上述のハイブリッド自動車では、運転者が要求する要求トルクが大きいときには、モータMG2の出力トルクが制限されていないときでも、モータMG2の出力トルクに加えてエンジンの運転停止状態を維持してモータMG1からトルクを出力しても、要求トルクを駆動軸に出力することができない場合がある。この場合、モータMG1からもっと大きなトルクを出力してエンジンをモータリングすることも考えられるが、どのようにエンジンをモータリングするのが好ましいかが課題となる。
本発明のハイブリッド自動車およびその制御方法は、車軸に連結された駆動軸と内燃機関の出力軸と発電機の回転軸とが共線図上で駆動軸,出力軸,回転軸の順に3つの回転要素に接続された遊星歯車機構と、駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、を備えるハイブリッド自動車において、リバース走行する際の内燃機関の発電機によるモータリングの手法を提供することを主目的とする。
本発明のハイブリッド自動車およびその制御方法は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の第1のハイブリッド自動車は、
内燃機関と、動力を入出力可能な発電機と、車軸に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸とが共線図上で前記駆動軸,前記出力軸,前記回転軸の順に3つの回転要素に接続された遊星歯車機構と、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、前記発電機および前記電動機と電力のやりとりが可能な二次電池と、を備えるハイブリッド自動車であって、
運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に前記駆動軸に出力すべき要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、
シフトポジションが後進用ポジションのときに運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に前記内燃機関の目標回転数を設定する目標回転数設定手段と、
シフトポジションが後進用ポジションのときに運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に単位時間当たりの前記内燃機関の回転数の上昇の程度である上昇程度を設定する上昇程度設定手段と、
シフトポジションが後進用ポジションのときに前記内燃機関が燃料噴射を停止した状態で前記設定された上昇程度を伴って前記設定された目標回転数で回転すると共に前記設定された要求駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
この本発明の第1のハイブリッド自動車では、シフトポジションが後進用ポジションのときには、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に駆動軸に出力すべき要求駆動力と内燃機関の目標回転数と単位時間当たりの内燃機関の回転数の上昇の程度である上昇程度とを設定し、内燃機関が燃料噴射を停止した状態で設定した上昇程度を伴って目標回転数で回転すると共に要求駆動力が駆動軸に出力されるよう内燃機関と発電機と電動機とを制御する。このように、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に内燃機関の目標回転数を設定するのは、アクセル操作量が大きいほど大きくなる内燃機関のフリクションが大きくなることにより駆動軸に出力されるトルクが大きくなることに基づき、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に内燃機関の回転数の上昇程度を設定するのは、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に内燃機関の回転数上昇に必要なエネルギが大きくなって駆動軸に出力するトルクが大きくなることに基づく。このように制御することにより、発電機による内燃機関のモータリングによって駆動軸に出力されるトルクを運転者のアクセル操作量に応じたものとすることができる。
本発明の第2のハイブリッド自動車は、
内燃機関と、動力を入出力可能な発電機と、車軸に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸とが共線図上で前記駆動軸,前記出力軸,前記回転軸の順に3つの回転要素に接続された遊星歯車機構と、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、前記発電機および前記電動機と電力のやりとりが可能な二次電池と、を備えるハイブリッド自動車であって、
運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に前記駆動軸に出力すべき要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、
シフトポジションが後進用ポジションのときに運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に前記内燃機関の目標回転数を設定する目標回転数設定手段と、
シフトポジションが後進用ポジションのときに前記内燃機関の冷却媒体の温度が高いほど大きくなる傾向に単位時間当たりの前記内燃機関の回転数の上昇の程度である上昇程度を設定する上昇程度設定手段と、
シフトポジションが後進用ポジションのときに前記内燃機関が燃料噴射を停止した状態で前記設定された上昇程度を伴って前記設定された目標回転数で回転すると共に前記設定された要求駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
この本発明の第2のハイブリッド自動車では、シフトポジションが後進用ポジションのときには、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に駆動軸に出力すべき要求駆動力と内燃機関の目標回転数とを設定すると共に内燃機関の冷却媒体の温度が高いほど大きくなる傾向に単位時間当たりの内燃機関の回転数の上昇の程度である上昇程度を設定し、内燃機関が燃料噴射を停止した状態で設定した上昇程度を伴って目標回転数で回転すると共に要求駆動力が駆動軸に出力されるよう内燃機関と発電機と電動機とを制御する。このように、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に内燃機関の目標回転数を設定するのは、アクセル操作量が大きいほど大きくなる内燃機関のフリクションが大きくなることにより駆動軸に出力されるトルクが大きくなることに基づき、内燃機関の冷却媒体の温度が高いほど大きくなる傾向に内燃機関の回転数の上昇程度を設定するのは、内燃機関の冷却媒体の温度が高いほど内燃機関の潤滑油の粘性が低くなって内燃機関のフリクションが小さくなって駆動軸に出力するトルクが小さくなることに基づく。このように制御することにより、発電機による内燃機関のモータリングによって駆動軸に出力されるトルクを運転者のアクセル操作量と内燃機関の冷却媒体の温度に応じたものとすることができる。
本発明の第3のハイブリッド自動車は、
内燃機関と、動力を入出力可能な発電機と、車軸に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸とが共線図上で前記駆動軸,前記出力軸,前記回転軸の順に3つの回転要素に接続された遊星歯車機構と、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、前記発電機および前記電動機と電力のやりとりが可能な二次電池と、を備えるハイブリッド自動車であって、
前記二次電池の状態に基づいて該二次電池から放電可能な最大電力としての出力制限を設定する出力制限設定手段と、
前記電動機により消費されている電力である電動機消費電力を演算する電動機電力演算手段と、
運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に前記駆動軸に出力すべき要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、
シフトポジションが後進用ポジションのときに運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に前記内燃機関の目標回転数を設定する目標回転数設定手段と、
シフトポジションが後進用ポジションのときに前記設定された出力制限から前記演算された電動機消費電力を減じた電力が大きいほど大きくなる傾向に単位時間当たりの前記内燃機関の回転数の上昇の程度である上昇程度を設定する上昇程度設定手段と、
シフトポジションが後進用ポジションのときに前記内燃機関が燃料噴射を停止した状態で前記設定された上昇程度を伴って前記設定された目標回転数で回転すると共に前記設定された要求駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
本発明の第3のハイブリッド自動車では、シフトポジションが後進用ポジションのときには、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に駆動軸に出力すべき要求駆動力と内燃機関の目標回転数とを設定すると共に二次電池の状態に基づいて設定される二次電池から放電可能な最大電力としての出力制限から電動機により消費されている電力である電動機消費電力を減じた電力が大きいほど大きくなる傾向に単位時間当たりの内燃機関の回転数の上昇の程度である上昇程度を設定し、内燃機関が燃料噴射を停止した状態で設定した上昇程度を伴って目標回転数で回転すると共に要求駆動力が駆動軸に出力されるよう内燃機関と発電機と電動機とを制御する。このように、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に内燃機関の目標回転数を設定するのは、アクセル操作量が大きいほど大きくなる内燃機関のフリクションが大きくなることにより駆動軸に出力されるトルクが大きくなることに基づき、二次電池の出力制限から電動機消費電力を減じた電力が大きいほど大きくなる傾向に内燃機関の回転数の上昇程度を設定するのは、電動機を駆動していても二次電池から出力可能な余裕の電力が大きいときには発電機で消費する電力を大きくして駆動軸に出力するトルクを大きくすることに基づく。このように制御することにより、発電機による内燃機関のモータリングによって駆動軸に出力されるトルクを運転者のアクセル操作量と二次電池から出力可能な余裕の電力に応じたものとすることができる。
本発明の第4のハイブリッド自動車は、
内燃機関と、動力を入出力可能な発電機と、車軸に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸とが共線図上で前記駆動軸,前記出力軸,前記回転軸の順に3つの回転要素に接続された遊星歯車機構と、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、前記発電機および前記電動機と電力のやりとりが可能な二次電池と、を備えるハイブリッド自動車であって、
前記二次電池の電圧である電池電圧を検出する電圧検出手段と、
運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に前記駆動軸に出力すべき要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、
シフトポジションが後進用ポジションのときに運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に前記内燃機関の目標回転数を設定する目標回転数設定手段と、
シフトポジションが後進用ポジションのときに前記検出された電池電圧から予め定められた下限電圧を減じた電圧が大きいほど大きくなる傾向に単位時間当たりの前記内燃機関の回転数の上昇の程度である上昇程度を設定する上昇程度設定手段と、
シフトポジションが後進用ポジションのときに前記内燃機関が燃料噴射を停止した状態で前記設定された上昇程度を伴って前記設定された目標回転数で回転すると共に前記設定された要求駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
この本発明の第4のハイブリッド自動車では、シフトポジションが後進用ポジションのときには、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に駆動軸に出力すべき要求駆動力と内燃機関の目標回転数とを設定すると共に二次電池の電圧から予め定められた下限電圧を減じた電圧が大きいほど大きくなる傾向に単位時間当たりの内燃機関の回転数の上昇の程度である上昇程度を設定し、内燃機関が燃料噴射を停止した状態で設定した上昇程度を伴って目標回転数で回転すると共に要求駆動力が駆動軸に出力されるよう内燃機関と発電機と電動機とを制御する。このように、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に内燃機関の目標回転数を設定するのは、アクセル操作量が大きいほど大きくなる内燃機関のフリクションが大きくなることにより駆動軸に出力されるトルクが大きくなることに基づき、二次電池の電圧から下限電圧を減じた電圧が大きいほど大きくなる傾向に内燃機関の回転数の上昇程度を設定するのは、二次電池の劣化を伴わずに二次電池から大きな電力を放電することができるときには発電機で消費する電力を大きくして駆動軸に出力するトルクを大きくすることに基づく。このように制御することにより、発電機による内燃機関のモータリングによって駆動軸に出力されるトルクを運転者のアクセル操作量と二次電池の劣化を伴わずに二次電池から出力可能な電力に応じたものとすることができる。
本発明の第5のハイブリッド自動車は、
内燃機関と、動力を入出力可能な発電機と、車軸に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸とが共線図上で前記駆動軸,前記出力軸,前記回転軸の順に3つの回転要素に接続された遊星歯車機構と、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、前記発電機および前記電動機と電力のやりとりが可能な二次電池と、を備えるハイブリッド自動車であって、
前記二次電池の状態に基づいて該二次電池から放電可能な最大電力としての出力制限を設定する出力制限設定手段と、
前記電動機により消費されている電力である電動機消費電力を演算する電動機電力演算手段と、
前記二次電池の電圧である電池電圧を検出する電圧検出手段と、
運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に前記駆動軸に出力すべき要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、
シフトポジションが後進用ポジションのときに運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に前記内燃機関の目標回転数を設定する目標回転数設定手段と、
シフトポジションが後進用ポジションのときに、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に単位時間当たりの前記内燃機関の回転数の上昇の程度である第1上昇程度と前記内燃機関の冷却媒体の温度が高いほど大きくなる傾向に単位時間当たりの前記内燃機関の回転数の上昇の程度である第2上昇程度と前記設定された出力制限から前記演算された電動機消費電力を減じた電力が大きいほど大きくなる傾向に単位時間当たりの前記内燃機関の回転数の上昇の程度である第3上昇程度と前記検出された電池電圧から予め定められた下限電圧を減じた電圧が大きいほど大きくなる傾向に単位時間当たりの前記内燃機関の回転数の上昇の程度である第4上昇程度のうちの2つ以上の上昇程度を設定する上昇程度設定手段と、
シフトポジションが後進用ポジションのときに前記内燃機関が燃料噴射を停止した状態で前記設定された2つ以上の上昇程度のうちの最小の上昇程度を伴って前記設定された目標回転数で回転すると共に前記設定された要求駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
この本発明の第5のハイブリッド自動車では、シフトポジションが後進用ポジションのときには、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に駆動軸に出力すべき要求駆動力と内燃機関の目標回転数とを設定すると共に運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向の単位時間当たりの内燃機関の回転数の上昇の程度である第1上昇程度,内燃機関の冷却媒体の温度が高いほど大きくなる傾向の単位時間当たりの内燃機関の回転数の上昇の程度である第2上昇程度,二次電池の状態に基づいて設定される二次電池から放電可能な最大電力としての出力制限から電動機により消費されている電力である電動機消費電力を減じた電力が大きいほど大きくなる傾向の単位時間当たりの内燃機関の回転数の上昇の程度である第3上昇程度,二次電池の電圧から予め定められた下限電圧を減じた電圧が大きいほど大きくなる傾向に単位時間当たりの内燃機関の回転数の上昇の程度である第4上昇程度のうち2つ以上の上昇程度を設定し、内燃機関が燃料噴射を停止した状態で設定した2つ以上の上昇程度のうちの最小の上昇程度を伴って目標回転数で回転すると共に要求駆動力が駆動軸に出力されるよう内燃機関と発電機と電動機とを制御する。このように、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に内燃機関の目標回転数を設定するのは、アクセル操作量が大きいほど大きくなる内燃機関のフリクションが大きくなることにより駆動軸に出力されるトルクが大きくなることに基づく。運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に第1上昇程度を設定するのは、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に内燃機関の回転数上昇に必要なエネルギが大きくなって駆動軸に出力するトルクが大きくなることに基づき、内燃機関の冷却媒体の温度が高いほど大きくなる傾向に第2上昇程度を設定するのは、内燃機関の冷却媒体の温度が高いほど内燃機関の潤滑油の粘性が低くなって内燃機関のフリクションが小さくなって駆動軸に出力するトルクが小さくなることに基づき、二次電池の出力制限から電動機消費電力を減じた電力が大きいほど大きくなる傾向に第3上昇程度を設定するのは、電動機を駆動していても二次電池から出力可能な余裕の電力が大きいときには発電機で消費する電力を大きくして駆動軸に出力するトルクを大きくすることに基づき、二次電池の電圧から下限電圧を減じた電圧が大きいほど大きくなる傾向に第4上昇程度を設定するのは、二次電池の劣化を伴わずに二次電池から大きな電力を放電することができるときには発電機で消費する電力を大きくして駆動軸に出力するトルクを大きくすることに基づく。このように制御することにより、発電機による内燃機関のモータリングによって駆動軸に出力されるトルクを運転者のアクセル操作量や内燃機関の冷却媒体の温度,二次電池から出力可能な余裕の電力,二次電池から出力可能な電力などに応じたものとすることができる。
上述した本発明の第1ないし第5のいずれかのハイブリッド自動車において、前記制御手段は、前記設定された要求駆動力を前記電動機から出力できないときに前記内燃機関が前記目標回転数で回転するよう制御する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、不必要な発電機による内燃機関のモータリングを回避することができる。
本発明の第1のハイブリッド自動車の制御方法は、
内燃機関と、動力を入出力可能な発電機と、車軸に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸とが共線図上で前記駆動軸,前記出力軸,前記回転軸の順に3つの回転要素に接続された遊星歯車機構と、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、前記発電機および前記電動機と電力のやりとりが可能な二次電池と、を備えるハイブリッド自動車において、シフトポジションが後進用ポジションであるときの制御方法であって、
運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に前記駆動軸に出力すべき要求駆動力と前記内燃機関の目標回転数と単位時間当たりの前記内燃機関の回転数の上昇の程度である上昇程度とを設定し、前記内燃機関が燃料噴射を停止した状態で前記設した上昇程度を伴って前記設定した目標回転数で回転すると共に前記設定した要求駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する、
ことを特徴とする。
この本発明の第1のハイブリッド自動車の制御方法では、シフトポジションが後進用ポジションのときには、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に駆動軸に出力すべき要求駆動力と内燃機関の目標回転数と単位時間当たりの内燃機関の回転数の上昇の程度である上昇程度とを設定し、内燃機関が燃料噴射を停止した状態で設定した上昇程度を伴って目標回転数で回転すると共に要求駆動力が駆動軸に出力されるよう内燃機関と発電機と電動機とを制御する。このように、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に内燃機関の目標回転数を設定するのは、アクセル操作量が大きいほど大きくなる内燃機関のフリクションが大きくなることにより駆動軸に出力されるトルクが大きくなることに基づき、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に内燃機関の回転数の上昇程度を設定するのは、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に内燃機関の回転数上昇に必要なエネルギが大きくなって駆動軸に出力するトルクが大きくなることに基づく。このように制御することにより、発電機による内燃機関のモータリングによって駆動軸に出力されるトルクを運転者のアクセル操作量に応じたものとすることができる。
本発明の第2のハイブリッド自動車の制御方法は、
内燃機関と、動力を入出力可能な発電機と、車軸に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸とが共線図上で前記駆動軸,前記出力軸,前記回転軸の順に3つの回転要素に接続された遊星歯車機構と、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、前記発電機および前記電動機と電力のやりとりが可能な二次電池と、を備えるハイブリッド自動車において、シフトポジションが後進用ポジションであるときの制御方法であって、
運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に前記駆動軸に出力すべき要求駆動力と前記内燃機関の目標回転数とを設定すると共に前記内燃機関の冷却媒体の温度が高いほど大きくなる傾向に単位時間当たりの前記内燃機関の回転数の上昇の程度である上昇程度を設定し、前記内燃機関が燃料噴射を停止した状態で前記設定した上昇程度を伴って前記設定した目標回転数で回転すると共に前記設定した要求駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する制御手段と、
ことを特徴とする。
この本発明の第2のハイブリッド自動車の制御方法では、シフトポジションが後進用ポジションのときには、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に駆動軸に出力すべき要求駆動力と内燃機関の目標回転数とを設定すると共に内燃機関の冷却媒体の温度が高いほど大きくなる傾向に単位時間当たりの内燃機関の回転数の上昇の程度である上昇程度を設定し、内燃機関が燃料噴射を停止した状態で設定した上昇程度を伴って目標回転数で回転すると共に要求駆動力が駆動軸に出力されるよう内燃機関と発電機と電動機とを制御する。このように、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に内燃機関の目標回転数を設定するのは、アクセル操作量が大きいほど大きくなる内燃機関のフリクションが大きくなることにより駆動軸に出力されるトルクが大きくなることに基づき、内燃機関の冷却媒体の温度が高いほど大きくなる傾向に内燃機関の回転数の上昇程度を設定するのは、内燃機関の冷却媒体の温度が高いほど内燃機関の潤滑油の粘性が低くなって内燃機関のフリクションが小さくなって駆動軸に出力するトルクが小さくなることに基づく。このように制御することにより、発電機による内燃機関のモータリングによって駆動軸に出力されるトルクを運転者のアクセル操作量と内燃機関の冷却媒体の温度に応じたものとすることができる。
本発明の第3のハイブリッド自動車の制御方法は、
内燃機関と、動力を入出力可能な発電機と、車軸に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸とが共線図上で前記駆動軸,前記出力軸,前記回転軸の順に3つの回転要素に接続された遊星歯車機構と、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、前記発電機および前記電動機と電力のやりとりが可能な二次電池と、を備えるハイブリッド自動車において、シフトポジションが後進用ポジションであるときの制御方法であって、
運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に前記駆動軸に出力すべき要求駆動力と前記内燃機関の目標回転数とを設定すると共に前記二次電池の状態に基づいて設定される該二次電池から放電可能な最大電力としての出力制限から前記電動機により消費されている電力である電動機消費電力を減じた電力が大きいほど大きくなる傾向に単位時間当たりの前記内燃機関の回転数の上昇の程度である上昇程度を設定し、前記内燃機関が燃料噴射を停止した状態で前記設定した上昇程度を伴って前記設定した目標回転数で回転すると共に前記設定した要求駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する、
ことを特徴とする。
この本発明の第3のハイブリッド自動車の制御方法では、シフトポジションが後進用ポジションのときには、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に駆動軸に出力すべき要求駆動力と内燃機関の目標回転数とを設定すると共に二次電池の状態に基づいて設定される二次電池から放電可能な最大電力としての出力制限から電動機により消費されている電力である電動機消費電力を減じた電力が大きいほど大きくなる傾向に単位時間当たりの内燃機関の回転数の上昇の程度である上昇程度を設定し、内燃機関が燃料噴射を停止した状態で設定した上昇程度を伴って目標回転数で回転すると共に要求駆動力が駆動軸に出力されるよう内燃機関と発電機と電動機とを制御する。このように、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に内燃機関の目標回転数を設定するのは、アクセル操作量が大きいほど大きくなる内燃機関のフリクションが大きくなることにより駆動軸に出力されるトルクが大きくなることに基づき、二次電池の出力制限から電動機消費電力を減じた電力が大きいほど大きくなる傾向に内燃機関の回転数の上昇程度を設定するのは、電動機を駆動していても二次電池から出力可能な余裕の電力が大きいときには発電機で消費する電力を大きくして駆動軸に出力するトルクを大きくすることに基づく。このように制御することにより、発電機による内燃機関のモータリングによって駆動軸に出力されるトルクを運転者のアクセル操作量と二次電池から出力可能な余裕の電力に応じたものとすることができる。
本発明の第4のハイブリッド自動車の制御方法は、
内燃機関と、動力を入出力可能な発電機と、車軸に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸とが共線図上で前記駆動軸,前記出力軸,前記回転軸の順に3つの回転要素に接続された遊星歯車機構と、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、前記発電機および前記電動機と電力のやりとりが可能な二次電池と、を備えるハイブリッド自動車において、シフトポジションが後進用ポジションであるときの制御方法であって、
運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に前記駆動軸に出力すべき要求駆動力と前記内燃機関の目標回転数とを設定すると共に前記二次電池の電圧から予め定められた下限電圧を減じた電圧が大きいほど大きくなる傾向に単位時間当たりの前記内燃機関の回転数の上昇の程度である上昇程度を設定し、前記内燃機関が燃料噴射を停止した状態で前記設定した上昇程度を伴って前記設定した目標回転数で回転すると共に前記設定した要求駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する、
ことを特徴とする。
この本発明のハイブリッド自動車の制御方法では、シフトポジションが後進用ポジションのときには、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に駆動軸に出力すべき要求駆動力と内燃機関の目標回転数とを設定すると共に二次電池の電圧から予め定められた下限電圧を減じた電圧が大きいほど大きくなる傾向に単位時間当たりの内燃機関の回転数の上昇の程度である上昇程度を設定し、内燃機関が燃料噴射を停止した状態で設定した上昇程度を伴って目標回転数で回転すると共に要求駆動力が駆動軸に出力されるよう内燃機関と発電機と電動機とを制御する。このように、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に内燃機関の目標回転数を設定するのは、アクセル操作量が大きいほど大きくなる内燃機関のフリクションが大きくなることにより駆動軸に出力されるトルクが大きくなることに基づき、二次電池の電圧から下限電圧を減じた電圧が大きいほど大きくなる傾向に内燃機関の回転数の上昇程度を設定するのは、二次電池の劣化を伴わずに二次電池から大きな電力を放電することができるときには発電機で消費する電力を大きくして駆動軸に出力するトルクを大きくすることに基づく。このように制御することにより、発電機による内燃機関のモータリングによって駆動軸に出力されるトルクを運転者のアクセル操作量と二次電池の劣化を伴わずに二次電池から出力可能な電力に応じたものとすることができる。
本発明の第5のハイブリッド自動車の制御方法は、
内燃機関と、動力を入出力可能な発電機と、車軸に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸とが共線図上で前記駆動軸,前記出力軸,前記回転軸の順に3つの回転要素に接続された遊星歯車機構と、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、前記発電機および前記電動機と電力のやりとりが可能な二次電池と、を備えるハイブリッド自動車において、シフトポジションが後進用ポジションであるときの制御方法であって、
運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に前記駆動軸に出力すべき要求駆動力と前記内燃機関の目標回転数とを設定すると共に運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向の単位時間当たりの前記内燃機関の回転数の上昇の程度である第1上昇程度,前記内燃機関の冷却媒体の温度が高いほど大きくなる傾向の単位時間当たりの前記内燃機関の回転数の上昇の程度である第2上昇程度,前記二次電池の状態に基づいて設定される該二次電池から放電可能な最大電力としての出力制限から前記電動機により消費されている電力である電動機消費電力を減じた電力が大きいほど大きくなる傾向の単位時間当たりの前記内燃機関の回転数の上昇の程度である第3上昇程度,前記二次電池の電圧から予め定められた下限電圧を減じた電圧が大きいほど大きくなる傾向に単位時間当たりの前記内燃機関の回転数の上昇の程度である第4上昇程度のうち2つ以上の上昇程度を設定し、前記内燃機関が燃料噴射を停止した状態で前記設定した2つ以上の上昇程度のうちの最小の上昇程度を伴って前記設定した目標回転数で回転すると共に前記設定した要求駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する、
ことを特徴とする。
この本発明の第5のハイブリッド自動車の制御方法では、シフトポジションが後進用ポジションのときには、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に駆動軸に出力すべき要求駆動力と内燃機関の目標回転数とを設定すると共に運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向の単位時間当たりの内燃機関の回転数の上昇の程度である第1上昇程度,内燃機関の冷却媒体の温度が高いほど大きくなる傾向の単位時間当たりの内燃機関の回転数の上昇の程度である第2上昇程度,二次電池の状態に基づいて設定される二次電池から放電可能な最大電力としての出力制限から電動機により消費されている電力である電動機消費電力を減じた電力が大きいほど大きくなる傾向の単位時間当たりの内燃機関の回転数の上昇の程度である第3上昇程度,二次電池の電圧から予め定められた下限電圧を減じた電圧が大きいほど大きくなる傾向に単位時間当たりの内燃機関の回転数の上昇の程度である第4上昇程度のうち2つ以上の上昇程度を設定し、内燃機関が燃料噴射を停止した状態で設定した2つ以上の上昇程度のうちの最小の上昇程度を伴って目標回転数で回転すると共に要求駆動力が駆動軸に出力されるよう内燃機関と発電機と電動機とを制御する。このように、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に内燃機関の目標回転数を設定するのは、アクセル操作量が大きいほど大きくなる内燃機関のフリクションが大きくなることにより駆動軸に出力されるトルクが大きくなることに基づく。運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に第1上昇程度を設定するのは、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に内燃機関の回転数上昇に必要なエネルギが大きくなって駆動軸に出力するトルクが大きくなることに基づき、内燃機関の冷却媒体の温度が高いほど大きくなる傾向に第2上昇程度を設定するのは、内燃機関の冷却媒体の温度が高いほど内燃機関の潤滑油の粘性が低くなって内燃機関のフリクションが小さくなって駆動軸に出力するトルクが小さくなることに基づき、二次電池の出力制限から電動機消費電力を減じた電力が大きいほど大きくなる傾向に第3上昇程度を設定するのは、電動機を駆動していても二次電池から出力可能な余裕の電力が大きいときには発電機で消費する電力を大きくして駆動軸に出力するトルクを大きくすることに基づき、二次電池の電圧から下限電圧を減じた電圧が大きいほど大きくなる傾向に第4上昇程度を設定するのは、二次電池の劣化を伴わずに二次電池から大きな電力を放電することができるときには発電機で消費する電力を大きくして駆動軸に出力するトルクを大きくすることに基づく。このように制御することにより、発電機による内燃機関のモータリングによって駆動軸に出力されるトルクを運転者のアクセル操作量や内燃機関の冷却媒体の温度,二次電池から出力可能な余裕の電力,二次電池から出力可能な電力などに応じたものとすることができる。
上述した本発明の第1ないし第5のいずれかのハイブリッド自動車の制御方法において、前記設定した要求駆動力を前記電動機から出力できないときに前記内燃機関が前記目標回転数で回転するよう制御する、ことを特徴とするものとすることもできる。こうすれば、不必要な発電機による内燃機関のモータリングを回避することができる。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の第1実施例のハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。第1実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、動力分配統合機構30に接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに取り付けられた減速ギヤ35と、この減速ギヤ35に接続されたモータMG2と、動力出力装置全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。
エンジン22は、例えば、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関であり、エンジン22の冷却水の通路に取り付けられた温度センサ23からの冷却水温Twなどのエンジン22の運転状態を検出する各種センサから信号を入力するエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により燃料噴射制御や点火制御,吸入空気量調節制御などの運転制御を受けている。エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、エンジンECU24は、クランクシャフト26に取り付けられた図示しないクランクポジションセンサからの信号に基づいてクランクシャフト26の回転数、即ちエンジン22の回転数Neも演算している。
動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを回転要素として差動作用を行なう遊星歯車機構として構成されている。動力分配統合機構30は、キャリア34にはエンジン22のクランクシャフト26が、サンギヤ31にはモータMG1が、リングギヤ32にはリングギヤ軸32aを介して減速ギヤ35がそれぞれ連結されており、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側にそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32側に出力する。リングギヤ32に出力された動力は、リングギヤ軸32aからギヤ機構60およびデファレンシャルギヤ62を介して、最終的には車両の駆動輪63a,63bに出力される。
モータMG1およびモータMG2は、いずれも発電機として駆動することができると共に電動機として駆動できる周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41,42を介してバッテリ50と電力のやりとりを行なう。インバータ41,42とバッテリ50とを接続する電力ライン54は、各インバータ41,42が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータMG1,MG2のいずれかで発電される電力を他のモータで消費することができるようになっている。モータMG1,MG2は、いずれもモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されている。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、モータECU40は、回転位置検出センサ43,44からの信号に基づいてモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2も演算している。
バッテリ50は、例えばリチウムイオン二次電池として構成されており、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された電圧センサ51aからのバッテリ電圧Vb,バッテリ50の出力端子に接続された電力ライン54に取り付けられた電流センサ51bからの充放電電流Ib,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51cからの電池温度Tbなどが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。また、バッテリECU52は、バッテリ50を管理するために電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいてバッテリ50の全容量に対するそのときの容量の割合として蓄電割合SOCを演算したり、演算した蓄電割合SOCと電池温度Tbとに基づいてバッテリ50を充放電してもよい最大許容電力である入出力制限Win,Woutを演算している。なお、バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、電池温度Tbに基づいて入出力制限Win,Woutの基本値を設定し、バッテリ50の蓄電割合SOCに基づいて出力制限用補正係数と入力制限用補正係数とを設定し、設定した入出力制限Win,Woutの基本値に補正係数を乗じることにより設定することができる。
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。ここで、シフトレバー81のシフトポジションSPとして、駐車時に用いる駐車ポジション(Pポジション)、後進走行用のリバースポジション(Rポジション)、中立のニュートラルポジション(Nポジション)、前進走行用の通常のドライブポジション(Dポジション)などが用意されている。また、車速センサ88は、シフトポジションSPがドライブポジション(Dポジション)のときには前進方向の車速を正とし、リバースポジション(Rポジション)のときには後進方向の車速を正として検出する。
こうして構成された第1実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。なお、トルク変換運転モードと充放電運転モードは、いずれもエンジン22の運転を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようエンジン22とモータMG1,MG2とを制御するモードであり、実質的な制御における差異はないため、以下、両者を合わせてエンジン運転モードという。
エンジン運転モードでは、ハイブリッド用電子制御ユニット70は、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accと車速センサ88からの車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*を設定し、設定した要求トルクTr*にリングギヤ軸32aの回転数Nr(例えば、モータMG2の回転数Nm2を減速ギヤ35のギヤ比で除して得られる回転数や車速Vに換算係数を乗じて得られる回転数)を乗じて走行に要求される走行用パワーPr*を計算すると共に計算した走行用パワーPr*からバッテリ50の残容量(SOC)に基づいて得られるバッテリ50の充放電要求パワーPb*(バッテリ50から放電するときが正の値)を減じてエンジン22から出力すべきパワーとしての要求パワーPe*を設定し、要求パワーPe*を効率よくエンジン22から出力することができるエンジン22の回転数NeとトルクTeとの関係としての動作ライン(例えば燃費最適動作ライン)を用いてエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定し、バッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で、エンジン22の回転数Neが目標回転数Ne*となるようにするための回転数フィードバック制御によりモータMG1から出力すべきトルクとしてのトルク指令Tm1*を設定すると共にモータMG1をトルク指令Tm1*で駆動したときに動力分配統合機構30を介してリングギヤ軸32aに作用するトルクを要求トルクTr*から減じてモータMG2のトルク指令Tm2*を設定し、目標回転数Ne*と目標トルクTe*とについてエンジンECU24に送信し、トルク指令Tm1*,Tm2*についてはモータECU40に送信する。そして、目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを受信したエンジンECU24は、目標回転数Ne*と目標トルクTe*とに基づいてEGR率Reの目標値としての目標EGR率Re*を設定し、目標回転数Ne*と目標トルクTe*とによってエンジン22が運転されるようエンジン22の吸入空気量制御や燃料噴射制御,点火制御などを行なうと共にEGR率Reが目標EGR率Re*となるようEGRシステム160のEGRバルブ164の開度を調整する。また、トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、モータMG1,MG2がトルク指令Tm1*,Tm2*で駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。
モータ運転モードでは、ハイブリッド用電子制御ユニット70は、モータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定する共にバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG2のトルク指令Tm2*を設定してモータECU40に送信する。そして、トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、モータMG1,MG2がトルク指令Tm1*,Tm2*で駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。
次に、こうして構成された第1実施例のハイブリッド自動車20の動作、特にリバース走行(後進走行)するときの動作について説明する。図2は、シフトレバー81がリバースポジション(Rポジション)とされたときに第1実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行されるリバース走行時駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、シフトレバー81がリバースポジション(Rポジション)とされている最中は所定時間毎(例えば数msec毎)に繰り返し実行される。なお、シフトレバー81がリバースポジションとされているときには、バッテリ50の蓄電割合SOCが低下してバッテリ50を充電する必要が生じて充電要求がなされたときを除いてエンジン22の燃料噴射や点火は停止される。
リバース走行時駆動制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accやエンジン22の回転数Ne,モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,車速センサ88からの車速V,バッテリ50の出力制限Woutなど制御に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS100)。ここで、エンジン22の回転数Neはクランクシャフト26に取り付けられた図示しないクランクポジションセンサからの信号に基づいて演算されたものをエンジンECU24から通信により入力するものとした。また、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2は、回転位置検出センサ43,44により検出されたモータMG1,MG2の回転子の回転位置に基づいて演算されたものをモータECU40から通信により入力するものとした。さらに、バッテリ50の出力制限Woutは、バッテリ50の電池温度Tbとバッテリ50の残容量(SOC)とに基づいて設定されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。車速Vは、前述したようにシフトポジションSPがリバースポジション(Rポジション)のときには後進方向の車速を正としている。
こうしてデータを入力すると、入力したアクセル開度Accと車速Vとに基づいて車両に要求されるトルクとして駆動輪63a,63bに連結された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*を設定すると共に(ステップS110)、設定した要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setを超えているか否かを判定する(ステップS120)。ここで、要求トルクTr*は、第1実施例では、アクセル開度Accと車速Vと要求トルクTr*との関係を予め定めて要求トルク設定用マップとしてROM74に記憶しておき、アクセル開度Accと車速Vとが与えられると記憶したマップから対応する要求トルクTr*を導出して設定するものとした。図3に要求トルク設定用マップの一例を示す。
要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2set以下のときには、モータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定し(ステップS130)、バッテリ50の出力制限WoutをモータMG2の回転数Nm2で除した値としてトルク制限Tm2maxを計算すると共に(ステップS140)、要求トルクTr*を減速ギヤ35のギヤ比Grで除したものとトルク制限Tm2maxとのうち小さい方をモータMG2のトルク指令Tm2*として設定し(ステップS142)、設定したトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信して(ステップS190)、本ルーチンを終了する。トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm1*でモータMG1が駆動されると共にトルク指令Tm2*でモータMG2が駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。モータMG2からのトルクだけでリバース走行しているときの動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を図4に示す。左のS軸はモータMG1の回転数Nm1であるサンギヤ31の回転数を示し、C軸はエンジン22の回転数Neであるキャリア34の回転数を示し、R軸はモータMG2の回転数Nm2を減速ギヤ35のギヤ比Grで除したリングギヤ32の回転数Nrを示し、R軸上の太線矢印はモータMG2から出力されるトルクTm2が減速ギヤ35を介してリングギヤ軸32aに作用するトルクを示す。図示するように、共線図上では、右から駆動軸としてのリングギヤ軸32aの回転数Nrを示すR軸,エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26の回転数Neを示すC軸,モータMG1の回転数Nm1を示すS軸の順に並んでいる。こうした制御により、モータMG2の定格値とバッテリ50の出力制限Woutの範囲内でモータMG2からリバース走行用の要求トルクTr*を出力して走行することができる。
ステップS120で要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setを超えていると判定されると、アクセル開度Accに基づいてエンジン22の目標回転数Ne*を設定すると共に(ステップS150)、アクセル開度Accに基づいてエンジン22の回転数Neの単位時間(このルーチンの起動頻度を単位時間としたときの単位時間)当たりの上昇の程度としての上昇レート値Nertを設定する(ステップS160)。ここで、エンジン22の目標回転数Ne*は、第1実施例では、アクセル開度Accと目標回転数Ne*との関係を予め設定して目標回転数設定用マップとしてROM74に記憶しておき、アクセル開度Accが与えられるとマップから対応する目標回転数Ne*を導出することにより設定するものとした。目標回転数設定用マップの一例を図5に示す。図示するように、エンジン22の目標回転数Ne*は、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向に設定されている。これは、アクセル開度Accが大きいほどエンジン22のフリクションが大きくなり、このフリクションにより駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるトルクが大きくなることに基づく。また、上昇レート値Nertは、第1実施例では、アクセル開度Accと上昇レート値Nertとの関係を予め設定して上昇レート値設定用マップとしてROM74に記憶しておき、アクセル開度Accが与えられるとマップから対応する上昇レート値Nertを導出することにより設定するものとした。上昇レート値設定用マップの一例を図6に示す。図示するように、上昇レート値Nertは、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向に設定されている。これは、アクセル開度Accが大きいほどエンジン22の回転数Neの上昇に必要なエネルギが大きくなって駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるトルクが大きくなることに基づく。
こうしてエンジン22の目標回転数Ne*と上昇レート値Nertを設定すると、設定した目標回転数Ne*とエンジン22の回転数Neに上昇レート値Nertを加えたものとのうち小さい方を制御用回転数N*として設定し(ステップS170)、次式(1)によりエンジン22が制御用回転数N*で回転するようモータMG1のトルク指令Tm1*を設定する(ステップS172)。式(1)は、エンジン22を制御用回転数N*で回転されるためのフィードバック制御における関係式である。式(1)中、「k1」は比例項のゲインであり、「k2」は積分項のゲインである。制御用回転数N*は、このルーチンが実行される毎に制御用回転数N*は目標回転数Ne*に至るまで上昇レート値Nertずつ大きくなるよう設定されるから、エンジン22は上昇レート値Nertによるレート処理によって、上昇レート値Nertが大きいときには迅速にエンジン22の回転数Neを上昇させてエンジン22が目標回転数Ne*で回転するようになり、上昇レート値Nertが小さいときにはゆっくりとエンジン22の回転数Neを上昇させてエンジン22が目標回転数Ne*で回転するようになる。
Tm1*=k1・(N*-Ne)+k2・∫(N*-Ne)dt (1)
続いて、要求トルクTr*に設定したトルク指令Tm1*を動力分配統合機構30のギヤ比ρで除したものを加えて更に減速ギヤ35のギヤ比Grで除してモータMG2から出力すべきトルクの仮の値である仮トルクTm2tmpを次式(2)により計算し(ステップS180)、バッテリ50の出力制限Woutと設定したトルク指令Tm1*に現在のモータMG1の回転数Nm1を乗じて得られるモータMG1の消費電力との偏差をモータMG2の回転数Nm2で割ることによりモータMG2から出力してもよいトルクの上限としてのトルク制限Tm2maxを式(3)により計算すると共に(ステップS182)、設定した仮トルクTm2tmpとトルク制限Tm2maxのうちの小さい方をモータMG2のトルク指令Tm2*として設定する(ステップS184)。なお、式(2)は、図4の共線図を用いて力学的な関係式として求めることができる。
Tm2tmp=(Tr*+Tm1*/ρ)/Gr (2)
Tm2max=(Wout-Tm1*・Nm1)/Nm2 (3)
そして、設定したモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信して(ステップS190)、本ルーチンを終了する。モータMG2からのトルクとエンジン22のモータリングによるトルクとによりリバース走行しているときの動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を図7に示す。図中、R軸上の2つの太線矢印は、モータMG1から出力されたトルクTm1がリングギヤ軸32aに作用するトルクと、モータMG2から出力されるトルクTm2が減速ギヤ35を介してリングギヤ軸32aに作用するトルクとを示す。こうした制御により、バッテリ50の出力制限Woutの範囲内で、モータMG1によるエンジン22のモータリングにより駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるトルクとモータMG2から出力されるトルクとにより、リバース走行用の要求トルクTr*を出力して走行することができる。
図8は、リバース走行時に要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setw超えているときのアクセル開度Accとエンジン22の回転数Neの時間変化の様子を示す説明図である。図中、実線はアクセルペダル83の踏み込みが大きくアクセル開度Accが大きな値Acc1となってエンジン22の目標回転数Ne*に大きな値Ne1が設定されると共に上昇レート値Nertに大きな値Nert1が設定されたときのアクセル開度Accとエンジン22の回転数Neの時間変化を示し、一点鎖線はアクセルペダル83の踏み込みが実線のときより小さくアクセル開度Accが値Acc1より小さな値Acc2となってエンジン22の目標回転数Ne*に値Ne1より小さい値Ne2が設定されると共に上昇レート値Nertに値Nert1より小さい値Nert2が設定されたときのアクセル開度Accとエンジン22の回転数Neの時間変化を示す。アクセルペダル83の踏み込みが大きいと、駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*も大きな値が設定されるが、図の実線に示すように、エンジン22の目標回転数Ne*も上昇レート値Nertも大きな値Ne1,Nert1が設定されるから、モータMG1のトルク指令Tm1*には大きな値が設定される。このため、エンジン22は迅速に回転数Neを上昇させて時間T12で目標回転数Ne*(値Ne1)で回転するようになる。このとき、リングギヤ軸32aには、大きな値として設定されたモータMG1のトルク指令Tm1*に相当するトルクとモータMG2のトルク指令Tm2*に相当するトルクとの和のトルクが出力されるから、大きなトルクが出力されることになる。一方、アクセルペダル83の踏み込みが実線のときに比して小さいと、要求トルクTr*は実線のときより小さな値が設定され、図の一点鎖線に示すように、エンジン22の目標回転数Ne*も上昇レート値Nertも実線のときより小さな値Ne2,Nert2が設定されるから、モータMG1のトルク指令Tm1*にも実線のときより小さな値が設定される。このため、エンジン22は実線のときよりゆっくりと回転数Neを上昇させて時間T13で目標回転数Ne*(値Ne2)で回転するようになる。このとき、リングギヤ軸32aには、実線のときより小さな値として設定されたモータMG1のトルク指令Tm1*に相当するトルクとモータMG2のトルク指令Tm2*に相当するトルクとの和のトルクが出力されるから、実線のときより小さなトルクが出力されることになる。このように、アクセル開度Accが大きくなるほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*と上昇レート値Nrtとを設定することにより、運転者のアクセルペダル83の踏み込み量に応じたトルクをリングギヤ軸32aに出力してリバース走行することができる。
以上説明した第1実施例のハイブリッド自動車20によれば、要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setを超えているときには、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定すると共にアクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向に上昇レート値Nertを設定し、エンジン22が設定した上昇レート値Nertを用いたレート処理により目標回転数Ne*で回転すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1,MG2を制御することにより、リバース走行時のトルク出力を運転者のアクセルペダル83の操作量としてのアクセル開度Accに応じたものとすることができる。即ち、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定することにより、アクセル開度Accが大きいほどエンジン22のフリクションが大きくなって、このフリクションにより駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるトルクが大きくなるようにし、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向に上昇レート値Nertに設定することにより、アクセル開度Accが大きいほどエンジン22の回転数Neの上昇に必要なエネルギが大きくなることから、駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるトルクが大きくなるようにすることにより、リバース走行時のトルク出力を運転者のアクセルペダル83の操作量としてのアクセル開度Accに応じたものとすることができるのである。
第1実施例のハイブリッド自動車20では、要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setを超えているときに、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定すると共にアクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向に上昇レート値Nertを設定し、エンジン22が設定した上昇レート値Nertを用いたレート処理により目標回転数Ne*で回転すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1,MG2を制御するものとしたが、要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setを超えていないときでも、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定すると共にアクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向に上昇レート値Nertを設定し、エンジン22が設定した上昇レート値Nertを用いたレート処理により目標回転数Ne*で回転すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1,MG2を制御するものとしてもよい。
また、第1実施例のハイブリッド自動車20では、要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setを超えているときに、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定すると共にアクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向に上昇レート値Nertを設定し、エンジン22が設定した上昇レート値Nertを用いたレート処理により目標回転数Ne*で回転すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1,MG2を制御するものとしたが、モータMG2の温度やモータMG2を駆動するインバータ42の温度などによりモータMG2の駆動制限が課されているときには、要求トルクTr*がモータMG2の駆動制限により出力可能なトルクを超えているときに、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定すると共にアクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向に上昇レート値Nertを設定し、エンジン22が設定した上昇レート値Nertを用いたレート処理により目標回転数Ne*で回転すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1,MG2を制御するものとしてもよい。
次に、本発明の第2実施例のハイブリッド自動車20Bについて説明する。第2実施例のハイブリッド自動車20Bは、図1に例示した第1実施例のハイブリッド自動車20と同一のハード構成をしており、リバース走行時の制御を除いて同一の制御が行なわれている。したがって、重複する記載を回避するために、第2実施例のハイブリッド自動車20Bのハード構成およびリバース走行時の制御を除く制御についての説明は省略する。なお、第2実施例のハイブリッド自動車20Bのハード構成については、第1実施例のハイブリッド自動車20のハード構成と同一の符号を用いる。以下、第2実施例のハイブリッド自動車20Bにおけるリバース走行時の制御について説明する。図9は、シフトレバー81がリバースポジション(Rポジション)とされたときに第2実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行されるリバース走行時駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、シフトレバー81がリバースポジション(Rポジション)とされている最中は所定時間毎(例えば数msec毎)に繰り返し実行される。なお、第2実施例でも、シフトレバー81がリバースポジションとされているときには、バッテリ50の蓄電割合SOCが低下してバッテリ50を充電する必要が生じて充電要求がなされたときを除いてエンジン22の燃料噴射や点火は停止される。
リバース走行時駆動制御ルーチンが実行されると、第2実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accやエンジン22の回転数Ne,モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,車速センサ88からの車速V,冷却水温Tw,バッテリ50の出力制限Woutなど制御に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS200)。ここで、冷却水温Twは、温度センサ23により検出されたものをエンジンECU24から通信により入力するものとした。エンジン22の回転数NeやモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,バッテリ50の出力制限Woutについては、第1実施例と同様である。
続いて、入力したアクセル開度Accと車速Vと図3に例示した要求トルク設定用マップとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*を設定すると共に(ステップS210)、設定した要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setを超えているか否かを判定し(ステップS220)、要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2set以下のときには、モータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定し(ステップS230)、バッテリ50の出力制限WoutをモータMG2の回転数Nm2で除した値としてトルク制限Tm2maxを計算すると共に(ステップS240)、要求トルクTr*を減速ギヤ35のギヤ比Grで除したものとトルク制限Tm2maxとのうち小さい方をモータMG2のトルク指令Tm2*として設定し(ステップS242)、設定したトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信して(ステップS290)、本ルーチンを終了する。これらの処理は第1実施例の図2のリバース走行時駆動制御ルーチンのステップS110〜S142,S190の処理と同一である。
ステップS220で要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setw超えていると判定されると、アクセル開度Accと図5に例示した目標回転数設定用マップとに基づいてエンジン22の目標回転数Ne*を設定すると共に(ステップS250)、冷却水温Twに基づいてエンジン22の回転数Neの単位時間(このルーチンの起動頻度を単位時間としたときの単位時間)当たりの上昇の程度としての上昇レート値Nertを設定する(ステップS260)。ここで、上昇レート値Nertは、第2実施例では、冷却水温Twと上昇レート値Nertとの関係を予め設定して上昇レート値設定用マップとしてROM74に記憶しておき、冷却水温Twが与えられるとマップから対応する上昇レート値Nertを導出することにより設定するものとした。冷却水温Twに基づく上昇レート値設定用マップの一例を図10に示す。図示するように、上昇レート値Nertは、冷却水温Twが高いほど大きくなる傾向に設定されている。これは、冷却水温Twが高いほどエンジン22の潤滑油の温度も高く、エンジン22のフリクションが小さくなって駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるトルクが小さくなるため、上昇レート値を大きくすることにより、エンジン22の回転数Neの上昇に必要なエネルギを大きくすることによってモータMG1のトルク指令Tm1*を大きくし、リングギヤ軸32aに出力されるトルクを大きくすることに基づく。なお、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定するのは、第1実施例と同様に、アクセル開度Accが大きいほどエンジン22のフリクションが大きくなり、このフリクションにより駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるトルクが大きくなることに基づく。
こうしてエンジン22の目標回転数Ne*と上昇レート値Nertを設定すると、第1実施例の図2のリバース走行時駆動制御ルーチンのステップS170〜S190の処理と同一の処理、即ち、目標回転数Ne*とエンジン22の回転数Neに上昇レート値Nertを加えたものとのうち小さい方を制御用回転数N*として設定する処理(ステップS270)、式(1)によりエンジン22が制御用回転数N*で回転するようモータMG1のトルク指令Tm1*を設定する処理(ステップS272)、式(2)によりモータMG2から出力すべきトルクの仮の値である仮トルクTm2tmpを設定する処理(ステップS280)、式(3)によりモータMG2から出力してもよいトルクの上限としてのトルク制限Tm2maxを計算する処理(ステップS282)、仮トルクTm2tmpとトルク制限Tm2maxのうちの小さい方をモータMG2のトルク指令Tm2*として設定する処理(ステップS284)、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信する処理(ステップS290)、を実行して、本ルーチンを終了する。こうした制御により、バッテリ50の出力制限Woutの範囲内で、モータMG1によるエンジン22のモータリングにより駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるトルクとモータMG2から出力されるトルクとにより、リバース走行用の要求トルクTr*を出力して走行することができる。
図11は、リバース走行時に要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setw超えているときのアクセル開度Accとエンジン22の回転数Neの時間変化の様子を示す説明図である。図中、実線は、アクセル開度Accが値Acc1であることによりエンジン22の目標回転数Ne*に値Ne1が設定されると共に冷却水温Twが高いために上昇レート値Nertに大きな値Nert1が設定されたときのアクセル開度Accとエンジン22の回転数Neの時間変化を示し、一点鎖線は実線のときと同様にアクセル開度Accが値Acc1であることによりエンジン22の目標回転数Ne*に値Ne1が設定されているが冷却水温Twが低いために上昇レート値Nertに値Nert1より小さい値Nert2が設定されたときのアクセル開度Accとエンジン22の回転数Neの時間変化を示す。実線に示すように、冷却水温Twが高いと上昇レート値Nertに大きな値Nert1が設定されるが、エンジン22のフリクションが小さいため、エンジン22の回転数Neの制御回転数N*への追従性が良好になるため、モータMG1のトルク指令Tm1*には制御回転数N*と回転数Neとの比較的小さな差分と比較的大きな上昇レート値Nertの増加分との和に対応するトルクが設定されることになる。一方、冷却水温Twが低いと上昇レート値Nertに小さな値Nert1が設定されるが、エンジン22のフリクションが大きいため、エンジン22の回転数Neの制御回転数N*への追従性が実線のときに比して悪くなるため、モータMG1のトルク指令Tm1*には制御回転数N*と回転数Neとの実線のときに比して大きな差分と比較的小さな上昇レート値Nertの増加分との和に対応するトルクが設定されることになる。したがって、冷却水温Twが高いときでも低いときでもモータMG1のトルク指令Tm1*には略同一の値が設定されるようになる。これにより、冷却水温Twの高低に拘わらずに、運転者のアクセルペダル83の踏み込み量に応じたトルクをリングギヤ軸32aに出力してリバース走行することができる。なお、冷却水温Twが高いときには、上昇レート値Nertに大きな値Nert1が設定されるから、エンジン22は迅速に回転数Neを上昇させて時間T22で目標回転数Ne*(値Ne1)で回転するようになり、逆に、冷却水温Twが低いときには、上昇レート値Nertに小さな値Nert2が設定されるから、エンジン22はゆっくり回転数Neを上昇させて時間T23で目標回転数Ne*(値Ne1)で回転するようになる。
以上説明した第2実施例のハイブリッド自動車20Bによれば、要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setを超えているときには、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定すると共に冷却水温Twが高いほど大きくなる傾向に上昇レート値Nertを設定し、エンジン22が設定した上昇レート値Nertを用いたレート処理により目標回転数Ne*で回転すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1,MG2を制御することにより、冷却水温Twの高低に拘わらずに、運転者のアクセルペダル83の踏み込み量に応じたトルクをリングギヤ軸32aに出力してリバース走行することができる。即ち、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定することにより、アクセル開度Accが大きいほどエンジン22のフリクションが大きくなって、このフリクションにより駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるトルクが大きくなるようにし、冷却水温Twが高いほど大きくなる傾向に上昇レート値Nertに設定することにより、冷却水温Twの高低によってエンジン22のフリクションが変化することに対応することにより、リバース走行時のトルク出力を運転者のアクセルペダル83の操作量としてのアクセル開度Accに応じたものとすることができるのである。
第2実施例のハイブリッド自動車20Bでは、要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setを超えているときに、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定すると共に冷却水温Twが高いほど大きくなる傾向に上昇レート値Nertを設定し、エンジン22が設定した上昇レート値Nertを用いたレート処理により目標回転数Ne*で回転すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1,MG2を制御するものとしたが、要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setを超えていないときでも、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定すると共に冷却水温Twが高いほど大きくなる傾向に上昇レート値Nertを設定し、エンジン22が設定した上昇レート値Nertを用いたレート処理により目標回転数Ne*で回転すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1,MG2を制御するものとしてもよい。
また、第2実施例のハイブリッド自動車20Bでは、要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setを超えているときに、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定すると共に冷却水温Twが高いほど大きくなる傾向に上昇レート値Nertを設定し、エンジン22が設定した上昇レート値Nertを用いたレート処理により目標回転数Ne*で回転すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1,MG2を制御するものとしたが、モータMG2の温度やモータMG2を駆動するインバータ42の温度などによりモータMG2の駆動制限が課されているときには、要求トルクTr*がモータMG2の駆動制限により出力可能なトルクを超えているときに、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定すると共に冷却水温Twが高いほど大きくなる傾向に上昇レート値Nertを設定し、エンジン22が設定した上昇レート値Nertを用いたレート処理により目標回転数Ne*で回転すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1,MG2を制御するものとしてもよい。
次に、本発明の第3実施例のハイブリッド自動車20Cについて説明する。第3実施例のハイブリッド自動車20Cは、図1に例示した第1実施例のハイブリッド自動車20と同一のハード構成をしており、リバース走行時の制御を除いて同一の制御が行なわれている。したがって、重複する記載を回避するために、第3実施例のハイブリッド自動車20Cのハード構成およびリバース走行時の制御を除く制御についての説明は省略する。なお、第3実施例のハイブリッド自動車20Cのハード構成については、第1実施例のハイブリッド自動車20のハード構成と同一の符号を用いる。以下、第3実施例のハイブリッド自動車20Cにおけるリバース走行時の制御について説明する。図12は、シフトレバー81がリバースポジション(Rポジション)とされたときに第3実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行されるリバース走行時駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、シフトレバー81がリバースポジション(Rポジション)とされている最中は所定時間毎(例えば数msec毎)に繰り返し実行される。なお、第3実施例でも、シフトレバー81がリバースポジションとされているときには、バッテリ50の蓄電割合SOCが低下してバッテリ50を充電する必要が生じて充電要求がなされたときを除いてエンジン22の燃料噴射や点火は停止される。
リバース走行時駆動制御ルーチンが実行されると、第3実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accやエンジン22の回転数Ne,モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,車速センサ88からの車速V,バッテリ50の蓄電割合SOC,バッテリ50の出力制限Woutなど制御に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS300)。ここで、バッテリ50の蓄電割合SOCは、電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいて演算されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。エンジン22の回転数NeやモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,バッテリ50の出力制限Woutについては、第1実施例と同様である。
続いて、入力したアクセル開度Accと車速Vと図3に例示した要求トルク設定用マップとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*を設定すると共に(ステップS310)、設定した要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setを超えているか否かを判定し(ステップS320)、要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2set以下のときには、モータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定し(ステップS330)、バッテリ50の出力制限WoutをモータMG2の回転数Nm2で除した値としてトルク制限Tm2maxを計算すると共に(ステップS340)、要求トルクTr*を減速ギヤ35のギヤ比Grで除したものとトルク制限Tm2maxとのうち小さい方をモータMG2のトルク指令Tm2*として設定し(ステップS342)、設定したトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信して(ステップS390)、本ルーチンを終了する。これらの処理は第1実施例の図2のリバース走行時駆動制御ルーチンのステップS110〜S142,S190の処理と同一である。
ステップS320で要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setを超えていると判定されると、アクセル開度Accと図5に例示した目標回転数設定用マップとに基づいてエンジン22の目標回転数Ne*を設定し(ステップS350)、バッテリ50の出力制限Woutから前回このルーチンが実行されたときに設定されたモータMG2のトルク指令Tm2*にモータMG2の回転数Nm2を乗じたものを減じた値としてレート値用パラメータΔWを設定すると共に(ステップS360)、設定したレート値用パラメータΔWに基づいてエンジン22の回転数Neの単位時間(このルーチンの起動頻度を単位時間としたときの単位時間)当たりの上昇の程度としての上昇レート値Nertを設定する(ステップS362)。ここで、上昇レート値Nertは、第3実施例では、レート値用パラメータΔWと上昇レート値Nertとの関係を予め設定して上昇レート値設定用マップとしてROM74に記憶しておき、レート値用パラメータΔWが与えられるとマップから対応する上昇レート値Nertを導出することにより設定するものとした。レート値用パラメータΔWに基づく上昇レート値設定用マップの一例を図13に示す。図示するように、上昇レート値Nertはレート値用パラメータΔWが大きいほど大きくなる傾向に設定されている。これは、レート値用パラメータΔWが大きいほどバッテリ50から出力可能な電力が大きくなる(余裕がある)ため、上昇レート値Nertを大きくしてモータMG1のトルク指令Tm1*を大きくしても、バッテリ50からの放電電力でモータMG1,MG2で消費する電力を賄うことができることに基づく。なお、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定するのは、第1実施例と同様に、アクセル開度Accが大きいほどエンジン22のフリクションが大きくなり、このフリクションにより駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるトルクが大きくなることに基づく。
こうしてエンジン22の目標回転数Ne*と上昇レート値Nertを設定すると、第1実施例の図2のリバース走行時駆動制御ルーチンのステップS170〜S190の処理と同一の処理、即ち、目標回転数Ne*とエンジン22の回転数Neに上昇レート値Nertを加えたものとのうち小さい方を制御用回転数N*として設定する処理(ステップS370)、式(1)によりエンジン22が制御用回転数N*で回転するようモータMG1のトルク指令Tm1*を設定する処理(ステップS372)、式(2)によりモータMG2から出力すべきトルクの仮の値である仮トルクTm2tmpを設定する処理(ステップS380)、式(3)によりモータMG2から出力してもよいトルクの上限としてのトルク制限Tm2maxを計算する処理(ステップS382)、仮トルクTm2tmpとトルク制限Tm2maxのうちの小さい方をモータMG2のトルク指令Tm2*として設定する処理(ステップS384)、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信する処理(ステップS390)、を実行して、本ルーチンを終了する。こうした制御により、バッテリ50の出力制限Woutの範囲内で、モータMG1によるエンジン22のモータリングにより駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるトルクとモータMG2から出力されるトルクとにより、リバース走行用の要求トルクTr*を出力して走行することができる。
図14は、リバース走行時に要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setw超えているときのアクセル開度Accとエンジン22の回転数Neと車速Vの時間変化の様子を示す説明図である。図示するように、時間T31では車速Vは値0であるため、モータMG2から大きなトルクを出力してもモータMG2の消費電力は小さい。このため、バッテリ50の出力制限WoutからモータMG2の消費電力を減じて計算されるレート値用パラメータΔWは大きな値となり、上昇レート値Nertには大きな値が設定され、時間T31以降の車速Vが小さいときには、大きな上昇レート値Nertによりエンジン22の回転数Neは迅速に上昇する。このとき、モータMG1のトルク指令Tm1*には、大きな上昇レート値Nertにより比較的大きな値が設定されることになる。車速Vが徐々に大きくなると、モータMG2の回転数Nm2も大きくなり、モータMG2の消費電力も大きくなるから、レート値用パラメータΔWは徐々に小さくなる。このため、上昇レート値Nertの値も徐々に小さくなり、エンジン22の回転数Neの上昇速度は小さくなっていく。このとき、モータMG1のトルク指令Tm1*には、徐々に小さくなる上昇レート値Nertにより徐々に小さくなる値が設定されることになる。そして、エンジン22の回転数Neが目標回転数Ne*(値Ne1)に至ると、その回転数が保持され、モータMG1のトルク指令Tm1*には、エンジン22を目標回転数Ne*で保持するのに必要な値が設定される。こうした制御により、バッテリ50から放電可能な電力に応じてモータMG1のトルク指令Tm1*を設定することができるようになる。即ち、モータMG1によるエンジン22のモータリングによって駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるトルクを運転者のアクセル操作量とバッテリ50から出力可能な余裕の電力に応じたものとすることができるのである。
以上説明した第3実施例のハイブリッド自動車20Cによれば、要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setを超えているときには、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定すると共にバッテリ50の出力制限WoutからモータMG2の消費電力を減じて計算されるレート値用パラメータΔWが大きいほど大きくなる傾向に上昇レート値Nertを設定し、エンジン22が設定した上昇レート値Nertを用いたレート処理により目標回転数Ne*で回転すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1,MG2を制御することにより、モータMG1によるエンジン22のモータリングによって駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力するトルクをバッテリ50から出力可能な余裕の電力に応じたものとすることができると共に運転者のアクセルペダル83の踏み込み量に応じたトルクをリングギヤ軸32aに出力してリバース走行することができる。即ち、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定することにより、アクセル開度Accが大きいほどエンジン22のフリクションが大きくなって、このフリクションにより駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるトルクが大きくなるようにし、バッテリ50の出力制限WoutからモータMG2の消費電力を減じて計算されるレート値用パラメータΔWが大きいほど大きくなる傾向に上昇レート値Nertを設定することにより、モータMG1によるエンジン22のモータリングによってリングギヤ軸32aに出力するトルクをバッテリ50から出力可能な余裕の電力に応じたものとすることができるのである。
第3実施例のハイブリッド自動車20Cでは、要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setを超えているときに、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定すると共にバッテリ50の出力制限WoutからモータMG2の消費電力を減じて計算されるレート値用パラメータΔWが大きいほど大きくなる傾向に上昇レート値Nertを設定し、エンジン22が設定した上昇レート値Nertを用いたレート処理により目標回転数Ne*で回転すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1,MG2を制御するものとしたが、要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setを超えていないときでも、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定すると共にバッテリ50の出力制限WoutからモータMG2の消費電力を減じて計算されるレート値用パラメータΔWが大きいほど大きくなる傾向に上昇レート値Nertを設定し、エンジン22が設定した上昇レート値Nertを用いたレート処理により目標回転数Ne*で回転すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1,MG2を制御するものとしてもよい。
また、第3実施例のハイブリッド自動車20Cでは、要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setを超えているときに、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定すると共にバッテリ50の出力制限WoutからモータMG2の消費電力を減じて計算されるレート値用パラメータΔWが大きいほど大きくなる傾向に上昇レート値Nertを設定し、エンジン22が設定した上昇レート値Nertを用いたレート処理により目標回転数Ne*で回転すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1,MG2を制御するものとしたが、モータMG2の温度やモータMG2を駆動するインバータ42の温度などによりモータMG2の駆動制限が課されているときには、要求トルクTr*がモータMG2の駆動制限により出力可能なトルクを超えているときに、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定すると共にバッテリ50の出力制限WoutからモータMG2の消費電力を減じて計算されるレート値用パラメータΔWが大きいほど大きくなる傾向に上昇レート値Nertを設定し、エンジン22が設定した上昇レート値Nertを用いたレート処理により目標回転数Ne*で回転すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1,MG2を制御するものとしてもよい。
次に、本発明の第4実施例のハイブリッド自動車20Dについて説明する。第4実施例のハイブリッド自動車20Dは、図1に例示した第1実施例のハイブリッド自動車20と同一のハード構成をしており、リバース走行時の制御を除いて同一の制御が行なわれている。したがって、重複する記載を回避するために、第4実施例のハイブリッド自動車20Dのハード構成およびリバース走行時の制御を除く制御についての説明は省略する。なお、第4実施例のハイブリッド自動車20Dのハード構成については、第1実施例のハイブリッド自動車20のハード構成と同一の符号を用いる。以下、第4実施例のハイブリッド自動車20Dにおけるリバース走行時の制御について説明する。図15は、シフトレバー81がリバースポジション(Rポジション)とされたときに第4実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行されるリバース走行時駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、シフトレバー81がリバースポジション(Rポジション)とされている最中は所定時間毎(例えば数msec毎)に繰り返し実行される。なお、第4実施例でも、シフトレバー81がリバースポジションとされているときには、バッテリ50の蓄電割合SOCが低下してバッテリ50を充電する必要が生じて充電要求がなされたときを除いてエンジン22の燃料噴射や点火は停止される。
リバース走行時駆動制御ルーチンが実行されると、第4実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accやエンジン22の回転数Ne,モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,車速センサ88からの車速V,バッテリ電圧Vb,バッテリ50の出力制限Woutなど制御に必要なデータを入力する(ステップS400)。ここで、バッテリ電圧Vbは、電圧センサ51aにより検出されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。エンジン22の回転数NeやモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,バッテリ50の出力制限Woutについては、第1実施例と同様である。
続いて、入力したアクセル開度Accと車速Vと図3に例示した要求トルク設定用マップとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*を設定すると共に(ステップS410)、設定した要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setを超えているか否かを判定し(ステップS420)、要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2set以下のときには、モータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定し(ステップS430)、バッテリ50の出力制限WoutをモータMG2の回転数Nm2で除した値としてトルク制限Tm2maxを計算すると共に(ステップS440)、要求トルクTr*を減速ギヤ35のギヤ比Grで除したものとトルク制限Tm2maxとのうち小さい方をモータMG2のトルク指令Tm2*として設定し(ステップS442)、設定したトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信して(ステップS490)、本ルーチンを終了する。これらの処理は第1実施例の図2のリバース走行時駆動制御ルーチンのステップS110〜S142,S190の処理と同一である。
ステップS420で要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setw超えていると判定されると、アクセル開度Accと図5に例示した目標回転数設定用マップとに基づいてエンジン22の目標回転数Ne*を設定し(ステップS450)、バッテリ電圧Vbからバッテリ50の状態として許容される下限の電圧として予め定められた下限電圧Vminを減じた値としてレート値用パラメータΔVを設定すると共に(ステップS460)、設定したレート値用パラメータΔVに基づいてエンジン22の回転数Neの単位時間(このルーチンの起動頻度を単位時間としたときの単位時間)当たりの上昇の程度としての上昇レート値Nertを設定する(ステップS462)。ここで、上昇レート値Nertは、第4実施例では、レート値用パラメータΔVと上昇レート値Nertとの関係を予め設定して上昇レート値設定用マップとしてROM74に記憶しておき、レート値用パラメータΔVが与えられるとマップから対応する上昇レート値Nertを導出することにより設定するものとした。レート値用パラメータΔVに基づく上昇レート値設定用マップの一例を図16に示す。図示するように、上昇レート値Nertはレート値用パラメータΔVが大きいほど大きくなる傾向に設定されている。これは、レート値用パラメータΔVが大きいほどバッテリ50の状態が良好であると考えることができるため、上昇レート値Nertを大きくしてモータMG1のトルク指令Tm1*を大きくし、モータMG1で大きな電力を消費しても、バッテリ50を良好な状態を保持することができることに基づく。なお、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定するのは、第1実施例と同様に、アクセル開度Accが大きいほどエンジン22のフリクションが大きくなり、このフリクションにより駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるトルクが大きくなることに基づく。
こうしてエンジン22の目標回転数Ne*と上昇レート値Nertを設定すると、第1実施例の図2のリバース走行時駆動制御ルーチンのステップS170〜S190の処理と同一の処理、即ち、目標回転数Ne*とエンジン22の回転数Neに上昇レート値Nertを加えたものとのうち小さい方を制御用回転数N*として設定する処理(ステップS470)、式(1)によりエンジン22が制御用回転数N*で回転するようモータMG1のトルク指令Tm1*を設定する処理(ステップS472)、式(2)によりモータMG2から出力すべきトルクの仮の値である仮トルクTm2tmpを設定する処理(ステップS480)、式(3)によりモータMG2から出力してもよいトルクの上限としてのトルク制限Tm2maxを計算する処理(ステップS482)、仮トルクTm2tmpとトルク制限Tm2maxのうちの小さい方をモータMG2のトルク指令Tm2*として設定する処理(ステップS484)、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信する処理(ステップS490)、を実行して、本ルーチンを終了する。こうした制御により、バッテリ50の出力制限Woutの範囲内で、モータMG1によるエンジン22のモータリングにより駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるトルクとモータMG2から出力されるトルクとにより、リバース走行用の要求トルクTr*を出力して走行することができる。
図17は、リバース走行時に要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setw超えているときのアクセル開度Accとエンジン22の回転数Neの時間変化の様子を示す説明図である。図中、実線は、アクセル開度Accが値Acc1であることによりエンジン22の目標回転数Ne*に値Ne1が設定されると共にバッテリ電圧Vbから下限電圧Vminを減じて得られるレート値用パラメータΔVが大きいために上昇レート値Nertに大きな値Nert1が設定されたときのアクセル開度Accとエンジン22の回転数Neの時間変化を示し、一点鎖線は実線のときと同様にアクセル開度Accが値Acc1であることによりエンジン22の目標回転数Ne*に値Ne1が設定されているがレート値用パラメータΔVが小さいために上昇レート値Nertに値Nert1より小さい値Nert2が設定されたときのアクセル開度Accとエンジン22の回転数Neの時間変化を示す。実線に示すように、レート値用パラメータΔVが大きいと上昇レート値Nertに大きな値Nert1が設定されるため、モータMG1のトルク指令Tm1*に大きな値が設定されるが、レート値用パラメータΔVが大きいため、バッテリ50は良好な状態で保持される。このとき、エンジン22は迅速に回転数Neを上昇させて時間T42で目標回転数Ne*(値Ne1)で回転するようになる。一方、レート値用パラメータΔVが小さいと上昇レート値Nertに小さな値Nert1が設定されるため、モータMG1のトルク指令Tm1*に小さな値が設定されることにより、レート値用パラメータΔVが小さくても、バッテリ50を良好な状態で保持することができる。このとき、エンジン22は実線のときよりゆっくり回転数Neを上昇させて時間T43で目標回転数Ne*(値Ne1)で回転するようになる。これにより、バッテリ50が下限電圧Vmin未満になることによって劣化するのを抑止しながら、運転者のアクセルペダル83の踏み込み量に応じたトルクをリングギヤ軸32aに出力してリバース走行することができる。
以上説明した第4実施例のハイブリッド自動車20Dによれば、要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setを超えているときには、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定すると共にバッテリ電圧Vbから下限電圧Vminを減じて得られるレート値用パラメータΔVが大きいほど大きくなる傾向に上昇レート値Nertを設定し、エンジン22が設定した上昇レート値Nertを用いたレート処理により目標回転数Ne*で回転すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1,MG2を制御することにより、バッテリ50の劣化を抑制しながら運転者のアクセルペダル83の踏み込み量に応じたトルクをリングギヤ軸32aに出力してリバース走行することができる。即ち、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定することにより、アクセル開度Accが大きいほどエンジン22のフリクションが大きくなって、このフリクションにより駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるトルクが大きくなるようにし、バッテリ電圧Vbから下限電圧Vminを減じて得られるレート値用パラメータΔVが大きいほど大きくなる傾向に上昇レート値Nertを設定することにより、モータMG1の消費電力を調整してバッテリ50の劣化を抑制するのである。
第4実施例のハイブリッド自動車20Dでは、要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setを超えているときに、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定すると共にバッテリ電圧Vbから下限電圧Vminを減じて得られるレート値用パラメータΔVが大きいほど大きくなる傾向に上昇レート値Nertを設定し、エンジン22が設定した上昇レート値Nertを用いたレート処理により目標回転数Ne*で回転すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1,MG2を制御するものとしたが、要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setを超えていないときでも、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定すると共にバッテリ電圧Vbから下限電圧Vminを減じて得られるレート値用パラメータΔVが大きいほど大きくなる傾向に上昇レート値Nertを設定し、エンジン22が設定した上昇レート値Nertを用いたレート処理により目標回転数Ne*で回転すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1,MG2を制御するものとしてもよい。
また、第4実施例のハイブリッド自動車20Dでは、要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setを超えているときに、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定すると共にバッテリ電圧Vbから下限電圧Vminを減じて得られるレート値用パラメータΔVが大きいほど大きくなる傾向に上昇レート値Nertを設定し、エンジン22が設定した上昇レート値Nertを用いたレート処理により目標回転数Ne*で回転すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1,MG2を制御するものとしたが、モータMG2の温度やモータMG2を駆動するインバータ42の温度などによりモータMG2の駆動制限が課されているときには、要求トルクTr*がモータMG2の駆動制限により出力可能なトルクを超えているときに、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定すると共にバッテリ電圧Vbから下限電圧Vminを減じて得られるレート値用パラメータΔVが大きいほど大きくなる傾向に上昇レート値Nertを設定し、エンジン22が設定した上昇レート値Nertを用いたレート処理により目標回転数Ne*で回転すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1,MG2を制御するものとしてもよい。
次に、本発明の第5実施例のハイブリッド自動車20Eについて説明する。第5実施例のハイブリッド自動車20Eは、図1に例示した第1実施例のハイブリッド自動車20と同一のハード構成をしており、リバース走行時の制御を除いて同一の制御が行なわれている。したがって、重複する記載を回避するために、第5実施例のハイブリッド自動車20Eのハード構成およびリバース走行時の制御を除く制御についての説明は省略する。なお、第5実施例のハイブリッド自動車20Eのハード構成については、第1実施例のハイブリッド自動車20のハード構成と同一の符号を用いる。以下、第5実施例のハイブリッド自動車20Eにおけるリバース走行時の制御について説明する。図18は、シフトレバー81がリバースポジション(Rポジション)とされたときに第5実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行されるリバース走行時駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、シフトレバー81がリバースポジション(Rポジション)とされている最中は所定時間毎(例えば数msec毎)に繰り返し実行される。なお、第5実施例でも、シフトレバー81がリバースポジションとされているときには、バッテリ50の蓄電割合SOCが低下してバッテリ50を充電する必要が生じて充電要求がなされたときを除いてエンジン22の燃料噴射や点火は停止される。
リバース走行時駆動制御ルーチンが実行されると、第5実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accやエンジン22の回転数Ne,モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,車速センサ88からの車速V,エンジン冷却水温Tw,バッテリ電圧Vb,バッテリ50の蓄電割合SOC,バッテリ50の出力制限Woutなど制御に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS500)。ここで、バッテリ電圧Vbは、電圧センサ51aにより検出されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。エンジン22の回転数NeやモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,バッテリ電圧Vb,バッテリ50の蓄電割合SOC,バッテリ50の出力制限Woutについては、第1実施例や第3実施例,第4実施例と同様である。
続いて、入力したアクセル開度Accと車速Vと図3に例示した要求トルク設定用マップとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*を設定すると共に(ステップS510)、設定した要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setを超えているか否かを判定し(ステップS520)、要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2set以下のときには、モータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定し(ステップS530)、バッテリ50の出力制限WoutをモータMG2の回転数Nm2で除した値としてトルク制限Tm2maxを計算すると共に(ステップS540)、要求トルクTr*を減速ギヤ35のギヤ比Grで除したものとトルク制限Tm2maxとのうち小さい方をモータMG2のトルク指令Tm2*として設定し(ステップS542)、設定したトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信して(ステップS590)、本ルーチンを終了する。これらの処理は第1実施例の図2のリバース走行時駆動制御ルーチンのステップS110〜S142,S190の処理と同一である。
ステップS520で要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setw超えていると判定されると、アクセル開度Accと図5に例示した目標回転数設定用マップとに基づいてエンジン22の目標回転数Ne*を設定する(ステップS550)。そして、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向に図6に例示した上昇レート値設定用マップにアクセル開度Accを適用して第1上昇レート値Nert1を設定し(ステップS560)、冷却水温Twが高いほど大きくなる傾向に図10に例示した上昇レート値設定用マップに冷却水温Twを適用して第2上昇レート値Nert2を設定し(ステップS562)、バッテリ50の出力制限Woutから前回このルーチンが実行されたときに設定されたモータMG2のトルク指令Tm2*にモータMG2の回転数Nm2を乗じたものを減じて得られるレート値用パラメータΔWが大きいほど大きくなる傾向に図13に例示した上昇レート値設定用マップにレート値用パラメータΔWを適用して第3上昇レート値Nert3を設定し(ステップS564)、バッテリ電圧Vbからバッテリ50の状態として許容される下限の電圧として予め定められた下限電圧Vminを減じて得られるレート値用パラメータΔVが大きいほど大きくなる傾向に図16に例示した上昇レート値設定用マップにレート値用パラメータΔVを適用して第4上昇レート値Nert4を設定し(ステップS566)、設定した第1上昇レート値Nert1,第2上昇レート値Nert2,第3上昇レート値Nert3,第4上昇レート値Nert4のうち最も小さな値を実行用の上昇レート値Nertとして設定する(ステップS568)。このように上昇レート値Nertを設定することにより、モータMG1によるエンジン22のモータリングによって駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力するトルクを運転者のアクセルペダル83の操作量としてのアクセル開度Accに応じたものとすることと、モータMG1によるエンジン22のモータリングによって駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力するトルクを冷却水温Twの高低に拘わらないものとすることと、モータMG1によるエンジン22のモータリングによって駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力するトルクをバッテリ50から出力可能な余裕の電力に応じたものとすることと、モータMG1の消費電力を調整してバッテリ50の劣化を抑制することと、のうち必要なものに応じたものとすることができる。各理由については第1実施例ないぢ第4実施例に記載した。
こうしてエンジン22の目標回転数Ne*と上昇レート値Nertを設定すると、第1実施例の図2のリバース走行時駆動制御ルーチンのステップS170〜S190の処理と同一の処理、即ち、目標回転数Ne*とエンジン22の回転数Neに上昇レート値Nertを加えたものとのうち小さい方を制御用回転数N*として設定する処理(ステップS570)、式(1)によりエンジン22が制御用回転数N*で回転するようモータMG1のトルク指令Tm1*を設定する処理(ステップS572)、式(2)によりモータMG2から出力すべきトルクの仮の値である仮トルクTm2tmpを設定する処理(ステップS580)、式(3)によりモータMG2から出力してもよいトルクの上限としてのトルク制限Tm2maxを計算する処理(ステップS582)、仮トルクTm2tmpとトルク制限Tm2maxのうちの小さい方をモータMG2のトルク指令Tm2*として設定する処理(ステップS584)、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信する処理(ステップS590)、を実行して、本ルーチンを終了する。こうした制御により、バッテリ50の出力制限Woutの範囲内で、モータMG1によるエンジン22のモータリングにより駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるトルクとモータMG2から出力されるトルクとにより、リバース走行用の要求トルクTr*を出力して走行することができる。
以上説明した第5実施例のハイブリッド自動車20Eによれば、要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setを超えているときには、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定し、アクセル開度Accとが大きいほど大きくなる傾向に第1上昇レート値Nert1を設定し、冷却水温Twが高いほど大きくなる傾向に第2上昇レート値Nert2を設定し、バッテリ50の出力制限WoutからモータMG2の消費電力を減じて得られるレート値用パラメータΔWが大きいほど大きくなる傾向に第3上昇レート値Nert3を設定し、バッテリ電圧Vbから下限電圧Vminを減じて得られるレート値用パラメータΔVが大きいほど大きくなる傾向に第4上昇レート値Nert4を設定し、設定した第1上昇レート値Nert1,第2上昇レート値Nert2,第3上昇レート値Nert3,第4上昇レート値Nert4のうち最も小さな値を実行用の上昇レート値Nertとして設定し、エンジン22が設定した上昇レート値Nertを用いたレート処理により目標回転数Ne*で回転すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1,MG2を制御することにより、モータMG1によるエンジン22のモータリングによって駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力するトルクを運転者のアクセルペダル83の操作量としてのアクセル開度Accに応じたものとすることと、モータMG1によるエンジン22のモータリングによって駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力するトルクを冷却水温Twの高低に拘わらないものとすることと、モータMG1によるエンジン22のモータリングによって駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力するトルクをバッテリ50から出力可能な余裕の電力に応じたものとすることと、モータMG1の消費電力を調整してバッテリ50の劣化を抑制することと、のうち必要なものに応じたものとしながら運転者のアクセルペダル83の踏み込み量に応じたトルクをリングギヤ軸32aに出力してリバース走行することができる。
第5実施例のハイブリッド自動車20Eでは、要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setを超えているときに、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定すると共に第1上昇レート値Nert1,第2上昇レート値Nert2,第3上昇レート値Nert3,第4上昇レート値Nert4のうち最も小さな値を実行用の上昇レート値Nertとして設定し、エンジン22が設定した上昇レート値Nertを用いたレート処理により目標回転数Ne*で回転すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1,MG2を制御するものとしたが、要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setを超えていないときでも、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定すると共に第1上昇レート値Nert1,第2上昇レート値Nert2,第3上昇レート値Nert3,第4上昇レート値Nert4のうち最も小さな値を実行用の上昇レート値Nertとして設定し、エンジン22が設定した上昇レート値Nertを用いたレート処理により目標回転数Ne*で回転すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1,MG2を制御するものとしてもよい。
また、第5実施例のハイブリッド自動車20Eでは、要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setを超えているときに、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定すると共に第1上昇レート値Nert1,第2上昇レート値Nert2,第3上昇レート値Nert3,第4上昇レート値Nert4のうち最も小さな値を実行用の上昇レート値Nertとして設定し、エンジン22が設定した上昇レート値Nertを用いたレート処理により目標回転数Ne*で回転すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1,MG2を制御するものとしたが、モータMG2の温度やモータMG2を駆動するインバータ42の温度などによりモータMG2の駆動制限が課されているときには、要求トルクTr*がモータMG2の駆動制限により出力可能なトルクを超えているときに、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定すると共に第1上昇レート値Nert1,第2上昇レート値Nert2,第3上昇レート値Nert3,第4上昇レート値Nert4のうち最も小さな値を実行用の上昇レート値Nertとして設定し、エンジン22が設定した上昇レート値Nertを用いたレート処理により目標回転数Ne*で回転すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1,MG2を制御するものとしてもよい。
第5実施例のハイブリッド自動車20Eでは、第1上昇レート値Nert1,第2上昇レート値Nert2,第3上昇レート値Nert3,第4上昇レート値Nert4のうち最も小さな値を実行用の上昇レート値Nertとして設定するものとしたが、第1上昇レート値Nert1,第2上昇レート値Nert2,第3上昇レート値Nert3,第4上昇レート値Nert4のうちのいずれか1つを除く3つの上昇レート値を設定すると共に設定した3つの上昇レート値のうちの最も小さな値を実行用の上昇レート値Nertとして設定するものとしてもよいし、第1上昇レート値Nert1,第2上昇レート値Nert2,第3上昇レート値Nert3,第4上昇レート値Nert4のうちのいずれか2つの上昇レート値を設定すると共に設定した2つの上昇レート値のうちの小さい方の値を実行用の上昇レート値Nertとして設定するものとしてもよい。
第1ないし第5実施例のハイブリッド自動車20,20B,20C,20D,20Eでは、シングルピニオン式の遊星歯車機構として構成された動力分配統合機構30を用いたが、共線図上では、右或いは左から駆動軸としてのリングギヤ軸32aの回転数Nrを示すR軸,エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26の回転数Neを示すC軸,モータMG1の回転数Nm1を示すS軸の順に並んでいれば、ダブルピニオン式の遊星歯車機構を用いるものとしてもよい。
第1ないし第5実施例のハイブリッド自動車20,20B,20C,20D,20Eでは、モータMG2を減速ギヤ35を介して駆動軸としてのリングギヤ軸32aに接続したが、モータMG2を直接リングギヤ軸32aに接続するものとしてもよいし、モータMG2を2段或いは3段変速以上の若しくは無段変速の変速機を介してリングギヤ軸32aに接続するものとしてもよい。
第1ないし第5実施例では、本発明をハイブリッド自動車20,20B,20C,20D,20Eの形態として説明したが、本発明をハイブリッド自動車の制御方法の形態としてもよい。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。第1実施例ないし第5実施例とこれらに対応する本発明の第1ないし第5のハイブリッド自動車との関係として、共通して、エンジン22が「内燃機関」に相当し、モータMG1が「発電機」に相当し、動力分配統合機構30が「遊星歯車機構」に相当し、モータMG2が「電動機」に相当し、バッテリ50が「二次電池」に相当し、アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向に車速Vに基づいて車両に要求されるトルクとして駆動輪63a,63bに連結された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*を設定する図2,図9,図12,図15,図18のリバース走行時駆動制御ルーチンのステップS110,S210,S310,S410,S510の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70が「要求駆動力設定手段」に相当し、シフトポジションSPがリバースポジションのときにアクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定する図2,図9,図12,図15,図18のリバース走行時駆動制御ルーチンのステップS150,S250,S350,S450,S550の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70が「目標回転数設定手段」に相当する。
第1実施例と本発明の第1のハイブリッド自動車との関係では、シフトポジションSPがリバースポジションのときにアクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の回転数Neの上昇レート値Nertを設定する図2のリバース走行時駆動制御ルーチンのステップS160の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70が「上昇程度設定手段」に相当し、第2実施例と本発明の第2のハイブリッド自動車との関係では、シフトポジションSPがリバースポジションのときに冷却水温Twが高いほど大きくなる傾向にエンジン22の回転数Neの上昇レート値Nertを設定する図9のリバース走行時駆動制御ルーチンのステップS260の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70が「上昇程度設定手段」に相当し、第3実施例と本発明の第3のハイブリッド自動車との関係では、シフトポジションSPがリバースポジションのときにバッテリ50の出力制限WoutからモータMG2のトルク指令Tm2*にモータMG2の回転数Nm2を乗じて得られるモータMG2の消費電力を減じたレート値用パラメータΔWが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の回転数Neの上昇レート値Nertを設定する図12のリバース走行時駆動制御ルーチンのステップS362の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70が「上昇程度設定手段」に相当し、第4実施例と本発明の第4のハイブリッド自動車との関係では、シフトポジションSPがリバースポジションのときにバッテリ電圧Vbからバッテリ50の下限電圧Vminを減じて得られるレート値用パラメータΔVが大きいほど大きくなる傾向に上昇レート値Nertを設定する図15のリバース走行時駆動制御ルーチンのステップS462の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70が「上昇程度設定手段」に相当し、第5実施例と本発明の第1のハイブリッド自動車との関係では、シフトポジションSPがリバースポジションのときに、アクセル開度Accとが大きいほど大きくなる傾向に第1上昇レート値Nert1を設定し、冷却水温Twが高いほど大きくなる傾向に第2上昇レート値Nert2を設定し、バッテリ50の出力制限WoutからモータMG2の消費電力を減じて得られるレート値用パラメータΔWが大きいほど大きくなる傾向に第3上昇レート値Nert3を設定し、バッテリ電圧Vbからバッテリ50の下限電圧Vminを減じて得られるレート値用パラメータΔVが大きいほど大きくなる傾向に第4上昇レート値Nert4を設定する、図18のリバース走行時駆動制御ルーチンのステップS560〜S568の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70が「上昇程度設定手段」に相当する。
第1実施例ないし第4実施例とこれらに対応する本発明の第1ないし第4のハイブリッド自動車との関係では、シフトポジションSPがリバースポジションのときに燃料噴射と点火を停止した状態のエンジン22が上昇レート値Nertによる回転数の上昇により目標回転数Ne*で回転するようモータMG1のトルク指令Tm1*を設定すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG2のトルク指令Tm2*を設定してモータECU40に送信する図2のリバース走行時駆動制御ルーチンのステップS170〜S190の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70とトルク指令Tm1*,Tm2*を受信してモータMG1,MG2を制御するモータECU40と燃料噴射や点火を停止した状態を保持するエンジンECU24とが「制御手段」に相当する。第5実施例と本発明の第5のハイブリッド自動車との関係では、シフトポジションSPがリバースポジションのときに第1上昇レート値Nert1,第2上昇レート値Nert2,第3上昇レート値Nert3,第4上昇レート値Nert4のうち最も小さな値を実行用の上昇レート値Nertとして設定し、燃料噴射と点火を停止した状態のエンジン22が設定した実行用の上昇レート値Nertによる回転数の上昇により目標回転数Ne*で回転するようモータMG1のトルク指令Tm1*を設定すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG2のトルク指令Tm2*を設定してモータECU40に送信する図2のリバース走行時駆動制御ルーチンのステップS170〜S190の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70とトルク指令Tm1*,Tm2*を受信してモータMG1,MG2を制御するモータECU40と燃料噴射や点火を停止した状態を保持するエンジンECU24とが「制御手段」に相当する。
ここで、「内燃機関」としては、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関に限定されるものではなく、水素エンジンなど如何なるタイプの内燃機関であっても構わない。「発電機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG1に限定されるものではなく、誘導電動機など、動力を入出力可能なものであれば如何なるタイプの発電機や電動機であっても構わない。「遊星歯車機構」としては、シングルピニオン式の遊星歯車機構として構成されると共に共線図上で、右或いは左から駆動軸としてのリングギヤ軸32a,エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26,モータMG1の回転軸の順に3つの回転要素であるリングギヤ32,キャリア34,サンギヤ31を接続する動力分配統合機構30に限定されるものではなく、共線図上で、右から或いは左から車軸に連結された駆動軸,内燃機関の出力軸,発電機の回転軸の順に3つの回転要素に接続されていればダブルピニオン式の遊星歯車機構を用いるなど、如何なる遊星歯車機構を用いるものとしても構わない。「電動機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG1に限定されるものではなく、誘導電動機など、動力を入出力可能なものであれば如何なるタイプの電動機であっても構わない。「二次電池」としては、リチウムイオン二次電池として構成されたバッテリ50に限定されるものではなく、ニッケル水素二次電池やニッケルカドミウム二次電池,鉛蓄電池など種々の二次電池を用いることができる。「要求駆動力設定手段」としては、アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向に車速Vに基づいて要求トルクTr*を設定するものに限定されるものではなく、アクセル開度Accだけに基づいて要求トルクを設定するものなど、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に駆動軸に出力すべき要求駆動力を設定するものであれば如何なるものとしても構わない。「目標回転数設定手段」としては、シフトポジションSPがリバースポジションのときにアクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定するものに限定されるものではなく、シフトポジションが後進用ポジションのときに運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に内燃機関の目標回転数を設定するものであれば如何なるものとしても構わない。
本発明の第1のハイブリッド自動車における「上昇程度設定手段」としては、シフトポジションSPがリバースポジションのときにアクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の回転数Neの上昇レート値Nertを設定するものに限定されるものではなく、シフトポジションが後進用ポジションのときに運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に単位時間当たりの内燃機関の回転数の上昇の程度である上昇程度を設定するものであれば如何なるものとしても構わない。本発明の第2のハイブリッド自動車における「上昇程度設定手段」としては、シフトポジションSPがリバースポジションのときに冷却水温Twが高いほど大きくなる傾向にエンジン22の回転数Neの上昇レート値Nertを設定するものに限定されるものではなく、シフトポジションが後進用ポジションのときに内燃機関の冷却媒体の温度が高いほど大きくなる傾向に単位時間当たりの内燃機関の回転数の上昇の程度である上昇程度を設定するものであれば如何なるものとしても構わない。本発明の第3のハイブリッド自動車における「上昇程度設定手段」としては、シフトポジションSPがリバースポジションのときにバッテリ50の出力制限WoutからモータMG2の消費電力を減じて得られるレート値用パラメータΔWが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の回転数Neの上昇レート値Nertを設定するものに限定されるものではなく、シフトポジションが後進用ポジションのときに二次電池の出力制限から電動機消費電力を減じた電力が大きいほど大きくなる傾向に単位時間当たりの内燃機関の回転数の上昇の程度である上昇程度を設定するものであれば如何なるものとしても構わない。本発明の第4のハイブリッド自動車における「上昇程度設定手段」としては、シフトポジションSPがリバースポジションのときにバッテリ電圧Vbからバッテリ50の下限電圧Vminを減じて得られるレート値用パラメータΔVが大きいほど大きくなる傾向に上昇レート値Nertを設定するものに限定されるものではなく、シフトポジションが後進用ポジションのときに二次電池の電圧から予め定められた下限電圧を減じた電圧が大きいほど大きくなる傾向に単位時間当たりの内燃機関の回転数の上昇の程度である上昇程度を設定するものであれば如何なるものとしても構わない。本発明の第5のハイブリッド自動車における「上昇程度設定手段」としては、シフトポジションSPがリバースポジションのときに、アクセル開度Accとが大きいほど大きくなる傾向に第1上昇レート値Nert1を設定し、冷却水温Twが高いほど大きくなる傾向に第2上昇レート値Nert2を設定し、バッテリ50の出力制限WoutからモータMG2の消費電力を減じて得られるレート値用パラメータΔWが大きいほど大きくなる傾向に第3上昇レート値Nert3を設定し、バッテリ電圧Vbからバッテリ50の下限電圧Vminを減じて得られるレート値用パラメータΔVが大きいほど大きくなる傾向に第4上昇レート値Nert4を設定するものに限定されるものではなく、第1上昇レート値Nert1,第2上昇レート値Nert2,第3上昇レート値Nert3,第4上昇レート値Nert4のうちのいずれか1つを除く3つの上昇レート値を設定するものとしたり、第1上昇レート値Nert1,第2上昇レート値Nert2,第3上昇レート値Nert3,第4上昇レート値Nert4のうちのいずれか2つの上昇レート値を設定するものとしたりするなど、シフトポジションが後進用ポジションのときに、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に単位時間当たりの内燃機関の回転数の上昇の程度である第1上昇程度と内燃機関の冷却媒体の温度が高いほど大きくなる傾向に単位時間当たりの内燃機関の回転数の上昇の程度である第2上昇程度と二次電池の出力制限から電動機消費電力を減じた電力が大きいほど大きくなる傾向に単位時間当たりの内燃機関の回転数の上昇の程度である第3上昇程度と二次電池の電圧から予め定められた下限電圧を減じた電圧が大きいほど大きくなる傾向に単位時間当たりの内燃機関の回転数の上昇の程度である第4上昇程度のうちの2つ以上の上昇程度を設定するものであれば如何なるものとしても構わない。
本発明の第1ないし第4のハイブリッド自動車における「制御手段」としては、ハイブリッド用電子制御ユニット70とエンジンECU24とモータECU40とからなる組み合わせに限定されるものではなく単一の電子制御ユニットにより構成されるなどとしてもよい。また、「制御手段」としては、シフトポジションSPがリバースポジションのときに燃料噴射と点火を停止した状態のエンジン22が上昇レート値Nertによる回転数の上昇により目標回転数Ne*で回転するようモータMG1のトルク指令Tm1*を設定すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようエンジン22とモータMG1,MG2を制御するものに限定されるものではなく、シフトポジションが後進用ポジションのときに内燃機関が燃料噴射を停止した状態で上昇程度を伴って目標回転数で回転すると共に要求駆動力が駆動軸に出力されるよう内燃機関と発電機と電動機とを制御するものであれば如何なるものとしても構わない。本発明の第5のハイブリッド自動車における「制御手段」としては、ハイブリッド用電子制御ユニット70とエンジンECU24とモータECU40とからなる組み合わせに限定されるものではなく単一の電子制御ユニットにより構成されるなどとしてもよい。また、「制御手段」としては、シフトポジションSPがリバースポジションのときに第1上昇レート値Nert1,第2上昇レート値Nert2,第3上昇レート値Nert3,第4上昇レート値Nert4のうち最も小さな値を実行用の上昇レート値Nertとして設定し、燃料噴射と点火を停止した状態のエンジン22が設定した実行用の上昇レート値Nertによる回転数の上昇により目標回転数Ne*で回転するようモータMG1のトルク指令Tm1*を設定すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようエンジン22とモータMG1,MG2を制御するものに限定されるものではなく、シフトポジションが後進用ポジションのときに内燃機関が燃料噴射を停止した状態で設定した2つ以上の上昇程度のうちの最小の上昇程度を伴って目標回転数で回転すると共に要求駆動力が駆動軸に出力されるよう内燃機関と発電機と電動機とを制御するものであれば如何なるものとしても構わない。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
上述のハイブリッド自動車では、運転者が要求する要求トルクが大きいときには、モータMG2の出力トルクが制限されていないときでも、モータMG2の出力トルクに加えてエンジンの運転停止状態を維持してモータMG1からトルクを出力しても、要求トルクを駆動軸に出力することができない場合がある。この場合、モータMG1からもっと大きなトルクを出力してエンジンをモータリングすることも考えられるが、どのようにエンジンをモータリングするのが好ましいかが課題となる。
本発明のハイブリッド自動車およびその制御方法は、車軸に連結された駆動軸と内燃機関の出力軸と発電機の回転軸とが共線図上で駆動軸,出力軸,回転軸の順に3つの回転要素に接続された遊星歯車機構と、駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、を備えるハイブリッド自動車において、リバース走行する際の内燃機関の発電機によるモータリングの手法を提供することを主目的とする。
本発明のハイブリッド自動車およびその制御方法は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
参考例のハイブリッド自動車は、
内燃機関と、動力を入出力可能な発電機と、車軸に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸とが共線図上で前記駆動軸,前記出力軸,前記回転軸の順に3つの回転要素に接続された遊星歯車機構と、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、前記発電機および前記電動機と電力のやりとりが可能な二次電池と、を備えるハイブリッド自動車であって、
運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に前記駆動軸に出力すべき要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、
シフトポジションが後進用ポジションのときに運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に前記内燃機関の目標回転数を設定する目標回転数設定手段と、
シフトポジションが後進用ポジションのときに運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に単位時間当たりの前記内燃機関の回転数の上昇の程度である上昇程度を設定する上昇程度設定手段と、
シフトポジションが後進用ポジションのときに前記内燃機関が燃料噴射を停止した状態で前記設定された上昇程度を伴って前記設定された目標回転数で回転すると共に前記設定された要求駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
この参考例のハイブリッド自動車では、シフトポジションが後進用ポジションのときには、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に駆動軸に出力すべき要求駆動力と内燃機関の目標回転数と単位時間当たりの内燃機関の回転数の上昇の程度である上昇程度とを設定し、内燃機関が燃料噴射を停止した状態で設定した上昇程度を伴って目標回転数で回転すると共に要求駆動力が駆動軸に出力されるよう内燃機関と発電機と電動機とを制御する。このように、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に内燃機関の目標回転数を設定するのは、アクセル操作量が大きいほど大きくなる内燃機関のフリクションが大きくなることにより駆動軸に出力されるトルクが大きくなることに基づき、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に内燃機関の回転数の上昇程度を設定するのは、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に内燃機関の回転数上昇に必要なエネルギが大きくなって駆動軸に出力するトルクが大きくなることに基づく。このように制御することにより、発電機による内燃機関のモータリングによって駆動軸に出力されるトルクを運転者のアクセル操作量に応じたものとすることができる。
本発明の第1のハイブリッド自動車は、
内燃機関と、動力を入出力可能な発電機と、車軸に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸とが共線図上で前記駆動軸,前記出力軸,前記回転軸の順に3つの回転要素に接続された遊星歯車機構と、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、前記発電機および前記電動機と電力のやりとりが可能な二次電池と、を備えるハイブリッド自動車であって、
運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に前記駆動軸に出力すべき要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、
シフトポジションが後進用ポジションのときに運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に前記内燃機関の目標回転数を設定する目標回転数設定手段と、
シフトポジションが後進用ポジションのときに前記内燃機関の冷却媒体の温度が高いほど大きくなる傾向に単位時間当たりの前記内燃機関の回転数の上昇の程度である上昇程度を設定する上昇程度設定手段と、
シフトポジションが後進用ポジションのときに前記内燃機関が燃料噴射を停止した状態で前記設定された上昇程度を伴って前記設定された目標回転数で回転すると共に前記設定された要求駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
この本発明の第1のハイブリッド自動車では、シフトポジションが後進用ポジションのときには、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に駆動軸に出力すべき要求駆動力と内燃機関の目標回転数とを設定すると共に内燃機関の冷却媒体の温度が高いほど大きくなる傾向に単位時間当たりの内燃機関の回転数の上昇の程度である上昇程度を設定し、内燃機関が燃料噴射を停止した状態で設定した上昇程度を伴って目標回転数で回転すると共に要求駆動力が駆動軸に出力されるよう内燃機関と発電機と電動機とを制御する。このように、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に内燃機関の目標回転数を設定するのは、アクセル操作量が大きいほど大きくなる内燃機関のフリクションが大きくなることにより駆動軸に出力されるトルクが大きくなることに基づき、内燃機関の冷却媒体の温度が高いほど大きくなる傾向に内燃機関の回転数の上昇程度を設定するのは、内燃機関の冷却媒体の温度が高いほど内燃機関の潤滑油の粘性が低くなって内燃機関のフリクションが小さくなって駆動軸に出力するトルクが小さくなることに基づく。このように制御することにより、発電機による内燃機関のモータリングによって駆動軸に出力されるトルクを運転者のアクセル操作量と内燃機関の冷却媒体の温度に応じたものとすることができる。
本発明の第2のハイブリッド自動車は、
内燃機関と、動力を入出力可能な発電機と、車軸に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸とが共線図上で前記駆動軸,前記出力軸,前記回転軸の順に3つの回転要素に接続された遊星歯車機構と、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、前記発電機および前記電動機と電力のやりとりが可能な二次電池と、を備えるハイブリッド自動車であって、
前記二次電池の状態に基づいて該二次電池から放電可能な最大電力としての出力制限を設定する出力制限設定手段と、
前記電動機により消費されている電力である電動機消費電力を演算する電動機電力演算手段と、
運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に前記駆動軸に出力すべき要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、
シフトポジションが後進用ポジションのときに運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に前記内燃機関の目標回転数を設定する目標回転数設定手段と、
シフトポジションが後進用ポジションのときに前記設定された出力制限から前記演算された電動機消費電力を減じた電力が大きいほど大きくなる傾向に単位時間当たりの前記内燃機関の回転数の上昇の程度である上昇程度を設定する上昇程度設定手段と、
シフトポジションが後進用ポジションのときに前記内燃機関が燃料噴射を停止した状態で前記設定された上昇程度を伴って前記設定された目標回転数で回転すると共に前記設定された要求駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
本発明の第2のハイブリッド自動車では、シフトポジションが後進用ポジションのときには、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に駆動軸に出力すべき要求駆動力と内燃機関の目標回転数とを設定すると共に二次電池の状態に基づいて設定される二次電池から放電可能な最大電力としての出力制限から電動機により消費されている電力である電動機消費電力を減じた電力が大きいほど大きくなる傾向に単位時間当たりの内燃機関の回転数の上昇の程度である上昇程度を設定し、内燃機関が燃料噴射を停止した状態で設定した上昇程度を伴って目標回転数で回転すると共に要求駆動力が駆動軸に出力されるよう内燃機関と発電機と電動機とを制御する。このように、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に内燃機関の目標回転数を設定するのは、アクセル操作量が大きいほど大きくなる内燃機関のフリクションが大きくなることにより駆動軸に出力されるトルクが大きくなることに基づき、二次電池の出力制限から電動機消費電力を減じた電力が大きいほど大きくなる傾向に内燃機関の回転数の上昇程度を設定するのは、電動機を駆動していても二次電池から出力可能な余裕の電力が大きいときには発電機で消費する電力を大きくして駆動軸に出力するトルクを大きくすることに基づく。このように制御することにより、発電機による内燃機関のモータリングによって駆動軸に出力されるトルクを運転者のアクセル操作量と二次電池から出力可能な余裕の電力に応じたものとすることができる。
本発明の第3のハイブリッド自動車は、
内燃機関と、動力を入出力可能な発電機と、車軸に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸とが共線図上で前記駆動軸,前記出力軸,前記回転軸の順に3つの回転要素に接続された遊星歯車機構と、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、前記発電機および前記電動機と電力のやりとりが可能な二次電池と、を備えるハイブリッド自動車であって、
前記二次電池の電圧である電池電圧を検出する電圧検出手段と、
運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に前記駆動軸に出力すべき要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、
シフトポジションが後進用ポジションのときに運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に前記内燃機関の目標回転数を設定する目標回転数設定手段と、
シフトポジションが後進用ポジションのときに前記検出された電池電圧から予め定められた下限電圧を減じた電圧が大きいほど大きくなる傾向に単位時間当たりの前記内燃機関の回転数の上昇の程度である上昇程度を設定する上昇程度設定手段と、
シフトポジションが後進用ポジションのときに前記内燃機関が燃料噴射を停止した状態で前記設定された上昇程度を伴って前記設定された目標回転数で回転すると共に前記設定された要求駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
この本発明の第3のハイブリッド自動車では、シフトポジションが後進用ポジションのときには、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に駆動軸に出力すべき要求駆動力と内燃機関の目標回転数とを設定すると共に二次電池の電圧から予め定められた下限電圧を減じた電圧が大きいほど大きくなる傾向に単位時間当たりの内燃機関の回転数の上昇の程度である上昇程度を設定し、内燃機関が燃料噴射を停止した状態で設定した上昇程度を伴って目標回転数で回転すると共に要求駆動力が駆動軸に出力されるよう内燃機関と発電機と電動機とを制御する。このように、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に内燃機関の目標回転数を設定するのは、アクセル操作量が大きいほど大きくなる内燃機関のフリクションが大きくなることにより駆動軸に出力されるトルクが大きくなることに基づき、二次電池の電圧から下限電圧を減じた電圧が大きいほど大きくなる傾向に内燃機関の回転数の上昇程度を設定するのは、二次電池の劣化を伴わずに二次電池から大きな電力を放電することができるときには発電機で消費する電力を大きくして駆動軸に出力するトルクを大きくすることに基づく。このように制御することにより、発電機による内燃機関のモータリングによって駆動軸に出力されるトルクを運転者のアクセル操作量と二次電池の劣化を伴わずに二次電池から出力可能な電力に応じたものとすることができる。
本発明の第4のハイブリッド自動車は、
内燃機関と、動力を入出力可能な発電機と、車軸に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸とが共線図上で前記駆動軸,前記出力軸,前記回転軸の順に3つの回転要素に接続された遊星歯車機構と、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、前記発電機および前記電動機と電力のやりとりが可能な二次電池と、を備えるハイブリッド自動車であって、
前記二次電池の状態に基づいて該二次電池から放電可能な最大電力としての出力制限を設定する出力制限設定手段と、
前記電動機により消費されている電力である電動機消費電力を演算する電動機電力演算手段と、
前記二次電池の電圧である電池電圧を検出する電圧検出手段と、
運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に前記駆動軸に出力すべき要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、
シフトポジションが後進用ポジションのときに運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に前記内燃機関の目標回転数を設定する目標回転数設定手段と、
シフトポジションが後進用ポジションのときに、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に単位時間当たりの前記内燃機関の回転数の上昇の程度である第1上昇程度と前記内燃機関の冷却媒体の温度が高いほど大きくなる傾向に単位時間当たりの前記内燃機関の回転数の上昇の程度である第2上昇程度と前記設定された出力制限から前記演算された電動機消費電力を減じた電力が大きいほど大きくなる傾向に単位時間当たりの前記内燃機関の回転数の上昇の程度である第3上昇程度と前記検出された電池電圧から予め定められた下限電圧を減じた電圧が大きいほど大きくなる傾向に単位時間当たりの前記内燃機関の回転数の上昇の程度である第4上昇程度のうちの2つ以上の上昇程度を設定する上昇程度設定手段と、
シフトポジションが後進用ポジションのときに前記内燃機関が燃料噴射を停止した状態で前記設定された2つ以上の上昇程度のうちの最小の上昇程度を伴って前記設定された目標回転数で回転すると共に前記設定された要求駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
この本発明の第4のハイブリッド自動車では、シフトポジションが後進用ポジションのときには、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に駆動軸に出力すべき要求駆動力と内燃機関の目標回転数とを設定すると共に運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向の単位時間当たりの内燃機関の回転数の上昇の程度である第1上昇程度,内燃機関の冷却媒体の温度が高いほど大きくなる傾向の単位時間当たりの内燃機関の回転数の上昇の程度である第2上昇程度,二次電池の状態に基づいて設定される二次電池から放電可能な最大電力としての出力制限から電動機により消費されている電力である電動機消費電力を減じた電力が大きいほど大きくなる傾向の単位時間当たりの内燃機関の回転数の上昇の程度である第3上昇程度,二次電池の電圧から予め定められた下限電圧を減じた電圧が大きいほど大きくなる傾向に単位時間当たりの内燃機関の回転数の上昇の程度である第4上昇程度のうち2つ以上の上昇程度を設定し、内燃機関が燃料噴射を停止した状態で設定した2つ以上の上昇程度のうちの最小の上昇程度を伴って目標回転数で回転すると共に要求駆動力が駆動軸に出力されるよう内燃機関と発電機と電動機とを制御する。このように、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に内燃機関の目標回転数を設定するのは、アクセル操作量が大きいほど大きくなる内燃機関のフリクションが大きくなることにより駆動軸に出力されるトルクが大きくなることに基づく。運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に第1上昇程度を設定するのは、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に内燃機関の回転数上昇に必要なエネルギが大きくなって駆動軸に出力するトルクが大きくなることに基づき、内燃機関の冷却媒体の温度が高いほど大きくなる傾向に第2上昇程度を設定するのは、内燃機関の冷却媒体の温度が高いほど内燃機関の潤滑油の粘性が低くなって内燃機関のフリクションが小さくなって駆動軸に出力するトルクが小さくなることに基づき、二次電池の出力制限から電動機消費電力を減じた電力が大きいほど大きくなる傾向に第3上昇程度を設定するのは、電動機を駆動していても二次電池から出力可能な余裕の電力が大きいときには発電機で消費する電力を大きくして駆動軸に出力するトルクを大きくすることに基づき、二次電池の電圧から下限電圧を減じた電圧が大きいほど大きくなる傾向に第4上昇程度を設定するのは、二次電池の劣化を伴わずに二次電池から大きな電力を放電することができるときには発電機で消費する電力を大きくして駆動軸に出力するトルクを大きくすることに基づく。このように制御することにより、発電機による内燃機関のモータリングによって駆動軸に出力されるトルクを運転者のアクセル操作量や内燃機関の冷却媒体の温度,二次電池から出力可能な余裕の電力,二次電池から出力可能な電力などに応じたものとすることができる。
上述した本発明の第1ないし第4のいずれかのハイブリッド自動車において、前記制御手段は、前記設定された要求駆動力を前記電動機から出力できないときに前記内燃機関が前記目標回転数で回転するよう制御する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、不必要な発電機による内燃機関のモータリングを回避することができる。
参考例のハイブリッド自動車の制御方法は、
内燃機関と、動力を入出力可能な発電機と、車軸に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸とが共線図上で前記駆動軸,前記出力軸,前記回転軸の順に3つの回転要素に接続された遊星歯車機構と、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、前記発電機および前記電動機と電力のやりとりが可能な二次電池と、を備えるハイブリッド自動車において、シフトポジションが後進用ポジションであるときの制御方法であって、
運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に前記駆動軸に出力すべき要求駆動力と前記内燃機関の目標回転数と単位時間当たりの前記内燃機関の回転数の上昇の程度である上昇程度とを設定し、前記内燃機関が燃料噴射を停止した状態で前記設した上昇程度を伴って前記設定した目標回転数で回転すると共に前記設定した要求駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する、
ことを特徴とする。
この参考例のハイブリッド自動車の制御方法では、シフトポジションが後進用ポジションのときには、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に駆動軸に出力すべき要求駆動力と内燃機関の目標回転数と単位時間当たりの内燃機関の回転数の上昇の程度である上昇程度とを設定し、内燃機関が燃料噴射を停止した状態で設定した上昇程度を伴って目標回転数で回転すると共に要求駆動力が駆動軸に出力されるよう内燃機関と発電機と電動機とを制御する。このように、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に内燃機関の目標回転数を設定するのは、アクセル操作量が大きいほど大きくなる内燃機関のフリクションが大きくなることにより駆動軸に出力されるトルクが大きくなることに基づき、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に内燃機関の回転数の上昇程度を設定するのは、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に内燃機関の回転数上昇に必要なエネルギが大きくなって駆動軸に出力するトルクが大きくなることに基づく。このように制御することにより、発電機による内燃機関のモータリングによって駆動軸に出力されるトルクを運転者のアクセル操作量に応じたものとすることができる。
本発明の第1のハイブリッド自動車の制御方法は、
内燃機関と、動力を入出力可能な発電機と、車軸に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸とが共線図上で前記駆動軸,前記出力軸,前記回転軸の順に3つの回転要素に接続された遊星歯車機構と、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、前記発電機および前記電動機と電力のやりとりが可能な二次電池と、を備えるハイブリッド自動車において、シフトポジションが後進用ポジションであるときの制御方法であって、
運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に前記駆動軸に出力すべき要求駆動力と前記内燃機関の目標回転数とを設定すると共に前記内燃機関の冷却媒体の温度が高いほど大きくなる傾向に単位時間当たりの前記内燃機関の回転数の上昇の程度である上昇程度を設定し、前記内燃機関が燃料噴射を停止した状態で前記設定した上昇程度を伴って前記設定した目標回転数で回転すると共に前記設定した要求駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する制御手段と、
ことを特徴とする。
この本発明の第1のハイブリッド自動車の制御方法では、シフトポジションが後進用ポジションのときには、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に駆動軸に出力すべき要求駆動力と内燃機関の目標回転数とを設定すると共に内燃機関の冷却媒体の温度が高いほど大きくなる傾向に単位時間当たりの内燃機関の回転数の上昇の程度である上昇程度を設定し、内燃機関が燃料噴射を停止した状態で設定した上昇程度を伴って目標回転数で回転すると共に要求駆動力が駆動軸に出力されるよう内燃機関と発電機と電動機とを制御する。このように、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に内燃機関の目標回転数を設定するのは、アクセル操作量が大きいほど大きくなる内燃機関のフリクションが大きくなることにより駆動軸に出力されるトルクが大きくなることに基づき、内燃機関の冷却媒体の温度が高いほど大きくなる傾向に内燃機関の回転数の上昇程度を設定するのは、内燃機関の冷却媒体の温度が高いほど内燃機関の潤滑油の粘性が低くなって内燃機関のフリクションが小さくなって駆動軸に出力するトルクが小さくなることに基づく。このように制御することにより、発電機による内燃機関のモータリングによって駆動軸に出力されるトルクを運転者のアクセル操作量と内燃機関の冷却媒体の温度に応じたものとすることができる。
本発明の第2のハイブリッド自動車の制御方法は、
内燃機関と、動力を入出力可能な発電機と、車軸に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸とが共線図上で前記駆動軸,前記出力軸,前記回転軸の順に3つの回転要素に接続された遊星歯車機構と、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、前記発電機および前記電動機と電力のやりとりが可能な二次電池と、を備えるハイブリッド自動車において、シフトポジションが後進用ポジションであるときの制御方法であって、
運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に前記駆動軸に出力すべき要求駆動力と前記内燃機関の目標回転数とを設定すると共に前記二次電池の状態に基づいて設定される該二次電池から放電可能な最大電力としての出力制限から前記電動機により消費されている電力である電動機消費電力を減じた電力が大きいほど大きくなる傾向に単位時間当たりの前記内燃機関の回転数の上昇の程度である上昇程度を設定し、前記内燃機関が燃料噴射を停止した状態で前記設定した上昇程度を伴って前記設定した目標回転数で回転すると共に前記設定した要求駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する、
ことを特徴とする。
この本発明の第2のハイブリッド自動車の制御方法では、シフトポジションが後進用ポジションのときには、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に駆動軸に出力すべき要求駆動力と内燃機関の目標回転数とを設定すると共に二次電池の状態に基づいて設定される二次電池から放電可能な最大電力としての出力制限から電動機により消費されている電力である電動機消費電力を減じた電力が大きいほど大きくなる傾向に単位時間当たりの内燃機関の回転数の上昇の程度である上昇程度を設定し、内燃機関が燃料噴射を停止した状態で設定した上昇程度を伴って目標回転数で回転すると共に要求駆動力が駆動軸に出力されるよう内燃機関と発電機と電動機とを制御する。このように、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に内燃機関の目標回転数を設定するのは、アクセル操作量が大きいほど大きくなる内燃機関のフリクションが大きくなることにより駆動軸に出力されるトルクが大きくなることに基づき、二次電池の出力制限から電動機消費電力を減じた電力が大きいほど大きくなる傾向に内燃機関の回転数の上昇程度を設定するのは、電動機を駆動していても二次電池から出力可能な余裕の電力が大きいときには発電機で消費する電力を大きくして駆動軸に出力するトルクを大きくすることに基づく。このように制御することにより、発電機による内燃機関のモータリングによって駆動軸に出力されるトルクを運転者のアクセル操作量と二次電池から出力可能な余裕の電力に応じたものとすることができる。
本発明の第3のハイブリッド自動車の制御方法は、
内燃機関と、動力を入出力可能な発電機と、車軸に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸とが共線図上で前記駆動軸,前記出力軸,前記回転軸の順に3つの回転要素に接続された遊星歯車機構と、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、前記発電機および前記電動機と電力のやりとりが可能な二次電池と、を備えるハイブリッド自動車において、シフトポジションが後進用ポジションであるときの制御方法であって、
運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に前記駆動軸に出力すべき要求駆動力と前記内燃機関の目標回転数とを設定すると共に前記二次電池の電圧から予め定められた下限電圧を減じた電圧が大きいほど大きくなる傾向に単位時間当たりの前記内燃機関の回転数の上昇の程度である上昇程度を設定し、前記内燃機関が燃料噴射を停止した状態で前記設定した上昇程度を伴って前記設定した目標回転数で回転すると共に前記設定した要求駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する、
ことを特徴とする。
この本発明のハイブリッド自動車の制御方法では、シフトポジションが後進用ポジションのときには、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に駆動軸に出力すべき要求駆動力と内燃機関の目標回転数とを設定すると共に二次電池の電圧から予め定められた下限電圧を減じた電圧が大きいほど大きくなる傾向に単位時間当たりの内燃機関の回転数の上昇の程度である上昇程度を設定し、内燃機関が燃料噴射を停止した状態で設定した上昇程度を伴って目標回転数で回転すると共に要求駆動力が駆動軸に出力されるよう内燃機関と発電機と電動機とを制御する。このように、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に内燃機関の目標回転数を設定するのは、アクセル操作量が大きいほど大きくなる内燃機関のフリクションが大きくなることにより駆動軸に出力されるトルクが大きくなることに基づき、二次電池の電圧から下限電圧を減じた電圧が大きいほど大きくなる傾向に内燃機関の回転数の上昇程度を設定するのは、二次電池の劣化を伴わずに二次電池から大きな電力を放電することができるときには発電機で消費する電力を大きくして駆動軸に出力するトルクを大きくすることに基づく。このように制御することにより、発電機による内燃機関のモータリングによって駆動軸に出力されるトルクを運転者のアクセル操作量と二次電池の劣化を伴わずに二次電池から出力可能な電力に応じたものとすることができる。
本発明の第4のハイブリッド自動車の制御方法は、
内燃機関と、動力を入出力可能な発電機と、車軸に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸とが共線図上で前記駆動軸,前記出力軸,前記回転軸の順に3つの回転要素に接続された遊星歯車機構と、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、前記発電機および前記電動機と電力のやりとりが可能な二次電池と、を備えるハイブリッド自動車において、シフトポジションが後進用ポジションであるときの制御方法であって、
運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に前記駆動軸に出力すべき要求駆動力と前記内燃機関の目標回転数とを設定すると共に運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向の単位時間当たりの前記内燃機関の回転数の上昇の程度である第1上昇程度,前記内燃機関の冷却媒体の温度が高いほど大きくなる傾向の単位時間当たりの前記内燃機関の回転数の上昇の程度である第2上昇程度,前記二次電池の状態に基づいて設定される該二次電池から放電可能な最大電力としての出力制限から前記電動機により消費されている電力である電動機消費電力を減じた電力が大きいほど大きくなる傾向の単位時間当たりの前記内燃機関の回転数の上昇の程度である第3上昇程度,前記二次電池の電圧から予め定められた下限電圧を減じた電圧が大きいほど大きくなる傾向に単位時間当たりの前記内燃機関の回転数の上昇の程度である第4上昇程度のうち2つ以上の上昇程度を設定し、前記内燃機関が燃料噴射を停止した状態で前記設定した2つ以上の上昇程度のうちの最小の上昇程度を伴って前記設定した目標回転数で回転すると共に前記設定した要求駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する、
ことを特徴とする。
この本発明の第4のハイブリッド自動車の制御方法では、シフトポジションが後進用ポジションのときには、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に駆動軸に出力すべき要求駆動力と内燃機関の目標回転数とを設定すると共に運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向の単位時間当たりの内燃機関の回転数の上昇の程度である第1上昇程度,内燃機関の冷却媒体の温度が高いほど大きくなる傾向の単位時間当たりの内燃機関の回転数の上昇の程度である第2上昇程度,二次電池の状態に基づいて設定される二次電池から放電可能な最大電力としての出力制限から電動機により消費されている電力である電動機消費電力を減じた電力が大きいほど大きくなる傾向の単位時間当たりの内燃機関の回転数の上昇の程度である第3上昇程度,二次電池の電圧から予め定められた下限電圧を減じた電圧が大きいほど大きくなる傾向に単位時間当たりの内燃機関の回転数の上昇の程度である第4上昇程度のうち2つ以上の上昇程度を設定し、内燃機関が燃料噴射を停止した状態で設定した2つ以上の上昇程度のうちの最小の上昇程度を伴って目標回転数で回転すると共に要求駆動力が駆動軸に出力されるよう内燃機関と発電機と電動機とを制御する。このように、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に内燃機関の目標回転数を設定するのは、アクセル操作量が大きいほど大きくなる内燃機関のフリクションが大きくなることにより駆動軸に出力されるトルクが大きくなることに基づく。運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に第1上昇程度を設定するのは、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に内燃機関の回転数上昇に必要なエネルギが大きくなって駆動軸に出力するトルクが大きくなることに基づき、内燃機関の冷却媒体の温度が高いほど大きくなる傾向に第2上昇程度を設定するのは、内燃機関の冷却媒体の温度が高いほど内燃機関の潤滑油の粘性が低くなって内燃機関のフリクションが小さくなって駆動軸に出力するトルクが小さくなることに基づき、二次電池の出力制限から電動機消費電力を減じた電力が大きいほど大きくなる傾向に第3上昇程度を設定するのは、電動機を駆動していても二次電池から出力可能な余裕の電力が大きいときには発電機で消費する電力を大きくして駆動軸に出力するトルクを大きくすることに基づき、二次電池の電圧から下限電圧を減じた電圧が大きいほど大きくなる傾向に第4上昇程度を設定するのは、二次電池の劣化を伴わずに二次電池から大きな電力を放電することができるときには発電機で消費する電力を大きくして駆動軸に出力するトルクを大きくすることに基づく。このように制御することにより、発電機による内燃機関のモータリングによって駆動軸に出力されるトルクを運転者のアクセル操作量や内燃機関の冷却媒体の温度,二次電池から出力可能な余裕の電力,二次電池から出力可能な電力などに応じたものとすることができる。
上述した本発明の第1ないし第4のいずれかのハイブリッド自動車の制御方法において、前記設定した要求駆動力を前記電動機から出力できないときに前記内燃機関が前記目標回転数で回転するよう制御する、ことを特徴とするものとすることもできる。こうすれば、不必要な発電機による内燃機関のモータリングを回避することができる。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の第1実施例のハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。第1実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、動力分配統合機構30に接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに取り付けられた減速ギヤ35と、この減速ギヤ35に接続されたモータMG2と、動力出力装置全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。
エンジン22は、例えば、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関であり、エンジン22の冷却水の通路に取り付けられた温度センサ23からの冷却水温Twなどのエンジン22の運転状態を検出する各種センサから信号を入力するエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により燃料噴射制御や点火制御,吸入空気量調節制御などの運転制御を受けている。エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、エンジンECU24は、クランクシャフト26に取り付けられた図示しないクランクポジションセンサからの信号に基づいてクランクシャフト26の回転数、即ちエンジン22の回転数Neも演算している。
動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを回転要素として差動作用を行なう遊星歯車機構として構成されている。動力分配統合機構30は、キャリア34にはエンジン22のクランクシャフト26が、サンギヤ31にはモータMG1が、リングギヤ32にはリングギヤ軸32aを介して減速ギヤ35がそれぞれ連結されており、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側にそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32側に出力する。リングギヤ32に出力された動力は、リングギヤ軸32aからギヤ機構60およびデファレンシャルギヤ62を介して、最終的には車両の駆動輪63a,63bに出力される。
モータMG1およびモータMG2は、いずれも発電機として駆動することができると共に電動機として駆動できる周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41,42を介してバッテリ50と電力のやりとりを行なう。インバータ41,42とバッテリ50とを接続する電力ライン54は、各インバータ41,42が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータMG1,MG2のいずれかで発電される電力を他のモータで消費することができるようになっている。モータMG1,MG2は、いずれもモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されている。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、モータECU40は、回転位置検出センサ43,44からの信号に基づいてモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2も演算している。
バッテリ50は、例えばリチウムイオン二次電池として構成されており、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された電圧センサ51aからのバッテリ電圧Vb,バッテリ50の出力端子に接続された電力ライン54に取り付けられた電流センサ51bからの充放電電流Ib,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51cからの電池温度Tbなどが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。また、バッテリECU52は、バッテリ50を管理するために電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいてバッテリ50の全容量に対するそのときの容量の割合として蓄電割合SOCを演算したり、演算した蓄電割合SOCと電池温度Tbとに基づいてバッテリ50を充放電してもよい最大許容電力である入出力制限Win,Woutを演算している。なお、バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、電池温度Tbに基づいて入出力制限Win,Woutの基本値を設定し、バッテリ50の蓄電割合SOCに基づいて出力制限用補正係数と入力制限用補正係数とを設定し、設定した入出力制限Win,Woutの基本値に補正係数を乗じることにより設定することができる。
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。ここで、シフトレバー81のシフトポジションSPとして、駐車時に用いる駐車ポジション(Pポジション)、後進走行用のリバースポジション(Rポジション)、中立のニュートラルポジション(Nポジション)、前進走行用の通常のドライブポジション(Dポジション)などが用意されている。また、車速センサ88は、シフトポジションSPがドライブポジション(Dポジション)のときには前進方向の車速を正とし、リバースポジション(Rポジション)のときには後進方向の車速を正として検出する。
こうして構成された第1実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。なお、トルク変換運転モードと充放電運転モードは、いずれもエンジン22の運転を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようエンジン22とモータMG1,MG2とを制御するモードであり、実質的な制御における差異はないため、以下、両者を合わせてエンジン運転モードという。
エンジン運転モードでは、ハイブリッド用電子制御ユニット70は、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accと車速センサ88からの車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*を設定し、設定した要求トルクTr*にリングギヤ軸32aの回転数Nr(例えば、モータMG2の回転数Nm2を減速ギヤ35のギヤ比で除して得られる回転数や車速Vに換算係数を乗じて得られる回転数)を乗じて走行に要求される走行用パワーPr*を計算すると共に計算した走行用パワーPr*からバッテリ50の残容量(SOC)に基づいて得られるバッテリ50の充放電要求パワーPb*(バッテリ50から放電するときが正の値)を減じてエンジン22から出力すべきパワーとしての要求パワーPe*を設定し、要求パワーPe*を効率よくエンジン22から出力することができるエンジン22の回転数NeとトルクTeとの関係としての動作ライン(例えば燃費最適動作ライン)を用いてエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定し、バッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で、エンジン22の回転数Neが目標回転数Ne*となるようにするための回転数フィードバック制御によりモータMG1から出力すべきトルクとしてのトルク指令Tm1*を設定すると共にモータMG1をトルク指令Tm1*で駆動したときに動力分配統合機構30を介してリングギヤ軸32aに作用するトルクを要求トルクTr*から減じてモータMG2のトルク指令Tm2*を設定し、目標回転数Ne*と目標トルクTe*とについてエンジンECU24に送信し、トルク指令Tm1*,Tm2*についてはモータECU40に送信する。そして、目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを受信したエンジンECU24は、目標回転数Ne*と目標トルクTe*とに基づいてEGR率Reの目標値としての目標EGR率Re*を設定し、目標回転数Ne*と目標トルクTe*とによってエンジン22が運転されるようエンジン22の吸入空気量制御や燃料噴射制御,点火制御などを行なうと共にEGR率Reが目標EGR率Re*となるようEGRシステム160のEGRバルブ164の開度を調整する。また、トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、モータMG1,MG2がトルク指令Tm1*,Tm2*で駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。
モータ運転モードでは、ハイブリッド用電子制御ユニット70は、モータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定する共にバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG2のトルク指令Tm2*を設定してモータECU40に送信する。そして、トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、モータMG1,MG2がトルク指令Tm1*,Tm2*で駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。
次に、こうして構成された第1実施例のハイブリッド自動車20の動作、特にリバース走行(後進走行)するときの動作について説明する。図2は、シフトレバー81がリバースポジション(Rポジション)とされたときに第1実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行されるリバース走行時駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、シフトレバー81がリバースポジション(Rポジション)とされている最中は所定時間毎(例えば数msec毎)に繰り返し実行される。なお、シフトレバー81がリバースポジションとされているときには、バッテリ50の蓄電割合SOCが低下してバッテリ50を充電する必要が生じて充電要求がなされたときを除いてエンジン22の燃料噴射や点火は停止される。
リバース走行時駆動制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accやエンジン22の回転数Ne,モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,車速センサ88からの車速V,バッテリ50の出力制限Woutなど制御に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS100)。ここで、エンジン22の回転数Neはクランクシャフト26に取り付けられた図示しないクランクポジションセンサからの信号に基づいて演算されたものをエンジンECU24から通信により入力するものとした。また、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2は、回転位置検出センサ43,44により検出されたモータMG1,MG2の回転子の回転位置に基づいて演算されたものをモータECU40から通信により入力するものとした。さらに、バッテリ50の出力制限Woutは、バッテリ50の電池温度Tbとバッテリ50の残容量(SOC)とに基づいて設定されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。車速Vは、前述したようにシフトポジションSPがリバースポジション(Rポジション)のときには後進方向の車速を正としている。
こうしてデータを入力すると、入力したアクセル開度Accと車速Vとに基づいて車両に要求されるトルクとして駆動輪63a,63bに連結された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*を設定すると共に(ステップS110)、設定した要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setを超えているか否かを判定する(ステップS120)。ここで、要求トルクTr*は、第1実施例では、アクセル開度Accと車速Vと要求トルクTr*との関係を予め定めて要求トルク設定用マップとしてROM74に記憶しておき、アクセル開度Accと車速Vとが与えられると記憶したマップから対応する要求トルクTr*を導出して設定するものとした。図3に要求トルク設定用マップの一例を示す。
要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2set以下のときには、モータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定し(ステップS130)、バッテリ50の出力制限WoutをモータMG2の回転数Nm2で除した値としてトルク制限Tm2maxを計算すると共に(ステップS140)、要求トルクTr*を減速ギヤ35のギヤ比Grで除したものとトルク制限Tm2maxとのうち小さい方をモータMG2のトルク指令Tm2*として設定し(ステップS142)、設定したトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信して(ステップS190)、本ルーチンを終了する。トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm1*でモータMG1が駆動されると共にトルク指令Tm2*でモータMG2が駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。モータMG2からのトルクだけでリバース走行しているときの動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を図4に示す。左のS軸はモータMG1の回転数Nm1であるサンギヤ31の回転数を示し、C軸はエンジン22の回転数Neであるキャリア34の回転数を示し、R軸はモータMG2の回転数Nm2を減速ギヤ35のギヤ比Grで除したリングギヤ32の回転数Nrを示し、R軸上の太線矢印はモータMG2から出力されるトルクTm2が減速ギヤ35を介してリングギヤ軸32aに作用するトルクを示す。図示するように、共線図上では、右から駆動軸としてのリングギヤ軸32aの回転数Nrを示すR軸,エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26の回転数Neを示すC軸,モータMG1の回転数Nm1を示すS軸の順に並んでいる。こうした制御により、モータMG2の定格値とバッテリ50の出力制限Woutの範囲内でモータMG2からリバース走行用の要求トルクTr*を出力して走行することができる。
ステップS120で要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setを超えていると判定されると、アクセル開度Accに基づいてエンジン22の目標回転数Ne*を設定すると共に(ステップS150)、アクセル開度Accに基づいてエンジン22の回転数Neの単位時間(このルーチンの起動頻度を単位時間としたときの単位時間)当たりの上昇の程度としての上昇レート値Nertを設定する(ステップS160)。ここで、エンジン22の目標回転数Ne*は、第1実施例では、アクセル開度Accと目標回転数Ne*との関係を予め設定して目標回転数設定用マップとしてROM74に記憶しておき、アクセル開度Accが与えられるとマップから対応する目標回転数Ne*を導出することにより設定するものとした。目標回転数設定用マップの一例を図5に示す。図示するように、エンジン22の目標回転数Ne*は、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向に設定されている。これは、アクセル開度Accが大きいほどエンジン22のフリクションが大きくなり、このフリクションにより駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるトルクが大きくなることに基づく。また、上昇レート値Nertは、第1実施例では、アクセル開度Accと上昇レート値Nertとの関係を予め設定して上昇レート値設定用マップとしてROM74に記憶しておき、アクセル開度Accが与えられるとマップから対応する上昇レート値Nertを導出することにより設定するものとした。上昇レート値設定用マップの一例を図6に示す。図示するように、上昇レート値Nertは、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向に設定されている。これは、アクセル開度Accが大きいほどエンジン22の回転数Neの上昇に必要なエネルギが大きくなって駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるトルクが大きくなることに基づく。
こうしてエンジン22の目標回転数Ne*と上昇レート値Nertを設定すると、設定した目標回転数Ne*とエンジン22の回転数Neに上昇レート値Nertを加えたものとのうち小さい方を制御用回転数N*として設定し(ステップS170)、次式(1)によりエンジン22が制御用回転数N*で回転するようモータMG1のトルク指令Tm1*を設定する(ステップS172)。式(1)は、エンジン22を制御用回転数N*で回転されるためのフィードバック制御における関係式である。式(1)中、「k1」は比例項のゲインであり、「k2」は積分項のゲインである。制御用回転数N*は、このルーチンが実行される毎に制御用回転数N*は目標回転数Ne*に至るまで上昇レート値Nertずつ大きくなるよう設定されるから、エンジン22は上昇レート値Nertによるレート処理によって、上昇レート値Nertが大きいときには迅速にエンジン22の回転数Neを上昇させてエンジン22が目標回転数Ne*で回転するようになり、上昇レート値Nertが小さいときにはゆっくりとエンジン22の回転数Neを上昇させてエンジン22が目標回転数Ne*で回転するようになる。
Tm1*=k1・(N*-Ne)+k2・∫(N*-Ne)dt (1)
続いて、要求トルクTr*に設定したトルク指令Tm1*を動力分配統合機構30のギヤ比ρで除したものを加えて更に減速ギヤ35のギヤ比Grで除してモータMG2から出力すべきトルクの仮の値である仮トルクTm2tmpを次式(2)により計算し(ステップS180)、バッテリ50の出力制限Woutと設定したトルク指令Tm1*に現在のモータMG1の回転数Nm1を乗じて得られるモータMG1の消費電力との偏差をモータMG2の回転数Nm2で割ることによりモータMG2から出力してもよいトルクの上限としてのトルク制限Tm2maxを式(3)により計算すると共に(ステップS182)、設定した仮トルクTm2tmpとトルク制限Tm2maxのうちの小さい方をモータMG2のトルク指令Tm2*として設定する(ステップS184)。なお、式(2)は、図4の共線図を用いて力学的な関係式として求めることができる。
Tm2tmp=(Tr*+Tm1*/ρ)/Gr (2)
Tm2max=(Wout-Tm1*・Nm1)/Nm2 (3)
そして、設定したモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信して(ステップS190)、本ルーチンを終了する。モータMG2からのトルクとエンジン22のモータリングによるトルクとによりリバース走行しているときの動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を図7に示す。図中、R軸上の2つの太線矢印は、モータMG1から出力されたトルクTm1がリングギヤ軸32aに作用するトルクと、モータMG2から出力されるトルクTm2が減速ギヤ35を介してリングギヤ軸32aに作用するトルクとを示す。こうした制御により、バッテリ50の出力制限Woutの範囲内で、モータMG1によるエンジン22のモータリングにより駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるトルクとモータMG2から出力されるトルクとにより、リバース走行用の要求トルクTr*を出力して走行することができる。
図8は、リバース走行時に要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setw超えているときのアクセル開度Accとエンジン22の回転数Neの時間変化の様子を示す説明図である。図中、実線はアクセルペダル83の踏み込みが大きくアクセル開度Accが大きな値Acc1となってエンジン22の目標回転数Ne*に大きな値Ne1が設定されると共に上昇レート値Nertに大きな値Nert1が設定されたときのアクセル開度Accとエンジン22の回転数Neの時間変化を示し、一点鎖線はアクセルペダル83の踏み込みが実線のときより小さくアクセル開度Accが値Acc1より小さな値Acc2となってエンジン22の目標回転数Ne*に値Ne1より小さい値Ne2が設定されると共に上昇レート値Nertに値Nert1より小さい値Nert2が設定されたときのアクセル開度Accとエンジン22の回転数Neの時間変化を示す。アクセルペダル83の踏み込みが大きいと、駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*も大きな値が設定されるが、図の実線に示すように、エンジン22の目標回転数Ne*も上昇レート値Nertも大きな値Ne1,Nert1が設定されるから、モータMG1のトルク指令Tm1*には大きな値が設定される。このため、エンジン22は迅速に回転数Neを上昇させて時間T12で目標回転数Ne*(値Ne1)で回転するようになる。このとき、リングギヤ軸32aには、大きな値として設定されたモータMG1のトルク指令Tm1*に相当するトルクとモータMG2のトルク指令Tm2*に相当するトルクとの和のトルクが出力されるから、大きなトルクが出力されることになる。一方、アクセルペダル83の踏み込みが実線のときに比して小さいと、要求トルクTr*は実線のときより小さな値が設定され、図の一点鎖線に示すように、エンジン22の目標回転数Ne*も上昇レート値Nertも実線のときより小さな値Ne2,Nert2が設定されるから、モータMG1のトルク指令Tm1*にも実線のときより小さな値が設定される。このため、エンジン22は実線のときよりゆっくりと回転数Neを上昇させて時間T13で目標回転数Ne*(値Ne2)で回転するようになる。このとき、リングギヤ軸32aには、実線のときより小さな値として設定されたモータMG1のトルク指令Tm1*に相当するトルクとモータMG2のトルク指令Tm2*に相当するトルクとの和のトルクが出力されるから、実線のときより小さなトルクが出力されることになる。このように、アクセル開度Accが大きくなるほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*と上昇レート値Nrtとを設定することにより、運転者のアクセルペダル83の踏み込み量に応じたトルクをリングギヤ軸32aに出力してリバース走行することができる。
以上説明した第1実施例のハイブリッド自動車20によれば、要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setを超えているときには、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定すると共にアクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向に上昇レート値Nertを設定し、エンジン22が設定した上昇レート値Nertを用いたレート処理により目標回転数Ne*で回転すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1,MG2を制御することにより、リバース走行時のトルク出力を運転者のアクセルペダル83の操作量としてのアクセル開度Accに応じたものとすることができる。即ち、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定することにより、アクセル開度Accが大きいほどエンジン22のフリクションが大きくなって、このフリクションにより駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるトルクが大きくなるようにし、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向に上昇レート値Nertに設定することにより、アクセル開度Accが大きいほどエンジン22の回転数Neの上昇に必要なエネルギが大きくなることから、駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるトルクが大きくなるようにすることにより、リバース走行時のトルク出力を運転者のアクセルペダル83の操作量としてのアクセル開度Accに応じたものとすることができるのである。
第1実施例のハイブリッド自動車20では、要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setを超えているときに、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定すると共にアクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向に上昇レート値Nertを設定し、エンジン22が設定した上昇レート値Nertを用いたレート処理により目標回転数Ne*で回転すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1,MG2を制御するものとしたが、要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setを超えていないときでも、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定すると共にアクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向に上昇レート値Nertを設定し、エンジン22が設定した上昇レート値Nertを用いたレート処理により目標回転数Ne*で回転すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1,MG2を制御するものとしてもよい。
また、第1実施例のハイブリッド自動車20では、要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setを超えているときに、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定すると共にアクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向に上昇レート値Nertを設定し、エンジン22が設定した上昇レート値Nertを用いたレート処理により目標回転数Ne*で回転すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1,MG2を制御するものとしたが、モータMG2の温度やモータMG2を駆動するインバータ42の温度などによりモータMG2の駆動制限が課されているときには、要求トルクTr*がモータMG2の駆動制限により出力可能なトルクを超えているときに、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定すると共にアクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向に上昇レート値Nertを設定し、エンジン22が設定した上昇レート値Nertを用いたレート処理により目標回転数Ne*で回転すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1,MG2を制御するものとしてもよい。
次に、本発明の第2実施例のハイブリッド自動車20Bについて説明する。第2実施例のハイブリッド自動車20Bは、図1に例示した第1実施例のハイブリッド自動車20と同一のハード構成をしており、リバース走行時の制御を除いて同一の制御が行なわれている。したがって、重複する記載を回避するために、第2実施例のハイブリッド自動車20Bのハード構成およびリバース走行時の制御を除く制御についての説明は省略する。なお、第2実施例のハイブリッド自動車20Bのハード構成については、第1実施例のハイブリッド自動車20のハード構成と同一の符号を用いる。以下、第2実施例のハイブリッド自動車20Bにおけるリバース走行時の制御について説明する。図9は、シフトレバー81がリバースポジション(Rポジション)とされたときに第2実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行されるリバース走行時駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、シフトレバー81がリバースポジション(Rポジション)とされている最中は所定時間毎(例えば数msec毎)に繰り返し実行される。なお、第2実施例でも、シフトレバー81がリバースポジションとされているときには、バッテリ50の蓄電割合SOCが低下してバッテリ50を充電する必要が生じて充電要求がなされたときを除いてエンジン22の燃料噴射や点火は停止される。
リバース走行時駆動制御ルーチンが実行されると、第2実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accやエンジン22の回転数Ne,モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,車速センサ88からの車速V,冷却水温Tw,バッテリ50の出力制限Woutなど制御に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS200)。ここで、冷却水温Twは、温度センサ23により検出されたものをエンジンECU24から通信により入力するものとした。エンジン22の回転数NeやモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,バッテリ50の出力制限Woutについては、第1実施例と同様である。
続いて、入力したアクセル開度Accと車速Vと図3に例示した要求トルク設定用マップとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*を設定すると共に(ステップS210)、設定した要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setを超えているか否かを判定し(ステップS220)、要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2set以下のときには、モータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定し(ステップS230)、バッテリ50の出力制限WoutをモータMG2の回転数Nm2で除した値としてトルク制限Tm2maxを計算すると共に(ステップS240)、要求トルクTr*を減速ギヤ35のギヤ比Grで除したものとトルク制限Tm2maxとのうち小さい方をモータMG2のトルク指令Tm2*として設定し(ステップS242)、設定したトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信して(ステップS290)、本ルーチンを終了する。これらの処理は第1実施例の図2のリバース走行時駆動制御ルーチンのステップS110〜S142,S190の処理と同一である。
ステップS220で要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setw超えていると判定されると、アクセル開度Accと図5に例示した目標回転数設定用マップとに基づいてエンジン22の目標回転数Ne*を設定すると共に(ステップS250)、冷却水温Twに基づいてエンジン22の回転数Neの単位時間(このルーチンの起動頻度を単位時間としたときの単位時間)当たりの上昇の程度としての上昇レート値Nertを設定する(ステップS260)。ここで、上昇レート値Nertは、第2実施例では、冷却水温Twと上昇レート値Nertとの関係を予め設定して上昇レート値設定用マップとしてROM74に記憶しておき、冷却水温Twが与えられるとマップから対応する上昇レート値Nertを導出することにより設定するものとした。冷却水温Twに基づく上昇レート値設定用マップの一例を図10に示す。図示するように、上昇レート値Nertは、冷却水温Twが高いほど大きくなる傾向に設定されている。これは、冷却水温Twが高いほどエンジン22の潤滑油の温度も高く、エンジン22のフリクションが小さくなって駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるトルクが小さくなるため、上昇レート値を大きくすることにより、エンジン22の回転数Neの上昇に必要なエネルギを大きくすることによってモータMG1のトルク指令Tm1*を大きくし、リングギヤ軸32aに出力されるトルクを大きくすることに基づく。なお、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定するのは、第1実施例と同様に、アクセル開度Accが大きいほどエンジン22のフリクションが大きくなり、このフリクションにより駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるトルクが大きくなることに基づく。
こうしてエンジン22の目標回転数Ne*と上昇レート値Nertを設定すると、第1実施例の図2のリバース走行時駆動制御ルーチンのステップS170〜S190の処理と同一の処理、即ち、目標回転数Ne*とエンジン22の回転数Neに上昇レート値Nertを加えたものとのうち小さい方を制御用回転数N*として設定する処理(ステップS270)、式(1)によりエンジン22が制御用回転数N*で回転するようモータMG1のトルク指令Tm1*を設定する処理(ステップS272)、式(2)によりモータMG2から出力すべきトルクの仮の値である仮トルクTm2tmpを設定する処理(ステップS280)、式(3)によりモータMG2から出力してもよいトルクの上限としてのトルク制限Tm2maxを計算する処理(ステップS282)、仮トルクTm2tmpとトルク制限Tm2maxのうちの小さい方をモータMG2のトルク指令Tm2*として設定する処理(ステップS284)、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信する処理(ステップS290)、を実行して、本ルーチンを終了する。こうした制御により、バッテリ50の出力制限Woutの範囲内で、モータMG1によるエンジン22のモータリングにより駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるトルクとモータMG2から出力されるトルクとにより、リバース走行用の要求トルクTr*を出力して走行することができる。
図11は、リバース走行時に要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setw超えているときのアクセル開度Accとエンジン22の回転数Neの時間変化の様子を示す説明図である。図中、実線は、アクセル開度Accが値Acc1であることによりエンジン22の目標回転数Ne*に値Ne1が設定されると共に冷却水温Twが高いために上昇レート値Nertに大きな値Nert1が設定されたときのアクセル開度Accとエンジン22の回転数Neの時間変化を示し、一点鎖線は実線のときと同様にアクセル開度Accが値Acc1であることによりエンジン22の目標回転数Ne*に値Ne1が設定されているが冷却水温Twが低いために上昇レート値Nertに値Nert1より小さい値Nert2が設定されたときのアクセル開度Accとエンジン22の回転数Neの時間変化を示す。実線に示すように、冷却水温Twが高いと上昇レート値Nertに大きな値Nert1が設定されるが、エンジン22のフリクションが小さいため、エンジン22の回転数Neの制御回転数N*への追従性が良好になるため、モータMG1のトルク指令Tm1*には制御回転数N*と回転数Neとの比較的小さな差分と比較的大きな上昇レート値Nertの増加分との和に対応するトルクが設定されることになる。一方、冷却水温Twが低いと上昇レート値Nertに小さな値Nert1が設定されるが、エンジン22のフリクションが大きいため、エンジン22の回転数Neの制御回転数N*への追従性が実線のときに比して悪くなるため、モータMG1のトルク指令Tm1*には制御回転数N*と回転数Neとの実線のときに比して大きな差分と比較的小さな上昇レート値Nertの増加分との和に対応するトルクが設定されることになる。したがって、冷却水温Twが高いときでも低いときでもモータMG1のトルク指令Tm1*には略同一の値が設定されるようになる。これにより、冷却水温Twの高低に拘わらずに、運転者のアクセルペダル83の踏み込み量に応じたトルクをリングギヤ軸32aに出力してリバース走行することができる。なお、冷却水温Twが高いときには、上昇レート値Nertに大きな値Nert1が設定されるから、エンジン22は迅速に回転数Neを上昇させて時間T22で目標回転数Ne*(値Ne1)で回転するようになり、逆に、冷却水温Twが低いときには、上昇レート値Nertに小さな値Nert2が設定されるから、エンジン22はゆっくり回転数Neを上昇させて時間T23で目標回転数Ne*(値Ne1)で回転するようになる。
以上説明した第2実施例のハイブリッド自動車20Bによれば、要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setを超えているときには、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定すると共に冷却水温Twが高いほど大きくなる傾向に上昇レート値Nertを設定し、エンジン22が設定した上昇レート値Nertを用いたレート処理により目標回転数Ne*で回転すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1,MG2を制御することにより、冷却水温Twの高低に拘わらずに、運転者のアクセルペダル83の踏み込み量に応じたトルクをリングギヤ軸32aに出力してリバース走行することができる。即ち、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定することにより、アクセル開度Accが大きいほどエンジン22のフリクションが大きくなって、このフリクションにより駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるトルクが大きくなるようにし、冷却水温Twが高いほど大きくなる傾向に上昇レート値Nertに設定することにより、冷却水温Twの高低によってエンジン22のフリクションが変化することに対応することにより、リバース走行時のトルク出力を運転者のアクセルペダル83の操作量としてのアクセル開度Accに応じたものとすることができるのである。
第2実施例のハイブリッド自動車20Bでは、要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setを超えているときに、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定すると共に冷却水温Twが高いほど大きくなる傾向に上昇レート値Nertを設定し、エンジン22が設定した上昇レート値Nertを用いたレート処理により目標回転数Ne*で回転すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1,MG2を制御するものとしたが、要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setを超えていないときでも、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定すると共に冷却水温Twが高いほど大きくなる傾向に上昇レート値Nertを設定し、エンジン22が設定した上昇レート値Nertを用いたレート処理により目標回転数Ne*で回転すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1,MG2を制御するものとしてもよい。
また、第2実施例のハイブリッド自動車20Bでは、要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setを超えているときに、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定すると共に冷却水温Twが高いほど大きくなる傾向に上昇レート値Nertを設定し、エンジン22が設定した上昇レート値Nertを用いたレート処理により目標回転数Ne*で回転すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1,MG2を制御するものとしたが、モータMG2の温度やモータMG2を駆動するインバータ42の温度などによりモータMG2の駆動制限が課されているときには、要求トルクTr*がモータMG2の駆動制限により出力可能なトルクを超えているときに、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定すると共に冷却水温Twが高いほど大きくなる傾向に上昇レート値Nertを設定し、エンジン22が設定した上昇レート値Nertを用いたレート処理により目標回転数Ne*で回転すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1,MG2を制御するものとしてもよい。
次に、本発明の第3実施例のハイブリッド自動車20Cについて説明する。第3実施例のハイブリッド自動車20Cは、図1に例示した第1実施例のハイブリッド自動車20と同一のハード構成をしており、リバース走行時の制御を除いて同一の制御が行なわれている。したがって、重複する記載を回避するために、第3実施例のハイブリッド自動車20Cのハード構成およびリバース走行時の制御を除く制御についての説明は省略する。なお、第3実施例のハイブリッド自動車20Cのハード構成については、第1実施例のハイブリッド自動車20のハード構成と同一の符号を用いる。以下、第3実施例のハイブリッド自動車20Cにおけるリバース走行時の制御について説明する。図12は、シフトレバー81がリバースポジション(Rポジション)とされたときに第3実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行されるリバース走行時駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、シフトレバー81がリバースポジション(Rポジション)とされている最中は所定時間毎(例えば数msec毎)に繰り返し実行される。なお、第3実施例でも、シフトレバー81がリバースポジションとされているときには、バッテリ50の蓄電割合SOCが低下してバッテリ50を充電する必要が生じて充電要求がなされたときを除いてエンジン22の燃料噴射や点火は停止される。
リバース走行時駆動制御ルーチンが実行されると、第3実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accやエンジン22の回転数Ne,モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,車速センサ88からの車速V,バッテリ50の蓄電割合SOC,バッテリ50の出力制限Woutなど制御に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS300)。ここで、バッテリ50の蓄電割合SOCは、電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいて演算されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。エンジン22の回転数NeやモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,バッテリ50の出力制限Woutについては、第1実施例と同様である。
続いて、入力したアクセル開度Accと車速Vと図3に例示した要求トルク設定用マップとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*を設定すると共に(ステップS310)、設定した要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setを超えているか否かを判定し(ステップS320)、要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2set以下のときには、モータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定し(ステップS330)、バッテリ50の出力制限WoutをモータMG2の回転数Nm2で除した値としてトルク制限Tm2maxを計算すると共に(ステップS340)、要求トルクTr*を減速ギヤ35のギヤ比Grで除したものとトルク制限Tm2maxとのうち小さい方をモータMG2のトルク指令Tm2*として設定し(ステップS342)、設定したトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信して(ステップS390)、本ルーチンを終了する。これらの処理は第1実施例の図2のリバース走行時駆動制御ルーチンのステップS110〜S142,S190の処理と同一である。
ステップS320で要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setを超えていると判定されると、アクセル開度Accと図5に例示した目標回転数設定用マップとに基づいてエンジン22の目標回転数Ne*を設定し(ステップS350)、バッテリ50の出力制限Woutから前回このルーチンが実行されたときに設定されたモータMG2のトルク指令Tm2*にモータMG2の回転数Nm2を乗じたものを減じた値としてレート値用パラメータΔWを設定すると共に(ステップS360)、設定したレート値用パラメータΔWに基づいてエンジン22の回転数Neの単位時間(このルーチンの起動頻度を単位時間としたときの単位時間)当たりの上昇の程度としての上昇レート値Nertを設定する(ステップS362)。ここで、上昇レート値Nertは、第3実施例では、レート値用パラメータΔWと上昇レート値Nertとの関係を予め設定して上昇レート値設定用マップとしてROM74に記憶しておき、レート値用パラメータΔWが与えられるとマップから対応する上昇レート値Nertを導出することにより設定するものとした。レート値用パラメータΔWに基づく上昇レート値設定用マップの一例を図13に示す。図示するように、上昇レート値Nertはレート値用パラメータΔWが大きいほど大きくなる傾向に設定されている。これは、レート値用パラメータΔWが大きいほどバッテリ50から出力可能な電力が大きくなる(余裕がある)ため、上昇レート値Nertを大きくしてモータMG1のトルク指令Tm1*を大きくしても、バッテリ50からの放電電力でモータMG1,MG2で消費する電力を賄うことができることに基づく。なお、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定するのは、第1実施例と同様に、アクセル開度Accが大きいほどエンジン22のフリクションが大きくなり、このフリクションにより駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるトルクが大きくなることに基づく。
こうしてエンジン22の目標回転数Ne*と上昇レート値Nertを設定すると、第1実施例の図2のリバース走行時駆動制御ルーチンのステップS170〜S190の処理と同一の処理、即ち、目標回転数Ne*とエンジン22の回転数Neに上昇レート値Nertを加えたものとのうち小さい方を制御用回転数N*として設定する処理(ステップS370)、式(1)によりエンジン22が制御用回転数N*で回転するようモータMG1のトルク指令Tm1*を設定する処理(ステップS372)、式(2)によりモータMG2から出力すべきトルクの仮の値である仮トルクTm2tmpを設定する処理(ステップS380)、式(3)によりモータMG2から出力してもよいトルクの上限としてのトルク制限Tm2maxを計算する処理(ステップS382)、仮トルクTm2tmpとトルク制限Tm2maxのうちの小さい方をモータMG2のトルク指令Tm2*として設定する処理(ステップS384)、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信する処理(ステップS390)、を実行して、本ルーチンを終了する。こうした制御により、バッテリ50の出力制限Woutの範囲内で、モータMG1によるエンジン22のモータリングにより駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるトルクとモータMG2から出力されるトルクとにより、リバース走行用の要求トルクTr*を出力して走行することができる。
図14は、リバース走行時に要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setw超えているときのアクセル開度Accとエンジン22の回転数Neと車速Vの時間変化の様子を示す説明図である。図示するように、時間T31では車速Vは値0であるため、モータMG2から大きなトルクを出力してもモータMG2の消費電力は小さい。このため、バッテリ50の出力制限WoutからモータMG2の消費電力を減じて計算されるレート値用パラメータΔWは大きな値となり、上昇レート値Nertには大きな値が設定され、時間T31以降の車速Vが小さいときには、大きな上昇レート値Nertによりエンジン22の回転数Neは迅速に上昇する。このとき、モータMG1のトルク指令Tm1*には、大きな上昇レート値Nertにより比較的大きな値が設定されることになる。車速Vが徐々に大きくなると、モータMG2の回転数Nm2も大きくなり、モータMG2の消費電力も大きくなるから、レート値用パラメータΔWは徐々に小さくなる。このため、上昇レート値Nertの値も徐々に小さくなり、エンジン22の回転数Neの上昇速度は小さくなっていく。このとき、モータMG1のトルク指令Tm1*には、徐々に小さくなる上昇レート値Nertにより徐々に小さくなる値が設定されることになる。そして、エンジン22の回転数Neが目標回転数Ne*(値Ne1)に至ると、その回転数が保持され、モータMG1のトルク指令Tm1*には、エンジン22を目標回転数Ne*で保持するのに必要な値が設定される。こうした制御により、バッテリ50から放電可能な電力に応じてモータMG1のトルク指令Tm1*を設定することができるようになる。即ち、モータMG1によるエンジン22のモータリングによって駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるトルクを運転者のアクセル操作量とバッテリ50から出力可能な余裕の電力に応じたものとすることができるのである。
以上説明した第3実施例のハイブリッド自動車20Cによれば、要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setを超えているときには、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定すると共にバッテリ50の出力制限WoutからモータMG2の消費電力を減じて計算されるレート値用パラメータΔWが大きいほど大きくなる傾向に上昇レート値Nertを設定し、エンジン22が設定した上昇レート値Nertを用いたレート処理により目標回転数Ne*で回転すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1,MG2を制御することにより、モータMG1によるエンジン22のモータリングによって駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力するトルクをバッテリ50から出力可能な余裕の電力に応じたものとすることができると共に運転者のアクセルペダル83の踏み込み量に応じたトルクをリングギヤ軸32aに出力してリバース走行することができる。即ち、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定することにより、アクセル開度Accが大きいほどエンジン22のフリクションが大きくなって、このフリクションにより駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるトルクが大きくなるようにし、バッテリ50の出力制限WoutからモータMG2の消費電力を減じて計算されるレート値用パラメータΔWが大きいほど大きくなる傾向に上昇レート値Nertを設定することにより、モータMG1によるエンジン22のモータリングによってリングギヤ軸32aに出力するトルクをバッテリ50から出力可能な余裕の電力に応じたものとすることができるのである。
第3実施例のハイブリッド自動車20Cでは、要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setを超えているときに、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定すると共にバッテリ50の出力制限WoutからモータMG2の消費電力を減じて計算されるレート値用パラメータΔWが大きいほど大きくなる傾向に上昇レート値Nertを設定し、エンジン22が設定した上昇レート値Nertを用いたレート処理により目標回転数Ne*で回転すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1,MG2を制御するものとしたが、要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setを超えていないときでも、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定すると共にバッテリ50の出力制限WoutからモータMG2の消費電力を減じて計算されるレート値用パラメータΔWが大きいほど大きくなる傾向に上昇レート値Nertを設定し、エンジン22が設定した上昇レート値Nertを用いたレート処理により目標回転数Ne*で回転すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1,MG2を制御するものとしてもよい。
また、第3実施例のハイブリッド自動車20Cでは、要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setを超えているときに、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定すると共にバッテリ50の出力制限WoutからモータMG2の消費電力を減じて計算されるレート値用パラメータΔWが大きいほど大きくなる傾向に上昇レート値Nertを設定し、エンジン22が設定した上昇レート値Nertを用いたレート処理により目標回転数Ne*で回転すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1,MG2を制御するものとしたが、モータMG2の温度やモータMG2を駆動するインバータ42の温度などによりモータMG2の駆動制限が課されているときには、要求トルクTr*がモータMG2の駆動制限により出力可能なトルクを超えているときに、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定すると共にバッテリ50の出力制限WoutからモータMG2の消費電力を減じて計算されるレート値用パラメータΔWが大きいほど大きくなる傾向に上昇レート値Nertを設定し、エンジン22が設定した上昇レート値Nertを用いたレート処理により目標回転数Ne*で回転すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1,MG2を制御するものとしてもよい。
次に、本発明の第4実施例のハイブリッド自動車20Dについて説明する。第4実施例のハイブリッド自動車20Dは、図1に例示した第1実施例のハイブリッド自動車20と同一のハード構成をしており、リバース走行時の制御を除いて同一の制御が行なわれている。したがって、重複する記載を回避するために、第4実施例のハイブリッド自動車20Dのハード構成およびリバース走行時の制御を除く制御についての説明は省略する。なお、第4実施例のハイブリッド自動車20Dのハード構成については、第1実施例のハイブリッド自動車20のハード構成と同一の符号を用いる。以下、第4実施例のハイブリッド自動車20Dにおけるリバース走行時の制御について説明する。図15は、シフトレバー81がリバースポジション(Rポジション)とされたときに第4実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行されるリバース走行時駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、シフトレバー81がリバースポジション(Rポジション)とされている最中は所定時間毎(例えば数msec毎)に繰り返し実行される。なお、第4実施例でも、シフトレバー81がリバースポジションとされているときには、バッテリ50の蓄電割合SOCが低下してバッテリ50を充電する必要が生じて充電要求がなされたときを除いてエンジン22の燃料噴射や点火は停止される。
リバース走行時駆動制御ルーチンが実行されると、第4実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accやエンジン22の回転数Ne,モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,車速センサ88からの車速V,バッテリ電圧Vb,バッテリ50の出力制限Woutなど制御に必要なデータを入力する(ステップS400)。ここで、バッテリ電圧Vbは、電圧センサ51aにより検出されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。エンジン22の回転数NeやモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,バッテリ50の出力制限Woutについては、第1実施例と同様である。
続いて、入力したアクセル開度Accと車速Vと図3に例示した要求トルク設定用マップとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*を設定すると共に(ステップS410)、設定した要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setを超えているか否かを判定し(ステップS420)、要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2set以下のときには、モータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定し(ステップS430)、バッテリ50の出力制限WoutをモータMG2の回転数Nm2で除した値としてトルク制限Tm2maxを計算すると共に(ステップS440)、要求トルクTr*を減速ギヤ35のギヤ比Grで除したものとトルク制限Tm2maxとのうち小さい方をモータMG2のトルク指令Tm2*として設定し(ステップS442)、設定したトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信して(ステップS490)、本ルーチンを終了する。これらの処理は第1実施例の図2のリバース走行時駆動制御ルーチンのステップS110〜S142,S190の処理と同一である。
ステップS420で要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setw超えていると判定されると、アクセル開度Accと図5に例示した目標回転数設定用マップとに基づいてエンジン22の目標回転数Ne*を設定し(ステップS450)、バッテリ電圧Vbからバッテリ50の状態として許容される下限の電圧として予め定められた下限電圧Vminを減じた値としてレート値用パラメータΔVを設定すると共に(ステップS460)、設定したレート値用パラメータΔVに基づいてエンジン22の回転数Neの単位時間(このルーチンの起動頻度を単位時間としたときの単位時間)当たりの上昇の程度としての上昇レート値Nertを設定する(ステップS462)。ここで、上昇レート値Nertは、第4実施例では、レート値用パラメータΔVと上昇レート値Nertとの関係を予め設定して上昇レート値設定用マップとしてROM74に記憶しておき、レート値用パラメータΔVが与えられるとマップから対応する上昇レート値Nertを導出することにより設定するものとした。レート値用パラメータΔVに基づく上昇レート値設定用マップの一例を図16に示す。図示するように、上昇レート値Nertはレート値用パラメータΔVが大きいほど大きくなる傾向に設定されている。これは、レート値用パラメータΔVが大きいほどバッテリ50の状態が良好であると考えることができるため、上昇レート値Nertを大きくしてモータMG1のトルク指令Tm1*を大きくし、モータMG1で大きな電力を消費しても、バッテリ50を良好な状態を保持することができることに基づく。なお、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定するのは、第1実施例と同様に、アクセル開度Accが大きいほどエンジン22のフリクションが大きくなり、このフリクションにより駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるトルクが大きくなることに基づく。
こうしてエンジン22の目標回転数Ne*と上昇レート値Nertを設定すると、第1実施例の図2のリバース走行時駆動制御ルーチンのステップS170〜S190の処理と同一の処理、即ち、目標回転数Ne*とエンジン22の回転数Neに上昇レート値Nertを加えたものとのうち小さい方を制御用回転数N*として設定する処理(ステップS470)、式(1)によりエンジン22が制御用回転数N*で回転するようモータMG1のトルク指令Tm1*を設定する処理(ステップS472)、式(2)によりモータMG2から出力すべきトルクの仮の値である仮トルクTm2tmpを設定する処理(ステップS480)、式(3)によりモータMG2から出力してもよいトルクの上限としてのトルク制限Tm2maxを計算する処理(ステップS482)、仮トルクTm2tmpとトルク制限Tm2maxのうちの小さい方をモータMG2のトルク指令Tm2*として設定する処理(ステップS484)、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信する処理(ステップS490)、を実行して、本ルーチンを終了する。こうした制御により、バッテリ50の出力制限Woutの範囲内で、モータMG1によるエンジン22のモータリングにより駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるトルクとモータMG2から出力されるトルクとにより、リバース走行用の要求トルクTr*を出力して走行することができる。
図17は、リバース走行時に要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setw超えているときのアクセル開度Accとエンジン22の回転数Neの時間変化の様子を示す説明図である。図中、実線は、アクセル開度Accが値Acc1であることによりエンジン22の目標回転数Ne*に値Ne1が設定されると共にバッテリ電圧Vbから下限電圧Vminを減じて得られるレート値用パラメータΔVが大きいために上昇レート値Nertに大きな値Nert1が設定されたときのアクセル開度Accとエンジン22の回転数Neの時間変化を示し、一点鎖線は実線のときと同様にアクセル開度Accが値Acc1であることによりエンジン22の目標回転数Ne*に値Ne1が設定されているがレート値用パラメータΔVが小さいために上昇レート値Nertに値Nert1より小さい値Nert2が設定されたときのアクセル開度Accとエンジン22の回転数Neの時間変化を示す。実線に示すように、レート値用パラメータΔVが大きいと上昇レート値Nertに大きな値Nert1が設定されるため、モータMG1のトルク指令Tm1*に大きな値が設定されるが、レート値用パラメータΔVが大きいため、バッテリ50は良好な状態で保持される。このとき、エンジン22は迅速に回転数Neを上昇させて時間T42で目標回転数Ne*(値Ne1)で回転するようになる。一方、レート値用パラメータΔVが小さいと上昇レート値Nertに小さな値Nert1が設定されるため、モータMG1のトルク指令Tm1*に小さな値が設定されることにより、レート値用パラメータΔVが小さくても、バッテリ50を良好な状態で保持することができる。このとき、エンジン22は実線のときよりゆっくり回転数Neを上昇させて時間T43で目標回転数Ne*(値Ne1)で回転するようになる。これにより、バッテリ50が下限電圧Vmin未満になることによって劣化するのを抑止しながら、運転者のアクセルペダル83の踏み込み量に応じたトルクをリングギヤ軸32aに出力してリバース走行することができる。
以上説明した第4実施例のハイブリッド自動車20Dによれば、要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setを超えているときには、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定すると共にバッテリ電圧Vbから下限電圧Vminを減じて得られるレート値用パラメータΔVが大きいほど大きくなる傾向に上昇レート値Nertを設定し、エンジン22が設定した上昇レート値Nertを用いたレート処理により目標回転数Ne*で回転すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1,MG2を制御することにより、バッテリ50の劣化を抑制しながら運転者のアクセルペダル83の踏み込み量に応じたトルクをリングギヤ軸32aに出力してリバース走行することができる。即ち、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定することにより、アクセル開度Accが大きいほどエンジン22のフリクションが大きくなって、このフリクションにより駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるトルクが大きくなるようにし、バッテリ電圧Vbから下限電圧Vminを減じて得られるレート値用パラメータΔVが大きいほど大きくなる傾向に上昇レート値Nertを設定することにより、モータMG1の消費電力を調整してバッテリ50の劣化を抑制するのである。
第4実施例のハイブリッド自動車20Dでは、要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setを超えているときに、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定すると共にバッテリ電圧Vbから下限電圧Vminを減じて得られるレート値用パラメータΔVが大きいほど大きくなる傾向に上昇レート値Nertを設定し、エンジン22が設定した上昇レート値Nertを用いたレート処理により目標回転数Ne*で回転すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1,MG2を制御するものとしたが、要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setを超えていないときでも、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定すると共にバッテリ電圧Vbから下限電圧Vminを減じて得られるレート値用パラメータΔVが大きいほど大きくなる傾向に上昇レート値Nertを設定し、エンジン22が設定した上昇レート値Nertを用いたレート処理により目標回転数Ne*で回転すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1,MG2を制御するものとしてもよい。
また、第4実施例のハイブリッド自動車20Dでは、要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setを超えているときに、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定すると共にバッテリ電圧Vbから下限電圧Vminを減じて得られるレート値用パラメータΔVが大きいほど大きくなる傾向に上昇レート値Nertを設定し、エンジン22が設定した上昇レート値Nertを用いたレート処理により目標回転数Ne*で回転すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1,MG2を制御するものとしたが、モータMG2の温度やモータMG2を駆動するインバータ42の温度などによりモータMG2の駆動制限が課されているときには、要求トルクTr*がモータMG2の駆動制限により出力可能なトルクを超えているときに、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定すると共にバッテリ電圧Vbから下限電圧Vminを減じて得られるレート値用パラメータΔVが大きいほど大きくなる傾向に上昇レート値Nertを設定し、エンジン22が設定した上昇レート値Nertを用いたレート処理により目標回転数Ne*で回転すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1,MG2を制御するものとしてもよい。
次に、本発明の第5実施例のハイブリッド自動車20Eについて説明する。第5実施例のハイブリッド自動車20Eは、図1に例示した第1実施例のハイブリッド自動車20と同一のハード構成をしており、リバース走行時の制御を除いて同一の制御が行なわれている。したがって、重複する記載を回避するために、第5実施例のハイブリッド自動車20Eのハード構成およびリバース走行時の制御を除く制御についての説明は省略する。なお、第5実施例のハイブリッド自動車20Eのハード構成については、第1実施例のハイブリッド自動車20のハード構成と同一の符号を用いる。以下、第5実施例のハイブリッド自動車20Eにおけるリバース走行時の制御について説明する。図18は、シフトレバー81がリバースポジション(Rポジション)とされたときに第5実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行されるリバース走行時駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、シフトレバー81がリバースポジション(Rポジション)とされている最中は所定時間毎(例えば数msec毎)に繰り返し実行される。なお、第5実施例でも、シフトレバー81がリバースポジションとされているときには、バッテリ50の蓄電割合SOCが低下してバッテリ50を充電する必要が生じて充電要求がなされたときを除いてエンジン22の燃料噴射や点火は停止される。
リバース走行時駆動制御ルーチンが実行されると、第5実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accやエンジン22の回転数Ne,モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,車速センサ88からの車速V,エンジン冷却水温Tw,バッテリ電圧Vb,バッテリ50の蓄電割合SOC,バッテリ50の出力制限Woutなど制御に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS500)。ここで、バッテリ電圧Vbは、電圧センサ51aにより検出されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。エンジン22の回転数NeやモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,バッテリ電圧Vb,バッテリ50の蓄電割合SOC,バッテリ50の出力制限Woutについては、第1実施例や第3実施例,第4実施例と同様である。
続いて、入力したアクセル開度Accと車速Vと図3に例示した要求トルク設定用マップとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*を設定すると共に(ステップS510)、設定した要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setを超えているか否かを判定し(ステップS520)、要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2set以下のときには、モータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定し(ステップS530)、バッテリ50の出力制限WoutをモータMG2の回転数Nm2で除した値としてトルク制限Tm2maxを計算すると共に(ステップS540)、要求トルクTr*を減速ギヤ35のギヤ比Grで除したものとトルク制限Tm2maxとのうち小さい方をモータMG2のトルク指令Tm2*として設定し(ステップS542)、設定したトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信して(ステップS590)、本ルーチンを終了する。これらの処理は第1実施例の図2のリバース走行時駆動制御ルーチンのステップS110〜S142,S190の処理と同一である。
ステップS520で要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setw超えていると判定されると、アクセル開度Accと図5に例示した目標回転数設定用マップとに基づいてエンジン22の目標回転数Ne*を設定する(ステップS550)。そして、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向に図6に例示した上昇レート値設定用マップにアクセル開度Accを適用して第1上昇レート値Nert1を設定し(ステップS560)、冷却水温Twが高いほど大きくなる傾向に図10に例示した上昇レート値設定用マップに冷却水温Twを適用して第2上昇レート値Nert2を設定し(ステップS562)、バッテリ50の出力制限Woutから前回このルーチンが実行されたときに設定されたモータMG2のトルク指令Tm2*にモータMG2の回転数Nm2を乗じたものを減じて得られるレート値用パラメータΔWが大きいほど大きくなる傾向に図13に例示した上昇レート値設定用マップにレート値用パラメータΔWを適用して第3上昇レート値Nert3を設定し(ステップS564)、バッテリ電圧Vbからバッテリ50の状態として許容される下限の電圧として予め定められた下限電圧Vminを減じて得られるレート値用パラメータΔVが大きいほど大きくなる傾向に図16に例示した上昇レート値設定用マップにレート値用パラメータΔVを適用して第4上昇レート値Nert4を設定し(ステップS566)、設定した第1上昇レート値Nert1,第2上昇レート値Nert2,第3上昇レート値Nert3,第4上昇レート値Nert4のうち最も小さな値を実行用の上昇レート値Nertとして設定する(ステップS568)。このように上昇レート値Nertを設定することにより、モータMG1によるエンジン22のモータリングによって駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力するトルクを運転者のアクセルペダル83の操作量としてのアクセル開度Accに応じたものとすることと、モータMG1によるエンジン22のモータリングによって駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力するトルクを冷却水温Twの高低に拘わらないものとすることと、モータMG1によるエンジン22のモータリングによって駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力するトルクをバッテリ50から出力可能な余裕の電力に応じたものとすることと、モータMG1の消費電力を調整してバッテリ50の劣化を抑制することと、のうち必要なものに応じたものとすることができる。各理由については第1実施例ないぢ第4実施例に記載した。
こうしてエンジン22の目標回転数Ne*と上昇レート値Nertを設定すると、第1実施例の図2のリバース走行時駆動制御ルーチンのステップS170〜S190の処理と同一の処理、即ち、目標回転数Ne*とエンジン22の回転数Neに上昇レート値Nertを加えたものとのうち小さい方を制御用回転数N*として設定する処理(ステップS570)、式(1)によりエンジン22が制御用回転数N*で回転するようモータMG1のトルク指令Tm1*を設定する処理(ステップS572)、式(2)によりモータMG2から出力すべきトルクの仮の値である仮トルクTm2tmpを設定する処理(ステップS580)、式(3)によりモータMG2から出力してもよいトルクの上限としてのトルク制限Tm2maxを計算する処理(ステップS582)、仮トルクTm2tmpとトルク制限Tm2maxのうちの小さい方をモータMG2のトルク指令Tm2*として設定する処理(ステップS584)、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信する処理(ステップS590)、を実行して、本ルーチンを終了する。こうした制御により、バッテリ50の出力制限Woutの範囲内で、モータMG1によるエンジン22のモータリングにより駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるトルクとモータMG2から出力されるトルクとにより、リバース走行用の要求トルクTr*を出力して走行することができる。
以上説明した第5実施例のハイブリッド自動車20Eによれば、要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setを超えているときには、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定し、アクセル開度Accとが大きいほど大きくなる傾向に第1上昇レート値Nert1を設定し、冷却水温Twが高いほど大きくなる傾向に第2上昇レート値Nert2を設定し、バッテリ50の出力制限WoutからモータMG2の消費電力を減じて得られるレート値用パラメータΔWが大きいほど大きくなる傾向に第3上昇レート値Nert3を設定し、バッテリ電圧Vbから下限電圧Vminを減じて得られるレート値用パラメータΔVが大きいほど大きくなる傾向に第4上昇レート値Nert4を設定し、設定した第1上昇レート値Nert1,第2上昇レート値Nert2,第3上昇レート値Nert3,第4上昇レート値Nert4のうち最も小さな値を実行用の上昇レート値Nertとして設定し、エンジン22が設定した上昇レート値Nertを用いたレート処理により目標回転数Ne*で回転すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1,MG2を制御することにより、モータMG1によるエンジン22のモータリングによって駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力するトルクを運転者のアクセルペダル83の操作量としてのアクセル開度Accに応じたものとすることと、モータMG1によるエンジン22のモータリングによって駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力するトルクを冷却水温Twの高低に拘わらないものとすることと、モータMG1によるエンジン22のモータリングによって駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力するトルクをバッテリ50から出力可能な余裕の電力に応じたものとすることと、モータMG1の消費電力を調整してバッテリ50の劣化を抑制することと、のうち必要なものに応じたものとしながら運転者のアクセルペダル83の踏み込み量に応じたトルクをリングギヤ軸32aに出力してリバース走行することができる。
第5実施例のハイブリッド自動車20Eでは、要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setを超えているときに、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定すると共に第1上昇レート値Nert1,第2上昇レート値Nert2,第3上昇レート値Nert3,第4上昇レート値Nert4のうち最も小さな値を実行用の上昇レート値Nertとして設定し、エンジン22が設定した上昇レート値Nertを用いたレート処理により目標回転数Ne*で回転すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1,MG2を制御するものとしたが、要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setを超えていないときでも、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定すると共に第1上昇レート値Nert1,第2上昇レート値Nert2,第3上昇レート値Nert3,第4上昇レート値Nert4のうち最も小さな値を実行用の上昇レート値Nertとして設定し、エンジン22が設定した上昇レート値Nertを用いたレート処理により目標回転数Ne*で回転すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1,MG2を制御するものとしてもよい。
また、第5実施例のハイブリッド自動車20Eでは、要求トルクTr*がモータMG2の回転数Nm2における定格値Tm2setを超えているときに、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定すると共に第1上昇レート値Nert1,第2上昇レート値Nert2,第3上昇レート値Nert3,第4上昇レート値Nert4のうち最も小さな値を実行用の上昇レート値Nertとして設定し、エンジン22が設定した上昇レート値Nertを用いたレート処理により目標回転数Ne*で回転すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1,MG2を制御するものとしたが、モータMG2の温度やモータMG2を駆動するインバータ42の温度などによりモータMG2の駆動制限が課されているときには、要求トルクTr*がモータMG2の駆動制限により出力可能なトルクを超えているときに、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定すると共に第1上昇レート値Nert1,第2上昇レート値Nert2,第3上昇レート値Nert3,第4上昇レート値Nert4のうち最も小さな値を実行用の上昇レート値Nertとして設定し、エンジン22が設定した上昇レート値Nertを用いたレート処理により目標回転数Ne*で回転すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1,MG2を制御するものとしてもよい。
第5実施例のハイブリッド自動車20Eでは、第1上昇レート値Nert1,第2上昇レート値Nert2,第3上昇レート値Nert3,第4上昇レート値Nert4のうち最も小さな値を実行用の上昇レート値Nertとして設定するものとしたが、第1上昇レート値Nert1,第2上昇レート値Nert2,第3上昇レート値Nert3,第4上昇レート値Nert4のうちのいずれか1つを除く3つの上昇レート値を設定すると共に設定した3つの上昇レート値のうちの最も小さな値を実行用の上昇レート値Nertとして設定するものとしてもよいし、第1上昇レート値Nert1,第2上昇レート値Nert2,第3上昇レート値Nert3,第4上昇レート値Nert4のうちのいずれか2つの上昇レート値を設定すると共に設定した2つの上昇レート値のうちの小さい方の値を実行用の上昇レート値Nertとして設定するものとしてもよい。
第1ないし第5実施例のハイブリッド自動車20,20B,20C,20D,20Eでは、シングルピニオン式の遊星歯車機構として構成された動力分配統合機構30を用いたが、共線図上では、右或いは左から駆動軸としてのリングギヤ軸32aの回転数Nrを示すR軸,エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26の回転数Neを示すC軸,モータMG1の回転数Nm1を示すS軸の順に並んでいれば、ダブルピニオン式の遊星歯車機構を用いるものとしてもよい。
第1ないし第5実施例のハイブリッド自動車20,20B,20C,20D,20Eでは、モータMG2を減速ギヤ35を介して駆動軸としてのリングギヤ軸32aに接続したが、モータMG2を直接リングギヤ軸32aに接続するものとしてもよいし、モータMG2を2段或いは3段変速以上の若しくは無段変速の変速機を介してリングギヤ軸32aに接続するものとしてもよい。
第1ないし第5実施例では、本発明をハイブリッド自動車20,20B,20C,20D,20Eの形態として説明したが、本発明をハイブリッド自動車の制御方法の形態としてもよい。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。第1実施例ないし第5実施例とこれらに対応する本発明の第1ないし第4のハイブリッド自動車との関係として、共通して、エンジン22が「内燃機関」に相当し、モータMG1が「発電機」に相当し、動力分配統合機構30が「遊星歯車機構」に相当し、モータMG2が「電動機」に相当し、バッテリ50が「二次電池」に相当し、アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向に車速Vに基づいて車両に要求されるトルクとして駆動輪63a,63bに連結された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*を設定する図2,図9,図12,図15,図18のリバース走行時駆動制御ルーチンのステップS110,S210,S310,S410,S510の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70が「要求駆動力設定手段」に相当し、シフトポジションSPがリバースポジションのときにアクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定する図2,図9,図12,図15,図18のリバース走行時駆動制御ルーチンのステップS150,S250,S350,S450,S550の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70が「目標回転数設定手段」に相当する。
第1実施例と参考例のハイブリッド自動車との関係では、シフトポジションSPがリバースポジションのときにアクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の回転数Neの上昇レート値Nertを設定する図2のリバース走行時駆動制御ルーチンのステップS160の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70が「上昇程度設定手段」に相当し、第2実施例と本発明の第1のハイブリッド自動車との関係では、シフトポジションSPがリバースポジションのときに冷却水温Twが高いほど大きくなる傾向にエンジン22の回転数Neの上昇レート値Nertを設定する図9のリバース走行時駆動制御ルーチンのステップS260の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70が「上昇程度設定手段」に相当し、第3実施例と本発明の第2のハイブリッド自動車との関係では、シフトポジションSPがリバースポジションのときにバッテリ50の出力制限WoutからモータMG2のトルク指令Tm2*にモータMG2の回転数Nm2を乗じて得られるモータMG2の消費電力を減じたレート値用パラメータΔWが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の回転数Neの上昇レート値Nertを設定する図12のリバース走行時駆動制御ルーチンのステップS362の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70が「上昇程度設定手段」に相当し、第4実施例と本発明の第3のハイブリッド自動車との関係では、シフトポジションSPがリバースポジションのときにバッテリ電圧Vbからバッテリ50の下限電圧Vminを減じて得られるレート値用パラメータΔVが大きいほど大きくなる傾向に上昇レート値Nertを設定する図15のリバース走行時駆動制御ルーチンのステップS462の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70が「上昇程度設定手段」に相当し、第5実施例と参考例のハイブリッド自動車との関係では、シフトポジションSPがリバースポジションのときに、アクセル開度Accとが大きいほど大きくなる傾向に第1上昇レート値Nert1を設定し、冷却水温Twが高いほど大きくなる傾向に第2上昇レート値Nert2を設定し、バッテリ50の出力制限WoutからモータMG2の消費電力を減じて得られるレート値用パラメータΔWが大きいほど大きくなる傾向に第3上昇レート値Nert3を設定し、バッテリ電圧Vbからバッテリ50の下限電圧Vminを減じて得られるレート値用パラメータΔVが大きいほど大きくなる傾向に第4上昇レート値Nert4を設定する、図18のリバース走行時駆動制御ルーチンのステップS560〜S568の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70が「上昇程度設定手段」に相当する。
第1実施例ないし第4実施例とこれらに対応する本発明の第1ないし第4のハイブリッド自動車との関係では、シフトポジションSPがリバースポジションのときに燃料噴射と点火を停止した状態のエンジン22が上昇レート値Nertによる回転数の上昇により目標回転数Ne*で回転するようモータMG1のトルク指令Tm1*を設定すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG2のトルク指令Tm2*を設定してモータECU40に送信する図2のリバース走行時駆動制御ルーチンのステップS170〜S190の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70とトルク指令Tm1*,Tm2*を受信してモータMG1,MG2を制御するモータECU40と燃料噴射や点火を停止した状態を保持するエンジンECU24とが「制御手段」に相当する。第5実施例と本発明の第4のハイブリッド自動車との関係では、シフトポジションSPがリバースポジションのときに第1上昇レート値Nert1,第2上昇レート値Nert2,第3上昇レート値Nert3,第4上昇レート値Nert4のうち最も小さな値を実行用の上昇レート値Nertとして設定し、燃料噴射と点火を停止した状態のエンジン22が設定した実行用の上昇レート値Nertによる回転数の上昇により目標回転数Ne*で回転するようモータMG1のトルク指令Tm1*を設定すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG2のトルク指令Tm2*を設定してモータECU40に送信する図2のリバース走行時駆動制御ルーチンのステップS170〜S190の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70とトルク指令Tm1*,Tm2*を受信してモータMG1,MG2を制御するモータECU40と燃料噴射や点火を停止した状態を保持するエンジンECU24とが「制御手段」に相当する。
ここで、「内燃機関」としては、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関に限定されるものではなく、水素エンジンなど如何なるタイプの内燃機関であっても構わない。「発電機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG1に限定されるものではなく、誘導電動機など、動力を入出力可能なものであれば如何なるタイプの発電機や電動機であっても構わない。「遊星歯車機構」としては、シングルピニオン式の遊星歯車機構として構成されると共に共線図上で、右或いは左から駆動軸としてのリングギヤ軸32a,エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26,モータMG1の回転軸の順に3つの回転要素であるリングギヤ32,キャリア34,サンギヤ31を接続する動力分配統合機構30に限定されるものではなく、共線図上で、右から或いは左から車軸に連結された駆動軸,内燃機関の出力軸,発電機の回転軸の順に3つの回転要素に接続されていればダブルピニオン式の遊星歯車機構を用いるなど、如何なる遊星歯車機構を用いるものとしても構わない。「電動機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG1に限定されるものではなく、誘導電動機など、動力を入出力可能なものであれば如何なるタイプの電動機であっても構わない。「二次電池」としては、リチウムイオン二次電池として構成されたバッテリ50に限定されるものではなく、ニッケル水素二次電池やニッケルカドミウム二次電池,鉛蓄電池など種々の二次電池を用いることができる。「要求駆動力設定手段」としては、アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向に車速Vに基づいて要求トルクTr*を設定するものに限定されるものではなく、アクセル開度Accだけに基づいて要求トルクを設定するものなど、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に駆動軸に出力すべき要求駆動力を設定するものであれば如何なるものとしても構わない。「目標回転数設定手段」としては、シフトポジションSPがリバースポジションのときにアクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の目標回転数Ne*を設定するものに限定されるものではなく、シフトポジションが後進用ポジションのときに運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に内燃機関の目標回転数を設定するものであれば如何なるものとしても構わない。
参考例のハイブリッド自動車における「上昇程度設定手段」としては、シフトポジションSPがリバースポジションのときにアクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の回転数Neの上昇レート値Nertを設定するものに限定されるものではなく、シフトポジションが後進用ポジションのときに運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に単位時間当たりの内燃機関の回転数の上昇の程度である上昇程度を設定するものであれば如何なるものとしても構わない。本発明の第1のハイブリッド自動車における「上昇程度設定手段」としては、シフトポジションSPがリバースポジションのときに冷却水温Twが高いほど大きくなる傾向にエンジン22の回転数Neの上昇レート値Nertを設定するものに限定されるものではなく、シフトポジションが後進用ポジションのときに内燃機関の冷却媒体の温度が高いほど大きくなる傾向に単位時間当たりの内燃機関の回転数の上昇の程度である上昇程度を設定するものであれば如何なるものとしても構わない。本発明の第2のハイブリッド自動車における「上昇程度設定手段」としては、シフトポジションSPがリバースポジションのときにバッテリ50の出力制限WoutからモータMG2の消費電力を減じて得られるレート値用パラメータΔWが大きいほど大きくなる傾向にエンジン22の回転数Neの上昇レート値Nertを設定するものに限定されるものではなく、シフトポジションが後進用ポジションのときに二次電池の出力制限から電動機消費電力を減じた電力が大きいほど大きくなる傾向に単位時間当たりの内燃機関の回転数の上昇の程度である上昇程度を設定するものであれば如何なるものとしても構わない。本発明の第3のハイブリッド自動車における「上昇程度設定手段」としては、シフトポジションSPがリバースポジションのときにバッテリ電圧Vbからバッテリ50の下限電圧Vminを減じて得られるレート値用パラメータΔVが大きいほど大きくなる傾向に上昇レート値Nertを設定するものに限定されるものではなく、シフトポジションが後進用ポジションのときに二次電池の電圧から予め定められた下限電圧を減じた電圧が大きいほど大きくなる傾向に単位時間当たりの内燃機関の回転数の上昇の程度である上昇程度を設定するものであれば如何なるものとしても構わない。本発明の第4のハイブリッド自動車における「上昇程度設定手段」としては、シフトポジションSPがリバースポジションのときに、アクセル開度Accとが大きいほど大きくなる傾向に第1上昇レート値Nert1を設定し、冷却水温Twが高いほど大きくなる傾向に第2上昇レート値Nert2を設定し、バッテリ50の出力制限WoutからモータMG2の消費電力を減じて得られるレート値用パラメータΔWが大きいほど大きくなる傾向に第3上昇レート値Nert3を設定し、バッテリ電圧Vbからバッテリ50の下限電圧Vminを減じて得られるレート値用パラメータΔVが大きいほど大きくなる傾向に第4上昇レート値Nert4を設定するものに限定されるものではなく、第1上昇レート値Nert1,第2上昇レート値Nert2,第3上昇レート値Nert3,第4上昇レート値Nert4のうちのいずれか1つを除く3つの上昇レート値を設定するものとしたり、第1上昇レート値Nert1,第2上昇レート値Nert2,第3上昇レート値Nert3,第4上昇レート値Nert4のうちのいずれか2つの上昇レート値を設定するものとしたりするなど、シフトポジションが後進用ポジションのときに、運転者のアクセル操作量が大きいほど大きくなる傾向に単位時間当たりの内燃機関の回転数の上昇の程度である第1上昇程度と内燃機関の冷却媒体の温度が高いほど大きくなる傾向に単位時間当たりの内燃機関の回転数の上昇の程度である第2上昇程度と二次電池の出力制限から電動機消費電力を減じた電力が大きいほど大きくなる傾向に単位時間当たりの内燃機関の回転数の上昇の程度である第3上昇程度と二次電池の電圧から予め定められた下限電圧を減じた電圧が大きいほど大きくなる傾向に単位時間当たりの内燃機関の回転数の上昇の程度である第4上昇程度のうちの2つ以上の上昇程度を設定するものであれば如何なるものとしても構わない。
本発明の第1ないし第3のハイブリッド自動車における「制御手段」としては、ハイブリッド用電子制御ユニット70とエンジンECU24とモータECU40とからなる組み合わせに限定されるものではなく単一の電子制御ユニットにより構成されるなどとしてもよい。また、「制御手段」としては、シフトポジションSPがリバースポジションのときに燃料噴射と点火を停止した状態のエンジン22が上昇レート値Nertによる回転数の上昇により目標回転数Ne*で回転するようモータMG1のトルク指令Tm1*を設定すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようエンジン22とモータMG1,MG2を制御するものに限定されるものではなく、シフトポジションが後進用ポジションのときに内燃機関が燃料噴射を停止した状態で上昇程度を伴って目標回転数で回転すると共に要求駆動力が駆動軸に出力されるよう内燃機関と発電機と電動機とを制御するものであれば如何なるものとしても構わない。本発明の第4のハイブリッド自動車における「制御手段」としては、ハイブリッド用電子制御ユニット70とエンジンECU24とモータECU40とからなる組み合わせに限定されるものではなく単一の電子制御ユニットにより構成されるなどとしてもよい。また、「制御手段」としては、シフトポジションSPがリバースポジションのときに第1上昇レート値Nert1,第2上昇レート値Nert2,第3上昇レート値Nert3,第4上昇レート値Nert4のうち最も小さな値を実行用の上昇レート値Nertとして設定し、燃料噴射と点火を停止した状態のエンジン22が設定した実行用の上昇レート値Nertによる回転数の上昇により目標回転数Ne*で回転するようモータMG1のトルク指令Tm1*を設定すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようエンジン22とモータMG1,MG2を制御するものに限定されるものではなく、シフトポジションが後進用ポジションのときに内燃機関が燃料噴射を停止した状態で設定した2つ以上の上昇程度のうちの最小の上昇程度を伴って目標回転数で回転すると共に要求駆動力が駆動軸に出力されるよう内燃機関と発電機と電動機とを制御するものであれば如何なるものとしても構わない。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。