JP2014080683A - 粉末冶金用鉄基混合粉 - Google Patents

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Abstract

【課題】切削条件や切削工具によらず被削性の良好な焼結体を得ることが可能な、粉末冶金用鉄基混合粉を提供する。
【解決手段】鉄基粉末に、合金用粉末および潤滑剤粉末を混合するとともに、更にCa、Al、Si、F、NaおよびCを含有する融点800℃以上1350℃以下の被削性改善用粉末を混合した粉末冶金用鉄基混合粉とする。このようにして得られた鉄基混合粉から製造された焼結体は、高速切削域、低速切削域のいずれの条件で切削した場合であっても優れた被削性を示す。
【選択図】なし

Description

本発明は、自動車焼結部品用などに好適な、鉄基粉末と合金用粉末と被削性改善用粉末と潤滑剤粉末とを混合した粉末冶金用鉄基混合粉に係り、特に鉄基粉末製焼結体の被削性改善に関する。
粉末冶金技術の進歩により、高寸法精度の複雑な形状の部品をニアネット形状に製造することができるようになり、粉末冶金技術を利用した製品が各種分野で利用されている。粉末冶金技術は、粉末を所望形状の金型に充填し、成形した後、焼結を行うことで形状の自由度が高いことが特徴となっている。そのため、形状が複雑な歯車等の機械部品に適用する事例が多い。
例えば、鉄系粉末冶金の分野では、鉄基粉末に、銅粉、黒鉛粉などの合金用粉末と、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウム等の潤滑剤とを混合した鉄基混合粉を、所定形状の金型に充填したのち加圧成形して成形体とし、ついで、焼結処理を施して焼結部品を得ている。このようにして得られた焼結部品は、一般的に寸法精度が良いとされるが、非常に厳しい寸法精度が要求される焼結部品を製造する場合には、焼結した後、更に切削加工を施す必要がある。しかし、このようにして製造された焼結体は、空孔の含有比率が高く、溶解法による金属材料に比べて切削抵抗が高い。
以上の理由により、粉末冶金技術分野においては、焼結体の被削性を高めることが重要な課題の一つとされている。また、切削加工では、その種類によって切削条件が異なり、例えば旋盤加工は比較的高速の切削速度で加工される一方、ドリル加工では比較的低速の切削速度で加工される。したがって、焼結体は、切削加工の種類によらず、高速切削および低速切削のいずれにおいても優れた被削性を有することが望ましい。
従来、焼結体の被削性を向上させる目的で、鉄基混合粉に、Pb、Se、Te等を、粉末で添加、あるいは鉄粉あるいは鉄基粉末に合金化して添加することが行われてきた。しかし、Pbは融点が330℃と低いため、焼結過程で溶融し、しかも鉄中に固溶せず基地中に均一分散させることが難しいという問題があった。また、Se、Teは、焼結体を脆化させるため、焼結体の機械的特性の劣化が著しいという問題があった。更に、様々な切削速度で加工される場合について検討されていないため、切削条件によっては十分な被削性が得られないという問題もあった。
このような問題に対し、特許文献1には、鉄粉を主体とし、アノールサイト相および/またはゲーレナイト相を有する平均粒径50μm以下のCaO−Al2O3−Si2O系複合酸化物の粉末を0.02〜0.3重量%含有する粉末冶金用鉄系混合粉末が記載されている。特許文献1に記載された技術では、被削材(焼結体)中に予め複合酸化物(CaO−Al2O3−Si2O系複合酸化物)を分散させ、切削時に加工面に露出した複合酸化物粒子が工具表面に付着して工具保護膜(いわゆるベラーク層)を形成し、工具表面の材質劣化を防止して、被削性を改善するとしている。そして、特許文献1に記載された技術によれば、高速切削および低速切削のいずれにおいても優れた被削性を備えた焼結体が得られるとしている。
また、特許文献2には、鉄基粉末に、黒鉛粉、Cu粉および複合酸化物を混合した粉末治金用鉄系混合粉末であって、前記複合酸化物の800℃における粘性を105(poise)以下とし、前記複合酸化物の含有量を混合粉末全質量に対して0.05〜1.5質量%とする粉末治金用鉄系混合粉末が記載されている。そして、特許文献2に記載された技術によれば、前記複合酸化物の潤滑効果により切削時の工具摩耗を抑制することで、一般的な切削条件域である100〜200m/min程度の切削速度で加工した場合において良好な被削性を有する鉄粉焼結体が得られるとしている。
特開平9−279204号公報 特開2009−35796号公報
しかしながら、特許文献1に記載された技術によって得られる焼結体は、高速切削加工の場合には優れた被削性を示すものの、低速切削加工の場合には十分な被削性改善効果が得られない。特許文献1に記載された技術では、工具保護膜を形成する目的で、粉末冶金用鉄系混合粉末に所定の複合酸化物粉末を添加しているが、この複合酸化物の融点は極めて高い。そのため、このような粉末冶金用鉄系混合粉末により製造された焼結体を切削加工する場合、高速切削加工では切削時に発生する加工熱により上記複合酸化物が溶融して工具保護膜を形成することができるものの、低速切削加工では切削時に発生する加工熱が少ないため、複合酸化物が溶融せず、工具保護膜を形成することができない。以上のように、特許文献1に記載された技術では、上記複合酸化物が溶融し得る200m/min以上の高速切削にしか適用することができないという問題があった。
また、特許文献1に記載された技術では、粉体特性、焼結体特性の低下を防止するために、複合酸化物粉末を不純物が少なく、かつ粒度を調整した粉末とする必要があり、材料コストが高騰するという問題があった。更に、特許文献1に記載されたベラーク形成による切削性改善は、旋削加工では切削動力低減に有効であるが、切屑が微細化しないため、ドリル切削においては、切り屑の排除性が悪く、ドリル被削性には問題を残している。
一方、特許文献2に記載された技術によると、所定の複合酸化物粉末を添加した粉末冶金用鉄系混合粉末を用い、上記複合酸化物による潤滑効果を利用することで、一般的な切削条件である切削速度100〜200m/min程度の切削においても良好な被削性を有する焼結体が得られる。しかしながら、特許文献2に記載された技術では、その実施例が示すように、上記複合酸化物の殆どは融点が900℃未満である。そのため、上記粉末冶金用鉄系混合粉末により製造された焼結体を200m/min以上の高速切削で加工すると、複合酸化物の粘度が低下する結果、十分な被削性改善効果が得られない。
以上のように、従来技術によると、低速切削または高速切削のいずれか一方に適用した場合に優れた被削性を示す焼結体は得られるものの、低速切削および高速切削のいずれを適用した場合であっても優れた被削性を示す焼結体を得ることができなかった。そのため、従来技術の粉末冶金用鉄基混合粉末により製造される焼結体は汎用性に乏しく、改善の余地があった。
本発明は、上記した従来技術の問題を有利に解決し、切削条件や切削工具によらず、高速切削および低速切削のいずれを適用した場合であっても、優れた被削性を示す焼結体を製造することが可能な、粉末冶金用鉄基混合粉を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記した目的を達成するために、粉末冶金用鉄基混合粉により製造される焼結体の被削性に及ぼす各種要因、特に粉末冶金用鉄基混合粉に添加される被削性改善用粉末の影響について鋭意検討した。
特許文献1に記載されているように、所定の被削性改善用粉末(特許文献1に記載された技術の場合、CaO−Al2O3−Si2O系複合酸化物)を添加した粉末冶金用鉄基混合粉を用いて焼結体を製造し、該焼結体を切削加工すると、焼結体中の被削性改善用粉末粒子が切削時に発生する加工熱により溶融して工具保護膜を形成する。そして、この工具保護膜が形成されることで被削性が向上する。
したがって、粉末冶金用鉄基混合粉に添加する被削性改善用粉末としては、切削時に発生する加工熱により溶融し得る融点を有するものが望ましいが、切削時に発生する加工熱の発熱量は、切削条件、特に切削速度に左右される。例えば、ドリル加工のような低速切削では、切削時の発熱量が小さいため、特許文献1に記載された技術で適用されているCaO−Al2O3−Si2O系複合酸化物のような高融点物質を溶融することができない。一方、旋盤加工のような高速切削では、切削時の発熱量が大きいため、特許文献2に記載された技術で適用されている比較的低融点の複合酸化物では、粘性が著しく低下し、適切な工具保護膜を形成することができない。
そこで、本発明者らは、高速切削および低速切削のいずれにおいても切削時に溶融して適切な工具保護膜を形成し得るような被削性改善用粉末の融点について検討した。その結果、800℃以上1350℃以下の温度範囲が、被削性改善用粉末の融点として望ましい温度範囲であることを知見した。また、本発明者らは更に検討を進め、被削性改善用粉末として融点が800℃以上1350℃以下であり、且つ、焼結体の特性(強度等)に悪影響を及ぼさず、しかも容易に入手し得る安価な粉末を模索した。その結果、被削性改善用粉末として、Ca、Al、Si、F、NaおよびCを含有する粉末を用いることが有効であり、各成分の配合量を適宜変更することで、その融点を800℃以上1350℃以下の温度範囲における任意の温度に調整できることを知見した。
さらに、本発明者らは、800℃以上1350℃以下の被削性改善用粉末を含有する粉末冶金用鉄基混合粉の特徴について調査した。その結果、主に比較的低速の切削速度(例えば300m/min未満、好ましくは200m/min以下の低速切削)で加工する焼結体用の粉末冶金用鉄基混合粉の場合には、焼結体の被削性向上の観点から、被削性改善用粉末の融点を焼結温度以下の融点とすることが特に望ましいことを知見した。一方、主に比較的高速の切削速度(例えば200m/min超、好ましくは300m/min以上の高速切削)で加工する焼結体用の粉末冶金用鉄基混合粉の場合には、焼結体の被削性向上の観点から、被削性改善用粉末の融点を焼結温度以上の融点とすることが特に望ましいことを知見した。
以上のように、焼結体が低速切削加工用焼結体であるか高速切削加工用焼結体であるかによって、原料となる粉末冶金用鉄基混合粉に含まれる被削性改善用粉末の融点を、焼結温度に基づき800℃以上1350℃以下の範囲内で最適化することが、焼結体の被削性向上に特に有効であるという知見を得た。したがって、例えば焼結温度を1150℃とする場合、被削性改善用粉末の融点を800℃以上1150℃以下とすれば特に低速切削加工用焼結体の被削性向上に有効であり、被削性改善用粉末の融点を1150℃以上1350℃以下とすれば特に高速切削加工用焼結体の被削性向上に有効である。
本発明は、かかる知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち本発明の要旨は次のとおりである。
[1] 鉄基粉末と、合金用粉末と、被削性改善用粉末と、潤滑剤粉末とを混合してなる粉末冶金用鉄基混合粉であって、前記被削性改善用粉末がCa、Al、Si、F、NaおよびCを含有する粉末であり、前記被削性改善用粉末の融点が800℃以上1350℃以下であることを特徴とする粉末冶金用鉄基混合粉。
[2] [1]において、前記被削性改善用粉末が、更にTi、B、Mg、Fe、Sのうちの1種または2種以上を含有する粉末であることを特徴とする粉末冶金用鉄基混合粉。
[3] [1]または[2]において、前記被削性改善用粉末の融点が800℃以上1150℃以下であることを特徴とする粉末冶金用鉄基混合粉。
[4] [1]または[2]において、前記被削性改善用粉末の融点が1150℃以上1350℃以下であることを特徴とする粉末冶金用鉄基混合粉。
本発明によれば、切削条件や切削工具によらず、高速切削および低速切削のいずれを適用した場合であっても、優れた被削性を示す焼結体を製造することが可能となる。具体的には、切削時、切削速度:100〜500m/minの広範囲に亘り優れた被削性を有する焼結体が得られ、旋盤加工等の高速切削およびドリル加工等の低速切削のいずれにも適用可能な焼結体が得られる。また、本発明によれば、上記の如く被削性に優れた焼結体を、その特性(焼結体の強度等)に悪影響を及ぼすことなく、しかも安価に製造することができ、産業上格段の効果を奏する。
本発明の粉末冶金用鉄基混合粉は、鉄基粉末と、合金用粉末と、被削性改善用粉末と、潤滑剤粉末とを混合してなる粉末冶金用鉄基混合粉であって、前記被削性改善用粉末がCa、Al、Si、F、NaおよびCを含有する粉末であり、前記被削性改善用粉末の融点が800℃以上1350℃以下であることを特徴とする。
本発明において、鉄基粉末としては、アトマイズ鉄粉および還元鉄粉などの純鉄粉、合金元素を予め合金化した予合金鋼粉(完全合金化鋼粉)、あるいは鉄粉に合金元素(Ni、Cu、Moなど)が部分拡散し合金化された部分拡散合金化鋼粉、あるいは前記合金元素を予合金化した合金元素予合金化鋼粉(完全合金化鋼粉)にさらに合金元素を部分拡散させたハイブリッド鋼粉などの鉄基粉末がいずれも適用できる。また、鉄基粉末としては、上記した鉄基粉末に加えてさらに合金用粉末、および潤滑剤粉末を混合した鉄基粉末混合粉としてもよい。
また、合金用粉末としては、黒鉛粉末、Cu(銅)粉末、Mo粉末、Ni粉末などの非鉄金属粉末、亜酸化銅粉末などが例示され、所望の焼結体特性に応じて選択して混合する。これらの合金用粉末を、鉄基粉末に混合させることにより焼結体の強度を上昇させることができ、所望の焼結部品強度を確保できる。なお、合金用粉末の配合量は、所望の焼結体強度に応じて調整することが好ましく、例えば鉄基粉末、合金用粉末、被削性改善用粉末の合計量に対する質量%で、0.1%以上10%以下程度とすることが好ましい。合金用粉末の配合量が、0.1質量%以上であれば、焼結体強度が低下するおそれがない。一方、10質量%以下の添加であれば、焼結体の寸法精度が低下するおそれがない。
本発明では、被削性改善用粉末を、Ca、Al、Si、F、NaおよびCを含有し、融点が800℃以上1350℃以下である粉末とする。これは、焼結体の特性に悪影響を及ぼさず、容易に入手し得る可能な限り安価な粉末で、融点が800℃以上1350℃以下になるものを鋭意模索した結果得られたものである。
複数の成分元素が存在することで、また、これら複数の成分元素の各配合量を調整することで、800℃以上1350℃以下の様々な温度の融点に簡単に調整でき、これまでにない広範囲な切削温度域をカバーできる。このことは、様々な元素、特に入手し易いという観点から地殻中に多数含まれる元素を、優先的に候補として配合し試験することで実現したものである。
Caは比重1.55g/cm3の非常に軟らかい金属で、融点が840〜850℃と低く、石灰石、大理石、石膏などの炭酸塩、硫酸塩の形で産出する。これらの炭酸塩、硫酸塩は容易に入手し得ることから、被削性改善用粉末成分の候補として選択した。本発明では、Ca源として、例えばCa(OH)2、CaCO3、CaO、CaF2、CaSO4等を使用することができる。
また、Alは、比重2.7g/cm3の金属として軽量で融点660℃と低く、アルミナ等の形で容易に入手し得ることから、被削性改善用粉末成分の候補として選択した。本発明では、Al源として、例えばAl2O3、Al(OH)3、Na3AlF6(氷晶石)、AlCl3、AlK(SO4)2・12H2O(ミョウバン)、AlN、Al2(SO4)3、Al2O3・2H2O(ボーキサイト)等を使用することができる。
また、Siは比重2.33g/cm3、融点は1410℃とやや高めだが、地球の主要な構成元素の一つとして容易に入手し得ることから、被削性改善用粉末成分の候補として選択した。本発明では、Si源として、例えばSiO2、SiC、ケイ酸(MgSiO3)等を使用することができる。
また、Fは、融点−220℃で反応性が高いため、天然には蛍石(CaF2)や氷晶石などとして存在し、昔からCaF2等は融剤として使用されている。今回鋭意研究した結果、Fは、焼結体の特性に悪影響を及ぼすことなく被削性改善用粉末の融点を低下させる効果を有することが判明し、本発明において被削性改善用粉末を所望の融点とするために必須の元素であることがわかった。F源としては、CaF2(蛍石)、F2、HF、AlF3(フッ化アルミニウム)、NaF、Na3AlF6(氷晶石)等が挙げられる。
また、Naは比重0.97g/cm3で軟らかい金属で融点が98℃と低く、塩化物、硝酸塩、硫酸塩、ほう酸塩、炭酸塩として広くかつ多量に地上に分布している。今回鋭意研究した結果、Fと同様、Naも焼結体の特性に悪影響を及ぼすことなく被削性改善用粉末の融点を低下させる効果を有することが判明し、本発明において被削性改善用粉末を所望の融点とするために必須の元素であることがわかった。Na源としては、NaHCO3(重曹)、Na2CO3(炭酸ソーダ)、Na2SO4(芒硝)、NaF、NaCl(食塩)、NaOH(苛性ソーダ)、Na2O等が挙げられる。
また、本発明では、被削性改善用粉末の融点を低下させるFとNaの複合効果、および種々の元素を添加した効果により、焼結体切削時における剪断抵抗の抑制効果による切削抵抗低減効果と、工具刃先に良質な保護膜が形成される効果の両方が期待され、被削性改善効果が広範囲で実現可能となると推測される。
また、Cは最も融点が高く、黒鉛粉として粉末冶金用鉄基混合粉に一般的に添加されている。Cを添加することにより、焼結体に必要な配合量を減少できる可能性も期待できるが、被削性改善用粉末を所望の融点(800℃以上1350℃以下)に調整する場合にも使用可能であることが判明した。C源としては、石灰、黒鉛、ダイヤモンド、CO、CO2、H2CO3等が挙げられる。
本発明では、上記に例示したようなCa源、Al源、Si源、F源、Na源およびC源の粉末などを適当な配合量で混合し、融点が800℃以上1350℃以下である被削性改善用粉末とする。所望の融点(800℃以上1350℃以下)とするには、被削性改善用粉末の全質量に対し、Ca源粉末含有量をCa換算で15質量%以上40質量%以下、Al源粉末含有量をAl換算で0.01質量%以上10質量%以下(より好ましくは0.01質量%以上5質量%以下)、Si源粉末含有量をSi換算で10質量%以上25質量%以下、F源粉末含有量をF換算で0.01質量%以上15質量%以下、Na源粉末含有量をNa換算で0.01質量%以上20質量%以下、C源粉末含有量をC換算で0.01質量%以上10質量%以下とすることが好ましい。
なお、本発明における被削性改善用粉末は、融点を800℃以上1350℃以下になるように調整したものであり、被削性改善用粉末の融点は焼結温度以下、焼結温度以上のいずれに調整してもよい。
切削速度との関係から、主に低速度域の切削速度で使用する場合は、より融点の低い焼結温度以下の融点のもののほうが、切削時の温度が低く被削性の効果がより発揮され易いことが期待される。
また、主に高速度域の切削速度で使用する場合は、より融点の高い焼結温度以上の融点のもののほうが、切削時の温度が高いので、被削性の効果がより発揮され易いことがわかる。
また、本発明者らが更に詳細に鋭意研究し、種々の元素を検討した結果、上記した被削性改善用粉末に、更にTi、B、Mg、Fe、Sのうちの1種または2種以上を含有するとより良い効果が得られる場合があることがわかった。特にTi、Bを含有する場合は、より超高速域でも優れた被削性効果を発現することが期待できる。
なお、Tiは比重4.5g/cm3で軽くて耐食性に優れていて、融点が1675℃と高く、地球を構成する地殻の成分として9番目に多い元素(遷移元素としては鉄に次ぐ元素)で、酸化物の形(ルチル(金紅石)、板チタン石、チタン鉄鉱(イルメナイト)、灰チタン石(ペロブスカイト)、くさび石(チタナイト)等)で多量に産出する。これらの酸化物は容易に入手し得ることから、被削性改善用粉末成分の候補として選択した。本発明では、Ti源として、例えばTiO2、FeTiO3、CaTiO3、CaTiSiO5、TiC、TiN、TiCl4、BaTiO3、Ti-6Al-4V等を使用することができる。
Ti含有量は、被削性改善用粉末の全質量に対し、Ti換算で1質量%以下とすることが好ましい。上記含有量がTi換算で、1質量%以下であれば、焼結体特性に悪影響を及ぼすことがない。
また、Bは比重が2.4〜2.5g/cm3で非常に硬く、硬度は単体元素としてはダイヤモンドに次ぐ硬度のもので、融点は2180℃と高く、ほう砂(Na2B4O5(OH)4・8H2O)やほう酸(H3BO3)の状態であることが多い。本発明では、Bを添加することにより、被削性改善用粉末を所望の融点(800℃以上1350℃以下)に調整することも可能であり、B源としては、B、B2O3、BN、H3BO3等が挙げられる。B含有量は、被削性改善用粉末の全質量に対し、B換算で5質量%以下とすることが好ましい。上記含有量がB換算で、5質量%以下であれば、焼結体特性に悪影響を及ぼすことがない。
また、Mgは比重1.74g/cm3で軽い軟らかい金属性元素である。融点は650℃と低く、安定な酸化物を作り易いものだが、容易に入手し得ることから被削性改善用粉末成分の候補として選択した。本発明者らが鋭意研究した結果、Mgの添加により、被削性改善用粉末の融点が低下することが明らかになり、被削性改善用粉末を所望の融点(800℃以上1350℃以下)とするために使用可能な元素であることが判明した。Mg源としては、Mg、MgO、Mg(OH)2、MgF2、MgCl2、MgCO3、MgSO4、MgO・Al2O3(MgAl2O4尖晶石(スピネル))、Mg3Si4O10(OH)2(滑石(タルク))等が挙げられる。Mg含有量は、被削性改善用粉末の全質量に対し、Mg換算で5質量%以下とすることが好ましい。上記含有量がMg換算で5質量%以下であれば、焼結体特性に悪影響を及ぼすことがない。
また、Feは比重7.8g/cm3で融点が1538℃と高めのものだが、容易に入手し得るものとして被削性改善用粉末成分の候補として選択した。本発明者らが鋭意研究した結果、Feは、被削性改善用粉末を所望の融点(800℃以上1350℃以下)に調整する際にも使用可能であることが判明した。Fe源としては、FeO(酸化鉄(ウスタイト))、Fe2O3(赤鉄鉱(ヘマタイト))、Fe3O4(磁鉄鉱(マグネタイト))、Fe2O3・nH2O(褐鉄鉱(リモナイト))、FeCO3(菱鉄鉱)、FeS2(FenSn+1硫化鉄鉱)等が挙げられる。Fe含有量は、被削性改善用粉末の全質量に対し、Fe換算で25質量%以下とすることが好ましく、15質量%以下とすることがより好ましい。上記含有量がFe換算で25質量%以下であれば、被削性改善用粉末の融点を調整できる。
また、Sは、比重1.92〜2.07g/cm3で、融点が107〜120℃と低く、天然には数多くの硫黄鉱物(硫化鉱物、硫酸塩鉱物)として産出(単体でも産出)するものであり、容易に入手し得ることから被削性改善用粉末成分の候補として選択した。本発明者らが鋭意研究した結果、Sは、被削性改善用粉末を所望の融点(800℃以上1350℃以下)に調整する際にも使用可能であることが判明した。S源としては、S、H2S、SO2、H2SO4、BaSO4、CaSO4、CaSO4・2H2O、Na2S2O3等が挙げられる。S含有量は、被削性改善用粉末の全質量に対し、S換算で1質量%以下とすることが好ましい。上記含有量がS換算で、1質量%以下であれば、焼結体特性に悪影響を及ぼすことがない。
被削性改善用粉末の配合量は、鉄基粉末、合金用粉末、被削性改善用粉末の合計量に対する質量%で、0.02%以上1.5%以下程度とすることが好ましい。被削性改善用粉末の配合量が、0.02質量%以上であれば、狙った被削性改善効果が得られる。一方、1.5質量%以下であれば、焼結体特性に悪影響を及ぼすことがない。
なお、被削性改善用粉末の平均粒径は、本粉末(本発明の粉末冶金用鉄基混合粉)の本質的な特性を損なうまで影響はしない。但し、より効果を上げるため、また焼結体特性への影響を小さくするためには、粒径は小さいほうが好ましく、平均粒径200μm以下とすることがより好ましい。
本発明の被削性改善用粉末の調製方法は、特に限定されず、例えば必要な元素に関してより不純物が少なくなるようなものを上記に挙げた物質(何でも可、単体でも可)から選定し、それを混合するだけでよく、必要なら粉砕等も実施して製造すればよい。その際に好ましい含有量に調整するのは言うまでもない。
本発明では、上記した鉄基粉末、合金用粉末、被削性改善用粉末に加えて、適正量の潤滑剤を配合する。配合される潤滑剤としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウム等の金属石鹸、あるいはオレイン酸などのカルボン酸、ステアリン酸アミド、ステアリン酸ビスアミド、エチレンビスステアロアミドなどの、アミドワックスが好ましい。潤滑剤の配合量は、本発明では特に限定されないが、鉄基粉末、合金用粉末、被削性改善用粉末の合計量100質量部に対し、0.1質量部以上1.0質量部以下とすることが好ましい。潤滑剤の配合量が0.1質量部以上であれば、金型との摩擦が増加し抜き出し力が増大することがなく、金型寿命が低下しない。一方、1.0質量部以下であれば、成形密度が低下せず、焼結体密度が低下しない。
次に、本発明の粉末冶金用鉄基混合粉の好ましい製造方法について説明するが、これに限定されるものではないことは言うまでもない。
鉄基粉末に、合金用粉末、および、被削性改善用粉末、更に潤滑剤を、それぞれ所定量配合し、通常公知の混合機を用いて、一回に、あるいは二回以上に分けて混合し、混合粉(鉄基混合粉)とすることが望ましい。上記した被削性改善用粉末は、必ずしも全量を一度に混合する必要はなく、一部のみを配合して混合(一次混合)したのち、残部を二次混合材として配合し混合(二次混合)することもできる。なお、潤滑剤も、二回に分けて配合してもよい。
なお、鉄基粉末の一部または全部に、偏析防止処理を施され結合材により表面に合金用粉末および/または被削性改善用粉末の一部または全部を固着させた鉄基粉末を用いても良い。なお、偏析防止処理としては、特許第3004800号公報に記載の方法を用いることができる。
また、鉄基粉末に、合金用粉末、および、被削性改善用粉末を、潤滑剤とともに所定量配合して、該潤滑剤の融点のうちの最低値以上に加熱し、少なくとも1種の潤滑剤を溶融させて、混合したのち、所定の温度以下に冷却して固化させる一次混合を行い、さらに、二次混合材を添加し、混合する二次混合を行ってもよい。
また、混合手段としては、特に制限はなく、従来公知の混合機いずれもが使用できる。なお、加熱が容易な、高速底部撹拌式混合機、傾斜回転パン型混合機、回転クワ型混合機および円錐遊星スクリュー形混合機などは特に有利に適合する。
つぎに、上記した製造方法で製造された本発明の粉末冶金用鉄基混合粉を用いた、焼結体の好ましい製造方法について説明する。
まず、好ましくは上記した方法で製造された、本発明の粉末冶金用鉄基混合粉を、金型に充填し圧縮成形し、成形体とする。成形方法は、プレス等の通常の成形方法がいずれも好適である。
得られた成形体は、ついで焼結処理を施され、焼結体となる。焼結処理の温度は、鉄基粉末の融点の約70%の温度で行うことが好ましく、1000℃以上1300℃以下とすることが好ましい。焼結処理の温度が1000℃以上であれば、焼結体密度が低くなり過ぎることがない。一方、焼結処理の温度が1300℃以下であれば、異常粒成長が起こることがなく、焼結体強度が低下することがない。また、焼結処理の雰囲気は、窒素あるいはアルゴンなどの不活性雰囲気、あるいは、これに水素を混合した不活性ガス−水素ガス混合雰囲気、あるいは、アンモニア分解ガス、RXガス、天然ガスなどの還元雰囲気とすることが好ましい。
焼結処理後、更に、必要に応じて、ガス浸炭熱処理や浸炭窒化処理等の熱処理を施し、所望の特性を具備された製品(焼結部品等)とすることができる。なお、切削加工等の加工を随時施し、所定寸法の製品とすることは言うまでもない。
また、ドリル加工等、比較的低速の切削速度(例えば300m/min未満、好ましくは200m/min以下の低速切削)で加工される焼結体を製造する場合には、被削性改善用粉末の融点を、焼結体を製造する際の焼結温度以下の温度とすることがより好ましい。一方、旋盤加工等、比較的高速の切削速度(例えば200m/min超、好ましくは300m/min以上の高速切削)で加工される焼結体を製造する場合には、被削性改善用粉末の融点を、焼結体を製造する際の焼結温度以上の温度とすることがより好ましい。
なお、前述のとおり、焼結処理の温度(焼結温度)は、鉄基粉末の融点の約70%の温度で行うことが好ましく、1000℃以上1300℃以下とすることが好ましい。また、焼結処理の温度(焼結温度)は、1050℃以上1250℃以下とすることがより好ましく、焼結体の強度、密度、寸法変化等の観点からは焼結処理の温度(焼結温度)を概ね1150℃とすることが特に好ましい。したがって、低速切削加工用焼結体の原料として使用する粉末冶金用鉄基混合粉の場合には、被削性改善用粉末の融点を800℃以上1300℃以下とすることが好ましく、800℃以上1250℃以下とすることがより好ましく、800℃以上1150℃以下とすることがより一層好ましい。一方、高速切削加工用焼結体の原料として使用する粉末冶金用鉄基混合粉の場合には、被削性改善用粉末の融点を1000℃以上1350℃以下とすることが好ましく、1050℃以上1350℃以下とすることがより好ましく、1150℃以上1350℃以下とすることがより一層好ましい。
以上のように、本発明では、鉄基粉末、合金用粉末および潤滑剤粉末に加え、更に被削性改善用粉末を混合してなる粉末冶金用鉄基混合粉とすることで、被削性に優れた焼結体が得られる。したがって、本発明によると、切削加工を必要とする焼結部材の生産性が顕著に向上するとともに、工具摩耗を抑制することで工具寿命が向上する。
そして、本発明において特記すべき特徴は、被削性改善用粉末を、Ca、Al、Si、F、NaおよびCを含有する粉末とすることで、前記被削性改善用粉末の融点を所望の温度範囲(800℃以上1350℃以下)としている点である。このような所望の融点を有する被削性改善用粉末を混合した粉末冶金用鉄基混合粉を用いて成形体とし、更に焼結すると、低速切削および高速切削のいずれの場合においても優れた被削性、具体的には、切削速度が約100〜500m/minという広範囲において良好な被削性を示す焼結体が得られる。すなわち、本発明によると、切削条件や切削工具によらず被削性改善効果を発揮し、汎用性の高い焼結体が製造可能となり、産業上格段の効果を奏する。
また、本発明によると、被削性改善用粉末の融点を、焼結体を製造する際の焼結温度以下の温度とすることにより、特にドリル加工等、比較的低速の切削速度(例えば300m/min未満、好ましくは200m/min以下の低速切削)で加工される焼結体の被削性を大幅に改善することができる。また、本発明によると、被削性改善用粉末の融点を、焼結体を製造する際の焼結温度以上の温度とすることにより、特に旋盤加工等、比較的高速の切削速度(例えば200m/min超、好ましくは300m/min以上の高速切削)で加工される焼結体の被削性を大幅に改善することができる。
以下、実施例に基づき、さらに本発明を具体的に説明する。
実施例1
鉄基粉末、合金用粉末、被削性改善用粉末および潤滑剤粉末を混合した粉末冶金用鉄基混合粉を、圧粉成形して成形体とし、該成形体に焼結処理を施して焼結体とした。そして、得られた焼結体について、旋盤切削試験およびドリル切削試験を実施した。
鉄基粉末(F1)として、アトマイズ純鉄粉(JFEスチール社製、商品名:JIP-301A)を使用した。
また、前記の方法によりa〜nの被削性改善用粉末を調製した。被削性改善用粉末全質量に対する各元素の質量%、並びに被削性改善用粉末の融点を表1に示す。
<被削性改善用粉末a〜n>
Ca源としてCaCO3またはCaO、Al源としてNa3AlF6またはAl2O3、Si源としてMgSiO3またはSiO2、F源としてCaF2、Na源としてNa2CO3またはNa2O、C源として黒鉛、Ti源としてTiO2、B源としてB(ほう素)またはB2O3、Mg源としてMg(金属マグネシウム)、Fe源としてFeOまたはFe2O3、S源としてS(硫黄)を用い、表1に記載の含有量になるように配合量を調整し、平均粒子径が100μmとなるように混合機を用いて粒子径を調整した。使用する原料の性状にもよるが、必要に応じて篩いを混合機とともに用いて調整した。
上記した鉄基粉末(F1)に、表2に示す種類、配合量の合金用粉末(黒鉛粉、銅粉)と、表2に示す種類、配合量の被削性改善用粉末と、さらに、表2に示す種類、配合量の潤滑剤粉末とを、配合し、高速底部撹拌式混合機を利用して混合することにより混合粉を製造した。なお、表2の被削性改善用粉末の種類(a〜n)は、表1に示す各種の被削性改善用粉末である。また、合金用粉末として配合した黒鉛粉は平均粒径が5μmの粉末であり、銅粉は平均粒径が25μmの粉末とした。
表2において、合金用粉末の配合量は、鉄基粉末、合金用粉末、被削性改善用粉末の合計量に対する質量%で表示した。被削性改善用粉末の配合量も、鉄基粉末、合金用粉末、被削性改善用粉末の合計量に対する質量%で表示した。潤滑剤粉末の配合量は鉄基粉末、合金用粉末、被削性改善用粉末の合計量100質量部に対する質量部で表示した。
得られた混合粉を、金型(旋盤切削試験用およびドリル切削試験用の2種)に装入し、加圧力:590MPaで圧粉成形し、成形体を得た。次いで、得られた成形体に、RXガス雰囲気中で、1150℃×20minの焼結処理を施して、焼結体(旋盤切削試験用:外径60mm×内径20mm×長さ20mm、ドリル切削試験用:外径60mm×厚さ10mm)を得た。
得られた焼結体について、旋盤切削試験(高速切削試験)、ドリル切削試験(低速切削試験)を実施した。試験方法は次のとおりとした。
(1)旋盤切削試験
得られた焼結体(リング状:外径60mm×内径20mm×長さ20mm)を3個重ねて、その側面を、旋盤を用いて切削した。切削条件は、超硬の切削工具を用いて、切削速度:200m/min、送り量:0.1mm/回、切込み深さ:0.5mm、切削距離:1000mとし、切削後、切削工具の逃げ面の摩耗量を測定した。切削工具の逃げ面の摩耗量が小さいほど、旋削性に優れていると評価した。
(2)ドリル切削試験
得られた焼結体(円盤状:外径60mm×厚さ10mm)に、高速度鋼製ドリル(直径:1.2mmのシャンクドリル)で、回転数:10,000rpm、送り速度:300mm/minの条件で貫通穴を穿孔し、ドリルが破損するまでの穿孔数を調査し、穿孔数が多いほどドリル被削性に優れていると評価した。なお、穿孔部表面のバリ発生の有無を目視で調査した。
得られた結果を、表3に示す。
Figure 2014080683
Figure 2014080683
Figure 2014080683
本発明はいずれも、切削工具の逃げ面の摩耗量が小さく、旋盤加工時の被削性に優れ、しかもドリルが破損するまでの穿孔数が多く、またバリの発生もなくドリル加工時の被削性にも優れた焼結体となっている。一方、本発明の範囲を外れる比較例は、旋盤加工時、ドリル加工時のいずれか一方の被削性が低下しているか、旋盤加工時、ドリル加工時のいずれにおいても被削性が低下している。
実施例2
実施例1で得られた焼結体のうち、本発明例の混合粉を成形、焼結することにより得られた焼結体(表3の焼結体No.1〜9)について、切削速度:100m/min、200m/min、300m/min、500m/minで旋盤切削試験を実施し、切削工具の逃げ面の摩耗量を測定した。旋盤切削試験は、切削速度を種々の速度に変更した点を除き、実施例1の(1)旋盤切削試験と同条件で実施した。
得られた結果を、表4に示す。
Figure 2014080683
表4のとおり、いずれの焼結体も切削速度:100〜500m/minの範囲で良好な被削性を示している。そして、焼結温度(1150℃)を境に、被削性改善用粉末の融点が焼結温度未満のものは低速側(切削速度:100m/min、200m/min)で焼結体の被削性がより良好であり、被削性改善用粉末の融点が焼結温度超えのものは高速側(切削速度:300 m/min、500m/min)で焼結体の被削性がより良好であることがわかる。また、被削性改善用粉末の融点が焼結温度と同温(1150℃)のものは、切削工具の逃げ面の摩耗量が特に切削速度に依存せず全切削速度に亘り均一であり、いずれの切削速度においても焼結体の被削性が良好であることがわかる。

Claims (4)

  1. 鉄基粉末と、合金用粉末と、被削性改善用粉末と、潤滑剤粉末とを混合してなる粉末冶金用鉄基混合粉であって、前記被削性改善用粉末がCa、Al、Si、F、NaおよびCを含有する粉末であり、前記被削性改善用粉末の融点が800℃以上1350℃以下であることを特徴とする粉末冶金用鉄基混合粉。
  2. 前記被削性改善用粉末が、更にTi、B、Mg、Fe、Sのうちの1種または2種以上を含有する粉末であることを特徴とする請求項1に記載の粉末冶金用鉄基混合粉。
  3. 前記被削性改善用粉末の融点が、800℃以上1150℃以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の粉末冶金用鉄基混合粉。
  4. 前記被削性改善用粉末の融点が、1150℃以上1350℃以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の粉末冶金用鉄基混合粉。
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