JP2014076416A - ホウ素含有固体触媒とその製造方法、該触媒を用いる芳香族ニトロ化合物等の水素化物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ホウ素含有固体触媒とその製造方法、該触媒を用いる芳香族ニトロ化合物等の水素化物の製造方法を提供する。
【解決手段】ニトロ化合物を含む各種化合物の水素化反応用固体触媒のホウ素(B)置換メソポーラスシリカ触媒であって、パラジウム(酸化物または金属)ナノ粒子を担持したホウ素を含有するメソポーラスシリカからなる水素化反応用固体触媒、およびscCO条件下で、芳香族ニトロ化合物、芳香族ニトリル化合物、または芳香族水酸化物(フェノール)の水素化物を製造する方法であって、上記原料化合物を、scCO中で、上記ホウ素(B)置換メソポーラスシリカ触媒を用いて水素化してその水素化物を製造することからなる上記水素化物の製造方法。
【選択図】図4

Description

本発明は、ニトロ化合物を含む各種化合物の水素化反応用固体触媒のホウ素(B)置換メソポーラスシリカ触媒であって、パラジウム(酸化物または金属)ナノ粒子を担持したホウ素を含有するメソポーラスシリカからなる水素化反応用固体触媒、その製造方法および当該パラジウム(酸化物または金属)ナノ粒子を担持したホウ素を含有するメソポーラスシリカ(MCM−41)をニトロ化合物を含む各種化合物の水素化反応用固体触媒として用いて、scCO条件下で、芳香族ニトロ化合物、芳香族ニトリル化合物、または芳香族水酸化物(フェノール)の水素化物を製造する方法に関するものである。本発明の触媒は、固体触媒として、分離が簡便であり、均一系触媒と比較して、工業な利点が多く、特に、超臨界二酸化炭素中で非常に効率的に働く固体触媒として有用である。
選択的触媒は、エネルギー消費量を低下させることによって、そしてまた化学量論的試薬の使用を回避することによっても反応の効率を改善することから、化学変換の環境に対する優しさ(greenness)にとって非常に望ましい候補である。したがって、不均一系のための効率的な触媒を開発することは、触媒の興味深い領域の1つである。
担持金属ナノ粒子は、様々な種類の反応に使用される、潜在的な不均一触媒の一種である。Beckらによって1992年に発見されたメソポーラス材料は、非常に高い表面積で触媒活性種が固定化されるため、または細孔系内でのナノサイズの閉じ込めを提供するため、金属ナノ粒子の理想的なホストであるように思われる。
多孔性分子篩MCM−41(M41S系の一種)は、ヘキサゴナル配列の均一な細孔構造を有する。この材料の重要な特徴は、BET表面積が大きいこと、空隙率が高いこと、および細孔径分布が狭く制御可能であることである。これらの特徴自体が、触媒担体として非常に有望な候補となることを示している。
一般に、MCM−41の合成手順には、カチオン性界面活性剤へのシリケートオリゴマーの多座結合、界面領域における選択的なシリケート重合、および界面活性剤とシリケートとの間の電荷密度調整が含まれる。
比較的不活性な全シリカのMCM−41から開始して、Si骨格での三価カチオンによる同形置換によって、大きな化学的多様性および触媒多様性が生じ得る。BによるSiの置換によって、MCM−41の構造特性が変化することが期待され、これについてはOberhagemannらが初めて、異なる鎖長の第四級アンモニウム塩を鋳型として使用した。
それ以後、複数の研究者が、得られる材料の非常に秩序のある均一なヘキサゴナルメソ細孔および骨格中のBの安定性を得るための、B前駆体(NaもしくはHBO)に応じた、または界面活性剤としてアルキルアミンを使用する、合成および特徴についての報告がある。Alと同様に、Bが四面体骨格部位を確かに占領することが観察された。
しかしながら、Al置換MCM−41と比較すると、B含有材料は径が小さく、トリゴナル配位になる傾向のため、その触媒活性についての入手可能な文献は少ない。ボロシリケート分子篩はわずかに弱酸性であるため、特に、低い酸性度が求められる触媒にとって、より適切なものとなる。
担持Pd触媒は、大量の水素を吸着するというそのユニークな特徴のため、多くの水素化反応および様々な有機合成において、広く使用される。メソポーラス材料に担持された新規金属ナノ粒子の合成に関して、直接組み込み(非特許文献1)、初期湿潤含浸(非特許文献2〜4)、およびイオン交換(非特許文献5)のようないくつかの方法が文献に記載された。加えて、MCM−41担体上に金属ナノ粒子を調製するために、光触媒還元およびガンマ線照射も使用された(非特許文献6)。
M.Chatterjee,T.Iwasaki,Y.Onodera and T.Nagase,Catal.Lett.,1999,61,199 C.A.Koh,R.Nooney and S.Tahir,Catal.Lett.,1991,47,199 A.Fukuoka,H.Araki,Y.Sakamoto,S.Inagaki,Y.Fukushima and M.Ichikawa,Inorg.Chim.Acta.,2003.350,371 J.Panpranot,K.Pattamakomsan,J.G.Goodwin Jr.and P.Prasertham,Catal.Commun.,2004,5,583 Y.Yuranova,P.Moeckli,E.Suvorova,P.Buffat,B.Kiwi−Minsker,and A.Renken,J.Mol.Catal.A Chem.,2003,192,239;M.Hartmann,C.Bischof,Z.Luan and L.Kevan,,Microporous Meoporous Mater.,2001,44/45,385 S.Zheng and L.Gao,,Mater.Chem.Phys.,2003,78,312
本発明は、パラジウム(酸化物または金属)ナノ粒子を担持したホウ素を含有するメソポーラスシリカからなることを特徴とする水素化反応用固体触媒を提供すること、B供給源としてHBOを使用する、B−MCM−41上でのPdナノ粒子のin−situ合成の熱水法により上記触媒を製造する方法を提供すること、穏和な条件下、超臨界二酸化炭素(scCO)中でニトロベンゼン等を水素化してその水素化物を製造する方法を提供すること、を課題とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)ニトロ化合物を含む各種化合物の水素化反応用固体触媒のホウ素(B)置換メソポーラスシリカ触媒であって、パラジウム(酸化物または金属)ナノ粒子を担持したホウ素を含有するメソポーラスシリカからなることを特徴とする水素化反応用固体触媒。
(2)メソポーラスシリカが、MCM−41であり、ホウ素の含有率が0%超〜95%であり、金属のサイズが1nm〜100nmであり、金属の担持率が0.01%〜10%である、前記(1)に記載の水素化反応用固体触媒。
(3)メソポーラスシリカ(MCM−41)とB供給源としてHBOを使用して、熱水法により、Si/B比を100から5まで変化させたホウ素(B)置換MCM−41(B−MCM−41)上に担持されたPdナノ粒子をin−situ合成することを特徴とするホウ素(B)置換MCM−41(B−MCM−41)触媒の製造方法。
(4)scCO条件下で、芳香族ニトロ化合物、芳香族ニトリル化合物、または芳香族水酸化物(フェノール)の水素化物を製造する方法であって、上記原料化合物を、scCO中で、ホウ素(B)置換MCM41触媒を用いて水素化してその水素化物を製造することを特徴とする上記水素化物の製造方法。
(5)芳香族ニトロ化合物を水素化することによりアニリンを合成する、前記(4)に記載の水素化物の製造方法。
(6)水素の圧力が0.5MPa〜2.5MPa、反応温度が35℃〜75℃である、前記(3)又は(4)に記載の水素化物の製造方法。
次に、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明に係る、in−situ合成された、B−MCM−41上に担持されたPdナノ粒子と、その超臨界二酸化炭素中でのニトロ芳香族水素化のための効率的な触媒について説明すると、本発明では、Si/B比を100から5まで変化させたホウ素(B)置換MCM−41(B−MCM−41)上に担持されたPdナノ粒子のin−situ合成を、B供給源としてHBOを使用して、熱水法によって実施する。
得られた材料のテクスチャ特性、ならびに熱安定性をXRD、TEM、FTIRおよびTG−DTAによって調査したところ、Si/B比に応じて、非常に秩序のある材料が得られることが分かった。Si/B比は、Pdの粒径および分散にも影響を与える。Pd/B−MCM−41は、反応速度(ターンオーバー頻度(TOF)=5.2×10時間−1)が非常に速く、アニリンの収率(100%)が高いため、超臨界二酸化炭素中でのニトロベンゼンの水素化のための有望な触媒である。
観察された反応速度は、Si/B比に関連するPd粒径、ならびに圧力および温度依存性溶媒力などのCOの物理的特性に、非常に影響を受ける。同等の粒径のシリカ材料のみに担持されたPdと触媒活性との比較から、Bの存在が少量でさえあっても、反応速度が70(Siのみ)から105秒−1(Si/B=100)まで著しく変化することが推測される。加えて、同様の方法によって得られる他のPd担持触媒Al−MCM−41およびGa−MCM−41と比較すると、Pd/B−MCM−41のTOFは高く、その順位は、B(144秒−1)>Ga(31.2秒−1)>Al(10.2秒−1)である。
本触媒系の顕著な長所としては、金属含有量が低い(約1%)こと、分離が容易なこと、ならびに穏和な反応条件下での置換ニトロ芳香族、ニトリルおよびフェノールの水素化のための利用に有用であることが挙げられる。さらに、8回目のリサイクルまで、触媒活性を失うことなく触媒をリサイクル可能である。
本発明に係る触媒の物理化学的特性について説明すると、焼成された生成物の元素分析により、AlおよびGa−MCM−41を含む全ての試料のPd装填が約1%であり、合成された状態のB−MCM−41の色は白色であり、Pdの組み込み(Pd/B−MCM−41)の後、灰色に変化する。これは、材料中へのPdの存在を最初に表示するものとして解釈される。
焼成後、親材料(B−MCM−41)は白色のままであるが、Pd/B−MCM−41はオレンジ色に変化する。このことは、欠陥部位のSiOH基との反応によって表面にPd+2が移動することを示唆する。Pd含有Al−MCM−41の合成については、格子中のSi4+部位およびAl3+部位の両方に対するPd2+イオンの不十分な置換による、骨格内部から表面へのPd2+イオンの移動に起因する。
Pd/B−MCM−41のX線回折パターンについて説明すると、全ての材料が、Braggピークの低下に沿って、MCM−41の代表的な低角度(100)反射特性を示す。高いSi/B比に関しては、主要ピークはより鋭く、3つの良好に分解したピークとともに2θ=2.120°で現れる。
しかしながら、低いSi/B比の材料の散乱パターンは、強度が減少した主要ピークを示し、秩序二次元構造から発生するより小さいピークはない。B含有量の増加とともに、単位格子定数aがわずかに減少することが観察される。さらに、純粋なSi類似体と比較して、B−MCM−41のaが減少していることは、シリケート骨格中のBの証拠である。
Pdナノ粒子を検出するため、より高い角度領域(2θ=30°〜90°)でもXRD測定を行うと、B−MCM−41中でのPdの組み込みの後、焼成試料のSi/B比にかかわらず、PdO(101)、(110)、(112)、(103)および(211)の回折線に相当する、2θ=33.8、42.0、54.8、60.7および71.4で5つの特徴的ピークが出現する。
シェラー(Scherer)の方程式を使用して、2θ=33.8のピークのXRD線の広がりから粒径を算出すると、100から5へのSi/B比の変化に対して、10.9nmから22.6nmへの平均粒径の変化があり、さらには、水素化後、Pdの回折線は消滅し、そして2θ=40.1でPdに相当する新しいピークが出現する。
Pd/B−MCM−41のTEMについて説明すると、TEMの観察から、MCM−41の細孔構造およびPdナノ粒子の存在を直接目で見ることができる。Si/B=100に相当する像は、MCM−41の規則正しい秩序ヘキサゴナルチャネル特性を示す。しかしながら、B含有量の増加によって、規則正しい秩序は損なわれる。
加えて、TEMは、B−MCM−41に担持されたPd粒子にも焦点を当てると、各ケースで、Pd粒子はほぼ球形であり、担持マトリックスのあらゆる場所に分散する。粒径分布の算出によって、B(Si/B=100)含有量の低い材料では12.1nmの平均粒径が確認されるのに対して、Si/B=5の材料では23.1nmというより大きい平均粒径が見られる。これらの観察結果は、広角度の線広がりのXDR測定と十分に一致する。
Pd/B−MCM−41のFTIRスペクトルについて説明すると、焼成されたPd/B−MCM−41のFTIRスペクトルは、SiO四面体およびB置換後のその修飾の特徴である500〜1400cm−1の領域での一連の帯域を示す。1380および940cm−1のIR帯域の存在によって、シリケート骨格中のB置換が確認され、それぞれ、3配位および4配位Bを表す。全てのB含有試料で1380cm−1の帯域が発達し、帯域の強度の増加は、材料のB含有量の増加に関連すると考えられる。
一般に、Bの四面体形はNaが平衡している時のみ安定であるが、H型では不安定である(HBOがB前駆体として使用された場合)。しかしながら、Si/B=5のスペクトルでは、四面体Bを表す940cm−1で小さい肩部の発達が見られるが、これは他のB含有材料にはない。純粋なSi材料では、1380cm−1の帯域の代わりに、焼成されたMCM−41材料に特有のシラノール基による960cm−1の帯域が観察される。
熱重量分析について説明すると、Pd/B−MCM−41の熱分析パターンは、Pd含有Si材料のものと非常に類似している。全重量損失は、3つの特徴的な段階で生じる。第1段階では、室温から120℃の温度範囲で、物理的に吸着した水の損失が生じ、これは約2〜3%の重量損失であり、材料の疎水性に関連する。重量損失の第2段階は、細孔からの鋳型の脱着および分解に相当し、120〜320℃で生じる。
Si/B比に応じて特徴的な差異がある。例えば、記載された領域における重量損失は、Si/B=100およびSi/B=5について、それぞれ、35.1および28.5%であり、B含有量の増加によって、シロキシ基に結合した鋳型カチオンは低温で分解し、鋳型のより大きい部分が高温で除去されることを示す。これは、Siのみの材料の分析から確認される。しかしながら、同様に、加熱の前に複合材料に組み込まれる鋳型は少ないこともあり得る。
実際に、より多くのBがある場合、金属前駆体に対する静電気引力は少なくなることがあり、したがって、得られる材料のCTABは低い。最後に、320から455℃までの7〜8%の重量損失は、コークス焼成に相当し得、455℃より高い温度での3〜4%の重量損失は、骨格上に存在するシラノール基の損失となる(脱ヒドロキシル化)。これらの結果は、以前に報告されたものと十分に一致する。全ての材料に関して、鋭いDTAピークが観察され、これは、燃焼およびMCM−41マトリックスの細孔からの界面活性剤の除去による、強い吸熱プロセスに起因する。
触媒活性について説明すると、scCO中でのニトロベンゼン等の水素化の可能な反応として、scCO中でのニトロベンゼン等の選択的水素化は、Pd/B−MCM−41触媒を使用して、バッチ反応器で実行される。本発明で用いられる基質の種類は、図8に示したとおりである。反応条件を好適化するため、アニリンの最大変換率および細孔選択性を目標のパラメーターとして設定する。低い構造秩序にもかかわらず、高いB含有量のため、Pd/B−MCM−41(Si/B=5)を触媒として選択し、COおよびH圧力、温度および反応時間が最適化のためのパラメーターとして考慮する。
CO圧力の変化について説明すると、試験された反応条件下(PH2=2MPa、温度=50℃、および反応時間=5分)でのCO圧力に対する反応速度(TOF)の変化は、特に、6から14MPaまでのCO圧力の変化に対して、TOFの増加が観察される。12MPaのCOで144秒−1の最高TOFが得られる。同様の条件下、ビューセルで行われた相挙動の視覚による検査から、ニトロベンゼン、HおよびCOの混合物が、CO圧力の変化によって、二相系(ニトロベンゼンおよびCO−H)から単一の均一相(ニトロベンゼン−CO−H)へと変換される。
6〜10MPaのより低い圧力領域では、二相系が優勢であり、そして12Mpa以上では単一の均一系が得られる。この相転移では、圧力が6から12MPaまで変化するのに伴い、反応速度(TOF)が23.3から144秒−1まで増加し、その後は変化しない。したがって、気液界面の排除(二相から単層への転移)は、水素化触媒としてのPd/B−MCM−41の最高性能を実現するために重要である。CO圧力にかかわらず、アニリンが、検出された唯一の生成物である。
圧力の影響について説明すると、CO圧力(12MPa)、反応時間(5分)および温度を50℃に固定して、H圧力に対するTOFの依存を調査すると、ニトロベンゼン水素化のTOFはH圧力に非常に影響を受けやすいことが分かる。圧力が0.5から2.0MPaまで変化した時、生成物の選択性に影響を及ぼすことなく、系中のH濃度が増加して、TOFは46.3から144秒−1まで増加する。さらに圧力が2.5MPaまで増加しても性能に変化はない。したがって、目標の変換率を達成するために、2MPaの最適圧力が選択され、これは、Siのみの材料に必要とされるよりも低く、MCM−41中のBの存在の効果の可能性を示唆する。
反応温度の影響について説明すると、一般に、COの溶媒特性は、圧力および温度に強く影響を受ける。したがって、温度の微調整によっても、COの密度、すなわち、溶媒強度を変更することができる。温度の影響を調査するため、反応を35〜70℃で行うと、ニトロベンゼンの変換率は、温度とともに増加する。COの圧力を固定して(12MPa)、温度が35℃より低い場合、変換率は62%であるが、温度を50℃まで増加させた場合、変換率は100%まで増加する。
超臨界二酸化炭素は圧縮液であり、上記のとおり、温度の変化は溶媒力に関連する。35℃での低い変換率データを考慮すると、ニトロベンゼン、COおよびHの間に単相が形成されるが、相の挙動よりもむしろ温度によって、動力学的効果が作用して、反応速度が増加すると結論付けることができる。したがって、5分の反応時間で、その温度で最高の変換率が達成され、全ての実験に対して50℃の最適温度が選択される。
Si/B比に応じた反応速度(TOF)を比較すると、温度を固定してSi/B比を減少させることにより、TOFが増加することが示される。例えば、比率を100から5に変化させると、35℃および50℃で、それぞれ、TOFは43から105秒−1まで、および89から144秒−1まで変化する。したがって、B含有量、および粒径、構造秩序などの他の関連パラメーターに依存せず、温度の増加によって反応速度が増加し、そしてSi/B=5に関して、より低い温度であってもTOFはより高い。
反応時間の影響について説明すると、Si/B比が100および5で異なる2つのPd/B−MCM−41触媒において、ニトロベンゼンの変換率に及ぼす反応時間の影響を評価したところ、各ケースで、反応は比較的速いが、完全な変換率は、5分の最短の反応時間で、Si/B=5が使用された場合のみ達成することができる。これらの2つの触媒に関して、Pd粒径は異なる。したがって、これらの観察結果を説明するために、(i)Pd粒径の影響、および(ii)構造秩序を制御するB含有量の2つの主要な要因が考えられる。
担持材料のみでは不活性であり、したがって、金属含有触媒の触媒活性は、疑いなく、担体中に存在する活性金属種の存在によって生じることが考えられる。一般に、触媒活性の変化は金属の分散に依存する。この要因は、担持材料のB含有量によってさらに影響を受ける。Pd粒径の影響として、表面Pd原子あたりの算出された初期TOFは、粒径とともに増加する。粒径が約10から20nmに変化した場合、これは59から144秒−1に増加する。したがって、全ての粒子が反応に関与すると仮定すると、より大きいPd粒子は、より小さいものよりも活性である。
粒径に対するTOFにおいて、鋭い変化があるが、粒径に関して調査する範囲が限定的であるため、構造敏感性についてコメントすることは難しい。B含有量として、多くの研究者によって説明されるように、Bの存在は担体表面上に弱酸性度を組み込み、そして金属分散などの触媒モルホロジーを変更し得る。低B含有量(Si/B=100)とSiのみの材料との間で結果を比較すると、それらは両方とも同等の径(約10nm)のPd粒子を含有し、高い秩序構造であるが、Si触媒のみの場合(TOF=70秒−1)よりもSi/B=100(TOF=105秒−1)に関する速度は比較的高い。これらに基づき、低い量のBの存在下でさえも反応速度は増加し、これは、調査された反応条件下で、(B種に関して)弱酸性部位または疎水性が反応プロセスに関与することを示唆するものである。
高活性で酸性部位を含有する担体の役割を調査するため、Pd/B−MCM−41に関して記載されたものと同様の反応条件下で、約1%のPd含有AlおよびGa−MCM−41においてニトロベンゼンの水素化を行うと、一般に、Al−MCM−41は、そのB対応物よりも強い表面酸性度を有し、酸強度の順位は、Al>Ga>>Bである。B−MCM−41(Si/B=10;粒径=21.5nm)、Al−MCM−41(Si/Al=10;粒径=18.9nm)、およびGa−MCM−41(Si/Ga=10;粒径=21.2nm)上に担持されたPd間で反応速度(TOF)を比較すると、順位は、B(140秒−1)>Ga(31.2秒−1)>Al(10.2秒−1)である。各ケースで、Pd粒径は約20nmに選択される。
したがって、担体の酸性度は、触媒の高い活性の重要な要因とはなり得ない。さらに、B、AlおよびGaなどの三価カチオンの置換によって、Si−MCM−41の疎水性は変化し、置換されたSi表面の疎水性順位は、B>Ga>Alである。第一に、触媒疎水性の順位は、明らかに、反応速度が担体材料の疎水性に直接的に関連しており、これは、より強い水の吸着による基質の限定的な接近を防ぎ、Pd/B−MCM−41のより高い反応速度の決定要因となり得ることを示している。しかしながら、Siのみ、およびB−MCM−41(Si/B=100)のTG分析によって、反応速度が異なっていても、ほとんど同量の水損失(同様の疎水性)が明らかである。
したがって、反応速度のこのような差異は、担体の疎水性には直接関連し得ない。担体材料中のBの存在は、Pdと電子的相互作用を引き起こすことが推測され得る。これによって金属の電子密度が増加し、金属表面上に吸着されたH2とより強く相互作用し、そして反応速度が著しく増加する。Pd担持ボレート触媒でも、ニトロベンゼンの液相水素化の間、同様の結果が観測される。
他の基質の水素化について説明すると、ニトロベンゼンの最適反応条件(50℃、5分、PCO2=12MPa、およびPH2=2MPa)を、電子吸引基(−Cl)および電子供与基(−OMe)を有する種々のニトロ芳香族の水素化に適用し、o,m,p−クロロニトロベンゼンの水素化は、約99%の非常に高い選択性でそれらの相当するアミンをもたらす結果となり、変換率はp−>m−>o−の順である。他方、ニトロアニソールも同様の挙動を示すが、変換率はハロニトロ芳香族より低い。各ケースで、ニトロ基のみが水素化され、これは、他の官能基と比較して、環に結合したニトロ基の電子を引き寄せる能力がより強いことに起因すると考えられる。結果として、これは触媒表面に容易に結合することができ、他の基の代わりに水素化される。
触媒の可能性について、再度、ニトリル(−CN;電子吸引基)およびフェノール(−OH;電子供与基)によって説明すると、ニトロ化合物と同様に、−CNのみが99%の選択性で1級アミンへと水素化される。−OH基(電子供与基)の存在のため、環水素化が優先的であるフェノールの水素化を考察すると、唯一の生成物がシクロヘキサノンという結果となる。同様の反応条件下(温度=50℃、時間=4時間、PCO2=10MPa、PH2=4MPa)でのPd/MCM−41(シリカのみ)触媒との比較によって確認されるように、環水素化は、担体材料中のBの存在による担体の酸性度によって活性化される。
有機溶媒との比較について説明すると、比較のため、ヘキサンおよびエタノールなどの純粋な有機溶媒中でニトロベンゼンの水素化を行うと、各ケースで、触媒および基質の量、H圧力、温度ならびに反応時間は、scCOのものと同様である。エタノール中でも反応は速く、scCOに匹敵する。しかしながら、ニトソロベンゼン(3.8%)、アゾキシベンゼン(12.7%)、およびアゾベンゼン(10.3%)のような副産物の形成のため、アニリンの選択性は低下する(73.2%)。
scCOが全ての条件下で低い誘電率(e=1.2〜1.6)を有することはよく知られており、COの挙動とヘキサンの挙動との間にはいくらかの類似性があると考えられる。試験された反応条件下でヘキサン中で実行されるニトロベンゼンの水素化は、非常に低い変換率(33.1%)を示すが、アニリンが唯一検出された生成物である。このことは、Hのより良好な溶解性のため、scCOが、高い活性および選択性を達成する唯一の媒体であることへの示唆を大きく支持するものである。
触媒のリサイクルについて説明すると、触媒のリサイクルは、B含有触媒の最も重要な基準である。同様の反応条件下で触媒のリサイクル可能性を実行して、ニトロベンゼンの水素化完了後、触媒を濾過し、次いで新鮮なニトロベンゼンを含有するもう1つの容器に移すプロセスを連続して8回繰り返すと、選択性の変化は見られないが、変換率は100%から97.6%まで変化する。
本発明により、B−MCM−41上に担持されたPdナノ粒子を、熱水法によって合成し得ること、回折特徴決定技術によって、Si/B比に応じて、構造秩序ならびにPd粒径が変化することが明らかである。Pd/B−MCM−41の触媒活性の調査によって、これが、非常に穏和な条件下で、ニトロベンゼン等の水素化反応のための優れた触媒となることが明らかである。担体中のBの存在のため、この反応は極めて速く、アニリンが唯一形成される生成物である。さらに、シリカのみの材料との比較からBの効果を理解することができ、そして同様の調製方法で得られたPd/Al−MCM−41およびPd/Ga−MCM−41上で反応を実行した場合、その反応速度は、B>Al>Gaの順位である。この反応ではいずれの副産物も形成されず、また触媒のリサイクルから観察されるように、長期の触媒活性を達成可能である。また、この単純な低金属含有触媒は、置換ニトロ芳香族ならびに他の芳香族化合物の化学選択的水素化の成功にも適合性があり、他のクリーンな化学プロセスのさらなる開発のための、潜在的な候補として有用である。
本発明により、次のような効果が奏される。
(1)ニトロベンゼンからアニリンへの反応は、触媒回転率(時間あたりの触媒の回転数)が、5.2×105h−1(144s−1)と早く、生成物のニトロアニリンの選択率は100%で、2級アミンは生成しない特徴を有する。
(2)反応速度を比較すると、同じパラジウムを担持する固体触媒として、ホウ素を含有する場合(144s−1)>シリカのみの場合(70s−1)>ガリウムを含有する場合(31.2s−1)>アルミニウムを含有する場合(10.2s−1)であり、ホウ素を含有することで、大きな反応速度の向上と選択性が得られる。
(3)反応種は、芳香族ニトロ化合物、芳香族ニトリル化合物、芳香族水酸化物(フェノール)を原料とした水素化を検討し、それぞれの化合物で良好な収率を得たが、反応は、ニトロ化合物を用いた場合、5分程度で終了し、従来の触媒を用いる場合に比べても早い。
(4)触媒のリサイクルも8回行っており、触媒自体は、特に再生行程を必要とせず10回以上用いることが可能である。
Pd/B−MCM−41の物理的特性を示す。 CO圧力に対する反応割合(TOF)を示す。 異なる溶媒および触媒のリサイクルにおけるニトロベンゼンの水素化を示す。 圧に対する反応割合(TOF)を示す。 温度に対する反応割合(TOF)を示す。 反応割合に及ぼす粒子サイズの影響を示す。 scCO中におけるPd/B−MCM−41による各種基質の水素化を示す。 基質の種類を示す。
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
in−situ合成された、B−MCM−41上に担持されたPdナノ粒子について、超臨界二酸化炭素中でのニトロ芳香族水素化のための効率的な触媒として試験するために、Si/B比を100から5まで変化させたホウ素(B)置換MCM−41(B−MCM−41)上に担持されたPdナノ粒子のin−situ合成を、B供給源としてHBOを使用して、熱水法によって実行した。
得られた材料のテクスチャ特性、ならびに熱安定性をXRD、TEM、FTIRおよびTG−DTAによって調査した。Si/B比に応じて、非常に秩序のある材料が得られた。Si/B比は、Pdの粒径および分散にも影響を与えた。
Pd/B−MCM−41は、反応速度(ターンオーバー頻度(TOF)=5.2×10時間−1)が非常に速く、アニリンの収率(100%)が高いため、超臨界二酸化炭素中でのニトロベンゼンの水素化のための有望な触媒であること、観察された反応速度は、Si/B比に関連するPd粒径、ならびに圧力および温度依存性溶媒力などのCOの物理的特性に、非常に影響を受けることが分かった。
同等の粒径のシリカ材料のみに担持されたPdと触媒活性との比較から、Bの存在が少量でさえあっても、反応速度が70(Siのみ)から105秒−1(Si/B=100)まで著しく変化することが推測された。加えて、同様の方法によって得られた他のPd担持触媒Al−MCM−41およびGa−MCM−41と比較すると、Pd/B−MCM−41のTOFは高く、その順位は、B(144秒−1)>Ga(31.2秒−1)>Al(10.2秒−1)であった。
本触媒系の顕著な長所としては、金属含有量が低い(約1%)こと、分離が容易なこと、ならびに穏和な反応条件下での置換ニトロ芳香族、ニトリルおよびフェノールの水素化のための利用に有用であることが挙げられ、さらに、8回目のリサイクルまで、触媒活性を失うことなく触媒をリサイクル可能であった。
以下に、合成、特徴決定技術および触媒活性測定について説明する。
材料:
オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)をシリカ供給源とし、ホウ酸(HBO)、アルミン酸ナトリウムおよび硝酸ガリウムを、それぞれ、B、AlおよびGaの供給源とした。上記化学物質の全て、水酸化ナトリウムおよびニトロベンゼンは、和光純薬工業株式会社から購入した。セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)およびPdClは、Aldrich Chemical Co.から購入し、そのまま使用した。CO(>99.99%)は、日本酸素株式会社によって提供された。
合成:
Pd/B−MCM−41の熱水合成を以下のとおり実行した。典型的に、水酸化ナトリウム、CTABを脱イオン水に加え、溶解するまで撹拌した。その後、撹拌条件下で必要量のHBOをゆっくり導入し、さらに1時間撹拌を続け、続いて、Pd塩の1重量%溶液を添加し、再びさらに1時間撹拌した。最後に、さらに1時間撹拌しながらTEOSを溶液に添加し、そしてゲル混合物を140℃で48時間オートクレーブ処理した。
最終ゲル組成は、1 TEOS:x B:0.45 NaO:0.12 CTAB:118 HOであり、ここでxは0.01〜0.2であった。次いで、固体生成物を濾過し、脱イオン水で完全に洗浄し、続いて60℃でオーブン乾燥した。合成した材料を空気中550℃で8時間焼成し、鋳型を除去した。
比較のために、同様の様式でAlおよびGa−MCM−41材料に担持されたPdも合成した。得られた生成物の特徴を、X線回折(XRD)、透過型電子顕微鏡法(TEM)、フーリエ変換赤外線分光法(FTIR)および熱重量−示差熱分析(TG−DTA)で決定した。
触媒活性:
全ての実験を、50mlステンレス鋼バッチ式反応器で行った。すなわち、0.1gの触媒と、2gの反応物を反応器に導入し、そして所望の温度を維持するためのファンヒーターを備えたオーブン中にこれを置いた。
最初に必要圧力のHを反応器に導入した。その後、高圧液体ポンプ(JASCO)を使用して、液体COを入れ、その後、所望の圧力まで圧縮した。反応の間、反応混合物を撹拌した。液性生成物を触媒から分離し、GC−MS(Varian Satum 2200)によって同定し、続いて、キャピラリーカラムとフレームイオン化検出器を備えたGC(HP 6890)を使用して定量分析を行った。
全ての結果に関して、選択性を以下のとおりに定義した。
選択性(%)=生成物の濃度/生成物の全濃度×100
COの代わりの有機溶媒に関しては、5mlの有機溶媒を使用した。
[触媒特徴決定技術]
エネルギー分散分光法(EDS)は、Pd/B−MCM−41試料中の元素組成および金属装填を概算するために、走査電子顕微鏡と組み合わせたXL 30s Philips Co.装置において実行した。いくつかの試料領域で無作為に分析を行い、元素組成の代表値を得た。
粉末X線回折パターンは、単色Cu Kα放射線(λ=1.542Å)を使用して、Rigaku−RAD−Xシステムにおいて記録した。一般に、連続操作モードを使用して、2°/分の走査速度で走査範囲2θ=1.5〜15°上、および広角度(2θ=30〜70°)の測定で回折データを収集した。
材料の透過型電子顕微鏡法(TEM)を、200Kvで運転するPhilips Technaiにおいて記録した。超音波法によって粉末をエタノール中に懸濁させた。ホーリーカーボンカッパーフィルムを有するグリッド上にこの溶液の1滴を置き、次いで乾燥させ、時計皿で覆った。
フーリエ変換赤外線スペクトル(FT−IR)を、Horiba 分光計FT−720において室温で得た。測定の前に、試料をKBrによって粉砕し、薄いウエハーに圧縮した。熱重量分析は、Rigaku Thermoflex TAS200装置を使用して実行した。約10mgの試料を白金皿に置き、10℃/分の加熱速度で加熱した。
[相変化観察]
方法:
サファイア窓が取り付けられた10ml高圧ビューセルを使用して、調査された反応条件下でのニトロベンゼンの相挙動の視覚的観察を単独で実行した。内容物を撹拌するため、磁気撹拌機にこのセルを置き、そしてビューセル内の圧力を調節するため、圧力制御装置に接続した。加えて、50℃の所望の温度を維持するために、温度制御装置を使用した。初めに、CO圧力を7〜14MPaの範囲で変化させながら、2MPaの一定水素圧力で、ビューセル中にニトロベンゼンを導入し、そしてニトロベンゼン−H−CO系の相挙動を監視した。
本実施例では、B供給源としてHBOを使用する、B−MCM−41上でのPdナノ粒子のin−situ合成の熱水法について説明する。穏和な条件下、超臨界二酸化炭素(scCO)中でのニトロベンゼンの水素化における触媒性能を調査し、そしてその結果を、同様の方法で得られたAlおよびGa担持Pd触媒と比較した。
[触媒の物理化学的特性]
焼成された生成物の元素分析により、AlおよびGa−MCM−41を含む全ての試料のPd装填が約1%であることを確認した。合成された状態のB−MCM−41の色は白色であり、Pdの組み込み(Pd/B−MCM−41)の後、灰色に変化した。これは、材料中へのPdの存在を最初に表示するものとして解釈される。焼成後、親材料(B−MCM−41)は白色のままであるが、Pd/B−MCM−41はオレンジ色に変化した。
このことは、欠陥部位のSiOH基との反応によって表面にPd+2が移動することを示唆する。Pd含有Al−MCM−41の合成について、Kawabataらによって同様の結果が報告されており、これは、格子中のSi4+部位およびAl3+部位の両方に対するPd2+イオンの不十分な置換による、骨格内部から表面へのPd2+イオンの移動に起因する。Si/B比に関しては、本明細書を通じてゲル比が考えられていることに言及しなければならない。
[Pd/B−MCM−41のX線回折パターン]
全ての材料が、Braggピークの低下に沿って、MCM−41の代表的な低角度(100)反射特性を示す。Beckらは、ヘキサゴナル単位格子に対してそれらのピークにインデックスを付け、そして式a=2d100/√3を使用して、格子定数(a)を算出した。Si/B比に応じて、主要ピークの性質が著しく変化した。高いSi/B比に関しては、主要ピークはより鋭く、3つの良好に分解したピークとともに2θ=2.120°で現れた。
しかしながら、低いSi/B比の材料の散乱パターンは、強度が減少した主要ピークを示し、秩序二次元構造から発生するより小さいピークはない。B含有量の増加とともに、単位格子定数aがわずかに減少することが観察された。これは文献と十分一致する(図1の表)。さらに、純粋なSi類似体と比較して、B−MCM−41のaが減少していることは、シリケート骨格中のBの証拠である。
Pdナノ粒子を検出するため、より高い角度領域(2θ=30°〜90°)でもXRD測定を実行した。B−MCM−41中でのPdの組み込みの後、焼成試料のSi/B比にかかわらず、PdO(101)、(110)、(112)、(103)および(211)の回折線に相当する、2θ=33.8、42.0、54.8、60.7および71.4で5つの特徴的ピークが出現した。
シェラー(Scherer)の方程式を使用して、2θ=33.8のピークのXRD線の広がりから粒径を算出したところ、100から5へのSi/B比の変化に対して、10.9nmから22.6nmへの平均粒径の変化があった(図1の表)。さらには、水素化後、Pdの回折線は消滅し、そして2θ=40.1でPdに相当する新しいピークが出現した。
[Pd/B−MCM−41のTEM]
TEMの観察から、MCM−41の細孔構造およびPdナノ粒子の存在を直接目で見ることができる。それぞれ、細孔軸を通る、Si/B=100およびSi/B=5のPd/B−MCM−41のTEM像、ならびにそれらの相当する粒径分布が得られた。Si/B=100に相当する像は、MCM−41の規則正しい秩序ヘキサゴナルチャネル特性を示した。
しかしながら、B含有量の増加によって、規則正しい秩序は損なわれた。加えて、TEMは、B−MCM−41に担持されたPd粒子にも焦点を当てた。各ケースで、Pd粒子はほぼ球形であり、担持マトリックスのあらゆる場所に分散した。粒径分布の算出によって、B(Si/B=100)含有量の低い材料では12.1nmの平均粒径が確認されたのに対して、Si/B=5の材料では23.1nmというより大きい平均粒径が見られた。これらの観察結果は、広角度の線広がりのXDR測定と十分一致した。
[Pd/B−MCM−41のFTIRスペクトル]
Siのみの材料とともに、異なるSi/B比のPd/B−MCM−41のFTIRスペクトルにより、焼成されたPd/B−MCM−41のFTIRスペクトルは、SiO四面体およびB置換後のその修飾の特徴である500〜1400cm−1の領域での一連の帯域を示した。1380および940cm−1のIR帯域の存在によって、シリケート骨格中のB置換が確認され、それぞれ、3配位および4配位Bを表す。全てのB含有試料で1380cm−1の帯域が発達し、帯域の強度の増加は、材料のB含有量の増加に関連すると考えられた。
一般に、Bの四面体形はNaが平衡している時のみ安定であるが、H型では不安定である(HBOがB前駆体として使用された場合)。しかしながら、Si/B=5のスペクトルでは、四面体Bを表す940cm−1で小さい肩部が発達した。これは他のB含有材料にはなかった。純粋なSi材料では、1380cm−1の帯域の代わりに、焼成されたMCM−41材料に特有のシラノール基による960cm−1の帯域が観察された。
[熱重量分析]
Pd/B−MCM−41の熱分析パターンは、Pd含有Si材料のものと非常に類似している。全重量損失は、3つの特徴的な段階で生じる。第1段階では、室温から120℃の温度範囲で、物理的に吸着した水の損失が生じ、これは約2〜3%の重量損失であり、材料の疎水性に関連した。重量損失の第2段階は、細孔からの鋳型の脱着および分解に相当し、120〜320℃で生じた。
Si/B比に応じて特徴的な差異がある。例えば、記載された領域における重量損失は、Si/B=100およびSi/B=5について、それぞれ、35.1および28.5%であり、B含有量の増加によって、シロキシ基に結合した鋳型カチオンは低温で分解し、鋳型のより大きい部分が高温で除去されることを示した。これは、Siのみの材料の分析から確認された(図1の表)。
しかしながら、同様に、加熱の前に複合材料に組み込まれる鋳型は少ないこともあり得る。実際に、より多くのBがある場合、金属前駆体に対する静電気引力は少なくなることがあり、したがって、得られる材料のCTABは低い。最後に、320から455℃までの7〜8%の重量損失は、コークス焼成に相当し得、455℃より高い温度での3〜4%の重量損失は、骨格上に存在するシラノール基の損失となる(脱ヒドロキシル化)。これらの結果は、以前に報告されたものと十分一致した。全ての材料に関して、鋭いDTAピークが観察され、これは、燃焼およびMCM−41マトリックスの細孔からの界面活性剤の除去による、強い吸熱プロセスに起因した。
[触媒活性]
scCO中でのニトロベンゼンの水素化の可能な反応経路において、scCO中でのニトロベンゼンの選択的水素化は、Pd/B−MCM−41触媒を使用して、バッチ反応器で実行された。
反応条件を最適化するため、アニリンの最大変換率および細孔選択性を目標のパラメーターとして設定した。低い構造秩序にもかかわらず、高いB含有量のため、Pd/B−MCM−41(Si/B=5)を触媒として選択した。COおよびH圧力、温度および反応時間が最適化のためのパラメーターとして考慮された。
[CO圧力の変化]
図2は、試験された反応条件下(PH2=2MPa、温度=50℃、および反応時間=5分)でのCO圧力に対する反応速度(TOF)の変化を示す。特に、6から14MPaまでのCO圧力の変化に対して、TOFの増加が観察された。12MPaのCOで144秒−1の最高TOFが得られた。同様の条件下、ビューセルで行われた相挙動の視覚による検査から、ニトロベンゼン、HおよびCOの混合物が、CO圧力の変化によって、二相系(ニトロベンゼンおよびCO−H)から単一の均一相(ニトロベンゼン−CO−H)へと変換されることが明らかになった。
6〜10MPaのより低い圧力領域では、二相系が優勢であり、そして12Mpa以上では単一の均一系が得られた。この相転移では、圧力が6から12MPaまで変化するのに伴い、反応速度(TOF)が23.3から144秒−1まで増加し、その後は変化しない。したがって、気液界面の排除(二相から単層への転移)は、水素化触媒としてのPd/B−MCM−41の最高性能を実現するために重要である。CO圧力にかかわらず、アニリンが、検出された唯一の生成物であった。
[H圧力の影響]
CO圧力(12MPa)、反応時間(5分)および温度を50℃に固定して、H圧力に対するTOFの依存を調査した。ニトロベンゼン水素化のTOFはH圧力に非常に影響を受けやすいことが分かった(図4)。圧力が0.5から2.0MPaまで変化した時、生成物の選択性に影響を及ぼすことなく、系中のH濃度が増加して、TOFは46.3から144秒−1まで増加する。さらに圧力が2.5MPaまで増加しても性能に変化はない。したがって、目標の変換率を達成するために、2MPaの最適圧力が選択され、これは、Siのみの材料に必要とされるよりも低く、MCM−41中のBの存在の効果の可能性を示唆した。
[反応温度の影響]
一般に、COの溶媒特性は、圧力および温度に強く影響を受ける。したがって、温度の微調整によっても、COの密度、したがって、溶媒強度を変更することができる。温度の影響を調査するため、反応を35〜70℃で行った。結果として、ニトロベンゼンの変換率は、温度とともに増加した。COの圧力を固定して(12MPa)、温度が35℃より低い場合、変換率は62%であったが、温度を50℃まで増加させた場合、変換率は100%まで増加した。超臨界二酸化炭素は圧縮液であり、上記のとおり、温度の変化は溶媒力に関連する。
35℃での低い変換率データを考慮すると、ニトロベンゼン、COおよびHの間に単相が形成されるが、相の挙動よりもむしろ温度によって、動力学的効果が作用して、反応速度が増加すると結論付けることができる。したがって、5分の反応時間で、その温度で最高の変換率が達成されたことから、全ての実験に対して50℃の最適温度が選択された。
図5に、Si/B比に応じた、温度に対する反応速度の変化を示す。Si/B比に応じた反応速度(TOF)を比較すると、温度を固定してSi/B比を減少させることにより、TOFが増加することが示された。例えば、比率を100から5に変化させると、35℃および50℃で、それぞれ、TOFは43から105秒−1まで、および89から144秒−1まで変化した。したがって、B含有量、および粒径、構造秩序などの他の関連パラメーターに依存せず、温度の増加によって反応速度が増加し、そしてSi/B=5に関して、より低い温度であってもTOFはより高い。
[反応時間の影響]
Si/B比が100および5で異なる2つのPd/B−MCM−41触媒において、ニトロベンゼンの変換率に及ぼす反応時間の影響を評価した。各ケースで、反応は比較的速かったが、完全な変換率は、5分の最短の反応時間で、Si/B=5が使用された場合のみ達成することができる。これらの2つの触媒に関して、Pd粒径は異なる(図1の表)。
したがって、これらの観察結果を説明するために、(i)Pd粒径の影響、および(ii)構造秩序を制御するB含有量の2つの主要な要因が考えられた。担持材料のみでは不活性であり、したがって、金属含有触媒の触媒活性は、疑いなく、担体中に存在する活性金属種の存在によって生じることに言及しなければならない。一般に、触媒活性の変化は金属の分散に依存する。この要因は、担持材料のB含有量によってさらに影響を受ける。
(i)Pd粒径の影響:
粒径に対するニトロベンゼン水素化速度の依存を図6に示す。これは、表面Pd原子あたりの算出された初期TOFは、粒径とともに増加することを示す。粒径が約10から20nmに変化した場合、これは59から144秒−1に増加する。したがって、全ての粒子が反応に関与すると仮定すると、より大きいPd粒子は、より小さいものよりも活性である。粒径に対するTOFにおいて、鋭い変化があるが、粒径に関して調査された範囲が限定的であったため、構造敏感性についてコメントすることは難しい。Pd/C上、50℃でのメタノール中のニトロベンゼンの液相水素化に関して、同様の現象が以前にも報告された。
(ii)B含有量:
多くの研究者によって説明されるように、Bの存在は担体表面上に弱酸性度を組み込み、そして金属分散などの触媒モルホロジーを変更し得る。本発明者らは、低B含有量(Si/B=100)とSiのみの材料との間で結果を比較した。それらは両方とも同等の径(約10nm)のPd粒子を含有し、高い秩序構造であるが、Si触媒のみの場合(TOF=70秒−1)よりもSi/B=100(TOF=105秒−1)に関する速度は比較的高い。これらの結果に基づき、低い量のBの存在下でさえも反応速度は増加し、これは、調査された反応条件下で、(B種に関して)弱酸性部位または疎水性が反応プロセスに関与することを示唆するということを結論付けることができた。
高活性で酸性部位を含有する担体の役割を調査するため、Pd/B−MCM−41に関して記載されたものと同様の反応条件下で、約1%のPd含有AlおよびGa−MCM−41においてニトロベンゼンの水素化を実行した。一般に、Al−MCM−41は、そのB対応物よりも強い表面酸性度を有し、酸強度の順位は、Al>Ga>>Bであった。B−MCM−41(Si/B=10;粒径=21.5nm)、Al−MCM−41(Si/Al=10;粒径=18.9nm)、およびGa−MCM−41(Si/Ga=10;粒径=21.2nm)上に担持されたPd間で反応速度(TOF)を比較したところ、順位は、B(140秒−1)>Ga(31.2秒−1)>Al(10.2秒−1)であった。
各ケースで、Pd粒径は約20nmに選択された。したがって、担体の酸性度は、触媒の高い活性の重要な要因とはなり得ない。さらに、B、AlおよびGaなどの三価カチオンの置換によって、Si−MCM−41の疎水性は変化し、置換されたSi表面の疎水性順位は、B>Ga>Alであった。
第一に、触媒疎水性の順位は、明らかに、反応速度が担体材料の疎水性に直接的に関連しており、これは、より強い水の吸着による基質の限定的な接近を防ぎ、Pd/B−MCM−41のより高い反応速度の決定要因となり得ることを示している。しかしながら、Siのみ、およびB−MCM−41(Si/B=100)のTG分析によって、反応速度が異なっていても、ほとんど同量の水損失(同様の疎水性)が明らかである。
したがって、反応速度のこのような差異は、担体の疎水性には直接関連し得ない。担体材料中のBの存在は、Pdと電子的相互作用を引き起こすことが推測され得る。これによって金属の電子密度が増加し、金属表面上に吸着されたHとより強く相互作用し、そして反応速度が著しく増加した。Pd担持ボレート触媒でも、ニトロベンゼンの液相水素化の間、同様の結果が観測された。
[他の基質の水素化]
ニトロベンゼンの最適反応条件(50℃、5分、PCO2=12MPa、およびPH2=2MPa)を、電子吸引基(−Cl)および電子供与基(−OMe)を有する種々のニトロ芳香族の水素化に適用し、結果を図7の表に示す。o,m,p−クロロニトロベンゼンの水素化は、約99%の非常に高い選択性でそれらの相当するアミンをもたらす結果となり、変換率はp−>m−>o−の順であった(エントリー1〜3)。
他方、ニトロアニソールも同様の挙動を示すが(エントリー4〜6)、変換率はハロニトロ芳香族より低い。各ケースで、ニトロ基のみが水素化され、これは、他の官能基と比較して、環に結合したニトロ基の電子を引き寄せる能力がより強いことに起因すると考えられた。結果として、これは触媒表面に容易に結合することができ、他の基の代わりに水素化された。
触媒の可能性について、再度、ニトリル(−CN;電子吸引基)およびフェノール(−OH;電子供与基)によって説明する(図7の表;エントリー6および7)。ニトロ化合物と同様に、−CNのみが99%の選択性で1級アミンへと水素化されることに言及しなければならない。
−OH基(電子供与基)の存在のため、環水素化が優先的であるフェノールの水素化を考察すると(図7の表;エントリー8)、唯一の生成物がシクロヘキサノンという結果となった。以前に記載された同様の反応条件下(温度=50℃、時間=4時間、PCO2=10MPa、PH2=4MPa)でのPd/MCM−41(シリカのみ)触媒との比較によって確認されるように、環水素化は、担体材料中のBの存在による担体の酸性度によって活性化された。
[有機溶媒との比較]
比較のため、ヘキサンおよびエタノールなどの純粋な有機溶媒中でニトロベンゼンの水素化を実行し、結果を図7の表に示す。各ケースで、触媒および基質の量、H圧力、温度ならびに反応時間は、scCOのものと同様であった。エタノール中でも反応は速く(表3;エントリー2)、scCO(図7の表;エントリー1)に匹敵した。しかしながら、ニトソロベンゼン(3.8%)、アゾキシベンゼン(12.7%)、およびアゾベンゼン(10.3%)のような副産物の形成のため、アニリンの選択性は低下した(73.2%)。
scCOが全ての条件下で低い誘電率(e=1.2〜1.6)を有することはよく知られており、COの挙動とヘキサンの挙動との間にはいくらかの類似性があると考えられた。試験された反応条件下でヘキサン中で実行されたニトロベンゼンの水素化は、非常に低い変換率(33.1%)(図7の表;エントリー3)を示したが、アニリンが唯一検出された生成物であった。このことは、Hのより良好な溶解性のため、scCOが、高い活性および選択性を達成する唯一の媒体であることへの示唆を大きく支持するものであった。
[触媒のリサイクル]
触媒のリサイクルは、B含有触媒の最も重要な基準である。記載されたものと同様の反応条件下で触媒のリサイクル可能性を実行した。ニトロベンゼンの水素化完了後、触媒を濾過し、次いで新鮮なニトロベンゼンを含有するもう1つの容器に移した。このプロセスを連続して8回繰り返したところ、選択性の変化は見られなかったが、変換率は100%から97.6%まで変化した(図3の表;エントリー4〜6)。
結論として、B−MCM−41上に担持されたPdナノ粒子を、熱水法によって合成することに成功したこと、回折特徴決定技術によって、Si/B比に応じて、構造秩序ならびにPd粒径が変化することが明らかになった。Pd/B−MCM−41の触媒活性の調査によって、これが、非常に穏和な条件下で、ニトロベンゼンの水素化反応のための優れた触媒となることが明らかとなった。担体中のBの存在のため、この反応は極めて速く、アニリンが唯一形成される生成物であった。
さらに、シリカのみの材料との比較からBの効果を理解することができ、そして同様の調製方法で得られたPd/Al−MCM−41およびPd/Ga−MCM−41上で反応を実行した場合、その反応速度は、B>Al>Gaの順位であった。この反応ではいずれの副産物も形成されず、また触媒のリサイクルから観察されるように、長期の触媒活性を達成可能であった。また、この単純な低金属含有触媒は、置換ニトロ芳香族ならびに他の芳香族化合物の化学選択的水素化の成功にも適合性があり、他のクリーンな化学プロセスのさらなる開発のための、潜在的な候補として有用であった。
以上詳述したとおり、本発明は、ホウ素含有固体触媒とその製造方法、該触媒を用いる芳香族ニトロ化合物等の水素化物の製造方法に係るものであり、本発明は、例えば、1)ニトロベンゼンからアニリンへの反応は、触媒回転率(時間あたりの触媒の回転数)が、5.2×105h−1(144s−1)と早く、生成物のニトロアニリンの選択率は100%で、2級アミンは生成しない特徴を有する、2)反応速度を比較すると、同じパラジウムを担持する固体触媒として、ホウ素を含有する場合(144s−1)>シリカのみの場合(70s−1)>ガリウムを含有する場合(31.2s−1)>アルミニウムを含有する場合(10.2s−1)であり、ホウ素を含有することで、大きな反応速度の向上と選択性が得られる、3)反応種は、芳香族ニトロ化合物、芳香族ニトリル化合物、芳香族水酸化物(フェノール)を原料とした水素化を検討し、それぞれの化合物で良好な収率を得たが、反応は、ニトロ化合物を用いた場合、5分程度で終了し、従来の触媒を用いる場合に比べても早い、4)触媒のリサイクルも8回行っており、触媒自体は、特に再生行程を必要とせず10回以上用いることが可能である、という利点を有するものとして有用である。

Claims (6)

  1. ニトロ化合物を含む各種化合物の水素化反応用固体触媒のホウ素(B)置換メソポーラスシリカ触媒であって、パラジウム(酸化物または金属)ナノ粒子を担持したホウ素を含有するメソポーラスシリカからなることを特徴とする水素化反応用固体触媒。
  2. メソポーラスシリカが、MCM−41であり、ホウ素の含有率が0%超〜95%であり、金属のサイズが1nm〜100nmであり、金属の担持率が0.01%〜10%である、請求項1に記載の水素化反応用固体触媒。
  3. メソポーラスシリカ(MCM−41)とB供給源としてHBOを使用して、熱水法により、Si/B比を100から5まで変化させたホウ素(B)置換MCM−41(B−MCM−41)上に担持されたPdナノ粒子をin−situ合成することを特徴とするホウ素(B)置換MCM−41(B−MCM−41)触媒の製造方法。
  4. scCO条件下で、芳香族ニトロ化合物、芳香族ニトリル化合物、または芳香族水酸化物(フェノール)の水素化物を製造する方法であって、上記原料化合物を、scCO中で、ホウ素(B)置換MCM41触媒を用いて水素化してその水素化物を製造することを特徴とする上記水素化物の製造方法。
  5. 芳香族ニトロ化合物を水素化することによりアニリンを合成する、請求項4に記載の水素化物の製造方法。
  6. 水素の圧力が0.5MPa〜2.5MPa、反応温度が35℃〜75℃である、請求項3又は4に記載の水素化物の製造方法。
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