以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、遊技機1の説明における前後左右とは、遊技中の遊技者から見た方向を指すものとする。
〔遊技機全体図〕
図1及び図2を参照して、本発明の実施形態による遊技機1について説明する。図1は、前面枠4及びクリア部材保持枠5を閉じた状態の遊技機1の正面図である。図2は、右斜め上方から見た時の遊技機1の斜視図である。
遊技機1は島設備に固定される本体枠2に、ヒンジ16を介して開閉回動自在に取り付けられる開閉枠3を備える。開閉枠3は、前面枠4及びクリア部材保持枠5によって構成されている。
前面枠4には、遊技領域21を有する遊技盤20(図5参照)が交換可能に配設されるとともに、遊技盤20の前面を覆うクリア部材5aを備えたクリア部材保持枠5が取り付けられる。ここで、クリア部材5aは、ガラス、アクリル、ポリカーボネイト等の透明部材である。このように、クリア部材5aは、遊技盤20に形成される遊技領域21(図5参照)を視認可能とする遊技視認領域として機能する。
前面枠4及びクリア部材保持枠5は、それぞれ個別に開放することが可能となっている。例えば、クリア部材保持枠5のみを開放することで、遊技盤20の遊技領域21にアクセスすることができる。また、前面枠4をクリア部材保持枠5が開放されていない状態で開放することで、遊技盤20の裏面側に配設された遊技制御装置100(図3参照)等にアクセスすることができる。
クリア部材保持枠5のクリア部材5a周囲の縁部分には、種々の枠構成部材が配設されている。
クリア部材保持枠5の上部及び左側部には、遊技状態に応じて発光演出可能な装飾装置6,7が配設されている。装飾装置6,7は、内部にLED等の照明部材を収容しており、遊技状態に応じた発光演出を行う。これら装飾装置6,7の内部に配設される照明部材は、枠装飾装置171(図7参照)の一部を構成している。
クリア部材保持枠5の上右角部分及び上左角部分には、上スピーカ8aがそれぞれ配設される。これら上スピーカ8aとは別に遊技機1の下部には、2つの下スピーカ8bが設けられている。下スピーカ8bは、クリア部材保持枠5の下左角部分及び前面枠4の下右角部分に配設されている。これら上スピーカ8a及び下スピーカ8bは、効果音や警報音、報知音等を発するものである。
遊技機1で発生する異常には、遊技機1の故障及び不正行為の実施等が含まれる。不正行為には、例えば、発射された遊技球の軌道を磁石によって不正に操作する行為や遊技機1を振動させる行為等が含まれる。これらの不正行為は、磁気センサスイッチ29a(図6参照)によって磁気を検出したり、振動センサスイッチ29b(図6参照)によって振動を検出したりすることで検知される。
また、不正に前面枠4やクリア部材保持枠5を開放する行為も不正行為に含まれる。前面枠4の開閉状態は前面枠開放検出スイッチ4e(図6参照)によって検出され、クリア部材保持枠5の開閉状態はクリア部材保持枠開放検出スイッチ5d(図6参照)によって検出される。
クリア部材保持枠5の右側部には、遊技機1の上下方向に延設されるとともに、前方(遊技者側)に向かって突出する突出演出ユニット200が配設されている。突出演出ユニット200は、遊技の進行状態に応じて発光演出等を行う演出装置である。突出演出ユニット200の内部に配設される照明部材も枠装飾装置171(図7参照)の一部を構成している。
クリア部材保持枠5の下部には、遊技球を貯留可能な上皿12を有する上皿ユニット11が取り付けられている。上皿12は、上面が開口した箱状に形成されている。上皿12に貯留されている遊技球は、一球ずつ発射装置70(図4参照)に供給される。
上皿ユニット11は、遊技者からの入力操作を受け付ける演出ボタン13と、遊技状態に応じて発光演出等を行う上皿伝播装飾装置250と、遊技者からの入力操作を受け付ける球貸操作装置300と、遊技機1の左下角に位置する下スピーカ8bと、をさらに備える。
演出ボタン13は、遊技者が操作しやすいように上皿ユニット11の上部中央に設けられる。演出ボタン13は、押しボタンの他にタッチパネル機能が組み込まれた操作装置であり、さらに上皿伝播装飾装置250の発光演出の一端を担って発光機能も有している。
遊技者が演出ボタン13を操作することによって、表示装置30(図5参照)に表示される特図変動表示ゲーム等において遊技者の操作を介入させた演出を行うことができる。例えば、演出パターン(演出態様)を選択したり、始動記憶に対応する変動表示ゲームの結果を事前に予告する予告演出を実行したりすることができる。なお、変動表示ゲームには特図変動表示ゲームと普図変動表示ゲームが含まれ、単に変動表示ゲームとした場合には、本明細書では特図変動表示ゲームを指すものとする。
また、変動表示ゲームの実行中だけでなく、非実行中に遊技者が演出ボタン13を操作することによっても演出パターンを変更するようにしてもよい。
なお、変動表示ゲームが実行される際の遊技状態は、複数の遊技状態からなる。通常遊技状態(通常状態)とは、特別な遊技状態が発生していない遊技状態である。また、特別な遊技状態とは、例えば特定遊技状態(普電サポート状態又は時短状態)や変動表示ゲームにおいて特別結果(大当り)の発生確率が高い状態(確変状態)、大当り状態(特別遊技状態)である。
ここで、確変状態は、次の大当りが発生するまで継続するもの(ループタイプ)、所定回数の変動表示ゲームが実行されるまで継続するもの(回数切りタイプ)、及び所定の確率転落抽選に当選するまで継続するもの(転落抽選タイプ)等がある。
さらに、確変状態を発生させるか否かを大当り図柄乱数によって決定せずに、大当りが発生した場合に必ず確変状態を発生させるようにしてもよいし、特定領域を備える入賞装置等を設け、特定領域を遊技球が通過した場合に確変状態を発生させるようにしてもよい。
上皿伝播装飾装置250は、遊技状態に応じて発光演出等を行う装置であって、上皿ユニット11の前側部分に設けられている。上皿伝播装飾装置250の詳細については、図64〜図72を参照して後述する。
球貸操作装置300は、遊技者が遊技球を借りる場合に操作する操作装置であって、上皿ユニット11の上部右側に設けられている。球貸操作装置300は、球貸ボタン301と、返却ボタン302と、残高表示部303と、を備えている。球貸ボタン301は遊技球を借りる場合に遊技者が操作するボタンであり、返却ボタン302は台間装置のカードユニット(図示省略)からプリペイドカード等を排出させる場合に遊技者が操作するボタンである。残高表示部303は、プリペイドカード等の残高が表示される表示領域である。
上記した上皿ユニット11等を備えるクリア部材保持枠5の下方であって、前面枠4の下部には、遊技球を貯留可能な下皿10を有する下皿ユニット9が取り付けられている。下皿10は、上皿ユニット11に対して所定の間隔をあけて、上皿ユニット11の下方に配置されている。下皿10は、当該下皿10の底面を上下方向に貫通する球抜き穴10aと、球抜き穴10aを開閉するための開閉操作部10bと、を有している。遊技者が開閉操作部10bを操作して、球抜き穴10aを開くことによって、下皿10に貯留されていた遊技球を球抜き穴10aを通じて外部に排出することができる。
また、下皿ユニット9は、発射装置70(図4参照)の動作を制御するための発射ハンドル14と、遊技機1の右下角に位置する下スピーカ8bと、クリア部材保持枠5を施錠するための鍵穴部15と、をさらに備える。
発射ハンドル14は、前面枠4の右下部であって、右側の下スピーカ8bの下方に配置されている。遊技者が発射ハンドル14を回動操作することによって、発射装置70は上皿12から供給された遊技球を遊技盤20の遊技領域21に発射する。発射装置から発射される遊技球の発射速度は、発射ハンドル14の回動操作量が大きくなるほど速くなるように設定されている。
〔遊技機裏面〕
図3を参照して、遊技機1の裏面側の構成について説明する。図3は、遊技機1の裏面図である。
遊技盤20の裏面には、遊技を統括的に制御する遊技制御装置100がスイッチベース180を介して配設されるとともに、遊技制御装置100から送信される演出制御指令に基づいて表示装置30(図5参照)等を制御する演出制御装置150がスイッチベース180の上方の制御ベース190を介して配設される。演出制御装置150の後方には、演出制御装置150の裏面全体及び遊技制御装置100の裏面上部を覆う保護カバー34が設けられる。遊技盤20が前面枠4に収納された状態においては、遊技盤20の裏面に配設された保護カバー34及び遊技制御装置100は、前面枠4の後方に突出する。
前面枠4の裏面上部には、島設備に設置された補給装置(図示省略)から補給される遊技球を貯留する上部タンク45とともに、貯留した遊技球を整列させて流下させるシュート部44を有する貯留ユニット43が配設される。貯留ユニット43は両側部に形成された取付部43aを介して前面枠4に固定される。
前面枠4の右側部の裏面には、上下方向に亘って貯留ユニット43のシュート部44を流下してきた遊技球を上皿12(図1参照)に払い出す払出ユニット41が配設される。
前面枠4の裏面下部には、遊技制御装置100から送信されるデータに基づいて払出ユニット41の動作を制御する払出制御装置410と、発射ハンドル14(図1参照)の回動操作に基づいて遊技球を発射する発射装置70(図4参照)と、カードユニット等の台間装置(図示省略)と接続する台間中継基板40と、各種装置に電力を供給する電源装置450とが配設される。
〔球発射装置〕
図4を参照して、上皿12に貯留された遊技球を発射装置70に供給する流れについて説明する。図4は、クリア部材保持枠が開いた状態の遊技機枠の斜視図である。
上皿ユニット11は前述したようにクリア部材保持枠5の下部に取り付けられ、上皿12の一端部は上皿ユニット11の裏面に開口して設けられる払出ユニット41から払い出された遊技球を誘導する誘導流路50の第2流路52と接続している。第2流路52は払出ユニット41から供給される賞球や貸球等を前面枠4側に設けられる第1流路51を介して上皿12に払い出す。そして、第1流路51から落下した遊技球は、流路形成部材60の受皿部61により回収され、落下球誘導路62を介して遊技球排出口10cから下皿10に導かれる。
上皿12の底面は、一端部から他端部に向かって下り傾斜するように形成されている。そして、上皿12の他端部は、上皿ユニット11の裏面に設置される供給通路90に接続している。クリア部材保持枠5が閉状態である場合、上皿12に貯留された遊技球は、供給通路90に導かれ、第1誘導路91と第2誘導路92が連通することにより、供給通路90を通って前面枠4の下部前面に配設された発射装置70に供給される。発射装置70の発射杵72によって弾発された遊技球は、前面枠4の下部に右下方から左上方に上り傾斜するように形成された発射レール73から発射球案内通路18(図5参照)に流入し、当該発射球案内通路18を通って遊技領域21(図5参照)に導かれる。なお、遊技機1には糸を取り付けた遊技球(不正球)が発射装置70から発射された場合にその糸を切断する切断機構700が備えられている。
なお、遊技盤20(図5参照)は、クリア部材保持枠5を開放した状態で被係止部20a(図5参照)を遊技盤係止部材17で挟むように係止して前面枠4に取り付けられる。ここで、遊技盤係止部材17は、前面枠4の左端面にビス留めされている。なお、遊技盤係止部材17についての詳細は、図98及び図99にて後述する。
〔遊技盤〕
続いて、図5を参照して遊技機1に配設される遊技盤20について説明する。図5は、遊技盤の正面図である。
遊技盤20は、合板やプラスチック等からなる矩形状の遊技盤本体の表面に、区画部材としてのガイドレール21aを設けることで、略円形状の遊技領域21を区画形成している。そして、遊技領域21内に発射装置70から遊技球を発射して遊技を行うようになっている。遊技領域21には、打球方向変換部材としての風車や多数の障害釘などが配設されており、発射された遊技球はこれらの打球方向変換部材により転動方向を変えながら遊技領域21を流下する。
遊技領域21の略中央には、変動表示ゲームの表示領域となる窓部を形成するセンターケース22が取り付けられている。センターケース22に形成された窓部の後方には、複数の識別情報を変動表示(可変表示)する変動表示ゲームの演出を実行可能な演出表示装置としての表示装置30が配置されている。表示装置30は、例えば、液晶ディスプレイを備え、センターケース22の窓部を介して遊技盤20の前面側から表示内容が視認可能となるように配置される。なお、表示装置30は、液晶ディスプレイを備えるものに限らず、EL、CRT等のディスプレイを備えるものであってもよい。
表示画面の画像を表示可能な領域(表示領域)31には、複数の変動表示領域が設けられており、各変動表示領域に識別情報(特別図柄)や変動表示ゲームを演出するキャラクタが表示される。その他、表示領域(表示画面)31には遊技の進行に基づく画像(例えば、大当り表示、ファンファーレ表示、エンディング表示等)が表示される。
センターケース22の右上方の遊技領域21には、遊技球が通過した場合に普通図柄(普図)変動表示ゲームの始動条件を成立させる普図始動ゲート25が配設される。
さらに、センターケース22の左下側には、三つの一般入賞口26が配置されている。また、一般入賞口26への遊技球の入賞は、一般入賞口26に備えられた入賞口スイッチ(SW)26a〜26n(図6参照)によって検出される。
センターケース22の下方の遊技領域21には、遊技球の入賞に基づき第1特別図柄(第1特図)変動表示ゲームの始動条件を付与可能な第1始動入賞口23が配設される。
センターケース22の右下方の遊技領域21には、遊技球の入賞に基づき第2特別図柄(第2特図)変動表示ゲームの始動条件を付与可能な第2始動入賞口24が配設される。第2始動入賞口24は、その入賞口に遊技球が流入し易い状態と流入しにくい状態とに変換可能な可動部材(普通電動役物)24a(図示省略)を備えている。第2始動入賞口24の可動部材24aは、常時は第2始動入賞口24に遊技球が入賞しにくい状態若しくは入賞しない状態(遊技者にとって不利な状態)を保持している。そして、普図変動表示ゲームの結果が所定の停止表示態様となった場合には、駆動装置としての普電ソレノイド24b(図6参照)によって、可動部材24aの態様が変換されて第2始動入賞口24に遊技球が流入し易い開状態(遊技者にとって有利な状態、入賞容易状態)に変化させられるように構成されている。
なお、可動部材24aは、後述する遊技制御装置100(図6参照)によって制御される。遊技制御装置100は、入賞容易状態の発生頻度を高めたり、入賞容易状態の発生時間を長くしたりすることで、前述の特定遊技状態(電サポ状態、時短状態)を発生させる。
さらに遊技領域21の第2始動入賞口24の下方には、センターケース22に第2大入賞口ソレノイド28b(図6参照)によって回動して横方向に開放可能になっているアタッカ形式の開閉扉(特別電動役物)28aを有する第2大入賞口を備えた第2変動入賞装置28が設けられている。また、センターケース22には、表示装置30の表示画面31の上方に当該表示画面31の上方及び側方を囲むように遊技領域21の前方に突出して翳される鎧部33が設けられており、右側方の鎧部33は第2変動入賞装置28まで延びている。第2変動入賞装置28の第2大入賞口の開閉扉28aが閉じた状態の場合は、当該鎧部33と当該開閉扉28aとの間に遊技球が流入する隙間はなく、第2大入賞口が閉じられた状態となる。そして、開閉扉28aを右横方向に開くと、鎧部33との間に遊技球が流入可能となるので、第2大入賞口の開放状態となる。このとき、鎧部33は第2変動入賞装置28の第2大入賞口に遊技球を案内するガイド板となり、当該鎧部33に沿って流下する遊技球を第2大入賞口に導く。第2変動入賞装置28は、特図変動表示ゲームの結果によって第2大入賞口を閉じた状態(遊技者にとって不利な閉塞状態)から開放状態(遊技者にとって有利な状態、特別遊技状態)に変換し、第2大入賞口内への遊技球の流入を容易にさせることで、遊技者に所定の遊技価値(賞球)を付与するようになっている。なお、大入賞口の内部(入賞領域)には、当該第2大入賞口に入った遊技球を検出する検出手段としての第2カウントスイッチ28d(図6参照)が配設されている。
また、センターケース22の上方領域であって、表示装置30の上方には、第1大入賞口ソレノイド27b(図6参照)によって回動して開放可能になっているアタッカ形式の開閉扉(特別電動役物)27aを有する第1大入賞口を備えた第1変動入賞装置27が設けられている。第1変動入賞装置27は、特図変動表示ゲームの結果によって第1大入賞口を閉じた状態(遊技者にとって不利な閉塞状態)から開放状態(遊技者にとって有利な状態、特別遊技状態)に変換し、第1大入賞口内への遊技球の流入を容易にさせることで、遊技者に所定の遊技価値(賞球)を付与するようになっている。なお、大入賞口の内部(入賞領域)には、当該第1大入賞口に入った遊技球を検出する検出手段としての第1カウントスイッチ27d(図6参照)が配設されている。
一般入賞口26、第1始動入賞口23、第2始動入賞口24、第1変動入賞装置27の第1大入賞口、及び第2変動入賞装置28の第2大入賞口に遊技球が入賞すると、払出制御装置410(図6参照)は、入賞した入賞口の種類に応じた数の賞球を払出装置から前面枠4の上皿12又は下皿10に排出するように制御する。また、第1始動入賞口23の下方には、入賞口などに入賞しなかった遊技球を回収するアウト口32が設けられている。
なお、第1変動入賞装置27の第1大入賞口に入賞した遊技球は、通常、遊技盤20の裏面へ排出する排出通路(図示省略)に案内されるが、本実施形態では、当該排出通路の他に貯留球演出ユニット80が備えられており、所定の条件が成立すれば当該遊技球は貯留球演出ユニット80に案内される。第1カウントスイッチ27dを通過した遊技球は、排出通路又は貯留球演出ユニット80に案内される。
貯留球演出ユニット80は、鎧部33の内側(下方)に表示装置30の表示画面31の左半分の周囲を囲うように設けられる。貯留球演出ユニット80は、その前面がセンターケース22から透過可能である。貯留球演出ユニット80は、貯留通路81と、貯留解除ソレノイド(SOL)82と、流下通路83と、出口表示部84と、演出球検出スイッチ85とを有する。貯留通路81は表示画面31の上部に右から左に下り傾斜して配設され、上流に球入口80aと、下流に貯留解除SOL82とを備える。貯留解除SOL82は、貯留通路81の通路断面を塞いで、貯留通路81に遊技球を堰き止める。流下通路83は、貯留通路81の下流側と連続し、表示画面31の左側部と下部に上下方向にL型形状に配設され、下流に球出口80bを備える。出口表示部84は表示画面31の下部中央に球出口80bを前面から覆うように配設され、球出口80bを通過した遊技球を検出する演出球検出スイッチ85を備える。
貯留球演出ユニット80に案内された遊技球は、球入口80aを通過して貯留通路81を流下し、貯留解除SOL82に流下方向を妨げられて貯留通路81に貯留される。貯留通路81には所定数の遊技球が貯留可能であり、貯留される遊技球(貯留球)が所定数(例えば8個)に到達すると、遊技球はもう一方の排出通路に案内されるようになる。
ここで、貯留解除SOL82は、遊技者による演出ボタン13の操作入力を受け付ける演出ボタンスイッチ174の検出により作動する。貯留解除SOL82は所定の演出ボタン操作可能期間中に演出ボタンスイッチ174が検出された場合に作動し、貯留球は貯留通路81から流下通路83に流下案内される。
そして、流下通路83を流下した貯留球は、球出口80bを通過して貯留球演出ユニット80から排出され、図示を省略するが排出通路の下流に合流される。ここで演出球検出スイッチ175により球出口80bを通過した貯留球が検出されることで、表示画面31に関連する演出表示が表示されるようになる。また、出口表示部84においても関連する演出表示が成される。
貯留球演出ユニット80の貯留通路81及び流下通路83は、少なくとも前面が透過可能な部材で構成される。また、鎧部33も貯留通路81及び流下通路83の前面に被さるようであれば、透過可能なクリア部材で形成される。このような構成により、遊技者は貯留球の貯留状態や流下動作を視認することができる。なお、視認可能としない場合には、貯留通路81の貯留状態や貯留球の解除等を遊技者に報知することができる構成(スピーカ8による音声報知や表示画面31での表示報知)を備える。
このように、本実施形態では、所定の条件が成立した場合に第1変動入賞装置27の第1大入賞口に入賞した遊技球が貯留球演出ユニット80に案内されて貯留通路81に貯留される。そして、遊技状態の報知に係る演出において、貯留された遊技球(貯留球)が用いられる。貯留球を用いるための貯留解除SOL82の貯留解除実行条件に、遊技者による演出ボタン13の操作入力を含めることで、報知演出に遊技者が直接関わることを可能としている。なお、貯留解除SOL82の貯留解除実行条件には、必ずしも遊技者による演出ボタン13の操作入力を含める必要はなく、操作が検出されなくても貯留球を流下通路83に流下可能にしてもよい。
また、遊技盤20の右下部には、特図変動表示ゲーム(第1特図変動表示ゲーム及び第2特図変動表示ゲーム)の特図の変動表示、特図入賞記憶数(第1特図変動表示ゲーム及び第2特図変動表示ゲームの始動記憶数)、普図変動表示ゲームの普図の変動表示、普図入賞記憶数(普図変動表示ゲームの始動記憶数)、及び大当りの決定ラウンド数等を表示する一括表示装置36が配設される。
ここで、本実施形態の遊技機1における遊技の流れ、及び変動表示ゲーム(普図変動表示ゲーム、特図変動表示ゲーム)の詳細について説明する。
前述のように、本実施形態の遊技機1では、発射装置70から遊技領域21に向けて遊技球(パチンコ球)が打ち出されることによって遊技が行われる。打ち出された遊技球は、遊技領域21内の各所に配置された障害釘や風車等の方向転換部材によって転動方向を変えながら遊技領域21を流下し、普図始動ゲート25、一般入賞口26、第1始動入賞口23、第2始動入賞口24、第1変動入賞装置27又は第2変動入賞装置28に入賞するか、遊技領域21の最下部に設けられたアウト口32へ流入し遊技領域から排出される。そして、一般入賞口26、第1始動入賞口23、第2始動入賞口24、第1変動入賞装置27又は第2変動入賞装置28に遊技球が入賞すると、入賞した入賞口の種類に応じた数の賞球が、払出制御装置410によって制御される払出ユニットから、前面枠4の上皿12又は下皿10に排出される。
前述のように、普図始動ゲート25内には、該普図始動ゲート25を通過した遊技球を検出するゲートスイッチ25a(図6参照)が設けられている。普図始動ゲート25は、例えば、非接触型のスイッチである。遊技領域21内に打ち込まれた遊技球が普図始動ゲート25内を通過すると、ゲートスイッチ25aによって検出され、普図変動表示ゲームが実行される。
また、普図変動表示ゲームを開始できない状態、例えば、既に普図変動表示ゲームが行われ、その普図変動表示ゲームが終了していない場合や、普図変動表示ゲームの結果が当りとなって第2始動入賞口24が開放状態に変換されている場合に、普図始動ゲート25を遊技球が通過すると、普図始動記憶数の上限数未満ならば、普図始動記憶数が加算(+1)されて普図始動記憶が1つ記憶されることとなる。普図始動入賞の記憶数は、一括表示装置36の始動入賞数報知用の普図始動記憶表示器に表示される。
また、普図始動記憶には、普図変動表示ゲームの当りはずれを決定するための当り判定用乱数値が記憶されるようになっていて、この当り判定用乱数値が判定値と一致した場合に、当該普図変動表示ゲームが当りとなって特定の結果態様(特定結果)が導出されることとなる。
普図変動表示ゲームは、一括表示装置36に設けられた変動表示部(普図表示器)で実行されるようになっている。普図表示器は、普通識別情報(普図、普通図柄)として点灯状態の場合に当りを示し、消灯状態の場合にはずれを示すLEDから構成され、このLEDを点滅表示することで普通識別情報の変動表示を行い、所定の変動表示時間の経過後、LEDを点灯又は消灯することで結果を表示するようになっている。
なお、普通識別情報として例えば数字、記号、キャラクタ図柄などを用い、これを所定時間変動表示させた後、停止表示させることにより行うように構成してもよい。この普図変動表示ゲームの停止表示が特定結果となれば、普図の当りとなって、第2始動入賞口24の一対の可動部材24aが所定時間(例えば、0.3秒間)開放される開放状態となる。これにより、第2始動入賞口24に遊技球が入賞し易くなり、特図2変動表示ゲームが実行される回数が多くなる。
普図始動ゲート25への通過検出時に抽出した普図乱数値が当り値であるときには、普図表示器に表示される普通図柄が当り状態で停止し、当り状態となる。このとき、第2始動入賞口24は、内蔵されている普電ソレノイド24b(図6参照)が駆動されることにより、可動部材24aが所定の時間(例えば、0.3秒間)だけ開放する状態に変換され、第2始動入賞口24への遊技球の入賞が許容される。
第1始動入賞口23への入賞球及び第2始動入賞口24への入賞球は、それぞれは内部に設けられた第1始動口スイッチ23d(図6参照)と第2始動口スイッチ24d(図6参照)によって検出される。第1始動入賞口23に入賞した遊技球は特図1変動表示ゲームの始動入賞球として検出され、4個を限度に記憶されるとともに、第2始動入賞口24に入賞した遊技球は特図2変動表示ゲームの始動入賞球として検出され、4個を限度に記憶される。
また、この始動入賞球の検出時にそれぞれ大当り乱数値や大当り図柄乱数値、並びに各変動パターン乱数値が抽出され、抽出された乱数値は、遊技制御装置100(図6参照)内の特図記憶領域(RAMの一部)に特図始動入賞記憶として各々所定回数(例えば、最大で4回分)を限度に記憶される。そして、この特図始動入賞記憶の記憶数は、一括表示装置36の始動入賞数報知用の記憶表示部(特図1保留表示器、特図2保留表示器)に表示されるとともに、表示装置30の表示画面31においても表示される。
遊技制御装置100は、第1始動入賞口23又は第2始動入賞口24への入賞、若しくはそれらの始動記憶に基づいて、特図表示器(変動表示装置、特図1表示器又は特図2表示器)で特図1変動表示ゲーム又は特図2変動表示ゲームを行う。
特図1変動表示ゲーム及び特図2変動表示ゲームは、複数の特別図柄(特図、識別情報)を変動表示したのち、所定の結果態様を停止表示することで行われる。また、表示画面31にて各特図変動表示ゲームに対応して複数種類の識別情報(例えば、数字、記号、キャラクタ図柄など)を変動表示させる飾り特図変動表示ゲームが実行されるようになっている。
表示画面31における飾り特図変動表示ゲームは、例えば前述した数字等で構成される飾り特別図柄(識別情報)が左(第一特別図柄)、右(第二特別図柄)、中(第三特別図柄)の順に変動表示を開始して、所定時間後に変動している図柄を順次停止させて、特図変動表示ゲームの結果を表示することで行われる。また、表示画面31では、特図入賞記憶の記憶数に対応する飾り特別図柄による飾り特図変動表示ゲームを行うとともに、興趣向上のためにキャラクタの出現など多様な演出表示が行われる。
さらに、第1始動入賞口23又は第2始動入賞口24への入賞が所定のタイミングでなされたとき(具体的には、入賞検出時の当り乱数値が当り値であるとき)には特図変動表示ゲームの結果として表示図柄により特定の結果態様(特別結果態様)が導出されて、大当り状態(特別遊技状態)となる。また、これに対応して表示画面31の表示態様も特別結果態様(例えば、「7,7,7」等のゾロ目数字のいずれか)となる。
このとき、第1変動入賞装置27は、第1大入賞口ソレノイド27b(図6参照)への通電によって、第1大入賞口が所定の時間(例えば、20秒)だけ、遊技球を受け入れない閉状態(遊技者に不利な状態)から遊技球を受け入れやすい開状態(遊技者に有利な状態)に変換される。すなわち、第1変動入賞装置27に備えられた第1大入賞口が所定の時間又は所定数の遊技球が入賞するまで大きく開くので、この間遊技者は多くの遊技球を獲得することができるという特典が付与される。第2変動入賞装置28についても同様である。
なお、本実施形態の遊技機1は、遊技状態に応じて遊技者が左打ち又は右打ちを行うように構成されており、大当り時の特別結果態様(停止図柄)が特定の図柄等である場合には、大当り遊技状態後の遊技状態が時短状態となる。時短状態は、特図変動表示ゲーム(第1特図変動表示ゲーム又は第2特図変動表示ゲーム)が所定回数(例えば100回)行われるまで継続される。時短状態中においては、遊技機1は、遊技者が右打ちを行うように設定されている。
ところで、特図1表示器、特図2表示器は、別々の表示器でもよいし同一の表示器でもよいが、各特図変動表示ゲームが同時に実行されないようにする。また、表示装置30における飾り特図変動表示ゲームについても、特図1変動表示ゲームと特図2変動表示ゲームとを別々の表示装置や別々の表示領域で実行するようにしてもよいし、同一の表示装置や表示領域で実行するようにしてもよい。この場合、特図1変動表示ゲーム及び特図2変動表示ゲームに対応する飾り特図変動表示ゲームが同時に実行されないようにする。
また、特図2変動表示ゲームは、特図1変動表示ゲームよりも優先して実行されるようになっている。すなわち、特図1変動表示ゲームと特図2変動表示ゲームの始動記憶があり、特図変動表示ゲームの実行が可能な状態になった場合は、特図2変動表示ゲームが実行される。
また、特図1変動表示ゲーム(特図2変動表示ゲーム)が開始可能な状態で、かつ、始動記憶数が0の状態で、第1始動入賞口23(第2始動入賞口24)に遊技球が入賞すると、始動権利の発生に伴って始動記憶が記憶される。このとき、始動記憶数が1加算されるとともに、直ちに始動記憶に基づいて、特図1変動表示ゲーム(特図2変動表示ゲーム)が開始され、この際に始動記憶数が1減算される。
一方、特図1変動表示ゲーム(特図2変動表示ゲーム)が直ちに開始できない状態、例えば、既に特図1変動表示ゲーム又は特図2変動表示ゲームが行われ、その特図変動表示ゲームが終了していない状態や、特別遊技状態となっている場合に、第1始動入賞口23(第2始動入賞口24)に遊技球が入賞すると、始動記憶数が上限数未満ならば、始動記憶数が1加算されて始動記憶が1つ記憶される。そして、始動記憶数が1以上となった状態で、特図1変動表示ゲーム(特図2変動表示ゲーム)が開始可能な状態(前回の特図変動表示ゲームの終了若しくは特別遊技状態の終了)となると、始動記憶数が1減算されるとともに、記憶された始動記憶に基づいて特図1変動表示ゲーム(特図2変動表示ゲーム)が開始される。
なお、以下の説明において、特図1変動表示ゲームと特図2変動表示ゲームを区別しない場合は、単に特図変動表示ゲームと称する。
なお、特に限定されるわけではないが、前述した第1始動入賞口23内の第1始動口スイッチ23d、第2始動入賞口24内の第2始動口スイッチ24d、ゲートスイッチ25a、入賞口スイッチ26a〜26n、第1カウントスイッチ27d、第2カウントスイッチ28dには、磁気検出用のコイルを備え該コイルに金属が近接すると磁界が変化する現象を利用して遊技球を検出する非接触型の磁気近接センサ(以下、近接スイッチと称する)が使用されている。前面枠4に前面枠開放検出スイッチ4eやクリア部材保持枠5に設けられたクリア部材保持枠開放検出スイッチ5dには、機械的な接点を有するマイクロスイッチを用いることができる。
〔遊技制御装置/演出制御装置〕
次に、図6及び図7を参照して、遊技機1に備えられる遊技制御装置100及び演出制御装置150について説明する。図6は、遊技制御装置の構成を示すブロック図である。図7は、演出制御装置の構成を示すブロック図である。
図6に示す遊技制御装置100は、遊技機1における遊技を統括的に制御する主制御装置(主基板)である。遊技制御装置100には、電源装置450、払出制御装置410、及び演出制御装置150が接続される。遊技制御装置100は、払出制御装置410や演出制御装置150に制御信号(コマンド)を送信し、各種処理の実行を指示する。さらに、遊技制御装置100には、各種スイッチや制御対象のソレノイド等が接続される。
遊技制御装置100は、各種演算処理を行うCPU部110と、各種信号の入力を受け付ける入力部120と、各種信号や制御信号を出力する出力部130とを備える。CPU部110、入力部120及び出力部130は、互いにデータバス140によって接続される。
入力部120は、遊技盤等に設けられた各種スイッチから出力される信号や払出制御装置410から出力される信号を受け付ける。この入力部120は、近接インターフェース(I/F)121及び入力ポート122、123を備える。
入力ポート122、123は、近接I/F121を介して入力される信号を受け付けたり、外部から入力される信号を直接受け付けたりする。入力ポート122、123に入力した情報は、データバス140を介してCPU部110等に提供される。
近接I/F121は、各種スイッチから出力された信号を受け付け、それら入力信号を変換して入力ポート122に出力するインターフェースである。近接I/F121には、第1始動口スイッチ23d、第2始動口スイッチ24d、ゲートスイッチ25a、入賞口スイッチ26a〜26n、第1カウントスイッチ27d、及び第2カウントスイッチ28dが接続される。
第1始動口スイッチ23dは、遊技球が第1始動入賞口23に入賞したことを検出するスイッチである。第2始動口スイッチ24dは、遊技球が第2始動入賞口24に入賞したことを検出するスイッチである。ゲートスイッチ25aは、遊技球が普図始動ゲート25を通過したことを検出するスイッチである。入賞口スイッチ26a〜26nは、遊技球が一般入賞口26に入賞したことを検出するスイッチである。
第1始動口スイッチ23d及び第2始動口スイッチ24dの検出信号は、入力ポート122に出力されるとともに、CPU部110の反転回路112を介して遊技用マイコン111に出力される。これは、遊技用マイコン111の信号入力端子がロウレベルを有効レベルとして検知するように設計されているためである。
第1カウントスイッチ27d及び第2カウントスイッチ28dは、遊技球がそれぞれ第1変動入賞装置27の第1大入賞口及び第2変動入賞装置28の第2大入賞口に入賞したことを検出するスイッチである。第1カウントスイッチ27d及び第2カウントスイッチ28dによって遊技球の入賞が検出されると、各大入賞口に入賞した遊技球の数がカウントされ、カウントされた遊技球の数が遊技制御装置100に備えられたメモリに記憶される。
近接I/F121への入力信号の電圧は、通常時には所定範囲内となっているため、近接I/F121によれば、各種スイッチからの信号の電圧値に基づいて各種スイッチにおけるリード線の断線、ショート、電圧値異常等を検出できる。このような異常を検出すると、近接I/F121は、異常検知出力端子から異常を示す信号を出力する。
なお、近接I/F121に接続されるスイッチのコネクタの着脱によって、近接I/F121に入力される信号の出力値(ON/OFF)が切り替わるため、近接I/F121はスイッチが接続されていない場合であっても出力を一定に維持するように構成されている。
また、入力ポート122には磁気センサスイッチ29a及び振動センサスイッチ29bからの信号が直接入力され、入力ポート123には前面枠開放検出スイッチ(SW)4e及びクリア部材保持枠開放検出スイッチ(SW)5dからの信号が直接入力される。入力ポート123には、払出制御装置410からの各種信号も入力される。
磁気センサスイッチ29aは、発射された遊技球の軌道を磁石によって操作する不正行為を検出するために磁力を検出する。振動センサスイッチ29bは、遊技機1を振動させる不正行為を検出するために遊技機1の振動を検出する。
前面枠開放検出SW4eは、前面枠4が開放されたことを検出する。前面枠開放検出SW4eは、前面枠4が本体枠2から開放されるとオンに設定され、前面枠4が本体枠2に閉止されるとオフに設定される。
クリア部材保持枠開放検出SW5dは、クリア部材保持枠5が開放されたことを検出する。クリア部材保持枠開放検出SW5dは、クリア部材保持枠5が前面枠4から開放されるとオンに設定され、クリア部材保持枠5が前面枠4に閉止されるとオフに設定される。
遊技制御装置100のCPU部110は、遊技用マイコン111と、反転回路112と、水晶発振器113とを備える。
遊技用マイコン111は、CPU111a、ROM111b、及びRAM111cを有しており、入力部120を介して入力された信号に基づいてROM111bに記憶されたプログラムを実行して大当り抽選等の各種処理を実行する。遊技用マイコン111は、出力部130を介して、一括表示装置36、普電ソレノイド24b、第1大入賞口ソレノイド27b、第2大入賞口ソレノイド28b、演出制御装置150、及び払出制御装置410に制御信号を送信し、遊技機1を統括的に制御する。遊技用マイコン111は、チップセレクトで、信号を入力又は出力するポートを選択している。
ROM111bは、不揮発性の記憶媒体であり、遊技制御のためのプログラムやデータ等を記憶する。
RAM111cは、揮発性の記憶媒体であり、遊技制御に必要な情報(例えば、乱数値など)を一時的に記憶するワークエリアとして利用される。
反転回路112は、近接I/F121を介して入力された信号(第1始動口スイッチ23d及び第2始動口スイッチ24dからの信号)の論理値を反転させて遊技用マイコン111に出力する。
水晶発振器113は、タイマ割込み、システムクロック信号、大当り抽選等を行うためのハード乱数の動作クロック源として構成されている。
遊技制御装置100の出力部130は、ポート131a〜131eと、バッファ132a、132bと、ドライバ133a〜133dと、フォトカプラ134とを備える。
ポート131a〜131eは、データバス140を介して入力された信号を受け付ける。
バッファ132a、132bは、データバス140やポート131a、131bを介して入力された信号を一時的に保持する。
ドライバ133a〜133dは、ポート131c〜131eを介して入力される信号から各種駆動信号を生成して各装置に出力する。
フォトカプラ134は、外部の検査装置143に接続可能に構成されており、入出力される各種信号からノイズを除去して各種信号の波形を整形する。フォトカプラ134と検査装置143との間は、シリアル通信によって情報が送受信される。
払出制御装置410には、ポート131aを介してパラレル通信によってCPU部110から出力された情報が送信される。払出制御装置410に対しては片方向通信を担保する必要がないため、ポート131aから払出制御装置410の払出制御基板に制御信号が直接送信される。
払出制御装置410は、遊技制御装置100からの賞球指令信号に基づいて払出ユニット41(図3参照)から賞球を排出させたり、カードユニット(図示省略)からの貸球要求信号に基づいて払出ユニットから貸球を排出させたりする。払出制御装置410は、球切れや故障等の障害が発生した場合に、払出異常ステータス信号やシュート球切れスイッチ信号、オーバーフロースイッチ信号を遊技制御装置100に出力する。
払出異常ステータス信号は、遊技球の払い出しが正常に行われていない場合に出力される信号である。払出シュート球切れスイッチ信号は、払い出し前の遊技球が不足している場合に出力される信号である。オーバーフロースイッチ信号は、下皿10(図1参照)に所定量以上の遊技球が貯留されている場合に出力される信号である。
演出制御装置150には、出力部130のポート131aからのデータストローブ信号(SSTB)及びポート131bからの8bitのデータ信号がバッファ132aを介して入力する。データストローブ信号(SSTB)は、データの有効又は無効を示す1bitの信号である。バッファ132aからの8+1bitの信号(サブコマンド)は、パラレル通信で出力される。バッファ132aは、演出制御装置150から遊技制御装置100に信号を送信できないようにして片方向通信を担保するために設けられている。演出制御装置150に送信されるサブコマンドには、変動開始コマンド、客待ちデモコマンド、ファンファーレコマンド、確率情報コマンド、及びエラー指定コマンド等の演出制御指令信号が含まれる。
普電ソレノイド24b、第1大入賞口ソレノイド27b、及び第2大入賞口ソレノイド28bには、ポート131c及びドライバ133aを介して、CPU部110から出力された信号が入力する。第1大入賞口ソレノイド27bは第1変動入賞装置27の開閉扉27a(図5参照)を回動させ、第2大入賞口ソレノイド28bは第2変動入賞装置28の開閉扉28a(図5参照)を回動させ、普電ソレノイド24bは第2始動入賞口24の可動部材24aを開状態に動作させる。
一括表示装置36は、前述したように遊技盤20の右下方に配設され、特図変動表示ゲームの特図の変動表示、普図変動表示ゲームの普図の変動表示、普図や特図の始動記憶、大当りの決定ラウンド等を表示する表示器で構成されている。一括表示装置36のLEDのアノード端子はセグメント線を介してドライバ133cに接続し、このドライバ133cとポート131dとが接続している。一括表示装置36のLEDのカソード端子はデジット線を介してドライバ133bと接続し、このドライバ133bとポート131cとが接続している。一括表示装置36のLEDのアノード端子にはドライバ133cからのオン/オフ駆動信号が入力され、一括表示装置36のLEDのカソード端子からはドライバ133bにオン/オフ駆動信号が出力される。
外部情報端子142は、変動表示ゲームの開始を示すスタート信号や大当り遊技状態の発生を示す特賞信号等の遊技データを情報収集端末装置に出力するための端子である。遊技データは、ポート131e及びドライバ133dを介して外部情報端子142に出力される。
遊技制御装置100は、中継基板141を介して、外部の試射試験装置に接続可能に構成されている。試射試験装置は、所定機関において遊技機1の型式試験を行うための装置である。試射試験装置には、第1始動口スイッチ23d、第2始動口スイッチ24d、ゲートスイッチ25a、入賞口スイッチ26a〜26n、第1カウントスイッチ27d及び第2カウントスイッチ28dからの信号や、普電ソレノイド24b、第1大入賞口ソレノイド27b、及び第2大入賞口ソレノイド28bに出力される信号等、試射試験に必要な信号が入力される。
遊技制御装置100は、入力部120に設けられるシュミット回路124を介して、電源装置450に接続している。シュミット回路124は、電源の立ち上がり時や電源遮断時において遊技機1の動作が不安定になることを防ぐために、入力信号の揺らぎ(ノイズ)を除去する回路である。シュミット回路124には、電源装置450からの停電監視信号や初期化スイッチ信号、リセット信号が入力される。
電源装置450は、24Vの交流電源からDC32Vの直流電圧を生成するAC−DCコンバータや、DC32Vの電圧からDC12V、DC5V等のより低いレベルの直流電圧を生成するDC−DCコンバータを有する通常電源部460と、遊技用マイコン111の内部のRAM111cに対して停電時に電源電圧を供給するバックアップ電源部465と、停電監視回路や初期化スイッチを有し、遊技制御装置100に停電の発生、回復を知らせる停電監視信号や初期化スイッチ信号、リセット信号等の制御信号を生成して出力する制御信号生成部480とを備える。
バックアップ電源部465は、遊技用マイコン111のRAM111cに記憶された遊技データをバックアップするための電源である。遊技制御装置100は、停電復旧後、RAM111cに保持された遊技データに基づいて、停電前の遊技状態に復旧させる。
制御信号生成部480は、DC12V及びDC5Vを生成するスイッチングレギュレータの入力電圧(保証DC32V)を監視する。検出電圧がDC17.2V〜DC20.0Vのときに停電と判定し、制御信号生成部480から停電監視信号が出力される。停電監視信号は、シュミット回路124を経由して、入力部120の入力ポート123に入力する。停電監視信号の出力後には、停電監視回路はリセット信号を出力する。リセット信号は、シュミット回路124を経由して、遊技用マイコン111及び出力部130の各ポート131a〜131eに入力する。遊技制御装置100は、停電監視信号を受け付けると所定の停電処理を行い、リセット信号を受け付けた後にCPU部110の動作を停止させる。
制御信号生成部480は初期化スイッチ(図示省略)を備えており、電源投入時に初期化スイッチがON状態となっている場合に、制御信号生成部480から初期化スイッチ信号が出力される。初期化スイッチ信号は、シュミット回路124を介して、入力部120の入力ポート123に入力する。初期化スイッチ信号は、遊技用マイコン111のRAM111c及び払出制御装置410のRAMに記憶されている情報を強制的に初期化する信号である。
図7に示す演出制御装置150は、遊技制御装置100の遊技用マイコン111と同様にアミューズメントチップ(IC)からなる主制御用マイコン(1stCPU)151と、主制御用マイコン151の制御下で映像制御等を行う映像制御用マイコン(2ndCPU)152と、映像制御用マイコン152からのコマンドやデータに従って表示装置30(図5参照)への映像表示のための画像処理を行うVDP(Video Display Processor)157と、各種メロディや効果音等を上スピーカ8a及び下スピーカ8bから再生させる音源LSI158とを備える。
主制御用マイコン151と映像制御用マイコン152には、各CPUが実行するプログラムを格納したPROM(Programmable Read Only Memory)154、155がそれぞれ接続され、VDP157にはキャラクタ画像や映像データが記憶された画像ROM156が接続され、音源LSI158には音声データが記憶された音声ROM159が接続されている。主制御用マイコン151は、遊技制御装置100の遊技用マイコン111からのコマンドを解析し、映像制御用マイコン152へ出力映像の内容を指示したり、音源LSI158への再生音の指示、LED等の点灯、モータの駆動制御、演出時間の管理等の処理を実行したりする。
主制御用マイコン151と映像制御用マイコン152の作業領域を提供するRAM151a、152aは、それぞれのチップ内部に設けられている。なお、作業領域を提供するRAM151a、152aはチップの外部に設けるようにしてもよい。
主制御用マイコン151と映像制御用マイコン152との間、主制御用マイコン151と音源LSI158との間は、それぞれシリアル方式でデータの送受信が行われるように構成されている。これに対して、主制御用マイコン151とVDP157との間は、パラレル方式でデータの送受信が行われるように構成されている。パラレル方式でデータを送受信することで、シリアル方式の場合よりも短時間にコマンドやデータを送信することができる。
VDP157には、画像ROM156から読み出されたキャラクタ等の画像データを展開したり加工したりするのに使用される超高速なVRAM(ビデオRAM)157a、画像を拡大、縮小処理するためのスケーラ157b、及びLVDS(小振幅信号伝送)方式で表示装置30へ送信する映像信号を生成する信号変換回路157cが設けられる。
VDP157から主制御用マイコン151へは、表示装置30の映像と、前面枠4や遊技盤20に設けられるLED等の点灯とを同期させるために垂直同期信号VSYNCが出力される。また、VDP157から映像制御用マイコン152へは、VRAM157aへの描画の終了等処理状況を知らせるため割込み信号INT0〜n及び映像制御用マイコン152からのコマンドやデータの受信待ちの状態にあることを知らせるためのウェイト信号WAITが出力される。
映像制御用マイコン152から主制御用マイコン151へは、映像制御用マイコン152が正常に動作していることを知らせるとともにコマンドの送信タイミングを与える同期信号SYNCが出力される。
主制御用マイコン151と音源LSI158との間においては、ハンドシェイク方式でコマンドやデータの送受信を行うために、呼び掛け信号CTSと応答信号RTSが交換される。
なお、映像制御用マイコン152には、主制御用マイコン151よりも高速なCPUが使用されている。主制御用マイコン151とは別に映像制御用マイコン152を設けて処理を分担させることによって、主制御用マイコン151のみでは実現困難な大画面で動きの速い映像を表示装置30に表示させることが可能となるとともに、映像制御用マイコン152と同等な処理能力を有するCPUを2個使用する場合に比べてコストの上昇を抑制することができる。
演出制御装置150は、遊技制御装置100から送信されるコマンドを受信するためのインタフェースチップ(コマンドI/F)153を備えている。演出制御装置150は、コマンドI/F153を介して、遊技制御装置100から送信された変動開始コマンド、客待ちデモコマンド、ファンファーレコマンド、確率情報コマンド、及びエラー指定コマンド等を演出制御指令信号として受信する。遊技制御装置100の遊技用マイコン111はDC5Vで動作し、演出制御装置150の主制御用マイコン151はDC3.3Vで動作するため、コマンドI/F153には信号のレベル変換の機能が設けられている。
演出制御装置150には、センターケースや遊技盤に設けられるLED等を含む盤装飾装置170を制御する盤装飾LED制御回路161、前面枠4等に設けられるLED等を含む枠装飾装置171を制御する枠装飾LED制御回路162、表示装置30における演出表示と協働して演出効果を高める電動役物や貯留球演出ユニット80の貯留解除SOL82や貯留防止SOL86(図12参照)等を含む盤演出装置172を駆動制御する盤演出モータ/SOL(ソレノイド)制御回路163、突出演出ユニット200の突出部駆動モータ等を含む枠演出装置173を駆動制御する枠演出モータ制御回路164が設けられている。これら制御回路161〜164は、アドレス/データバス160を介して主制御用マイコン151に接続されている。
また、演出制御装置150には、演出ボタン13(図1参照)が操作されたことを検知する演出ボタンスイッチ(SW)174や貯留球演出ユニット80から排出される貯留球を検知する演出球検出スイッチ175などを検出して主制御用マイコン151へ検出信号を送信するスイッチ(SW)入力回路165、上スピーカ8a及び下スピーカ8bを駆動するオーディオパワーアンプ等からなるアンプ回路166、167が設けられている。
電源装置450の通常電源部460は、演出制御装置150及び当該演出制御装置150によって制御される電子部品に対して所定レベルの直流電圧を供給するために、複数種類の電圧を生成可能に構成されている。具体的には、駆動モータやソレノイドを駆動するためのDC32V、液晶パネル等からなる表示装置30を駆動するためのDC12V、コマンドI/F153の電源電圧となるDC5Vの他に、上スピーカ8a及び下スピーカ8bを駆動するためのDC18Vや、これらの直流電圧の基準としたり、電源モニタランプを点灯させたりするのに使用するNDC24Vの電圧を生成することが可能となっている。
電源装置450の制御信号生成部480により生成されたリセット信号RSTは、主制御用マイコン151、映像制御用マイコン152、VDP157、音源LSI158、各種制御回路161〜164、208に供給され、これらをリセット状態にする。電源装置450は、映像制御用マイコン152の有する汎用のポートを利用して、VDP157に対するリセット信号を生成して供給する機能を有している。これにより、映像制御用マイコン152とVDP157の動作の連携性を向上させることができる。
〔第1スペック〕
図8は、当りの第1スペックを示すテーブルである。
ここでは、第1始動入賞口23と第2始動入賞口24とに共通して、小当り確率、大当り確率、高確率中の大当り確率が設定されており、それぞれ1/200、1/99、1/9.9に設定されている。
また、第1始動入賞口23に入賞した始動記憶の大当り振り分けと、第2始動入賞口24に入賞した大当り振り分けとでは、当りが確変又は通常となる割合は同じ(60:40)であるが、種類の設定が異なる。
第1始動入賞口23に入賞した始動記憶の大当り振り分けでは、確変大当りとして、確変16R大当り、確変4R大当り及び突確当りの3種類が設定される。また、通常大当りとして、通常4R大当り及び突通当りの2種類が設定される。
第2始動入賞口24に入賞した大当り振り分けでは、確変大当りとして、確変16R大当り及び確変4R大当りの2種類が設定される。また、通常大当りとして、通常4R大当りの1種類が設定される。
ここで、確変16R大当り及び確変4R大当りは次回大当りまで高確率状態及び電サポ状態の継続が付与される。また、通常4R大当りは電サポ状態が20回付与される。このように、第1始動入賞口23よりも第2始動入賞口24に入賞した始動記憶の方が大当りの場合に遊技者にとってより有利な遊技状態が選択されやすい。
〔第1スペックの遊技状態遷移パターン〕
次に、図9は、当りの第1スペックの遊技状態遷移パターンを示す図である。ここでは、第1始動入賞口23に入賞した始動記憶の大当り振り分けについて説明する。
まず、通常状態の遊技状態から、1/200の確率で小当り(A)が発生する。また、1/99の確率で大当り(B)〜(H)が発生する。さらに、大当りのうち、突通当り(B)、突確当り(C)が発生する割合は、それぞれ5%、25%である。4R当り(D)から電サポ状態が20回付与されるのみの通常4R大当り(D→G)は、35%の割合で発生する。また、4R当り(D)から次回大当りまで高確率状態及び電サポ状態となる確変4R大当り(D→H)は、30%の割合で発生する。また、確変16R大当り(E→H)は、5%の割合で発生する。
そして、第1スペックでは、小当り(A)、突通当り(B)及び突確当り(C)が発生した場合に、特別遊技中に第1変動入賞装置27が開放され、当該第1変動入賞装置27に貯留された遊技球(貯留球)によって特別遊技状態終了後の遊技状態を報知する報知ゲーム(F)が実行される。なお、これらの当りによる第1変動入賞装置27の開放パターンは略同一で見分けがつきにくい。また、これらの当りによって電サポ状態は付与されない。すなわち、報知ゲーム(F)が実行されるとき電サポ状態にはない。
〔第2スペック〕
続いて、図10は、当りの第2スペックを示すテーブルである。
ここでは、第1始動入賞口23と第2始動入賞口24とに共通して、小当り確率、大当り確率、高確率中の大当り確率が設定されており、それぞれ1/200、1/399、1/40に設定されている。
また、第1始動入賞口23に入賞した始動記憶の大当り振り分けと、第2始動入賞口24に入賞した大当り振り分けとでは、当りが確変又は通常となる割合は同じ(70:30)であるが、種類の設定が異なる。
第2始動入賞口24に入賞した大当り振り分けでは、大当りの種類は2種類のみで、確変16R大当りと通常16R大当りとが設定される。
第1始動入賞口23に入賞した始動記憶の大当り振り分けでは、確変大当りとして、確変16R大当りの他に実質12R大当り、実質9R大当り、実質6R大当りが設定され、それぞれに電サポ100回付与される場合とされない場合との2パターンが設定されるので、合計7種類が設定される。また、通常大当りとして、通常16R大当り(電サポ100回)の他に電サポなしの実質12R大当り、実質9R大当り、実質6R大当りが設定され、合計4種類が設定される。
そして、第2スペックでは、確率状態に関係なく電サポなしの実質12R大当り、実質9R大当り及び実質6R大当りが発生した場合に、特別遊技中に第1変動入賞装置27が開放され、当該第1変動入賞装置27に貯留された遊技球(貯留球)によって特別遊技状態終了後の遊技状態を報知する報知ゲームが実行される。
ここで、実質12R大当りは、本来16R大当りであるが、残りの4Rは対象の変動入賞装置の開放時間が短い大当りである。遊技者が獲得できる遊技球は12R大当りとほとんど差がないことから、このような大当りを実質12R大当りとしている。同様に、実質9R大当り及び実質6R大当りも本来16R大当りであるが、それぞれ残りの7R,10Rは対象の変動入賞装置の開放時間が短く設定されている。また、開放される変動入賞装置は全ラウンドにおいて同一でなくてもよい。例えば、実質12R大当りの場合、最初の12Rは第2変動入賞装置28を開放させ、開放時間の短い残り4Rは第1変動入賞装置27を開放させてもよい。
〔報知ゲーム実行タイミング〕
次に、図11は、当りの第2スペックで実質12R大当りのときの貯留タイミングを示す図である。
前述したように、第2スペックでは、実質12R大当り、実質9R大当り及び実質6R大当りが発生した場合に、報知ゲームが実行される。そして、報知ゲームに用いられる貯留球は、各大当りにおいて第1変動入賞装置27の開放時間が短い期間に入賞した遊技球である。
実質12R大当りを例に具体的に説明すると、16Rのうち最後4Rにおける第1変動入賞装置27の開放時間が1R〜12Rに比べて短い。第2スペックでは、この最後4R間に第1変動入賞装置27に入賞した遊技球を貯留して、報知ゲームに用いる。
実質9R大当りや実質6R大当りにおいても、最後の7R、10Rの間に入賞した遊技球を貯留することにより、報知ゲームが実行される。
〔第2スペックの貯留構造〕
図12は、当りの第2スペックに対応する貯留構造を説明する図である。
前述したように、第2スペックにおける遊技球の貯留は、獲得したラウンドの最後数ラウンドで行われる。そこで、貯留球演出ユニット80には、特別遊技状態となってラウンドが開始されても貯留可能となるラウンドになるまでは第1変動入賞装置27に入賞した遊技球を貯留通路81に流下させない貯留防止ソレノイド(SOL)86が設けられる。また、貯留防止SOL86は、貯留球演出ユニット80の球入口80aを塞いだり、該球入口80aを開放したりすることが可能に配置される。
貯留防止SOL86は、実質12R大当りの場合、12Rまで作動して、貯留球演出ユニット80の球入口80aを塞ぐ。そして、13R以降は解除されて該球入口80aを開放し、貯留通路81に遊技球が流下されるようにする。
続いて、図13から図17を参照して、本実施形態における画面遷移の一例について説明する。
〔報知ゲームの演出態様〕
図13は、報知ゲームの演出態様を示す図である。ここでは、第1スペックの小当り(A)、突通当り(B)、突確当り(C)、第2スペックの実質12R/9R/6R大当りのいずれかが発生し、貯留球演出ユニット80の貯留通路81に第1変動入賞装置27に入賞した遊技球が4球貯留された状態から説明する。なお、報知ゲームとして、ロケットで的キャラクタ(UFO)を狙うシューティングゲームが実行される。
図13(A)は、報知ゲームの開始態様である。このとき表示装置30の表示画面31では、特図変動表示ゲームが実行されており、画面右下に識別情報の変動が表示される。そして、画面右側から中央に向かって浮遊するUFOキャラクタAが表示される。
このとき演出ボタン13の操作が有効となり、図13(B)に示すように、遊技者が演出ボタン13を押す。
すると、図13(C)に示すように、演出ボタン13への操作入力を受けて貯留球演出ユニット80の貯留解除SOL82が作動し、貯留通路81から貯留球が1球のみ解放されて流下通路83を流下する。図13(B)で遊技者が演出ボタン13を押さなかった(操作しなかった)場合には、貯留球が流下通路83を流下することはなく、以下に説明する報知演出は行われない。
そして、図13(D)に示すように、流下した貯留球が貯留球演出ユニット80の球出口80bを通過して演出球検出スイッチ85に検出されると、出口表示部84に「GO」のメッセージが表示され、表示画面31の画面下中央にロケットが表示される。ロケットは、出口表示部84の上方に位置して表示され、画面上方に向かって発射される演出表示が行われる。
その後、図13(E)に示すように、ロケットが画面上方を浮遊していたUFOを撃墜することができれば、次の図13(F)に示す画面において、遊技状態の報知が実行される。
図13(F)は、遊技状態を報知する画面表示である。ここでは、表示画面31の画面上方中央に「確変」と表示され、現在の遊技状態が確変状態(高確率状態)であることが報知される。
ここで、図13(E)において、ロケットがUFOを撃墜することができない場合には、図13(F)のような遊技状態の報知は行われないようにしてもよい。
また、実行中の特図変動表示ゲームの結果が当りであった場合には、報知ゲーム中であっても表示画面31にて当りであることが報知される。このようにすることで、確実に当りも遊技者に報知することができる。
さらに、報知ゲームでロケットがUFOを撃墜することができた場合には(ゲームに当たった場合には)、特別遊技状態後の遊技状態が確変状態か否かも報知する。
なお、貯留球演出ユニット80に貯留される貯留球は、消化(解除)されるまで貯留通路81に貯留されてもよいが、表示画面31が客待ちデモ画面になって遊技者が入れ替わることが予測されるような場合には、貯留解除SOL82を解除して貯留球を一斉解除するようにしてもよい。
〔表示態様〕
続いて、報知ゲームにおける表示態様について説明する。図14は、報知ゲームに用いられる表示態様について説明する図である。
図14(A)は、前述の図13においてロケットに狙われた的キャラクタの種類を示す図である。前述の図13ではUFOキャラクタAが用いられていた。このほかに、UFOキャラクタB及びCが用意されている。
図14(B)は、前述の図13(F)に示すように表示画面31に表示される報知内容の表示態様を示す図である。報知内容としては「確変」、「リーチ」、「アイテム」、「もう1回」、「はずれ」のメッセージが設定されており、報知を曖昧にする場合は語尾に「?」が追加される。ここで、「アイテム」とは、遊技者が演出用の小物(例えば、銃や帽子等)を獲得したことを示す。また、「もう1回」とは、疑似連が行われる場合に遊技者に再度報知ゲームの実行を促すことを示す。なお、「確変」は、遊技状態が確変状態であることを示し、「大当り」や「リーチ」は遊技状態の先読みを示す。
図14(C)は、前述の報知内容(図14(B))に対する的キャラクタ(図14(A))の表示割合を示すテーブルである。ここで、報知内容の「その他」とは、図14(B)で説明した各報知内容を曖昧にするために「?」を追加したメッセージを示す。
テーブルでは、遊技者にとって価値のある報知内容が上から順に並べられている。報知内容の価値が高いほど、的キャラクタとしてUFOキャラクタCが選択される割合が高くなる。そして、的キャラクタの信頼度(遊技者にとって価値の高い情報を報知する期待度)は、UFOキャラクタA<UFOキャラクタB<UFOキャラクタCとなる。このため、報知ゲームで表示される的キャラクタから遊技者は報知内容を予測することができる。
このように、遊技者が演出ボタン13を操作することにより貯留球演出ユニット80から貯留球が流下し、報知ゲームのシューティングゲームが始まるので、遊技者の遊技への参加意識を高めることができるとともに遊技の興趣を高めることができる。
また、貯留球1球につき1回の報知ゲームが実行されるので、遊技者は貯留可能な特別遊技状態中に第1変動入賞装置27への入賞を狙う。第1変動入賞装置27の開放時間(貯留球の入賞可能時間)が短くても遊技者は積極的に遊技を行うので、遊技機の稼動率を向上させることができる。
また、貯留球は遊技者が演出ボタン13を操作することにより貯留解除されるので、遊技者の意思に基づいて遊技者の希望のタイミングで報知ゲームを実行することができる。そして、貯留球がなくなるまで報知ゲームの実行が可能なので、遊技の興趣を向上させることができる。
また、本発明の貯留球演出ユニット80はセンターケース22の前面で表示画面31の周囲に配設されるので、貯留球は表示画面31における報知ゲームの演出表示の邪魔にならない。貯留球演出ユニット80の貯留通路81及び流下通路83の前面を透明部材で構成すれば、遊技者は貯留球の動作と表示画面31における貯留球の動作に絡んだ演出表示との両方を楽しむことができ、遊技の興趣を高めることができる。
〔疑似連が行われる場合の演出態様〕
図15は、貯留球が疑似連で消化される場合の演出態様を示す図である。ここで疑似連とは、1個の始動記憶消化に対する1回の特図変動表示ゲームにおいて、擬似的に複数回の変動表示を行う変動表示ゲームをいう。具体的には、変動表示が開始された後、仮停止表示及び再変動を繰り返した後、停止表示する変動表示ゲームをいう。
図15(A)は、図13(F)の報知内容が「確変」でなく「もう1回」となった状態の演出態様である。表示画面31に「もう1回」と表示された場合には、1回の特図変動表示ゲームにおいて疑似連が発生している。このとき図15(B)に示すように表示画面31の画面中央では識別情報が揺動する。
そして、図15(C)に示すように、表示画面31には図13(A)の報知ゲーム開始画面が表示されて再び的キャラクタが出現する。なお、報知ゲーム開始画面になると、貯留球演出ユニット80の出口表示部84に表示されていた「GO」のメッセージは非表示される。
その後、遊技者が演出ボタン13を押すと、貯留球演出ユニット80の貯留通路81に貯留されていた貯留球が1球解放されて流下通路83を流下する。そして、図15(D)に示すように、流下した貯留球が貯留球演出ユニット80の球出口80bを通過したことにより、出口表示部84に「GO」のメッセージが再び表示され、表示画面31に的キャラクタを狙うロケットが表示される。これ以降は、前述したように、ロケットが的キャラクタを撃墜することができれば遊技状態に係る報知が実行され、撃墜することができなければ報知は実行されない。
このように疑似連を行えば、1回の特図変動表示ゲームで複数回の報知ゲームを実行することができる。これにより、遊技者の遊技への参加回数も増えるので、より遊技の興趣を高めることができる。
〔的キャラクタによる攻撃を受ける場合の演出態様〕
図16は、貯留球が表示装置の表示演出における攻撃により消化される場合の演出態様を示す図である。
図16(A)は、図13(D)と同じである。図13では発射したロケットがUFOを撃墜することができたが、ここではロケットがUFOを撃墜することができず、図16(B)に示すように、逆にUFOが貯留球演出ユニット80の貯留解除SOL82又は出口表示部84にぶつかるような演出表示が行われた場合について説明する。
図16(C)は、UFOが貯留球演出ユニット80の出口表示部84にぶつかったときの演出態様である。このとき出口表示部84に表示された「GO」のメッセージが右に回転する。なお、出口表示部84ごと右回転してもよい。これにより、貯留球が通過しても演出球検出スイッチ85に検出されなくなる。
そして、図16(D)に示すように、出口表示部84の「GO」のメッセージが180度回転すると、貯留解除SOL82も解除されて貯留通路81の貯留球が全て流下通路83に流下される。このとき表示画面31では画面中央で識別情報が変動表示される。
その後、図16(E)に示すように、貯留球演出ユニット80から貯留球が排出され、表示画面31では識別情報の停止態様が表示される。
このように、表示装置30の表示画面31の表示態様と貯留球演出ユニット80の動作とで一連の演出を行うことで、さらに遊技の興趣を高めることができる。また、ロケットの狙いを外すと貯留球がなくなってしまう可能性があるので、ロケットを発射するタイミングをより計った上で遊技者は演出ボタン13を操作する。これにより、遊技者の遊技への参加意識が高まるとともに、遊技の興趣も高めることができる。
〔先読み予告に用いられる場合の演出態様〕
図17は、貯留球が始動記憶の先読み予告に用いられる場合の演出態様を示す図である。ここでは貯留球と保留されている始動記憶とを対応させており、このとき保留されている始動記憶は3つある。
図17(A)は、図13(D)と同様の状況であるが、このときロケットはUFOではなく、貯留球演出ユニット80の貯留通路81に貯められている貯留球に向かって発射される。
そして、図17(B)に示すように、解除順が2番目の貯留球にロケットがぶつかるような演出表示が行われる。また、ロケットがぶつかった画面表示領域には、図17(C)に示すように何らかの先読み予告用のエフェクトが表示される。
その後、解除順が2番目の貯留球が実際に解除されて貯留球演出ユニット80の演出球検出スイッチ85に検出されると、表示装置30の表示画面31には2番目に保留されている始動記憶に対応した先読み予告が実行される。
このように、貯留球と始動記憶とを関連させて演出するので、さらに遊技の興趣を高めることができる。また、遊技者は先読み予告の実行に自身の演出ボタン13の操作が関係していると思うので、さらに遊技者の遊技への参加意識が高まる。
以下、遊技制御装置100による制御について具体的な処理を説明する。
〔メイン処理(遊技制御装置)〕
まず、メイン処理について説明する。図18Aは、メイン処理の前半部のフローチャートである。図18Bは、メイン処理の後半部のフローチャートである。
メイン処理は、遊技機1の電源投入時に実行される。例えば、遊技場で営業を開始するために遊技機の電源を投入する場合や停電から復帰した場合に実行される。
遊技制御装置100は、メイン処理の実行が開始されると、まず、割込み禁止する(S1501)。次いで、割込みが発生した場合に実行されるジャンプ先を示すベクタアドレスを設定する割込みベクタ設定処理を実行する(S1502)。さらに、割込みが発生したときにレジスタ等の値を退避する領域の先頭アドレスであるスタックポインタを設定する(S1503)。さらに、割込み処理のモードを設定する(S1504)。
次に、遊技制御装置100は、払出制御装置(払出基板)410のプログラムが正常に起動するまで待機する(S1505)。例えば、4ミリ秒間待機する。このように制御することによって、電源投入の際に、遊技制御装置100が先に起動してしまい、払出制御装置410の起動が完了する前に、コマンドを当該払出制御装置410に送信してしまい、払出制御装置410が送信されたコマンドを取りこぼすのを回避することができる。
その後、遊技制御装置100は、RAMやEEPROM等の読出し書込み可能なRWM(リードライトメモリ)に対するアクセスを許可する(S1506)。さらに、全出力ポートをオフ(出力が無い状態)に設定する(S1507)。また、遊技用マイコン111に予め搭載されているシリアルポートを使用しない状態に設定する(S1508)。本実施形態では、払出制御装置410や演出制御装置150とパラレル通信を行っており、シリアルポートを使用しないためである。
続いて、遊技制御装置100は、電源装置450内の初期化スイッチ信号がオンに設定されているか否か判定する(S1509)。初期化スイッチ信号は、遊技機1に電源が投入された場合に、初期化された状態で遊技を開始するか否かを設定するための信号である。例えば、閉店時などに正常に電源が切断され、翌日の開店時に電源が投入された場合には、初期化された状態で遊技が開始されるように、初期化スイッチ信号がオンに設定される。一方、停電発生後に再度電源が投入された場合には、遊技を可能な限り停電前の遊技状態に近い状態で再開するために、遊技機が初期化されないように、初期化スイッチ信号がオフに設定される。
遊技制御装置100は、初期化スイッチ信号がオフに設定されている場合には(S1509の結果が「N」)、RWM内の停電検査領域をチェックする(S1510)。さらに詳しく説明すると、停電検査領域には停電検査領域チェックデータが記憶される。次に、停電検査領域に記憶された停電検査領域チェックデータが正常であるか否かをチェックする(S1510)。
遊技制御装置100は、RWM内の停電検査領域の停電検査領域チェックデータが正常である、すなわち、停電から復旧したと判定された場合には(S1511の結果が「Y」)、チェックサムと呼ばれる検証用データを算出するチェックサム算出処理を実行する(S1512)。
そして、遊技制御装置100は、チェックサム算出処理で算出されたチェックサムの値が、電源切断時に算出されたチェックサムの値と一致するか否かを判定する(S1513)。
一方、遊技制御装置100は、初期化スイッチ信号がオンに設定されている場合(S1509の結果が「Y」)、停電から復旧していない場合(S1511の結果が「N」)、電源切断時のチェックサムの値とS1512の処理で算出されたチェックサムの値とが一致しない場合には(S1513の結果が「N」)、図18BのS1540〜S1542の初期化処理を実行する。初期化処理の詳細については後述する。
遊技制御装置100は、算出されたチェックサムの値と電源切断時のチェックサムの値とが一致する場合には(S1513の結果が「Y」)、停電処理が正常に実行されたため、停電前の状態に復旧させるための処理を実行する(図18BのS1514〜S1519)。
まず、遊技制御装置100は、停電時の情報が正常に記憶されていたか否かを判定するための情報が記憶されていた、RWM(リードライトメモリ:実施例ではRAM)内の領域をクリア(初期化)する。具体的には、初期化すべき領域(停電検査領域及びチェックサムが記憶されていた領域)に停電復旧時の初期値をセーブ(保存)する(S1514)。さらに、エラー関連の情報、及び不正行為を監視するための情報を記憶する領域をリセットする(S1515)。
次に、遊技制御装置100は、RWM内の遊技状態を記憶する領域から停電発生時の遊技状態が高確率状態であったか否かを判定する(S1516)。高確率状態でないと判定された場合には(S1516の結果が「N」)、S1519以降の処理を実行する。
停電発生時の遊技状態が高確率状態であったと判定された場合には(S1516の結果が「Y」)、遊技制御装置100は、高確率報知フラグをオンに設定して高確率報知フラグ領域にセーブ(保存)する(S1517)。続いて、一括表示装置36に設けられる高確率報知LEDをオン(点灯)に設定する(S1518)。
さらに、遊技制御装置100は、特図ゲーム処理番号に対応する停電復旧時のコマンドを演出制御装置150に送信する(S1519)。特図ゲーム処理番号は、特図ゲームの状態を示す番号であり、停電発生時にRWMの所定の領域に記憶されている。このように、特図ゲーム処理番号に対応する停電復旧時のコマンドを演出制御装置150に送信することによって、可能な限り停電発生前に近い状態で遊技を再開することができるのである。
ここで、初期化処理を実行する場合について説明する。前述のように、初期化処理は、正常に電源が切断された遊技機を起動する場合や停電発生前の状態に復帰できない場合に実行される。
遊技制御装置100は、初期化処理において、まず、使用する作業領域をリセットする(S1540)。さらに、初期化すべき領域に電源投入時用の初期値をセーブ(保存)する(S1541)。そして、電源投入時のコマンドを演出制御装置150に送信し(S1542)、S1520以降の処理を実行する。
遊技制御装置100は、S1519又はS1542の処理が終了すると、遊技用マイコン111(クロックジェネレータ)内のタイマ割込み信号及び乱数更新トリガ信号(CTC)を発生するCTC(Counter/Timer Circuit)回路を起動させる(S1520)。
なお、CTC回路は、遊技用マイコン111内のクロックジェネレータに設けられている。クロックジェネレータは、水晶発振器113からの発振信号(原クロック信号)を分周する分周回路と、前述したCTC回路とを備えている。タイマ割込み信号は、分周された信号に基づいてCPU111aに所定周期(例えば、4ミリ秒)のタイマ割込みを発生させるための信号である。乱数更新トリガ信号(CTC)は、分周された信号に基づいて乱数生成回路に供給され、乱数生成回路が乱数を更新するトリガとなる。
遊技制御装置100は、CTC回路を起動すると、乱数生成回路の起動設定を行う(S1521)。具体的には、CPU111aが乱数生成回路内の所定のレジスタ(CTC更新許可レジスタ)に乱数生成回路を起動させるためのコード(指定値)を設定するなどの処理を実行する。さらに、電源投入時の乱数生成回路内の所定のレジスタ(ソフト乱数レジスタ1〜n)の値を、対応する各種初期値乱数の初期値(スタート値)としてRWMの所定領域にセーブする(S1522)。その後、遊技制御装置100は、割込みを許可する(S1523)。
なお、本実施形態のCPU111a内の乱数生成回路では、電源投入毎にソフト乱数レジスタの初期値が変更されるように構成されており、ソフト乱数レジスタの初期値に基づいて各種初期値乱数の初期値(スタート値)を設定することによって、ソフトウェアで生成される乱数の規則性を崩すことが可能となり、遊技者による不正な乱数の取得を困難にすることができる。各種初期値乱数には、例えば、大当り図柄を決定する乱数(大当り図柄乱数1、大当り図柄乱数2)、普図変動表示ゲームの当りを決定する乱数(当り乱数)、遊技状態を時短状態(普電サポート状態)にする電サポ抽選に当選する乱数(電サポ抽選乱数)が含まれる。
続いて、遊技制御装置100は、各種初期値乱数の値を更新して乱数の規則性を崩すための初期値乱数更新処理を実行する(S1524)。また、本実施形態では、大当り乱数は乱数生成回路において生成される乱数を使用して生成するように構成されている。すなわち、大当り乱数はハードウェアで生成されるハード乱数であり、大当り図柄乱数、当り乱数、変動パターン乱数、電サポ抽選乱数はソフトウェアで生成されるソフト乱数である。なお、各種乱数の発生源は前述の態様に限定されるわけではなく、大当り乱数がソフトウェア乱数であってもよいし、大当り図柄乱数、当り乱数、変動パターン乱数、電サポ抽選乱数がハードウェア乱数であってもよい。
さらに、初期値乱数更新処理が実行された後、遊技制御装置100は、電源装置450から入力され、ポート及びデータバスを介して読み込まれる停電監視信号がオンであるか否かを判定する(S1525)。停電監視信号がオンであるか否かによって停電が発生したか否かを判定することができる。停電監視信号がオンでない場合、すなわち、停電していない場合には(S1525の結果が「N」)、S1524の初期値乱数更新処理を再び実行し、S1524とS1525の処理を繰り返し実行する(ループ処理)。
また、初期値乱数更新処理(S1524)の前に割り込みを許可(S1523)することによって、初期値乱数更新処理中にタイマ割込みが発生した場合に、割込み処理を優先して実行することが可能となる。したがって、初期値乱数更新処理の実行が完了するまでタイマ割込み処理を実行できないために、割込み処理に含まれる各種処理を実行する時間が不足してしまうことを回避できる。
なお、初期値乱数更新処理(S1524)は、メイン処理の他に、タイマ割込み処理で初期値乱数更新処理を実行してもよい。ただし、タイマ割込み処理で初期値乱数更新処理を実行する場合には、両方の処理で初期値乱数更新処理が実行されることを回避するため、メイン処理における初期値乱数更新処理の実行時に割込みを禁止し、初期値乱数を更新後に割込みを解除する必要がある。しかし、本実施形態のようにタイマ割込み処理で初期値乱数更新処理を実行せず、メイン処理でのみ初期値乱数更新処理を実行すれば、初期値乱数更新処理の前に割込みを解除しても問題が生じることはなく、さらに、メイン処理が簡素化されるという利点がある。
一方、停電監視信号がオンに設定されている場合には(S1525の結果が「Y」)、遊技制御装置100は、停電が発生したものと見なして停電発生時の処理を実行する(S1526〜S1531)。
遊技制御装置100は、割込みを禁止し(S1526)、全出力ポートをオフに設定する(S1527)。その後、停電復旧検査領域に停電復旧検査領域チェックデータをセーブする(S1528)。
さらに、遊技制御装置100は、RWMの電源遮断時のチェックサムを算出するチェックサム算出処理を実行し(S1529)、算出されたチェックサムの値をRWMのチェックサム領域にセーブ(保存)する(S1530)。最後に、RWMの内容が変更されないように、RWMへのアクセスを禁止し(S1531)、遊技機1の電源が遮断されるまで待機する。このように、停電復旧検査領域にチェック用のデータをセーブするとともに、電源遮断時のチェックサムを算出して記憶させることで、電源の遮断の前にRWMに記憶されていた情報が正しくバックアップされているか否かを電源再投入時に判定することが可能となる。
〔タイマ割込み処理(遊技制御装置)〕
次に、タイマ割込み処理について説明する。図19は、タイマ割込み処理の手順を示すフローチャートである。
タイマ割込み処理は、クロックジェネレータ内のCTC回路によって生成される周期的(例えば、1ミリ秒周期)なタイマ割込み信号がCPU111aに入力されることによって開始される。
タイマ割込み処理が開始されると、遊技制御装置100は、まず、所定のレジスタに保持されている値をRWMに移すことによってレジスタを退避させる(S1601)。なお、本実施形態では遊技用マイコンとしてZ80系のマイコンを使用している。Z80系のマイコンには、表レジスタと裏レジスタが備えられており、表レジスタに保持されている値を裏レジスタに退避させることでS1601の処理を実装することが可能である。
次に、遊技制御装置100は、入力部120を介して入力される各種センサやスイッチなどからの入力信号を取り込み、各入力ポートの状態を読み込む入力処理を実行する(S1602)。各種センサには、第1始動口スイッチ23d、第2始動口スイッチ24d、普図のゲートスイッチ25a、第1カウントスイッチ27d、第2カウントスイッチ28dなどが含まれる。また、入力処理では、入力信号にチャタリング除去等を行って入力情報を確定させる。
さらに、遊技制御装置100は、各種処理でセットされた遊技制御に関する出力データを、演出制御装置150及び払出制御装置410に送信するための出力処理を実行する(S1603)。出力データは、ソレノイド等のアクチュエータの駆動制御などを行うための情報であり、制御対象となるソレノイドには、例えば、第1大入賞口ソレノイド(SOL)27b、第2大入賞口ソレノイド(SOL)28b、普電ソレノイド(SOL)24bが含まれる。また、出力処理では、遊技機における遊技データを収集する情報収集端末装置(図示せず)に遊技データを出力する処理も含まれる。
次に、遊技制御装置100は、各種処理で送信バッファにセットされたコマンドを演出制御装置150や払出制御装置410等に送信(出力)するコマンド送信処理を実行する(S1604)。具体的には、特図変動表示ゲームにおける識別情報の変動パターンを指定する変動パターン指定コマンド、及び停電から復旧した場合に演出制御装置150に停電復旧処理を実行させる停電復旧コマンドを演出制御装置150に送信したり、払出装置から払い出す賞球数を指定する賞球コマンドを払出制御装置410に送信したりする。
さらに、遊技制御装置100は、大当り図柄乱数1及び大当り図柄乱数2を更新する乱数更新処理1を実行し(S1605)、続いて特図変動表示ゲームにおける変動パターンを決定するための変動パターン乱数を更新する乱数更新処理2を実行する(S1606)。乱数更新処理1及び乱数更新処理2では、各種乱数にランダム性を付与するために、各種乱数に対応するカウンタ(大当り乱数カウンタ、当り乱数カウンタ、演出決定用乱数カウンタなど)の値を1ずつ加算する。
その後、遊技制御装置100は、各種入賞口スイッチなどを監視したり、枠の不正な開放などのエラーを監視したりする入賞口スイッチ/エラー監視処理が実行される(S1607)。各種入賞口スイッチには、例えば、第1始動口スイッチ23d、第2始動口スイッチ24d、ゲートスイッチ25a、入賞口スイッチ26a〜26n、第1カウントスイッチ27d、第2カウントスイッチ28dが含まれる。入賞口スイッチ/エラー監視処理では、これらのスイッチから正常な信号が入力されているか否かを監視したりする。エラーの監視としては、前面枠4やクリア部材保持枠5が不正に開放されていないかなどを対象としている。
さらに、遊技制御装置100は、特図変動表示ゲームに関する処理を行う特図ゲーム処理を実行する(S1608)。なお、特図ゲーム処理の詳細については、図20にて後述する。続いて、普図変動表示ゲームに関する処理を行う普図ゲーム処理を実行する(S1609)。
次に、遊技制御装置100は、特図変動ゲームの表示や遊技に関する各種情報を表示するセグメントLEDの表示内容を制御するセグメントLED編集処理を実行する(S1610)。具体的には、特図変動表示ゲーム及び普図変動表示ゲームの結果をセグメントLED(例えば、一括表示装置36)に出力するためのパラメータを編集する。
遊技制御装置100は、磁気センサスイッチ29aや振動センサスイッチ29bからの検出信号をチェックし、異常があるか否かを判定する磁石不正監視処理を実行する(S1611)。異常の発生を検出した場合には、スピーカ8から報知音を出力したり、遊技状態LEDを点灯させたりするなどして外部に報知する。
次に、遊技制御装置100は、外部情報端子142から出力する各種信号を編集する外部情報編集処理を実行する(S1612)。
そして、遊技制御装置100は、割込み要求をクリアして割込みの終了を宣言する(S1613)。その後、S1601の処理で一時退避されていたレジスタを復帰させ(S1614)、禁止設定されていた外部機器による割込み及びタイマ割込みを許可し(S1615)、タイマ割込み処理を終了し、メイン処理に復帰する。
〔特図ゲーム処理〕
次に、前述したタイマ割込み処理(図19)における特図ゲーム処理(S1608)の詳細について説明する。図20は、特図ゲーム処理の手順を示すフローチャートである。
特図ゲーム処理では、第1始動口スイッチ23d及び第2始動口スイッチ24dによる入力信号の監視、特図変動表示ゲームに関する処理全体の制御、特図(識別図柄、識別情報)の表示の設定を行う。
特図ゲーム処理が開始されると、遊技制御装置100は、まず、第1始動口スイッチ23d及び第2始動口スイッチ24dの入賞を監視する始動スイッチ監視処理を実行する(S1701)。
始動口スイッチ監視処理では、第1始動入賞口23、第2始動入賞口24に遊技球の入賞があると、各種乱数(大当り乱数など)の抽出を行い、当該入賞に基づく特図変動表示ゲームの開始前の段階で入賞に基づく遊技結果を事前に判定する遊技結果事前判定を行う。なお、始動口スイッチ監視処理の詳細については、図21にて後述する。
次に、遊技制御装置100は、カウントスイッチ監視処理を実行する(S1702)。カウントスイッチ監視処理では、第1変動入賞装置27内に設けられた第1カウントスイッチ27d又は第2変動入賞装置28内に設けられた第2カウントスイッチ28dによって対応する特別変動入賞装置に入賞した遊技球を検出し、入賞した遊技球の数を監視する。
次に、遊技制御装置100は、特図ゲーム処理タイマが既にタイムアップしているか、又は、特図ゲーム処理タイマを更新(−1)した結果、当該特図ゲーム処理タイマがタイムアップしたか否かをチェックする(S1703)。なお、特図ゲーム処理タイマは、後述する特図ゲーム処理番号に応じて分岐させる各処理(S1709〜S1715)を実行するときに初期値がセットされ、S1703の処理で当該特図ゲーム処理タイマの値を1減じる。この初期値としてセットされる値は、当該特図ゲーム処理番号に応じた処理を終了させるまでの時間値であり、例えば、特図普段処理(S1709;特図ゲーム処理番号「0」)においてセットされる値は、特図変動表示ゲームにおいて特別図柄が変動表示されている時間値がセットされる。そして、特図ゲーム処理タイマの値が0になると、タイムアップしたと判断される。
特図ゲーム処理タイマがタイムアップしていない場合には(S1704の結果が「N」)、遊技制御装置100は、S1716以降の処理を実行する。
一方、特図ゲーム処理タイマがタイムアップした場合には(S1704の結果が「Y」)、遊技制御装置100は、特図ゲーム処理番号に対応する処理に分岐させるために参照する特図ゲームシーケンス分岐テーブルをレジスタに設定する(S1705)。さらに、当該テーブルに基づいて特図ゲーム処理番号に対応する処理の分岐先アドレスを取得する(S1706)。そして、分岐処理終了後のリターンアドレスをスタック領域に退避させ(S1707)、ゲーム処理番号に応じて処理を分岐させる(S1708)。
遊技制御装置100は、ゲーム処理番号が「0」の場合には(S1708の結果が「0」)、特図普段処理を実行する(S1709)。特図普段処理は、特図変動表示ゲームの変動開始を監視し、特図変動表示ゲームの変動開始の設定や演出の設定、特図変動中処理を実行するために必要な情報の設定等を行う。なお、特図普段処理の詳細については、図25にて後述する。
遊技制御装置100は、ゲーム処理番号が「1」の場合には(S1708の結果が「1」)、特図変動中処理を実行する(S1710)。特図変動中処理は、特図変動表示ゲームにおける識別情報の停止表示時間の設定や、特図表示中処理を行うために必要な情報の設定等を行う。
遊技制御装置100は、ゲーム処理番号が「2」の場合には(S1708の結果が「2」)、特図表示中処理を実行する(S1711)。特図表示中処理は、特図変動表示ゲームの結果が大当りであれば、大当りの種類に応じたファンファーレコマンドの設定や、各大当りの大入賞口開放パターンに応じたファンファーレ時間を設定したり、ファンファーレ/インターバル中処理を行うために必要な情報の設定等を行ったりする。
遊技制御装置100は、ゲーム処理番号が「3」の場合には(S1708の結果が「3」)、ファンファーレ/インターバル中処理を実行する(S1712)。ファンファーレ/インターバル中処理は、大入賞口の開放時間の設定や開放回数の更新、大入賞口開放中処理を行うために必要な情報の設定等を行う。
遊技制御装置100は、ゲーム処理番号が「4」の場合には(S1708の結果が「4」)、大入賞口開放中処理を実行する(S1713)。大入賞口開放中処理は、大当りラウンドが最終ラウンドでなければインターバルコマンドを設定する一方で最終ラウンドであれば大当り終了画面のコマンドを設定したり、大入賞口残存球処理を行うために必要な情報を設定したりする。
また、大入賞口開放中処理は、特図変動表示ゲームの結果が特別結果になった場合に対応する大入賞口の開放時間に基づいて第1変動入賞装置27の開閉扉27a又は第2変動入賞装置28の開閉扉28aを開放して遊技者に遊技価値を付与する特別遊技状態を発生させるものであるため、遊技制御装置100が特別遊技状態制御手段をなす。
遊技制御装置100は、ゲーム処理番号が「5」の場合には(S1708の結果が「5」)、大入賞口残存球処理を実行する(S1714)。大入賞口残存球処理は、大当りラウンドが最終ラウンドの場合に大入賞口内にある残存球が排出されるための時間を設定したり、大当り終了処理を行うために必要な情報の設定等を行ったりする。
大入賞口残存球処理では、特別図柄の処理タイマの更新とファンファーレ/インターバル中処理、又は大当り終了処理を行うために必要な情報を設定する。また、大入賞口の最大開放時間が経過したか、又は大入賞口に遊技球が規定数(所定数)だけ入賞したかを判定し、いずれかの条件が成立した場合に対応する開閉扉を閉鎖する。これが所定ラウンド数繰り返し実行された後、特図ゲーム処理番号を6に設定する。
遊技制御装置100は、ゲーム処理番号が「6」の場合には(S1708の結果が「6」)、大当り終了処理を実行する(S1715)。大当り終了処理は、S1709の特図普段処理を行うために必要な情報の設定等を行う。
その後、遊技制御装置100は、特図1表示器における図柄の変動を制御するためのテーブルを準備する(S1716)。続いて、特図1表示器に係る図柄変動制御処理を実行する(S1717)。なお、図柄変動制御処理の詳細については、図29にて後述する。
さらに、遊技制御装置100は、特図2表示器における図柄の変動を制御するためのテーブルを準備する(S1718)。続いて、特図2表示器に係る図柄変動制御処理を実行する(S1719)。その後、特図ゲーム処理を終了する。
〔始動口スイッチ監視処理〕
次に、前述した特図ゲーム処理(図20)における始動口スイッチ監視処理(S1701)の詳細について説明する。図21は、始動口スイッチ監視処理のフローチャートである。
始動口スイッチ監視処理が開始されると、遊技制御装置100は、まず、第1始動入賞口23に遊技球が入賞したことによる保留の情報を設定するテーブルを準備する(S1801)。
続いて、遊技制御装置100は、第1始動入賞口23又は第2始動入賞口24に遊技球が入賞した場合に共通して実行される特図始動口スイッチ共通処理を実行する(S1802)。なお、特図始動口スイッチ共通処理の詳細については、図22にて後述する。
次に、遊技制御装置100は、普通電動役物(普通変動入賞装置、第2始動入賞口24の可動部材24a)が作動中である、すなわち、第2始動入賞口24の可動部材24aが遊技球の入賞が可能な開状態となっているか否かをチェックする(S1803)。普通電動役物が作動中である場合には(S1803の結果が「Y」)、S1806以降の処理を実行する。
一方、普通電動役物が作動中でない場合には(S1803の結果が「N」)、遊技制御装置100は、第2始動入賞口24への不正入賞数が不正発生判定個数以上であるかをチェックし(S1804)、不正入賞数が不正発生判定個数以上であるか否かを判定する(S1805)。
不正入賞について具体的に説明すると、第2始動入賞口24は、可動部材24aが閉状態の場合には遊技球が入賞不可能であり、開状態でのみ遊技球が入賞可能である。よって、閉状態で遊技球が入賞した場合には何らかの異常や不正が発生した可能性が高く、閉状態で入賞した遊技球があった場合はその数を不正入賞数として計数している。そして、S1804及びS1805の処理において、このように計数された不正入賞数が所定の不正発生判定個数(上限値)以上であるかを判定する。
不正入賞数が不正判定個数以上の場合には(S1805の結果が「Y」)、遊技制御装置100は、第2始動入賞口24への遊技球の入賞と無効として特図変動表示ゲームに関する処理を実行せずに、始動口スイッチ監視処理を終了する。
一方、不正入賞数が不正判定個数未満の場合には(S1805の結果が「N」)、遊技制御装置100は、第2始動入賞口24による保留の情報を設定するテーブルを準備し(S1806)、特図始動口スイッチ共通処理を実行する(S1807)。その後、始動口スイッチ監視処理を終了する。
〔特図始動口スイッチ共通処理〕
次に、前述した始動口スイッチ監視処理(図21)における特図始動口スイッチ共通処理(S1802、S1807)の詳細について説明する。図22は、特図始動口スイッチ共通処理の手順を示すフローチャートである。
特図始動口スイッチ共通処理は、第1始動入賞口23や第2始動入賞口24に遊技球が入賞したことによって第1始動口スイッチ23dや第2始動口スイッチ24dから信号入力があった場合に共通して実行される処理である。
遊技制御装置100は、まず、第1始動口スイッチ23d及び第2始動口スイッチ24dのうち、監視対象の始動口スイッチ(例えば、第1始動口スイッチ23d)から信号が入力されたか否かをチェックする(S1901、S1902)。対象の始動口スイッチから信号が入力されていない場合には(S1902の結果が「N」)、特図始動口スイッチ共通処理を終了する。
一方、対象の始動口スイッチから信号が入力された場合には(S1902の結果が「Y」)、遊技制御装置100は、当該対象の始動口スイッチに対応する始動口入賞フラグをRWMの所定の領域にセーブする(S1903)。さらに、対象始動口スイッチに対応するハード乱数ラッチレジスタに抽出された大当り乱数をロードし、以降の処理で使用するための準備を行う(S1904)。
続いて、遊技制御装置100は、対象の始動口スイッチに対応する始動入賞口への入賞の回数に関する情報、すなわち、遊技機1の外部の管理装置に対して出力された回数(始動口信号出力回数)をロードして、ロードした値に1加算して更新し、始動口信号出力回数がオーバーフローするか否かをチェックする(S1905、S1906)。
そして、遊技制御装置100は、始動口信号出力回数がオーバーフローしない場合には(S1906の結果が「N」)、更新後の始動口信号出力回数の値を、RWMの始動口信号出力回数領域にセーブする(S1907)。
遊技制御装置100は、S1907の処理が終了した後、又は、始動口信号出力回数がオーバーフローする場合には(S1906の結果が「Y」)、対象の始動口スイッチに対応する更新対象の特図保留(始動記憶)数が上限値未満か否かをチェックする(S1908、S1909)。
遊技制御装置100は、特図保留数が上限値未満の場合には(S1909の結果が「Y」)、始動口スイッチによって検出された入賞に対応する情報を設定する。具体的には、まず、更新対象の特図保留数(例えば、特図1保留数)を1加算して更新する(S1910)。
続いて、遊技制御装置100は、飾り特図保留数コマンドを準備する。飾り特図保留数コマンドは、MODE部とACTION部によって構成される。具体的に説明すると、遊技制御装置100は、まず、対象の始動口スイッチの飾り特図保留数コマンド(MODE)を準備し(S1911)、さらに、特図保留数に対応する飾り特図保留数コマンド(ACTION)を準備する(S1912)。そして、準備された飾り特図保留数コマンドを設定するためのコマンド設定処理を実行する(S1913)。そして、更新された特図保留数に対応する乱数セーブ領域のアドレスを算出する(S1914)。
次に、遊技制御装置100は、大当り乱数をRWMの対象の乱数セーブ領域にセーブし(S1915)、さらに、対象の始動口スイッチに対応する大当り図柄乱数を抽出して、RWMの乱数セーブ領域にセーブする(S1916)。続いて、対応する変動パターン乱数1を抽出し、抽出した値をRWMの乱数セーブ領域にセーブする(S1917)。同様に、対応する変動パターン乱数2を抽出し、抽出した値をRWMの乱数セーブ領域にセーブする(S1918)。さらに、対応する変動パターン乱数3を抽出し、抽出した値をRWMの乱数セーブ領域にセーブする(S1919)。変動パターン乱数1〜3は、例えば、前半と後半の変動パターンを個別に設定したり、特定の演出を実行したりするために用いられる。
本実施形態において、大当り乱数は、第1始動口スイッチ23d及び第2始動口スイッチ24dのどちらの始動口スイッチが遊技球の入賞を検出しても同じ手順で抽出される。すなわち、第1始動入賞口23から入賞した場合であっても、第2始動入賞口24から入賞した場合であっても、入賞した遊技球が大当りとなる乱数は同じである。なお、始動入賞口毎に大当り乱数を設定してもよい。
ここで、特図変動表示ゲーム(特図1又は特図2)における変動パターン(各種リーチやリーチ無しの変動表示における変動表示ゲームの実行時間等を含む)を決定するための変動パターン乱数(変動パターン1〜3)は、大当り図柄乱数のように乱数生成回路のソフトウェアによって更新されるものとは異なり、遊技制御用プログラムによって更新されるものである。なお、変動パターン乱数の更新は遊技制御用プログラムによって更新することに限らず、乱数生成回路のハードウェア又はソフトウェアで更新するようにしてもよい。
さらに、遊技制御装置100は、対応する電サポ抽選乱数を抽出し、抽出した値をRWMの乱数セーブ領域にセーブする(S1920)。本実施形態において、電サポ抽選は、遊技状態が高確率状態であるときに実行されるが、S1920の処理は、遊技状態に関係なく毎回実行される。
そして、遊技制御装置100は、S1916の処理でRWMにセーブされた対象の始動口スイッチに対応する大当り図柄乱数をロードし、ロードした値を後述する特図保留情報判定処理にて使用するために準備する(S1921)。最後に、特図保留情報判定処理を実行し(S1922)、特図始動口スイッチ共通処理を終了する。なお、特図保留情報判定処理の詳細については、図23にて後述する。
一方、特図保留数が上限値未満でない場合には(S1909の結果が「N」)、遊技制御装置100は、対象の始動口スイッチが第1始動口スイッチ23dであるか否かをチェックする(S1930、S1931)。対象が第1始動口スイッチ23dでない場合には(S1931の結果が「N」)、飾り特図保留数コマンド(オーバーフローコマンド)を準備し(S1932)、コマンド設定処理を実行する(S1933)。
一方、対象が第1始動口スイッチ23dである場合(S1931の結果が「Y」)、又は、S1933のコマンド設定処理が終了した場合には、遊技制御装置100は、特図始動口スイッチ共通処理を終了する。
〔特図保留情報判定処理〕
次に、前述した特図始動口スイッチ共通処理(図22)における特図保留情報判定処理(S1922)の詳細について説明する。図23は、特図保留情報判定処理の手順を示すフローチャートである。
特図保留情報判定処理は、各始動記憶に基づく特図変動表示ゲームの開始タイミングより前に当該始動記憶に対応した結果関連情報(遊技結果情報)を判定するための先読み処理である。
遊技制御装置100は、まず、特図始動口スイッチ共通処理における監視対象の始動口スイッチが第2始動口スイッチ24dであるか否かをチェックする(S2001)。監視対象が第2始動口スイッチ24dでない場合には(S2002の結果が「N」)、普通電動役物(第2始動入賞口24に備えられた可動部材24a)の開放延長機能が作動中、すなわち、普電サポート中であるか否かを判定する(S2003)。
遊技制御装置100は、普電サポート中でない場合には(S2003の結果が「N」)、遊技機1が大当り中(特別遊技状態)であるか否かを判定する(S2004)。そして、遊技機1が大当り中でない場合には(S2004の結果が「N」)、電サポ状態判定処理を実行する(S2005)。電サポ状態判定処理は、保留中の始動記憶に含まれる電サポ抽選乱数値が電サポ抽選当選範囲にあるか否かを判定する。なお、電サポ状態判定処理の詳細については、図24にて後述する。
続いて、遊技制御装置100は、保留中の始動記憶が大当りであるか否かを判定する大当り判定処理を実行する(S2006)。大当り判定処理は、保留中の始動記憶に含まれる大当り乱数値が大当り判定値と一致するか否かを判定することによって、当該始動記憶にかかる変動表示ゲームの結果が大当りであるか否かを判定する。
一方、遊技制御装置100は、普電サポート中の場合(S2003の結果が「Y」)、又は、大当り中の場合には(S2004の結果が「Y」)、特図保留情報判定処理を終了する。すなわち、監視対象の始動口スイッチが第1始動口スイッチ23dであって、かつ、普電サポート中又は大当り中の場合には、当該始動記憶に対応した結果関連情報(遊技結果情報)を判定する先読み処理を実行しないように構成される。
また、遊技制御装置100は、監視対象が第2始動口スイッチ24dの場合には(S2002の結果が「Y」)、電サポ状態判定処理を実行する(S2005)。すなわち、監視対象の始動口スイッチが第2始動口スイッチ24dの場合には、普電サポート中又は大当り中であるか否かにかかわらず、当該始動記憶に対応した先読み処理を実行する。
その後、遊技制御装置100は、S2006の大当り判定処理の判定結果が大当りであるか否かを判定する(S2007)。大当り判定処理の判定結果が大当りでない場合には(S2007の結果が「N」)、演出内容を選択するためのテーブルとしてはずれ情報テーブルを設定する(S2015)。そして、S2016以降の処理を実行する。
一方、大当り判定処理の判定結果が大当りの場合には(S2007の結果が「Y」)、遊技制御装置100は、監視対象の始動口スイッチが第1始動口スイッチ23dであるか否かをチェックする(S2008、S2009)。
そして、遊技制御装置100は、監視対象の始動口スイッチが第1始動口スイッチ23dでない場合には(S2009の結果が「N」)、大当り図柄乱数チェックテーブル2を大当り時の識別図柄を特定するためのテーブルとして準備する(S2010)。また、監視対象の始動口スイッチが第1始動口スイッチ23dである場合には(S2009の結果が「Y」)、大当り図柄乱数チェックテーブル1を大当り時の識別図柄を特定するためのテーブルとして準備する(S2011)。
次に、遊技制御装置100は、大当り図柄乱数をチェックして、大当り図柄乱数に対応する入賞情報ポインタを取得し(S2012)、大当り情報テーブルのアドレステーブルを設定する(S2013)。さらに、入賞情報ポインタに対応する大当り情報テーブルを取得して設定する(S2014)。
続いて、遊技制御装置100は、S2014又はS2015の処理で設定した情報テーブルから図柄情報を取得し(S2016)、当該図柄情報をRWMの作業用の図柄情報領域にセーブする(S2017)。
そして、遊技制御装置100は、設定した情報テーブルから始動口入賞演出図柄コマンドを取得し(S2018)、当該始動口入賞演出図柄コマンドをRWMの入賞演出図柄コマンド領域にセーブする(S2019)。
次に、遊技制御装置100は、監視対象の始動口スイッチに対応する始動口入賞フラグを準備し(S2020)、始動口入賞演出コマンドを設定する対象のテーブルを準備する(S2021)。
その後、遊技制御装置100は、監視対象の始動口に関して設定された特図情報を設定するための特図情報設定処理を実行する(S2022)。続いて、特図変動表示ゲームにおける変動態様のうち、後半変動パターンを設定する後半変動パターン設定処理を実行した後(S2023)、特図変動表示ゲームの前半変動パターンを設定する変動パターン設定処理を実行する(S2024)。
後半変動パターン設定処理(S2023)及び変動パターン設定処理(S2024)は、識別情報の変動態様を示す複数の変動パターンから一つの変動パターンを選択する処理であり、特図変動表示ゲームはこれらの処理によって選択された変動パターンに基づいて実行される。
そして、遊技制御装置100は、前半変動番号に対応する変動(始動口入賞演出)コマンド(MODE)を算出して準備し(S2025)、後半変動番号の値を変動コマンド(ACTION)として準備し(S2026)、コマンド設定処理を実行する(S2027)。続いて、入賞演出図柄コマンド領域から始動口入賞演出図柄コマンドをロードして準備し(S2028)、コマンド設定処理を実行する(S2029)。その後、特図保留情報判定処理を終了する。
すなわち、S2025及びS2026の処理で始動口入賞演出コマンドを準備し、さらに、S2028の処理で始動口入賞演出図柄コマンドを準備して、始動記憶に対応する判定結果(先読み結果)を、対応する始動記憶に基づく特図変動表示ゲームの開始タイミングより前に演出制御装置150に対して通知することが可能になっている。演出制御装置150は、表示装置30に表示されている保留表示の表示態様を変化させるなどして、その特図変動表示ゲームの開始タイミングより前に遊技者に特図変動表示ゲームの結果を報知する。
〔電サポ状態判定処理〕
次に、前述した特図保留情報判定処理(図23)における電サポ状態判定処理(S2005)の詳細について説明する。図24は、電サポ状態判定処理の手順を示すフローチャートである。
遊技制御装置100は、まず、入賞時の遊技状態が普電サポート状態(電サポ中)であるか否かを判定する(S2101)。そして、電サポ中である場合には(S2101の結果が「Y」)、先読みの判定を行うことなく電サポ状態判定処理を終了する。
一方、遊技制御装置100は、電サポ中でない場合には(S2101の結果が「N」)、S2102〜S2107の処理で電サポ当選を判定する。
ここで、遊技制御装置100は、S1920においてRWMの乱数セーブ領域にセーブした電サポ抽選乱数値が、電サポ当選判定値と一致するか否かを判定する。電サポ当選判定値は、連続する複数の値が設定され、電サポ当選範囲が設けられている。本実施形態では、電サポ当選の確率は、1/70である。
遊技制御装置100は、まず、電サポ抽選乱数値と比較する電サポ当選範囲の下限値、すなわち、電サポ当選判定値の下限判定値をRWMに設定する(S2102)。そして、電サポ抽選乱数値が下限判定値未満であるか否かをチェックして(S2103)、電サポ抽選乱数値が下限判定値未満である場合は(S2104の結果が「Y」)、電サポ状態判定処理を終了する。
電サポ抽選乱数値が下限判定値以上である場合は(S2104の結果が「N」)、遊技制御装置100は、電サポ当選範囲の上限値、すなわち、電サポ当選判定値の上限判定値をRWMに設定して(S2105)、電サポ抽選乱数値が上限値以下であるか否かをチェックする(S2106)。そして、電サポ抽選乱数値が上限値より大きい場合は(S2107の結果が「N」)、電サポ状態判定処理を終了する。
一方、電サポ抽選乱数値が上限値以下である場合は(S2107の結果が「Y」)、遊技制御装置100は、電サポ抽選に当選したと判定して、電サポ情報をRWMの作業用の設定情報領域にセーブする(S2108)。
そして、遊技制御装置100は、当選した電サポ抽選乱数を記憶する始動記憶に対応して電サポ情報コマンドを準備し(S2109)、コマンド設定処理を実行して(S2110)、電サポ状態判定処理を終了する。
〔特図普段処理〕
次に、前述した特図ゲーム処理(図20)における特図普段処理(S1709)の詳細について説明する。図25は、特図普段処理の手順を示すフローチャートである。
遊技制御装置100は、まず、特図2保留数(第2始動記憶数)が0であるか否かをチェックする(S2201、S2202)。
遊技制御装置100は、特図2保留数が0の場合には(S2202の結果が「Y」)、第1始動記憶数(特図1保留数)が0であるか否かをチェックする(S2203、S2204)。このように、特図2保留数のチェック(S2201)を、特図1保留数のチェック(S2203)よりも先に行うことによって、特図1変動表示ゲームよりも遊技者にとって有利な特図2変動表示ゲームを優先して実行するようにしている。
さらに、遊技制御装置100は、特図1保留数が0の場合には(S2204の結果が「Y」)、既に客待ちデモが開始されているか否かをチェックする(S2205、S2206)。客待ちデモを開始していない、すなわち、開始済みでない場合には(S2206の結果が「N」)、客待ちデモフラグ領域に客待ちデモ中フラグを設定する(S2207)。続いて、客待ちデモコマンドを準備し(S2208)、コマンド設定処理を実行する(S2209)。
一方、既に客待ちデモが開始されている場合には(S2206の結果が「Y」)、既に客待ちデモフラグ領域に客待ちデモ中フラグが設定済みであり、客待ちデモコマンドが演出制御装置150に送信済みであるため、遊技制御装置100は、S2210の処理を実行する。
次に、遊技制御装置100は、特図普段処理に移行するためのテーブルを準備する特図普段処理移行設定処理1を実行する(S2210)。具体的には、当該テーブルに、特図普段処理に係る処理番号「0」、大入賞口不正監視期間を規定するフラグ(大入賞口不正監視情報)等を設定する処理を実行する。その後、特図普段処理を終了する。
一方、遊技制御装置100は、特図2保留数が0でない場合(S2202の結果が「N」)、すなわち、第2始動入賞口24に遊技球が入賞したことによる特図変動表示ゲームが実行される場合には、特図2変動開始処理1を実行する(S2211)。なお、S2211における特図2変動開始処理1の詳細については、図26Bにて後述する。
そして、遊技制御装置100は、特図変動中処理に移行するためのテーブル(第2特図用)を準備する特図変動中処理移行設定処理(特図2)を実行する(S2212)。具体的には、当該テーブルに、特図変動中処理に係る特図ゲーム処理番号「1」、客待ちデモの終了に係る情報、第2特図の変動中に係る試験信号、特図2表示器における特図2変動表示ゲームの制御用の情報(例えば、特図2表示器の変動中に係るフラグ、特図2表示器の点滅の周期のタイマの初期値など)等を設定する処理を実行する。その後、特図普段処理を終了する。
また、遊技制御装置100は、特図1保留数が0でない場合(S2204の結果が「N」)、すなわち、第1始動入賞口23に遊技球が入賞したことによる特図変動表示ゲームが実行される場合には、特図1変動開始処理1を実行する(S2213)。なお、S2213における特図1変動開始処理1の詳細については、図26Aにて後述する。
そして、遊技制御装置100は、特図変動中処理に移行するためのテーブル(第1特図用)を準備する特図変動中処理移行設定処理(特図1)を実行する(S2214)。具体的には、当該テーブルに、特図変動中処理に係る特図ゲーム処理番号「1」、客待ちデモの終了に係る情報、第1特図の変動中に係る試験信号、特図1表示器における特図1変動表示ゲームの制御用の情報(例えば、特図1表示器の変動中に係るフラグ、特図1表示器の点滅の周期のタイマの初期値など)等を設定する。その後、特図普段処理を終了する。
〔特図変動開始処理1〕
次に、前述した特図普段処理(図25)における特図1変動開始処理1(S2213)及び特図2変動開始処理1(S2211)の詳細について説明する。図26は、特図変動開始処理1の手順を示すフローチャートである。図26Aは特図1変動開始処理1のフローチャートで、図26Bは特図2変動開始処理1のフローチャートである。
図26Aを参照して、特図1変動表示ゲームの開始時に実行される特図1変動開始処理1について説明する。
遊技制御装置100は、まず、電サポ状態抽選処理を実行する(S2301a)。前述した電サポ状態判定処理(図24)は、始動記憶に対する先読み処理の一つであるので、当該始動記憶で電サポ当選するか否かを判定するのみである。電サポ状態抽選処理では、実際に電サポ状態を発生させるための処理を実行する。なお、電サポ状態抽選処理の詳細については、図27にて後述する。
次に、遊技制御装置100は、特図1変動表示ゲームが大当りであるか否かを判定するための大当りフラグ1に、はずれ情報又は大当り情報を設定する大当りフラグ1設定処理を実行する(S2302a)。
さらに、遊技制御装置100は、特図1変動表示ゲームが小当りであるか否かを判定するための小当りフラグ1に、はずれ情報又は小当り情報を設定する小当りフラグ1設定処理を実行する(S2303a)。なお、小当りフラグ1設定処理の詳細については、図28にて後述する。
ここで、大当りと小当りとの違いについて説明する。
大当りとは条件装置の作動を伴う特別結果であり、小当りとは条件装置の作動を伴わない特別結果である。条件装置とは、特図変動表示ゲームで大当りが発生(大当り図柄の停止表示)した場合に作動するもので、条件装置が作動するとは、例えば大当り状態が発生して特別電動役物としての第1変動入賞装置27又は第2変動入賞装置28を連続して作動させるための特定のフラグがセットされることを意味する。条件装置が作動しないとは、例えば小当り抽選に当選した場合のように上述のフラグがセットされないことを意味する。なお、「条件装置」は、上記のようなソフトウェア的にオンオフされるフラグのようなソフトウェア手段であっても良いし、電気的にオンオフされるスイッチのようなハードウェア手段であっても良い。また、「条件装置」は、その作動が電動役物の連続作動に必要条件とされる装置として、パチンコ遊技機の分野においては一般的に使用されている用語であり、本明細書においても同様の意味を有する用語として使用している。
具体的には、大当りの場合は、大当りフラグが設定されることにより第1変動入賞装置27又は第2変動入賞装置28が開放されるのに対して、小当りの場合は、小当りフラグが設定されることにより第1変動入賞装置27又は第2変動入賞装置28が開放される。
続いて、遊技制御装置100は、特図1変動表示ゲームにおける停止図柄(特図1停止図柄)を設定する特図1停止図柄設定処理を実行する(S2304a)。
その後、遊技制御装置100は、第1特図停止図柄番号(特図1停止図柄)に対応する試験信号を試験信号出力データ領域にセーブする(S2305a)。続いて、図柄情報領域から設定された図柄情報をロードした後(S2306a)、当該図柄情報をRWMの作業用の図柄情報領域にセーブする(S2307a)。
次に、遊技制御装置100は、特図1変動フラグ(変動中フラグ)をロードして準備し(S2308a)、特図1変動フラグをRWMの変動図柄判別フラグ領域にセーブする(S2309a)。
続いて、遊技制御装置100は、変動パターンに関する情報を設定する対象のテーブルを準備し(S2310a)、特図情報を設定する特図情報設定処理を実行する(S2311a)。続いて、特図1変動表示ゲームにおける変動態様のうち、後半変動パターンを設定する後半変動パターン設定処理を実行し(S2312a)、前半変動パターンを設定する変動パターン設定処理を実行する(S2313a)。
その後、遊技制御装置100は、特図1変動表示ゲームを開始するための情報を設定する変動開始情報設定処理を実行し(S2314a)、特図1変動開始処理1を終了する。
なお、図26Bの特図2変動表示ゲームの開始時に実行される特図2変動開始処理1(S2211)についても、同様の手順で実行される。具体的には、S2301b〜S2314bの処理はそれぞれS2301a〜S2314aの処理に対応して、S2302b及びS2303bの処理で大当りフラグ2及び小当りフラグ2が処理対象となり、S2304b及びS2305bの処理で特図2停止図柄が処理対象となり、S2308b及びS2309bの処理で特図2変動フラグが処理対象となる。
〔電サポ状態抽選処理〕
次に、前述した特図変動開始処理1(図26A、図26B)における電サポ状態抽選処理(S2301a、S2301b)の詳細について説明する。図27は、電サポ状態抽選処理の手順を示すフローチャートである。
遊技制御装置100は、S1920においてRWMの乱数セーブ領域にセーブした電サポ抽選乱数をロードし、以降の処理で使用するための準備を行う(S2401)。
S2402〜S2408の処理は、前述した電サポ状態判定処理のS2101〜S2107の処理と同様である。電サポ状態判定処理では、まだ対象の始動記憶は保留状態であるので、電サポ抽選に当選したか否かを判定するのみで、当選しても実際に電サポ状態を発生させない。電サポ状態抽選処理では、対象の始動記憶の特図変動表示ゲームが開始される際に再び電サポ抽選に当選したか否かを判定し、当選したら実際に電サポ状態を発生させるための処理を実行する。
具体的には、遊技制御装置100は、現在の遊技状態が電サポ中であるか否かを判定する(S2402)。そして、電サポ中である場合には(S2402の結果が「Y」)、電サポ抽選を行わず、RWMの乱数セーブ領域を0クリアして(S2410)、電サポ状態抽選処理を終了する。
一方、遊技制御装置100は、電サポ中でない場合には(S2402の結果が「N」)、S2403〜S2408の処理で電サポ当選を判定する。すなわち、電サポ当選判定値の下限判定値をRWMに設定し(S2403)、電サポ抽選乱数値が下限判定値未満であるか否かをチェックする(S2404)。そして、電サポ抽選乱数値が下限判定値未満である場合は(S2405の結果が「Y」)、RWMの乱数セーブ領域を0クリアして(S2410)、電サポ状態抽選処理を終了する。
また、遊技制御装置100は、電サポ抽選乱数値が下限判定値以上である場合は(S2405の結果が「N」)、電サポ当選判定値の上限判定値をRWMに設定して(S2406)、電サポ抽選乱数値が上限値以下であるか否かをチェックする(S2407)。そして、電サポ抽選乱数値が上限値より大きい場合は(S2408の結果が「N」)、RWMの乱数セーブ領域を0クリアして(S2410)、電サポ抽選処理を終了する。
一方、遊技制御装置100は、電サポ抽選乱数値が上限値以下である場合は(S2408の結果が「Y」)、電サポ抽選に当選したと判定して、電サポ実行回数を設定する電サポカウンタ設定処理を実行する(S2409)。そして、RWMの乱数セーブ領域を0クリアして(S2410)、電サポ状態抽選処理を終了する。
〔小当りフラグ設定処理〕
続いて、前述した特図変動開始処理1(図26A、図26B)における小当りフラグ設定処理(S2303a、S2303b)の詳細について説明する。図28は、小当りフラグ設定処理の手順を示すフローチャートである。図28Aは小当りフラグ1設定処理のフローチャートで、図28Bは小当りフラグ2設定処理のフローチャートである。
図28Aを参照して、特図1変動開始処理1で実行される小当りフラグ1設定処理について説明する。
遊技制御装置100は、まず、RWMの小当りフラグ1領域にはずれ情報をセーブする(S2501a)。そして、小当り1フラグ設定処理の前に実行されるS2302aの大当り1フラグ設定処理の結果、大当りフラグ1が大当りか否かをチェックする(S2502a)。
そして、大当りである場合は(S2503aの結果が「Y」)、遊技制御装置100は、小当りフラグ1ははずれ情報を保持した状態で、RWMの特図1用大当り乱数セーブ領域を0クリアして(S2509a)、小当りフラグ1設定処理を終了する。
一方、大当りでない場合は(S2503aの結果が「N」)、遊技制御装置100は、RWMの特図1用大当り乱数セーブ領域から大当り乱数をロードして、準備する(S2504a)。
本実施形態では、小当り判定に用いる小当り乱数は、大当り判定に用いる大当り乱数を併用する。なお、大当り乱数とは別に小当り乱数を設定してもよい。また、第1スペックでは、小当りとなる確率は大当りとなる確率よりも小さく設定され、大当り確率が1/99に対して、小当り確率は1/200である(図8参照)。一方、第2スペックでは、小当りとなる確率は大当りとなる確率よりも大きく設定され、大当り確率が1/399に対して、小当り確率は1/200である(図10参照)。
さらに、遊技制御装置100は、特図1判定データを準備して(S2505a)、小当り乱数値、すなわち、大当り乱数値が小当り判定値と一致するか否かを判定する小当り判定処理を実行する(S2506a)。そして、判定結果が小当りにならない場合は(S2507aの結果が「N」)、RWMの特図1用大当り乱数セーブ領域を0クリアして(S2509a)、小当りフラグ1設定処理を終了する。
一方、判定結果が小当りになる場合は(S2507aの結果が「Y」)、遊技制御装置100は、小当りフラグ1領域のはずれ情報を小当り情報に置き換えてセーブする(S2508a)。その後、RWMの特図1用大当り乱数セーブ領域を0クリアして(S2509a)、小当りフラグ1設定処理を終了する。
なお、図28Bの小当りフラグ2設定処理についても、同様の手順で実行される。具体的には、S2501b〜S2509bの処理はそれぞれS2501a〜S2509aの処理に対応して、S2501b及びS2508bの処理で小当りフラグ2が処理対象となり、S2502bの処理で大当りフラグ2が処理対象となる。また、S2504b及びS2509bの処理で特図2用の大当り乱数セーブ領域が用いられ、S2505bの処理で特図2判定データが用いられる。
また、本実施形態では、小当りフラグ1に対応するS2506aの小当り判定処理と、小当りフラグ2に対応するS2506bの小当り判定処理とでは、小当りとなる確率は同じであるが、変えてもよい。例えば、特図1変動表示ゲームにおいて小当りとなる確率を1/100と設定して、特図2変動表示ゲームにおいて小当りとなる確率を1/200と設定してもよい。
〔図柄変動制御処理〕
次に、前述した特図ゲーム処理(図20)における図柄変動制御処理(S1717、S1719)の詳細について説明する。図29は、図柄変動制御処理の手順を示すフローチャートである。
遊技制御装置100は、まず、対象となる図柄(特図1又は特図2)の変動制御フラグが変動中であるかをチェックする(S2601)。ここでは、変動図柄判別フラグ領域に特図変動フラグ(変動中フラグ)がセーブされているか否かをチェックする。特図変動フラグは、前述した特図変動開始処理1(図26)のS2308及びS2309の処理で設定される。
そして、遊技制御装置100は、変動制御フラグが変動中である場合には(S2602の結果が「Y」)、対象の図柄に対応する変動用の図柄表示テーブルを取得して(S2603)、対象となる変動タイマを1減算更新したのちタイムアップになるかチェックする(S2604)。タイムアップになる場合には(S2605の結果が「Y」)、図柄変動制御タイマの初期値(例えば200ms)を対象の変動タイマ領域にセーブし(S2606)、変動用の図柄表示テーブルに定義されている対象の変動図柄番号を更新する(S2607)。そして、表示図柄ポインタとして対象の変動図柄番号領域の値をロードする(S2608)。また、タイムアップにならない場合には(S2605の結果が「N」)、S2606及びS2607の処理は行わず、S2608の処理を実行する。
一方、遊技制御装置100は、変動制御フラグが変動中でない場合には(S2602の結果が「N」)、対象の図柄に対応する停止用の図柄表示テーブルを取得して(S2609)、表示ポインタとして対象の停止図柄番号領域の値をロードする(S2610)。
その後、遊技制御装置100は、S2608又はS2610の処理で設定した表示図柄ポインタに対応する表示データを取得して(S2611)、取得した表示データを対象のセグメント領域にセーブして(S2612)、図柄変動制御処理を終了する。
以下、演出制御装置150による制御について具体的な処理を説明する。
〔1stCPUメイン処理(演出制御装置)〕
次に、演出制御装置150によって実行されるメイン処理の詳細を説明する。図30は、演出制御装置150の主制御用マイコン(1stCPU)151によって実行されるメイン処理の手順を示すフローチャートである。メイン処理は、遊技機1に電源が投入されると実行される。
主制御用マイコン(1stCPU)151は、メイン処理の実行が開始されると、まず、割込みを禁止する(S2701)。次に作業領域であるRAM151aを0クリアする(S2702)。そしてCPU初期化処理を実行する(S2703)。その後、各種処理の実行に必要な初期値をRAM151aに設定し(S2704)、乱数初期化処理を実行する(S2705)。続いて所定のタイミング(例えば、1ミリ秒)で割込みを発生させるための各種割込みタイマを起動させる(S2706)。そして割込みを許可する(S2707)。割込みの発生タイミングでは後述するコマンド受信割込み処理(図31)が実行される。
ここで、主制御用マイコン(1stCPU)151は、WDT(ウォッチドックタイマ)をクリアする(S2708)。WDTは、上述したCPU初期化処理(S2703)で起動され、CPUが正常に動作しているかどうかを監視する。WDTが一定周期を経過してもクリアされない場合は、WDTがタイムアップしてCPUがリセットされる。
そして、主制御用マイコン(1stCPU)151は、遊技者による演出ボタン13の操作信号を検出したり、検出した信号に応じた処理を実行したりする(S2709)。また遊技制御装置100から受信した遊技制御コマンドを解析する遊技制御コマンド解析処理を実行する(S2710)。
次に、主制御用マイコン(1stCPU)151は、テストモード処理を実行する(S2711)。テストモード処理は、工場出荷時の検査の際に検査用のコマンドを受信してLEDの点灯等を検査する。したがって、テストモード処理は、工場出荷時にCPUを検査するときに実行される。
続いて、主制御用マイコン(1stCPU)151は、遊技制御コマンド解析処理(S2710)において解析された制御コマンドに基づき、表示装置30に表示させるシーン(表示内容)を制御するシーン制御処理を実行する(S2712)。
さらに、主制御用マイコン(1stCPU)151は、遊技機1における異常の発生を監視する遊技機エラー監視処理を実行する(S2713)。演出制御装置150に関わる異常の他に、遊技制御装置100からエラー報知を指示するコマンドを受信した場合などに、警報音の報知など所定の処理を実行する。
そして、主制御用マイコン(1stCPU)151は、映像制御用マイコン(2ndCPU)152に送信するコマンドを編集する演出コマンド編集処理を実行する(S2714)。
また、主制御用マイコン(1stCPU)151は、スピーカ8から出力される音を制御するサウンド制御処理を実行する(S2715)。また、LED等の装飾装置(盤装飾装置170、枠装飾装置171)を制御する装飾制御処理を実行し(S2716)、さらにモータ及びソレノイドで駆動される電動役物や可動式照明などの演出装置(盤演出装置172、枠演出装置173)を制御するモータ/SOL制御処理を実行する(S2717)。
最後に、主制御用マイコン(1stCPU)151は、乱数を更新するための乱数更新処理を実行して(S2718)、S2708の処理に戻る。以降、S2708からS2718までの処理を繰り返す。
〔コマンド受信割込み処理(1stCPU)〕
次に、主制御用マイコン(1stCPU)151によって実行されるコマンド受信割込み処理の詳細について説明する。図31は、コマンド受信割込み処理の手順を示すフローチャートである。コマンド受信割込み処理は、遊技制御装置100からコマンドを受信するごとに実行される処理である。コマンド受信割込み処理は、前述したメイン処理において割込みが許可された(S2707)後に実行可能である。
主制御用マイコン(1stCPU)151は、遊技制御装置100から受信したコマンドポートの値を取り込む(S2801)。そしてCPUの状態がMODEコマンド(コマンドのMODE部)の受信を待っている状態であるか否かをチェックする(S2802)。
MODEコマンド待ち状態である場合は(S2802の結果が「Y」)、主制御用マイコン(1stCPU)151は、遊技制御装置100から演出制御装置150へ出力するデータストローブ信号SSTBがオンであるかをチェックする(S2803)。そしてSSTBがオンである場合は(S2803の結果が「Y」)、受信したコマンドがMODEコマンドであるかをチェックする(S2804)。受信したコマンドがMODEコマンドである場合は(S2804の結果が「Y」)、S2805〜S2808の処理に移行する。SSTBがオンではない場合(S2803の結果が「N」)、又は受信したコマンドがMODEコマンドでない場合(S2804の結果が「N」)は、S2817及びS2818の処理に移行する。
コマンドが、MODEコマンド待ち状態、かつ、SSTBがオンのときに受信され、該コマンドがMODEコマンドである場合は(S2802,S2803,S2804の結果が全て「Y」)、主制御用マイコン(1stCPU)151は、受信ポインタに対応するコマンドバッファのアドレスを算出する(S2805)。そして算出後のアドレスに受信したコマンドをMODEコマンドとしてセーブする(S2806)。
ここで、主制御用マイコン(1stCPU)151は、タイムアウト監視タイマに初期値を設定してスタートさせる(S2807)。タイムアウト監視タイマは、MODEコマンドを受信してからの経過時間を計測し、設定時間以内にACTIONコマンドを受信しない場合にタイムアウトを発生させる。遊技制御装置100から演出制御装置150に送信されるコマンドは、MODE部(MODEコマンド)及びACTION部(ACTIONコマンド)によって構成されており、通常、連続して送信される。したがって、MODEコマンドを受信してから設定された時間を経過してもACTIONコマンドを受信できなかった場合には、ACTIONコマンドを取りこぼした可能性が高いと判断することができる。そしてCPUの状態をACTIONコマンド(コマンドのACTION部)待ち状態に設定する(S2808)。そしてコマンド受信割込み処理を終了する。
次に、コマンドが、MODEコマンド待ち状態のときに受信され、このときSSTBがONではない、又は、該コマンドがMODEコマンドでない場合は(S2802の結果が「Y」、かつS2803の結果が「N」又はS2804の結果が「N」)、主制御用マイコン(1stCPU)151は、タイムアウト監視タイマを停止する(S2817)。そしてCPUの状態をMODEコマンド待ち状態に設定する(S2818)。そしてコマンド受信割込み処理を終了する。
一方、MODEコマンド待ち状態でない場合は(S2802の結果が「N」)、ACTIONコマンド待ち状態であり、主制御用マイコン(1stCPU)151は、タイムアウト監視タイマがタイムアウトしているか否かをチェックする(S2809)。すなわち、MODEコマンドを受信してからACTIONコマンドを受信するまでの時間が、タイムアウト監視タイマで設定した時間を超えていないかをチェックする。
タイムアウトしていない場合は(S2809の結果が「N」)、主制御用マイコン(1stCPU)151は、遊技制御装置100から演出制御装置150へ出力するデータストローブ信号SSTBがオンであるかをチェックする(S2810)。そしてSSTBがオンである場合は(S2810の結果が「Y」)、受信したコマンドがMODEコマンドであるかをチェックする(S2811)。受信したコマンドがMODEコマンドである場合は(S2811の結果が「Y」)、S2805〜S2808の処理に移行する。CPUの状態がACTIONコマンド待ち状態であってもMODEコマンドを受信した場合は、ACTIONコマンドの受信を待たずに、新しく受信した該MODEコマンドを優先に処理する。受信したコマンドがMODEコマンドでない場合は(S2811の結果が「N」)、S2812〜S2814、S2817及びS2818の処理に移行する。
また、タイムアウトしている場合(S2809の結果が「Y」)又はSSTBがオンでない場合(S2810の結果が「N」)は、主制御用マイコン(1stCPU)151は、S2815〜S2818の処理に移行する。
コマンドがMODEコマンドでない場合は(S2811の結果が「N」)、ACTIONコマンドを受信したことになるので、主制御用マイコン(1stCPU)151は、受信ポインタに対応するコマンドバッファのアドレスを算出する(S2812)。そして算出後のアドレスに受信したコマンドをACTIONコマンドとしてセーブする(S2813)。
これでMODEコマンド及びACTIONコマンドが1セット揃うので、主制御用マイコン(1stCPU)151は、受信済みコマンド数を1加算して更新する(S2814)。その後、タイムアウト監視タイマを停止する(S2817)。そしてCPUの状態をMODEコマンド待ち状態に設定する(S2818)。そしてコマンド受信割込み処理を終了する。
次に、MODEコマンドを受信してからACTIONコマンドを受信する前にタイムアウト監視タイマによってタイムアウトが発生した場合(S2809の結果が「Y」)、又は、SSTBがオンでない場合(S2810の結果が「N」)は、主制御用マイコン(1stCPU)151は、受信ポインタに対応するコマンドバッファのアドレスを算出する(S2815)。そして、算出後のアドレスに基づいて、コマンドバッファにセーブされているMODEコマンドを破棄する(S2816)。
その後、主制御用マイコン(1stCPU)151は、タイムアウト監視タイマを停止する(S2817)。そしてCPUの状態をMODEコマンド待ち状態に設定する(S2818)。そして本処理を終了して、メイン処理に戻る。
〔2ndCPUメイン処理(演出制御装置)〕
続いて、演出制御装置150によって実行されるもう一方のメイン処理の詳細を説明する。図32は、演出制御装置150の映像制御用マイコン(2ndCPU)152によって実行されるメイン処理の手順を示すフローチャートである。メイン処理は、遊技機1に電源が投入されると実行される。
映像制御用マイコン(2ndCPU)152は、メイン処理の実行が開始されると、まず、CPU初期化処理を実行する(S2901)。そして、作業領域であるRAM152aを0クリアして(S2902)、各種処理の実行に必要な初期値をRAM152aに設定する(S2903)。そして、画像処理を行うグラフィックプロセッサを初期化するVDP初期化処理を実行する(S2904)。次に、Vブランク割込みなどの各種割込みを許可する(S2905)。
さらに、映像制御用マイコン(2ndCPU)152は、各種制御処理の初期化処理を実行する(S2906)。各種制御処理の初期化処理では、後述する通常ゲーム処理(S2911)で実行される各制御処理で使用される変数の初期化などが行われる。例えば、表示装置30に表示される映像の背景を初期化したり、図柄の配列を初期化したりする。そして、表示装置30の画面描画を許可する(S2907)。
その後、映像制御用マイコン(2ndCPU)152は、システム周期待ちフラグをクリア(初期化)して(S2908)、システム周期待ちフラグが1になるまで待機する(S2909)。システム周期待ちフラグは、図34にて後述するVブランク割込み処理で所定の処理が完了すると1に設定される。
映像制御用マイコン(2ndCPU)152は、システム周期待ちフラグが1になったら(S2909の結果が「Y」)、映像制御用マイコン(2ndCPU)152が正常に動作しているかを判定するためのWDT(ウォッチドックタイマ)をクリアする(S2910)。WDTがクリアされずに所定の時間経過すると、映像制御用マイコン(2ndCPU)152がリセットされる。そして、表示装置30で飾り特図変動表示ゲームを実行したり、様々な画像を表示したりする通常ゲーム処理を実行し(S2911)、S2908の処理に戻る。以降、S2908からS2911までの処理を繰り返す。
〔通常ゲーム処理(2ndCPU)〕
次に、前述したメイン処理(図32)における通常ゲーム処理(S2911)の詳細について説明する。図33は、通常ゲーム処理の手順を示すフローチャートである。
映像制御用マイコン(2ndCPU)152は、まず、主制御用マイコン(1stCPU)151で受信したコマンドをチェックする受信コマンドチェック処理を実行する(S3001)。
そして、映像制御用マイコン(2ndCPU)152は、表示装置30に表示される画像のうち、演出の中で静止画で動きのない背景の描画を準備する背景処理を実行する(S3002)。次に、表示装置30に表示される画像のうち、変動表示する飾り特別図柄の描画を準備するリール制御/表示処理を実行する(S3003)。さらに、表示装置30に表示される画像のうち、各変動表示ゲームの始動記憶を表示する保留表示の描画を準備する保留表示処理を実行する(S3004)。
また、始動記憶数が無い場合や変動表示ゲームが所定時間なされない場合などは、映像制御用マイコン(2ndCPU)152は、表示装置30に客待ちデモ画面を表示するように客待ちデモ処理を実行する(S3005)。
続いて、映像制御用マイコン(2ndCPU)152は、主制御用マイコン(1stCPU)151で実行されるメイン処理のシーン制御処理(S3012)におけるシーンの描画を準備するシーン制御/表示処理を実行する(S3006)。ここでシーン制御/表示処理は、背景処理が静止画像の描画に対して実行されるのに対して、演出の中で動きのある画像の描画に対して実行される。そして、表示装置30に実際に画像を表示させるための表示システム処理を実行する(S3007)。そして本処理を終了して、メイン処理のS2908に戻る。
〔Vブランク割込み処理(2ndCPU)〕
次に、映像制御用マイコン(2ndCPU)152によって実行されるVブランク割込み処理の詳細について説明する。図34は、Vブランク割込み処理の手順を示すフローチャートである。Vブランク割込み処理は、前述したメイン処理(図32)において割込みが許可された(S2905)後に、所定の周期(垂直同期信号V_SYNC,水平同期信号H_SYNC)で実行される。
映像制御用マイコン(2ndCPU)152は、まず、フレームカウンタを1加算して更新する(S3101)。そして、フレームカウンタが規定値(例えば、2)以上か否かをチェックする(S3102)。すなわち、規定値分の周期でVDP157が表示装置30に描画し、映像制御用マイコン(2ndCPU)152が通常ゲーム処理(図33)で描画データを準備する。
フレームカウンタが規定値以上になった場合は(S3102の結果が「Y」)、映像制御用マイコン(2ndCPU)152は、システム周期待ちフラグが0か否かをチェックする(S3103)。システム周期待ちフラグが0である場合は(S3103の結果が「Y」)、すなわち、前述したメイン処理(図32)においてシステム周期待ちフラグがクリアされた場合は(S2908)、次の処理に移行して、VDP157は前回の画面表示の描画を完了したか否かをチェックする(S3104)。これは、後述するVDP描画中フラグの状態で判断すればよい。そして、VDP157が描画を完了している場合は(S3104の結果が「Y」)、後述する今回の描画を指示する処理(S3105〜S3109)に移行する。
一方、フレームカウンタが規定値未満である場合(S3102の結果が「N」)、システム周期待ちフラグがゼロである場合(S3103の結果が「N」)、又はVDP157が描画を完了していない場合(S3104の結果が「N」)は、映像制御用マイコン(2ndCPU)152は、本処理を終了する。すなわち、規定値分の周期で、描画が完了しなかった場合、又は、描画データの準備が終わらなかった場合に、次の周期で描画を指示するように制御する。
続いて、VDP157が描画を完了している場合には(S3104の結果が「Y」)、映像制御用マイコン(2ndCPU)152は、今回の画面表示を準備するために表示フレームバッファを切り替える(S3105)。ここで、表示フレームバッファは、作業領域152aに設けられ、表示装置30に表示される画像データを一時的に記憶する。
そして、映像制御用マイコン(2ndCPU)152は、VDP157に描画開始を指示して(S3106)、VDP描画中フラグをセットする(S3107)。VDP157が描画している間は、前述したS3104の結果が「N」になるので、VDP157に対して二重に描画指示が出されることはない。次に、フレームカウンタを0クリアする(S3108)。その後、システム周期待ちフラグを1にセットする(S3109)。そして、本処理を終了する。この後メイン処理では、S2909の結果が「Y」になるので、次の処理S2910及びS2911に移行することができる。なお、VDP描画中フラグは、描画が完了すると図示しない別の割込み処理でクリアされる。
このように、Vブランク割込み処理は、メイン処理の通常ゲーム処理(S2911)で表示設定されてフレームバッファに記憶された画像の描画をVDP157に指示する。これにより、VDP157によって表示装置30に画像が表示される。
(貯留球演出ユニット80による効果)
本実施形態によれば、遊技者が演出ボタン13を操作することにより貯留球演出ユニット80に貯留されていた貯留球を用いた演出が表示装置30の表示画面31で実行されるので、演出に遊技者が直接参加できる。これにより、遊技者の遊技への参加意識を高めることができるとともに、遊技の興趣を高めることができる。
(電サポ抽選による効果)
また、遊技状態が電サポ中でない場合には、電サポ状態を獲得できる電サポ抽選が実行されるので、遊技者にとって有利な遊技状態でなくても遊技者は電サポ状態となるチャンスに期待を抱きながら遊技を行う。これにより、遊技の興趣を高めることができる。
(本実施形態の別パターン)
ここで、本実施形態をベースにした他の3パターンについて説明する。別パターンは、それぞれ(1)第2始動入賞口24に入賞した遊技球を貯留する構造(図35)であって電サポ中の場合にも電サポ抽選を行う(図36、37)、(2)電サポ状態抽選処理で電サポ状態が発生しなくても、定期的に電サポ状態が発生する(図38)、(3)電サポ抽選における当選確率は特図変動表示ゲームの実行回数(特図変動回数)に応じて異なる(図39〜図44)点が本実施形態と異なる。以下に、(1)〜(3)について順に説明する。
(1)本実施形態の貯留構造は、第1変動入賞装置27に入賞した遊技球を貯留する構造となっていたが、別パターン1では、第2始動入賞口24に入賞した遊技球を貯留する構造とする。また、前述の本実施形態では、電サポ状態抽選処理(図27)において、遊技状態が電サポ中の場合には電サポ抽選が実行されなかったが、別パターン1では、電サポ中の場合にも電サポ抽選が実行される。
以下、別パターン1について図35〜図37を参照して説明する。
図35は、別パターン1の貯留構造を示す図である。別パターン1では、本実施形態の貯留構造において貯留球演出ユニット80に遊技球を供給していた第1変動入賞装置27が第2始動入賞口24に置き換えられる。すなわち、別パターン1の第2始動入賞口24は、入賞した遊技球を貯留球演出ユニット80に供給する。ここで、貯留構造は本実施形態と同様に遊技球を4個まで貯留可能であり、その他貯留球の消化方法等も本実施形態と同じである。
〔電サポ状態抽選処理〕
図36は、別パターン1の電サポ状態抽選処理の手順を示すフローチャートである。なお、前述の本実施形態と共通の処理については、図27と同じ符号を割り当てて記載を省略する。
別パターン1では、本実施形態におけるS2402の処理が除かれる。すなわち、遊技制御装置100は、現在の遊技状態が電サポ中であるか否かの判定処理を行わない。遊技状態に関係なく全ての始動記憶に対する特図変動表示ゲーム開始の際に、電サポ抽選に当選したか否かを判定する。このため、本実施形態において電サポ抽選に当選した場合に(S2408の結果が「Y」)実行される電サポカウンタ設定処理の設定方法に、電サポ中に電サポ抽選に当選した場合の設定方法が追加される(S3201)。
ここで、遊技制御装置100は、電サポ中に電サポ抽選に当選した場合には、S3201の処理で設定する電サポカウンタとして、既に設定されている電サポカウンタ(電サポ実行回数)をリセットして今回当選して得られる電サポカウンタを設定したり、これまでの電サポカウンタに今回当選して得られる電サポカウンタを足し合わせたカウンタを設定したりする。これらの設定については図37を参照して詳細を説明する。
〔電サポカウンタ設定〕
図37は、別パターン1の電サポカウンタ設定について説明する図である。
ここでは、電サポ抽選に当選したときに100回の電サポ実行回数が付与され、当選後の特図変動表示ゲームから遊技状態が電サポ中となる。そして、電サポ実行回数が20回目となる特図変動表示ゲームにおいて再び電サポ抽選に当選した場合における電サポカウンタの設定パターンについて説明する。
図37(A)は、電サポカウンタをリセットするパターンである。この場合は、前回の電サポ当選による電サポ実行回数が80回残っていても今回の電サポ当選を契機に電サポカウンタがリセットされる。そして、今回の電サポ当選により付与される電サポ実行回数100回が新たな電サポカウンタとして設定される。
図37(B)は、電サポカウンタを足し合わせるパターンである。この場合は、前回の電サポ当選による電サポ実行回数の残り80回に、今回の電サポ当選により付与される電サポ実行回数100回を足し合わせて、電サポ実行回数180回が新たな電サポカウンタとして設定される。
別パターン1によれば、第2始動入賞口24に貯留構造を設けるので、遊技球を貯留する機会は、第1変動入賞装置27が開放される特別遊技状態のときに限られる本実施形態よりも多くなる。これにより、遊技者は貯留球を使った演出に参加する機会が増え、遊技の興趣をさらに高めることができる。
また、電サポ中の場合も電サポ抽選を実行するので、遊技の興趣を高めることができる。また、電サポ抽選に当選した場合には既に設定されている回数以上の電サポ実行回数が付与されるので、遊技者の遊技に対する関心も高めることができる。電サポ実行回数の付与方法は2パターン(リセットと足し合わせ)あるので、条件に応じてどちらかのパターンが選択されるようにすれば、さらに遊技の興趣を高めることができる。
(2)本実施形態では、特図変動表示ゲームの結果が大当りとなって付与される場合以外の普電サポート状態(電サポ状態)の発生は、電サポ状態抽選処理(図27)の結果、電サポ抽選に当選した場合にのみ可能である。これに対し、別パターン2では、電サポ状態が所定回数(a回)発生しなかった場合に所定回数(b回)の電サポ状態が発生する。すなわち、電サポ状態抽選処理で電サポ状態が発生しなくても、定期的に電サポ状態が発生するようにしている。
以下、別パターン2で追加されるカウンタ計数処理について図38を参照して説明する。
〔カウンタ計数処理〕
図38は、別パターン2のカウンタ計数処理の手順を示すフローチャートである。カウンタ計数処理は、前述した特図ゲーム処理(図20)の特図変動中処理(S1710)で実行される処理の一つであり、電サポあり/なしの回数をカウントする。
遊技制御装置100は、まず、識別情報(図柄)が停止したか否かを判定する(S3401)。そして、図柄が停止していない場合には(S3401の結果が「N」)、カウンタ計数処理を終了する。また、図柄が停止した場合には(S3401の結果が「Y」)、電サポフラグがオンであるか否かを判定する(S3402)。ここで、電サポフラグは後述するS3406及びS3410の処理でオン/オフが設定される。
そして、遊技制御装置100は、電サポフラグがオンでない場合には(S3402の結果が「N」)、通常カウンタを1加算更新する(S3403)。ここで、通常カウンタとは、電サポ状態でない場合の遊技状態における特図変動表示ゲームの回数をカウントするカウンタである。
次に、遊技制御装置100は、通常カウンタが所定回数a(例えば1000回)以上であるか否かを判定する(S3404)。そして、通常カウンタが所定回数a未満である場合には(S3404の結果が「N」)、まだ電サポ状態が発生しないのでカウンタ計数処理を終了する。また、通常カウンタが所定回数a以上である場合には(S3404の結果が「Y」)、通常カウンタをクリアする(S3405)。これ以降、電サポ状態が発生するので電サポフラグをオンに設定し(S3406)、カウンタ計数処理を終了する。
一方、遊技制御装置100は、電サポフラグがオンである場合には(S3402の結果が「Y」)、電サポカウンタを1加算更新し(S3407)、電サポカウンタが所定回数b(例えば50回)以上であるか否かを判定する(S3408)。そして、電サポカウンタが所定回数b未満である場合には(S3408の結果が「N」)、電サポ状態が継続するのでカウンタ計数処理を終了する。また、電サポカウンタが所定回数b以上である場合には(S3408の結果が「Y」)、電サポカウンタをクリアする(S3409)。さらに、電サポ状態が終了するので電サポフラグをオフに設定し(S3410)、カウンタ計数処理を終了する。
別パターン2によれば、大当りや電サポ抽選によって電サポ状態が発生しなくても、その状態が所定回数以上となれば電サポ状態が発生する。これにより、遊技の興趣を高めることができるとともに、遊技者に有利な遊技状態が長い間発生していない遊技機(所謂はまり台)で遊技する遊技者に空しさを感じさせない。さらに、はまり台を狙って遊技する遊技者も現れるので、通常敬遠されるはまり台の稼働率を向上させることも可能である。
(3)本実施形態では、電サポ抽選における当選確率(電サポ発生確率)は一定である。これに対し、別パターン3では、当選確率は特図変動表示ゲームの実行回数(特図変動回数)に応じて異なる。そして、当選確率の切り替わり数回前の特図変動における電サポ状態判定の判定値(電サポ先読み判定値)を変更する。
以下、別パターン3について図39から図44を参照して説明する。
〔電サポ発生率と電サポ先読みの切替タイミング〕
図39は、別パターン3の電サポ発生確率と電サポ先読みの切替タイミングとを説明する図である。
図39(A)は、特図変動回数に応じた電サポ発生確率と電サポ状態抽選処理及び電サポ状態判定処理で用いられる判定値とを示すテーブルである。
特図変動回数が1〜200回のときの電サポ発生確率(発動確率)は2/200である。そして、このとき電サポ状態抽選処理で用いられる判定値(発動判定値)は0及び1である。通常時の電サポ先読み判定値Aは発動判定値と同様に0及び1であるが、発動確率が変わる201回目の数回前からは電サポ先読み判定値Bに切り替わって0のみとする。
特図変動回数が201〜400回のときの発動確率は1/200である。このとき発動判定値は0である。同様に、電サポ先読み判定値Aには0が設定される。そして、発動確率が変わる400回目の数回前からの電サポ先読み判定値Bは設定されず、このとき電サポ先読みは行われない。
特図変動回数が401〜600回のときの発動確率は0である。このため発動判定値は設定されない。また、電サポ先読み判定値A及びBも設定されず、この間電サポ先読みは行われない。
特図変動回数が601回以降の発動確率は4/200である。このとき発動判定値は0〜3である。そして、電サポ先読み判定値A及びBは0〜3である。
ここで、電サポ抽選乱数の範囲は0〜199である。また、特図変動回数のカウントは、遊技者が入れ替わったときにリセットされる。遊技者の入れ替わりは、客待ちデモ画面が表示されたり、カードサンドのカード挿入口からカードが抜き取られたりしたときに判断される。このように、遊技者は、同一遊技機で遊技を継続すると(特図変動回数601回以上行うと)、高い発動確率を得ることができる。よって、遊技者がはまり感を抱くのを防止することができる。
図39(B)は、電サポ先読み判定値の切替タイミングについて説明するタイムチャートである。ここでは、特図変動回数201回目に発動確率が切り替わり、切り替わる1回転前(すなわち200回目)の始動記憶に対して電サポ先読み判定値をAからBに切り替える場合を例に説明する。
まず、第1始動入賞口23及び第2始動入賞口24に入賞した順にカウントされる始動記憶カウント数が199回となる始動記憶が第1始動記憶として記憶され、対応する特図1変動表示ゲームが199回目の特図変動として実行開始される。
ここで、入賞した始動記憶に対して先読み処理である特図保留情報判定処理(図23)が順次実行されるので、始動記憶カウント数は、特図変動表示ゲームの先読み時のカウント数C1である。なお、本発明では、特図普段処理(図25)に示すように特図1変動表示ゲームよりも遊技者にとって有利な特図2変動表示ゲームを優先して実行するようにしている。したがって、必ずしも始動記憶の入賞順と消化順とが同じになるとは限らない。そこで、始動記憶が消化されて実際に変動開始される特図変動表示ゲームを順にカウントしてカウント数C2とする。
C1=199回となる始動記憶はC2=199回目の特図変動表示ゲームとなる。先読み時のカウント数C1=変動開始時のカウント数C2であるので、特図変動回数に対応する先読み判定値と発動判定値とは同一(ここでは0,1)であり、正常な先読み判定が行われる。
その後、C2=199回目の特図変動表示ゲームの実行中に、C1=200回となる第1始動記憶とC1=201回となる第2始動記憶とが順に記憶される。
そして、C2=199回目の特図変動表示ゲーム終了後、C2=200回目の特図変動表示ゲームとして、C1=201回となる第2始動記憶に対応する特図2変動表示ゲームが実行される。これは、前述したように第1始動記憶よりも第2始動記憶の消化が優先されるためである。そして、このとき先読み時(C1=201)と変動開始時(C2=200)とで発動判定値が異なる。このため、例えば電サポ抽選乱数が1のとき、電サポ状態判定処理(先読み時)でははずれとなっても電サポ状態抽選処理(変動開始時)では当選となり、先読み演出が可能であったにもかかわらず行われなかったことになる。
続いて、C2=200回目の特図変動表示ゲーム終了後、C2=201回目の特図変動表示ゲームとして、C1=200回となる第1始動記憶に対応する特図1変動表示ゲームが実行される。このときも同様に、先読み時(C1=200)と変動開始時(C2=201)とで発動判定値が異なる。このため、例えば電サポ抽選乱数が1のとき、電サポ状態判定処理では当選となっても電サポ状態抽選処理でははずれとなり、電サポ抽選の当選を示唆する先読み演出が行われてもウソの演出になってしまう。
このように、C1=C2となる特図変動表示ゲームでは正常な先読み判定が行われるが、発動確率の切替タイミング(ここでは201回)に係ってC1とC2とが異なる値となる特図変動表示ゲームでは正常な先読み判定ができない場合がある。特に、ウソの先読み演出により遊技者に期待させながら実際は電サポ状態にならずに失望させるようなことは避けたい。
そこで、別パターン3では、図39(A)に示すように同一発動確率において電サポ先読み判定値を2種類(A、B)設け、特図変動回数に応じて用いる電サポ先読み判定値を変更する。
具体的には、図39(B)に示すように、発動判定値には、C2=200回目の特図変動表示ゲームまでは0、1が用いられ、C2=201回目の特図変動表示ゲームからは0のみが用いられる。これに対し、電サポ先読み判定値には、C1=199回までの始動記憶に対する電サポ先読み判定に判定値A(0,1)が用いられ、C1=201回の1回転前であるC1=200回目に記憶される始動記憶に対する電サポ先読み判定に判定値B(0)が用いられる。また、C1=201回目に記憶される始動記憶に対する電サポ先読み判定には、電サポ先読み判定値A(0)が用いられる(図39(A)参照)。
このように、発動確率が切り替わる直前(数回転前)の電サポ先読み判定値をAからBに切り替えて、このときの判定値Bを発動確率切り替わり後の電サポ先読み判定値Aと同じに設定する。これにより、C2=201回目となる始動記憶の電サポ先読み判定結果と電サポ抽選結果とが同一になるので、正確な先読み判定が可能となり、ウソの先読み演出が行われることを防ぐことができる。
なお、図39(A)に示すように、特図変動回数401〜600回のときは、通常時に先読み判定を行わない(判定値Aなし)ので、切り替わり数回転前でも先読み判定を行わない(判定値Bなし)。また、特図変動回数601回以上では、それ以降カウンタがリセットされるまで発動確率は変わらないので、電サポ先読み判定値Bを設定しなくてもよいし、設定する場合には電サポ先読み判定値Aと同じにする。
続いて、別パターン3で追加される処理についての詳細を説明する。ここでは、前述の図39(B)のような状況が発生しないようにする処理が追加される。これらの処理は遊技制御装置100及び演出制御装置150のどちらの制御装置が実行してもよい。以下では演出制御装置150の主制御用マイコン(1stCPU)151が実行するものとする。
〔電サポ先読み処理〕
図40は、別パターン3の電サポ先読み処理の手順を示すフローチャートである。
主制御用マイコン(1stCPU)151は、普図変動表示ゲーム(普図)が実行中、又は、普通電動役物(普電、第2始動入賞口24の可動部材24a)が作動中であるか否かを判定する(S3601)。
そして、主制御用マイコン(1stCPU)151は、普図又は普電が動作中である場合には(S3601の結果が「Y」)、第2始動入賞口24に入賞して第2始動記憶が発生する可能性が高いので、先読み演出を実行しない先読み演出不実行処理を実行して(S3602)、電サポ先読み処理を終了する。
一方、主制御用マイコン(1stCPU)151は、普図又は普電が動作中でない場合には(S3601の結果が「N」)、先読み演出を実行する先読み演出実行処理を実行して(S3603)、電サポ先読み処理を終了する。
〔電サポ先読み抑制処理〕
図41は、別パターン3の電サポ先読み抑制処理の手順を示すフローチャートである。
主制御用マイコン(1stCPU)151は、変動中の特図変動表示ゲームに対応する始動記憶及び始動記憶領域内の始動記憶に電サポ発動となる契機があるか否かを判定する(S3701)。そして、電サポ発動となる契機がある場合には(S3701の結果が「Y」)、以降の先読み演出を禁止する以降先読み演出禁止処理を実行して(S3702)、電サポ先読み抑制処理を終了する。なお、先読み演出の禁止は、電サポ抽選に対する先読みだけを対象として、大当り等による先読みは対象としなくてもよい。
一方、主制御用マイコン(1stCPU)151は、電サポ発動となる契機がない場合には(S3701の結果が「N」)、先読み演出を抑制する必要はないので、電サポ先読み抑制処理を終了する。
〔特図1先読み抑制処理〕
図42は、別パターン3の特図1先読み抑制処理の手順を示すフローチャートである。
主制御用マイコン(1stCPU)151は、普図保留があるか否かを判定する(S3801)。そして、普図保留がある場合には(S3801の結果が「Y」)、以降の特図1に係る先読み演出を禁止する以降特図1先読み演出禁止処理を実行して(S3802)、特図1先読み抑制処理を終了する。これは、普図保留に当りとなる保留がある場合に、普通電動役物(第2始動入賞口24の可動部材24a)が開状態になる可能性がある。そして、普電が開状態では第2始動入賞口24に遊技球が入賞し易く、第2始動記憶が発生する可能性が高い。第2始動記憶が発生すると、その前に第1始動記憶が記憶されていても消化順序が変わるので、第1始動記憶に基づく特図1先読み演出を実行しないようにする。なお、すでに表示装置30等に表示している特図1先読み演出については、表示し続けてもよいし、S3802の処理で非表示にするようにしてもよい。
一方、主制御用マイコン(1stCPU)151は、普図保留がない場合には(S3801の結果が「N」)、第2始動記憶の発生による消化順序の変更が発生する可能性が低いため、特図1の先読み演出を抑制することなく特図1先読み抑制処理を終了する。
〔特図2入賞抑制処理〕
図43は、別パターン3の特図2入賞抑制処理の手順を示すフローチャートである。
主制御用マイコン(1stCPU)151は、特図変動回数Xが所定回転数(例えば198回)以上であるか否かを判定する(S3901)。ここで、所定回転数には、発動確率が切り替わる回転数の数回転前が設定される。そして、所定回転数以上である場合には(S3901の結果が「Y」)、先読みの辻褄を合せるため(C1=C2となる始動記憶が同一となるように)、第2始動記憶の発生させないように第2始動入賞口24への遊技球の入賞を控えるよう遊技者に報知する特図2入賞抑制表示処理を実行して(S3902)、特図2入賞抑制処理を終了する。
一方、主制御用マイコン(1stCPU)151は、特図変動回数Xが所定回転数未満である場合には(S3901の結果が「N」)、先読み時の電サポ抽選結果と変動開始時の電サポ抽選結果とが相違する可能性が低いので、そのまま特図2入賞抑制処理を終了する。
〔画面表示例〕
図44は、別パターン3の特図2入賞抑制を促す画面表示の一例を示す図である。
前述の特図2入賞抑制処理(図43)における特図2入賞抑制表示処理(S3902)が実行されると、表示装置30の表示画面31には、「普電に入賞させるな!!」と促すメッセージ画面が表示される。
なお、ここでは表示画面31での画面表示のみであるが、特図2入賞抑制を徹底する場合は普電(第2始動入賞口24の可動部材24a)が作動しないように設定してもよい。
別パターン3によれば、電サポ発生確率が特図変動回数に応じて設定されるので、遊技の興趣を向上させることができる。また、遊技者が同一遊技機で遊技を継続し、所定回数(601回以上)の特図変動回数に到達すると、電サポ状態の発生確率が高くなるので、遊技者がはまり感を抱くのを防止することができる。
さらに、電サポ発生確率が切り替わることにより、特図2変動表示ゲームを特図1変動表示ゲームよりも優先的に消化する別パターン3では、先読み時と変動開始時とで特図変動表示ゲームの結果が異なって、先読み演出がウソの演出になる場合が生じる。ここでは、電サポ発生確率が切り替わる数回転前から電サポ先読み判定値を切り替わり後の電サポ先読み判定値と同じに設定しているので、正確な先読み判定が可能となり、遊技者に正確な先読み演出を提供することができる。
また、第2始動記憶の発生の可能性が高い場合や電サポ状態となる始動記憶がある場合には先読み演出を行わなかったり、電サポ発生確率の切り替え近くになると遊技者に第2始動入賞口24に入賞させないように促したりするので、先読み時と変動開始時との結果相違によるウソの先読み演出が実行されるのを防止することができる。
以上、遊技盤20の遊技領域21及び表示装置30における演出について説明した。続いて、本実施形態のクリア部材保持枠5の右側部に設けられる突出演出ユニット200(図45〜図63)、上皿ユニット11に設けられる上皿伝播装飾装置250(図64〜図72)、スピーカ8の構造(図73〜図93)、ヒンジカバー部材503(図94〜図97)、遊技盤係止部材17(図98、図99)、枠製造番号シール位置決め(図100、図101)、前面枠4の裏面に取り付けられる各種ユニット(図102〜図128)及び不正球の発射を防止する切断機構700(図129〜図140)について説明する。
(突出演出ユニット)
まず、図45〜図47を参照して、突出演出ユニット200の構造の詳細について説明する。図45は、左斜め上方から見た時の遊技機枠(前面枠4及びクリア部材保持枠5)の斜視図である。図46は、右斜め上方から見た時の突出演出ユニット200の分解斜視図である。図47は、突出演出ユニット200の横断面図である。
図45に示すように、突出演出ユニット200は、クリア部材保持枠5の右側部に、上右角部分のスピーカ8aの下方からクリア部材保持枠5の右下端まで上下方向に配設される。突出演出ユニット200は、前方(遊技者側)に向かって突出しており、左側(遊技機1の内側、遊技盤20側)の突出面には遊技状態に応じて発光演出を行う側方伝播装飾装置220が配設される。そして、突出演出ユニット200の右側(遊技機1の外側)の突出面には、遊技機1の右側から左側に向かって通行する遊技者に対して演出を行う外側装飾装置221(図46、図47参照)が配設される。
図46及び図47に示すように、突出演出ユニット200は、クリア部材保持枠5の右側部に、複数の内側用LED208(ここでは14個)に対応する開口部5b及び外側用LED209(ここでは8個)に対応する開口部5cを有する。そして、クリア部材保持枠5の右側部の裏面には、それら開口部5b、5cから前方に臨む内側用LED208及び外側用LED209を備えた側方発光基板210と、内側用LED208及び外側用LED209の前方を覆う側方レンズ部材211と、が配設される。
また、突出演出ユニット200は、クリア部材保持枠5の前方に、内側から順に内側レンズ部材202、内側反射部材203、ベース部材204、導光板205及び外側レンズ部材206が備えられる。そして、これらの部材を内包して前方からクリア部材保持枠5の右側部を覆うようにカバーレンズ部材201が取り付けられる。突出演出ユニット200は、内側反射部材203とベース部材204の間を境に側方伝播装飾装置220と外側装飾装置221とに区切られる。ここで、内側反射部材203及びベース部材204は、クリア部材保持枠5の開口部5bと開口部5cとの間に配設される。
側方伝播装飾装置220は、ベース部材204の内側に後端から前端に向かって内側に傾斜する内側反射部材203を配設し、内側用LED208の発光による前方向の光を内側反射部材203で屈折させて左方向の光に変えることで、内側用LED208の左側に配設される内側レンズ部材202及びカバーレンズ部材201を照らし、遊技機1で遊技する遊技者に発光パターンに応じた光演出を見せることができる。なお、側方伝播装飾装置220の発光演出態様の詳細については、図48〜図53を参照して後述する。
外側装飾装置221は、ベース部材204の外側面に導光板205を嵌め込み、外側用LED209の前方に略垂直に配設し、外側用LED209の光を導光板205の後端面から取り入れ、拡散させて均一に面発光することで、導光板205と略平行に設けられる外側レンズ部材206及びカバーレンズ部材201を一定照度で照らし、遊技機1の右側から左側に向かって通行する遊技者に光演出を見せることができる。ここでは、外側レンズ部材206の表面に遊技機メーカ名を記載しているので、遊技場内を通行している遊技者の目にも止まり易く遊技機1をアピールすることができ、高い宣伝効果が得られる。
また、外側装飾装置221は、導光板205の前方正面に外側レンズ部材206の折り返し部206aを設けることで、導光板205を直進した外側用LED209の光によって前方で光演出を行うことも可能である。これにより、遊技を行っている遊技者に対する装飾効果をさらに高めることができる。
このように、突出演出ユニット200は遊技領域21側に遊技者に対する発光演出を行う側方伝播装飾装置220と、その反対側に遊技場を通行中の遊技者に対する発光演出を行う外側装飾装置221とを備えるので、装飾効果を高めることができる。そして、側方伝播装飾装置220の内側反射部材203は外側装飾装置221との境界に配置され、内側用LED208の光を全て遊技領域21側に反射するので、内側用LED208と外側用LED209の光が混ざるのを防止することができる。
〔側方伝播装飾装置〕
続いて、図48〜図53を参照して、側方伝播装飾装置220の発光演出態様の詳細について説明する。
まず、図48は、側方伝播装飾装置220の発光演出態様の一例を示す図である。
側方伝播装飾装置220の表面はカバーレンズ部材201で構成される。カバーレンズ部材201には発光領域201a〜201dがクリア部材保持枠5側の中央から外側に向かって波紋状に形成されている。そして、側方伝播装飾装置220は、内側用LED208によってカバーレンズ部材201の発光領域201a、201b、201c及び201dを順番に照らすことにより、中心から外に向かって光が伝播して波紋状に広がる光の装飾演出を行う。
次に、上述の発光演出を行うための側方伝播装飾装置220の構造について説明する。図49は、左斜め上方から見た時の側方伝播装飾装置220の分解斜視図である。図50は、突出演出ユニット200を外した状態のクリア部材保持枠5の右側部の正面図である。図51は、クリア部材保持枠5の右側部の裏面分解図である。図52は、カバーレンズ部材201及び内側レンズ部材202を外した状態の側方伝播装飾装置220を示す図である。図53は、内側レンズ部材202の右側面図である。
図49に示すように、側方伝播装飾装置220は、クリア部材保持枠5の右側部の開口部5bを含む内側部分と、カバーレンズ部材201と、内側レンズ部材202と、内側反射部材203と、で構成される。
図49〜図51に示すように、クリア部材保持枠5の右側部には内側に14個の開口部5bと、外側に8個の開口部5cとがそれぞれ上下方向に形成されている。図51に示すようにクリア部材保持枠5の裏面には側方レンズ部材211が設けられる。側方レンズ部材211は、上方の第1側方レンズ部材211aと下方の第2側方レンズ部材211bとで構成される。第1側方レンズ部材211a及び第2側方レンズ部材211bの裏面には、開口部5b及び開口部5cに対応する部分に凹部が形成される。そして、第1側方レンズ部材211a及び第2側方レンズ部材211bの後方から図示しない側方発光基板210(図47参照)を合わせると、各凹部に内側用LED208及び外側用LED209が収まる。このような構成により、内側用LED208及び外側用LED209の光が側方レンズ部材211を介してクリア部材保持枠5の前方を照らすことが可能になる。
また、図49及び図52に示すように、内側反射部材203の表面には、略垂直にリブ203a〜203cが配設される。内側反射部材203は、反射率を高めるために銀メッキで形成され、前述したように内側用LED208の前方向の光を屈折させて左方向の光に変える反射板として機能するので、内側(遊技領域21側)を照らすことができる。
本発明では、前述したようにカバーレンズ部材201の複数の発光領域201a〜201dが順に発光する演出を行う(図48参照)。このとき、内側用LED208は、発光領域201a〜201dに対応する順に発光する。
ここで、内側反射部材203の表面には、発光した内側用LED208の光が対応する発光領域以外の発光領域に届かないように、2つの隣り合う発光領域間を仕切るリブ203a、203b及び203cが略垂直に突設される。リブ203aは、カバーレンズ部材201の発光領域201aと発光領域201bの境界を形成する部材である。リブ203bは、カバーレンズ部材201の発光領域201bと発光領域201cの境界を形成する部材である。リブ203cは、カバーレンズ部材201の発光領域201cと発光領域201dの境界を形成する部材である。
内側反射部材203のリブ203a〜203cの後端面は、クリア部材保持枠5に当接する。図52に示すように、リブ203aは14個の開口部5bのうち上から6個目と7個目の開口部5bの間及び上から10個目と11個目の開口部5bの間に配設される。リブ203bは上から4個目と5個目の開口部5bの間及び上から12個目と13個目の開口部5bの間に配設される。リブ203cは上から2個目と3個目の開口部5bの間に配設される。
また、内側反射部材203のリブ203a〜203cの前端面は、内側レンズ部材202の右側面に当接する。このため、図53に示すように、内側レンズ部材202の右側面は、内側反射部材203のリブ203a〜203cが当接する面を平面202a〜202cとし、その他の面を凸凹面(型模様)として形成される。内側レンズ部材202の右側面に前述の表面加工を施すことで、内部の視界を遮って光の透過性と反射をコントロールすることができるとともに、発光した内側用LED208の光が対応しない領域に漏れないようにすることができる。
〔反射部材の別パターン〕
図54は、内側反射部材203及び導光板205の別パターン形状を表す簡易横断面図である。別パターンでは、内側反射部材203及び導光板205を一体化して共通反射部材207を設ける。
共通反射部材207では、外側装飾装置221における導光板205の作用が側方伝播装飾装置220の内側反射部材203と同様の作用に変わる。すなわち、外側装飾装置221は、外側用LED209の発光による前方向の光を共通反射部材207で屈折させて右方向の光に換えることで、外側用LED209の右側に配設される外側レンズ部材206及びカバーレンズ部材201を照らす。
このような共通反射部材207を設けることで、突出演出ユニット200の構成部材数を減らすことができ、製造コストの低減を図ることができる。
〔下方装飾装置〕
また、突出演出ユニット200の下面に、発射ハンドル14付近を照らすことが可能な下方装飾装置222を備えてもよい。図55は、突出演出ユニット200の下方装飾装置222を示す図である。
下方装飾装置222は、突出演出ユニット200の下部に新たに設けられる発光LED基板(図示省略)の発光により、カバーレンズ部材201の下面から突出演出ユニット200の下方を照らし、遊技者に発射ハンドル14の操作を促す演出を行う。
このような下方装飾装置222により下方の発射ハンドル14付近がライトアップされることで、例えば遊技者に右打ちを報知したり、遊技者に遊技球の発射を促したりすることができる。よって、さらに突出演出ユニット200による演出効果を高めることができる。
(突出演出ユニットの別パターン)
また、図56〜図63を参照して、突出演出ユニット200の別パターンについて説明する。本実施形態の突出演出ユニット200は、内側に遊技状態に応じて波紋状に発光演出を行う側方伝播装飾装置220と外側に遊技機1のメーカ名をアピールする外側装飾装置221とを備えていた。以下では、3つの別パターン1〜3について説明する。なお、共通の機能を有する部材については、同じ符号を付して説明を省略する。
(1)まず、図56〜図59を参照して、別パターン1の突出演出ユニット200について説明する。別パターン1では、内側の側方伝播装飾装置220の代わりに内側レンズ部材202に現在の遊技状態を点灯表示する内側装飾装置223を備える。また、外側の外側装飾装置221において、外側レンズ部材206の代わりに遊技機1の機種をアピールする表示内容が描かれた機種依存シート213を備える。そして、導光板205の代わりに、本来の機能以外に機種依存シート213を係止する機能を有した導光板兼プレート係合部材212を備える。
図56は、別パターン1の突出演出ユニット200の横断面図である。図57は、機種依存シートの取り付け構造について説明する図である。なお、カバーレンズ部材201及びベース部材204は構成から外した場合の簡易図である。
図56に示すように、別パターン1の突出演出ユニット200は、前述の実施形態と同様に側方発光基板210を備え、複数の外側用LED209を有するが、内側用LED208は側方発光基板210に対して略垂直に前方に突出して配設される内側反射部材203の左側の面に上下方向に8個設けられる。そして、内側用LED208の光は、内側反射部材203で拡散され内側レンズ部材202を照らす。なお、内側レンズ部材202は前方正面に側方発光基板210の外側用LED209に臨む折り返し部202dを有する。折り返し部202dは、外側用LED209の光によって照らされる。
このほか別パターン1の突出演出ユニット200の基本構造は前述の実施形態と同じであるが、外側用LED209の光は外側レンズ部材206(図47参照)ではなく、機種依存シート213を照らす。
機種依存シート213は、外側用LED209の前方に略垂直に配設される導光板兼プレート係合部材212の右側面に入れ替え可能に取り付けられる。導光板兼プレート係合部材212には、前後及び下方にコの字状のスライド溝を有するスライド取付部212aが形成されている。そして、図57に示すように、機種依存シート213は、導光板兼プレート係合部材212の上方からスライド取付部212aに挿し込むようにして取り付けられる。
このように機種依存シート213は突出演出ユニット200の上方から入れ替え自由な状態になる。そこで、前面枠4には、クリア部材保持枠5を閉じたときに機種依存シート213の上方に位置するシートストッパー4iが突出して設けられる。シートストッパー4iにより導光板兼プレート係合部材212のスライド取付部212aの上方後端部が上から抑えられるので、クリア部材保持枠5が開放されない限り機種依存シート213は入れ替え不可能となる。
図58は、別パターン1の突出演出ユニット200の演出態様の一例を示す図であり、(A)は突出演出ユニット200の内側面(内側レンズ部材202)の表示例、(B)は突出演出ユニット200の外側面(機種依存シート212)の表示例、(C)は突出演出ユニット200の正面(折り返し部202d)の表示例を示す。
突出演出ユニット200の内側レンズ部材202には、図58(A)に示すように8つの遊技状態表示(擬似連、リーチ予告、大当り、Aモード、Bモード、Cモード、確変、通常)が成される。そして、内側用LED208(図57参照)はこれらの遊技状態表示に対応して8個設けられている。遊技者に報知する遊技状態に対応する内側用LED208を発光することで対応する遊技状態表示が点灯するので、遊技者に遊技状態を報知することができる。
また、突出演出ユニット200の機種依存シート213には、図58(B)に示すように遊技機1の機種のキャラクタ(版権絵)が描かれる。そして、遊技進行に応じて外側用LED209(図57参照)を発光することで機種依存シート213が照らされる。
ここで、機種依存シート213は、塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラート等によって形成されたプレートである。機種依存シート213には、遊技機1の遊技盤20のキャラクタ(版権絵)が描かれており、実際にその遊技機1で遊技しておらず遊技機1の右側から左側に向かって通行する遊技者に対してもそのキャラクタの機種であることをアピールする。
また、突出演出ユニット200の正面部分の折り返し部202dには導光板兼プレート係合部材212を介して外側用LED209の光が届く。このため図58(C)に示すように、外側用LED209の色を変化させることで折り返し部202dにおいて遊技状態を報知することができる。例えば、遊技状態が確変中の場合は赤色、電サポ中の場合は黄色、通常遊技中の場合は青色といったように折り返し部202dの照射光を変える。
また、機種依存シート213に、導光板兼プレート係合部材212から容易に取り外せるような構造を形成してもよい。図59は、機種依存シートのつまみ構造について説明する図である。
図59(A)に示すように、機種依存シート213に上端中央にU字の溝213aを形成すれば、遊技者は溝213aをつまむことで容易に機種依存シート213を取り外すことができる。なお、機種依存シート213の取り外しが容易になっても、図59(B)に示すようにクリア部材保持枠5を閉じれば前面枠4のシートストッパー4iに上から押さえられるので、遊技中に機種依存シート213が取り外されたりすることがない。
このように別パターン1の突出演出ユニット200では、内側装飾装置223で遊技機1の遊技状態を正確に遊技者に報知することができる。また、外側装飾装置221に遊技機1の機種を判別可能な機種依存シート213を備えるので、その遊技機1の遊技者以外の遊技者(通行人)にも機種をアピールすることができる。
また、突出演出ユニット200の機種依存シート213は、遊技盤20の取り替えに合わせて交換可能である。枠構成にも機種(遊技盤20の版権)に関した装飾を施すことができるので、遊技機1の装飾に統一感を出すことができる。また、遊技機1の枠構成は複数の機種に用いることができるので低コスト化を実現できる。
また、機種依存シート213は、突出演出ユニット200の導光板兼プレート係合部材212に設けられたスライド取付部212aに上方からスライドして挿入すれば取り付け可能なので、容易に取り替えることができる。
また、スライド取付部212aに挿入された機種依存シート213は、クリア部材保持枠5が閉じた状態では前面枠4のシートストッパー4iによって押さえられるので、遊技中に機種依存シート213が外れてしまうこともない。
(2)次に、図60を参照して、別パターン2の突出演出ユニット200について説明する。別パターン2では、突出演出ユニット200の内側及び外側に演出制御装置150によって表示制御される内側表示器224及び外側表示器225が設けられる。
図60は、別パターン2の突出演出ユニット200の演出態様の一例を示す図であり、(A)は突出演出ユニット200の内側面(内側表示器224)の表示例、(B)は突出演出ユニット200の外側面(外側表示器225)の表示例を示す。
別パターン2の突出演出ユニット200は内側面及び外側面の両面が表示器として機能する。ここでは片面に面発光の表示面を設けた2枚の表示パネルを合わせて表裏を視認可能とし、2枚の表示パネルの非表示面を背中合わせにすることで、各表示パネルの表示面が内側の表示パネル(内側表示器)224と外側の表示パネル(外側表示器)225とを構成する。なお、表示パネルには、液晶や有機ELが用いられる。
内側表示器224及び外側表示器225は、遊技盤20の裏面に取り付けられる演出制御装置150によって表示制御され、図60(A)に示すように実際に遊技を行っている遊技者が視認可能な内側表示器224には現在の遊技状態を報知する表示が実行される。また、図60(B)に示すように、右から左に通行する遊技者が視認可能な外側表示器225には遊技機1の機種キャラクタ(遊技盤20の要素)が前述の機種依存シート213(図58参照)のように静止画ではなく動画で表示される。
なお、内側表示器224及び外側表示器225は、表裏両方から視認可能な1枚の表示パネルで構成されてもよい。1枚の表示パネル領域を内側表示器224の表示領域と外側表示器225の表示領域とに分けてもよいし、内側表示器224又は外側表示器225のどちらかの表示領域として片側のみ視認可能にしてもよい。
このように別パターン2の突出演出ユニット200では、動画表示を実行可能な内側表示器224及び外側表示器225を備えるので、単一な表示を行う前述の突出演出ユニット200よりもより高い装飾効果が得られる。また、内側表示器224及び外側表示器225の表示は演出制御装置150によって制御されるので、遊技機1の現在の遊技状態や遊技盤20の要素を反映した表示制御が実行可能であり、さらに高い演出効果が得られる。
(3)続いて、図61〜図63を参照して、別パターン3の突出演出ユニット200について説明する。別パターン3では、別パターン2の突出演出ユニット200の内側表示器224及び外側表示器225を第1突出表示装置230とし、さらに第1突出表示装置230の前方にスライドして突出する第2突出表示装置231を備える。
図61は、別パターン3の突出演出ユニット200の演出態様の一例を示す図であり、(A)は突出演出ユニット200の上面図の態様変化例、(B)は突出演出ユニット200の右側面図の態様変化例を示す。
図61(A)及び(B)に示すように、別パターン3の突出演出ユニット200は、別パターン2の第1突出表示装置(内側表示器224及び外側表示器225)230の内部に前方にスライドして延びるスライド突出表示器(第2突出表示装置)231を備える。突出演出ユニット200は、通常状態では第1突出表示装置230のみで機種キャラクタを表示するが、所定条件が成立した場合には第1突出表示装置230だけでなく第2突出表示装置231と一体となって機種キャラクタを表示する。このとき表示される機種キャラクタは第2突出表示装置231の突出前後で変形して表示される。
続いて、第1突出表示装置230及び第2突出表示装置231の制御について説明する。図62は、別パターン3の演出制御装置150の構成のうち実施形態(図7)と異なる構成についてのみ説明する簡易ブロック図である。
演出制御装置150には、第2突出表示装置231内の突出部駆動モータ232の初期位置を検出する第1突出部位置検出センサ231aのオン/オフ状態、突出完了位置を検出する第2突出部位置検出センサ231bのオン/オフ状態を検出した検出信号が入力される。そして、演出制御装置150は、検出信号に基づいて第2突出表示装置231をスライド可動する突出部駆動モータ232を駆動制御する。なお、第2突出表示装置231のスライド可動に係る駆動制御処理は、演出制御装置150の主制御用マイコン(1stCPU)151によって実行される。
また、第1突出表示装置230及び第2突出表示装置231の表示内容に係る映像制御処理は、演出制御装置150の映像制御用マイコン(2ndCPU)152によって実行される。
図63は、別パターン3の第2突出表示装置駆動制御処理の手順を示すフローチャートである。第2突出表示装置駆動制御処理は、前述のメイン処理(図30)におけるモータ/SOL制御処理(S2717)の一つであり、演出制御装置150の主制御用マイコン(1stCPU)151によって実行される。
主制御用マイコン(1stCPU)151は、まず、第2突出部位置検出センサ231bがオンになったか否か、すなわち第2突出表示装置231のスライド可動が完了したか否かを判定する(S6601)。
主制御用マイコン(1stCPU)151は、第2突出部位置検出センサ231bがオンになっていない場合には(S6601の結果が「N」)、第1突出部駆動モータフラグがオンであるか否かを判定する(S6602)。第1突出部駆動モータフラグは、突出部駆動モータ232を正回転させて第2突出表示装置231を前方に突出させる場合にオン状態となる。そして第1突出部駆動モータフラグがオンでない場合には(S6602の結果が「N」)、遊技状態が第1所定条件を成立(例えば、リーチや所定の遊技状態の発生)したか否かを判定する(S6603)。第1所定条件が成立していない場合には(S6603の結果が「N」)、まだ第2突出表示装置231を用いた演出を行うタイミングではないので、第2突出表示装置駆動制御処理を終了する。
一方、主制御用マイコン(1stCPU)151は、第1所定条件が成立した場合には(S6603の結果が「Y」)、第2突出表示装置231を前方に出すために第1突出部駆動モータフラグをオンにする(S6604)。その後、第2突出表示装置駆動制御処理を終了する。
遊技状態が第1所定条件を成立すると第1突出部駆動モータフラグがオン状態になるので、主制御用マイコン(1stCPU)151は、前述のS6602の処理の結果を「Y」と判定する。そして、再度第2突出部位置検出センサ231bがオンになったか否かを判定する(S6605)。ここで第2突出部位置検出センサ231bがオンでない場合には(S6605の結果が「N」)、突出部駆動モータ232を正回転駆動して(S6606)、第2突出表示装置駆動制御処理を終了する。なお、第2突出表示装置231のスライド可動が完了するまで、S6601→S6602→S6605→S6606の処理が繰り返され、第2突出表示装置231が前方に突出される。
そして、主制御用マイコン(1stCPU)151は、突出部駆動モータ232を駆動して(このとき第1突出部駆動モータフラグがオン状態)第2突出表示装置231のスライド可動が完了したら(S6605の結果が「Y」)、突出部駆動モータ232を停止し(S6607)、第1突出部駆動モータフラグをオフにして(S6608)、第2突出表示装置駆動制御処理を終了する。
ここで、第2突出表示装置231の前方への突出が完了すると、主制御用マイコン(1stCPU)151は、前述のS6601の処理の結果を「Y」と判定する。そして、第2突出部駆動モータフラグがオンであるか否かを判定する(S6609)。第2突出部駆動モータフラグは、突出部駆動モータ232を逆回転させて第2突出表示装置231を後方に戻す場合にオン状態となる。そして第2突出部駆動モータフラグがオンでない場合には(S6609の結果が「N」)、遊技状態が第2所定条件を成立(例えば、リーチの外れ結果、所定の遊技状態の終了)したか否かを判定する(S6610)。第2所定条件が成立していない場合には(S6610の結果が「N」)、まだ第2突出表示装置231を初期位置に戻すタイミングではないので、第2突出表示装置駆動制御処理を終了する。
一方、主制御用マイコン(1stCPU)151は、第2所定条件が成立した場合には(S6610の結果が「Y」)、第2突出表示装置231を後方の初期位置に戻すために第2突出部駆動モータフラグをオンにする(S6611)。その後、第2突出表示装置駆動制御処理を終了する。
遊技状態が第2所定条件を成立すると第2突出部駆動モータフラグがオン状態になるので、主制御用マイコン(1stCPU)151は、前述のS6609の処理の結果を「Y」と判定する。そして、第1突出部位置検出センサ231aがオンになったか否かを判定する(S6612)。ここで第1突出部位置検出センサ231aがオンでない場合には(S6612の結果が「N」)、突出部駆動モータ232を逆回転駆動して(S6613)、第2突出表示装置駆動制御処理を終了する。なお、第2突出表示装置231のスライド可動が完了するまで、S6601→S6609→S6612→S6613の処理が繰り返され、第2突出表示装置231が後方の初期位置に戻される。
そして、主制御用マイコン(1stCPU)151は、突出部駆動モータ232を駆動して(このとき第2突出部駆動モータフラグがオン状態)第2突出表示装置231のスライド可動が完了したら(S6612の結果が「Y」)、突出部駆動モータ232を停止し(S6614)、第2突出部駆動モータフラグをオフにして(S6615)、第2突出表示装置駆動制御処理を終了する。
このように別パターン3の突出演出ユニット200では、遊技状態に応じてスライドして現れる第2突出表示装置231を備えるので、突出演出ユニット200における演出効果をさらに高めることができる。
(上皿伝播装飾装置)
次に、図64〜図73を参照して、上皿ユニット11の上皿伝播装飾装置250の詳細について説明する。上皿ユニット11の上面中央には演出ボタン13と、演出ボタン13の前縁に沿って周囲に上皿伝播装飾装置250と、が配設される。
まず、図64〜図67を参照して、演出ボタン13の上皿ユニット11への取り付けについて説明する。図64は、演出ボタン13及び上皿ユニット11の分解斜視図である。図65は、演出ボタン13を取り外した状態の上皿ユニット11の上面図である。図66は、演出ボタン13を設置した状態の上皿ユニット11の下面図である。図67は、演出ボタン13及び上皿ユニット11の正面図である。
前述したように上皿ユニット11は、クリア部材保持枠5の下部に設置されている(図1、図2参照)。上皿ユニット11は、遊技機1の前方に突出する突出ユニットとして構成されている。
図64に示すように、上皿ユニット11の上面中央位置には開口部11aが形成されており、上皿ユニット11の前側に設置される上皿伝播装飾装置250のカバーレンズ部材251の上面中央位置にも開口部252が形成されている。これら開口部11a,252は演出ボタン13を上皿ユニット11内に挿入可能とするためのものであり、演出ボタン13の下側が開口部11a,252を介して上皿ユニット11内に配設される。
演出ボタン13は、当該演出ボタン13の底面に下方に突出形成された4個の軸部13a(図67参照)、及び上皿ユニット11の底面(下面)に形成された4個の支持部材37を介して、上皿ユニット11に着脱自在に設けられる。上皿ユニット11の支持部材37は、演出ボタン13の軸部13aと対応する位置に形成されており、軸部13aを挿通させる挿通孔37aを有している。
また、図65に示すように、上皿ユニット11の底面前部には、中継基板38が取り付けられている。中継基板38は、開口部11a,252に臨む位置に、演出ボタン13からの演出ボタン用電気配線13b(図64参照)を中継可能な接続コネクタ38aが設けられている。このように接続コネクタ38aを開口部11a,252に臨む位置に設けることで、演出ボタン13の演出ボタン用電気配線13bの抜き差しが容易になり、演出ボタン13の取り付け作業や取り外し作業をより簡易なものとすることができる。
また、図66に示すように、上皿ユニット11の支持部材37の底部には上下方向に貫通する貫通孔11bが形成されており、上皿ユニット11の支持部材37の下側から当該貫通孔11bにねじ39が挿入され、ねじ39のねじ部が演出ボタン13の軸部13aのねじ穴(図示省略)に螺合する。演出ボタン13はねじ39を介して上皿ユニット11に着脱自在に設けられるので、演出ボタン13の取り付け作業や取り外し作業が容易となる。
このとき、ねじ39の頭部は上皿ユニット11の底面(貫通孔11b)からその頭部が出ない。上皿ユニット11の底面より内側にねじ39の頭部を収容することで、演出ボタン13がねじ39によって固定されていることが分かりにくくなり、ねじ39が不正に取り外されることを防止することができる。
図64〜図67に示すように、演出ボタン13は、中継基板38の接続コネクタ38aに演出ボタン用電気配線13bを挿し込み、上皿ユニット11の底面の支持部材37の挿通孔37aに軸部13aを挿入してねじ39によって互いを締結することで、上皿ユニット11に固定される。
また、上皿ユニット11の支持部材37は、遊技機1の前方側に傾斜するように構成されている(図64参照)。そのため、支持部材37に支持される演出ボタン13も遊技機1の前方側に傾いた状態となる。これにより、演出ボタン13の操作面を遊技者に向かって配設することができ、操作性を高めることが可能となる。
続いて、図68〜図72を参照して、上皿ユニット11に配設される上皿伝播装飾装置250について説明する。
まず、図68〜図70を参照して、上皿伝播装飾装置250の構成について説明する。図68は、上皿伝播装飾装置250を含む上皿ユニット11の分解斜視図である。図69は、上皿伝播装飾装置250を構成するリブレンズ部材255を斜め下方から見た時の斜視図である図70は、上皿伝播装飾装置を構成する中継基板について説明する図であり、(A)は装飾装置を構成する中継基板の平面図であり、(B)リブレンズ部材の平面図であり、(C)はリブレンズ部材を設置した状態の中継基板の平面図である。
図68に示すように、上皿伝播装飾装置250は、演出ボタン13の周囲を取り囲むように上皿ユニット11に配設されており、遊技状態に応じて発光演出(装飾演出)を行う演出装置である。上皿伝播装飾装置250は、上皿ユニット11の底面に固定される中継基板38と、中継基板38の上方に配設されるリブレンズ部材255と、リブレンズ部材255の上方に配設される内側レンズ部材260と、中継基板38やリブレンズ部材255、内側レンズ部材260を取り囲むように設けられるカバーレンズ部材251と、を備える。
中継基板38は、演出ボタン13からの演出ボタン用電気配線13b(図64参照)を中継する基板である。中継基板38と演出制御装置150とは別の電気配線(図示省略)を介して接続されるが、中継基板38と演出制御装置150とを接続する電気配線は、上皿ユニット11の背面壁に形成された開口部11cを通じて遊技機1の裏面側に引き出され、演出制御装置150まで導かれる。
図68及び図70(A)に示すように、中継基板38の上面には、演出ボタン13からの演出ボタン用電気配線13bに対して接続可能に構成された接続コネクタ38aと、複数のLED38bとが設けられる。LED38bは、遊技状態に応じて発光する発光源である。LED38bから発せられた光は、リブレンズ部材255及び内側レンズ部材260を介して拡散され、カバーレンズ部材251を透過して遊技者に視認されるようになっている。
図68、図69及び図70(B)に示すように、リブレンズ部材255は、中継基板38の上面を覆うように形成された透明樹脂部材である。リブレンズ部材255は、演出ボタン13の側部を挿通させる略U字状の切欠として形成された挿通部256を有している。
また、リブレンズ部材255は、レンズ上面257から上下両方向に突出するリブ258を複数備えている。リブ258は、上皿ユニット11に設置された演出ボタン13の外周に対応して円弧状に延設された壁部である。これらリブ258は、上皿ユニット11に設置された演出ボタン13を中心として、同心円状に並んで配置されている。
図70(C)に示すように、リブレンズ部材255を中継基板38の上方に設置した状態では、中継基板38のLED38bは、リブレンズ部材255のリブ258の下端面に対向するように位置する。つまり、LED38bは、リブレンズ部材255のリブ258の円弧形状に対応して、中継基板38上に円弧状に並設されている。
また、図69に示すように、LED38bと対向する位置におけるリブ258の下端面には、凹部259が形成されている。リブ258の凹部259は、LED38bから発せられた光を当該リブ258に沿って拡散させるものである。
なお、リブ258が設けられる部分を除くリブレンズ部材255のレンズ上面257には、複数の装飾溝が並設されている。LED38bから発せられた光は、これら装飾溝によっても拡散される。
図68に示すように、内側レンズ部材260は、リブレンズ部材255の上面を覆うように形成された透明樹脂部材である。内側レンズ部材260は、演出ボタン13の側部を挿通させる略U字状の切欠として形成された挿通部261を有している。
また、内側レンズ部材260は、リブレンズ部材255のリブ258に対応する位置が上に凸となるように形成された凸部262を備えている。凸部262は、リブレンズ部材255のリブ258に対応して形成され、円弧状に延設されている。
また、カバーレンズ部材251は、透光性を有するカバー部材であって、中継基板38、リブレンズ部材255及び内側レンズ部材260を取り囲むように上皿ユニット11の前側部分に固定される。
前述のように構成される上皿伝播装飾装置250は、遊技状態に応じて中継基板38のLED38bを発光させることで、発光演出(装飾演出)を実行する。
次に、図71及び図72を参照して、上皿伝播装飾装置250を用いた発光演出(装飾演出)について説明する。
図71(A)〜図71(D)は、遊技機1における発光演出を説明するための遊技機1の正面図である。図72(A)〜図72(C)は、演出ボタン13及び上皿伝播装飾装置250の発光演出を説明するための演出ボタン13及び上皿伝播装飾装置250の模式図である。なお、図72(A)〜図72(C)に示す上皿伝播装飾装置250では、カバーレンズ部材251及び内側レンズ部材260の記載を省略している。
遊技機1での遊技中に、演出ボタン13の操作を実行する条件(操作有効条件)が成立すると、図71(A)に示すようにクリア部材保持枠5の左側部に位置する装飾装置7が発光し、次に図71(B)に示すようにクリア部材保持枠5の上部中央に位置する装飾装置6が発光する。続いて、図71(C)に示すようにクリア部材保持枠5の右側部に設けられた突出演出ユニット200が発光する。その後、演出ボタン13の全てのLED(図示省略)が点灯することで、図71(D)及び図72(A)に示すように演出ボタン13の操作部全体が発光する。本実施形態の遊技機1は、演出ボタン13の操作実行条件成立時に、クリア部材保持枠5等の外縁に沿って配置された各種装置が、図71(A)〜図71(D)に示すように時計回りに順番に発光するように構成されている。
そして、図72(A)に示すように発光している演出ボタン13を遊技者が操作すると、演出ボタン13のLEDが消灯する。演出ボタン13のLEDの消灯と同時に、上皿伝播装飾装置250による発光演出が開始される。
図72(B)に示すように、上皿伝播装飾装置250のリブレンズ部材255のうち最も演出ボタン13寄りの位置にあるリブ258の下方に位置する一群のLED38bが所定時間点灯することで、遊技機1の中央側のリブ258が発光し、円弧ライン状の光が浮かび上がる。
図72(B)に示した中央側のリブ258の発光が終了すると、図72(C)に示すように、当該中央側のリブ258の外側に位置するリブ258の下方に位置する一群のLED38bが所定時間点灯する。このように、遊技機1の中央側から外側の順番で各リブ258を発光させることで、遊技機1中央から外側に向かって光が波紋状に広がるような発光演出が行われる。
前述の上皿伝播装飾装置250は、演出ボタン13の側部外周を取り囲むように上皿ユニット11に配設されているので、遊技者から見えやすい位置で装飾演出を実行でき、演出ボタン13周りの装飾性を高めることができる。
また、上皿伝播装飾装置250は、演出ボタン13が操作された場合に発光演出を実行するので、演出ボタン13の操作状態に応じた発光演出(装飾演出)を行うことができ、上皿伝播装飾装置250による装飾性をより高めることが可能となる。
上皿伝播装飾装置250は、演出ボタン13が操作された場合に、中央側から外側の順番でリブレンズ部材255の各リブ258を発光させるので、演出ボタン13を中心に光が波紋状に広がる発光演出を行うことができ、上皿伝播装飾装置250による装飾性をさらに高めることが可能となる。
前述した側方伝播装飾装置220及び上皿伝播装飾装置250のように遊技領域21を中心に外側に向かって波紋状に発光が伝播される発光演出を行うことで、発光演出における視覚的効果及び装飾効果をさらに高めることができる。
(スピーカ装置)
次に、図73〜図93を参照して、前面枠4及びクリア部材保持枠5に配設されるスピーカ8について説明する。まず、図73〜図86を参照して、クリア部材保持枠5の上右角部分及び上左角部分に配設される上スピーカ8aについて説明する。
図73は、クリア部材保持枠5及び上スピーカ8aの分解斜視図である。クリア部材保持枠5は、後方のベース部材501に前面部材502が取り付けられて構成される。そして、クリア部材保持枠5の前面部材502は、上側に2つの上スピーカ8a及び装飾装置6、左側に装飾装置7、右側に突出演出ユニット200、下側に上皿ユニット11、さらに下側に下スピーカ8bが配設されて構成される。
ここで、右上スピーカ8aは後方の第1スピーカ収納部材813及び第2スピーカ収納部材814(図77参照)によって密閉収納される。そして、右上スピーカ8aの周縁に設けられる発光機能(図74)とともに右上スピーカ装置810を構成する。右上スピーカ装置810は、遊技者からは右上スピーカ8aの前面の網部のみが視認可能となり、その周りは装飾装置6のスピーカ装飾部材6aによって被覆される。同様に、左上スピーカ8a及び左下スピーカ8bは、それぞれ左上スピーカ装置820及び左下スピーカ装置830を構成している。
続いて、右上スピーカ装置810について説明する。図74は、右上スピーカ装置810の前面図である。図75は、右上スピーカ装置810の斜視分解図である。図76は、右上スピーカ装置810のビス留め構造を示す断面図であり、(A)はA−A断面図、(B)はB−B断面図である。図77は、右上スピーカ8aとスピーカ収納部材813,814の斜視分解図である。
図74及び図75に示すように、右上スピーカ装置810は、音を出力する右上スピーカ8aの周縁にスピーカレンズ部材811とスピーカ発光基板812とを備え、これらによる発光演出も可能としている。第1スピーカ収納部材813は、中央に右上スピーカ8aを収納する筒部813aと、その筒部813aの周りにリング状のスピーカ発光基板812が取り付いた同じくリング状のスピーカレンズ部材811がビス留めされるレンズ螺着凸部813bと、を有している。
スピーカ発光基板812には、前面に12個のLED812aが2個ずつ均等に配設され、スピーカレンズ部材811にビス留めするためのビス孔812bが三か所設けられている。
スピーカレンズ部材811には、スピーカ発光基板812のLED812aに対応する位置にLEDを収納するためのLED収納凸部811aが前面に突出して設けられ、さらにスピーカ発光基板812のビス孔812bに対応した位置にビス孔812bに通したビス812cを螺合する基板螺着凸部811bが前面に突出して設けられている。そして、右上スピーカ装置810の右側のLED収納凸部811aの前面には導光部811cが2箇所配設される。導光部811cは、他のLED収納凸部811aよりも突出量が少ないLED収納凸部811aに対して設けられる。これによりスピーカ装飾部材6aを介して遊技者に視認されるLED812aの発光度合を均一にすることができる。なお、LED812aの発光態様については図80にて後述する。また、スピーカレンズ部材811には、第1スピーカ収納部材813にビス留めするためのビス孔811dが三か所設けられている。
ここで、図74に示すA−A断面及びB−B断面について、スピーカレンズ部材811、スピーカ発光基板812及び第1スピーカ収納部材813の取り付け構造を説明する。
図75及び図76(A)に示すように、まず、スピーカ発光基板812の後方からビス812cがビス孔812bを通過してスピーカレンズ部材811の基板螺着凸部811bに螺合される。これにより、スピーカ発光基板812がスピーカレンズ部材811に取り付けられる。このとき、図76(B)に示すように、スピーカ発光基板812の前面のLED812aは、スピーカレンズ部材811のLED収納凸部811aの空間に納められる。
次に、スピーカ発光基板812と一体となったスピーカレンズ部材811の前方からビス811eがビス孔811dを通過して第1スピーカ収納部材813のレンズ螺着凸部813bに螺合される。これによりスピーカレンズ部材811が第1スピーカ収納部材813に取り付けられる。
続いて、右上スピーカ装置810の右上スピーカ8aについて説明する。図77に示すように、右上スピーカ8aは、後方の第1スピーカ収納部材813の筒部813aに挿入される。筒部813aの先端には右上スピーカ8aとの取付面813cが設けられており、取り付けられた状態で右上スピーカ8aは筒部813aから網部のみが露出される。
右上スピーカ8aは、内部の電磁石及びコーン型振動板(図示省略)によって空気を振動させ、その空気の振動を後方の第1スピーカ収納部材813及び第2スピーカ収納部材814によって内部に形成される密閉空間で共鳴させることによって音を出力する。なお、一般的にスピーカ装置において、第1スピーカ収納部材813及び第2スピーカ収納部材814のような閉塞空間を形成する箱体をエンクロージャと称する。ここで右上スピーカ装置810と同様の構造を左上スピーカ装置820及び左下スピーカ装置830も有しているが、各エンクロージャの空間体積は略同一になるよう構成される。
また、第2スピーカ収納部材814の背面にはスピーカ凹部814aが形成されている。以下に、図78及び図79を参照して、スピーカ凹部814aについて説明する。
図78は、右上スピーカ装置810の背面斜視図である。図79は、右上スピーカ装置810を含む遊技機1の縦断面を示す図であり、(A)は縦断面位置を示す図であり、(B)は縦断面図である。
図78及び図79に示すように、右上スピーカ装置810の背面は第2スピーカ収納部材814によって構成され、この背面がクリア部材保持枠5のベース部材501に取り付けられる。そして、右上スピーカ装置810の前面からクリア部材保持枠5の前面部材502(スピーカ装飾部材6a)によって右上スピーカ8aの網部のみを遊技者から視認可能として他を被覆され、前面部材502がベース部材501に取り付けられることで、右上スピーカ装置810は固定される。
図78に示すように、第2スピーカ収納部材814の背面には、前方に一部凹んだスピーカ凹部814aが設けられる。スピーカ凹部814aは、境界814bのラインに沿って第2スピーカ収納部材814の下方一部を切り欠くように設けられる。図79を参照して、スピーカ凹部814aによる効果を説明する。
図79(A)に示すように右上スピーカ装置810が遊技領域21を一部覆う位置における遊技機1の縦断面(A−A断面)を見ると、図79(B)に示すように、右上スピーカ装置810を含むクリア部材保持枠5は、遊技領域21を被覆するクリア部材5aと正面視で重複するクリア部材重複部815を有する。クリア部材重複部815は、右上スピーカ装置810及びスピーカ装飾部材6aの下部からなる。
ここで、右上スピーカ装置810のスピーカ凹部814aの境界814bは、遊技盤20の遊技領域21を区画するガイドレール21aに沿って設けられている。このため、クリア部材保持枠5のベース部材501を右上スピーカ装置810の境界814bに沿った形状にすることで、クリア部材重複部815とクリア部材5aとの間の空間816を設けることが可能になる。
このような空間816がクリア部材5aとクリア部材重複部815との間に設けられることで、クリア部材重複部815よりも下方に位置する遊技者の視点からは、図中の点線矢印に示すように空間816を通してガイドレール21a端の遊技領域21まで視認可能となる。したがって、空間816は、クリア部材重複部815によって遊技者が視認可能な遊技領域21が狭まるのを防ぎ、全遊技領域21を視認可能にする遊技領域視認可能空間として機能する。
このように、クリア部材重複部815を設けることでクリア部材保持枠5の上右角に備える右上スピーカ装置810を大きくすることができるので、右上スピーカ装置810による音出力や発光演出をダイナミックにして演出効果を高めることが出来る。そして、クリア部材重複部815とクリア部材5aとの間に遊技領域視認可能空間816を設けることで、遊技者の視認可能な遊技領域21を維持した上で前述の演出効果を得ることができる。
さらに、図80〜図83を参照して、右上スピーカ装置810の発光演出について説明する。図80は、右上スピーカ装置810及び左上スピーカ装置820の発光演出態様を示す図である。図81は、スピーカ装飾部材の分解斜視図である。図82は、右上スピーカ装置の背面図である。図83は、後方発光パターンの態様を示す図である。
前述したように、右上スピーカ装置810は、右上スピーカ8aの周縁に12個のLED812aが設けられている。そして、図80に示すようにLED812aは、前面を被覆するスピーカ装飾部材6aの区画リブ862b(図82参照)によって2個ずつの領域に区画される。これにより、特定の2個のLED812aが発光した際、隣り合う領域には光が届かない。そして各領域が図中矢印に示すように順番に点灯したり、全領域が一斉に点灯したり、特定の領域が点滅したりするなど遊技状態に応じて発光態様が異なる多様な発光演出が可能である。また、右上スピーカ8aの音演出と関連付けた発光演出を行うこともできるので、より演出効果を高めることができる。
図81及び図82に示すように、装飾装置6の右上スピーカ装置810を内包するスピーカ装飾部材6aは、クリア部材保持枠5の上右角を形成する第1スピーカ装飾部材861と、右上スピーカ装置810の前方を被覆する第2スピーカ装飾部材862及び第3スピーカ装飾部材863とを有する。右上スピーカ装置810は、スピーカ装飾部材6aが組み上げられた後に後方から設置される。
第3スピーカ装飾部材863は、右上スピーカ8aと第1スピーカ収納部材813との取付面813c(図77参照)を前方から被覆し、中央の開口部863aから右上スピーカ8aの網部を遊技者から視認可能に露出させる。第2スピーカ装飾部材862は、右上スピーカ8aの網部及び第3スピーカ装飾部材863を露出させる開口部862aを有し、右上スピーカ装置810の発光機能を有するスピーカレンズ部材811(図74参照)を前方から被覆する。第2スピーカ装飾部材862には、2本一組みの区画リブ862bが6箇所後方に向かって突設されている。区画リブ862bは、スピーカ装飾部材6aに右上スピーカ装置810が取り付けられた状態で、隣り合う区画リブ862b間にLED812aを2個収め、スピーカレンズ部材811の前面に当接するよう設けられる。また、第2スピーカ装飾部材862の後面は、LED812aの光を拡散する凹凸面が形成されている。第1スピーカ装飾部材861に、後方から第2スピーカ装飾部材862、第3スピーカ装飾部材863が順に嵌め込まれることで、取付部861c、861dそれぞれの後面に第2スピーカ装飾部材862の取付部862c、862dが当接し、さらに後面に第3スピーカ装飾部材863の取付部863c、863dが当接する。これら取付部861c、862c及び863cをビス留めし、同様に取付部861d、862d及び863dもビス留めすることで、第1スピーカ装飾部材861、第2スピーカ装飾部材862及び第3スピーカ装飾部材863が一体となって固定されスピーカ装飾部材6aを構成する。
そして、同様のスピーカ装飾部材6aが装飾装置6の左角にも設けられている。また、双方のスピーカ装飾部材6aの間は、第1上部スピーカ装飾部材864と、複数のLEDを有する第2上部スピーカ装飾部材865と、第3上部スピーカ装飾部材866とで構成される。そして、第1上部スピーカ装飾部材864と第3上部スピーカ装飾部材866との間に配設される第2上部スピーカ装飾部材865のLEDによる発光が図71で述べた上皿伝播装飾装置250を用いた発光演出に用いられる。
(スピーカ装置の背面発光演出)
また、右上スピーカ装置810の前面に配設されるLED812aの発光演出において、遊技領域21の前方に位置するLED812aの区画領域が点灯した場合に、その区画領域の背面も点灯するようにしてもよい。図83を参照して説明する。
図83は、後方発光パターンの態様を示す図であり、(A)は配置の概念断面図、(B)は発光態様を示す。図83(A)に示すように、右上スピーカ装置810のクリア部材重複部815の背面には、遊技領域視認可能空間816に臨んで後方の遊技領域21を照射可能な後方遊技領域照明部材818が設けられる。
そして、図83(B)に示すように、後方遊技領域照明部材818の発光により、後方の遊技領域21を照らすことができる。遊技領域21を囲むクリア部材保持枠5上の装飾演出だけでなく、遊技領域21を明るく照らすことができるので、遊技者に大きなインパクトを与えることができ装飾効果が高まる。また、後方遊技領域照明部材818の前方に配設されるLED812aが発光するタイミングで発光することで、右上スピーカ8a周りの6つの区画領域の回転点灯演出が単調にならず高い装飾効果が得られる。
(遊技領域視認可能空間の変形例)
また、本実施形態では、右上スピーカ装置810とクリア部材5aとの間にスピーカ凹部814aに沿った遊技領域視認可能空間816を設けたが(図79参照)、これに限らない。図84を参照して、変形例の遊技領域視認可能空間について例を挙げる。
図84は、遊技領域視認可能空間816の変形例を示す図である。変形例では、右上スピーカ装置810の下方とクリア部材5aとの間にスピーカ凹部814aを形成することなく、右上スピーカ装置810及び周りのスピーカ装飾部材6aの下面をクリア部材5aから前方に向かって下り傾斜する傾斜面817とする。すなわち傾斜面817は、クリア部材重複部815の後方上端から前方下端に亘って下り傾斜するので、縦断面において遊技領域視認可能空間816は後方に向かって上下高さが大きくなる三角断面となる。
遊技領域視認可能空間816は、クリア部材5aとクリア部材重複部815とが直接接することなく両者間に所定以上の前後方向の距離を有する空間であればよい。ここで所定以上の前後方向の距離とは、遊技機1の前に着席した遊技者が遊技領域21の上方のガイドレール21aを見たときの視線を妨げない距離をいう。
このように右上スピーカ装置810の一部が遊技領域21の前方を覆っても、遊技者のガイドレール21aまでの視線を妨げない遊技領域視認可能空間816を設けることで、遊技領域を狭めて妨害することなく迫力ある音演出を遊技者に提供することができ、装飾効果を向上させることができる。
(スピーカ装置の代替例)
なお、本実施形態では、クリア部材保持枠5の上右角及び上左角にそれぞれ右上スピーカ装置810及び左上スピーカ装置820を備えたが、スピーカ装置に限らない。図85及び図86を参照して、代替例について例を挙げる。
図85は、代替例の遊技機1の正面図である。図86は、代替例の可動装置の演出態様を示す図である。代替例では、右上スピーカ装置810及び左上スピーカ装置820の代わりにそれぞれ右可動装置850及び左可動装置855が備えられる。
図85に示すように、右可動装置850及び左可動装置855は、クリア部材保持枠5の前方にその本体が露出している。そして、図86(A)に示すように、クリア部材保持枠5に内包される右可動軸851及び左可動軸856が遊技領域21に向かって矢印の方向にそれぞれ回動することで、図86(B)に示すように右可動装置850及び左可動装置855は、遊技領域21の前方に現れる。
このとき、右可動装置850及び左可動装置855の背面には、可動後も全遊技領域21が視認できるよう遊技領域視認可能空間853及び遊技領域視認可能空間858がクリア部材5aとの間に設けられている。遊技領域視認可能空間853は、遊技領域21(クリア部材5a)との重複領域が最大になるときに生じる右可動装置850のクリア部材重複部852に対応して形成される。遊技領域視認可能空間858も同様に遊技領域21との重複領域が最大になるときに生じる左可動装置855のクリア部材重複部857に対応して形成される。
このように、右可動装置850の可動に伴ってクリア部材重複部852及び遊技領域視認可能空間853はそれらの位置及び範囲の少なくとも一方が変化する。同様に、左可動装置855の可動に伴ってクリア部材重複部857及び遊技領域視認可能空間858はそれらの位置及び範囲の少なくとも一方が変化する。これにより、右可動装置850及び左可動装置855が可動しても常に遊技者は全遊技領域21を視認できる。よって、遊技者の視認可能な遊技領域21を維持した上で、遊技領域21の前方に可動するスケールが大きく迫力ある演出を行うことができ、演出効果を高めることができる。
(エンクロージャ)
前述したように一般的なスピーカは、内部の電磁石及びコーン型振動板(図示省略)によって空気を振動させ、その空気の振動を後方のエンクロージャで共鳴させることによって音を出力している。エンクロージャがないままではスピーカの音波は前方及び後方の音が合成されて弱め合ってしまい、特に低音が出にくい。そこで本実施形態のエンクロージャは、スピーカの後方から出る音を前方に出さないようにスピーカの後方を密閉し、前面から出る音波と干渉しないようにしている。このような密閉型エンクロージャでは、その箱の中に密封された空気がバネとなり、振動板の動作に影響を与えるので、エンクロージャの容積でスピーカの低域特性が決まるといえる。
そこで、本実施形態では、遊技機1に備える4つのスピーカ8a、8bの特性を均一にするため、スピーカ装置810〜840にそれぞれ略同じ容積のエンクロージャを設けている。しかし、遊技機1の開閉枠3には他に装飾装置や遊技装置が設けられており、特に遊技機1の下方に左下スピーカ装置830及び右下スピーカ装置840を配設するのは容易ではない。
以下では図87〜図93を参照して、遊技機1の下方に配設される左下スピーカ装置830及び右下スピーカ装置840における遊技機1への配設特有の構造について説明する。
まず、図87及び図88を参照して、左下スピーカ装置830について説明する。図87は、左下スピーカ装置830の斜視図である。図88は、左下スピーカ装置830及び上皿ユニット11を含むクリア部材保持枠5下部の縦断面図である。
左下スピーカ装置830は、クリア部材保持枠5の下左角部分に配設される(図1参照)。左下スピーカ装置830は上皿ユニット11と下皿ユニット9との隙間に設けられるので、図87に示すように、エンクロージャ831の箱体形状は前述した右上スピーカ装置810のエンクロージャ(第1スピーカ収納部材813及び第2スピーカ収納部材814、図75)と大きく異なるが、箱体容積は略同じに形成される。エンクロージャ831の上面831aは上皿ユニット11の形状に合わせて形成され、傾斜面831bは下皿ユニット9の形状に合わせて形成される。
このように、配設スペースが限られる左下スピーカ装置830のエンクロージャ831は、上皿ユニット11及び下皿ユニット9等周囲の形状に合わせて箱体を形成することで、限られたスペースを無駄なく使って必要な容積を確保することができる。
また、図88に示すように、左下スピーカ装置830と上皿12の底面との間には、左下スピーカ装置830の電磁石832の磁力が上皿12の遊技球に及ばないように上皿12に届く磁力を弱める磁力防御部材833が設けられている。具体的には、磁力防御部材833は鋼等の金属メッシュや板金で形成される。これにより、払出ユニット41から誘導流路50を通って上皿12に供給される遊技球が電磁石832からの磁力によって上皿12で止まってしまうのを防止することができる。
次に、図89〜図93を参照して、右下スピーカ装置840について説明する。図89は、下皿ユニット9の正面図である。図90は、下皿ユニット9の分解斜視図である。図91は、右下スピーカ装置840の斜視図と正面図である。図92は、図89のA−A位置における右下スピーカ装置840のA−A断面図である。図93は、図89のA−A位置における発射ハンドル14が取り付けられた状態での右下スピーカ装置840のA−A断面図である。
図89及び90に示すように、右下スピーカ装置840は、前面枠4下部に設けられる下皿ユニット9の発射ハンドル14の上かつ鍵穴部15の左下に配設される。下皿ユニット9は、前面枠4(図示省略)に取り付けられるベース部材901に、前方から順に右下スピーカ装置840、下皿10が形成された前面部材902及び発射ハンドル14が取り付けられて構成される。
右下スピーカ装置840及び発射ハンドル14は下皿ユニット9の右側に設けられる。図90及び図93に示すように、ベース部材901には、発射ハンドル14の軸部14aが挿し込まれる筒部901aと、右下スピーカ装置840の第2スピーカ収納部材842(図92参照)が嵌め込まれる開口部901bとが形成されている。そして、図90〜図92に示すように、右下スピーカ装置840には、第1スピーカ収納部材841及び第2スピーカ収納部材842によって形成される箱体(エンクロージャ)843にベース部材901の筒部901aが挿通される挿通孔840aが形成されている。さらに、図90及び図93に示すように、前面部材902には、ベース部材901の筒部901aが挿通される開口部902aと、後方から右下スピーカ装置840を収納したときにスピーカ8bの前面網部のみを遊技者から視認可能にする開口部902bとが形成されている。前面部材902は、右下スピーカ装置840を装飾する機能も有する。
下皿ユニット9の右側に配設される右下スピーカ装置840は、後方周辺に払出制御装置410(図3参照)や発射装置70(図4参照)が配設され、前方周辺にクリア部材保持枠5に取り付けられる上皿ユニット11、発射ハンドル14及び鍵穴部15が配設されている。このため、右下スピーカ装置840を配設可能なスペースは限られる。
そこで、右下スピーカ装置840は、他のスピーカ装置810〜830と同じ空間体積のエンクロージャ843を確保するために、第1スピーカ収納部材841及び第2スピーカ収納部材842を前述の左下スピーカ装置830と同様に下皿ユニット9の外形に沿って形成し、下皿ユニット9の下面も含んで構成する。そして、右下スピーカ装置840のエンクロージャ843には、発射ハンドル14が挿通可能なように挿通孔840aが設けられている。これにより、右下スピーカ装置840は、発射ハンドル14の配設を妨害することなく、各スピーカ装置810〜830と略同一のスピーカ性能を確保することができる。
そして、遊技機1の四隅に配設されるスピーカ装置810〜840のエンクロージャ体積は同一又は略同一に設けられるので、均質な音出力によって迫力ある音演出を実行することができ、さらに演出効果を高めることができる。
(ヒンジカバー部材)
次に、図94〜図97を参照して、クリア部材保持枠5の左上角に設けられるヒンジカバー部材503について説明する。図94は、遊技機1の左上部分拡大正面図である。図95は、遊技機1の左上部分の側面模式図である。図96は、ヒンジカバー部材503の取り付け前後の上装飾装置の斜視図である。図97は、図94のA−A位置における遊技機1の断面図である。
図94、図95及び図97に示すように、島設備に固定される本体枠2の蝶番部2aに前面枠4の蝶番部4fがヒンジ16を介して取り付けられることで、前面枠4及びクリア部材保持枠5からなる開閉枠3は開閉回動自在となる。また、開閉枠3を構成する前面枠4とクリア部材保持枠5とは、ヒンジ16の下方で互いの蝶番部4g、5eに上下方向に軸19を貫通させることで、個別に回動可能に設けられている。そして、図96及び図97に示すように、クリア部材保持枠5は、ヒンジ16と軸19の間に位置し、前面枠4の蝶番部4gを上方から覆う左上角装飾部5fを装飾装置6に含んでいる。
ここで、遊技機1を搬送する場合など遊技機1に揺れや衝撃が生じる場合には、ヒンジ16がクリア部材保持枠5の左上角装飾部5fに当たって傷がつくことがある。そこで、本実施形態では、図94、図96及び図97に示すように左上角装飾部5fの上面を被覆するヒンジカバー部材503を備える。これにより、ヒンジ16による傷はクリア部材保持枠5ではなく、ヒンジカバー部材503に発生する。着脱容易なヒンジカバー部材503のみを取り換えればよいので、作業の手間を低減するとともにコストを削減することができる。
(遊技盤係止部材)
次に、図98及び図99を参照して、遊技盤20を前面枠4に係止する遊技盤係止部材17について説明する。図98は、遊技領域21を省略した遊技盤20の正面図である。図99は、遊技盤係止部材17の斜視図である。
本実施形態の遊技盤20は、図98に示すように遊技盤20の左端の上下二箇所に設けられる被係止部20aが図99に示す遊技盤係止部材17に係止される。図99に示すように、遊技盤係止部材17は、側面17aと、遊技盤20の後方に位置し、前面枠4にビス留めされるビス面17bと、遊技盤20の前方に位置し、遊技盤20と当接する遊技盤係止部17cを有する係止面17dとで構成される。そして、遊技盤係止部17cに金属材を用いることで、当接する遊技盤20をアースする機能も有する。
このような遊技盤係止部材17によれば係止機能とともにアース機能も働くので、遊技盤20に障害が生じるのを防止することができる。また、遊技盤20に樹脂ベニア材といった帯電しやすい材料を用いることも可能となり、材料の選択肢が広がる。
(枠製造番号シール位置決め)
続いて、図100及び図101を参照して、遊技機1の裏面に設けられる枠製造番号シール貼り付け構造910について説明する。図100は、枠製造番号シール貼り付け位置における前面枠4の裏面図である。図101は、図100のA−A位置における枠製造番号シール貼り付け構造910の断面図である。
図100に示すように、前面枠4の裏面には下部に枠製造番号シール911を貼り付ける領域4hが確保されている。そして、図100及び図101に示すように、枠製造番号シール貼り付け構造910は、枠製造番号シール911と、枠製造番号シール911の貼り付け領域4hと、枠製造番号シール911を保護する透明のカバー部材912と、で構成される。そして、前面枠4の貼り付け領域4hには、枠製造番号シール911を貼る位置を決めるために上下方向に溝913が形成され、さらに枠製造番号シール911の貼り付け位置の左右外側にはカバー部材912を係止させるための第1被係止部913a及び第2被係止部913bが形成される。また、カバー部材912には、第1被係止部913a及び第2被係止部913bに係止する第1係止部912a及び第2係止部912bが形成される。
これにより作業者は、溝913に左辺を合わせて枠製造番号シール911を前面枠4の裏面領域4hに貼り付ければよいので、枠製造番号シール911をより正確に効率的に貼り付けることができる。また、枠製造番号シール911を貼り付けたあとは、後方からカバー部材912で枠製造番号シール911を覆い、第1係止部912a及び第2係止部912bをそれぞれ裏面領域4hの第1被係止部913a及び第2被係止部913bに引っ掛けて固定する。これにより、搬送のときなどに枠製造番号シール911が剥がれたりする心配がない。
(各種機器の電気配線と中継基板との接続)
続いて、図102〜図110を参照して、前面枠4に配設される中継基板ユニット310について説明する。
図102は、中継基板ユニット310を備える遊技機1の模式図である。図103は、中継基板ユニット310設置前の前面枠4の斜視図である。図104は、中継基板ユニット310設置後の前面枠4の斜視図である。図105は、中継基板ユニット310設置位置における前面枠4の正面図である。図106は、中継基板ユニット310の分解斜視図である。図107は、中継基板ユニット310を構成するカバー部材340の裏面斜視図である。図108は、中継基板ユニット310と各種機器の電気配線との接続を示す前面枠4の縦断面図である。図109は、中継基板ユニット310設置位置における前面枠4の裏面図である。図110は、図105のA−A位置における前面枠4の縦断面図である。
図102及び図103に示すように、中継基板ユニット310は、遊技機1の前面枠4の前面下部に設置されている。中継基板ユニット310には、クリア部材保持枠5に配設される球貸操作装置300や演出ボタン13、各種装飾装置6,7等からの電気配線Wが接続される。クリア部材保持枠5は、前面枠4の左上側部及び左下側部に設けられたヒンジ(回動部)を介して前面枠4に回動自在に設置される回動ユニットであって、前面枠4に重なる閉状態と、前面枠4の前方に回動した開状態とに変換可能(開閉可能)に構成されている。中継基板ユニット310は、前面枠4の左下側部のヒンジ寄りの位置(左下隅部)に設けられている。なお、回動ユニットは、前面枠4に対して回動可能に配設されるクリア部材保持枠5や上皿ユニット11等である。
図103〜図105に示すように、前面枠4の前面の左下隅部には中継基板ユニット310を取り付けるための取付面4aが形成されており、中継基板ユニット310は取付面4aの前面に固定される。
図106に示すように、中継基板ユニット310は、球貸中継基板320と、演出中継基板330と、球貸中継基板320及び演出中継基板330をカバーするカバー部材340と、を備える。
球貸中継基板320は、球貸制御に関連する中継基板であって、カバー部材340の裏面に取り付けられる。球貸中継基板320は、基板前面上部に設けられる球貸第1コネクタ321と、基板前面下部に設けられる球貸第2コネクタ322と、を備える。これら球貸第1コネクタ321及び球貸第2コネクタ322は上下に並んで配置されている。
球貸第1コネクタ321には、球貸操作装置300からの電気配線W1(図108参照)が接続される。球貸第2コネクタ322には、後述する台間中継基板510(図112参照)の台間第2コネクタ512からの電気配線W2(図108参照)が接続される。台間中継基板510は、前面枠4の裏面側に配設される中継基板であって、遊技機1に隣接して配置されるCRユニット等の台間装置に対して電気的に接続される基板である。なお、台間装置は、例えば、遊技機1に隣接して配設されるCRユニット等のカードサンドや現金サンドである。
図106に示すように、演出中継基板330は、演出制御に関連する中継基板であって、球貸中継基板320の横側に隣接するようにカバー部材340の裏面に取り付けられる。演出中継基板330は、基板前面上部に横一列に並んで配置される3つの演出第1コネクタ331と、基板前面下部に設けられる演出第2コネクタ332と、を備える。
3つの演出第1コネクタ331には、演出ボタン13や装飾装置6,7等からの電気配線が接続される。演出第2コネクタ332には、前面枠4の裏面に配設された演出制御装置150からの電気配線が接続される。
図106及び図107に示すように、カバー部材340は、球貸中継基板320及び演出中継基板330を収容可能な枠体として構成されている。
カバー部材340の裏面には、球貸中継基板320を収容する第1収容部340aと演出中継基板330を収容する第2収容部340bが形成されている。
第1収容部340aにおいて、カバー部材340の裏面下部には球貸中継基板320をねじ止めするためのボス部341aが形成されており、カバー部材340の裏面上縁部には球貸中継基板320の上端に係合する係合片342aが形成されている。球貸中継基板320の左下部には、ねじの軸部を挿通させる挿通孔323(図106参照)が形成されており、球貸中継基板320をカバー部材340に固定するねじは球貸中継基板320の挿通孔323を通じてカバー部材340のボス部341aに螺合する。つまり、球貸中継基板320の上部がカバー部材340の係合片342aに係合した状態で、球貸中継基板320の下部がねじを介してカバー部材340のボス部341aに固定されることで、球貸中継基板320がカバー部材340の裏面に取り付けられる。
第2収容部340bにおいて、カバー部材340の裏面下部には演出中継基板330をねじ止めするためのボス部341bが形成されており、カバー部材340の裏面上縁部には演出中継基板330の上端に係合する係合片342bが形成されている。ボス部341a及びボス部341bは左右方向に隣接して配置されている。演出中継基板330の右下部には、ねじの軸部を挿通させる挿通孔333(図106参照)が形成されており、演出中継基板330をカバー部材340に固定するねじは演出中継基板330の挿通孔333を通じてカバー部材340のボス部341bに螺合する。つまり、演出中継基板330の上部がカバー部材340の係合片342bに係合した状態で、演出中継基板330の下部がねじを介してカバー部材340のボス部341bに固定されることで、演出中継基板330がカバー部材340の裏面に取り付けられる。
カバー部材340は、球貸中継基板320の球貸第1コネクタ321と対応する位置に当該球貸第1コネクタ321を露出させるための開口343と、演出中継基板330の演出第1コネクタ331と対応する位置に当該演出第1コネクタ331を露出させるための開口344と、を備える。したがって、カバー部材340に球貸中継基板320及び演出中継基板330が設置された場合、球貸第1コネクタ321及び演出第1コネクタ331に対しては電気配線を抜き差しすることができるが、球貸第2コネクタ322及び演出第2コネクタ332に対してはカバー部材340の前面壁が邪魔板となり電気配線の抜き差しができなくなる。
図103〜図105に示すように、球貸中継基板320及び演出中継基板330が配設されたカバー部材340は、図示しないねじを介して前面枠4の取付面4aに固定される。
図104及び図108に示すように、中継基板ユニット310の球貸中継基板320は前面枠4の前面の左下隅部に位置しており、台間中継基板510は前面枠4の裏面下部に位置している。
球貸中継基板320の球貸第1コネクタ321には、クリア部材保持枠5に配設された球貸操作装置300からの電気配線W1がカバー部材340の開口343を通じて接続される。
また、球貸中継基板320の球貸第2コネクタ322には、台間中継基板510の台間第2コネクタ512からの電気配線W2が接続される。前面枠4の取付面4aには前後方向に貫通する貫通孔4b(図103及び図104参照)が形成されており、球貸第2コネクタ322に接続された電気配線W2は、図109に示すように貫通孔4bを介して前面枠4の後側に引き出され、図108に示すように台間中継基板510の台間第2コネクタ512に接続される。
なお、台間中継基板510の台間第1コネクタ511は、電気配線W3を介して、図示しない台間装置に接続される。
このように球貸操作装置300と台間装置とは、前面枠4の前面側の球貸中継基板320(第2中継基板)及び前面枠4の裏面側の台間中継基板510(第1中継基板)を介して相互に接続される。
なお、中継基板ユニット310の演出中継基板330では、クリア部材保持枠5に配設された演出ボタン13や装飾装置6,7等からの電気配線は演出第1コネクタ331に接続され、前面枠4の裏面に配設された演出制御装置150からの電気配線は演出第2コネクタ332に接続される。演出第2コネクタ332に接続される電気配線は、前面枠4の貫通孔4bを介して前面枠4の後側に引き出され、演出制御装置150に接続される。このように、演出ボタン13や装飾装置6,7等の演出制御関連機器と演出制御装置150とは、前面枠4の前面側の演出中継基板330を介して相互に接続される。
従来の遊技機では、クリア部材保持枠の球貸操作装置とCRユニット等の台間装置とを、前面枠の裏面に設けられた台間中継基板のみを介して接続しているので、球貸操作装置からの電気配線を前面枠の裏側まで引き出してから台間中継基板に接続する必要があり、また球貸操作装置から台間中継基板までの電気配線の長さを長くする必要があった。そのため、球貸操作装置から台間中継基板までの電気配線の取り回しが複雑かつ煩雑となっていた。
本実施形態の遊技機1は、台間装置との接続に用いられる中継基板として、前面枠4の裏面に配設される台間中継基板510の他に、前面枠4の前面に配設される球貸中継基板320を備える。球貸操作装置300と球貸中継基板320は電気配線W1で接続され、球貸中継基板320と台間中継基板510は電気配線W2で接続され、台間中継基板510と台間装置は電気配線W3で接続される(図108参照)。このように、クリア部材保持枠5に設けられる球貸操作装置300からの電気配線W1は前面枠4の前面の球貸中継基板320に接続されるので、球貸操作装置300と球貸中継基板320との配線接続が容易となる。そして、前面枠4に配設された球貸中継基板320と台間中継基板510は電気配線W2により接続されているので、球貸操作装置300のメンテナンス等において、電気配線W1を球貸中継基板320から取り外す時に当該電気配線W1を前面枠4の後側から前側に引き抜いたり、又は電気配線W1を球貸中継基板320に取り付ける時に当該電気配線W1を前面枠4の前側から後ろ側に引き込んだりする必要がなく、電気配線の取り回し作業を改善できる。
また、電気配線W1の球貸中継基板320への接続等はクリア部材保持枠5を前面枠4に対して開放した状態で行われるが、球貸中継基板320は、前面枠4の前側下部であって前面枠4の左下側部のヒンジ寄りの位置に配設されるので、クリア部材保持枠5の左下部から延設される球貸操作装置300の電気配線W1の長さを短めに設定することができる。そのため、クリア部材保持枠5を閉じる時に電気配線W1にたるみが生じにくく、クリア部材保持枠5と前面枠4によって電気配線W1が挟まれてしまうことを防止できる。
上記の通り、本実施形態の遊技機1では、球貸操作装置300と台間装置を、前面枠4の前側に配設された球貸中継基板320及び前面枠4の後側に配設された台間中継基板510を介して接続することで、球貸操作装置300から台間中継基板510までの電気配線の取り回しが容易となる。
球貸中継基板320は、球貸操作装置300からの電気配線W1と接続可能な球貸第1コネクタ321と、台間中継基板510からの電気配線W2と接続可能な球貸第2コネクタ322と、を基板前側に備える。このように球貸中継基板320を片面実装型の基板としたので、基板製造コストを抑制することができる。
球貸中継基板320は、カバー部材340を介して前面枠4に取り付けられる。カバー部材340は、球貸中継基板320の球貸第2コネクタ322を覆うように構成されるとともに、球貸第1コネクタ321を露出させる開口343を備えている。これにより、カバー部材340が設置された状態でも球貸第1コネクタ321に対する電気配線W1の取り付け及び取り外しができ、また電気配線W2が接続される球貸第2コネクタ322に対する不正行為を防止できる。
なお、図4及び図110に示すように、前面枠4の前面下部には、遊技球を貯留可能な下皿10を有する下皿ユニット9(貯留ユニット)が設置される。下皿ユニット9は、球貸中継基板320の球貸第2コネクタ322及び演出中継基板330の演出第2コネクタ332の前方に位置するように前面枠4に取り付けられる。
このように下皿ユニット9は中継基板ユニット310下部の前方に位置しているため、球貸第1コネクタ321及び演出第1コネクタ331に対する電気配線の取り付け及び取り外しを阻害することがなく、球貸第2コネクタ322及び演出第2コネクタ332に対する不正行為を防止できる。
また、中継基板ユニット310のカバー部材340の前面中央位置には、前方に突出する突出壁345が形成されている。突出壁345は、カバー部材340の前面において左右方向略水平に延設されている。下皿ユニット9及び中継基板ユニット310が前面枠4に設置された状態において、突出壁345の上面位置は、下皿ユニット9の上面とほぼ同じ高さとなるように設定されており、突出壁345の突出量は、下皿ユニット9と突出壁345の前後方向の隙間が遊技球の直径よりも小さくなるように設定されている。これにより、遊技球が下皿ユニット9の後側に入り込んでしまうことを防止できる。なお、突出壁345の上面は遊技機1の前方に向かって下り傾斜するように構成されている。
(制御ユニット)
次に、図111〜図113を参照して、前面枠4の裏面下部に配設される制御ユニット400について説明する。
図111は、遊技機1の前面枠4に配設される制御ユニット400の裏面図である。図112は、制御ユニット400の一部拡大図である。図113は、制御ユニット400の分解斜視図である。
図111〜図113に示すように、制御ユニット400は、前面枠4の裏面に配設されるプレート部材580(図113参照)と、各種構成部材を取り付けるための枠体であって、プレート部材580の裏面に配設されるベース部材401と、ベース部材401の裏面に取り付けられる払出制御装置410と、払出制御装置410と隣接するようにベース部材401の裏面中央に取り付けられる電源装置450と、を備える。また、ベース部材401の裏面には、CRユニット等の台間装置と接続される台間中継基板510と、演出制御装置150と接続される演出制御中継基板520とが設けられる。演出制御中継基板520は台間中継基板510の上方に配設されている。
払出制御装置410は、払出制御基板からのデータ等を入出力可能な第1接続部411と、電源装置450や遊技制御装置100と払出制御基板とを接続するための第2接続部412と、を備える。
電源装置450は、電源をオン、オフするためのスイッチ451及び各種装置等と電気的に接続される接続部452を有する電源制御基板453と、電源制御基板453を覆う蓋部454と、を備える。
ベース部材401の裏面には払出制御装置410、電源装置450、台間中継基板510、及び演出制御中継基板520が取り付けられ、ベース部材401の前面にはプレート部材580が取り付けられる(図113参照)。ベース部材401は樹脂製であるが、プレート部材580は金属製である。このため、プレート部材580は導電性を有し電気的に導通可能である。
ベース部材401の一側部には、上側回動軸受部405と下側回動軸受部406とが形成されている。上側回動軸受部405及び下側回動軸受部406は、前面枠4に設けられた軸部に取り付けられ、その軸部周りに回動可能となっている。
台間中継基板510は、当該台間中継基板510を覆う中継基板カバー部材516と共に、ねじ517(図112参照)でベース部材401にねじ止めされている。演出制御中継基板520は、ベース部材401に嵌め込まれて固定されている。
図113に示すように、ベース部材401において略平坦面として形成された取付部402には、払出制御装置410の係合突起部と係合して、払出制御装置410のスライド移動による取り付け及び取り外しを可能とする係合受部404(図117参照)が形成されている。また、取付部402には、電源装置450の係合突起部と係合して、電源装置450のスライド移動による取り付け及び取り外しを可能とする係合受部407が形成されている。
図111及び図113に示すように、取付部402の略中央位置には、前後方向に貫通する貫通孔408が形成されており、貫通孔408内において電源装置450の一側面に係合可能な係合爪431と、払出制御装置410の一側面に係合可能な係合爪432が設けられている。また、取付部402には、電源装置450を避けて電気配線を通すための二つの配線用開口部433,434が設けられる。
図111に示すように、払出制御装置410の第1接続部411と台間中継基板510の払出コネクタ513とは、コネクタ付きの電気配線W4(図117参照)を介して電気的に接続される。払出制御装置410には、第1接続部411上において、第1接続部411に接続する電気配線W4のコネクタWC1(図119参照)を覆うコネクタカバー部材475が取り付けられている。このコネクタカバー部材475によって、第1接続部411に接続するコネクタWC1に不正を働くことを防止できる。払出制御装置410のケース部材は、コネクタカバー部材475を取り付けるための略円柱形状のカバー取付部420(図113参照)を有する。カバー取付部420はねじ穴を有しており、コネクタカバー部材475はねじ止めによってカバー取付部420に固定される。
演出制御中継基板520は、演出制御装置150からの電気配線と接続する演出用接続部521や、遊技制御装置100からの電気配線と接続する遊技制御用接続部522、払出制御装置410の第2接続部412からの電気配線と接続する払出用接続部523等を有している。
台間中継基板510は、台間装置からの電気配線と接続する台間第1コネクタ511と、球貸中継基板320(図106参照)からの電気配線と接続する台間第2コネクタ512と、払出制御装置410の第1接続部411からの電気配線と接続する払出コネクタ513と、を有する。台間中継基板510には、電源装置450からの過剰な電流を遮断するためのヒューズ514が設置されている。
図113に示すように、台間中継基板510を覆う中継基板カバー部材516には、払出コネクタ513上において、払出コネクタ513に接続する電気配線W4のコネクタWC2(図118参照)を覆うコネクタカバー部材551が取り付けられている。このコネクタカバー部材551によって、払出コネクタ513に接続するコネクタWC2に不正を働くことを防止できる。コネクタカバー部材551は、コネクタカバー部材475と同じ部材を反転して使用するものでもよい。
図114は、台間中継基板510に嵌め合わされた中継基板カバー部材516の斜視図である。中継基板カバー部材516は、台間中継基板510の各コネクタに対応した形状の開口を有しており、当該開口を介して各コネクタを挿通することができ、台間中継基板510上に積層されて配置される。中継基板カバー部材516は、コネクタカバー部材551をねじ止めによって取り付けるための略円柱形状のカバー取付部555を有する。カバー取付部555には、コネクタカバー部材551固定用のねじのねじ部と螺合するねじ穴555aが形成されている。
図115は、コネクタカバー部材551の斜視図である。コネクタカバー部材551は、中継基板カバー部材516に取り付けられた場合に台間中継基板510に略平行に配置される天板部560と、天板部560から略垂直に起立する側壁部562と、を有する。側壁部562は、コの字の断面形状を有し、三つの側壁562a、562b、562cから構成される。中央の側壁562bにおいて、一方の端部で略垂直に側壁562aが設けられ、他方の端部で略垂直に側壁562cが設けられる。中央の側壁562bに対向して開口部570が設けられる。コネクタカバー部材551が中継基板カバー部材516に取り付けられた場合、開口部570は、台間中継基板510の払出コネクタ513に接続された電気配線W4が通過する部分になる(図118参照)。
図114及び図115に示すように、コネクタカバー部材551は、側壁562aの傍で天板部560から起立する円弧状の位置決め部564と、側壁562cの表面に沿って天板部560に対して略垂直に延在するカバー係合部566と、を有する。位置決め部564の内周面は、略円柱形状のカバー取付部555の外周形状に対応して形成されている。位置決め部564がカバー取付部555の端部に嵌合することで、コネクタカバー部材551が位置決めされる。
天板部560は、半円状の舌部560aを一端に有するとともに、コネクタカバー部材551を取り付けるねじ518(図112及び図116参照)の頭部を受けるねじ受け部560bを舌部560a上に有する。半円状の舌部560aと円状のねじ受け部560bは同軸的に設けられ、これらの軸上に延びる貫通孔560cが天板部560に形成されている。位置決め部564によって、貫通孔560cは、カバー取付部555のねじ穴555aに対向する位置に位置合わせされる。
図116は、図112のD−Dに沿った制御ユニット400の断面図である。中継基板カバー部材516のカバー取付部555はねじ穴555aを有しており、コネクタカバー部材551はねじ518によってカバー取付部555に取付けられる。なお、コネクタカバー部材551のカバー係合部566は、その先端部566a(側壁部562から天板部560の反対側へと突出する部分)において、中継基板カバー部材516の穴部516aに係合する。
図117は、図111のA−Aに沿った制御ユニット400の断面図である。払出制御装置410の第1接続部411からの電気配線W4は、一方の配線用開口部433を通じて電源装置450の背面側へ潜り、ベース部材401とプレート部材580の間の空間(隙間)を通過し、他方の配線用開口部434から出て、台間中継基板510の払出コネクタ513に接続する。つまり、電気配線W4の一部は、ベース部材401とプレート部材580の間に配設される。
図118は、図111のB−Bに沿った制御ユニット400の断面図である。台間中継基板510は、中継基板カバー部材516とベース部材401に挟まれて覆われている。中継基板カバー部材516とベース部材401は、所定の一部分を除いて、台間中継基板510を密閉した状態(封止状態)でそれらの内部に収納可能である。これにより、台間中継基板510に不正な電子部品を付けることが困難となる。ここで、台間中継基板510の密閉しない所定の一部分とは、台間第1コネクタ511、台間第2コネクタ512、払出コネクタ513等とその周囲である。なお、台間中継基板510の背面は、ベース部材401から台間中継基板510に向かって起立する起立壁417(図113参照)に接触しており、不正な電子部品が取付できないようになっている。
中継基板カバー部材516の外面から測って、コネクタカバー部材551の天板部560の高さ(距離)、つまり開口部570の高さT1は、払出コネクタ513に接続する電気配線W4のコネクタWC2の高さよりも短くすることが好ましい。この場合、コネクタカバー部材551を中継基板カバー部材516に取り付けた状態では、コネクタWC2を取り外せなくなるので、払出コネクタ513に対する不正を防止することができる。また、開口部570の高さT1は、遊技機1で使用する遊技球の直径よりも小さく設定されているので、遊技球が開口部570を通ってコネクタカバー部材551内に入ることを防止できる。
図119は、図111のC−Cに沿った制御ユニット400の断面図である。払出制御装置410のケース部材から測って、コネクタカバー部材475の天板部475aの高さ(距離)、つまり開口部470の高さT2は、第1接続部411に接続する電気配線W4のコネクタWC1の高さよりも短くすることが好ましい。この場合、コネクタカバー部材475を払出制御装置410に取り付けた状態では、コネクタWC1を取り外せなくなるので、第1接続部411に対する不正を防止することができる。また、開口部470の高さT2は、遊技機1で使用する遊技球の直径よりも小さく設定されているので、遊技球が開口部470からコネクタカバー部材475内に入ることを防止できる。
遊技機1は、CRユニット(台間装置)に接続可能な台間第1コネクタ511を有する台間中継基板510と、遊技球を払出制御可能な払出制御装置410と、台間中継基板510と払出制御装置410を電気的に接続可能な電気配線W4と、を備える。さらに、遊技機1は、台間中継基板510と払出制御装置410に接続される電気配線W4のコネクタWC1,WC2の各々を被覆するコネクタカバー部材475,551を備える。したがって、台間中継基板510と払出制御装置410に接続されるコネクタWC1,WC2を抜き差しすることが困難になり、台間中継基板510及び払出制御装置410に対する不正行為を防止することが可能となる。ここで、不正行為とは、例えば、CRユニット(台間装置)に残金データがないにもかかわらず、コネクタWC1,WC2に不正を働くことで一定数の貸球を得ようとする行為等である。
遊技機1は、台間中継基板510と払出制御装置410を一方の側に取り付け可能なベース部材401と、ベース部材401の他方の側に取り付け可能で導電性を有するプレート部材580と、を備える。そして、電気配線W4は、ベース部材401とプレート部材580の間に配設される。このように構成することで、電気配線W4が保護され、電気配線W4自体に対して不正が行われることを防止できる。また、導電性を有するプレート部材580により、電気配線W4が、プレート部材580の前方に配設される遊技球流路等において生じる静電気の影響を受け難くなる。
また、遊技機1は台間中継基板510を覆う中継基板カバー部材516を備え、ベース部材401と中継基板カバー部材516は台間中継基板510を封止状態で内部に収納可能である。したがって、台間中継基板510の表裏に不正な電子部品を取り付けることが困難になる。
さらに、コネクタカバー部材475,551における開口部の高さは遊技球の直径より低くなるように設定されているので、コネクタカバー部材475,551の中の空間(隙間)に遊技球が入ることを防止できる。
(閉鎖ユニット)
次に、図4、図120〜図124を参照して、前面枠4に配設される閉鎖ユニット600について説明する。
図120は、閉鎖ユニット600設置後の前面枠4の斜視図である。図121は、閉鎖ユニット600設置前の前面枠4の斜視図である。図122は、閉鎖ユニット600の分解斜視図である。図123(A)は閉鎖ユニット600の裏面図であり、図123(B)は閉鎖ユニット600の右側面図である。図124(A)は閉鎖状態の閉鎖ユニット600の正面模式図であり、図124(B)は開放状態の閉鎖ユニット600の正面模式図である。
図120及び図121に示すように、閉鎖ユニット600は、前面枠4の左下部の前面に取り付けられるユニットである。閉鎖ユニット600は、中継基板ユニット310の上方に位置している。
図4及び図120に示すように、遊技機1は、遊技球を払い出す払出ユニット41(球払出装置)と、払出ユニット41から払い出された遊技球を誘導する誘導流路50と、を備える。誘導流路50は、前面枠4側に設けられる第1流路51と、クリア部材保持枠5側に設けられる第2流路52と、を有している。第2流路52は、クリア部材保持枠5から後方に突出する通路であって、クリア部材保持枠5が閉状態である場合に当該第2流路52の上流端が前面枠4側の第1流路51の下流端と接続して連通するように構成されている。クリア部材保持枠5が閉状態である場合に払出ユニット41から遊技球が払い出された時には、払い出された遊技球は、前面枠4側の第1流路51を通ってクリア部材保持枠5側の第2流路52に流入し、第2流路52を通って上皿12(図1参照)に導かれる。
閉鎖ユニット600は、クリア部材保持枠5が前面枠4に対して開いている時に、第1流路51の下流端を閉鎖板620によって閉鎖して(図124(A)参照)、第1流路51から遊技球が流出することを防止するものである。
なお、遊技機1では、閉鎖板620を乗り越える等して第1流路51から遊技球が落下した場合、その落下球は前面枠4の前面下部に設置された流路形成部材60の受皿部61(図120参照)により回収されるようになっている。図120に示すように、流路形成部材60は、閉鎖板620の下方位置において前面枠4の前方に突出するとともに落下球を回収可能な受皿部61と、受皿部61によって回収された遊技球を下皿10(図4参照)に導く落下球誘導路62と、を備える。受皿部61は、その周縁部が底面から起立する起立壁61aによって囲われており、落下してきた遊技球が周縁部から外側に流下しないように構成されている。落下球誘導路62は受皿部61の後方に位置するように配設されており、落下球誘導路62の上流端と受皿部61の後端部とが連接されている。落下球誘導路62の下流端は下皿10の遊技球排出口10c(図4参照)に接続しており、落下球誘導路62を通過した遊技球は下皿10に供給される。
図122、図123(A)、及び図123(B)に示すように、閉鎖ユニット600は、前面枠4の前面下部に着脱自在に配設されるベース部材610と、ベース部材610の前面に上下動可能に配設される閉鎖板620と、閉鎖板620を上方に向けて付勢するコイルばね630と、を備える。閉鎖ユニット600は、ベース部材610、閉鎖板620、及びコイルばね630から構成された一体式(一つ)のユニットとして、前面枠4に取り付けられる。
ベース部材610は、四角形状の板部材である。前面枠4の閉鎖ユニット600取付位置に形成された開口部4c(図121参照)には第1流路51の下流端が位置するようにように配設されており、ベース部材610には第1流路51の下流端と対応する位置に開口部611が形成されている。クリア部材保持枠5が閉状態である場合、ベース部材610の開口部611には第2流路52(図4参照)の上流端が挿入され、ベース部材610は、当該第2流路52の上流端と第1流路51の下流端との接続を許容するように構成されている。
また、ベース部材610の下端には下方に突出する係合爪614が形成されており、ベース部材610の左右の上隅部には部材固定用ねじのねじ軸を挿通させる挿通孔615が形成されている。ベース部材610の係合爪614が前面枠4の開口部4cの下縁部の裏側に係合した状態で、ベース部材610の挿通孔615を通じて固定用ねじを前面枠4のねじ受部に螺合させることで、ベース部材610は前面枠4の前面に固定される。
さらに、ベース部材610の前面下部には、閉鎖板620が上下にスライド可能に取り付けられる。
閉鎖板620は、矩形状に形成された板部材であって、クリア部材保持枠5の開閉状態に応じて第1流路51の下流端を開閉する開閉部材である。閉鎖板620は、図124(A)に示すように第1流路51の下流端の下側部分を閉鎖する上限位置(閉鎖上限位置)と、図124(B)に示すように第1流路51の下流端を開放する下限位置(開放下限位置)との間で移動可能に構成されている。なお、閉鎖板620は、上限位置に位置している時の閉鎖高さH、つまり第1流路51の底面から閉鎖板620の上端までの高さが遊技球の半径よりも大きくなるように構成されている。
図122及び図123(B)に示すように、閉鎖板620は、付勢部材としてのコイルばね630により常時、上限位置(上方)に向かって付勢されている。コイルばね630は、ベース部材610の前面側において、左右に所定の間隔をあけて2つ設けられる。右側のコイルばね630の上端はベース部材610の前面上部であって開口部611の右側方位置に形成された係止部612に係止されており、コイルばね630の下端は閉鎖板620の上右側部に形成された係止部621に係止されている。左側のコイルばね630の上端はベース部材610の前面上部であって開口部611の左側方位置に形成された係止部612に係止されており、コイルばね630の下端は閉鎖板620の上左側部に形成された係止部621に係止されている。
図123(A)及び図124(A)に示すように、閉鎖板620は、クリア部材保持枠5が開状態となっている場合に、2つのコイルばね630の付勢力に基づいて上限位置まで上昇するように構成されている。なお、図120はクリア部材保持枠5が開放している場合を示しているが、図120においては説明の都合上、閉鎖板620は下限位置に位置するように図示してある。
図122及び図123(B)に示すように、閉鎖板620の前面は平坦面として形成されており、閉鎖板620の前面には板状に起立するとともに前端面が前方に向かって下り傾斜する傾斜壁622が形成されている。傾斜壁622は、クリア部材保持枠5を閉状態とした場合に閉鎖板620を下限位置まで移動させるための部材であって、第2流路52の上流端の下部から後方に突出する突出部53(図125参照)と連係する部材である。突出部53は、第2流路52の底面を後方へ延長し第2流路52の上流端から後方に突出させた板状部材である。
傾斜壁622の右側面622aは、第1流路51から落下してきた遊技球を落下球誘導路62(図120参照)の下流側に向かって誘導するように、右側方に下り傾斜する傾斜面となっている。傾斜壁622は、鉛直方向に対して左右方向に傾いて形成されているが、傾斜させずに鉛直方向に延在するように形成してもよい。
図123(A)に示すように、閉鎖板620の裏面には、ベース部材610に形成されたスリット状の案内部613に係合する係合部623が左右方向に所定の間隔をあけて2つ形成されている。係合部623は、閉鎖板620の裏面から後方に突出するとともに、先端部分が屈曲して左方向に延在するL字状突起として形成されている。
図122及び図123(A)に示すように、ベース部材610には、スリット状の案内部613が閉鎖板620の動作範囲に合わせて上下方向に延設されている。案内部613は、閉鎖板620の係合部623が通過可能なスリット部613aと、係合部623の先端部分が摺動自在に係合する係合ガイド部613bと、を有している。スリット部613a及び係合ガイド部613bは、左右に並んだ状態で、上下方向に延設されている。また、スリット部613aには、閉鎖板620を取り付ける際に係合部623を挿入するための挿入口613cが形成されている。
閉鎖板620をベース部材610に取り付ける場合、閉鎖板620の係合部623を、ベース部材610の挿入口613cに挿入し、その後左方向にスライドさせて、係合部623が案内部613の係合ガイド部613bに係合するようにする。これにより、閉鎖板620は、ベース部材610に対して、係合ガイド部613b及びスリット部613aに沿って上下動可能に取り付けられる。
次に、図125〜図127を参照して、閉鎖ユニット600の動作について説明する。
図125は、クリア部材保持枠5が開状態での遊技機1の一部縦断面図である。図126は、クリア部材保持枠5を開状態から閉状態にする過程での遊技機1の一部縦断面図である。図127は、クリア部材保持枠5が閉状態での遊技機1の一部縦断面図である。
図125に示すようにクリア部材保持枠5が開状態である場合、閉鎖板620はコイルばね630の付勢力によって上限位置まで引き上げられ、第1流路51の下流端は閉鎖板620によって閉鎖される。このような閉鎖状態では、閉鎖板620が第1流路51の下流端の下側部分を閉鎖しており、第1流路51からの遊技球の流出が阻止される。
クリア部材保持枠5を閉じる場合において当該クリア部材保持枠5を開状態から閉状態へ変換する過程では、図126に示すように、クリア部材保持枠5側の第2流路52から後方に突出する突出部53が閉鎖板620の傾斜壁622に前側から当接する。傾斜壁622の前端面は前方に向かって下り傾斜するように構成されているため、クリア部材保持枠5の閉方向への回動に伴って、傾斜壁622が突出部53により後方へ押圧されることで、閉鎖板620はコイルばね630の付勢力に抗して上限位置から下方に押し下げられる。
なお、クリア部材保持枠5が前面枠4に対して完全に閉じられる前の状態、つまり第1流路51と第2流路52とが連通していない状態において、第1流路51内にある遊技球の一部が閉鎖板620を越えて当該第1流路51から流出した場合には、遊技球は受皿部61に落下し、落下球誘導路62を通って下皿10に導かれる。
図127に示すように、クリア部材保持枠5が前面枠4に対して完全に閉じられて閉状態になると、第2流路52の突出部53によって閉鎖板620は下限位置まで押し下げられる。このように閉鎖板620が下限位置まで下降すると、第2流路52の上流端が閉鎖ユニット600のベース部材610の開口部611を通じて第1流路51の下流端と接続し、これら第1流路51及び第2流路52によって誘導流路50が形成される。これにより、閉鎖板620によって堰き止められていた第1流路51内の遊技球は、第1流路51から第2流路52内に流入し、当該第2流路52を通って上皿12に導かれる。第2流路52の内側壁には、遊技球を上皿12の左端寄りに誘導するためのガイド部55が突出形成されている。
なお、クリア部材保持枠5が閉状態となった時には、第2流路52の突出部53の先端部分は、閉鎖板620の上方に位置するとともに、第1流路51の下流端とベース部材610の開口部611の下縁部との間において前面枠4に形成された凹部4d(図124(B)及び図127参照)に挿入された状態となる。これにより第1流路51と第2流路52の接続部分に隙間が形成されることがなく、第1流路51を流下してきた遊技球をスムーズに第2流路52に流入させることができる。
また、第2流路52の底面には下方に突出する壁部54が形成されており、クリア部材保持枠5を閉状態に変換することにともなって、壁部54が受皿部61の上方を後側に向かって移動するので、受皿部61に滞留していた遊技球が壁部54によって後方に押され落下球誘導路62に誘導される。受皿部61の起立壁61aは遊技球の直径よりも低く形成されており、第2流路52の壁部54の下方への突出高さは、受皿部61内の遊技球と接触可能であり、かつ起立壁61aと前後に重ならない高さに設定されている。
クリア部材保持枠5を閉状態から開状態に変換する場合には上述した動作とは逆の動作となり、図127に示す状態から第2流路52の突出部53が前方に移動することにともない、閉鎖板620がコイルばね630の付勢力により下限位置から上限位置まで上昇し、図125に示すように閉鎖板620によって第1流路51の下流端が閉鎖される。
上述した閉鎖ユニット600を備える遊技機1によれば、以下の効果を得ることができる。
遊技機1では、クリア部材保持枠5が閉状態である場合にクリア部材保持枠5側の第2流路52の突出部53によって閉鎖板620が下限位置まで押し下げられ、第2流路52と第1流路51とが連通し、クリア部材保持枠5が開状態である場合にコイルばねの付勢力によって閉鎖板620が上限位置まで引き上げられ、第1流路51が閉鎖される。第2流路52の突出部53が当接する閉鎖板620の傾斜壁622は、閉鎖板620の前面から板状に起立するように形成されているので、特開2011−30905号公報に開示されている閉鎖部材の傾斜部と比較して、閉鎖板620の左右幅方向において傾斜壁622が占める領域は狭くなっている。このように閉鎖板620の傾斜壁622を幅狭部材として形成することで、クリア部材保持枠5が開放されて閉鎖板620が上昇した時に、第1流路51と第2流路52との間に位置している遊技球が傾斜壁622によって突き上げられにくくなる。これにより、クリア部材保持枠5の開放時における遊技球の飛び出しを抑制でき、遊技球がクリア部材保持枠5に配設された各種機器の隙間等に流入してしまうことを回避できる。
また、遊技機1では、閉鎖板620及びコイルばね630がベース部材610に取り付けられることで一つの閉鎖ユニット600が構成される。そして、この閉鎖ユニット600を遊技機1の前面枠4に設置するようにしたので、閉鎖ユニット600の取り付け及び取り外しを容易に行うことが可能となる。
さらに、前面枠4には、閉鎖板620の下方位置において第1流路51から落下した遊技球を回収可能な受皿部61と、当該受皿部61によって回収された遊技球を下皿10に導く落下球誘導路62とが配設されるので、第1流路51の遊技球が閉鎖板620を乗り越えてしまった場合であっても、落下してきた遊技球を下皿10に誘導することができる。
〔閉鎖ユニットの変形例〕
次に、図128を参照して、閉鎖ユニット600の変形例について説明する。図128は、変形例による閉鎖ユニット600が設置される位置周辺の遊技機1の一部縦断面図である。
変形例による閉鎖ユニット600では、閉鎖板620の傾斜壁622は、図120〜図127で説明した傾斜壁622よりも、前端面の下り勾配が緩やかになるように形成されている。つまり、図120〜図127で説明した傾斜壁622は、クリア部材保持枠5が閉状態である場合において閉鎖板620の前面から落下球誘導路62の通路幅の約半分を越える位置まで突出するように構成されているが(図127参照)、変形例による傾斜壁622は、クリア部材保持枠5が閉状態である場合において閉鎖板620の前面から落下球誘導路62を越えて受皿部61に到達する位置まで突出するように構成されている(図128参照)。
このように、変形例による閉鎖ユニット600の傾斜壁622は前端面の下り勾配が緩やかになっているので、クリア部材保持枠5の開放時において閉鎖板620が上限位置までゆっくりと上昇するようになり、遊技球の飛び出しをより効率的に抑制することが可能となる。
(切断機構)
パチンコ機等の遊技機では、細い糸(糸部材)を取り付けた遊技球(不正球)を遊技領域内に発射させ、糸部材を操作することによって不正に入賞口等に入賞させる不正行為が行われることがある。
このような不正球を用いた不正行為に対する対策として、本実施形態による遊技機1は、不正球の糸部材を切断する切断機構700(図130参照)を備えている。
図4、図129〜図136を参照して、遊技機1の切断機構700について説明する。
図129は、遊技機1の前面枠4に配設される発射装置70の正面図である。図130は、発射装置70の斜視図である。図131は、発射装置70の正面拡大図である。図132は、切断機構700の一部を構成する切断刃720の斜視図である。図133は、切断機構700の一部を構成する固定板730の斜視図である。図134は、図129のA−A位置における発射装置70の断面図である。図135は、図129のB−B位置における発射装置70の断面図である。図136(A)は供給通路90の第1誘導路91近傍におけるクリア部材保持枠5の裏面図であり、図136(B)は第1誘導路91の出口部91aと第2誘導路92の入口部92aを重ねて示した模式図である。
図4及び図129に示すように、遊技機1は、遊技球を発射する発射装置70と、上皿12(図2参照)に貯留された遊技球を発射装置70に供給する供給通路90と、不正球が発射された場合に不正球の糸部材を切断する切断機構700と、を備える。
図129及び図130に示すように、発射装置70は、前面枠4の前面右下部に設置されるベース板71と、ベース板71の前面に回動自在に配設される発射杵72と、を有する。また、ベース板71の前面には、右側から左側に上り傾斜する発射レール73(発射通路)が固定されている。
発射杵72は、発射ハンドル14(図4参照)の回動操作に基づいて回動し、発射レール73上の発射位置にある遊技球を弾発するように構成されている。発射杵72によって弾発された遊技球は、発射レール73によって左右方向左側に導かれ、発射レール73から発射球案内通路18(図5参照)に流入し、発射球案内通路18を通って遊技領域21(図5参照)に導かれる。
なお、発射装置70から発射される遊技球の発射速度は、発射ハンドル14の回動操作量が大きくなるほど速くなるように設定されている。
図4及び図129に示すように、供給通路90は、発射装置70に遊技球を供給する通路である。供給通路90は、上皿12に貯留された遊技球を左右方向右側に導いた後に前後方向後側に導き、発射装置70の発射位置に供給するように構成されている。供給通路90は、クリア部材保持枠5側に設けられる第1誘導路91と、前面枠4側に設けられる第2誘導路92と、を備える。
第1誘導路91は、上皿12に貯留された遊技球を上皿12の右端部から右方向に導いた後に後方に導くように形成された通路である。第2誘導路92は、第1誘導路91から流入してきた遊技球を発射装置70へ導くように形成された通路である。クリア部材保持枠5が閉状態である場合に、第1誘導路91の出口部91aと第2誘導路92の入口部92aが接続され(図136(B)参照)、第1誘導路91と第2誘導路92が連通するようになっている。
図129及び図130に示すように、第2誘導路92の入口部92aは、発射装置70のベース板71の前方をカバーするように当該ベース板71に取り付けられたカバー部材74に設けられる。入口部92aは、カバー部材74を前後方向に貫通する開口として形成されている。
また、第2誘導路92には、不正球の糸部材を切断するための切断機構700が設けられている。
図130及び図131に示すように、切断機構700は、第2誘導路92の入口部92aと繋がるようにカバー部材74に形成された糸誘導部710と、刃先部分が糸誘導部710内に位置するようにカバー部材74に取り付けられる切断刃720と、切断刃720をカバー部材74に固定する固定板730と、を備える。
糸誘導部710は、カバー部材74を前後方向に貫通する開口であって、第2誘導路92の入口部92aの左側部の上側部分に繋がるように切り欠かれている。これら糸誘導部710と入口部92aは左右方向に並設されている。糸誘導部710は、不正球発射時に不正球の糸部材が切断刃720の刃先部分(所定位置)に向かって移動することを可能とする誘導通路として構成されている。
図131及び図132に示すように、切断刃720は、平板状の基端部723と、基端部723に連接され当該基端部723と同一平面内に延在する平板状の第1先端部721と、基端部723に連接され当該基端部723から後方に屈曲される平板状の第2先端部722と、を備える。第1先端部721と第2先端部722は上下に並設されており、これら先端部721,722の間(境界)に形成される隙間部724が不正球の糸部材を切断する切断部分となる。第1先端部721の先端面721a(右側面)及び第2先端部722の先端面722a(右側面)は、不正球の糸部材を隙間部724にガイドするよう、隙間部724に向かって下り傾斜する傾斜面として形成されている。
図130及び図131に示すように、切断刃720は、カバー部材74の裏面に形成された収容凹部74aに収容された状態で、固定板730を介してカバー部材74に固定される。
図134及び図135に示すように、収容凹部74aは、切断刃720が嵌めこまれるような形状としてカバー部材74に窪んで形成されている。収容凹部74aは切断刃720の外形をかたどるように形成された凹部であり、切断刃720が収容凹部74aに嵌め込まれた状態では、切断刃720の左右方向及び上下方向への移動が規制される。また、切断刃720が収容凹部74a内に設置されている場合、当該切断刃720の隙間部724等の刃先部分は、糸誘導部710の奥まった位置(左寄りの位置)に位置している。
このように、切断刃720は、その刃先部分が右側に向けられるとともに糸誘導部710に露出するように配設されている(図131参照)。
図135に示すように、収容凹部74aの左側部には、切断刃720の基端部723の後端を係止するための係止壁74bが突出形成されている。係止壁74bは当該係止壁74bの前面と収容凹部74aの裏面との間に基端部723の板厚程度の厚さの隙間を形成するように構成されており、この隙間に切断刃720の基端部723の後端が挿入されることで、切断刃720の基端部723が係止壁74bを介して係止される。
切断刃720は、カバー部材74に係合する固定板730によって、収容凹部74a内に固定される。
図130及び図133に示すように、固定板730は、上下方向に延在する平板部731と、平板部731の下端に形成される下部係合片732と、平板部731の上端に形成される上部係合片733と、を備える。
図131及び図134に示すように、固定板730は、収容凹部74aに嵌め込まれた切断刃720の後側に配設される。固定板730の上部係合片733は収容凹部74aの上方に形成された貫通孔74cを通じてカバー部材74の前面に係合し、固定板730の下部係合片732は収容凹部74aの下方に形成された貫通孔74dを通じてカバー部材74の前面に係合する。このように上部係合片733及び下部係合片732がカバー部材74に係合することによって、固定板730の平板部731の前面と収容凹部74aの裏面の間で切断刃720が挟持される。これにより、切断刃720の前後方向への移動が規制され、切断刃720が収容凹部74a内に固定される。
上記のように構成される切断機構700では、不正球が発射装置70により発射された際に、当該不正球の糸部材は、糸誘導部710を介して切断刃720に導かれ、切断刃720の隙間部724に食い込む。隙間部724に食い込んだ糸部材は、不正球の発射勢によって引っ張られて切断される。切断機構700の糸誘導部710は供給通路90の第2誘導路92の入口部92aに繋がるように当該入口部92aの側部に切り欠かれており、切断刃720は糸誘導部710の奥まった位置に配設されるので、遊技球の流下を妨げることなく、不正球の糸部材を切断することが可能となる。
供給通路90は上皿12に貯留された遊技球を右側方に導いた後に後方に導き、発射装置70の発射位置に供給するように構成されており、発射レール73は発射位置から発射された遊技球を左側方に導くように構成されている。そして、糸誘導部710は第2誘導路92の入口部92aの左側部に繋がるように形成されており、切断刃720はその刃先部分が右側を向くように配設されている。このように、糸誘導部710を入口部92aの遊技球発射方向側の側部に設け、切断刃720の刃先部分を遊技球発射方向と逆向きに設けることで、不正球の糸部材をより確実に切断することが可能となる。
なお、不正球の糸部材を切断刃720によって切断しやすくするため、図136(A)及び図136(B)に示すように、クリア部材保持枠5側の第1誘導路91の出口部91aには、糸部材の切断刃720への移動を許容する逃げ溝として開口凹部91bが形成される。
開口凹部91bは、第1誘導路91の出口部91aの左右一側に繋がるように形成されるとともに、クリア部材保持枠5が閉状態である場合において切断刃720と対向するように形成される。このように、開口凹部91bと出口部91aは左右方向に並設されている。
第1誘導路91の出口部91aに開口凹部91bを設けることで、図136(B)に示すように、発射された不正球の糸部材Tが、第1誘導路91の出口部91aの開口凹部91b及び第2誘導路92の入口部92aの糸誘導部710を介して切断刃720に導かれやすくなり、また切断刃720の刃先部分において糸部材Tが折り返すようになるので、糸部材Tをより確実に切断することが可能となる。
〔切断機構の変形例〕
次に、図137〜図140を参照して、遊技機1が備える切断機構700の変形例について説明する。
図137は、クリア部材保持枠5に配設される上皿ユニット11の上面図である。図138は、上皿ユニット11の裏面模式図である。図139は、上皿ユニット11に設けられる第1誘導路91を示す斜視図である。図140は、糸部材切断時の様子を説明するための第1誘導路91の模式図である。
図137の矢印Aに示すように、供給通路90の一部である第1誘導路91は、上皿12に貯留された遊技球を上皿12の右端部から右方向に導いた後に後方に導くように構成されている。そして、変形例による切断機構700は、第2誘導路92ではなく、第1誘導路91内に設けられる。
図138及び図139に示すように、変形例による切断機構700は、第1誘導路91の出口部91a近傍に設けられる。切断機構700は、出口部91a近傍において第1誘導路91に沿って形成される糸誘導部740と、糸誘導部740の奥まった位置(溝底位置)に配設される切断刃750と、を備える。
糸誘導部740は、遊技球を右方向から後方に向けて導く第1誘導路91の屈曲部91cから、第1誘導路91の出口部91aにわたり、第1誘導路91に沿うように形成されている。また、糸誘導部740は、屈曲方向内側寄り(遊技球発射方向寄り)の第1誘導路91の側部に開口し、斜め上方に向かって開口面積が徐々に小さくなるように切り欠かれている。
切断刃750は板状の刃物であって、先端部分が刃状に形成されている。切断刃750は、出口部91a寄りの位置おいて、糸誘導部740の溝底位置に固定される。このように、切断刃750は、その刃先部分が通路内に突出しないように糸誘導部740に設けられる。また、切断刃750は、その刃先部分が遊技球発射方向(図140の矢印B)に対して逆向きとなるように設けられる。
図140に示すように、変形例による切断機構700を備える遊技機1では、上皿12に貯留された遊技球は、第1誘導路91を通過し、第1誘導路91の下流側に設けられた球送り装置75を介して1球ずつ発射装置70に供給される。図139及び図140に示すように、切断機構700では、糸部材Tが繋がれた不正球が発射装置70により発射されると、糸部材Tは、糸誘導部740を介して切断刃750に導かれ、切断刃750の刃先部分で切断される。切断機構700の糸誘導部740は供給通路90の第1誘導路91に沿って当該第1誘導路91の側部に切り欠かれており、切断刃750は糸誘導部740の奥まった位置に配設されるので、遊技球の流下を妨げることなく、不正球における糸部材Tを切断することが可能となる。
切欠部740は、第1誘導路91の屈曲部91cから出口部91aにわたって形成されるとともに、遊技球発射方向寄りの第1誘導路91の側部に開口するように形成されている。また、切断刃750は、出口部91a寄りの位置おいて糸誘導部740の溝底位置に固定されるともに、その刃先部分が遊技球の発射方向に対して逆向きとなるように設けられる。このように、糸誘導部740を遊技球の発射方向側に設け、切断刃750の刃先部分を遊技球の発射方向と逆向きに設けることで、不正球の糸部材Tをより確実に切断することが可能となる。
なお、今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではない。また、本発明の範囲は前述した発明の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び内容の範囲でのすべての変更が含まれることが意図される。