JP2014080768A - 既存杭の鉛直載荷試験方法及びコンクリート反力体の構築方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】既存杭と既存建物の基礎躯体との縁を切り、前記既存杭の上方に、既存建物に連結したコンクリート反力体を構築し、前記既存杭の上端部に設置したジャッキにより既存杭に荷重を加えて支持性能を測定する鉛直載荷試験方法であって、コンクリート反力体を打設する際に、打設領域を垂直方向に2以上の部分層領域に分けて、各部分層領域毎に、打設日から養生期間を経て所定強度を実現するために必要な日数である管理材齢を定め、全ての部分層領域に共通して目標日を定め、各部分層領域の管理材齢に応じて、その目標日から逆算して、各部分層領域の打設日を定めるようにした。
【選択図】図1
Description
第1に、既存建物の基礎スラブに反力を得て載荷試験を実施しているので、試験杭に大きな試験荷重を加えることができない。
第2に、既存杭と基礎スラブとの間にジャッキを設置する空間を確保するために基礎スラブ下方の地盤を掘削するから、作業スペースの周囲に山留め壁等を構築する必要がある。
第3に、掘削時に発生する掘削土の搬出や載荷試験に用いるジャッキ等の装置を地下の作業スペースが搬入するのが大変で、施工性が悪い。
本願発明の第2の目的は、上記コンクリート反力体の打設領域を上下方向に複数層に分けて各層に打設したコンクリートが同一の日に所定の強度を発現するように設定した鉛直載荷試験方法を提案することである。
本願発明の第3の目的は、上記鉛直載荷試験方法に適したコンクリート反力体の構築方法を提案することである。
建物の建て替えに際し、既存建物に使用された既存杭を再利用するための鉛直載荷試験方法であって、
試験対象の既存杭と既存建物の基礎躯体との縁を切る、縁切りステップと、
前記既存杭の上方に、試験荷重の反力を既存建物から得ることが可能な構成で所定強度のコンクリート反力体を構築する、コンクリート反力体構築ステップと、
前記既存杭の上端部にジャッキを設置し、同ジャッキと前記コンクリート反力体とを繋ぎ、ジャッキにより既存杭に試験荷重を加えて支持性能を測定する、測定ステップと、から成り、
上記コンクリート反力体構築ステップは、
上記コンクリート反力体の打設領域を、垂直方向に少なくとも2つの水平の部分層領域に分けて、各部分層領域毎に、打設日から養生期間を経て所定強度を実現するために必要な日数である管理材齢を定める第1サブステップと、
全ての部分層領域に共通して所定強度を実現すべき目標日を定め、各部分層領域の管理材齢に応じて、その目標日から逆算して、各部分層領域の打設日を定める第2サブステップと、
下側の部分層領域から順番に、各部分層領域毎に定めた打設日にコンクリートを打設することを繰り返す第3サブステップとからなり、
全ての部分層領域の所定強度が同一の目標日に達成されるようにしたことを特徴とする。
第1の手段に記載した既存杭の鉛直載荷試験方法を行うために既存の建物の躯体に付加されたコンクリート反力体の構築方法であり、
上記コンクリート反力体の打設領域を、垂直方向に少なくとも2つの水平の部分層領域に分けて、各部分層領域毎に、打設日から養生期間を経て所定強度を実現するために必要な日数である管理材齢を定める第1段階と、
全ての部分層領域に共通して所定強度を実現すべき目標日を定め、各部分層領域の管理材齢に応じて、その目標日から逆算して、各部分層領域の打設日を定める第2段階と、
下側の部分層領域から順番に、各部分層領域毎に定めた打設日にコンクリートを打設することを繰り返す第3段階とからなり、
上記コンクリート反力体は、柱梁架構で構成する建物の躯体のうち少なくとも既存杭と対向する最下位の柱梁架構に連結されて構築されているとともに、既存杭上方のコンクリート反力体部分の下端面と既存杭との間にジャッキ挿入用間隙を形成したことを特徴とする。
上記コンクリート反力体は、一つの柱梁架構の柱同士を繋ぎかつ梁と一体化した少なくとも一枚のコンクリート反力壁として、このコンクリート反力壁の打設領域を、2つ以上の水平な部分層領域に分けて、各部分層領域に順次打設することで形成しており、
各部分層領域のコンクリートの管理材齢を下側から上側にいくに従って短くした。
上記コンクリート反力体は、第3の手段に記載した2枚のコンクリート反力壁が、既存杭の上方で相互に交差しかつ合体することで形成した。
上記コンクリート反力体の打設領域を、両コンクリート反力壁の壁厚が既存杭に近い箇所で大きく、既存杭から遠いところで小さくなるように設定した。
第3の手段に係る発明によれば、各部分層領域のコンクリートの管理材齢を下側から上側にいくに従って短くしたから、下側になる程セメント量を少なくすることができる。
第4の手段に係る発明によれば、上記コンクリート反力体は、2枚のコンクリート反力壁が既存杭の上方で相互に交差するように合体させてなるから、相互に壁面自体の面外への座屈防止が図られて、十分な反力が得られる。
第5の手段に係る発明によれば、コンクリート反力壁の壁厚が既存杭に近い箇所で大きく、既存杭から遠いところで小さくなるから、十分な曲げ強度が得られる。
第1に、既存建物1の複数本の既存杭2…の中から、試験杭2aを選択する。
第2に、試験杭2a上方の基礎躯体部分6aを、上方からコアボーリングなどの手段で試験杭2aの平面形状とほぼ同形にくり貫いて、試験杭2と基礎躯体6との縁Eを切るとともに、試験杭2aと試験杭上方の基礎躯体部分6aとを結合する。
第3に、既存建物1の柱梁架構2に当該架構の面内に反力が得られるようにコンクリート反力体7を構築する。なお、このコンクリート反力体7は、既存建物の構造を利用して、架構3a,3b内に鉄筋を配置し、型枠を組み上げ、コンクリートを打設するだけで形成できる。
第4に、試験杭2a上方の基礎躯体部分6aの上にジャッキJを設置し、このジャッキJの上端部とコンクリート反力体7の下端部(当接部12)とを繋ぐ。
第5に、このジャッキJを用いて試験杭2aの載荷荷重を測定する。
第1段階では、上記コンクリート反力体7の打設領域を、垂直方向に少なくとも2つの水平の部分層領域L1,L2…に分けて、各部分層領域毎に、打設日から養生期間を経て所定強度を実現するために必要な日数である管理材齢を定める。
第2段階では、全ての部分層領域L1,L2…に共通して所定強度を実現すべき目標日を定め、各部分層領域の管理材齢に応じて、その目標日から逆算して、各部分層領域の打設日を定める。
第3段階では、下側の部分層領域L1,L2…から順番に、各部分層領域毎に定めた打設日にコンクリートを打設することを繰り返す。
図7から図9では実際の調合例を参考として、水セメント比[W/C]や水結合材比[W/B=W/(C+F)]を調整して管理材齢の設定を行う方法を説明する。
Fn=22.0×{(C+F)/W}+23.6×Log10(M)−73.6
次にコンクリートの強度発現速度を調整する手段として、ポゾラン反応を利用することを説明する。ポゾラン反応とは、一般に、シリカ(SiO2)とアルミナ(Al2O3)とを主な成分とするポゾランが、水酸化カルシウムと常温でゆっくり反応し、結合力をもつ化合物を生成できるというものである。ポゾラン反応はセメントの水和反応よりゆっくりとした反応であるので、ポゾランをコンクリート材料に含めることで、コンクリートの強度が長期間に亘って伸びる。このポゾラン反応による強度の増加分を含めて、コンクリートの管理材齢を設定すると、コンクリート全体の強度発現速度を遅くすることができる。ポゾラン材料として例えばフライアッシュがある。
4…柱 4a…脚切り柱 5a,5b…梁 6…基礎躯体 6a…試験杭上方の基礎躯体部分
7…コンクリート反力体 7A,7B…コンクリート反力壁
10…作業用空間 12…当接面
E…縁 G…間隙 J…ジャッキ
L1,L2,L3…部分層領域
N1,N2,N3,N4,N5,N6…補強柱の輪郭線
Claims (5)
- 建物の建て替えに際し、既存建物に使用された既存杭を再利用するための鉛直載荷試験方法であって、
試験対象の既存杭と既存建物の基礎躯体との縁を切る、縁切りステップと、
前記既存杭の上方に、試験荷重の反力を既存建物から得ることが可能な構成で所定強度のコンクリート反力体を構築する、コンクリート反力体構築ステップと、
前記既存杭の上端部にジャッキを設置し、同ジャッキと前記コンクリート反力体とを繋ぎ、ジャッキにより既存杭に試験荷重を加えて支持性能を測定する、測定ステップと、から成り、
上記コンクリート反力体構築ステップは、
上記コンクリート反力体の打設領域を、垂直方向に少なくとも2つの水平の部分層領域に分けて、各部分層領域毎に、打設日から養生期間を経て所定強度を実現するために必要な日数である管理材齢を定める第1サブステップと、
全ての部分層領域に共通して所定強度を実現すべき目標日を定め、各部分層領域の管理材齢に応じて、その目標日から逆算して、各部分層領域の打設日を定める第2サブステップと、
下側の部分層領域から順番に、各部分層領域毎に定めた打設日にコンクリートを打設することを繰り返す第3サブステップとからなり、
全ての部分層領域の所定強度が同一の目標日に達成されるようにしたことを特徴とする既存杭の鉛直載荷試験方法。 - 請求項1の既存杭の鉛直載荷試験方法を行うために既存の建物の躯体に付加されたコンクリート反力体の構築方法であり、
上記コンクリート反力体の打設領域を、垂直方向に少なくとも2つの水平の部分層領域に分けて、各部分層領域毎に、打設日から養生期間を経て所定強度を実現するために必要な日数である管理材齢を定める第1段階と、
全ての部分層領域に共通して所定強度を実現すべき目標日を定め、各部分層領域の管理材齢に応じて、その目標日から逆算して、各部分層領域の打設日を定める第2段階と、
下側の部分層領域から順番に、各部分層領域毎に定めた打設日にコンクリートを打設することを繰り返す第3段階とからなり、
上記コンクリート反力体は、柱梁架構で構成する建物の躯体のうち少なくとも既存杭と対向する最下位の柱梁架構に連結されて構築されているとともに、既存杭上方のコンクリート反力体部分の下端面と既存杭との間にジャッキ挿入用間隙を形成したことを特徴とする、コンクリート反力体の構築方法。 - 上記コンクリート反力体は、一つの柱梁架構の柱同士を繋ぎかつ梁と一体化した少なくとも一枚のコンクリート反力壁として、このコンクリート反力壁の打設領域を、2つ以上の水平な部分層領域に分けて、各部分層領域に順次打設することで形成しており、
各部分層領域のコンクリートの管理材齢を下側から上側にいくに従って短くした
ことを特徴とする、請求項2記載のコンクリート反力体の構築方法。 - 上記コンクリート反力体は、請求項3に記載した2枚のコンクリート反力壁が、既存杭の上方で相互に交差しかつ合体することで形成したことを特徴とする、コンクリート反力体の構築方法。
- 上記コンクリート反力体の打設領域を、両コンクリート反力壁の壁厚が既存杭に近い箇所で大きく、既存杭から遠いところで小さくなるように設定したことを特徴とする、請求項4記載のコンクリート反力体の構築方法。
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Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS57116867A (en) * | 1981-01-13 | 1982-07-21 | Takenaka Komuten Co | Casting of concrete |
JPH06301684A (ja) * | 1993-04-09 | 1994-10-28 | Fujita Corp | 工程ネットワークの日程計算方法 |
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2012
- 2012-10-16 JP JP2012228523A patent/JP5969350B2/ja active Active
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JP2006169915A (ja) * | 2004-12-20 | 2006-06-29 | Takenaka Komuten Co Ltd | 既存杭の鉛直載荷試験方法 |
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