010−100441号広報「液体フラックスの製造方法と製造装置及び液体フラックス」 特開2011−088180号広報「溶接用フラックスと溶接法」 特開2011−098367号広報「溶接肉盛り用フラックスと溶接肉盛り法」 特願2012−24804号広報「液体フラックス」
よくわかる最新めっき基本と仕組み(秀和システム) 硬い表面(槇書房) バレルめっき(槇書房) 新めっき技術(工業調査会) アンチカーボン浸炭防止剤((株)三水化学) 学位論文「非水溶液から金属の電気鍍金」(工学博士武井たつ子著)
浸炭・窒化防止用のマスキング剤は、従来個体のホウ素系無機化合物を熱融着性樹脂と混合しマスキング部分に塗布するものであるが以下の問題点があった。(1)ホウ素系無機化合物は個体粉末であり、炉内が浸炭・窒化処理温度近くにならないと完全にガラス化しないためマスキングが不十分であり、昇熱途中で浸炭・窒化成分が母材に侵入する問題があった、(2)ホウ素系無機化合物を母材に固定するために熱融着性樹脂の含有量を多くせざるをえず、熱融着性樹脂が燃焼するときのガスでピンホールが発生しやすい。この問題を解決するための課題は、(1)ホウ素系無機化合物を個体粉末で使用するのではなく、溶媒に完全溶解し、液体マスキング剤を生成すること。(2)常温から浸炭・窒化処理温度までの広い温度範囲で確実に浸炭・窒化成分をシールできることである。
スパッタ止めのマスキング剤は以下の問題点があった。(1)スパッタ付着を完全に防止できるマスキング剤はない。(2)溶接終了後のマスキング剤除去作業に手間がかかっている。ケイ酸塩の溶融温度は1000℃強でありスパッタで瞬間的に溶融するのでスパッタが付着しやすかった。(3)ケイ酸塩の塗布厚みが薄くスパッタの熱容量に耐えられずケイ酸塩が溶融しスパッタが付着していた。この問題を解決するための課題は、(1)塗布厚みが薄くても耐熱性に優れたホウ素系無機化合物を溶媒に完全溶解し母材に均一に塗布可能なこと。(2)溶接終了後は簡単に除去できることである。
メッキ付着防止用のマスキング剤の問題は以下である。(1)メッキ浴が変わるごとにマスキング剤が変わるのでマスキング剤の管理に手間がかかる。(2)焼き付けを要するマスキング剤は手間を要する。(3)メッキ後のマスキング剤の除去に手間がかかることである。問題を解決するための課題は以下である。(1)一つのマスキング剤で各種メッキに対応できること。(2)焼き付ける必要のないマスキング剤を具現化すること。(3)メッキ終了後は簡単に除去できることである。
釉薬の課題は以下である。(1)資源を有効活用すること。(2)安価な釉薬を具現化する。(3)釉薬が均一に塗布できることである。
配管鋳込みや鋳造品補修時の課題は、配管と鋳造品を接合しないように鋳込むこと及び、溶接肉盛りすることである。
第1の解決手段は特許請求項1に示すように、ホウ素系無機化合物を溶媒に入れて、磁界中でパルス電流をかけながら撹拌、溶解せしめて液体フラックスを生成し、この液体フラックス中に熱融着性樹脂及び金属粉及び金属酸化物粉及び界面活性剤を入れた浸炭・窒化防止用マスキング剤である。
第2の解決手段は特許請求項2に示すように、ホウ素系無機化合物を溶媒に入れて、磁界中でパルス電流をかけながら撹拌、溶解せしめて生成した液体フラックスに、熱融着性樹脂及び金属粉及び金属酸化物粉及び界面活性剤を入れた浸炭・窒化防止用マスキング剤である。
第3の解決手段は特許請求項3に示すように、ホウ素系無機化合物を溶媒に入れて、磁界中でパルス電流をかけながら撹拌、溶解せしめて生成した液体フラックスに、メッキ廃液のスラジを最大20wt%混入したメッキ付着防止用マスキング剤である。
第4の解決手段は特許請求項4に示すように、ホウ素系無機化合物を溶媒に入れて、磁界中でパルス電流をかけながら撹拌、溶解せしめて生成した液体フラックスに、有機酸及び熱融着性樹脂及び界面活性剤を入れたメッキ付着防止用マスキング剤である。
第5の解決手段は特許請求項4に示すように、ホウ素系無機化合物を溶媒に入れて、磁界中でパルス電流をかけながら撹拌、溶解せしめて生成した液体フラックスに、メッキスラジを混合したことを釉薬である。
第6の解決手段は特許請求項4に示すように、ホウ素系無機化合物を溶媒に入れて、磁界中でパルス電流をかけながら撹拌、溶解せしめて生成した液体フラックスに、金属酸化物粉及びヘキサフルオロケイ酸(H2SiF6)を入れた鋳込みパイプ用マスキング剤である。
第1の解決手段による効果は、(1)ホウ素系無機化合物を溶媒に完全溶解し、液体マスキング剤を生成できるので母材に均一に塗布できる、(2)マスキング剤を塗布後、火をつけることにより溶媒が燃焼し、マスキング剤が母材表面にガラス膜状に張り付くので完全なシールができる、(3)常温から浸炭・窒化処理温度までの広い温度範囲で確実に浸炭・窒化成分をシールできることである。
第2の解決手段による効果は、(1)メッキスラジの有効活用ができる、(2)浸炭・窒化防止用マスキング剤が安価に製造できる、(3)確実に浸炭・窒化処理のマスキングができることである。
第3の手段による効果は、(1)ホウ素系無機化合物を溶媒に完全溶解しているので、母材に均一に薄く塗布可能である、(2)ホウ素系無機化合物の溶解液に耐熱性のある材料を混入しやすいのでスパッタ熱で容易に溶融しないマスキング剤である、(3)溶接終了後は簡単に除去できることである。
第4の手段による効果は、(1)一つのマスキング剤で各種メッキに対応できる、(2)焼き付ける必要がないので工程省略が可能である、(3)メッキ終了後は簡単に除去できることである。
第5の手段による効果は、(1)メッキ廃液のスラジを活用できるので資源の有効活用となる、(2)安価な釉薬が具現化できる、(3)釉薬が均一に塗布できることである。
第6の手段による効果は、冷却パイプと鋳物本体あるいは冷却パイプと肉盛り本体を溶着させないで鋳込みや肉盛りができることである。
第1の解決手段は、ホウ素系無機化合物を溶媒に入れて、磁界中でパルス電流をかけながら撹拌、溶解せしめて液体フラックスを生成し、該液体フラックスに金属粉及び金属酸化物粉及び熱融着性樹脂及及び界面活性剤を入れた浸炭・窒化防止用マスキング剤である。
浸炭・窒化防止用マスキング剤は、まずアルコールやアセトンの溶媒にホウ素系無機化合物を溶解させた液体フラックスを生成し、この液体フラックスに必要な成分を添加して生成したものである。本マスキング剤をマスキング部分に塗布し、火をつけてアルコール分を飛ばし強制乾燥することでホウ素系無機化合物がバインダーとして母材に張り付くため、マスキング剤が脱落することなくマスキングとしての機能を確実に発揮する。
液体フラックスは、本発明者が発明した各種液体フラックスの製造方法により生成できる。液体フラックスはアルコールやアセトンの溶媒に磁界かけ電流を流しながら電解質を溶解したものであり、溶接母材、溶接棒、溶接方法あるいは金属溶断など様々な溶接や溶断条件に応じて作り分けることが可能であるが、浸炭・窒化処理においても母材や、浸炭・窒化処理条件に応じて作り分けることが可能である。
例えば、特開2009−090368号広報「ガス切断用気化フラックス」における、「ロウ付けなどに使用するフラックスを適宜混合して前処理した混合フラックスを、アルコールやアセトンの溶媒に8〜25重量wt%混合して、超臨界装置内において温度300〜400℃、圧力34.3〜44.1MPaで溶解し液体フラックスを製造する方法を応用できる。特開2009−297782号広報「液体フラックスの製造方法及びその装置」おいて、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ハロゲン、B、C、N、O、Si、P、S、Cl、Zn、Seなどの原子の内、少なくとも2種類以上の原子が結合してできている電解質をアルコールやアセトンなどの溶媒中で磁場をかけるとともに、該溶媒を攪拌しながら溶解して液体フラックスを製造する方法を応用できる。特開2010−100441号広報「液体フラックスの製造方法と製造装置及び液体フラックス」において、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ハロゲン、B、C、N、O、Si、P、S、Znの原子の内、少なくとも2種類以上の原子が結合してできている電解質をアルコールなどの溶媒を入れた容器中で、磁場をかけるとともに該溶媒を回転しながら溶解する液体フラックスの製造方法において、溶媒中に電極を挿入し電圧を付加するとともにパルス電圧を付加して液体フラックスを製造する方法を応用できる。特開2011−088180号広報「溶接用フラックスと溶接法」において、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ハロゲン、B、C、N、O、Si、P、S、Cl、Zn、Seなどの原子の内少なくとも2種類以上の原子が結合してできている電解質をアルコールやアセトンなどの溶媒に溶解して液体フラックスを製造する方法を応用できる。特開2011−098367号広報「溶接肉盛り用フラックスと溶接肉盛り法」において、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ハロゲン、B、C、N、O、Si、P、S、Cl、Zn、Seの原子の内少なくとも2種類以上の原子が結合してできている電解質をアルコールやアセトンの溶媒に溶解して液体フラックスを製造する方法を応用できる。特願2010−165565号広報「液体フラックス」において、カリウム(K)、ホウ素(B)、ナトリウム(Na)、カルシウム(Ca)、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、窒素(N)のいずれかを含むフッ化物の中から1種もしくは2種以上の前記フッ化物を選択し、フッ素(F)含有量が30〜70重量wt%となるように調合した調合フッ化物をアルコールもしくはアセトンの溶媒に溶解して液体フラックスを製造する方法を応用できる。
ホウ素系無機化合物と溶媒を容器の内外に複数のネオジ磁石を取り付けた容器にいれ、10000〜300000ガウスの磁界をかけて撹拌しながら電流を流す。電流は、電流密度10cmにつき5〜10アンペアの直流とし、5〜10アンペアのパルスショック電流を流す。このようにして生成した液体フラックスに熱融着性樹脂、界面活性剤、金属化合物を入れてよく撹拌することにより浸炭・窒化防止用マスキング剤が製造できる。本浸炭・窒化防止用マスキング剤は液体であるため被処理材となる母材の浸炭部や窒化防止部にスプレー法、静電付着法、浸漬法などで塗布可能である。又、少量の場合は筆、刷毛塗布でも可能である。
本発明の浸炭、窒化に使うホウ素系無機化合物は例えば、ホウ酸((H3BO3)、機能温度範囲:180〜800℃)、ホウ砂((Na2B4O7・10H2O)機能温度範囲:740〜1400℃)、ホウ酸メチル((B(OCH3)3)機能温度範囲:−29.3〜68.75℃)、ホウフッ化水素酸(テトラフルホロホウ酸)((HBF4)機能温度範囲:最大130℃)、ホウフッ化亜鉛((Zn(BF4)2)機能温度範囲:最大300℃)、ホウ酸亜鉛((2Zn・3B2O3・3.5H2O)機能温度範囲:419〜906℃)、ホウフッ化銅((Cu(BF4)2)機能温度範囲:最大800℃)を使用できる。これらのホウ素系無機化合物の中から2種〜7種選択して溶媒に30〜40wt%溶解する。本浸炭・窒化防止用マスキング剤は常温より最大1400℃までの広い温度領域に耐えてフラックス的役目を発揮できる。従って、A3変態点950℃までの浸炭・窒化処理温度に対し、母材表面を酸化から保護し、母材への浸炭・窒化成分の侵入を防止する。かつ浸炭・窒化処理後は水洗浄で簡単に除去可能である。
溶媒としてはメタノール(CH3OH)、エタノール(C2H5OH)などのアルコール類やアセトンが主であるが、アセトニトリル(CH3CN)、ホルムアミド(HCONH3)、N,N−ジメチルホルムアミド(HCON(CH3)2)、N,N−ジメチルアセトアミド(CH2CON(CH3)2)、ジメチルスルホキシド((CH3)2OS)、2−プロパノール((CH3)2CHOH)などを使用できる。これらの液体を1種類もしくは複数組み合わせて溶媒を生成する。
金属粉は、アルミニウム、亜鉛、錫などの中から1種類もしくは複数種組み合わせて3〜5wt%入れる。金属粉に炭素粉を混合してもよい。
金属酸化物粉は例えば、アルミナ(AL2O3)、酸化マグネシウム(MgO2)、酸化ケイ素(SiO2)などを使用できる。これらの金属酸化物の中から1種類もしくは複数種類組み合わせて3〜5wt%入れる。
熱融着性樹脂としては例えば、液体ポリエチレングリコール(H(OCH2CH2)nOH)、アセトニトリル(CH3CN)、アクリルアミド(CH2=CHCONH2)、アクリル酸アミド(CH2=CHCONH2)が使用できる。これらの熱融着性樹脂を1種類もしくは複数組み合わせて3〜5wt%入れる。
界面活性剤は例えば、ホウ酸亜鉛(2Zn・3B2O3・3.5H2O)、ホウフッ化亜鉛(Zn(BF4)2)などの中から1種もしくは複数選択して最大1wt%添加する。ピンホール対策として界面活性剤を液体フラックス中に添加することで、300℃まで加熱する間に熱分解し一種の無電解亜鉛メッキが可能な状態となる。これを助けるのがホウフッ化水素酸(テトラフルホロホウ酸)(HBF4)である。沸点が130℃と低いため亜鉛の融点419℃から沸点906℃に達する間に低融点ホウ酸ガラスの中に亜鉛が取り込まれるためピンホールができない。又、溶融した低温ガラス状態のホウ素無機化合物の中に酸化亜鉛や酸化銅を取り込むことにより、300〜700℃間の母材表面を浸炭・窒化成分から保護することが可能である。ホウ素系無機化合物を溶解した液体フラックスはシール作用や清浄作用の強い非常に有効な活性剤であり浸炭・窒化防止剤である。
第2の解決手段は、ホウ素系無機化合物を溶媒に入れて、磁界中でパルス電流をかけながら撹拌し、溶解せしめて液体フラックスを生成し、該液体フラックス中にメッキスラジ及び金属粉及び熱融着性樹脂及び単体元素及び金属酸化物及び界面活性剤を入れた浸炭・窒化防止用マスキング剤である。
ホウ素系無機化合物は例えば、ホウ酸、ホウ砂、ホウ酸メチル、ホウフッ化水素酸、ホウフッ化亜鉛、ホウ酸亜鉛、ホウフッ化銅を使用できる。
溶媒としてはメタノール、エタノール、アセトニトリル、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、2−プロパノールなどを使用できる。これらの液体を1種類もしくは複数組み合わせて溶媒を生成する。
金属粉は、アルミニウム、亜鉛、錫などの中から1種類もしくは複数種組み合わせて3〜5wt%入れる。金属粉に炭素粉を混合してもよい。
金属酸化物粉は例えば、アルミナ(AL2O3)、酸化マグネシウム(MgO2)、酸化ケイ素(SiO2)などを使用できる。これらの金属酸化物の中から1種類もしくは複数種類組み合わせて3〜5wt%入れる。
熱融着性樹脂としては例えば、液体ポリエチレングリコール(H(OCH2CH2)nOH)、アセトニトリル(CH3CN)、アクリルアミド(CH2=CHCONH2)、アクリル酸アミド(CH2=CHCONH2)が使用できる。これらの熱融着性樹脂を1種類もしくは複数組み合わせて3〜5wt%入れる。
界面活性剤は例えば、ホウ酸亜鉛(2Zn・3B2O3・3.5H2O)、ホウフッ化亜鉛(Zn(BF4)2)などの中から1種もしくは複数選択して最大1wt%添加する。
上記成分に付加して、メッキスラジを浸炭・窒化防止用マスキング剤の成分として使用できる。メッキスラジの添加量は20wt%以下にする。20wt%以上にするとマスキング剤として粘度が大きくなり母材への塗布性が悪くなる。以下にメッキ液中のスラジの分析値の一例を示す。メッキスラジは未乾燥品でも焼成品でもよい。いずれにしてもメッキスラジ中のシアン成分は浸炭・窒化処理の途中で分解し消失する。むしろ、未乾燥品のほうがマスキング剤として活性化しておりシール効果が高まる。表1に一般的なメッキ浴のスラジ分析値例を示す。
表1 メッキ液のスラジ分析値例 (単位:wt%)
スラジ焼成前は、苛性ソーダ(NaOH)、フッ酸(H2F)、硫酸(H2SO4)、硝酸(NHO3)、シアン化ナトリウム(NaCN)などの成分が含有されているが、焼成後はシアン化ナトリウム中のCとNはそれぞれCO2とNO2になるため、Ig.Loss23.76wt%中のシアン成分は消失している。CuO(4.33wt%)、ZnO(19.88wt%)、NiO(0.91wt%)、SnO(0.59wt%)、Cr2O3(1.81wt%)などは浸炭、窒化のマスキング剤として使う場合置換メッキの代用となる。五酸化リン(P2O5:6.86wt%)はH2PO3(リン酸)との反応で残ったものであり、加熱中にフラックスの役目をしてマスキング剤の流動性を向上し、ホウ酸ガラスが生成される途中で琺瑯的役目をしてマスキング部分に浸炭・窒化成分が侵入するのを防止する効果もある。例えば、アルミ琺瑯フラックスの成分は、P2O5:50wt%、B2O3:7wt%、AL2O3:15wt%、PbO:6wt%、Li2O:7wt%、Na2O:10wt%、NaF:15wt%であるが、P2O5、B2O3、AL2O3はメッキスラジに含有されている。ホウ酸系特殊ガラスの成分は、B2O3:36.6wt%、SiO2:7.3wt%、AL2O3:22.5wt%、P2O5:15.1wt%、MgO:13wt%、CaO:5.5wt%であるが全てメッキスラジに含有されている。ホウ酸系接着ガラスの成分は、B2O3:55.4wt%、AL2O3:17.4wt%、CuO:27.2wt%であるが全てメッキスラジに含有されている。他のホウ酸系ガラス接着ガラスの成分は、B2O3:20wt%、SiO2:10wt%、ZnO:40wt%、PbO:17wt%、CuO:10wt%であり、PbO以外の成分はすべてメッキスラジに含有されている。ホウ素系無機化合物を溶解した液体フラックス中にメッキスラジを添加することによりBやNaがあるため立派な特殊ホウ酸ガラスが接着剤となりマスキングの役目をする。
メッキ工場は様々のシアン浴を使うためバーゼル条約が適用される。最終工程の中和処理した沈殿スラリは燃焼焼却以外の処理はできない。メッキスラジの有効活用は環境保護や資源活用の面からも極めて重要である。メッキスラジの有効活用の一つとして、メッキスラジを最大20wt%ホウ素系無機化合物の液体フラックス中に入れて、さらに、ヘキサフルオロケイ酸溶液(H2SiF6)を5〜10wt%添加して、液体フラックスをゼリー状にして浸炭、窒化のマスキングに使用することができる。天然ガス(主としてメタンガスCH4、エタンガスC2H6、プロパンガスC3H8)などの炭化水素ガスを高温燃焼炉で浸炭母材を加熱し400℃近辺になったところで中性に近いキャリアガス(CO(20wt%)、H(40wt%)、N2(40wt%))を混入し浸炭する。最大950℃まで加熱中に高温にさらされたマスキングしていない鋼の表面にキャリアガスの活性炭素が侵入しガス浸炭が完了する。浸炭の不要な部分に塗布するマスキング剤に重量比20wt%のメッキスラジを入れることで従来にないガス浸炭防止が可能になった。
窒化処理は、シアンナトリウム(NaCN)の高温溶解液に特定の鋼種を浸すことで窒化させる。メッキ工場は3〜6種のメッキをするのが現状である。代表的には硬質クロムメッキ、亜鉛メッキ、銅メッキ、ニッケルメッキ、銀メッキ、金メッキ、分散めっき、無電解メッキ、アルミメッキなどがあるがメッキ業者より出る廃液や残滓は国連バーゼル条約で管理される廃棄物であり燃焼無害装置を持った有害処理廃棄業者が処理することになっている。浸炭・窒化による鋼の表面処理には必要とするところ以外はマスキングをして最大950℃まで昇温し、熱処理にて鋼の組織変化を生じさせて硬くする方法である。浸炭や窒化防止用マスキング剤中にメッキスラジを最大20wt%添加するが、メッキスラジにはシアンをはじめAL、Cr、Cu、Zn、Sn、Ni、Ag、Auなどがppmの単位からwt%単位まで混入している。一例として、シアン化第一銅+シアン化ナトリウム中での陰極と陽極の反応は次のようになる。
陰極→Cu(CN) −2+e→Cu+3CN
陽極→Cu+3CN→Cu(CN) −2+e
このような反応においては、メッキ極間で常にシアンと銅の交換をすることで長期運転を可能とするもメッキ浴中には活性剤としてクエン酸や酒石酸やホウ素系無機化合物を入れるためこれらの不純物の沈殿と一緒に一部のシアン浴も沈殿する。
シアン化第一銅Cu(CN)3→Cu+3CN↑

3CN+3O2→3CO2+3N↑
これらは燃焼することでシアンは無害な炭酸ガスと窒素ガスに分解するので無害となる。残った銅は、H3BO3+2B4O7・10H2O+Cu(銅イオン)となり無害化される。その他の金属は、アルカリホウ酸ガラス(Na2O+B2O3)が低融点反応ガラスを形成する途中で網目ホウ酸ガラス状となり、この中に取り込まれる。同時にホウ酸ガラスは被浸炭母材を確実にマスキングする。従って、浸炭・窒化防止剤にメッキスラジを最大20wt%添加することにより、スラジ中の有害金属をガラス中に閉じ込めると同時にガラスコーティングで母材表面がマスキングできるので効果的なマスキング剤ができる。ホウ酸ガラスは最大650℃近辺で成立するため浸炭・窒化処理温度950℃まで加熱することにより全ての金属はガラス状ホウ素化合物の中に単体もしくは複合元素混合体として固められる。ホウ酸ガラスは浸炭・窒化処理終了後水洗いで簡単に除去できる。しかし、金属はホウ酸ガラスの中に閉じ込められているので外に出てくることはなく、埋め立て処理しても地下水を汚染しない。
(浸炭・窒化防止用マスキング剤の実施例)
(1)まず液体フラックスを以下の要領で生成した。ホウ素系無機化合物として、ホウ酸(H3BO3)11.35wt%、ホウ砂(Na2B4O7・10H2O)19.66wt%を、グリセリン(C3H8O2)7.99wt%、アセトン(C3H6O)5.02wt%、エチレングリコール(C2H6O2)14.09wt%、メタノール(CH3OH)41.8wt%の溶媒に入れ、300000ガウスの磁界中で、10cm当たり5アンペアの電流とパルス電流を流しながら撹拌し溶解した。PH7の中性になるようにホウ酸とホウ砂の量を調整した。この液体フラックスの発火点は112.9℃、引火点45.3℃、自然発火点は472.4℃である。溶媒は密度1.265のアルコール主体であり燃焼性がよいので、塗布後火をつけて強制的に燃焼させることで母材への焼き付けが可能である。(2)熱融着性樹脂として液体ポリエチレングリコール(H(OCH2CH2)nOH)やアセトニトリル(CH3CN)、アクリルアミド(CH2=CHCONH2)、アクリル酸アミド(CH2=CHCONH2)を混合し4wt%添加した。(3)金属粉はアルミニウムと亜鉛を3wt%添加した。金属粉はアルミニウム粉と亜鉛粉を1wt%ずつ添加した。さらに炭素粉を1wt%添加した。(4)金属酸化物はアルミナ(AL2O3)、酸化マグネシウム(MgO2)ジルコニア(ZrO2)をそれぞれ1wt%ずつ添加した。(5)界面活性剤はホウ酸亜鉛(2Zn・3B2O3・3.5H2O)を1wt%添加した。(6)表1に示すメッキスラジを10wt%添加した。(7)残りはホウ素系無機化合物を溶解した液体フラックスである。このようにして生成した浸炭や窒化防止用マスキング剤を母材に塗布して、溶媒に火をつけて揮発成分を燃焼させ焼き付けた。熱融着性樹脂は溶媒が燃焼する際に母材に張り付いたホウ素化合物を接着するためマスキング剤の脱落の防止が図れる。この浸炭・窒化防止剤を塗布して浸炭したところ塗布部の浸炭は100防止できた。
第3の解決手段は、ホウ素系無機化合物を溶媒に入れて、磁界中でパルス電流をかけながら撹拌し、溶解せしめて液体フラックスを生成し、該液体フラックスに、酸化物粉を添加したスパッタ付着防止剤である。
スパッタ付着防止剤に用いる液体フラックスに溶解するホウ素系無機化合物は、ホウ酸(H3BO3)、酸化ホウ素(B2O3)、ホウ砂(Na2B4O7・10H2O)、ホウフッ化カリウム(K2B4F4)、酸性フッ化カリウム(HBF4)などを使用できる。これらホウ素系無機化合物の中から2〜4種選択しメタノール(CH3OH)中で溶解し30〜40wt%の液体フラックスを生成する。この液体フラックスに酸化物粉として、アルミナや酸化マグネシウムやジルコニアの中から1種もしくは複数選択して10〜20wt%%添加しスパッタ付着防止剤を生成する。さらに黒鉛ような炭素粉を添加してもよい。
スパッタ付着防止剤もマスキングの一種である。スパッタ付着防止剤を刷毛などで溶接面近辺のスパッタが飛散する範囲に塗布した後、スパッタ付着防止剤に火をつけてアルコール分を飛ばし塗布面にガラス状の耐火膜を硬く張り付けて付着防止面を作る。耐火膜はガラス状になっているのでスパッタが飛散しても破れることなく確実に母材をスパッタから防御する。溶接後はガラス状のマスキング膜は水洗にて簡単に除去できる。スパッタ付着防止剤は、スパッタが母材に付着した一瞬の高熱に耐えればよいため、最大30wt%濃度の液体フラックス中にアルミナ(AL2O3)もしくは酸化マグネシウム(MgO2)もしくはジルコニア(ZrO2)の中から1種もしくは複数選択して10〜20wt%入れる。さらに黒鉛粉を3〜5wt%添加してもよい。刷毛塗り後火をつけることによりスパッタ付着防止剤中のアルコールやアセトンなどの溶媒は急激に燃焼し金属面にガラス状の耐火膜を張り付ける。この耐火膜は溶接終了後、水洗浄で簡単に除去可能である。
(スパッタ付着防止剤の実施例)
液体フラックス生成の手順としては、ホウ酸(H3BO3)11.35wt%、をグリセリン(C3H8O2)7.99wt%の中でまず混合し15〜20分反応させる。単独反応で別置きし、次にホウ砂(Na2B4O7・10H2O)19.66wt%、をエチレングリコール(C2H6O2)14.09wt%の中で混合し15〜20分単独反応させる。二つの液体を混合しさらにアセトン(C3H6O)5.02wt%と混合し約5分間撹拌した後、メタノール(CH3OH)41.8wt%を入れて混合撹拌する。300000ガウスの強磁場中で、10cmにつき5アンペアの直流電流とパルスショック付与しながら約30〜60分撹拌するとPH7の液体フラックスが生成できる。ホウ酸はPH4の弱酸でホウ砂はPH12の強アルカリであり、上記混合で作るとPH7の中性ができる。PHは必要に応じて調整可能である。液体フラックスに黒鉛とアルミナと酸化マグネシウムとジルコニアを混合したものを15wt%添加し、撹拌して最終的にスパッタ付着防止剤とした。このスパッタ付着防止剤を塗布した部分にはスパッタの付着は100wt%防止できた。
第4の解決手段は、ホウ素系無機化合物を溶媒に入れて、磁界中でパルス電流をかけながら撹拌し、溶解せしめて液体フラックスを生成し、該液体フラックスに有機酸及び熱融着性樹脂及び界面活性剤を入れたメッキ付着防止用マスキング剤である。
液体フラックスはホウ素系無機化合物をアルコールやアセトンに最大10wt%溶解したものを使用する。ホウ素系無機化合物は、ホウ酸((H3BO3)、機能範囲:180〜800℃)、ホウ砂((Na2B4O7・10H2O)機能範囲:740〜1400℃)、ホウ酸メチル((B(OCH3)3)機能範囲:−29.3〜68.75℃)、ホウフッ化水素酸((HBF4)機能範囲:最大130℃)、ホウフッ化亜鉛((Zn(BF4)2)機能範囲:最大300℃)、ホウ酸亜鉛((2Zn・3B2O3・3.5H2O)機能範囲:419〜906℃)、ホウフッ化銅((Cu(BF4)2)機能範囲:最大800℃)が使用できる。これらの化合物の中から2種〜4種選択して溶媒に溶解する。ホウ素系無機化合物の種類や量を調整することにより、PH7の中性液体フラックスの製造が可能である。フッ化物やホウ酸化合物中のFやBは、メッキ浴にppmオーダーで溶解することにより、メッキ浴の活性剤となる働きを有するため美しいメッキが可能となる。
溶媒としてはメタノール(CH3OH)、エタノール(C2H5OH)などのアルコール類やアセトンが主であるが、アセトニトリル(CH3CN)、ホルムアミド(HCONH3)、N,N−ジメチルホルムアミド(HCON(CH3)2)、N,N−ジメチルアセトアミド(CH2CON(CH3)2)、ジメチルスルホキシド((CH3)2OS)、2−プロパノール((CH3)2CHOH)などを使用できる。これらの液体を1種類もしくは複数組み合わせて溶媒を生成する。
有機酸としては、ステアリン酸(CH3(CH3)16COOH)、グルタミン酸(HOOC・CH(CNH3)(CH2)COOH)、シュウ酸((COOH)2)、クエン酸((OH)C2H2(COOH)2、酒石酸(CHOH・COOH)2、フタル酸(C2H4(COOH)2)、アジピン酸(HOOC(CH2)4COOH)、サリチル酸(C6H4(OH)COOH)などを使用できる。これらの有機酸を3〜5wt%いれることでメッキ付着防止が可能である。
熱融着性樹脂は、ポリエチレングリコール(H(OCH2CH2)nOH)やアクリルアミド(CH2=CHCONH2)などを使用できる。これらを1種もしくは複数選択して3〜5wt%加える。
界面活性剤として例えば、ホウ酸亜鉛(2Zn・3B2O3・3.5H2O)、ホウフッ化亜鉛(Zn(BF4)2)などを使用できる。これらを1種もしくは複数選択して最大1wt%添加する。メッキ付着防止剤をシールするメッキ面に塗布後火をつけてアルコールを飛ばすことで樹脂の焼き付けが簡単にできる。
クロムメッキ液、シアン化銅メッキ液などではメッキスピードアップのため、ホウ素系無機化合物であるホウ酸(H3BO3)、酸化ホウ素(B2O3)を活性剤として使用する。しかしながら、ホウ素系無機化合物は水やアルコールをはじめとする溶媒に最大3wt%程度しか溶解しない。本発明者の液体フラックスの製造方法によれば、ホウ素系無機化合物をアルコールやアセトンの溶媒に入れ、強磁界中で10cm 当たり3〜5アンペアの電流とパルス電流を付与することにより最大70wt%まで溶解できる。即ち、液体フラックスの製造方法を使えばホウ酸だけを溶解するのであれば最大70wt%の高濃度の液体フラックスの製造が可能である。但し、PH7の中性液体フラックスの場合は酸性のホウ酸とアルカリのホウ砂を混合するので最大45wt%が限界である。
一般にメッキ工場で使うマスキング剤はポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン―プロピレン共重合体やエチレン―酢酸ビニル共重合体などの市販塗料であるため乾燥時間が必要であり、メッキ後のシンナー除去も手間がかかっていた。本発明のメッキ付着防止剤は塗布後火をつけて燃焼させることにより素早く乾燥でき、メッキ後は水にて簡単に溶解除去できる。ホウ素系無機化合物を溶解した液体フラックスに熱融着性樹脂(アルコール系に溶解するもの、液体ポリエチレングリコール、アセトニトル、アクリルアミド、アジピン酸、ステアリン酸など)を3〜5wt%、界面活性剤最大1wt%を混合しメッキ付着防止剤を生成する。メッキ付着防止剤を母材に塗布し火をつけることで瞬間に乾燥させるとともに強固なガラス質の膜を形成することができる。メッキ用途にてクエン酸や酒石酸を最大3wt%入れることもある。これらはメッキ液の活性剤のためである。ホウ素系無機化合物やフッ素系無機化合物を溶解した液体フラックスを非水メッキ浴として使用すればクロムメッキの高速メッキが可能である。従来のメッキ浴にはホウ素系無機化合物を最大3wt%使用する場合がありメッキに有効な元素となっている。本メッキ付着防止剤はホウ素系無機化合物を含有しており、メッキ浴の中では母材にガラス状に張り付いているが、メッキ液は最大60℃であることから、メッキ中にマスキング剤中のホウ素(B)がメッキ浴に微量(ppmオーダー)溶解しメッキ浴の活性剤としての機能も発揮する。
第5の解決手段は、ホウ素系無機化合物を溶媒に入れて、磁界中でパルス電流をかけながら撹拌し、溶解せしめて液体フラックスを生成し、該液体フラックスにメッキスラジを混合した釉薬である。
液体フラックスは、ホウ素系無機化合物と溶媒を、複数のネオジ磁石で10000〜300000ガウスの強磁界を形成した容器内で電流を流しながら撹拌し溶解させて生成する。電流は、電流密度10cmにつき5〜10アンペアの直流とし、同時に5〜10アンペアのパルスショック電流を流す。
ホウ素系無機化合物は、ホウ酸(H3BO3)、ホウ砂(Na2B4O7・10H2O)、ホウ酸メチル(B(OCH3)3)、ホウフッ化水素酸((HBF4)ホウフッ化亜鉛(Zn(BF4)2)、ホウ酸亜鉛(2Zn・3B2O3・3.5H2O)、ホウ酸ナトリウム(NaBH4)などの中から複数選択すればよい。
溶媒としてはメタノール(CH3OH)、エタノール(C2H5OH)などのアルコール類やアセトンが主であるが、アセトニトリル(CH3CN)、ホルムアミド(HCONH3)、N,N−ジメチルホルムアミド(HCON(CH3)2)、N,N−ジメチルアセトアミド(CH2CON(CH3)2)、ジメチルスルホキシド((CH3)2OS)、2−プロパノール((CH3)2CHOH)などを使用できる。これらの液体を1種類もしくは複数組み合わせて溶媒を生成する。
メッキスラジは例えば表1に示したような成分であればよい。メッキスラジの組成はメッキの種類により異なるので、スラジ成分を分析し、不足している成分を添加して補うのがよい。例えば、アルミ琺瑯フラックスの成分は、P2O5:50wt%、B2O3:7wt%、AL2O3:15wt%、PbO:6wt%、Li2O:7wt%、Na2O:10wt%、NaF:15wt%であるが、P2O5、B2O3、AL2O3はメッキスラジに含有されている。また、Na2OやNaFは液体フラックスから補填することができる。PbOやLi2Oは必ずしもアルミ琺瑯として必須成分ではなく特にPbOは安全衛生面から避けるべきものであり、添加量を極端に低減するかそれともまったく添加しない方が望ましい。また、琺瑯、七宝焼き、タイル、陶器などの使用目的に応じて、ウォラストナイト(珪灰石(CaSiO3)、カオリン、長石、石英、発色剤などを適宜選択して添加することができる。ホウ素系無機化合物を溶解した液体フラックスに少なくともメッキスラジを入れることが本発明の新規性であり、釉薬としての様々な特性を出すために、ウォラストナイト(珪灰石(CaSiO3)、カオリン、長石、石英、発色剤などを適宜添加したものも全て本発明の範囲に含まれる。
一般的な釉薬の例としては、モル表示でSiO2(30〜70%)、B2O3(1〜55%)、ZnO(10〜50%)、BaO(0〜30%)、CaO(0〜30%)、SrO(0〜30%)、MgO(0〜30%)、ZnO+BaO+CaO+SrO+MgO(11〜50%)、Li2O(0〜6%)、Na2O(0〜3.8%)、K2O(0〜8%)、Li2O+Na2O+K2O(1〜10%)、AL2O3(0〜10%)、TiO2(0〜10%)、ZrO2(0〜6%)、F2O(0〜15%)がある。表1のメッキスラジの組成と比較すると添加して補う成分は、BaO、SrO、Li2O、Na2O、K2O、TiO2、ZrO2、F2Oとなる。しかしながら、これらの成分は特殊なものであり釉薬として必須なものではない。むしろ、SiO2、AL2O3、ZnOなどの混合比を調整すればよい。以上のことからメッキスラジはほとんどの釉薬成分を含有しており、安価であり、これまで有償で廃棄していた産業廃棄物を資源として再生できるものである。
第6の解決手段は、ホウ素系無機化合物を溶媒に入れて、磁界中でパルス電流をかけながら撹拌し、溶解せしめて液体フラックスを生成し、該液体フラックスに金属酸化物粉及びヘキサフルオロケイ酸(H2SiF6)を入れた鋳込みパイプ用マスキング剤である。
高炉のステーブクーラーや製鋼工場の転炉炉体の炉頂金物あるいは電気炉の電極ホルダには水冷パイプが鋳込まれている。水冷パイプは鋳物本体を効率よく冷却するために、お互いに溶着していることが望ましい。しかし、一旦鋳物本体に亀裂が生じるとたちまち水冷パイプに到達する。鋳物本体の剛性は水冷パイプに比べはるかに大きいので水冷パイプを引き割ってしまい水漏れが生じる。そのため、通常水冷パイプと鋳物本体は溶着しないように、水冷パイプに剥離剤を塗布して鋳込んでいる。マスキング剤の耐熱性が悪いと水冷パイプと鋳物本体が溶着するし、耐熱性が悪すぎると逆に水冷パイプと鋳物本体が剥離しすぎて熱伝導性が悪くなる問題があった。
電極ホルダは銅鋳造品の中に銅パイプを鋳ぐるみしている。通常電極ホルダは銅水冷パイプのみを残して銅本体が溶存する。ある程度銅本体が溶存した段階で新品電極ホルダと交換していた。これは、銅本体を肉盛り補修する際に銅水冷パイプを確実に保護して銅本体と銅水冷パイプが融着しないように隔離する方法がなかったからである。銅の肉盛り溶接肉盛り補修する場合は、最大500℃近い溶接のための予熱が必要である。そのため銅水冷パイプが肉盛り材と溶着すると肉盛り補修後にたちまち亀裂が入り水漏れにつながる危険性もあった。
液体フラックスは、アルコールもしくはアセトンにホウ素系無機化合物である、ホウ酸(H3BO3)、ホウ砂(Na2B4O7・10H2O)、ホウ酸メチル(B(OCH3)3)、ホウフッ化水素酸((HBF4)ホウフッ化亜鉛(Zn(BF4)2)、ホウ酸亜鉛(2Zn・3B2O3・3.5H2O)、ホウ酸ナトリウム(NaBH4)などの中から複数選択して溶解させたものである。この液体フラックス中に、金属酸化物としてアルミナ(AL2O3)5wt%、酸化ジルコニア(ZrO2)5wt%、酸化マグネシウム(MgO2)5wt%を入れ、且つ、ヘキサフルオロケイ酸(H2SiF6)溶液40wt%を入れゼリー状の鋳込みパイプ用マスキング剤を生成する。さらに黒鉛などの炭素粉(5wt%)を入れてもよい。ヘキサフルオロケイ酸(H2SiF6)を添加する理由は液体フラックスをゼリー状にするためである。銅パイプ全面に刷毛で比較的厚く塗布0.3〜0.5mm後火をつけてアルコール分を飛ばし強制的に銅パイプに焼き付ける。ホウ素系無機化合物が溶接中の輻射熱にて600±50℃前後でホウ酸ガラスとなり、これらの耐火物が溶接肉盛りや鋳造中の水冷パイプを100シールする。TIG溶接では溶接部が一瞬4000℃以上の高温となるが、マスキング剤の耐熱より完全に保護されるので溶着の問題はない。

Claims (6)

  1. ホウ素系無機化合物を溶媒に入れて、磁界中でパルス電流をかけながら撹拌、溶解せしめて液体フラックスを生成し、該液体フラックス中に熱融着性樹脂及び金属粉及び金属酸化物粉及び界面活性剤を入れたことを特徴とする浸炭・窒化防止用マスキング剤。
  2. 前記浸炭・窒化防止用マスキング剤にメッキスラジを入れたことを特徴とする請求項1記載の浸炭・窒化防止用マスキング剤。
  3. 請求項1記載の方法により生成した前記液体フラックスに、酸化物粉を添加したことを特徴とするスパッタ付着防止剤。
  4. 請求項1記載の方法により生成した前記液体フラックスに、有機酸及び熱融着性樹脂及び界面活性剤を入れたことを特徴とするメッキ付着防止用マスキング剤。
  5. 請求項1記載の方法により生成した前記液体フラックスに、メッキスラジを混合したことを特徴とする釉薬。
  6. 請求項1記載の方法により生成した前記液体フラックスに、金属酸化物粉及びヘキサフルオロケイ酸(H2SiF6)を入れたことを特徴とする鋳込みパイプ用マスキング剤。
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