JP2014081049A - ガスケット - Google Patents
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Abstract
【課題】被シール面に鋳巣等による比較的大きな凹部を有する部材を含むシール対象2部材であっても、シール機能を充分に発揮することができるガスケットを提供する。
【解決手段】シール対象2部材3,6における環状の両被シール面3a,6a間に圧縮状態で介在される環状のガスケット8であって、ゴムよりも剛性のある板状基材80と、該板状基材80の表裏両面に固着された2種のゴム材製シール部71,72とよりなり、 前記2種のシール部71,72は、互いに硬度が異なるゴム材料で構成され、且つ、シール幅a,bが異なることを特徴とする。
【選択図】図3
【解決手段】シール対象2部材3,6における環状の両被シール面3a,6a間に圧縮状態で介在される環状のガスケット8であって、ゴムよりも剛性のある板状基材80と、該板状基材80の表裏両面に固着された2種のゴム材製シール部71,72とよりなり、 前記2種のシール部71,72は、互いに硬度が異なるゴム材料で構成され、且つ、シール幅a,bが異なることを特徴とする。
【選択図】図3
Description
本発明は、内燃機関等に用いられるガスケットに関し、例えば、シール対象の2部材の一方が合成樹脂の成型体又は金属のプレス成形体からなり、他方が金属の鋳造体からなる場合の、両部材の被シール面間に圧縮状態で介在されるガスケットに関する。
内燃機関において、例えば、シリンダヘッドカバーとシリンダヘッドとの締結部、オイルパンとシリンダブロックとの締結部、チェーンカバー(タイミングベルトカバー)とシリンダブロック或いはシリンダヘッドとの締結部、インテークマニホールドとシリンダへッドとの締結部、更には、オイルクーラーとシリンダブロックとの締結部等には、それぞれ専用のガスケットが介在される。このように締結される2部材は、シール対象部材として締結部に介在される前記ガスケットによって互いにシールされる。近時、このようなシール対象の2部材は、一方の部材が合成樹脂の成型体や金属板のプレス成形体からなり、他方の部材が金属の鋳造体からなる場合が多くなってきている。
そして、一方の部材が合成樹脂の成型体からなる場合、その被シール面には、前記ガスケットを嵌め込み得る凹溝が形成され、他方の部材の被シール面は、鋳造後の研削によって平坦面とされる。このように、他方の部材は金属の鋳造体からなるから、鋳造体内の鋳巣が、研削によって凹部(径が2〜4mm程度のものもある)となって前記平坦な被シール面に露出する。これに対し、前記一方の部材が合成樹脂の成型体からなる場合は、前記凹溝も含めて一体に成型されたものであるから、凹溝の底面及び内側面を含む被シール面は、金型のキャビティ面が転写された平滑な面とされる。また、一方の部材が金属板のプレス成形体からなる場合は、前記被シール面は、金属板の板面の一部によって構成されるから、前記のような凹部のない平滑な面とされる。このように、シール対象の2部材の被シール面の表面状態(表面粗さ等)が異なる場合、両者の間に介在されるガスケットは、それぞれの被シール面に接する部分がそれぞれの被シール面の状態に適合するような性状を備えていることが求められる。
特許文献1には、電気・電子機器(例えば、携帯電話)のハウジングに用いられるゴムパッキンであって、部材(被シール面)と接触する部分に低硬度ゴム部を、この低硬度ゴム部の間または内部に高硬度ゴム部を、それぞれ配したゴムパッキンが記載されている。本特許文献によれば、従来のゴムパッキンは、伸びやすく、捩れやすく、取扱いにくいため、ケースの条溝(シール溝)に対する取付けの作業性が悪かったが、このようなゴムの複合体から構成することによって、ケースへの組付けの作業性が改善されるとされている。また、特許文献2には、ゴム材あるいは合成樹脂材からなる高硬度の薄膜キャリアと、その表裏両面に薄膜キャリアより低硬度でかつ互いに硬度が異なるゴム系のシール材を設けた固体高分子型燃料電池の密封材が記載されている。この、密封材は、カーボン材などで形成された割れ易く表面が滑らかでない部材を確実にシールし得るものとされている。さらに、特許文献3には、シリンダヘッドカバーのシール溝の底部と対面する上部が軟質ゴムで構成され、下部が該軟質ゴムよりゴム硬度でHs10以上高い硬質ゴムで構成された上下2層構造のシリンダヘッドカバーガスケットが記載されている。本特許文献によると、前記下部は、シリンダブロックに対面し、シリンダヘッドカバー及びシリンダブロックを充分な作用力で締付けることができるとされている。
ところで、前記のように、他方の部材が金属の鋳造体からなる場合、被シール面に露出する前記鋳巣による凹部は、その開口径が大きく且つ深いものも多く見られる。そのため、ゴム材で構成されるガスケットのこの被シール面に接する部分は、一部が前記凹部に没入してゴム材の偏りが生じ、あるいは、凹部の開口部の全体をカバーし得ないことも生じ、これによって、シール機能が充分に発揮されなくなることがある。これに対し、前記一方の部材の被シール面は平滑であり、このような凹部が存在しないから、この部分で前記のようなシール機能が低下する恐れはない。
特許文献1に記載されたゴムパッキンは、低硬度ゴム部と高硬度ゴム部との複合体からなる。しかし、シール対象2部材の各被シール面に接する低硬度ゴム部は同材質であって、それぞれの被シール面の特性が前記のように異なる場合でも、それぞれに適合するような性状を備えているものではない。また、特許文献2に記載された密封材において、前記薄膜キャリアは、表裏両面に設けられるシール材より高硬度であるが、薄くて柔軟性を備えたものである。そのため、他方の部材の被シール面に鋳巣による凹部を有する2部材間に介在させた場合、当該被シール面に対面するシール材は、薄膜キャリアと共に、一部が凹部に没入してしまうおそれがあり、この部分でのシール機能が充分に発揮される保証はない。さらに、特許文献3に記載されたシリンダヘッドカバーガスケットは、軟質ゴムからなる上部と、上部より固い硬質ゴムからなる下部との2層構造によって構成される。しかし、上部が対面するシール溝と下部が対面するシリンダブロックの被シール面との特性の違いにそれぞれ適合するよう構成されたものではない。
本発明は、上記に鑑みなされたもので、被シール面に鋳巣等による比較的大きな凹部を有する部材を含むシール対象2部材であっても、シール機能を充分に発揮することができるガスケットを提供することを目的としている。
本発明に係るガスケットは、シール対象2部材における環状の両被シール面間に圧縮状態で介在される環状のガスケットであって、ゴムよりも剛性のある板状基材と、該板状基材の表裏両面に固着された2種のゴム材製シール部とよりなり、前記2種のシール部は、互いに硬度が異なるゴム材料で構成され、且つ、シール幅が異なることを特徴とする。
本発明によれば、2種のシール部を、シール対象2部材の対向する両被シール面の状態に適合するような性状及び構造とすることができ、優れたシール機能が得られる。2種のシール部は、ゴムよりも剛性のある板状基材の表裏両面に固着されているから、シール幅の広い側のシール部においても、シール幅全体に均一な応力が発現され、被シール面に比較的大きな凹部があっても、シール機能を充分に発揮することができる。
本発明のガスケットにおいて、前記2種のシール部のうちの一方のシール部の前記圧縮方向に沿った高さが、他方のシール部の前記圧縮方向に沿った高さより大とされているものとしても良い。
これによれば、両被シール面が、凹溝を有する被シール面及び平坦なシール面である場合に、高さが高い方のシール部を凹溝を有する被シール面に対応させ、高さが低い方のシール部を平坦な被シール面に対応させることができる。このように、被シール面の状態に応じて設定することにより、それぞれのシール対象部材に適合した優れたシール機能が得られる。
これによれば、両被シール面が、凹溝を有する被シール面及び平坦なシール面である場合に、高さが高い方のシール部を凹溝を有する被シール面に対応させ、高さが低い方のシール部を平坦な被シール面に対応させることができる。このように、被シール面の状態に応じて設定することにより、それぞれのシール対象部材に適合した優れたシール機能が得られる。
本発明のガスケットにおいて、前記一方のシール部のゴム硬度を、前記他方のシール部のゴム硬度より大としても良い。
これによれば、両被シール面が、平滑な被シール面と、凹部等を含む粗面からなる被シール面である場合に、ゴム硬度の大きいシール部を平滑な被シール面に対応させ、ゴム硬度の小さいシール部を粗面からなる被シール面に対応させることができる。ゴム硬度の小さいシール部は、粗面にも馴染み易く、粗面であっても良好なシール機能が得られる。また、剛性のある板状基材に固着されているから、ゴム硬度の小さいシール部の横流れ(ゴム流れ)も防止される。
これによれば、両被シール面が、平滑な被シール面と、凹部等を含む粗面からなる被シール面である場合に、ゴム硬度の大きいシール部を平滑な被シール面に対応させ、ゴム硬度の小さいシール部を粗面からなる被シール面に対応させることができる。ゴム硬度の小さいシール部は、粗面にも馴染み易く、粗面であっても良好なシール機能が得られる。また、剛性のある板状基材に固着されているから、ゴム硬度の小さいシール部の横流れ(ゴム流れ)も防止される。
本発明のガスケットにおいて、前記一方のシール部のゴム硬度がHs50〜80であり、前記他方のシール部のゴム硬度がHs40〜70であっても良い。
これによれば、両被シール面の状態に応じ、それぞれの被シール面において良好なシール機能を発揮し得るよう設定することができる。因みに、一方のシール部のゴム硬度がHs50未満の場合、シールに必要な面圧を発生させることができなくなる傾向となる。一方のシール部のゴム硬度がHs80を超える場合、相手面とのなじみ性が悪く、シール機能が低下する傾向となる。他方のシール部のゴム硬度がHs40未満の場合、ゴムに横流れが発生し易く、当該シール部に亀裂が生じ易くなる。他方のシール部のゴム硬度がHs70を超える場合、被シール面に凹部がある場合、該凹部に対するなじみ性が悪く、この部分でのシール機能が低下する傾向となる。
これによれば、両被シール面の状態に応じ、それぞれの被シール面において良好なシール機能を発揮し得るよう設定することができる。因みに、一方のシール部のゴム硬度がHs50未満の場合、シールに必要な面圧を発生させることができなくなる傾向となる。一方のシール部のゴム硬度がHs80を超える場合、相手面とのなじみ性が悪く、シール機能が低下する傾向となる。他方のシール部のゴム硬度がHs40未満の場合、ゴムに横流れが発生し易く、当該シール部に亀裂が生じ易くなる。他方のシール部のゴム硬度がHs70を超える場合、被シール面に凹部がある場合、該凹部に対するなじみ性が悪く、この部分でのシール機能が低下する傾向となる。
本発明のガスケットにおいて、前記他方のシール部のシール幅が前記一方のシール部のシール幅より大とされているものとしても良い。
これによれば、被シール面が鋳巣による凹部等を含む場合に、この被シール面にシール幅の大きいシール部を対応させることにより、凹部の開口部をカバーすることができ、凹部の存在によるシール機能の低下を来す懸念がない。
これによれば、被シール面が鋳巣による凹部等を含む場合に、この被シール面にシール幅の大きいシール部を対応させることにより、凹部の開口部をカバーすることができ、凹部の存在によるシール機能の低下を来す懸念がない。
本発明のガスケットにおいて、前記他方のシール部のシール幅を2〜10mmとしても良い。
これによれば、前記凹部が、鋳巣によるもので、開口径が大きい場合でも、これをカバーすることができる。因みに、シール幅が2mm未満の場合、凹部の開口部を完全にカバーし得ない場合が生じる。シール幅が10mmを超える場合、被シール面に対して過剰幅となる。
これによれば、前記凹部が、鋳巣によるもので、開口径が大きい場合でも、これをカバーすることができる。因みに、シール幅が2mm未満の場合、凹部の開口部を完全にカバーし得ない場合が生じる。シール幅が10mmを超える場合、被シール面に対して過剰幅となる。
本発明のガスケットにおいて、前記2部材の一方が、合成樹脂の成型体からなり、当該一方の部材の前記被シール面には、周方向に沿った凹溝が成型によって形成され、他方の部材は金属の鋳造体からなり、当該他方の部材の前記被シール面は研削によって平坦面とされているものとしても良い。
これによれば、一方の部材は合成樹脂の成型体からなるから、凹溝の底面及び側面を含む被シール面は、成型によって平滑に仕上げられる。また、他方の部材は金属の鋳造体からなり、被シール面は研削によって平坦に仕上げられ、このとき、当該他方の部材の被シール面には、鋳巣による開口径の大きな凹部が露出する。このように、両被シール面の性状が大きく異なるが、それぞれの被シール面に前記2種のシール部を対応させることにより、良好なシール機能が得られる。特に、他方のシール部のゴム硬度を一方のシール部のゴム硬度より低くし、あるいは、他方のシール部のシール幅を一方のシール部のシール幅より大きくすることにより、鋳巣による凹部を有する被シール面に対する適合性が向上する。また、2種のシール部は、ゴムよりも剛性のある板状基材に固着されているから、シール幅の広い側のシール部においても、シール幅全体に均一な応力が発現され、被シール面に比較的大きな前記鋳巣による凹部があっても、シール機能を充分に発揮することができる。
これによれば、一方の部材は合成樹脂の成型体からなるから、凹溝の底面及び側面を含む被シール面は、成型によって平滑に仕上げられる。また、他方の部材は金属の鋳造体からなり、被シール面は研削によって平坦に仕上げられ、このとき、当該他方の部材の被シール面には、鋳巣による開口径の大きな凹部が露出する。このように、両被シール面の性状が大きく異なるが、それぞれの被シール面に前記2種のシール部を対応させることにより、良好なシール機能が得られる。特に、他方のシール部のゴム硬度を一方のシール部のゴム硬度より低くし、あるいは、他方のシール部のシール幅を一方のシール部のシール幅より大きくすることにより、鋳巣による凹部を有する被シール面に対する適合性が向上する。また、2種のシール部は、ゴムよりも剛性のある板状基材に固着されているから、シール幅の広い側のシール部においても、シール幅全体に均一な応力が発現され、被シール面に比較的大きな前記鋳巣による凹部があっても、シール機能を充分に発揮することができる。
本発明のガスケットによれば、被シール面に鋳巣等による比較的大きな凹部を有する部材を含むシール対象2部材であっても、シール機能を充分に発揮することができる。
以下に本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。図例の自動車用エンジン1は、シリンダブロック2と、シリンダヘッド3と、オイルパン4と、チェーンカバー(フロントカバー)5と、シリンダヘッドカバー(ロッカーカバー)6とより構成される。前記シリンダヘッド3は、前記シリンダブロック2の上面に締結合体され、前記オイルパン4は、シリンダブロック2の下面に締結合体される。また、前記チェーンカバー5は、縦方向に合体された前記シリンダブロック2、シリンダヘッド3及びオイルパン4の前側部にこれらの合体方向と直交する方向よりこれらに跨るよう締結合体される。さらに、シリンダヘッドカバー6は、前記シリンダヘッド3及びチェーンカバー5の上端面に両者に跨るよう締結合体される。エンジンの仕様によっては、ベルト(タイミングベルト)によって前記駆動伝達系が構成される場合があり、この場合は、チェーンカバー5はベルトカバーと称される。
本実施形態では、シリンダブロック2及びシリンダヘッド3は金属の鋳造体からなり、また、オイルパン4及びチェーンカバー5が金属板のプレス成形体からなり、さらに、シリンダヘッドカバー6が合成樹脂の成型体からなる。そして、図例では、本発明に係る環状のガスケットが、シリンダヘッド3及びチェーンカバー5の上端面(被シール面)3a,5aと、シリンダヘッドカバー6の下端面(被シール面)6aとの間に圧縮状態で介在された例を示している。この場合、シリンダヘッドカバー6がシール対象2部材の一方に相当し、シリンダヘッド3及びチェーンカバー5がシール対象2部材の他方に相当する。また、シリンダヘッド3の被シール面3a及びチェーンカバー5の被シール面5aが連なって環状の被シール面をなし、シリンダヘッドカバー6の被シール面6aは、単独で環状の被シール面をなす。
シリンダヘッド(シール対象2部材の他方)3は、例えばアルミニウムの鋳造体からなり、その上端部は、研削により平坦面とされて被シール面3aとされる。シリンダヘッド3を構成する鋳造体の内部には多数の鋳巣31が鋳造によって不可避的に形成され、上端部付近の鋳巣31は、前記研削によって前記被シール面3aに凹部31aとして露出している。また、シリンダヘッドカバー(シール対象2部材の一方)6は、下方に開口する箱形の形状をなし、この開口部には外向きのフランジ部61が連設されており、前記開口部の周縁部から当該フランジ部61に連なる下端面が前記被シール面6aとされる。そして、前記フランジ部61を介しボルト62を前記シリンダヘッド3の上端面(被シール面)3aからシリンダヘッド3に螺合させることにより、シリンダヘッドカバー6がシリンダヘッド3に締結合体される。シリンダヘッドカバー6の被シール面6aであって、前記フランジ部61の内側部分には、周方向に沿った凹溝63が成型によって形成されている。また、チェーンカバー5の上端面も平坦な被シール面5aとされている。
本実施形態のガスケット8は、ゴムよりも剛性のある板状基材80と、該板状基材の表裏両面に固着された2種のゴム材製のシール部(一方のシール部、他方のシール部)81,82とよりなる。該ガスケット8は、シリンダヘッドカバー6の被シール面6aと、シリンダヘッド3及びチェーンカバー5の被シール面3a,5aとの間に圧縮状態で介在される。前記ガスケット8において、前記板状基材80は、硬質合成樹脂の成型体からなる。また、前記2種のシール部81,82は、NBR,H−NBR,ACM,AEM,EPDM,VMQ,F−VMQ,FKM等のゴム材による加硫成型体からなり、後記の所望するゴム硬度になるように充填剤等を添加、配合して形成される。よって、一方のシール部81と他方のシール部82とは、互いに硬度が異なるゴム材料で構成されていればよく、同種の材質を用いたゴム材からなるものであってもよいし、異種の材質を用いたゴム材からなるものであってもよい。
そして、前記ガスケット8において、図3に示すように、前記2種のシール部のうちの一方のシール部81の前記圧縮方向に沿った高さaが、他方のシール部82の前記圧縮方向に沿った高さbより大とされている。また、前記一方のシール部81のゴム硬度が、前記他方のシール部82のゴム硬度より大とされ、具体的には、前記一方のシール部81のゴム硬度をHs50〜80とし、前記他方のシール部82のゴム硬度をHs40〜70とすることが望ましい。さらに、前記他方のシール部82のシール幅dが前記一方のシール部81のシール幅cより大とされており、具体的には、前記他方のシール部82のシール幅dを2〜10mmとすることが望ましい。前記一方のシール部81のシール幅cは、前記凹溝63に嵌め込み得る大きさとされ、且つ、前記一方のシール部81の前記高さaは、凹溝63の溝深さeより高く設定される。
前記ガスケット8は、例えば、以下のような方法で作製される。即ち、一方のシール部81を構成する前記未加硫のゴム材及び事前に調製された合成樹脂製の板状基材80を所定の金型内に配置し、コンプレッション法により前記ゴム材を加硫し板状基材80の一方の面に一体に成型する。次いで、前記板状基材80の他方の面に他方のシール部82を構成する前記未加硫のゴム材を配置し、コンプレッション法により前記ゴム材を加硫し板状基材80の他方の面に一体に成型する。これによって、板状基材80の表裏両面(一方の面、他方の面)に2種のゴム材製シール部(一方のシール部、他方のシール部)81,82が固着されたガスケット8が得られる。一方のシール部81及び他方のシール部82の板状基材80に対する固着一体化は、成型時の加硫接着によってなされるが、この固着一体化をより強固にするため、前記コンプレッション成型の際、板状基材80の表裏両面に接着剤を塗布しておいても良い。また、コンプレッション法に限らず、インジェクション法により、板状基材80の表裏両面に一方のシール部81及び他方のシール部82を固着一体に成型しても良い。
前記のように構成されるガスケット8は、図3に示すように、前記一方のシール部81をシリンダヘッドカバー6の凹溝63に嵌め込んだ状態で、シリンダヘッドカバー6と共にシリンダヘッド3及びチェーンカバー5の上に載置される。これによって、当該ガスケット8は、前記シリンダヘッド3(及びチェーンカバー5)の被シール面3a(5a)とシリンダヘッドカバー6の被シール面6aとの間に介在される。そして、図2に示すように、ボルト62によって、シリンダヘッドカバー6を、シリンダヘッド3(及びチェーンカバー5)に締結すると、ガスケット8は前記被シール面3a(5a),6a間に圧縮状態で介在される。この圧縮に伴い、一方のシール部81は、凹溝63の空所内を満たすように弾性変形し、前記被シール面3a(5a)の一部をなす底面63a及び側面63bに密着する。特に、一方のシール部81は、圧縮方向の高さaが大きいから、圧縮による弾性変形が大きく、しかも、ゴムより剛性のある板状基材80に固着されているから、該板状基材80と前記凹溝63の底面63a及び側面63bとの間で圧縮され、底面63a及び側面63bに対する面圧が確保される。これによって、底面63a及び側面63bにおけるシール機能が良好に発揮される。しかも、当該一方のシール部81のゴム硬度がHs50〜80とされているから、シールに必要な前記面圧が確実に発生し、且つ、前記底面63a及び側面63bに対するなじみ性が良く、優れたシール機能が得られる。
また、他方のシール部82は、板状基体80と被シール面3a(5a)との間で圧縮され、被シール面3a(5a)に対して密着する。特に、他方のシール部82はゴムより剛性のある板状基体80に固着されているから、シール幅dが大きいにも関わらず、シール幅dの全体に亘り均一な応力が発現される。従って、被シール面3aのように鋳巣31による比較的大きな凹部31aがあっても、その影響を受けずに好適なシール機能が発揮される。しかも、このシール幅dは、2〜10mmに設定されているので、前記のように鋳巣31による比較的大きな凹部31aが存在してもこれをカバーすることができる。そして、他方のシール部82のゴム硬度が、一方のシール部81のゴム硬度より小とされているから、被シール面3aのように凹部31aが存在する粗面にも馴染み易く、粗面であっても良好なシール機能が得られる。また、剛性のある板状基材80に固着されているから、他方のシール部82におけるゴムの横流れも防止される。しかも、当該他方のゴム硬度がHs40〜70とされているから、ゴムの横流れが発生し難く、当該シール部82における亀裂の発生が抑制される。また、他方のシール部のゴム硬度がHs70を超える場合、被シール面3aの凹部31aに対するなじみ性が良く、凹部31aがあるにも関わらずこの部分でのシール機能が低下する懸念がない。
なお、前記実施形態では、シール対象2部材が、シリンダヘッド3及びシリンダヘッドカバー6である例について述べたが、オイルパン及びシリンダブロック、チェーンカバー及びシリンダブロック、チェーンカバー及びシリンダヘッド、インテークマニホールド及びシリンダへッド、更には、オイルクーラー及びシリンダブロックであっても、同様に本発明のガスケットが適用される。また、前記実施形態では、シリンダヘッドカバー6がシリンダヘッド3及びチェーンカバー5の上端に跨るように締結される例について述べたが、シリンダヘッドカバー6がシリンダヘッド3のみに締結合体される場合であっても良い。さらに、図1に示す自動車用エンジン1の構造は一例に過ぎず、その他の構造の自動車用エンジンにも本発明のガスケットが適用されることは言うまでもない。また、自動車用エンジンに限らず、シール幅が異なり、被シール面の一方に比較的大きな凹部が存在するような他のシール対象2部材にも、本発明のガスケットが好ましく適用される。
3 シリンダヘッド(シール対象2部材の他方)
3a 被シール面
31a 凹部
6 シリンダヘッドカバー(シール対象2部材の一方)
63 凹溝
6a 被シール面
8 ガスケット
80 板状基材
81 一方のシール部
82 他方のシール部
a 一方のシール部の圧縮方向に沿った高さ
b 他方のシール部の圧縮方向に沿った高さ
c 一方のシール部のシール幅
d 他方のシール部のシール幅
3a 被シール面
31a 凹部
6 シリンダヘッドカバー(シール対象2部材の一方)
63 凹溝
6a 被シール面
8 ガスケット
80 板状基材
81 一方のシール部
82 他方のシール部
a 一方のシール部の圧縮方向に沿った高さ
b 他方のシール部の圧縮方向に沿った高さ
c 一方のシール部のシール幅
d 他方のシール部のシール幅
Claims (7)
- シール対象2部材における環状の両被シール面間に圧縮状態で介在される環状のガスケットであって、
ゴムよりも剛性のある板状基材と、該板状基材の表裏両面に固着された2種のゴム材製シール部とよりなり、
前記2種のシール部は、互いに硬度が異なるゴム材料で構成され、且つ、シール幅が異なることを特徴とするガスケット。 - 請求項1に記載のガスケットにおいて、
前記2種のシール部のうちの一方のシール部の前記圧縮方向に沿った高さが、他方のシール部の前記圧縮方向に沿った高さより大とされていることを特徴とするガスケット。 - 請求項2に記載のガスケットにおいて、
前記一方のシール部のゴム硬度が、前記他方のシール部のゴム硬度より大であることを特徴とするガスケット。 - 請求項3に記載のガスケットにおいて、
前記一方のシール部のゴム硬度がHs50〜80であり、前記他方のシール部のゴム硬度がHs40〜70であることを特徴とするガスケット。 - 請求項2〜請求項4のいずれか一項に記載のガスケットにおいて、
前記他方のシール部のシール幅が前記一方のシール部のシール幅より大とされていることを特徴とするガスケット。 - 請求項5に記載のガスケットにおいて、
前記他方のシール部のシール幅が2〜10mmであることを特徴とするガスケット。 - 請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載のガスケットにおいて、
前記2部材の一方が、合成樹脂の成型体からなり、当該一方の部材の前記被シール面には、周方向に沿った凹溝が成型によって形成され、他方の部材は金属の鋳造体からなり、当該他方の部材の前記被シール面は研削によって平坦面とされていることを特徴とするガスケット。
Priority Applications (2)
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