JP2014077785A - 蓄電池管理装置、蓄電池管理方法及びプログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】蓄電池管理装置は、蓄電池について検出した所定の状態に基づく判定パラメータと、蓄電池の基本モデルと劣化モデルとにしたがって推定した判定パラメータとが、想定外の劣化要因による劣化の発生に応じた一定以上の乖離を示している場合に、劣化要因ごとに運用条件が対応付けられた劣化要因データベースに運用履歴を照合させることにより蓄電池の劣化要因を推定する。そして、蓄電池管理装置は、推定された劣化要因に基づいて劣化モデルを変更する。
【選択図】図2
Description
この制御システムは、センサにより検出された実際のバッテリ電圧と予測端子間電圧とを比較して、両者の差が大きい場合には、電池モデルに使用するパラメータを同定モデルにしたがって同定し、同定された値に更新したパラメータを電池モデルに使用する。
この更新対象とされるパラメータについては、予め、二次電池の使用度(使用期間あるいは充放電積算値)に応じた値の変化が劣化特性として求められている。制御システムは、更新時点におけるパラメータと、劣化特性において予め設定されている限界値との差から、二次電池の余寿命を使用可能な期間として推定するというものである(例えば、特許文献1参照)。
例えば、特許文献1の制御システムにおける電池モデルもある程度の分析や試験などに基づいて得られるものであるため、想定外の劣化要因による劣化が発生した場合には、その電池モデル自体が現実の蓄電池の劣化要因を反映していないものになってしまう。これにより、例えば電池モデルを用いた蓄電池の劣化についての推定精度が低下してしまうことになる。
しかし、特許文献1では、予め求めた電池モデルに反映されている劣化要因とは異なるような想定外の劣化要因による劣化が発生した場合に、これにどのように対応して蓄電池の劣化状態の推定精度を維持するのかということについての記載はない。したがって、特許文献1の技術により、想定外の劣化要因による劣化が発生した場合に対応して劣化状態の推定精度の低下を抑えることは難しい。
図1は、本発明の実施形態における電力管理システムの構成例を示している。この図に示す電力管理システムは、1つの施設100において利用される電力を管理するもので、例えばHEMS(Home Energy Management System)といわれるものに対応する。
また、施設100は、例えば住宅、商業施設、産業施設、公共施設などのうちのいずれかである。
パワーコンディショナ102は、太陽電池101から出力される直流の電力を交流に変換する。
具体的に、蓄電池103に対する充電時には、商用電源ACまたはパワーコンディショナ102から電力経路切替部105を介して充電のための交流の電力がインバータ104に供給される。インバータ104は、このように供給される交流の電力を直流に変換し、蓄電池103に供給する。
また、蓄電池103の放電時には、蓄電池103から直流の電力が出力される。インバータ104は、このように蓄電池103から出力される直流の電力を交流に変換して電力経路切替部105に供給する。
上記の制御に応じて、電力経路切替部105は、施設100において、商用電源ACを負荷106に供給するように電力経路を形成することができる。
また、電力経路切替部105は、施設100において、商用電源ACと太陽電池101の一方または両方から供給される電力をインバータ104経由で蓄電池103に充電するように電力経路を形成することができる。
また、電力経路切替部105は、施設100において、蓄電池103から放電により出力させた電力を、インバータ104経由で負荷106に供給するように電力経路を形成することができる。
図2は、蓄電池管理装置107Aの構成例を示している。
この図に示す蓄電池管理装置107Aは、状態検出部201、運用履歴情報管理部202、運用履歴情報記憶部203、モデルデータ記憶部204、モデル部205、乖離判定部206、劣化要因推定部207、劣化要因データベース記憶部208、モデル変更部209、蓄電池情報生成部210及び情報出力部211を備える。
あるいは、状態検出部201は、電池容量や内部抵抗の検出のほかに、蓄電池103の充放電曲線特性(一定電流による充電、放電を行った場合の電圧変化を示す特性)、蓄電池103の温度、蓄電池103の外形変化などの検出を行ってもよい。また、状態検出部201は、これらの状態のうちの2以上を組み合わせて検出してもよい。
運用履歴情報は、これまでの蓄電池103の運用において行われた充電、放電に関する各種の履歴を含む。
運用履歴情報管理部202は、上記のように生成した運用履歴情報を運用履歴情報記憶部203に記憶させる。運用履歴情報記憶部203は、運用履歴情報を記憶する。
図3は、モデルデータ記憶部204の記憶内容例を示している。
この図に示すように、モデルデータ記憶部204においては、基本モデルデータ301と劣化モデルデータ302が記憶される。
基本モデルデータ301は、蓄電池103の内部状態を推定するための基本モデルを示すデータである。
劣化モデルデータ302は、基本モデルに蓄電池の劣化機能を与える劣化モデルを示すデータである。
サイクル劣化モデルデータ311は、サイクル劣化としての劣化機能を基本モデルに与えるデータである。サイクル劣化は、例えば充放電サイクルを繰り返すことによる蓄電池103の劣化であり、充放電サイクルの回数に依存する。
保存劣化モデルデータ312は、保存劣化としての劣化機能を基本モデルに与えるデータである。保存劣化は、例えば蓄電状態の蓄電池に発生する劣化であり、蓄電池103の充電が完了してから放電を開始するまでの保存時間に主に依存する。ただし、保存劣化は、充電中及び放電中においても進行することから、保存劣化モデルデータ312としては、充電中及び放電中の時間を考慮して構築されてよい。
この際、モデル部205は、モデルデータ記憶部204に記憶される基本モデルデータ301と劣化モデルデータ302(サイクル劣化モデルデータ311、保存劣化モデルデータ312)とを読み出す。そして、モデル部205は、読み出した基本モデルデータ301、サイクル劣化モデルデータ311、保存劣化モデルデータ312のそれぞれが示す基本モデル、サイクル劣化モデル、保存劣化モデルにしたがって蓄電池103の所定の状態を推定する。この際、モデル部205は、運用履歴情報に基づくことにより、現在における所定の状態を推定する。
なお、モデル部205が推定する所定の状態は、状態検出部201が検出する状態に対応したものであればよい。例えば、状態検出部201が電池容量を検出するのであれば、モデル部205も電池容量を推定すればよい。
具体例の1つとして、乖離判定部206は、状態検出部201により検出された所定の状態に基づく判定パラメータとして、状態検出部201により検出された電池容量に基づいて求められる容量維持率を利用する。容量維持率は、蓄電池103の初期の電池容量に対する、初期以降における蓄電池103の電池容量である。電池容量は、蓄電池103の使用経過に応じた劣化の進行に伴って減少する。したがって、容量維持率は、初期時を100%として、以降の使用経過に応じて減少する。
なお、以降において、状態検出部201により検出された所定の状態に基づく判定パラメータについては実判定パラメータと呼び、モデル部205により推定された判定パラメータについては推定判定パラメータと呼ぶ。
図4は、劣化要因データベース記憶部208が記憶する劣化要因データベース400の内容例を示している。
劣化要因データベース400は、蓄電池において、サイクル劣化モデルデータ311、保存劣化モデルデータ312のいずれにも適用されていない劣化要因ごとに運用条件が対応付けられている。
同図に示される劣化要因は、「負極:Li析出」、「負極:集電体剥離」、「正極:集電体剥離1」、「正極:集電体剥離2」、「正極:集電体剥離3」、「負極:活物質割れ」、「正極:活物質割れ」、「電解液劣化」である。
「負極:Li析出」は、負極からのLi(リチウム)の析出であり、「負極:集電体剥離」は、集電体からの負極活物質の剥離である。また、「正極:集電体剥離1」、「正極:集電体剥離2」、「正極:集電体剥離3」は、それぞれ、集電体からの正極活物質の剥離に対応するが、「集電体からの正極活物質の剥離」としての同じ劣化要因を引き起こす可能性が高い運用条件として、それぞれ異なる運用条件に対応する。つまり、この場合における集電体からの正極活物質の剥離は、複数の運用条件の下で発生し得る。
運用条件は、対応の劣化要因を引き起こす可能性が高い運用の仕方を示している。ここでは、運用条件の例として、温度情報、温度環境該当時間、放電電流レート、放電時間、SOC(State Of Charge:ここでは運転時に設定されるSOCの範囲を示す)、SOC滞留時間(蓄電池の全使用時間において対応のSOCが維持される状態の時間比率)、容量減少率が示されている。
これは、蓄電池103が10℃以下の温度環境におかれていた時間が、これまでの運用実績により示される総時間に対して30%以上という運用であった場合には、今回の蓄電池103の劣化を引き起こした劣化要因が負極のLiの析出であることを示す。
また、「負極:集電体剥離」の 項目は、「放電電流レート」が2C以上で、かつ、「放電時間」が20%以上であることが示されている。
これは、これまでの運用期間において2Cの放電電流レートにより放電を行った時間が、これまでの運用における総放電時間の20%以上という運用であった場合に、今回の蓄電池103の劣化を引き起こした劣化要因が負極の集電体の剥離によるものであることを示す。
そして、劣化要因推定部207は、生成した照合情報を劣化要因データベース400における運用条件と照合し、運用条件に適合した照合情報に対応付けられている劣化要因の項目を特定する。劣化要因推定部207は、このように特定した劣化要因の項目が示す劣化要因を推定結果として出力する。
一例として、蓄電池情報生成部210は、蓄電池103の余寿命を推定し、推定した余寿命を蓄電池情報として生成する。この場合、モデル部205は、蓄電池103についての現在以降の所定の状態の変化を推定する。蓄電池情報生成部210は、例えばこの推定結果に基づいて蓄電池103が寿命となるときを推定する。これにより、蓄電池情報生成部210は、現在から蓄電池103が寿命となるまでの期間である余寿命を推定できる。
ここで、モデルデータ記憶部204に記憶されるモデルデータ(基本モデルデータ301、劣化モデルデータ302)によりモデル部205に適用されるモデルについて説明する。
一次元充放電モデル500は、蓄電池103を、負極501と正極502とセパレータ503をそれぞれ面方向に均質化した一次元モデルとして扱う。負極501としての負極合材層には負極活物質511が存在し、正極502としての正極合材層には正極活物質512が存在する。
また、負極501、正極502、セパレータ503による一次元充放電モデル500は、固相と液相に分けられる。
つまり、負極501の固相(活物質)では、Liは中心から表面への拡散フラックスが生じる。正極502の固相では、Liは表面から中心へと拡散する。
負極501の液相(空隙)では、界面反応によって固相から放出されたLiイオンがセパレータ503の方向に輸送される。ここで、セパレータ503は反応が無いため、Liイオンは正極502の方向に泳動しながら拡散していく。正極502の液相は、界面反応によって固相へLiイオンが吸収される。
このような、基本モデルは、例えば以下の文献に記載されている。
“Journal of The Electrochemical Society,141(1),1-10(1994)”
なお、本実施形態において述べたサイクル劣化モデルについては、例えば以下の文献に記載されている。
“Journal of The Electrochemical Society,151(2),A196-A203(2004)”
次に、コンピュータは、基本モデルにより放電解析を行うことで今回のサイクルの放電に応じた蓄電池103の状態を求める(ステップS102)。
次に、コンピュータは、基本モデルにより充電解析を行うことで今回のサイクルの充電に応じた蓄電池103の状態を求める(ステップS103)。
次に、コンピュータは、例えば今回のステップS102とS103の解析結果と、前回までのステップS102とS103の解析結果とに基づいて、劣化計算を行う(ステップS104)。これにより、今回までの充放電サイクル回数に応じた電池容量、インピーダンス(抵抗)などの劣化状態が求められる。また、ステップS104による劣化計算の結果が試験結果と一致するように、サイクル劣化モデルデータ311において使用されるパラメータが最適化される。
ここで、規定の充放電サイクルに応じた回数のステップS102〜S104の処理を実行していないと判定した場合(ステップS105−NO)、コンピュータは、ステップS102に処理を戻す。これにより、次の充放電サイクルに応じたステップS102〜S104の処理が実行される。
一方、規定の充放電サイクルに応じた回数のステップS102〜S104の処理を実行したと判定した場合(ステップS105−YES)、コンピュータは、これまでの処理により求められたサイクルごとの劣化の状態に基づいてサイクル劣化モデルを生成する。そして、コンピュータは、生成したサイクル劣化モデルを出力する(ステップS106)。
図7を参照して、乖離判定部206による判定手法の一具体例について説明する。この説明にあたり、実判定パラメータと推定判定パラメータはそれぞれ容量維持率により表されるものとする。これまでの説明から理解されるように、蓄電池103は劣化の進行に応じて容量維持率が減少する。
また、曲線f2は、状態検出部201により検出された電池容量に基づく実判定パラメータである容量維持率についての充放電サイクル回数に応じた変化を示している。
なお、下限許容値limは、蓄電池103が寿命に至ったとする状態に対応する容量維持率の値である。
また、横軸は、充放電サイクル回数に代えて、例えば蓄電池103の稼働時間などとしてもよい。
前述のように、図7の曲線f1は、モデルデータ記憶部204が記憶する基本モデルデータ301と劣化モデルデータ302(サイクル劣化モデルデータ311、保存劣化モデルデータ312)に基づく容量維持率についての推定結果である。
また、劣化モデルデータ302における保存劣化モデルデータ312に適用される保存劣化モデルは、保存時間及び充放電中の時間の負極の不働態SEI膜の成長に対応する劣化モデルを含む。
一方、想定外の劣化要因による劣化は、上記したように、負極におけるリチウムの析出、負極の集電体からの剥離(負極集電体剥離)、正極の集電体からの剥離(正極集電体剥離)、正極における活物質割れ、負極における活物質割れ、電解液劣化などにおける少なくともいずれか1つによる劣化である。
つまり、曲線f2により示される実容量維持率の変化は、充放電サイクル回数N1以降において、蓄電池103に想定外の劣化要因による劣化が発生していることを示している。
第1例の乖離判定部206は、推定容量維持率z1と実容量維持率z2との差分の絶対値の推定容量維持率z1に対する比率が一定以上になったときに、実容量維持率と推定容量維持率とが一定以上の乖離を示していると判定する。
つまり、乖離判定部206は、推定容量維持率z1と実容量維持率z2との差分の絶対値の推定容量維持率z1に対する比率α(判定対象値)について下記の式により求める。
α=|(z1−z2)|/z1
乖離判定部206は、上記のように求めた比率αと予め定めた閾値とを比較し、比率αが閾値以上であれば、実容量維持率と推定容量維持率とが一定以上の乖離を示していると判定する。
なお、第1例における変形例として、乖離判定部206は、推定容量維持率z1と実容量維持率z2との差分Δzの絶対値が予め定めた閾値以上となった場合に、実容量維持率と推定容量維持率とが一定以上の乖離を示していると判定するようにしてもよい。
第1例の乖離判定部206は、状態検出部201による電池容量の検出に応じて実容量維持率を求めるごとに、曲線f1上で、今回求めた実容量維持率と同じ値の推定容量維持率が得られる充放電サイクル回数を求める。
例えば、図8の充放電サイクル回数N3において、乖離判定部206が実容量維持率を求めた場合、このときに求められた実容量維持率と同じ値の推定容量維持率が得られる充放電サイクル回数として、充放電サイクル回数N4を求める。
乖離判定部206は、今回の実容量維持率を求めた充放電サイクル回数N3と、実容量維持率と同じ値の推定容量維持率が得られる充放電サイクル回数N4との差分ΔNの絶対値の充放電サイクル回数N3に対する比率が一定以上になったときに、実容量維持率と推定容量維持率とが一定以上の乖離を示していると判定する。
つまり、乖離判定部206は、充放電サイクル回数N3と充放電サイクル回数N4との差分の絶対値ΔNの充放電サイクル回数N3に対する比率β(判定対象値)について下記の式により求める。
β=|(N3−N4)|/N3
乖離判定部206は、上記のように求めた比率βと予め定めた閾値とを比較し、比率βが閾値以上であれば、実容量維持率と推定容量維持率とが一定以上の乖離を示していると判定する。
なお、第2例における変形例として、乖離判定部206は、充放電サイクル回数N3と充放電サイクル回数N4との差分ΔNの絶対値が予め定めた閾値以上となった場合に、実容量維持率と推定容量維持率とが一定以上の乖離を示していると判定するようにしてもよい。
例えば、図9において曲線f1として示す推定容量維持率は、初期から充放電サイクル回数N6までの間は、充放電回数サイクル回数の増加に応じて減少する割合が小さくなっていくように変化し、充放電サイクル回数N6を越えて寿命が近づくにつれて、大きく低下するような特性である。このような特性では、初期から充放電サイクル回数N6までの区間の曲線f1において変曲点は出現しない。
また、「負極:Li析出」の劣化要因に対応する温度環境と温度環境該当時間は10℃以下、30%以上であり、照合情報が示す温度環境と温度環境該当時間は10℃以下、40%以上であるから、この照合情報も「負極:Li析出」の劣化要因の運用条件に該当する。そこで、劣化要因推定部207は、今回の蓄電池103の劣化を引き起こした劣化要因は、「負極:Li析出」であると推定する。
モデル変更部209は、抵抗成分Rnを付加するように劣化モデルを変更する。この際、モデル変更部209は、抵抗成分Rnが付加された劣化モデルとなるように、劣化モデルデータ302を変更する。
モデル変更部209は、劣化モデルデータ302を変更するにあたり、サイクル劣化モデルデータ311と保存劣化モデルデータ312を変更すればよい。あるいは、モデル変更部209は、劣化要因推定部207により推定された劣化要因に応じて、サイクル劣化モデルデータ311と保存劣化モデルデータ312のうちでいずれか適切な方を変更してもよい。
図10において、曲線f3は、抵抗成分Rnを付加したことにより変更された劣化モデルに基づく充放電サイクル回数に応じた容量維持率の変化を示している。なお、この図においては、図9の第3例の乖離判定結果に応じて劣化モデルを変更した例を示している。
具体的に、図7〜図10のようにモデル部205により充放電サイクル回数に応じた容量維持率が推定される場合、蓄電池情報生成部210は以下のように寿命推定を行うことができる。
例えば、図7〜図10に示した曲線f1、f3によっては、容量維持率が下限許容値limとなるときの充放電サイクル回数を予測できる。この容量維持率が下限許容値limとなるときの充放電サイクル回数とは、すなわち、蓄電池103が寿命となるときの充放電サイクル回数である。
これに対して、図10のように劣化モデルが変更された場合、蓄電池情報生成部210が予測する蓄電池の余寿命Lfは、図7〜図9と比較して大幅に短縮されている。このように、劣化モデルが変更されることで、蓄電池情報生成部210は、想定外の劣化要因による劣化が生じたことによって短縮した余寿命を高い精度で推定することができる。
これにより、本実施形態によっては、例えば余寿命などの蓄電池103についての劣化状態を推定するにあたり、想定外の劣化要因による劣化が発生した場合における推定精度の低下を有効に抑制できるものである。
図11は、劣化モデルを変更するために蓄電池管理装置107Aが実行する処理手順例を示している。
蓄電池管理装置107Aにおいて、乖離判定部206は、状態検出部201が検出した蓄電池103の電池容量を利用して、蓄電池103についての判定パラメータである実容量維持率を求める。(ステップS201)。
次に、モデル部205は、基本モデルデータ301が示す基本モデルと、劣化モデルデータ302が示す劣化モデルとにしたがって蓄電池103の推定容量維持率を求める(ステップS202)。
これに対して、実容量維持率と推定容量維持率とが一定以上の乖離を示している場合(ステップS204−YES)、劣化要因推定部207は、運用履歴情報から生成した照合情報を劣化要因データベース400と照合することにより、今回の蓄電池103の劣化を引き起こした劣化要因を推定する(ステップS205)。
劣化抑制制御部を備えるのに応じて、蓄電池管理装置107Aは、制御パターンテーブルを記憶すればよい。制御パターンテーブルは、例えば図4の劣化要因データベースにおいて示される劣化要因ごとに、その劣化要因による蓄電池103の劣化を抑制するように劣化抑制制御部が実行すべき制御内容を示したテーブルである。
劣化抑制制御部は、劣化要因推定部207により推定された劣化要因に応じた制御内容を制御パターンテーブルから取得し、取得した制御内容に従って蓄電池103の運転を制御する。これにより、劣化要因推定部207により推定された劣化要因による蓄電池103の劣化の進行を抑制することができる。
複数の施設100に対して1つの蓄電池管理装置107Aが共通に備えられる場合、施設100の各々と蓄電池管理装置107Aとをネットワーク経由で通信可能に接続する。そのうえで、各施設100が電池容量などの所定の状態を検出するとともに運用履歴情報を管理し、蓄電池103についての状態検出結果と運用履歴情報とを蓄電池管理装置107Aに送信する。そして、蓄電池管理装置107Aは、各施設100において検出された電池容量などの状態と運用履歴情報とを利用して、各施設100における蓄電池103の劣化推定を行う。また、蓄電池管理装置107Aは、施設100における蓄電池103ごとに乖離判定を行い、或る施設100において一定以上の乖離が生じていると判定した場合には劣化要因を推定し、推定した劣化要因に基づいて、該当の施設100における劣化モデルデータ302を変更する。さらに、蓄電池管理装置107Aは、推定した劣化要因による劣化が進行しないように、該当の施設100における蓄電池103の運転を制御してもよい。
また、例えばユーザからの指示などにより、余寿命などを示す蓄電池情報を生成する必要のあるときに、蓄電池情報の生成に先立って劣化モデルの変更のための処理を実行すれば、より高い精度の推定結果を示す蓄電池情報が得られる。
また、蓄電池情報生成部210が生成する蓄電池情報は、余寿命を示す情報以外であってもよい。例えば、蓄電池103の劣化状態に応じて最も適切とされる充電率などを推定してもよい。
また、例えば図1に示す構成は、蓄電池103の劣化状態を推定する蓄電池管理装置107Aを管理装置107が備えるものとしているが、管理装置107と蓄電池管理装置107Aとをそれぞれ個別の装置として構成してもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
101 太陽電池
102 パワーコンディショナ
103 蓄電池
104 インバータ
105 電力経路切替部
106 負荷
107 管理装置
107A 蓄電池管理装置
201 状態検出部
202 運用履歴情報管理部
203 運用履歴情報記憶部
204 モデルデータ記憶部
205 モデル部
206 乖離判定部
207 劣化要因推定部
208 劣化要因データベース記憶部
209 モデル変更部
210 蓄電池情報生成部
211 情報出力部
301 基本モデルデータ
302 劣化モデルデータ
311 サイクル劣化モデルデータ
312 保存劣化モデルデータ
400 劣化要因データベース
Claims (11)
- 蓄電池についての所定の状態を検出する状態検出部と、
蓄電池の運用に関する履歴を示す運用履歴情報に基づいて、蓄電池の内部状態を推定するための基本モデルと前記基本モデルに蓄電池の劣化機能を与える劣化モデルとにしたがって蓄電池の所定の状態を推定するモデル部と、
前記状態検出部により検出された所定の状態に基づく判定パラメータと前記モデル部により推定された判定パラメータとが、想定外の劣化要因による劣化の発生に応じた一定以上の乖離を示しているか否かについて判定する乖離判定部と、
蓄電池の劣化要因ごとに運用条件が対応付けられた劣化要因データベースを記憶する劣化要因データベース記憶部と、
前記状態検出部により検出された所定の状態と前記モデル部により推定された所定の状態とが前記一定以上の乖離を示していると前記乖離判定部により判定された場合に、前記運用履歴情報を前記劣化要因データベースと照合することにより、蓄電池の劣化要因を推定する劣化要因推定部と、
前記劣化要因推定部により推定された劣化要因に基づいて前記劣化モデルを変更するモデル変更部と
を備える蓄電池管理装置。 - 前記モデル変更部は、
前記劣化要因推定部により推定された劣化要因に対応して設定された抵抗成分を付加するように前記劣化モデルを変更する
請求項1に記載の蓄電池管理装置。 - 前記劣化モデルは、
蓄電池の充放電のサイクルに応じたサイクル劣化としての劣化機能を前記基本モデルに与えるサイクル劣化モデルである
請求項1または2に記載の蓄電池管理装置。 - 前記劣化モデルは、
蓄電池の保存時間に応じた保存劣化としての劣化機能を前記基本モデルに与える保存劣化モデルである
請求項1から3のいずれか一項に記載の蓄電池管理装置。 - 前記状態検出部は、
前記蓄電池の所定の状態として電池容量を検出し、
前記乖離判定部は、
前記状態検出部により検出された電池容量に基づいて判定パラメータとして求めた実容量維持率と、前記モデル部により判定パラメータとして推定された推定実容量維持率との差分の絶対値に基づく判定対象値が一定以上であるか否かに基づいて、想定外の劣化要因による劣化の発生に応じた一定以上の乖離を示しているか否かについて判定する
請求項1から4のいずれか一項に記載の蓄電池管理装置。 - 前記状態検出部は、
前記蓄電池の所定の状態として電池容量を検出し、
前記乖離判定部は、
前記モデル部により判定パラメータとして推定された推定実容量維持率が、前記状態検出部により検出された電池容量に基づいて判定パラメータとして求めた実容量維持率と同じ値になるまでの充放電サイクル回数または時間に基づく判定対象値が一定以上であるか否かに基づいて、想定外の劣化要因による劣化の発生に応じた一定以上の乖離を示しているか否かについて判定する
請求項1から4のいずれか一項に記載の蓄電池管理装置。 - 前記状態検出部は、
前記蓄電池の所定の状態として電池容量を検出し、
前記乖離判定部は、
前記モデル部により判定パラメータとして推定された推定実容量維持率の充放電サイクル回数または時間に応じた変化を示す曲線において変曲点が出現しない区間において、前記状態検出部により検出された電池容量に基づいて判定パラメータとして求めた実容量維持率の充放電サイクル回数または時間に応じた変化を示す曲線に変曲点が出現するか否かに基づいて、想定外の劣化要因による劣化の発生に応じた一定以上の乖離を示しているか否かについて判定する
請求項1から4のいずれか一項に記載の蓄電池管理装置。 - 前記モデル部により推定された蓄電池の所定の状態に基づいて、蓄電池についての所定の情報を示す蓄電池情報を生成する蓄電池情報生成部をさらに備える
請求項1から7のいずれか一項に記載の蓄電池管理装置。 - 前記蓄電池情報生成部は、
蓄電池についての余寿命を推定し、推定した余寿命を前記蓄電池情報として生成する
請求項8に記載の蓄電池管理装置。 - 蓄電池についての所定の状態を検出する状態検出ステップと、
蓄電池の運用に関する履歴を示す運用履歴情報に基づいて、蓄電池の内部状態を推定するための基本モデルと前記基本モデルに蓄電池の劣化機能を与える劣化モデルとにしたがって蓄電池の所定の状態を推定するモデルステップと、
前記状態検出ステップにより検出された所定の状態に基づく判定パラメータと前記モデルステップにより推定された判定パラメータとが、想定外の劣化要因による劣化の発生に応じた一定以上の乖離を示しているか否かについて判定する乖離判定ステップと、
前記状態検出ステップにより検出された所定の状態と前記モデルステップにより推定された所定の状態とが前記一定以上の乖離を示していると前記乖離判定ステップにより判定された場合に、前記運用履歴情報を蓄電池の劣化要因ごとに運用条件が対応付けられた劣化要因データベースと照合することにより、蓄電池の劣化要因を推定する劣化要因推定ステップと、
前記劣化要因推定ステップにより推定された劣化要因に基づいて前記劣化モデルを変更するモデル変更ステップと
を備える蓄電池管理方法。 - コンピュータに、
蓄電池についての所定の状態を検出する状態検出ステップと、
蓄電池の運用に関する履歴を示す運用履歴情報に基づいて、蓄電池の内部状態を推定するための基本モデルと前記基本モデルに蓄電池の劣化機能を与える劣化モデルとにしたがって蓄電池の所定の状態を推定するモデルステップと、
前記状態検出ステップにより検出された所定の状態に基づく判定パラメータと前記モデルステップにより推定された判定パラメータとが、想定外の劣化要因による劣化の発生に応じた一定以上の乖離を示しているか否かについて判定する乖離判定ステップと、
前記状態検出ステップにより検出された所定の状態と前記モデルステップにより推定された所定の状態とが前記一定以上の乖離を示していると前記乖離判定ステップにより判定された場合に、前記運用履歴情報を蓄電池の劣化要因ごとに運用条件が対応付けられた劣化要因データベースと照合することにより、蓄電池の劣化要因を推定する劣化要因推定ステップと、
前記劣化要因推定ステップにより推定された劣化要因に基づいて前記劣化モデルを変更するモデル変更ステップと
を実行させるためのプログラム。
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